説明

端子圧着機

【課題】 圧着すべき部分の側方に端子の一部分が存在している端子であっても、自動的に端子を供給できる端子圧着機を提供する。
【解決手段】 端子の送り方向に延び、上面に沿って端子1bをアンビル30上に案内する端子送り台6を有している。端子送り台6は、端子1bをアンビル30上に供給する際に端子1bがアンビル30に衝突しないように端子1bを上昇させるように動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンビル上に供給された電気コネクタの端子をクリンパによって電線に圧着する端子圧着機構(アプリケータ)を有する端子圧着機に関し、特に、連鎖帯(キャリア)によって連結された複数の端子をアンビル上に順次供給する端子送り機構を有する端子圧着機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の端子圧着機は、例えば、特許文献1、特許文献2に開示されている。
【0003】
特許文献1には、連鎖帯に形成された送り穴に周面の突起を係合する送りローラと、送りローラを回転駆動するステップモータとを備えた端子送り機構を有している。端子圧着機が開示されている。
【0004】
特許文献2には、サーボモータで駆動されるピニオンギヤと、ピニオンギヤに歯合したラックに一体に設けられ、連鎖帯に形成された送り穴に係合する送り爪とを有し、サーボモータの正転および逆転で送り爪が進退する端子送り機構を有している。端子圧着機が開示されている。
【0005】
尚、端子圧着機の圧着対象である端子には、同軸構造タイプなどの、圧着すべき部分の側方に端子の一部分が存在しているものがある。このような端子の一例を図1に示す。
【0006】
図1を参照すると、連鎖状端子1は、帯状の薄い金属板からなる連鎖帯1aによって等間隔に連結された複数の端子1bを有している。各端子1bは、同軸構造タイプであり、コンタクト1cと、コンタクト1cの周りを覆うインシュレータ1jと、インシュレータ1jの周りを覆う円筒状のシェル1eとを有し、シェル1eの一端が連鎖帯1aの一側辺に連結されている。コンタクト1cの端部には、インシュレータ1jから突出するようにバレル状の芯線圧着部1dが形成されている。シェル1eの端部には、芯線圧着部1dの両側に位置するように対の側板1fが形成され、さらに、対の側板1fの端部には、略円筒状の被覆圧着部1gが形成されている。
【0007】
一方、電線100は、同軸線であり、芯線100aと、芯線100aの周りに形成された内部被覆100bと、内部被覆100bの周りに形成されたシールド線100cと、シールド線100cの周りに形成された外部被覆100dとを有している。端子1bを電線100に圧着する前に、電線100は、予め次のように加工される。即ち、外部被覆100dの先端部が除去された後にシールド線100cが残りの外部被覆100dの端部上に折り曲げられると共に、露出した内部被覆100bの先端部が除去されることにより、芯線100a、内部被覆100b、シールド線100cが露出される。
【0008】
端子1bを電線100に圧着する際には、連鎖状端子1の1つの端子1bが、図示しない端子圧着機の所定位置に配置される。即ち、図2に示されるように、芯線圧着部1dが第1のアンビル30上に配置され、これと共に、被覆圧着部1gが第2のアンビル(図示せず)上に配置される。次いで、前記のように先端加工された電線100は、その先端部が端子1bの被覆圧着部1g内に挿通され、芯線100aが芯線圧着部1d上に配置され、内部被覆100bが被覆圧着部1g内に配置される。
【0009】
そして、第1のアンビル30上に配置された芯線圧着部1dおよびその上に配置された芯線100aが第1のクリンパ(図示せず)で圧着され、これと共に、第2のアンビル上に配置された被覆圧着部1gおよびその筒内に挿通された内部被覆100bが第2のクリンパ(図示せず)で圧着される。
【0010】
【特許文献1】特開平6−275363号公報
【特許文献2】特開平11−251031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図1に示された例をも含む圧着すべき部分の側方に端子の一部分(図1の例においては、側板1f)が存在している端子は、特許文献1および特許文献2に開示されたものをも含む既存の端子圧着機における端子送り機構では、圧着すべき部分の側方に存在する部分がアンビルに衝突するため、送ることができなかった(例えば、図2)。
【0012】
それ故、本発明の課題は、圧着すべき部分の側方に端子の一部分が存在している端子であっても、自動的にアンビル上に端子を供給できる端子圧着機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、連鎖帯(1a)によって連結された複数の端子(1b)をアンビル(30、31)上に順次供給し、アンビル(30、31)上の端子(1b)を昇降するクリンパ(32、33)によって電線(100)に圧着する端子圧着機において、端子の送り方向に延び、上面に沿って端子(1b)を前記アンビル(30、31)上に案内する端子送り台(6)を有し、前記端子送り台(6)は、端子(1b)を前記アンビル(30、31)上に供給する際に端子(1b)が該アンビル(30、31)に衝突しないように端子(1b)を上昇させるように動作することを特徴とする端子圧着機が得られる。
【0014】
尚、前記端子送り台(6)は、前記アンビル(30、31)を臨む端部が上下するように軸支されていると共に、該端部が上昇する向きに付勢されており、さらに、前記端子送り台(6)に設けられ、互いに並んで形成された高位カム面(181H)および低位カム面(181L)を備えたカムプレート(18)と、前記カムプレート(18)の前記高位カム面(181H)と前記低位カム面(181L)との間を往復する端子送り台制御部材とを有し、前記端子送り台制御部材は、端子(1b)を前記アンビル(30、31)上に供給する際には該低位カム面(181L)に位置することによって前記端子送り台(6)の該端部の上昇を許す一方、これ以外の際には該高位カム面(181H)に位置することによって該端子送り台(6)の前記端部の上昇を規制するものであってもよい。
【0015】
また、連鎖帯(1a)に係合する送り爪(35)を備え、端子送り方向に往復し、端子(1b)を順次前記アンビル(30、31)上に供給する送りアーム(7)をさらに有し、前記カムプレート(18)の前記高位カム面(181H)および前記低位カム面(181L)は、端子送り方向に並んで形成されており、前記送りアーム(7)は、前記端子送り台制御部材としても機能するものであってもよい。
【0016】
前記端子送り台制御部材は、前記カムプレート(18)の前記高位カム面(181H)と前記低位カム面(181L)との間を走行するローラ(19)を備えていてもよい。
【0017】
連鎖帯(1a)に対する端子(1b)の空きを検知するセンサ(39)を有し、端子(1b)の空きがある場合には前記クリンパ(32、33)の動きを休止するものであってもよい。
【0018】
前記端子送り台制御部材は、流体圧シリンダ(36)、電気リニアモータ、あるいは電気回転モータとカム機構の組み合わせによって駆動されるものであってもよい。
【0019】
尚、上の記載における括弧書きの参照符号は本発明の理解の助けのために本明細書に添付の図面における符号を記載したものであるが、本発明は、当該図面に記載された実施例に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0020】
本発明による端子圧着機は、圧着すべき部分の側方に端子の一部分が存在している端子であっても、端子を自動的に供給できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明による端子圧着機は、図1に示されたような連鎖帯によって連結された複数の端子をアンビル上に順次供給し、アンビル上の端子を昇降するクリンパによって電線に圧着する端子圧着機である。特に、本端子圧着機は、端子の送り方向に延び、上面に沿って端子をアンビル上に案内する端子送り台を有している。端子送り台は、端子をアンビル上に供給する際に端子がアンビルに衝突しないように端子を上昇させるように動作する。
【0022】
この構成により、本端子圧着機は、圧着すべき部分の側方に端子の一部分が存在している図1に示されたような端子であっても、端子を自動的に供給できる。
【0023】
端子送り台は、例えば、アンビルを臨む端部が上下するように軸支されていると共に、端部が上昇する向きに付勢されている。また、本機は、端子送り台に設けられ、互いに並んで形成された高位カム面および低位カム面を備えたカムプレートと、カムプレートの高位カム面と低位カム面との間を往復する端子送り台制御部材とを有している。そして、端子送り台制御部材は、端子をアンビル上に供給する際には低位カム面に位置することによって端子送り台の端部の上昇を許す一方、これ以外の際には高位カム面に位置することによって端子送り台の端部の上昇を規制する。
【0024】
本機はまた、連鎖帯に係合する送り爪を備え、端子送り方向に往復して端子をアンビル上に順次供給する送りアームをさらに有していてもよい。そして、カムプレートの高位カム面および低位カム面は、端子送り方向に並んで形成されている。また、送りアームは、端子送り台制御部材としても機能する。
【0025】
端子送り台制御部材は、カムプレートの高位カム面と低位カム面との間を走行するローラを備えていてもよい。
【0026】
また、本機は、連鎖帯に対する端子の空きを検知するセンサを有していてもよい。そして、端子の空きがある場合にはクリンパの動きを休止する。
【0027】
端子送り台制御部材は、流体圧シリンダ、電気リニアモータ、あるいは電気回転モータとカム機構の組み合わせによって駆動されるものであってもよい。
【0028】
[実施例の説明]
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0029】
[連鎖状端子]
まず、本実施例による端子圧着機の圧着対象である端子と、電線とについて説明する。
【0030】
図1を参照すると、本実施例による端子圧着機の圧着対象である連鎖状端子1は、帯状の薄い金属板からなる連鎖帯1aによって等間隔に連結された複数の端子1bを有している。
【0031】
連鎖帯1aには、端子1bと同一のピッチで送り穴1hが設けられている。
【0032】
各端子1bは、同軸構造タイプであり、コンタクト1cと、コンタクト1cの周りを覆うインシュレータ1jと、インシュレータ1jの周りを覆う円筒状のシェル1eとを有し、シェル1eの一端が連鎖帯1aの一側辺に連結されている。
【0033】
コンタクト1cの端部には、インシュレータ1jから突出するようにバレル状の芯線圧着部1dが形成されている。
【0034】
シェル1eの端部には、芯線圧着部1dの両側に位置するように対の側板1fが形成され、さらに、対の側板1fの端部には、略円筒状の被覆圧着部1gが形成されている。
【0035】
尚、コンタクト1cならびにシェル1eは、連鎖帯1aと一体に板金加工を施して成形されたものであってもよいし、あるいは、連鎖帯1aとは別の材料を用いて成形した後に連鎖帯1aに取り付けられたものであってもよい。
【0036】
一方、本実施例による端子圧着機の圧着対象である電線100は、同軸線であり、芯線100aと、芯線100aの周りに形成された内部被覆100bと、内部被覆100bの周りに形成されたシールド線100cと、シールド線100cの周りに形成された外部被覆100dとを有している。
【0037】
端子1bを電線100に圧着する前に、電線100は、予め次のように加工される。即ち、外部被覆100dの先端部が除去された後にシールド線100cが残りの外部被覆100dの端部上に折り曲げられると共に、露出した内部被覆100bの先端部が除去されることにより、芯線100a、内部被覆100b、シールド線100cが露出される。
【0038】
端子1bを電線100に圧着する際には、連鎖状端子1の1つの端子1bが、図示しない端子圧着機の所定位置に配置される。即ち、図11に示されるように、芯線圧着部1dが第1のアンビル30上に配置され、これと共に、被覆圧着部1gが第2のアンビル上に配置される(図示せず)。次いで、前記のように先端加工された電線100は、その先端部が端子1bの被覆圧着部1g内に挿通され、芯線100aが芯線圧着部1d上に配置され、内部被覆100bが被覆圧着部1g内に配置される(図示せず)。
【0039】
そして、アンビル30上に配置された芯線圧着部1dおよびその上に配置された芯線100aが第1のクリンパ32で圧着され、これと共に、第2のアンビル上に配置された被覆圧着部1gおよびその筒内に挿通された内部被覆100bが第2のクリンパで圧着される(図示せず)。尚、第1および第2のクリンパは、一体的に動作する。
【0040】
[端子圧着機の構造]
次に、本実施例による端子圧着機の構造を説明する。
【0041】
図3〜7を参照すると、本端子圧着機は、図1に示された連鎖帯1aによって連結された複数の端子1bをアンビル30、31上に順次供給し、アンビル30、31上の端子1bを昇降するクリンパ32、33によって電線100に圧着する端子圧着機である。
【0042】
本端子圧着機は、端子の送り方向に延び、上面に沿って端子1bをアンビル30、31上に案内する端子送り台6を有している。端子送り台6は、端子1bをアンビル30、31上に供給する際に、端子1bがアンビル30、31に衝突しないように、端子1bを上昇させるように動作する。
【0043】
端子送り台6は、アンビル30、31を臨む端部が上下するように軸601において軸支されていると共に、端部が上昇する向きに圧縮バネ49によって付勢されている。
【0044】
さらに、本端子圧着機は、端子送り台6に設けられ、互いに並んで形成された高位カム面181Hおよび低位カム面181Lを備えたカムプレート18と、カムプレート18の高位カム面181Hと低位カム面181Lとの間を往復する端子送り台制御部材とを有している。
【0045】
端子送り台制御部材は、端子1bをアンビル30、31上に供給する際には、低位カム面181Lに位置することによって端子送り台6の端部の上昇を許す。一方、これ以外の際には、高位カム面181Hに位置することによって端子送り台6の端部の上昇を規制する。
【0046】
本端子圧着機はまた、連鎖帯1aに係合する送り爪35を備え、端子送り方向に往復して端子1bを順次アンビル30、31上に供給する送りアーム7を有している。カムプレート18の高位カム面181Hおよび低位カム面181Lは、端子送り方向に並んで形成されている。そして、送りアーム7が、端子送り台制御部材としても機能する。
【0047】
端子送り台制御部材は、カムプレート18の高位カム面181Hと低位カム面181Lとの間を走行するローラ19を備えている。
【0048】
連鎖帯1aに対する端子1bの空きを検知するセンサ39を有している。そして、端子1bの空きがある場合には、クリンパ32、33の動きを休止し、所謂空打ちを防止する。尚、図10中の破線は、センサ39の検出光の光軸を示している。
【0049】
端子送り台制御部材は、流体圧シリンダ36によって駆動される。本例における流体は、圧縮空気である。尚、端子送り台制御部材は、流体圧シリンダに限らず、電気リニアモータあるいは電気回転モータとカム機構の組み合わせによって駆動されてもよい。
【0050】
以下、図3〜7を参照して、本端子圧着機の構造をより具体的に説明する。
【0051】
本端子圧着機は、本体ベース2と、本体ベース2にボルトで固定された本体フレーム3とを有している。
【0052】
本体フレーム3は、正面の上半部中央に、上下方向のクリンパーホルダスライド溝部3aを有している。スライド溝部3aには、クリンパーホルダ11が収納され、溝部3aの開口両側縁をクリンパーホルダ押さえ板8で押さえ、ボルトで本体フレーム3に固定することにより、クリンパーホルダ11を上下動可能に保持している。
【0053】
クリンパーホルダ11の下端側には、クリンパ32、33がボルトにより固定されている。クリンパ32、33の下方には、アンビル30、31が対向して配置されている。アンビル30、31はカッターブロック17に、カッターブロック17は本体フレーム3に、ボルトでそれぞれ固定されている。
【0054】
クリンパーホルダ11の上端には、ボルトで固定されたヘッド10を有している。ヘッド10には、図示しないプレス機のラムが連結され、プレス機を駆動してクリンパ32、33を下降させることにより、後述の送り台によりクリンパ32、33とアンビル30、31の間に送られてきた端子1bに電線100を圧着させるものである。
【0055】
クリンパ32、33は、端子1bの芯線圧着部ldを圧着するクリンパ32と、被覆圧着部1gを圧着するクリンパ33とにより構成されている。アンビル30、31も同様に、端子1bの芯線圧着部ldを圧着するアンビル30と、被覆圧着部1gを圧着するクリンパ31とにより構成されている。
【0056】
また、本体フレーム3の正面部には、スライド溝部3aの底部を通って上下方向に延びるカッタースライド溝部3bを有している。カッタースライド溝部3bの下半部には、可動カッタ14がカッターブロック17の背面と対向して上下動可能に収納されている。可動カッタ14の下端と本体ベース2との間に配置された圧縮バネ48により、可動カッタ14は、常時上方に付勢され、その上端がカッタースライド溝部3bに打ち込んだストッパーピン57に突き当たり位置決めされている。
【0057】
クリンパーホルダ11の背面には、パンチ16がボルトで固定されてカッタースライド溝部3b内に収容されている。クリンパーホルダ11を下降して端子を圧着する時に、同時にパンチ16が可動カッタ14の上面をたたき、可動カッタ14をバネの付勢力に抗して下降させ、カッターブロック17の切断歯部17aと可動カッタ14の切断歯部14aとの間に配置された端子1bと連鎖帯1aの連結部分が切断され、端子1bの圧着と同時に端子1bが連鎖帯1aから分離される。可動カッタ14の切断歯部14aの下の切欠凹部14bは、連鎖状端子の連鎖帯1aが通る部分である。
【0058】
端子の圧着、切断が終わると、クリンパーホルダ11、クリンパ32、33、パンチ16は、プレス機のラムにより上に持ち上げられ、同時に可動カッタ14も圧縮バネ48のバネ力で元位置に戻る。
【0059】
さらに、アンビル30、31の側方には、端子送り台6が配置されている。端子送り台6は、その中間部が軸601によって断面コ宇状のヒンジブロック5の対向側壁間に揺動可能に軸支されている。ヒンジブロック5は、ボルトによって本体ベース2に固定されている。
【0060】
端子送り台6は、水平状態と、一端(アンビル側)がアンビルの上端よりも上方に持ち上がった傾斜状態との間で揺動し、反時計回りに回動するときは、他側の下面のストッパーボルト41が本体ベース2にねじ込まれたストッパー40に当接して、必要以上の揺動を規制するようになっている。ストッパーボルト41のねじ込み量を調整することにより、端子送り台6の傾きを調整できる。ヒンジブロック5の対向側壁は、端子送り台6の揺動をガイドする。
【0061】
端子送り台6の上面には、カムプレート18が固定されている。カムプレート18上には、ローラ19が配置されている。ローラ19は、送りアーム7の下端に軸901によって回転可能に軸支されている。送りアーム7は、スライド部44とガイドレール45とからなるLMガイドのスライド部44にボルトで固定されている。ガイドレール45は送りアーム支持板4に、送りアーム支持板4は本体フレーム3にボルトでそれぞれ固定されている。送りアーム7は、ガイドレール45に沿って左右に移動可能になっている。
【0062】
送りアーム7は、送りアーム支持板4の背面側にボルトで取り付けられた流体圧シリンダ36のロッド36aに連結部材54を介してボルトにより連結されている。流体圧シリンダ36を駆動することにより、送りアーム7は左右に移動される。連結部材54は、送りアーム支持板4の開ロ部4aを通っており、左右方向の移動を許容する。
【0063】
端子送り台6の底面とヒンジブロック5の上面との間には、軸601の右側(アンビル側)において圧縮バネ49が配置され、端子送り台6を反時計回りに押してカムプレート18をローラ19に常時押し付け接触させている。
【0064】
カムプレート18の上面には、軸601の右側(アンビル側)において段差により高さを違えたカム面181が形成されている。ローラ19は、カム面181上を左右に移動する。
【0065】
ローラ19が高位カム面181Hに移動したときに、端子送り台6は水平状態になる。
【0066】
一方、ローラ19が低位カム面181Lに移動したときに、圧縮バネ49により端子送り台6が反時計回りに回転し、その一端がアンビル30、31の上端よりも上方に持ち上がった傾斜状態になる。
【0067】
送りアーム7の下端の軸901には、ローラ19と共に送り爪レバー9が回動可能に軸支されている。送り爪レバー9の一端には、送り爪35がボルトで固定されている。送り爪レバー9の他端と送りアーム7との間には、引張バネ56が張設され、送り爪35を端子送り台6の上面に常時押し付けており送りアーム7の左右の移動に従って送り爪35も端子送り台6上を左右に移動する。
【0068】
送り爪35のアンビル側(図中、右側)の面は垂直面を呈している一方、反対側(図中、左側)の面は傾斜面を呈している。送り爪35が図中右に移動するときは、端子送り台6上にある連鎖帯1aの送り穴1hに係合して端子1bがアンビル30、31方向に送られる。
【0069】
一方、送り爪35が図中左に移動するときは、バネ56の付勢力に抗して送り爪35が持ち上がって送り穴1hから脱出し、連鎖帯1a上に乗り上げ次の送り穴1hに移動する。
【0070】
端子送り台6には、連鎖帯1aの送りをガイドするガイドブロック20と3個のガイドプレート24が設けられている。ガイドブロック20およびカムプレート18の側面で連鎖帯1aの外側辺を、ガイドプレート24の先端で連鎖帯1aの内側辺(端子側側面)を押さえ、連鎖帯1aがアンビル側(図中、右側)に移動するのをガイドする。ガイドプレート24は先端が楔形に形成され、軸22により回転可能である。図4において、右側のガイドプレート24はその上端と本体フレーム3との間に、また、左側の2個のガイドプレート24はその上端とガイドブロック20に設けられた支持板23との間にそれぞれ、引張バネ50が張設され、連鎖帯1aが移動するときに弾性的に傾倒し連鎖帯1aと端子1bの連結部分を乗り越えるようになっている。
【0071】
さらに、端子送り台6には、バネ30により連鎖帯1aを端子送り台6上に押し付け、連鎖帯1aを送る際の前進のし過ぎや逆送を防止するコンタクト押さえ29が設けられている。
【0072】
[端子圧着機の動作]
次に、本実施例による端子圧着機の動作を説明する。
【0073】
図8(a)〜(c)ならびに図9(a)〜(c)に端子送り工程から圧着までの工程(1サイクル)における送り機構の動作を示す。尚、図中、端子1bの圧着される部分としては芯線圧着部1dのみを示しているが、被覆圧着部1gも同時に圧着される。
【0074】
図8(a)は、アンビル30とクリンパ32との間に端子1bを送る前の初期状態を示している。ローラ19は、カムプレートの高位カム面181H上に在る。圧縮バネ49によって軸601の周りを上方に付勢された端子送り台6は、水平状態に保持されている。また、送り爪35は、引張バネ56によって端子送り台6上にある連鎖帯1aの送り穴1hに係合している。
【0075】
図8(b)は、端子1bをアンビル30とクリンパ32との間に送る途中の状態を示している。流体圧シリンダ36(図5)の駆動によって送りアーム7が端子送り方向(図中、右方向)に移動される。ローラ19は、カムプレートの高位カム面181Hから低位カム面181L上に移動される。これにより、端子送り台6は、圧縮バネ49によって軸601の周りを図中反時計方向に回動され、一個の端子1bがアンビル30の上端よりも上方に持ち上げられる。また、送り爪35も同時に端子送り方向に移動して連鎖帯1aがアンビル側に前進され、これに連結されている端子1bは、アンビル30の上方に送られる。
【0076】
図8(c)は、端子1bがアンビル30とクリンパ32との間に送られた状態を示している。送りアーム7の端子送り方向(図中、右方向)へのさらなる移動により、ローラ19は、低位カム面181L上を端子送り台6の傾斜状態を保持したまま移動し、同時に、送り爪35も端子送り方向に移動して端子1b(芯線圧着部1d)は、アンビル30とクリンパ32との間でかつアンビル30の上方に送られる。図10は、このときの斜視図である。
【0077】
この端子の送り過程においては、端子送り台6のアンビル側の端部がアンビル30の上端よりも上方に持ち上がった状態で端子1bが送られるので、端子1bはその側板1f等がアンビルに引っ掛かることなく、アンビル30とクリンパ32との間に送られる。
【0078】
図9(a)は、アンビル30の上端(圧着歯)に端子1b(芯線圧着部ld)が載置された端子送り完了状態を示している。アンビル30とクリンパ32との間に端子1bが送られた後、流体圧シリンダ36(図5)の逆方向の駆動によって送りアーム7は、後退され、元位置(初期状態)に戻される。このときに、ローラ19は、カムプレートの低位カム面181Lから高位カム面181H上の元位置に復動し、圧縮バネ49の付勢力に抗して端子送り台6が図中時計回りに回転されて水平状態に戻される。これと共に、アンビル30とクリンパ32との間の端子1b(芯線圧着部1d)は、アンビル30の上端に載置される。また、送り爪35は、引張バネ56の付勢力に抗して連鎖帯1aの送り穴1hから外れて連鎖帯1a上に乗り上げて元位置に復動し、次の送り穴1hに係合される。
【0079】
図9(b)および(c)は、端子の圧着過程を示している。図示しない電線供給機構によって電線を供給し、その芯線を、コンタクト1c(芯線圧着部1d)に載置した(図示せず)後に、プレス機を駆動してクリンパ32を下降させアンビル30上の端子1bに圧着する。これと同時に、可動カッタ14とカッターブロック17(図3に示す)によって連鎖帯1aと端子1bの連結部分が切断されて端子1bが分離される。端子圧着後、プレス機を逆方向に駆動してクリンパ32を元位置に復動させる。
【0080】
以上のように、本発明の端子圧着機における送り機構は、送りアーム7の往復動の一動作で端子1bの送りと、端子送り台6の揺動とを同時に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上幾つかの実施例によって本発明を説明してきたが、本発明がその要旨から逸脱しない限りは、種々に変形可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】は、端子圧着機の圧着対象である連鎖伏端子と電線とを示す斜視図である。
【図2】は、従来の端子圧着機の問題点を説明するための図である。
【図3】は、本発明の実施例による端子圧着機を示す斜視図である。
【図4】は、図3に示された端子圧着機の正面図である。
【図5】は、図3に示された端子圧着機の背面図である。
【図6】は、図3に示された端子圧着機の端子圧着機構部分を示す図4の切断線6−6に沿った断面図である。
【図7】は、図3に示された端子圧着機の端子送り機構部分を拡大して示す正面図である。
【図8】(a)〜(c)は、図3に示された端子圧着機の動作を説明するための工程図である。
【図9】(a)〜(c)は、図3に示された端子圧着機の動作を説明するためのさらなる工程図である。
【図10】は、図8(c)に示された動作工程における端子圧着機構部分を示す斜視図である。
【図11】(a)および(b)は、図3に示された端子圧着機の端子圧着機構による圧着過程を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
1 連鎖状端子
1a 連鎖帯
1b 端子
1c コンタクト
1d 芯線圧着部
1e シェル
1f 側板
1g 被覆圧着部
1h 送り穴
1j インシュレータ
2 本体ベース
3 本体フレーム
4 送りアーム支持板
5 ヒンジブロック
6 端子送り台
7 送りアーム
9 送り爪レバー
10 ヘッド
14 可動カッタ
16 パンチ
17 カッターブロック
18 カムプレート
19 ローラ
30、31 アンビル
32、33 クリンパ
35 送り爪
36 流体圧シリンダ
49 圧縮バネ
56 引張バネ
100 電線
100a 芯線
100b 内部被覆
100c シールド線
100d 外部被覆
181H 高位カム面
181L 低位カム面
601 軸
901 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連鎖帯によって連結された複数の端子をアンビル上に順次供給し、アンビル上の端子を昇降するクリンパによって電線に圧着する端子圧着機において、
端子の送り方向に延び、上面に沿って端子を前記アンビル上に案内する端子送り台を有し、前記端子送り台は、端子を前記アンビル上に供給する際に端子が該アンビルに衝突しないように端子を上昇させるように動作することを特徴とする端子圧着機。
【請求項2】
前記端子送り台は、前記アンビルを臨む端部が上下するように軸支されていると共に、該端部が上昇する向きに付勢されており、
さらに、前記端子送り台に設けられ、互いに並んで形成された高位カム面および低位カム面を備えたカムプレートと、
前記カムプレートの前記高位カム面と前記低位カム面との間を往復する端子送り台制御部材とを有し、
前記端子送り台制御部材は、端子を前記アンビル上に供給する際には該低位カム面に位置することによって前記端子送り台の該端部の上昇を許す一方、これ以外の際には該高位カム面に位置することによって該端子送り台の前記端部の上昇を規制する請求項1に記載の端子圧着機。
【請求項3】
連鎖帯に係合する送り爪を備え、端子送り方向に往復して端子をアンビル上に順次供給する送りアームをさらに有し、
前記カムプレートの前記高位カム面および前記低位カム面は、端子送り方向に並んで形成されており、
前記送りアームは、前記端子送り台制御部材としても機能するものである請求項2に記載の端子圧着機。
【請求項4】
前記端子送り台制御部材は、前記カムプレートの前記高位カム面と前記低位カム面との間を走行するローラを備えている請求項1乃至3のいずれか1つに記載の端子圧着機。
【請求項5】
連鎖帯に対する端子の空きを検知するセンサを有し、端子の空きがある場合には前記クリンパの動きを休止する請求項1乃至4のいずれか1つに記載の端子圧着機。
【請求項6】
前記端子送り台制御部材は、流体圧シリンダ、電気リニアモータ、あるいは電気回転モータとカム機構の組み合わせによって駆動される請求項1乃至5のいずれか1つに記載の端子圧着機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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