説明

端末システム

【課題】タッチパッドを用いて直感的に端末を操作できる端末システムを提供する。
【解決手段】端末システムは、タッチパッド11を有する第1端末(子機端末10)と、表示部21を有する第2端末(親機端末20)とを有する。第1端末(子機端末10)は、第1の近距離無線部12と、方角を検出する第1の方角検出部13と、を有する。第2端末(親機端末20)は、第1の近距離無線部12と通信する第2の近距離無線部22と、方角を検出する第2の方角検出部23と、第1の方角検出部13の検出した方角と第2の方角検出部23の検出した方角とから角度差を検出する角度差検出部25と、角度差検出部25の検出した角度差に基づいて、タッチパッド11の座標情報を補正する座標補正部26と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親機と子機の2台の端末が合体・分離可能な構成を有する端末装置において分離時に子機のタッチパッドを使用して遠隔操作する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リモコン装置上のタッチパッドにてディスプレイ装置を遠隔操作する場合、リモコン装置上のタッチパッドと、ディスプレイ装置のディスプレイ画面との縦横比を同じにすることが知られている。これにより、タッチパッドの縦横比とディスプレイ画面の縦横比とが一致せず、そのためタッチパッド上で操作無効となるタッチ領域が生じてしまう、という課題を解決することができる(特許文献1参照)。
【0003】
また、タッチパッドを搭載したデータ処理装置において、相対座標モードと絶対座標モードを切り替えることが知られている。これにより、ユーザは作業内容や個人差に応じた所望の入力方法で文字入力や図形描画等の入力作業を行うことができる(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−253773号公報
【特許文献2】特開2001−117713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タッチパッド付き携帯情報端末を使用して、ディスプレイ付き電子機器を操作する際に、スクロール、マウスのカーソル移動等の使い勝手を良くするためにはディスプレイ電子機器のディスプレイの向きとタッチパッドの座標軸との関係を調整することが考えられる。
【0006】
タッチパッドの座標軸とディスプレイの向きが一致している場合には、タッチパッド付きノートPCと同様の座標軸で操作することが可能である。
【0007】
一方、タッチパッドの座標軸とディスプレイの向きが不一致の場合には、タッチパッド付きノートPCと同様の操作感で操作を実施すると、座標軸が異なっているため、誤操作が発生する可能性がある。
【0008】
タッチパッドを用いた遠隔操作時、すなわち、タッチパッド搭載端末とディスプレイ端末が別の場合においては、双方の端末の向きにより相対的な座標軸が回転してしまい、ユーザとしては誤操作をしてしまう可能性が高くなる。よって、遠隔でタッチパッドを使用する際には、使い勝手をよくするため制御方法を工夫する必要があった。
【0009】
従来技術では、ディスプレイの縦横比の補正や、座標モードの切換え等が実施されているが、固定状態および手に持っての固定した状態の操作を想定しているため、上記課題(操作端末と操作対象端末の向きの問題)は解決されていない。
【0010】
そこで、座標軸を補正する処理を追加する方法が考えられるが、単純にその処理を追加しただけでは、逆に使い勝手が悪くなってしまう可能性が考えられる。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、タッチパッドを用いて直感的に端末を操作できる端末システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の端末システムは、タッチパッドを有する第1端末と、表示部を有する第2端末と、を備えた端末システムであって、前記第1端末は、第1の近距離無線部と、前記第1端末の方角を検出する第1の方角検出手段と、を有し、前記第2端末は、前記第1の近距離無線部と通信する第2の近距離無線部と、前記第2端末の方角を検出する第2の方角検出手段と、前記第1の方角検出手段の検出した方角と前記第2の方角検出手段の検出した方角とから角度差を検出する角度差検出手段と、前記角度差検出手段の検出した角度差に基づいて、前記タッチパッドの座標情報を補正する座標補正手段と、を有する。
【0013】
この構成により、タッチパッド付き携帯情報端末等の子機端末とディスプレイ付き電子機器等の親機端末を置く向きを気にすることなく、自然な方向感覚でのタッチパッド操作が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の端末システムによれば、タッチパッド付き携帯情報端末等の子機端末とディスプレイ付き電子機器等の親機端末を置く向きを気にすることなく、自然な方向感覚でのタッチパッド操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1における端末システムの概略構成図
【図2】本発明の実施の形態1における子機端末のハードウェアブロック構成図
【図3】本発明の実施の形態1における親機端末のハードウェアブロック構成図
【図4】本発明の実施の形態1における動作処理のフローチャート
【図5】本発明の実施の形態1における座標軸補正例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における端末システムの概略構成図である。端末システムは、第1端末である子機端末10と、第2端末である親機端末20と、を備える。第1端末である子機端末10はタッチパッド11を有している。第2端末である親機端末20は表示部21を搭載している。子機端末10の具体例としては、携帯電話機、PDA、スマートフォン等でタッチパッドを備えるものが該当する。また、タッチパッドの代わりにタッチパネルを代用することもできる。親機端末20の具体例としては、パーソナルコンピュータ(PC)、ノートブック型パーソナルコンピュータ(PC)の他、テレビ装置等が該当しうる。
【0018】
図2は、本発明の実施の形態における子機端末10のハードウェアブロック構成図である。図2において、子機端末10は、タッチパッド11と、近距離無線通信部12と、方角検出部13と、制御部14とを備えている。
【0019】
タッチパッド11は、表面上を指でなぞることにより親機端末20の画面に表示されたマウスポインタの移動操作を行うポインティングデバイスである。
【0020】
近距離無線通信部12は、後述する方角検出部13の検出した方角の情報を親機端末20に送信する。この近距離無線通信部12は、具体的には、例えば、Bluetooth、WLAN,IrDA等を用いた近距離無線通信により、親機端末20との間で情報の送受信をすることができる。
【0021】
方角検出部13は、第1端末である子機端末10の方角を検出する。この方角検出部13は、具体的には、例えば、地磁気センサを用いることができる。
【0022】
制御部14は、タッチパッド11より取得した座標情報と方角検出部13より取得した方角情報を元に親機端末20へ近距離無線通信部12を用いて送信する情報を制御する部分である。
【0023】
図3は、本発明の実施の形態1における親機端末20のハードウェアブロック構成図である。親機端末20は、表示部21と、近距離無線通信部22と、方角検出部23と、制御部24と、角度差検出部25と、座標補正部26を備えて構成される。
【0024】
表示部21は、親機端末20の情報を表示する。
【0025】
近距離無線通信部22は、子機端末10の近距離無線通信部12と同様で、Bluetooth、WLAN,IrDA等を用いた近距離無線通信であり、子機端末10との間で情報の送受信を行うことができる。
【0026】
方角検出部23は、第2端末である親機端末20の方角を検出する。この方角検出部23は、具体的には、例えば、地磁気センサを用いることができる。
【0027】
角度差検出部25は、方角検出部13の方角情報と方角検出部23の方角情報とから角度差を検出する。
【0028】
座標補正部26は、角度差検出部25の方角情報に基づいて、タッチパッドの座標情報を補正する。
【0029】
制御部24は、座標補正部26によって補正された座標情報を表示部21へ反映する。
【0030】
図4は、本発明の実施の形態1における端末システムの動作処理を説明するフローチャートである。
【0031】
まず、子機端末10のタッチパッド11が、座標を取得する(ステップS11)。次に、で子機端末10の方角検出部13が、方角を検出する(ステップS12)。次に、近距離無線通信部12を介して、子機端末10から親機端末20へ検出した座標の情報と方角の情報とを送信する(ステップS13)。次に、親機端末20の方角検出部23が、親機端末20の方角を検出する(ステップS14)。次に、角度差検出部25が、ステップS13で受信した子機端末10の方角の情報とステップS14で取得した親機端末20の方角の情報から角度差を検出する(ステップS15)。次に、座標補正部26が、ステップS15で検出した角度差に対して閾値判定処理を行う。そして、閾値判定の条件を満たす場合(ステップS16 YES)、座標補正部26が、画面の制御を行う制御部24に対して補正した座標軸を通知し、制御部24が画面の制御を実施する(ステップS17)。その結果、表示部21に座標軸を補正した画面制御が反映される(ステップS18)。一方、ステップS16にて、閾値判定の条件を満たさない場合は(ステップS16 NO)、座標補正部26は、座標軸の補正を実施せずに、表示部21に、座標軸が補正のない画面制御となる(ステップS18)。なお、ステップS16にて、閾値判定の条件を満たさない場合は、閾値付近で座標軸が頻繁に補正されるのを防ぐためにヒステリシスを持たせるようにすることもできる。例えば、角度θを閾値とした場合、右回りに角度θ回転した場合に補正を実施するが、上記の状態(角度θ回転した状態)から左回りへ回転し、回転角度がθ以下となったとしてもθとの差がα以下であれば補正を実施しない。ここで、αは座標軸が頻繁に補正されるのを防ぐような値に設定するもので、θよりは小さい値である。
【0032】
図5は、本発明の実施の形態1における端末システムの座標軸補正の具体例である。子機端末10の筺体の4辺の向きを検出し、辺の部分に垂直な方向が常にタッチパッドの座標軸のY軸となるように補正する制御方法である。この座標軸の補正手法により直感的に座標が分かりやすくなり操作性が向上する。
【0033】
図5においては、子機端末10から親機端末20へ送信された座標情報および方角情報が親機端末20で受信される。そして、子機端末10から受信した座標情報および方角情報と、親機端末20で検出した方角情報により、角度差検出部25において角度差としてθが検出されている。本発明においてはθの範囲によって補正処理が異なる。具体的には下記を実施する(角度差θが正の場合を示す。角度差θが負の場合も同様である)。
0 < θ <= π/2 の場合は、座標の補正を実施しない。
π/2 < θ <= π の場合は、座標軸をπ/2、回転した方向と逆の方向へ回転する補正を行う。
π< θ <= 3π/2 の場合は、座標軸をπ、回転した方向と逆の方向へ回転する補正を行う。
3π/2 < θ <= 2π の場合は、座標軸を3π/2回転した方向と逆の方向へ回転する補正を行う。
すなわち、座標補正部26は、タッチパッド11の座標情報を、検出した角度差θと逆の方向へ回転するように補正する。この補正は、子機端末10の辺の部分に垂直な方向が常にタッチパッドの座標軸のY軸となるように補正する制御となる。
【0034】
上記を実施することにより、常に同じ感覚で直感的にマウスのカーソル移動操作をすることが可能となる。
【0035】
以上で説明したように、本発明の実施の形態1における端末システムによれば、タッチパッド付き携帯情報端末等の子機端末とディスプレイ付き電子機器等の親機端末を置く向きを気にすることなく、自然な方向感覚でのタッチパッド操作が可能となる。
【0036】
なお、上記の説明では、子機端末10と親機端末20とは分離されたものとして説明したが、子機端末10を親機端末20に収納可能なものとし、子機端末10と親機端末20とが分離した場合に、子機端末10と親機端末20とが方角を検出し、上記の補正を行うようにすることもできる。この場合、親機端末20には、子機端末10が収納されたか否かを検出する図示しないセンサー(例えば、近接センサ、接触センサなど)を備えるようにして、子機端末10が収納されたことを検出した場合には、補正処理を行わないようにする。また、子機端末10を親機端末20に収納した場合には、子機端末10と親機端末20とは方角を検出せず、上記の補正を行わないようにすることもできる。このようにすれば、より、使い勝手を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、タッチパッド付き携帯情報端末等の子機端末とディスプレイ付き電子機器等の親機端末を置く向きを気にすることなく、自然な方向感覚でのタッチパッド操作が可能となる。このため、本発明は、タッチパッドを有する第1端末と表示画面を有する第2端末とを備えた端末システム等として有用である。
【符号の説明】
【0038】
10 子機端末
11 タッチパッド
12 近距離無線通信部
13 方角検出部
14 制御部
20 親機端末
21 表示部(LCD)
22 近距離無線通信部
23 方角検出部
24 制御部
25 角度差検出部
26 座標補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパッドを有する第1端末と、表示部を有する第2端末と、を備えた端末システムであって、
前記第1端末は、
第1の近距離無線部と、
前記第1端末の方角を検出する第1の方角検出手段と、を有し、
前記第2端末は、
前記第1の近距離無線部と通信する第2の近距離無線部と、
前記第2端末の方角を検出する第2の方角検出手段と、
前記第1の方角検出手段の検出した方角と前記第2の方角検出手段の検出した方角とから角度差を検出する角度差検出手段と、
前記角度差検出手段の検出した角度差に基づいて、前記タッチパッドの座標情報を補正する座標補正手段と、
を有する端末システム。
【請求項2】
前記座標補正手段は、前記角度差検出手段の検出した角度差が所定の閾値以上の場合に前記タッチパッドの座標情報を補正する
請求項1に記載の端末システム。
【請求項3】
前記第1端末は前記第2端末に分離及び収納可能であり、
前記座標補正手段は、前記第1端末と前記第2端末とが分離した場合に前記タッチパッドの座標情報を補正する
請求項1又は請求項2に記載の端末システム。
【請求項4】
前記座標補正手段は、前記タッチパッドの座標情報を、検出した角度差と逆の方向へ回転するように補正する
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の端末システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−83940(P2012−83940A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229417(P2010−229417)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】