説明

端子盤の組立方法及び締付金具

【課題】 この発明は、締付金具の形状構造を簡易化し、その低廉化を目的としたものである。
【解決手段】 この発明は、端子台に、端子片及び締付金具を順次組付け固定した後、締付金具のねじ孔にねじを取付けることを特徴とした端子盤の組立方法により、目的を達成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、端子盤の組立てを合理化することにより、締付金具の製造を容易かつ低廉にすることを目的とした端子盤の組立方法及び締付金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来端子盤に固定される各種金具は、夫々別製され、ねじも取付けられてから端子台の各部へ組付けられる組立方法が一般的に採用されていた。
【0003】
特に近来端子盤に固定される金具の構造が複雑になると、金具の組立てを完了し、その状態で端子台に組付け固定して端子盤が製造されていた。
【0004】
またねじは、金具に取付けた部品として供給されていたので、金具の自動製造装置は複雑であり、型も高価であった。
【特許文献1】特開平5−121111
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の締付金具は、ねじ付き状態で端子台へ組込まれているが、締付金具の一部に、スプリングに当接対応して、締付ける構造の金具は、製造型が複雑で高価になるので、型代の消却上生産量が多量(例えば30万個以上)にならなければ、締付金具の単価が高くなる問題点があった。
【0006】
例えば自動多量生産で1個5円でできる締付金具が、締付金具とねじを人手により組付けることによって、1個20円以上の値段となることもあった(人件費が入る為)。
【0007】
前記事情により、締付金具としての性能が良好であっても、数がまとまらなければ採用できない問題点があった。又は採用によって端子盤の単価が高騰する問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、座金に、スプリング対応突片を有するねじ付き締付金具を使用する場合に、ねじを取り外して(ねじ無し)、端子台に組み付け、その後ねじを取付けることにより、製造型の簡易化が可能になり、前記従来の問題点を解決したのである。
【0009】
即ちこの発明は、端子台に、端子片及び締付金具を順次組付け固定した後、締付金具のねじ孔にねじを取付けることを特徴とした端子盤の組立方法であり、締付金具は、座金の一側に、スプリングとの掛止片を取付けたものである。
【0010】
また金具の発明は、金属板の中央部にねじ孔を設け、ねじ孔の内周縁に、ねじと掛止する複数の突片を設け、前記金属板の一側へ、下向直角の案内片を設けると共に、該案内片に、スプリング当接部と、前記金属板の上昇規制用の突起を設けたものであり、ねじ孔の突片は2〜4個とし、該突片をねじの回転挿入を容易にすべく螺旋状に配置したものである。
【0011】
この発明によれば、締付金具は、1枚の金属板からプレス加工で成形できるので、簡単な型と、少ない加工工程により多量生産できる。この場合に、締付金具へねじをつける工程を加えると、組立治具が複雑になり、加工工程が増加し、自動装置が高価になるので、多量に生産しなければ、一個当りの価格を低廉にすることはできない。
【0012】
一方端子台へ締付金具を組付けると共に、ねじを付ける装置は、従来使用しているねじ締め装置をそのまま使用できるので、ねじを後付けする為の費用は余分にかからない利点がある。前記における組立方法は、締付金具の形状構造が変化しても、効果に変りがないので、各種端子盤組立てに用いる同様の工程にそのまま応用することができる。
【0013】
従来ねじを先付けにしていたのは、端子金具にねじを組付けると共に、ねじの脱落を防止する加工を施していたので、端子盤組立て時に、ねじが脱落するおそれがなかった。
【0014】
然し乍ら、ねじを後付けにする場合には、ねじをつけてから、端子等を固定するまでの間(締付け前)はねじが自由に動く状態になっていたので、ねじの取付け後、締付けるまでの間にねじが外れるおそれがあった(その為にねじを先付けにしていた)。
【0015】
そこでこの発明の場合には、ねじを組付け後は、脱落しないように突起(図2(b))を設けるなどの工夫が必要となる。
【0016】
前記組立方法を採用することにより、同型端子盤の1ロット宛の数量が比較的少ない場合であっても低コストで供給することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、端子台へ締付金具を組付けた後、ねじを取り付けるので、一度の注文が少量であっても、その価格を著しく低減し得る効果がある。例えば、30万個以上まとまれば1個5円以下の締付金具が、5万個以下では1個10〜20円になるというような価格変動を未然に防止し得る効果がある。
【0018】
またこの発明の方法を実施しても、端子盤の組立作業は殆んど変化なく(ねじ締付装置が利用できるので)、従って価格が高騰するおそれがないなどの効果がある。
【0019】
またこの発明の締付金具によれば、一旦螺合したねじは、ねじ孔の突片により外力により外れるおそれがないようにしたので、ねじの後付けにより、ねじの脱落を生じるおそれはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
この発明は、端子台にねじなしの締付金具を固定し、端子片などを全部組付けた後、ねじを螺入して端子盤を完成する。
【0021】
この発明の締付金具は、座板の中央部にねじ孔を穿設し、ねじ孔の内壁部へねじの螺糸と掛止する複数の突起を、等間隔でかつねじの回転挿入を容易にすべく、螺旋状に配列する。従って前記突起により、ねじは容易に螺入したにも拘らず、外れるおそれはない。
【実施例1】
【0022】
この発明を図1について説明すると、端子台1へ締付金具5、端子片3その他の金属類を組付け、ついでねじ4をねじ締付工具により締付金具5のねじ孔2aに回転螺入するので、ねじ4の螺糸部4aは突起2bに沿って螺入される。このようにしてねじ4の螺糸部4aが突起2bを通過すると、突起2bが無螺糸部4bに入るので、ねじ4に上向きの外力が掛っても、ねじ4が抜けるおそれはない。
【0023】
この実施例によれば、締付金具2の構造が複雑であっても(或いは簡単な構造でも)、多量生産して比較的低廉に供給できる。即ち、締付金具の製造時にねじを取付けることによる複雑な治具から解放され、自動生産できる。またねじの後付けはねじの締付装置が利用できるので、後付けによる組立コストの増加は殆んどない。
【0024】
前記実施例において、締付金具5は、図4に示すように、スプリング9の弾力により矢示12のように押し上げられている。またねじ4の螺入により、矢示13のように下降する。
【0025】
従って、端子具7を端子片3上へ容易に挿入することができる。ついで端子具7へねじ4を螺合すると、締付金具5の金属板2が端子具7の上面へ当接し、ねじ4のねじ込みにつれて締付けるので、端子具7と、端子片3の頂板とは押圧固定される。前記端子具7は、電線端の端子片又は電線裸線の場合もある。
【0026】
前記案内片6の下部は締付金具の案内と、スプリング9に下圧作用を付与してねじ4が弛むと締付金具5を上昇させ、突起6bは、締付金具5の上昇限制御のストッパーとなる。
【実施例2】
【0027】
この発明の締付金具5の実施例を図2について説明すると、方形の金属板2の中央部にねじ孔2aを設け、該ねじ孔2aの内壁に孤状の突起2b4個を等間隔に突設する。前記金属板2の下面には、方形の各辺付近に、突条2c、2cを設けると共に、金属板2の一側部へ、下向で直角に案内片6を設け、案内片6の中央部へ案内リブ6aを設けると共に、案内片6の下部内側へ、端子台1に固定した端子片3の頂板3aと掛止する突起6bを設け、締付金具5を構成した。
【0028】
次に、前記案内片6の案内リブ6aは、端子台1の一側に設けたスプリング孔8に収容したスプリング9と掛止できるようにしてある。図中14は案内溝である。
【0029】
前記実施例において、ねじ4は図3(b)の矢示10、11のように、締付金具5へねじ4を取付ける。但し、締付金具5は端子台1に取付けてある。
【0030】
前記のように、締付金具5を端子台1へ取付けてから、ねじ4を取付ける。即ち、締付金具5の製造時にはねじ4を取付ける必要がないので、容易に多量生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の組立実施例のブロック図。
【図2】(a)同じく締付金具の平面図、(b)同じく正面図、(c)同じく右側面図、(d)同じく(b)中A−A断面図、(e)同じく底面図、(f)同じく左側面図。
【図3】(a)同じく斜視図、(b)同じく締付金具へねじを取付ける工程図。
【図4】同じく端子盤の断面図。
【符号の説明】
【0032】
1 端子台
2 金属板
3 端子片
4 ねじ
5 締付金具
6 案内片
8 スプリング孔
9 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子台に、端子片及び締付金具を順次組付け固定した後、締付金具のねじ孔にねじを取付けることを特徴とした端子盤の組立方法。
【請求項2】
締付金具は、座金の一側に、スプリングとの掛止片を取付けたことを特徴とする請求項1記載の端子盤の組立方法。
【請求項3】
金属板の中央部にねじ孔を設け、ねじ孔の内周縁に、ねじと掛止する複数の突片を設け、前記金属板の一側へ、下向直角の案内片を設けると共に、該案内片に、スプリング当接部と、前記金属板の上昇規制用の突起を設けたことを特徴とする請求項1で使用される締付金具。
【請求項4】
ねじ孔の突片は2〜4個とし、該突片をねじの回転挿入を容易にすべく螺旋状に配置したことを特徴とする請求項3記載の締付金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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