端子連結構造、及びこの端子連結構造を有する半導体装置
【課題】機械的性質の異なる端子同士を接続可能とする端子連結構造、及びこの端子連結構造を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】弾性を有する材料にて形成され基板のスルーホールと嵌合して電気的接続を行うプレスフィット端子11と、このプレスフィット端子とは別体で異なる材質にて形成されプレスフィット端子と機械的に接続される電極端子42との端子連結構造であって、上記プレスフィット端子は、上記電極端子の一部と固着されるプレスフィット側固着部30を有し、上記電極端子は、プレスフィット端子と固着される電極側固着部43を有し、当該端子連結構造は、プレスフィット側固着部の側面と電極側固着部の側面とを対向させ物理的圧力を加えることでプレスフィット端子と電極端子とを機械的に接続する。
【解決手段】弾性を有する材料にて形成され基板のスルーホールと嵌合して電気的接続を行うプレスフィット端子11と、このプレスフィット端子とは別体で異なる材質にて形成されプレスフィット端子と機械的に接続される電極端子42との端子連結構造であって、上記プレスフィット端子は、上記電極端子の一部と固着されるプレスフィット側固着部30を有し、上記電極端子は、プレスフィット端子と固着される電極側固着部43を有し、当該端子連結構造は、プレスフィット側固着部の側面と電極側固着部の側面とを対向させ物理的圧力を加えることでプレスフィット端子と電極端子とを機械的に接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子間の連結構造、及びこの端子連結構造を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、はんだ付けを行わずに端子と基板とを接続する方法として、例えば特許文献1に開示されるように、プリント基板のスルーホールに挿入され電気的接続を行うプレスフィット端子を用いたプレスフィット接続が知られている。このようなプレスフィット接続は、端子の接続方法として一般的なはんだ接続では必要な加熱溶融工程などの後工程を要しないことから、信号端子などの接続においてよく使われてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−122952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、例えば電力用半導体スイッチング素子等の発熱素子を搭載するパワーモジュールでは、放熱性が重要である。よって、パワーモジュールの電極端子であるリードフレームは、放熱性の観点から導電性の高い純銅が用いられる。しかしながら、純銅は、軟らかくバネ性つまり弾性力が低くスルーホールとの接触力が弱くなることから、プレスフィット端子には適さないという問題がある。逆に、バネ性の高い材料は、放熱性や導電性の観点からリードフレームには適さないという問題がある。さらには、プレスフィット端子をリードフレームと一体で作製することは困難であるという問題もある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、機械的性質の異なる端子同士を接続可能とする端子連結構造、及びこの端子連結構造を有する半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の一態様における端子連結構造は、プレスフィット端子と電極端子とを連結する端子連結構造であって、上記プレスフィット端子は、弾性を有する材料にて形成され、一端側に挿入部を他端側に接続部を有し、上記挿入部は、基板のスルーホールと嵌合して電気的接続を行い、上記接続部は、上記電極端子の一部と固着されるプレスフィット側固着部を有し、上記電極端子は、プレスフィット端子とは別体にて形成され、上記プレスフィット側固着部でプレスフィット端子と固着される電極側固着部を有し、上記プレスフィット側固着部及び上記電極側固着部は、互いの側面を対向させて物理的圧力を受けプレスフィット端子と電極端子とを機械的に接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様における端子連結構造によれば、弾性を有する材料にて形成されるプレスフィット端子と、プレスフィット端子とは別体にて形成される電極端子とを、はんだ等を用いた接続ではなく、機械的に接続することができる。よって、低温で、容易に、プレスフィット端子と外部端子とを連結することが可能となる。その結果、例えば、プレスフィット端子には、機械的保持力を発揮する、換言するとバネ性、弾性の高い、剛性の高いリン青銅などを使用し、一方、電極端子には電気的、熱的特性に優れた純銅などを使用して、両者を接続することができる。よって、大電流通電が可能で、かつ信頼性の高い端子連結構造を提供できる。よって、例えば、外部端子であるリードフレームに純銅を用いたパワーモジュールにおいてもプレスフィット接続が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1a】本発明の実施の形態1における端子連結構造を有するプレスフィット端子の斜視図である。
【図1b】図1aに示すプレスフィット端子の側面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における端子連結構造を有する電極端子を含むリードフレームの斜視図である。
【図3】図1に示すプレスフィット端子に、図2に示すリードフレームの電極端子を圧入した状態を示す斜視図である。
【図4a】本発明の実施の形態2における端子連結構造を有するプレスフィット端子の斜視図である。
【図4b】図4aに示すプレスフィット端子の側面図である。
【図5】図4aに示すプレスフィット端子に、図2に示すリードフレームの電極端子を圧入した状態を示す斜視図である。
【図6a】本発明の実施の形態3における端子連結構造を有するプレスフィット端子の斜視図である。
【図6b】図6aに示すプレスフィット端子の側面図である。
【図7】図6aに示すプレスフィット端子に、図2に示すリードフレームの電極端子を圧入した状態を示す斜視図である。
【図8a】本発明の実施の形態4における端子連結構造を有するプレスフィット端子の斜視図である。
【図8b】図8aに示すプレスフィット端子14の側面図である。
【図9】図8aに示すプレスフィット端子に、図2に示すリードフレームの電極端子を圧入した状態を示す斜視図である。
【図10a】本発明の実施の形態5における端子連結構造を有するプレスフィット端子の斜視図である。
【図10b】図10aに示すプレスフィット端子の側面図である。
【図11】図10aに示すプレスフィット端子に、図2に示すリードフレームの電極端子を圧入した状態を示す斜視図である。
【図12a】本発明の実施の形態6における端子連結構造を有するプレスフィット端子の斜視図である。
【図12b】図12aに示すプレスフィット端子の側面図である。
【図13】図12aに示すプレスフィット端子に、図2に示すリードフレームの電極端子を圧入した状態を示す斜視図である。
【図14a】本発明の実施の形態7における半導体装置の上面図である。
【図14b】図14aに示す半導体装置の側面図である。
【図15】図1a等に示すプレスフィット端子が挿入される基板のスルーホールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態である端子連結構造、及びこの端子連結構造を有する半導体装置について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
【0010】
実施の形態1.
図1aは、本実施の形態における端子連結構造を有するプレスフィット端子11の斜視図を示し、図1bはこのプレスフィット端子11の側面図を示している。このようなプレスフィット端子11は、以下に説明する各実施の形態を構成するプレスフィット端子でも同様に、図15に示すような基板2に形成したスルーホール3に挿入、嵌合され、電気的接続を行う端子である。尚、スルーホール3の内周面及び開口周縁には、メッキ層5が形成されている。
【0011】
一方、図2には、本実施の形態における端子連結構造を有する電極端子42を含むリードフレーム41が図示されている。尚、図2はリードフレーム41での状態を図示しているため、便宜上斜線を付したリードフレーム41の周囲部分44にて、複数の電極端子42が連なっている。使用時には周囲部分44を含む領域が切断され、それぞれの電極端子42に分割される。尚、電極端子42において、周囲部分44の反対側は、図示の便宜上、破断面45で示しその先の図示を省略している。電極端子42における、周囲部分44の反対側は、実際には、図示の長さを超えて延在し、図14aに示すように半導体装置に接続されている。
【0012】
これらのプレスフィット端子11と電極端子42とは、はんだ等を用いることなく、本実施の形態における端子連結構造によって互いに機械的に接続される。
以下に、プレスフィット端子11、電極端子42、及び端子連結構造について詳しく説明する。
【0013】
プレスフィット端子11は、弾性を有する、つまりばね性に優れた金属材料の板材にて形成され、例えば銅合金で形成される。また、プレスフィット端子11は、図1aに示すように、その一端側に、スルーホール3と嵌合する部分である挿入部21、及び、他端側に、電極端子42と接続される部分である接続部25から構成され、挿入部21及び接続部25は一体形成されている。
【0014】
挿入部21は、端子先端側のテーパー部であるUあるいはV字形の先端案内部22、接続部側のテーパー部でありUあるいはV字形の基部24、及び、先端案内部22と基部24との間に位置する圧接部23から構成される。圧接部23は、先端案内部22及び基部24を互いに連結する2本の部材23aで構成され、2本の部材23aは、図示するように、プレスフィット端子11の長手方向91に沿う中心軸に対して軸対称に位置する。このような構成により、圧接部23は、プレスフィット端子11の厚み方向92にプレスフィット端子11を貫通する、長穴形状の貫通穴23bを有し、長手方向91に直角な幅方向93において弾性を生じさせる。
尚、先端案内部22は、スルーホール3への挿入時に、スルーホール内周面に対して作用する負荷を弱めるため、長手方向91に対して鋭角なテーパーを有するのが好ましい。
【0015】
プレスフィット端子11の板厚は、本実施形態では、1.0mmであり、幅方向93における挿入部21の幅W2は2.2mmである。
【0016】
接続部25は、電極端子42の一部と固着されるプレスフィット端子11側の固着部30を有する。このプレスフィット側固着部30は、本実施形態の端子連結構造を構成し、電極端子42における下記の電極側固着部と対面して配置され、互いに物理的圧力が加えられることで、プレスフィット端子11と電極端子42との機械的接続に寄与する。
【0017】
一方、電極端子42は、プレスフィット端子11とは別体の部材であり、機械的性質の異なる材質にて形成される。尚、機械的性質が互いに相違すれば良く、電極端子42とプレスフィット端子11とは同じ材料であってもよい。このような電極端子42は、プレスフィット側固着部30とによって、プレスフィット端子11と固着される電極側固着部43を有する。電極側固着部43も端子連結構造を構成し、プレスフィット側固着部30と対面して両者に物理的圧力が加えられることで、プレスフィット端子11と電極端子42との機械的接続に寄与する。
電極端子42は、一例として、板厚が0.7mm、幅が1mmである。
【0018】
このような機械的接続を可能にするため、本実施形態では、プレスフィット側固着部30は、電極側固着部43が圧入される圧入部を有する。本実施形態では、圧入部は、プレスフィット側固着部30の側面30aに形成された、電極側固着部43を圧入するための凹部31である。凹部31は、本実施形態では側面30aのほぼ中央部に一つ形成している。また、本実施形態では、圧入方法として、かしめ接続を用いる。
【0019】
図3には、プレスフィット端子11のプレスフィット側固着部30の凹部31に、電極端子42の電極側固着部43を圧入した状態が示されている。圧入により、連結部61が形成される。連結部61の形成により、電極端子42の電極側固着部43には、凹部31に対応して窪み43aが形成される。尚、電極端子42の電極側固着部43には、例えば凹部31に比べて僅かに大きい凸部を予め形成しておき、この凸部を凹部31に対応させて、プレスフィット側固着部30と電極側固着部43とをかしめてもよい。
【0020】
尚、リードフレーム41は、プレスフィット端子11が連結された後、図3に示す例えば切断部46にて切断することでフォーミングが行われ、それぞれの端子に分割される。フォーミング後におけるプレスフィット端子11と電極端子42との形態は、図14a及び図14bのようになり、プレスフィット端子11部分がスルーホール3に挿入される。
【0021】
本実施形態では上述のように、電極端子42の電極側固着部43を、プレスフィット端子11のプレスフィット側固着部30に圧入する形態を採った。これは、プレスフィット端子11及び電極端子42における材質及び板厚の条件により決定されたものであるが、これに限定されずに、プレスフィット側固着部30を電極側固着部43に圧入する形態を採ることもできる。この場合、電極側固着部43に凹部が形成される。要するに、プレスフィット側固着部30及び電極側固着部43は、互いに圧入され、プレスフィット側固着部30及び電極側固着部43のいずれか一方は、いずれか他方が圧入される圧入部を有するように構成すればよい。
【0022】
また、プレスフィット端子11と電極端子42との固着方法は、圧入に限定するものではない。例えば、互いの金属表面を密着させて圧力を加えることで、各金属部材の原子同士を金属融合させる、圧接等の方法もある。
【0023】
上述したように、はんだ接合によらずに、物理的圧力を印加することでプレスフィット端子11と電極端子42とを固着する構成により得られる効果について、以下に説明する。
即ち、既に説明したように、パワーモジュールのリードフレームは、電気抵抗の低減とチップ発熱を放熱する観点から、導電性の高い材料が好ましい。しかしながら、一般的に無酸素銅などの、導電性及び放熱性に優れる材料は、軟らかくバネ性が低いため、プリント基板へ挿入するプレスフィット端子には不向きである。よってプレスフィット端子には、ばね性に優れた材料が好ましいが、リン青銅などのバネ性に優れる材料は、導電性及び放熱性に劣る。そこで、本実施形態の構成を採ることで、導電性に優れた材料にてなるリードフレームを用いて作製したパワーモジュールに対し、バネ性に優れた材料にてなるプレスフィット端子を適用することができ、導電性、放熱性、及びバネ性を満足するプレスフィット構造を適用することが可能となる。
【0024】
本実施形態にて圧入方法として採用した、かしめ接続で得られる効果について説明する。
かしめ接続は、常温にて接続が可能であるため、はんだ接続のような高温にて接続する場合と比較して、簡単に接続が可能である。特に軟らかい純銅などのリードフレーム41を変形させることで、バネ性の高いプレスフィット端子11とかしめることができ、これにより、両者の安定した接続が可能となる。
【0025】
また、柔らかい純銅のリードフレーム41を、硬いりん青銅のプレスフィット端子11に圧入するため、圧入時に、リードフレーム41は容易に変形し、かつプレスフィット端子11は変形しないため、高信頼な連結部61を得ることができる。特に、数十A程度の比較的大電流を通電するためには、リードフレーム41の板厚を厚くする必要がある。そのため、リードフレーム41に、既にパワー半導体素子や、ICなどがはんだ付けされている場合には、既存のはんだ付部に再溶融などの影響を与えることなくさらに局所的にはんだ付けなどの加熱工程を要する接続を施すことは、極めて困難である。この点からも、かしめ接続は、有効な接続方法である。
【0026】
さらには、加熱工程を用いないことで、リードフレーム41の表面に設けられたSnめっきやはんだめっきの処理部分の酸化を抑えることができる。よって、電気抵抗の高い酸化膜の形成が抑制されることから、スルーホール3の内周面とプレスフィット端子11との接続部の接触抵抗を低減することができる。その結果、実際の使用環境における大電流通電に対して、発熱による接続部の温度上昇を抑えることができるというメリットも有る。
【0027】
また、本実施形態の構成によれば、上述のように端子接続のための加熱工程は不要であることから、加熱工程により端子表面のSnめっきが溶融し、めっきがプレスフィット端子のコーナー部などに偏った状態で凝固し、めっき厚さが不均一となるという不具合も防止することができる。詳しく説明すると、プレスフィット端子をメス側電極、例えばプリント基板スルーホールなどへ挿入した際、プレスフィット端子とメス側電極とは、Snめっきを介して接続される。このとき、挿入部のめっき厚さが不均一となると、接触状態がバラつき、接触抵抗が上昇したり、強度が低下するという問題が生じる。接触抵抗の上昇は、通電時にプレスフィット端子の温度上昇という不具合を生じさせる。さらに、不均一なめっき層の場合、プレスフィット端子とスルーホール内周面との摩擦により、めっき厚さが大きい箇所でめっきが削れ、めっきの削りカスがプリント基板表面などに落下し、絶縁性能を低下させる危険性もある。また、接合面の強度が低下すると、プレスフィット端子がスルーホールから抜けやすくなるため、信頼性が低下する。このような問題点についても、本実施形態の構成によれば解決することができる。
【0028】
また、リードフレーム41は、通常、位置決め穴などを有し、その形状から位置決めが容易である。よって、固定治具を用いて、複数のプレスフィット端子11を一括で接続することが比較的容易であり、リードフレーム41とプレスフィット端子とを一体化して製造する場合には、短時間で製造できるというメリットもある。
【0029】
また、連結部61には、圧入後に超音波を作用させるのが好ましい。超音波の作用により、材料表面の酸化膜が除去され、プレスフィット端子11と電極端子42とが金属的に接合される。
【0030】
また、抵抗溶接などで用いられるような熱エネルギーを併用して、金属的にプレスフィット端子11と電極端子42とを接続することも可能である。これにより、圧入部以外の、単に接触している部分においても接合がなされるため、圧入のみの場合に比べ、プレスフィット端子11と電極端子42との接続面積が拡がる。よって、より低抵抗及び高信頼を得ることが可能となる。
【0031】
実施の形態2.
図4a、図4b、及び図5を参照して、本発明の実施の形態2における端子連結構造を有するプレスフィット端子12及び電極端子42について説明する。
実施の形態1に関するプレスフィット端子11では、プレスフィット側固着部30に一つの凹部31を有するが、本実施の形態2に関するプレスフィット端子12では、プレスフィット側固着部30に複数の凹部31を有する。ここでは、2つの凹部31を長手方向91に沿って2段に形成した例を示すが、これに限定されない。例えば、長手方向91に対してある角度で傾斜した方向に沿って、例えば幅方向93に沿って、2以上の凹部31を配置してもよいし、また、2以上の凹部31をランダムに配置してもよい。電極端子42の電極側固着部43は、複数の凹部31に対応して、図5に示すように、複数の圧入部が形成されることになる。
プレスフィット端子12におけるその他の構成は、上述のプレスフィット端子11と同じであり、ここでの説明は省略する。また、電極端子42についても説明を省略する。
【0032】
このように構成したプレスフィット端子12と電極端子42とによる端子連結構造を有する形態は、実施の形態1にて説明した効果を得ることができるとともに、さらに以下の効果を得ることができる。
即ち、プレスフィット側固着部30に一つの凹部31を有するプレスフィット端子11に比べて、本実施の形態2における端子連結構造は、プレスフィット端子12の回転に対して十分な強度を有することができる。ここでプレスフィット端子12の回転とは、プレスフィット側固着部30を中心として、図4aでは下側に位置する先端案内部22が上側に位置するような、プレスフィット端子12の上下を逆転させるような回転である。
【0033】
プレスフィット端子12の回転に対する強度増加により、複数のプレスフィット端子12を一括してスルーホール3に挿入する場合に、プレスフィット端子12とスルーホール3とに位置ずれが発生したときでも、連結部61が破断すること無く、挿入が可能になる。また、例えば、プレスフィット端子12がスルーホール3に対して斜めに挿入された場合などにおいて、プレスフィット端子12が座屈することを防ぐことができる。さらに、プレスフィット端子12をプリント基板のスルーホール3に挿入した後の実使用環境において、強い振動及び衝撃などの負荷が連結部61に作用した場合でも連結部61の破断が抑制でき、その結果、大きな信頼性を発揮することができる。以上より、大電流を通電するための、より太いプレスフィット端子に対して、本実施形態は有効である。
【0034】
実施の形態3.
図6a、図6b、及び図7を参照して、本発明の実施の形態3における端子連結構造を有するプレスフィット端子13及び電極端子42について説明する。
実施の形態1に関するプレスフィット端子11では、接続部25にプレスフィット側固着部30を有しプレスフィット側固着部30に一つの凹部31を有する形態であった。これに対し本実施の形態3に関するプレスフィット端子13では、接続部25のみならず挿入部21における先端案内部22にもプレスフィット側固着部30を有する。本実施形態では、先端案内部22は一つの凹部31を有する。
【0035】
電極端子42の電極側固着部43は、プレスフィット端子13の接続部25及び先端案内部22の凹部31に対応して、図7に示すように、圧入部が形成されることになる。
プレスフィット端子13におけるその他の構成は、上述のプレスフィット端子11と同じであり、ここでの説明は省略する。また、電極端子42についても説明を省略する。
【0036】
このように構成したプレスフィット端子13と電極端子42とによる端子連結構造を有する形態は、実施の形態1にて説明した効果を得ることができるとともに、さらに以下の効果を得ることができる。
即ち、本実施の形態3における端子連結構造では、リードフレーム41の外周部分44を切断する前に、プレスフィット端子13とリードフレーム41とを重ね併せて接続することが可能となる。よって、両者を接続するための位置決めが容易であり、かつリードフレーム41における電極端子42の長手方向軸と、プレスフィット端子13の長手方向軸とを平行にすることが容易である。これにより、スルーホール3に対するプレスフィット端子13の位置精度が向上するため、プリント基板へのダメージを軽減することが可能となる。
【0037】
本実施形態の構成では、プレスフィット端子13の挿入部21と電極端子42とが重なった状態でスルーホール3に挿入されることになる。よって、プリント基板のスルーホール3の直径を大きくすること無く、上述のダメージ軽減の効果を発揮させるためには、プレスフィット端子13とリードフレーム41とを重ねた厚さW2(図7)は、プレスフィット端子13の挿入部21の最大幅W3(図6a)よりも小さくすることが好ましい。
【0038】
また、プレスフィット端子13をスルーホール3へ挿入すると、プレスフィット端子13の圧接部23が変形し、挿入部21の全体は、挿入前に比べて長手方向91において長くなる。このような変形に対して、電極端子42は、純銅で軟らかく変形しやすいため、プレスフィット端子13の変形に追従して長手方向91に変形可能である。よって、プレスフィット端子13の長手方向91における接続部25及び先端案内部22の2箇所で電極端子42は固定されているが、問題は発生しない。
【0039】
実施の形態4.
図8a、図8b、及び図9を参照して、本発明の実施の形態4における端子連結構造を有するプレスフィット端子14及び電極端子42について説明する。
実施の形態1に関するプレスフィット端子11では、一枚の板材からプレスフィット端子11が形成されているが、本実施の形態4に関するプレスフィット端子14は、複数枚の板材を積層して形成している。本例では、2枚の板材が積層されており、一例として、板厚が0.5mmのプレスフィット端子を2つ重ね合わせ、全体で板厚1.0mmのプレスフィット端子14を構成している。尚、2つのプレスフィット端子を重ね合わせた後、両者を加圧し、プレスフィット端子表面に形成されたSnめっき同士を固着させることで、2つのプレスフィット端子を一体化している。
プレスフィット端子14におけるその他の構成は、上述のプレスフィット端子11と同じであり、ここでの説明は省略する。また、電極端子42についても説明を省略する。
【0040】
このように構成したプレスフィット端子14と電極端子42とによる端子連結構造を有する形態は、実施の形態1にて説明した効果を得ることができるとともに、さらに以下の効果を得ることができる。
即ち、プレスフィット端子は、一般的にプレス加工で製造されることから、プレスフィット端子について、複数枚の板材を積層する構造とした場合、それぞれの板材の板厚を薄くすることができる。よって、より細かな形状での製作が容易となり、例えば、挿入部21の形状に特徴を持たせたようなプレスフィット端子の製造が容易になる。
【0041】
例えば、挿入部21の中央に位置する貫通穴23bの幅を、個々のプレスフィット端子の板厚程度まで狭くできるので、プレスフィット端子全体の板厚に比べて、狭い幅の貫通穴23bを形成できるというメリットがある。また、スルーホール3の形状に合わせて基板の板厚方向における中心部分での挿入部21の幅を広く、スルーホール3の開口側に向かって挿入部21の幅を狭くするなどの工夫により、プレスフィット端子14とスルーホール3との接触面積を増大させ、接触抵抗を軽減し、かつ接続信頼性を向上させることが可能となる。
【0042】
さらには、ばね性に優れた金属と、導電性に優れた金属とによって、各プレスフィット端子を作製し、それらを積層することで、ばね性と導電性とを併せ持つプレスフィット端子14の製造も可能となる。さらには、ばね性に優れた金属と、導電性に優れた金属との積層枚数の比率や、各金属からなるユニットの厚さをそれぞれ適切に設定することで、ばね性と導電性とのバランスも設定可能となるというメリットもある。
【0043】
またさらには、リードフレーム41とプレスフィット端子14とを接続したときに、積層した各プレスフィット端子間の固定も同時に行うことも可能である。そのため、各プレスフィット端子間の固定がより強固となるというメリットもある。
【0044】
実施の形態5.
図10a、図10b、及び図11を参照して、本発明の実施の形態5における端子連結構造を有するプレスフィット端子15及び電極端子42について説明する。
実施の形態1に関するプレスフィット端子11では、プレスフィット側固着部30の側面30aに圧入部として凹部31を有する。これに対し本実施の形態5におけるプレスフィット端子15では、プレスフィット側固着部30に圧入部として、接続部25を貫通する貫通穴32を有する。
電極端子42の電極側固着部43は、貫通穴32に対応して、図11に示すように、圧入部が形成されることになる。貫通穴32への電極側固着部43の圧入により、連結部61が形成される。
【0045】
プレスフィット端子15におけるその他の構成は、上述のプレスフィット端子11と同じであり、ここでの説明は省略する。また、電極端子42についても説明を省略する。
【0046】
このように構成したプレスフィット端子15と電極端子42とによる端子連結構造を有する形態は、実施の形態1にて説明した効果を得ることができるとともに、さらに以下の効果を得ることができる。
例えば、プレスフィット端子15の板厚を1mm、貫通穴32の半径を0.5mmとすることができる。この場合、電極端子42の電極側固着部43と貫通穴32との接続面積は、貫通穴32内周の断面積となる。つまり、電極端子42とプレスフィット端子15との連結部61における接続面積を一定にさせることができる。その結果、連結部61の接続強度を安定させることができる。接続強度の安定性は、プレスフィット端子15をスルーホール3へ挿入する場合や実使用環境での信頼性に非常に重要となる。本実施の形態によるプレスフィット端子15は、複数の端子を同時に接続する場合でも高信頼となる。
【0047】
また、本実施の形態に用いるプレスフィット端子15は、貫通穴32を有することで、プレスフィット端子製造後の検査にて、貫通穴32の直径のみの検査で良く、深さ方向の検査は必要ない。そのため、製造時間が大幅に短縮でき、コストが低減できる。
【0048】
また、リードフレーム41とプレスフィット端子15との連結後においても、連結部61の接続安定性を測るため、圧入方向の逆方向から圧入深さを検査する必要があるが、貫通穴32を採ることで、圧入方向の逆方向から簡単に外観を目視で検査できるというメリットがある。
【0049】
実施の形態6.
図12a、図12b、及び図13を参照して、本発明の実施の形態6における端子連結構造を有するプレスフィット端子16及び電極端子42について説明する。
実施の形態1に関するプレスフィット端子11では、プレスフィット側固着部30の側面30aに一つの凹部31を有する。これに対して本実施の形態6に関するプレスフィット端子16は、プレスフィット側固着部30に、長手方向91に沿って延在する凹状の溝33を有し、溝33内に凹部31を形成している。このような溝33には、電極端子42の電極側固着部43が装填される。よって、幅方向93における電極側固着部43の幅は、幅方向93における溝33の幅に等しいか、あるいは小さくなるように設計されている。
プレスフィット端子16におけるその他の構成は、上述のプレスフィット端子11と同じであり、ここでの説明は省略する。また、電極端子42におけるその他の構成についても説明を省略する。
【0050】
このように構成したプレスフィット端子16と電極端子42とによる端子連結構造を有する形態は、実施の形態1にて説明した効果を得ることができるとともに、さらに以下の効果を得ることができる。
即ち、電極端子42の電極側固着部43と、プレスフィット端子16のプレスフィット側固着部30とをかしめる前に、プレスフィット側固着部30の溝33に電極側固着部43を装填することができる。これにより、プレスフィット端子16に対するリードフレーム41の電極端子42の位置精度を向上させることができる。また、かしめる際に、プレスフィット端子16に対してリードフレーム41がずれたりすることを防止することができる。
【0051】
さらに、電極端子42の長手方向91における軸と、プレスフィット端子16の長手方向91における軸との幅方向93における位置精度が向上することから、複数のプレスフィット端子16を同時にスルーホール3へ挿入する場合でも、全てのプレスフィット端子16を高精度で挿入することができる。よって、様々な半導体パッケージのプレスフィット端子16として使用が可能になる。
【0052】
実施の形態7.
本実施の形態7では、上述した実施の形態1〜6における端子連結構造を有するプレスフィット端子及び電極端子を備えた半導体装置について説明する。ここでは、半導体装置は、電力用半導体スイッチング素子等の発熱素子を搭載するパワーモジュールを例に採り、図14a及び図14bを参照して説明を行う。尚、図14a及び図14bでは、一例として実施の形態1にて説明した電極端子42及びプレスフィット端子11を有する半導体装置51を図示している。
【0053】
本実施形態の半導体装置51では、リードフレーム41のフォーミングにより電極端子42を個別に切り離した後、この電極端子42にプレスフィット端子11をかしめ、その後、電極端子42に対して折り曲げのリードフォーミングを行っている。よって、電極端子42は、半導体装置51から突出する一端と、プレスフィット端子11が連結された他端とを有する。
【0054】
電力用半導体装置の端子構造については、使用環境などにより、従来のはんだ付端子とプレスフィット端子とが使い分けられる。一方、例えば実施の形態1における端子連結構造を採ることで、リードフレームなどの元部材を変更すること無く、ユーザ側の要求に見合った端子構造とできるため、生産性に優れるという効果がある。
【0055】
以上、各実施形態について説明したが、説明した各実施形態を適宜組み合わせた構成を採ることも可能である。このような形態では、組み合わされた実施形態が奏する各効果を合わせた効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0056】
11〜16 プレスフィット端子、21 挿入部、25 接続部、
30 プレスフィット側固着部、31 凹部、32 貫通穴、33 溝、
42 電極端子、43 電極側固着部、51 半導体装置、61 連結部、
91 長手方向。
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子間の連結構造、及びこの端子連結構造を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、はんだ付けを行わずに端子と基板とを接続する方法として、例えば特許文献1に開示されるように、プリント基板のスルーホールに挿入され電気的接続を行うプレスフィット端子を用いたプレスフィット接続が知られている。このようなプレスフィット接続は、端子の接続方法として一般的なはんだ接続では必要な加熱溶融工程などの後工程を要しないことから、信号端子などの接続においてよく使われてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−122952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、例えば電力用半導体スイッチング素子等の発熱素子を搭載するパワーモジュールでは、放熱性が重要である。よって、パワーモジュールの電極端子であるリードフレームは、放熱性の観点から導電性の高い純銅が用いられる。しかしながら、純銅は、軟らかくバネ性つまり弾性力が低くスルーホールとの接触力が弱くなることから、プレスフィット端子には適さないという問題がある。逆に、バネ性の高い材料は、放熱性や導電性の観点からリードフレームには適さないという問題がある。さらには、プレスフィット端子をリードフレームと一体で作製することは困難であるという問題もある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、機械的性質の異なる端子同士を接続可能とする端子連結構造、及びこの端子連結構造を有する半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の一態様における端子連結構造は、プレスフィット端子と電極端子とを連結する端子連結構造であって、上記プレスフィット端子は、弾性を有する材料にて形成され、一端側に挿入部を他端側に接続部を有し、上記挿入部は、基板のスルーホールと嵌合して電気的接続を行い、上記接続部は、上記電極端子の一部と固着されるプレスフィット側固着部を有し、上記電極端子は、プレスフィット端子とは別体にて形成され、上記プレスフィット側固着部でプレスフィット端子と固着される電極側固着部を有し、上記プレスフィット側固着部及び上記電極側固着部は、互いの側面を対向させて物理的圧力を受けプレスフィット端子と電極端子とを機械的に接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様における端子連結構造によれば、弾性を有する材料にて形成されるプレスフィット端子と、プレスフィット端子とは別体にて形成される電極端子とを、はんだ等を用いた接続ではなく、機械的に接続することができる。よって、低温で、容易に、プレスフィット端子と外部端子とを連結することが可能となる。その結果、例えば、プレスフィット端子には、機械的保持力を発揮する、換言するとバネ性、弾性の高い、剛性の高いリン青銅などを使用し、一方、電極端子には電気的、熱的特性に優れた純銅などを使用して、両者を接続することができる。よって、大電流通電が可能で、かつ信頼性の高い端子連結構造を提供できる。よって、例えば、外部端子であるリードフレームに純銅を用いたパワーモジュールにおいてもプレスフィット接続が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1a】本発明の実施の形態1における端子連結構造を有するプレスフィット端子の斜視図である。
【図1b】図1aに示すプレスフィット端子の側面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における端子連結構造を有する電極端子を含むリードフレームの斜視図である。
【図3】図1に示すプレスフィット端子に、図2に示すリードフレームの電極端子を圧入した状態を示す斜視図である。
【図4a】本発明の実施の形態2における端子連結構造を有するプレスフィット端子の斜視図である。
【図4b】図4aに示すプレスフィット端子の側面図である。
【図5】図4aに示すプレスフィット端子に、図2に示すリードフレームの電極端子を圧入した状態を示す斜視図である。
【図6a】本発明の実施の形態3における端子連結構造を有するプレスフィット端子の斜視図である。
【図6b】図6aに示すプレスフィット端子の側面図である。
【図7】図6aに示すプレスフィット端子に、図2に示すリードフレームの電極端子を圧入した状態を示す斜視図である。
【図8a】本発明の実施の形態4における端子連結構造を有するプレスフィット端子の斜視図である。
【図8b】図8aに示すプレスフィット端子14の側面図である。
【図9】図8aに示すプレスフィット端子に、図2に示すリードフレームの電極端子を圧入した状態を示す斜視図である。
【図10a】本発明の実施の形態5における端子連結構造を有するプレスフィット端子の斜視図である。
【図10b】図10aに示すプレスフィット端子の側面図である。
【図11】図10aに示すプレスフィット端子に、図2に示すリードフレームの電極端子を圧入した状態を示す斜視図である。
【図12a】本発明の実施の形態6における端子連結構造を有するプレスフィット端子の斜視図である。
【図12b】図12aに示すプレスフィット端子の側面図である。
【図13】図12aに示すプレスフィット端子に、図2に示すリードフレームの電極端子を圧入した状態を示す斜視図である。
【図14a】本発明の実施の形態7における半導体装置の上面図である。
【図14b】図14aに示す半導体装置の側面図である。
【図15】図1a等に示すプレスフィット端子が挿入される基板のスルーホールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態である端子連結構造、及びこの端子連結構造を有する半導体装置について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
【0010】
実施の形態1.
図1aは、本実施の形態における端子連結構造を有するプレスフィット端子11の斜視図を示し、図1bはこのプレスフィット端子11の側面図を示している。このようなプレスフィット端子11は、以下に説明する各実施の形態を構成するプレスフィット端子でも同様に、図15に示すような基板2に形成したスルーホール3に挿入、嵌合され、電気的接続を行う端子である。尚、スルーホール3の内周面及び開口周縁には、メッキ層5が形成されている。
【0011】
一方、図2には、本実施の形態における端子連結構造を有する電極端子42を含むリードフレーム41が図示されている。尚、図2はリードフレーム41での状態を図示しているため、便宜上斜線を付したリードフレーム41の周囲部分44にて、複数の電極端子42が連なっている。使用時には周囲部分44を含む領域が切断され、それぞれの電極端子42に分割される。尚、電極端子42において、周囲部分44の反対側は、図示の便宜上、破断面45で示しその先の図示を省略している。電極端子42における、周囲部分44の反対側は、実際には、図示の長さを超えて延在し、図14aに示すように半導体装置に接続されている。
【0012】
これらのプレスフィット端子11と電極端子42とは、はんだ等を用いることなく、本実施の形態における端子連結構造によって互いに機械的に接続される。
以下に、プレスフィット端子11、電極端子42、及び端子連結構造について詳しく説明する。
【0013】
プレスフィット端子11は、弾性を有する、つまりばね性に優れた金属材料の板材にて形成され、例えば銅合金で形成される。また、プレスフィット端子11は、図1aに示すように、その一端側に、スルーホール3と嵌合する部分である挿入部21、及び、他端側に、電極端子42と接続される部分である接続部25から構成され、挿入部21及び接続部25は一体形成されている。
【0014】
挿入部21は、端子先端側のテーパー部であるUあるいはV字形の先端案内部22、接続部側のテーパー部でありUあるいはV字形の基部24、及び、先端案内部22と基部24との間に位置する圧接部23から構成される。圧接部23は、先端案内部22及び基部24を互いに連結する2本の部材23aで構成され、2本の部材23aは、図示するように、プレスフィット端子11の長手方向91に沿う中心軸に対して軸対称に位置する。このような構成により、圧接部23は、プレスフィット端子11の厚み方向92にプレスフィット端子11を貫通する、長穴形状の貫通穴23bを有し、長手方向91に直角な幅方向93において弾性を生じさせる。
尚、先端案内部22は、スルーホール3への挿入時に、スルーホール内周面に対して作用する負荷を弱めるため、長手方向91に対して鋭角なテーパーを有するのが好ましい。
【0015】
プレスフィット端子11の板厚は、本実施形態では、1.0mmであり、幅方向93における挿入部21の幅W2は2.2mmである。
【0016】
接続部25は、電極端子42の一部と固着されるプレスフィット端子11側の固着部30を有する。このプレスフィット側固着部30は、本実施形態の端子連結構造を構成し、電極端子42における下記の電極側固着部と対面して配置され、互いに物理的圧力が加えられることで、プレスフィット端子11と電極端子42との機械的接続に寄与する。
【0017】
一方、電極端子42は、プレスフィット端子11とは別体の部材であり、機械的性質の異なる材質にて形成される。尚、機械的性質が互いに相違すれば良く、電極端子42とプレスフィット端子11とは同じ材料であってもよい。このような電極端子42は、プレスフィット側固着部30とによって、プレスフィット端子11と固着される電極側固着部43を有する。電極側固着部43も端子連結構造を構成し、プレスフィット側固着部30と対面して両者に物理的圧力が加えられることで、プレスフィット端子11と電極端子42との機械的接続に寄与する。
電極端子42は、一例として、板厚が0.7mm、幅が1mmである。
【0018】
このような機械的接続を可能にするため、本実施形態では、プレスフィット側固着部30は、電極側固着部43が圧入される圧入部を有する。本実施形態では、圧入部は、プレスフィット側固着部30の側面30aに形成された、電極側固着部43を圧入するための凹部31である。凹部31は、本実施形態では側面30aのほぼ中央部に一つ形成している。また、本実施形態では、圧入方法として、かしめ接続を用いる。
【0019】
図3には、プレスフィット端子11のプレスフィット側固着部30の凹部31に、電極端子42の電極側固着部43を圧入した状態が示されている。圧入により、連結部61が形成される。連結部61の形成により、電極端子42の電極側固着部43には、凹部31に対応して窪み43aが形成される。尚、電極端子42の電極側固着部43には、例えば凹部31に比べて僅かに大きい凸部を予め形成しておき、この凸部を凹部31に対応させて、プレスフィット側固着部30と電極側固着部43とをかしめてもよい。
【0020】
尚、リードフレーム41は、プレスフィット端子11が連結された後、図3に示す例えば切断部46にて切断することでフォーミングが行われ、それぞれの端子に分割される。フォーミング後におけるプレスフィット端子11と電極端子42との形態は、図14a及び図14bのようになり、プレスフィット端子11部分がスルーホール3に挿入される。
【0021】
本実施形態では上述のように、電極端子42の電極側固着部43を、プレスフィット端子11のプレスフィット側固着部30に圧入する形態を採った。これは、プレスフィット端子11及び電極端子42における材質及び板厚の条件により決定されたものであるが、これに限定されずに、プレスフィット側固着部30を電極側固着部43に圧入する形態を採ることもできる。この場合、電極側固着部43に凹部が形成される。要するに、プレスフィット側固着部30及び電極側固着部43は、互いに圧入され、プレスフィット側固着部30及び電極側固着部43のいずれか一方は、いずれか他方が圧入される圧入部を有するように構成すればよい。
【0022】
また、プレスフィット端子11と電極端子42との固着方法は、圧入に限定するものではない。例えば、互いの金属表面を密着させて圧力を加えることで、各金属部材の原子同士を金属融合させる、圧接等の方法もある。
【0023】
上述したように、はんだ接合によらずに、物理的圧力を印加することでプレスフィット端子11と電極端子42とを固着する構成により得られる効果について、以下に説明する。
即ち、既に説明したように、パワーモジュールのリードフレームは、電気抵抗の低減とチップ発熱を放熱する観点から、導電性の高い材料が好ましい。しかしながら、一般的に無酸素銅などの、導電性及び放熱性に優れる材料は、軟らかくバネ性が低いため、プリント基板へ挿入するプレスフィット端子には不向きである。よってプレスフィット端子には、ばね性に優れた材料が好ましいが、リン青銅などのバネ性に優れる材料は、導電性及び放熱性に劣る。そこで、本実施形態の構成を採ることで、導電性に優れた材料にてなるリードフレームを用いて作製したパワーモジュールに対し、バネ性に優れた材料にてなるプレスフィット端子を適用することができ、導電性、放熱性、及びバネ性を満足するプレスフィット構造を適用することが可能となる。
【0024】
本実施形態にて圧入方法として採用した、かしめ接続で得られる効果について説明する。
かしめ接続は、常温にて接続が可能であるため、はんだ接続のような高温にて接続する場合と比較して、簡単に接続が可能である。特に軟らかい純銅などのリードフレーム41を変形させることで、バネ性の高いプレスフィット端子11とかしめることができ、これにより、両者の安定した接続が可能となる。
【0025】
また、柔らかい純銅のリードフレーム41を、硬いりん青銅のプレスフィット端子11に圧入するため、圧入時に、リードフレーム41は容易に変形し、かつプレスフィット端子11は変形しないため、高信頼な連結部61を得ることができる。特に、数十A程度の比較的大電流を通電するためには、リードフレーム41の板厚を厚くする必要がある。そのため、リードフレーム41に、既にパワー半導体素子や、ICなどがはんだ付けされている場合には、既存のはんだ付部に再溶融などの影響を与えることなくさらに局所的にはんだ付けなどの加熱工程を要する接続を施すことは、極めて困難である。この点からも、かしめ接続は、有効な接続方法である。
【0026】
さらには、加熱工程を用いないことで、リードフレーム41の表面に設けられたSnめっきやはんだめっきの処理部分の酸化を抑えることができる。よって、電気抵抗の高い酸化膜の形成が抑制されることから、スルーホール3の内周面とプレスフィット端子11との接続部の接触抵抗を低減することができる。その結果、実際の使用環境における大電流通電に対して、発熱による接続部の温度上昇を抑えることができるというメリットも有る。
【0027】
また、本実施形態の構成によれば、上述のように端子接続のための加熱工程は不要であることから、加熱工程により端子表面のSnめっきが溶融し、めっきがプレスフィット端子のコーナー部などに偏った状態で凝固し、めっき厚さが不均一となるという不具合も防止することができる。詳しく説明すると、プレスフィット端子をメス側電極、例えばプリント基板スルーホールなどへ挿入した際、プレスフィット端子とメス側電極とは、Snめっきを介して接続される。このとき、挿入部のめっき厚さが不均一となると、接触状態がバラつき、接触抵抗が上昇したり、強度が低下するという問題が生じる。接触抵抗の上昇は、通電時にプレスフィット端子の温度上昇という不具合を生じさせる。さらに、不均一なめっき層の場合、プレスフィット端子とスルーホール内周面との摩擦により、めっき厚さが大きい箇所でめっきが削れ、めっきの削りカスがプリント基板表面などに落下し、絶縁性能を低下させる危険性もある。また、接合面の強度が低下すると、プレスフィット端子がスルーホールから抜けやすくなるため、信頼性が低下する。このような問題点についても、本実施形態の構成によれば解決することができる。
【0028】
また、リードフレーム41は、通常、位置決め穴などを有し、その形状から位置決めが容易である。よって、固定治具を用いて、複数のプレスフィット端子11を一括で接続することが比較的容易であり、リードフレーム41とプレスフィット端子とを一体化して製造する場合には、短時間で製造できるというメリットもある。
【0029】
また、連結部61には、圧入後に超音波を作用させるのが好ましい。超音波の作用により、材料表面の酸化膜が除去され、プレスフィット端子11と電極端子42とが金属的に接合される。
【0030】
また、抵抗溶接などで用いられるような熱エネルギーを併用して、金属的にプレスフィット端子11と電極端子42とを接続することも可能である。これにより、圧入部以外の、単に接触している部分においても接合がなされるため、圧入のみの場合に比べ、プレスフィット端子11と電極端子42との接続面積が拡がる。よって、より低抵抗及び高信頼を得ることが可能となる。
【0031】
実施の形態2.
図4a、図4b、及び図5を参照して、本発明の実施の形態2における端子連結構造を有するプレスフィット端子12及び電極端子42について説明する。
実施の形態1に関するプレスフィット端子11では、プレスフィット側固着部30に一つの凹部31を有するが、本実施の形態2に関するプレスフィット端子12では、プレスフィット側固着部30に複数の凹部31を有する。ここでは、2つの凹部31を長手方向91に沿って2段に形成した例を示すが、これに限定されない。例えば、長手方向91に対してある角度で傾斜した方向に沿って、例えば幅方向93に沿って、2以上の凹部31を配置してもよいし、また、2以上の凹部31をランダムに配置してもよい。電極端子42の電極側固着部43は、複数の凹部31に対応して、図5に示すように、複数の圧入部が形成されることになる。
プレスフィット端子12におけるその他の構成は、上述のプレスフィット端子11と同じであり、ここでの説明は省略する。また、電極端子42についても説明を省略する。
【0032】
このように構成したプレスフィット端子12と電極端子42とによる端子連結構造を有する形態は、実施の形態1にて説明した効果を得ることができるとともに、さらに以下の効果を得ることができる。
即ち、プレスフィット側固着部30に一つの凹部31を有するプレスフィット端子11に比べて、本実施の形態2における端子連結構造は、プレスフィット端子12の回転に対して十分な強度を有することができる。ここでプレスフィット端子12の回転とは、プレスフィット側固着部30を中心として、図4aでは下側に位置する先端案内部22が上側に位置するような、プレスフィット端子12の上下を逆転させるような回転である。
【0033】
プレスフィット端子12の回転に対する強度増加により、複数のプレスフィット端子12を一括してスルーホール3に挿入する場合に、プレスフィット端子12とスルーホール3とに位置ずれが発生したときでも、連結部61が破断すること無く、挿入が可能になる。また、例えば、プレスフィット端子12がスルーホール3に対して斜めに挿入された場合などにおいて、プレスフィット端子12が座屈することを防ぐことができる。さらに、プレスフィット端子12をプリント基板のスルーホール3に挿入した後の実使用環境において、強い振動及び衝撃などの負荷が連結部61に作用した場合でも連結部61の破断が抑制でき、その結果、大きな信頼性を発揮することができる。以上より、大電流を通電するための、より太いプレスフィット端子に対して、本実施形態は有効である。
【0034】
実施の形態3.
図6a、図6b、及び図7を参照して、本発明の実施の形態3における端子連結構造を有するプレスフィット端子13及び電極端子42について説明する。
実施の形態1に関するプレスフィット端子11では、接続部25にプレスフィット側固着部30を有しプレスフィット側固着部30に一つの凹部31を有する形態であった。これに対し本実施の形態3に関するプレスフィット端子13では、接続部25のみならず挿入部21における先端案内部22にもプレスフィット側固着部30を有する。本実施形態では、先端案内部22は一つの凹部31を有する。
【0035】
電極端子42の電極側固着部43は、プレスフィット端子13の接続部25及び先端案内部22の凹部31に対応して、図7に示すように、圧入部が形成されることになる。
プレスフィット端子13におけるその他の構成は、上述のプレスフィット端子11と同じであり、ここでの説明は省略する。また、電極端子42についても説明を省略する。
【0036】
このように構成したプレスフィット端子13と電極端子42とによる端子連結構造を有する形態は、実施の形態1にて説明した効果を得ることができるとともに、さらに以下の効果を得ることができる。
即ち、本実施の形態3における端子連結構造では、リードフレーム41の外周部分44を切断する前に、プレスフィット端子13とリードフレーム41とを重ね併せて接続することが可能となる。よって、両者を接続するための位置決めが容易であり、かつリードフレーム41における電極端子42の長手方向軸と、プレスフィット端子13の長手方向軸とを平行にすることが容易である。これにより、スルーホール3に対するプレスフィット端子13の位置精度が向上するため、プリント基板へのダメージを軽減することが可能となる。
【0037】
本実施形態の構成では、プレスフィット端子13の挿入部21と電極端子42とが重なった状態でスルーホール3に挿入されることになる。よって、プリント基板のスルーホール3の直径を大きくすること無く、上述のダメージ軽減の効果を発揮させるためには、プレスフィット端子13とリードフレーム41とを重ねた厚さW2(図7)は、プレスフィット端子13の挿入部21の最大幅W3(図6a)よりも小さくすることが好ましい。
【0038】
また、プレスフィット端子13をスルーホール3へ挿入すると、プレスフィット端子13の圧接部23が変形し、挿入部21の全体は、挿入前に比べて長手方向91において長くなる。このような変形に対して、電極端子42は、純銅で軟らかく変形しやすいため、プレスフィット端子13の変形に追従して長手方向91に変形可能である。よって、プレスフィット端子13の長手方向91における接続部25及び先端案内部22の2箇所で電極端子42は固定されているが、問題は発生しない。
【0039】
実施の形態4.
図8a、図8b、及び図9を参照して、本発明の実施の形態4における端子連結構造を有するプレスフィット端子14及び電極端子42について説明する。
実施の形態1に関するプレスフィット端子11では、一枚の板材からプレスフィット端子11が形成されているが、本実施の形態4に関するプレスフィット端子14は、複数枚の板材を積層して形成している。本例では、2枚の板材が積層されており、一例として、板厚が0.5mmのプレスフィット端子を2つ重ね合わせ、全体で板厚1.0mmのプレスフィット端子14を構成している。尚、2つのプレスフィット端子を重ね合わせた後、両者を加圧し、プレスフィット端子表面に形成されたSnめっき同士を固着させることで、2つのプレスフィット端子を一体化している。
プレスフィット端子14におけるその他の構成は、上述のプレスフィット端子11と同じであり、ここでの説明は省略する。また、電極端子42についても説明を省略する。
【0040】
このように構成したプレスフィット端子14と電極端子42とによる端子連結構造を有する形態は、実施の形態1にて説明した効果を得ることができるとともに、さらに以下の効果を得ることができる。
即ち、プレスフィット端子は、一般的にプレス加工で製造されることから、プレスフィット端子について、複数枚の板材を積層する構造とした場合、それぞれの板材の板厚を薄くすることができる。よって、より細かな形状での製作が容易となり、例えば、挿入部21の形状に特徴を持たせたようなプレスフィット端子の製造が容易になる。
【0041】
例えば、挿入部21の中央に位置する貫通穴23bの幅を、個々のプレスフィット端子の板厚程度まで狭くできるので、プレスフィット端子全体の板厚に比べて、狭い幅の貫通穴23bを形成できるというメリットがある。また、スルーホール3の形状に合わせて基板の板厚方向における中心部分での挿入部21の幅を広く、スルーホール3の開口側に向かって挿入部21の幅を狭くするなどの工夫により、プレスフィット端子14とスルーホール3との接触面積を増大させ、接触抵抗を軽減し、かつ接続信頼性を向上させることが可能となる。
【0042】
さらには、ばね性に優れた金属と、導電性に優れた金属とによって、各プレスフィット端子を作製し、それらを積層することで、ばね性と導電性とを併せ持つプレスフィット端子14の製造も可能となる。さらには、ばね性に優れた金属と、導電性に優れた金属との積層枚数の比率や、各金属からなるユニットの厚さをそれぞれ適切に設定することで、ばね性と導電性とのバランスも設定可能となるというメリットもある。
【0043】
またさらには、リードフレーム41とプレスフィット端子14とを接続したときに、積層した各プレスフィット端子間の固定も同時に行うことも可能である。そのため、各プレスフィット端子間の固定がより強固となるというメリットもある。
【0044】
実施の形態5.
図10a、図10b、及び図11を参照して、本発明の実施の形態5における端子連結構造を有するプレスフィット端子15及び電極端子42について説明する。
実施の形態1に関するプレスフィット端子11では、プレスフィット側固着部30の側面30aに圧入部として凹部31を有する。これに対し本実施の形態5におけるプレスフィット端子15では、プレスフィット側固着部30に圧入部として、接続部25を貫通する貫通穴32を有する。
電極端子42の電極側固着部43は、貫通穴32に対応して、図11に示すように、圧入部が形成されることになる。貫通穴32への電極側固着部43の圧入により、連結部61が形成される。
【0045】
プレスフィット端子15におけるその他の構成は、上述のプレスフィット端子11と同じであり、ここでの説明は省略する。また、電極端子42についても説明を省略する。
【0046】
このように構成したプレスフィット端子15と電極端子42とによる端子連結構造を有する形態は、実施の形態1にて説明した効果を得ることができるとともに、さらに以下の効果を得ることができる。
例えば、プレスフィット端子15の板厚を1mm、貫通穴32の半径を0.5mmとすることができる。この場合、電極端子42の電極側固着部43と貫通穴32との接続面積は、貫通穴32内周の断面積となる。つまり、電極端子42とプレスフィット端子15との連結部61における接続面積を一定にさせることができる。その結果、連結部61の接続強度を安定させることができる。接続強度の安定性は、プレスフィット端子15をスルーホール3へ挿入する場合や実使用環境での信頼性に非常に重要となる。本実施の形態によるプレスフィット端子15は、複数の端子を同時に接続する場合でも高信頼となる。
【0047】
また、本実施の形態に用いるプレスフィット端子15は、貫通穴32を有することで、プレスフィット端子製造後の検査にて、貫通穴32の直径のみの検査で良く、深さ方向の検査は必要ない。そのため、製造時間が大幅に短縮でき、コストが低減できる。
【0048】
また、リードフレーム41とプレスフィット端子15との連結後においても、連結部61の接続安定性を測るため、圧入方向の逆方向から圧入深さを検査する必要があるが、貫通穴32を採ることで、圧入方向の逆方向から簡単に外観を目視で検査できるというメリットがある。
【0049】
実施の形態6.
図12a、図12b、及び図13を参照して、本発明の実施の形態6における端子連結構造を有するプレスフィット端子16及び電極端子42について説明する。
実施の形態1に関するプレスフィット端子11では、プレスフィット側固着部30の側面30aに一つの凹部31を有する。これに対して本実施の形態6に関するプレスフィット端子16は、プレスフィット側固着部30に、長手方向91に沿って延在する凹状の溝33を有し、溝33内に凹部31を形成している。このような溝33には、電極端子42の電極側固着部43が装填される。よって、幅方向93における電極側固着部43の幅は、幅方向93における溝33の幅に等しいか、あるいは小さくなるように設計されている。
プレスフィット端子16におけるその他の構成は、上述のプレスフィット端子11と同じであり、ここでの説明は省略する。また、電極端子42におけるその他の構成についても説明を省略する。
【0050】
このように構成したプレスフィット端子16と電極端子42とによる端子連結構造を有する形態は、実施の形態1にて説明した効果を得ることができるとともに、さらに以下の効果を得ることができる。
即ち、電極端子42の電極側固着部43と、プレスフィット端子16のプレスフィット側固着部30とをかしめる前に、プレスフィット側固着部30の溝33に電極側固着部43を装填することができる。これにより、プレスフィット端子16に対するリードフレーム41の電極端子42の位置精度を向上させることができる。また、かしめる際に、プレスフィット端子16に対してリードフレーム41がずれたりすることを防止することができる。
【0051】
さらに、電極端子42の長手方向91における軸と、プレスフィット端子16の長手方向91における軸との幅方向93における位置精度が向上することから、複数のプレスフィット端子16を同時にスルーホール3へ挿入する場合でも、全てのプレスフィット端子16を高精度で挿入することができる。よって、様々な半導体パッケージのプレスフィット端子16として使用が可能になる。
【0052】
実施の形態7.
本実施の形態7では、上述した実施の形態1〜6における端子連結構造を有するプレスフィット端子及び電極端子を備えた半導体装置について説明する。ここでは、半導体装置は、電力用半導体スイッチング素子等の発熱素子を搭載するパワーモジュールを例に採り、図14a及び図14bを参照して説明を行う。尚、図14a及び図14bでは、一例として実施の形態1にて説明した電極端子42及びプレスフィット端子11を有する半導体装置51を図示している。
【0053】
本実施形態の半導体装置51では、リードフレーム41のフォーミングにより電極端子42を個別に切り離した後、この電極端子42にプレスフィット端子11をかしめ、その後、電極端子42に対して折り曲げのリードフォーミングを行っている。よって、電極端子42は、半導体装置51から突出する一端と、プレスフィット端子11が連結された他端とを有する。
【0054】
電力用半導体装置の端子構造については、使用環境などにより、従来のはんだ付端子とプレスフィット端子とが使い分けられる。一方、例えば実施の形態1における端子連結構造を採ることで、リードフレームなどの元部材を変更すること無く、ユーザ側の要求に見合った端子構造とできるため、生産性に優れるという効果がある。
【0055】
以上、各実施形態について説明したが、説明した各実施形態を適宜組み合わせた構成を採ることも可能である。このような形態では、組み合わされた実施形態が奏する各効果を合わせた効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0056】
11〜16 プレスフィット端子、21 挿入部、25 接続部、
30 プレスフィット側固着部、31 凹部、32 貫通穴、33 溝、
42 電極端子、43 電極側固着部、51 半導体装置、61 連結部、
91 長手方向。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレスフィット端子と電極端子とを連結する端子連結構造であって、
上記プレスフィット端子は、弾性を有する材料にて形成され、一端側に挿入部を他端側に接続部を有し、上記挿入部は、基板のスルーホールと嵌合して電気的接続を行い、上記接続部は、上記電極端子の一部と固着されるプレスフィット側固着部を有し、
上記電極端子は、プレスフィット端子とは別体にて形成され、上記プレスフィット側固着部でプレスフィット端子と固着される電極側固着部を有し、
上記プレスフィット側固着部及び上記電極側固着部は、互いの側面を対向させて物理的圧力を受けプレスフィット端子と電極端子とを機械的に接続することを特徴とする端子連結構造。
【請求項2】
上記プレスフィット側固着部及び上記電極側固着部のいずれか一方は、いずれか他方が圧入される圧入部を有する、請求項1記載の端子連結構造。
【請求項3】
上記圧入部は、プレスフィット側固着部の側面に形成した凹部であり、上記電極側固着部が上記凹部に圧入される、請求項2記載の端子連結構造。
【請求項4】
上記圧入部は、プレスフィット側固着部を貫通する貫通穴であり、上記電極側固着部が上記貫通穴に圧入される、請求項2記載の端子連結構造。
【請求項5】
上記プレスフィット側固着部及び上記電極側固着部のいずれか一方は、複数の圧入部を有する、請求項2から4のいずれか1項に記載の端子連結構造。
【請求項6】
上記挿入部は、上記圧入部を有する、請求項2から5のいずれか1項に記載の端子連結構造。
【請求項7】
上記接続部は、溝を有し、この溝は、上記プレスフィット端子における長手方向に沿って形成され上記電極端子の電極側固着部を装填し、かつ溝内に上記圧入部を有する、請求項2から6のいずれか1項に記載の端子連結構造。
【請求項8】
上記プレスフィット端子は、複数の板材を積層して形成される、請求項1から7のいずれか1項に記載の端子連結構造。
【請求項9】
上記電極端子は、上記プレスフィット端子とは機械的性質の異なる材質にて形成される、請求項1から8のいずれか1項に記載の端子連結構造。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の端子連結構造を有するプレスフィット端子及び電極端子を備え、上記電極端子は半導体装置から突出した一端と、上記プレスフィット端子が連結された他端とを有する、ことを特徴とする半導体装置。
【請求項1】
プレスフィット端子と電極端子とを連結する端子連結構造であって、
上記プレスフィット端子は、弾性を有する材料にて形成され、一端側に挿入部を他端側に接続部を有し、上記挿入部は、基板のスルーホールと嵌合して電気的接続を行い、上記接続部は、上記電極端子の一部と固着されるプレスフィット側固着部を有し、
上記電極端子は、プレスフィット端子とは別体にて形成され、上記プレスフィット側固着部でプレスフィット端子と固着される電極側固着部を有し、
上記プレスフィット側固着部及び上記電極側固着部は、互いの側面を対向させて物理的圧力を受けプレスフィット端子と電極端子とを機械的に接続することを特徴とする端子連結構造。
【請求項2】
上記プレスフィット側固着部及び上記電極側固着部のいずれか一方は、いずれか他方が圧入される圧入部を有する、請求項1記載の端子連結構造。
【請求項3】
上記圧入部は、プレスフィット側固着部の側面に形成した凹部であり、上記電極側固着部が上記凹部に圧入される、請求項2記載の端子連結構造。
【請求項4】
上記圧入部は、プレスフィット側固着部を貫通する貫通穴であり、上記電極側固着部が上記貫通穴に圧入される、請求項2記載の端子連結構造。
【請求項5】
上記プレスフィット側固着部及び上記電極側固着部のいずれか一方は、複数の圧入部を有する、請求項2から4のいずれか1項に記載の端子連結構造。
【請求項6】
上記挿入部は、上記圧入部を有する、請求項2から5のいずれか1項に記載の端子連結構造。
【請求項7】
上記接続部は、溝を有し、この溝は、上記プレスフィット端子における長手方向に沿って形成され上記電極端子の電極側固着部を装填し、かつ溝内に上記圧入部を有する、請求項2から6のいずれか1項に記載の端子連結構造。
【請求項8】
上記プレスフィット端子は、複数の板材を積層して形成される、請求項1から7のいずれか1項に記載の端子連結構造。
【請求項9】
上記電極端子は、上記プレスフィット端子とは機械的性質の異なる材質にて形成される、請求項1から8のいずれか1項に記載の端子連結構造。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の端子連結構造を有するプレスフィット端子及び電極端子を備え、上記電極端子は半導体装置から突出した一端と、上記プレスフィット端子が連結された他端とを有する、ことを特徴とする半導体装置。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図15】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図15】
【公開番号】特開2012−146604(P2012−146604A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5958(P2011−5958)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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