説明

端子台取付具及び端子台取付方法

【課題】大型化することなくリード線を容易に接続可能な端子台取付具及び端子台取付方法を提供する。
【解決手段】 基台と、第1リード線及び第2リード線の間に介在し、第1リード線及び第2リード線を電気的に接続する第1端子台と、第3リード線及び第4リード線の間に介在し、第3リード線及び第4リード線を電気的に接続する第2端子台と、第1リード線及び第2リード線が線対称となる軸を中心として第1端子台が回動するように、第1端子台を回動自在に支持する、基台に立設される第1支持部材と、第1端子台及び第2端子台の間の距離が変わるように、第1端子台の基台とは反対側において第2端子台をスライド自在に支持する、基台に立設される第2支持部材とを備えた端子台取付具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電盤などの箱体内部に端子台を支持する端子台取付具及び端子台取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、多数のリード線の中継を行う端子台が知られている。この端子台では、圧着端子等を介してリード線を端子台に締付螺子で螺子止めすることで、端子台に接続されたリード線同士が端子台を介して電気的に接続される。このため、端子台は、接続されるリード線の本数に合わせた個数が連設された構成を備えている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−306567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した端子台では、複数のリード線の中継を行う場合、第1の端子台の上に第2の端子台が積み重ねられるようにして、複数の端子台が上段と下段とに連設された構成となる。このため、上段側となる第1の端子台にリード線を接続した状態で、下段側となる第2の端子台にリード線を接続する場合、第1の端子台に接続されたリード線が、螺子止めのための工具等に干渉してしまい、第2の端子台へのリード線の接続が困難となる虞があった。
【0005】
一方、前述したリード線による工具への干渉を抑制できるような間隔をもって、第1の端子台と第2の端子台とを連設した場合、端子台の占有するスペースが大きくなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、大型化することなくリード線を容易に接続可能な端子台取付具及び端子台取付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための発明は、基台と、第1リード線及び第2リード線の間に介在し、前記第1リード線及び前記第2リード線を電気的に接続する第1端子台と、第3リード線及び第4リード線の間に介在し、前記第3リード線及び前記第4リード線を電気的に接続する第2端子台と、前記第1リード線及び前記第2リード線が線対称となる軸を中心として前記第1端子台が回動するように、前記第1端子台を回動自在に支持する、前記基台に立設される第1支持部材と、前記第1端子台及び前記第2端子台の間の距離が変わるように、前記第1端子台の前記基台とは反対側において前記第2端子台をスライド自在に支持する、前記基台に立設される第2支持部材と、を備えた端子台取付具である。
【0008】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、大型化することなくリード線を容易に接続可能な端子台取付具及び端子台取付方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)は、リード線を接続する作業時の第1実施形態にかかる端子台取付具の斜視図であり、(b)は、収納時の第1施形態にかかる端子台取付具の斜視図である。
【図2】図1に示す端子台取付具とリード線との関係を説明するための断面図である。
【図3】図1に示す端子台取付具における第1支持部材及び第2支持部材の斜視図である。
【図4】図3に示す第1支持部材及び第2支持部材の平面図である。
【図5】図3に示す第1支持部材及び第2支持部材の側面図である。
【図6】図5に示すa−a’で切断した場合の第1支持部材及び第2支持部材の断面図である。
【図7】(a)は、リード線を接続する作業時の第2実施形態にかかる端子台取付具の斜視図であり、(b)は、収納時の第2施形態にかかる端子台取付具の斜視図である。
【図8】図7に示す端子台取付具における第1支持部材及び第2支持部材の斜視図である
【図9】図7に示す第1支持部材及び第2支持部材の平面図である。
【図10】図7に示す第1支持部材及び第2支持部材の側面図である。
【図11】図10に示すb−b’で切断した場合の第1支持部材及び第2支持部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
本実施形態にかかる端子台取付具は、例えば、制御盤等の電気機器を収容する箱体の内部に設けられている。そして、この端子台取付具は、当該箱体の外部からのリード線と当該箱体の内部におけるリード線との中継や、当該箱体の外部からのリード線と当該箱体の外部へのリード線との中継等を行うこととする。
【0012】
<<<第1実施形態>>>
先ず、図1乃至図6を参照しつつ、第1実施形態にかかる端子台取付具1について説明する。尚、図1(a)は、リード線を接続する作業時の端子台取付具1の斜視図であり、図1(b)は、収納時の端子台取付具1の斜視図である。図2は、端子台取付具1とリード線との関係を説明するための断面図である。図3は、第1支持部材5及び第2支持部材6の斜視図である。図4は、図3に示す第1支持部材5及び第2支持部材6の平面図である。図5は、図3に示す第1支持部材5及び第2支持部材6の側面図である。図6は、図5に示すa−a’で切断した場合の第1支持部材5及び第2支持部材6の断面図である。
【0013】
===端子台取付具の全体構成について===
先ず、図1(a)、(b)を参照しつつ、端子台取付具1の全体構成について説明する。端子台取付具1は、基台2と、第1端子台3と、第2端子台4と、第1支持部材5と、第2支持部材6とを備えている。基台2は、例えば前述した箱体(不図示)の内部に備えられ、第1支持部材5及び第2支持部材6が立設されている。尚、第1支持部材5及び第2支持部材6は、例えば一体に形成されている。
【0014】
第1端子台3は、第1リード線7a及び第2リード線7bの間に介在し、第1リード線7a及び第2リード線7bを電気的に接続する。第2端子台4は、第3リード線8a及び第4リード線8bの間に介在し、第3リード線8a及び第4リード線8bを電気的に接続する。つまり、第1端子台3は、第1リード線7aと第2リード線7bを中継し、第2端子台4は、第3リード線8aと第4リード線8bを中継する。尚、第1端子台3及び第2端子台4の構成については後述する。また、第1リード線7a、第2リード線7b、第3リード線8a、第4リード線8bをリード線と総称する。
【0015】
第1支持部材5は、第1端子台3に接続された第1リード線7aと第2リード線7bとが線対称となる軸(回動軸)を中心として第1端子台3が回動するように、第1端子台3を回動自在に支持する。尚、回動軸は、図1(a)に矢印Aで示す方向に延在する軸である。また、第1支持部材5に支持された第1端子台3が回動する方向は、図1(a)に矢印Bで示す方向である。また、第1支持部材5は、第1端子台3の回動軸に沿う方向(図1(a)に矢印Aで示す方向)の両端を軸支する一対の軸支部材50を有している。尚、第1支持部材5の構成については後述する。
【0016】
第2支持部材6は、第1端子台3及び第2端子台4の間の距離が変わるように、第1端子台3の基台2とは反対側において第2端子台4をスライド自在に支持している。具体的には、第2支持部材6は、第2端子台4に接続された第3リード線8aと第4リード線8bとが線対称となる軸(対称軸)に沿う方向の両端を支持しつつ、第1端子台3及び第2端子台4の間の距離を調整可能とする一対のスライドレール(調整部材)60を有している。尚、対称軸は、図1(a)に矢印Cで示す方向に延在する軸である。スライドレール60は、基台2の正面と直交する方向(図1(a)に矢印Dで示す方向;スライド方向)に第2端子台4を移動可能にする。また、スライドレール60は、第1端子台3及び第2端子台4の間の距離を所定距離ずつ調整可能とする調整機構61を有している。尚、第2支持部材6の構成については後述する。
【0017】
===第1端子台及び第2端子台の構成について===
図2を参照しつつ、第1端子台3及び第2端子台4の構成について具体的に説明する。第1端子台3は、第1雌螺子30と、第1雄螺子31と、第2雌螺子32と、第2雄螺子33と、第1導電部材34とからなる組み合わせを回動軸方向に沿って複数組備え、更に絶縁体14aと、ケース15aとを備えている。
【0018】
第1導電部材34は、例えば金属等の導電性を有する材料から形成される板形状を呈している。また、第1導電部材34は、前述した回動軸を中心として線対称となる位置に夫々、第1雄螺子31が挿通される貫通孔11aと、第2雄螺子33が挿通される貫通孔12aを有している。尚、貫通孔11a、12aには夫々、第1導電部材34の正面側から第1雄螺子31及び第2雄螺子33が挿通される。また、第1導電部材34の貫通孔11a、12aの背面側には夫々、第1雄螺子31と螺合する第1雌螺子30及び第2雄螺子33と螺合する第2雌螺子32が備えられている。
【0019】
第1雌螺子30及び第1雄螺子31は夫々、例えば金属等の導電性を有する材料から形成される。第1雌螺子30と第1雄螺子31とは、第1リード線7aが挟持されるように螺合する。例えば、第1リード線7aは、一端に圧着端子70aが取り付けられ、この圧着端子70aを介して第1導電部材34と電気的に接続される。具体的には、第1雄螺子31の頭部31aと第1導電部材34の正面との間に圧着端子70aが挟持されるように、第1雄螺子31と第1雌螺子30とが螺合する。
【0020】
第2雌螺子32及び第2雄螺子33は夫々、例えば金属等の導電性を有する材料から形成される。第2雌螺子32と第2雄螺子33とは、第2リード線7bが挟持されるように螺合する。例えば、第2リード線7bは、一端に圧着端子70bが取り付けられ、この圧着端子70bを介して第1導電部材34と電気的に接続される。具体的には、第2雄螺子33の頭部33aと第1導電部材34の正面との間に圧着端子70bが挟持されるように、第2雄螺子33と第2雌螺子32とが螺合する。
【0021】
これによって、第1雄螺子31と第1雌螺子30との間に挟持された第1リード線7aと、第2雄螺子33と第2雌螺子32との間に挟持された第2リード線と7bとが、第1導電部材34を介して電気的に接続される。尚、第1リード線7aは、複数の第1雄螺子31及び第1雌螺子30の間に夫々挟持され、第2リード線7bは、複数の第2雄螺子33及び第2雌螺子32の間に夫々挟持されていることとする。また、図1(a)、(b)では、一対の第1リード線7a及び第2リード線7bのみに符号を付し、他の第1リード線7a及び第2リード線7bの符号は省略している。
【0022】
ケース15aは、例えば絶縁性を有する樹脂材料等から形成され、第1導電性部材34を保持している。ケース15aに対して、第1導電性部材34は、第1端子台3の回動軸方向に沿って互いに略等間隔となるように配置されている。このとき、絶縁体14aは、第1端子台3の回動軸方向に沿って、貫通孔11aと貫通孔12aとの間に配置されている。この絶縁体14aによって、例えばドライバ等の工具によって、第1雄螺子31を第1雌螺子30に対して螺合させる際に、ドライバが第1雄螺子31の上下雄螺子等に接触し、感電、短絡、地絡等の事故を生じることを防止することができる。
【0023】
第2端子台4は、第1端子台3における第1雌螺子30、第1雄螺子31、第2雌螺子32、第2雄螺子33、第1導電部材34と夫々同様の構成を有する第3雌螺子40、第3雄螺子41、第4雌螺子42、第4雄螺子43、第2導電部材44を備えている。そして、第2端子台4は、第1端子台3と同様に、第3雌螺子40と、第3雄螺子41と、第4雌螺子42と、第4雄螺子43と、第2導電部材44とからなる組み合わせを対称軸方向に沿って複数組備え、更に絶縁体14bと、ケース15bとを備えている。
【0024】
第2導電部材44は、前述した対称軸を中心として、線対称となる位置に夫々、第3雄螺子41が挿通される貫通孔11bと、第4雄螺子43が挿通される貫通孔12bを有している。第3雌螺子40と第3雄螺子41とは、第3リード線8aが挟持されるように螺合する。また、第4雌螺子42と第4雄螺子43とは、第4リード線8bが挟持されるように螺合する。これによって、第3雄螺子41と第3雌螺子40との間に挟持された第3リード線8aと、第4雄螺子43と第4雌螺子42との間に挟持された第4リード線8bとが、第2導電部材44を介して電気的に接続される。尚、第3リード線8aは、複数の第3雄螺子41及び第3雌螺子40の間に夫々挟持され、第4リード線8bは、複数の第4雄螺子43及び第4雌螺子42の間に夫々挟持されていることとする。また、図1(a)、(b)では、一対の第3リード線8a及び第4リード線8bのみに符号を付し、他の第3リード線8a及び第4リード線8bの符号は省略している。
【0025】
ケース15bは、第2導電性部材44を保持している。絶縁体14bは、第2端子台4の対称軸方向に沿って、貫通孔11bと貫通孔12bの間に配置されている。この絶縁体14bによって、例えばドライバ等の工具によって、第3雄螺子41を第3雌螺子40に対して螺合させる際に、ドライバが第3雄螺子40の上下雄螺子等に接触し、感電、短絡、地絡等の事故を生じることを防止することができる。
【0026】
===第1支持部材及び第2支持部材の構成について===
図3乃至図6を参照しつつ、第1支持部材5及び第2支持部材6の構成について具体的に説明する。第2支持部材6のスライドレール60は、蝶螺子61と、固定部材62と、滑動部材63とを備え、第1支持部材5は、この固定部材62と一体に形成されている。尚、本実施形態では、調整機構は、蝶螺子61と、固定部材62と、滑動部材63とから構成されることとする。
【0027】
固定部材62は、滑動部材63がスライド方向(図3乃至図6に矢印Dで示す方向)に往復するように、滑動部材63が内部を移動するための溝62aを有している。また、固定部材62のスライド方向と直交する面における滑動部材63側の端部には、貫通孔62bが形成されている。貫通孔62bには、後述するように蝶螺子61が挿入される。
【0028】
滑動部材63は、固定部材62の溝62aに挿入されている側とは反対側の端部に第2端子台4を支持している。尚、例えば、第2端子台4は、滑動部材63に螺子止め等によって固定されている。また、滑動部材63は、スライド方向に沿って所定間隔となるように複数の雌螺子孔63aが形成されている。雌螺子孔63aは、蝶螺子61と螺合する。
【0029】
滑動部材63を固定部材62に対して移動させて、固定部材62の貫通孔62bの位置と、滑動部材63の雌螺子孔63aの位置とを合わせ、蝶螺子61を貫通孔62bを介して雌螺子孔63aと螺合する。これによって、滑動部材63は、固定部材62に対し、移動が禁止され、固定される。つまり、貫通孔62bと重なり合わせる雌螺子孔63aを選択して、蝶螺子61と螺合させることで、固定部材62から突出する滑動部材63の長さが調整できる。このため、調整機構によって、滑動部材63に支持される第2端子台4と、固定部材62に支持される第1端子台3の間の距離を雌螺子孔63aの位置に応じた所定距離ずつ調整することが可能となる。
【0030】
第1支持部材5及び第2支持部材6は、取付部材9によって、基台2に取り付けられている。具体的には、取付部材9は、不図示の取付螺子が挿入される螺子孔9aを備え、滑動部材63が挿入される側と反対側の固定部材62の端部に一体に取り付けられている。取付螺子を螺子孔9aを介して基台2の正面に螺子止めすることによって、第1支持部材5及び第2支持部材6が基台2の正面に取り付けられている。
【0031】
第1支持部材5の軸支部材50は、雌螺子部材51と、蝶螺子52と、回動部材53とを備えている。雌螺子部材51は、固定部材62の取付部材9が取り付けられている面の背面から、回動軸の延在方向に沿って突出するように、固定部材62と一体に形成されている。また、雌螺子部材51は、内部に蝶螺子52が螺合する雌螺子が形成された筒形状を呈している。回動部材53は、内部に蝶螺子52と螺合する雌螺子が形成された筒部材53aと、第1端子台3が取り付けられる板形状の支持部材53bとが一体に形成されている。尚、例えば、第1端子台3は、支持部材53bに螺子止め等によって固定されている。
【0032】
蝶螺子52を雌螺子部材51の雌螺子及び筒部材53aの雌螺子と螺合させて、締め付けることで、回動部材53が雌螺子部材51を介して、固定部材62に固定される。この蝶螺子52と雌螺子部材51及び筒部材53aの雌螺子との螺合を緩めることで、支持部材53bの基台2に対する方向(第1端子台3が回動する方向、図3乃至図6に矢印Bで示す方向)を調整することができる。この調整後に、再度、蝶螺子52を雌螺子部材51及び筒部材53aの雌螺子に対して締め付けることで、支持部材53bの基台2に対する方向を調整した状態で固定することができる。このため、第1支持部材5は、回動軸を中心として第1端子台3が回動するように、第1端子台3を回動自在に支持することができる。
【0033】
===端子台取付具へのリード線の取り付け作業及び端子台取付具の収納について===
前述したように、端子台取付具1では、第1支持部材5によって、第1端子台3を回動自在に支持することができる。また、端子台取付具1では、第2支持部材6によって、第2端子台4を第1端子台3との間の距離が変わるようにスライド自在に支持することができる。
【0034】
このため、例えば、端子台取付具1にリード線を接続する作業を行う場合、先ず、第2端子台4を基台2から離れる方向にスライドさせ、滑動部材63の複数の雌螺子孔63aから選択した雌螺子孔63aと、固定部材62の貫通孔62bとを重ね合わせる。そして、貫通孔62bを介して蝶螺子61を雌螺子孔63aに螺子止めし、固定部材62に対して滑動部材63を固定する。
【0035】
これによって、図1(a)に示すように、第1端子台3と第2端子台4との距離を遠ざけることができるため、第1端子台3及び第2端子台4へリード線を接続する作業の際、ドライバ等の工具が第1端子台3及び第2端子台4に接触すること等を防止することができる。よって、端子台取付具1は、リード線を容易に接続することができる。
【0036】
さらに、雌螺子部材51及び筒部材53aに対する蝶螺子52の螺合を緩め、第1端子台3を回動させて、第1端子台3の向きを調整した後、再度、雌螺子部材51及び筒部材53aに対して、蝶螺子52の螺合を締め付ける。これによって、第1端子台3の向きを、第2端子台4と重ならないように調整して固定することができる。このため、第1雄螺子31や第2雄螺子33を夫々第1雌螺子30や第2雌螺子32に螺合する際に、ドライバ等の工具が第2端子台4と接触しないように調整することができる。よって、端子台取付具1は、リード線を容易に接続することができる。
【0037】
また、図1(b)に示すように、第1端子台3及び第2端子台4にリード線を接続する作業が終了した場合、第1端子台3が正面を向くように調整して固定することができる。さらに、第2端子台4を基台2に近づく方向にスライドさせ、第1端子台3と第2端子台4との距離を近づけておくことができる。このため、端子台取付具1は、作業が終了した後に、箱体内部における占有面積を小さくして収納することができる。つまり、端子台取付具1は、リード線を接続する作業のときのみ、第1端子台3と第2端子台4との距離を遠ざけてリード線の接続を容易とすることができ、リード線の接続作業を行わない収納時は第1端子台3と第2端子台4との距離を近づけて占有面積を小さくすることができる。よって、端子台取付具1は、大型化することなくリード線を容易に接続することができる。
【0038】
また、端子台取付具1の第1支持部材5は、第1端子台3の回動軸に沿う方向の両端を軸支する一対の軸支部材50を有している。これによって、基台2に対して第1端子台3を回動自在に、より確実に軸止することができる。このため、端子台取付具1の耐久性や強度を高めることや、リード線の接続作業をより容易とすることができる。
【0039】
また、端子台取付具1の第2支持部材6は、第2端子台4の対称軸に沿う方向の両端を支持しつつ、第1端子台3及び第2端子台4の間の距離を調整可能とする一対のスライドレール60を備えている。これによって、基台2に対して第2端子台4をスライド自在に、より確実に支持することができる。このため、端子台取付具1の耐久性や強度を高めることや、リード線の接続作業をより容易とすることができる。
【0040】
また、端子台取付具1のスライドレール60は、調整機構によって、第1端子台3及び第2端子台4の間の距離を、雌螺子孔63aの位置に応じた所定距離ずつ調整することができる。これによって、リード線の接続本数や、リード線を接続する作業に使用する工具の種類等に応じて、第1端子台3及び第2端子台4の間の距離を必要且つ十分な距離に調整することができる。このため、端子台取付具1は、占有面積を節約しつつ、リード線の接続作業を容易とすることができる。
【0041】
また、端子台取付具1は、第1支持部材5及び第2支持部材6が一体に形成されるため、耐久性や強度を高めることができる。
【0042】
<<<第2実施形態>>>
次に、図7乃至図11を参照しつつ、第2実施形態にかかる端子台取付具10について説明する。図7(a)は、リード線を接続する作業時の端子台取付具10の斜視図であり、図7(b)は、収納時の端子台取付具10の斜視図である。尚、図1と同様に、図7(a)、(b)における第1リード線7a及び第2リード線7bと第3リード線8a及び第4リード線8bとについても、一部の符号のみを付し、その他の符号を省略している。
【0043】
図8は、第1支持部材5及び第2支持部材16の斜視図である。図9は、図8に示す第1支持部材5及び第2支持部材16の平面図である。図10は、図8に示す第1支持部材5及び第2支持部材16の側面図である。図11は、図10に示すb−b’で切断した場合の第1支持部材5及び第2支持部材16の断面図である。尚、図7乃至図11において、図1乃至図6に示す構成と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0044】
端子台取付具10は、前述した端子台取付具1の構成に加えて、前述した第1端子台3及び第1支持部材5をもう一組備えている。つまり、端子台取付具10は二組の第1端子台3及び第1支持部材5を備えている。また、端子台取付具10は、前述した端子台取付具1の第2支持部材6にかえて第2支持部材16を備えている。第2支持部材16は3段からなるスライドレール160を備え、第1端子台3及び第2端子台4の間の距離と、第1端子台3同士の間の距離とを夫々変化させるように、第2端子台4と、第2端子台4に隣接する第1端子台3とをスライド自在に支持している。具体的には、スライドレール160は、蝶螺子161、164と、固定部材162と、滑動部材163と、中間部材165とを備えている。尚、本実施形態では、調整機構は、蝶螺子161、164と、固定部材162と、滑動部材163と、中間部材165とから構成されることとする。
【0045】
固定部材162と一の第1支持部材5の雌螺子部材51とが一体に形成され、中間部材165と他の第1支持部材5の雌螺子部材51とが一体に形成されている。固定部材162は、中間部材165がスライド方向に往復するように、中間部材165が内部を移動するための溝162aを有している。また、固定部材162のスライド方向と直交する面における中間部材165側の端部には、貫通孔162bが形成されている。貫通孔162bには、後述するように蝶螺子161が挿入される。
【0046】
中間部材165は、滑動部材163がスライド方向に往復するように、滑動部材163が内部を移動するために溝165aを有している。また、中間部材165のスライド方向と直交する面にはスライド方向に沿って所定間隔となるように複数の雌螺子孔165bが形成されている。尚、雌螺子孔165bのうち、滑動部材163側の端部に形成された雌螺子孔165bには、後述するように蝶螺子164が挿入される。
【0047】
また、中間部材165の複数の雌螺子孔165bは夫々、蝶螺子161と螺合する。中間部材165を固定部材162に対して移動させて、固定部材162に形成された貫通孔162bの位置と、中間部材165の雌螺子孔165bの位置とを合わせ、蝶螺子161を貫通孔162bを介して雌螺子孔165bと螺合する。これによって、中間部材165は、固定部材162に対し、移動が禁止され、固定される。つまり、貫通孔162bと重なり合わせる雌螺子孔165bを選択して、蝶螺子161と螺合させることで、固定部材162から突出する中間部材165の長さが調整できる。このため、調整機構によって、中間部材165に支持される第1端子台3と、固定部材162に支持される第1端子台3の間の距離を雌螺子孔165bの位置に応じた所定距離ずつ調整することが可能となる。
【0048】
滑動部材163は、中間部材165の溝165aに挿入されている側とは反対側の端部に第2端子台4を支持している。尚、例えば、第2端子台4は、滑動部材163に螺子止め等によって固定されている。また、滑動部材163は、スライド方向に沿って所定間隔となるように複数の雌螺子孔163aが形成されている。雌螺子孔163aは、蝶螺子164と螺合する。滑動部材163を中間部材165に対して移動させて、中間部材165の雌螺子孔165bの位置と、滑動部材163の雌螺子孔163aの位置とを合わせ、蝶螺子164を雌螺子孔165bを介して雌螺子孔163aと螺合する。これによって、滑動部材163は、中間部材165に対し、移動が禁止され、固定される。つまり、雌螺子孔165bと重なり合わせる雌螺子孔163aを選択して、蝶螺子164と螺合させることで、中間部材165から突出する滑動部材163の長さが調整できる。このため、調整機構によって、滑動部材163に支持される第2端子台4と、中間部材165に支持される第1端子台3の間の距離を雌螺子孔163aの位置に応じた所定距離ずつ調整することが可能となる。
【0049】
以上より、第2実施形態にかかる端子台取付具10では、第2支持部材16によって、第1端子台3及び第2端子台4の間の距離と、第1端子台3同士の間の距離とを夫々、リード線の接続本数や、リード線を接続する作業に使用する工具の種類等に応じて、必要且つ十分な距離に調整することができる。また、リード線を接続する作業時には、第1端子台3にリード線を接続しやすいように、第1端子台3の基台2に対する正面の向きを調整することができる。さらに、リード線を接続しない収納時には、端子台取付具10の占有面積を小さくするように、第1端子台3の基台2に対する正面の向きを調整することができる。このため、端子台取付具10では、接続するリード線の数が増えた場合であっても、占有面積を大型化することなく、リード線の接続作業を容易とすることができる。
【0050】
<<<その他の実施形態>>>
前述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良されると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0051】
前述した端子台取付具1では、固定部材62に貫通孔62bが形成され、滑動部材63にスライド方向に沿って所定間隔となるように複数の雌螺子孔63aが形成されることとした。そして、貫通孔62bと重なり合わせる雌螺子孔63aを選択して、蝶螺子61と螺合させることで、第1端子台3及び第2端子台4の間の距離を、雌螺子孔63aの位置に応じた所定距離ずつ調整することとした。しかし、特にこれに限定されるものではなく、例えば、第2支持部材6は弾性を有する材料から形成されることとし、固定部材62は貫通孔62bにかえて、凹部又は凸部を備えることとしてもよい。更に、滑動部材63は、複数の雌螺子孔63aにかえて、固定部材62の凹部又は凸部と係合する凸部又は凹部を備えることとしてもよい。これによって、第2支持部材6の弾性を利用して、固定部材62に対して、滑動部材63を移動させ、系合する凹部又は凸部を変更することで、第1端子台3及び第2端子台4の間の距離を、凹部又は凸部の位置に応じた所定距離ずつ調整することができる。前述した端子台取付具10についても同様である。
【符号の説明】
【0052】
1、10…端子台取付具,2…基台,3…第1端子台,4…第2端子台,5…第1支持部材,6、16…第2支持部材,7a…第1リード線,7b…第2リード線,8a…第3リード線,8b…第4リード線,9…取付部材,9a…螺子孔,11a、11b、12a、12b、62b、162b…貫通孔,14a、14b…絶縁体,15a、15b…ケース,30…第1雌螺子,31…第1雄螺子,31a、33a、41a、43a…頭部,32…第2雌螺子,33…第2雄螺子,34…第1導電部材,40…第3雌螺子,41…第3雄螺子,42…第4雌螺子,43…第4雄螺子,44…第2導電部材,50…軸支部材,51…雌螺子部材,52、61、161、164…蝶螺子,53…回動部材,53a…筒部材,53b…支持部材,60、160…スライドレール(調整部材),62、162…固定部材,62a、162a、165a…溝,63、163…滑動部材,63a、163a、165b…雌螺子孔,70a、70b…圧着端子,165…中間部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
第1リード線及び第2リード線の間に介在し、前記第1リード線及び前記第2リード線を電気的に接続する第1端子台と、
第3リード線及び第4リード線の間に介在し、前記第3リード線及び前記第4リード線を電気的に接続する第2端子台と、
前記第1リード線及び前記第2リード線が線対称となる軸を中心として前記第1端子台が回動するように、前記第1端子台を回動自在に支持する、前記基台に立設される第1支持部材と、
前記第1端子台及び前記第2端子台の間の距離が変わるように、前記第1端子台の前記基台とは反対側において前記第2端子台をスライド自在に支持する、前記基台に立設される第2支持部材と、
を備えたことを特徴とする端子台取付具。
【請求項2】
前記第1支持部材は、前記第1端子台が回動自在となるように、前記第1端子台の前記線対称となる軸に沿う方向の両端を軸支する一対の軸支部材を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の端子台取付具。
【請求項3】
前記第2支持部材は、前記第2端子台がスライド自在となるように、前記第2端子台の前記線対称となる軸に沿う方向の両端を支持しつつ、前記第1端子台及び前記第2端子台の間の距離を調整可能とする一対の調整部材を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の端子台取付具。
【請求項4】
前記一対の調整部材は、夫々、スライドレールで構成される
ことを特徴とする請求項3に記載の端子台取付具。
【請求項5】
前記スライドレールは、前記第1端子台及び前記第2端子台の間の距離を所定距離ずつ調整可能とする調整機構を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の端子台取付具。
【請求項6】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、一体に形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の端子台取付具。
【請求項7】
前記第1端子台は、
第1雌螺子と、
前記第1雌螺子との間に前記第1リード線が挟持されるように前記第1雌螺子と螺合する第1雄螺子と、
第2雌螺子と、
前記第2雌螺子との間に前記第2リード線が挟持されるように前記第2雌螺子と螺合する第2雄螺子と、
前記第1雄螺子と前記第1雌螺子との間に挟持された前記第1リード線と、前記第2雄螺子と前記第2雌螺子との間に挟持された前記第2リード線と、を電気的に接続する第1導電部材と、を有し、
前記第2端子台は、
第3雌螺子と、
前記第3雌螺子との間に前記第3リード線が挟持されるように前記3雌螺子と螺合する第3雄螺子と、
第4雌螺子と、
前記第4雌螺子との間に前記第4リード線が挟持されるように前記第4雌螺子と螺合する第4雄螺子と、
前記第3雄螺子と前記第3雌螺子との間に挟持された前記第3リード線と、前記第4雄螺子と前記第4雌螺子との間に挟持された前記第4リード線と、を電気的に接続する第2導電部材と、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の端子台取付具。
【請求項8】
第1リード線及び第2リード線の間に介在し、前記第1リード線及び前記第2リード線を電気的に接続する第1端子台と、第3リード線及び第4リード線の間に介在し、前記第3リード線及び前記第4リード線を電気的に接続する第2端子台と、を基台に取り付ける端子台取付方法において、
前記第1リード線及び前記第2リード線が線対称となる軸を中心として前記第1端子台が回動するように、前記基台に立設される第1支持部材により、前記第1端子台を回動自在に支持し、
前記第1端子台及び前記第2端子台の間の距離が変わるように、前記基台に立設される第2支持部材により、前記第1端子台の前記基台とは反対側において前記第2端子台をスライド自在に支持する
ことを特徴とする端子台取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−199100(P2012−199100A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63029(P2011−63029)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(000211293)中国電機製造株式会社 (69)
【Fターム(参考)】