説明

端末制御装置、携帯通信端末、携帯通信端末制御システム、携帯通信端末の動作設定方法、動作設定変更プログラム

【課題】機能制限を行う動作が固定であり他の動作設定の変更を任意に行うことができないという課題を解決する。
【解決手段】端末制御装置10は、携帯通信端末20との間の非接触通信により、携帯通信端末の利用シーンの変化と、当該利用シーンの変化に伴い動作設定の変更を促す動作状態変更信号を送信し、携帯通信端末20は、動作状態変更信号を非接触通信により受信し、当該受信した動作状態変更信号による動作設定の変更を許可するか否かを判定し、許可すると判定された場合に動作状態変更信号を解析して動作設定を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末制御装置、携帯通信端末、携帯通信端末制御システム、携帯通信端末の動作設定方法、動作設定変更プログラムに関し、特に、利用シーンの変更に伴い動作設定を自動変更可能な携帯電話等の携帯通信端末に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の携帯通信端末は、日常で使用しているときに、動作設定を変更することを期待されるシーンがある。例えば電車に乗るときはマナーモードにすることが望ましく、また、飛行機に搭乗するときは電源をOFFにすることが必須である。しかしながら、これらの操作は人為的に行う必要があるため、マナーモードへの設定変更や電源をOFFすることを忘れ、周囲の人に迷惑をかけたり、航空機の離発着に影響を与えたりする可能性がある。
【0003】
このため、特許文献1では、より簡単かつ確実に携帯電話の機能制限を行うために、施設入場時にチケットの読み取りと同時に機能制限を行い、施設退場時に機能制限を解除する端末制御システムが提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、携帯電話の使用が好ましくない場所において使用を制限するために、改札の入退場時、携帯電話に対して近距離無線通信により電源切断、電源再投入を指示する信号を送信する入出場管理装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−349935号公報
【特許文献2】特開2002−165265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2で提案されるこれまでの端末制御システムあるいは入出場管理装置によれば、機能制限を行う動作は、電源のON/OFFやマナーモード等、固定であり、他の動作設定の変更を任意に行うことができないという問題がある。
【0007】
その理由は、機能制限を指示する方法が、読み取られるチケット情報に対応しており、あるいは、入退場管理装置により固定されており、携帯電話は、与えられた指示に対応した動作を行うだけであるためである。
【0008】
(発明の目的)
本発明の目的は、上述した機能制限を行う動作が固定であり他の動作設定の変更を任意に行うことができないという課題を解決する、端末制御装置、携帯通信端末、携帯通信端末制御システム、携帯通信端末の動作設定方法、動作設定変更プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の端末制御装置は、携帯通信端末に接続される端末制御装置であって、前記携帯通信端末の動作設定の変更内容が定義された情報に従い、前記携帯通信端末で前記動作設定の変更実施の有無が判定可能な動作状態変更信号を生成し、前記生成された動作状態変更信号を非接触で前記携帯通信端末に送信する制御手段を含む。
【0010】
本発明の第2の携帯通信端末は、端末制御装置に接続される携帯通信端末であって、前記端末制御装置で動作設定の変更内容が定義された情報に従って生成され送信される動作状態変更信号を非接触で受信し、前記受信した動作状態変更信号による動作設定の変更を許可するか否かを判定し、許可すると判定された場合に前記動作状態変更信号を解析して動作設定を変更する制御手段を含む。
【0011】
本発明の第3の携帯通信端末制御システムは、携帯通信端末と、端末制御装置とを備え、前記端末制御装置は、前記携帯通信端末との間の非接触通信により、前記携帯通信端末の利用シーンの変化と、前記利用シーンの変化に伴い動作設定の変更を促す動作状態変更信号を送信し、前記携帯通信端末は、前記動作状態変更信号を非接触通信により受信し、前記受信した動作状態変更信号による動作設定の変更を許可するか否かを判定し、許可すると判定された場合に前記動作状態変更信号を解析して動作設定を変更する。
【0012】
本発明の第4の携帯通信端末の動作設定変更方法は、携帯通信端末に接続される端末制御装置による携帯通信端末の動作設定変更方法であって、前記携帯通信端末の動作設定の変更内容が定義された情報に従い、前記携帯通信端末で前記動作設定の変更実施の有無が判定可能な動作状態変更信号を生成する第1のステップと、前記生成された動作状態変更信号を非接触で前記携帯通信端末に送信する第2のステップと、を含む。
【0013】
本発明の第5の携帯通信端末の動作設定変更方法は、端末制御装置に接続される携帯通信端末の動作設定変更方法であって、前記端末制御装置で動作設定の変更内容が定義された情報に従って生成され送信される動作状態変更信号を非接触で受信する第1のステップと、前記受信した動作状態変更信号による動作設定の変更を許可するか否かを判定し、許可すると判定された場合に前記動作状態変更信号を解析して動作設定を変更する第2のステップと、を含む。
【0014】
本発明の第6の動作設定変更プログラムは、コンピュータ上で実行され、携帯通信端末に接続される端末制御装置に備えられる前記携帯通信端末の動作設定変更プログラムであって、前記コンピュータに、前記携帯通信端末の動作設定の変更内容が定義された情報に従い、前記携帯通信端末で前記動作設定の変更実施の有無が判定可能な動作状態変更信号を生成する動作状態変更信号生成処理と、前記生成された動作状態変更信号を非接触で前記携帯通信端末に送信する信号送受信処理と、を実行させる。
【0015】
本発明の第7の動作設定変更プログラムは、コンピュータ上で実行され、端末制御装置に接続される携帯通信端末の動作設定変更プログラムであって、前記コンピュータに、前記端末制御装置で動作設定の変更内容が定義された情報に従って生成され送信される動作状態変更信号を非接触で受信する信号送受信処理と、前記受信した動作状態変更信号による動作設定の変更を許可するか否かを判定し、許可すると判定された場合に前記動作状態変更信号を解析して動作設定を変更する動作状態変更信号処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、機能制限を行う動作が固定であり他の動作設定の変更を任意に行うことができないという課題を解決した、端末制御装置、携帯通信端末、携帯通信端末制御システム、携帯通信端末の動作設定方法、動作設定変更プログラムを提供することができる。
【0017】
その理由は、端末制御装置が、携帯通信端末との間の非接触通信により、携帯通信端末の利用シーンの変化と、当該利用シーンの変化に伴い動作設定の変更を促す動作状態変更信号を送信し、携帯通信端末が、動作状態変更信号を非接触通信により受信し、当該受信した動作状態変更信号による動作設定の変更を許可するか否かを判定し、許可すると判定された場合に動作状態変更信号を解析して動作設定を変更するからである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態による携帯通信端末制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態による端末制御装置の構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態による端末制御装置の制御部が実行するプログラムの構造を機能展開して示したブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態による端末制御装置により生成される動作状態変更信号定義文のデータ構造の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態による携帯通信端末の構成例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態による携帯通信端末の制御部が実行するプログラムの構造を機能展開して示したブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態による携帯通信端末制御システムの動作を示すシーケンス図である。
【図8】本発明の実施の形態による端末制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態による携帯通信端末の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態による端末制御装置で生成される動作状態変更信号定義文の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
(第1の実施の形態の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態による携帯通信端末制御システム1の構成を示すブロック図である。
【0021】
図1を参照すると、本発明の第1の実施の形態による携帯通信端末制御システム1は、端末制御装置10と、携帯通信端末20とを含む構成となっている。
【0022】
端末制御装置10は、例えば、駅構内改札口に設置されものとし、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistants)等、携帯通信端末20の動作設定を変更する動作状態変更信号定義文が予め用意されているものとする。一方、携帯通信端末20は、利用者が携帯し、利用者は勿論のこと、端末制御装置10が備える動作状態変更信号定義文により、電源ON/OFF、マナーモード、セルフモード、バイブ等の機能制限あるいは動作設定が可能である。
【0023】
端末制御装置10は、図2に示す構成を有する。図2を参照すると、端末制御装置10は、制御部11を制御中枢とし、ネットワーク制御部12と、ゲート開閉制御部13と、近距離無線通信部14と、記憶部15と、を含む。これら各制御ブロック11〜15はいずれも、データ、アドレス、コントロールのためのラインが複数本で構成されるシステムバス16に共通接続される。
【0024】
ネットワーク制御部12は、外部接続される不図示の管理センタのホストとの間で、例えば、TCP/IP(Transmission Control/Internet Protocol)により接続され、当該ホストとの通信によりデータの送受信を行う。ゲート開閉制御部13は、制御部11による制御の下で入退場ゲートの開閉制御を行う。
【0025】
近距離無線通信部14は、電磁波を生成して後述する携帯通信端末20の近距離無線通信部27との間で近距離無線通信を行う。
【0026】
近距離無線通信部14は、内部的には、変復調部と、コイルおよびコンデンサで構成された共振回路部とを含み、共振周波数により生成される電磁波を変復調し、携帯通信端末20との間で非接触通信を行う。近距離無線通信部16は、非接触通信が出来ればよく、例えば、ブルートゥース(登録商標)として知られている無線通信技術が使用され、あるいは、RFIC(Radio Frequency IC)による無線通信でもよい。
【0027】
記憶部15は、端末制御装置10の各種処理に利用される各種データを記憶する。例えば、制御部11が実行するコンピュータのプログラムや当該プログラムの処理過程で利用される一時的なデータ等が記憶される。また、後述する動作状態変更信号定義文ファイル113も記憶される。
【0028】
なお、記憶部15は、例えば、不揮発性の記憶デバイス(不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置、光ディスク装置など)やランダムアクセス可能な記憶デバイス(例えばSRAM、DRAM)などによって構成される。
【0029】
制御部11は、記憶部15に格納されたプログラムに基づいて処理を実行するコンピュータ(マイクロプロセッサ)を備えており、これらプログラムにおいて指示された手順に従い、例えば、携帯通信端末20の動作設定の変更内容が定義された情報に従い、携帯通信端末20で動作設定の変更実施の有無が判定可能な動作状態変更信号を生成し、当該生成された動作状態変更信号を非接触で携帯通信端末20に送信する制御手段、として機能する。
【0030】
上述の機能を実現するために制御部11が実行するプログラムの構造が図3に機能展開され示されている。
【0031】
図3を参照すると、制御部11は、動作状態変更信号生成部111と、信号送受信部112と、動作状態変更信号定義ファイル113と、を含む。
【0032】
動作状態変更信号生成部111は、携帯通信端末20の動作設定の変更内容が定義された情報(ここでは、動作状態変更信号定義ファイル113)に従い、携帯通信端末20で動作設定の変更実施の有無が判定可能な動作状態変更信号を生成する機能を有する。また、信号送受信部112は、動作状態変更信号生成部111で生成された動作状態変更信号を非接触で携帯通信端末10に送信する機能を有する。
【0033】
動作状態変更信号定義文ファイル113は、動作状態を変更する信号の内容を定義したテキストファイルである。ここでは、XML(Extensible Markup Language:拡張可能マーク付き言語)形式で定義して、電源状態やマナーモード設定などのユーザ設定をどのような組み合わせで設定するかを階層構造で定義し、あらかじめファイル化しておくものとする。このXMLにより生成される階層構造を持つ動作状態変更信号のデータ構造の一例が図4に、また、具体的なXML表記の一例が、図10(a)(b)に示されている。いずれも詳細は後述する。
【0034】
一方、携帯通信端末20は、例えば、図5に示す構成を有する。図5を参照すると、携帯通信端末20は、制御部21を制御中枢とし、通信部22と、操作部23と、表示部24と、音声CODEC(COder DECoder)部25と、記憶部26と、近距離無線通信部27と、を含む。
【0035】
通信部22は、無線通信システムを捕捉し、不図示の通信ネットワークに接続される基地局との間で無線通信を行い、各種データの送受信を行う。ここで各種データとは、音声通話時の音声データ、メール送受信時のメールデータ、ウェブ閲覧時のページデータ等である。
【0036】
操作部23は、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キー、ファンクションキーなど、各種の機能が割り当てられたキーを有しており、これらのキーがユーザによって操作された場合に、その操作内容に対応する信号を発生し、これをユーザの指示として制御部21に出力する。
【0037】
表示部24は、多数の画素(複数色の発光素子の組み合わせ)を縦横に配して構成される、例えばLCD(Liquid Crystal Display Device)や有機EL(Electro-Luminescence)を用いて構成される。表示部24は、制御部21により生成され、記憶部26の所定の領域(VRAM領域)に書き込まれた文書等の表示対象データに応じた画像を表示する。
【0038】
音声CODEC部25は、不図示のスピーカから出力される音声信号やマイクロフォンにおいて入力される音声信号の入出力処理を行う。すなわち、音声CODEC部25は、マイクロフォンから入力された音声を増幅し、アナログ−デジタル変換を行い、更に符号化等の信号処理を施し、デジタルの音声データに変換して制御部11に出力する。また、音声CODEC部25は、制御部21から供給される音声データに復号化、デジタル−アナログ変換、増幅等の信号処理を施し、アナログの音声信号に変換してスピーカに出力する。
【0039】
記憶部26は、携帯通信端末20の各種処理に利用される各種データを記憶する。例えば、制御部21が実行するコンピュータのプログラム、各種設定データ、プログラムの処理過程で利用される一時的なデータが記憶される。ここでは更に、後述する前設定保存領域213が割り付けられ記憶される。前設定保存領域213に記憶される前設定情報として、電源状態の他、ユーザ設定によるマナーモード設定、表示画像設定、着信音設定、着信音量設定、振動設定などが保存される。
【0040】
なお、記憶部26は、例えば、不揮発性の記憶デバイス(不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置、光ディスク装置など)やランダムアクセス可能な記憶デバイス(例えばSRAM、DRAM)などによって構成される。
【0041】
近距離無線通信部27は、電磁波を生成して上述した端末制御装置10の近距離無線通信部14との間で近距離無線通信を行う。近距離無線通信部27は、内部的には、変復調部と、コイルおよびコンデンサで構成された共振回路部とを含み、共振周波数により生成される電磁波を変復調して非接触通信を行う。近距離無線通信部27は、非接触通信が出来ればよく、例えば、ブルートゥース(登録商標)として知られている無線通信技術が使用され、あるいは、RFICによる無線通信でもよい。
【0042】
なお、制御部21は、携帯通信端末20の全体的な動作を統括的に制御する。すなわち、携帯通信端末20の各種処理(回線交換網を介して行われる音声通話、電子メールの作成と送受信、インターネットのWeb(World Wide Web)サイトの閲覧など)が操作部23の操作に応じて適切な手順で実行されるように、上述した各制御ブロックの動作(通信部22における信号の送受信、操作部23からの操作入力の取り込み、音声CODEC部25における音声入出力、表示部24における画像の表示、近距離無線通信部27との間の情報転送等)を制御する。
【0043】
制御部21は、記憶部26に格納されたプログラム(オペレーティングシステムやアプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行するコンピュータ(マイクロプロセッサ)を備えており、これらプログラムにおいて指示された手順に従って上述した処理を実行する。すなわち、制御部21は、記憶部26に格納されるオペレーティングシステムやアプリケーションプログラム等のプログラムから命令コードを順次読み込んで処理を実行する。
【0044】
制御部21はまた、上述した端末制御装置10で動作設定の変更内容が定義された情報(動作状態変更信号定義文ファイル113)に従って生成され送信される動作状態変更信号を非接触で受信し、当該受信した動作状態変更信号による動作設定の変更を許可するか否かを判定し、許可すると判定された場合に動作状態変更信号を解析して動作設定を変更する制御手段としても機能する。
【0045】
上述の機能を実現するために制御部21が実行するプログラムの構造が図6に機能展開され示されている。
【0046】
図6を参照すると、制御部21は、信号送受信部211と、動作状態変更信号処理部212と、前設定保存領域213とを含む。
【0047】
信号送受信部211は、端末制御装置10で動作設定の変更内容が定義された情報に従って生成され送信される動作状態変更信号を非接触で受信する機能を有する。また、動作状態変更信号処理部212は、信号送受信部211で受信した動作状態変更信号による動作設定の変更を許可するか否かを判定し、許可すると判定された場合に動作状態変更信号を解析して動作設定を変更する機能を有する。
【0048】
前設定保存領域213には、電源状態の他、ユーザ設定によるマナーモード設定、表示画像設定、着信音設定、着信音量設定、振動設定などが保存されることは上述したとおりであり、動作状態変更信号によって強制的に設定が変更される前の状態を保存しておくことで、設定を元に戻すことを可能とする。
【0049】
(第1の実施の形態の動作)
次に、本発明の第1の実施の形態による端末制御システムの動作について図7に示すシーケンス図を参照して説明する。
【0050】
図7を参照すると、端末制御装置10は、予め、XML形式等により動作状態を変更する内容が定義されたテキストファイルを用意し、記憶部15(動作状態変更信号定義文ファイル113)に保持しておくものとする(ステップS701)。動作状態変更信号定義の一例は、図4に示したように、階層構造で動作が定義されてあるものとする。
【0051】
続いて、携帯通信端末20を所持した利用者が非接触通信機能を用いて駅の改札内に入場した場合、IDやチャージ金額等の端末情報が送信され(ステップS702)、これを受けた端末制御装置10は、非接触通信によって携帯通信端末20に利用シーンの変化を通知して動作設定の変更を促すとともに、先に定義された内容を解析して動作状態変更信号を生成し(ステップS703)、当該生成した動作状態変更信号を非接触通信で携帯通信端末20へ送信する(ステップS704)。
【0052】
これを受けた携帯通信端末20は、例えば、「乗車するためマナーモードに設定します」等メッセージを表示部24に表示するとともに、先に非接触通信により受信した動作状態変更信号による動作設定の変更を許可するか否かを判定し、許可すると判定された場合に動作状態変更信号を解析して動作設定をマナーモードに変更する(ステップS705)。
【0053】
なお、改札を出た場合は、改札に入る前の元の動作設定に戻すものとする。また、航空機の搭乗口を通過する場合も同様、非接触通信機能を用いて動作設定を電源OFFにすることが可能である。電車に乗車する場合、非接触通信による交通費精算がよく行われ、また最近では航空機に搭乗する場合も、チケットレスサービスとして、非接触通信が利用されるようになっている。この非接触通信時の交通費精算、搭乗手続きと同時に、携帯通信端末20の動作状態の設定変更を行うことで、それぞれのシーンに沿った動作設定を行うことができる。それによって常に周囲に迷惑のかからないような設定にすることが可能になる。
【0054】
次に、本発明の第1の実施の形態による端末制御装置10の動作について図8に示すフローチャートを参照して説明する。
【0055】
図8を参照すると、端末制御装置10(制御部11)は、予め定義されたMXL形式等による動作状態変更信号文をテキストファイルに変換して記憶部15(動作状態変更信号定義文ファイル113)に保持しておく(ステップS801)。
【0056】
一方、携帯通信端末20が端末制御装置10に近づけられ、電波到達領域内に位置すると、携帯通信端末20と端末制御装置10との間で非接触通信が開始され、まず、携帯通信端末20から端末制御装置10に向けて端末情報が送信される。これは、例えば、駅改札を通過するシーンや、飛行機の搭乗口を通過するシーンに行われ、その際に送信される端末情報は、ID番号やチャージ金額である。
【0057】
端末情報は、近距離無線通信部14経由で制御部11の無線送受信部111で受信され(ステップS802“Yes”)、これを受けた無線送受信部111は、動作状態変更信号生成部112を起動し、動作状態変更信号生成部112は、動作状態変更信号を生成するための処理を開始する(ステップS803)。
【0058】
動作状態変更信号生成部112は、記憶部15に保持された動作状態変更信号定義文ファイル113から動作状態変更信号を生成する。ここで生成された動作状態変更信号は、無線送受信部111、および近距離無線通信部14経由で非接触通信にて携帯通信端末20に送信される(ステップS804)。
【0059】
次に、本発明の第1の実施の形態による携帯通信端末20の動作について図9に示すフローチャートを参照して説明する。
【0060】
図9を参照すると、携帯通信端末20が端末制御装置10に近づけられ、電波到達領域内に位置すると(ステップS901“Yes”)、非接触通信が開始され、携帯通信端末20から端末制御装置10に向けてID番号やチャージ金額等の端末情報が送信される(ステップS902)。
【0061】
続いて、端末制御装置10から非接触通信により、近距離無線通信部27、制御部21(信号送受信部211)経由で動作状態変更信号を受信した動作状態変更信号処理部212は(ステップS903“Yes”)、動作状態変更信号による状態変更を許可するか否かについて記憶部26を参照してユーザの設定状態を確認することにより判定する(ステップS904)。既に変更内容が反映されており、状態変更を拒否する場合は(ステップS904“No”)、状態変更を行わずに終了する。
【0062】
一方、状態変更を許可する場合(ステップS904“Yes”)、動作状態変更信号処理部212は、受信した動作状態変更信号を解析し、例えば、着信音・着信音量・バイブレータ等の設定値を取得し、また、電源をOFF設定する等、動作状態変更信号の動作設定内容を取得する(ステップS905)。そして、設定変更を実施する前に、前設定保存領域213に現在の動作設定を保存する(ステップS906)。そして動作状態変更信号の解析結果に基づく設定変更を実施する(ステップS907)。
【0063】
なお、退場等により利用シーンが復旧する場合(ステップS908“Yes”)、動作状態変更信号処理部212は、記憶部26の前設定保存領域213に保存された変更前の動作設定に戻す処理を実行する(ステップS909)。
【0064】
XML形式で記述された動作状態変更信号定義文による携帯通信端末20の動作設定変更の一例が、図10(a)(b)に示されている。
【0065】
図10(a)は、電源をOFF設定するための動作状態変更信号定義文の一例である。
【0066】
ここでは、<MODE>タグ(L2)で動作状態変更信号を定義し、POWER-OFFタグ(L3)で電源OFF設定を指定している。結果として電源OFF設定を行う動作状態変更信号が生成され、端末制御装置10(動作状態変更信号生成部111)で生成された動作状態変更信号が、携帯通信端末20(動作状態変更信号処理部212)で解析されることで電源のOFFが実行される。
【0067】
図10(b)は、着信音と着信バイブレータを設定するための動作状態変更信号定義文の一例である。
【0068】
ここでは、<MODE>タグ(L2)で動作状態変更信号を定義し、<RING-TONE>タグ(L3)で着信音設定を指定し、<PHONE>タグ(L4)で電話着信時の設定を指定し、OFF(L5)で電話着信時の着信音設定をOFFに指定し、<VIDEO-PHONE>タグ(L7)でTV電話着信時の設定を指定し、OFF(L8)でTV電話着信時の着信音設定をOFFに指定している。
【0069】
また、<VIBRATOR>タグ(L11)でバイブレータ設定を指定し、<PHONE>タグ(L12)で電話着信時の設定を指定し、pattern-1(L13)で電話着信時のバイブレータ設定をパターン1に指定し、<VIDEO-PHONE>タグ(L15)でTV電話着信時の設定を指定し、pattern-2(L16)でTV電話着信時のバイブレータ設定をパターン1に指定している。
【0070】
結果として、(1)電話着信時の着信音設定をOFFに設定、(2)TV電話着信時の着信音設定をOFFに設定、(3)電話着信時のバイブレータ設定をパターン1に設定、(4)TV電話着信時のバイブレータ設定をパターン2に設定、するためのそれぞれの動作設定変更信号が生成される。端末制御装置10(動作状態変更信号生成部111)で生成された動作状態変更信号が、携帯通信端末20(動作状態変更信号処理部212)で解析され、上述した(1)〜(4)を順次実行することにより携帯通信端末20の設定変更が行われる。
【0071】
(第1の実施の形態による効果)
本実施の形態による端末制御装置10では、携帯通信端末20の動作設定の変更内容が定義された情報に従い、携帯通信端末20で動作設定の変更実施の有無が判定可能な動作状態変更信号を生成し、当該生成された動作状態変更信号を非接触で携帯通信端末20に送信するようにしたので、携帯通信端末20では、ユーザによる設定変更を行うことなく状況に応じた設定変更が自動的に行うことができる。このように、これまで人為的に行っていた操作を自動で行うため、マナーモードの設定忘れ、電源OFF忘れ等のミスがなくなり、周囲の人に迷惑をかけたり、航空機の離発着に影響を与えたりすることがなくなる。
【0072】
また、本実施の形態による携帯通信端末20では、端末制御装置10で動作設定の変更内容が定義された情報に従って生成され送信される動作状態変更信号を非接触で受信し、当該受信した動作状態変更信号による動作設定の変更を許可するか否かを判定し、許可すると判定された場合に動作状態変更信号を解析して動作設定を変更するようにしたので、端末制御装置10から与えられる動作状態変更信号に応じた動作設定を行うことは勿論のこと、与えられた動作状態変更信号を状況に応じて自らの判断で動作設定を行うことが可能であり、このため、柔軟な動作設定が可能となり使い勝手の向上がはかれる。
【0073】
また、本実施の形態による携帯通信端末制御システムでは、端末制御装置10が、携帯通信端末20との間の非接触通信により、携帯通信端末20の利用シーンの変化と、利用シーンの変化に伴い動作設定の変更を促す動作状態変更信号を送信し、携帯通信端末20が、動作状態変更信号を非接触通信により受信し、当該受信した動作状態変更信号による動作設定の変更を許可するか否かを判定し、許可すると判定された場合に動作状態変更信号を解析して動作設定を変更するようにしたので、例えば、駅改札に入場した際の交通費清算や航空機搭乗手続きの際のチケットレスサービスとリンクして携帯通信端末20の動作設定の変更を行うことができ、また、退場の際は入場前の設定に戻す等、利用シーンに沿った動作設定が可能になる。
【0074】
なお、上述した利用シーンの他に、例えば、携帯電話の販売店で、ユーザから動作設定を変更したいが設定操作の方法がわからないという問い合わせがあった場合、予め上述した動作状態変更信号定義文を作成しておくことで、非接触通信を行うだけで動作設定の変更を自動的に行うことができる。
【0075】
また、企業等で非接触通信により社員の入退場管理を行っている場合、例えば、出社したとき時計の設定変更を行うことで、各自の時計を一律で正確に設定することができる。また、「時計は駅の時刻に合わせている」等、各自で時計設定を行っている場合も考えられるために退社時には前設定に戻す、といった制御も可能である。更に、出社したときアラーム通知を設定することで、会議開始前等、指定の日時にアラームを鳴らすことができる。また、端末情報を利用することによって特定の人物に対してのみアラーム通知を設定することも可能である。
【0076】
なお、図3の制御部11が有する機能は、全てをソフトウェアによって実現しても、あるいはその少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。例えば、制御部11が、携帯通信端末20の動作設定の変更内容が定義された情報に従い、携帯通信端末20で動作設定の変更実施の有無が判定可能な動作状態変更信号を生成し、当該生成された動作状態変更信号を非接触で携帯通信端末20に送信するデータ処理は、1または複数のプログラムによりコンピュータ上で実現してもよく、また、その少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。
【0077】
また、図6の制御部21が有する機能も、全てをソフトウェアによって実現しても、あるいはその少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。例えば、制御部21が、端末制御装置10で動作設定の変更内容が定義された情報に従って生成され送信される動作状態変更信号を非接触で受信し、当該受信した動作状態変更信号による動作設定の変更を許可するか否かを判定し、許可すると判定された場合に動作状態変更信号を解析して動作設定を変更するデータ処理は、1または複数のプログラムによりコンピュータ上で実現してもよく、また、その少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。
【0078】
以上好ましい実施の形態と実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも、上述実施の形態及び実施例に限定されるものでなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0079】
1:携帯通信端末制御システム
10:端末制御装置
11:制御部
12:ネットワーク制御部
13:ゲート開閉制御部
14:近距離無線通信部
15:記憶部
16:システムバス
20:携帯通信端末
21:制御部
22:通信部
23:操作部
24:表示部
25:音声CODEC部
26:記憶部
27:近距離無線通信部
111:動作状態変更信号生成部
112:信号送受信部
113:動作状態変更信号定義文ファイル
211:信号送受信部
212:動作状態変更信号処理部
213:前設定保存領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯通信端末に接続される端末制御装置であって、
前記携帯通信端末の動作設定の変更内容が定義された情報に従い、前記携帯通信端末で前記動作設定の変更実施の有無が判定可能な動作状態変更信号を生成し、前記生成された動作状態変更信号を非接触で前記携帯通信端末に送信する制御手段、
を備えたことを特徴とする端末制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記携帯通信端末の利用シーンの変更に伴い、前記携帯通信端末が非接触通信可能領域に位置する場合に前記動作状態変更信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の端末制御装置。
【請求項3】
端末制御装置に接続される携帯通信端末であって、
前記端末制御装置で動作設定の変更内容が定義された情報に従い生成され送信される動作状態変更信号を非接触で受信し、前記受信した動作状態変更信号による動作設定の変更を許可するか否かを判定し、許可すると判定された場合に前記動作状態変更信号を解析して動作設定を変更する制御手段、
を備えたことを特徴とする携帯通信端末。
【請求項4】
前記制御手段は、
特定の言語で作成されたファイルから生成される階層構造を持つ動作状態変更信号を解析し、取得される動作設定情報の組み合わせに従い動作設定を行うことを特徴とする請求項3に記載の携帯通信端末。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記動作設定を変更する場合に、変更前の動作設定を保存し、利用シーンが復旧するタイミングで前記保存された変更前の動作設定に戻すことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の携帯通信端末。
【請求項6】
携帯通信端末と、端末制御装置とを備え、
前記端末制御装置は、
前記携帯通信端末との間の非接触通信により、前記携帯通信端末の利用シーンの変化と、前記利用シーンの変化に伴い動作設定の変更を促す動作状態変更信号を送信し、
前記携帯通信端末は、
前記動作状態変更信号を非接触通信により受信し、前記受信した動作状態変更信号による動作設定の変更を許可するか否かを判定し、許可すると判定された場合に前記動作状態変更信号を解析して動作設定を変更すること、
を特徴とする携帯通信端末制御システム。
【請求項7】
携帯通信端末に接続される端末制御装置による携帯通信端末の動作設定変更方法であって、
前記携帯通信端末の動作設定の変更内容が定義された情報に従い、前記携帯通信端末で前記動作設定の変更実施の有無が判定可能な動作状態変更信号を生成する第1のステップと、
前記生成された動作状態変更信号を非接触で前記携帯通信端末に送信する第2のステップと、
を有することを特徴とする端末通信端末の動作設定変更方法。
【請求項8】
前記第1のステップは、
前記携帯通信端末の利用シーンの変更に伴い、前記携帯通信端末が非接触通信可能領域に位置すると判定された場合に前記動作状態変更信号を生成するサブステップ、
を有することを特徴とする請求項7に記載の端末通信端末の動作設定変更方法。
【請求項9】
端末制御装置に接続される携帯通信端末の動作設定変更方法であって、
前記端末制御装置で動作設定の変更内容が定義された情報に従って生成され送信される動作状態変更信号を非接触で受信する第1のステップと、
前記受信した動作状態変更信号による動作設定の変更を許可するか否かを判定し、許可すると判定された場合に前記動作状態変更信号を解析して動作設定を変更する第2のステップと、
を有することを特徴とする携帯通信端末の動作設定変更方法。
【請求項10】
前記第2のステップは、
特定の言語で作成されたファイルから生成される階層構造を持つ動作状態変更信号を解析し、取得される動作設定情報の組み合わせに従い動作設定を行うサブステップ、
を有することを特徴とする請求項9に記載の携帯通信端末の動作設定変更方法。
【請求項11】
前記第2のステッブは、
前記動作設定を変更する場合に、変更前の動作設定を保存し、利用シーンが復旧するタイミングで前記保存された変更前の動作設定に戻すサブステップ、
を有することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の携帯通信端末の動作設定変更方法。
【請求項12】
コンピュータ上で実行され、携帯通信端末に接続される端末制御装置に備えられる前記携帯通信端末の動作設定変更プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記携帯通信端末の動作設定の変更内容が定義された情報に従い、前記携帯通信端末で前記動作設定の変更実施の有無が判定可能な動作状態変更信号を生成する動作状態変更信号生成処理と、
前記生成された動作状態変更信号を非接触で前記携帯通信端末に送信する信号送受信処理と、
を実行させることを特徴とする動作設定変更プログラム。
【請求項13】
前記動作状態変更信号生成処理は、
前記携帯通信端末の利用シーンの変更に伴い、前記携帯通信端末が非接触通信可能領域に位置すると判定された場合に前記動作状態変更信号を生成することを特徴とする請求項12に記載の動作設定変更プログラム。
【請求項14】
コンピュータ上で実行され、端末制御装置に接続される携帯通信端末の動作設定変更プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記端末制御装置で動作設定の変更内容が定義された情報に従って生成され送信される動作状態変更信号を非接触で受信する信号送受信処理と、
前記受信した動作状態変更信号による動作設定の変更を許可するか否かを判定し、許可すると判定された場合に前記動作状態変更信号を解析して動作設定を変更する動作状態変更信号処理と、
を実行させることを特徴とする動作設定変更プログラム。
【請求項15】
前記動作状態変更信号処理は、
特定の言語で作成されたファイルから生成される階層構造を持つ動作状態変更信号を解析し、取得される動作設定情報の組み合わせに従い動作設定を行うことを特徴とする請求項14に記載の動作設定変更プログラム。
【請求項16】
前記動作状態変更信号処理は、
前記動作設定を変更する場合に、変更前の動作設定を保存し、利用シーンが復旧するタイミングで前記保存された変更前の動作設定に戻すことを特徴とする請求項14または請求項15に記載の動作設定変更プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−171754(P2010−171754A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12588(P2009−12588)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】