説明

笠木取り付け構造

【課題】 住宅の階段や廊下の出隅入隅コーナー部、又は、階段の上がり鼻部の笠木取り付け構造であって、笠木の接続箇所の加工精度が多少劣っていても、簡単に精度良く仕上がり良く取り付け可能で、また、施工作業性にも優れ、さらに、単一の部材のみで極めて容易に笠木どうしを接続可能とし、長期間使用後に化粧シートの剥離等が生じても目立つことがない笠木取り付け構造を安価に提供することにある。
【解決手段】 手すり壁のコーナー部に笠木部材によって取り付けられる笠木取り付け構造であって、一方の水平笠木と、それと略直角に取り付けられる他方の水平笠木と、それらを接続する笠木部材とからなり、該笠木部材によって水平笠木どうしが略直交するように折曲して設けられ、笠木部材の端縁に切欠段部が設けられ、水平笠木端縁が笠木部材の切欠段部に嵌合されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物の階段や廊下の手すり壁の上部端面を覆う笠木であって、特に階段や廊下のコーナー箇所又は階段の手すり壁の床面からの略垂直な立ち上がり部に取り付けられる笠木の取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の階段や廊下の手すり壁の上部端面を覆う部材として笠木が用いられてきた。この笠木は階段や廊下を人が昇降したり、また、歩行する際、笠木の天面に手を添えながら移動すると安全にしかも楽に移動できるので大変重宝であるとともに手すり壁の上部端面の外観の向上にも有用な部材であった。用いられる材料としては、アルミ、真鍮、鋼板製など金属製のもの、塩ビ、ポリエステル樹脂など合成樹脂成型体を利用したもの、欅、桧、松、メープル、ナラ、オーク、チーク、ウオルナットなどの木質無垢材のラミナを集成接着して作製された集成材からなるもの、合板又は中比重繊維板等の木質基材表面に化粧材を貼着したものなど、さまざまな材質のものがある。
【0003】
図6に従来例の笠木取り付け構造を示す。(イ)は水平屈曲部を示す平面図、(ロ)及び(ハ)は階段の上がり鼻部を示す側面図である。本図で示すように、前記階段や廊下の手すり壁3の上部壁面3aは必ずしも直線状とはいえなかった。すなわち、手すり壁3は直線状の部分だけでなく、略直角に折曲し出隅又は入隅のコーナー部Cに用いられる場合も多々あった。この場合、水平に略直角に折曲するコーナー部Cに取り付けられる二本の水平笠木12どうしは、従来は留め加工Tで接続されていた。
【0004】
また、階段の場合は上がり鼻部において、斜行する階段の手すり壁3に用いる斜行笠木15と階段の手すり壁3の床材10の表面から略垂直に立ち上がる部分に用いる垂直笠木16の二本の笠木どうしが斜交する状態で取り付けされることも多々あった。この場合においても、二本の笠木どうしは留め加工Tで接続されていた。また、階段の上がり鼻部において、階段の手すり壁3の垂直壁面には垂直笠木16を設けず、斜行笠木15の下端縁に特に加工を施さないままで取り付けされることも多々あった。
【0005】
また、前記階段の手すり壁の場合、手すり壁の上部の大半が斜行して設けられ、それに続く下部の一部が水平に設けられる手すり壁の場合もあり、この場合は笠木においても手すり壁の上部端縁に沿って同様の形状で設けられている。すなわち、斜行笠木の下部の一部が水平に形成されている。このように下部の一部が水平な斜行笠木も用いられてきた。この場合においても、前記斜行笠木と垂直笠木の二本の笠木どうしが斜交する状態で取り付けされ、斜行笠木の下端部は水平で、垂直笠木とは略直角に取り付けられていた。この場合においても、二本の笠木どうしは留め加工Tで接続されていた。
【0006】
さらに、図6の(ハ)に示し、上記に詳述したように、階段における手すり壁3に取り付ける斜行笠木15の場合、斜行笠木15のみを取り付け、床面から略垂直に立ち上がる垂直笠木16を取り付けないといった施工も行われてきた。この場合は、上述したように、特に加工を施さないままで、すなわち、斜行笠木15の下端縁は単に切断しただけの仕上げであった。
【0007】
また、他の場合、特にベランダ等に用いられる金属製の柵状手摺の場合は、出隅又は入隅のコーナー部分にコーナー支柱を設け、該コーナー支柱を略直角に折曲する箇所の中心部に位置付け、笠木をコーナー支柱の箇所で略直交する二方向からコーナー支柱に留め加工で当接させた構造のものが用いられてきた。
【0008】
このように、例えば出隅又は入隅コーナーの場合、筒状の笠木部材同士を略直角に端縁部で突き合わせ、コーナー支柱、平板部材及びコーナー部材を利用して連結する手摺連結構造の記載がある。(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】特開2001−040849号公報(第1−4頁、第1−2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上記特開2001−040849号公報に記載された手摺連結構造によれば、笠木の連結箇所である出隅又は入隅コーナー部にコーナー支柱を必ず必要とし、さらに、平板部材やコーナー部材といった連結部材が複数種類必要となり部品点数も増え施工作業も繁雑になり、施工コストも高価につくといった問題点があった。さらに、2本の笠木どうしの交わる直角精度が極めて高くなければ取り付けにくくなり施工作業性にとって問題があった。
【0011】
また、階段や廊下の上部壁面の手すり壁に用いる笠木において、出隅又は入隅コーナー部で水平に略直角に折曲して取り付けられる笠木の場合も、また、階段の場合で斜行する手すり壁に用いる斜行笠木の下端縁と床面から略垂直に立ち上がる垂直笠木とを斜行して取り付けられる笠木の場合も、二本の笠木どうしは留め加工で接続されていた。この留め加工は、出隅又は入隅コーナー部で水平に略直角に折曲して取り付けられる水平笠木の場合、該水平笠木を45度の傾斜角度でかなり精確に切断加工する必要がある。また、階段の場合で斜行する手すり壁に用いる斜行笠木の下端縁と床面から略垂直に立ち上がる垂直笠木とを斜行して取り付ける笠木の場合、笠木を略67.5度の傾斜角度でかなり精確に切断加工する必要がある。その際、切断精度が良くないと留め加工箇所で笠木どうしの間に隙間が発生するといった問題点があった。
【0012】
さらに、笠木表面の化粧シートや化粧単板が長期間使用中に剥離することがあるが、この留め加工の場合、化粧シートや化粧単板の剥離が目立ち易く見た目の外観的に劣るものとなっていた。
【0013】
また、出隅又は入隅コーナー部で水平に略直角に折曲して取り付けられる水平笠木の場合、コーナー下地に接着手段と機械的手段を併用して水平コーナー部材を取り付ける際、前記接着手段の接着力の発現にある程度の時間を要するが、機械的手段を用いることによって発生する衝撃で、接着力が完全に発現する途中で、二本の水平笠木の取り付け位置ズレが生じることがあり、これを防止するには手で水平笠木を押さえながら機械的手段で取り付ける必要があり、施工性が極めて悪かった。
【0014】
また、階段における手すり壁に斜行笠木のみを取り付け床面から略垂直に立ち上がる垂直笠木を取り付けない場合においても、斜行笠木の下端縁はよほど精度良く切断しないと見た目の外観的に劣るものとなるといった問題点があった。
【0015】
本発明の目的は、住宅の階段や廊下の出隅又は入隅コーナー部の手すり壁の上部端縁に水平方向に略直角に取り付けられる水平笠木どうし、又は、階段の手すり壁に設ける斜行笠木の下端縁と床面から略垂直に立ち上がる部分に取り付けるための垂直笠木どうし、又は、階段の場合で斜行笠木のみ取り付け垂直笠木を省略する場合の笠木取り付け構造であって、二本の笠木の接続箇所で切断加工精度が多少劣っていても簡単に精度良く外観的にも仕上がり良く取り付け可能で、また、取り付けの際の施工作業性にも優れ、さらに、単一の部材のみで極めて容易に笠木どうしを接続可能とし、長期間使用後に化粧シートの剥離等が生じても目立つことがない笠木取り付け構造を安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、住宅の手すり壁コーナーの上部端縁にコーナー下地を介して笠木部材によって取り付けられる笠木取り付け構造であって、一方の水平笠木と、それと略直角に取り付けられる他方の水平笠木と、それらを接続する笠木部材としての水平コーナー部材とからなり、該水平コーナー部材によって両方からの水平笠木どうしが略直交するように折曲して設けられ、前記水平コーナー部材の笠木側端縁に切欠段部が被せ部を残すようにして設けられ、前記水平笠木端縁が水平コーナー部材の切欠段部に嵌合され、被せ部で隠蔽されていることを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、住宅の階段や廊下の出隅又は入隅コーナー部の手すり壁の上部端縁に笠木部材としての水平コーナー部材を介して二本の水平笠木を略直角に取り付ける際、前記水平笠木端縁が切欠段部内に嵌合され、被せ部で隠蔽されているので、二本の水平笠木の接続箇所で切断加工精度が多少劣っていても簡単に精度良く外観的にも仕上がり良く取り付け可能で、単一の連結部材のみで極めて容易に水平笠木どうしを連結可能とし、長期間使用後に化粧シートの剥離等が生じても目立つことがない笠木取り付け構造が安価に可能となる。しかも、単一の連結部材のみで極めて容易に水平笠木どうしを略直角に連結可能となる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の笠木取り付け構造において、前記水平コーナー部材はコーナー下地の表面に設けられた接着手段とコーナー下地の端部に設けられた機械的取付手段とを併用して取り付け固定されており、前記コーナー下地表面の水平笠木側の端縁近傍に補助固定手段があらかじめ設けられていることを特徴とする。
【0019】
このような構成によれば、前記コーナー下地表面の水平笠木側の端縁近傍に補助固定手段があらかじめ設けられているので、コーナー下地の表面に接着手段を用い、それと併用してコーナー下地の端部に機械的取付手段を用いて水平コーナー部材を取り付け固定する際、前記接着手段の接着力の発現にある程度の時間を要するが、その間、前記補助固定手段が水平コーナー部材をしっかりと固定するので、機械的取付手段の衝撃で水平コーナー部材と水平笠木との取り付け位置ズレが生じるといった恐れがなく精度良く取り付け可能で、しかも施工作業性に大変優れる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、住宅の階段の手すり壁の上部端縁及び床面から略垂直な立ち上がり側面に笠木部材によって取り付けられる笠木取り付け構造であって、階段側の斜行笠木と、床面から立ち上がるように取り付けられる垂直笠木と、それらを接続する笠木部材としての縦コーナー部材とからなり、該縦コーナー部材を介して両方からの笠木どうしが斜交するように折曲して設けられ、前記縦コーナー部材の少なくとも斜行笠木側の端縁には切欠段部が被せ部を残すようにして設けられ、前記斜行笠木の端縁が縦コーナー部材の切欠段部に嵌合され被せ部で隠蔽されており、前記垂直笠木の上部端縁が縦コーナー部材の下端縁に嵌合又は当接していることを特徴とする。
【0021】
このような構成によれば、住宅の階段の手すり壁の上部端縁に斜行笠木及び床面から略垂直な立ち上がり側面に垂直笠木を取り付けるために笠木部材を取り付ける際、前記斜行笠木の下端縁が切欠段部内に嵌合され、被せ部で隠蔽されており、垂直笠木の上部端縁が縦コーナー部材の下端縁の切欠段部内に嵌合されるか又は縦コーナー部材に隠れるので二本の笠木の接続箇所で切断加工精度が多少劣っていても、外観上欠点が目立ちにくい。すなわち、斜行笠木下端縁は縦コーナー部材に設けられた切欠段部内に嵌合されるので欠点が目立ちにくく、また、垂直笠木上部端縁は縦コーナー部材に嵌合または当接することで縦コーナー部材に隠れて外観上欠点が目立ちにくい。従って、簡単に精度良く外観的にも仕上がり良く取り付け可能で、単一の連結部材のみで極めて容易に笠木どうしを連結可能とし、長期間使用後に化粧シートの剥離等が生じても同様の理由で欠点が目立ちにくい笠木取り付け構造を安価に提供することができる。しかも、単一の部材のみで極めて容易に施工できる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、住宅の階段の手すり壁の上部端縁に笠木部材によって斜行して取り付けられる笠木取り付け構造であって、斜行して取り付けられる斜行笠木と、該斜行笠木の下端縁に取り付けられる笠木部材としてのスタート部材とからなり、前記スタート部材の斜行笠木側の端縁に切欠段部が被せ部を残すようにして設けられ、前記斜行笠木の下端縁がスタート部材の切欠段部に嵌合され、被せ部で隠蔽されていることを特徴とする。
【0023】
このような構成によれば、階段の手すり壁上部端面に斜行笠木を取り付ける際、前記斜行笠木の下端縁が切欠段部内に嵌合され、被せ部で隠蔽されているので、欠点が目立ちにくい。すなわち、斜行笠木の下端部で切断加工精度が多少劣っていても、斜行笠木の下端縁がスタート部材の切欠段部に嵌合され、被せ部で隠蔽されているので、極めて簡単に精度良く外観的にも仕上がり良く取り付け可能で、単一の連結部材のみで極めて容易に斜行笠木下端部を仕上がり良く納めることが可能で、しかも、長期間使用後に化粧シートの剥離等が生じても目立つことがない笠木取り付け構造を安価に提供することができる。しかも、単一の部材のみで極めて容易に施工できる。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の笠木取り付け構造において、前記笠木部材と笠木とが接着手段と機械的取付手段とを併用して取り付け固定されており、前記笠木部材と笠木とが嵌合又は当接する箇所に補助固定手段があらかじめ設けられていることを特徴とする。
【0025】
このような構成によれば、前記縦コーナー部材やスタート部材などの笠木部材と笠木とが嵌合又は当接する箇所に補助固定手段があらかじめ設けられているので、前記縦コーナー部材やスタート部材などの笠木部材を接着手段と機械的取付手段とを併用して取り付け固定する際、前記接着手段の接着力の発現にある程度の時間を要するが、その間、前記補助固定手段が縦コーナー部材やスタート部材などの笠木部材をしっかり固定するので、機械的取付手段の衝撃で前記縦コーナー部材やスタート部材などの笠木部材の取り付け位置ズレが生じる恐れがなく精度良く取り付け可能で、しかも、施工作業性に大変優れる。
【0026】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の笠木取り付け構造において、前記笠木及び笠木部材が木質の集成材からなることを特徴とする。
【0027】
このような構成によれば、木質集成材は現場加工し易く、しかも、加工し易いわりには強度耐久性にも優れているので施工作業性、強度耐久性にとって、よりいっそう優れたものとなる。
【発明の効果】
【0028】
請求項1に記載の発明によれば、住宅の階段や廊下の出隅又は入隅コーナー部の手すり壁の上部端縁に笠木部材としての水平コーナー部材を介して二本の水平笠木を略直角に取り付ける際、前記水平笠木端縁が切欠段部内に嵌合され、被せ部で隠蔽されているので、二本の水平笠木の接続箇所で切断加工精度が多少劣っていても簡単に精度良く外観的にも仕上がり良く取り付け可能で、単一の連結部材のみで極めて容易に水平笠木どうしを連結可能とし、長期間使用後に化粧シートの剥離等が生じても目立つことがない笠木取り付け構造が安価に可能となる。しかも、単一の連結部材のみで極めて容易に水平笠木どうしを略直角に連結可能となる。
【0029】
請求項2に記載の発明によれば、前記コーナー下地表面の水平笠木側の端縁近傍に補助固定手段があらかじめ設けられているので、コーナー下地の表面に接着手段を用い、それと併用してコーナー下地の端部に機械的取付手段を用いて水平コーナー部材を取り付け固定する際、前記接着手段の接着力の発現にある程度の時間を要するが、その間、前記補助固定手段が水平コーナー部材をしっかりと固定するので、機械的取付手段の衝撃で水平コーナー部材と水平笠木との取り付け位置ズレが生じる恐れがなく精度良く取り付け可能で、しかも施工作業性に大変優れる。
【0030】
請求項3に記載の発明によれば、住宅の階段の手すり壁の上部端縁に斜行笠木及び床面から略垂直な立ち上がり側面に垂直笠木を取り付けるために笠木部材を取り付ける際、前記斜行笠木の下端縁が切欠段部内に嵌合され、被せ部で隠蔽されており、垂直笠木の上部端縁が縦コーナー部材の下端縁の切欠段部内に嵌合されるか又は縦コーナー部材に隠れるので二本の笠木の接続箇所で切断加工精度が多少劣っていても、外観上欠点が目立ちにくい。すなわち、斜行笠木下端縁は縦コーナー部材に設けられた切欠段部内に嵌合されるので欠点が目立ちにくく、また、垂直笠木上部端縁は縦コーナー部材に嵌合または当接することで縦コーナー部材に隠れて外観上欠点が目立ちにくい。従って、簡単に精度良く外観的にも仕上がり良く取り付け可能で、単一の連結部材のみで極めて容易に笠木どうしを連結可能とし、長期間使用後に化粧シートの剥離等が生じても同様の理由で欠点が目立ちにくい笠木取り付け構造を安価に提供することができる。しかも、単一の部材のみで極めて容易に施工できる。
【0031】
請求項4に記載の発明によれば、階段の手すり壁上部端面に斜行笠木を取り付ける際、前記斜行笠木の下端縁が切欠段部内に嵌合され、被せ部で隠蔽されているので、欠点が目立ちにくい。すなわち、斜行笠木の下端部で切断加工精度が多少劣っていても、斜行笠木の下端縁がスタート部材の切欠段部に嵌合され、被せ部で隠蔽されているので、極めて簡単に精度良く外観的にも仕上がり良く取り付け可能で、単一の連結部材のみで極めて容易に斜行笠木下端部を仕上がり良く納めることが可能で、しかも、長期間使用後に化粧シートの剥離等が生じても目立つことがない笠木取り付け構造を安価に提供することができる。しかも、単一の部材のみで極めて容易に施工できる。
【0032】
請求項5に記載の発明によれば、前記縦コーナー部材やスタート部材などの笠木部材と笠木とが嵌合又は当接する箇所に補助固定手段があらかじめ設けられているので、前記縦コーナー部材やスタート部材などの笠木部材を接着手段と機械的取付手段とを併用して取り付け固定する際、前記接着手段の接着力の発現にある程度の時間を要するが、その間、前記補助固定手段が縦コーナー部材やスタート部材などの笠木部材をしっかり固定するので、機械的取付手段の衝撃で前記縦コーナー部材やスタート部材などの笠木部材の取り付け位置ズレが生じる恐れがなく精度良く取り付け可能で、しかも、施工作業性に大変優れる。
【0033】
請求項6に記載の発明によれば、木質集成材は現場加工し易く、しかも、加工し易いわりには強度耐久性にも優れているので施工作業性、強度耐久性にとって、よりいっそう優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の詳細を図面に従って説明する。図1は本発明の第一実施形態の笠木取り付け構造で水平折曲部の斜視図である。図2は本発明の第一実施形態の施工手順を示す説明図である。(イ)は水平コーナー部材取り付け前の状態を示す説明図である。(ロ)は水平コーナー部材取り付け後の一部切欠側面図である。図3は本発明の第二実施形態の笠木取り付け構造で階段の上がり鼻部における斜視図である。図4の(イ)は本発明の第二実施形態の要部拡大側断面図である。(ロ)は第二実施形態の他の例の要部拡大側断面図である。図5は本発明の第三実施形態における笠木取り付け構造で階段の上がり鼻部における側断面図である。図中、1は水平コーナー部材、1aは笠木側端縁、Dは切欠段部、Eは切欠段部の被せ部、Lは切欠段部の深さ寸法、Wは切欠段部の幅寸法、2は水平笠木、2aは水平笠木端縁、3は手すり壁、3aは斜行する手すり壁の上部端縁、3bはコーナー下地、3cは階段の上がり鼻部において床面から略垂直に立ち上がる側面、Cはコーナー部、Nは機械的取付手段、Sは接着手段、Hは補助固定手段、4は縦コーナー部材、4aは斜行笠木側の端縁、4bは下端縁、F1は平坦面、5は斜行笠木、5aは斜行笠木下端縁、6は垂直笠木、6aは垂直笠木の上部端縁、7はスタート部材、7aはスタート部材の斜行笠木側端縁、7bはスタート部材の下端縁、F2は平坦面、8は踏板、9は蹴込板、10は床材を示す。
【0035】
図1、図2において、本発明の第一実施形態について述べる。本発明の第一実施形態は、住宅の手すり壁3が水平状態で折曲する箇所における笠木取り付け構造である。すなわち、2本の水平笠木2が略直角方向に直交するように設けられる箇所での笠木取り付け構造である。階段を上りきった2階の廊下の出隅又は入隅のコーナー部Cの箇所における2本の水平笠木2どうしを略直角に接合させる取り付け構造である。この手すり壁3は2階の廊下以外に階段部分にも多く用いられている。階段部分の場合は、手すり壁3そのものが斜行している場合が多いが、階段のパターンによっては、中間の踊り場や中間の廻り階段部分において、手すり壁3が水平方向に略直角方向に折曲するパターンもあり、この場合も第一実施形態と同様の構造となる。
【0036】
本発明の第一実施形態は、略直角方向から延設され、上部端縁3aが水平で略直角に折曲して設けられている2つの手すり壁3どうしが略直角に交わるコーナー部Cにおいて、出隅コーナー部又は入隅コーナー部が形成されている。そして、それぞれの手すり壁3の上部端縁3aに、それぞれ水平笠木2が設けられている。このコーナー部Cの箇所には本発明の水平コーナー部材1が取り付けられている。本図で示すように水平コーナー部材1を介して2本の水平笠木2が略直交するように折曲して設けられている。
【0037】
本発明の水平コーナー部材1は平面視、略正方形の形状であり、厚みが比較的薄い部材からなる。水平コーナー部材1の端縁1a、すなわち、水平コーナー部材1の略正方形の四辺のうちの、前記2本の水平笠木2と接続される側の直交二辺側の端縁に切欠段部Dが設けられている。該切欠段部Dの切欠形状は、図2の(ロ)に示すように、水平コーナー部材1を断面で見て、表面と左右の3方において被せ部Eを残し、所定の切欠段部の幅寸法Wで、所定の切欠段部の深さ寸法Lで、切欠加工され、切欠段部の底面が略垂直に水平コーナー部材1の裏面側まで形成されている。平面視、裏面側から見ると、前記切欠段部Dが水平コーナー部材1の端縁1aの箇所に略L字型形状に形成されている。
【0038】
水平笠木2の厚み寸法と水平コーナー部材1の切欠段部の幅寸法Wが略等しい。詳しくは、前記水平笠木2の厚み寸法が前記切欠段部の幅寸法Wよりも若干(約1mm程度)小さくなるように加工されている。前記二本の水平笠木2の水平コーナー部材1の側の端縁2aが前記切欠段部D内に嵌合され、先端が切欠段部の底面に略当接するか又は先端が底面近傍にまで嵌挿されて、前記切欠段部の被せ部Eによって上と左右から押さえこまれるようにして取り付けられている。
【0039】
本発明の水平コーナー部材1、水平笠木2の材料は、一例として、木質の集成材、合板又は中比重繊維板等の木質基材表面に化粧材を貼着したものが好適なものとして例示できる。前記化粧材の例として、天然銘木の突板や単板、塩ビ樹脂やオレフィン樹脂からなる樹脂シートに木目柄などを印刷したもの、紙に木目柄などを印刷した化粧紙などを好適なものとして例示できる。また、他の例として合成樹脂成型体を基材としその表面に前記化粧材を貼着したものなども好適なものとして挙げることができる。しかし、これらに限定されるものではない。
【0040】
これらの材料のなかで、木質の集成材が最も好適である。木質集成材は現場加工し易く、しかも、加工し易いわりには強度耐久性にも優れているので施工作業性、強度耐久性にとって、よりいっそう優れたものとなる。
【0041】
本発明の第一実施形態における各部材の寸法は、一例として、前記手すり壁3の厚み寸法は通常約130mm程度であり、水平笠木2は厚みが約25mm程度、幅が約150mm程度であり、手すり壁3の上端縁3aに取り付けた際の手すり壁表面から突出する寸法、すなわち突出部の寸法は左右それぞれ約10mm程度である。また、水平コーナー部材1の寸法は、厚みが約30mm程度、平面視の形状は略正方形で、一辺の寸法は約160mm程度、切欠段部Dの寸法は深さ寸法Lが約5mm程度、幅寸法Wが約26mm程度、被せ部Eの厚みが約4mm程度である。また、水平コーナー部材1の端縁1aが手すり壁3から突出する突出部の寸法は約15mm程度である。これらの寸法は好適な一例であり、これらの寸法に限定されるものではない。
【0042】
次に、本発明の第一実施形態における施工手順について述べる。図2の(イ)に示すように、先ず、手すり壁3の上端縁3aに水平笠木2を接着手段Sと機械的取付手段Nを併用して取り付ける。手すり壁3と水平笠木2との相互の取り付けの位置関係は上記のとおりである。手すり壁3のコーナー部Cの箇所で二本の水平笠木2の端縁2aどうしが接触しないように、水平笠木端縁2aの先端を前記コーナー部Cの端から若干寸法(約10mm程度)手前へ引き戻した位置関係で取り付ける。接着手段Sとしては、笠木の材質と手すり壁上端縁3aの材質に適した接着剤がよい。例えば、各部材が木質材料からなる場合は、木工用接着剤がよい。例えば酢酸ビニル樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、合成ゴム系接着剤等が好適なものとして例示できる。機械的取付手段Nとしては、例えば木工用の釘、木ネジ等が好適なものとして例示できる。接着剤は手すり壁の上端縁3aに適量塗布すればよい。釘等は、手すり壁3の側面の上部から水平笠木2の突出部近傍に向けて下から斜め上に釘を打ち上げるとよい。水平笠木2の表面から釘打ちすることは、釘跡が残るので外観上見苦しい。
【0043】
次に、手すり壁の上部端縁で、コーナー部Cのコーナー下地3bに水平コーナー部材1を取り付ける。先ず、手すり壁3の上部端縁のコーナー部Cのコーナー下地3bに接着手段Sとして接着剤を適量塗布する。この接着剤は水平笠木2の取り付け時に用いたものと同様のものでよい。続いて、前記コーナー下地3bの表面の水平笠木2側の端縁近傍に補助固定手段Hを平面視略L字型にあらかじめ設けておく。前記補助固定手段Hは、たとえば、接着力が極めて早期に発現する粘着剤又は接着剤をベースに作製された接着テープ等を好適なものとして挙げることができる。例えば、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系の両面テープを好適なものとして例示できる。
【0044】
この補助固定手段Hは前記接着手段Sが接着硬化して接着力が完全に発現するまでの間に、水平コーナー部材1の取り付け位置がずれることを有効に防止し、施工効率を向上させる働きがある。前記接着手段Sが接着硬化して接着力が完全に発現するまでの時間は、接着剤の種類や作業環境温度にもよるが、長時間の養生が必要となる。少なくとも2〜3時間以上はかかる。施工の効率を考慮すると完全に接着力が発現するまでに機械的取付手段Nを用いて水平コーナー部材1を取り付け固定するのが望ましい。このように、接着剤が完全硬化するまでに機械的取付手段Nを用いて水平コーナー部材1を取り付け固定した場合、せっかく正確に位置決めして取り付けた水平コーナー部材1が釘打ち作業時の衝撃で、位置ズレする恐れがある。それを防止するために、接着力が極めて短時間で発現する粘着剤をベースとした両面粘着テープを補助固定手段Hとして用いるとよい。
【0045】
前記補助固定手段Hは、コーナー下地3bの表面の水平笠木2側の端縁近傍に平面視略L字型に設けるとよい。これと対向する二片側は水平笠木2の場合と同様に釘を斜め下から打ち上げるとよい。すなわち、釘等は、手すり壁3の側面の上部から水平コーナー部材1の突出部近傍に向けて下から斜め上に釘を打ち上げるとよい。水平コーナー部材1の表面から釘打ちすることは、釘跡が残るので外観上見苦しい。
【0046】
このようにして、二本の水平笠木2と水平コーナー部材1を取り付け完了すると、図2の(ロ)に示すような状態となる。水平コーナー部材1と水平笠木2の端縁2aとは、平面視若干ずれている。本例では約5mm程度である。これを垂直方向の断面で見ると、図2の(ロ)に示すようになる。水平笠木2の端縁2aが水平コーナー部材1の切欠段部D内に嵌合されている。本例では、切欠段部Dの深さ寸法Lを約5mmとすると、約5mm弱程度だけ、水平笠木端縁2aが嵌合されている。さらに、水平コーナー部材1を取り付けるコーナー下地3bの表面において、水平コーナー部材1の水平笠木側端縁1aの近傍に、補助固定手段Hが設けられている。そして、コーナー下地3bにおいて、前記補助固定手段Hと対向する端面には斜め下方から機械的取付手段Nとしての釘が打ち込まれている。
【0047】
図3、図4において、本発明の第二実施形態における笠木取り付け構造について述べる。住宅の階段の上がり鼻部における笠木取り付け構造は、住宅の階段の上がり鼻部において、斜行する手すり壁3の上部端縁3aに取り付けられる斜行笠木5、及び、床面の床材10から略垂直に立ち上がる側面3cに取り付けられる垂直笠木6、及び、それらの間を接続する縦コーナー部材4とで構成される笠木取り付け構造である。前記縦コーナー部材4を介して両方からの笠木どうしの端縁、すなわち、斜行笠木5の端縁5aと垂直笠木6の上部端縁6aとが斜交するようにして折曲して設けられている。
【0048】
前記縦コーナー部材4の少なくとも斜行笠木側の端縁4aに切欠段部Dが被せ部Eを残すようにして設けられている。この場合においても、前記水平コーナー部材の場合と同様に、被せ部Eは斜行笠木5を上と左右の3方から押さえ込むようにして設けられている。このようにして、前記斜行笠木5の下端縁5aが縦コーナー部材4の切欠段部D内に嵌合されている。また、縦コーナー部材4の下端縁4bは切欠段部Dが設けられているか又は切欠段部Dが設けられておらず平坦面F1であるかのいずれかである。前記垂直笠木6の上部端縁6aが縦コーナー部材4の下端縁4bの切欠段部Dに嵌合されているか又は下端縁4bの前記平坦面F1に当接しているかのいずれかである。嵌合されている場合は、被せ部Eは垂直笠木6を上と左右の3方から押さえ込むようにして設けられている。
【0049】
前記縦コーナー部材4の斜行笠木側端縁4aと下端縁4bにあらかじめ補助固定手段Hが設けられている。縦コーナー部材4と斜行笠木5との取り付け、及び、縦コーナー部材4と垂直笠木6との取り付けの際、接着手段Sと機械的取付手段Nとを併用するとよい。さらに、施工の効率を考慮すると接着手段Sが完全に硬化し、接着力が完全に発現するまでに機械的取付手段Nを用いて縦コーナー部材4を取り付け固定するのが望ましい。しかし、接着剤が完全に硬化して接着力を発揮するまでに少なくとも2〜3時間以上はかかる。そして、接着剤が完全に硬化するまでに釘打ちなどの機械的取付手段Nによる衝撃や振動が加わると、接着力が十分に発揮されない間に、この衝撃力や振動が加わることになり、接着不良の原因となる。そこで、縦コーナー部材4と斜行笠木5との取り付け、及び、縦コーナー部材4と垂直笠木6との取り付けの際、前記縦コーナー部材4と斜行笠木5や垂直笠木6が嵌合又は当接する箇所に、あらかじめ、補助固定手段Hが設けられていると、縦コーナー部材4と斜行笠木5や垂直笠木6との取り付けが強固に安定したものとなる。
【0050】
前記補助固定手段Hは、たとえば、接着力が極めて早期に発現する粘着剤又は接着剤をベースに作製された接着テープ等を好適なものとして挙げることができる。例えば、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系の両面テープを好適なものとして例示できる。
【0051】
この補助固定手段Hは前記接着手段Sが接着硬化して接着力が完全に発現するまでの間に、縦コーナー部材4の取り付け位置がずれることを有効に防止し、施工効率を向上させる働きがある。すなわち、前記縦コーナー部材4などの笠木部材を接着手段Sと機械的取付手段Nとを併用して取り付け固定する際、前記接着手段Sの接着力の発現にある程度の時間を要するが、その間、前記補助固定手段Hが縦コーナー部材4などの笠木部材をしっかり固定するので、機械的取付手段Nの衝撃で前記縦コーナー部材4などの笠木部材の取り付け位置ズレが生じる恐れがなく精度良く取り付け可能で、しかも、施工作業性に大変優れる。
【0052】
本発明の縦コーナー部材4、斜行笠木5、垂直笠木6などの材料は、一例として、木質の集成材、合板又は中比重繊維板等の木質基材表面に化粧材を貼着したものが好適なものとして例示できる。前記化粧材の例として、天然銘木の突板や単板、塩ビ樹脂やオレフィン樹脂からなる樹脂シートに木目柄などを印刷したもの、紙に木目柄などを印刷した化粧紙などを好適なものとして例示できる。また、他の例として合成樹脂成型体を基材としその表面に前記化粧材を貼着したものなども好適なものとして挙げることができる。しかし、これらに限定されるものではない。
【0053】
これらの材料のなかで、木質の集成材が最も好適である。木質集成材は現場加工し易く、しかも、加工し易いわりには強度耐久性にも優れているので施工作業性、強度耐久性にとって、よりいっそう優れたものとなる。
【0054】
図5において、本発明の第三実施形態における笠木取り付け構造について述べる。住宅の階段の上がり鼻部における笠木取り付け構造のもう一方の実施形態について述べる。住宅の階段の上がり鼻部において、斜行する手すり壁3の上部端縁3aに取り付けられる斜行笠木5と、該斜行笠木5の下端縁5aに取り付けられる笠木部材としてのスタート部材7ととで構成される笠木取り付け構造である。手すり壁3が床面の床材10から略垂直に立ち上がる側面3cは笠木を取り付けることなく、手すり壁の立ち上がり垂直側面3cのままで、そこの箇所は壁紙(図示せず)等で仕上げられている。
【0055】
前記スタート部材7の斜行笠木側の端縁7aに切欠段部Dが被せ部Eを残すようにして設けられている。この場合においても、前記水平コーナー部材1や縦コーナー部材4の場合と同様に、被せ部Eは斜行笠木5を上と左右の3方から押さえ込むようにして設けられている。そして、このようにして、斜行笠木5の下端縁5aがスタート部材7の切欠段部D内に嵌合され、被せ部Eによって隠蔽されている。また、スタート部材7の下端縁7bは平坦面F2である。
【0056】
前記スタート部材7の斜行笠木側端縁7aに、あらかじめ、補助固定手段Hが設けられている。スタート部材7と斜行笠木5との取り付けの際、接着手段Sと機械的取付手段Nとを併用するとよい。さらに、施工の効率を考慮すると接着手段Sが完全に硬化し、接着力が完全に発現するまでに機械的取付手段Nを用いてスタート部材7を取り付け固定するのが望ましい。しかし、接着剤が完全に硬化して接着力を発揮するまでに少なくとも2〜3時間以上はかかる。そして、接着剤が完全に硬化するまでに釘打ちなどの機械的取付手段Nによる衝撃や振動が加わると、接着力が十分に発揮されない間に、この衝撃力や振動が加わることになり、接着不良の原因となる。そこで、スタート部材7と斜行笠木5との取り付けの際、前記スタート部材7と斜行笠木5が嵌合する箇所に、あらかじめ、補助固定手段Hが設けられていると、スタート部材7と斜行笠木5との取り付けが強固に安定したものとなる。
【0057】
前記補助固定手段Hは、たとえば、接着力が極めて早期に発現する粘着剤又は接着剤をベースに作製された接着テープや粘着テープ等を好適なものとして挙げることができる。例えば、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系の両面テープ等を好適なものとして例示できる。
【0058】
この補助固定手段Hは前記接着手段Sが接着硬化して接着力が完全に発現するまでの間に、スタート部材7の取り付け位置がずれることを有効に防止し、施工効率を向上させる働きがある。
【0059】
すなわち、前記スタート部材7や斜行笠木5などの笠木部材を接着手段Sと機械的取付手段Nとを併用して取り付け固定する際、前記接着手段Sの接着力の発現にある程度の時間を要するが、その間、前記補助固定手段Hがスタート部材7や斜行笠木5などの笠木部材をしっかり固定するので、機械的取付手段Nの衝撃で前記スタート部材7や斜行笠木5などの笠木部材の取り付け位置ズレが生じる恐れがなく精度良く取り付け可能で、しかも、施工作業性に大変優れる。
【0060】
本発明のスタート部材7、斜行笠木5などの材料は、一例として、木質の集成材、合板又は中比重繊維板等の木質基材表面に化粧材を貼着したものが好適なものとして例示できる。前記化粧材の例として、天然銘木の突板や単板、塩ビ樹脂やオレフィン樹脂からなる樹脂シートに木目柄などを印刷したもの、紙に木目柄などを印刷した化粧紙などを好適なものとして例示できる。また、他の例として合成樹脂成型体を基材としその表面に前記化粧材を貼着したものなども好適なものとして挙げることができる。しかし、これらに限定されるものではない。
【0061】
これらの材料のなかで、木質の集成材が最も好適である。木質集成材は現場加工し易く、しかも、加工し易いわりには強度耐久性にも優れているので施工作業性、強度耐久性にとって、よりいっそう優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第一実施形態の笠木取り付け構造で水平折曲部の斜視図。
【図2】本発明の第一実施形態の施工手順を示す説明図。(イ)は水平コーナー部材取り付け前の状態を示す説明図。(ロ)は水平コーナー部材取り付け後の一部切欠側面図。
【図3】本発明の第二実施形態の笠木取り付け構造で階段上がり鼻部の斜視図。
【図4】(イ)は本発明の第二実施形態の要部拡大側断面図。(ロ)は第二実施形態の他の例の要部拡大側断面図。
【図5】本発明の第三実施形態の笠木取り付け構造で階段上がり鼻部の側断面図。
【図6】従来の笠木取り付け構造。(イ)は水平屈曲部を示す平面図。(ロ)及び(ハ)は階段の上がり鼻部を示す側面図。
【符号の説明】
【0063】
1 水平コーナー部材
1a 笠木側端縁
D 切欠段部
E 切欠段部の被せ部
L 切欠段部の深さ寸法
W 切欠段部の幅寸法
2 水平笠木
2a 水平笠木端縁
3 手すり壁
3a 斜行する手すり壁の上部端縁
3b コーナー下地
3c 階段の上がり鼻部において床面から略垂直に立ち上がる側面
C コーナー部
N 機械的取付手段
S 接着手段
H 補助固定手段
4 縦コーナー部材
4a 斜行笠木側の端縁
4b 下端縁
F1 平坦面
5 斜行笠木
5a 斜行笠木下端縁
6 垂直笠木
6a 垂直笠木の上部端縁
7 スタート部材
7a スタート部材の斜行笠木側端縁
7b スタート部材の下端縁
F2 平坦面
8 踏板
9 蹴込板
10 床材
12 水平笠木
15 斜行笠木
16 垂直笠木
T 留め加工

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の手すり壁コーナーの上部端縁にコーナー下地を介して笠木部材によって取り付けられる笠木取り付け構造であって、一方の水平笠木と、それと略直角に取り付けられる他方の水平笠木と、それらを接続する笠木部材としての水平コーナー部材とからなり、該水平コーナー部材によって両方からの水平笠木どうしが略直交するように折曲して設けられ、前記水平コーナー部材の笠木側端縁に切欠段部が被せ部を残すようにして設けられ、前記水平笠木端縁が水平コーナー部材の切欠段部に嵌合され、被せ部で隠蔽されていることを特徴とする笠木取り付け構造。
【請求項2】
前記水平コーナー部材はコーナー下地の表面に設けられた接着手段とコーナー下地の端部に設けられた機械的取付手段とを併用して取り付け固定されており、前記コーナー下地表面の水平笠木側の端縁近傍に補助固定手段があらかじめ設けられていることを特徴とする請求項1に記載の笠木取り付け構造。
【請求項3】
住宅の階段の手すり壁の上部端縁及び床面から略垂直な立ち上がり側面に笠木部材によって取り付けられる笠木取り付け構造であって、階段側の斜行笠木と、床面から立ち上がるように取り付けられる垂直笠木と、それらを接続する笠木部材としての縦コーナー部材とからなり、該縦コーナー部材を介して両方からの笠木どうしが斜交するように折曲して設けられ、前記縦コーナー部材の少なくとも斜行笠木側の端縁には切欠段部が被せ部を残すようにして設けられ、前記斜行笠木の端縁が縦コーナー部材の切欠段部に嵌合され被せ部で隠蔽されており、前記垂直笠木の上部端縁が縦コーナー部材の下端縁に嵌合又は当接していることを特徴とする笠木取り付け構造。
【請求項4】
住宅の階段の手すり壁の上部端縁に笠木部材によって斜行して取り付けられる笠木取り付け構造であって、斜行して取り付けられる斜行笠木と、該斜行笠木の下端縁に取り付けられる笠木部材としてのスタート部材とからなり、前記スタート部材の斜行笠木側の端縁に切欠段部が被せ部を残すようにして設けられ、前記斜行笠木の下端縁がスタート部材の切欠段部に嵌合され、被せ部で隠蔽されていることを特徴とする笠木取り付け構造。
【請求項5】
前記笠木部材と笠木とが、接着手段と機械的取付手段とを併用して取り付け固定されており、前記笠木部材と笠木とが嵌合又は当接する箇所に補助固定手段があらかじめ設けられていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の笠木取り付け構造。
【請求項6】
前記笠木及び笠木部材が木質の集成材からなることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の笠木取り付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−191483(P2009−191483A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31787(P2008−31787)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(398051497)株式会社パル (65)
【Fターム(参考)】