端末装置およびプログラム
【課題】端末装置の画面上で、タスクバーのような仮想画面上の常時表示したい領域を、スクロール操作をしなくても常時見ることができ、かつ操作指示することが可能なサーバベースコンピューティングシステムを提供すること。
【解決手段】ネットワークを介してサーバ装置に対してサービス要求を行ない、前記サービス要求に対応する画面情報を前記サーバ装置から取得する端末装置であって、前記画面情報を表示する画面情報表示手段と、前記画面情報の予め定められた一部を表示する部分画面情報表示手段とを備える。
【解決手段】ネットワークを介してサーバ装置に対してサービス要求を行ない、前記サービス要求に対応する画面情報を前記サーバ装置から取得する端末装置であって、前記画面情報を表示する画面情報表示手段と、前記画面情報の予め定められた一部を表示する部分画面情報表示手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置の表示画面の表示範囲よりも大きな表示範囲の仮想画面データから、当該表示画面で表示可能な範囲の表示部分を任意に指定して切り出して表示する端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業によるサーバベースコンピューティングの採用が急速に進んでいる。
サーバベースコンピューティング(シンクライアントシステム)とは、クライアント装置(シンクライアント装置とも呼ばれる)とサーバ装置とがネットワークを介して相互に接続可能に構成されたシステムにおいて、クライアント装置がサーバ装置に対してサービス要求を行なうと、サーバ装置がクライアント装置からのサービス要求に基づいて、データの管理およびアプリケーションプログラムを動作させるというものである(例えば、特許文献1および非特許文献1参照。)。
【0003】
サーバ装置はクライアント装置用の表示データを作成し、これをクライアント装置に送る。クライアント装置では、使用者のキーやマウス等の操作情報を、ネットワークを介してサーバ装置へ送り、前記サーバ装置側で作成されたクライアント用の表示データを受け取って表示する。
クライアント装置は、ネットワーク機器、表示装置、マウスやキーボード等の入力装置を備えているだけでよく、データをクライアント装置内に持たないためハードディスク等のストレージが不要であり、アプリケーションプログラムの実行を行なわないためクライアント装置に必要となる処理の負荷は軽い。
【0004】
このようなサーバベースコンピューティングにおいて、サーバ装置側の仮想的な大画面を、それよりも小さなクライアント装置側の画面に表示するために、クライアント装置に画面をスクロール表示するスクロール機能を有したり、サーバ装置側の仮想的な大画面を縮小表示したりという方法がある。
【0005】
例えば、特許文献2は、携帯電話機等のクライアント装置の画面上に表示されたサーバ装置の画面をユーザがスクロール操作で参照する際にユーザの作業量を低減することができ、クライアント装置の画面を効率的に利用することができるようにするために、クライアント装置とサーバ装置との間に接続されたゲートウェイによって、クライアント装置の画面と、サーバ装置で制御可能状態となっているウィンドウとの双方のサイズ及び座標関係から、クライアント装置の画面にウィンドウをこの画面のスクロールバーと共に表示するためのウィンドウの縮尺率及び表示部位の情報を求めている。
【0006】
そして、サーバ装置において、その求められた表示部位の情報に対応するウィンドウの表示部位を取得し、この表示部位を縮尺率に応じて拡大又は縮小を行って画面情報を作成し、ゲートウェイを介してクライアント装置へ送信している。
このような構成によれば、サーバ装置のウィンドウ画面とクライアント装置の画面とのサイズが合致しない場合でも、クライアント装置の画面に、サーバ装置のウィンドウ画面がスクロールバーと共に表示されるので、クライアント装置のユーザが所望の画面を見つけるためのスクロール操作を行なう際に、従来のような最初にウィンドウ画面のスクロールバーを見つけるためのスクロール操作が不要となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−228227号公報
【特許文献2】特開2004−348380号公報
【非特許文献1】http://www.keyman.or.jp/search/30000031_1.html(サーバーベースコンピューティング)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、サーバベースコンピューティングが実行される際には、アプリケーションプログラムを動作させるサーバ装置に対してサービス要求を行なうクライアント装置と、クライアント装置からのサービス要求に基づいてアプリケーションプログラムを動作させるサーバ装置とが、ネットワークを介して相互に接続可能に構成されている。
【0009】
このようなサーバベースコンピューティングにおいては、サーバ装置側の仮想的な大画面をより小さなクライアント装置側の画面に表示するためにスクロール機能などを使用すると、情報が表示されている場所を見たり、頻繁にアクセスする場所を使用したりするために、毎回スクロールする手間が発生する。
【0010】
例えば、ウインドウシステムのタスクバーには、スタートボタンや使用しているファイル、インジケーター、言語バーなど様々な情報が表示されていたり、そこを操作することにより簡単にアクセスすることが可能になったりと非常に便利な機能が搭載されている。
【0011】
しかしながら、画面のスクロール位置によってはタスクバーが表示されない可能性があり、タスクバーを使用するにはわざわざスクロールしなければならない。これでは本来のタスクバーの機能の有効度合いが下がってしまうという問題点があった。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、仮想画面データに含まれるタスクバーのような特定表示が含まれる場合に、その仮想画面データよりも小さな表示画面内にその特定表示を表示することができる端末装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、端末装置の表示画面の表示範囲よりも大きな表示範囲の仮想画面データから、当該表示画面で表示可能な範囲の表示部分を任意に指定して切り出して表示する端末装置であって、前記仮想画面データ内に特定表示が含まれており、当該仮想画面データ内で任意に指定されて切り出された前記表示部分に前記特定表示が含まれているか否かを判別する判別手段と、この判別手段で上記特定表示が含まれていると判別された場合には、前記仮想画面データ内で任意に指定されて切り出された前記表示部分の表示データを前記表示画面に表示し、一方、前記判別手段で前記特定表示が含まれていないと判別された場合には、前記仮想画面データから前記特定表示の表示データを抽出し、その抽出された前記特定表示の表示データを前記切り出された表示部分の表示データと共に表示する表示制御手段と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、仮想画面データに常時表示したい表示データが含まれる場合でも、この表示データを所定の表示領域に固定的に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】シンクライアントシステムの概要を説明するための図である。
【図2】サーバ装置のハードウェア構成の概略を示す図である。
【図3】クライアント装置のハードウェア構成の概略を示す図である。
【図4】シンクライアントシステムの構成を示す図である。
【図5】サーバ装置20の仮想画面を説明するための図である。
【図6】クライアント装置10の表示画面を説明するための図である。
【図7】常時表示しておきたい領域の設定を説明するための図である。
【図8】常時表示領域を表示する位置の設定を説明するための図である。
【図9】常時表示領域に使用者がアクセスした場合の動作の設定を説明するための図である。
【図10】常時表示関連の設定とそこにアクセスした際の動作を設定した設定テーブルを示す図である。
【図11】通常モードと常時表示モードの表示例を示す図である。
【図12】クライアント装置10の画面内の表示位置を示す図である。
【図13】X方向またはY方向にスクロールした例を示す図である。
【図14】常時表示モードを解除した表示例を示す図である。
【図15】操作座標の変換を説明するための図(その1)である。
【図16】操作座標の変換を説明するための図(その2)である。
【図17】縮小しない場合の表示例を示す図である。
【図18】クライアント装置10において実行される通常のクライアント処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】サブルーチン「入力イベント処理」の流れを示すフローチャートである。
【図20】サブルーチン「設定モード処理」の流れを示すフローチャートである。
【図21】サブルーチン「操作処理」の流れを示すフローチャートである。
【図22】サーバ装置20において実行される通常のサーバ処理の流れを示すフローチャートである。
【図23】データ受信・表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図24】第2の実施の形態における常時表示関連の設定とそこにアクセスした際の動作を設定した設定テーブルを示す図である。
【図25】マウスが画面表示場所以外の所にある時とマウスが画面表示場所内にある時の表示例を示す図である。
【図26】第2の実施の形態におけるデータ受信・表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図27】クライアント装置10とサーバ装置20とのデータのやり取りを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本発明の実施の形態について概略を説明する。
本発明によるシンクライアントシステムは、アプリケーションプログラムを実行するサーバ装置と、ユーザ操作による入力情報をサーバ装置に送信しサーバ装置から画面情報を取得してこれを画面に表示するクライアント装置、およびサーバ装置とクライアント装置の間でデータをやり取りするためのネットワーク(通信網)で構成される。
【0017】
そして、クライアント装置は、サーバ装置の備える画面に対応する仮想画面に対して表示画面の大きさが小さい場合に、ある領域を常に表示画面に表示させておく機能を有する。
【0018】
さらに、上記常に表示画面に表示した領域においてユーザが操作を実行した場合、本来存在する場所に座標変換を行ってからサーバ装置に送る機能を有する。また、常に表示画面に表示させておくアイテムの設定をサーバ装置から取得する機能を有する。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、シンクライアントシステムの概要を説明するための図である。
図1に示す通り、クライアント装置10とサーバ装置20は、ネットワーク(通信網)を介して互いに接続され、シンクライアントシステムを形成している。クライアント装置10が無線通信を行なう場合には、中継装置30およびネットワークを介してサーバ装置20と通信を行なう。
【0020】
図2は、サーバ装置のハードウェア構成の概略を示す図である。
図2において、サーバ装置20は、CPU(中央処理装置:Central Processing Unit)202、各種のデータや信号等を入力するための入力装置203、画像やその他の情報を表示するための表示装置204、サーバ装置20において実行する処理を実行するプログラムの他、サーバ装置20の各機能を制御し実行するための制御プログラムが収納されたROM205やRAM206、表示装置204に表示するための画像を一時的に格納するVRAM207、LAN等のネットワークに接続するための通信I/F208がバス201に接続されて構成され、CPU202がこれらの各部を制御している。
【0021】
図3は、クライアント装置のハードウェア構成の概略を示す図である。
図3において、クライアント装置10は、CPU302、各種のデータや信号等を入力するための入力装置303、画像やその他の情報を表示するための表示装置304、クライアント装置10において実行する処理を実行するプログラムの他、クライアント装置10の各機能を制御し実行するための制御プログラムが収納されたROM305やRAM306、表示装置304に表示するための画像を一時的に格納するVRAM307、無線LANや携帯電話網等のネットワークに接続するための通信I/F308がバス301に接続されて構成され、CPU302がこれらの各部を制御している。
【0022】
次に、本発明の動作例を説明する。
図4は、シンクライアントシステムの構成を示す図である。
図4に示すとおり、本シンクライアントシステムは、クライアント装置10からは、キーボードやマウスなどの入力装置203からの入力情報をサーバ装置20へ送り、その入力情報に基づいてサーバ装置20が処理を実行し、更新された画面情報(座標、大きさと画像)をクライアント装置10へ送るというものである。クライアント装置10は、その画面情報を表示装置304に反映させる。
【0023】
本実施の形態では、サーバ装置20側で保持する仮想画面としてはある程度大きなものを想定している。それに対し、クライアント装置10の画面サイズが小さく、スクロール機能を用いて、全体を表示できるようにしてある。
【0024】
図5は、サーバ装置20の仮想画面を説明するための図であり、図6は、クライアント装置10の表示画面を説明するための図である。
本実施の形態において、例えば、サーバ装置20は、通常のパーソナルコンピュータであり、図5に示したように、仮想画面のサイズが幅800画素、高さ600画素であるものとする。また、クライアント装置10の画面サイズは、図6に示したように、幅400画素、高さ300画素であるとする。すなわち、クライアント装置10は、幅、高さともにサーバ装置20の半分の大きさしか表示できないことになる。また、図5に示したように、タスクバーの高さは30画素であるとする。なお、座標の扱い方としては、仮想画面の左上を原点とし、横方向をX座標、縦方向をY座標とする。また単位はすべて画素(pixel)であり、以後省略する。
【0025】
タスクバーには、スタートボタンや使用しているファイル、インジケーター、言語バーなど様々な情報が表示されていたり、それらを操作することにより簡単にアプリケーションを実行することが可能になったりと非常に便利な機能が搭載されている。
【0026】
ただし、図6に示すように、画面のスクロール位置によってはタスクバーがクライアント装置10に表示されない可能性があり、タスクバーを使用するためにはわざわざスクロール操作を実行しなければならない。これでは本来のタスクバーの機能の有効度合いが下がってしまう。
【0027】
そこで画面のスクロール位置がどこであっても画面上にタスクバーを常に表示しておき、またそこへのアクセスも可能である例について、以後詳しく述べる。
図7は、常時表示しておきたい領域の設定を説明するための図である。
(設定モード1)
まず、使用者がクライアント装置10の入力装置303を用いて、仮想画面の中から、常時表示しておきたい領域を設定するモードにする。
【0028】
次に、幅、高さともに半分に縮小し、画面内に仮想画面全体が表示されるようにする。そして、図7に示すように、使用者はマウス等のポインティングデバイスを使用して仮想画面の一部の領域を選択し、その領域(常時表示領域)の座標を保持する(X座標:0〜799画素、Y座標:570〜599画素)。
【0029】
図8は、常時表示領域を表示する位置の設定を説明するための図である。
(設定モード2)
次に、クライアント装置10の画面に表示する位置を設定する。常時表示領域をクライアント装置10の画面内のどこに表示させるか(画面表示位置)を、図8に示したように、使用者がマウスを用いて指定する。また、設定モード1で指定した常時表示領域の全てを縮小表示するか、あるいはそのままの大きさで表示するかを指定すると、表示倍率が計算される。例えば、「全てを表示する」を選択した場合は、X方向が0.5倍、Y方向が1倍表示となる。
【0030】
図9は、常時表示領域に使用者がアクセスした場合の動作の設定を説明するための図である。
(設定モード3)
次に、設定モード1で選択した常時表示領域に使用者がアクセスした場合の動作を設定する。
【0031】
図9中の左右の2つの枠内、すなわち、座標(0,570)と座標(64,599)を対角とした矩形枠内、および座標(600,570)と座標(799,599)を対角とした矩形枠内にアクセスした時には次の操作を行ないたい状況が多いため、変換座標の送信を行うと共に本来の位置に画面をスクロールさせる。
【0032】
また図9中の中央の枠内、すなわち、座標(65,570)と座標(599,599)を対角とした矩形枠内は、アプリケーションを切り替えるだけなので、一番下にスクロールしては次の作業がしづらい。そこで、変換座標の送信のみを行ない、画面のスクロールは行なわない。
【0033】
図10は、常時表示関連の設定とそこにアクセスした際の動作を設定したテーブルを示す図である。
上述の各種設定により、図10に示したように、常時表示関連の設定とそこにアクセスした際の動作を設定したテーブル(設定テーブル)を作成することができる。
(設定モード4)
図10に示した設定テーブルの内容を、接続先のMACアドレスとログイン名、および仮想画面サイズとともに保持しておく。
【0034】
そして、次回以降の接続時に上記の保持してある内容と同じ接続状態であれば、再度設定せずに図10に示した設定テーブルの内容を使用することができるようにする。
(データ受信・表示処理1)
クライアント装置10は、サーバ装置20から表示画像の更新データとそれを配置する座標および大きさを受信する。そのデータを表示用バッファに反映しサーバ装置20が想定している仮想画面と同じものを保持する。さらにスクロール位置情報から画面に表示すべき領域を検出し、表示用バッファのデータを表示装置304の画面に表示させる。
【0035】
図11は、通常モードと常時表示モードの表示例を示す図である。
(データ受信・表示処理2)
入力装置303の操作により通常モード(図11の(A))参照)から常時表示機能がオン(常時表示モード)になった時は、図11の(B)のような画面になり、そのときには次のような処理が追加される。
【0036】
図12は、クライアント装置10の画面内の表示位置を示す図である。
図10に示した設定テーブル中の「画面表示場所(図12の下側の矩形部分)」に、「常時表示領域(X座標が0〜799画素で、Y座標が570〜599画素)」のデータを表示用バッファから取得し表示する。ただし、「表示倍率」の設定により表示用バッファのデータをX方向に0.5倍、Y方向に1倍してから表示する。
【0037】
図13は、X方向またはY方向にスクロールした例を示す図である。
(データ受信・表示処理3)
X方向またはY方向にスクロールした場合、図12の上側の矩形部分はそのスクロール位置に合った領域が画面に表示され、図12の下側の矩形部分はそのままである。図13の(B)は下方向にスクロールした場合の画面の例を示し、図13の(C)は右方向にスクロールした場合の画面の例を示す。
【0038】
図14は、常時表示モードを解除した表示例を示す図である。
(データ受信・表示処理4)
ところが、クライアント装置10の画面を下の方にスクロールした時には、図10の設定テーブルで設定した「常時表示領域」に該当する表示データが画面内に表示されるはずである。しかしながら、その場合にも常時表示させておくと、画面内のほぼ同一箇所に同じ表示が表示され混乱の原因となるため、図7中の「常時表示と設定した領域」が画面に表示される場合は、図14に示したように、常時表示モードを一度解除して表示する。
【0039】
上述の例では常時表示領域および画面内表示場所がそれぞれの一番下に設定されているため、上記一次解除の処理を行なわなくてもスクロール位置を制限させることで重複表示を回避することが可能である。しかしどこの位置にも置くことができる言語バーなどを常時表示領域に設定した時には、重複表示の問題が発生する。この問題を避けるために、一度解除する機能は有効である。
【0040】
次に、操作座標の変換について説明する。
図15および図16は、操作座標の変換を説明するための図である。
(操作処理1)
シンクライアントシステムでは、クライアント装置10側でマウスを移動したりクリックしたりすると、その情報が座標位置と共にサーバ装置20に送信される。例えば、図12の上側の矩形部分内でそのような操作が行われた場合には、通常通り上記の情報をサーバ装置20へ送信する。
(操作処理2)
他方、図12の下側の矩形部分内でそのような操作が行われた場合は、サーバ装置20の仮想画面の本来の座標に座標変換する必要がある。変換式は、
変換座標={クリック座標−(画面表示座標の最小値+画面表示場所である画面内座標)}÷倍率+常時表示領域に指定した最小値
となる。例えば、図15に示したように、クリック座標が(350,435)であれば、変換座標は、
X座標={350−(200+0)÷0.5+0=300
Y座標={435−(150+270)÷1+570=585
となる。
【0041】
また、図16に示したように、クリック座標が(210,435)であれば、変換座標は、
X座標={210−(200+0)÷0.5+0=20
Y座標={435−(150+270)÷1+570=585
となる。
(操作処理3)
次に、変換後の座標値が図10に示した設定テーブル中のどこに含まれるかをチェックする。図15に示した例では、変換後の座標が(300,585)なので、サーバ装置20にその座標値を送り処理を終了する。
【0042】
また、図16に示した例では、変換後の座標が(20,585)なので、サーバ装置20にその座標を送り、本来の位置つまり一番左かつ一番下にスクロールする(図16の(B)参照。)。この位置にスクロールすると常時表示領域が表示される場所なので、常時表示モードを一度解除する。その後は通常通り受信したデータを表示用バッファに反映しスクロール位置に適した部分を画面に表示する。
【0043】
図16に示した例ではスタートボタンをクリックしたという情報を送信しているので、サーバ装置20はそれに対応した処理を行ないクライアント装置10に更新データを送るため、図16(C)のような画面表示になる。
【0044】
上述したように、本シンクライアントシステムによれば、ある領域を常に画面に表示しておくことによって、その領域を画面に表示させるためにスクロールするという手間を省くことができる。また、その領域へのアクセスがあった時に本来の位置に座標変換してからサーバ装置20に情報を送ることにより、使用者の意図する情報を送ることが可能となる。
【0045】
また、常に表示しておきたい領域や、画面のどこに表示するかを使用者が選択するモードを備えることで、使用者の好きなようにカスタマイズできるようになる。
また、常時表示領域にアクセスした際、座標を送るだけではなく、スクロールさせるなどの動作を指定可能にすることで、それに続く処理をしやすくすることができる。
【0046】
また、一度設定した情報を保持しておき、次に同じ条件で接続した場合、再度設定する手間を省くことが可能となる。
さらに、常時表示領域がスクロールによって、画面内に入ってきた場合に限って機能を一時停止することにより、同じ画面に2つの表示が発生することを省くことが出来る。
【0047】
なお、上述の説明では、クライアント装置10の画面がサーバ装置20の画面よりも小さいとしてきたが、クライアント装置10上の画面を1つのアプリケーションとして考え、そのアプリケーションが実行されているウィンドウの大きさが仮想画面に比べて小さいとしてもよい。
【0048】
また、常時表示領域は複数であってもよいし、常時表示をさせておく領域や画面のどこに表示させるか、またその時の振る舞いを使用者が決めるようにしたが、これらを自動で行なえるようにしてもよい。
【0049】
図17は、縮小しない場合の表示例を示す図である。
上述の説明では、常時表示領域のすべてを画面内に納めるように縮小して表示したが、図17に示すように、そのままの大きさでスクロール位置に合わせた表示を行ってもよい。
【0050】
また、設定モードで領域を指定する際、縮小して画面内にすべてを表示してからとしたが、スクロール機能を使って通常サイズのまま領域指定してもよい。
また、ポインティングデバイスを使用するとしたが、直接座標値を入力するなど、場所を特定できる方法であれば何でも良い。
【0051】
また、図10に示した設定テーブルとともに保持しておく内容を、接続先のMACアドレスとログイン名、および仮想画面サイズとしたが、IPアドレスやコンピュータ名など接続相手を特定できるものであれば何でも良いし、また設定自体に名称をつけ使用者が自分の意思でどの設定を使用するか選択できるようにしてもよい。
【0052】
また、データを受信するたびに全画面を書き換える処理になっているが、画面に表示されている更新部分のみ画面更新する処理でも良い。
次に、上述してきた各動作をフローチャートを用いて説明する。
【0053】
図18は、クライアント装置10において実行される通常のクライアント処理の流れを示すフローチャートである。
まず、ステップS1801において、クライアント装置10は、サーバ装置20への接続要求信号を送信し、ステップS1802において、サーバ装置20からの接続許可信号の受信待ちを行なう。
【0054】
ステップS1802で接続要求が拒否されたり所定時間が経過してしまったり(タイムアウト)した場合(ステップS1802:拒否orタイムアウト)は、本クライアント処理を終了し、他方、ステップS1802で接続要求が許可された場合(ステップS1802:許可)は、ステップS1803において、サブルーチン「入力イベント処理」を実行する。
【0055】
図19は、サブルーチン「入力イベント処理」の流れを示すフローチャートである。
ステップS1901において、ユーザからの入力イベントを待ち、ステップS1902において、入力された情報の取得処理を実行する。そして、ステップS1903において、入力された情報がコマンドモードであるか否かを判断する。
【0056】
コマンドモードでないと判断された場合(ステップS1903:N)は、ステップS1904において、入力された情報が設定モードであるか否かを判断する。そして、設定モードであると判断された場合(ステップS1904:Y)は、ステップS1905において、サブルーチン「設定モード処理」を実行して、ステップS1901に戻る。
【0057】
図20は、サブルーチン「設定モード処理」の流れを示すフローチャートである。
まず、ステップS2001において、表示用バッファのデータを全体が表示できるサイズに縮小し、全体を表示する。
【0058】
次に、ステップS2002において、ユーザ(使用者)による常時表示領域を指定し、ステップS2003において、ユーザが指定した常時表示領域の座標を検出する。
そして、ステップS2004において、ユーザによる画面表示位置を指定し、ステップS2005において、ユーザが指定した画面表示位置の座標を検出する。
【0059】
次に、ステップS2006において、表示倍率を計算して、ステップS2007において、ユーザによるアクセス後の動作を指定する。
そして、ステップS2008において、設定テーブルを作成し、本サブルーチン「設定モード処理」を終了する。
【0060】
図19の説明に戻る。
ステップS1904で設定モードでないと判断された場合(ステップS1904:N)は、ステップS1906において、入力された情報が常時表示モードであるか否かを判断する。そして、常時表示モードでないと判断された場合(ステップS1906:N)、すなわち、入力された情報がコマンドモードでも設定モードでも常時表示モードでない場合は、ステップS1907において、その他の各コマンドの処理を実行し、ステップS1901に戻る。
【0061】
他方、入力された情報が常時表示モードであると判断された場合(ステップS1906:Y)は、ステップS1908において、常時表示機能をオンにし、ステップS1909において、設定テーブルがあるか否かを判断する。
【0062】
設定テーブルがあると判断された場合(ステップS1909:Y)は、ステップS1901に戻り、設定テーブルがないと判断された場合(ステップS1909:N)は、上述したステップS1905のサブルーチン「設定モード処理」を実行する。
【0063】
ステップS1903でコマンドモードであると判断された場合(ステップS1903:Y)は、ステップS1910において、入力された情報がスクロールであるか否かを判断し、スクロールであると判断された場合(ステップS1910:Y)は、ステップS1911において、表示用バッファから適切なデータを画面に出力して、ステップS1901に戻る。
【0064】
他方、スクロールでないと判断された場合(ステップS1910:N)は、ステップS1912において、サブルーチン「操作処理」を実行して、ステップS1901に戻る。
図21は、サブルーチン「操作処理」の流れを示すフローチャートである。
【0065】
まず、ステップS2101において、常時表示モードか否かを判断し、常時表示モードであると判断された場合(ステップS2101:Y)は、ステップS2102において、マウス入力のイベントを待つ。そして、マウス入力のイベントが来たら、ステップS2103において、そのマウス入力のイベントの取得座標が設定テーブルで指定された画面表示場所の内部か否かを判断する。
【0066】
マウス入力のイベントの取得座標が表示場所の内部であると判断された場合(ステップS2103:Y)は、ステップS2104において、座標変換処理を実行した後、ステップS2105において、変換後のデータをサーバ装置20へ送信する。そして、ステップS2106において、変換後の座標値を設定テーブルと照らし合わせ、指定された動作を実行して、本サブルーチン「操作処理」を終了する。
【0067】
ステップS2101で常時表示モードでないと判断された場合(ステップS2101:N)は、ステップS2107において、所得したデータをサーバ装置20へ送信して、本サブルーチン「操作処理」を終了する。また、ステップS2103でマウス入力のイベントの取得座標が表示場所の内部でないと判断された場合(ステップS2103:N)も、ステップS2107において、所得したデータをサーバ装置20へ送信して、本サブルーチン「操作処理」を終了する。
【0068】
図18の説明に戻る。
クライアント装置10は、ステップS1804において、サーバ装置20から受信したデータが接続終了要求の信号であるのか、後述する図22のステップS2210で送信された表示用データであるのかを判断する。接続終了要求の信号であると判断された場合(ステップS1804:接続終了要求)は、本クライアント処理を終了する。他方、表示用データであると判断された場合(ステップS1804:表示用データ)は、ステップS1805において、表示用バッファに受信した描画情報(表示用データ)を反映し、ステップS1806において、反映した結果を画面に表示する。そして、ステップS1804以降を繰り返す。
【0069】
図22は、サーバ装置20において実行される通常のサーバ処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS2201において、クアイアント装置10からの接続要求を待ち、ステップS2202において、クライアント装置10からの接続要求を許可するか否かを判断する。
【0070】
接続要求を許可しないと判断した場合(ステップS2202:拒否)は、ステップS2203において、接続要求をしてきたクライアント装置10に対して接続を拒否する通知を送信し、ステップS2201に戻る。
【0071】
他方、接続要求を許可すると判断した場合(ステップS2202:許可)は、ステップS2204において、接続したクライアント装置10から送信されてくるデータの受信待ちを行ない、ステップS2205において、クライアント装置10から送信されてくるデータが切断要求であるか否かを判断する。
【0072】
クライアント装置10から送信されてくるデータが切断要求であると判断された場合(ステップS2205:Y)は、ステップS2206において、切断処理を実行して、ステップS2201に戻る。
【0073】
他方、クライアント装置10から送信されてくるデータが切断要求でないと判断された場合(ステップS2205:N)は、ステップS2207において、クライアント装置10から送信されてくるデータ(入力情報)をアプリケーションへ送付する。
【0074】
次に、ステップS2208において、その入力情報に応じた処理を実行し、ステップS2209において、その処理により生じた画面表示の更新情報を取得する。
そして、ステップS2210において、その更新された画面表示の情報をクライアント装置10へ送信し、ステップS2204以降を繰り返す。
【0075】
図23は、クライアント装置10によるデータ受信・表示処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS2301において、図18のステップS1801、S1802のような通常の接続処理を実行し、ステップS2302において、サーバ装置20からのデータを受信する。
【0076】
次に、ステップS2303において、ステップS2302で受信したデータが表示画面を更新するデータ(表示更新データ)か否かを判断する。
表示更新データでないと判断された場合(ステップS2303:N)は、ステップS2304において、そのデータ内容に応じた処理を実行し、ステップS2302に戻る。
【0077】
他方、表示更新データであると判断された場合(ステップS2303:Y)は、ステップS2305において、その表示更新データを表示用バッファに反映する。
そして、ステップS2306において、スクロール位置情報を取得し、ステップS2307において、画面位置に対応するデータを表示する。
【0078】
次に、ステップS2308において、常時表示機能がオンされているか否かを判断する。
常時表示機能がオンされていないと判断された場合(ステップS2308:N)は、ステップS2302に戻り、他方、常時表示機能がオンされていると判断された場合(ステップS2308:Y)は、ステップS2309において、画面内に常時表示領域が含まれるか否かを判断する。
【0079】
画面内に常時表示領域が含まれると判断された場合(ステップS2309:Y)は、ステップS2302に戻り、他方、画面内に常時表示領域が含まれないと判断された場合(ステップS2309:N)は、ステップS2310において、ステップS2305で反映した表示用バッファから常時表示領域を抽出し、指定した倍率処理を行なう。そして、ステップS2311において、その倍率処理を行なったデータを画面表示場所に表示して、ステップS2302に戻る。
【0080】
次に、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。
上述の実施の形態(第1の実施の形態)と本第2の実施の形態との相違点は、第1の実施の形態では常時表示領域を常に表示させておくのに対して、本第2の実施の形態は、条件に従って常時表示領域を表示させるものである。
【0081】
本第2の実施の形態の説明は、第1の実施の形態をベースとし、第1の実施の形態と異なる部分のみを詳述する。
図24は、第2の実施の形態における常時表示関連の設定とそこにアクセスした際の動作を設定した設定テーブルを示す図である。
(設定モード(追加))
設定モードにおいて、常時表示領域を画面に表示するタイミングに条件を付加する。ここでは、図24に示した設定テーブルのように、表示条件としてマウスが画面表示場所にある時のみ、常時表示領域を画面に表示するものとする。
【0082】
図25は、マウスが画面表示場所以外の所にある時とマウスが画面表示場所内にある時の表示例を示す図である。
データ受信処理においては、第1の実施の形態と同様に、受信したデータを表示用バッファに反映させ、スクロール位置に対応した部分を画面に反映させる。そこで常時表示モードがオンになっていた際に、次の処理が追加される。
(データ受信・表示処理(追加1))
まず、図24に示した設定テーブルから、表示条件を取得する。この場合、マウスの位置が必要となるので、その時点におけるマウスの位置座標を取得する。その値が、図25の(A)に示したように、画面表示場所内でなければ処理を終了し、次のデータを待つ。
(データ受信・表示処理(追加2))
他方、取得した座標の値が、画面表示場所内ならば、常時表示領域を画面に表示するために、次の処理に進む。
【0083】
その結果、図25の(B)に示したような表示となる。
図26は、第2の実施の形態におけるデータ受信・表示処理の流れを示すフローチャートである。
【0084】
ステップS2601において、図23のステップS2301と同様に通常の接続処理を実行し、ステップS2602において、図23のステップS2302と同様にサーバ装置20からのデータを受信する。
【0085】
次に、ステップS2603において、通常の表示処理を実行する。ここで通常の表示処理とは、図23のステップS2303乃至S2307で実行する処理と同様の処理である。
【0086】
次に、ステップS2604において、図23のステップS2308と同様に常時表示機能がオンされているか否かを判断する。
常時表示機能がオンされていないと判断された場合(ステップS2604:N)は、ステップS2602に戻り、他方、常時表示機能がオンされていると判断された場合(ステップS2604:Y)は、ステップS2605において、マウスのある座標値が画面表示場所内であるか否かを判断する。
【0087】
マウスのある座標値が画面表示場所内でないと判断された場合(ステップS2605:N)は、ステップS2602に戻り、他方、マウスのある座標値が画面表示場所内であると判断された場合(ステップS2605:Y)は、ステップS2606において、図23のステップS2309と同様に画面内に常時表示領域が含まれるか否かを判断する。
【0088】
画面内に常時表示領域が含まれると判断された場合(ステップS2606:Y)は、ステップS2602に戻り、他方、画面内に常時表示領域が含まれないと判断された場合(ステップS2606:N)は、ステップS2607において、図23のステップS2310と同様に表示用バッファから常時表示領域を抽出し、指定した倍率処理を行なう。そして、ステップS2608において、図23のステップS2311と同様にその倍率処理を行なったデータを画面表示場所に表示して、ステップS2602に戻る。
【0089】
上述したように、本第2の実施の形態におけるシンクライアントシステムによれば、第1の実施の形態において選択した領域を画面内に常時表示したのを、マウスが指定された領域内にあるときのみ表示するとしたことにより、使用者が必要な時だけ簡単な操作を行なうことで常時表示領域を表示できるようになり、常時表示したことにより通常表示する領域が小さくなるという欠点を減らすことができる。
【0090】
なお、上述の第2の実施の形態では、表示する条件としてマウスの位置を使用したが、あるボタンを押したり、決められた音声を入力したりするなど、使用者が簡単に操作でき、それをクライアント装置10が認識できればなんでも良い。
【0091】
また、条件を満たした時には常に表示しているとしたが、条件を満たした時にある一定時間のみ表示するなど、表示しておく時間を決めても良い。
次に、本発明を適用した第3の実施の形態について説明する。
【0092】
上述の第1の実施の形態と本第3の実施の形態との相違点は、第1の実施の形態では常時表示領域の設定を使用者が行ったのに対して、第3の実施の形態は、常時表示領域の設定をサーバ装置20から取得するものである。
【0093】
本第3の実施の形態の説明は、第1の実施の形態をベースとし、第1の実施の形態と異なる部分のみを詳述する。
図27は、クライアント装置10とサーバ装置20とのデータのやり取りを説明するための図である。
(設定処理1)
まず、使用者が常時表示モードにしたら、図10に示した設定テーブルにデータがあるかどうかを判断する。もしデータがあればそのデータを使って常時表示を行なう。
(設定処理2)
他方、データがなかった場合には、サーバ装置20に情報を要求するパケットを送信する。本第3の実施の形態ではタスクバーに関する情報が欲しいので、タスクバーに関する情報を要求する。
(設定処理3)
サーバ装置20からの応答パケットをタイムアウト付きで待つ。もしタイムアウト時間がきても応答パケットを受信できなかったら警告メッセージを表示し終了する。
(設定処理4)
サーバ装置20ではレジストリから現在のタスクバーの設定を取得することが可能である。要求パケットを受信したら、タスクバーの設定(タスクバーの位置、自動で隠すかどうか、手前に表示するかどうかなど)を取得し、クライアント装置10へ送信する。
【0094】
その後、使用者がタスクバーの設定を変更し、それによってレジストリの値が変更したことを検知したら、サーバ装置20は自発的にクライアント装置10に対して変更された設定値を保持した通知パケットを送信する。
(設定処理5)
そして、クライアント装置10は、応答パケットや通知パケットを受信したら、そのデータを解析し、図10に示した設定テーブルを作成もしくは修正する。ただし、設定の値が「自動で隠す」や「手前に表示しない」という設定になっていたとすると、常時表示領域にタスクバーが存在しない場合があることになってしまう。そのように設定してある値が条件を満たさない場合には、使用者にタスクバー設定の変更を行なうように通知する。
【0095】
上述したように、本第3の実施の形態におけるシンクライアントシステムによれば、第1の実施の形態で常時表示領域を使用者に設定させたのに対して、その値をサーバ装置20から取得することにより、自動で領域設定をすることができる。
【0096】
また、その設定値が条件を満たしているかをチェックする機能を有することで、タスクバーが隠れているのに画面に表示しようとするようなことを無くすことができ、また使用者に通知し変更を促すことで、使用者も状況を認識可能となる。
【0097】
なお、常時表示する常時表示領域をタスクバーとしたが、言語バーなどにしても良く、サーバ装置20から情報を取得できるものであれば何でもよい。
以上、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明してきたが、上述してきた本発明の実施の形態は、サーバ装置またはクライアント装置の一機能としてハードウェアまたはDSP(Digital Signal Processor)ボードやCPUボードでのファームウェアもしくはソフトウェアにより実現することができる。
【0098】
また、本発明が適用されるサーバ装置およびクライアント装置は、その機能が実行されるのであれば、上述の実施の形態に限定されることなく、単体の装置であっても、複数の装置からなるシステムあるいは統合装置であっても、LAN、WAN等のネットワークを介して処理が行なわれるシステムであってもよいことは言うまでもない。
【0099】
また、バスに接続されたCPU、ROMやRAMのメモリ、入力装置、出力装置、外部記録装置、媒体駆動装置、ネットワーク接続装置で構成されるシステムでも実現できる。すなわち、前述してきた実施の形態のシステムを実現するソフトェアのプログラムを記録したROMやRAMのメモリ、外部記録装置、可搬記録媒体を、サーバ装置およびクライアント装置に供給し、それらのサーバ装置およびクライアント装置のコンピュータがプログラムを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0100】
この場合、可搬記録媒体等から読み出されたプログラム自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムを記録した可搬記録媒体等は本発明を構成することになる。
【0101】
プログラムを供給するための可搬記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、DVD−RAM、磁気テープ、不揮発性のメモリーカード、ROMカード、電子メールやパソコン通信等のネットワーク接続装置(言い換えれば、通信回線)を介して記録した種々の記録媒体などを用いることができる。
【0102】
また、コンピュータ(情報処理装置)がメモリ上に読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施の形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現される。
【0103】
さらに、可搬型記録媒体から読み出されたプログラムやプログラム(データ)提供者から提供されたプログラム(データ)が、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現され得る。
【0104】
すなわち、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または形状を取ることができる。
【符号の説明】
【0105】
10 クライアント装置
20 サーバ装置
30 中継装置
201 バス
202 CPU
203 入力装置
204 表示装置
205 ROM
206 RAM
207 VRAM
208 通信I/F
301 バス
302 CPU
303 入力装置
304 表示装置
305 ROM
306 RAM
307 VRAM
308 通信I/F
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置の表示画面の表示範囲よりも大きな表示範囲の仮想画面データから、当該表示画面で表示可能な範囲の表示部分を任意に指定して切り出して表示する端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業によるサーバベースコンピューティングの採用が急速に進んでいる。
サーバベースコンピューティング(シンクライアントシステム)とは、クライアント装置(シンクライアント装置とも呼ばれる)とサーバ装置とがネットワークを介して相互に接続可能に構成されたシステムにおいて、クライアント装置がサーバ装置に対してサービス要求を行なうと、サーバ装置がクライアント装置からのサービス要求に基づいて、データの管理およびアプリケーションプログラムを動作させるというものである(例えば、特許文献1および非特許文献1参照。)。
【0003】
サーバ装置はクライアント装置用の表示データを作成し、これをクライアント装置に送る。クライアント装置では、使用者のキーやマウス等の操作情報を、ネットワークを介してサーバ装置へ送り、前記サーバ装置側で作成されたクライアント用の表示データを受け取って表示する。
クライアント装置は、ネットワーク機器、表示装置、マウスやキーボード等の入力装置を備えているだけでよく、データをクライアント装置内に持たないためハードディスク等のストレージが不要であり、アプリケーションプログラムの実行を行なわないためクライアント装置に必要となる処理の負荷は軽い。
【0004】
このようなサーバベースコンピューティングにおいて、サーバ装置側の仮想的な大画面を、それよりも小さなクライアント装置側の画面に表示するために、クライアント装置に画面をスクロール表示するスクロール機能を有したり、サーバ装置側の仮想的な大画面を縮小表示したりという方法がある。
【0005】
例えば、特許文献2は、携帯電話機等のクライアント装置の画面上に表示されたサーバ装置の画面をユーザがスクロール操作で参照する際にユーザの作業量を低減することができ、クライアント装置の画面を効率的に利用することができるようにするために、クライアント装置とサーバ装置との間に接続されたゲートウェイによって、クライアント装置の画面と、サーバ装置で制御可能状態となっているウィンドウとの双方のサイズ及び座標関係から、クライアント装置の画面にウィンドウをこの画面のスクロールバーと共に表示するためのウィンドウの縮尺率及び表示部位の情報を求めている。
【0006】
そして、サーバ装置において、その求められた表示部位の情報に対応するウィンドウの表示部位を取得し、この表示部位を縮尺率に応じて拡大又は縮小を行って画面情報を作成し、ゲートウェイを介してクライアント装置へ送信している。
このような構成によれば、サーバ装置のウィンドウ画面とクライアント装置の画面とのサイズが合致しない場合でも、クライアント装置の画面に、サーバ装置のウィンドウ画面がスクロールバーと共に表示されるので、クライアント装置のユーザが所望の画面を見つけるためのスクロール操作を行なう際に、従来のような最初にウィンドウ画面のスクロールバーを見つけるためのスクロール操作が不要となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−228227号公報
【特許文献2】特開2004−348380号公報
【非特許文献1】http://www.keyman.or.jp/search/30000031_1.html(サーバーベースコンピューティング)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、サーバベースコンピューティングが実行される際には、アプリケーションプログラムを動作させるサーバ装置に対してサービス要求を行なうクライアント装置と、クライアント装置からのサービス要求に基づいてアプリケーションプログラムを動作させるサーバ装置とが、ネットワークを介して相互に接続可能に構成されている。
【0009】
このようなサーバベースコンピューティングにおいては、サーバ装置側の仮想的な大画面をより小さなクライアント装置側の画面に表示するためにスクロール機能などを使用すると、情報が表示されている場所を見たり、頻繁にアクセスする場所を使用したりするために、毎回スクロールする手間が発生する。
【0010】
例えば、ウインドウシステムのタスクバーには、スタートボタンや使用しているファイル、インジケーター、言語バーなど様々な情報が表示されていたり、そこを操作することにより簡単にアクセスすることが可能になったりと非常に便利な機能が搭載されている。
【0011】
しかしながら、画面のスクロール位置によってはタスクバーが表示されない可能性があり、タスクバーを使用するにはわざわざスクロールしなければならない。これでは本来のタスクバーの機能の有効度合いが下がってしまうという問題点があった。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、仮想画面データに含まれるタスクバーのような特定表示が含まれる場合に、その仮想画面データよりも小さな表示画面内にその特定表示を表示することができる端末装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、端末装置の表示画面の表示範囲よりも大きな表示範囲の仮想画面データから、当該表示画面で表示可能な範囲の表示部分を任意に指定して切り出して表示する端末装置であって、前記仮想画面データ内に特定表示が含まれており、当該仮想画面データ内で任意に指定されて切り出された前記表示部分に前記特定表示が含まれているか否かを判別する判別手段と、この判別手段で上記特定表示が含まれていると判別された場合には、前記仮想画面データ内で任意に指定されて切り出された前記表示部分の表示データを前記表示画面に表示し、一方、前記判別手段で前記特定表示が含まれていないと判別された場合には、前記仮想画面データから前記特定表示の表示データを抽出し、その抽出された前記特定表示の表示データを前記切り出された表示部分の表示データと共に表示する表示制御手段と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、仮想画面データに常時表示したい表示データが含まれる場合でも、この表示データを所定の表示領域に固定的に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】シンクライアントシステムの概要を説明するための図である。
【図2】サーバ装置のハードウェア構成の概略を示す図である。
【図3】クライアント装置のハードウェア構成の概略を示す図である。
【図4】シンクライアントシステムの構成を示す図である。
【図5】サーバ装置20の仮想画面を説明するための図である。
【図6】クライアント装置10の表示画面を説明するための図である。
【図7】常時表示しておきたい領域の設定を説明するための図である。
【図8】常時表示領域を表示する位置の設定を説明するための図である。
【図9】常時表示領域に使用者がアクセスした場合の動作の設定を説明するための図である。
【図10】常時表示関連の設定とそこにアクセスした際の動作を設定した設定テーブルを示す図である。
【図11】通常モードと常時表示モードの表示例を示す図である。
【図12】クライアント装置10の画面内の表示位置を示す図である。
【図13】X方向またはY方向にスクロールした例を示す図である。
【図14】常時表示モードを解除した表示例を示す図である。
【図15】操作座標の変換を説明するための図(その1)である。
【図16】操作座標の変換を説明するための図(その2)である。
【図17】縮小しない場合の表示例を示す図である。
【図18】クライアント装置10において実行される通常のクライアント処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】サブルーチン「入力イベント処理」の流れを示すフローチャートである。
【図20】サブルーチン「設定モード処理」の流れを示すフローチャートである。
【図21】サブルーチン「操作処理」の流れを示すフローチャートである。
【図22】サーバ装置20において実行される通常のサーバ処理の流れを示すフローチャートである。
【図23】データ受信・表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図24】第2の実施の形態における常時表示関連の設定とそこにアクセスした際の動作を設定した設定テーブルを示す図である。
【図25】マウスが画面表示場所以外の所にある時とマウスが画面表示場所内にある時の表示例を示す図である。
【図26】第2の実施の形態におけるデータ受信・表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図27】クライアント装置10とサーバ装置20とのデータのやり取りを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本発明の実施の形態について概略を説明する。
本発明によるシンクライアントシステムは、アプリケーションプログラムを実行するサーバ装置と、ユーザ操作による入力情報をサーバ装置に送信しサーバ装置から画面情報を取得してこれを画面に表示するクライアント装置、およびサーバ装置とクライアント装置の間でデータをやり取りするためのネットワーク(通信網)で構成される。
【0017】
そして、クライアント装置は、サーバ装置の備える画面に対応する仮想画面に対して表示画面の大きさが小さい場合に、ある領域を常に表示画面に表示させておく機能を有する。
【0018】
さらに、上記常に表示画面に表示した領域においてユーザが操作を実行した場合、本来存在する場所に座標変換を行ってからサーバ装置に送る機能を有する。また、常に表示画面に表示させておくアイテムの設定をサーバ装置から取得する機能を有する。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、シンクライアントシステムの概要を説明するための図である。
図1に示す通り、クライアント装置10とサーバ装置20は、ネットワーク(通信網)を介して互いに接続され、シンクライアントシステムを形成している。クライアント装置10が無線通信を行なう場合には、中継装置30およびネットワークを介してサーバ装置20と通信を行なう。
【0020】
図2は、サーバ装置のハードウェア構成の概略を示す図である。
図2において、サーバ装置20は、CPU(中央処理装置:Central Processing Unit)202、各種のデータや信号等を入力するための入力装置203、画像やその他の情報を表示するための表示装置204、サーバ装置20において実行する処理を実行するプログラムの他、サーバ装置20の各機能を制御し実行するための制御プログラムが収納されたROM205やRAM206、表示装置204に表示するための画像を一時的に格納するVRAM207、LAN等のネットワークに接続するための通信I/F208がバス201に接続されて構成され、CPU202がこれらの各部を制御している。
【0021】
図3は、クライアント装置のハードウェア構成の概略を示す図である。
図3において、クライアント装置10は、CPU302、各種のデータや信号等を入力するための入力装置303、画像やその他の情報を表示するための表示装置304、クライアント装置10において実行する処理を実行するプログラムの他、クライアント装置10の各機能を制御し実行するための制御プログラムが収納されたROM305やRAM306、表示装置304に表示するための画像を一時的に格納するVRAM307、無線LANや携帯電話網等のネットワークに接続するための通信I/F308がバス301に接続されて構成され、CPU302がこれらの各部を制御している。
【0022】
次に、本発明の動作例を説明する。
図4は、シンクライアントシステムの構成を示す図である。
図4に示すとおり、本シンクライアントシステムは、クライアント装置10からは、キーボードやマウスなどの入力装置203からの入力情報をサーバ装置20へ送り、その入力情報に基づいてサーバ装置20が処理を実行し、更新された画面情報(座標、大きさと画像)をクライアント装置10へ送るというものである。クライアント装置10は、その画面情報を表示装置304に反映させる。
【0023】
本実施の形態では、サーバ装置20側で保持する仮想画面としてはある程度大きなものを想定している。それに対し、クライアント装置10の画面サイズが小さく、スクロール機能を用いて、全体を表示できるようにしてある。
【0024】
図5は、サーバ装置20の仮想画面を説明するための図であり、図6は、クライアント装置10の表示画面を説明するための図である。
本実施の形態において、例えば、サーバ装置20は、通常のパーソナルコンピュータであり、図5に示したように、仮想画面のサイズが幅800画素、高さ600画素であるものとする。また、クライアント装置10の画面サイズは、図6に示したように、幅400画素、高さ300画素であるとする。すなわち、クライアント装置10は、幅、高さともにサーバ装置20の半分の大きさしか表示できないことになる。また、図5に示したように、タスクバーの高さは30画素であるとする。なお、座標の扱い方としては、仮想画面の左上を原点とし、横方向をX座標、縦方向をY座標とする。また単位はすべて画素(pixel)であり、以後省略する。
【0025】
タスクバーには、スタートボタンや使用しているファイル、インジケーター、言語バーなど様々な情報が表示されていたり、それらを操作することにより簡単にアプリケーションを実行することが可能になったりと非常に便利な機能が搭載されている。
【0026】
ただし、図6に示すように、画面のスクロール位置によってはタスクバーがクライアント装置10に表示されない可能性があり、タスクバーを使用するためにはわざわざスクロール操作を実行しなければならない。これでは本来のタスクバーの機能の有効度合いが下がってしまう。
【0027】
そこで画面のスクロール位置がどこであっても画面上にタスクバーを常に表示しておき、またそこへのアクセスも可能である例について、以後詳しく述べる。
図7は、常時表示しておきたい領域の設定を説明するための図である。
(設定モード1)
まず、使用者がクライアント装置10の入力装置303を用いて、仮想画面の中から、常時表示しておきたい領域を設定するモードにする。
【0028】
次に、幅、高さともに半分に縮小し、画面内に仮想画面全体が表示されるようにする。そして、図7に示すように、使用者はマウス等のポインティングデバイスを使用して仮想画面の一部の領域を選択し、その領域(常時表示領域)の座標を保持する(X座標:0〜799画素、Y座標:570〜599画素)。
【0029】
図8は、常時表示領域を表示する位置の設定を説明するための図である。
(設定モード2)
次に、クライアント装置10の画面に表示する位置を設定する。常時表示領域をクライアント装置10の画面内のどこに表示させるか(画面表示位置)を、図8に示したように、使用者がマウスを用いて指定する。また、設定モード1で指定した常時表示領域の全てを縮小表示するか、あるいはそのままの大きさで表示するかを指定すると、表示倍率が計算される。例えば、「全てを表示する」を選択した場合は、X方向が0.5倍、Y方向が1倍表示となる。
【0030】
図9は、常時表示領域に使用者がアクセスした場合の動作の設定を説明するための図である。
(設定モード3)
次に、設定モード1で選択した常時表示領域に使用者がアクセスした場合の動作を設定する。
【0031】
図9中の左右の2つの枠内、すなわち、座標(0,570)と座標(64,599)を対角とした矩形枠内、および座標(600,570)と座標(799,599)を対角とした矩形枠内にアクセスした時には次の操作を行ないたい状況が多いため、変換座標の送信を行うと共に本来の位置に画面をスクロールさせる。
【0032】
また図9中の中央の枠内、すなわち、座標(65,570)と座標(599,599)を対角とした矩形枠内は、アプリケーションを切り替えるだけなので、一番下にスクロールしては次の作業がしづらい。そこで、変換座標の送信のみを行ない、画面のスクロールは行なわない。
【0033】
図10は、常時表示関連の設定とそこにアクセスした際の動作を設定したテーブルを示す図である。
上述の各種設定により、図10に示したように、常時表示関連の設定とそこにアクセスした際の動作を設定したテーブル(設定テーブル)を作成することができる。
(設定モード4)
図10に示した設定テーブルの内容を、接続先のMACアドレスとログイン名、および仮想画面サイズとともに保持しておく。
【0034】
そして、次回以降の接続時に上記の保持してある内容と同じ接続状態であれば、再度設定せずに図10に示した設定テーブルの内容を使用することができるようにする。
(データ受信・表示処理1)
クライアント装置10は、サーバ装置20から表示画像の更新データとそれを配置する座標および大きさを受信する。そのデータを表示用バッファに反映しサーバ装置20が想定している仮想画面と同じものを保持する。さらにスクロール位置情報から画面に表示すべき領域を検出し、表示用バッファのデータを表示装置304の画面に表示させる。
【0035】
図11は、通常モードと常時表示モードの表示例を示す図である。
(データ受信・表示処理2)
入力装置303の操作により通常モード(図11の(A))参照)から常時表示機能がオン(常時表示モード)になった時は、図11の(B)のような画面になり、そのときには次のような処理が追加される。
【0036】
図12は、クライアント装置10の画面内の表示位置を示す図である。
図10に示した設定テーブル中の「画面表示場所(図12の下側の矩形部分)」に、「常時表示領域(X座標が0〜799画素で、Y座標が570〜599画素)」のデータを表示用バッファから取得し表示する。ただし、「表示倍率」の設定により表示用バッファのデータをX方向に0.5倍、Y方向に1倍してから表示する。
【0037】
図13は、X方向またはY方向にスクロールした例を示す図である。
(データ受信・表示処理3)
X方向またはY方向にスクロールした場合、図12の上側の矩形部分はそのスクロール位置に合った領域が画面に表示され、図12の下側の矩形部分はそのままである。図13の(B)は下方向にスクロールした場合の画面の例を示し、図13の(C)は右方向にスクロールした場合の画面の例を示す。
【0038】
図14は、常時表示モードを解除した表示例を示す図である。
(データ受信・表示処理4)
ところが、クライアント装置10の画面を下の方にスクロールした時には、図10の設定テーブルで設定した「常時表示領域」に該当する表示データが画面内に表示されるはずである。しかしながら、その場合にも常時表示させておくと、画面内のほぼ同一箇所に同じ表示が表示され混乱の原因となるため、図7中の「常時表示と設定した領域」が画面に表示される場合は、図14に示したように、常時表示モードを一度解除して表示する。
【0039】
上述の例では常時表示領域および画面内表示場所がそれぞれの一番下に設定されているため、上記一次解除の処理を行なわなくてもスクロール位置を制限させることで重複表示を回避することが可能である。しかしどこの位置にも置くことができる言語バーなどを常時表示領域に設定した時には、重複表示の問題が発生する。この問題を避けるために、一度解除する機能は有効である。
【0040】
次に、操作座標の変換について説明する。
図15および図16は、操作座標の変換を説明するための図である。
(操作処理1)
シンクライアントシステムでは、クライアント装置10側でマウスを移動したりクリックしたりすると、その情報が座標位置と共にサーバ装置20に送信される。例えば、図12の上側の矩形部分内でそのような操作が行われた場合には、通常通り上記の情報をサーバ装置20へ送信する。
(操作処理2)
他方、図12の下側の矩形部分内でそのような操作が行われた場合は、サーバ装置20の仮想画面の本来の座標に座標変換する必要がある。変換式は、
変換座標={クリック座標−(画面表示座標の最小値+画面表示場所である画面内座標)}÷倍率+常時表示領域に指定した最小値
となる。例えば、図15に示したように、クリック座標が(350,435)であれば、変換座標は、
X座標={350−(200+0)÷0.5+0=300
Y座標={435−(150+270)÷1+570=585
となる。
【0041】
また、図16に示したように、クリック座標が(210,435)であれば、変換座標は、
X座標={210−(200+0)÷0.5+0=20
Y座標={435−(150+270)÷1+570=585
となる。
(操作処理3)
次に、変換後の座標値が図10に示した設定テーブル中のどこに含まれるかをチェックする。図15に示した例では、変換後の座標が(300,585)なので、サーバ装置20にその座標値を送り処理を終了する。
【0042】
また、図16に示した例では、変換後の座標が(20,585)なので、サーバ装置20にその座標を送り、本来の位置つまり一番左かつ一番下にスクロールする(図16の(B)参照。)。この位置にスクロールすると常時表示領域が表示される場所なので、常時表示モードを一度解除する。その後は通常通り受信したデータを表示用バッファに反映しスクロール位置に適した部分を画面に表示する。
【0043】
図16に示した例ではスタートボタンをクリックしたという情報を送信しているので、サーバ装置20はそれに対応した処理を行ないクライアント装置10に更新データを送るため、図16(C)のような画面表示になる。
【0044】
上述したように、本シンクライアントシステムによれば、ある領域を常に画面に表示しておくことによって、その領域を画面に表示させるためにスクロールするという手間を省くことができる。また、その領域へのアクセスがあった時に本来の位置に座標変換してからサーバ装置20に情報を送ることにより、使用者の意図する情報を送ることが可能となる。
【0045】
また、常に表示しておきたい領域や、画面のどこに表示するかを使用者が選択するモードを備えることで、使用者の好きなようにカスタマイズできるようになる。
また、常時表示領域にアクセスした際、座標を送るだけではなく、スクロールさせるなどの動作を指定可能にすることで、それに続く処理をしやすくすることができる。
【0046】
また、一度設定した情報を保持しておき、次に同じ条件で接続した場合、再度設定する手間を省くことが可能となる。
さらに、常時表示領域がスクロールによって、画面内に入ってきた場合に限って機能を一時停止することにより、同じ画面に2つの表示が発生することを省くことが出来る。
【0047】
なお、上述の説明では、クライアント装置10の画面がサーバ装置20の画面よりも小さいとしてきたが、クライアント装置10上の画面を1つのアプリケーションとして考え、そのアプリケーションが実行されているウィンドウの大きさが仮想画面に比べて小さいとしてもよい。
【0048】
また、常時表示領域は複数であってもよいし、常時表示をさせておく領域や画面のどこに表示させるか、またその時の振る舞いを使用者が決めるようにしたが、これらを自動で行なえるようにしてもよい。
【0049】
図17は、縮小しない場合の表示例を示す図である。
上述の説明では、常時表示領域のすべてを画面内に納めるように縮小して表示したが、図17に示すように、そのままの大きさでスクロール位置に合わせた表示を行ってもよい。
【0050】
また、設定モードで領域を指定する際、縮小して画面内にすべてを表示してからとしたが、スクロール機能を使って通常サイズのまま領域指定してもよい。
また、ポインティングデバイスを使用するとしたが、直接座標値を入力するなど、場所を特定できる方法であれば何でも良い。
【0051】
また、図10に示した設定テーブルとともに保持しておく内容を、接続先のMACアドレスとログイン名、および仮想画面サイズとしたが、IPアドレスやコンピュータ名など接続相手を特定できるものであれば何でも良いし、また設定自体に名称をつけ使用者が自分の意思でどの設定を使用するか選択できるようにしてもよい。
【0052】
また、データを受信するたびに全画面を書き換える処理になっているが、画面に表示されている更新部分のみ画面更新する処理でも良い。
次に、上述してきた各動作をフローチャートを用いて説明する。
【0053】
図18は、クライアント装置10において実行される通常のクライアント処理の流れを示すフローチャートである。
まず、ステップS1801において、クライアント装置10は、サーバ装置20への接続要求信号を送信し、ステップS1802において、サーバ装置20からの接続許可信号の受信待ちを行なう。
【0054】
ステップS1802で接続要求が拒否されたり所定時間が経過してしまったり(タイムアウト)した場合(ステップS1802:拒否orタイムアウト)は、本クライアント処理を終了し、他方、ステップS1802で接続要求が許可された場合(ステップS1802:許可)は、ステップS1803において、サブルーチン「入力イベント処理」を実行する。
【0055】
図19は、サブルーチン「入力イベント処理」の流れを示すフローチャートである。
ステップS1901において、ユーザからの入力イベントを待ち、ステップS1902において、入力された情報の取得処理を実行する。そして、ステップS1903において、入力された情報がコマンドモードであるか否かを判断する。
【0056】
コマンドモードでないと判断された場合(ステップS1903:N)は、ステップS1904において、入力された情報が設定モードであるか否かを判断する。そして、設定モードであると判断された場合(ステップS1904:Y)は、ステップS1905において、サブルーチン「設定モード処理」を実行して、ステップS1901に戻る。
【0057】
図20は、サブルーチン「設定モード処理」の流れを示すフローチャートである。
まず、ステップS2001において、表示用バッファのデータを全体が表示できるサイズに縮小し、全体を表示する。
【0058】
次に、ステップS2002において、ユーザ(使用者)による常時表示領域を指定し、ステップS2003において、ユーザが指定した常時表示領域の座標を検出する。
そして、ステップS2004において、ユーザによる画面表示位置を指定し、ステップS2005において、ユーザが指定した画面表示位置の座標を検出する。
【0059】
次に、ステップS2006において、表示倍率を計算して、ステップS2007において、ユーザによるアクセス後の動作を指定する。
そして、ステップS2008において、設定テーブルを作成し、本サブルーチン「設定モード処理」を終了する。
【0060】
図19の説明に戻る。
ステップS1904で設定モードでないと判断された場合(ステップS1904:N)は、ステップS1906において、入力された情報が常時表示モードであるか否かを判断する。そして、常時表示モードでないと判断された場合(ステップS1906:N)、すなわち、入力された情報がコマンドモードでも設定モードでも常時表示モードでない場合は、ステップS1907において、その他の各コマンドの処理を実行し、ステップS1901に戻る。
【0061】
他方、入力された情報が常時表示モードであると判断された場合(ステップS1906:Y)は、ステップS1908において、常時表示機能をオンにし、ステップS1909において、設定テーブルがあるか否かを判断する。
【0062】
設定テーブルがあると判断された場合(ステップS1909:Y)は、ステップS1901に戻り、設定テーブルがないと判断された場合(ステップS1909:N)は、上述したステップS1905のサブルーチン「設定モード処理」を実行する。
【0063】
ステップS1903でコマンドモードであると判断された場合(ステップS1903:Y)は、ステップS1910において、入力された情報がスクロールであるか否かを判断し、スクロールであると判断された場合(ステップS1910:Y)は、ステップS1911において、表示用バッファから適切なデータを画面に出力して、ステップS1901に戻る。
【0064】
他方、スクロールでないと判断された場合(ステップS1910:N)は、ステップS1912において、サブルーチン「操作処理」を実行して、ステップS1901に戻る。
図21は、サブルーチン「操作処理」の流れを示すフローチャートである。
【0065】
まず、ステップS2101において、常時表示モードか否かを判断し、常時表示モードであると判断された場合(ステップS2101:Y)は、ステップS2102において、マウス入力のイベントを待つ。そして、マウス入力のイベントが来たら、ステップS2103において、そのマウス入力のイベントの取得座標が設定テーブルで指定された画面表示場所の内部か否かを判断する。
【0066】
マウス入力のイベントの取得座標が表示場所の内部であると判断された場合(ステップS2103:Y)は、ステップS2104において、座標変換処理を実行した後、ステップS2105において、変換後のデータをサーバ装置20へ送信する。そして、ステップS2106において、変換後の座標値を設定テーブルと照らし合わせ、指定された動作を実行して、本サブルーチン「操作処理」を終了する。
【0067】
ステップS2101で常時表示モードでないと判断された場合(ステップS2101:N)は、ステップS2107において、所得したデータをサーバ装置20へ送信して、本サブルーチン「操作処理」を終了する。また、ステップS2103でマウス入力のイベントの取得座標が表示場所の内部でないと判断された場合(ステップS2103:N)も、ステップS2107において、所得したデータをサーバ装置20へ送信して、本サブルーチン「操作処理」を終了する。
【0068】
図18の説明に戻る。
クライアント装置10は、ステップS1804において、サーバ装置20から受信したデータが接続終了要求の信号であるのか、後述する図22のステップS2210で送信された表示用データであるのかを判断する。接続終了要求の信号であると判断された場合(ステップS1804:接続終了要求)は、本クライアント処理を終了する。他方、表示用データであると判断された場合(ステップS1804:表示用データ)は、ステップS1805において、表示用バッファに受信した描画情報(表示用データ)を反映し、ステップS1806において、反映した結果を画面に表示する。そして、ステップS1804以降を繰り返す。
【0069】
図22は、サーバ装置20において実行される通常のサーバ処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS2201において、クアイアント装置10からの接続要求を待ち、ステップS2202において、クライアント装置10からの接続要求を許可するか否かを判断する。
【0070】
接続要求を許可しないと判断した場合(ステップS2202:拒否)は、ステップS2203において、接続要求をしてきたクライアント装置10に対して接続を拒否する通知を送信し、ステップS2201に戻る。
【0071】
他方、接続要求を許可すると判断した場合(ステップS2202:許可)は、ステップS2204において、接続したクライアント装置10から送信されてくるデータの受信待ちを行ない、ステップS2205において、クライアント装置10から送信されてくるデータが切断要求であるか否かを判断する。
【0072】
クライアント装置10から送信されてくるデータが切断要求であると判断された場合(ステップS2205:Y)は、ステップS2206において、切断処理を実行して、ステップS2201に戻る。
【0073】
他方、クライアント装置10から送信されてくるデータが切断要求でないと判断された場合(ステップS2205:N)は、ステップS2207において、クライアント装置10から送信されてくるデータ(入力情報)をアプリケーションへ送付する。
【0074】
次に、ステップS2208において、その入力情報に応じた処理を実行し、ステップS2209において、その処理により生じた画面表示の更新情報を取得する。
そして、ステップS2210において、その更新された画面表示の情報をクライアント装置10へ送信し、ステップS2204以降を繰り返す。
【0075】
図23は、クライアント装置10によるデータ受信・表示処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS2301において、図18のステップS1801、S1802のような通常の接続処理を実行し、ステップS2302において、サーバ装置20からのデータを受信する。
【0076】
次に、ステップS2303において、ステップS2302で受信したデータが表示画面を更新するデータ(表示更新データ)か否かを判断する。
表示更新データでないと判断された場合(ステップS2303:N)は、ステップS2304において、そのデータ内容に応じた処理を実行し、ステップS2302に戻る。
【0077】
他方、表示更新データであると判断された場合(ステップS2303:Y)は、ステップS2305において、その表示更新データを表示用バッファに反映する。
そして、ステップS2306において、スクロール位置情報を取得し、ステップS2307において、画面位置に対応するデータを表示する。
【0078】
次に、ステップS2308において、常時表示機能がオンされているか否かを判断する。
常時表示機能がオンされていないと判断された場合(ステップS2308:N)は、ステップS2302に戻り、他方、常時表示機能がオンされていると判断された場合(ステップS2308:Y)は、ステップS2309において、画面内に常時表示領域が含まれるか否かを判断する。
【0079】
画面内に常時表示領域が含まれると判断された場合(ステップS2309:Y)は、ステップS2302に戻り、他方、画面内に常時表示領域が含まれないと判断された場合(ステップS2309:N)は、ステップS2310において、ステップS2305で反映した表示用バッファから常時表示領域を抽出し、指定した倍率処理を行なう。そして、ステップS2311において、その倍率処理を行なったデータを画面表示場所に表示して、ステップS2302に戻る。
【0080】
次に、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。
上述の実施の形態(第1の実施の形態)と本第2の実施の形態との相違点は、第1の実施の形態では常時表示領域を常に表示させておくのに対して、本第2の実施の形態は、条件に従って常時表示領域を表示させるものである。
【0081】
本第2の実施の形態の説明は、第1の実施の形態をベースとし、第1の実施の形態と異なる部分のみを詳述する。
図24は、第2の実施の形態における常時表示関連の設定とそこにアクセスした際の動作を設定した設定テーブルを示す図である。
(設定モード(追加))
設定モードにおいて、常時表示領域を画面に表示するタイミングに条件を付加する。ここでは、図24に示した設定テーブルのように、表示条件としてマウスが画面表示場所にある時のみ、常時表示領域を画面に表示するものとする。
【0082】
図25は、マウスが画面表示場所以外の所にある時とマウスが画面表示場所内にある時の表示例を示す図である。
データ受信処理においては、第1の実施の形態と同様に、受信したデータを表示用バッファに反映させ、スクロール位置に対応した部分を画面に反映させる。そこで常時表示モードがオンになっていた際に、次の処理が追加される。
(データ受信・表示処理(追加1))
まず、図24に示した設定テーブルから、表示条件を取得する。この場合、マウスの位置が必要となるので、その時点におけるマウスの位置座標を取得する。その値が、図25の(A)に示したように、画面表示場所内でなければ処理を終了し、次のデータを待つ。
(データ受信・表示処理(追加2))
他方、取得した座標の値が、画面表示場所内ならば、常時表示領域を画面に表示するために、次の処理に進む。
【0083】
その結果、図25の(B)に示したような表示となる。
図26は、第2の実施の形態におけるデータ受信・表示処理の流れを示すフローチャートである。
【0084】
ステップS2601において、図23のステップS2301と同様に通常の接続処理を実行し、ステップS2602において、図23のステップS2302と同様にサーバ装置20からのデータを受信する。
【0085】
次に、ステップS2603において、通常の表示処理を実行する。ここで通常の表示処理とは、図23のステップS2303乃至S2307で実行する処理と同様の処理である。
【0086】
次に、ステップS2604において、図23のステップS2308と同様に常時表示機能がオンされているか否かを判断する。
常時表示機能がオンされていないと判断された場合(ステップS2604:N)は、ステップS2602に戻り、他方、常時表示機能がオンされていると判断された場合(ステップS2604:Y)は、ステップS2605において、マウスのある座標値が画面表示場所内であるか否かを判断する。
【0087】
マウスのある座標値が画面表示場所内でないと判断された場合(ステップS2605:N)は、ステップS2602に戻り、他方、マウスのある座標値が画面表示場所内であると判断された場合(ステップS2605:Y)は、ステップS2606において、図23のステップS2309と同様に画面内に常時表示領域が含まれるか否かを判断する。
【0088】
画面内に常時表示領域が含まれると判断された場合(ステップS2606:Y)は、ステップS2602に戻り、他方、画面内に常時表示領域が含まれないと判断された場合(ステップS2606:N)は、ステップS2607において、図23のステップS2310と同様に表示用バッファから常時表示領域を抽出し、指定した倍率処理を行なう。そして、ステップS2608において、図23のステップS2311と同様にその倍率処理を行なったデータを画面表示場所に表示して、ステップS2602に戻る。
【0089】
上述したように、本第2の実施の形態におけるシンクライアントシステムによれば、第1の実施の形態において選択した領域を画面内に常時表示したのを、マウスが指定された領域内にあるときのみ表示するとしたことにより、使用者が必要な時だけ簡単な操作を行なうことで常時表示領域を表示できるようになり、常時表示したことにより通常表示する領域が小さくなるという欠点を減らすことができる。
【0090】
なお、上述の第2の実施の形態では、表示する条件としてマウスの位置を使用したが、あるボタンを押したり、決められた音声を入力したりするなど、使用者が簡単に操作でき、それをクライアント装置10が認識できればなんでも良い。
【0091】
また、条件を満たした時には常に表示しているとしたが、条件を満たした時にある一定時間のみ表示するなど、表示しておく時間を決めても良い。
次に、本発明を適用した第3の実施の形態について説明する。
【0092】
上述の第1の実施の形態と本第3の実施の形態との相違点は、第1の実施の形態では常時表示領域の設定を使用者が行ったのに対して、第3の実施の形態は、常時表示領域の設定をサーバ装置20から取得するものである。
【0093】
本第3の実施の形態の説明は、第1の実施の形態をベースとし、第1の実施の形態と異なる部分のみを詳述する。
図27は、クライアント装置10とサーバ装置20とのデータのやり取りを説明するための図である。
(設定処理1)
まず、使用者が常時表示モードにしたら、図10に示した設定テーブルにデータがあるかどうかを判断する。もしデータがあればそのデータを使って常時表示を行なう。
(設定処理2)
他方、データがなかった場合には、サーバ装置20に情報を要求するパケットを送信する。本第3の実施の形態ではタスクバーに関する情報が欲しいので、タスクバーに関する情報を要求する。
(設定処理3)
サーバ装置20からの応答パケットをタイムアウト付きで待つ。もしタイムアウト時間がきても応答パケットを受信できなかったら警告メッセージを表示し終了する。
(設定処理4)
サーバ装置20ではレジストリから現在のタスクバーの設定を取得することが可能である。要求パケットを受信したら、タスクバーの設定(タスクバーの位置、自動で隠すかどうか、手前に表示するかどうかなど)を取得し、クライアント装置10へ送信する。
【0094】
その後、使用者がタスクバーの設定を変更し、それによってレジストリの値が変更したことを検知したら、サーバ装置20は自発的にクライアント装置10に対して変更された設定値を保持した通知パケットを送信する。
(設定処理5)
そして、クライアント装置10は、応答パケットや通知パケットを受信したら、そのデータを解析し、図10に示した設定テーブルを作成もしくは修正する。ただし、設定の値が「自動で隠す」や「手前に表示しない」という設定になっていたとすると、常時表示領域にタスクバーが存在しない場合があることになってしまう。そのように設定してある値が条件を満たさない場合には、使用者にタスクバー設定の変更を行なうように通知する。
【0095】
上述したように、本第3の実施の形態におけるシンクライアントシステムによれば、第1の実施の形態で常時表示領域を使用者に設定させたのに対して、その値をサーバ装置20から取得することにより、自動で領域設定をすることができる。
【0096】
また、その設定値が条件を満たしているかをチェックする機能を有することで、タスクバーが隠れているのに画面に表示しようとするようなことを無くすことができ、また使用者に通知し変更を促すことで、使用者も状況を認識可能となる。
【0097】
なお、常時表示する常時表示領域をタスクバーとしたが、言語バーなどにしても良く、サーバ装置20から情報を取得できるものであれば何でもよい。
以上、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明してきたが、上述してきた本発明の実施の形態は、サーバ装置またはクライアント装置の一機能としてハードウェアまたはDSP(Digital Signal Processor)ボードやCPUボードでのファームウェアもしくはソフトウェアにより実現することができる。
【0098】
また、本発明が適用されるサーバ装置およびクライアント装置は、その機能が実行されるのであれば、上述の実施の形態に限定されることなく、単体の装置であっても、複数の装置からなるシステムあるいは統合装置であっても、LAN、WAN等のネットワークを介して処理が行なわれるシステムであってもよいことは言うまでもない。
【0099】
また、バスに接続されたCPU、ROMやRAMのメモリ、入力装置、出力装置、外部記録装置、媒体駆動装置、ネットワーク接続装置で構成されるシステムでも実現できる。すなわち、前述してきた実施の形態のシステムを実現するソフトェアのプログラムを記録したROMやRAMのメモリ、外部記録装置、可搬記録媒体を、サーバ装置およびクライアント装置に供給し、それらのサーバ装置およびクライアント装置のコンピュータがプログラムを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0100】
この場合、可搬記録媒体等から読み出されたプログラム自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムを記録した可搬記録媒体等は本発明を構成することになる。
【0101】
プログラムを供給するための可搬記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、DVD−RAM、磁気テープ、不揮発性のメモリーカード、ROMカード、電子メールやパソコン通信等のネットワーク接続装置(言い換えれば、通信回線)を介して記録した種々の記録媒体などを用いることができる。
【0102】
また、コンピュータ(情報処理装置)がメモリ上に読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施の形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現される。
【0103】
さらに、可搬型記録媒体から読み出されたプログラムやプログラム(データ)提供者から提供されたプログラム(データ)が、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現され得る。
【0104】
すなわち、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または形状を取ることができる。
【符号の説明】
【0105】
10 クライアント装置
20 サーバ装置
30 中継装置
201 バス
202 CPU
203 入力装置
204 表示装置
205 ROM
206 RAM
207 VRAM
208 通信I/F
301 バス
302 CPU
303 入力装置
304 表示装置
305 ROM
306 RAM
307 VRAM
308 通信I/F
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置の表示画面の表示範囲よりも大きな表示範囲の仮想画面データから、当該表示画面で表示可能な範囲の表示部分を任意に指定して切り出して表示する端末装置であって、
前記仮想画面データ内に特定表示が含まれており、当該仮想画面データ内で任意に指定されて切り出された前記表示部分に前記特定表示が含まれているか否かを判別する判別手段と、
この判別手段で上記特定表示が含まれていると判別された場合には、前記仮想画面データ内で任意に指定されて切り出された前記表示部分の表示データを前記表示画面に表示し、一方、前記判別手段で前記特定表示が含まれていないと判別された場合には、前記仮想画面データから前記特定表示の表示データを抽出し、その抽出された前記特定表示の表示データを前記切り出された表示部分の表示データと共に表示する表示制御手段と、
を具備したことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、抽出された前記特定表示の表示データを前記表示画面内の所定表示領域に収まる大きさに変更して表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記判別手段は、前記仮想画面データから切り出す前記表示部分の範囲の指定を変更する指示があった際に、その変更された表示部分の範囲に前記特定表示が含まれているか否かを判別する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記判別手段は、前記特定表示内容の常時表示が指定されている場合に、前記表示部分に前記特定表示が含まれているか否かを判別する、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の端末装置。
【請求項5】
端末装置の表示画面の表示範囲よりも大きな表示範囲の仮想画面データから、当該表示画面で表示可能な範囲の表示部分を任意に指定して切り出して表示する端末装置のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記仮想画面データ内に特定表示が含まれており、当該仮想画面データ内で任意に指定されて切り出された前記表示部分に前記特定表示が含まれているか否かを判別する判別手段、
この判別手段で上記特定表示が含まれていると判別された場合には、前記仮想画面データ内で任意に指定されて切り出された前記表示部分の表示データを前記表示画面に表示し、一方、前記判別手段で前記特定表示が含まれていないと判別された場合には、前記仮想画面データから前記特定表示の表示データを抽出し、その抽出された前記特定表示の表示データを前記切り出された表示部分の表示データと共に表示する表示制御手段、
として機能させるようにしたコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項1】
端末装置の表示画面の表示範囲よりも大きな表示範囲の仮想画面データから、当該表示画面で表示可能な範囲の表示部分を任意に指定して切り出して表示する端末装置であって、
前記仮想画面データ内に特定表示が含まれており、当該仮想画面データ内で任意に指定されて切り出された前記表示部分に前記特定表示が含まれているか否かを判別する判別手段と、
この判別手段で上記特定表示が含まれていると判別された場合には、前記仮想画面データ内で任意に指定されて切り出された前記表示部分の表示データを前記表示画面に表示し、一方、前記判別手段で前記特定表示が含まれていないと判別された場合には、前記仮想画面データから前記特定表示の表示データを抽出し、その抽出された前記特定表示の表示データを前記切り出された表示部分の表示データと共に表示する表示制御手段と、
を具備したことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、抽出された前記特定表示の表示データを前記表示画面内の所定表示領域に収まる大きさに変更して表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記判別手段は、前記仮想画面データから切り出す前記表示部分の範囲の指定を変更する指示があった際に、その変更された表示部分の範囲に前記特定表示が含まれているか否かを判別する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記判別手段は、前記特定表示内容の常時表示が指定されている場合に、前記表示部分に前記特定表示が含まれているか否かを判別する、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の端末装置。
【請求項5】
端末装置の表示画面の表示範囲よりも大きな表示範囲の仮想画面データから、当該表示画面で表示可能な範囲の表示部分を任意に指定して切り出して表示する端末装置のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記仮想画面データ内に特定表示が含まれており、当該仮想画面データ内で任意に指定されて切り出された前記表示部分に前記特定表示が含まれているか否かを判別する判別手段、
この判別手段で上記特定表示が含まれていると判別された場合には、前記仮想画面データ内で任意に指定されて切り出された前記表示部分の表示データを前記表示画面に表示し、一方、前記判別手段で前記特定表示が含まれていないと判別された場合には、前記仮想画面データから前記特定表示の表示データを抽出し、その抽出された前記特定表示の表示データを前記切り出された表示部分の表示データと共に表示する表示制御手段、
として機能させるようにしたコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図10】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図26】
【図27】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図10】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図26】
【図27】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図25】
【公開番号】特開2012−64227(P2012−64227A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229389(P2011−229389)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【分割の表示】特願2006−234804(P2006−234804)の分割
【原出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【分割の表示】特願2006−234804(P2006−234804)の分割
【原出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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