説明

笛玩具

【課題】 手などの身体を用いて操ることで動きにアクセントが付けられると共に、その動きに伴って音程が変えられるような全く新しい笛玩具を提供する。
【解決手段】 吹き口等の発音手段と発音口とから構成される笛部と、前記発音口を覆ったり開放するための、手などの人力を用いて操作する音程調節部と、から成る笛玩具とした。手などの人力を用いて音程調節部を操作することによって、音程調節部が前記発音口を覆ったり開放するために、発音口から発っせられる音程が変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、手動で笛の発音口を覆ったり開放するための音程調節部を設けることにより、異なる音程の音を発することが出来る笛玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より水笛や吹き戻し笛など趣向を凝らした笛が提供されて来た。聴覚的な興趣に加えて視覚的な興趣も併有するものとしては、例えば実用新案登録3023067号の「発音おもちゃ」がある。このものは実際の唇よりも誇大で立体的な唇の形状を呈する中空脹らまし体の中央部に、一端を口で銜えて吹くことにより発音する笛体を設けて成るものである。この笛体を吹いて発音させる時に吹く人の顔の唇の前に、実際の唇よりも誇大で立体的な唇の形状を呈する中空脹らまし体が位置するので、顔が奇抜に変装されて視覚的な興趣を生じ、幼児等が飽きることなく十分に楽しめるものとなっている。
【特許文献1】 実用新案登録3023067号公報「発音おもちゃ」図1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これ等の笛は面白くはあるが今では古臭いものとなっている。水笛が出す音はピョロピョロと単調であり、吹き戻し笛は吹くと伸び止めると巻き戻る動きが一定しており、また実用新案登録3023067号の発音おもちゃは外観的な特徴を有するものの動きがない。
【0004】
そこでこの発明は、手などの身体を用いて操ることで動きにアクセントが付けられると共に、その動きに伴って音程が変えられるような、全く新しい笛玩具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、吹き口と発音口とから構成される笛部と、前記発音口を覆ったり開放するための、手などの人力を用いて操作する音程調節部と、から成ることを特徴とする笛玩具とすることにより達成される。笛部に於いては発音口を吹くと吹き口から発音される。この際に手などの人力を用いて音程調節部を操作することにより、音程調節部が前記発音口を覆ったり開放するために、発音口から発っせられる音程が変化する。音程調節部を人力で操作するため、これを速く操ったり遅く操ったりすることを恰も楽器を演奏するかのように自在に行い得る点に特徴を有する。しかもこの操作によって音程調節部が人力操作に合わせて動作する状態を目に見ることが出来るのである。なお笛部の笛には吹き口に弁を有するもの、吹き口と発音口との間に排気口を有するものやこの中に笛玉を備えているもの、牛の声などを模した音を出す鳴き笛、或いはブザー音や電子音を発生するもの、人が話す声や叫ぶ声や犬の声などを発声する電子回路とスピーカとから成るものなどが任意に使用可能である。また人力で音程調節部を操作する仕組としては、例えば親指と他の四指とで挟んだり開いたりさせる構成のものや、ボタンを押したり放したりする構成のものや、レバーを押したり引いたりする構成のものなど任意である。後述するように人の口で操作し得るものとして構成することも可能である。
【0006】
このような笛玩具に於いて、前記発音口にこの発音口よりも大きな空洞部が設けられており、この空洞部の開口部分すなわち実質的な発音口に前記音程調節部が設けられているものとすることが出来る。大きな開口部分とすることによって実質的な発音口を覆いやすいものとして構成することが出来る。
【0007】
次に請求項1または請求項2に記載の笛玩具に於いて、前記音程調節部の外観形状が動物等の口を模した形状とすることが出来る。動物等の口としてはブタの口やアヒルのくちばし等を上げることが出来る。また人間のくちびるの形状もこれ等に含まれる。
【0008】
更に前記動物等の口が常には前記発音口を開放する方に付勢されており、手で前記動物等の口を開閉するものとすることが出来る。動物等の口すなわち音程調節部を手の力を加えるまでは前記発音口を開放するようにしておき、手で力を加えることで発音口を閉じ、次に力を抜くと自動的に発音口を開放するのであり、人力による開放操作を助けることが出来るように構成されている。
【0009】
あるいは前記動物等の口が常には前記発音口を開放する方に付勢されており、前記動物等の口が遊戯者の口にくわえ得る部位を備えており、遊戯者の口で前記動物等の口を開閉するものとすることが出来る。音程調節部は操作者の口の力で閉じられるが、開放に際してはこの機構が開放操作を助けることが出来るように構成されている。なお口にくわえ得る部位として特に操作者のくちびるや歯で挟めるように凹部を設けるようにしても良い。
【0010】
さらに前記動物等の口を構成要素とする面を備えているものとすることが出来る。すなわち顔に面を付けて前記動物等の口を操作者の口でくわえるようにして操作するのである。なお面を操作者の顔に固定するためのゴム紐などの固定手段を設けるようにすることが出来る。
【0011】
次に請求項1または請求項2に記載の笛玩具に於いて、音色の異なる複数の前記笛部を備えているものとすることが出来る。この笛を吹き分けると共に手などの人力を用いて音程調節部を操作することで多彩な笛の音を奏でることが可能である。なお複数の笛部を同時に吹き得るように構成しても良い。
【発明の効果】
【0012】
この結果、手などの人力を用いて操作する音程調節部を備えることによって、操作者が音程調節部の動きを自由に操作することが出来ると共にその動きに伴って音程が変えられるような、全く新しい笛玩具を提供することが出来た。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下この発明の実施形態を図面を参照しつつ説明するが、この発明はこれ等の実施形態にのみ限定されるものではなく、各種のバリエーションを与えることが可能である。
【0014】
第1実施形態
図1乃至図3はこの発明の第1実施形態の笛玩具である。アヒルの嘴を模した上顎部3と下顎部4とは各々の軸受部30,40が回動軸5にて回動自在に軸支されている。ここで前記回動軸5にはバネ50が設けられており、前記上顎部3と下顎部4とを常には上下に開く方向に付勢している。また前記下顎部4の内側には上面を開口して共鳴口20とした箱状の共鳴室2が設けられており、この共鳴室2の後部側(前記嘴の先部とは反対側)には笛部1がその発音口11を共鳴室2内に導入されるようにして取り付けられており、その吹き口10が前記嘴の後部側に突出して設けられている。また前記共鳴室2の共鳴口20を発音調節体21の下側の開閉蓋22で閉じたり開いたりし得るように、前記上顎部3の内側に発音調節体21が設けられている。
【0015】
上述したように上顎部3と下顎部4とは回動軸5のバネ50によって常には上下に開く方向に付勢されている。この状態は図3で表わされている通りである。そこで両手または片手の親指を下顎部4の下側面に当て他の1乃至4指を上顎部3の上側面に当てて前記バネ力に抗して嘴を閉じる方向に力を加えると、上顎部3と下顎部4とが近接し、共鳴室2の共鳴口20が発音調節体21の下側の開閉蓋22で狭められるか閉じられるかする(図1)。次いで手で押える力を抜くとバネ50によって嘴が開口する(図2)。またこの動作を繰り返して行うことが出来る。従ってこの際に笛部1の吹き口10に口を付けて吹くと、呼気は発音口11から共鳴室2内へ抜け、更には共鳴口20から外へ出るのであるが、この時共鳴口20が開閉蓋22で閉じられているか開かれているかの違いによって異なる音程の音が発っせられるのである。嘴の開閉の動作を繰り返せば、これに合わせるようにして音程が変化する。なお回動軸5に設けた前記バネ50に付いて、これを用いない構成も可能である。
【0016】
第2実施形態
上述した第1実施形態の笛玩具では、上顎部3と下顎部4との開閉動作を手で行うものとしたが、この実施形態の笛玩具ではこの開閉動作を口で行い得るように構成している点に特徴を有する。図4の側面図でこの実施形態を説明するが、上顎部3の後端部(前記嘴の先部とは反対側の端部)には上唇で押すための銜え部31が、また下顎部4の後端部(同上)には下唇で押すための銜え部41が設けられており、この間より笛部1が突出している。なお上顎部3と下顎部4とは図中鎖線で表わした回動軸5を以て開閉自在に組み付けられており、この回動軸5に図示しないバネが設けられており、このバネは前記上顎部3と下顎部4とを常には閉じる方向に付勢している。
【0017】
そこで上下の銜え部31と銜え部41とを口で銜えて閉じるように力を加えると、それによって逆に上顎部3と下顎部4とが開く方向に動く。また銜え部31と銜え部41とを口で銜えた時には既に笛部1が口の中に入った状態となっているため、口の力で嘴の開閉動作を行いつつ笛を吹くようにすると、これに合わせて音程が変化するように笛が鳴る。なおこの実施形態では回動軸5を上下の銜え部31と銜え部41の前方(図4の左方)に設けているが、これを後方(図4の右方)に設ける設計も可能であり、この場合には上下の銜え部31と銜え部41とを口で銜えて閉じるように力を加えるとそれによって上顎部3と下顎部4とが閉じる方向に動くようになる。
【0018】
第3実施形態
上述した第2実施形態の笛玩具は上下の銜え部31と銜え部41とが口で銜えられることにより支持されるようになっている。更にこの第3実施形態ではこの笛玩具が面6に取り付けられている点に特徴を有する。従って面6を顔面に当てて銜え部31と銜え部41とを口で銜えて支持するようにする。
【0019】
なお前記面6にゴム紐を付けるなどして、これにより面6を顔面に着用し得るように構成しても良い。この場合には面6の重さや笛周りを構成する部材の重さを口で受けるよりも頭部に預けることが可能になる。
【0020】
第4実施形態
次に図6はこの発明の笛玩具に用いる共鳴室2周りの構成を表わす。すなわち共鳴室2には2つの音色の異なる笛部12,13が取り付けられている。なお更に笛部の数を増やすことが可能であり、またそれによって音階を構成することが可能である。
【0021】
前記2つの笛部12,13はこれを別々に吹いても、同時に吹くようにしても良い。この何れの場合であっても笛の音程は嘴の開閉によって変化する。2つの笛部12,13を同時に吹くと2つの音色が聞かれるが、嘴の開閉で更に複雑な音色を聞くことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0022】
上述した実施形態ではアヒルの嘴を模した例を上げたが、具象体に限らずどのような形態のものであってもこの発明の笛玩具を構成することが出来る。また笛を吹いた時の風力を利用して風車を回転させ、この動力で自動的に発音口を覆ったり開放したりするように構成することも出来る。
【0023】
またこの発明の構成は玩具のみならず防犯用の笛などにも適用することが可能である。更には楽器への応用が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】 第1実施形態の断面図である。
【図2】 同実施形態の正面図である。
【図3】 同実施形態の断面図である。
【図4】 第2実施形態の側面図である。
【図5】 第3実施形態の正面図である。
【図6】 第4実施形態の共鳴室2周りの平面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 笛部
10 吹き口
11 発音口
12 笛部
13 笛部
2 共鳴室
20 共鳴口
21 音程調節体
22 開閉蓋
3 上顎部
30 軸受部
31 銜え部
4 下顎部
40 軸受部
41 銜え部
5 回動軸
50 バネ
6 面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹き口と発音口とから構成される笛部と、前記発音口を覆ったり開放するための、手などの人力を用いて操作する音程調節部と、から成ることを特徴とする笛玩具。
【請求項2】
前記発音口にこの発音口よりも大きな空洞部が設けられており、この空洞部の開口部分すなわち実質的な発音口に前記音程調節部が設けられている、請求項1に記載の笛玩具。
【請求項3】
前記音程調節部の外観形状が動物等の口を模した形状である、請求項1または請求項2に記載の笛玩具。
【請求項4】
前記動物等の口が常には前記発音口を開放する方に付勢されており、手で前記動物等の口を開閉するものである、請求項3に記載の笛玩具。
【請求項5】
前記動物等の口が常には前記発音口を開放する方に付勢されており、前記動物等の口が遊戯者の口にくわえ得る部位を備えており、遊戯者の口で前記動物等の口を開閉するものである、請求項3に記載の笛玩具。
【請求項6】
前記動物等の口を構成要素とする面を備えている、請求項3に記載の笛玩具。
【請求項7】
音色の異なる複数の前記笛部を備えている、請求項1または請求項2に記載の笛玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−183393(P2008−183393A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47976(P2007−47976)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(391004609)三共理研株式会社 (21)
【Fターム(参考)】