説明

立体画像表示体

【課題】回折格子を使った立体像表示は、いろいろな方向から立体的に見えるようにするために干渉パターンが弧状に形成されている結果、反射光が多方向に分散するため、全体的に輝度が低いという問題がある。
【手段】回折格子から構成される立体画像表示体であって、立体画像表示体における強調部分3が平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセル6と弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセル5から構成され、非強調部分が弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセル5により構成されることを特徴とする立体画像表示体である。前記強調部分における弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルが占める面積と平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルが占める面積の比は、7:3から3:7の範囲にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回折格子からなる立体画像表示体の視認性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、平面状の基板の表面に、複数の微小なドットからなる回折格子を配置することにより、回折格子パターンが形成された表示体が多く使用されてきている。この種の回折格子パターンを有する表示体を作製する方法としては、例えば特許文献1に開示されているような方法がある。この方法は、2光束干渉による微小な干渉縞(以下、回折格子とも記す)を、そのピッチ、方向、および光強度を変化させて、感光性フィルムに次々と露光するものである。
【0003】
一方、最近では、例えば電子ビーム露光装置を用い、かつコンピュータ制御により、平面状の基板が載置されたX−Yステージを移動させて、基板の表面に回折格子からなる複数の微小なドットを配置することにより、ある絵柄の回折格子パターンが形成された表示体を作製する方法が特許文献2に開示されている。
【0004】
さらにまた、横方向のみに視差を持つかあるいは横方向・縦方向共に視差を持つ回折格子パターンを形成し立体像の表示が可能な回折格子アレイ技術が特許文献3に開示されている。
【0005】
これらの画像表示体はそれ自体で装飾性のある展示物となるものであるが、微細な凹凸を形成するのが容易でないことやコピー装置を使用した複写品では画質が変化することなどから、各種有価証券、ギフトカード、商品券類の一部に貼付して偽造防止用のシール・ステッカーとして広汎に利用されている。
【0006】
ところで、この立体表示用回折格子アレイは、光を発散または集光する機能を有する回折格子からなるセルを、平面状の基板に複数個配列し、上記セルを、格子の勾配、または格子の勾配および格子間隔が近い領域で空間的に、横方向、または横方向および縦方向に分割し、この各分割領域を各視差画像(1方向または2方向)に対応させた回折格子アレイを得るものである。各セルに於ける凹凸パターンは、図1に示すように弧状に形成されているのが特徴である。
【0007】
この回折格子アレイを用いて、横方向のみに視差を持つ立体像表示体を作製した場合、縦方向に視域が広くなるという効果がある。また、この回折格子アレイを用いて、横方向・縦方向共に視差を持つ立体像表示体を作製した場合、縦方向・横方向に視域が広くなるという効果があるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭60−156004号公報
【特許文献2】米国特許276469号
【特許文献3】特開平6−281804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように多彩な表現が可能な立体画像表示体であるが、元来画質が暗くなるという問題を抱えている。
また一様な背景中の特定部分に看者の注意を引き付けたいような場合がある。この場合、文字やロゴなど強調したい部分は、従来弧状の凹部又は凸部で構成される回折格子パターンの中に、平行な直線状の凹部又は凸部からなる回折格子パターンのみで構成された文字やロゴを埋め込むように配置していた。こうした単純な組み合わせでは、背景の弧状の凹部又は凸部で構成される回折格子パターンに対して視野を変えたときの強調部の画質変化が甚だしく画像表示体としての一体感、自然感が損なわれるという問題があった。
そこで、本発明は、一様背景中の強調して注意を引きたい部分の視認性を高めると同時に、画像表示体として違和感のない一体感のある表現がなされた立体画像表示体を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、まず、請求項1に記載の発明は、回折格子から構成される立体画像表示体であって、立体画像表示体における強調部分が平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルと弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルから構成され、非強調部分が弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルにより構成されることを特徴とする立体画像表示体としたものである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記強調部分における弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルが占める面積と平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルが占める面積の比は、7:3から3:7の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の立体画像表示体としたものである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記強調部分は、弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルと平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルとが市松模様、あるいは縦または横ストライプをなすように配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の立体画像表示体としたものである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記強調部分は、該強調部分を円形あるいは六角形で区画し、区画された領域に弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルと平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルが交互に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の立体画像表示体としたものである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記セルの形状は、一辺が5μmから30μmの範囲にある正方形形状かあるいはこれと同等な面積を有する形状であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の立体画像表示体としたものである。
【0015】
請求項6に記載の発明は、前記強調部分においては、弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルと平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルが接する境界では、それぞれの回折格子の断面視の凹凸が滑らかにつながるように回折格子のピッチが一致し方向が略一致していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の立体画像表示体としたものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、視覚に訴えるべき強調部分は弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子と平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子を組み合わせて構成することで輝度が向上する結果、弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子だけからなる周辺周辺部からの視認性が改善され、且つ立体表現性もそれほど低下しないので視点移動させても自然で違和感のない立体画像を得ることができる。
【0017】
また、請求項2の発明は、弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子と平行な直線状
の凹部又は凸部から構成される回折格子のそれぞれが占める面積の比をかかる範囲に設定すると、強調部分の輝度と立体表現を両立させることができる。平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子部分の量を増やすと輝度は向上するが、増しすぎると立体表現性が低下する。
【0018】
また、請求項3および請求項4に記載の発明は、弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルと平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルの好ましい組み合わせ方を特定したものである。視覚上の違和感・自然感等から選択することになる。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、視認上違和感のない立体表現を得ることができる均一な回折格子セルの最大の大きさを四角形を例に特定したものである。
【0020】
また、請求項6に記載の発明も、視認上違和感のないように、弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルと平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルが隣接する境界では、二つの異なる格子に属する凹部と凹部が、また凸部と凸部が連続的につながるようにピッチと振幅を一致するようにしたものである。視角を変えても滑らかに変化する自然な立体動画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】回折格子セルの一例を示す平面図。
【図2】本発明による回折格子アレイの一実施例を示す概要図。
【図3】同実施例における回折格子セルの一例を示す平面図。
【図4】同実施例における回折格子セルの他の例を示す平面図。
【図5】同実施例における回折格子セルの微小領域での解析の様子を説明するための概要図。
【図6】同実施例における光を集光する機能を有する回折格子を2光束干渉により作製する場合の方法の一例を示す光学系の概要図。
【図7】本発明になる回折格子の形状と配置態様を説明する図。(a)背景部中の強調部の位置、(b)強調部の弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子と平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子の配置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の要旨は、光を発散または集光する機能を有する回折格子からなるセルを、平面状の基板に複数個配列し、上記セルを、格子の勾配、または格子の勾配および格子間隔が近い領域で空間的に、横方向、または横方向および縦方向に分割し、この各分割領域を各視差画像(1方向または2方向)に対応させた回折格子アレイを得、横方向のみ、または横方向・縦方向共に視差を持つ立体像の表示を可能とする立体像表示装置を得る点にある。
【0023】
上記基本構成は弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子を敷き詰めたもので全体的に画質が暗いが、特に目に付きやすい部分として強調すべき立体表現部分に対し、当該部位に立体表現を目的としない平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子部分を、視点を変えても違和感のないように適切な割合と形態で埋め込む構成とした立体画像表示装置である。平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子部分を適切なサイズとして視認できないように埋め込むと、当該部位の輝度が周辺の弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子だけからなる領域に比べ輝度が向上するという直接的な効果があるものである。輝度感については平行部分の埋め込む量で変えることができる。
【0024】
以下、上記のような考え方に基づいた本発明の一実施例について、図面を参照して詳細
に説明する。
【0025】
本発明による回折格子アレイは、その一例を図1に示すように、光を集光する機能を有する回折格子からなる(回折格子の太さが段々細くかつ間隔が段々狭くなるような回折格子パターンが描かれている)セル1を、図2に示すように、平面状の基板2に複数個配列し、さらにこのセル1を、図3に示すように、格子の勾配が近い領域で空間的に横方向に分割し、この各分割領域を各視差画像(1方向)に対応させるか、あるいは上記セル1を、図4に示すように、格子の勾配および格子間隔が近い領域で空間的に横方向および縦方向に分割し、この各分割領域を各視差画像(2方向)に対応させている。
【0026】
なお、図2では、図面表現の便宜上、図1の回折格子セル1のパターンを上下方向を逆にし、かつ回折格子の太さをほぼ等しく描いており、以後の各図面における該当部分についても、それぞれ同様の扱いとして描くことにする。
【0027】
すなわち、この場合、回折格子セル1の領域分割数は、視差画像の数と等しく、任意の視差画像の任意のピクセルは、回折格子アレイの同位置のセルの中の、その視差画像に割り当てられた領域に対応している。ここで、左方向から見た時の視差画像は、回折格子セル1の右の分割領域に対応し、中央から見た時の視差画像は、回折格子セル1の中央の分割領域に対応している。
【0028】
また、同様に、縦方向にも領域を分割した場合は、上方向から見た時の視差画像は、回折格子セル1の下の分割領域に対応し、下方向から見た時の視差画像は、回折格子セル1の上の分割領域に対応している。視差画像の各ピクセルの明るさは、対応する分割領域の回折格子の面積に比例する。
【0029】
次に、上記回折格子セル1のより詳細な構成、およびその微小領域での回折について、図2および図5を用いて説明する。
【0030】
図5では、Y−Z平面に平行な光軸を持った入射光の場合を示している。この場合、図の+1次の回折光の回折角βx ,βy は、次式に従う。
【0031】
λ=dx (sinβx ) ……(1)
λ=dy (sinβy −sinθy ) ……(2)
但し、λは光の波長、dx ,dy は格子間隔のX成分,Y成分、θx ,θy はX−Z面内およびY−Z面内での入射角、βx はX−Z面内での回折角、βy はY−Z面内での回折角を示している。なお、X−Y面内での回折格子の勾配は、Ω=tan-1(dy /dx )である。
【0032】
これらの式から、任意の微小領域の回折格子がどの方向に光を出射するかがわかる。
従って、全回折格子セル1において、ある1つの観察位置から観察される条件を備えた回折格子領域を使って画像を表現(その領域への入射光の強度の制御、あるいは出射した回折光の強度の制御をすることを指す)すれば、その観察位置からのみ、その画像が観察できる。そして、これを全観察位置について行なえば、すなわち回折格子セル1中の全領域について処理することになり、各方向に各視差画像を表示することができ、従って両眼視差による立体像の観察が可能となる。
【0033】
更に、図7に示すように全てのセルの中から視覚的に強調したい領域3(図ではT字の部分)を設定する場合には、平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子とすべきセルをT字に含まれるセルの中から選び出し、当該選び出されたセルが特定の方向に光を出射するように平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子を形成する。
【0034】
形成するに当たっては、セルを正方形形状と仮定すると、平行格子セル6は通常の弧状格子からなるセル5によって四方が囲まれるが、弧状格子セル5の格子の延長方向(図では左右方向)と平行格子セル6の格子の延長方向が交わる境界7,7’(図では左右の境界)では、互いの格子の凹凸断面が一致して滑らかにつながるように双方の格子群を形成するのが望ましい。したがって異なる性質の格子であってもピッチと格子の延伸する角度は略一致するようにする。
【0035】
セル5,6のサイズは全体の表示画像が滑らかとなり、平行格子セルが平行であることが視認できない程度が好ましく、一辺が5〜30μmの範囲である。
また、強調部における弧状格子セルの占める面積と平行格子セルが占める面積の比は、7:3から3:7の範囲にであることが望ましい。平行部分の割合が低くすぎると輝度感が足りず、多すぎると立体表現性が低下する。
【0036】
共存させるセルの形状は、本実施例で説明した市松模様に限られない。縦ストライプ、横ストライプ、円、六角形などでも構わない。先述したように境界での凹凸形状のマッチングは、平行部分の格子が一方の境界から他方の境界にかけて内挿するように形成するのが望ましい。
【0037】
ところで、上記の回折格子セル1は、例えば図6に示すような光学系を用いて、2光束干渉法により作製することが可能であり、この回折格子セル1の作製を同一乾板上で位置を変えながら行なうことにより、本実施例の回折格子アレイ2を得ることができる。
【0038】
すなわち、図6に示すように、レーザー光源から発生してミラーで反射したレーザービームを、ハーフミラーで2つに分岐し、一方はレンズ系を通して平行光として感光材料に入射し、またこの感光材料の同位置に、もう一方のレーザービームを別のレンズ系を通して集束光として入射する。これにより、感光材料中に、2つの光による干渉縞が記録される。そして、このような操作を感光材料の位置を変えながら行なうことで、全面に干渉縞が記録された回折格子アレイを得る。なお、この回折格子アレイが表面レリーフ型であれば、容易にエンボスによる複製が可能である。
【0039】
また、この場合、観察時の条件から、各回折格子セル1毎の最適な集束位置を計算し、これに基づいて光学系を少しずつ変更しながら各回折格子セル1を作製することにより、最も望ましい回折格子アレイ2が得られる。
【0040】
さらに、一方向のみに視差を持たせる場合には、感光材料直前の集束光を作るレンズを、シリンドリカルレンズにしてもよい。
【0041】
感光性樹脂の露光は、弧状格子ばかりの非強調部分(背景部)は上記の2光束干渉法の適用が好ましいが、強調部分については格子パターンが基本的に異なる領域が並存するので、微小領域の露光量を計算して露光する電子線描画装置を使用するのが好ましい。
【0042】
本実施例の回折格子アレイ2は、縦方向、横方向に、光をある決められた領域に広げて回折するデバイスを実現している。
【0043】
すなわち、図3に示すような回折格子セル1からなる回折格子アレイ2の場合には、格子間隔のX成分の変化によって、横方向に光が広がって回折する光を、回折格子の横方向の領域分割によって横方向に視野を分割し、それぞれの分割された視野に異なる視差画像を再生し、また格子間隔のY成分の変化によって縦方向に光が広がって回折されるため、横方向のみに視差のある立体像を縦方向に広い視域で観察することができる。
【0044】
また、図4に示すような回折格子セル1からなる回折格子アレイ2の場合には、格子間隔のY成分の変化によって縦方向に広がって回折する光を、回折格子の縦方向の領域分割によって縦方向に視野を分割し、それぞれの分割された視野に異なる視差画像を再生するため、横方向、縦方向共に視差のある立体像を観察することができる。
【0045】
これは、各回折格子セル1を形成する格子の一つ一つが、光を集光する機能を持っていることによる。すなわち、各回折格子が光を集光する機能を有するため、セル内の微小領域について考えると、その微小領域からの回折光は、ある特定の方向に出射している。セル内の異なる微小領域に着目すると、その回折光は異なる特定の方向に出射している。換言すると、光を集光する機能を有する回折格子は、それぞれ異なる方向に光を出射する微小な回折格子の連続的な集合体と考えることができる。
【0046】
この回折格子を、任意数のある程度の大きさを持った微小領域に分割し、離れたところにあるX−Y面に平行な観察面を考えると、各微小領域からの回折光は、ある程度の広がりを持っている。しかし、観察面において、各微小領域の回折光は互いに連続でありながら、重ならない。
【0047】
従って、このような回折格子からなるセル1を並べた回折格子アレイ2で、観察面での視差方向と同じ視差方向から得た視差画像を、対応する視差方向に回折光を出射する回折格子領域を画素として、回折する領域分割数に等しい数だけ表示することにより、観察面で自然な立体感を持った立体像の観察が可能となる。また、この場合、観察者が観察面内で上下左右に視点を移動すると、立体像が滑らかに変化し、自然な視点移動感が得られる。観察面の前後に視点を移動した場合も、かなりの自由度で自然な立体感が得られる。さらに、観察可能領域(視域)を外れた場合は、観察者には何も観察されず、観察可能領域を観察者が容易に認識できる(例えば、レンチキュラーレンズを用いた立体像表示体等では、設定された観察領域を外れた時、像の立体感の反転等が起こり、しかも観察者にとってその境界の認識は難しい)。
【0048】
以上から、本実施例の回折格子アレイ2では、横方向のみに視差を持つ、または横方向・縦方向共に視差を持つ立体像を、自然な立体感を伴って表示することができる。その中に強調部分が周囲に比べ高い輝度感で観察可能なものである。
【0049】
また、回折格子アレイ2は、表面レリーフ型の回折格子とすることができることから、エンボス法によって安価に大量生産が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明になる回折格子構造物は、各種証券類、商品券、ギフトカードなどの偽造防止用のシール、ステッカーとして使用できる。
【符号の説明】
【0051】
1…回折格子セル
2…基板
3…強調部分
4…背景部分
5…弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子セル
6…平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子セル
7,7’…セルの境界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回折格子から構成される立体画像表示体であって、立体画像表示体における強調部分が平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルと弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルから構成され、非強調部分が弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルにより構成されることを特徴とする立体画像表示体。

【請求項2】
前記強調部分における弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルが占める面積と平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルが占める面積の比は、7:3から3:7の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の立体画像表示体。
【請求項3】
前記強調部分は、弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルと平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルとが市松模様、あるいは縦または横ストライプをなすように配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の立体画像表示体。
【請求項4】
前記強調部分は、該強調部分を円形あるいは六角形で区画し、区画された領域に弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルと平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルが交互に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の立体画像表示体。
【請求項5】
前記セルの形状は、一辺が5μmから30μmの範囲にある正方形形状かあるいはこれと同等な面積を有する形状であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の立体画像表示体。
【請求項6】
前記強調部分においては、弧状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルと平行な直線状の凹部又は凸部から構成される回折格子からなるセルが接する境界では、それぞれの回折格子の断面視の凹凸が滑らかにつながるように回折格子のピッチが一致し方向が略一致していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の立体画像表示体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−248279(P2011−248279A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124088(P2010−124088)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】