説明

端末装置、フォント制御方法、及びフォント制御プログラム

【課題】通信トラフィックを抑制しつつカスタムフォントを他の端末装置で利用する。
【解決手段】端末装置100は、手書きされた文字の入力を受け付ける入力部140を備える。端末装置100は、入力部140を介して入力された手書き文字に基づいて生成された手書き文字画像に対応するベース文字画像をベースフォントから抽出し、抽出されたベース文字画像と手書き文字画像との比較に基づいて歪データを抽出する歪抽出部112を備える。端末装置100は、歪データをベースフォントの複数の文字に展開してフォントデータを生成する歪展開部114と、歪データとベースフォントの識別子とを含む中間ファイルを生成する中間ファイル生成部116とを備える。端末装置100は、中間ファイルとフォントデータとを格納するメモリ130と、メモリに格納された中間ファイルを送信する無線部120を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、フォント制御方法、及びフォント制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン,Padに代表されるように、表示パネルが主構成要素となる端末装置の普及が進んでいる。このような端末装置の普及に伴い、表示パネルに表示される画面を自分専用にカスタマイズしたいという要求が高まっている。特に、表示要素のうち、大きな比重を占める文字要素について、自分独自のフォントを利用したいという要求が高まっている。
【0003】
そこで従来、文字フォントを自分独自のフォントにカスタマイズする技術が知られている。すなわち、従来技術は、例えばユーザによって紙面等に記載された手書き文字をイメージスキャナ等でスキャンし、手書き文字画像を生成する。次に、従来技術は、例えばMS明朝やMSゴシックなどのベースフォントを選択し、選択したベースフォントから手書き文字画像に対応するグリフ画像を生成する。そして、従来技術は、グリフ画像と手書き文字画像とを比較して、複数の対応点を取得する。対応点は、例えば文字の輪郭の変位が一定以上になった点や、文字のストロークの端点等である。
【0004】
次に、従来技術は、グリフ画像と手書き文字画像の複数の対応点ごとに変位を求めて、グリフ画像の座標系毎にマッピングする。従来技術は、複数の手書き文字に対して同様の処理を行ってグリフ画像と手書き文字画像との対応点の変位をマッピングし、複数のマッピングの変位を平均化する。次に、従来技術は、手書き文字数の増加にともなって平均化された変位が安定化したら、平均化された変位がマッピングされたものを歪データとして記憶し、歪データをベースフォントの全文字に展開することで、全文字分のカスタマイズされたフォントを生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−58142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術は、カスタムフォントを自端末装置だけではなく、他の端末装置で利用する場合の通信トラフィックの増加を抑制することは考慮されていない。
【0007】
すなわち、従来技術は、生成したカスタムフォントを自端末装置で表示するなどして利用することを前提としているため、例えばある端末装置で生成されたカスタムフォントを他の端末装置でも利用することは考慮されていない。
【0008】
例えば、携帯電話機やスマートフォンのような通信機能を有する端末装置でカスタムフォント技術を使用する場合、生成したカスタムフォントを他の端末装置へ送信して、他の端末装置でカスタムフォントを表示することが考えられる。
【0009】
この点、生成した手書き風のカスタムフォントのサイズは、全文字分あわせると一般的には10MByte以上の容量になるので、これらのカスタムフォントを他の端末装置に送信すると、通信経路のトラフィックが増加するおそれがある。このような課題は、スマートフォン,Padのような端末装置に限らず、表示器及び通信機能を有する端末装置において同様に生じるおそれがある。
【0010】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、通信トラフィックを抑制しつつカスタムフォントを他の端末装置で利用することができる端末装置、フォント制御方法、及びフォント制御プログラムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の開示する端末装置は、一つの態様において、手書きされた文字の入力を受け付ける入力部を備える。また、端末装置は、前記入力部を介して入力された文字に基づいて生成された手書き文字画像に対応するベース文字画像をあらかじめ設けられたベースフォントから抽出し、該抽出されたベース文字画像と前記手書き文字画像との比較に基づいて歪データを抽出する抽出部を備える。また、端末装置は、前記抽出部によって抽出された歪データを前記ベースフォントの複数の文字に展開してフォントデータを生成する展開部を備える。また、端末装置は、前記抽出部によって抽出された歪データと前記ベースフォントの識別子とを含む中間ファイルを生成する生成部を備える。また、端末装置は、前記生成部によって生成された中間ファイルと前記展開部によって生成されたフォントデータとを格納する記憶部を備える。また、端末装置は、前記記憶部に格納された中間ファイルを送信する通信部を備える。
【発明の効果】
【0012】
本願の開示する端末装置の一つの態様によれば、通信トラフィックを抑制しつつカスタムフォントを他の端末装置で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、端末装置のハードウェア及び機能ブロックを示す図である。
【図2】図2は、歪抽出の概念を示す図である。
【図3】図3は、端末装置の処理フローの一例を示す図である。
【図4】図4は、端末装置の処理フローの一例を示す図である。
【図5】図5は、端末装置の処理フローの他の例を示す図である。
【図6】図6は、端末装置の処理フローの他の例を示す図である。
【図7】図7は、端末装置の処理フローの他の例を示す図である。
【図8】図8は、端末装置の処理フローの他の例を示す図である。
【図9】図9は、カメラを用いた文字画像の入力と切り出しの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本願の開示する端末装置、フォント制御方法、及びフォント制御プログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により開示技術が限定されるものではない。
【0015】
図1は、端末装置のハードウェア及び機能ブロックを示す図である。図1に示すように、端末装置は、送信側の端末装置100と受信側の端末装置200を含む。送信側の端末装置100は、基地局300を介して例えば後述する中間ファイルを受信側の端末装置200へ送信する。受信側の端末装置200は、例えば送信側の端末装置100から基地局300を介して送信された中間ファイルを受信する。
【0016】
本実施形態では、説明の便宜上、送信側の端末装置100と受信側の端末装置200とを分けて説明するが、これには限られない。すなわち、送信側の端末装置100は中間ファイルの送信側になった端末装置が備えるハードウェア及び機能ブロックを説明するものであり、受信側の端末装置200は中間ファイルの受信側になった端末装置が備えるハードウェア及び機能ブロックを説明するものである。しかしながら、一般的な端末装置は、送信側にも受信側にもなり得る。よって、端末装置は、送信側の端末装置100と受信側の端末装置200の両方のハードウェア及び機能ブロックを備えることもできる。この場合、端末装置は、送信側の端末装置100と受信側の端末装置200の両方が備える同様のハードウェア又は機能ブロックについては、重複しないようにすることができる。なお、端末装置100及び端末装置200は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、Padなど、表示機能と通信機能を有する端末装置とすることができる。
【0017】
送信側の端末装置100は、CPU(Central Processing Unit)110、無線部120、メモリ130、入力部140、及び表示器150を備える。CPU110は、歪抽出部112、歪展開部114、中間ファイル生成部116、及び判定部118を有する。
【0018】
CPU110は、メモリ130に格納されているフォント制御プログラムを読み出して実行する中央処理装置である。CPU110は、メモリ130に格納されているフォント制御プログラムを読み出して実行することにより、後述する歪抽出部112、歪展開部114、中間ファイル生成部116、及び判定部118の動作を実現する。
【0019】
例えば、歪抽出部112は、入力部140を介して入力された手書き文字に基づいて生成された手書き文字画像に対応するベース文字画像(文字グリフ画像)をメモリ130にあらかじめ格納されたベースフォントから抽出する。また、歪抽出部112は、抽出されたベース文字画像と手書き文字画像との比較に基づいて歪データを抽出する。ここで、歪データとは、手書き文字を書いたユーザの文字の書き方の特徴を示すデータである。また、ベースフォントとは、例えばMS明朝やMSゴシックなどのように、あらかじめ文字の字体が定められたフォームのことである。
【0020】
歪展開部114は、歪抽出部112によって抽出された歪データをベースフォントの複数の文字(例えば全文字)に展開してフォントデータを生成する。中間ファイル生成部116は、歪抽出部112によって抽出された歪データとベースフォントの識別子(ID:Identification)とを含む中間ファイルを生成する。また、中間ファイル生成部116は、歪抽出部112によって抽出された歪データとベースフォントの識別子に加えて、入力部140を介して入力された文字に基づいて生成された手書き文字画像を含めて中間ファイルを生成することもできる。判定部118は、メモリ130に格納されたフォントデータを送信するか否かを判定する。
【0021】
無線部120は、判定部118によってメモリ130に格納されたフォントデータを送信すると判定されたら、メモリ130に格納された中間ファイルを、基地局300を介して受信端末装置200へ送信する。
【0022】
メモリ130は、歪展開部114によって生成されたフォントデータ及び中間ファイル生成部116によって生成された中間ファイルなどの各種データを格納する記憶媒体である。また、メモリ130には、MS明朝やMSゴシックなどの複数のベースフォントがあらかじめ格納されている。また、メモリ130には、CPU110に読み出されて実行されることにより、送信側の端末装置100の機能及び動作を実現するフォント制御プログラムが格納される。
【0023】
入力部140は、手書きされた文字の入力を受け付ける入力インターフェースである。例えば、入力部140は、手書きされた文字を撮像可能な撮像手段であるカメラとすることができる。また、表示器150がタッチスクリーン(タッチパネル)式の表示デバイスである場合、表示器150のタッチスクリーンを介して手書き文字の入力を受け付けることができる。この場合、表示器150が入力部140を兼ねることとなる。
【0024】
表示器150は、送信側の端末装置100で用いられる各種の文字や画像などを表示する出力インターフェースであり、例えば液晶パネルなどの表示デバイス又はタッチスクリーン式の表示デバイスとすることができる。
【0025】
一方、受信側の端末装置200は、CPU210、無線部220、メモリ230、入力部240、及び表示器250を備える。CPU210は、ベースフォント選択部212、歪抽出部214、及び歪展開部216を有する。
【0026】
CPU210は、メモリ230に格納されているフォント制御プログラムを読み出して実行する中央処理装置である。CPU210は、メモリ230に格納されているフォント制御プログラムを読み出して実行することにより、後述するベースフォント選択部212、歪抽出部214、及び歪展開部216の動作を実現する。
【0027】
ベースフォント選択部212は、無線部220によって受信された中間ファイルに含まれるベースフォントの識別子に対応するベースフォントがメモリ230に格納されているか否かを判定する。ベースフォント選択部212は、判定の結果、格納されていなければ中間ファイルに含まれるベースフォントとは異なる他のベースフォントを選択する。また、ベースフォント選択部212は、判定の結果、格納されていなければ、中間ファイルに含まれる手書き文字画像と複数のベースフォントとをそれぞれ比較して歪量の平均又は総和を算出し、算出された歪量の平均又は総和が最小のベースフォントを選択する。
【0028】
歪抽出部214は、中間ファイルに含まれる手書き文字画像と、この手書き文字画像に対応しベースフォント選択部212によって選択されたベースフォントから生成されたベース文字画像との比較に基づいて歪データを抽出する。
【0029】
歪展開部216は、歪抽出部214によって抽出された歪データをベースフォント選択部212によって選択されたベースフォントの複数の文字に展開してフォントデータを生成する。
【0030】
無線部220は、送信側の端末装置100から基地局300を介して送信された中間ファイルを受信する。
【0031】
メモリ230は、歪展開部216によって生成されたカスタムフォント及び無線部220によって受信された中間ファイルなどの各種データを格納する記憶媒体である。また、メモリ230には、MS明朝やMSゴシックなどの複数のベースフォントがあらかじめ格納されている。また、メモリ230には、CPU210に読み出されて実行されることにより、受信側の端末装置200の機能及び動作を実現するフォント制御プログラムが格納される。
【0032】
入力部240は、手書きされた文字の入力を受け付ける入力インターフェースである。例えば、入力部240は、手書きされた文字を撮像可能な撮像手段であるカメラとすることができる。また、表示器250がタッチスクリーン式の表示デバイスである場合、表示器250のタッチスクリーンを介して手書き文字の入力を受け付けることができる。この場合、表示器250が入力部240を兼ねることとなる。
【0033】
表示器250は、受信側の端末装置200で用いられる各種の文字や画像などを表示する出力インターフェースであり、例えば液晶パネルなどの表示デバイス又はタッチスクリーン式の表示デバイスとすることができる。
【0034】
次に、歪抽出の概念について説明する。図2は、歪抽出の概念を示す図である。図2を用いて歪抽出部112及び歪抽出部214の処理について説明する。ここでは、代表して、歪抽出部112の処理について説明する。また、一例として、入力部140を介してユーザの手書き文字として「権力」という文字が入力された場合の処理を説明する。
【0035】
まず、歪抽出部112は、入力部140を介して入力された文字に基づいて生成された手書き文字画像(「権」の文字に対応する手書き文字画像420及び「力」の文字に対応する手書き文字画像440)に対応するベース文字画像(文字グリフ画像)を抽出する。例えば、歪抽出部112は、メモリ130にあらかじめ格納された複数種類のベースフォントの中から選択された1つのベースフォントにおいて、「権」の文字に対応するベース文字画像410、及び「力」の文字に対応するベース文字画像430を抽出する。
【0036】
続いて、歪抽出部112は、手書き文字画像420とベース文字画像410を比較して、複数の対応点を求める。対応点は、例えば文字の輪郭の変位が一定以上になった点や、文字のストロークの端点等である。例えば図2の例では、ベース文字画像410の対応点410aと手書き文字画像420の対応点420aとが対の対応点となり、ベース文字画像410の対応点410bと手書き文字画像420対応点420bとが対の対応点となる。ここでは、対応点410aと対応点420a及び対応点410bと対応点420bを例に挙げたが、対応点はこれに限らず、図2に示すように多数抽出される。
【0037】
続いて、歪抽出部112は、対になる対応点の変位を求める。例えば、歪抽出部112は、ベース文字画像410の各対応点を基準とした場合の手書き文字画像420の各対応点の変位ベクトルを求める。例えば、歪抽出部112は、対応点410aを基準に考えた場合に、対応点420aは対応点410aに対してどの方向に、どの程度変位しているか求める。同様に、歪抽出部112は、対応点410bを基準に考えた場合に、対応点420bは対応点410bに対してどの方向に、どの程度変位しているか求める。また、歪抽出部112は、「権」の文字におけるその他の対応点についても同様に、ベース文字画像410の各対応点を基準とした場合の手書き文字画像420の各対応点の変位ベクトルを求める。このようにして、「権」の文字に対して複数の変位ベクトルが求められ、各変位ベクトルは例えばベース文字画像410の対応する位置にマッピングされる。
【0038】
一方、歪抽出部112は、同様に、手書き文字画像440とベース文字画像430を比較して、複数の対応点を求める。例えば図2の例では、対応点430aと対応点440aとが対の対応点となり、対応点430bと対応点440bとが対の対応点となる。ここでは、対応点430aと対応点440a及び対応点430bと対応点440bを例に挙げたが、対応点はこれに限らず、図2に示すように多数抽出される。
【0039】
続いて、歪抽出部112は、対になる対応点の変位を求める。例えば、歪抽出部112は、ベース文字画像430の各対応点を基準とした場合の手書き文字画像440の各対応点の変位ベクトルを求める。例えば、歪抽出部112は、対応点430aを基準に考えた場合に、対応点440aは対応点430aに対してどの方向に、どの程度変位しているか求める。同様に、歪抽出部112は、対応点430bを基準に考えた場合に、対応点440bは対応点430bに対してどの方向に、どの程度変位しているか求める。また、歪抽出部112は、「力」の文字におけるその他の対応点についても同様に、ベース文字画像430の各対応点を基準とした場合の手書き文字画像440の各対応点の変位ベクトルを求める。このようにして、「力」の文字に対して複数の変位ベクトルが求められ、各変位ベクトルは例えばベース文字画像430の対応する位置にマッピングされる。
【0040】
次に、歪抽出部112は、「権」の文字のベース文字画像410にマッピングされた各変位ベクトルと、「力」の文字のベース文字画像430にマッピングされた各変位ベクトルとを、対応する位置において平均化する。これにより、手書きで「権力」の文字を記載したユーザの固有の書き癖が反映された歪データ450が生成される。歪データ450は、文字を記載する領域である文字領域が複数の小領域(画素)に分割された各小領域(画素)について、変位ベクトル(変位の方向と変位量)が設定されたデータである。なお、ここでは説明を簡略化するために、「権」の文字と「力」の文字の2文字を手書きした場合を例に挙げたが、実際には、歪抽出部112は、さらに複数の手書き文字画像とベース文字画像とを比較して歪データ450を生成する。
【0041】
次に、携帯端末装置の処理フローについて説明する。図3は、端末装置の処理フローの一例を示す図である。図3は、中間ファイルの送信側となる端末装置100が、手書きの文字を入力してカスタムフォントを作成する処理のフローを示すものである。また、図3は、端末装置100の表示器150がタッチスクリーン型の表示デバイスであり、ユーザがタッチスクリーンに手書き文字を書き込む場合を想定した処理フローである。
【0042】
図3に示すように、まず、端末装置100は、ベースフォントをメモリ130に記憶する(ステップS101)。これは、端末装置100のメモリ130に、例えばMS明朝やMSゴシックなどの基本書体を記憶する処理であり、端末装置100にあらかじめベースフォントが格納されている場合は、この処理は行わなくてもよい。
【0043】
続いて、表示器150は、タッチスクリーンで手書きされた文字の入力を受け付ける(ステップS102)。表示器150は、受け付けた手書き文字をCPU110へ出力する。続いて、歪抽出部112は、ベースフォントを選択する(ステップS103)。例えば歪抽出部112は、メモリ130に格納されている複数のベースフォントのうちあらかじめ設定されたベースフォントを選択することができる。また、ユーザの好みのベースフォントの選択を表示器150のタッチスクリーン(又は入力部140)で受け付けた場合、歪抽出部112は、ユーザによって選択されたベースフォントを選択することができる。
【0044】
続いて、歪抽出部112は、入力された手書き文字に基づいて生成された手書き文字画像に対応するベース文字画像を、選択したベースフォントから抽出し、手書き文字画像とベース文字画像の対応点を取得する(ステップS104)。続いて、歪抽出部112は、取得した対応点の平均変位を算出することによって、手書き文字を書き込んだユーザの文字の書き方の特徴を示す歪データを算出する(ステップS105)。なお、歪抽出部112の処理については、図2を用いて説明したので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0045】
続いて、歪展開部114は、歪抽出部112によって算出された歪データをベースフォントの複数の文字(例えば全文字)に展開することにより、フォントデータ(カスタムフォント)を生成する(ステップS106)。ここで、歪データは、文字を記載する領域である文字領域を複数の小領域(画素)に分割した各小領域(画素)に変位ベクトル(変位の方向と変位量)が格納されたデータである。例えば、歪展開部114は、ベースフォントの各文字グリフ画像に対して、対応する小領域(画素)の変位ベクトルに応じて文字を変位させることによりカスタムフォント文字グリフ画像を生成し、カスタムフォント文字グリフ画像からカスタムフォントを生成する。例えば、歪展開部114は、カスタムフォント文字グリフ画像のアウトライン(線)を抽出し、この抽出線をベクトル化し、このベクトルデータをまとめることでカスタムフォントの生成を行う。例えば、歪展開部114は、ベースフォントとしてMS明朝が選択されていたとしたら、歪データをMS明朝の複数の文字に展開することにより、MS明朝の書体をベースとして、手書き文字を書き込んだユーザの書き癖が反映されたカスタムフォントを生成する。
【0046】
続いて、中間ファイル生成部116は、中間ファイルを生成する(ステップS107)。ここでは、中間ファイル生成部116は、歪抽出部112によって抽出された歪データと、選択されたベースフォントの識別子(例えばMS明朝がベースフォントとして選択されたら、MS明朝であることを示す識別子)とを含む中間ファイルを生成する。
【0047】
続いて、歪展開部114は、生成したカスタムフォントをメモリ130に格納し、中間ファイル生成部116は、生成した中間ファイルをメモリ130に格納する(ステップS108)。なお、ここでは、中間ファイルを生成した後、カスタムフォントをメモリ130に格納する例を挙げたが、これに限らず、中間ファイルを生成する前にカスタムフォントをメモリ130に格納してもよい。
【0048】
このように、端末装置100は、生成したカスタムフォントと中間ファイルとをメモリ130に格納する。端末装置100は、自端末装置の表示器150にカスタムフォントに基づく文字画像を表示させる場合には、表示させる文字に対応するカスタムフォントをメモリ130から読み出して、読み出したカスタムフォントに基づいて文字画像を表示器150に表示させる。また、ここでは、生成したカスタムフォントと生成した中間ファイルをメモリ130に格納する処理までを示したが、これには限られない。端末装置100は、カスタムフォントに基づく文字画像を表示させる他の端末装置に対して、メモリ130に格納された中間ファイルを送信することもできる。この場合、中間ファイルを受信した端末装置は、中間ファイルに含まれるベースフォントに識別子に対応するベースフォントに、中間ファイルに含まれる歪データを適用することによって、カスタムフォントを生成することができる。
【0049】
次に、携帯端末装置の他の処理フローについて説明する。図4は、端末装置の処理フローの一例を示す図である。図4は、左側に中間ファイルの送信側となる端末装置100の処理フローを示し、右側に中間ファイルの受信側となる端末装置200の処理フローを示すものである。また、図4は、端末装置100がメールを作成して、作成したメールをカスタムフォントに基づく文字画像で他の端末装置(例えば端末装置200)の表示器に表示させる場合の一例を示すものである。なお、以下の例では、端末装置100がメールを作成して、作成したメールを送信する場合を例に示すが、これには限られない。作成したメールの他、様々な文字データを他の端末装置に送信する場合にも適用することができる。また、端末装置100は、何らかの文字データを他の端末装置に送信する場合に限らず、カスタムフォントに基づく文字画像を表示させる他の端末装置に対して、中間ファイルを単体で送信することもできる。
【0050】
まず、端末装置100は入力部140を介して入力されるユーザの操作に応じてメールを作成する(ステップS110)。続いて、端末装置100は、作成したメールをカスタムフォントに基づく文字画像で表示器150に表示する(ステップS111)。例えば、端末装置100は、作成したメールの文字に対応するカスタムフォントをメモリ130から抽出し、抽出したカスタムフォントに基づく文字画像を表示器150に表示する。これにより、ユーザは、作成したメールがカスタムフォントに基づいてどのように表示されるのかを確認することができる。
【0051】
続いて、判定部118は、作成したメールをカスタムフォントで送信するか否かを判定する。(ステップS112)。例えば、判定部118は、表示器150に、メールをカスタムフォントで送信するか、通常モードで送信するかを選択させる画面を表示して、ユーザの操作に応じて、メールをカスタムフォントで送信するか否かを判定する。
【0052】
無線部120は、メールをカスタムフォントで送信しないと判定された場合には(ステップS112,No)、通常モードでメールを送信する(ステップS113)。例えば、無線部120は、メールの文字を、あらかじめ設定されたベースフォントで送信する。なお、通常モードでメールを送信した場合の受信側の端末装置200の処理については、省略する。
【0053】
一方、無線部120は、メールをカスタムフォントで送信すると判定された場合には(ステップS112,Yes)、メモリ130に格納された中間ファイルと作成されたメールの本文を送信する(ステップS114)。この場合、端末装置100から送信される中間ファイルには、ベースフォントの識別子と歪データとが含まれる。
【0054】
これに対して、端末装置200は、ベースフォントをメモリ230に記憶する(ステップS201)。これは、端末装置200のメモリ230に、例えばMS明朝やMSゴシックなどの基本書体を記憶する処理であり、端末装置200にあらかじめベースフォントが格納されている場合は、この処理は行わなくてもよい。
【0055】
続いて、無線部220は、端末装置100から送信された中間ファイルを受信する(ステップS202)。続いて、ベースフォント選択部212は、無線部220によって受信された中間ファイルに含まれるベースフォントの識別子を呼び出し(ステップS203)、対応するベースフォントをメモリ230から選択する(ステップS204)。これにより、端末装置100で選択されたベースフォントと同じベースフォントが選択される。なお、ベースフォント選択部212は、自端末装置のメモリ230からベースフォントを選択するのではなく、通信ネットワークを介して接続されたデータサーバからベースフォントをダウンロードすることもできる。
【0056】
続いて、歪展開部216は、ベースフォント選択部212によって選択されたベースフォントの複数の文字(例えば全文字)に対して、中間ファイルに含まれる歪データを適用(展開)し(ステップS205)、カスタムフォントを生成する(ステップS206)。続いて、表示器250は、端末装置100から送信されたメールの本文をカスタムフォントに基づく文字画像で表示する(ステップS207)。これにより、端末装置100と端末装置200との間で、カスタムフォントを連携して利用することができる。
【0057】
次に、携帯端末装置の他の処理フローについて説明する。図5は、端末装置の処理フローの他の例を示す図である。図5は、中間ファイルの送信側となる端末装置100が、手書きの文字を入力してカスタムフォントを作成する処理のフローを示すものである。また、図5は、端末装置100の表示器150がタッチスクリーン型の表示デバイスであり、ユーザがタッチスクリーンに手書き文字を書き込む場合を想定した処理フローである。また、図5の処理フローは、図3の処理フローと比較して、生成する中間ファイルの内容が異なる以外、基本的な処理フローは同様であるので、簡略的に説明を行う。
【0058】
図5に示すように、まず、端末装置100は、ベースフォントをメモリ130に記憶する(ステップS301)。これは、端末装置100のメモリ130に、例えばMS明朝やMSゴシックなどの基本書体を記憶する処理であり、端末装置100にあらかじめベースフォントが格納されている場合は、この処理は行わなくてもよい。
【0059】
続いて、表示器150は、タッチスクリーンで手書きされた文字の入力を受け付ける(ステップS302)。表示器150は、受け付けた手書き文字をCPU110へ出力する。続いて、歪抽出部112は、ベースフォントを選択する(ステップS303)。
【0060】
続いて、歪抽出部112は、入力された手書き文字に基づいて生成された手書き文字画像に対応するベース文字画像を、選択したベースフォントから抽出し、手書き文字画像とベース文字画像の対応点を取得する(ステップS304)。続いて、歪抽出部112は、取得した対応点の平均変位を算出することによって、手書き文字を書き込んだユーザの文字の書き方の特徴を示す歪データを算出する(ステップS305)。なお、歪抽出部112の処理については、図2を用いて説明したので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0061】
続いて、歪展開部114は、歪抽出部112によって算出された歪データをベースフォントの複数の文字(例えば全文字)に展開することにより、フォントデータ(カスタムフォント)を生成する(ステップS306)。
【0062】
続いて、中間ファイル生成部116は、中間ファイルを生成する(ステップS307)。ここでは、中間ファイル生成部116は、歪抽出部112によって抽出された歪データと、選択されたベースフォントの識別子と、タッチスクリーンを介して入力された手書き文字に基づいて生成された手書き文字画像とを含む中間ファイルを生成する。
【0063】
続いて、歪展開部114は、生成したカスタムフォントをメモリ130に格納し、中間ファイル生成部116は、生成した中間ファイルをメモリ130に格納する(ステップS308)。
【0064】
このように、端末装置100は、生成したカスタムフォントと中間ファイルとをメモリ130に格納する。端末装置100は、自端末装置の表示器150にカスタムフォントに基づく文字画像を表示させる場合には、表示させる文字に対応するカスタムフォントをメモリ130から読み出して、読み出したカスタムフォントに基づく文字画像を表示器150に表示させる。また、ここでは、生成したカスタムフォントと生成した中間ファイルをメモリ130に格納する処理までを示したが、これには限られない。端末装置100は、カスタムフォントに基づく文字画像を表示させる他の端末装置に対して、メモリ130に格納された中間ファイルを送信することもできる。この場合、中間ファイルを受信した端末装置は、中間ファイルに含まれるベースフォントに識別子に対応するベースフォントに、中間ファイルに含まれる歪データを適用することによって、カスタムフォントを生成することができる。
【0065】
次に、携帯端末装置の他の処理フローについて説明する。図6は、端末装置の処理フローの他の例を示す図である。図6は、左側に中間ファイルの送信側となる端末装置100の処理フローを示し、右側に中間ファイルの受信側となる端末装置200の処理フローを示すものである。また、図6は、端末装置100がメールを作成して、作成したメールをカスタムフォントに基づく文字画像で他の端末装置(例えば端末装置200)の表示器に表示させる場合の一例を示すものである。また、図6は、図5の処理によって生成された中間ファイルを送信する場合の例を示すものである。なお、以下の例では、端末装置100がメールを作成して、作成したメールを送信する場合を例に示すが、これには限られない。作成したメールの他、様々な文字データを他の端末装置に送信する場合にも適用することができる。また、端末装置100は、何らかの文字データを他の端末装置に送信する場合に限らず、カスタムフォントに基づく文字画像を表示させる他の端末装置に対して、中間ファイルを単体で送信することもできる。
【0066】
まず、端末装置100は入力部140を介して入力されるユーザの操作に応じてメールを作成する(ステップS310)。続いて、端末装置100は、作成したメールをカスタムフォントに基づく文字画像で表示器150に表示する(ステップS311)。例えば、端末装置100は、作成したメールの文字に対応するカスタムフォントをメモリ130から抽出し、抽出したカスタムフォントに基づく文字画像を表示器150に表示する。これにより、ユーザは、作成したメールがカスタムフォントに基づいてどのように表示されるのかを確認することができる。
【0067】
続いて、判定部118は、作成したメールをカスタムフォントで送信するか否かを判定する。(ステップS312)。例えば、判定部118は、表示器150に、メールをカスタムフォントで送信するか、通常モードで送信するかを選択させる画面を表示して、ユーザの操作に応じて、メールをカスタムフォントで送信するか否かを判定する。
【0068】
無線部120は、メールをカスタムフォントで送信しないと判定された場合には(ステップS312,No)、通常モードでメールを送信する(ステップS313)。例えば、無線部120は、メールの文字を、あらかじめ設定されたベースフォントで送信する。
【0069】
一方、無線部120は、メールをカスタムフォントで送信すると判定された場合には(ステップS312,Yes)、メモリ130に格納された中間ファイルと作成されたメールの本文を送信する(ステップS314)。この場合、端末装置100から送信される中間ファイルには、ベースフォントの識別子と、歪データと、入力された手書き文字に基づいて生成された手書き文字画像(入力画像)が含まれる。
【0070】
これに対して端末装置200は、ベースフォントをメモリ230に記憶する(ステップS401)。これは、端末装置200のメモリ230に、例えばMS明朝やMSゴシックなどの基本書体を記憶する処理であり、端末装置200にあらかじめベースフォントが格納されている場合は、この処理は行わなくてもよい。
【0071】
続いて、無線部220は、端末装置100から送信された中間ファイルを受信する(ステップS402)。続いて、ベースフォント選択部212は、無線部220によって受信された中間ファイルに含まれるベースフォントの識別子を呼び出し(ステップS403)、対応するベースフォントがメモリ230に格納されているか否かを判定する(ステップS404)。
【0072】
続いて、ベースフォント選択部212は、対応するベースフォントがメモリ230に格納されていると判定した場合(ステップS404、Yes)、IDが合致するベースフォントを選択する(ステップS405)。
【0073】
続いて、歪展開部216は、ベースフォント選択部212によって選択されたベースフォントの複数の文字(例えば全文字)に対して、中間ファイルに含まれる歪データを適用(展開)し(ステップS406)、カスタムフォントを生成する(ステップS407)。
【0074】
続いて、表示器250は、端末装置100から送信されたメールの本文を、ステップS407で生成したカスタムフォントに基づく文字画像で表示する(ステップS408)。これにより、端末装置100と端末装置200との間で、カスタムフォントを連携して利用することができる。
【0075】
一方、ベースフォント選択部212は、対応するベースフォントがメモリ230に格納されていないと判定した場合(ステップS404、No)、メモリ230に記憶された他のベースフォントを選択する(ステップS409)。例えば、ベースフォント選択部212は、メモリ230に格納された複数のベースフォントのうちあらかじめ設定されたベースフォントを選択することもできる。また、ユーザの好みのベースフォントの選択を表示器250のタッチスクリーン(又は入力部240)で受け付けた場合、ベースフォント選択部212は、ユーザによって選択されたベースフォントを選択することができる。
【0076】
続いて、歪抽出部214は、中間ファイルに含まれる手書き文字画像と、この手書き文字画像に対応しベースフォント選択部212によって選択されたベースフォントから生成されたベース文字画像との比較に基づいて歪データを抽出する(ステップS410)。歪データの抽出については、端末装置100で説明した方法と同様であるので、説明を省略する。
【0077】
続いて、歪展開部216は、ステップS409でベースフォント選択部212によって選択されたベースフォントの複数の文字に対して、歪抽出部214によって抽出された歪データを適用(展開)し(ステップS411)、カスタムフォントを生成する(ステップS412)。続いて、表示器250は、端末装置100から送信されたメールの本文を、ステップS412で生成したカスタムフォントに基づく文字画像で表示する(ステップS413)。これにより、端末装置100と端末装置200との間で、カスタムフォントを連携して利用することができる。
【0078】
次に、携帯端末装置の他の処理フローについて説明する。図7は、端末装置の処理フローの他の例を示す図である。図7は、左側に中間ファイルの送信側となる端末装置100の処理フローを示し、右側に中間ファイルの受信側となる端末装置200の処理フローを示すものである。また、図7は、端末装置100がメールを作成して、作成したメールをカスタムフォントに基づく文字画像で他の端末装置(例えば端末装置200)の表示器に表示させる場合の一例を示すものである。また、図7は、図5の処理によって生成された中間ファイルを送信する場合の例を示すものである。なお、以下の例では、端末装置100がメールを作成して、作成したメールを送信する場合を例に示すが、これには限られない。作成したメールの他、様々な文字データを他の端末装置に送信する場合にも適用することができる。また、端末装置100は、何らかの文字データを他の端末装置に送信する場合に限らず、カスタムフォントに基づく文字画像を表示させる他の端末装置に対して、中間ファイルを単体で送信することもできる。
【0079】
まず、端末装置100は入力部140を介して入力されるユーザの操作に応じてメールを作成する(ステップS501)。続いて、端末装置100は、作成したメールをカスタムフォントに基づく文字画像で表示器150に表示する(ステップS502)。例えば、端末装置100は、作成したメールの文字に対応するカスタムフォントをメモリ130から抽出し、抽出したカスタムフォントに基づく文字画像を表示器150に表示する。これにより、ユーザは、作成したメールがカスタムフォントに基づいてどのように表示されるのかを確認することができる。
【0080】
続いて、判定部118は、作成したメールをカスタムフォントで送信するか否かを判定する。(ステップS503)。例えば、判定部118は、表示器150に、メールをカスタムフォントで送信するか、通常モードで送信するかを選択させる画面を表示して、ユーザの操作に応じて、メールをカスタムフォントで送信するか否かを判定する。
【0081】
無線部120は、メールをカスタムフォントで送信しないと判定された場合には(ステップS503,No)、通常モードでメールを送信する(ステップS504)。例えば、無線部120は、メールの文字を、あらかじめ設定されたベースフォントで送信する。
【0082】
一方、無線部120は、メールをカスタムフォントで送信すると判定された場合には(ステップS503,Yes)、メモリ130に格納された中間ファイルと作成されたメールの本文を送信する(ステップS505)。この場合、端末装置100から送信される中間ファイルには、ベースフォントの識別子と、歪データと、入力された手書き文字に基づいて生成された手書き文字画像(入力画像)が含まれる。
【0083】
これに対して端末装置200は、ベースフォントをメモリ230に記憶する(ステップS601)。これは、端末装置200のメモリ230に、例えばMS明朝やMSゴシックなどの基本書体を記憶する処理であり、端末装置200にあらかじめベースフォントが格納されている場合は、この処理は行わなくてもよい。
【0084】
続いて、無線部220は、端末装置100から送信された中間ファイルを受信する(ステップS602)。続いて、ベースフォント選択部212は、無線部220によって受信された中間ファイルに含まれるベースフォントの識別子を呼び出し(ステップS603)、対応するベースフォントがメモリ230に格納されているか否かを判定する(ステップS604)。
【0085】
続いて、ベースフォント選択部212は、対応するベースフォントがメモリ230に格納されていると判定した場合(ステップS604、Yes)、IDが合致するベースフォントを選択する(ステップS605)。
【0086】
続いて、歪展開部216は、ベースフォント選択部212によって選択されたベースフォントの複数の文字(例えば全文字)に対して、中間ファイルに含まれる歪データを適用(展開)し(ステップS606)、カスタムフォントを生成する(ステップS607)。
【0087】
続いて、表示器250は、端末装置100から送信されたメールの本文を、ステップS607で生成したカスタムフォントに基づく文字画像で表示する(ステップS608)。これにより、端末装置100と端末装置200との間で、カスタムフォントを連携して利用することができる。
【0088】
一方、ベースフォント選択部212は、対応するベースフォントがメモリ230に格納されていないと判定した場合(ステップS604、No)、メモリ230に記憶された複数のベースフォントと中間ファイルに含まれる手書き文字画像(入力画像)とをそれぞれ比較する(ステップS609)。例えば、ベースフォント選択部212は、メモリ230に記憶された複数のベースフォントのそれぞれについて、中間ファイルに含まれる手書き文字画像と、これに対応するベース文字画像とを比較して歪量の平均値又は歪量の総和を求める。そして、ベースフォント選択部212は、各ベースフォントの歪量の平均値又は歪量の総和が最も小さいベースフォントを選択する(ステップS610)。これにより、端末装置100で使用されたベースフォントと同一のベースフォントが端末装置200に格納されていない場合でも、端末装置100で使用されたベースフォントに類似したベースフォントを選択することができる。
【0089】
続いて、歪抽出部214は、中間ファイルに含まれる手書き文字画像と、この手書き文字画像に対応しベースフォント選択部212によって選択されたベースフォントから生成されたベース文字画像との比較に基づいて歪データを抽出する(ステップS611)。歪データの抽出については、端末装置100で説明した方法と同様であるので、説明を省略する。
【0090】
続いて、歪展開部216は、ステップS610でベースフォント選択部212によって選択されたベースフォントの複数の文字に対して、歪抽出部214によって抽出された歪データを適用(展開)し(ステップS612)、カスタムフォントを生成する(ステップS613)。続いて、表示器250は、端末装置100から送信されたメールの本文を、ステップS613で生成したカスタムフォントに基づく文字画像で表示する(ステップS614)。これにより、端末装置100と端末装置200との間で、カスタムフォントを連携して利用することができる。
【0091】
次に、携帯端末装置の他の処理フローについて説明する。図8は、端末装置の処理フローの他の例を示す図である。図8は、中間ファイルの送信側となる端末装置100の処理フローを示すものである。中間ファイルの受信側となる端末装置200の処理については、図4,6,7で説明した端末装置200の処理のいずれかを適用することができるので、ここでは、端末装置200の処理の説明を省略する。また、図8は、端末装置100の入力部140がカメラを含み、ユーザが紙面等に手書きした文字をカメラで撮像する場合を想定した処理フローである。
【0092】
図8に示すように、まず、端末装置100は、ベースフォントをメモリ130に記憶する(ステップS701)。これは、端末装置100のメモリ130に、例えばMS明朝やMSゴシックなどの基本書体を記憶する処理であり、端末装置100にあらかじめベースフォントが格納されている場合は、この処理は行わなくてもよい。
【0093】
続いて、入力部140は、カメラを用いて手書きの文字を撮像する(ステップS702)。続いて、入力部140は、撮像した手書き文字が複数文字の場合は、1字ずつの手書き文字画像を切り出す(ステップS703)。入力部140は、切り出した手書き文字画像をCPU110へ出力する。
【0094】
ここで、ステップS701〜ステップS703について、図9を用いて説明を補足する。図9は、カメラを用いた文字画像の入力と切り出しの一例を示す図である。図9に示すように、紙面500には、ユーザによって複数の手書き文字(「あ」、「い」、「安」、「伊」)が升目に仕切られて記載されている。端末装置100は、入力部140に含まれるカメラによって、これらの複数の手書き文字を撮像する。すると、カメラによって撮像された撮像画像510には、紙面500に記載されているとおりに、升目に仕切られた「あ」、「い」、「安」、「伊」の文字が含まれる。入力部140は、撮像画像510に含まれる升目を認識することによって、各升目に含まれる1字ずつの手書き文字画像520を切り出す。このように、カメラで手書き文字を撮像することによって、同時に複数の手書き文字の入力が可能になるので、手書き文字の入力操作の使い勝手が向上する。
【0095】
図8の説明に戻って、歪抽出部112は、ベースフォントを選択する(ステップS704)。続いて、歪抽出部112は、手書き文字画像に対応するベース文字画像を、選択したベースフォントから抽出し、手書き文字画像とベース文字画像の対応点を取得する(ステップS705)。続いて、歪抽出部112は、取得した対応点の平均変位を算出することによって、手書き文字を書き込んだユーザの文字の書き方の特徴を示す歪データを算出する(ステップS706)。なお、歪抽出部112の処理については、図2を用いて説明したので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0096】
続いて、歪展開部114は、歪抽出部112によって算出された歪データをベースフォントの複数の文字(例えば全文字)に展開することにより、フォントデータ(カスタムフォント)を生成する(ステップS707)。
【0097】
続いて、中間ファイル生成部116は、中間ファイルを生成する(ステップS708)。ここでは、中間ファイル生成部116は、歪抽出部112によって抽出された歪データと、選択されたベースフォントの識別子とを含む中間ファイルを生成することができる。また、中間ファイル生成部116は、歪抽出部112によって抽出された歪データと、選択されたベースフォントの識別子と、手書き文字に基づいて生成された手書き文字画像とを含む中間ファイルを生成することもできる。
【0098】
続いて、歪展開部114は、生成したカスタムフォントをメモリ130に格納し、中間ファイル生成部116は、生成した中間ファイルをメモリ130に格納する(ステップS709)。
【0099】
このように、端末装置100は、生成したカスタムフォントと中間ファイルとをメモリ130に格納する。端末装置100は、自端末装置の表示器150にカスタムフォントに基づく文字画像を表示させる場合には、表示させる文字に対応するカスタムフォントをメモリ130から読み出して、読み出したカスタムフォントに基づく文字画像を表示器150に表示させる。また、ここでは、生成したカスタムフォントと生成した中間ファイルをメモリ130に格納する処理までを示したが、これには限られない。端末装置100は、カスタムフォントに基づく文字画像を表示させる他の端末装置に対して、メモリ130に格納された中間ファイルを送信することもできる。この場合、中間ファイルを受信した端末装置は、中間ファイルに含まれるベースフォントに識別子に対応するベースフォントに、中間ファイルに含まれる歪データを適用することによって、カスタムフォントを生成することができる。
【0100】
以上、本実施形態によれば、通信トラフィックを抑制しつつカスタムフォントを他の端末装置で利用することができる。すなわち、本実施形態の端末装置100は、カスタムフォント自体を送信するのではなく、少なくとも歪データとベースフォントの識別子とを含む中間ファイルを生成して他の端末装置200へ送信する。例えば、全文字分のカスタムフォントのデータを送信する場合、データ容量は、手書き文字の場合10MByte以上になるのが一般的である。これに対して、中間ファイルを送信する場合、例えば歪データが約80Kbyte程度、ベースフォントの識別子は数Kbyte程度であるので、中間ファイルのデータ容量は100Kbyte未満となる。また、中間ファイルを、歪データとベースフォントの識別子と手書き文字画像とを含むようにした場合、手書き文字画像の数に応じて変動するが、中間ファイルのデータ容量は、例えば100Kbyte〜500Kbyte程度になる。したがって、本実施形態によれば、全文字分のカスタムフォントのデータを送信する場合に比べて送信するデータ容量が削減されるので、通信トラフィックを抑制することができる。これに加えて、中間ファイルの受信側となる端末装置200は、受信した中間ファイルに含まれるベースフォントの識別子を用いてベースフォントを選択し、中間ファイルに含まれる歪データを選択したベースフォントに展開することで、送信側の端末装置と同様にカスタムフォントを利用することができる。よって、通信トラフィックを抑制しつつカスタムフォントを他の端末装置で利用することができる。
【0101】
また、端末装置で生成したカスタムフォントを端末装置からそのまま送信する場合、生成されたカスタムフォントの著作権を別途管理することを求められるおそれがある。これに対して本実施形態によれば、カスタムフォント自体は端末装置から送信しないため、カスタムフォントの著作権に対してセキュアな環境を提供することができる。
【0102】
また、例えば、送信したい文字のカスタムフォントに基づく画像を選択して送信することにより通信データ容量を削減することも考えられる。しかしながらこの場合、受信側の端末装置200において、画像ビューワ等を使用してカスタムフォントに基づく文字画像を閲覧することになるので、受信側の端末装置200での利用に制限が生じるおそれがある。これに対して本実施形態によれば、カスタムフォントに基づく文字画像自体を送信するのではなく、少なくとも歪データとベースフォントの識別子とを含む中間ファイルを送信する。受信側の端末装置200は、受信した中間ファイルに含まれるベースフォントの識別子を用いてベースフォントを選択し、中間ファイルに含まれる歪データを選択したベースフォントに展開する。これにより、受信側の端末装置200は、画像ビューワ等を使用することなく、送信側の端末装置と同様にカスタムフォントを利用することができる。
【符号の説明】
【0103】
100 端末装置
112 歪抽出部
114 歪展開部
116 中間ファイル生成部
118 判定部
120 無線部
130 メモリ
140 入力部
150 表示器
200 端末装置
212 ベースフォント選択部
214 歪抽出部
216 歪展開部
220 無線部
230 メモリ
240 入力部
250 表示器
410 ベース文字画像
420 文字画像
430 ベース文字画像
440 文字画像
450 歪データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手書きされた文字の入力を受け付ける入力部と、
前記入力部を介して入力された文字に基づいて生成された手書き文字画像に対応するベース文字画像をあらかじめ設けられたベースフォントから抽出し、該抽出されたベース文字画像と前記手書き文字画像との比較に基づいて歪データを抽出する抽出部と、
前記抽出部によって抽出された歪データを前記ベースフォントの複数の文字に展開してフォントデータを生成する展開部と、
前記抽出部によって抽出された歪データと前記ベースフォントの識別子とを含む中間ファイルを生成する生成部と、
前記生成部によって生成された中間ファイルと前記展開部によって生成されたフォントデータとを格納する記憶部と、
前記記憶部に格納された中間ファイルを送信する通信部と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記記憶部に格納されたフォントデータに基づく文字画像を他の端末装置に表示させるか否かを判定する判定部をさらに備え、
前記通信部は、前記判定部によって前記記憶部に格納されたフォントデータに基づく文字画像を他の端末装置に表示させると判定された場合に、前記記憶部に格納された中間ファイルを前記他の端末装置へ送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記歪データと前記ベースフォントの識別子とに加え、前記入力部を介して入力された文字に基づいて生成された手書き文字画像を含めて前記中間ファイルを生成する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記入力部は、タッチスクリーン式の入力装置、又は手書きされた文字を撮像可能な撮像手段を含む
ことを特徴とする請求項1−3のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項5】
手書き文字画像と該手書き文字画像に対応し第1のベースフォントから生成された第1のベース文字画像との比較に基づいて抽出された第1の歪データ、前記第1のベースフォントの識別子、及び前記手書き文字画像を含む中間ファイルを受信する通信部と、
前記中間ファイルに含まれる第1のベースフォントの識別子に対応するベースフォントが自端末装置の記憶部に格納されているか否かを判定し、格納されていなければ前記第1のベースフォントとは異なる第2のベースフォントを選択する選択部と、
前記中間ファイルに含まれる手書き文字画像と該手書き文字画像に対応し前記選択部によって選択された第2のベースフォントから生成された第2のベース文字画像との比較に基づいて第2の歪データを抽出する抽出部と、
前記抽出部によって抽出された第2の歪データを前記第2のベースフォントの複数の文字に展開してフォントデータを生成する展開部と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項6】
前記選択部は、前記中間ファイルに含まれる第1のベースフォントの識別子に対応するベースフォントが自端末装置の記憶部に格納されていなければ、前記中間ファイルに含まれる手書き文字画像と複数のベースフォントとをそれぞれ比較して歪量の平均又は総和を算出し、該算出された歪量の平均又は総和が最小のベースフォントを選択する
ことを特徴とする請求項5に記載の端末装置。
【請求項7】
端末装置が、
手書きされた文字の入力を受け付け、
前記入力された文字に基づいて生成された手書き文字画像に対応するベース文字画像をあらかじめ設けられたベースフォントから抽出し、
該抽出されたベース文字画像と前記手書き文字画像との比較に基づいて歪データを抽出し、
前記抽出された歪データを前記ベースフォントの複数の文字に展開してフォントデータを生成し、
前記抽出された歪データと前記ベースフォントの識別子とを含む中間ファイルを生成し、
前記生成された中間ファイルと前記生成されたフォントデータとを記憶部に格納し、
前記記憶部に格納された中間ファイルを送信する
ことを特徴とするフォント制御方法。
【請求項8】
端末装置に、
手書きされた文字の入力を受け付け、
前記入力された文字に基づいて生成された手書き文字画像に対応するベース文字画像をあらかじめ設けられたベースフォントから抽出し、
該抽出されたベース文字画像と前記手書き文字画像との比較に基づいて歪データを抽出し、
前記抽出された歪データを前記ベースフォントの複数の文字に展開してフォントデータを生成し、
前記抽出された歪データと前記ベースフォントの識別子とを含む中間ファイルを生成し、
前記生成された中間ファイルと前記生成されたフォントデータとを記憶部に格納し、
前記記憶部に格納された中間ファイルを送信する
処理を実行させることを特徴とするフォント制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−109300(P2013−109300A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256653(P2011−256653)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】