説明

立体障害N−ヒドロカルビルオキシアミンを製造するための過酸化水素触媒法

過酸化物または過酸化水素同等物、触媒量の過酸化物分解遷移金属塩、金属酸化物または金属−配位子錯体、活性化水素原子を含まない炭化水素溶剤、および不活性共溶剤を使用する方法によって、立体障害N−ヒドロカルビルオキシアミン(I)を、ヒンダードアミンN−オキシル化合物(II)から製造する。これらの化合物は、様々な有機基質の、熱および光安定剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酸化水素または過酸化水素同等物、触媒量の過酸化物分解遷移金属塩、金属酸化物または金属−配位子錯体、活性化水素原子を含まない炭化水素溶剤、及び不活性補助溶剤を使用する、立体障害N−ヒドロカルビルオキシアミンを製造する方法に関する。これらの化合物は、種々の有機物質の熱及び光安定剤として有用である。
【0002】
発明の背景
米国特許第4,921,962号は、ヒンダードアミンまたはN−オキシル置換ヒンダードアミンを、過酸化水素および金属カルボニル、金属酸化物または金属アルコキシド触媒の存在下で、炭化水素溶剤と反応させる、立体障害アミンのN−ヒドロカルビルオキシ誘導体を形成させる方法を請求している。
【0003】
米国特許第5,374,729号は、ヒンダードアミンN−オキシル化合物を、ジメチルスルホキシドの存在下で水性過酸化水素と過酸化物分解遷移金属塩との組合によって生成されるメチルラジカルと反応させる、立体障害アミンのN−メトキシ誘導体の製造方法を記載している。
【0004】
D.H.Barton, et al.は、Tetrahedron, 1996, 52, 10301-12において、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TEMPO)の存在下で、非活性化炭化水素を、鉄(II)塩および鉄(III)塩または金属−配位子錯体、過酸化水素、ならびにピリジン/酢酸またはピリジン/ピコリン酸と反応させることによって得られるN−アルコキシ置換立体障害アミン誘導体の形成を記載している。
【0005】
米国特許第6,166,212号は、アルコール溶媒中で、N−オキシル化合物を、過酸化物または有機ヒドロペルオキシドおよび触媒量の金属塩または金属−配位子錯体と反応させて、N−ヒドロキシアルコキシ置換ヒンダードアミン安定剤分子を合成する方法を請求している。
【0006】
米国特許第6,211,378号は、過酸化水素を用いて、ヒンダードアミンをN−オキシル化合物に酸化し、アリル水素、ベンジル水素または活性化メチン水素を有する化合物1当量と反応させる、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの4−官能化立体障害N−ヒドロカルビルオキシアミン誘導体の、環境を配慮する製造方法を教示している。
【0007】
米国特許第5,629,426号、同第5,654,434号、および同第5,777,126号は、水性過酸化水素を用いて、ヒンダードアミンからN−オキシル立体障害アミンを形成させる方法を開示している。
【0008】
2,2,6,6−テトラメチルピペリジンのN−ヒドロカルビルオキシ誘導体は、以下の:a)米国特許第4,831,134号に教示されるとおり、N−オキシルヒンダードアミンを接触水素化してヒドロキシルアミンを形成させ、その後、米国特許第5,204,473号に教示されるとおり、水素化ナトリウムおよびハロゲン化アルキルのような強塩基を用いてヒドロキシルアミンをアルキル化すること;b)米国特許第5,021,577号に教示されるとおり、クロロベンゼンのような不活性溶媒中で、N−オキシルヒンダードアミン2当量を水素化トリブリルチンおよびヨード置換またはブロモ置換炭化水素と反応させること;c)米国特許第5,204,473号に開示されるとおり、ジ−tert−ブチルペルオキシドのような有機ペルオキシド、N−オキシル化合物および炭化水素の溶液を抽出性水素原子(abstractable hydrogen atoms)と一緒に加熱すること;d)米国特許第4,921,962号に教示されるとおり、N−オキシルヒンダードアミン、有機ヒドロペルオキシド、触媒量のモリブデン触媒及び炭化水素溶剤の混合物を抽出性水素原子と一緒に加熱すること;e)Barton, et al.によってTetrahedron, 1996, 52, 10301-12に開示されたとおり、N−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TEMPO)の存在下で、過塩素酸鉄(II)または塩化鉄(III)、過酸化水素、酢酸またはピコリン酸、アダマンタンまたはシクロヘキサン、及び過剰のピリジン溶媒の混合物を反応させることを含む、様々な方法で製造され得る。
【0009】
本発明は、炭化水素および共溶剤の存在下で、N−オキシルヒンダードアミンの混合物を、過酸化水素および触媒量の金属塩、金属酸化物または金属−配位子錯体、ならびに必要に応じて鉱酸または有機酸と反応させることによって、N−ヒドロカルビルオキシ立体障害アミン誘導体を形成させることを含む。
【0010】
本発明の方法は、ハロゲン化アルキル、水素化ナトリウム、または水素化トリブチルチンのような特別の試薬を必要としない。本発明の方法は、より高価な第三級アルキルヒドロペルオキシドの代わりに過酸化水素を用いるという利点を提供する。その上、t−ブチルヒドロペルオキシドからt−ブチルアルコールが生成するように、第三級アルキルヒドロペルオキシドはアルコール副生成物を生成するが、過酸化水素からの副生成物は水である。これらのアルコールは、所望の反応生成物から分離して、廃棄しなければならない。シクロヘキサンおよびヘプタンのような約100℃前後かそれ未満で沸騰する溶媒から製造される生成物は、所望の100〜150℃の反応温度を得るために圧力容器内で反応を実行することによって最も効果的に生成される。本発明の方法は、より低温で沸騰する炭化水素溶剤であるため、圧力容器を必要としない。例えば、シクロヘキサンとの反応は、60℃で効果的に実行できる。本発明の方法におけるより低い反応温度の利用は、少ないエネルギーを要し、、圧力容器の使用に特に関連する安全性の問題を排除する。
【0011】
本発明の方法は、ピリジンのような毒性溶媒を実質的な量で使用する必要がない。ピリジンは、毒性に加え、比較的高い沸点115℃のために、反応混合物から除去することが困難である。Barton, et al.は、濃硫酸および氷を含む酸での仕上げによって、ピリジンを除去している。本発明の方法は、共溶剤としてのメタノール(沸点65℃)またはアセトニトリル(沸点81℃)と共に、N−ヒドロカルビルオキシ生成物を優れた収率で得る。これらの物質は、溶剤ストリップ(solvent strip)または簡単な蒸留によって容易に除去され、水溶性があるとの利点を有している。
【0012】
本発明の方法は、アスコルビン酸または亜鉛のような添加剤の添加を要しない。
【0013】
本発明は、主としてN−オキシル前駆体からのN−ヒドロカルビルオキシアミンの形成に関係するが、ヒンダードアミンを中間体N−オキシル化合物に酸化する2段階法も教示する。N−オキシル化合物は、N−ヒドロカルビルオキシアミンに変換する前に単離されない。過酸化水素は安価で、そのような酸化に十分な試薬である。
【0014】
米国特許第5,629,426号、同第5,654,434号、および同第5,777,126号は、水性過酸化水素、金属不活性化剤(passivator)、炭酸もしくは重炭酸アンモニウムまたはアルカリ、および溶媒としての水を用いて、ヒンダードアミンからN−オキシル立体障害アミンを形成させる方法を開示している。
【0015】
過酸化水素およびタングステン酸ナトリウムを用いてヒンダードアミンをN−オキシル化合物に酸化するための発表された方法は、Yoshioka et al.,によりBull. Chem. Soc. Japan, 1972, 45, 636-638に、およびRauckman et al.,によりSynthetic Commucations, 1975, 5, 409-413に記載されている。
【0016】
米国特許第4,961,962号は、有機ヒドロペルオキシドを用いて、中間体N−オキシル化合物を単離せずに、ヒンダードアミンをN−ヒドロカルビルオキシ誘導体に変換することを教示している。
【0017】
本発明は、立体障害N−ヒドロカルビルオキシアミンの改善される製造方法を提供する。
【0018】
詳細な開示
本発明は、式I:
【0019】
【化9】

【0020】
で示される立体障害N−ヒドロカルビルオキシアミンを製造する方法であって、
過酸化水素または過酸化水素同等物、触媒量の過酸化物分解遷移金属塩、金属酸化物または金属−配位子錯体、及び不活性共溶剤の存在下で、式II:
【0021】
【化10】

【0022】
で示される立体障害ニトロキシル化合物を、活性化水素原子を含まない炭化水素と反応させること
(式中、
1およびG2は、独立して、炭素原子1〜4個のアルキルであるか、または、一緒になってペンタメチレンであり、
1およびZ2は、それぞれ、メチルであるか、または、Z1およびZ2は、一緒になって、エステル、エーテル、アミド、アミノ、カルボキシもしくはウレタン基によって更に置換されていてもよい結合部分を形成しており、
Eは、C5〜C18アルキル、C5〜C12シクロアルキル、またはC7〜C12ビシクロアルキルであるか、あるいはEは、C10〜C20アラルキルまたはアルキルもしくはアリールによって置換されているアラルキルであり、ただし、炭化水素において、芳香族環に結合している炭素原子は、いずれも水素によって置換されていない)
を含む方法に関する。
【0023】
基Eは、炭化水素から誘導され、ヒドロカルビルオキシ基を形成している。Z1およびZ2が、一緒になって、先に記載した結合部分を形成している場合、Z1およびZ2によって形成される部分が、本質的に反応条件に不活性でなければならないことを除き、結合部分の構造は、本発明の方法にとって重要でない。Z1およびZ2が一緒になって形成する結合部分の構造は、式(I)で示される化合物が、本発明の実施例4のジエステルのようなN−ヒドロカルビルオキシ基を1個以上有するようになり得る。Z1およびZ2の選択は、通常、N−ヒドロカルビルオキシ反応生成物の意図される使用により、左右される。
【0024】
例えば、本発明は、式Ia:
【0025】
【化11】

【0026】
で示される立体障害N−ヒドロカルビルオキシアミンを製造する方法であって、
過酸化水素または過酸化水素同等物、触媒量の過酸化物分解遷移金属塩、金属酸化物または金属−配位子錯体、及び不活性共溶剤の存在下で、式IIa:
【0027】
【化12】

【0028】
で示される立体障害ニトロキシル化合物を、活性化水素原子を含まない炭化水素と反応させること
〔式中、
1〜G4は、それぞれ、C1〜C4アルキルであるか、またはG1およびG2は、一緒になって、ペンタメチレンであるか、またはG1−G2は、一緒になって、そしてG3−G4は、一緒になって、それぞれ、ペンタメチレンであり、
Tは、ヒンダードアミン窒素及びG1〜G4によって置換される第四級炭素原子2個を含む、5、6または7員環を完成するのに必要な2価有機ラジカルである(ここで、Tによって形成される、5、6、または7員環は、酸素、ラクトン:−C(=O)−O−、ラクタム:−NR1−C(=O)−を含んでいてもよく、ここで、R1は、水素もしくはC1〜C8アルキルであるか、または、6員環の場合には、基:−C(=O)−NR1−C(=O)−であると理解される)か、または、
Tは、Xによって置換される炭素原子2〜4個のアルキレンであり、
Xは、水素、ヒドロキシル、オキソ、−NH−CO−R2、−O−CO−R2、または−NH−CO−NH−R2(式中、R2は、炭素原子1〜18個のアルキルである)であり、
Eは、C5〜C18アルキル、C5〜C12シクロアルキル、またはC7〜C12ビシクロアルキルであり、またはEは、C10〜C20アラルキル、またはアルキルもしくはアリールによって置換されたアラルキルであってもよく、ただし、炭化水素において、芳香族環に結合している炭素原子は、いずれも水素によって置換されていない〕
を含む方法に関する。
【0029】
基Eは、炭化水素から誘導され、ヒドロカルビルオキシ基を形成している。
【0030】
例えば、本発明は、式(Ib):
【0031】
【化13】

【0032】
で示される化合物の製造を含み、その方法は、
過酸化水素または過酸化水素同等物、触媒量の過酸化物分解遷移金属、金属塩、金属酸化物または金属−配位子錯体、及び不活性共溶剤との存在下で、式IIb:
【0033】
【化14】

【0034】
示される立体障害ニトロキシル化合物を、活性化水素原子を含まない炭化水素と反応させること
(式中、
1〜G4およびXは、先に記載する意味を有し、ただし、炭化水素において、芳香族環に結合している炭素原子は、いずれも水素によって置換されていない)
を含む。
【0035】
例えば、本発明は、式(Ic):
【0036】
【化15】

【0037】
で示される化合物の製造を含み、その方法は、
過酸化水素または過酸化水素同等物、触媒量の過酸化物分解遷移金属、金属塩、金属酸化物または金属−配位子錯体、及び不活性共溶剤の存在下で、式IIc:
【0038】
【化16】

【0039】
で示される立体障害ニトロキシル化合物を、活性化水素原子を含まない炭化水素と反応させること
〔式中、
Eは、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、またはシクロヘキシルであり、
Xは、水素、ヒドロキシル、オキソ、−O−CO−R2(式中、R2は、炭素原子1〜8個である)である〕を含む。
【0040】
用語「アルキル」は、炭素原子数の所定の限定内において、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−エチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルペンチル、1,3−ジメチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、n−ヘプチル、2−メチルヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、1,1,3−トリメチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、1−メチルウンデシルまたはドデシルを含んでいてもよい。
【0041】
用語「アリール」は、例えば、フェニルまたはナフチルを含む。
【0042】
用語「ビシクロアルキル」は、例えば、ノルボルニルまたはデカヒドロナフチルを含む。
【0043】
本発明の方法の、活性化水素原子を含まない炭化水素の例は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、2,2,4−トリメチルペンタン(イソオクタン)、オクタデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロドデカン、メチルシクロヘキサン、ノルボルナン、デカヒドロナフタレン(デカリン)、ジシクロヘキシル、tert−ブチルベンゼン、1,4−ジ−tert−ブチルベンゼン、4,4'−ジ−tert−ブチルビフェニル、および2,2−ジフェニルプロパンである。炭化水素は反応体であるが、典型的には、過剰の炭化水素は本発明での溶媒として用いられる。その上、過剰の炭化水素の使用は、1以上のN−オキシル部分が、同じ溶媒分子に結合して、より高分子量物質を形成する可能性が低下させる。これらの高分子量化合物は、活性ポリマー安定剤分子になると予測されるが、そのような化合物は、式(I)で示される化合物とは異なる物理的性質を有している可能性がある。本発明の方法で用いられる炭化水素が、非当量の(non-equivalent)水素原子を有している場合、N−ヒドロカルビルオキシ生成物の混合物が得られ得る。例えば、シクロヘキサンは1種の生成物のみを付与し得るが、ヘキサンは最大3種の異なる生成物を付与し得る。
【0044】
本発明の炭化水素は、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタンまたはシクロヘキサンである。
【0045】
本発明の方法の炭化水素の量は、例えば、N−オキシル部分1モルあたり炭化水素1〜15モルである。例えば、N−オキシル部分1モルあたり炭化水素2〜10モルの量が効果的である。例えば、炭化水素の量は、N−オキシル部分1モルあたり5〜10モルである。
【0046】
過酸化水素または過酸化水素同等物の量は、例えば、N−オキシル部分1モルあたり1〜10モルである。例えば、過酸化水素または過酸化水素同等物の量は、N−オキシル部分1モルあたり過酸化水素2〜5モルである。
【0047】
過酸化水素または過酸化水素同等物は、例えば、15〜50重量%濃度の水溶液で用いられる。これは、反応に使われる過酸化水素または過酸化水素同等物の濃度である。例えば、濃度は、30〜50重量%過酸化水素または過酸化水素同等物である。例えば、過酸化水素または過酸化水素同等物の濃度は、40〜50重量%、特に、45〜50重量%水溶液である。
【0048】
例えば、対応するヒンダードアミンを、E.G. Rozantsev and V. D. SholleによるSynthesis, 1971, 190-202に記載されるとおり、過酸化水素およびタングステン酸ナトリウムと反応させること、米国特許第5,629,426号および同第5,777,126号に教示されるとおり、過酸化水素および炭酸もしくは重炭酸、アンモニウムまたはアルカリ触媒と反応させること、米国特許第5,654,434号に教示されるとおり、いずれの触媒も用いずに、過酸化水素と反応させること、または米国特許第4,691,015号に教示されるとおり、t−ブチルヒドロペルオキシドおよびモリブデン触媒と反応させることにより、式(II)で示されるN−オキシルヒンダードアミンが製造され得る。これらの米国特許に関連の開示は、本明細書に参照として組み入れられる。
【0049】
例えば本発明の方法は、式(II)で示されるN−オキシル化合物を、アリル水素またはベンジル水素原子を含まない炭化水素1〜40モル、炭化水素1部あたり不活性補助溶剤0.1〜10部、過酸化水素または過酸化水素同等物1〜10モル、および遷移金属塩、金属酸化物または金属−配位子錯体0.0005〜0.1モルの混合物と反応させることを含む(量は全て、N−オキシル部分1モルあたりの計算)。
【0050】
本発明の方法は、例えば0〜100℃の温度で実施される。例えば、該方法は、20〜100℃、または50〜100℃の温度で実施される。
【0051】
Tが、−CH2CH(OH)CH2−または−CH2C(=O)CH2−である場合、式(I)で示される化合物は、エステル交換および還元的アミノ化を含む周知の化学反応を用いて、より複雑な高分子量N−ヒドロカルビルオキシヒンダードアミンに容易に作り上げられ得る簡単な構成ブロックである。
【0052】
共溶剤は、例えば、メタノールまたはアセトニトリル、特に、アセトニトリルである。
【0053】
共溶剤は、炭化水素および過酸化水素の混和性を改善し、、反応媒体中に、例えば、15〜50重量%水溶液として用いられる。理想的な共溶剤は、本発明の方法の反応条件に不活性である。共溶剤が完全に不活性でない場合、得られる副生成物は、所望の生成物から容易に除去されなければならず、または、それらが除去されない場合、そのような副生成物は、その最終用途における生成物の性能に悪影響を及ぼしてはならない。共溶剤も、水洗、簡単な蒸留または溶剤ストリップなどによって、反応混合物から比較的容易に除去されなければならない。本発明の方法の効果的な共溶剤は、メタノールである。反応媒体中の金属の溶解度を改善するために、少量の水が反応混合物に添加されてもよい。水は、本発明における共溶剤と考えられない。
【0054】
用語「不活性」は、反応条件下で、N−オキシル化合物と反応して、N−オキシル化合物の5〜10モル%以下程度が共溶剤との反応生成物を形成する共溶剤と定義される。
【0055】
用いられる共溶剤の量は、例えば、炭化水素の1容積部に基づいて、0.5〜2容積部である。
【0056】
本発明の方法は、過酸化物に基づく化学量論的量よりも少ない遷移金属(これは、過酸化水素と反応する)を使用する。効果的金属は、バナジウム(II)、バナジウム(III)、スズ(IV)、銅(I)、銅(II)、チタン(III)、チタン(IV)、マンガン(II)、マンガン(III)、鉄(II)、鉄(III)、セリウム(III)、コバルト(II)、およびルテニウム(III)を含む。金属は、塩の形態で反応に導入してもよい。遷移金属塩は、対イオンと上記金属との塩と定義され、その対イオンは、例えば、塩素イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、ピバラート(トリメチルアセタート)イオン、アセチルアセトナート(acac)イオン、クエン酸イオン、シュウ酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、四フッ化ホウ酸イオン、エチレンジアンモニウムスル硫酸イオン、六フッ化リン酸イオン、シアニドイオン、オキシドイオン、またはヒドロキシドイオンである。
【0057】
金属塩または酸化物は、例えば、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、鉄(III)アセチルアセトナート、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、酢酸鉄(II)、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、酸化鉄(II,III)、クエン酸鉄(III)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、過塩素酸鉄(II)、過塩素酸鉄(III)、トリフルオロ酢酸鉄(II)、四フッ化ホウ酸鉄(II)、硫酸鉄(II)エチレンジアンモニウム、p−トルエンスルホン酸鉄(III)、六フッ化リン酸フェロセニウム、四フッ化ホウ酸フェロセニウム、塩化銅(I)、塩化銅(II)、酸化銅(I)、酸化銅(II)、硫酸銅(II)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、またはトリフルオロ酢酸銅(II)である。例えば、金属塩は、塩化銅(I)、塩化銅(II)、硫酸銅(II)、塩化鉄(II)、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、酸化鉄(II,III)、酸化銅(I)、または酸化銅(II)である。
【0058】
金属は、鉄粉、銅粉、ナノサイズ活性化鉄粉、またはナノサイズ活性化銅粉のような微粒子状態で反応混合物に導入されてもよい。
【0059】
金属は、配位子、例えば、2,2'−ジピリジル、エチレンジアミン四酢酸もしくはその二ナトリウム塩、トリフェニルホスフィンオキシド、シクロペンタジエン、アセチルアセトンの陰イオン、またはサリチルアルデヒドもしくはアルキル置換サリチルアルデヒドと1,2−ジアミンとの反応生成物などと錯体化されてもよい。本発明の方法の金属−配位子錯体用に用いられる効果的金属の例は、バナジウム(II)、バナジウム(III)、スズ(IV)、銅(I)、銅(II)、チタン(III)、チタン(IV)、マンガン(II)、マンガン(III)、鉄(II)、鉄(III)、セリウム(III)、コバルト(II)、およびルテニウム(III)、特に、鉄(II)および鉄(III)を含む。金属配位子錯体は、商業的に購入するか、または、金属塩を配位子と混合することによってインシトゥー(in situ)で形成させてもよい。配位子の量は、その酸化状態に基づいて、金属を完全に錯化させるのに必要な量より少なくてもよい。金属塩または金属−配位子錯体は、、シリカゲルのような固体担体に結合させ、触媒を再生させ、再使用させることができる。より具体的には、上記金属用の配位子は、2,2'−ジピリジル、2,2’:6,2''−テルピリジン、2,3−ビス(2−ピリジル)ピラジン、1,10−フェナントロリン、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、トリフェニルホスフィンオキシド、ピリジン、ピコリン酸、2−ピラジンカルボン酸、アニリンまたは置換アニリンと2,3−ブタンジオンのような1,2−ジケトンとの反応から形成されるジイミン、N,N'−ビス(サリチリデン)エチレンジアミンまたはN,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミンのようなジイミン(1,2−ジアミンとサリチルアルデヒドまたはアルキルもしくはジアルキル置換サリチルアルデヒドとの反応から形成される)、および、鉄の場合には、シクロペンタジエン(フェロセニウム塩)を含む。2,2'−ジピリジルが、効果的な金属配位子である。
【0060】
金属は、金属−配位子錯体の形態、例えば、フェロセニウム〔ジシクロペンタジエニル鉄(I)〕、または、鉄(II)、鉄(III)、銅(I)もしくは銅(II)塩および2,2'−ジピリジル、トリフェニルホスフィンオキシド、エチレンジアミン四酢酸、もしくはエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩から生成されるそれらの金属−配位子錯体の形態であってもよい。金属−配位子錯体は、例えば、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(II)または硫酸鉄(III)および2,2'−ジピリジルから生成されるものである。
【0061】
金属塩、金属酸化物、または金属−配位子錯体の量は、例えば、N−オキシル部分1モルあたり0.001〜0.1モルである。例えば、金属塩、金属酸化物、または金属−配位子錯体の量は、N−オキシル部分1モルあたり0.002〜0.05モルである。
【0062】
本発明の方法は、場合により酸を含んでいてもよい。無機酸またはカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸もしくはホスフィン酸は、多くの場合、N−オキシル部分1モルあたり最大1モルの酸に相当する量で反応混合物に添加される。酸の添加は、反応媒体中の金属触媒の溶解度および効率を改善し得る。酸は、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、四フッ化ホウ酸、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ホウ酸、クエン酸、またはメタンスルホン酸、特に、塩酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、四フッ化ホウ酸、酢酸、ホウ酸、クエン酸、またはメタンスルホン酸である。酸が本発明の方法において用いられる場合、酸の量は、例えば、N−オキシル部分1モルあたり0.005〜1モル、例えば、N−オキシル部分1モルあたり0.02〜0.25モルである。特定の例において、反応混合物に酸を添加せずに、N−ヒドロカルビルオキシ生成物の優れた収率を得ることが可能である。
【0063】
最大5モル%の第四級アンモニウム塩、例えば、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、またはテトラブチルアンモニウムクロリドを、反応混合物に添加してもよい。第四級アンモニウム塩の使用は、共溶剤の使用を除外しない。
【0064】
本発明の方法は、空気の存在下、または窒素もしくはアルゴンのような不活性雰囲気中で実行され得る。
【0065】
尿素過酸化水素のような過酸化水素同等物が、本発明の方法において使用され得る。
【0066】
本発明の方法において、過酸化水素の水性溶液は、反応に望ましい温度にした、N−オキシル化合物、金属塩、金属酸化物または金属−配位子錯体、用いられるなら酸、炭化水素、および共溶剤の混合物に緩やかに添加される。過酸化物の添加速度を制御することによって、そして/または加熱浴もしくは冷却浴を用いることによって、適切な温度が維持される。過酸化物が添加される後、原料のN−オキシル化合物が存在しなくなるまで、または生成物に変換されなくなるまで、反応混合物が撹拌される。反応は、最良には、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、または液体クロマトグラフィーによってモニタリングされる。反応の進行中に、金属塩または金属配位子錯体の更なる分が添加され得る。最初の過酸化物を反応混合物に充填した後、更なる過酸化物を滴下して、反応を完了させることができる。
【0067】
本発明の方法の変形形態は、過酸化物およびN−オキシル化合物の別個の溶液を、炭化水素、共溶剤、用いられるなら酸、金属塩、金属酸化物または金属−配位子錯体の混合物に同時に添加することである。N−オキシル化合物は、水、炭化水素溶剤、または反応に用いられる共溶剤に溶解され得る。N−オキシル化合物の一部は、過酸化物の添加を開始する前に、反応混合物に導入され得、過酸化物の添加が完了する前に、N−オキシル化合物の全てが添加されるべきである。
【0068】
本発明の方法の別の変形形態は、過酸化物および金属塩、金属酸化物または金属−配位子錯体の別個の溶液を、N−オキシル化合物、炭化水素、共溶剤、および用いられるなら酸の混合物に同時に添加することである。金属は、水、水プラス酸、または炭化水素および/または共溶剤に溶解され得る。金属溶液の一部は、過酸化物の添加を開始する前に、反応混合物に導入され得る。
【0069】
本発明の方法の別の変形形態は、過酸化物、N−オキシル化合物、金属塩、金属酸化物または金属−配位子錯体の別個の溶液を、炭化水素、共溶剤、および用いられるなら酸の混合物に同時に添加することである。N−オキシル化合物および/または金属の一部は、過酸化物の添加を開始する前に、反応混合物に導入され得、過酸化物の添加が完了する前に、N−オキシル化合物の全てが添加されるべきである。
【0070】
酸は、反応の開始時に一度に添加されてもよく、または、酸の一部を反応の開始時に添加し、反応を進行させながら、残りを添加されてもよい。酸の一部または全ては、反応混合物に添加する前に、金属と混合され得る。
【0071】
金属−配位子錯体をインシトゥで製造する場合、金属塩と配位子は、N−オキシル化合物と接触させる前に、最も効果的に混合される。
【0072】
本発明の簡便な修飾は、N−オキシル化合物(II)の前駆体である、式(III)で示されるヒンダードアミンを用いて開始することである。過酸化水素を用いて、アミンを対応するN−オキシル化合物に酸化する。続いて、N−オキシル化合物を単離せずに、既に記載する方法を用いて、式(I)で示される生成物に変換する。
【0073】
【化17】

【0074】
例えば、ヒンダードアミン部分1モルあたり30〜50%水性過酸化水素または過酸化水素同等物1.5〜3モルを、50〜80℃の温度で、ヒンダードアミン、炭酸もしくは重炭酸、アンモニウムまたはアルカリ金属塩0.005〜0.05モル(0.5〜5モル%)、およびメタノールまたはアセトニトリルの混合物に添加する。少量の水は、、金属触媒の溶解を助けるために、用いられる。式(III)で示されるヒンダードアミンが、反応媒体に十分溶解しない場合、N−ヒドロカルビルオキシ生成物の次の形成に用いられる炭化水素溶剤を、反応混合物に添加してもよい。あるいは、酸化は、水性過酸化水素1.5〜3モル、炭酸もしくは重炭酸、アンモニウムまたはアルカリ金属0.005〜0.05モル、およびタングステン酸ナトリウムまたは適切な代替物0.001〜0.05モルを用いて、メタノールまたはアセトニトリル溶剤中で、20〜40℃で簡便に実施され得る。少量の水は、金属触媒の溶解を助けるために、用いられる。
【0075】
酸化反応の完了時に、適量の炭化水素溶剤および補助溶剤を、粗N−オキシル化合物を含む反応混合物に添加する。式(II)で示される化合物を式(I)で示される生成物に変換する前記の方法により、金属塩、金属酸化物または金属−配位子錯体、および所望なら酸の水溶液を、N−オキシル化合物を含む炭化水素−補助溶剤混合物に添加する。この混合物を反応に望ましい温度にし、水性過酸化水素を緩やかに添加して、N−オキシル化合物(IIa)を式(I)で示されるN−ヒドロカルビルオキシ生成物に変換する。可能ならば、酸化反応から生じた水を反応混合物から分離し、補助溶剤および/または適切な炭化水素溶剤でそれが抽出された後で、廃棄する。N−オキシル中間体をN−ヒドロカルビルオキシ化合物に変換する金属触媒を導入する際には、未反応の過酸化物が反応混合物中に存在し得るため、注意を払わなければならない。
【0076】
本発明の方法により製造される立体障害N−ヒドロカルビルオキシアミンの例は:
ビス(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート;
1−シクロヘキシルオキシ−4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;
ビス(1−ヘプチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート;
1−ヘキシルオキシ−4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;
ビス〔1−(2−メチル−2−フェニルプロピルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル〕アジパート;
1−(2−メチル−2−フェニルプロピルオキシ)−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;
2−クロロ−4,6−ビス〔N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ〕−s−トリアジン;
2,4,6−トリス〔N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ〕−s−トリアジン;
ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート;
1−シクロオクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール;
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカートとメチルシクロヘキサンとの反応生成物;
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシナートとノルボルナンとの反応生成物;
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オールとデカヒドロナフタレンとの反応生成物;
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジパートとイソオクタンとの反応生成物;
1−オキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとイソオクタンとの反応生成物;
ビス〔1−(2,2−ジフェニルプロピルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル〕セバカート;
1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;
ビス(1−オクタデシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシナート;
1−シクロヘキシルオキシ−4−オクタデカノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;
1−オクチルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;
1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;
1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール;
1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン、である。
【0077】
以下の実施例は、例示のみを目的としており、いかなる方法においても、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0078】
実施例1 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
50%水性過酸化水素80.2g(1.18mol)の溶液を、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール17.2g(100mmol)、硫酸鉄(II)七水和物0.556g(2.00mmol)、硫酸水素テトラブチルアンモニウム0.679g(2.0mmol)、メタンスルホン酸0.15ml(2.0mmol)、シクロヘキサン44ml、およびメタノール200mlの混合物に、70℃で12時間かけて添加する。過酸化物添加の開始後5時間経って、水4ml中の、硫酸鉄(II)七水和物0.556g(2.0mmol)およびメタンスルホン酸0.15ml(2.0mmol)の溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物の添加が完了した直後に、反応混合物が過酸化水素に関して陰性であることをテストする。減圧によって反応混合物からメタノールを蒸留し、水および飽和重炭酸ナトリウム溶液を反応混合物に添加する。14N水酸化ナトリウム溶液中の12重量%水素化ホウ素ナトリウムの総量60mlを反応混合物に添加して、表題化合物の4−オキソ誘導体を所望の生成物に変換する。反応混合物をジクロロメタンで抽出し、塩酸、次に重炭酸ナトリウムを添加して、有機層を中和する。乾燥させた後、有機層を濃縮し、粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、融点72〜75℃のオフホワイト固体の表題化合物15.0g(収率59%)を得る。構造を質量分析およびNMR分析によって確認する。
【0079】
実施例2 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン
50%水性過酸化水素20.1g(0.295mol)の溶液を、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン8.51g(50.0mmol)、硫酸鉄(II)七水和物0.70g(2.5mmol)、メタンスルホン酸0.3ml(5mmol)、シクロヘキサン11ml、およびメタノール90mlの混合物に、60℃で6時間かけて添加する。添加が完了した直後に、反応混合物が過酸化水素に関して陰性であることをテストする。反応混合物を濃縮して、表題化合物4.4g(収率35%)を黄色油状物として単離する。構造を質量分析およびNMR分析によって確認する。
【0080】
実施例3 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
水25ml中の1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール17.3g(100mmol)の溶液、および50%水性過酸化水素26.1g(389mmol)の溶液を、60〜62℃の、硫酸第一鉄七水和物0.578g(2.1mmol)、水10ml、メタンスルホン酸0.677g(7.0mmol)、アセトニトリル150ml、およびシクロヘキサン63mlの混合物に、それぞれ、1.25時間および6.5時間かけて滴下する。過酸化物添加の開始後約2時間経って、水1ml中の硫酸第一鉄七水和物0.253g(0.91mmol)およびメタンスルホン酸0.331g(3.4mmol)の溶液を、反応混合物に添加する。過酸化水素添加の開始後約4時間経って、シクロヘキサン15ml、ならびに水1ml中の硫酸第一鉄七水和物0.171g(0.62mmol)およびメタンスルホン酸0.242g(2.5mmol)の溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物添加が完了した後、反応混合物を室温まで緩やかに放冷し、過剰な過酸化物を、亜硫酸ナトリウムの添加によって分解する。粗反応混合物を、固体水酸化ナトリウム2.4gと一緒に撹拌し、混合物をろ過する。イソプロピルアルコールをろ液に添加し、ろ液を固体水素化ホウ素ナトリウム1.9gと共に室温で撹拌して、表題化合物の4−オキソ誘導体を表題化合物に変換する。溶液をアセトニトリル(50ml)および水(10ml)で希釈し、有機層を50%クエン酸溶液および飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄する。有機層を濃縮し、濃縮液を、酢酸エチル、ヘプタン、および水の混合物に溶解する。有機層をシリカゲルに通し、その後、シリカゲルをヘプタン−酢酸エチルの1:1混合物で溶出する。溶媒を蒸発させて、白色固体16.0g(収率63%)を得る。質量分析およびNMR分析は、、反応生成物が表題化合物であることを確認する。
【0081】
実施例4:ビス(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート
水3.7g中の硫酸第一鉄七水和物0.268g(0.964mmol)およびメタンスルホン酸0.350g(3.64mmol)の溶液を、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート10.3g(20.2mmol)、アセトニトリル110ml、およびシクロヘキサン60mlの混合物に添加する。混合物を55℃に加熱する。反応温度を還流温度にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素11.0g(162mmol)の溶液を、反応混合物に、4.75時間かけて滴下する。過酸化物添加の開始後2.25時間経って、水0.3g中の、硫酸第一鉄七水和物0.098gおよびメタンスルホン酸0.128gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物添加の開始後4時間経って、水0.4g中の、硫酸第一鉄七水和物0.053gおよびメタンスルホン酸0.070gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物を全て添加した後、反応混合物を45分間、加熱還流する。反応混合物を撹拌し続けながら、室温まで緩やかに冷却する。過酸化物を亜硫酸ナトリウム4.5gの添加によって分解する。水層を廃棄して、有機溶液を濃縮した後、粗生成物を20:1ヘプタン−酢酸エチルを用いる、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製し、表題化合物5.9g(収率43%、無色油状物)を得る。反応生成物の構造を、NMR分析で確認する。
【0082】
実施例5:1−シクロヘキシルオキシ−4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
水2ml中の硫酸第一鉄七水和物0.246g(0.885mmol)およびメタンスルホン酸0.246g(2.6mmol)の溶液を、1−オキシル−4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン4.85g(26.0mmol)、アセトニトリル35ml、およびシクロヘキサン22mlの混合物に添加する。反応混合物を52℃に加熱する。反応温度を還流温度(62℃)にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素5.68g(83mmol)の溶液を、反応混合物に、2.5時間かけて滴下する。過酸化物添加を添加した後、反応混合物を1.75時間撹拌しながら還流し、その後、33℃まで緩やかに冷却する。過酸化物を水性亜硫酸ナトリウム溶液の添加によって分解する。反応混合物を酢酸エチルで希釈して、有機層を水で洗浄し、その後、濃縮する。20:1ヘプタン−酢酸エチルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物4.11g(収率59%、無色液体)を得る。構造をNMR分析で確認する。
【0083】
実施例6:ビス(1−ヘプチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート
水3.7g中の、塩化第二鉄六水和物0.249g(0.921mmol)および濃塩酸0.327g(3.3mmol)の溶液を、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート10.3g(20.2mmol)、アセトニトリル110ml、およびヘプタン80mlの混合物に添加する。反応混合物を50℃に加熱する。温度を65〜68℃にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素10.9g(160mmol)の溶液を、反応混合物に、5.25時間かけて滴下する。過酸化物添加の開始後2.25時間経って、水0.75g中の、塩化第二鉄六水和物0.105gおよび濃塩酸0.144gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物添加の開始後3.5時間経って、水0.5g中の、塩化第二鉄六水和物0.075gおよび濃塩酸0.113gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物を添加した後、反応混合物を15分間、撹拌しながら還流し、その後1時間かけて33℃まで冷却する。過剰な過酸化物を水性亜硫酸ナトリウム溶液によって分解する。実施例5の手順に従って仕上げおよび精製して、無色油状物5.81gを得る。反応生成物のNMRスペクトルは、表題化合物のヘプチル異性体の混合物と一致している。
【0084】
実施例7:1−ヘキシルオキシ−4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
水2ml中の、塩化第一鉄七水和物0.268g(0.964mmol)およびメタンスルホン酸0.29g(3.0mmol)の溶液、1−オキシル−4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン4.81g(25.8mmol)、アセトニトリル25ml、およびヘキサンの混合物21mlの混合物に添加する。反応混合物を50℃に加熱する。温度を還流温度(56℃)にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素7.0g(103mmol)の溶液を、反応混合物に、3.5時間かけて滴下する。過酸化物を添加した後、反応混合物を1時間、撹拌しながら還流し、その後、室温まで緩やかに冷却する。実施例5と同様の手順に従って、仕上げおよび精製して、無色油状物1.80gを得る。反応生成物のNMRスペクトルは、表題化合物のヘキシル異性体の混合物と一致している。GC分析は、生成物が3種の物質を含み、積分に基づいて53:41:6の比で同様の保持時間であることを示す。
【0085】
実施例8:1−オクチルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
水2ml中の、塩化第二鉄六水和物0.234g(0.87mmol)および濃塩酸0.218g(2.3mmol)の溶液を、1−オキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5.00g(18.1mmol)、アセトニトリル25ml、およびn−オクタン16mlの混合物に添加する。反応混合物を55℃に加熱する。温度を72〜74℃にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素8.6g(126mmol)の溶液を、反応混合物に、4時間かけて滴下する。過酸化物添加の開始後2.25時間経って、水0.5ml中の、塩化第二鉄六水和物0.104gおよび濃塩酸0.140gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物を添加した後、反応混合物を室温まで緩やかに冷却する。酢酸エチルおよび水を反応混合物に添加して、有機層を濃縮し、25:1ヘプタン−酢酸エチルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、薄黄色油状物3.69gを得る。GC分析は、生成物が4種の成分を含み、保持時間が表題化合物の4種の可能なオクチル異性体の純粋な試料の保持時間と一致しているを示す。
【0086】
実施例9:ビス〔1−(2−メチル−2−フェニルプロピルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル〕アジパート
表題化合物を、実施例6と同様の手順に従って、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジパート、水性過酸化水素、塩化第二鉄六水和物、アセトニトリル、およびtert−ブチルベンゼンの反応から製造する。
【0087】
実施例9A 1−(2−メチル−2−フェニルプロピルオキシ)−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
水2.2g中の、塩化第二鉄四水和物0.077g(0.39mmol)の溶液を、61℃に加熱する、1−オキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5.00g(18.1mmol)、t−ブチルベンゼン16ml、およびアセトニトリル28mlの混合物に添加する。温度を65℃に維持しながら、50%水性過酸化水素5.03g(74mmol)の溶液を、反応混合物に、2時間かけて滴下する。過酸化物を添加した後、混合物を65℃で1.25時間撹拌する。反応混合物を30℃まで冷却して、10%水性亜硫酸ナトリウム溶液20mlと共に撹拌して、過剰な過酸化物を分解する。粗反応生成物を酢酸エチルで希釈して、有機層を濃縮する。100:1、その後25:1のヘプタン−酢酸エチルを用いるフラッシュクロマトグラフィーで精製して、表題化合物0.75g(収率10%、薄黄色油状物)を得る。構造をNMR分析および質量分析で確認する。
【0088】
実施例10 2−クロロ−4,6−ビス〔N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ〕−s−トリアジン
水2ml中の、硫酸第一鉄七水和物0.188g(0.676mmol)およびメタンスルホン酸0.25g(2.6mmol)の溶液を、2−クロロ−4,6−ビス〔N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ〕−s−トリアジン5.00g(8.83mmol)、アセトニトリル29ml、およびシクロヘキサン18mlとの混合物に添加する。反応混合物を52℃に加熱する。温度を62℃にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素4.87g(72mmol)の溶液を、反応混合物に、2.25時間かけて滴下する。過酸化物を添加した後、反応混合物を45分間撹拌しながら還流し、その後、残留する過酸化物を水性亜硫酸ナトリウムによって分解させる前に、冷却する。実施例5の手順に従って、仕上げおよび精製をして、表題化合物3.23g(収率50%、白色ガラス状物)を得る。構造をNMRおよびms分析で確認する。
【0089】
実施例11 2,4,6−トリス〔N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ〕−s−トリアジン
実施例10と同様の手順に従って、2,4,6−トリス〔N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ〕−s−トリアジンおよびシクロヘキサンの反応から、表題化合物を製造する。
【0090】
実施例12 ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート
水5ml中の、塩化第二鉄六水和物0.308g(1.14g)および氷酢酸0.225g(3.75mmol)の溶液を、76℃に加熱する、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート10.00g(19.6mmol)、アセトニトリル94ml、およびn−オクタン64mlの混合物に添加する。50%水性過酸化水素11.52g(169mmol)の溶液を3時間かけて滴下しながら、反応混合物を76℃の還流温度に保持する。過酸化物添加の開始後1.75時間経って、水1.6g中の、塩化第二鉄六水和物0.106gおよび氷酢酸0.102gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物添加の開始後2.75時間経って、水1.6g中の、塩化第二鉄六水和物0.106gおよび氷酢酸0.073gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物を添加した後、反応混合物を還流温度で1時間維持した。反応混合物を水性亜硫酸ナトリウム溶液と共に撹拌することによって、過剰な過酸化物を分解する。ろ過して固体を除去する。ろ液の水層を、酢酸エチルで抽出する。合せる有機層を濃縮し、濃縮液をヘプタン−酢酸エチルの100:7混合物を用いるフラッシュクロマトグラフィーで2回精製して、表題化合物4.43g(収率31%、無色液体)を得る。NMR分析は、オクチル位置異性体の混合物を示す。
【0091】
実施例13 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
水3.7g中の、硫酸第一鉄七水和物0.222g(0.799mmol)およびメタンスルホン酸0.287g(3.0mmol)の溶液を、1−オキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン10.3g(37.3mmol)、アセトニトリル57ml、およびシクロヘキサン31mlの混合物に添加する。反応混合物を52℃に加熱する。反応温度を還流温度(61℃)にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素10.2g(150mmol)の溶液を、反応混合物に4.75時間かけて滴下する。過酸化物添加の開始後1時間経って、水0.4g中の、硫酸第一鉄七水和物0.093gおよびメタンスルホン酸0.121gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物添加の開始後2.25時間経って、水0.5g中の硫酸第一鉄七水和物0.066gおよびメタンスルホン酸0.090gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物添加を添加した後、反応混合物を0.5時間、加熱還流する。冷却する際、過酸化物を亜硫酸ナトリウムの添加によって分解する。有機層をヘプタン−酢酸エチル20:1を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製し、表題化合物8.77g(収率65%、を白色固体)を得る。GCアッセイは、99%である。
【0092】
実施例14に要約したとおり、様々な遷移金属が、本発明の方法において効果的である。
【0093】
実施例14 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
金属塩、酸および水約2mlの溶液を、1−オキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5.00g(18.1mmol)、アセトニトリル25〜31ml、およびシクロヘキサン14〜20mlの混合物に添加する。反応混合物を40〜60℃に加熱する。温度を還流温度(60〜65℃)にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素4.3〜5.5gの溶液を、反応混合物に、2〜2.5時間かけて添加する。過酸化物を添加した後、反応混合物を0〜120分間、加熱還流し、その後、緩やかに冷却する。過剰な過酸化物を、水性亜硫酸ナトリウム溶液の添加によって分解する。実施例5と同様の手順に従って、仕上げおよび精製をして、表題化合物を得る。GC分析を用いて、純度をアッセイする。結果を表1に示す。
【0094】
【表1】

【0095】
実施例15A〜Bは、過酸化水素同等物が、本発明に方法において過酸化水素の代わりに用いられ得ることを示している。
【0096】
実施例15A 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
水2ml中の、四フッ化ホウ酸鉄(II)六水和物0.191g(0.566mmol)および48%四フッ化ホウ酸0.261g(1.43mmol)の溶液を、1−オキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5.00g(18.1mmol)、アセトニトリル26ml、およびシクロヘキサン17mlの混合物に添加する。反応混合物を46℃に加熱する。温度を還流温度(62℃)にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素5.15g(76mmol)の溶液を、反応混合物に、2.25時間かけて添加する。過酸化物添加の開始後1時間経って、水0.5ml中の、四フッ化ホウ酸鉄(II)六水和物0.067gおよび48%四フッ化ホウ酸0.139gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物を添加した後、反応混合物を45分間、加熱還流し、その後、緩やかに冷却する。過剰の過酸化物を、水性亜硫酸ナトリウム溶液の添加によって分解する。実施例5と同様の手順に従って、仕上げおよび精製をして、表題化合物4.98g(収率77%、無色シロップ)を得る。
【0097】
実施例15B 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
50%水性過酸化水素の代わりに、水11g中に溶解する尿素過酸化水素付加化合物5.89g(63mmol)の溶液を用いて、実施例15Aの手順を繰り返す。過酸化物溶液を、反応混合物に3〜3.25時間かけて添加する。表題化合物の収量は、3.97g(収率61%)である。
【0098】
実施例16 1−シクロオクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
実施例5の手順に従って、表題化合物を1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オールおよびシクロオクタンから製造する。
【0099】
実施例17 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカートとメチルシクロヘキサンとの反応生成物
実施例6と同様の手順に従って、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカートをとメチルシクロヘキサンと反応させる。反応生成物は、位置異性体の混合物を含む。
【0100】
実施例18 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシナートとノルボルナンとの反応生成物
実施例6と同様の手順に従って、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシナートとノルボルナンとを反応させる。
【0101】
実施例19 1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オールとデカヒドロナフタレンとの反応生成物
実施例5と同様の手順に従って、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オールとデカヒドロナフタレン(デカリン)とを反応させる。
【0102】
実施例20 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジパートとイソオクタンとの反応生成物
実施例6と同様の手順に従って、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジパートをイソオクタン(2,2,4−トリメチルペンタン)と反応させる。
【0103】
実施例20A 1−オキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとイソオクタンとの反応生成物
水2ml中の、塩化第二鉄六水和物0.101g(0.374g)および氷酢酸0.160g(2.66mmol)の溶液を、還流するまで加熱した、1−オキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5.00g(18.1mmol)、2,2,4−トリメチルペンタン(イソオクタン)27ml、およびアセトニトリル40mlの混合物に添加する。反応温度を65℃に保持しながら、50%水性過酸化水素5.25g(77mmol)の溶液を、反応混合物に、3.25時間かけて滴下する。過酸化物添加の開始後1時間経って、水1ml中の塩化第二鉄六水和物0.050gおよび酢酸0.053gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物を添加した後、反応混合物を65℃で2.5時間加熱し、その後冷却する。混合物を10%水性亜硫酸ナトリウム溶液5mlと共に撹拌し、有機層を濃縮する。20:1ヘプタン−酢酸エチルを用いるフラッシュクロマトグラフィーで精製して、無色液体2.27gを得る。ガスクロマトグラフィーの分析は、、0.38:0.53:0.02:0.07の比の4成分を明らかにする。生成物のNMRスペクトルは、イソオクチル位置異性体の混合物と一致している。
【0104】
実施例21 ビス〔1−(2,2−ジフェニルプロピルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル〕〕〕〕セバカート
実施例6と同様の手順に従って、ビス〔1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル〕〕〕〕セバカートを2,2−ジフェニルプロパンと反応させる。
【0105】
実施例22 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
実施例5の手順に従って、表題化合物を1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TEMPO)とシクロヘキサンとの反応から製造する。
【0106】
実施例23 ビス(1−オクタデシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシナート
実施例4と同様の手順に従って、表題化合物を、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシナートとオクタデカンとの反応から製造する。
【0107】
実施例24 1−シクロヘキシルオキシ−4−オクタデカノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
水2ml中の、塩化第二鉄六水和物0.116g(0.429g)および氷酢酸0.096g(1.60mmol)の溶液を、60℃に加熱した、1−オキシル−4−オクタデカノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5.08g(11.6mmol)、シクロヘキサン40ml、およびアセトニトリル60mlとの混合物に添加する。50%水性過酸化水素3.36g(49.4mmol)の溶液を、還流温度60〜62℃の温度で、反応混合物に、2.5時間かけて滴下する。過酸化物添加の開始後1.5時間経って、水1ml中の塩化第二鉄六水和物0.033gおよび氷酢酸0.040gの溶液を、反応混合物に添加した。過酸化物添加の開始後4時間経って、水1ml中の、塩化第二鉄0.031gおよび氷酢酸0.028gの溶液を、反応混合物に添加する。還流温度で、総時間として5時間加熱した後、反応混合物を冷却し、過剰の過酸化物を、水性亜硫酸ナトリウム溶液の添加によって分解する。有機層を濃縮し、20:1ヘプタン−酢酸エチルを用いるフラッシュクロマトグラフィーで精製して、表題化合物4.27g(収率71%、白色固体、沸点42〜46℃)を得る。アッセイは、NMR積分により約90%である。
【0108】
実施例25および26は、本発明の方法が、反応混合物の還流温度未満で実施され得ることを実証している。
【0109】
実施例25 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
反応体それぞれの量を約2の因子によって減量し、反応温度を38〜43℃に保持することを除き、実施例13の手順を繰り返す。表題化合物(無色シロップ)の収量は2.82gであり、収率43%に対応する。
【0110】
実施例26 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
反応温度を20〜22℃に維持することを除き、実施例15Aの手順を繰り返す。表題化合物(無色シロップ)の収量は1.99gであり、収率31%に対応する。
【0111】
実施例27A〜Dは、収量を有意に低下させることなく、本発明の方法における金属塩触媒の量を0.005当量未満に低減し得ることを示す。
【0112】
実施例27A 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
水2ml中の、硫酸第一鉄七水和物0.100g(0.36mmol、0.020当量)および48%四フッ化ホウ酸0.314g(1.7mmol)の溶液を、1−オキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5.00g(18.1mmol)、アセトニトリル26ml、およびシクロヘキサン18mlの混合物に添加する。混合物を46℃に加熱する。温度を還流温度にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素4.9g(72mmol)の溶液を、反応混合物に、2.25時間かけて滴下する。過酸化物を添加した後、反応混合物を1時間加熱還流し、その後、緩やかに室温まで冷却する。残留する過酸化物を、水性亜硫酸ナトリウム溶液によって分解する。酢酸エチルを反応混合物に添加し、有機層を濃縮する。20:1ヘプタン:酢酸エチルを用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、白色固体5.06g(収率78%)を得る。GC分析は、反応生成物が、100%のアッセイを有し、表題化合物の標品と同じ保持時間を有することを示す。
【0113】
実施例27B 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
硫酸第一鉄七水和物の量を0.051g(0.18mmol)または0.010当量に減量することを除き、実施例27Aの手順を繰り返し、表題化合物4.66g(収率71%)を得る。
【0114】
実施例27C 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
硫酸第一鉄七水和物の量を0.026g(0.094mmol)または0.0052当量に減量することを除き、実施例27Aの手順を繰り返し、表題化合物4.78g(収率74%)を得る。
【0115】
実施例27D 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
用いる硫酸第一鉄七水和物の量が、0.0050g(硫酸第一鉄七水和物0.100gを水で20.01gの重量に希釈する溶液の1/20h)または0.0179mmol(0.00099当量)であることを除き、実施例27Aの手順を繰り返す。仕上げおよびフラッシュクロマトグラフィーによる精製の後、表題化合物の収量は1.06g(収率16%)である。
【0116】
実施例28および29は、本発明の方法における共溶剤として用いる場合に、アセトニトリルがメタノールよりも優れた結果を与えることを示す。
【0117】
実施例28 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
水2ml中の、塩化第二鉄六水和物0.101g(0.37mmol)および氷酢酸0.115g(1.9mmol)の溶液を、1−オキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5.00g(18.1mmol)、メタノール27ml、およびシクロヘキサン18mlの混合物に添加する。混合物を55℃に加熱還流する。温度を還流温度にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素4.9g(72mmol)の溶液を、反応混合物に、2.25時間かけて滴下する。過酸化物を添加した後、反応混合物が過酸化水素に関して陰性であることをテストする。酢酸エチルによる仕上げおよびフラッシュクロマトグラフィーによる精製の後、表題化合物の収量は、2.63g(収率40%、GCアッセイ100%)である。
【0118】
実施例29 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
アセトニトリル(27%)をメタノールの代わりに用いることを除き、実施例28の手順を繰り返す。過酸化物の添加時間は3.25時間であり、還流温度は62℃でる。過酸化物を添加した後、反応混合物を90分間加熱還流する。実施例5の手順に従って、仕上げおよび精製をして、表題化合物5.38g(収率83%、無色シロップ)を得る。GCアッセイ:99.4%。
【0119】
実施例30および30Aは、N−ヒドロカルビルオキシヒンダードアミン誘導体の優れた収率がホウ酸およびクエン酸によって得られることを実証する。
【0120】
実施例30 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
水4ml中の、硫酸第一鉄七水和物0.100g(0.360mmol)およびホウ酸0.112g(1.82mmol)の溶液を、1−オキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5.00g(18.1mmol)、アセトニトリル27ml、およびシクロヘキサン19mlの混合物に添加する。混合物を52℃に加熱する。温度を還流温度(63℃)にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素4.98g(73mmol)の溶液を、反応混合物に、2.75時間かけて滴下する。過酸化物添加の開始後1.25時間経って、水2ml中の、硫酸第一鉄七水和物0.051gおよびホウ酸0.042gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物を添加した後、反応混合物を30分間加熱還流し、その後、緩やかに冷却する。実施例5の手順に従って、仕上げおよび精製をして、表題化合物4.42g(収率68%、無色シロップ、GCアッセイ:99.3%)を得る。
【0121】
実施例30A 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン
水1.5ml中の、塩化第一鉄四水和物0.104g(0.523mmol)およびクエン酸一水和物0.168g(0.799mmol)の溶液を、還流温度60℃に加熱した、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン3.14g(18.4mmol)、アセトニトリル30ml、およびシクロヘキサン20mlの混合物に添加する。温度を還流温度に維持して、50%水性過酸化水素5.27g(77mmol)の溶液を、反応混合物に、2時間かけて滴下する。過酸化物添加の開始後1.6時間経って、水0.5ml中の、塩化第一鉄四水和物0.047gおよびクエン酸一水和物0.055gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物を添加した後、反応混合物を30分間加熱還流し、その後、緩やかに冷却する。水性亜硫酸ナトリウム溶液を反応混合物に添加して、過剰の過酸化物を分解する。水層をアセトニトリル−シクロヘキサンの2:1混合物で、その後酢酸エチルで抽出した。合せる有機層を濃縮する。20:1ヘプタン−酢酸エチルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物3.01g(収率64%、無色液体)を得る。GCアッセイは99%である。
【0122】
実施例31〜33は、ある場合は、本発明の手順は、酸を添加せずに優れた収率を得ることを示す。
【0123】
実施例31 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
水2ml中の塩化第二鉄六水和物0.097g(0.359mmol)の溶液を、1−オキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5.00g(18.1mmol)、アセトニトリル28ml、およびシクロヘキサン19mlの混合物に添加する。混合物を56℃に加熱する。温度を還流温度にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素4.70g(69mmol)の溶液を、反応混合物に、2.25時間かけて滴下する。過酸化物を添加した後、反応混合物を45分間加熱還流する。実施例5の手順に従って、仕上げおよびを精製して、表題化合物5.47g(収率84%、淡黄色シロップ)を得る。GCアッセイは100%である。
【0124】
実施例32 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
塩化第一鉄四水和物(0.071g、0.357mmol)を塩化第二鉄六水和物の代わりに用いることを除き、実施例31の手順を繰り返す。表題化合物の収量は、4.69g(収率72%、GCアッセイ100%)である。
【0125】
実施例33 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
塩化第二銅0.072g(0.42mmol)を塩化第二鉄六水和物の代わりに用いることを除き、実施例31の手順を繰り返す。表題化合物の収量は、4.40g(収率68%、GCアッセイ98%)である。
【0126】
実施例34は、特定の実施例において、反応から酸を除外することが、N−ヒドロカルビルオキシ生成物の収量を有意に低下させ得ることを示す。
【0127】
実施例34 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
水2ml中の四フッ化ホウ酸鉄(II)六水和物0.121g(0.358mmol)の溶液を、1−オキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5.00g(18.1mmol)、アセトニトリル27ml、およびシクロヘキサン18mlとの混合物に添加する。混合物を49℃に加熱する。温度を還流温度にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素4.76g(70.0mmol)の溶液を、反応混合物に、2.25時間かけて滴下する。過酸化物を添加した後、混合物を45分間加熱還流する。実施例5の手順に従って、仕上げおよび精製をして、表題化合物0.37g(収率6%、淡黄色シロップ)を得る。GCアッセイは99.3%である。
【0128】
実施例34の手順に従って得られる収率6%を、実施例15Aの手順に従って、得られる収率77%と比較する。実施例15Aにおいて四フッ化ホウ酸を反応混合物に添加することを除けば、2つの手順は本質的に同一である。
【0129】
炭化水素溶剤に対する共溶剤の比の変動の効果を、実施例35〜39に示す。
【0130】
実施例35 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
アセトニトリル169mlおよびシクロヘキサン17mlを用いて、実施例31の手順を繰り返し、表題化合物4.64g(収率71%、、GCアッセイ100%)を得る。
【0131】
実施例36 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
アセトニトリル85mlおよびシクロヘキサン17mlを用いて、実施例31の手順を繰り返し、表題化合物5.19g(収率80%、GCアッセイ100%)を得る。
【0132】
実施例37 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
アセトニトリル10mlおよびシクロヘキサン20mlを用いて、実施例31の手順を繰り返し、表題化合物3.82g(収率59%、GCアッセイ98%)を得る。
【0133】
実施例38 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
アセトニトリル4mlおよびシクロヘキサン20mlを用いて、実施例31の手順を繰り返し、表題化合物0.72g(収率11%、GCアッセイ96%)を得る。
【0134】
実施例39 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
アセトニトリル2mlおよびシクロヘキサン20mlを用いて、実施例31の手順を繰り返し、表題化合物0.11g(収率2%、GCアッセイ92%)を得る。
【0135】
Barton, et al.のTetrahedron, 1996, 52, 10301-12における方法から適用する実施例40A〜Cの手順を、実施例13および31の手順と比較して、先行技術を上回る本発明の方法の利点を示す。
【0136】
実施例40A 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
1−オキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン3.01g(10.9mmol)、ピリジン20ml、およびシクロヘキサン12mlの混合物に、硫酸第一鉄七水和物0.153g(0.55mmol)、ピコリン酸0.211g(1.71mmol)およびアスコルビン酸0.048g(0.27mmol)を添加する。水(1ml)を添加して、金属塩を溶解する。混合物を48℃に加熱する。温度を60〜64℃にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素2.95g(43.5mmol)の溶液を、反応混合物に、1.25時間かけて滴下する。過酸化物を添加した後、反応混合物を緩やかに冷却する。反応混合物を室温で一晩撹拌した後、残留する過酸化物を水性亜硫酸ナトリウム溶液の添加によって分解する。濃硫酸15mlと氷65gとの混合物を反応混合物に注意深く添加して、ピリジンから塩を形成させる。反応混合物を酢酸エチルによって2回抽出する。合せる有機層を希釈する重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、その後濃縮する。20:1ヘプタン:酢酸エチルを用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物2.03g(収率52%、無色シロップ、GCアッセイ100%)を得る。
【0137】
実施例40B 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
1−オキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン3.00g(10.9mmol)、ピリジン20ml、およびシクロヘキサン12mlの混合物に、氷酢酸2.2ml(38.4mmol、3.5当量)、水1ml、硫酸第一鉄七水和物0.124g(0.446mmol)そして最後に亜鉛粉0.57g(8.7mmol、0.80当量)を添加する。亜鉛の添加時に、わずかな発熱反応が起る。反応混合物を45℃に加熱する。温度を60〜64℃まで上昇させて、それを維持しながら、50%水性過酸化水素3.0g(44mmol)の溶液を、反応混合物に、1.5時間かけて滴下する。過酸化物を添加した後、混合物を62℃で15分間加熱し、その後、緩やかに冷却する。反応混合物を室温で一晩撹拌した後、残留する過酸化物を水性亜硫酸ナトリウム溶液の添加によって分解する。濃硫酸15mlと氷76gとの混合物を反応混合物に注意深く添加して、ピリジンから塩を形成させる。実施例40Aの手順に従って、仕上げおよび精製をして、表題化合物2.07g(収率53%、白色固体、GCアッセイ100%)を得る。
【0138】
実施例40C 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
水2.2g中の、硫酸第一鉄七水和物0.202g(0.73mmol)およびメタンスルホン酸0.214g(2.23mmol)の溶液を、1−オキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5.00g(18.1mmol)、ピリジン33ml、およびシクロヘキサン21mlの混合物に添加する。混合物を46℃に加熱する。温度を60〜65℃にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素4.86g(71mmol)の溶液を、反応混合物に、2.25時間かけて滴下する。過酸化物を添加した後、反応混合物を緩やかに冷却する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。残留する過酸化物を水性亜硫酸ナトリウム溶液の添加によって分解する。濃硫酸25mlと氷125gとの混合物を反応混合物に注意深く添加して、ピリジンから塩を形成させる。実施例40Aの手順に従って、仕上げおよび精製をして、表題化合物1.93g(収率30%、白色固体、GCアッセイ100%)を得る。
【0139】
実施例40A〜Cで得られる収率30〜53%を、ピリジン溶剤、アスコルビン酸または亜鉛金属を使用せずに、それぞれ、実施例13および31で得られる収率65%および84%と比較する。この比較は、本発明の方法が、Barton, et al.の先行技術の方法よりも、より複雑でなく、N−ヒドロカルビルオキシ生成物のより高い収率を与えることを示す。
【0140】
実施例41〜44は、本発明の方法が、ヒンダードアミンから出発して、N−オキシル中間体を単離せずに、N−ヒドロカルビルオキシ化合物を合成するように修飾され得ることを示す。
【0141】
実施例41 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール5.21g(33.1mmol)、無水炭酸ナトリウム0.015g(0.142mmol)、水15ml、およびアセトニトリル15mlの混合物を、56℃に加熱する。温度を80℃にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素6.5g(96mmol)の溶液を、反応混合物に、1.5時間かけて添加する。過酸化物を添加した後、反応混合物を80℃で3時間加熱し、その後1.75時間かけて50℃まで緩やかに却却する。周囲温度で一晩保持する。水2ml中の、硫酸第一鉄七水和物0.184g(0.622mmol)および48%四フッ化ホウ酸0.664g(3.6mmol)の溶液を反応混合物に添加し、その後、シクロヘキサン30mlおよびアセトニトリル24mlを添加する。反応混合物を50℃に加熱する。温度を62℃に上昇させて、それを維持しながら、50%水性過酸化物8.7g(128mmol)の溶液を、反応混合物に、4.5時間かけて滴下する。過酸化物を添加した後、反応混合物を1時間撹拌しながら還流する。冷却時に、残留する過酸化物を水性亜硫酸ナトリウム溶液の添加によって分解する。酢酸エチルでの仕上げおよびフラッシュクロマトグラフィーでの精製によって、白色固体2.03g(全体的な収率24%)を得る。GC分析は、反応生成物が表題化合物の標品と同じ保持時間を有することを示す。
【0142】
実施例41Aにおいて、より少ない水を酸化反応に用い、N−オキシル中間体を最終生成物に変換する前に水層を除去すると、優れた収率が得られる。
【0143】
実施例41A 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
水3ml中の重炭酸ナトリウム0.107g(1.27mmol)の混合物を、60℃に加熱した、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール10.00g(63.6mmol)、およびアセトニトリル8mlの混合物に添加する。反応温度を70〜72℃に維持しながら、50%水性過酸化水素9.80g(144mmol)の溶液を、反応混合物に、2.5時間かけて滴下する。冷却時に、反応混合物をアセトニトリルおよびシクロヘキサンで希釈し、その後、飽和塩化ナトリウム溶液および固体塩化ナトリウムを添加する。水層をシクロヘキサンとアセトニトリルとの混合物で3回抽出する。水層を廃棄する。合せる有機層に、シクロヘキサンおよびアセトニトリルを、それぞれ、溶媒総量70mlおよび105mlになるように添加する。反応混合物をほぼ還流まで加熱し、水5ml中の、塩化第二鉄六水和物0.532g(1.97mmol)およびメタンスルホン酸0.602g(6.26mmol)の溶液を数分間かけて添加する。反応温度を還流温度(61℃)に維持しながら、50%水性過酸化物16.50g(243mmol)の溶液を、反応混合物に、4.25時間かけて滴下する。過酸化物添加の開始後2.25時間経って、水2ml中の、塩化第二鉄六水和物0.163gおよびメタンスルホン酸0.198gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物添加の開始後3.25時間経って、水1ml中の、塩化第二鉄六水和物0.083gおよびメタンスルホン酸0.117gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物を添加した後、反応混合物を50〜60℃で30分間加熱する。実施例54の手順に従って仕上げをして、表題化合物11.95g(収率74%、GCアッセイ87%)を得る。
【0144】
実施例41B 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
重炭酸ナトリウムの代わりに同量の炭酸アンモニウムを用いて、実施例41の手順を繰り返し、収率54%の表題化合物を得る。GCアッセイは92%である。
【0145】
実施例41CおよびDは、タングステン酸ナトリウムを反応混合物に添加することによって、酸化反応をより低温で実施し得ることを示す。
【0146】
実施例41C 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
水2ml中の、重炭酸ナトリウム0.108g(1.29mmol)とタングステン酸ナトリウム二水和物0.265g(0.803mmol)との混合物を、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール10.00g(63.6mmol)とアセトニトリル9mlとの混合物に添加する。反応温度を35〜38℃に維持しながら、50%水性過酸化水素12.11g(178mmol)の溶液を、反応混合物に、3.75時間かけて滴下する。反応混合物を35〜38℃で更に2時間加熱する。反応混合物をアセトニトリルおよびシクロヘキサンで希釈し、その後、飽和塩化ナトリウム溶液および固体塩化ナトリウムを添加する。水層をシクロヘキサンとアセトニトリルとの混合物で2回抽出する。水層を廃棄する。合せる有機層にシクロヘキサンおよびアセトニトリルを、溶媒総量が、それぞれ65mlおよび95mlになるように添加する。反応混合物をほぼ還流温度まで加熱し、水5ml中の、塩化第二鉄六水和物0.528g(1.95mmol)およびメタンスルホン酸0.628g(6.53mmol)の溶液を数分間かけて添加する。反応温度を還流温度(60℃)に維持しながら、50%水性過酸化水素17.22g(253mmol)の溶液を、反応混合物に4.75時間かけて滴下する。過酸化物添加の開始後2.5時間経って、水2ml中の、塩化第二鉄六水和物0.170gおよびメタンスルホン酸0.206gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物添加の開始後4時間経って、水2ml中の、塩化第二鉄六水和物0.178gおよびメタンスルホン酸0.205gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物を添加した後、反応混合物を30分間加熱還流する。実施例54の手順に従って仕上げをして、表題化合物11.07g(収率68%)を得る。GCアッセイは、92%である。
【0147】
実施例41Dは、ステップ2の開始前に、ステップ1からの水層を反応混合物から除去しない場合に、第2のステップが、収率および用いる試薬の量に関して、より不十分であることを実証する。
【0148】
実施例41D 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
塩化第二鉄六水和物およびメタンスルホン酸の水溶液を導入する前に、水層を抽出および廃棄せずに、N−オキシル中間体を含む反応混合物を用いることを除き、実施例41Cの手順を繰り返す。約40%超の塩化第二鉄六水和物、メタンスルホン酸および50%水性過酸化水素を、実施例41Cと比較しながら用い、GC分析は、反応が、表題化合物ヘの90%変換のみに進むことを示す。表題化合物の収量は、9.75g(収率60%)である。GCアッセイは、91%である。
【0149】
実施例42 1−シクロヘキシルオキシ−4−オクタデカノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
反応温度を65〜68℃に維持しながら、50%水性過酸化水素2.84g(41.7mmol)の溶液を、4−オクタデカノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5.98g(14.1mmol)、水0.6gに溶解させる重炭酸ナトリウム0.026g(0.31mmol、2.2mol%)、シクロヘキサン4ml、およびアセトニトリル4mlの混合物に3時間かけて滴下する。過酸化物を添加した後、反応混合物を65℃で4.5時間撹拌する。赤色の混合物を冷却し、その後、シクロヘキサンおよびアセトニトリルで希釈する。水層を廃棄する。混合物を水で洗浄し、洗浄液をシクロヘキサンとアセトニトリルとの混合物で抽出する。シクロヘキサンおよびアセトニトリルのそれぞれ総量25mlを、仕上げに用いる。有機層を合せ、更にアセトニトリル(13ml)を添加する。温度を50℃にして、水2ml中の、塩化第二鉄六水和物0.117g(0.433mmol)および氷酢酸0.096g(1.60mmol)の溶液を、反応混合物に添加する。反応温度を60℃付近に維持しながら、50%水性過酸化物4.28g(63mmol)の溶液を、反応混合物に3時間かけて滴下する。過酸化物添加の開始後1.5時間経って、塩化第二鉄六水和物0.042g、水0.5gおよび氷酢酸0.044gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物を添加した後、混合物を4時間加熱還流し、その後、室温で一晩放置する。水0.5g中の氷酢酸(0.403g、6.7mmol)および水0.5g中の塩化第二鉄六水和物0.130g溶液を赤色の反応混合物に添加する。温度を還流温度にして、50%水性過酸化水素4.56g(67.0mmol)の溶液を2時間かけて滴下する。過酸化物添加の開始後1時間経って、水1ml中の、塩化第二鉄六水和物0.070gおよび氷酢酸0.096gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物を添加した後、混合物を2.5時間加熱還流する。混合物を冷却して、10%水性亜硫酸ナトリウム10mlと共に撹拌する。酢酸エチルを添加して、水層を酢酸エチルで抽出する。有機層を合せ、濃縮する。濃縮液を20:1ヘプタン−酢酸エチルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、赤色の液体を得る。2回目のフラッシュクロマトグラフィーの精製によって、表題化合物1.37g(収率19%、mp42〜45℃)を白色固体として得る。アッセイは、NMR積分で??%である。
【0150】
実施例43 1−シクロヘキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン6.48g(24.8mmol)、水で100gの重量に希釈する無水炭酸ナトリウム0.270gの溶液の1/100h(0.00270g、0.0254mmol)、およびアセトニトリル37mlの混合物を80℃に加熱する。温度を還流温度にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素3.68g(54mmol)の溶液を、反応混合物に、1.75時間かけて添加する。過酸化物を添加した後、反応混合物を80℃で5時間加熱し、その後、室温で一晩保持する。水8ml中の濃塩酸の総量0.60g(5.9mmol)を、反応混合物に少しずつ添加する。シクロヘキサン25mlを反応混合物に添加した後、温度を還流温度(62℃)にする。水2.5ml中の塩化第二鉄六水和物0.134g(0.496mmol)の溶液を、反応混合物に添加する。温度を62℃に維持しながら、50%水性過酸化物6.96g(102mmol)の溶液を、反応混合物に3.25時間かけて滴下する。過酸化物を添加した後、反応混合物を2時間撹拌しながら還流する。冷却時に、残留する過酸化物を水性亜硫酸ナトリウム溶液の添加によって分解する。酢酸エチルでの仕上げおよびフラッシュクロマトグラフィーでの精製によって、表題化合物3.06g(全体的収率34%)を得る。GCアッセイは、92%である。
【0151】
実施例44 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン
水2ml中の、重炭酸ナトリウム0.115g(1.37mmol)、およびタングステン酸ナトリウム二水和物0.275g(0.834mmol)の混合物を、30℃で、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン10.00g(64.4mmol)とアセトニトリル9mlとの混合物に添加する。反応温度を30〜35℃に維持しながら、50%水性過酸化水素11.83g(174mmol)の溶液を、反応混合物に、4.25時間かけて滴下する。過酸化物添加の開始後約3.25時間経って、水1ml中の重炭酸ナトリウム0.056gとタングステン酸ナトリウム二水和物0.134gとの混合物を、反応混合物に添加する。総反応時間6.5時間の後に、反応混合物をシクロヘキサンで希釈する。水層をシクロヘキサン−アセトニトリルの2:1混合物で2回抽出する。用いるシクロヘキサンの総量は、60mlである。アセトニトリル(60ml)を、合せる有機層を添加する。反応混合物を45℃に加熱して、水5ml中の、塩化第一鉄四水和物0.334g(1.24mmol)および氷酢酸0.312g(5.20mmol)の溶液を添加する。反応温度を還流温度60℃に維持しながら、50%水性過酸化水素14.95g(220mmol)の溶液を、反応混合物に4.25時間かけて滴下する。反応混合物を冷却して、10%水性亜硫酸溶液を添加して、過剰の過酸化物を分解する。水層をアセトニトリル−シクロヘキサンの2:1混合物で、その後、酢酸エチルで抽出する。合せる有機層を濃縮し、濃縮液を10:7.5ヘプタン−酢酸エチルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物9.65g(収率59%、白色固体、mp33〜37℃)を得る。GCアッセイは、99%である。
【0152】
実施例44A 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン
塩化第一鉄四水和物の代わりに同量の塩化第二鉄六水和物を用いて、実施例44の手順を繰り返し、表題化合物9.51g(収率58%)を得る。GCアッセイは、99%である。
【0153】
実施例45A〜Bは、生成物の収率に関する、溶剤および共溶剤の総量を低減する影響を示す。
【0154】
実施例45A 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
アセトニトリル20mlおよびシクロヘキサン10ml(約5当量)を用いて、実施例31の手順を繰り返し、表題化合物4.99g(収率77%)を得る。GCアッセイは、97%である。反応生成物の質量スペクトロメトリーおよびNMR分析は、2個のN−オキシル部分がシクロヘキサンの一分子に結合する、いずれの生成物の存在を表す証拠を示さない。実施例31において、シクロヘキサン約10当量を用い、収率は84%である。
【0155】
実施例45B 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
アセトニトリル11mlおよびシクロヘキサン5ml(約2.5当量)を用いて、実施例31の手順を繰り返し、表題化合物3.10g(収率48%)を得る。GCアッセイは、93%である。
【0156】
実施例46A〜Cは、本発明の方法における金属−配位子錯体の使用を実証する。
【0157】
実施例46A 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
トリフルオロ酢酸0.269g(2.4mmol)および水3ml中の六フッ化リン酸フェロセニウム0237g(0.72mmol)の懸濁液を、1−オキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5.01g(18.1mmol)、アセトニトリル25ml、およびシクロヘキサン16mlの混合物に添加する。反応混合物を50℃に加熱する。温度を62℃にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素5.0g(73mmol)の溶液を、反応混合物に、2時間かけて滴下する。過酸化物を添加した後、反応混合物を62℃で30分間加熱する。反応混合物を室温まで緩やかに冷却し、一晩撹拌する。水性亜硫酸ナトリウム溶液の添加によって、過酸化物を分解する。酢酸エチルでの仕上げおよびフラッシュクロマトグラフィーでの精製によって、表題化合物4.44g(収率68%)を得る。
【0158】
実施例46B 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
2,2'−ジピリジル(0.056g、0.36mmol)を、アセトニトリル28mlと共に撹拌する。アセトニトリル溶液に、水2ml中の塩化第二鉄六水和物0.098g(0.36mmol)の溶液を添加する。この紫色の混合物を10分間撹拌した後、シクロヘキサン19mlおよび1−オキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5.00g(18.1mmol)を添加する。温度を62℃にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素3.84g(69.5mmol)の溶液を、反応混合物に、2.25時間かけて滴下する。過酸化物を添加した後、反応混合物を1時間加熱還流する。反応混合物を冷却し、過酸化物を水性亜硫酸ナトリウム溶液の添加によって分解する。酢酸エチルを添加して、有機層を水で洗浄する。有機層を濃縮して、濃縮液を20:1ヘプタン−酢酸エチルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物4.82g(収率74%)を得る。GCアッセイは、100%である。
【0159】
実施例46C 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
水2ml中の、硫酸鉄(II)エチレンジアンモニウム四水和物0.404g(1.1mmol)およびメタンスルホン酸0.237g(2.5mmol)の溶液を、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール5.00g(29.0mmol)、アセトニトリル38ml、およびシクロヘキサン24mlの混合物に添加する。反応混合物を50℃に加熱する。温度を還流温度にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素8.0g(118mmol)の溶液を、反応混合物に、4時間かけて滴下する。過酸化物を添加した後、反応混合物を室温まで緩やかに冷却する。反応混合物を周囲温度で一晩撹拌する。下層を廃棄し、有機層を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物3.9g(収率53、黄色固体)を得る。GCアッセイは、99%以上である。
【0160】
実施例47 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン
塩化第一鉄四水和物の代わりに同量のクエン酸鉄(III)一水和物を用いて、実施例30Aの手順を繰り返す。表題化合物の収量は1.57g(収率34%)である。GCアッセイは、99%以上である。
【0161】
実施例48A 1−オクチルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
塩化銅(II)の代わりに塩化銅(I)を、およびシクロヘキサンの代わりにオクタンを用いて、実施例14Lの手順を繰り返す。
【0162】
実施例48B 1−オクチルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
塩化銅(II)の代わりに塩化銅(I)を、およびシクロヘキサンの代わりにオクタンを用いて、実施例14Lの手順を繰り返す。塩酸は反応から除外する。
【0163】
実施例49 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
1−オキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5.00g(18.1mmol)、アセトニトリル27ml、およびシクロヘキサン18mlの混合物に、ピルビン酸鉄(III)(トリメチル酢酸鉄(III))0.130g(0.37mmol)を添加する。反応混合物を48℃に加熱する。温度を62℃にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素5.05g(74mmol)の溶液を、反応混合物に2.25時間かけて滴下する。過酸化物を添加した後、反応混合物を62℃で1.25時間加熱する。混合物を室温まで緩やかに冷却する。反応混合物を一晩放置した後、亜硫酸ナトリウム溶液によって過剰の過酸化物を分解する。酢酸エチルを添加して、有機層を濃縮する。濃縮液を20:1ヘプタン−酢酸エチルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物0.7g(収率11)を得る。GCアッセイは、99%である。
【0164】
実施例50および51は、適切な共溶剤がない場合、少量の相間移動剤または乳化剤を反応混合物に添加するとしても、N−オキシルヒンダードアミンと、炭化水素、金属塩および過酸化水素との反応が効果的でないことを示す。
【0165】
実施例50 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
水2ml中の、塩化第二鉄六水和物0.319g(1.18mmol)および塩酸0.337g(3.4mmol)を、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール5.01g(29.1mmol)、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム0.134g(0.3mmol)、シクロヘキサン31ml、および水2mlの混合物に添加する。反応混合物を52℃に加熱する。温度を62〜65℃にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素7.9g(116mmol)の溶液を、反応混合物に3.5時間かけて滴下する。過酸化物を添加した後、反応混合物を45分間加熱還流する。反応混合物は、過酸化水素に関する陰性検査に与え、加熱をやめる。酢酸エチルでの仕上げによって、褐色油状物0.055gを得、それは、油状物が100%アッセイを有する場合、表題化合物の収率1%未満に対応する。GC分析は、油状物中での1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オールの存在を示さない。対照的に、実施例54Gでは、アセトニトリルをシクロヘキサンと一緒に用いる場合に、相間移動剤または乳化剤の不存在下に、表題化合物の収率76%が得られる。
【0166】
実施例51 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
水10ml中、の硫酸第一鉄七水和物0.313g(1.13mmol)およびメタンスルホン酸0.327g(3.4mmol)の溶液を、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール5.01g(29.1mmol)、トリカプリルメチルアンモニウムクロリド(Aliquat(登録商標))0.112g(0.28mmol、1mol%)、およびシクロヘキサン31mlの混合物に添加する。反応混合物を55℃に加熱する。温度を55〜64℃にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素8.2g(121mmol)の溶液を、反応混合物に、3.5時間かけて滴下する。過酸化物を添加した後、反応混合物を62℃で20分間加熱する。反応混合物を冷却し、少量の水性亜硫酸ナトリウム溶液によって過酸化物を分解する。酢酸エチルでの仕上げおよびフラッシュクロマトグラフィーでの精製によって、油状物0.04gを得、それは、油状物が100%アッセイを有する場合、表題化合物の収率0.5%に対応する。GC分析は、表題化合物が、15%の油状物しか含まないことを示す。対照的に、実施例1では、メタノールとシクロヘキサンとの溶剤混合物および相間移動剤2mol%によって、表題化合物の収率59%が得られる。実施例54では、相間移動剤の不存在下、アセトニトトリルとシクロヘキサンとの溶剤混合物によって、表題化合物の収率69%が得られる。
【0167】
実施例52は、アセトニトリルが本発明の方法の条件下で不活性ではないが、炭化水素溶剤が存在すれば、典型的には、N−シアノメトキシ副生成物のほんの少量が形成されることを示す。
【0168】
実施例52 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
約1時間間隔で、実施例3の反応混合物の一部を除去して、メタノールで希釈する。その一部をガスクロマトグラフィーに注入し、ピーク面積を積分器によって測定する。溶媒比は、アセトニトリル2容積部に対してシクロヘキサン1容積部であるが、対応するアセトニトリル生成物の面積に対する、1−シクロヘキシルオキシ表題化合物のピーク面積の比は、16:1〜31:1まで変化する。最終生成物中の1−シアノメトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オールの量は、4.6%である。
【0169】
実施例53 1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
水1.2g中の、塩化ルテニウム(III)水和物0.061g(0.294mmol)と、氷酢酸0.047g(0.783mmol)との混合物を、50℃に加熱する、1−オキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、シクロヘキサン12ml、およびアセトニトリル18mlの混合物に添加する。混合物を還流して、50%水性過酸化水素3.54g(52.0mmol)の溶液を、55分間かけて滴下する。過酸化物添加の開始後40分経って、水0.5g中の、塩化ルテニウム(III)水和物0.027gと氷酢酸0.041gとの混合物を反応混合物に添加する。過酸化物を添加した後、反応混合物を還流温度で1時間保持する。混合物を40℃に冷却し、水性亜硫酸ナトリウムを添加して、残留する過酸化物を分解する。水層を酢酸エチルで抽出し、合せる有機層を濃縮する。ヘプタン−酢酸エチルの100:6混合物でのフラッシュクロマトグラフィーにより、濃縮物を精製して、表題化合物0.14g(収率4%、無色シロップ)を得る。構造をNMR分光法によって確認する。GCアッセイは、99%である。
【0170】
実施例54 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
硫酸第一鉄七水和物0.234g(0.842mmol)、水3mlおよびメタンスルホン酸0.293g(3.05mmol)の溶液を、62℃に加熱した、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール5.00g(29.0mmol)、アセトニトリル45ml、およびシクロヘキサン32mlの混合物に添加する。温度を還流温度に維持しながら、50%水性過酸化水素8.07g(119mmol)の溶液を、反応混合物に、2.25時間かけて滴下する。過酸化物添加の開始後2時間経って、水2ml中の、硫酸第一鉄七水和物0.069gおよびメタンスルホン酸0.188gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物添加の開始後3.5時間経って、水1ml中の、硫酸第一鉄七水和物0.065gおよびメタンスルホン酸0.108gの溶液を、反応混合物に添加する。還流での総反応時間4.5時間の後に、反応混合物を冷却する。水性亜硫酸溶液によって過酸化物をクエンチする。アセトニトリルとシクロヘキサンとの2:1混合物によって水層を抽出し、合せる有機層を水酸化ナトリウム溶液で洗浄する。有機層にt−ブチルアルコール6ml、水6ml、水酸化ナトリウム0.4gおよび水素化ホウ素ナトリウム0.70gを添加する。混合物を3時間撹拌し、水層を酢酸エチルで抽出する。合せる有機層を水性クエン酸、水性重炭酸ナトリウムで洗浄し、その後濃縮する。1:1ヘプタン−酢酸エチルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物5.10g(収率69%、GCアッセイ93%)を薄黄色シロップとして得る。
【0171】
実施例54A 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
メタンスルホン酸の代わりに、ほぼ同量の濃塩酸を用いて、実施例54の手順を繰り返す。表題化合物の収量は、5.10g(69%)、GCアッセイ93%である。
【0172】
実施例54B 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
メタンスルホン酸の代わりに、ほぼ同量の氷酢酸を用いて、実施例54の手順を繰り返す。表題化合物の収量は、5.31g(72%)、GCアッセイ93%である。
【0173】
実施例54C 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
硫酸第一鉄七水和物の代わりに、同量の塩化第一鉄四水和物を用いて、実施例54の手順を繰り返す。表題化合物の収量は、5.25g(収率71%)、GCアッセイ91%である。
【0174】
実施例54D 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
硫酸第一鉄七水和物の代わりに、ほぼ同量の塩化第一鉄四水和物を、およびメタンスルホン酸の代わりに、濃塩酸を用いて、実施例54の手順を繰り返す。表題化合物の収量は、5.45g(収率74%)、GCアッセイ95%である。
【0175】
実施例54E 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
硫酸第一鉄七水和物の代わりに、同量の塩化第二鉄六水和物を用いて、実施例54の手順を繰り返す。表題化合物の収量は、5.99g(収率81%)、GCアッセイ93%である。
【0176】
実施例54F 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
硫酸第一鉄七水和物の代わりに、同量の塩化第二鉄六水和物を、およびメタンスルホン酸の代わりに、ほぼ同量のトリフルオロ酢酸を用いて、実施例54の手順を繰り返す。表題化合物の収量は、5.10g(収率69%)、GCアッセイ93%である。
【0177】
実施例54G 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
硫酸第一鉄七水和物の代わりに、ほぼ同量の塩化第二鉄六水和物を、およびメタンスルホン酸の代わりに、濃塩酸を用いて、実施例54の手順を繰り返す。表題化合物の収量は、5.63g(収率76%)、GCアッセイ94%である。
【0178】
実施例54H 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
硫酸第一鉄七水和物の代わりに、ほぼ同量の硫酸第二鉄水和物を、および50%過酸化水素溶液の代わりに、30%過酸化水素溶液を用いて、実施例54の手順を2倍の規模で繰り返す。表題化合物の収量は、9.63g(収率65%)、GCアッセイ85%である。
【0179】
実施例54J 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
鉱物油中のナノサイズ活性化鉄粉(0.042g)を、シクロヘキサン2mlで2回連続してすすぐ。溶媒のほとんどをピペットで除去する。鉄を、40℃に加熱した、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール5.00g(29.0mmol)、アセトニトリル44ml、およびシクロヘキサン32mlとの混合物に添加する。この混合物に、水3ml中の濃塩酸0.548gの溶液を、数分間かけて、注意深く添加する。反応温度を還流温度にして、50%水性過酸化水素7.81g(115mmol)の溶液を、2.25時間かけて滴下する。約半分の過酸化物溶液を添加した後に、シクロヘキサンで2回すすいでいる、鉱物油中のナノサイズ活性化鉄粉の第二部分(0.039g)および水1ml中の濃塩酸0.166gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物添加後、反応混合物を60〜62℃で1.5時間加熱する。実施例54の手順に従って、仕上げおよび精製をした後、表題化合物の収量が、5.53g(収率75%)、GCアッセイ96%である。
【0180】
実施例54K 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
銅粉(0.060g、0.944mmol)を、40℃に加熱した、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール5.00g(29.0mmol)、アセトニトリル44ml、およびシクロヘキサン30mlの混合物に添加1.5時間。反応混合物を還流した後、水3mol中の濃硫酸0.457gの溶液の一部を、反応混合物に注意深く添加する。還流する反応混合物に、50%水性過酸化水素7.32g(108mmol)の溶液を、2.5時間かけて滴下する。過酸化物添加の最初の15分間に、硫酸溶液の残りを少しずつ注意深く添加する。実施例54の手順に従って、仕上げおよび精製をた後、表題化合物の収量は、5.22g(収率70%、GCアッセイ94%)である。
【0181】
実施例54L 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール
酸化鉄(II、III)(0.107g、0.462mmol)を、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール2.51g(14.6mmol)、およびシクロヘキサン15mlの混合物に添加する。反応混合物を還流して、水2ml中の濃塩酸0.306gの溶液を添加する。反応温度を60〜62℃に維持しながら、50%水性過酸化水素4.49g(66mmol)の溶液を、反応混合物に、70分間かけて滴下する。過酸化物の約65%を添加した後、酸化鉄(II、III)0.055g(0.238mmol)および濃塩酸0.107gの溶液を、反応混合物に添加する。過酸化物を添加した後、GCアッセイが出発原料ニトロキシル化合物が存在しないことを示すまで、混合物を加熱還流する。実施例54の手順に従って、仕上げおよび精製をした後、表題化合物の収量は、1.87g(収率50%、GCアッセイ96%)である。
【0182】
実施例55 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン
水6ml中の、塩化第一鉄四水和物0.369g(1.86mmol)および氷酢酸0.327g(5.45mmol)の溶液を、50℃に加熱する、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン10.97g(64.4mmol)、アセトニトリル100ml、およびシクロヘキサン65mlの混合物に添加する。反応温度を60〜62℃にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素18.21g(268mmol)の溶液を、反応混合物に、5.25時間かけて滴下する。過酸化物を添加する間、塩化第一鉄四水和物0.227g、氷酢酸0.267gおよび水5mlの総量を、3回に分けて、反応混合物に添加する。実施例44の手順に従って仕上げして、表題化合物10.83g(収率66%、白色固体、mp32〜36℃)を得る。GCアッセイは、98.5%である。
【0183】
実施例55A 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン
実施例55の手順において、塩化第一鉄四水和物の代わりに、類似量の塩化第二鉄六水和物を用いる場合、表題化合物の収量は、9.63g(収率59%、mp33〜36℃、GCアッセイ99%)である。
【0184】
実施例55B 1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン(10.97g、64.4mmol)を、二分割する。水3ml中の、塩化第一鉄四水和物0.216g(1.09mmol)および氷酢酸0.185g(3.08mmol)の溶液を、還流近くまで加熱する、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン2g、アセトニトリル20ml、およびシクロヘキサン13mlの混合物に添加する。反応温度を60〜62℃にして、それを維持しながら、50%水性過酸化水素17.21g(253mmol)の溶液を、反応混合物に、4.75時間かけて滴下する。過酸化物を添加しながら、アセトニトリル20ml中の1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オンの残りの溶液を、3.5時間かけて、反応混合物に滴下する。1−オキシル化合物を添加する間、シクロヘキサン(47ml)およびアセトニトリル(50ml)を、反応混合物に数回に分けて添加する。過酸化物添加の間、塩化第一鉄四水和物0.326g、氷酢酸0.284gおよび水4mlの総量を、3回に分けて反応混合物に添加する。実施例44の手順に従って仕上げをして、表題化合物10.31g(収率63%)を得る。GCアッセイは、99%である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


で示される立体障害N−ヒドロカルビルオキシアミンを製造する方法であって、
過酸化水素または過酸化水素同等物、触媒量の過酸化物分解遷移金属、金属塩、金属酸化物または金属−配位子錯体、及び不活性共溶剤の存在下で、式II:
【化2】


示される立体障害ニトロキシル化合物を、活性化水素原子を含まない炭化水素と反応させること
(式中、
1およびG2は、独立して、炭素原子1〜4個のアルキルであるか、または、一緒になって、ペンタメチレンであり、
1およびZ2は、それぞれ、メチルであるか、または、Z1およびZ2は、一緒になって、エステル、エーテル、アミド、アミノ、カルボキシもしくはウレタン基によって更に置換されていてもよい結合部分を形成しており、
Eは、C5〜C18アルキル、C5〜C12シクロアルキル、またはC7〜C12ビシクロアルキルであるか、あるいは、Eは、C10〜C20アラルキルまたは、アルキルもしくはアリールによって置換されているアラルキルであり、ただし、炭化水素において、芳香族環に結合している炭素原子は、いずれも、水素によって置換されていない)
を含む方法。
【請求項2】
式Ia:
【化3】


で示される立体障害N−ヒドロカルビルオキシアミンを製造するための請求項1記載の方法であって、
過酸化水素または過酸化水素同等物、触媒量の過酸化物分解遷移金属、金属塩、金属酸化物または金属−配位子錯体、及び不活性共溶剤の存在下で、式IIa:
【化4】


で示される立体障害ニトロキシル化合物を、活性化水素原子を含まない炭化水素と反応させること
〔式中、
1〜G4は、それぞれ、C1〜C4アルキルであるか、または、G1およびG2が、一緒になって、ペンタメチレンであるか、または、G1−G2が、一緒になって、そしてG3−G4が、一緒になって、それぞれ、ペンタメチレンであり、
Tは、ヒンダードアミン窒素及びG1〜G4によって置換される第四級炭素原子2個を含む、5、6または7員環を完成するのに必要な2価有機基である(ここで、Tによって形成される、5、6、または7員環は、酸素、ラクトン:−C(=O)−O−、ラクタム:−NR1−C(=O)−を含んでいてもよく、ここで、R1は、水素または直鎖状もしくは分枝状C1〜C8アルキルであるか、あるいは、6員環の場合には、基:−C(=O)−NR1−C(=O)−であると理解される)か、または、
Tは、Xによって置換される炭素原子2〜4個のアルキレンであり、
Xは、水素、ヒドロキシル、オキソ、−NH−CO−R2、−O−CO−R2、または−NH−CO−NH−R2(式中、R2は、炭素原子1〜18個の直鎖状または分枝状アルキルである)であり、
Eは、直鎖状または分枝状C5〜C18アルキル、C5〜C12シクロアルキル、またはC7〜C12ビシクロアルキルであるか、あるいはC10〜C20アラルキル、またはアルキルもしくはアリールによって置換されるアラルキルであり、ただし、炭化水素において、芳香族環に結合している炭素原子は、いずれも、水素によって置換されていない〕
を含む方法。
【請求項3】
式Ib:
【化5】


で示される立体障害N−ヒドロカルビルオキシアミンを製造するための請求項1記載の方法であって、
過酸化水素または過酸化水素同等物、触媒量の過酸化物分解遷移金属塩、金属酸化物または金属−配位子錯体、及び不活性共溶剤の存在下で、式IIb:
【化6】


で示される立体障害ニトロキシル化合物を、活性化水素原子を含まない炭化水素と反応させること
(式中、
1〜G4およびXは、先に記載する意味を有し、ただし、Eが誘導される炭化水素において、芳香族環に結合している炭素原子は、いずれも、水素によって置換されていない)を含む方法。
【請求項4】
式Ic:
【化7】


で示される立体障害N−ヒドロカルビルオキシアミンを製造するための請求項1記載の方法であって、
過酸化水素または過酸化水素同等物、触媒量の過酸化物分解遷移金属塩、金属酸化物または金属−配位子錯体、及び不活性共溶剤の存在下で、式IIc:
【化8】


示される立体障害ニトロキシル化合物を、活性化水素原子を含まない炭化水素と反応させること
〔式中、
Eは、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、またはシクロヘキシルであり、
Xは、水素、ヒドロキシル、オキソ、−O−CO−R2(式中、R2は炭素原子1〜8個である)である〕
を含む方法。
【請求項5】
立体障害N−ヒドロカルビルオキシアミンが、
ビス(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート;
1−シクロヘキシルオキシ−4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;
ビス(1−ヘプチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート;
1−ヘキシルオキシ−4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;
ビス〔1−(2−メチル−2−フェニルプロピルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル〕アジパート;
1−(2−メチル−2−フェニルプロピルオキシ)−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;
2−クロロ−4,6−ビス〔N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ〕−s−トリアジン;
2,4,6−トリス〔N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ〕−s−トリアジン;
ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート;
1−シクロオクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール;
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカートとメチルシクロヘキサンとの反応生成物;
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシナートとノルボルナンとの反応生成物;
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オールとデカヒドロナフタレンとの反応生成物;
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジパートとイソオクタンとの反応生成物;
1−オキシル−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとイソオクタンとの反応生成物;
ビス〔1−(2,2−ジフェニルプロピルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル〕セバカート;
1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;
ビス(1−オクタデシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシナート;
1−シクロヘキシルオキシ−4−オクタデカノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;
1−オクチルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;
1−シクロヘキシルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;
1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール;または
1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン、である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
不活性共溶剤が、メタノールまたはアセトニトリルである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
過酸化水素同等物が、尿素過酸化水素である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記過酸化物分解遷移金属、金属塩または酸化物が、鉄粉、ナノサイズ活性化鉄粉、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、鉄(III)アセチルアセトナート、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、酢酸鉄(II)、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、酸化鉄(II,III)、クエン酸鉄(III)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、過塩素酸鉄(II)、過塩素酸鉄(III)、トリフルオロ酢酸鉄(II)、四フッ化ホウ酸鉄(II)、硫酸鉄(II)エチレンジアンモニウム、p−トルエンスルホン酸鉄(III)、六フッ化リン酸フェロセニウム、四フッ化ホウ酸フェロセニウム、銅粉、ナノサイズ活性化銅粉、塩化銅(I)、塩化銅(II)、酸化銅(I)、酸化銅(II)、硫酸銅(II)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、またはトリフルオロ酢酸銅(II)である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
過酸化物分解遷移金属−配位子錯体の金属が、バナジウム(II)、バナジウム(III)、スズ(IV)、銅(I)、銅(II)、チタン(III)、チタン(IV)、マンガン(II)、マンガン(III)、鉄(II)、鉄(III)、セリウム(III)、コバルト(II)またはルテニウム(III)である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
過酸化物分解遷移金属−配位子錯体の配位子が、2,2'−ジピリジル、2,2’:6,2''−テルピリジン、2,3−ビス(2−ピリジル)ピラジン、1,10−フェナントロリン、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、トリフェニルホスフィンオキシド、ピリジン、ピコリン酸、2−ピラジンカルボン酸、アニリンまたは置換アニリンと1,2−ジケトンとの反応から形成されるジイミン、N,N'−ビス(サリチリデン)エチレンジアミンもしくはN,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミンのようなジイミン、またはシクロペンタジエンである、請求項1記載の方法。
【請求項11】
更に、酸が添加される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
酸が、塩酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、四フッ化ホウ酸、酢酸、ホウ酸、クエン酸またはメタンスルホン酸である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
過酸化物分解遷移金属塩、金属酸化物または金属−配位子錯体の量が、N−オキシル部分1モルあたり0.001〜0.1モルである、請求項1記載の方法。
【請求項14】
炭化水素の量が、N−オキシル部分1モルあたり炭化水素1〜15モルである、請求項1記載の方法。
【請求項15】
過酸化水素または過酸化水素同等物の量が、N−オキシル部分1モルあたり1〜10モルである、請求項1記載の方法。

【公表番号】特表2009−500293(P2009−500293A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519911(P2006−519911)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051352
【国際公開番号】WO2005/005388
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】