説明

立体栽培装置

【課題】作業に必要な栽培容器を好適な高さに移動させることができる立体栽培装置を提供する。
【解決手段】立体栽培装置1は、左右方向に間隔をあけて対向状に配置されたフレーム部材を有するフレームと、上下方向に配列されて栽培容器4が載置される上下複数段の容器支持台5と、各容器支持台5の天井に設けられた人口光源6とを備えている。さらに、容器支持台5の前側に設けられた容器昇降台7および容器昇降台7を上下移動させる昇降駆動手段8を有するリフタ9と、栽培容器4を容器支持台5と容器昇降台7との間で移動させる容器移動手段10と、昇降駆動手段8および容器移動手段10を操作するための遠隔操作装置11とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、立体栽培装置に関し、特に人工光源を備えて室内で植物を栽培する場合に用いられる立体栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室内で植物を生育する場合に用いられるものとして、最適な環境条件で生育することができる立体栽培装置が知られている。立体栽培装置は、限られた空間の中で植物を栽培する場合に有効であり、左右方向に間隔をあけて対向状に配置されたフレーム部材を有するフレームと、フレーム部材間に支持されて栽培容器を載置する上下複数段の容器支持台と、各容器支持台の上方の容器収容空間に配置された人工光源とを備えているものであることが知られている。このような立体栽培装置において、容器支持台の高さを高くすることや、生育する植物の種類や成長度合いによって容器支持台の高さを異ならせたり、収穫量の増加を望んで容器支持台の数を増加させることが通常である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−40013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の立体栽培装置では、手の届かない高い位置に容器支持台が配置されることや、足元の低い位置に容器支持台が配置されることがある。このような場合、容器支持台の高さが高いと、作業のための足場が必要になることや必要な台に対しての作業が困難になることがあり、また容器支持台の高さが低いと、腰や足などに負担がかかることがあり、栽培作業の効率が悪くなっていた。
【0005】
この発明は、作業に必要な栽培容器を好適な高さに移動させることができる立体栽培装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による立体栽培装置は、左右方向に間隔をあけて対向状に配置されたフレーム部材を有するフレームと、フレーム部材間に支持されて栽培容器を載置する上下複数段の容器支持台と、各容器支持台の上方の容器収容空間に配置された人工光源とを備えている立体栽培装置において、容器支持台の前側に設けられた容器昇降台および容器昇降台を上下移動させる昇降駆動手段を有するリフタと、栽培容器を容器支持台と容器昇降台との間で移動させる容器移動手段と、昇降駆動手段および容器移動手段を操作するための遠隔操作装置とが設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
この発明において、前後左右は相対的なものであり、容器昇降台が設けられている側を前、その反対側を後といい、前側から後側に向かって立体栽培装置を見た場合の左右を左右というものとする。
【0008】
立体栽培装置には、上記の構成のほか、生育環境を向上させるために、例えば、水や液肥を植物に供給する給水弁、不要な水や液肥を排出する排水弁、風量・温度・湿度などをコントロールする育成コントロールダクトおよび排気ダクトを設けてもよい。給水弁および排水弁は、栽培容器の移動の妨げとならないように、立体栽培装置の後側または横側(右側あるいは左側)から設けられる。給水弁および排水弁が設けられている場合において、給水弁が開弁されると、所定の箇所に設けられた水タンクの水あるいは液肥タンクの肥料が植物に供給され、排水弁が開弁されると、栽培容器の底に溜まった不要な水などが排水弁を介して立体栽培装置の外へ自然排水される。
【0009】
人工光源は、例えば、LED(発光ダイオード)あるいは3波長域蛍光ランプを単体または複合して、容器収容空間を形成する天井に装着すればよい。
【0010】
3波長域蛍光ランプは、青色(波長450nm)、緑色(波長540nm)、赤色(波長610nm)の3波長・狭帯域の発光を組み合わせたものである。400〜500nm付近の青色光や、600〜700nm付近の赤色光は、植物の光合成にとって有効な波長域であり、3波長域蛍光ランプの青色および赤色は、植物の吸収スペクトル中のピークに合致することから、3波長域蛍光ランプは有効な人口光源である。
【0011】
人工光源として、例えば、入力電力40Wの蛍光ランプを使用する場合、所要光量に応じて蛍光ランプの本数を選択する必要がある。すなわち、蛍光ランプは、栽培する植物、植物と蛍光ランプとの距離や蛍光ランプの長さによって適宜本数を選択し、蛍光ランプが1本(40W)の光量で不足の時は2本(80W)、2本で不足の時は3本(120W)のように設定する。
【0012】
また、人工光源として、LEDを使用した場合は、どの位置にも採光条件がほとんど同じであるので、照明の管理が容易であり、作物の生育状態にも好影響を及ぼすこととなる。さらに、LEDを使用した場合は、人工光源のスペース、とくに高さ方向のスペースが少なくて済むこととなる。しかも使用電力が少なくて済み、これにより周囲の温度上昇が少ないという利点がある。
【0013】
容器支持台は、成長時の高さが低い植物に対しては台数を増やすようにし、成長時の高さが高い植物に対しては台数を減らすようにすると、効率良く植物を栽培することができる。すなわち、成長時の植物の高さに応じて台数を増減すると、背丈の異なる種類の植物や生育速度の異なる種類の植物を同一集合棚で栽培することができる。また、播種時期が異なる栽培容器を収容しておいても対応することができる。すなわち、播種時期の早い栽培容器については、成長時期も相対的に早くなるので天井の高い台に移していけばよい。
【0014】
遠隔操作装置は、有線あるいは無線でフレームの外部に設置されてもよく、またフレームに一体として取り付けられてもよい。また、遠隔操作装置は、昇降駆動手段および容器移動手段のほか、弁の開閉などの生育環境を操作してもよい。
【0015】
この発明のように、上下動自在な容器昇降台が設けられると、収穫などの作業時に高い位置にある栽培容器を、作業者の好適な位置に移動させることができるので、梯子や足場が不要となり、足の不自由な作業者が容易に作業することができる。また、足元の低い位置にある栽培容器を上方に移動させることができるので、作業者の腰や足の負担を軽減することができる。
【0016】
この発明において、容器支持台および容器昇降台に、それぞれ左右方向に延びる前後複数のローラが設けられ、各台の少なくとも1つのローラが容器移動手段を構成する駆動ローラであることが好ましい。
【0017】
駆動ローラは、例えば、外筒、外筒と相対回転可能なように当該外筒の軸心部に設けられたシャフト、回転磁界を発生するための一次巻線が巻かれ且つシャフトに固定されたステータ、ステータとの間に作用する電磁力によって回転するロータ、及びロータの回転力を減速して外筒に伝達する減速機などから構成されているモータローラとされる。
【0018】
このようにすると、容器支持台を移動させずに、植物が載置されて重くなった栽培容器のみをスムーズに搬送させることができる。また、モータローラは、フックを引掛けて栽培容器を移動させるトラバーサよりも安価であるため、容器昇降台にトラバーサを設けるよりも容器昇降台および容器支持台にモータローラを設ける方が経済的負担を軽減することができる。
【0019】
容器支持台および容器昇降台に装着される駆動ローラは、1列で装着されてもよく、左右方向に分かれて2列で装着されてもよい。また、容器支持台および容器昇降台に装着されるローラは、全て駆動ローラにしても良いが、駆動ローラが少なくとも1本装着されていればよく、装着されるローラのうち数本を、単なるフリーローラにしても良い。例えば、容器支持台および容器昇降台には、左右方向に2列に分かれてローラを備え、各列に2本の駆動ローラおよび3本のフリーローラが等間隔で回転自在に装着される。
【0020】
容器支持台に装着された駆動ローラと容器昇降台に装着された駆動ローラとの間の最短距離は、栽培容器の長さよりも長い距離とされると、容器支持台の駆動ローラによって栽培容器が送り出されても容器昇降台の駆動ローラまで到達せず円滑に搬送することができなくなるので、栽培容器の長さよりも短い距離とされる。
【0021】
駆動ローラの表面は、ゴムなどが装着された弾性面とされてもよいが、栽培容器の自重によって栽培容器と駆動ローラとの間に摩擦力が発生するので、滑らかな金属面とされてもよい。
【0022】
上記の発明において、容器昇降台が、フレーム部材の上下方向に延びて形成された支持用案内レールに片持ち支持されて、昇降駆動手段に吊り下げられて連結されている。
【0023】
容器昇降台は、支持用案内レールを挟むように設けられた4つの案内ローラと、その案内ローラを覆うように保持する昇降部材とによって水平に保たれる。支持用案内レールは、左右に設けられたフレーム部材に、フレームの内方に対向するように突出して設けられてもよく、これの反対面にフレームの外方に向かって突出して設けられてもよい。支持用案内レールがフレームの内方に向かって設けられる場合、支持用案内レールはフレームの前方に設けられる。支持用案内レールがフレームの外方に向かって設けられる場合、支持用案内レールはフレームの前方に設けられてもよく、フレームの中央や後方に設けられてもよい。
【0024】
昇降駆動手段は、フレームの頂部に設けられた昇降用ブレーキ付きギアモータと、フレームの頂部前側に設けられてギアモータの駆動に連動して回転する従動スプロケットと、従動スプロケットと同軸でフレームの頂部の左右両端側に設けられた昇降用スプロケットとにより構成される。昇降用スプロケットには、例えば、昇降用ロープまたは昇降用チェーンが掛けられて、その前端に容器支持台が吊り下げられる。この構成により、ギアモータの駆動に連動して従動スプロケットが回転すると、これに伴って、同軸の昇降用スプロケットも回転することとなり、昇降用スプロケットが後方に回転すると、容器昇降台が上昇し、昇降用スプロケットが前方に回転すると、容器昇降台が下降する。
【0025】
以上のような構成で支持用案内レールが設けられていると、昇降用チェーンなどを介して容器昇降台が、支持用案内レールに沿って安定して上下移動する。
【発明の効果】
【0026】
この発明の立体栽培装置によると、容器支持台の前側に設けられた容器昇降台および容器昇降台を上下移動させる昇降駆動手段を有するリフタと、栽培容器を容器支持台と容器昇降台との間で移動させる容器移動手段と、昇降駆動手段および容器移動手段を操作するための遠隔操作装置とが設けられているので、栽培容器を好適な高さに移動させることができ、これにより梯子や作業足場が不要となり収穫などの作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の立体栽培装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の立体栽培装置の側面図である。
【図3】図3は、図2の立体栽培装置の平面図である。
【図4】図4は、図2の立体栽培装置のIV−IV線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。以下の説明において、図2の左を前、右を後と言うものとし、前から後に向かった場合の左右を左右と言うものとする。さらに、同図の上下を上下と言うものとする。
【0029】
図1は、この発明の立体栽培装置(1)を示している。図2は、この発明の立体栽培装置(1)の側面図を示している。立体栽培装置(1)は、植物の水耕栽培に用いられるものであり、ベース(2)に立設されてスチール製またはアルミ製のフレーム部材(3a)を有するフレーム(3)と、フレーム部材(3a)に支持されると共に上下方向に所定の空間を設けて栽培容器(4)が配置される長方形状の3枚の容器支持台(5)と、各容器支持台(5)の天井に装着された人工光源(6)と、容器支持台(5)の前側に設けられて栽培容器(4)を上下動自在に移動させる容器昇降台(7)および容器昇降台(7)を上下移動させる昇降駆動手段(8)を有するリフタ(9)と、栽培容器(4)を容器支持台(5)と容器昇降台(7)との間で移動させる容器移動手段(10)と、有線で接続されて昇降駆動手段(8)および容器移動手段(10)を操作する遠隔操作装置(11)とにより構成されている。立体栽培装置(1)は、3枚の容器支持台(5)の上方に容器収容空間(12)を3個形成している。
フレーム部材(3a)は、天板(3b)および4本の支柱(3c)からなり、フレーム部材(3a)の前側2本の支柱(3c)に、上下方向に延びて容器昇降台(7)を案内する支持用案内レール(3d)が対向するようにフレーム(3)の内方に突出して設けられている。
【0030】
栽培容器(4)は、容器支持台(5)の大きさよりも若干小さい長方形状とされて、栽培容器(4)の上に植物が載置されて栽培されている。
【0031】
各容器支持台(5)の高さは、生育する植物に対応した高さとなっており、この実施形態では、等間隔で容器支持台(5)が配置されている。
【0032】
人工光源(6)は、3波長域蛍光ランプが容器支持台(5)の天井に長手方向に延びて4本装着されている。明期の時間としては、栽培する植物にもよるが、例えば、通常12〜24時間/日、好ましくは14〜18時間/日とされる。
【0033】
各容器収容空間(12)は、給水弁(13)および排水弁(14)が設けられて、植物の生育に最適な環境に調整されている。
【0034】
給水弁(13)は、栽培容器(4)の搬送の妨げとならないようにフレーム(3)の後側から設けられており、排水弁(14)は、栽培容器(4)の搬送の妨げとならないようにフレーム(3)の後側から設けられるとともに、栽培容器の下から容器支持台(5)を貫通して設けられている。
【0035】
給水弁(13)が開弁されると、水がポンプ(図示略)により圧送されて植物に供給され、排水弁(14)が開弁されると、栽培容器(4)の底に溜まった不要な水が排水弁(14)を介して立体栽培装置(1)の外へ自然排水される。
【0036】
立体栽培装置(1)の最下部には、植物に供給する水を貯留する水タンク(15)が設けられている。これにより、給水弁(13)を介して省スペースで水を植物に供給することができる。
【0037】
図2および図4に示すように、昇降駆動手段(8)は、天板(3b)の上に設けられている。天板(3b)中央には、昇降用ブレーキ付きギアモータ(16)が装着されるとともに、このギアモータ(16)によって駆動される駆動スプロケット(17a)を備えた減速装置(17)がギアモータ(16)に一体として装着されている。また、駆動スプロケット(17a)に伴って回転する従動スプロケット(18)が、天板(3b)の前側に設けられている。そして、従動スプロット(18)と減速装置(17)とが、駆動スプロケット(17a)を介して駆動チェーン(19)によって連動かつ連結されている。従動スプロケット(18)には、これと同軸に軸心がフレーム(3)の左右の端まで延びて設けられており、軸心の両端に昇降用スプロケット(20)が設けられている。そして、この昇降用スプロケット(20)に対応したウエイト用スプロケット(21)が、天板(3b)の後側に設けられている。図2に示すように、この昇降用スプロケット(20)とウエイト用スプロケット(21)とに跨って、後端にバランスウエイト(22)が固定された昇降用チェーン(23)が巻き掛けられている。
【0038】
バランスウエイト(22)は、容器昇降台(7)とバランスをとるために、容器昇降台(7)の重量とほぼ同じ重量となるように設けられている。
【0039】
図2および図5に示すように、容器昇降台(7)は、容器支持台(5)の大きさとほぼ同じ大きさの長方形状で形成されている。より詳細には、栽培容器(4)を載置する長方形状の昇降ベース(24)と、フレーム部材(3a)の前側の支柱(3c)に設けられた案内レール(3d)を挟むように備えられた4つの案内ローラ(25)と、案内ローラ(25)を覆うように設けられ上下動自在に案内される昇降部材(26)と、昇降ベース(24)に一体的に設けられて昇降用チェーン(23)と昇降ベース(24)とを連結する連結部材(27)とにより構成されている。容器昇降台(7)は、案内ローラ(25)が案内レール(3d)を挟み込み、その案内ローラ(25)を昇降部材(26)が保持することによって傾きが防止されて水平に保たれている。
【0040】
このような構成により、昇降用ブレーキ付きギアモータ(16)を適宜に制御回転させて駆動させることにより、昇降用チェーン(23)を介して容器昇降台(7)が案内レール(3d)に沿って上下に移動可能となる。
【0041】
容器昇降台(7)の位置決めは、図示は省略するが、各容器支持台(5)に対応した高さの位置に適宜のセンサを設けるとともに、容器昇降台(7)に作動子を備え、この作動子によってセンサが作動したとき、容器昇降台(7)の昇降を停止する構成とすることにより容易に実施可能となる。
【0042】
容器移動手段(10)は、容器支持台(5)および容器昇降台(7)に、栽培容器(4)を水平方向に移動させるモータローラ(28)が左右方向に延びて備えられていることにより構成されている。
【0043】
この実施形態では、図5に示すように、各容器支持台(5)に、左右方向に分かれた2列に複数のローラ(28)(29)を備えており、列のそれぞれに、2本のモータローラ(28)およびその後方に3本のフリーローラ(29)の合計5本のローラ(28)(29)が等間隔で回転自在に装着されている。また、容器昇降台(7)には、左右方向に分かれた2列に複数のローラ(28)(29)を備えており、列のそれぞれに、2本のモータローラ(28)およびその前方に3本のフリーローラ(29)の合計5本のローラ(28)(29)が等間隔で回転自在に装着されている。
【0044】
容器支持台(5)に装着されたモータローラ(28)と容器昇降台(7)に装着されたモータローラ(28)との間の最短距離は、栽培容器(4)の長さよりも長い距離とされると、容器支持台(5)のモータローラ(28)によって栽培容器(4)が送り出されても容器昇降台(7)のモータローラ(28)まで到達せず円滑に搬送されなくなるので、栽培容器(4)の長さよりも短い距離とされている。
【0045】
モータローラ(28)は、一般に用いられているものであり、外筒の回転ドラム(30)内に、モータ(31)と、このモータ(31)に直結された減速機構(32)と、この減速機構(32)に連結されたクラッチおよびブレーキからなる機構(33)とを備えて、回転ドラム(30)を制御するようにする。ローラ(28)上に栽培容器(4)を載置している時に回転方向への力が余って、回転ドラム(30)に対し回転方向に向けて大きな力が加わった場合でもブレーキ(33)が作動し、回転ドラム(30)が不要な回転をしないようになっている。また、モータローラ(28)の回転面は、栽培容器(4)の自重によって栽培容器(4)との間に摩擦力が発生するので、滑らかな金属面に形成されている。
【0046】
モータローラ(28)は、遠隔操作装置(11)によって制御されており、遠隔操作装置(11)は、モータローラ(28)の他に、ギアモータ(16)の駆動を介して容器昇降台(7)の上下の移動や給水弁(22)・排水弁(23)の開閉を制御している。
【0047】
図2に示すように、フリーローラ(29)の外径は、モータローラ(28)の外径よりもわずかに小さい径とされているが、栽培容器(4)が載置された時に傾かず水平となるようにフリーローラ(29)の軸心がモータローラ(28)の軸心よりも若干高く装着されている。
【0048】
以下に、最上台(5)から最下台(5)への栽培容器(4)の移動について説明する。
【0049】
図2に示すように、栽培容器(4)は、最上台(5)に装着されたローラ(28)(29)の上に接触した状態で容器支持台(5)に載置されている。栽培容器(4)を容器支持台(5)から容器昇降台(7)に置き換える場合、破線で示すように、スペースが空いている容器昇降台(7)を最上台(5)の前まで移動させた後、容器支持台(5)のモータローラ(28)および容器昇降台(7)のモータローラ(28)を反時計回り(前方向)に回転させる。これにより、矢印Aのように栽培容器(4)が容器支持台(5)のモータローラ(28)によって容器昇降台(7)の方向へ搬送させられ、さらに容器昇降台(7)のモータローラ(28)によって搬送させられて、栽培容器(4)が容器昇降台(7)の上の所定の位置に到着することにより、栽培容器(4)を容器昇降台(7)の上に載置させることができる。そして、矢印Bにように栽培容器(4)が載置された容器昇降台(7)をスペースが空いている最下台(5)の前まで下降させて、容器昇降台(7)のモータローラ(28)および容器支持台(5)のモータローラ(5)を時計回り(後方向)に回転させる。これにより、矢印Cのように栽培容器(4)が容器昇降台(7)のモータローラ(28)によって容器支持台(5)の方向へ搬送させられ、さらに容器支持台(5)のモータローラ(28)によって搬送させられ、容器支持台(5)の所定の位置にまで到着することにより、栽培容器(4)を容器支持台(5)に載置させることができる。
【0050】
以上の構成により、栽培容器(4)をスムーズに搬送させることができ、植物の入れ替えや取り出しを容易に行うことができる。
【0051】
また、植物が載置された容器昇降台(7)を作業者の作業し易い高さに移動させ、植物を容器昇降台(7)に載せた状態で収穫などの作業をすると、梯子や足場が不要となり作業を容易にすることができる。
【符号の説明】
【0052】
(1) 立体栽培装置
(3) フレーム
(3a) フレーム部材
(3d) 支持用案内レール
(4) 栽培容器
(5) 容器支持台
(6) 人工光源
(7) 容器昇降台
(8) 昇降駆動手段
(9) リフタ
(10) 容器移動手段
(11) 遠隔操作装置
(28) 駆動ローラ(モータローラ)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向に間隔をあけて対向状に配置されたフレーム部材を有するフレームと、フレーム部材間に支持されて栽培容器を載置する上下複数段の容器支持台と、各容器支持台の上方の容器収容空間に配置された人工光源とを備えている立体栽培装置において、
容器支持台の前側に設けられた容器昇降台および容器昇降台を上下移動させる昇降駆動手段を有するリフタと、栽培容器を容器支持台と容器昇降台との間で移動させる容器移動手段と、昇降駆動手段および容器移動手段を操作するための遠隔操作装置とが設けられていることを特徴とする立体栽培装置。
【請求項2】
容器支持台および容器昇降台に、それぞれ左右方向に延びる前後複数のローラが設けられ、各台の少なくとも1つのローラが容器移動手段を構成する駆動ローラであることを特徴とする請求項1の立体栽培装置。
【請求項3】
容器昇降台が、フレーム部材の上下方向に延びる支持用案内レールに片持ち支持されて、昇降駆動手段に吊り下げられて連結されていることを特徴とする請求項1または2の立体栽培装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−200148(P2011−200148A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69412(P2010−69412)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(391061794)三共空調株式会社 (1)
【Fターム(参考)】