説明

立体表示装置及びこの立体表示装置を備えた遊技機

【課題】 表示装置が大型化することなく、また、複雑な同期制御等を必要とすることなく、複数画像を合成して三次元立体画像を表示する。
【解決手段】 第1画像212を表示する第1表示領域21と、第2画像222を表示する第1表示領域21と異なる第2表示領域22を有する液晶パネル2と、第1画像212を液晶パネル2の背面側に視認可能に透過させる第1偏光板31と、第2画像222を、液晶パネル2の正面側に視認可能に透過させる第2偏光板32と、第1画像212を第2表示領域22の背面側に反射させる第1及び第2ミラー51,52とを備え、第2表示領域22に表示される第2画像222と、第2表示領域22に反射された第1画像212が、第2偏光板32を介して、第2表示領域22の正面側から視認可能な単一画像として表示される構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンやパチンコ機に代表される遊技機等に備えられる表示装置に関し、特に、奥行き位置が異なって見える複数の二次元像を重ねて表示することにより、三次元的な立体画像を表示する立体表示装置及びこの立体表示装置を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機では、遊技の進行等に応じて画像が変動する演出表示を行う液晶パネル等からなる表示装置が設けられており、遊技者の遊技意欲を刺激してきた。
遊技機メーカは、遊技者の遊技意欲を刺激する表示内容やデザインなどに様々な工夫を凝らすことによって、遊技機の魅力向上を図ってきた。
【0003】
ここで、このような演出表示等に用いられる表示装置として、三次元的な立体画像を表示する各種の表示装置が提案されている。
例えば、特許文献1には、奥行き位置の異なる複数の表示面にそれぞれ二次元像を表示して、三次元立体像を生成する三次元表示装置が提案されている。
この特許文献1の三次元表示装置では、観察者から見て異なった奥行き位置にある複数の表示面に対して、表示対象物体を観察者の視線方向から射影した二次元像を生成し、生成された二次元像の輝度を表示面毎に各々独立に変化させて、生成された二次元像を複数の表示面に表示することで、三次元的な立体像を表示させるようになっている。
【0004】
また、特許文献2には、液晶ディスプレイに表示される画像を反射する反射ミラー(全反射鏡)と、同じ表示画像を反射するとともに反射ミラーからの反射画像を透過するハーフミラーとを備えた画像表示装置が提案されている。
この特許文献2の画像表示装置によれば、反射ミラーを反射した画像を、ハーフミラーを反射した画像に合成して表示することで、単一の画像表示によって複数画像を合成した合成画像を生成し、これによって立体感のある画像を表示させるようになっている。
【0005】
【特許文献1】特許第3022558号公報
【特許文献2】特許第3971394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、引用文献1に記載の三次元表示装置は、複数の二次元表示装置を必要とするため、装置が大型化するとともに、コストも増大してしまい、特に、二次元表示装置を奥行き方向に配設する構造から、奥行き方向の寸法が長大化するという問題があった。
このため、スロットマシンやパチンコ機のように、遊技機の内部や筐体内のスペースが限られ、また、コストダウンの要請も高い遊技機の表示装置に適用することは困難であった。
【0007】
また、このように複数の表示装置の画像を合成する場合には、各表示装置の制御系が2系統となるため、表示装置間の同期を取る必要があり、また、表示画像のコントラスト等のばらつきを制御する必要もあった。
このため、さらなるコスト増を招来するおそれがあるとともに、遊技場(ホール)に多数設置される遊技機に適用した場合、遊技機毎に表示画像に差が生じるおそれもあった。
【0008】
また、引用文献2に記載の遊技機の画像表示装置も、液晶ディスプレイに表示される単一の二次元画像を、複数のミラーとハーフミラーを装置の奥行き方向に配設する構造となっており、特許文献1の場合と同様に、画像表示装置自体の奥行き寸法が大きくなってしまい、奥行き寸法の長い設置スペースを確保する必要がある。
パチンコ機やスロットマシン等の遊技機は、一般に、高さ寸法や横幅寸法に比べると奥行き寸法が短いため、奥行き寸法の長い設置スペースを確保しようとすると、遊技機内の部品配置が大幅な制限を受けることになる。このため、この引用文献2記載の画像表示装置を遊技機に搭載しようとすれば、表示装置の奥行き寸法を遊技機の設置スペースに合わせて小さくするしかなく、そのようにすると、画像表示面自体が狭小なものとなってしまい、演出表示等として魅力に乏しいものになってしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、以上のような従来の課題を解決すべくなされたものであり、表示装置が大型化することなく、また、複雑な同期制御等を必要とすることなく、複数画像を合成して三次元立体画像を表示することができ、設置スペース等の自由度を向上させつつ、斬新で魅力溢れる演出表示等を低コストで実現することができる、特にスロットマシンやパチンコ機の演出表示装置や図柄変動表示装置等に好適な立体表示装置及びこの立体表示装置を備えた遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明の立体表示装置は、第1の画像を表示する第1表示領域と、第2の画像を表示する前記第1表示領域と異なる第2表示領域を有する表示手段と、前記第1の画像を、前記表示手段の一面側に透過させる第1偏光板と、前記第2の画像を、前記表示手段の他面側に透過させる第2偏光板と、前記第1の画像を、前記第2表示領域の一面側に反射させる反射手段と、を備え、前記第2表示領域に表示される第2の画像と、前記第2表示領域に反射された第1の画像が、前記第2偏光板を介して、当該第2表示領域の他面側から視認可能な単一画像として表示される構成としてある。
【0011】
具体的には、前記反射手段が、前記第1の画像を、所定方向に反射させる第1ミラーと、前記第1ミラーで反射された第1の画像を、前記第2表示領域の一面側に反射させる第2ミラーと、を備える構成としてある。
また、前記反射手段の第1ミラーと第2ミラーは、対向する反射面が直交するように配設された構成とすることが好ましい。
【0012】
このような構成からなる本発明の立体表示装置によれば、表示手段を一枚の液晶パネル等で構成し、その液晶パネル等に表示される第1の画像及び第2の画像からなる複数画像を合成して三次元的立体画像を表示することができる。
第1の画像を反射して第2の画像に合成表示させる反射手段は、表示手段の後方(背面側)に三角形状に配設した2枚のミラー等で構成することができ、一枚の液晶パネルと2枚のミラーによって、立体表示装置を構成することができる。
2枚のミラーは、三角形状に配設されることで、奥行き寸法をミラーの長辺の長さより小さくすることができ、これを一枚の液晶パネルの背面側に配設することで、立体表示装置の奥行き寸法を可能な限り小さいものにすることができる。
また、第1ミラーと第2ミラーを、対向する反射面が直交するように配設することにより、第1の画像と第2の画像を平行に投影・表示することができ、奥行きの違いが鮮明となり、より鮮やかな立体画像を形成することができる。
【0013】
このように、本発明によれば、一枚の液晶パネルと2枚のミラー部材というきわめてシンプルな構成によって合成画像を表示する立体表示装置を構成することができるので、表示装置のコストダウンを図ることができるとともに、表示装置全体は、奥行き方向の寸法を可能な限り小さくできる。
しかも、立体画像を表示する表示画面の大きさについては、特に制約を受けることがないので、任意の大きさとすることができ、表示装置を適用する遊技機等の大きさや設置スペース、表示内容等に応じて、任意の大きさの表示画面とすることができる。
これにより、設置スペース等の自由度を向上させつつ、斬新で魅力溢れる演出表示等を低コストで実現することが可能となり、特にスロットマシンやパチンコ機の演出表示装置や図柄変動表示装置等に好適な立体表示装置を提供することができる。
【0014】
また、本発明の立体表示装置は、前記反射手段の第1ミラーが移動可能に配設された構成とすることができる。
このように、反射手段の第1ミラーを移動可能とすることにより、第1ミラーの移動に伴って、第1ミラーに反射する第1の画像を奥行き方向に移動させることが可能となる。
これにより、立体的かつ動的な画像表示が可能となり、本発明に係る小型軽量化された立体表示装置において、より魅力的な画像表示が実現できるようになる。
【0015】
また、本発明の立体表示装置は、前記第1ミラーが複数に分割され、分割された少なくとも一のミラーが移動可能に配設される構成とすることができる。
このように、反射手段の第1ミラーを分割形成し、各ミラーを移動可能とすることにより、各ミラーの移動に伴って、各ミラーに反射される第1の画像を、それぞれ独立して奥行き方向に移動させることが可能となる。
これにより、より複雑で斬新な立体動画表示が可能となり、本発明に係る立体表示装置において、さらに魅力的な画像表示が実現できるようになる。
【0016】
また、本発明の立体表示装置は、前記反射手段が、複数配設された構成とすることができる。
このような構成とすることにより、複数の反射手段によって、それぞれ異なる(あるいは同一の)画像を反射させて、単一の画像として表示させることができる。
これにより、より複雑できめの細かい立体画像の表示が可能となり、本発明に係る立体表示装置において、より魅力的な画像表示が実現できるようになる。
【0017】
また、本発明の立体表示装置は、前記表示手段と前記反射手段の間に配設される、例えば凹レンズや凸レンズ等からなるレンズを備えた構成とすることができる。
また、本発明の立体表示装置は、前記反射手段の一部又は全部が、例えば凹面鏡や凸面鏡等の非平面鏡からなる構成とすることができる。
このような構成とすることにより、第2の画像に合成される第1の画像を、凹レンズや凸レンズ等のレンズ、あるいは凹面鏡、凸面鏡等の非平面鏡の作用により、拡大、縮小、変形、反転等させることができ、従来にはない斬新で魅力的な立体画像を生成することが可能となる。
【0018】
また、本発明に係る立体表示装置では、前記表示手段が液晶パネルからなる構成とすることが好ましい。
このように、本発明の立体表示装置に用いる表示手段は、液晶パネルにより構成することが好ましい。
液晶パネルは、安価かつ小型軽量化された表示手段として最も普及しており、画面サイズも任意に選択でき、画面制御も容易に行うことができる。そこで、本発明の立体表示装置では、第1及び第2表示領域を備える表示手段として、液晶パネルを採用するようにしてある。これによって、本発明に係る立体表示装置に備えられる表示手段を安価かつ小型軽量化して実現することができ、特に低コスト化・省スペース化等が求められる遊技機や各種電子機器・装置に好適な立体表示装置を提供することができる。
【0019】
そして、本発明に係る立体表示装置を備えた遊技機は、複数の図柄が変動し、変動した図柄が停止したときの各図柄の配列に応じて所定の遊技媒体が払い出される遊技機であって、遊技状態に応じて変動する所定の演出画像を表示する演出表示装置を備え、前記演出表示装置が、本発明に係る立体表示装置からなる構成としてある。
また、本発明に係る立体表示装置を備えた遊技機は、前記複数の図柄を変動表示する図柄変動表示装置を備え、前記図柄変動表示装置が、本発明に係る立体表示装置からなる構成とすることもできる。
【0020】
このように、本発明の立体表示装置は、スロットマシンやパチンコ機の演出表示装置や図柄変動表示装置に適用することができる。
スロットマシンやパチンコ機の演出表示や図柄変動表示は、常に魅力的で新しい画像表示等が求められている。その一方で、スロットマシンやパチンコ機の筐体寸法・内部空間の大きさは限られており、長大な表示装置等を設置するスペースはなく、また、低コスト化の要請も厳しい。
そこで、本発明の立体表示装置を用いることで、小型軽量化され、かつ、魅力的で斬新な立体画像を表示可能な表示装置を低コストで実現できる遊技機の演出表示装置や図柄変動表示装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の立体表示装置によれば、表示装置が大型化することなく、また、複雑な同期制御等を必要とすることなく、複数画像を合成して三次元立体画像を表示することができる。
これにより、設置スペース等の自由度を向上させつつ、斬新で魅力溢れる演出表示等を低コストで実現することが可能となり、特にスロットマシンやパチンコ機の演出表示装置や図柄変動表示装置等に好適な立体表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る立体表示装置の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
まず、図1〜図5を参照して、本発明に係る立体表示装置の第一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる立体表示装置の概略断面を示している。
図1において、本実施形態の立体表示装置1は、奥行き位置の異なる二つの表示面(第1表示面211及び第2表示面221)にそれぞれ二次元像(第1画像212及び第2画像222)を表示して、三次元的立体像を表示する装置である。
具体的には、立体表示装置1は、液晶パネル2、第1偏光板31、第2偏光板32、バックライト4、第1ミラー51及び第2ミラー52を備えている。
また、第1ミラー51及び第2ミラー52の底面側には光源5が備えられている。
【0023】
液晶パネル2は、第1の画像を表示する第1表示領域21と、第2の画像を表示する第1表示領域21と異なる第2表示領域22を有する表示手段である。
具体的には、本実施形態の液晶パネル2は、横長の矩形状に構成され、観察者11から見て左側(図面右側)に第1表示領域21を備え、観察者11から見て正面(図面左側)に第2表示領域22を有している。
本実施形態では、液晶パネル2の表示領域を2分割し、第1表示領域21と第2表示領域22を同じ形状で、かつ、同じ大きさとなるように設定してある。
なお、この液晶パネル2は、画像表示制御手段(図示せず)によって駆動される。画像表示制御手段としては、特に限定されるものではなく、公知の画像表示制御の手法を用いることができる。
【0024】
第1表示領域21は、第1表示面211に第1画像212を表示・射影する。
ここで、第1画像212は、液晶パネル2の第1表示領域21中に表示され、第1ミラー51及び第2ミラー52によって反射され、液晶パネル2の第2表示領域22に投影・表示される。
一方、第2表示領域22は、第2画像222を第2表示面221に表示・射影する。
従って、第1画像212が射影される第1表示面211は、観察者11から見て、第2画像222より奥行き方向の奥に位置するように見えるようになる。
なお、第2表示領域22に投影される第1画像212は、第1ミラー51及び第2ミラー52によって反射されることにより、第1表示領域21に表示された第1画像212と左右が反転した画像となる。従って、第1表示領域21に表示する第1画像212は観察者1に見せたい画像と左右を反転させた画像を表示することになる。
【0025】
図1に示すように、第1表示面211から第2表示面221までの距離をΔLとし、第2表示面221から観察者11までの距離をLとする。距離ΔLは、液晶パネル2の第1表示領域21から照射された光が、第1ミラー51及び第2ミラー52に反射されて第2表示面221に到達するまでの距離である。
観察者11から見ると、液晶パネル2の第2表示領域22に表示される画像のうち、第2画像222は距離L、第1画像212は距離L+ΔLの奥行きをもって見えることになる。
【0026】
液晶パネル2には第1及び第2偏光板31,32と、バックライト4が備えられている。
第1偏光板31は、第1表示領域21を覆うように、液晶パネル2の正面側(観察者11側)の表面に貼り付けられている。この第1偏光板31は、液晶パネル2の第1表示領域に表示される第1画像を、液晶パネル2の背面側(観察者11と反対側)からのみ視認可能に透過させる偏光部材である。
第2偏光板32は、第2表示領域22を覆うように、同じく液晶パネル2の正面側の表面に貼り付けられている。この第2偏光板32は、液晶パネル2の第2表示領域に表示される第2画像(及び反射された第1画像)を、液晶パネル2の正面側(観察者11側)から視認可能に透過させる偏光部材である。
このような偏光板31,32を備えることで、第2表示領域22に表示される第2画像222と、第2表示領域22に反射された第1画像212が、第2偏光板32を介して、第2表示領域22の正面側から視認可能な単一画像として表示されることになる。
【0027】
バックライト4は、第1偏光板31を覆うように、第1偏光板31の観察者11側の表面に貼り付けられており、第1表示領域21に表示される画像を鮮明に表示・視認できるようにする光源となっている。
なお、バックライト4の大きさや出力特性等は特に限定されるものではないが、通常、より鮮明な画像が視認できるように、高輝度のものを用いることが望ましい。
【0028】
液晶パネル2の背面側(観察者11と反対側)には、第1及び第2ミラー51,52からなる反射手段が配設されている。
第1ミラー51は、液晶パネル2の第1表示領域21からの光を直角に反射する全反射鏡で構成され、本実施形態では、図1に示すように、液晶パネル2に対して45°の角度となるように設けられている。
第2ミラー52は、第1ミラー51からの反射光を直角に反射する全反射鏡で構成され、第1ミラー51に対して直交する90°の角度となるように設けられている。そして、第2ミラー52からの反射光が、液晶パネル2の第2表示領域22に照射されるようになっている。
このように第1ミラー51及び第2ミラー52を直交するように配設することで、2枚のミラーが液晶パネル背面側で三角形状に配設されることになり、奥行き寸法をミラーの長辺の長さより小さくすることができ、立体表示装置の奥行き寸法を可能な限り小さいものにすることができる。
【0029】
また、第1ミラー51及び第2ミラー52の底面側には光源5が配設され(後述する図4及び図5参照)、液晶パネル2の第2表示領域22に投影・表示される画像が鮮明に表示・視認されるようになっている。
光源5は、液晶パネル2の第2表示領域22の画像が鮮明に視認できるようになればどのような構成でもよく、例えば、LEDを面状に配設したり、一又は二以上のランプ等で構成することができる。
また、光源5は、上述したバックライト4と同様の大きさや出力特性等は特に限定されるものではないが、鮮明な画像が視認できるように、高輝度のものを用いることが望ましい。
【0030】
ここで、本実施形態の立体表示装置1の奥行き寸法を、上述した引用文献2に記載の画像表示装置と対比して説明する。
まず、本実施形態の立体表示装置1の表示画面(第2表示面221)を正方形とした場合、図1に示す表示画面の横寸法及び縦寸法は、横寸法=縦寸法=W/2となる。この場合、立体表示装置1の横寸法(液晶パネル2全体の横寸法)はWであり、縦寸法はW/2である。そして、立体表示装置1の奥行き寸法Dは、D=W/2+(液晶パネル2、第2偏光板32及びバックライト4の厚さ)であり、ほぼW/2となる。
これに対し、引用文献2の画像表示装置において、表示画面を一辺がW/2の正方形とした場合、画像表示装置の横寸法、縦寸法及び奥行き寸法は、それぞれW/2、W/2及びWとなり、奥行き寸法は本実施形態の立体表示装置1のほぼ倍の大きさとなる。
このように、立体表示装置1は、引用文献2の画像表示装置と比べると、横寸法(横寸法又は縦寸法のいずれか一方)が長くなるものの、奥行き寸法をほぼ半分に短縮することができる。従って、立体表示装置1は、高さ寸法又は横幅寸法に対して余裕があり、かつ、奥行き寸法に制限がある装置(例えば後述するスロットマシン10)などに取り付ける場合に特に好適となる。
【0031】
次に、以上のような構成からなる本実施形態の立体表示装置1における三次元的立体像の表示例について、図2を参照して説明する。
図2は、本実施形態に係る立体表示装置の各画像の概略拡大図であり、(a)は第2表示面の第2画像を、(b)は第1表示面の第1画像を、(c)は第1及び第2画像が合成された観察者が認識する三次元画像を示している。
まず、図2(a)に示すように、液晶パネル2の第2表示領域22に大きなサイの絵が表示されると、この大きなサイの絵は、第2表示面211に第2画像212として描写される。
【0032】
一方、液晶パネル2の第1表示領域21に小さなサイの絵が表示されると、この小さなサイの絵が、第1ミラー51及び第2ミラー52によって反射されて、図2(b)に示すような小さなサイの絵が、第1表示面211に第1画像212として描写される。
なお、この第1画像212は、第1ミラー51及び第2ミラー52によって反射されることにより、第1表示領域21に表示された第1画像212と左右が反転した画像となる。従って、第1表示領域21に表示する第1画像212は観察者1に見せたい画像(図2(b)に示す画像)と左右を反転させた画像を表示することになる。
【0033】
そして、このような第1及び第2画像212、222が本立体表示装置1により合成され、観察者11からは、図2(c)に示すような三次元画像200として視認されることになる。
この三次元画像200は、第1表示面211に映る第1画像212と第2表示面221に映る第2画像222が合成されたものであり、第1表示面211が第2表示面221より距離ΔL(図1参照)だけ奥行き位置にあることによって、2匹のサイが手前と奥に位置する遠近感をもった画像として知覚・認識されるようになる。
【0034】
また、液晶パネル2では、静止画だけでなく動画も表示することができ、例えば、奥側のサイが観察者11に向かって走ってくるような動画を表示することもできる。この場合、奥側のサイの画像として、当初は図2(b)に示すように第1表示面211に描写し、サイが観察者11側に近づくにつれて、サイを大きく描写・表示し、ほぼ中間地点を通過した以降のサイの状態は、図2(a)に示すように第2画像222に描写することができる。
このようにすると、ほぼ中間地点を通過したサイは、観察者11に近づくにつれて大きく描写され、臨場感や迫力のある画像表示が可能となる。
このように、本実施形態の立体表示装置1によれば、静止画のみならず、動画についても、三次元的な立体映像を表示することができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態の立体表示装置1によれば、一枚の液晶パネル2に表示される第1画像及び第2画像からなる複数画像を合成して三次元的立体画像を表示することができる。
第1画像を反射して第2画像に合成表示させる反射手段は、表示手段の後方(背面側)に三角形状に配設した2枚のミラー51,52で構成することができ、一枚の液晶パネル2と2枚のミラー51,52によって、立体表示装置1を構成することができる。
2枚のミラー51,52は、三角形状に配設されることで、奥行き寸法をミラーの長辺の長さより小さくすることができ、これを一枚の液晶パネル2の背面側に配設することで、立体表示装置1の奥行き寸法を可能な限り小さいものにすることができる。
【0036】
従って、本実施形態の立体表示装置1によれば、一枚の液晶パネルと2枚のミラー部材というきわめてシンプルな構成によって合成画像を表示する立体表示装置を構成することができるので、表示装置のコストダウンを図ることができるとともに、表示装置全体は、奥行き方向の寸法を可能な限り小さくできる。
しかも、立体画像を表示する表示画面の大きさについては、特に制約を受けることがないので、任意の大きさとすることができ、表示装置を適用する遊技機等の大きさや設置スペース、表示内容等に応じて、任意の大きさの表示画面とすることができる。
これにより、設置スペース等の自由度を向上させつつ、斬新で魅力溢れる演出表示等を低コストで実現することが可能となり、特にスロットマシンやパチンコ機の演出表示装置や図柄変動表示装置等に好適な立体表示装置を提供することができる。
【0037】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る立体表示装置を備えた遊技機について図3〜図5を参照して説明する。
図3は、本発明の第二実施形態に係る立体表示装置付き遊技機の概略正面図であり、図4は、同じく概略上面図、図5は、同じく概略側面図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係る遊技機はスロットマシン10であり、このスロットマシン10に、上述した第一実施形態で示した立体表示装置1が搭載された構成となっている。
具体的には、本実施形態のスロットマシン10では、正面側上部に、ゲームの進行や遊技状態に応じて所定の演出表示を行う表示手段が備えられるようになっており、この演出表示手段として、上述した第一実施形態で示した立体表示装置1が備えられるようになっている。
また、この立体表示装置1の底面側には、液晶パネル2の第2表示領域22に投影・表示される画像を鮮明に表示・視認させるために、光源5が配設してある(第一実施形態参照)。
【0038】
スロットマシン10は、正面側上部に、立体表示装置1が設けられている。
一般に、スロットマシン10は、高さ寸法、横幅寸法及び奥行き寸法のうち、奥行き寸法が最も短くなっている。また、遊技場のスペースを有効活用する等を目的として、スロットマシンが将来的に薄型化されることもあり得るが、横幅寸法や高さ寸法については、特に小型化等の要請は少ない。
従って、スロットマシン10は、高さ寸法及び横幅寸法が奥行き寸法に比べて余裕があることになる。
【0039】
立体表示装置1は、上述した第一実施形態で示したように、例えば、表示画面(第2表示面221)を正方形とした場合、図1における表示画面の横寸法及び縦寸法は、横寸法=縦寸法=W/2となる。この場合、立体表示装置1の横寸法はWであり、縦寸法はW/2である。また、立体表示装置1の奥行き寸法Dは、ほぼW/2となる。
従って、スロットマシン10においては、余裕のある高さ方向及び横幅方向のスペースを活用して、立体表示装置1を搭載することができる。また、立体表示装置1を大型化する場合であっても、スロットマシン10は、余裕のある高さ方向及び横幅方向のスペースを利用して、大型の立体表示装置1を搭載することができる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態では、スロットマシン10においてスペース的に余裕のある高さ方向及び横幅方向の空間を有効利用して、本発明に係る立体表示装置1を表示手段として採用することができる。
スロットマシンの演出表示は、常に魅力的で新しい画像表示等が求められている。その一方で、スロットマシンの筐体寸法や内部空間の大きさは限られており、長大な表示装置等を設置するスペースはなく、また、低コスト化の要請も厳しい。
そこで、本発明に係る立体表示装置1を用いることで、小型軽量化され、かつ、魅力的で斬新な立体画像を表示可能な表示装置を低コストで実現できるスロットマシンを提供することができる。
また、このようにスロットマシン10は、高さ方向及び横幅方向の空きスペースを有効利用することで、立体表示装置1を搭載するための設計の自由度を大幅に向上させることができ、また、製造やメンテナンスする際などの作業性を向上させることもできる。
【0041】
[第三実施形態]
次に、本発明の立体表示装置の第三実施形態について、図6及び図7を参照しつつ説明する。
図6は、本発明の第三実施形態に係る立体表示装置の概略断面を示している。
同図に示すように、本実施形態の立体表示装置1aは、上述した第一実施形態の立体表示装置1の変更実施形態であり、第一実施形態における第1及び第2ミラーからなる反射手段を複数(2つ)備えることを特徴としている。その他の構成部分については、第一実施形態とほぼ同様となっている。
【0042】
具体的には、本実施形態の立体表示装置1aは、液晶パネル2aは、中央部分に一つの第2表示領域22aを備え、その第2表示領域22aの両側に、それぞれ第1表示領域21a、21bを備えている。
そして、この液晶パネル2aの背面側には、各第1表示領域21a、21bに対応して、2組の第1及び第2ミラー51a、52a及び51b、52bが、各ミラー同士が直交する、ほぼW字状に配設されている。
第1及び第2ミラー51a、52a及び51b、52bの各組に対応して、一対の第1偏光板31a、31b、一つの第2偏光板32a、一対のバックライト4a、4bが備えられている。
【0043】
本実施形態の液晶パネル2aは、第一実施形態の場合と同様に、横長の矩形状に構成され、観察者11から見て正面中央に第2表示領域22aを備えるとともに、第2表示領域22aの両側に、一対の第1表示領域21a、21bを有している。
各表示領域は、第2表示領域22aを左右方向に二等分した各部分と、各第1表示領域21a、21bが、それぞれ、同じ形状で、同じ大きさとなっている。
【0044】
各第1表示領域21a、21bは、それぞれ、第1画像212a、212bを第1表示面211a、211bに射影する。具体的には、各第1画像212a、212bは、液晶パネル2aの各第1表示領域21a、21b上に表示・射影され、それぞれ対応する第1ミラー51a、51b、及び第2ミラー52a、52bによって反射され、液晶パネル2a中央の第2表示領域22aに反射・射影される。
第2表示領域22aは、第2画像222aを第2表示面221aに表示・射影する。
従って、第1画像212a、212bが射影される第1表示面211a、211bは、観察者11から見て、第2画像222aより奥行き方向の奥に位置するように見えるようになる。
【0045】
図6に示すように、第1表示面211a、211bから第2表示面221aまでの距離をΔLaとし、第2表示面221aから観察者11までの距離をLとする。距離ΔLaは、液晶パネル2aの第1表示領域21(21a、21b)から照射された光が、第1、第2ミラー51、52(51a、52a及び51b、52b)に反射されて第2表示面221aに到達するまでの距離である。
観察者11から見ると、液晶パネル2aの第2表示領域22aに表示される画像のうち、第2画像222aは距離L、第1画像212a、212bは距離L+ΔLaの奥行きをもって見えることになる。
【0046】
以上のような構成からなる本実施形態の立体表示装置1aでは、表示画面(第2表示面221a)を正方形とした場合、図6における表示画面(第2表示面221a)の横寸法及び縦寸法は、横寸法=縦寸法=W/2となる。この場合、立体表示装置1aの横寸法がWであり、縦寸法はW/2となる。
そして、立体表示装置1aの奥行き寸法Daは、Da=W/4+(液晶パネル2a、第2偏光板32a及びバックライト4aの厚さ)であり、ほぼW/4となる。
このように、液晶パネル2aの表示領域を複数設けて、それに対応して第1、第2ミラー51、52を複数設けることで、装置の奥行き寸法を短くすることができ、本実施形態では、第一実施形態のおよそ半分の奥行き寸法を実現している。
【0047】
次に、以上のような本実施形態の立体表示装置1aで表示される三次元的立体像の表示例について、図7を参照して説明する。
図7は、本実施形態に係る立体表示装置1aで表示される各画像の概略拡大図であり、(a)は第2表示面の第2画像を、(b)は第1表示面の第1画像を、(c)は観察者が認識する三次元画像を示している。
まず、図7(a)に示すように、液晶パネル2の中央の第2表示領域22aに大きなサイの絵が表示されると、この大きなサイの絵は、第2表示面221aに第2画像222aとして描写される。
一方、図7(b)に示すように、液晶パネル2の一対の第2表示領域21a、21bに小さなサイの絵が表示される、この小さなサイの絵は、第2表示面211a、211bに、それぞれ第2画像212a、212bとして描写される。
【0048】
そして、このような第1及び第2画像212a、212b及び222aが本立体表示装置1により合成されると、観察者11からは、図7(c)に示すような三次元画像200aとして視認されることになる。
この三次元画像200は、第1表示面211a、211bに映る第1画像212a、212bと第2表示面221aに映る第2画像222aが合成されたものであり、第1表示面211a、211bが第2表示面221aより距離ΔLa(図7参照)だけ奥行き位置にあることによって、2匹のサイが手前と奥に位置する遠近感をもった画像として知覚・認識されるようになる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の立体表示装置1aによれば、立体表示装置1と比べて、奥行き寸法をさらにほぼ半分に短縮することができる。
従って、立体表示装置1aは、高さ寸法又は横幅寸法に対して余裕があり、かつ、奥行き寸法に制限がある装置(例えば、後述するスロットマシン10)などに取り付ける際に有利性を発揮することができる。
【0050】
[第四実施形態]
次に、本発明の立体表示装置の第四実施形態について、図8及び図9を参照しつつ説明する。
図8は、本発明の第四実施形態に係る立体表示装置の概略断面を示している。
同図に示すように、本実施形態の立体表示装置1bは、上述した第一実施形態の立体表示装置1の変更実施形態であり、第一実施形態における第1ミラー51を移動可能に配設したことを特徴としている。その他の構成部分については、第一実施形態とほぼ同様となっている。
【0051】
具体的には、本実施形態では、本発明に係る反射手段を構成する第1ミラー51c及び第2ミラー52を備えるとともに、第1ミラー51cを、液晶パネル2cの背面に沿って平行移動可能に構成してある。
また、液晶パネル2cは、第1ミラー51cの移動範囲に対応して、横方向の寸法Wbを第一実施形態の寸法Wより大きく形成してあり、第1ミラー51cの移動可能範囲まで第1表示領域21cを大きくしてある。対応して第1偏光板31c、バックライト4cも第1表示領域21cと同様の範囲まで大きく形成してある。
【0052】
ここで、第1ミラー51cを平行移動させる手段としては、特に図示しないが、例えば、ガイドレールやボールねじ、ステッピングモータ等によって構成することができる。
このように第1ミラー51cを移動可能とすることにより、第1ミラー51cに反射する第1画像212cを奥行き方向に移動させることができる。
すなわち、図8に示すように、第1ミラー51cによって投影される第1表示面211c(第1表示面211c〜211c´)は、観察者11から見て第2画像222より奥行きに位置して見えるようになり、かつ、第2表示面221までの奥行き方向の距離が、ΔL〜ΔLbの範囲で変動することになる。
【0053】
以下、本実施形態の立体表示装置1bで表示される三次元的立体像の表示例について、図9を参照しつつ説明する。
図9は、本実施形態にかかる立体表示装置の第二応用例の各画像の概略拡大図であり、(a)は距離ΔLbにおける第1表示面の第1画像を、(b)は距離ΔLにおける第1表示面の第1画像を、(c)は観察者が認識する三次元画像を示している。
まず、図9(a)に示すように、液晶パネル2の第1表示領域21cにサイの絵が表示されると、このサイの絵は、第1表示面211c’に第1画像212cとして描写される。
【0054】
このとき、第1ミラー51cは、図8の破線で示す位置にあり、第1表示面211c´から第2表示面221までの距離はΔLbとなる。
続いて、この状態から第1ミラー51cを、液晶パネル2cの背面に沿ってパネル中央側(図面左側)に平行移動させると、この第1ミラー51cの移動に伴って、第1表示領域21cのサイの画像が、奥行き方向から前方に向かって移動する。このときの画像は、図9(b)に示すように、第1表示面211cに第1画像212cとして描写される。
このとき、第1ミラー51cは、図8の実線で示す位置にあり、第1表示面211cから第2表示面221までの距離はΔLである。
【0055】
そして、このような第1及び第2画像212a、212b及び222aが本立体表示装置1により合成されると、観察者11からは、図7(c)に示すような三次元画像200aとして視認されることになる。
この三次元画像200は、第1表示面211c’〜211cに映る第1画像212c’〜212cと第2表示面221に映る第2画像222が合成されたものであり、第1表示面211c’〜211cが第2表示面221より距離ΔLb〜ΔL(図7参照)だけ奥行き位置が変動することによって、2匹のサイが手前と奥に位置する遠近感をもって、かつ、動的に表示される画像として知覚・認識されるようになる。
なお、第1ミラー51cの動作を上記と逆にすることで、奥側のサイが遠ざかる画像とすることができ、また、第1ミラー51cの往復移動を繰り返すことで、奥側のサイを細かく移動させることができるようになる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態の立体表示装置1bによれば、反射手段を構成する第1ミラー51cを移動可能とすることで、第1ミラー51cの移動に伴って、第1ミラー51cに反射する第1画像を奥行き方向に移動させることができるようになる。
これにより、立体的かつ動的な画像表示が可能となり、小型軽量化された立体表示装置1bにおいて、より魅力的で斬新な立体画像を表示することができる。
【0057】
[第五実施形態]
次に、本発明の立体表示装置の第五実施形態について、図10を参照して説明する。
図10は、本発明の第五実施形態に係る立体表示装置の概略断面を示している。
同図に示すように、本実施形態の立体表示装置1cは、上述した第四実施形態の立体表示装置1b(図8参照)の変更実施形態であり、第四実施形態における移動可能な第1ミラー51cを分割構成し、各分割部分が独立して移動可能としたことを特徴としている。その他の構成部分については、第四実施形態とほぼ同様となっている。
【0058】
具体的には、本実施形態の反射手段を構成する第1ミラー51dは、上述した第四実施形態に係る第1ミラー51cと同様、液晶パネル2dの背面に沿って平行移動可能に構成してある。
また、本実施形態でも、液晶パネル2dは、第1ミラー51dの移動範囲に対応して、横方向の寸法Wbを第一実施形態の寸法Wより大きく形成してあり、第1ミラー51dの移動可能範囲まで第1表示領域21dを大きくしてある。対応して第1偏光板31d、バックライト4dも第1表示領域21dと同様の範囲まで大きく形成してある。
さらに、本実施形態では、第1ミラー51dを垂直方向に3分割しており、分割構成された各ミラー(右側511、中央512、左側513)が、それぞれ独立して移動可能となっている。
なお、第1ミラー51dの平行移動手段としては、第四実施形態の場合と同様、例えば、ガイドレールやボールねじ、ステッピングモータ等によって構成することができる。
【0059】
このように第1ミラー51dを分割構成し、かつ、各分割ミラーをそれぞれ移動可能とすることにより、第四実施形態の場合と同様に、第1ミラー51dに反射する第1画像を奥行き方向に移動させることができ、さらに、各分割ミラー単位で、第1画像を奥行き方向に移動させることが可能となり、よりきめの細かい動画表示が行えるようになる。
本実施形態では、液晶パネル2cの第1表示領域21dを、第1ミラー51dの分割構成に対応させて3つの領域に分割し、それぞれ、独立した画像を表示させるようにしてある。
【0060】
具体的には、液晶パネル2dの第1表示領域21dは、3分割された各表示領域に第1画像を表示し、第1ミラー51dによって、第1画像(右側第1画像621、中央第1画像622及び左側第1画像623)を第1表示面(第1表示面221c)に表示・射影する。
ここで、第1画像は、図11(b)に示すように、縦方向に細長い三つの画像(右側第1画像621、中央第1画像622及び左側第1画像623)からなり、それぞれの画像が、液晶パネル2d上の第1表示領域21dに表示される。これら三つの画像は、それぞれ右側第1ミラー511、中央第1ミラー512及び左側第1ミラー513によって反射され、これらの反射された画像が、さらに、第2ミラー51によって反射され、第2画像221と合成される。
【0061】
このように、本実施形態では、第1ミラー51dを三つに分割し、各ミラー511、512、513をそれぞれ制御する構成とすることで、合成された一つの三次元画像200において、遠近感の異なる、あるいは、各画像が独立して移動する三次元立体画像を表示させることができる。
これにより、立体的かつきめ細かい動きの動画表示が可能となり、より魅力的で斬新な立体画像を表示することができる。
【0062】
[第六実施形態]
さらに、本発明の立体表示装置の第六実施形態について、図11を参照して説明する。
図11は、本発明の第六実施形態に係る立体表示装置の概略断面を示している。
同図に示すように、本実施形態の立体表示装置1は、上述した第一実施形態の立体表示装置1の変更実施形態であり、表示手段と反射手段の間に配設されるレンズを備えたり(図11(a)参照)、反射手段の一部又は全部を、非平面鏡により構成する(図11(b)参照)ものである。その他の構成部分については、第一実施形態と同様となっている。
【0063】
具体的には、まず、図11(a)に示す立体表示装置1は、表示手段となる液晶パネル2と反射手段となる第2ミラー52の間、すなわち、液晶パネル2の第2表示領域22の背面側に、レンズ6を配設してある。
レンズ6は、例えば1又は2以上の凹レンズや凸レンズからなり、第1ミラー51と第2ミラー52で反射された第1画像を拡大、縮小等できるレンズによって構成される。図11(a)には、一枚の凸レンズからなるレンズ6の例を示している。
このような構成とすることにより、第2の画像に合成される第1の画像を、凹レンズや凸レンズの作用により、拡大、縮小、変形、反転等させることができ、従来にはない斬新で魅力的な立体画像を生成することが可能となる。
【0064】
また、図11(b)に示す立体表示装置1は、反射手段となる第1ミラー51と第2ミラー52を、非平面鏡により構成してある。
第1及び第2ミラー51、52を構成する非平面鏡は、例えば凹面鏡や凸面鏡からなり、第1ミラー51と第2ミラー52のうち、一部又は全部を非平面鏡で構成するようにする。図11(b)には、第1及び第2ミラー51、52の双方を凹面鏡で構成した例を示している。
このような構成とすることにより、図11(a)で示したレンズ6を備える場合と同様、第2の画像に合成される第1の画像を、凹面鏡や凸面鏡の作用により、拡大、縮小、変形、反転等させることができ、従来にはない斬新で魅力的な立体画像を生成することが可能となる。
なお、図11(a)で示すレンズ6を備えた構成と、図11(b)で示す凹面鏡や凸面鏡からなる第1及び第2ミラー51、52を組み合わせることも可能である。
【0065】
以上、本発明の立体表示装置及びこの立体表示装置を備えた遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る立体表示装置は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、本発明の立体表示装置がスロットマシンの演出表示装置に使用される場合を例にとって説明したが、本発明の立体表示装置は、演出表示装置のみに限定されるものではなく、例えば、スロットマシンのリール(回胴)やパチンコ機における変動図柄を表示する表示装置としても使用することができる。
【0066】
図12及び図13に、本発明の立体表示装置において、スロットマシンのリール図柄を変動表示させる場合の一例を示す。
図12に示すように、上述した液晶パネル2の第2表示領域22には、スロットマシンの3つのリールの上中下段の3個の図柄のうち、中段の図柄のみを示す第2画像222を表示させる(図12(a)参照)。
一方、液晶パネル2の第1表示領域21には、上段と下段の図柄を示す第1画像を表示させる(図12(b)参照)。
これら第1及び第2画像を、本発明の立体表示装置1によって合成表示すると、図13に示すようなスロットマシンのリール図柄を表示させることができる。
【0067】
そして、第1及び第2画像を、それぞれ変動・停止させることで、回転して変動するリール図柄を再現表示することができる。
このとき、第2表示領域22の第2画像として表示されるリール中段の図柄は、第1表示領域21の第1画像として表示されるリール上段・下段の図柄よりも、奥行き方向の手前側により大きく表示されるので、中段の図柄が観察者にとってより見えやすくなり、従来には存在しない斬新な図柄変動表示を提供できるとともに、中段の図柄について狙い打ち(目押し)がし易くなるという効果もある。
【0068】
また、上述した実施形態では、本発明の立体表示装置が備えられる遊技機として、スロットマシンを例にとって説明したが、本発明が適用可能な遊技機としては、特にスロットマシンに限定されるものではなく、演出表示装置や図柄変動表示装置等を備えた遊技機であれば、遊技機の種類や設置態様,設置数等は特に限定されず、どのような遊技機に対しても適用することができる。
一般に、この種の遊技機としては、スロットマシンやパチンコ機の他、例えば、アレンジボール機,雀球機等、玉やコイン等の遊技媒体を使用して遊技を行う各種の遊技機があり、これらの遊技機がどのような態様等で使用・設置される場合であっても、本発明の立体表示装置の適用対象とすることができる。
【0069】
また、スロットマシンやパチンコ機等の遊技機に限られず、例えば、ゲームセンター等に設置される種々のゲーム機にも広く適用することが可能である。
また、上記実施形態では、本発明に係る反射手段として、全反射鏡からなるミラーを用いる構成としてあるが、本発明の反射手段としては全反射鏡に限定されるものではない。例えば、上述した第1ミラー及び第2ミラーの全部又は一部を、表示画像を反射及び透過可能なハーフミラーにより構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、ゲームの進行等に応じて変動する画像・映像を表示する演出表示装置や図柄変動表示装置等を備えるスロットマシンやパチンコ機等の遊技機の表示装置に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第一実施形態に係る立体表示装置の概略断面を示している。
【図2】本発明の第一実施形態に係る立体表示装置で表示される各画像の概略拡大図であり、(a)は第1表示面の第1画像を、(b)は第2表示面の第2画像を、(c)は第1及び第2画像を合成して表示される観察者が認識する三次元画像を示している。
【図3】本発明の第二実施形態に係る立体表示装置を備えた遊技機の概略正面図を示している。
【図4】本発明の第二実施形態に係る立体表示装置を備えた遊技機の概略上面図を示している。
【図5】本発明の第二実施形態に係る立体表示装置を備えた遊技機の概略側面図を示している。
【図6】本発明の第三実施形態に係る立体表示装置の概略断面を示している。
【図7】本発明の第三実施形態に係る立体表示装置の各画像の概略拡大図であり、(a)は第1表示面の第1画像を、(b)は第2表示面の第2画像を、(c)は第1及び第2画像を合成して表示される観察者が認識する三次元画像を示している。
【図8】本発明の第四施形態に係る立体表示装置の概略断面を示している。
【図9】本発明の第四実施形態に係る立体表示装置で表示される各画像の概略拡大図であり、(a)は距離ΔLbにおける第2表示面の第2画像を、(b)は距離ΔLにおける第2表示面の第2画像を、(c)は第1及び第2画像を合成して表示される観察者が認識する三次元画像を示している。
【図10】本発明の第五実施形態に係る立体表示装置の概略断面を示している。
【図11】本発明の第六実施形態に係る立体表示装置の概略断面であり、(a)は表示手段と反射手段の間にレンズを配設した場合を、(b)は第1及び第2ミラーを非平面鏡により構成した場合を示している。
【図12】本発明の他の応用例を表示される各画像の概略拡大図であり、(a)は第2表示面の第2画像を、(b)は第1表示面の第1画像を示している。
【図13】図12に示す第1及び第2画像を合成して表示される観察者が認識する三次元画像を示している。
【符号の説明】
【0072】
1 立体表示装置
2 液晶パネル
4 バックライト
21 第1表示領域
22 第2表示領域
31 第1偏光板
32 第2偏光板
51 第1ミラー
52 第2ミラー
200 三次元画像
211 第1表示面
212 第1画像
221 第2表示面
222 第2画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像を表示する第1表示領域と、第2の画像を表示する前記第1表示領域と異なる第2表示領域を有する表示手段と、
前記第1の画像を、前記表示手段の一面側に透過させる第1偏光板と、
前記第2の画像を、前記表示手段の他面側に透過させる第2偏光板と、
前記第1の画像を、前記第2表示領域の一面側に反射させる反射手段と、を備え、
前記第2表示領域に表示される第2の画像と、前記第2表示領域に反射された第1の画像が、前記第2偏光板を介して、当該第2表示領域の他面側から視認可能な単一画像として表示されることを特徴とする立体表示装置。
【請求項2】
前記反射手段が、
前記第1の画像を、所定方向に反射させる第1ミラーと、
前記第1ミラーで反射された第1の画像を、前記第2表示領域の一面側に反射させる第2ミラーと、を備える請求項1記載の立体表示装置。
【請求項3】
前記反射手段の第1ミラーと第2ミラーが、対向する反射面が直交するように配設された請求項2記載の立体表示装置。
【請求項4】
前記反射手段の第1ミラーが移動可能に配設された請求項2又は3記載の立体表示装置。
【請求項5】
前記第1ミラーが複数に分割され、分割された少なくとも一のミラーが移動可能に配設される請求項2乃至4のいずれか一項記載の立体表示装置。
【請求項6】
前記反射手段が、複数配設された請求項1乃至5のいずれか一項記載の立体表示装置。
【請求項7】
前記表示手段と前記反射手段の間に配設されるレンズを備えた請求項1乃至6のいずれか一項記載の立体表示装置。
【請求項8】
前記反射手段の一部又は全部が、非平面鏡からなる請求項1乃至7のいずれか一項記載の立体表示装置。
【請求項9】
前記表示手段が液晶パネルからなる請求項1乃至8のいずれか一項記載の立体表示装置。
【請求項10】
複数の図柄が変動し、変動した図柄が停止したときの各図柄の配列に応じて所定の遊技媒体が払い出される遊技機であって、
遊技状態に応じて変動する所定の演出画像を表示する演出表示装置を備え、
前記演出表示装置が、請求項1乃至9記載の立体表示装置からなることを特徴とする遊技機。
【請求項11】
複数の図柄が変動し、変動した図柄が停止したときの各図柄の配列に応じて所定の遊技媒体が払い出される遊技機であって、
前記複数の図柄を変動表示する図柄変動表示装置を備え、
前記図柄変動表示装置が、請求項1乃至9記載の立体表示装置からなることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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