説明

端子圧着装置

【課題】圧着端子である電気接触端子の小型化が図れ、この電気接触端子を具備するコネクタの小型化が可能で、電気コネクタ全体の小型化に寄与できる端子圧着装置を提供する。
【解決手段】信号線用アンビル33の端子圧着アンビル部40と信号線用クリンパ36の一対の爪部43を圧着工具挿入口部15内に挿入し信号線圧着部24の圧着片25を加締めて信号線60を圧着する際、端子圧着アンビル挿入部44に端子圧着アンビル部40を誘い込み、一対の爪部43が爪クランプ部41の爪挿入溝部42に挿入されることで、一対の爪部43の拡開を阻止し、且つ、一対の爪部43の外面部43aが爪挿入溝部42の外面部42aに当接すると共に、一対の爪部43の内面部を、信号線60の配置前に、一対の爪部43の先端部から受圧面部40Aに至る間先細り状に形成することにより、端子圧着アンビル部40との間で形成される爪挿入溝部42をテーパー状に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御機器などに用いられる電気コネクタが具備する圧着端子構造における圧着端子のシールド電線への圧着に用いる端子圧着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図19に示すように、従来の、この種の電気コネクタにおけるコネクタソケット100は、ソケット側絶縁ハウジング102にソケット側電気接触端子101を装着してソケット嵌合部103を形成した構成であり、ソケット側電気接触端子101はソケット側外部導体105とソケット側内部導体106を備えており、ソケット側外部導体105はシールド外筒107を備えている。そして、シールド外筒107の両側面部には、切り起こし舌片でばね状のシールド接触端子108が形成してある。
【0003】
また、図19に示すように、コネクタプラグ110は、プラグ側絶縁ハウジング111内に圧着端子であるプラグ側電気接触端子112を挿入して構成してあり、図20に示すように、プラグ側電気接触端子112は、プラグ側外部導体114と誘電体116とプラグ側内部導体113とより構成してあり、プラグ側外部導体114はシールド外筒117と圧着工具挿入口部115と外部導体圧着部118を有している。
【0004】
そして、誘電体116の中心導体圧入孔部116b(図21参照)にプラグ側内部導体113を圧入して誘電体116にプラグ側内部導体113を取付け、誘電体116をシールド外筒117に圧入してプラグ側電気接触端子112が構成してある。
【0005】
この場合、図21に示すように、誘電体116の外周面部116aがシールド外筒117の内周面部117aに摺接しながら圧入が行なわれるが、誘電体116の外周面部116aとシールド外筒117の内周面部117aとの間にはクリアランス(ガタ)があるために、プラグ側内部導体113の信号線圧着部119の端子バレルである圧着片120が圧着工具挿入口部115の中央よりずれる場合があった。
【0006】
また、従来の端子圧着装置にあっては、プラグ側電気接触端子を所定の圧着位置で受ける受圧手段としてのアンビルユニットと、アンビルユニットと共にシールド電線の端部にプラグ側電気接触端子を圧着する加圧手段としてのクリンパユニットを備え、図22に示すように、アンビルユニットは信号線用アンビル121を有しており、クリンパユニットは、信号線用アンビル121と共に信号線圧着部119の圧着片120を加締める信号線用クリンパ122を有するものがある。
【0007】
そして、信号線用アンビル121は端子圧着アンビル部123を有し、信号線用クリンパ122は、一対の爪部124と、これらの爪部124間に端子圧着アンビル部123が導入可能な端子圧着アンビル挿入部125を有していて、端子圧着アンビル部123と爪部124を用いて信号線圧着部119の圧着片120を加締めてシールド電線の信号線(いずれも図示せず)を圧着する。
【0008】
また、従来の端子圧着装置としては、皮剥加工が施されたシールド電線の端部(信号線端部および外部被覆端部を含む部位をいう)に、電気コネクタのコネクタハウジング内の圧着端子を圧着する圧着機構を備えているものがある(特許文献1参照)。
【0009】
この場合、電気コネクタにおいて、コネクタハウジングは、底板部と、底板部の両側に連続する一対の側板部と、これらの側板部間に所定の間隔を隔てて並設された多数の仕切り板とを一体に有する樹脂成形品であり、側板部と仕切り板の間、並びに仕切り板同士の間に圧着端子を収容するための端子収容室を区画している。また、底板部の所定位置には、圧着機構のアンビルを挿通させるためのアンビル挿通口が形成してある。また、圧着端子は、シールド電線の信号線端部に圧着されるワイヤーバレル(圧着片)と、シールド電線の外部被覆端部に圧着されるインスレーションバレル(圧着片)を備えている。
【0010】
圧着機構は、コネクタハウジング内に収容された圧着端子を、所定の圧着位置で受ける受圧手段としての受圧部と、この受圧部と共にシールド電線の端部に圧着端子を圧着する加圧手段としての加圧部を備えたものであり、受圧部はワイヤーバレル部分を受ける信号線用アンビルを、加圧部は信号線用アンビルとの間で圧着端子をシールド電線の端部に圧着する信号線用クリンパをそれぞれ有している。
【0011】
そして、信号線用クリンパは、圧着位置に対応する端子挿入室内の圧着端子に、端子挿入室の開放部分から対向する。また、信号線用アンビルは、圧着位置に対応する端子挿入室内の圧着端子に、アンビル挿通口を介して対向する。そして信号線用クリンパおよび信号線用アンビルは、両者間に圧着端子のワイヤーバレル部分を挟み込むことにより、当該ワイヤーバレル部分を加締め、圧着端子をシールド電線に圧着するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平07−335363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図21に示すように、従来の圧着端子構造のプラグ側電気接触端子112を組み立てた場合に、誘電体116の外周面部116aとシールド外筒117の内周面部117aとの間にはクリアランス(ガタ)があるために、プラグ側内部導体113の信号線圧着部119の圧着片120が圧着工具挿入口部115の中央よりずれることがある。
【0014】
このために、一括結線のスペース位置が精密に確保できない。したがって、一括結線のスペース位置を精密に確保するために、圧着工具(信号線用アンビル121と信号線用クリンパ122)の圧着歯(端子圧着アンビル部123と一対の爪部124)と信号線圧着部119の圧着片120が干渉しないように圧着工具を設計すると、プラグ側電気接触端子112の小型化ができなくなって、電気コネクタ全体の寸法が大きくなり、小型化を困難にしているという課題があり、特に、圧着工具挿入口部115内に収容されたプラグ側内部導体113の信号線圧着部119の圧着片120を加締めて、シールド電線に圧着する形式のものにおいては、シールド電線をクランプできる範囲が著しく制約されているため、上記不具合が顕著におきていた。
【0015】
また、図22に示す従来の端子圧着装置にあっては、信号線用アンビル121の端子圧着アンビル部123と、信号線用クリンパ122の一対の爪部124を用いて信号線圧着部119の圧着片120を加締めて信号線を圧着するものであるために、信号線を圧着する際に、信号線用クリンパ122の一対の爪部124に、図23に矢印で示す方向に拡開力が加わり、信号線用クリンパ122の先部に割れWが発生するために、信号線用クリンパ122の先部を細くすることが不可能であって、プラグ側電気接触端子112の小型化が図れず、電気コネクタ全体の寸法が大きくなって、小型化を困難にしているという課題があった。
【0016】
また、圧着工具挿入口部115内で、信号線圧着部119での信号線の圧着を行なうに当たって、圧着工具挿入口部115に両側壁部115aが存在するために、爪部124を肉厚にすることができなかった。爪部124の先部を細くすれば、信号線用クリンパ122の先部に割れWが発生するために、信号線用クリンパ122の先部を細くすることが不可能であって、プラグ側電気接触端子112の小型化が図れず、電気コネクタ全体の寸法が大きくなって、小型化を困難にしているという課題があった。
【0017】
また、信号線用クリンパ122は板状であるために、強度が足りず、信号線用クリンパ122の先部に割れWが発生するために、信号線用クリンパ122の先部を細くすることが不可能であって、プラグ側電気接触端子112の小型化が図れず、電気コネクタ全体の寸法が大きくなって、小型化を困難にしているという課題があった。
【0018】
また、特許文献1に開示された従来の端子圧着装置は、信号線用クリンパを端子挿入室の開放部分から、信号線用アンビルをアンビル挿通口からそれぞれに端子挿入室に押込み、この端子挿入室内の圧着端子のワイヤーバレル部分を挟み込むことにより、当該ワイヤーバレル部分を加締め、圧着端子をシールド電線に圧着するものであり、外部導体がシールド外筒内に誘電体を介して内部導体を保持する圧着端子(電気接触端子)において、信号線用クリンパが、信号線用アンビルと共に圧着工具挿入口部内で信号線圧着部の圧着片を加締め、シールド電線の信号線を圧着する形式のものではない。
【0019】
本発明の目的とするところは、圧着端子である電気接触端子の小型化が図れ、この電気接触端子を具備するコネクタの小型化が可能で、電気コネクタ全体の小型化に寄与できる端子圧着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明に係る端子圧着装置は、圧着端子は、外部導体と内部導体とこの内部導体を保持する誘電体を備え、前記外部導体は、シールド外筒と圧着工具挿入口部とシールド電線を圧着するシールド電線圧着部を有し、前記内部導体は前記シールド電線の信号線を圧着する信号線圧着部を有した構成であり、前記圧着端子を所定の圧着位置で受ける受圧手段としてのアンビルユニットと、このアンビルユニットと共に前記シールド電線の端部に前記圧着端子を圧着する加圧手段としてのクリンパユニットを備え、前記アンビルユニットは信号線用アンビルを有しており、前記クリンパユニットは、前記信号線用アンビルと共に前記圧着工具挿入口部内で前記信号線圧着部の圧着片を加締める信号線用クリンパを有し、前記信号線用アンビルは、端子圧着アンビル部と、この端子圧着アンビル部の両側に位置する一対の爪クランプ部と、前記端子圧着アンビル部と前記爪クランプ部との間の爪挿入溝部を有し、前記信号線用クリンパは、一対の爪部と、これらの爪部間に前記端子圧着アンビル部を導入可能な端子圧着アンビル挿入部を有していて、前記端子圧着アンビル部と前記一対の爪部を用いて前記信号線圧着部の前記圧着片を加締めて前記信号線を圧着する際に、前記端子圧着アンビル挿入部に前記端子圧着アンビル部を誘い込むと共に、前記一対の爪部が前記爪挿入溝部に挿入されることで、前記一対の爪部の拡開を阻止するようにし、前記端子圧着アンビル部の頂面部は、前記信号線圧着部による前記信号線の圧着時に、前記信号線圧着部の外面に当接して、前記信号線用クリンパからの加締め荷重を受ける受圧面部であり、この受圧面部は前記爪クランプ部の頂面部より高くしてあって、前記圧着工具挿入口部の両側壁部が前記爪クランプ部の頂面部に接しない状態に、前記受圧面部で前記信号線圧着部を支えるように構成し、加えて、前記一対の爪部の外面部が前記爪挿入溝部の外面部に当接すると共に、前記一対の爪部の内面部を、前記信号線の配置前において、前記一対の爪部の先端部から受圧面部に至る間先細りテーパー状に形成したことを特徴とする。
【0021】
かかる構成により、端子圧着アンビル部と信号線用クリンパを用いて信号線圧着部の圧着片を加締めて信号線を圧着する際に、端子圧着アンビル挿入部に端子圧着アンビル部を誘い込むことで、圧着位置、圧着形状を安定させることができるし、また、信号線用クリンパの一対の爪部が爪挿入溝部に挿入されることで、一対の爪部の拡開を阻止することができる。このために、信号線用クリンパの耐久性が向上して、信号線用クリンパの先部の割れが防止できて、信号線用クリンパの先部を細くすることが可能になる。したがって、圧着端子である電気接触端子の小型化が図れ、この電気接触端子を具備するコネクタ(例えば、コネクタプラグ)の小型化が可能で、電気コネクタ全体の小型化が可能になる。
【0022】
また、本発明に係る端子圧着装置は、上記した本発明に係る端子圧着装置において、信号線用クリンパは、信号線圧着部の圧着片の加締め時に、シールド電線の中間誘電体及びシールドに干渉しないように、一対の爪部の先側部分を除いて肉厚になされていることを特徴とする。
【0023】
かかる構成により、信号線用クリンパの強度が向上して、信号線用クリンパの先部の割れが防止できて、信号線用クリンパの先部を細くすることが可能になる。したがって、圧着端子である電気接触端子の小型化が図れ、この電気接触端子を具備するコネクタ(例えば、コネクタプラグ)の小型化が可能で、電気コネクタ全体の小型化が可能になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る端子圧着装置によれば、信号線用クリンパの強度が向上して、信号線用クリンパの細い先部の割れが防止できて、信号線用クリンパの先部を細くすることが可能になる。したがって、圧着端子である電気接触端子の小型化が図れ、この電気接触端子を具備するコネクタ(例えば、コネクタプラグ)の小型化が可能で、電気コネクタ全体の小型化が可能になる。
【0025】
また、本発明に係る端子圧着装置によれば、シールド外筒内に誘電体を介して内部導体を収容保持する場合に、内部導体を保持した誘電体を、突起部をシールド外筒の内面部に摺接させながら潰して、このシールド外筒に圧入することで、誘電体の外周面部とシールド外筒の内周面部との間のクリアランス(ガタ)を無くすことができるために、内部導体の信号線圧着部の圧着片が圧着工具挿入口部の中央よりずれことがなくなる。この状態で、信号線用クリンパが、信号線用アンビルと共に圧着工具挿入口部内で信号線圧着部の圧着片を加締め、シールド電線の信号線を圧着することができる。このように、一括結線のスペース位置が精密に確保できるために、従来のように、一括結線のスペース位置を精密に確保するために、信号線用アンビル及び信号線用クリンパの圧着歯と圧着片が干渉しないように信号線用アンビルと信号線用クリンパを設計する必要がなく、圧着端子である電気接触端子の小型化が図れ、この電気接触端子を具備するコネクタ(例えば、コネクタプラグ)の小型化が可能で、電気コネクタ全体の小型化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】電気コネクタにおいて、コネクタソケットとコネクタプラグの結合状態を示す斜視図である。
【図2】同電気コネクタにおいて、コネクタソケットとコネクタプラグの分離状態を示す斜視図である。
【図3】同電気コネクタにおいて、コネクタソケットとコネクタプラグの分離状態の概略的な横断面図である。
【図4】同電気コネクタにおいて、コネクタソケットとコネクタプラグの結合状態の概略的な縦断面図である。
【図5】コネクタプラグの分解状態の斜視図である。
【図6】プラグ側絶縁ハウジングの正面図である。
【図7】図6のD−D線に沿う断面図である。
【図8】本発明に係る圧着端子構造を有するプラグ側電気接触端子の斜視図である。
【図9】同プラグ側電気接触端子の分解状態の斜視図である。
【図10】シールド外筒内に誘電体を圧入する状態の説明図である。
【図11】シールド電線の端末部の説明図である。
【図12】コネクタソケットの分解状態の斜視図である。
【図13】本発明に係る端子圧着装置の概略的な斜視図である。
【図14】同端子圧着装置の分離状態の概略的な斜視図である。
【図15】同端子圧着装置における信号線用圧着機構としての信号線用アンビルと信号線用クリンパの正面図である。
【図16】信号線用クリンパが、信号線用アンビルと共にシールド電線の信号線を圧着する状態の説明図である。
【図17】圧着端子載置部にセットされたプラグ側電気接触端子と信号線用クリンパの説明図である。
【図18】図16のE−E線に沿う断面図である。
【図19】従来の圧着端子構造を有する電気コネクタにおいて、コネクタソケットとコネクタプラグの分離状態の概略的な横断面図である。
【図20】従来の圧着端子構造を有するプラグ側電気接触端子の平面図である。
【図21】同プラグ側電気接触端子におけるシールド外筒内に誘電体を圧入する状態の説明図である。
【図22】従来の端子圧着装置における信号線用圧着機構としての信号線用アンビルと信号線用クリンパの正面図である。
【図23】従来の端子圧着装置において、信号線用クリンパが、信号線用アンビルと共にシールド電線の信号線を圧着する状態の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
圧着端子である電気接触端子の小型化が図れ、この電気接触端子を具備するコネクタ(例えば、コネクタプラグ)の小型化が可能で、電気コネクタ全体の小型化に寄与するという目的を、シールド外筒内に誘電体を介して内部導体を収容保持する場合に、内部導体を保持した誘電体を、これに設けた突起部を突起摺接面部に摺接させながら潰してシールド外筒に圧入することで、誘電体の外周面部とシールド外筒の内周面部との間のクリアランス(ガタ)を無くして、一括結線のスペース位置を精密に確保し、圧着工具(信号線用アンビルと信号線用クリンパ)の圧着歯と圧着片が干渉しないように圧着工具を設計する必要をなくして、圧着端子であるプラグ側電気接触端子の小型化を図ることで実現した。
【0028】
また、圧着端子である電気接触端子の小型化が図れ、この電気接触端子を具備するコネクタ(例えば、コネクタプラグ)の小型化が可能で、電気コネクタ全体の小型化に寄与するという目的を、端子圧着アンビル部と信号線用クリンパを用いて信号線圧着部の圧着片を加締めて信号線を圧着する際に、端子圧着アンビル挿入部に端子圧着アンビル部を誘い込むことで、圧着位置、圧着形状を安定させ、また、信号線用クリンパの一対の爪部が爪挿入溝部に挿入されることで、一対の爪部の拡開を阻止して、信号線用クリンパの耐久性を向上させ、信号線用クリンパの先部の割れを防止して、信号線用クリンパの先部を細くすることで実現した。
【実施例1】
【0029】
図1及び図2に示すように、電気コネクタAは、コネクタプラグBと、コネクタソケットCで構成してある。コネクタプラグBは、プラグ側絶縁ハウジング1内に圧着端子であって、電気接触端子であるプラグ側電気接触端子2を設けて構成してある。
【0030】
図5乃至図7に示すように、プラグ側絶縁ハウジング1には、正面四角形状で枠形のプラグ側嵌合部3と電気接触端子挿入部4が設けてあり、この電気接触端子挿入部4の先側がプラグ側嵌合部3の内部に連なっている。また、電気接触端子挿入部4の天井部には片持ち形状のランス部5が形成してある。また、電気接触端子挿入部4にはリテーナ挿入部6が形成してあり、プラグ側絶縁ハウジング1にはロックレバー7が設けてあり、ロックレバー7にはロック用係止突起部8が突設してある。
【0031】
図5に示すように、プラグ側電気接触端子2は、外部導体であるプラグ側外部導体11と誘電体12と内部導体であるプラグ側内部導体13を備えており、プラグ側外部導体11はシールド外筒14と圧着工具挿入口部15とシールド圧着部16と外部被覆圧着部17とで構成してある。そして、シールド圧着部16と外部被覆圧着部17とでシールド電線圧着部10を構成している。
【0032】
図9に示すように、シールド外筒14は断面四角形状の筒状体であり、シールド外筒14の、図9において上下の面部14a,14bには誘電体係止孔部14Aが形成してあり、また、シールド外筒14の両側壁部14c,14dの外面部は端子接触部位14Cにしてあり、両側壁部14c,14dの内面は突起摺接部位14Bにしてある。上記した面部14aは側壁部14cに連なっているが、側壁部14dに連なっておらず、図9及び図10に示すように、面部14aの端部が側壁部14dの端部に接していて、これらで接合部14eを形成している。
【0033】
また、図5及び図9に示すように、圧着工具挿入口部15は、その両側に側壁部15a,15bを有しており、これらの側壁部15a,15bの一端部はシールド外筒14の側壁部14c,14dに連なっており、側壁部15a,15bの他端部はシールド圧着部16に連なっている。また、シールド圧着部16はU字状に起立した端子バレルである圧着片18を備えている。また、外部被覆圧着部17はU字状に起立した端子バレルである保持用圧着片19を備えている。
【0034】
図5及び図9に示すように、誘電体12は、断面四角形状の誘電体本体12Aを有しており、誘電体本体12Aの中心部には内部導体圧入孔部20が形成してあるし、誘電体本体12Aの、図9において上下の面部12a,12bには係止突起部12Bが形成してあり、また、図9において左右の面部12c,12dには、二条の突起部21が平行して突設してある。これらの突起部21は、誘電体本体12Aの先側(図9において左側)より中央にかけて、すなわち、コネクタ挿抜方向に延びる突条で形成してある。また、誘電体本体12Aの先側には、内部導体圧入孔部20に交叉するようにして横孔部22が設けてある。
【0035】
図5に示すように、プラグ側内部導体13は、コンタクト部23と信号線圧着部24から構成してある。信号線圧着部24はU字状に起立した端子バレルである圧着片25を備えている。
【0036】
そして、誘電体12の内部導体圧入孔部20にプラグ側内部導体13のコンタクト部23を圧入して、プラグ側内部導体13を誘電体12に取付け、誘電体12を、プラグ側外部導体11のシールド外筒14に圧入する。この場合、図10に示すように、誘電体12の突起部21がシールド外筒14の突起摺接部位14Bに摺接しながら潰れて圧入が行なわれ、図8に示すように、誘電体12の係止突起部12Bがシールド外筒14の誘電体係止孔部14Aに係止され、シールド外筒14内に誘電体12を介してプラグ側内部導体13が収容保持される。
【0037】
なお、係止突起部12Bが誘電体係止孔部14Aに係止される際に、接合部14eが開いて面部14aが、図10の矢印方向に若干持ち上がることで、係止突起部12Bがシールド外筒14内に挿入可能になるため、両側壁部14c,14d間はほとんど拡がらず、突起部21の突起摺接部位14Bへの摺動にはほとんど影響しない。
【0038】
このように、突起部21が突起摺接部位14Bに摺接しながら潰れて圧入が行なわれるために、誘電体12とシールド外筒14との間のガタ(クリアランス)を無くすことが可能になる。このために、プラグ側内部導体13の信号線圧着部24が圧着工具挿入口部15の中心よりずれることがなくなり、後述する一括結線のスペース位置が精密に確保できるようになる。
【0039】
図13及び図14に示すように、端子圧着装置30は、圧着端子であるプラグ側電気接触端子2を、所定の圧着位置のところで受ける受圧手段としての受圧部と、この受圧部と共に、被覆電線供給機構(図示せず)から供給されたシールド電線Sの端部にプラグ側電気接触端子2を圧着する加圧手段としての加圧部と、プラグ側電気接触端子2をセットする圧着端子載置部53を備えている(図17参照)。そして、受圧部はアンビルユニット31を備えており、加圧部はクリンパユニット32を備えている。
【0040】
アンビルユニット31は、信号線用アンビル33と、シールド用アンビル34と、外部被覆用アンビル35を有しており、クリンパユニット32は、信号線用アンビル33と共に信号線圧着部24の圧着片25を加締める信号線用クリンパ36と、シールド用アンビル34と共にシールド圧着部16の圧着片18を加締めるシールド用クリンパ37と、外部被覆用アンビル35と共に外部被覆圧着部17の保持用圧着片19を加締める外部被覆用クリンパ38を有している。
【0041】
図15に示すように、信号線用アンビル33はアンビル本体33Aを有しており、アンビル本体33Aには、圧着歯である端子圧着アンビル部40と、端子圧着アンビル部40の両側に位置する一対の爪クランプ部41が形成してあり、そして、端子圧着アンビル部40と爪クランプ部41との間には爪挿入溝部42が設けてある。爪クランプ部41は、端子圧着アンビル部40との間で、信号線用クリンパ36の爪部43をクランプすることにより、信号線用クリンパ36が開脚するのを防止するものである。
【0042】
そして、図15及び図16に示すように、端子圧着アンビル部40の頂面部は、プラグ側内部導体13における信号線圧着部24の圧着片25の加締め時に、信号線圧着部24の外面に当接して、信号線用クリンパ36からの加締め荷重を受ける受圧面部40Aに形成してある。そして、図16に示すように、受圧面部40Aは、爪クランプ部41の頂面部41Aより高くしてあって、圧着工具挿入口部15の両側壁部15a,15bが爪クランプ部41の頂面部41Aに接しない状態に、受圧面部40Aで信号線圧着部24を支えるようにしてある。
【0043】
また、図15に示すように、信号線用クリンパ36はクリンパ本体36Aを有しており、クリンパ本体36Aには圧着歯である一対の爪部43と、これらの爪部43間に、信号線用アンビル33の端子圧着アンビル部40を隙間なく導入可能な端子圧着アンビル挿入部44が形成してある。一対の爪部43は、その内面部が、図16に明確に示すように信号線60の配置前において、先端部から受圧面部に至る間先細りテーパー状に形成している。そして、同じく図17に示すように、信号線用クリンパ36は、一対の爪部43の略中央より先側部分を除いて肉厚部45になされており、肉厚部45の爪部43側は傾斜面部46にしてあって、傾斜面部46により、信号線圧着部24の圧着片25の加締め時に、図18に示すように、シールド電線Sの中間誘電体61及びシールド62に干渉しないようにしてある。
【0044】
図14に示すように、シールド用アンビル34はアンビル本体34Aを有しており、アンビル本体34Aには圧着歯である端子圧着アンビル部47が形成してあり、端子圧着アンビル部47の頂面部は、プラグ側外部導体11のシールド圧着部16の圧着片18を加締める時に、シールド圧着部16の外面に当接して、シールド用クリンパ37からの加締め荷重を受ける受圧面部47Aに形成してある。
【0045】
また、図14に示すように、シールド用クリンパ37はクリンパ本体37Aを有しており、クリンパ本体37Aには圧着歯である一対の爪部48と、爪部48間にシールド用アンビル34の端子圧着アンビル部47を隙間なく導入可能な端子圧着アンビル挿入部49が形成してある。
【0046】
また、図14に示すように、外部被覆用アンビル35はアンビル本体35Aを有しており、アンビル本体35Aには端子圧着アンビル部50が形成してあり、端子圧着アンビル部50の頂面部は、プラグ側外部導体11における外部被覆圧着部17の保持用圧着片19の加締め時に、外部被覆圧着部17の外面に当接して、外部被覆用クリンパ38からの加締め荷重を受ける受圧面部50Aに形成してある。
【0047】
また、図14に示すように、外部被覆用クリンパ38はクリンパ本体38Aを有しており、クリンパ本体38Aには、圧着歯である一対の爪部51と、これらの爪部51間に、外部被覆用アンビル35の端子圧着アンビル部50を隙間なく導入可能な端子圧着アンビル挿入部52が形成してある。
【0048】
そして、図13に示すように、信号線用アンビル33とシールド用アンビル34と外部被覆用アンビル35とは重ね合わされて、図示しないアンビル保持締着手段により締着されてアンビルユニット31を構成している。
【0049】
また、図13に示すように、信号線用クリンパ36とシールド用クリンパ37と外部被覆用クリンパ38とは重ね合わされていて図示しないクリンパ保持締着手段により締着されてクリンパユニット32を構成している。
【0050】
そして、図17に示すように、圧着端子載置部53は、プラグ側外部導体11のシールド外筒14を保持するシールド外筒保持部材54と、プラグ側外部導体11のキャリア11Aを保持するキャリア保持部材55とを配置した構成である。
【0051】
次に、上記のように構成された端子圧着装置30を用いて、シールド電線Sの端部にプラグ側電気接触端子2を圧着接続する動作を説明する。
【0052】
上記したように、プラグ側電気接触端子2において、シールド外筒14に誘電体12が圧入された場合、突起部21が突起摺接部位14Bに摺接しながら潰れて圧入が行なわれるために、誘電体12とシールド外筒14との間のガタ(クリアランス)が無くなり、プラグ側内部導体13の信号線圧着部24が圧着工具挿入口部15の中心よりずれることなく、信号線圧着部24は圧着工具挿入口部15内に位置している。
【0053】
図11に示すように、プラグ側電気接触端子2に接続されるシールド電線Sは、まず、その先端部を加工して、信号線60、中間誘電体61及びシールド62を外部被覆63より露出させる。
【0054】
そして、図17に示すように、プラグ側内部導体13の信号線圧着部24の圧着片25間にシールド電線Sの信号線60を挿入配置し、プラグ側外部導体11のシールド圧着部16の圧着片18間にシールド電線Sのシールド62を挿入配置し、さらにプラグ側外部導体11の外部被覆圧着部17の保持用圧着片19間に外部被覆63を挿入配置する。
【0055】
そして、図17に示すように、圧着端子載置部53にプラグ側電気接触端子2をセットして、キャリア保持部材55でプラグ側外部導体11のキャリア11Aを保持することにより、信号線用アンビル33の端子圧着アンビル部40の受圧面部40Aに、プラグ側内部導体13の信号線圧着部24の外面が対向し、シールド用アンビル34の端子圧着アンビル部47の受圧面部47Aに、プラグ側外部導体11のシールド圧着部16の外面が対向し、外部被覆用アンビル35の端子圧着アンビル部50の受圧面部50Aにプラグ側外部導体11の外部被覆圧着部17の外面が対向する。シールド外筒保持部材54でプラグ側外部導体11のシールド外筒14を保持し、このとき、シールド外筒保持部材54でプラグ側外部導体11のシールド外筒14を保持していてもよい。
【0056】
この場合、信号線用アンビル33の端子圧着アンビル部40は圧着工具挿入口部15の下側の開放部分に位置していて、端子圧着アンビル部40の受圧面部40Aとプラグ側内部導体13の信号線圧着部24の外面との間には所定位置に配置する際に、圧着工具挿入口部15の側壁部15a、15bが端子圧着アンビル部40に干渉しない程度に若干の隙間がある。
【0057】
この状態で、図18に示すように、クリンパユニット32をプラグ側電気接触端子2側に移動し、一括結線工程が開始される。先ず、信号線圧着では、信号線用クリンパ36を圧着工具挿入口部15の上側の開放部分から圧着工具挿入口部15内に押込み、信号線用クリンパ36と端子圧着アンビル部40の受圧面部40Aとで信号線圧着部24を挟み込んで、信号線圧着部24の圧着片25を加締めて、信号線圧着部24に信号線60を圧着する。この場合、図16に示すように、信号線用アンビル33の端子圧着アンビル部40の受圧面部40Aは、爪クランプ部41の頂面部41Aより高くしてあって、圧着工具挿入口部15の両側壁部15a,15bが爪クランプ部41の頂面部41Aに接しない状態に、受圧面部40Aで信号線圧着部24を支える。
【0058】
また、図16に示すように、圧着工具挿入口部15内において、信号線用アンビル33の端子圧着アンビル部40が信号線用クリンパ36の端子圧着アンビル挿入部44に隙間なく挿入され、信号線用クリンパ36の一対の爪部43は爪挿入溝部42に挿入されて、一対の爪部43の外面部43aが爪挿入溝部42の外面部42aに当接して、圧着時に加わる拡開力を一対の爪クランプ部41で押え、信号線用クリンパ36が開脚するのを防止する。
【0059】
また、図17及び図18に示すように、信号線用クリンパ36は、一対の爪部43の略中央より先側部分を除いて肉厚になされているために、信号線用クリンパ36の強度は大きくなるが、肉厚部45の爪部43側は傾斜面部46にしてあるために、シールド電線Sの中間誘電体61及びシールド62に干渉することはない。
【0060】
次に、シールド圧着では、シールド用アンビル34の端子圧着アンビル部47がシールド用クリンパ37の端子圧着アンビル挿入部49に隙間なく挿入されて、シールド圧着部16の圧着片18を加締めて、シールド圧着部16にシールド62が圧着される。
【0061】
また、外部被覆圧着では、外部被覆用アンビル35の端子圧着アンビル部50が外部被覆用の端子圧着アンビル挿入部52に隙間なく挿入されて、外部被覆圧着部17の保持用圧着片19を加締めて、外部被覆圧着部17に外部被覆63が圧着される。また、上記した圧着と同時にキャリア11Aからプラグ側電気接触端子2は切り離される。
【0062】
上記のようにプラグ側電気接触端子2の一括結線が行なわれた後は、クリンパユニット32は圧着端子載置部53から離れ、プラグ側電気接触端子2は外に搬送される。
【0063】
そして、図3及び図4に示すように、プラグ側電気接触端子2はプラグ側絶縁ハウジング1の電気接触端子挿入部4に挿入されていて、ランス部5がプラグ側電気接触端子2のシールド外筒14の端部に係合し、リテーナ挿入部6にリテーナ26を挿入することで、プラグ側電気接触端子2がプラグ側絶縁ハウジング1に固定され、コネクタプラグBが構成される。
【0064】
図12に示すように、相手コネクタであるコネクタソケットCは、ソケット側絶縁ハウジング70と相手側端子であるソケット側電気接触端子71で構成してあり、ソケット側電気接触端子71は、相手側端子の外部導体であるソケット側外部導体72と相手側端子の内部導体であるソケット側内部導体73で構成してある。
【0065】
ソケット側絶縁ハウジング70は正面四角形状のソケット側嵌合部74を有しており、ソケット側嵌合部74の底面部が実装面にしてある。ソケット側嵌合部74の天井部には、その前縁部から後部にかけてロックレバー挿入部75が形成してあり、図12に示すように、ロックレバー挿入部75の天井部には係止孔部76が形成してある。また、図3及び図4に示すように、ソケット側嵌合部74の端壁部には、内部導体装着部77と外部導体装着部78が形成してある。
【0066】
図12に示すように、ソケット側外部導体72は、金属板材を折り曲け成形したシールド外筒79を備えており、シールド外筒79の端部には端部シールド部80で覆われている。また、シールド外筒79の両側面部には、その中央部側に位置させて切り起こし舌片より成るシールド接触端子81が形成してある。また、シールド外筒79にはシールド端子82が一対形成してある。
【0067】
また、図12に示すように、ソケット側内部導体73は、コンタクト部83に接続端子84を設けた構成である。
【0068】
そして、図3及び図4に示すように、ソケット側内部導体73は内部導体装着部77に装着してある。また、ソケット側外部導体72は外部導体装着部78に装着してある。すなわち、ソケット側外部導体72のシールド外筒79は、ソケット側絶縁ハウジング70の後方から外部導体装着部78を介してソケット側嵌合部74内に収容してある。
【0069】
そして、コネクタプラグBとコネクタソケットCとの結合は次のようにして行なわれる。すなわち、図4に示すように、コネクタソケットCのソケット側嵌合部74にコネクタプラグBのプラグ側嵌合部3を嵌合して、ソケット側内部導体73のコンタクト部83をプラグ側内部導体13のコンタクト部23に接触させて両内部導体73,13の導通を行い、プラグ側外部導体11におけるシールド外筒14の外面の端子接触部位14Cを、ソケット側外部導体72のシールド接触端子81に接触させて、両外部導体11,72の導通を行ない、コネクタプラグBのロックレバー7をコネクタソケットCのロックレバー挿入部75に挿入して、これの係止孔部76にロック用係止突起部8を係止しロック状態にする。
【0070】
以上説明したように、本発明の実施例1によれば、誘電体12の両側面部には二条の突起部21が平行して突設してあるために、シールド外筒14に誘電体12を介してプラグ側内部導体13を収容保持させる場合に、プラグ側内部導体13を保持した誘電体12を、突起部21を突起摺接部位14Bに摺接させながら潰して、シールド外筒14に圧入することにより、左右のバランスが取れて誘電体12の外周面部とシールド外筒14の内周面部との間のクリアランス(ガタ)を無くすことができる。
【0071】
このために、プラグ側内部導体13の信号線圧着部24の圧着片25が圧着工具挿入口部15の中央よりずれことがなくなる。この状態で、信号線用クリンパ36が、信号線用アンビル33と共に圧着工具挿入口部15内で信号線圧着部24の圧着片25を加締め、シールド電線Sの信号線60を圧着することができる。このように、一括結線のスペース位置が精密に確保できるために、従来のように、一括結線のスペース位置を精密に確保するために、圧着工具である信号線用アンビル33及び信号線用クリンパ36の圧着歯である端子圧着アンビル部40及び爪部43と、信号線圧着部24の圧着片25が干渉しないように信号線用アンビル33を設計する必要がなく、プラグ側電気接触端子2の小型化が図れ、コネクタプラグBの小型化が可能で、電気コネクタA全体の小型化が可能になる。
【0072】
また、本発明の実施例1によれば、端子圧着アンビル部40と信号線用クリンパ36を用いて信号線圧着部24の圧着片25を加締めて信号線60を圧着する際に、端子圧着アンビル挿入部52に端子圧着アンビル部40を誘い込むことで、圧着位置、圧着形状を安定させることができるし、また、信号線用クリンパ36の一対の爪部43が爪挿入溝部42に挿入されることで、一対の爪部43の拡開を阻止することができる。このために、信号線用クリンパ36の耐久性が向上して、信号線用クリンパ36の先部の割れが防止できて、信号線用クリンパ36の先部を細くすることが可能になる。したがって、プラグ側電気接触端子2の小型化が図れ、コネクタプラグBの小型化が可能で、電気コネクタA全体の小型化が可能になる。
【0073】
また、本発明の実施例1によれば、圧着工具挿入口部15内で、信号線圧着部24での信号線60の圧着を行なうに当たって、圧着工具挿入口部15に両側壁部15a、15bが存在することが、爪クランプ部41を設けることの障害になっていたが、圧着工具挿入口部15の両側壁部15a、15bが爪クランプ部41の頂面部41Aに接しない状態に、端子圧着アンビル部40受圧面部40Aで信号線圧着部24を支えるようにしたことにより、爪クランプ部41を設けることが可能になり、信号線用クリンパ36の一対の爪部43が爪挿入溝部42に挿入されることで、一対の爪部43の拡開を阻止することができる。このために、信号線用クリンパ36の耐久性が向上して、信号線用クリンパ36の先部の割れが防止できて、信号線用クリンパ36の先部を細くすることが可能になる。したがって、プラグ側電気接触端子2の小型化が図れ、コネクタプラグBの小型化が可能で、電気コネクタA全体の小型化が可能になる。
【0074】
また、本発明の実施例1によれば、信号線用クリンパ36は、一対の爪部43の略中央より先側部分を除いて肉厚になされているために、信号線用クリンパ36の強度が向上して、信号線用クリンパ36の先部の割れが防止できて、信号線用クリンパ36の先部を細くすることが可能になる。したがって、プラグ側電気接触端子2の小型化が図れ、コネクタプラグBの小型化が可能で、電気コネクタA全体の小型化が可能になる。
【0075】
なお、上記した本発明の実施例1では、一括結線工程において、アンビルユニット31を定位置にセットし、クリンパユニット32をプラグ側電気接触端子2側に移動し、一括結線を行なうようにしたが、一括結線工程では、アンビルユニット31及びクリンパユニット32をプラグ側電気接触端子2側に移動して一括結線を行なうようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明に係る圧着端子構造は、シールド外筒内に誘電体を介して内部導体を収容保持する場合に、内部導体を保持した誘電体を、突起部をシールド外筒の内面部に摺接させながら潰してシールド外筒に圧入することにより、左右のバランスが取れて誘電体の周面部とシールド外筒の内周面部との間のクリアランス(ガタ)を無くすことができるために、内部導体の信号線圧着部の圧着片が圧着工具挿入口部の中央よりずれことがなくなり、一括結線のスペース位置が精密に確保できる。したがって、従来のように、一括結線のスペース位置を精密に確保するために、圧着工具(信号線用アンビルと信号線用クリンパ)の圧着歯と圧着片が干渉しないように圧着工具を設計する必要がなく、圧着端子である電気接触端子の小型化が図れ、この電気接触端子を具備するコネクタ(例えば、コネクタプラグ)の小型化が可能で、電気コネクタ全体の小型化が可能になるという効果を有し、自動車用電子機器、携帯電話機等の情報端未機器等に搭載されて、その入出力部等に用いられる同軸コネクタ等の圧着端子構造として有用である。
【符号の説明】
【0077】
A 電気コネクタ
B コネクタプラグ
C コネクタソケット(相手コネクタ)
1 プラグ側絶縁ハウジング
2 プラグ側電気接触端子(電気接触端子)(圧着端子)
3 プラグ側嵌合部
4 電気接触端子挿入部
10 シールド電線圧着部
11 プラグ側外部導体
12 誘電体
13 プラグ側内部導体
14 シールド外筒
14B 突起摺接部位
15 圧着工具挿入口部
15a,15b 側壁部
16 シールド圧着部
17 外部被覆圧着部
18 圧着片
19 保持用圧着片
21 突起部
23 コンタクト部
24 信号線圧着部
25 圧着片
30 端子圧着装置
31 アンビルユニット(受圧部)
32 クリンパユニット(加圧部)
33 信号線用アンビル
34 シールド用アンビル
35 外部被覆用アンビル
36 信号線用クリンパ
37 シールド用クリンパ
38 外部被覆用クリンパ
40 端子圧着アンビル部(圧着歯)
40A 受圧面部
41 爪クランプ部
41A 頂面部
42 爪挿入溝部
43 爪部(圧着歯)
44 端子圧着アンビル挿入部
45 肉厚部
46 傾斜面部
47 端子圧着アンビル部(圧着歯)
47A 受圧面部
48 爪部(圧着歯)
49 端子圧着アンビル挿入部
50 端子圧着アンビル部(圧着歯)
50A 受圧面部
51 爪部(圧着歯)
52 端子圧着アンビル挿入部
53 圧着端子載置部
54 シールド外筒保持部材
55 キャリア保持部材
60 信号線
61 中間誘電体
62 シールド
63 外部被覆
70 ソケット側絶縁ハウジング
71 ソケット側電気接触端子(相手側端子)
72 ソケット側外部導体(相手側端子の外部導体)
73 ソケット側内部導体(相手側端子の内部導体)
74 ソケット側嵌合部
77 内部導体装着部
78 外部導体装着部
79 シールド外筒
80 端部シールド部
81 シールド接触端子
82 シールド端子
83 コンタクト部
84 接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧着端子は、外部導体と内部導体とこの内部導体を保持する誘電体を備え、前記外部導体は、シールド外筒と圧着工具挿入口部とシールド電線を圧着するシールド電線圧着部を有し、前記内部導体は前記シールド電線の信号線を圧着する信号線圧着部を有した構成であり、前記圧着端子を所定の圧着位置で受ける受圧手段としてのアンビルユニットと、このアンビルユニットと共に前記シールド電線の端部に前記圧着端子を圧着する加圧手段としてのクリンパユニットを備え、前記アンビルユニットは信号線用アンビルを有しており、前記クリンパユニットは、前記信号線用アンビルと共に前記圧着工具挿入口部内で前記信号線圧着部の圧着片を加締める信号線用クリンパを有し、前記信号線用アンビルは、端子圧着アンビル部と、この端子圧着アンビル部の両側に位置する一対の爪クランプ部と、前記端子圧着アンビル部と前記爪クランプ部との間の爪挿入溝部を有し、前記信号線用クリンパは、一対の爪部と、これらの爪部間に前記端子圧着アンビル部を導入可能な端子圧着アンビル挿入部を有していて、前記端子圧着アンビル部と前記一対の爪部を用いて前記信号線圧着部の前記圧着片を加締めて前記信号線を圧着する際に、前記端子圧着アンビル挿入部に前記端子圧着アンビル部を誘い込むと共に、前記一対の爪部が前記爪挿入溝部に挿入されることで、前記一対の爪部の拡開を阻止するようにし、前記端子圧着アンビル部の頂面部は、前記信号線圧着部による前記信号線の圧着時に、前記信号線圧着部の外面に当接して、前記信号線用クリンパからの加締め荷重を受ける受圧面部であり、この受圧面部は前記爪クランプ部の頂面部より高くしてあって、前記圧着工具挿入口部の両側壁部が前記爪クランプ部の頂面部に接しない状態に、前記受圧面部で前記信号線圧着部を支えるように構成し、加えて、前記一対の爪部の外面部が前記爪挿入溝部の外面部に当接すると共に、前記一対の爪部の内面部を、前記信号線の配置前において、前記一対の爪部の先端部から受圧面部に至る間先細りテーパー状に形成したことを特徴とする端子圧着装置。
【請求項2】
前記信号線用クリンパは、前記信号線圧着部の前記圧着片の加締め時に、前記シールド電線の中間誘電体及びシールドに干渉しないように、前記一対の爪部の先側部分を除いて肉厚になされていることを特徴とする請求項に記載の端子圧着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−43809(P2012−43809A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233714(P2011−233714)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【分割の表示】特願2009−144548(P2009−144548)の分割
【原出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(390005049)ヒロセ電機株式会社 (383)
【Fターム(参考)】