説明

竪型炉への除湿送風方法及び設備

【課題】竪型炉に対して、年間を通じて冬季並みの湿分に除湿された送風空気を少ない消費エネルギーで安定的に供給する。
【解決手段】炉送風用の空気xを吸着式冷凍機aで冷却する工程Aと、この工程Aを経た空気xをデシカント除湿装置bで除湿する工程Bを有し、デシカント除湿装置bにおける吸湿剤再生用の加熱用流体と、吸着式冷凍機aにおける冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として、排熱又は/及び太陽熱を熱源として加熱された流体yを用いる。夏季においても炉送風用の空気を冬季並みの湿分レベルまで容易に且つ少ない消費エネルギーで除湿することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高炉などの竪型炉に除湿した空気を送風するための方法及び設備に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉設備では、炉送風用の空気を熱風炉で加熱し、この熱風を4気圧程度に昇圧した状態で羽口から炉内に供給(送風)する。送風空気の湿分が高いと、その分羽口先温度が低下するので、その対策として、送風空気の酸素富化率を高めたり、微粉炭吹き込み量を減少させる必要が生じ、経済的に望ましくない。
大気中の湿分濃度は、夏季で30g/m以上あるが、冬季では10g/m以下、寒冷な時期には5g/m程度まで低下し、年間での湿分の最大較差は25g/m以上にも達する。しかし、高炉の送風湿分が変化すると、羽口先温度を維持するために必要な酸素富化率や微粉炭吹き込み量が大幅に変動するため、安定的な操業が阻害される。このため、特に高炉のように連続運転される竪型炉では、安定操業のために、送風湿分を年間を通じてほぼ一定にすることが求められる。
【0003】
従来、除湿送風機能を持たない高炉設備では、送風湿分を常に一定とするには、最も湿分が高い夏季相当の湿分に合わせて送風空気を調湿する必要があった。しかし、送風湿分が高いと酸素富化率やコークス原単位が増加するので、高炉設備に除湿送風機能を持たせ、送風湿分を年間を通じて冬季並のレベルとすることが好ましい。
送風湿分を冬季並みのレベルまで低減するには、クーラーを用いて空気温度を低下させ、露点を下げることが有効であると考えられる。しかし、例えば、クーラーとして圧縮冷凍機を用いた場合、圧縮冷凍機のコンプレッサーの運転動力は非常に大きいため、除湿送風により竪型炉の燃料原単位を低減できても、コンプレッサーで多大なエネルギーを消費するため、省エネルギーとはなりにくく、経済的な面で実用化は難しい。
【0004】
また、クーラーとして吸着式冷凍機を用いた場合には、一般的に冷熱として得られる水温は10℃程度が限界である。送風湿分を冬季並みのレベルまで低減させるには、冷熱として5℃程度の水温が必要であり、したがって、吸着式冷凍機では、送風湿分を冬季並みのレベルまで低減させることができない。
一方、シリカゲルや塩化リチウムなどの吸湿剤(デシカント材料)で除湿を行うデシカント除湿装置を用いて除湿送風を行う方法が、特許文献1に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭51−112403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
デシカント除湿装置は、吸湿剤による空気中から吸湿と、加熱による吸湿剤の再生(吸着した水分を揮発・除去して吸湿能力を回復する)を繰り返し行うものであるため、吸湿できるレベルに限界がある。このため、初期湿分濃度から湿分を15g/m程度は低減できるものの、例えば、夏季の湿分35g/mを冬季の湿分5g/m程度まで低減することは難しい。このようなことから、送風湿分を年間を通じて一定にするには、夏季などには湿分20g/m程度まで除湿する一方で、湿分レベルが低い冬季には、湿分5g/mから20g/m程度までわざわざ加湿して運転する必要があり、燃料原単位低減の観点から問題があった。
以上のように、従来では、夏季の送風湿分を冬季並みのレベル(5g/m程度)まで少ない消費エネルギーで低減できる手段がなく、このため、竪型炉への除湿送風は、特に燃料価格が高騰した場合以外には、実施されずにきたのが実状である。
【0007】
したがって本発明の目的は、高炉などの竪型炉に対して、年間を通じて冬季並みの湿分に除湿された送風空気を少ない消費エネルギーで安定的に供給することができる除湿送風方法及び設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決できる除湿送風方法について検討を重ねた結果、炉送風用の空気を吸着式冷凍機で冷却した後、デシカント除湿装置で除湿するとともに、デシカント除湿装置の吸湿剤再生用と吸着式冷凍機の冷媒蒸気脱着用の熱源として、排熱又は/及び太陽熱を活用することにより、夏季においても冬季並みの湿分に除湿された送風空気を少ない消費エネルギーで炉に供給できることを見出した。さらに、(i)吸着式冷凍機で冷却された空気(冷熱)の一部をデシカント除湿装置に供給し、再生された吸湿剤を冷却するための冷媒として用いること、(ii)高炉などのように送風空気を昇圧する場合には、デシカント除湿装置で除湿した空気を、さらに吸着式冷凍機で冷却した上で昇圧すること、(iii)吸湿剤再生用と冷媒蒸気脱着用の熱源として排熱又は/及び太陽熱を活用するに当たっては、排熱又は/及び太陽熱を熱源として加熱された流体を、吸湿剤再生用→冷媒蒸気脱着用として順次利用すること、などが上記課題の解決に有効であることが判った。
【0009】
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]竪型炉に除湿した空気を送風するための方法であって、
炉送風用の空気(x)を吸着式冷凍機(a)で冷却する工程(A)と、工程(A)を経た空気(x)をデシカント除湿装置(b)で除湿する工程(B)を有し、
デシカント除湿装置(b)における吸湿剤再生用の加熱用流体と、吸着式冷凍機(a)における冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として、排熱又は/及び太陽熱を熱源として加熱された流体(y)を用いることを特徴とする竪型炉への除湿送風方法。
【0010】
[2]上記[1]の除湿送風方法において、流体(y)を、デシカント除湿装置(b)に供給して吸湿剤再生用の加熱用流体として用いた後、吸着式冷凍機(a)に供給して冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として用いることを特徴とする竪型炉への除湿送風方法。
[3]上記[1]又は[2]の除湿送風方法において、さらに、工程(B)を経た空気(x)を吸着式冷凍機(c)で冷却する工程(C)と、工程(C)を経た空気(x)を昇圧機(d)で昇圧する工程(D)を有し、
吸着式冷凍機(c)における冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として、流体(y)を用いることを特徴とする竪型炉への除湿送風方法。
【0011】
[4]上記[3]の除湿送風方法において、流体(y)を、デシカント除湿装置(b)に供給して吸湿剤再生用の加熱用流体として用いた後、吸着式冷凍機(a)と吸着式冷凍機(c)にそれぞれ供給して冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として用いることを特徴とする竪型炉への除湿送風方法。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの除湿送風方法において、吸着式冷凍機(a)又は/及び吸着式冷凍機(c)で冷却された空気(x)の一部をデシカント除湿装置(b)に供給し、流体(y)で再生された吸湿剤を冷却するための冷却用流体として用いることを特徴とする竪型炉への除湿送風方法。
【0012】
[6]竪型炉に除湿した空気を送風するための設備であって、
炉送風用の空気(x)を冷却する吸着式冷凍機(a)と、吸着式冷凍機(a)で冷却された空気(x)を除湿するデシカント除湿装置(b)と、排熱又は/及び太陽熱を熱源として加熱された流体(y)を、吸湿剤再生用の加熱用流体としてデシカント除湿装置(b)に供給するとともに、冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として吸着式冷凍機(a)に供給する供給手段(e)を有することを特徴とする竪型炉への除湿送風設備。
【0013】
[7]上記[6]の除湿送風設備において、供給手段(e)が、流体(y)を吸湿剤再生用の加熱用流体としてデシカント除湿装置(b)に供給し、デシカント除湿装置(b)を通過した流体(y)を、冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として吸着式冷凍機(a)に供給するものであることを特徴とする竪型炉への除湿送風設備。
[8]上記[6]又は[7]の除湿送風設備において、さらに、デシカント除湿装置(b)で除湿された空気を冷却する吸着式冷凍機(c)と、吸着式冷凍機(c)で冷却された空気(x)を昇圧する昇圧機(d)を有し、
供給手段(e)が、さらに、流体(y)を冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として吸着式冷凍機(c)に供給するものであることを特徴とする竪型炉への除湿送風設備。
【0014】
[9]上記[8]の除湿送風設備において、供給手段(e)が、流体(y)を吸湿剤再生用の加熱用流体としてデシカント除湿装置(b)に供給し、デシカント除湿装置(b)を通過した流体(y)を、冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として吸着式冷凍機(a)と吸着式冷凍機(c)にそれぞれ供給するものであることを特徴とする竪型炉への除湿送風設備。
[10]上記[6]〜[9]のいずれかの除湿送風設備において、吸着式冷凍機(a)又は/及び吸着式冷凍機(c)で冷却された空気(x)の一部を、流体(y)で再生された吸湿剤を冷却するための冷却用流体としてデシカント除湿装置(b)に供給する供給手段(f)を有することを特徴とする竪型炉への除湿送風設備。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、湿分が高い夏季の送風空気を冬季並みの湿分レベルまで容易に且つ少ない消費エネルギーで除湿することができ、このため高炉などの竪型炉に対して、年間を通じて冬季並みの湿分に除湿された送風空気を、少ない消費エネルギーで安定的に供給することができる。そして、このように年間を通じて低湿分の送風空気を竪型炉に供給できることにより、炉の燃料原単位の低減化とCO発生量の削減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の除湿送風方法及び設備の一実施形態を示す説明図
【図2】本発明の除湿送風方法及び設備の他の実施形態を示す説明図
【図3】本発明で使用するデシカント除湿装置の一実施形態を示す説明図
【図4】本発明で使用するデシカント除湿装置の他の実施形態を示す説明図
【図5】本発明の除湿送風方法及び設備の他の実施形態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の除湿送風方法は、炉送風用の空気xを吸着式冷凍機aで冷却する工程Aと、この工程Aを経た空気xをデシカント除湿装置bで除湿する工程Bを有し、デシカント除湿装置bにおける吸湿剤再生用の加熱用流体と、吸着式冷凍機aにおける冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として、排熱又は/及び太陽熱を熱源として加熱された流体yを用いるものである。
本発明において、例えば、夏季において湿分35g/m、33℃の炉送風用の空気xは、工程Aにおいて吸着式冷凍機aにより冷却されることで湿分15〜20g/m、15〜20℃程度になり、さらに、工程Bにおいてデシカント除湿装置bにより除湿されることで湿分5〜10g/m程度になる。
ここで、デシカント除湿とは、シリカゲルやゼオライトなどのような空気中の水分を吸着して除湿できる材料(吸湿剤)を用いた除湿方法であり、水分を吸着した吸湿剤は、これを所定温度以上に加熱することにより、吸着した水分が脱離して再生され、再び水分を吸着することができる。
【0018】
図1は、本発明の除湿送風方法及びその実施に供される設備の一実施形態を示している。この除湿送風設備は、炉送風用の空気xを冷却する吸着式冷凍機aと、この吸着式冷凍機aで冷却された空気xを除湿するデシカント除湿装置bと、排熱又は/及び太陽熱を熱源として加熱された流体yを、吸湿剤再生用及び冷媒蒸気脱着用の加熱用流体としてデシカント除湿装置bと吸着式冷凍機aに供給する供給手段eを有している。さらに、この実施形態では、吸着式冷凍機aで冷却された空気xの一部を、流体yで再生された吸湿剤を冷却するための冷却用流体としてデシカント除湿装置bに供給する供給手段fを有している。
なお、除湿された空気xは、熱風炉gで加熱された後、竪型炉に燃焼用空気として導入される。
【0019】
前記吸着式冷凍機aは、機内を循環する冷媒と空気xを蒸発器で熱交換させ、空気xを冷却するものであり、基本的な構造に関しては従来公知のものを用いてよい。吸着式冷凍機は、シリカゲルなどの固体吸着材と、その加熱・冷却用の熱交換部を内蔵した少なくとも2つの吸着式反応器を備えるとともに、これらに共通の凝縮器と蒸発器を備えている。蒸発器では被冷却流体(本発明においては空気x)との熱交換により冷媒が蒸発し、この冷媒蒸気が、一方の吸着式反応器に導入され、熱交換部に導入される冷媒により冷却されながら固体吸着材に吸着される。その間、他方の吸着式反応器では、冷媒蒸気脱着用の加熱用流体(本発明においては流体y)が熱交換部に導入され、この加熱用流体により固体吸着材を加熱することで冷媒蒸気の脱着(固体吸着材の再生)がなされる。固体吸着材から脱着した冷媒蒸気は、凝縮器に送られて冷却・液化された後、蒸発器に送られる。2つの吸着式反応器では、流路の切換により上記のような冷媒蒸気の吸着と脱着が交互に行われる。
【0020】
本発明における吸着式冷凍機aは、以上のような基本的な機能において従来のものと変わりはないが、吸着式反応器に供給する冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として、前記流体yを用いるものである。吸着式反応器に対する流体y(冷媒蒸気脱着用の加熱用流体)の供給は前記供給手段eを通じてなされ、2つの吸着式反応器のうち、脱着工程にある吸着式反応器に対して流体yが供給される。
前記デシカント除湿装置bは、ロータ式のものが一般的である。このロータ式の装置は、吸湿剤(乾燥剤)が装着された除湿ロータを備え、ロータ厚さ方向で気体が吸湿剤を通過することにより、吸湿剤による気体からの除湿、吸湿剤の再生などがなされるようになっており、装置全体がコンパクトで且つバルブ類を省略できる利点がある。但し、デシカント除湿装置bとしては、他の方式のものを用いてもよく、例えば、連続的に除湿処理する装置として吸湿剤を充填した複数の容器への給気と排気をバルブの切換によって行うような方式の装置を用いてもよい。
【0021】
図3は、本発明で用いるデシカント除湿装置bをロータ式のデシカント除湿装置とした場合の一実施形態を模式的に示すものである。図において、1は吸湿剤(デシカント材料)が装着された除湿ロータであり、回転軸10を中心に低速で回転駆動する。除湿ロータ1の前後面において、除湿ロータ1に対して気体が出入りできる領域は、ケーシング(図示せず)などによってロータ周方向で除湿ゾーン2と再生ゾーン3に分けられており、さらに、この再生ゾーン3は、吸湿剤から水分を脱着(除去)する湿分脱着ゾーン30(第1ゾーン)と、水分が脱着された吸湿剤を冷却する冷却ゾーン31(第2ゾーン)に分けられている。
【0022】
このようなデシカント除湿装置bでは、低速で回転駆動する除湿ロータ1に対して、各ゾーンにおいて以下のように空気xや流体yが導入される。まず、除湿ゾーン2では、付設されたファン(図示せず)により、吸着式冷凍機aにおいて冷却された空気x(送風空気)が導入され、この空気xは吸湿剤を通過することで除湿される。また、再生ゾーン3を構成する湿分脱着ゾーン30(第1ゾーン)では、付設されたファン(図示せず)により、吸湿剤再生用の加熱用流体として流体yが導入され、この流体yは吸湿剤を通過することで、吸湿剤から水分を脱着(除去)する。さらに、再生ゾーン3を構成する冷却ゾーン31(第2ゾーン)では、付設されたファン(図示せず)により、吸着式冷凍機aで冷却された空気xの一部が、吸湿剤冷却用の流体として導入され、この空気xは吸湿剤を通過することで、前記流体yで再生された吸湿剤を冷却する。
【0023】
回転する除湿ロータ1の各部分は、上記のようにして各ゾーンを通過することにより、吸湿剤による空気x中の水分の吸湿(空気xの除湿)→吸湿剤の水分の脱着→吸湿剤の冷却、を繰り返すことになる。
湿分脱着ゾーン30における流体y(吸湿剤再生用の加熱用流体)の供給は前記供給手段eを通じてなされ、また、冷却ゾーン31における空気x(吸着式冷凍機aで冷却された空気xの一部)の供給は前記供給手段fを通じてなされる。
前記供給手段eは、排熱又は/及び太陽熱を熱源として所定温度の流体yを得る手段(設備)と、得られた流体yをデシカント除湿装置b(湿分脱着ゾーン30)および吸着式冷凍機a(脱着工程にある吸着式反応器)に供給するための配管などで構成される。
【0024】
また、供給手段eとしては、蓄熱機能を備えるものであってもよい。例えば、流体yの加熱用熱源として太陽熱を利用する場合、太陽熱を取り込めるのは日射がある時間帯に限られ、そのままではデシカント除湿装置bや吸着式冷凍機aに供給される流体yの温度に変動を生じるおそれがあるので、供給手段eに蓄熱材を充填した蓄熱タンクを設けて太陽熱の一部を蓄熱し、必要に応じて、蓄熱された太陽熱を流体yの加熱用熱源として用いるようにしてもよい。また、流体yの加熱用熱源として製鋼精錬プロセスの排熱を利用する場合、製鋼精錬プロセスはバッチ式で溶銑処理や転炉操業を行うので、排出される排熱は連続的ではないが、蓄熱機能で平滑化することにより、連続処理プロセス用熱源として安定して活用できる。これにより、連続操業における除湿送風を安定して実施することができる。蓄熱材としては、例えば、エリスリトールや相変体等により蓄熱できる材料(例えば、溶融塩など)を用いることで、100〜200℃程度の排熱や太陽熱を蓄熱することができる。
【0025】
また、太陽熱を熱源として利用する場合には、反射鏡やレンズなどを備えた集熱装置で太陽熱を集熱し、100℃を超える温度が得られるようにすることが好ましい。
前記供給手段fは、吸着式冷凍機aで冷却された空気xの一部を抜き出して、これを吸湿剤の冷却用流体としてデシカント除湿装置b(冷却ゾーン31)に供給するための配管などで構成される。
【0026】
デシカント除湿装置bで使用する吸湿剤再生用の加熱用流体の温度は120〜200℃程度であればよく、また、吸着式冷凍機aで使用する冷媒蒸気脱着用の加熱用流体の温度は60〜100℃程度であればよい。したがって、デシカント除湿装置bでの吸湿剤再生用と吸着式冷凍機aでの冷媒蒸気脱着用として用いられる流体yの温度は200℃以下(60℃以上)で十分であり、このような流体温度を得るための熱源として、排熱又は/及び太陽熱を利用することが可能である。排熱としては、製鉄所に比較的豊富に存在する60〜200℃程度の低温排熱、具体的には各種設備から排出される排ガスの顕熱、各種設備や高炉スラグなどから放出される熱などを活用できる。例えば、焼結機クーラー排ガス、焼結機主排ガス、高炉熱風炉排ガス、高炉主排ガス、製鋼精錬設備(溶銑処理容器、転炉など)排ガス、高炉スラグ顕熱、鋳造設備廃熱、製鉄所内蒸気ドレーン廃熱、その他の予熱・加熱用燃焼機器の排ガスなどが挙げられ、これらの1種以上の排ガスの顕熱や放出熱を熱源として利用できる。なお、流体yの温度が200℃を超えると、装置の熱変形が大きくなるので実用化が難しくなる。
【0027】
流体yとしては、通常、蒸気(水蒸気)が用いられる。製鉄所の場合、既存の蒸気供給系があるので、流体yが蒸気であれば、その蒸気供給系を活用できる。排ガスなどの排熱はボイラーで回収して蒸気を発生させ、これを流体y(熱媒体)とする。また、高炉スラグ顕熱や設備廃熱(放出熱)の場合には、空気などで熱回収を行い、その熱を利用したボイラーなどで蒸気を発生させ、これを流体y(熱媒体)とする。また、太陽熱は集熱装置で集熱され、その熱を利用したボイラーなどで蒸気を発生させ、これを流体y(熱媒体)とする。
また、流体yとしては、例えば、水和スラリー、エリスリトールなどのような蓄熱性能を有する熱媒体を用いることもでき、このような熱媒体を用いることにより、排熱の供給熱量と温度を安定化できるので、除湿レベルを安定化できる利点がある。
【0028】
流体yは、デシカント除湿装置bに吸湿剤再生用の加熱用流体として、また、吸着式冷凍機aに冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として、それぞれ独立して別々に供給されてもよいが、本実施形態では、流体yを、デシカント除湿装置bに供給して吸湿剤再生用の加熱用流体として用いた後、吸着式冷凍機aに供給して冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として用いている。上記のように、必要な流体温度は吸湿剤再生用(120〜200℃)>冷媒蒸気脱着用(60〜100℃)であるため、このように流体yを吸湿剤再生用→冷媒蒸気脱着用として順次利用することにより、低温熱源である排熱や太陽熱をより有効に利用することができる。
なお、流体yとして蒸気を用いる場合、蒸気をデシカント除湿装置bに吸湿剤再生用の加熱用流体として供給すると、蒸気は少なくとも部分的にドレーンとなるが、ドレーンは60〜100℃程度の温度を有しているので、吸着式冷凍機aに供給して冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として用いるのに何ら問題はない。
【0029】
さらに、本実施形態では、吸着式冷凍機aで冷却された空気xの一部を抜き出してデシカント除湿装置bに供給し、流体yで再生された吸湿剤を冷却するための冷却用流体として用いている。流体yで再生された吸湿剤は温度が上昇しており、これを冷却することにより、吸湿剤の除湿能力を高めることができる。そして、本実施形態のように、吸湿剤の冷却に吸着式冷凍機aの冷熱(吸着式冷凍機aで冷却された空気xの一部)を利用することにより、少ない消費エネルギーによりデシカント除湿性能が高められ、より高い除湿レベルを得ることができる。例えば、夏季において湿分35g/m、33℃の空気xは、吸着式冷凍機aで得られる10℃程度の冷熱により12℃程度に冷却され、この空気xの一部を冷却用流体として用い、流体yで再生された吸湿剤の温度を20℃以下まで低下させることにより、デシカント除湿装置bの雰囲気温度の露点から想定される除湿レベルよりもさらに低い湿分濃度まで除湿することができるので、容易に冬季並み湿分濃度(5g/m程度)を得ることができる。
【0030】
図4は、本発明で用いるデシカント除湿装置bの他の実施形態を模式的に示すものである。この方式は、吸湿剤を充填した複数の容器を用い、バルブの切換によって空気xの除湿と、流体yによる吸湿剤の再生が複数の容器で交互になされるようにするものである。
この実施形態では、デシカント除湿装置bは、吸湿剤が充填された2つの容器4a,4bからなり、各容器4a,4bには、空気x(送風空気)用の流路5の分岐流路50a,50bと、流体y(吸湿剤再生用の加熱用流体)用の流路6の分岐流路60a,60bが、それぞれ導かれている。これらのうち、流路6及びその分岐流路60a,60bが供給手段eを構成している。容器4a,4bの入側と出側における各分岐流路50a,50bと分岐流路60a,60bには、それぞれ開閉弁70,71,72,73と開閉弁80,81,82,83(なお、図示した開閉弁のうち、白く表示したものは開状態を、黒く表示したものは閉状態をそれぞれ示している)が設けられている。
【0031】
このデシカント除湿装置bでは、図4(ア)に示すように、容器4aにおいて空気xの除湿を行う場合には、容器4bでは流体y(吸湿剤再生用の加熱用流体)の供給による吸湿剤の再生を行う。このため、分岐流路50aの開閉弁70,71を開、分岐流路50bの開閉弁72,73を閉とし、分岐流路60aの開閉弁80,81を開、分岐流路60bの開閉弁82,83を閉とし、容器4aと容器4bにそれぞれ空気xと流体yを供給する。適当な時期に容器の切り替えを行い、今度は、図4(イ)に示すように、容器4bで空気xの除湿を行い、容器4bで流体y(吸湿剤再生用の加熱用流体)の供給による吸湿剤の再生を行う。このため、分岐流路50bの開閉弁72,73を開、分岐流路50aの開閉弁70,71を閉とし、分岐流路60bの開閉弁82,83を開、分岐流路60aの開閉弁80,81を閉とし、容器4bと容器4aにそれぞれ空気xと流体yを供給する。このように図4(ア)と図4(イ)の工程が繰り返されることにより、送風用の空気xの除湿を連続的に行うことができ、且つその間に吸湿剤の再生も適切に行うことができる。
【0032】
図5は、本発明の除湿送風方法及びその実施に供される設備において、太陽熱を熱源として加熱された流体yを、吸湿剤再生用及び冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として用いる場合の一実施形態を示している。
この実施形態では、温水(ドレーン)〜水蒸気を循環させる循環管路hを有しており、この循環管路hが供給手段eを構成している。循環管路hの途中には、ポンプ11と太陽光を集光させる加熱用管部12が設けられており、ポンプ11により循環管路hで温水(ドレーン)を圧送(例えば8気圧程度で圧送)しつつ、集光手段13(集光レンズ、反射鏡など)により加熱用管部12に太陽光を集光し、管内の温水を加熱することで、流体yである水蒸気を得る。例えば、温水を8気圧程度で圧送した場合には、150℃程度の水蒸気を得ることができる。この流体y(水蒸気)は、循環管路h(供給手段e)により吸湿剤再生用及び冷媒蒸気脱着用の加熱用流体としてデシカント除湿装置bと吸着式冷凍機aに順次供給される。この過程で水蒸気は温水(ドレーン)となり、再び加熱用管部12で加熱されて水蒸気となる。
【0033】
以上のような実施形態では、系外から供給される水を加熱して温水〜水蒸気を得るようにする場合に較べて、効率的に太陽エネルギーを利用できる。
また、循環管路hの途中に蓄熱材(例えば、エリスリトール、溶融塩など)を充填した蓄熱タンクを設けて、太陽熱の一部を蓄熱できるようにし、例えば、日射のない時間帯には蓄熱タンクに蓄熱された太陽熱を流体yの加熱用熱源として用いるようにしてもよい。
【0034】
本発明では、吸着式冷凍機aによる冷却除湿とデシカント除湿装置bによるデシカント除湿を組み合わせ、しかもデシカント除湿装置bの吸湿剤再生用と吸着式冷凍機aの冷媒蒸気脱着用の熱源として、排熱又は/及び太陽熱を活用することにより、夏季においても炉送風用の空気を冬季並みの湿分レベルまで容易に且つ少ない消費エネルギーで除湿することができる。さらに、上記のように流体yを吸湿剤再生用→冷媒蒸気脱着用として順次利用することにより、低温熱源である排熱や太陽熱をより有効に利用し、エネルギー効率を高めることができる。また、吸着式冷凍機aで冷却された空気(冷熱)の一部をデシカント除湿装置bに供給し、再生された除湿剤を冷却するための冷媒として用いることにより、少ない消費エネルギーでより高い除湿レベルを得ることができる。
【0035】
本発明の他の実施形態では、さらに、前記工程Bを経た空気xを吸着式冷凍機cで冷却する工程Cと、この工程Cを経た空気xを昇圧機dで昇圧する工程Dを有し、吸着式冷凍機cにおける冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として流体yを用いる。
竪型炉が高炉などの場合には、送風空気の昇圧が必要であるが、空気xはデシカント除湿装置bで除湿されることで温度が上昇し、その分昇圧のための動力が増大する。そこで、本実施形態では、昇圧のための動力を低減するために、デシカント除湿装置bで除湿された空気xを第二の吸着式冷凍機cで冷却した後、昇圧機dで昇圧するものである。
【0036】
図2は、この実施形態の除湿送風方法及びその実施に供される設備を示している。この除湿送風設備は、図1の設備に加えて、さらに、デシカント除湿装置bで除湿された空気xを冷却する吸着式冷凍機cと、この吸着式冷凍機cで冷却された空気xを昇圧する昇圧機dを有し、供給手段eが、さらに、流体yを冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として吸着式冷凍機cに供給するものである。
前記吸着式冷凍機cは、吸着式冷凍機aと同様のものでよい。
前記供給手段eは、排熱又は/及び太陽熱を利用して所定温度の流体yを得る手段(設備)と、得られた流体yをデシカント除湿装置b(湿分脱着ゾーン30)、吸着式冷凍機a(脱着工程にある吸着式反応器)及び吸着式冷凍機c(脱着工程にある吸着式反応器)に供給するための配管などで構成される。
その他の構成は図1と同様であるので、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0037】
本実施形態では、例えば、デシカント除湿装置bを出た空気xの温度が40℃程度ある場合、吸着式冷凍機cで15℃以下に冷却され、昇圧機dに供給される。これによる省エネルギー効果として、送風用の昇圧コンプレッサの動力を約8%程度削減できる。これは、送風空気の温度が40℃から15℃まで低下したことにより、昇圧前の送風空気の実ガス容積が低減したことによる効果である。
昇圧機dで昇圧された空気xは、熱風炉gで加熱された後、竪型炉に燃焼用空気として導入される。
【0038】
なお、本実施形態でも、供給手段fにより、吸着式冷凍機aで冷却された空気xの一部を抜き出してデシカント除湿装置bに供給し、吸湿剤を冷却するための冷却用流体として用いているが、これに代えて、図2の仮想線に示すように、吸着式冷凍機cで冷却された空気xの一部を抜き出してデシカント除湿装置bに供給し、吸湿剤を冷却するための冷却用流体として用いてもよい。また、両吸着式冷凍機a,cで冷却された空気xの一部を抜き出してデシカント除湿装置bに供給し、吸湿剤を冷却するための冷却用流体として用いてもよい。
【0039】
本発明を実施するに当たって、除湿すべき送風空気の湿分や温度などにより、吸着式冷凍機a、デシカント除湿装置b及び吸着式冷凍機cの運転条件や、供給手段e及び供給手段fによる流体の供給条件が、制御装置で制御される。そのため、空気xの湿分や温度、さらには吸湿剤の温度、流体yの温度や量、吸着式冷凍機a,cの冷媒温度、デシカント除湿装置bの稼働率(ローター式の場合は回転数)などが適宜測定され、これらの情報が制御装置に送られ、これに基づき上記制御がなされる。
【0040】
本発明は、高炉、スクラップ溶解炉、キュポラ、廃棄物処理炉などのような各種竪型炉の除湿送風に適用できるが、特に冶金炉の除湿送風に好適であり、なかでも高炉の除湿送風に特に好適である。高炉の場合、キュポラの数十倍という膨大な送風量であるため、本発明は、このような膨大な送風空気を経済的に除湿送風するのに最適な方法であると言える。
例えば、本発明の図1の実施形態をスクラップ溶解炉(出銑量:2000t/日)の除湿送風に適用した場合、除湿送風を行わない場合に較べてコークス原単位を約10kg/t程度低減することができる。また、本発明の図2の実施形態を高炉(出銑量:10000t/日)の除湿送風に適用した場合、PCI比率を増大させられるので、除湿送風を行わない場合に較べてコークス原単位を約3kg/t程度低減することができる。
【0041】
竪型スクラップ溶解炉(出銑量:2000t/日)への除湿送風を想定して、下記の本発明例1,2及び比較例1,2について、除湿後の送風空気の湿分及び温度と、除湿に要した運転コスト、溶解炉でのコークス削減効果などを計算により求めた。その結果を、除湿前の送風空気の湿分及び温度、送風圧力、利用排熱温度とともに表1に示す。
・本発明例1
図1に示す方法を適用した本発明例であり、150℃,8気圧の水蒸気(流体y)を、デシカント除湿装置bに供給して吸湿剤再生用の加熱用流体として用いた後、吸着式冷凍機aに供給して冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として用いるものである(すなわち、「排熱(流体y)の2段階利用:あり」の例)。この例では、送風空気は吸着式冷凍機aで15℃以下まで温度降下し、この温度降下により除湿されて湿分が14g/m程度まで低下し、次いで、デシカント除湿装置bで湿分10g/m以下まで除湿される。この結果、除湿送風を行わない場合に較べてコークス原単位を約10kg/t程度削減することができる。デシカント除湿装置bで除湿後の送風空気の温度は40℃程度となるが、充填層厚みがそれほど大きくない竪型スクラップ溶解炉では、送風圧力が大気圧からの昇圧分として0.02MPa程度であり、送風用の昇圧コンプレッサの動力が小さいので、そのまま送風される。この場合の排熱利用率を25℃の標準状態に対する排熱エンタルピーの活用率として見てみると、概ね70%である。また、流体yの使用条件も勘案した運転コストは、下記する比較例1の除湿工程の所要コストを100とした場合93である。
【0042】
・本発明例2
図1に示す方法に対して、150℃,8気圧の水蒸気(流体y)を、デシカント除湿装置bに吸湿剤再生用の加熱用流体として、また、吸着式冷凍機aに冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として、それぞれ別々に供給する本発明例である(すなわち、「排熱(流体y)の2段階利用:なし」の例)。その他は、本発明例1と同様の条件とした。この例では、除湿後の送風空気湿分・温度、コークス削減効果などは本発明例1と同じであるが、150℃,8気圧の水蒸気(流体y)を、デシカント除湿装置bに吸湿剤再生用の加熱用流体として、吸着式冷凍機aに冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として、それぞれ別々に供給するものであるため、流体yの使用条件も勘案した運転コストは本発明例1よりも若干高くなり、下記する比較例1の除湿工程の所要コストを100とした場合95である。
【0043】
・比較例1
デシカント除湿装置によるデシカント除湿のみを行った比較例であり、この例では、送風空気は湿分20g/m程度までしか除湿されない。このため、本発明例1,2におけるコークス原単位削減量の約半分程度しか、コークス原単位を削減できない。
・比較例2
吸着式冷凍機による冷却除湿のみを行った比較例であり、この例では、送風空気は湿分14g/m程度までしか除湿されない。このため、本発明例1,2におけるコークス原単位削減量の約7割程度しか、コークス原単位を削減できない。
【0044】
【表1】

【0045】
高炉(出銑量:10000t/日)への除湿送風を想定して、下記の本発明例3,4及び比較例3について、除湿後の送風空気の湿分及び温度と、除湿に要した動力及び運転コスト、高炉でのコークス削減効果などを計算により求めた。その結果を、除湿前の送風空気の湿分及び温度、送風圧力、利用排熱温度とともに表2に示す。
・本発明例3
図2に示す方法であって、デシカント除湿装置bにおいて流体yで再生された吸湿剤が空気xで冷却されない方法を適用した本発明例である。なお、流体yは150℃,8気圧の水蒸気であり、この水蒸気をデシカント除湿装置bに供給して吸湿剤再生用の加熱用流体として用いた後、吸着式冷凍機aに供給して冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として用いるものである。この例では、除湿効果に関しては本発明例1,2とほぼ同様である。高炉の場合、充填層厚みが竪型スクラップ溶解炉よりも大きいので、送風圧力は、大気圧からの昇圧分として0.4MPa程度になる。このため送風用の昇圧コンプレッサ動力が大きくなるので、デシカント除湿装置bによる除湿後、吸着式冷凍機cにより温度降下させ、送風動力の増大を抑制する。この本発明例3の場合では、デシカント除湿装置bによる除湿後の送風空気の温度を、吸着式冷凍機cにより40℃から15℃以下まで温度降下させることによる省エネ効果として、送風用の昇圧コンプレッサの動力を約8%程度の低減させることができる。高炉の場合、羽口先温度などを考慮し、PCI(微粉炭)吹き込み量調整を実施した結果として、除湿送風を行わない場合に較べてコークス原単位を約3kg/t削減することができる。
【0046】
・本発明例4
図2に示す方法であって、デシカント除湿装置bにおいて流体yで再生された吸湿剤が空気xで冷却される方法を適用した本発明例である。なお、流体yは150℃,8気圧の水蒸気であり、この水蒸気をデシカント除湿装置bに供給して吸湿剤再生用の加熱用流体として用いた後、吸着式冷凍機aに供給して冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として用いるものである。この例では、吸着式冷凍機aで送風空気を冷却除湿するまでは、本発明例3と同様であるが、デシカント除湿装置bでは流体yで再生された吸湿剤が空気xで冷却されることにより、デシカント除湿装置の能力が高められ、最終的な除湿後の湿分を5g/m以下まで低下させることができ、コークス原単位削減量を本発明例3の約1割増程度とすることができる。
・比較例3
圧縮式冷凍機による冷却除湿のみを行った比較例である。この例では、除湿後の湿分を10g/m以下にできるので、コークス原単位を本発明例3並に低減できるが、圧縮冷凍機の所要電力が本発明例3の10倍以上大きいため、プロセストータルとしては省エネルギーにならず、経済性もない。
【0047】
【表2】

【符号の説明】
【0048】
a 吸着式冷凍機
b デシカント除湿装置
c 吸着式冷凍機
d 昇圧機
e 供給手段
f 供給手段
g 熱風炉
h 循環管路
1 除湿ロータ
2 除湿ゾーン
3 再生ゾーン
4a,4b 容器
5 流路
6 流路
10 回転軸
11 ポンプ
12 加熱用管部
13 集光手段
30 湿分脱着ゾーン
31 冷却ゾーン
50a,50b 分岐流路
60a,60b 分岐流路
70,71,72,73 開閉弁
80,81,82,83 開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
竪型炉に除湿した空気を送風するための方法であって、
炉送風用の空気(x)を吸着式冷凍機(a)で冷却する工程(A)と、工程(A)を経た空気(x)をデシカント除湿装置(b)で除湿する工程(B)を有し、
デシカント除湿装置(b)における吸湿剤再生用の加熱用流体と、吸着式冷凍機(a)における冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として、排熱又は/及び太陽熱を熱源として加熱された流体(y)を用いることを特徴とする竪型炉への除湿送風方法。
【請求項2】
流体(y)を、デシカント除湿装置(b)に供給して吸湿剤再生用の加熱用流体として用いた後、吸着式冷凍機(a)に供給して冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として用いることを特徴とする請求項1に記載の竪型炉への除湿送風方法。
【請求項3】
さらに、工程(B)を経た空気(x)を吸着式冷凍機(c)で冷却する工程(C)と、工程(C)を経た空気(x)を昇圧機(d)で昇圧する工程(D)を有し、
吸着式冷凍機(c)における冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として、流体(y)を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の竪型炉への除湿送風方法。
【請求項4】
流体(y)を、デシカント除湿装置(b)に供給して吸湿剤再生用の加熱用流体として用いた後、吸着式冷凍機(a)と吸着式冷凍機(c)にそれぞれ供給して冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として用いることを特徴とする請求項3に記載の竪型炉への除湿送風方法。
【請求項5】
吸着式冷凍機(a)又は/及び吸着式冷凍機(c)で冷却された空気(x)の一部をデシカント除湿装置(b)に供給し、流体(y)で再生された吸湿剤を冷却するための冷却用流体として用いることを特徴とする請求項1〜4のいずかに記載の竪型炉への除湿送風方法。
【請求項6】
竪型炉に除湿した空気を送風するための設備であって、
炉送風用の空気(x)を冷却する吸着式冷凍機(a)と、吸着式冷凍機(a)で冷却された空気(x)を除湿するデシカント除湿装置(b)と、排熱又は/及び太陽熱を熱源として加熱された流体(y)を、吸湿剤再生用の加熱用流体としてデシカント除湿装置(b)に供給するとともに、冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として吸着式冷凍機(a)に供給する供給手段(e)を有することを特徴とする竪型炉への除湿送風設備。
【請求項7】
供給手段(e)が、流体(y)を吸湿剤再生用の加熱用流体としてデシカント除湿装置(b)に供給し、デシカント除湿装置(b)を通過した流体(y)を、冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として吸着式冷凍機(a)に供給するものであることを特徴とする請求項6に記載の竪型炉への除湿送風設備。
【請求項8】
さらに、デシカント除湿装置(b)で除湿された空気を冷却する吸着式冷凍機(c)と、吸着式冷凍機(c)で冷却された空気(x)を昇圧する昇圧機(d)を有し、
供給手段(e)が、さらに、流体(y)を冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として吸着式冷凍機(c)に供給するものであることを特徴とする請求項6又は7に記載の竪型炉への除湿送風設備。
【請求項9】
供給手段(e)が、流体(y)を吸湿剤再生用の加熱用流体としてデシカント除湿装置(b)に供給し、デシカント除湿装置(b)を通過した流体(y)を、冷媒蒸気脱着用の加熱用流体として吸着式冷凍機(a)と吸着式冷凍機(c)にそれぞれ供給するものであることを特徴とする請求項8に記載の竪型炉への除湿送風設備。
【請求項10】
吸着式冷凍機(a)又は/及び吸着式冷凍機(c)で冷却された空気(x)の一部を、流体(y)で再生された吸湿剤を冷却するための冷却用流体としてデシカント除湿装置(b)に供給する供給手段(f)を有することを特徴とする請求項6〜9のいずかに記載の竪型炉への除湿送風設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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