説明

端子圧着装置

【課題】外導体端子に形成された共圧着作業用孔を利用して共圧着端子を圧着する際、共圧着端子圧着用の上金型の開脚変形を防止すること。
【解決手段】共圧着作業用孔を通って外導体端子22内で共圧着端子38を載置可能な第2下型面70aを有する第2下型70が配設されていると共に、第2下型70に対向配置され、間に第2下型面70aを挿入配置可能な凹溝状の第2上型面90aが形成された一対の脚部91を有し、この一対の脚部91を共圧着作業用孔内に挿入しつつ第2上型面90a内に第2下型面70aを配設することで、共圧着端子38をキャパシタ部品のリード部35及び同軸電線の中心導体11に圧着する第2上型90が配設されている。また、第2下型70と第2上型90が相対的に接近する際、一対の脚部91の外側面に摺接する摺接面71bを有するガイド部71が第2下型70の幅方向両側外方に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電線に端子を圧着する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
端子圧着装置として、内部導体と外部導体とを有する同軸電線を、圧着部を有する外導体端子にコンデンサを組込んだ圧着端子に、圧着接続するものがある。その圧着接続の際、外導体端子の圧着部を同軸電線の外部導体に圧着すると共に、外導体端子内で共圧着端子を同軸電線の内部導体とコンデンサリードに圧着する端子圧着装置がある。
【0003】
本願発明に関連する先行技術としては、例えば特許文献1に記載のものがある。
【0004】
【特許文献1】特開2007−26968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
共圧着端子を用いて同軸電線の内部導体とコンデンサリードを圧着接続する際、共圧着端子圧着用の上金型は、外導体端子中間部に形成されたリード配置孔を通って外導体端子内に配設される。このため、共圧着端子圧着用の上金型は、外導体端子に形成されたリード配置孔内に入る幅以下に形成する必要がある。従って、上金型の幅を狭くせざるを得なくなり、上金型の開脚変形等を生じ、これにより、上金型の、耐久性の低下等を生じる恐れがあった。
【0006】
そこで、本発明は、外導体端子に形成された共圧着作業用孔を利用して共圧着端子を圧着する際、共圧着端子圧着用の上金型の開脚変形を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、2つの導体を有する電線を、圧着部と長手方向中間部の共圧着作業用孔とを有する外導体端子に内導体端子と電気部品とを組込んだ圧着端子に圧着接続する際に、前記圧着部を前記2つの導体の一方に圧着すると共に、前記外導体端子内で前記共圧着作業用孔と対応する位置で共圧着端子を前記2つの導体の他方と前記電気部品のリード部とに圧着するための第1の態様に係る端子圧着装置は、前記圧着部を載置可能な第1下型と、前記第1下型に対向配置され、前記第1下型の上に載置された前記圧着部を前記一方の導体に圧着する第1上型と、前記共圧着作業用孔を通って前記外導体端子内で前記共圧着端子を載置可能な第2下型面を有する第2下型と、前記第2下型に対向配置され、間に前記第2下型面を挿入配置可能な凹溝状の第2上型面が形成された一対の脚部を有し、前記一対の脚部を前記共圧着作業用孔内に挿入しつつ前記第2上型面内に前記第2下型面を配設することで、前記第2下型面の上に載置された前記共圧着端子を前記電気部品の接続部及び前記他方の導体に圧着する第2上型と、前記第2下型の幅方向両側外方に設けられ、前記第2下型と前記第2上型が相対的に接近する際、前記一対の脚部の外側面に摺接する摺接面を有する一対のガイド部と、を備えている。
【0008】
第2の態様に係る端子圧着装置のように、前記一対のガイド部の摺接面に、前記第2上型側に向けて外向き傾斜するガイド部側案内部を有していてもよい。
【0009】
第3の態様に係る端子圧着装置のように、前記第2上型に、前記一対の脚部先端の幅方向外側面に前記第2下型側に向けて内向き傾斜する脚部側案内部を有していてもよい。
【0010】
第4の態様に係る端子圧着装置のように、前記第2下型と前記ガイド部とが一体形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
第1の態様に係る端子圧着装置によると、第2下型と第2上型とが相対的に接近する際、第2上型の一対の脚部の外側面は、一対のガイド部の摺接面に摺接するため、一対の脚部が開脚するのを防止することができる。
【0012】
また、第2の態様に係る端子圧着装置によると、第2上型と第2下型とが相対的に接近する際、一対の脚部がガイド部のガイド部側案内部によりスムーズに一対のガイド部間に誘導され、円滑に圧着を行うことができる。
【0013】
また、第3の態様に係る端子圧着装置によると、第2上型と第2下型とが相対的に接近する際、一対の脚部が、その脚部側案内部によりスムーズに一対のガイド部間に誘導され、円滑に圧着を行うことができる。
【0014】
さらに、第4の態様に係る端子圧着装置によると、第2下型とガイド部とが一体形成されているため、第2下型とガイド部との位置関係を調整しつつ両者を組立てる必要がなく、本装置構成を簡易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、実施形態に係る端子圧着装置について説明する。ここでは、対象となる圧着端子及び電線について説明してから、端子圧着装置について説明する。
【0016】
<1.圧着端子及び電線>
図1は圧着端子20及び同軸電線10を示す平面図であり、図2は連鎖状外導体端子29を示す平面図であり、図3は連鎖状共圧着端子39を示す平面図である。
【0017】
まず、対象となる電線は、ここでは、同軸電線10である。同軸電線10は、銅線等で形成された線状の中心導体11と、絶縁樹脂等で形成され中心導体11の外周囲を被う絶縁内皮層12と、銅線等で形成され絶縁内皮層12の外周囲を被う編組層13と、絶縁樹脂等で形成され編組層13のさらに外周囲を被う外皮層14とを備えている。この同軸電線10は、2つの導体として、中心導体11と編組層13とを有している。
【0018】
この同軸電線10に対しては、圧着端子20に圧着接続されるにあたって、先端部の皮剥ぎ等の端末処理が施される。この端末処理は、同軸電線10の先端部から順次中心導体11,絶縁内皮層12,編組層13をそれぞれ所定長で露出させる処理である。
【0019】
なお、上記編組層13の内周囲又は外周囲又はその双方にアルミ箔等の導電性箔が設けられていてもよい。また、2つの導体は必ずしも同心円状に配設される必要はなく、2つの導体が並列状に配置される電線であってもよい。さらに、2つの導体とは別にさらに他の導体を備えた電線であってもよい。すなわち、加工対象としては、少なくとも2つの導体を有する電線全てが対象となる。
【0020】
圧着端子20は、外導体端子22と、その外導体端子22に組込まれた内導体端子30及びキャパシタ部品34とを有している。
【0021】
外導体端子22は、金属板を適宜打抜き屈曲加工することにより形成されたものであり、接続部24と端子中間部26と圧着部28とが直線状に連設された構成とされている。
【0022】
接続部24は、前部側の略筒状部分24aと後部側の半円筒部分24bとを有している。前部側の略筒状部分24a内には、内導体端子30を収容するための空間が形成されている。後部側の半円筒部分24bにはキャパシタ部品34を収容するための空間が形成されている。
【0023】
圧着部28は、断面略U字状の圧着片28a,28bを外導体端子22の軸方向に沿って2箇所に有している。端子中間部26側の圧着片28aは、同軸電線10のうち編組層13の露出部分に圧着可能に形成され、端部側の圧着片28bは外皮層14の端部部分に圧着可能に形成されている。
【0024】
端子中間部26は、一対の側片26aを有しており、この一対の側片26a間に、共圧着端子38を用いてキャパシタ部品34のリード部35と中心導体11とを接続するための空間が形成されている。また、端子中間部26の上方は開口すると共に、その底部は共圧着作業用孔35hを通じて開口している。そして、端子中間部26の上方開口及び共圧着作業用孔35hを通じて後述する第2下型70及び第2上型90による共圧着端子38の圧着がなされる。
【0025】
内導体端子30は、接続部31と圧着部32とを有している。接続部31は相手側端子への接続に供される部分であり、圧着部32はキャパシタ部品34のリード部35に圧着接続される部分である。
【0026】
キャパシタ部品34は、本体部34aから外方に延出する一対のリード部35を有する電子部品である。
【0027】
上記内導体端子30及びキャパシタ部品34は、次のようにして外導体端子22に組込まれている。すなわち、上記キャパシタ部品34の一方のリード部35は上記内導体端子30の圧着部32に圧着接続されている。この状態で、内導体端子30が上記接続部24内に保持されている。ここでは、接続部24の前部の略筒状部分24a内に絶縁樹脂等で形成された略筒状のホルダ部材36を挿入し、当該ホルダ部材36内に内導体端子30を挿入することで、内導体端子30が、外導体端子22に対して直接的に接触しない状態で接続部24内に保持されている。
【0028】
この状態で、内導体端子30の圧着部32に圧着接続されたキャパシタ部品34は、接続部24の後部の半円筒部分24b内に配設されるように、リード部35を介して片持ち状に支持される。また、この状態では、キャパシタ部品34から延出する他方のリード部35は、端子中間部26の一対の側片26a間で、外導体端子22の軸方向に沿って片持ち状に延在している。
【0029】
なお、本実施形態では、電気部品がキャパシタ部品34である場合で説明するが、電気部品としては、必要とされる電気的特性に応じて、抵抗部品や整流素子部品等、一対のリード部品を有する各種電気部品を採用することができる。
【0030】
この外導体端子22は、連鎖状外導体端子29の形態で端子圧着装置40に供給される(図2参照)。この連鎖状外導体端子29は、複数の外導体端子22が圧着部28側で外導体端子用連鎖帯29aに所定間隔をあけて並列状に連結された構成とされている。なお、外導体端子用連鎖帯29aには、所定間隔で送り孔29hが複数形成されている。この送り孔29hを利用して、端子圧着装置40等で連鎖状外導体端子29の送込みがなされる。
【0031】
共圧着端子38は、金属片を適宜打抜き屈曲加工することにより形成された部材であり、断面略U字状の半円筒状に形成されている。この共圧着端子38は、上記キャパシタ部品34のリード部35及び中心導体11に共圧着可能に形成されている。
【0032】
また、この共圧着端子38は、連鎖状共圧着端子39の形態で端子圧着装置40に供給される(図3参照)。この連鎖状共圧着端子39は、複数の共圧着端子38がその一端側で共圧着端子用連鎖帯39aに所定間隔をあけて並列状に連結された構成とされている。なお、共圧着端子用連鎖帯39aには、所定間隔をあけて送り孔39hが複数形成されている。この送り孔39hを利用して、端子圧着装置等において連鎖状共圧着端子39の送込みがなされる。
【0033】
本端子圧着装置は、上記外導体端子22の圧着部28を同軸電線10の編組層13(導体)に圧着すると共に、共圧着端子38を外導体端子22内であって共圧着作業用孔35hと対応する位置(より具体的には共圧着作業用孔35hの内周側の位置であって、一対の側片26a間)でキャパシタ部品34のリード部35(接続部)及び中心導体11(導体)に圧着するための装置である。
【0034】
<2.端子圧着装置の全体構成>
端子圧着装置40の全体構成について説明する。図4は端子圧着装置40の全体構成を示す概略平面図であり、図5は端子圧着装置40の全体構成を示す概略正面図である。
【0035】
この端子圧着装置40は、基台42と、可動支持フレーム44と、ラム部材48と、端子送りガイド部50と、端子送り機構部54とを備えている。
【0036】
基台42は、板状に形成されており、略水平姿勢で図示省略の装置台上に固定されている。ここでは、基台42は、略方形板状に形成されている。
【0037】
可動支持フレーム44は、基台42に対して略垂直姿勢で立設された板部45と、板部45の一主面(前面側)に固定された一対のガイドフレーム片46とを有している。一対のガイドフレーム片46は、基台42に対して略垂直姿勢で、かつ、それらの間に所定間隔をあけた並列姿勢で固定されている。また、一対のガイドフレーム片46の下端部は、基台42の上面から離間しており、これらの間で、後述する下型群60や上型群80を用いた圧着作業が行われる。
【0038】
ラム部材48は、上記一対のガイドフレーム片46間に配設可能な略直方体状に形成されており、特に、その幅寸法は、一対のガイドフレーム片46間の間隔寸法よりも幅狭(ここでは僅かに幅狭)に形成されている。そして、ラム部材48は、一対のガイドフレーム片46間で、一定姿勢で、上昇位置(図5のA参照)と下降位置(図5のB参照)との間で昇降自在にガイドされている。
【0039】
また、ラム部材48の上方には、エアシリンダ等のアクチュエータによって構成される昇降駆動機構部49が配設されている。ラム部材48は、ロッド部49aを介して昇降駆動機構部49の駆動力を受けて、昇降駆動するようになっている。つまり、昇降駆動機構部49は、後述するように、第1上型84と第1下型64との間で圧着部28の圧着を行わせるようにそれらを相対的に近接移動させる(ここでは第1上型84を第1下型64に向けて下降させる)と共に、第2上型90と第2下型70との間で共圧着端子38の圧着を行わせるようにそれらを相対的に近接移動させる(ここでは、第2上型90を第2下型70に向けて下降させる)ように構成されている。
【0040】
また、このラム部材48の下部には、第1上型84及び第2上型90を含む上型群80が取付けられている。さらに、基台42の上面であってラム部材48の下方位置(即ち、上型群80に対向する下方位置)には、第1下型64及び第2下型70を含む下型群60が、下型固定部43を介して取付けられている。そして、ラム部材48の昇降駆動に伴って、下型群60に対して上型群80が接近離間移動するようになっている。これらの上型群80及び下型群60の構成については後で詳述する。
【0041】
なお、上型群80が下型群60に対して接近離間移動する構成で説明したが、必ずしもその必要はなく、その双方が動く構成であっても、下型群60が上型群80に対して接近離間移動する構成であってもよい。要するに、それらが相対的に接近移動する構成であればよい。
【0042】
また、上記昇降駆動機構部49は、上記第1上型84と第2上型90とをそれぞれ別々に昇降駆動する2つの駆動部を有していてもよい。
【0043】
端子送りガイド部50は、略板状に形成されている。この端子送りガイド部50の内部には、連鎖状外導体端子29を挿通ガイド可能な外導体端子送りガイド孔51が形成されると共に、連鎖状共圧着端子39を挿通ガイド可能な共圧着端子送りガイド孔52が形成されている。これらの外導体端子送りガイド孔51及び共圧着端子送りガイド孔52は、略並列姿勢で、互いに交わらない位置に形成されている。そして、本端子圧着装置40の一側方と下型群60とを結ぶ方向に沿って上記外導体端子送りガイド孔51及び共圧着端子送りガイド孔52が配設されるような姿勢で、端子送りガイド部50が基台42に対して直接又は間接的に固定されている。
【0044】
端子送り機構部54は、外導体端子送りガイド孔51内の連鎖状外導体端子29を送ると共に、共圧着端子送りガイド孔52内の連鎖状共圧着端子39を送り、下型群60及び上型群80の端子圧着動作1回毎に、外導体端子22及び共圧着端子38を1つずつ下型群60に向けて送込むように構成されている。
【0045】
ここでは、端子送り機構部54は、揺動部材55と、伝達部材56と、送り爪部材57と、付勢部材58とを有している。
【0046】
揺動部材55は、一対のガイドフレーム片46の外側方でかつ端子送りガイド部50の上方位置で、板部45に軸部55aを介して揺動自在に支持されている。上記軸部55aの中心軸は、外導体端子送りガイド孔51及び共圧着端子送りガイド孔52の延在方向に略直交すると共に基台42に対して略水平姿勢であり、揺動部材55の先端部が、外導体端子送りガイド孔51及び共圧着端子送りガイド孔52の延在方向に沿って揺動するようになっている。また、この揺動部材55には、下方に向けて下型群60側に斜め傾斜するカム溝55gが形成されている。
【0047】
伝達部材56の一端部は、ラム部材48に一体的に連結固定されており、ラム部材48の昇降に連動して昇降するようになっている。また、伝達部材56の他端部は、一方のガイドフレーム片46に形成された溝を通って上記揺動部材55のカム溝55gに向けて延出している。この伝達部材56の他端部にはカム溝55g内を移動可能な突部56aが形成されている。
【0048】
そして、伝達部材56がラム部材48の昇降に連動して昇降すると、その昇降の動きが、突部56a及びカム溝55gを介して揺動部材55を揺動させる動きとして伝達されるようになっている。
【0049】
また、送り爪部材57は、長尺状の部材であり、揺動部材55の先端部に軸部55bを介して揺動自在に支持されている。送り爪部材57の一端部には、2つの爪部57a,57bが設けられており、各ガイド孔51,52に達するように端子送りガイド部50に形成された孔を通じて、各爪部57a,57bが外導体端子送りガイド孔51及び共圧着端子送りガイド孔52内に配設されるようになっている。また、各爪部57a,57bは、下方に向けて下型群60側に尖る形状を有しており、各爪部57a,57bが下型群60側に移動する場合にのみ、連鎖帯29a,39aの送り孔29h,39hに係合し、下型群60から離反する方向に移動する場合には、連鎖帯29a,39aの送り孔29h,39h上を滑ってそれらに係合しないようになっている。
【0050】
また、付勢部材58は、ここではコイルバネであり、伸長状態で、その一端部が揺動部材55に連結固定されると共に、他端部が送り爪部材57の他端部に連結固定されている。この付勢部材58は、送り爪部材57の一端部にある各爪部57a,57bを、外導体端子送りガイド孔51及び共圧着端子送りガイド孔52の底部に向けて付勢することで、各爪部57a,57bが下型群60側に移動する際により確実に連鎖帯29a,39aの送り孔29h,39hに係合するようにしている。
【0051】
そして、ラム部材48が下降するのに連動して揺動部材55が揺動すると、各爪部57a,57bは各送り孔29h,39hに係合することなく、下型群60から離間する方向へ移動する。この後、ラム部材48が上昇するのに連動して揺動部材55が揺動すると、各爪部57a,57bは外導体端子送りガイド孔51及び共圧着端子送りガイド孔52で各送り孔29h,39hに係合して、連鎖状外導体端子29及び連鎖状共圧着端子39を下型群60に向けて送るようになっている。
【0052】
なお、外導体端子22及び共圧着端子38を送る機構は、上記の構成に限られない。別途のエアシリンダ等のアクチュエータで送込む機構であってもよいし、また、外導体端子22及び共圧着端子38を別々の機構で送込む機構であってもよい。
【0053】
<3.端子圧着装置の圧着部分構成>
本端子圧着装置による圧着部分の構成についてより詳細に説明する。図6は下型群60及び上型群80を示す側面図である。
【0054】
上述したように基台42上面には下型群60が取付けられており、ラム部材48の下部には、上型群80が取付けられている。そして、これらの間に外導体端子22、共圧着端子38が所定姿勢で配設されると共に、同軸電線10の端部がその軸方向を外導体端子22の軸方向に揃えて所定姿勢で配設されることで、圧着部28及び共圧着端子38の圧着が行われる。
【0055】
下型群60は、外導体端子22及び同軸電線10の軸方向において、同軸電線10側から外導体端子22の先端側に向う順で、外導体端子カット部61、第1下型64、中心導体位置決め部68、第2下型70、共圧着端子カット部74及び補助支持部76を備えている。上記の内、第1下型64、中心導体位置決め部68、第2下型70は、基台42に対して一定位置で固定されている。また、外導体端子カット部61、共圧着端子カット部74及び補助支持部76は、図示省略のガイド部材によって基台42に対して上下移動自在に支持されると共に、それぞれコイルバネ等の付勢部材61S、74S、76Sによって基台42に対して上方に付勢されている。
【0056】
また、上型群80は、外導体端子22及び同軸電線10の軸方向において、同軸電線10側から外導体端子22の先端側に向う順で、第1カット押え部81、第1上型84、第2上型90、リード位置決め部92、第2カット押え部94、端子押え部96及び支持押え部98を備えている。また、上型群80は、外導体端子22及び同軸電線10の軸方向において、上記第1カット押え部81と略同じ位置に、電線押え部82を有している。これらのうち、電線押え部82、第1上型84、第2上型90、リード位置決め部92、第2カット押え部94及び支持押え部98は、ラム部材48に対して一定位置で固定されている。また、端子押え部96は、図示省略のガイド部材によってラム部材48に対して上下移動自在に支持されると共に、それぞれコイルバネ等の付勢部材96Sによってラム部材48に対して下方に付勢されている。
【0057】
ここで、上記各部材の上下の対応関係及び外導体端子22、共圧着端子38の対応関係について説明しておく。
【0058】
外導体端子カット部61は、外導体端子用連鎖帯29aに対応する位置、同軸電線10を基準にすると、外導体端子22上に配設される同軸電線10であってその圧着部28から外方に延出する外皮層14部分の下方位置に配設されている。また、この上方に第1カット押え部81及び電線押え部82が配設されている。
【0059】
第1下型64は、外導体端子22の圧着部28の下方位置に配設されている。この上方の対向位置に、第1上型84が配設されている。
【0060】
中心導体位置決め部68は、外導体端子22に組込まれたキャパシタ部品34のリード部35の延長上であって当該外導体端子22上に配設される同軸電線10の中心導体11の基端部の下方位置に配設されている。
【0061】
なお、この中心導体位置決め部68上方位置に、取外ストッパ79が設けられている。この取外ストッパ79は、後述するように、ガイドフレーム片46の一方側に軸部を介して揺動自在に支持された部材である。
【0062】
また、第2下型70は、端子中間部26の共圧着作業用孔35hの下方であって共圧着端子38の下方位置に配設されている。この第2下型70の上方対向位置に、第2上型90が配設されている。
【0063】
リード位置決め部92は、外導体端子22に組込まれたキャパシタ部品34の一方のリード部35(同軸電線10側のもの)の中間部上方位置に配設されている。
【0064】
また、共圧着端子カット部74は、共圧着端子用連鎖帯39aに対応する位置の下方に配設されている。この共圧着端子カット部74の上方位置に、第2カット押え部94が配設されている。
【0065】
また、補助支持部76は、外導体端子22の接続部24の下方位置に配設されており、この上方に端子押え部96及び支持押え部98が配設されている。
【0066】
各機能別に下型群60及び上型群80の各構成要素について説明する。
【0067】
まず、第1下型64と第1上型84について説明する。図7は第1下型64及び第1上型84を外導体端子22の軸方向に沿って同軸電線10側から見た状態を示す図である。
【0068】
第1下型面64aは、弧状に湾曲する縦断面形状を有する浅溝状に形成されており、その第1下型面64aに圧着部28が載置可能とされている。また、第1上型84の下部であって第1下型面64aと対向する位置には、第1上型面84aが形成されている。第1上型面84aの最奥(上)部は、半円弧状に湾曲する、半円柱周面状に形成されている。そして、第1下型面64aに圧着部28を載置すると共に当該圧着部28内に同軸電線10の外皮層14部分及び編組層13部分を配設した状態で、第1上型を第1下型64に近接させることで、圧着部28が同軸電線10の外皮層14に圧着されるようになっている。
【0069】
なお、圧着部28内に配設される外皮層14部分及び編組層13部分とでは外径が異なっているので、これに対応して圧着部28の圧着後の径に差異が生じる。このため、第1下型面64a又は第1上型84の第1上型面84a部分又はその双方に、外皮層14部分及び編組層13部分との圧着部分で段差を設けてもよい。ここでは、第1上型84の第1上型面84a部分に段差を設けている。
【0070】
なお、第1下型64及び第1上型84は、少なくとも圧着部28を導体である編組層13に圧着する構成であればよい。
【0071】
次に、第2下型70と第2上型90について説明する。図8は第2下型70及び第2上型90を外導体端子22の軸方向に沿って同軸電線10側から見た状態を示す図である。
【0072】
第2下型70は上方に突出する突出部70bを有し、これにガイド部71が一体形成されている。第2下型70の突出部70bの上端に形成されている第2下型面70aは、弧状に湾曲する浅溝状に形成されており、その第2下型面70a上に共圧着端子38が載置可能とされている。上記突出部70bは、共圧着作業用孔35h内に挿入可能な大きさに形成されている。そして、突出部70bの上端部が外導体端子22の端子中間部26の共圧着作業用孔35hを通って外導体端子22内に配設されることで、一対の側片26a間で第2下型面70a上に共圧着端子38を載置可能に構成されている。
【0073】
ガイド部71は、第2下型70の突出部70bの幅方向両側外方に、突出部70bの下側の基端部を介して連なるように一体形成されている。ガイド部71は、当該突出部70bの幅方向両外側面と一対のガイド部71の内側の摺接面71bとが間隔をあけて対向するように設けられている。ここで、幅方向とは、後述の一対の脚部91を結ぶ方向である。つまり、第2上型90が第2下型70に対して接近移動する方向である圧着方向と同軸電線10の軸方向とに直交する方向である。そして、第2下型には、突出部70bの幅方向外側面とガイド部71の摺接面71bとにより凹溝部70hが形成されている。
【0074】
上記凹溝部70hは、後述の第2上型90を第2下型70に近接させた際、第2上型90の脚部91を挿入可能な幅を有している。また、ガイド部71の摺接面71bは、第2上型90を第2下型70に近接させた際、脚部91の幅方向外側面に摺接可能な方向に延在するように形成されている。つまり、一対のガイド部71の内側面に形成された2つの摺接面71b間の間隔は、一対の脚部91の外側面間の間隔と略同一である。一対の摺接面71b間の間隔と一対の脚部91の外側面間の間隔とは、一対の摺接面71b間に一対の脚部91を配設可能でかつ一対の脚部91の開脚を防止し得る程度で略同一であればよい。
【0075】
さらに、摺接面71bの先端部分には、第2上型90側に向けて外向き傾斜するガイド部側案内部71aが形成されている。ここでは、ガイド部側案内部71aは、摺接面71bの先端部分が外向きに円弧状に開くように形成されている。
【0076】
なお、一対のガイド部71の突出寸法は、突出部70bの突出寸法よりも小さい。従って、突出部70bの先端部を外導体端子22内に配設した状態で、ガイド部71は外導体端子22に干渉しないようになっている。
【0077】
第2上型90は、一対の脚部91を有しており、この一対の脚部91の幅方向内側面であって第2下型面70aと対向する位置には、凹溝状に第2上型面90aが形成されている。より具体的には、一対の脚部91の幅方向内側面は、第2下型面70aを含む突出部70bを第2上型面90a内に挿入配置可能な間隔(ここでは第2下型70の突出部70bより僅かに幅広の間隔)をあけて形成されている。一対の脚部91の幅方向外側の両面間距離は、第2上型90が第2下型70に接近する際、外導体端子22の共圧着作業用孔35hに挿通可能な幅寸法に形成されている。また、第2上型面90aの最奥(上)部には、隣接する2つの円弧状曲面が形成されている。さらに、一対の脚部91先端の幅方向外側面には、第2下型70側に向けて内向き傾斜する脚部側案内部91aが形成されている。
【0078】
そして、外導体端子22の端子中間部26内で、第2下型70の第2下型面70aに共圧着端子38を載置した状態で、第2上型90を第2下型70に向けて移動させることで、第2下型面70aと第2上型面90aとの間で共圧着端子38の圧着が行われる。この際、第2上型90の一対の脚部91は共圧着作業用孔35hを通って第2下型70の突出部70bと一対のガイド部71間に配設され、一対の脚部91の外側面が一対のガイド部71の摺接面71bに摺接する。これにより、一対の脚部91の開脚が抑制されるようになっている。
【0079】
ここで、第1上型84と第1下型64とが相対的に接近する方向と略直交する平面(つまり、略水平面)において、第1上型84と第1下型64との間で圧着部28を圧着する際に、圧着端子20が配設されることとなる位置で、共圧着端子38を圧着できるような位置に、第2下型70と第2上型90とが配設されている。換言すれば、略水平面において、圧着端子20及び同軸電線10を所定位置に配設した状態で、圧着部28の圧着及び共圧着端子38の圧着を行えるように、第1上型84及び第1下型64、第2下型70及び第2上型90が配設されている。
【0080】
このため、前記平面において、共圧着端子38を一定位置に配設した状態で、外導体端子22の圧着部28の圧着と共圧着端子38の圧着とを行えることになり、それらの圧着対象位置が相互に位置ずれし難く、双方の圧着を良好に行える。
【0081】
なお、圧着部28の圧着位置と共圧着端子38の圧着位置とは、上下方向で一致していなくともよい。
【0082】
なお、上記第2上型90の第1上型84側には、取外ストッパ79が設けられている。取外ストッパ79は、略L字の板状に形成されている。そして、その一端部を第2上型90の上下移動軌跡の第1上型84側であって外導体端子22と略直交する姿勢で配設した状態で、その他端部がガイドフレーム片46の一方側に軸部79aを介して揺動自在に支持されている。また、この取外ストッパ79は、その他端部をガイドフレーム片46側の規制部材に当接させること等によって、その揺動範囲が規制されている。この取外ストッパ79は、第1上型84に食込んだ圧着部28や第2上型90に食込んだ共圧着端子38を外す役割を有している。すなわち、上記のように圧着を行うと、第1上型84に圧着部28が食込んだり、第2上型90に共圧着端子38が食込んでしまう場合がある。この状態で、第1上型84や第2上型90が上昇すると、一緒に共圧着端子38及び外導体端子22が上昇してしまうことがある。この場合に、共圧着端子38及び外導体端子22の上昇途中で、外導体端子22の一対の側片26aの上縁部が取外ストッパ79の他端部に当接し、外導体端子22及び共圧着端子38の上昇が抑制され、第1上型84や第2上型90から外される。上記取外ストッパ79の揺動範囲の規制は、このように第1上型84や第2上型90の上昇途中で、外導体端子22及び共圧着端子38の上昇を抑制し得る範囲に設定されている。
【0083】
次に、中心導体11と、キャパシタ部品34のリード部35とをガイドする構成について説明する。図9は中心導体位置決め部68、第2下型70及び第2上型90、リード位置決め部92を、外導体端子22の軸方向に沿って同軸電線10側から見た状態を示す図であり、図10は中心導体位置決め部68及び第2下型70を上方から見た図である。
【0084】
すなわち、中心導体位置決め部68は第2下型70よりも第1下型64側に隣設する位置に設けられている。中心導体位置決め部68の先端部には、上下方向に沿ってスリット部68aが形成されている。スリット部68aの幅寸法は、中心導体11の径寸法よりも大きく、かつ、共圧着端子38の内幅寸法よりも小さく設定されている。また、スリット部68aの奥部(下部)は、第2下型面70aよりも下方に位置している。また、スリット部68aの上側開口部は、開口方向に向けて順次拡開する形状に形成されている。さらに、中心導体位置決め部68の幅寸法は、外導体端子22の端子中間部26の一対の側片26a間に配設可能な寸法に形成されている。そして、本中心導体位置決め部68の先端部が、端子中間部26の一対の側片26a間にその下方から挿入されると、共圧着端子38の軸方向において当該共圧着端子38に隣設する位置で、中心導体11がスリット部68a内に挿入され、共圧着端子38内に案内されるようになっている。
【0085】
また、リード位置決め部92は、外導体端子22の先端側(内導体端子側)で第2上型90に隣設する位置に設けられている。リード位置決め部92の先端部には、上下方向に沿ってスリット部92aが形成されている。スリット部92aの幅寸法は、リード部35の径寸法よりも大きく、かつ、共圧着端子38の内幅寸法よりも小さく設定されている。また、スリット部92aの奥部(上部)は、第2上型90の第2上型面90aの最奥(上)部と略同じ位置又は僅かに上方に位置している。また、スリット部92aの下側開口部は、開口方向に向けて順次拡開する形状に形成されている。さらに、リード位置決め部92の幅寸法は、外導体端子22の端子中間部26の一対の側片26a間に配設可能な寸法に形成されている。そして、本リード位置決め部92の先端部が、端子中間部26の一対の側片26a間にその上方から挿入されると、共圧着端子38の軸方向において共圧着端子38に隣設する位置で、リード部35がスリット部92a内に挿入され、共圧着端子38内に案内されるようになっている。
【0086】
次に、外導体端子カット部61、第1カット押え部81及び第1下型64で外導体端子22を外導体端子用連鎖帯29aから切離す構成について説明する。
【0087】
図11は外導体端子カット部61、第1カット押え部81及び電線押え部82を、外導体端子22の軸方向に沿って同軸電線10側から見た状態を示す図であり、図12は外導体端子22を外導体端子用連鎖帯29aから切離す直前の状態を示す側面図である。
【0088】
すなわち、外導体端子カット部61は、中実なブロック状に形成され、その内部であって第1下型64に隣設する部分に、外導体端子用連鎖帯29aを収容可能な凹溝部61gが形成されている。この凹溝部61gは、端子送りガイド部50の外導体端子送りガイド孔51の延長線上に沿って形成されており、外導体端子送りガイド孔51を通って送られる連鎖状外導体端子29の外導体端子用連鎖帯29aが本凹溝部61g内に導入される。
【0089】
この外導体端子カット部61は、凹溝部61gの開口部の上側エッジ部61eと第1下型面64aの第1カット押え部81側のエッジ部64eとの間で、外導体端子22と外導体端子用連鎖帯29aとの間を剪断可能な態様ですれ違うように、第1下型64に隣設する位置で昇降自在に配設されている。
【0090】
また、外導体端子カット部61の上面には、略半円筒状の電線ガイド溝61bが形成されており、同軸電線10が当該電線ガイド溝61b上に載置されるようになっている。
【0091】
第1カット押え部81は、同軸電線10の側方を通って下方に突出する押え突部81aを有している。この押え突部81aは、圧着部28の圧着がなされる前に、第1カット押え部81の上面であって電線ガイド溝61bの側方部分に当接して当該第1カット押え部81を下降可能な突出寸法に形成されている。
【0092】
また、電線押え部82は、第1カット押え部81に対して上下移動自在に支持されると共にコイルバネ等の弾性部材82Sによって下方に付勢されている。そして、第1カット押え部81の押え突部81aが第1カット押え部81の上面に当接する際又はその前に、電線ガイド溝61b上の同軸電線10の上部に当接して、当該同軸電線10を電線ガイド溝61b上の一定位置に保持するようになっている。
【0093】
そして、上記凹溝部61g内に外導体端子用連鎖帯29aを配設しつつ一の外導体端子22の圧着部28を第1下型64の上方に配設した状態で、第1上型84を下降させるべくラム部材48を下降させる。すると、第1カット押え部81の押え突部81aが第1カット押え部81の上面に当接し、第1カット押え部81を下降させる。つまり、第1上型84を下降させる昇降駆動機構部49の駆動力を受けて第1カット押え部81も下降する。すると、外導体端子22と外導体端子用連鎖帯29aとの間部分が、凹溝部61gの上側エッジ部61eと第1下型64のエッジ部64eとの間に挟み込まれ(図12参照)、やがて剪断されて切離される。切離された外導体端子22は第1下型64上に載置されており、この後、第1上型84がさらに下降することで、第1下型64上で圧着部28の圧着がなされる。
【0094】
なお、上記外導体端子カット部61の凹溝部61gは、外導体端子カット部61が上方にある状態で、第2下型70上に載置される共圧着端子38よりも上方に位置しており、外導体端子22は、当該共圧着端子38によりも上方位置に配設されている。これにより、第2下型70上にその側方から共圧着端子38を供給しつつ、外導体端子22を第1下型64上にその側方から供給できるようになっている。
【0095】
また、外導体端子カット部61が下降して外導体端子22の圧着部28が第1下型64上に載置された状態では、外導体端子22は下降し、第2下型70上に載置された共圧着端子38が外導体端子22の端子中間部26内に配設される。そして、この状態では、圧着部28及び共圧着端子38の圧着を略同位置及び略同時に行えるようになっている。
【0096】
また、共圧着端子カット部74、第2カット押え部94及び第2下型70は上記と同様に共圧着端子38を共圧着端子用連鎖帯39aから切離す。
【0097】
すなわち、図6に示すように、共圧着端子カット部74には、共圧着端子用連鎖帯39aを配設可能な凹溝部74gが形成されている。また、第2カット押え部94は、外導体端子22を側方に避けた位置から共圧着端子カット部74を下方に押圧して移動させる。そして、ラム部材48の下降により、上記と同様構成及び動作にて、第2下型面70aの凹溝部74g側のエッジ部70eと凹溝部74gの開口部の上側のエッジ部74eとの間で、共圧着端子38と共圧着端子用連鎖帯39aとの間部分を剪断して、共圧着端子38を共圧着端子用連鎖帯39aから切離す。切離された共圧着端子38は第2下型70上に載置されており、続けて第2上型90が下降することで、共圧着端子38の圧着がなされる。
【0098】
補助支持部76は、外導体端子22の接続部24の下方位置に配設されており、当該接続部24を下方から支える役割を有している。そして、ラム部材48が下降すると、支持押え部98が、接続部24を側方に避けた位置で、補助支持部76を下方に押圧移動させる。これにより、支持押え部98は、接続部24を下方から支えつつ、外導体端子カット部61と同期して下降するようになっている。
【0099】
この際、端子押え部96は、付勢部材96Sの付勢力により接続部24をその上部から補助支持部76に向けて押え込む。これにより、接続部24は補助支持部76上でしっかりと保持される。
【0100】
<4.圧着端子の動作>
このように構成された端子圧着装置40の動作について説明する。まず、初期状態では、ラム部材48は上昇した状態となっている(図6参照)。この状態では、直前のラム部材48の上昇駆動力により、端子送りガイド部50の外導体端子送りガイド孔51及び共圧着端子送りガイド孔52を通って、連鎖状外導体端子29及び連鎖状共圧着端子39が送られている。そして、圧着部28を第1下型64の上方に配置した姿勢で外導体端子22が下型群60と上型群80との間に配設されている。また、共圧着端子38は第2下型70上に配設されている。
【0101】
なお、連鎖状外導体端子29及び連鎖状共圧着端子39は、リールに巻回されており、当該リールから供給される。リールに巻回された状態で、各外導体端子22に内導体端子30及びキャパシタ部品34が組込まれていてもよいし、組込まれていなくともよい。後者の場合には、本端子圧着装置40が端子圧着を行う部分の前に内導体端子30及びキャパシタ部品34を組込むようにするとよい。
【0102】
この状態で、作業者が、同軸電線10の端部を下型群60と上型群80との間に配設する。この際、露出した中心導体11が一対の側片26a間に、露出した編組層13が圧着部28の圧着片28a間に、外皮層14の端部が圧着部28の圧着片28b間に配設されるようにする。
【0103】
この状態で、昇降駆動機構部49の駆動によりラム部材48を下降させる。すると、まず、外導体端子カット部61が下降して、外導体端子22が外導体端子用連鎖帯29aから切離され、第1下型64上に載置される(図12参照)。この際、ラム部材48が下降することにより、共圧着端子38が共圧着端子用連鎖帯39aから切離され、第2下型面70a上に載置される。さらにラム部材48が下降すると、第2下型70の突出部70bは、共圧着作業用孔35hを通じて外導体端子22の端子中間部26内に突出状に配設される。これにより、端子中間部26内であって共圧着作業用孔35hと対応する位置で、共圧着端子38が第2下型面70a上に載置支持される。
【0104】
この際、中心導体11及びキャパシタ部品34のリード部35は、中心導体位置決め部68及びリード位置決め部92によって共圧着端子38内に収るように案内される。また、同軸電線10の端部は外導体端子カット部61上で電線押え部82により押え付けるように保持されている。また、外導体端子22の接続部24は、補助支持部76上で端子押え部96により押え付けるように保持されている。
【0105】
ラム部材48がさらに下降すると、第1上型84が第1下型64にさらに接近し、それらの間で、圧着部28が露出した編組層13及び外皮層14に圧着されると共に、第2上型90が第2下型70に接近し、共圧着端子38が中心導体11及びキャパシタ部品34のリード部35に圧着される。
【0106】
つまり、共圧着端子38内にキャパシタ部品34の一方のリード部35及び同軸電線10の中心導体11を配設した状態で、第2上型90が第2下型70に接近移動し、一対の側片26a間において第2上型面90aと第2下型面70aとの間で、共圧着端子38がリード部34及び中心導体11に圧着されるようになっている。
【0107】
この際、第2上型90の脚部91は外導体端子22の共圧着作業用孔35hを通って、脚部側案内部91aとガイド部側案内部71aによって第2下型70の突出部70bとガイド部71の摺接面71bにより形成される凹溝部70h内に案内される。そして、脚部91は、脚部91の幅方向外側面がガイド部71の摺接面71bに摺接するようにして、当該凹溝部70h内に挿入される。
【0108】
この後、昇降駆動機構部49の駆動によりラム部材48を上昇させる。この際、圧着部28や共圧着端子38が第1上型84や第2上型90に食いついていると、上昇途中で、外導体端子22が取外ストッパ79に当接して、当該食いつきが外される。
【0109】
また、ラム部材48の上昇に連動して、次の外導体端子22及び共圧着端子38が下型群60と上型群80との間に供給される。
【0110】
また、上記動作説明では、外導体端子22を切離してから、共圧着端子38を切離し、その後に、圧着部28の圧着及び共圧着端子38の圧着をほぼ同時に行っているが、必ずしもその必要はない。
【0111】
外導体端子22の切離しと共圧着端子38の切離しがほぼ同時に行われてもよいし、また、共圧着端子38を切離してから外導体端子22を切離してもよい。
【0112】
また、圧着部28の圧着と共圧着端子38の圧着についても、いずれか一方を先に他方を後に行ってもよい。これらのタイミングの設定は、第1カット押え部81や第2カット押え部94のラム部材48からの突出長やそれらが外導体端子カット部61や共圧着端子カット部74に当接する位置、第1下型64や第2下型70、第2下型70、第2上型90の圧着面の位置等を適宜調整することで行える。
【0113】
以上のように構成された端子圧着装置40によると、外導体端子22の一対の側片26a内で共圧着端子38の圧着を行う際、脚部91の幅方向外側面はガイド部71の摺接面71bに摺接して、幅狭に形成された第2上型90の脚部91が開脚するのを防止することができる。また、脚部91に設けられた脚部側案内部91aとガイド部71に設けられたガイド部側案内部71aとにより、脚部91は凹溝部70h内に案内されスムーズに挿入することができる。さらに、第2下型70とガイド部71が一体形成されているため、第2下型70とガイド部71との位置関係(ここでは突出部70bの幅方向外側面と摺接面71bとの間隔及び面同士の傾き)を調節しつつ両者を組立てる必要がなく、本端子圧着装置40の構成を簡易にできる。
【0114】
{変形例}
なお、上記ガイド部71は、第2下型70と一体形成されていたが、別体としてそれぞれ形成されていてもよい。つまり、ガイド部71は、第2上型90と第2下型70が接近する際、第2上型90の脚部91を第2下型70の突出部70bとガイド部71との間に挿入可能であると共に、脚部91の幅方向外側面にガイド部71の摺接面71bに摺接するように配設されていればよい。
【0115】
また、上記実施形態では、脚部側案内部91aとガイド部側案内部71aとの双方が設けられていたが、これはどちらか一方のみが設けられる構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】圧着端子及び同軸電線を示す平面図である。
【図2】連鎖状外導体端子を示す平面図である。
【図3】連鎖状共圧着端子を示す平面図である。
【図4】端子圧着装置の全体構成を示す概略平面図である。
【図5】端子圧着装置の全体構成を示す概略正面図である。
【図6】下型群及び上型群を示す側面図である。
【図7】第1下型及び第2上型を外導体端子の軸方向に沿って同軸電線側から見た状態を示す図である。
【図8】第2下型及び第2上型を外導体端子の軸方向に沿って同軸電線側から見た状態を示す図である。
【図9】中心導体位置決め部、第2下型及び第2上型、リード位置決め部を、外導体端子の軸方向に沿って同軸電線側から見た状態を示す図である。
【図10】中心導体位置決め部及び第2下型を上方から見た図である。
【図11】外導体端子カット部、第1カット押え部及び電線押え部を、外導体端子の軸方向に沿って同軸電線側から見た状態を示す図である。
【図12】外導体端子を外導体端子用連鎖帯から切離す直前の状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0117】
10 同軸電線
11 中心導体
22 外導体端子
26a 共圧着作業用孔
28 圧着部
30 内導体端子
34 キャパシタ部品
35 リード部
38 共圧着端子
64 第1下型
70 第2下型
70a 第2下型面
71 ガイド部
71a ガイド部側案内部
71b 摺接面
84 第1上型
90 第2上型
90a 第2上型面
91 脚部
91a 脚部側案内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの導体を有する電線を、圧着部と共圧着作業用孔とを有する外導体端子に内導体端子と電気部品とを組込んだ圧着端子に圧着接続する際に、前記圧着部を前記2つの導体の一方に圧着すると共に、前記外導体端子内で前記共圧着作業用孔と対応する位置で共圧着端子を前記2つの導体の他方と前記電気部品のリード部とに圧着するための端子圧着装置であって、
前記圧着部を載置可能な第1下型と、
前記第1下型に対向配置され、前記第1下型の上に載置された前記圧着部を前記一方の導体に圧着する第1上型と、
前記共圧着作業用孔を通って前記外導体端子内で前記共圧着端子を載置可能な第2下型面を有する第2下型と、
前記第2下型に対向配置され、間に前記第2下型面を挿入配置可能な凹溝状の第2上型面が形成された一対の脚部を有し、前記一対の脚部を前記共圧着作業用孔内に挿入しつつ前記第2上型面内に前記第2下型面を配設することで、前記第2下型面の上に載置された前記共圧着端子を前記電気部品の接続部及び前記他方の導体に圧着する第2上型と、
前記第2下型の幅方向両側外方に設けられ、前記第2下型と前記第2上型が相対的に接近する際、前記一対の脚部の外側面に摺接する摺接面を有する一対のガイド部と、
を備える端子圧着装置。
【請求項2】
請求項1記載の端子圧着装置であって、
前記一対のガイド部の摺接面は、前記第2上型側に向けて外向き傾斜するガイド部側案内部を有する、端子圧着装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の端子圧着装置であって、
前記第2上型は、前記一対の脚部先端の幅方向外側面に前記第2下型側に向けて内向き傾斜する脚部側案内部を有する、端子圧着装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の端子圧着装置であって、
前記第2下型と前記ガイド部とが一体形成された、端子圧着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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