説明

端末装置及びプログラム

【課題】電池への負荷を極力抑えつつ、異なる複数種類の読取対象を読取ることができるとともに、読取処理のレスポンスの良い端末装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】端末装置1において、トリガキー34が押下された際に、CPU110が実行プログラム及びデコード処理プログラムを実行すると、読取対象に対して、コードラベルの読取動作を行うパターンと、RFIDタグの読取動作を行うパターンと、が交互に繰り返される交互読取のプロセスが実行され、当該交互読取のプロセスが実行される際に、コードラベルの読取動作に係るデコード処理が開始された時点でRFIDタグの読取動作が開始されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコード及びRFIDタグ等を読み取る端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コードラベルやQRコードラベル(QRコード:登録商標)といった一次元/二次元コードのコードラベル、RFID(Radio Frequency Identification)タグ等の非接触IDタグ、を読取対象として読取り、当該読取対象に書き込まれた情報を取得可能な技術を備えるPDA(Personal Digital Assistant)やハンディターミナルなどの端末装置が知られている。当該端末装置は、各商品に取り付けられた読取対象を読取ることで、商品に関する管理情報などを集積可能なことから、商品資産の棚卸しや商品の在庫管理など多様な用途がある。
【0003】
ところで、当該読取対象を用いて資産の棚卸しや商品の在庫管理を行う上で、管理される商品ごとにコードラベルやRFIDタグがバラバラに取り付けられているような、読取対象の種類が複数混在する場合は往々にして存在する。
また、近年では、RFIDタグとコードラベルの両方の読取対象が同一の商品に取り付けられる場合もある。具体的には、RFIDタグを一意に特定付けるIDが記憶されたRFIDタグ上に、当該RFIDタグと同一のIDを書込んだコードラベルを印刷しておき、RFIDタグに書き込まれたデータを随時サーバに保存しておくような場合である。このような場合、RFIDタグを読取ることが出来ない状況に陥っても、コードラベルからIDを読取ることで、サーバよりRFIDタグに書き込まれたデータを問い合わせることが可能となり、データのバックアップ性が保たれる。
以上のように、商品ごとにコードラベルやRFIDタグなどの異なる種類の読取対象がバラバラに取り付けられる場合や、一の商品に異なる種類の読取対象が複数取り付けられる場合などを考慮して、異なる種類の読取対象を一台の端末装置で読取れることが望まれている。
【0004】
そこで、CCDやMOSを用いた2次元イメージセンサによるコードラベルに対する読取処理とRFIDリーダによるRFIDタグに対する読取処理とが可能に構成され、トリガーボタンの押下により、一の読取対象について、コードラベルに対する読取処理とRFIDタグに対する読取処理とを、時間差をもたせて順次実行する端末装置が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2001−52105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の端末装置では、例え時間差をもたせて順次実行することで電池への負荷を抑えているとしても、コードラベルに対する読取処理の実行が完全に終了した状態で、時間差をもってRFIDタグに対する読取処理が開始されるので、双方の読取処理が完了するまでに多くの時間を必要とし、読取処理のレスポンス向上は望めないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、電池への負荷を極力抑えつつ、異なる複数種類の読取対象を読取ることができるとともに、読取処理のレスポンスの良い端末装置及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、端末装置であって、コードラベルを有する読取対象を撮像して画像データを生成する画像データ生成部、前記画像データ生成部により生成された画像データを基にデコード処理を行うデコード処理部、を有し、前記コードラベルの読取動作を行うコード読取部と、前記読取対象に含まれる非接触IDタグの読取動作を行う非接触ID読取部と、前記読取対象に対して前記コード読取部による前記コードラベルの読取動作を実行し、前記デコード処理部が前記デコード処理を開始した時点で前記読取対象に対して前記非接触ID読取部による前記非接触IDタグの読取動作を開始実行し、前記コードラベルの読取動作又は前記非接触IDタグの読取動作が成功するまで当該コードラベルの読取動作及び非接触IDタグの読取動作を実行する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、プログラムであって、コンピュータを、コードラベルを有する読取対象を撮像して生成される画像データを基にデコード処理し、前記コードラベルの読取動作を行うコード読取手段、前記読取対象に含まれる非接触IDタグの読取動作を行う非接触ID読取手段、前記読取対象に対して前記コード読取手段による前記コードラベルの読取動作を実行し、前記コード読取手段により前記デコード処理が開始された時点で前記読取対象に対して前記非接触ID読取手段による前記非接触IDタグの読取動作を開始実行し、前記コードラベルの読取動作又は前記非接触IDタグの読取動作が成功するまで当該コードラベルの読取動作及び非接触IDタグの読取動作を実行する制御手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
したがって、本発明は、電池への負荷を極力抑えつつ、異なる複数種類の読取対象を読取ることができるとともに、読取処理のレスポンスの良い端末装置及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る端末装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】図1の端末装置において、電力供給部の要部構成を説明するための図である。
【図3】本発明に係る交互読取のプロセスを複数回実行した場合の、端末装置全体,コードスキャナ部,CPU,RFIDリーダ/ライタ部,の状態及び消費電流の時間変化を、デコード処理に要する時間がRFIDタグの読取動作の読取時間を下回る場合について模式的に説明するための図である。
【図4】本発明に係る交互読取のプロセスを複数回実行した場合の、端末装置全体,コードスキャナ部,CPU,RFIDリーダ/ライタ部,の状態及び消費電流の時間変化を、デコード処理に要する時間がRFIDタグの読取動作の読取時間を上回る場合について模式的に説明するための図である。
【図5】コードラベルとRFIDタグの読取動作を同時に実行した場合の、電池の電圧と、端末装置全体,バーコードスキャナ部,RFIDリーダ/ライタ部の消費電流と、端末装置及びトリガキーの状態と、の時間変化を模式的に説明するための図であり、(i)は最小電圧を上回る場合を、(ii)は最小電圧を下回る場合を、それぞれ示す。を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明に係る端末装置による読取処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明に係る端末装置によるスキャン処理及びデコード処理を説明するためのフローチャートであり、(i)がスキャン処理を、(ii)がデコード処理を、それぞれ示す。
【図8】図2の電力供給部の別の要部構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0013】
本実施形態に係る端末装置1は、商品等に取り付けられたコードラベルやQRコードラベルといった一次元/二次元コードのコードラベル、RFIDタグ等の非接触IDタグ、を読取対象として読取り可能なPDAやハンディターミナルなどの携帯端末である。そして、端末装置1は、図1に示されるように、コードスキャナ部10と、RFIDリーダ/ライタ部20と、入出力部30と、二次記憶部40と、電力供給部50と、制御部100と、を含んで構成される。
【0014】
コードスキャナ部10は、制御部100の指示に従い、読取対象(一次元/二次元コードのコードラベル)を撮像して画像データを生成する。具体的には、コードスキャナ部10は、LED(Light Emitting Diode)部11と、撮像部12と、などから構成される。
【0015】
LED部11は、照明光としてのLED光を出射するLEDランプなどの光源であり、読取対象(読取位置)に当該LED光を照射する。
撮像部12は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の撮像素子を備えて構成される。そして、撮像部12は、LED部11のLED光により照明される読取対象を撮像し(光電変換により光学的に読み取り)、画像データを生成する。また、撮像部12は、制御部100により当該画像データのデコード処理を実行するため、生成した画像データを制御部100(後述のRAM120)へ転送する。
なお、撮像素子として、CMOSセンサに替えてCCD(Charge Coupled Device)を用いても勿論よい。
【0016】
RFIDリーダ/ライタ部20は、アンテナ21を有し、制御部100の指示に従い、アンテナ21を介してRFIDタグの情報の読み取りや書き込みを行う。
より具体的には、RFIDリーダ/ライタ部20は、RFIDタグがアンテナ21の読取可能範囲に配置された状態で、制御部100から入力された送信信号を変調してアンテナ21のループコイル(図示省略)に入力する。すると、ループコイルから発生する電磁界を介して、RFIDタグ内のループコイルに電流が発生し、その電気信号が復調され符号化されることにより、RFIDタグ側で情報が受信される。そして、RFIDタグ内のメモリの情報読み出し又は情報書き込みが行われる。また、RFIDタグ内のメモリより読み出した情報等の送信情報の信号に応じてループコイルに発生する電磁界を介して、ループコイルに電流が流れ、RFIDリーダ/ライタ部20によりその電気信号が変調され符号化されることにより、RFIDリーダ/ライタ部20側で情報が受信される。
なお、RFIDリーダ/ライタ部20は、後述のトリガキー34が押下された際に、コードスキャナ部10がコードラベルに対する読取動作を行う位置(読取位置)と同じ位置よりRFIDタグに対する読取動作が行われるように配設されている。
【0017】
入出力部30は、ユーザが端末装置1を入力操作するための各種操作キー/ボタンや出力表示するためのディスプレイ等である。具体的には、入出力部30は、操作部31と、LCD(Liquid Crystal Display)32と、ブザー装置33と、等を含んで構成される。
操作部31は、トリガキー34やその他の各種操作キー/ボタン,LCD32と一体的に設けられるタッチパネル等を含んで構成される。
トリガキー34は、ユーザが読取位置にコードスキャナ部10及びRFIDリーダ/ライタ部20を近づけた状態で当該ユーザに押下操作されることで、読取対象について、コードラベル及びRFIDタグに対する読取動作を制御部100に実行させるためのキーである。
LCD32は、画像表示が可能な液晶ディスプレイであり、制御部100からの画像出力信号に従って各種の画像表示を行う。具体的には、LCD32は、コードスキャナ部10やRFIDリーダ/ライタ部20による読取対象に対する読取結果の表示などを行う。
ブザー装置33は、制御部100からの音声出力信号に従って、ビープ音やアラーム音を発生させて音声出力を行う。
【0018】
二次記憶部40は、読み書き可能な不揮発性メモリであるEEPROM(ElectricallyErasable ProgrammableROM)やフラッシュメモリであり、制御部100からの制御信号に従って、ユーザにより設定されたシステムや各機能に関する設定データなどの各種データを記憶・更新する。
【0019】
電力供給部50は、端末装置1の各部に対して必要な電力供給を行う。具体的には、電力供給部50は、電池51と、DC/DCコンバータ52,53と、複数の状態切換え部54と、を含んで構成される。
電池51は、例えば、ニッケル・カドミウム蓄電池やニッケル・水素蓄電池、リチウムイオン電池等の二次電池であり、電気エネルギーを生成する。
DC/DCコンバータ52,53は、電池51によって生成された電気エネルギーを、端末装置1の各部で必要とされる適切な電圧に変換する。そして、DC/DCコンバータ52にて変換された電圧は後述の制御部100のCPU110に供給され、DC/DCコンバータ53にて変換された電圧は状態切換え部54を介してCPU110以外の端末装置1の各部にそれぞれ供給される。
状態切換え部54は、DC/DCコンバータ53にて変換された電圧による、CPU110以外の端末装置1の各部への電力の供給状態と非供給状態(ON状態とOFF状態,)とを、CPU110がGPIO(General Purpose Input/Output)を介して出力する信号に応じて切換える。また、状態切換え部54は、電力の供給状態と非供給状態とを切換える機能のみならず、端末装置1の各部が通常に起動した状態(駆動状態)である通常モードと端末装置1の各部がサスペンドした状態(待機状態)であるサスペンドモード(スタンバイモード,省電力モード)とを切換える機能も備える。
【0020】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)110と、RAM(Random Access Memory)120と、ROM(Read Only Memory)130と、を含んで構成され、端末装置1の各部を統括制御するコンピュータとして機能する。
【0021】
CPU110は、端末装置1の各部から入力される入力信号に応じて、ROM130に記憶された各種プログラム(プログラムコード)を実行するとともに、実行に係るプログラムに基づいて各部に出力信号を出力することにより、端末装置1の動作全般を統括制御する。具体的には、CPU110は、コードスキャナ部10やRFIDリーダ/ライタ部20の駆動制御、状態切換え部54を介した電力供給状態の切換制御(通常モードとサスペンドモードとのモードの切換制御)、操作部31が操作された際の各種操作信号に対する実行制御、LCD32やブザー装置33を介した画像や音声の出力制御、コードスキャナ部10により読取対象が撮像されて画像データが生成された際に、当該画像データをRAM120に転送させる転送制御などを行う。
RAM120は、CPU110によって実行される処理プログラムなどを展開するためのプログラム格納領域や、入力データや上記処理プログラムが実行される際に生じる処理結果などを一次的に格納するためのデータ格納領域などを備える。具体的には、RAM120は、コードスキャナ部10(撮像部12)より転送される画像データを格納する。
【0022】
ROM130は、例えば、端末装置1で実行可能なシステムプログラムや、当該システムプログラムで実行可能な各種処理プログラム、上記処理プログラムを実行する際に使用されるデータなどを記憶する。具体的には、ROM130は、デコード処理プログラムと、実行プログラムと、などを記憶する。
【0023】
次に、ROM130に記憶されたデコード処理プログラム、実行プログラムについて説明する。
【0024】
デコード処理プログラムは、画像データ生成部により生成された画像データを所定のコード形式のデータへ復元するデコード処理を行う機能をCPU110に実行させるプログラムである。
具体的には、コードスキャナ部10により読取対象が撮像されて画像データが生成され、当該画像データがRAM120に転送されると、CPU110は、当該画像データより一次元コードラベルと二次元コードラベルとのコードラベルの種類の判別を行う。そして、CPU110は、判別結果が一次元コードラベルであった場合、当該一次元コードラベルに係るコードの長さ及び幅と、隣り合うバーの間隔とを算出して、その算出結果を基に一次元コード形式のデータへの復元を行う。一方で、CPU110は、判別結果が二次元コードラベルであった場合、白色及び黒色からなる二次元コードラベルのデータセルの配置パターンを基に二次元コード形式のデータへの復元を行う。また、CPU110は、 当該復元されたデータに対して、チェックディジットを用いた誤り訂正を行う。
なお、上記CPU110によるデコード処理機能は、コードスキャナ部10にデコード処理用の回路を設けることで実現されるように構成しても勿論よい。
【0025】
実行プログラムは、CPU110が、トリガキー34が押下された際に、読取対象に対してコードスキャナ部10及びデコード処理プログラムの実行によるコードラベルの読取動作を行うパターンと、読取対象に対してRFIDリーダ/ライタ部20によるRFIDタグの読取動作を行うパターンと、が交互に繰り返される交互読取のプロセスを実行するためのプログラムである。
【0026】
具体的には、図3及び図4の「状態」の欄に示すように、ユーザによりトリガキー34が押下されてトリガキー34がON状態になると、CPU110は実行プログラムを実行し、状態切換え部54を介してコードスキャナ部10への電力供給を行い、コードスキャナ部10を駆動制御して駆動状態にし(コードスキャナ部10をON状態に切換え)、コードスキャナ部10に読取対象についてのスキャン処理を実施させる。また、CPU110は、上記スキャン処理をコードスキャナ部10に実施させる際に、コードスキャナ部10で生成される画像データの転送制御を行う。ここで、スキャン処理とは、LED部11によるLED光の照射処理,撮像部12による撮像処理と画像データの生成処理,CPU110による当該画像データの転送制御信号に応じて実施する画像データのRAM120への転送処理である。
【0027】
次に、CPU110は、コードスキャナ部10によるスキャン処理が終了すると、デコード処理プログラムの実行により当該転送された画像データのデコード処理を開始する。そして、CPU110は、デコード処理を開始する時点で、状態切換え部54を介してコードスキャナ部10を待機状態に切換えるとともに、RFIDリーダ/ライタ部20への電力供給を行い、RFIDリーダ/ライタ部20を駆動制御して駆動状態にし(RFIDリーダ/ライタ部20をON状態に切換え)、読取対象についてRFIDタグの読取動作を開始する。
次に、RFIDタグの読取動作が終了した段階で、CPU110は、状態切換え部54を介してRFIDリーダ/ライタ部20をOFF状態に切換える。
【0028】
次いで、CPU110は、RFIDタグの読取動作が終了し且つデコード処理が完了した時点で、コードスキャナ部10を駆動状態に切換え、コードスキャナ部10に読取対象についてのスキャン処理を実施させる。ここで、CPU110がデコード処理に要するデコード処理時間TDは、当該CPU110の処理能力やデコード処理の対象となる画像データのデータ量等に応じて可変である。そのため、CPU110は、図3に示すように、RFIDタグの読取動作の読取時間TRよりもデコード処理時間TDが小さい場合、読取時間TRが経過するのを待った後にコードスキャナ部10を駆動状態に切換える一方、図4に示すように、読取時間TRよりもデコード処理時間TDが大きい場合、デコード処理時間TDが経過するのを待った後にコードスキャナ部10を駆動状態に切換えるように制御する。これによって、コードスキャナ部10によるスキャン処理と、RFIDリーダ/ライタ部20による読取動作と、が順次実行されるようになる。
そして、CPU110は、上述の様な交互読取のプロセスを、ユーザがトリガキー34の押下状態を解除するまで、又は、コードラベルとRFIDタグの何れかの読取りが成功するまで繰り返し実行する。
なお、上記コードスキャナ部10の駆動状態と待機状態とは、LED部11によりLED光を照射する状態とLED光の照射を停止する状態とを指す。つまり、状態切換え部54がコードスキャナ部10の駆動状態と待機状態とを切換えた場合でも、撮像部12等のコードスキャナ部10の他の構成は、駆動した状態を継続する。
【0029】
したがって、CPU110が交互読取のプロセスを複数回実行した場合、コードスキャナ部10の消費電流ISと、CPU110の消費電流ICと、RFIDリーダ/ライタ部20の消費電流IRと、端末装置1全体の消費電流IA(消費電流IS,IC,IR,その他端末装置1の各部構成の消費電流を含む)と、は図3及び図4に示されるように変化する。
ここで、図3及び図4において、CPU110は、トリガキー34がユーザに押下された後に交互読取のプロセスを2回実行したものとする。また、当該2回のプロセスの実行終了時点でトリガキー34の押下状態が解除され、CPU110が2回のプロセスを実行する間、コードラベルとRFIDタグの何れの読取りも成功しなかったものとする。
図3及び図4に示すように、CPU110は、コードラベルの読取動作において消費電流量の大きなスキャン処理(特に、LED部11によるLED光の照射処理)とRFIDタグの読取動作とを同時に実行させないので、トリガキー34が押下された際の端末装置1全体の消費電流IAは、消費電流IS又はIRのピーク量分増加するに過ぎない。そのため、図5(i)に示すような、コードラベルとRFIDタグの読取動作を同時に実行した場合のように、消費電流IAの急激な増加を回避することができるので、電池51への負荷を軽減することが出来る。また、コードラベルとRFIDタグの読取動作を同時に実行した際の消費電流IAの急激な増加によって、図5(ii)に示すように、電池51の電圧Vが端末装置1全体を動作させるために必要な最小電圧VMを下回り、端末装置1全体の電力供給が停止するような事態も回避することが出来る。また、CPU110は、スキャン処理の終了後、デコード処理を開始するとともに即座にRFIDタグの読取動作を実行させるので、消費電流IAの急激な増加を抑えつつ読取処理のレスポンスも維持できる。
【0030】
(読取処理)
次に、本実施形態に係る端末装置1による読取処理について図6のフローチャートを用いて説明する。
【0031】
まず、ユーザによりトリガキー34が押下されると、CPU110は、実行プログラムを実行し、状態切換え部54を介してコードスキャナ部10への電力供給を行い、コードスキャナ部10を駆動制御してON状態にする(ステップS1)。
次いで、CPU110は、後述の読取対象に対するスキャン処理を実行する(ステップS2)。
次いで、CPU110は、デコード処理プログラムを実行し、ステップS2のスキャン処理にて生成された画像データのデコード処理を開始する(ステップS3)。
次いで、CPU110は、状態切換え部54を介してRFIDリーダ/ライタ部20への電力供給を行い、RFIDリーダ/ライタ部20を駆動制御してON状態にし(ステップS4)、RFIDリーダ/ライタ部20によるRFIDタグの読取動作を実行させる(ステップS5)。
【0032】
次いで、CPU110は、ステップS5にてRFIDタグの読取りが成功したか否かを判断し(ステップS6)、成功したと判断する場合(ステップS6;Yes)、ステップS16以降の処理に移行する。
一方で、CPU110は、ステップS6にてRFIDタグの読取りが成功していないと判断した場合(ステップS6;No)、ステップS3より開始されたデコード処理が終了しているか否かを判断する(ステップS7)。
【0033】
そして、CPU110は、デコード処理が終了していると判断した場合(ステップS7;Yes)、当該デコード処理の結果を取得し(ステップS8)、デコード処理が成功しているか否かを判断する(ステップS9)。
ここで、CPU110が、デコード処理が成功していると判断(つまり、読取対象についてコードラベルの読取りが成功したと判断)する場合(ステップS9;Yes)、ステップS16以降の処理へ移行する。一方で、CPU110が、デコード処理が成功していないと判断(つまり、読取対象についてコードラベルの読取りが失敗したと判断)する場合(ステップS9;No)、又は、ステップS7にてデコード処理が終了していないと判断した場合(ステップS7;No)、計時部(図示省略)にてRFIDタグの読取動作を開始した時点より計時される時間が読取時間TRを経過したか否かを判断する(ステップS10)。そして、CPU110が、読取時間TRを経過していないと判断する場合(ステップS10;No)、ステップS5以降の処理を繰り返す。
一方で、CPU110は、読取時間TRを経過したと判断する場合(ステップS10;Yes)、RFIDリーダ/ライタ部20を状態切換え部54を介してOFF状態に切換える(ステップS11)。
【0034】
次いで、CPU110は、ステップS4より開始されたデコード処理が終了しているか否かを判断する(ステップS12)。そして、CPU110は、デコード処理が終了していないと判断した場合(ステップS12;No)、終了するまで待機する。
一方で、CPU110は、デコード処理が終了していると判断した場合(ステップS12;Yes)、当該デコード処理の結果を取得し(ステップS13)、デコード処理が成功しているか否かを判断する(ステップS14)。
そして、CPU110は、ステップS14にてデコード処理が成功していると判断した場合(ステップS14;Yes)、ステップS16以降の処理へ移行する。一方で、CPU110は、ステップS14にてデコード処理が成功していないと判断した場合(ステップS14;No)、トリガキー34の押下状態が継続されているか否かを判断する(ステップS15)。そして、CPU110は、ステップS15にて継続されていると判断する場合(ステップS15;Yes)、ステップS2以降の処理を繰り返す。
【0035】
次いで、CPU110は、ステップS6にてRFIDタグの読取りが成功したと判断した場合(ステップS6;Yes),ステップS9及びステップS14にてデコード処理が成功していると判断する場合(ステップS9;Yes、ステップS14;Yes), ステップS15にて継続されていないと判断する場合(ステップS15;No)、コードスキャナ部10及びRFIDリーダ/リーダライタ部20を状態切換え部54を介してOFF状態に切換える(ステップS16)。
そして、CPU110は、LCD32を介して読取対象に対する読取結果の表示を行い(ステップS17)、本処理を終了する。
【0036】
(スキャン処理)
次に、図6に示すフローチャートのステップS2に係るスキャン処理について、図7(i)のフローチャートを用いて説明する。
【0037】
まず、CPU110は、状態切換え部54を介してコードスキャナ部10を駆動状態にすることでLED部11の点灯制御を行い、読取対象に対してLED光を照射させる(ステップS21)。
次いで、CPU110は、撮像部12に読取対象を撮像させ画像データの生成を開始させ(ステップS22)、生成された画像データのRAM120への転送を開始させる(ステップS23)。
次いで、CPU110は、ステップS22にて開始した読取対象の撮像/画像データの生成が終了したか否かを判断し(ステップS24)、終了していないと判断する場合(ステップS24;No)、読取対象の撮像/画像データの生成を継続させる。
一方で、CPU110は、ステップS24にて終了したと判断する場合(ステップS24;Yes)、状態切換え部54を介してコードスキャナ部10を待機状態にすることでLED部11の消灯制御を行い(ステップS25)、ステップS23にて開始した画像データのRAM120への転送が終了したか否かを判断する(ステップS26)。
そして、CPU110は、ステップS26にて終了していないと判断する場合(ステップS26;No)、画像データのRAM120への転送を継続させ、ステップS26にて終了したと判断する場合(ステップS26;Yes)、本処理を終了する。
【0038】
(デコード処理)
次に、図6に示すフローチャートのステップS4に係るデコード処理について、図7(ii)のフローチャートを用いて説明する。
【0039】
まず、CPU110は、スキャン処理にて生成された画像データをRAM120より取得し、デコード処理プログラムを実行してデコード処理を開始する(ステップS41)。
次いで、CPU110は、ステップS41にて開始したデコード処理が終了したか否かを判断し(ステップS42)、終了していないと判断する場合(ステップS42;No)、当該デコード処理を終了するまで継続する。
一方で、CPU110は、デコード処理が終了したと判断する場合(ステップS42;Yes)、ステップS7及びステップS12にてデコード処理が終了したか否かを判別するためのデコード処理終了通知信号を生成する(ステップS43)。
次いで、CPU110は、上記デコード処理の実行により画像データをコード形式のデータへ復元できたか否かを判断することで、デコード処理が成功したか否かを判断する(ステップS44)。そして、CPU110は、ステップS44にてデコード処理が成功したと判断する場合(ステップS44;Yes)、ステップS8及びステップS13にて取得されるデコード処理の結果としてのデコード処理成功通知信号を生成し(ステップS45)、本処理を終了する。
一方で、CPU110は、ステップS44にてデコード処理が失敗したと判断する場合(ステップS44;No)、ステップS8及びステップS13にて取得されるデコード処理の結果としてのデコード処理失敗通知信号を生成し(ステップS46)、本処理を終了する。
【0040】
以上により、本実施形態における端末装置1によると、トリガキー34が押下された際に、CPU110が実行プログラム及びデコード処理プログラムを実行することにより、読取対象に対して、コードラベルの読取動作を行うパターンと、RFIDタグの読取動作を行うパターンと、が交互に繰り返される交互読取のプロセスを実行できる。これにより、読取対象の種類がコードラベルやRFIDタグであっても、一度のトリガキー34の押下操作に応じて読取ることができる。さらに、CPU110は、スキャン処理の終了後、デコード処理を開始するとともに、デコード処理の終了を待つことなく、即座にRFIDタグの読取動作を実行させるので、読取処理のレスポンスも向上できる。
したがって、端末装置1及び制御部100が実行するプログラムは、電池への負荷を極力抑えつつ、異なる複数種類の読取対象を読取ることができるとともに、読取処理のレスポンスの良い端末装置及びプログラムといえる。
【0041】
また、端末装置1において、CPU110が交互読取のプロセスを実行する際に、デコード処理を開始する時点で状態切換え部54を介してコードスキャナ部10を駆動状態より待機状態に切換え、デコード処理が完了し且つRFIDリーダ/ライタ部20によるRFIDタグの読取動作が完了した時点で、状態切換え部54を介してコードスキャナ部10を待機状態より駆動状態に切換える制御を行う。そのため、コードラベルの読取動作において消費電流量の大きなスキャン処理(特に、LED部11によるLED光の照射処理)とRFIDタグの読取動作とが同時に実行されないので、コードラベルとRFIDタグの読取動作を同時に実行する場合に比べて、消費電流IAの急激な増加を防止することができ、電池51への負荷を極力抑えることができる。
【0042】
また、端末装置1において、CPU110は、実行プログラムを実行した後、コードラベルの読取動作が成功した時点又はRFIDタグの読取動作が成功した時点で、当該交互読取のプロセスの実行を終了する。そのため、ユーザは即座に読み取り処理の結果を把握することが可能となるので、電池への負荷を極力抑え、且つ、ユーザにとっての読取処理レスポンスの向上となり、端末装置1の利便性が一層向上する。
【0043】
また、端末装置1において、LED部11によりLED光を照射する状態とLED光の照射を停止する状態とを切換えることで、コードスキャナ部10の駆動状態と待機状態とを切換えることができる。
【0044】
(変形例1)
端末装置1の変形例1について、図8を用いて説明する。
図8に示すように、電力供給部50aは、電池51によって生成された電気エネルギーを、DC/DCコンバータ52と、複数のDC/DCコンバータ53aと、により端末装置1の各部で必要とされる適切な電圧に変換するように構成される。つまり、図2に示す電力供給部50では、一のDC/DCコンバータ53を通過後に、CPU110以外の端末装置1の各部に必要な電圧に配分されて当該各部へ供給されるように構成されていたが、図8に示す電力供給部50aでは、CPU110以外の端末装置1の各部に必要な電圧が、複数のDC/DCコンバータ53aに入力される時点で配分されている点で相違する。
このように構成することで、端末装置1の変形例1は、実施形態1に係る端末装置1と同様の効果が得られることは勿論のこと、CPU110以外の端末装置1の各部に必要な電圧が各部それぞれで相違する場合であっても、複数のDC/DCコンバータ53a各々の変換量を調整することで、容易に各部に必要な電圧を生成することができる。
【0045】
なお、以上の実施形態における記述は、本発明に係る好適な端末装置の一例であり、これに限定されるものではない。
また、以上の実施形態における端末装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関して本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0046】
例えば、CPU110が交互読取のプロセスを実行する際に、デコード処理時間TDよりも読取時間TRが十分短い場合に、デコード処理時間TD中にRFIDタグの読取動作を複数回に亘って実行するように構成してもよい。これにより、例えば、端末装置1を主に読取対象をRFIDタグとする環境で使用する場合、RFIDタグの読取処理のレスポンスが向上するため、ユーザにとっての端末装置1の利便性が一層向上する。
【0047】
また、上記実施形態では、コードスキャナ部10により一次元と二次元の双方のコードラベルの読取りが可能なように構成したが、一次元のコードラベル(バーコードラベル)の読取り用に、別途一次元コードスキャナ部を設けてもよい。この場合、当該一次元コードスキャナ部を、例えば、読取対象に向けてレーザ光を照射し、当該レーザ光の反射光の強度を出力可能なように構成し、CPU110が当該反射光の強度に基づいて、読取対象をコードラベルと仮定した場合に、当該読取対象が一次元のコードラベルと二次元のコードラベルと、の何れである可能性が高いかを推定可能にする。そして、CPU110が二次元のコードラベルと推定した場合には、一次元コードスキャナ部をOFF状態にして交互読取のプロセスを実行する。一方で、CPU110が一次元のコードラベルと推定した場合には、コードスキャナ部10を待機状態やOFF状態にした上で、一次元のコードラベルとRFIDタグの読取動作を交互に実行する。端末装置1をこのように構成することで、一次元のコードラベル,二次元のコードラベル,RFIDタグ,それぞれの読取機構が備わることになるので、異なる種類の読取対象を一層確実に読取ることが可能になるとともに、コードラベルが一次元か二次元かを推定した上で読取動作を実行するので、不必要なコードスキャナ部を駆動しなくてもよいため、端末装置1の省電力化を図ることが出来る。
【0048】
更にまた、上記実施形態では、CPU110が交互読取のプロセスを実行する際に、コードスキャナ部10によるコードラベルの読取動作から開始するとしているが、例えば、端末装置1を主に読取対象をRFIDタグとする環境で使用する場合などに応じて、RFIDリーダ/ライタ部20によるRFIDタグの読取動作から開始するとしてもよい。その場合、最初のRFIDタグの読取動作だけは、コードラベルのデコード処理中ではないため読取処理レスポンスの向上効果は得られないが、利用頻度の高いRFIDタグの方をより早く読み取ることが可能となり、また、交互読取プロセスの繰り返しの2回目以降は上記実施形態と同様となるため、ユーザにとっての端末装置1の利便性はより一層向上する。
【0049】
また、上記実施形態において、フローチャートに記述されている各機能は、コンピュータとしての制御部100(CPU110)が読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶媒体(ROM130)に格納されており、このプログラムコードに従ったコンピュータ(制御部100)による処理動作が実行される。なお、伝送媒体を介して外部より伝送されてきた上述のプログラムコードに従ってコンピュータ(制御部100)による処理動作を実行することもでき、このような伝送媒体も含めて、本実施の形態では記憶媒体と定義する。
【符号の説明】
【0050】
1 端末装置
10 コードスキャナ部(コード読取部)
11 LED部(画像データ生成部、照明部)
12 撮像部(画像データ生成部)
20 RFIDリーダ/ライタ部(非接触ID読取部)
30 入出力部
31 操作部
34 トリガキー
50,50a 電力供給部
54 状態切換え部(切換え部)
100 制御部(コード読取部、デコード処理部、制御手段、コード読取手段、非接触ID読取手段)
110 CPU
120 RAM
130 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コードラベルを有する読取対象を撮像して画像データを生成する画像データ生成部、前記画像データ生成部により生成された画像データを基にデコード処理を行うデコード処理部、を有し、前記コードラベルの読取動作を行うコード読取部と、
前記読取対象に含まれる非接触IDタグの読取動作を行う非接触ID読取部と、
前記読取対象に対して前記コード読取部による前記コードラベルの読取動作を実行し、前記デコード処理部が前記デコード処理を開始した時点で前記読取対象に対して前記非接触ID読取部による前記非接触IDタグの読取動作を開始実行し、前記コードラベルの読取動作又は前記非接触IDタグの読取動作が成功するまで当該コードラベルの読取動作及び非接触IDタグの読取動作を実行する制御部と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の端末装置において、
前記画像データ生成部を駆動状態と待機状態とに切換える切換え部を備え、
前記制御部は、前記切換え部により、前記デコード処理部が前記デコード処理を開始する時点で前記画像データ生成部を前記駆動状態より前記待機状態に切換え、前記デコード処理部による前記デコード処理が完了し且つ前記非接触ID読取部による前記非接触IDタグの読取動作が完了した時点で、前記画像データ生成部を前記待機状態より前記駆動状態に切換える制御を行うことを特徴とする端末装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の端末装置において、
前記制御部は、前記コード読取部による前記コードラベルの読取動作が成功した時点又は前記非接触ID読取部による前記非接触IDタグの読取動作が成功した時点で、前記コード読取部及び前記非接触ID読取部を停止することを特徴とする端末装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の端末装置において、
前記画像データ生成部は、前記読取対象を撮像する際に前記読取対象に照明光を照射する照射部を有し、
前記切換え部は、前記照射部により前記照明光を照射する状態と前記照明光の照射を停止する状態とを切換えることを特徴とする端末装置。
【請求項5】
コンピュータを、
コードラベルを有する読取対象を撮像して生成される画像データを基にデコード処理し、前記コードラベルの読取動作を行うコード読取手段、
前記読取対象に含まれる非接触IDタグの読取動作を行う非接触ID読取手段、
前記読取対象に対して前記コード読取手段による前記コードラベルの読取動作を実行し、前記コード読取手段により前記デコード処理が開始された時点で前記読取対象に対して前記非接触ID読取手段による前記非接触IDタグの読取動作を開始実行し、前記コードラベルの読取動作又は前記非接触IDタグの読取動作が成功するまで当該コードラベルの読取動作及び非接触IDタグの読取動作を実行する制御手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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