説明

符号化モジュール、関連する符号化素子、コネクタ、プリンタ−エンコーダ、およびアクセス制御システム

符号化モジュール、ならびに関連するシステムおよびコンポーネントを提供する。符号化モジュールは、列および行のアレイに配列されている複数の符号化素子と、符号化素子を選択的にリーダに接続するように構成されている1つ以上の切り替え素子とを含む。符号化素子の接続は、目標トランスポンダのみとの選択的通信を確保するように、 多数の隣接するトランスポンダの中に配置されている目標トランスポンダの位置に基づくことができる。モジュールは、プリンタ−エンコーダのようなシステム内で用いられるトランスポンダの種々のタイプおよび位置に合わせて構成されている。各符号化素子は、ループ形状部分を備えている負荷導電性ストリップと、このループ形状部分に対応するシールドとを含む。他の実施形態では、複数のカプラを含む符号化モジュールと、カプラに対応する複数のトランスポンダを有するアクセス・カードとを有するアクセス制御システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、符号化モジュール、ならびに符号化素子、RFIDプリンタ−エンコーダ、およびアクセス制御システムというような、関連システムおよびコンポーネントに関する。
【従来技術】
【0002】
無線周波識別(「RFID」)トランスポンダは、能動型(例えば、バッテリ給電、補助、または支援型)であれ受動型(例えば、RF磁界作動型)であれ、情報を双方向に送るために、RFIDリーダまたは同様のデバイスと共に用いられるのが通例である。通信を行うためには、リーダのアンテナがこのトランスポンダを無線周波(RF)電磁界または信号に露出する。受動式UHFトランスポンダの場合、RF電磁界がトランスポンダを付勢し、これによって、トランスポンダが受信した信号を逆方向に再放射し、後方散乱と呼ばれる周知の技法でRF電磁界を変調することによって、リーダに応答することを可能にする。能動式トランスポンダの場合、独立して発生した自己給電回答信号をリーダに送信することによって、トランスポンダは電磁界に応答することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
1つの目標トランスポンダが、多数の隣接するトランスポンダに取り囲まれている場合、この目標トランスポンダに質問すると、これらのトランスポンダが磁界によって作動させられるかまたは内部エネルギ源によって独立して給電されるかには関係なく、問題が発生する可能性がある。例えば、質問電磁信号が、所与の時点において、1つよりも多いトランスポンダを作動させることがあり得る。この多数のトランスポンダの同時作動は、多数のトランスポンダの各々が同時に回答信号をリーダに送信するかもしれないので、衝突または通信エラーを招く虞れがある。
【0004】
トランスポンダの多数および同時作動を回避するという課題は、用途によっては特に深刻となることがある。RFIDプリンタ−エンコーダが一例である。RFIDプリンタ−エンコーダは、トランスポンダが埋め込まれたラベルが、一連の(series)配列、連続する(stream)配列、シート状の配列、および/またはその他のあらゆる配列になっていても、これらのラベルを符号化し印刷することができるデバイスである。コンベヤ・システムは、望ましくない多数トランスポンダ作動が深刻となり得る用途の他の一例である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態は、システム、方法、コンピュータ読み取り可能媒体、ならびに符号化モジュール、関連する符号化素子、コネクタ、プリンタ−エンコーダ、およびアクセス制御システムを設けるための他の手段を含む。例えば、実施形態は、RFIDプリンタ−エンコーダを含むことができ、1つ以上のラベルに埋め込まれている1つ以上のトランスポンダを(個別にまたは同時に)符号化および/または印刷することができる。互いに近接する多数のトランスポンダを符号化/印刷するとき、本明細書において論じる実施形態は、特定のトランスポンダを目標にするように構成することができる。更に、実施形態は、他のタイプのEMF衝突管理技法を利用するあるいは意図しない多数のトランスポンダの作動を軽減するための遮蔽コンポーネントを利用した符号化デバイスに通常付随する、空間、コスト、および重量を、とりわけ、減らす(conserve)ことができる。本発明の実施形態は、遙かに広い範囲のタグの種類でも符号化することができ、符号化ピッチ(encoding pitch)に一致させ、更にトランスポンダ配置の独立性にも対処することができる。
【0006】
例えば、一実施形態によれば、符号化素子を提供する。この実施形態の符号化素子は、接地面と、第1誘電体基板と、導電性ストリップ(conductive strip)と、終端負荷と、第2誘電体基板と、シールドとを含む。第1誘電体基板は、接地面に隣接する。導電性ストリップは、第1誘電体基板に隣接し、入力端から負荷端まで達し、ループ形状を有する少なくとも1つの部分を備えている。終端負荷は、導電性ストリップの負荷端と連通している。第2誘電体基板は、導電性ストリップシールドは、導電性ストリップとは逆側の第2誘電体基板の表面に隣接し、中央開口エリアを規定することを含む、導電性ストリップのループ形状を有する少なくとも1つの部分に、概ね対応する。
【0007】
導電性ストリップは、ループ形状を有する複数の部分を含むことができる。更に、ループ形状を有する複数の部分の各々は、互いに同心円状であり、同じ平面上にあってもよい。他の例として、導電性ストリップは、ループ形状を有する第1部分と、ループ形状を有する第2部分とを含むことができる。第1部分のループ形状、および第2部分のループ形状は、同心円状でなくてもよい。他の例として、ループ形状が概略的に矩形であってもよい。
【0008】
他の実施形態では、前述の符号化素子を第2符号化素子と組み合わせる。第2符号化素子は、1/2波長またはその倍数の長さを有するテーパー状マイクロストリップを含み、共面導波路であってもよい。
【0009】
更に他の実施形態では、システムを提供する。このシステムは、リーダと、給送路に沿って移動する多数の隣接するトランスポンダの中に配置されている目標トランスポンダとの間において選択的通信を行うように構成することができる。この実施形態のシステムは、通信信号を送信するように構成されたリーダと、符号化モジュールとを含む。符号化モジュールは、少なくとも1つの列および複数の業に配列された複数の符号化素子を含む。少なくとも1つの列は、給送路と平行に延び、複数の行は、給送路に対して垂直に延びる。
【0010】
更に、このシステムは、複数の符号化素子をリーダに選択的に接続するように構成されている1つ以上の切り替え素子も含むことができる。また、このシステムは、トランスポンダの位置に基づいて、1つ以上の切り替え素子を通じて、複数の符号化素子の内1つを選択的にリーダに接続するように構成されたプロセッサも含む。
【0011】
複数の符号化素子は、複数の列および複数の行を含むことができる。
他の実施形態では、方法を提供する。この方法は、トランスポンダを有するメディア・ユニットを第1の位置に移動させるステップと、列および行のアレイに配列された複数の符号化素子の内少なくとも1つ以上を通じて、メディア・ユニットのトランスポンダと通信しようと試みるステップと、メディア・ユニットのトランスポンダに対して最適な符号化素子を決定するステップとを含む。
【0012】
更に、この方法は、最適符号化素子を、後続のメディア・ユニットのトランスポンダに対するデフォルト符号化素子として選択するステップを含むことができる。また、この方法は、第2メディア・ユニットと関連のあるリセット・イベントを特定するステップと、このリセット・イベントを特定したときに、列および行のアレイに配列された複数の符号化素子の内少なくとも1つ以上を通じて、第2メディア・ユニットのトランスポンダと通信しようと試みるステップと、第2メディア・ユニットに対する最適符号化素子を決定するステップとを含むことができる。
【0013】
列および行のアレイに配列された複数の符号化素子の内少なくとも1つ以上を通じて、メディア・ユニットのトランスポンダと通信しようと試みるステップの動作は、各符号化素子が最適符号化素子になる可能性に基づくシーケンスにしたがって、複数の符号化素子の内少なくとも1つ以上を検査するステップを含むことができる。
【0014】
列および行のアレイに配列された複数の符号化素子の内少なくとも1つ以上を通じて、メディア・ユニットのトランスポンダと通信しようと試みるステップの動作は、複数の電力レベルで、メディア・ユニットのトランスポンダと通信しようと試みるステップを含むことができる。
【0015】
メディア・ユニットに対する最適符号化素子を決定するステップの動作は、1回以上の成功した通信の試み、および通信が成功した各符号化素子の各位置に基づくことができ、あるいは1つ以上の使用した電源、トランスポンダ、および動作環境の内少なくとも1つに関する、予め格納されている情報に基づくことができる。
【0016】
他の実施形態では、アクセス制御システムを提供する。このシステムは、モジュールと、アクセス・カードとを含むことができる。モジュールは、特定の方法で配列された複数の符号化素子を含む。アクセス・カードは、モジュールの複数の符号化素子に対応するように配列された複数のトランスポンダを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態によるプリンタ−エンコーダの側面模式図である。
【図2a】図2aは、一実施形態例にしたがった符号化素子の上面図であり、破線の円255はシールドおよび最上位誘電体基板の直下にある導電性ストリップを表す。
【図2b】図2bは、線2bに沿って示す、図2aの符号化素子の側面図である。
【図3a】図3aは、大形双極型トランスポンダの一例を示す。
【図3b】図3bは、細長形双極型トランスポンダの一例を示す。
【図3c】図3cは、細長形双極型トランスポンダの他の一例を示す。
【図3d】図3dは、細長形双極型トランスポンダの他の一例を示す。
【図3e】図3eは、大形2ポートIC双極型トランスポンダの一例を示す。
【図3f】図3fは、大形2ポートIC双極型トランスポンダの他の一例を示す。
【図4a】図4aは、小形ループ型トランスポンダの一例を示す。
【図4b】図4bは、小形ループ型トランスポンダの他の一例を示す。
【図4c】図4cは、小形ループ型トランスポンダの他の一例を示す。
【図4d】図4dは、インピーダンス整合ループを有する小形双極型トランスポンダの他の一例を示す。
【図4e】図4eは、インピーダンス整合ループを有する小形双極型トランスポンダの他の一例を示す。
【図4f】図4fは、インピーダンス整合ループを有する小形双極型トランスポンダの他の一例を示す。
【図5】図5は、中心揃いラベル位置決めプリンタ・システムにおいて中心を合わせた細長双極型トランスポンダおよび符号化素子の簡略化した上面図である。
【図6】図6は、縁揃いラベル位置決めプリンタ・システムにおいて、中心を合わせた小形ループ型トランスポンダおよび符号化素子の簡略化した上面図である。
【図7a】図7aは、他の一実施形態例にしたがった符号化素子の上面図である。
【図7b】図7bは、導電性ストリップ762が見えるようにするために、シールドおよび最上位誘電体基板を図示していない、図7aの図である。
【図8a】図8aは、更に他の一実施形態例にしたがった符号化素子の上面図である。
【図8b】図8bは、図8bは、導電性ストリップ862が見えるようにするために、シールドおよび最上位誘電体基板を図示していない、図8aの図である。
【図9】図9は、2つの非同心円状ループ形状を有する導電性ストリップを備えている、一実施形態例にしたがったプリンタ−エンコーダにおける符号化素子の上面図である。
【図10】図10は、一実施形態例にしたがって、マイクロストリップ導波路(TL)に基づいて第2符号化素子と組み合わせた第1符号化素子の上面図である。
【図11A】図11Aは、他の一実施形態例にしたがって、共面導波路(CWG)に基づいて第2符号化素子と組み合わせた第1符号化素子の上面図である。
【図11B】図11Bは、CWG符号化素子がアクティブのときに発生する電磁束線を示す、CWG符号化素子の上面図および側面図である。
【図11C】図11Cは、CWG符号化素子がアクティブのときに発生する電磁束線を示す、CWG符号化素子およびトランスポンダの等幅図である。
【図12】図12は、一実施形態による符号化モジュールの上面模式図である。
【図13】図13は、図12の符号化モジュールの側面模式図である。
【図14】図14aは、縁揃えした第1タイプのメディア・ユニットおよびトランスポンダを有する図12の符号化モジュールである。図14bは、中心−右揃えした第2タイプのメディア・ユニットおよびトランスポンダを有する図12の符号化モジュールである。図14cは、中心揃えした第3タイプのメディア・ユニットおよびトランスポンダを有する図12の符号化モジュールである。
【図15A】図15Aは、一実施形態による方法のフロー・チャートである。
【図15B】図15Bは、図15Aの方法を実行する種々の段階における、符号化モジュールおよび埋め込みトランスポンダを有するメディアの上面図である。
【図15C】図15Cは、図15Aの方法を実行する種々の段階における、符号化モジュールおよび埋め込みトランスポンダを有するメディアの上面図である。
【図15D】図15Dは、図15Aの方法を実行する種々の段階における、符号化モジュールおよび埋め込みトランスポンダを有するメディアの上面図である。
【図15E】図15Eは、図15Aの方法を実行する種々の段階における、符号化モジュールおよび埋め込みトランスポンダを有するメディアの上面図である。
【図15F】図15Fは、図15Aの方法を実行する種々の段階における、符号化モジュールおよび埋め込みトランスポンダを有するメディアの上面図である。
【図15G】図15Gは、図15Aの較正方法の間に符号化モジュールがトランスポンダから受信する生データを示す表である。
【図16】図16は、一実施形態によるアクセス・カードの上面図である。
【図17】図17は、一実施形態による符号化モジュールの上面図である。
【図18】図18は、一実施形態によるアクセス制御システムの側面模式図である。
【図19a】図19aは、一実施形態による符号化モジュールの上面模式図である。
【図19b】図19bは、他の実施形態による符号化モジュールの上面模式図である。
【図19c】図19cは、更に他の実施形態による符号化モジュールの上面模式図である。
【図20a】図20aは、一実施形態による結合デバイスの側面図である。
【図20b】図20bは、他の実施形態による結合デバイスの側面図である。
【図20c】図20cは、更に他の実施形態による結合デバイスの側面図である。
【図21】図21は、プリンタ−エンコーダおよび図20bの結合デバイスの模式図である。
【図22】図22は、スマート掃引機能を実施するように構成された実施形態による方法のフロー・チャートである。
【図23】図23は、一実施形態による、符号化モジュール、およびトランスポンダを有するメディア・ユニットのウェブの上面模式図である。
【図24】図24は、印刷されたメディア・ユニットのウェブの上面模式図である。
【図25】図25は、一実施形態による方法のフロー・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
これより、添付図面を参照しながら、本発明について更に詳しく説明する。添付図面には、本発明の全ての実施形態ではなく、その一部を示す。実際に、本発明は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書において明記する実施形態に限定されるように解釈してはならない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が該当する法的要件を満たすように用意されたに過ぎない。全体を通じて、同様の番号は同様の要素を示し、本明細書において論じられる実施形態は、他の実施形態と組み合わせること、および/またはその特徴を利用することができる。
【0019】
RFIDプリンタ−エンコーダ
本発明の実施形態は、RFIDリーダが、多数の隣接するトランスポンダ間で混合されている目標トランスポンダ、またはこれらに近接して位置する目標トランスポンダと選択的に通信することを可能にする装置に関する。当業者には明白であろうが、目標トランスポンダと選択的に通信し、空間を消費する遮蔽筐体、無響室、衝突防止プロトコル、あるいは比較的複雑でコストがかかる衝突管理技法の使用によるトランスポンダの電磁分離を殆どまたは全く必要としない、本発明の種々の実施形態について以下に説明する。しかしながら、本発明はこれらの使用を排除するのではない。
【0020】
本発明の様々な実施形態は、組み立てライン、オンデマンドRFIDラベリングが必要となり得る在庫管理センタ、またはトランスポンダが違いに近接する他の同様の状況において配置される品目に取り付けられる受動型または能動型トランスポンダを計数する、読み取る、書き込む、またはその他では符号化するのに有用となることができる。種々の実施形態では、ライナーまたはキャリア上で搬送することができるラベル、チケット、カード、またはその他のメディア形態に、1つ以上のトランスポンダが装着されているか、またはこれらの中に埋め込まれている。ライナーのない代替実施形態では、ライナーまたはキャリアを不要とすることもできる。このようなRFID対応のラベル、チケット、タグ、およびその他のメディア形態を、纏めて、ここでは「メディア・ユニット」または「スマート・メディア・ユニット」と呼ぶことにする。当業者には明白であろうが、トランスポンダとの通信の前、後、または最中に、テキスト、数値、バーコード、グラフィクスなどのような指標を、このようなメディア・ユニットに印刷することが望ましい場合がある。
【0021】
本発明の実施形態の1つ以上から便益が得られるRFIDシステムの一例には、RFID対応プリンタ・システムがあり、本明細書では「プリンタ−エンコーダ」またはRFID印刷−エンジン・アプリケータとも呼ぶ。プリンタ−エンコーダの例は、本願と所有者を同じくする米国特許第6,481,907号、第6,848,616号、および第7,398,054号に開示されている。これらの特許をここで引用したことにより、その全体が本願にも含まれるものとする。
【0022】
図1は、一連のまたは連続するメディア・ユニット124を印刷および符号化するような構造としたRFIDプリンタ−エンコーダ120の一例を示す。プリンタ−エンコーダ120は、プリントヘッド128、プラテン・ローラ129、給送路130、ピーラ・バー132、メディア送出路134、ローラ136、キャリア送出路138、リボン巻き取りスプール140、リボン供給ロール141、リーダ142、コントローラ145、および符号化素子150(本明細書では、場合によっては「結合デバイス」と呼ぶこともある)のような、様々なコンポーネントを含む。
【0023】
先に注記したように、メディア・ユニットはラベル、カードなどを含むことができ、例えば、基板ライナー(substrate liner)とすることができる、ウェブ122によって搬送される。ウェブ122は、メディア・ユニット124上に指標を印刷するために、給送路130に沿って導かれ、次いでプリントヘッド128とプラテン・ローラ129との間に通される。リボン供給ロール141は、感熱リボン(明確さのために図示されていない)を供給する。感熱リボンは、このリボンの一部がプリントヘッド128とメディア・ユニット124との間に位置付けられるように、経路に沿って延びる。プリントヘッド128は、リボンの一部を加熱しメディア・ユニット124に圧着して、指標を印刷する。巻き取りスプール140は、使用されたリボンを受け取り巻き取るように構成されている。この印刷技法は、一般に、熱転写印刷と呼ばれている。しかしながら、直接感熱印刷、インクジェット印刷、ドット・マトリクス印刷、および光電印刷を含むがこれらに限定されない、様々な他の印刷技法を用いることもできる。
【0024】
印刷の後、メディア・ユニット・ウェブ122は、メディア送出路134に進み、メディア・ユニットは通例個別にウェブ122から取り外される。例えば、一実施形態では、図示のようなピーラ・バー132を用いて、プリカット・メディア・ユニット124を単にウェブ122から剥がすことができる。他の実施形態では、1群をなす多数のメディア・ユニットを一緒に印刷し、続いて分離するために、インライン・カッタ(図示せず)に向かって下流に配送することができる。既に知られている種々のその他のメディア・ユニット取り外し技法も用いることができる。これは、当業者には明白であろう。
【0025】
図示した実施形態にように、メディア・ユニット124がウェブ122によって支持される用途では、ウェブ122は、メディア・ユニットから分離された後、ローラ136またはその他のデバイスによって、キャリア送出路138に向かう経路に沿って誘導することができる。プリンタ−エンコーダの給送路全体に沿ってメディア・ユニットのウェブを運搬する(convey)または誘導する技法を実行する構造を、本明細書では、運搬システムと呼ぶこともある。リーダ142は、RF通信信号を発生し送信するように構成されている。RF通信信号は、メディア・給送路130に近接して配置されている符号化素子150によってブロードキャストされる。本明細書に限って言えば、リーダ142および符号化素子150を纏めて、通信システムの少なくとも一部を形成するものと言うことができる。以下で更に詳しく説明するが、通信システムは、リーダと、トランスポンダ符号化エリア内に配置されているメディア・ユニットの目標トランスポンダとの間に、ワイヤレス通信経路のような、相互結合を確立するための1つ以上の電磁波を送信し、メディアのトランスポンダからデータを読み取ること、および/またはここにデータを書き込むことができるように構成することができる。したがって、リーダ142は、電気信号をワイヤレス電磁信号に変換する手段として用いることができ、ワイヤレス電磁信号は、コンピュータ読み取り可能データによってメディアのトランスポンダ(1つまたは複数)をプログラミングするために用いることができる。これは、電気信号を、印刷した単語に変換し、人間が読み取ることができるようにするために用いられる従来のプリントヘッドの方法と同様である。また、リーダ142は、メディア・トランスポンダ(1つまたは複数)に格納されているデータを読み取る手段として用いることもできる。これは、バーコード・リーダまたはスキャナが、メディア上に印刷されているバーコードを電気信号に変換し、次いで電気信号の意味を解釈することができる方法と同様である。
【0026】
各電磁波(例えば、相互結合を確立するために用いられる)は、符号化素子からの距離に応じて、異なる信号強度を有する。近傍磁界における強度は、遠磁界(far-field)における強度とは通常異なる。一般に、符号化素子の遠磁界は、トランスポンダの内いずれを作動させるにも、またはこれと通信するにも弱すぎることが多く、一方符号化素子の近傍磁界は、トランスポンダ符号化エリア内にあるメディアのトランスポンダのみを作動させるようにするには、トランスポンダ符号化エリア内では通常十分に強い。
【0027】
一般に、リーダは、電気通信信号を発生、受信、および処理するように構成されているデバイスである。当業者であれば、種々の送信機、受信機、または送受信機を含む同様のデバイスも、本発明の実施形態において用いることができることを認めよう。本明細書において用いる場合、「リーダ」とは、先に記したデバイス、ならびに電気信号および/または電磁信号を発生、処理、あるいは受信することができる他のあらゆるデバイスも指すものとする。例えば、リーダは、受信機および送信機の組み合わせであってもよい。
【0028】
符号化素子
図2aおよび図2bは、符号化素子150の一実施形態例を示す。この実施形態によれば、符号化素子150は、ループを形成する、終端均一ストリップライン伝送線に基づく。符号化素子150は、積層構造有し、第1導電層254(本明細書では接地層254と呼ぶこともある)、第1誘電体基板256、導電性ストリップ252、第2誘電体基板258、およびシールド260を備えている。導電性ストリップ252および接地層254(中心を同じとする孔を有することができる)が一緒になって、伝送線255を規定する。
【0029】
更に具体的には、図2aおよび図2bに示す実施形態によれば、接地層254は第1面および第2面を有する。第1誘電体基板256は第1面および第2面を有する。第1誘電体基板256の第1面は、接地層254の第2面に隣接する。導電性ストリップ252も、第1面および第2面を有する。導電性ストリップ252の第1面は、第1誘電体基板256の第2面に隣接する。第2誘電体基板258は、第1面および第2面を有する。第2誘電体基板258の第1面は、第1誘電体基板256の第2面に面し、導電性ストリップ252の第2面に隣接する。シールド260は、第1面および第2面を有する。シールド260の第1面は、第2誘電体基板258の第2面に面し、これに隣接する。
【0030】
図2aにおいて最良に見られるように、この実施形態によれば、シールドは、全体的に分割された輪の形状をなし、ループ形状とされた導電性ストリップ252の部分に概ね対応する。例えば、シールド260の形状および位置付けは、導電性ストリップ252のループ形状とされた部分が、シールド260と接地層254との間に直接延び、導電性ストリップ252のループ形状とされた部分と、シールド260とが概略的に同心円状になるようになされている。導電性ストリップ252のループ形状とされた部分は、全体的にシールド260の中央線の直下(または、符号化素子150の向きによっては、その上方)に延びていてもよい。シールド260は、1つ以上の接続を介して、接地層254に接続することができる。例えば、図2aおよび図2bに示す実施形態では、符号化素子150は、シールド260の内縁または外縁に沿って接地層254まで延びる、複数のビア266を含む。図示のように、シールド260は、符号化素子150の中心において導電性ストリップ252からの磁界の伝搬をしやすくすることを意図した中央開口エリア261を備えている。更に、シールド260を置くことによって、磁界に対しては透過性でありつつ、導電性ストリップよりも上における電界を抑制するのに役立つ。また、シールド260は、符号化素子150を外部電界の干渉から保護するのにも役立つ。
【0031】
誘電体基板256、258は、種々の誘電体材料で作る、即ち、構成することができる。これらの誘電体材料には、プラスチック、ガラス、セラミック、あるいは、ロジャー材料(Roger materials)、アイゾラ材料(Isola materials)、一般に「FR4」即ち難燃剤4と呼ばれるもののような、織ガラス補強エポキシ積層体(woven glass reinforced epoxy laminate)のような組み合わせが含まれるが、これらに限定されるのではない。他の例として、誘電体材料は空気であってもよい。したがって、接地層254およびシールド260は、互いから離間されて、それらの間には空気と導電性ストリップ252だけを有するのであってもよい。当業者であれば、これら種々の材料は、特定の誘電係数に合わせてしかるべき伝送線255の特性インピーダンスを得るために用いることができることを認めよう。
【0032】
以下で更に詳しく説明するが、伝送線255は、符号化素子150から目標のトランスポンダ(図2Aや図2Bには示されていない)までの電磁波の伝搬のために、導電面を提供する。例として、導電性ストリップ252および接地層254の導電性材料は、銅、金、銀、アルミニウム、またはこれらの組み合わせ、あるいはドープしたシリコンまたはガリウムとすることができる。導電性ストリップ252は、第1端262から第2端264まで達する。前述のように、導電性ストリップ252はループのような形状を形成する。導電性ストリップ252の長さは、導電性ストリップ252に沿った第1端から第2端までの距離によって規定される。接地層254は種々の形状を有することができる。例えば、接地層254は、概略的に矩形とし、符号化素子の全体的な形状に対応すること、または導電性ストリップの形状に合わせることもできる。
【0033】
伝送線(1つまたは複数)255を含む符号化素子(1つまたは複数)の製造方法は、様々であってよい。例えば、誘電体基板は、切り欠きエリアを含み、この切り欠きの上にあるエリアに第1誘電体基板があり、この切り欠きの下にあるエリアに第2誘電体基板があるのであってもよい。このタイプの実施形態では、導電性ストリップ252を切り欠きエリア内に挿入し、第1および第2誘電体基板256、258の間に来るようにしてもよい。他の例として、導電性ストリップ252を第1誘電体基板256の第2面上、または第2誘電体基板258の第1面上に直接堆積(例えば、印刷またはエッチング)してもよい。
【0034】
各導電性ストリップの第1端262は、符号化素子の入力および出力ポート268に接続されている。第2端264は、符号化素子の終端負荷270に接続されている。終端負荷270は、システム・インピーダンスに等しくすることができる。入力および出力ポート268は、リーダを符号化素子に接続する。例えば、各入力ポートおよび出力ポートは、無線周波ポート(「RFポート」)とすることができる。即ち、リーダは、入力および出力ポート268を介して電気信号を符号化素子に送るように構成することができる。信号は、入力および出力ポート268、導電性ストリップ252ならびに終端負荷270を通過する。終端負荷270は、接地層254に接続されるか、そうでなければ接地される。
【0035】
電気信号が伝送線255を通過すると、伝送線255は従来の放射アンテナのように動作しない。代わりに、伝送線255に信号を通過させると、伝送線255の近傍磁界領域に集中した磁界が発生する。この磁界は、符号化素子150に近接して配置されているトランスポンダに(符号化素子150を通じて)リーダを結合するように構成することができ、本明細書では、トランスポンダ符号化エリアと呼ぶ。符号化素子によって発生する磁束の更に別の例を図11Bおよび図11Cに示し、これらの図と結び付けて論ずる。近傍磁界領域に集中する磁界および電界は、「漏れ電磁界」としても知られているが、これについての更に詳しい説明が、本願と所有者が同じの米国特許出願第12/463,841号、米国特許出願公開第2007/0262873号および第2007/0216591号、Tsirline et al.,の米国特許第7,398,054号に示されている。これらをここで引用したことにより、各々、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
【0036】
他の実施形態によれば、伝送線255の特性インピーダンスは、終端負荷およびシステム・インピーダンスと等しくなるように構成することができる。このような実施形態では、RFポート・インピーダンスが、伝送線の長さには関係なく、終端負荷270およびシステム・インピーダンス、例えば、50オームに等しくなり、可能な限り最も広い帯域幅を得ることができる。また、RFポートは、種々の管轄区域においてRFID用途に対するスペクトル要件をカバーする広い周波数帯域(例えば、ヨーロッパ連合、米国、日本、860から960MHz)において、2以下の定在波比を有することができる(即ち、VSWR≦2)。更に、このような実施形態では、磁界強度が、伝送線の長さに沿って一定に分布する。
【0037】
米国特許出願公開第2007/0262873号および第2007/0216591号、ならびにTsirline et al.,の米国特許第7,398,054号は、とりわけ、マイクロストリップまたはストリップライン直線伝送線あるいは複数の伝送線を近傍磁界アンテナとして用いることを開示している。直線マイクロストリップまたはストリップライン伝送線に基づく近傍磁界アンテナは、ある種のプリンタ−エンコーダ内部にある、ある種のメディア・ユニットの符号化には適している場合もあるが、このような近傍磁界アンテナには制限があることもある。
【0038】
更に具体的には、図3a〜図3fは、トランスポンダのアンテナ構造のために、細長形、または大形双極型トランスポンダと呼ばれる、第1カテゴリのトランスポンダの例を示す。図4a〜図4fは、トランスポンダのアンテナ構造のために、品目レベルまたは小さいループ型トランスポンダと呼ばれる、第2カテゴリのトランスポンダの例を示す。「細長形」、「大形」、および「小形」という用語は、本明細書において用いられる場合、トランスポンダの動作波長に比較して、またはその相対的寸法に比較して、トランスポンダの総体的サイズを示すことを意図している。例として、大形双極型は、長さが約3インチとすることができ(即ち、双極型の最も大きな寸法)、幅が約0.3から0.6インチとすることができ、小形ループ型は、長さが約1インチ、そして幅が約1インチとすることができる。
【0039】
多くのシステムにおいて、マイクロストリップまたはストリップライン伝送線に基づく、電界励起装置(electric field exciter)のような近傍磁界アンテナは、一般に、給送路または給送方向に対して横切って配置され、近傍磁界アンテナのアクティブな導電性ストリップの長さが、給送路または給送方向に対して直交するようになっている。プリンタ−エンコーダ内におけるメディア・ユニットの位置合わせは、縁揃い(側揃いと呼ぶこともある)または中心揃いのいずれかと呼ぶのがよい。縁揃いシステムでは、メディア・ユニットや近傍磁界アンテナの相対的なサイズには関係なく、メディア・ユニットが、近傍磁界アンテナの導電性ストリップの端部の内1つに近接して配置されるか、またはこれと位置合わせされる。中心揃いシステムでは、メディア・ユニットは、メディア・ユニットや近傍磁界アンテナの相対的なサイズには関係なく、近傍磁界アンテナの導電性ストリップの中心に近接して位置付けられる。通例、メディア・ユニットのトランスポンダは、メディア・ユニットに対して中心に位置付けられる。したがって、メディア・ユニットのアンテナに対する位置合わせも、トランスポンダのトランスポンダに対する位置合わせと一致するのであってよい。例として、メディア・ユニットの幅は、1インチ、1.5インチ、2インチ、3インチ、4インチ、またはそれ以上とすることができる。
【0040】
一般に、マイクロストリップおよびストリップライン電界源アンテナは、RF電力効率が限られている。何故なら、これらの電界分布が、導電性ストリップと接地面との間に集中しており、導電性ストリップの上における電界強度が比較的弱いからである。マイクロストリップまたはストリップラインの特性インピーダンスが、終端負荷よりも低い場合、ストリップラインまたはマイクロストリップ近傍磁界アンテナから放出する磁界成分の最大強度は、導電性ストリップの中心にあり、ストリップラインまたはマイクロストリップ近傍磁界アンテナの導電性ストリップから放出する電界成分の最大強度は、導電性ストリップの端部にある。特性インピーダンスが、終端負荷よりも高い場合、磁界成分の最大強度は、導電性ストリップの端部にあり、電界成分の最大強度は、導電性ストリップの中心にある。マイクロストリップおよびストリップライン伝送線についての電磁界成分の分布は、更に、”UHF RFID Antennas for Printer-Encoders - Part 1: System Requirements" (プリンタ−エンコーダ用のUHF RFIDアンテナ−第1部:システム要件)(High Frequency Electronics, Vol. 6, No.9, September 2007, pp.28-39)において論じられている。この文献は、本願の発明者の一人によって書かれており、ここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
【0041】
したがって、大形双極型トランスポンダを処理する中心揃いシステムでは、近傍磁界アンテナからの電界および磁界成分は、近傍磁界アンテナを通じてトランスポンダとリーダとの間に信頼性のある通信をしやすくするために、トランスポンダの中心と最適に位置合わせするように構成することができる。場合によっては、大形双極型トランスポンダは、近傍磁界アンテナに対して相対的に十分大きければよく、縁揃いシステムにおいてであっても、中心揃いシステムと比較して、縁揃いシステムにおいてトランスポンダと通信する近傍磁界アンテナの能力には大きな差が生じない程度に、トランスポンダが導電性ストリップの中心に近いとよい。
【0042】
しかしながら、小形ループ型トランスポンダでは、直線ストリップラインまたはマイクロストリップ近傍磁界アンテナは、システムが縁揃いか中心揃いかによって、所望の電力レベルまたは容認できる電力レベルでトランスポンダとの信頼性のある通信を行うことができないものもある。
【0043】
中心揃いシステムでは、マイクロストリップ近傍磁界アンテナの動作波長と比較すると相対的に小さいが、ループ型トランスポンダは、概略的に、磁界強度が最大となる、マイクロストリップ近傍磁界アンテナの中心と位置合わせされていればよい。このような位置合わせによって、容認できる電力レベルで信頼性のある通信が可能になる。
【0044】
縁揃いシステムでは、トランスポンダを近傍磁界アンテナの中心からずらしてもよく、トランスポンダは、磁界強度が最大となる近傍磁界アンテナのエリア上にはないために、トランスポンダと近傍磁界アンテナとの間の通信に相対的により高い電力レベルが必要となるのであってもよい。(実際、場合によっては、磁界強度が最も弱い近傍磁界アンテナのエリア上に、トランスポンダがあることもあり得る)。結合デバイスまたは符号化素子のタイプ、トランスポンダのタイプおよび配置、ならびにその構成に関する更なる論述が、本願と同じ所有者である以下の特許および出願公開に示されている。米国特許第7,398,058号、第7,190,270号、および第7,489,243号、ならびに米国公開第2005/0274799号および第2009/0008448号。以上の各々は、ここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
【0045】
図2aおよび図2bに示した実施形態は、いずれのタイプのトランスポンダと通信するためであっても、プリンタ−エンコーダまたは他のRFIDシステム内に位置付けることができる。導電性ストリップのループ形状は、導電性ストリップの中心において、即ち、シールドの中央開口エリア261の上方において非常に集中した磁界(例えば、高磁束密度β)を発生するように構成されている。図5に示すように、中心揃いシステムでは、メディア・ユニット500が符号化素子150の上を通過する際に、大形双極型トランスポンダ510が磁界に最も敏感になる、その中心と実質的に位置合わせされるように、符号化素子150をプリンタ−エンコーダ内部において位置付け(即ち、給送路に沿って実質的に中心が決められる)するとよい。図6に示すように、縁揃いシステムでは、メディア・ユニット600が符号化素子150の上を通過する際に、小形ループ型トランスポンダ610磁界に最も敏感になる、その中心と実質的に位置合わせされるように、符号化素子150をプリンタ−エンコーダ内において位置付けするとよい(即ち、給送路の縁に沿って)。
【0046】
中心揃いシステムおよび縁揃いシステム双方において、中心同士を位置合わせすることによって、符号化素子を通じて、リーダとトランスポンダとの間において容認可能な電力レベルで信頼性のある通信が可能になる。容認可能な電力レベルは、1つ以上の因子に基づいて決定することができ、これらの因子には、リーダから入手可能な電力レベル、および規制または法が制限する最大電力レベルが含まれるが、これらに限定されるのではない。更に、特定の電力レベルに的を絞る代わりに、考慮するとよい1つの要因に相対的電力レベルがある。即ち、符号化素子が、その位置から、符号化素子の他の位置または他のタイプに相当する電力レベルで当該トランスポンダとの通信に成功することができるか否かということを考慮する。
【0047】
実施形態の中には、一部が1つのループのような形状を有する導電性ストリップ762の代わりに、符号化素子750が、図7aおよび図7bに示すような、螺旋形状780(または、更に具体的には、アルキメデスの螺旋)を含むとよい場合もある。更に他の実施形態では、厳格に「円」形状を有する代わりに、導電性ストリップ862のループが、図8aおよび図8bに示すように、矩形形状880であってもよい。複数のループ形状を有する実施形態では、単一ループの実施形態について先に説明したように、符号化素子750、850は入力ポート768、868、終端負荷770、870、誘電体基板(1つまたは複数)756、758、856、858、接地面(図面では見えない)、およびシールド760、860を含むとよい。
【0048】
図7a、図7b、図8a、および図8bの実施形態は、実質的に同一平面上にありそして同心状の複数のループ形状を含む。図9に示す符号化素子950の実施形態は、離間された少なくとも2つのループ形状部分980、982を有する形状となっている導電性ストリップ952を含む。導電性ストリップ952の2つのループ形状部分980、982は、同一平面上にあるとよい。第1ループ形状部分980は、小形ループ型トランスポンダが符号化素子950の上を通過する際に、この第1ループ形状部分980の中心が、縁揃いされている小形ループ型トランスポンダの中心と位置合わせされるように、位置付けるとよい。一方、第2ループ形状部分982は、大形双極型トランスポンダが符号化素子950の上を通過する際に、第2ループ形状部分982の中心が、中心揃いされている大形双極型トランスポンダの中心と位置合わせされるように、位置付けるとよい。したがって、符号化素子950は、縁揃いした小形ループ型トランスポンダ、または中心揃いした大形双極型トランスポンダのいずれとも通信するように構成することができる。
【0049】
図10および図11A〜図11Cは、他の実施形態例を示す。以上で説明した符号化素子は、例えば、1つまたは複数のカスケード接続を用いて、他のタイプの符号化素子またはアンテナ・カプラと組み合わせることもできる。一例として、図10は、ループ形状部分1054を含む導電性ストリップ1052を有する磁気励起装置である第1符号化素子1050と、半波長、またはそれ以外のその倍数の、テーパー状マイクロストリップ1092に基づく電気励起装置である第2符号化素子1090とを示す。テーパー状マイクロストリップ1092に基づく第2符号化素子またはアンテナ・カプラ1090の実施形態は、更に、米国特許出願公開第2007/0216591号に開示されている。前述のように、その内容は、ここで引用したことにより、本願にも含まれるものとする。図10に示す実施形態では、第1符号化素子1050および第2符号化素子1090の組み合わせは、第1符号化素子の導電性ストリップ1052の第1端1062と連通するRFポート1068を含む。第1符号化素子の導電性ストリップ1051の第2端1064は、第2符号化素子のテーパー状マイクロストリップ1092の第1端1094と連通する。更に、この組み合わせは、テーパー状マイクロストリップの第2端1095と接続されている終端負荷1070も含む。一例として、この特定の組み合わせによって、以下の幅、即ち、1インチ、3インチ、および4インチの幅を有するメディア・ユニットの符号化が可能になる。
【0050】
他の例として、図11Aは、ループ形状部分1154を含む導電性ストリップ1152を有する磁気励起装置である第1符号化素子1150と、電気励起装置である第2符号化素子1190との組み合わせを示す。更に具体的な一例として、第2符号化素子は、共面導波路であってもよい。共面導波路は、導電性ストリップ1192、および2つの接地面1196,1197を含み、本願と所有者を同じくする、"RFID Near-Field Antenna and Associated Systems"(RFID近傍磁界アンテナおよび付関連システム)と題し、2007年12月18日に出願された、Tsirline et al.,の米国特許出願第US2009/0152353号に、更に詳しく開示されている。この出願をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。図11Aに示す実施形態では、第1および第2符号化素子1150、1190の組み合わせは、第1符号化素子の導電性ストリップ1152の第1端1162(例えば、入力端)と連通する入力RFポート1168を含む。第1符号化素子の導電性ストリップ1152の第2端1164(例えば、負荷端)は、共面導波路1190の第1端1194(例えば、入力端)と連通する。この組み合わせは、更に、共面導波路1190の第2端1195(例えば、負荷端)と連通する終端負荷1170も含む。一例として、この特定の組み合わせは、以下の幅、1インチ、2インチ、3インチ、および4インチを有するメディア・ユニットを符号化することを可能にする。
【0051】
以上の実施形態は、従来のループ・アンテナとは異なる終端ループ形状部分を有するカプラ・デバイスに関する。例えば、以上の実施形態は終端負荷で終端されているが、UHFおよび前述の周波数帯用の従来のループ・アンテナは開放端である。他の例として、以上の実施形態は主にトランスポンダ、例えば、UHFトランスポンダとの磁気結合に配慮しており、プリンタ−エンコーダまたはその他の同様のシステムの金属−誘電体環境の影響を比較的受けにくい。従来のUHFループ・アンテナは、主に、トランスポンダとの近接電磁結合を拠り所としており、金属−誘電体環境の影響を受けやすい。
【0052】
図10および図11A双方に共通して、伝送線(図10の第2符号化素子1090、および図11Aの第2符号化素子1190)は、それぞれ、終端負荷1070および1170によって、一端において終端されている。終端負荷1070、1170は、RFポートのインピーダンス整合が得られるように構成することができる。例えば、ループ型カプラは、図10の第1符号化素子1050および図11Aの第1符号化素子1150がその例であるが、第2符号化素子のシステム・インピーダンス、負荷インピーダンス、およびリーダのRFポートのインピーダンスに等しい特性インピーダンスを有することができる。中心動作周波数において、半波長またはその倍数の長さを有する第2符号化素子1090、1190(即ち、第2符号化素子1109または1190の第1端から第2端までを測定する)の第1端における第1符号化素子1050、1150の入力インピーダンスは、第2符号化素子1090、1190の伝送線の特性インピーダンスには関係なく、実質的に終端負荷1070、1170に等しくなる。したがって、実施形態の中には、第2符号化素子1090、1190の伝送線の長さが、半波長、またはその倍数(即ち、長さは実質的にN×λ/2に等しく、Nは1、2、3、4、5、...に等しければよい)に等しければよく、ソース・インピーダンスおよび/または入力インピーダンスと実質的に一致させるために、ソース・インピーダンスと一致するように終端負荷1070、1170を構成すればよい場合がある。
【0053】
第2符号化素子1090、1190の送電線の特性インピーダンスと、終端負荷1070、1170のインピーダンスとの間の関係は様々に変化することもあるが、一実施形態によれば、第1符号化素子1050、1150の導電性ストリップの中心において磁界を最大にするように、特性インピーダンス分布を構成するとよい。更に、ソース・インピーダンスに実質的に等しく第2符号化素子1090、1190の送電線の特性インピーダンスよりも大きいまたは小さい終端負荷1070によって、第2符号化素子1090、1190の伝送線を終端することによって、バンドパス・フィルタを形成する。
【0054】
実施形態の中には、第2符号化素子1090、1190の伝送線の特性インピーダンスが、ほぼリーダおよび終端負荷1070、1170のインピーダンスと等しいこと、つまり、符号化素子が広い帯域幅を有し、機械的および電気的パラメータの逸脱に耐えることができることがよい場合がある。第1符号化素子1050、1150のような、従来のループ・アンテナでは、通例、整合されていないポート・インピーダンスが存在するか、または整合ネットワークおよび/または狭い帯域幅が必要となる。以上の実施形態は、シールドを備えるとよい。シールドは、修正したストリップライン伝送線の2つの接地層の内1つとして機能することができる。シールドは、寄生放射を低減し、磁界に対しては透過性である。
【0055】
一般に、従来のループ・アンテナは開放型で、放射効率が高く、局在磁界を有しておらず(non-localized fields)、その結果、多数の隣接するトランスポンダからなる1群の中に位置付けられている目標トランスポンダと通信するための空間選択性を有さない。HF(例えば、13.56MHz以上)およびそれよりも低いシステムにおけるような、共振ループ符号化素子の実施形態は、目標トランスポンダと平行に、そして同じ中心に位置合わせして配置して、高い相互インダクタンスおよび結合が得られ、隣接するトランスポンダとの結合効果(例えば、程度、深さ等)を著しく低下させつつ、目標トランスポンダに対してまたはその周囲に非常に局在化された磁束を得ることができる。HF符号化モジュール用の行列構造を作成するとき、符号化素子は、コイル(またはPCB上のトレース)、周波数同調およびインピーダンス整合キャパシタ、ならびに抵抗器によって形成された共振回路を備えることができる。そのいくつかの例が、本願と同じ所有者で、2007年5月30日に出願された米国特許出願公開第2008/0298822、2007年5月30日に出願された第2008/0298870号、2007年11月16日に出願された第2008/0117027号、および2002年6月6日に出願された米国特許第7,137,000号において論じられている。これらをここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。したがって、この構成および符号化素子によって、目標トランスポンダに配信される電力が目標トランスポンダの作動電力閾値を超過するトランスポンダ符号化領域の内側において、高い空間選択性、および高いRF電力余裕(power margin)の双方を得ることができる。加えて、トランスポンダ符号化領域の外側に位置するトランスポンダに配信される電力は、隣接するトランスポンダの作動電力閾値未満にすることができる。従来のUHFループ・アンテナには、これらの特徴が欠けている。一般に、符号化範囲を限定するためには、従来のループ・アンテナを目標トランスポンダに弱く結合すること、および/またはリーダからのRF電力を弱めて供給することが必要となる。引用した前者の手法では、RF電力を増大させなければならず、このために一度に隣接する多数のトランスポンダと通信する問題が生ずる。引用した後者の手法では、符号化の歩留まりが低下するという危険を冒すことになる。何故なら、RFIDシステムは、電力マージンが低く、トランスポンダの電気パラメータと関連のあるアンテナや変数の悪影響(1つまたは複数)を補償することができないからである。
【0056】
図11A、図2A、および図2Bに関する論述に対して更に、図11Bおよび図11Cは、トランスポンダに時期的に結合するUHF CWG符号化素子によって発生した磁束を示す。図11Bおよび図11Cに示すように、符号化素子のループの中心において、磁界に対する最大の感度がある。多くのUHF符号化素子は、これらが双極型かループ型かには関係なく、アンテナと集積回路との間にインピーダンス整合素子を有する。インピーダンス整合素子(本明細書の他の場所で論ずる)は多くの場合導電性ループであり、近接するトランスポンダとリーダのUHF RFID結合素子のアンテナとの間において磁気結合を可能にする。双極型のアンテナを直接集積回路に取り付ける場合であっても、磁界に対する最大感度はその中心にある。RFIDの用途(例えば、RFIDプリンタ−エンコーダ、アクセス制御システム、項目レベルのRFIDコンベア追跡システム等)では、UHFトランスポンダのアンテナが符号化素子に近接しており、電気結合の特性は、HF RFID磁気結合デバイスのそれと同様である。
【0057】
微小磁気符号化素子を作成するためには、ループを形成するように、共面導波路(CWG)を結合させる(band)ことができる(先に論じたように、そして図11Bおよび図11Cにおいて示すように)。このループの形状は、異なる断面をなすことができ(例えば、図2および図3に関して先に論じたように)、例えば、正方形ループ、矩形ループ、楕円ループ等がある。このループの特性インピーダンスは、終端負荷のインピーダンスおよびシステムのインピーダンスに等しくなるように構成することができる(図11Bに示すように)。このインピーダンスは、50オームとすることができる。したがって、CWG符号化素子によって発生した磁界を均等に分布させることができる。RFポートは、ヨーロッパ連合、米国、および日本におけるRFIDの用途に対するスペクトル要求(例えば、800から960MHz)をカバーすることができる広い周波数帯域において、VSWR≦2を有することができる。図11Cは、ループCWG符号化素子がどのようにして、トランスポンダのループ・エリアと交差する磁束を発生することができ、中心一致位置合わせとしたときに最大強度を達成することができるかを示す。したがって、符号化素子は、中心一致位置合わせの歪みに応答して急激に磁束が減少するように構成することができ、こうして、複数の隣接するトランスポンダと共に動作するときに、システムが高い空間選択性を維持することが可能になる。
符号化モジュール
携帯用および小型プリンタ−エンコーダまたはその他のシステムというような実施形態の中には、符号化素子がプリントラインの近くにある、即ち、近接するとよい場合がある。即ち、プリントヘッドが設定されメディア・ユニット上に印刷するように位置付けられた給送路に沿った最初の地点の近くにあるとよい。例えば、符号化素子は、あるタイプのトランスポンダに対する通信エリアの少なくとも一部がプリントラインと重複するように、符号化素子をプリントラインに十分近接させることができ、これによって、システムが可能な限り最も小さいラベルに符号化すること、またはラベル間で最も小さい間隔を維持することを可能にすることができる。言い換えると、本システムがメディア・ユニットのトランスポンダに質問している間またはこれを符号化している間に、システムが同じメディア・ユニット上に指標を印刷しているように、システムを構成することができる。符号化素子およびプリントヘッドの近接は、システムの全体的な設計を小型に維持するためには必要である場合があり、またはそれが望ましい場合もある。また、トランスポンダの質問または符号化が、いずれの印刷動作とも本質的に同じ空間で行われるという状況を生むこともできる。
【0058】
符号化素子が目標トランスポンダのような、特定のトランスポンダと通信することができるときの、プリントラインから目標トランスポンダの先端縁までの最小距離を、本明細書では、「開始符号化距離」と呼ぶ。開始符号化距離から、符号化素子がトランスポンダと通信することができない下流地点までの距離を、本明細書では、「符号化範囲」と呼ぶ。尚、開始符号化距離は、そのアンテナのような、トランスポンダの特性、ならびに、プラテン・ローラやプリントヘッドのような、プリントライン付近にあるシステムの構造およびコンポーネントの特性によって定義されると考えられ、更に、符号化範囲は、トランスポンダおよび符号化素子の特性によって定義されると考えられる。
【0059】
一例として、プラテン・ローラ、プリントヘッド、およびその他のコンポーネントは、トランスポンダとプリントライン付近にある符号化素子との間における結合に影響を及ぼす可能性がある。更に具体的には、システムの中には、プラテン・ローラ、プリントヘッド、およびその他のコンポーネントの金属−誘電体環境が、トランスポンダとリーダとの間の通信を妨げたり、またそうでなければ、干渉する。
【0060】
開始符号化距離は、符号化されるトランスポンダのタイプに応じて様々に変化することもあり得る。また、先に論じたように、トランスポンダのタイプに加えて、メディア・ユニット上におけるトランスポンダの相対的位置も様々に変化する可能性がある。符号化素子は、具体的に、一度に1つのトランスポンダを選択的に作動させこれと通信するために、限定された範囲を有するように構成することもできる。例えば、図2aおよび図3bの実施形態によれば、符号化素子は、概略的に、その直接上にあり(またはシステムの相対的な向きによっては、その下にある)、中心が揃ったトランスポンダを作動させこれと通信を行うように構成されている。これは、トランスポンダのループ・エリアを交差する磁束を発生するように符号化素子を構成することにより、中心一致位置合わせに対して最大レベルを達成することによって、遂行することができる。この磁束は、トランスポンダのループが結合素子の中心から歪むと直ちに急激に減少し、隣接するトランスポンダに対する高い空間選択性を維持する。したがって、給送路に沿った符号化素子の最適な位置は、トランスポンダ(1つまたは複数)のタイプおよび配置によって、様々に変化する可能性がある。例えば、符号化素子およびトランスポンダの中心一致位置合わせによって最大レベルの磁束を達成することに関する追加の例および詳細については、先の図11Bおよび図11Cを参照のこと。
【0061】
しかしながら、プリンタ−エンコーダの符号化素子または結合デバイスは、トランスポンダの装填および符号化の前に、製造業者または組み立て業者によってプリンタ−エンコーダの中に組み込まれるのが通例である。したがって、プリンタ−エンコーダの結合デバイスの符号化素子が、トランスポンダのタイプおよび配置によっては、リーダおよびトランスポンダを結合することを可能にするには、最適ではない位置または容認できない位置にあるという可能性もある。また、顧客の中には、異なるタイプのトランスポンダおよび配置を有する種々のタイプのメディア・ユニットを処理するために、プリンタ−エンコーダを使用することを優先する者もいる。
【0062】
本願と所有者を同じくする、2009年5月11日に出願されたTsirline et al.,の米国特許出願第12/463,841号(「’841出願」)は、多重素子結合デバイスを提供することによって、この課題に取り組む。この多重素子結合デバイスでは、処理しようと試みるトランスポンダのタイプおよび配置に基づいて、素子に沿った電磁界の分布を調節するために、素子を選択的に接続するまたは組み合わせることができる。また、本明細書における実施形態も、’841出願に開示されている手法に加えて、またはその代わりに、同じ問題に取り組むことができる。
【0063】
例えば、図12および図13に示す実施形態のような、一実施形態によれば、メディア・ユニット上にあるトランスポンダのタイプおよび位置に対して調節するように構成された符号化モジュール1200を提供する。符号化モジュール1200は、複数の符号化素子、即ち、アレイを形成する素子1210を含むことができる。先に論じたように、各符号化素子が一度に1つのトランスポンダを作動させこれと通信することができるように、各符号化素子1210は、限定された範囲を有するように構成されている。一例として、UHF帯域用符号化モジュールの符号化素子の各々は、図2A、図2B、および図7A〜図8Bに示した符号化素子であればいずれでもよい。他の例として、LF帯域用符号化モジュールの符号化素子の各々は、動作周波数に同調され、50オームのようなシステム・インピーダンスに整合された共振マルチコイル(ループ)アンテナとすることができる。更に、符号化モジュール1200は、1つ以上の切り替え素子1220(例えば、とりわけ、機械式スイッチ、トランジスタ、PiNダイオード)を含むことができる。切り替え素子1220は、符号化素子1210を選択的にリーダ1230に接続するように構成されている。「接続された」または「接続する」という用語は、本明細書において用いる場合、符号化素子がリーダとトランスポンダとの間において無指向性または指向性通信が行えるように、リーダに電気的に接合されている符号化素子のことを指す。
【0064】
動作の間、切り替え素子1220は、符号化素子またはデバイスをリーダに選択的に接続するために用いることができる。図12に示すように、複数の符号化素子(例えば、A1、A2、A3、A4、B1、B2、...)を、複数の列および行で構成したアレイに配列することができる。各列(1、2、3、4)は、給送路と平行に(即ち、給送路に対して長手方向)延びることができ、各行(A、B、C、D)は給送路に対して垂直に(即ち、給送路に対して時計回り方向に)延びることができる。
【0065】
符号化素子の選択(例えば、列および行の選択)は、例えば、トランスポンダのタイプおよび寸法、メディア・ユニット上におけるトランスポンダの配置、システムにおけるメディア・ユニットの位置(例えば、縁揃いまたは中心揃い)、システム内における金属−誘電体環境にとりわけ基づくことができる。
【0066】
符号化モジュール1200の符号化素子1210の列1、2、3、4は、給送路の縁または中央に対するトランスポンダの位置に基づいて選択することができる。例えば、図14aに示すように、トランスポンダ1400が最内側の列に位置しているときに、例えば、最内側の列1の符号化素子1210を選択することができる。同様に、中央列2、3、または最外側の列4の符号化素子1210は、トランスポンダ1400が、例えば、図14bおよび図14cに示すように、これらの列の内1つの上に位置しているとき、またはその列と中央が揃っているときに、選択することができる。
【0067】
先に論じたように、メディア・ユニットの送り戻り(back feed)を最短にすることに関しては、できるだけプリントライン(図12〜図14cにおいてプラテン・ローラ1215によって表されている)に近いトランスポンダを符号化することが最適であることが、本発明者の検査によって示唆されている。したがって、符号化素子の各行A、B、C、Dは、最も短い開始符号化距離を得ようとして選択することができる。また、先に論じたように、プリンタの構造ならびにトランスポンダのタイプおよび寸法が、トランスポンダとの通信が可能な距離および範囲または通信に信頼性がある距離および範囲に影響を及ぼす可能性がある。したがって、行の選択は、プリンタのコンポーネントならびにトランスポンダのタイプおよび寸法に応じて、様々に変化してもよい。
【0068】
切り替え素子1220は、プロセッサ1230(例えば、ソフトウェア、ファームウェア、および/またはハードウェアで構成したプロセッサであり、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)を含むことができる)、コントローラ、他の組み合わせロジック等によって制御することができる。これに関して、プロセッサは、切り替えデバイス1220を制御するためにコンピュータ読み取り可能記憶媒体上に格納されているプログラム命令を読み出して実行するように構成することができる。
【0069】
他の例として、一実施形態によれば、プロセッサ1230は、メディア・ユニット上におけるトランスポンダの配置(または位置)を決定する、またはトランスポンダに接続するのに最適な符号化素子を決定するための較正方法を実行するように構成することもできる。この較正方法は、自動的に(例えば、特定のタイプのメディアに合わせて較正する必要があるとシステムが判断したことに応答して、時間の経過によって等)実行するとよく、あるいはトランスポンダ較正開始に伴うユーザ入力を受けたことに応答して実行してもよい。実施形態の中には、較正プロセスによって、メディアの先端縁がプリントラインに最適に配置されるRFプログラム位置が選択されるものもある。他の実施形態では、較正プロセスによって、メディアの最も長い書き込み線(write streak)の中央点を判定するものもある。
【0070】
図15A〜図15Gに示すように、この方法は、図15Aのブロック1510において、バッキング1504および埋め込みトランスポンダ1400(図15Bに示すような)を有するメディア1502を、符号化素子1210(図15Cに示すような)に対して第1の位置に移動させるステップを含む。実施形態の中には、操作者が、システムの外側に少なくとも1インチのメディア・バッキング1504があること(図15C〜図15Fに示すように)を確認することを必要とするとよい場合もある。こうすることによって、逆方向でメディアがプラテンから落ちるのを防止するのに役立ちつつ、メディア・インレイ(media inlay)の逆送りに対処するのに役立つことができる。また、システムの外側に少なくとも1インチのメディア・バッキング1504を取ることによって、「デッド・ゾーン」にはトランスポンダがないことを確信するのに役立つことができる。(本明細書において呼ぶデッド・ゾーンとは、主に、実施形態によってはトランスポンダに同調ずれが起こる可能性があるために、通常物理的距離が必要とされることから、プリントヘッドの近くにおいてトランスポンダを符号化素子と結合できなくなるかもしれないエリアのことである。)本方法は、図15Dに示すように、例えば、20mmだけプリントラインからメディアの先端縁を遠ざけるように移動させるステップを備え、デッド・ゾーンにはトランスポンダがないことを更に確信するのに役立てることもできる。次いで、図15Aのブロック1520において、本方法は、複数の符号化素子1210の内少なくとも1つ以上にわたってスキャンするようにして、トランスポンダと通信しようと試みるステップを含むことができる。
【0071】
次に、図15Aのブロック1530において、本方法は、いずれかの方法で1つ以上の符号化素子1210を作動させることによって(例えば、前から後ろに、後ろから前に、対角線方向に等)、メディア・ユニット上にあるトランスポンダの位置を判定するステップを含むことができる。図15Cに示すとおり、第1の位置はプリントラインまたはこの近傍とすることができる。この通信の試みは、アレイ1210の中にある符号化素子の各々とトランスポンダ1400とで通信しようと試みることを含むことができる。この試みは、符号化素子毎に少なくとも1回の試みを含むとよい。例えば、容認可能な電力レベルの範囲全域において、または所定の電力レベル(例えば、22dBmまたはその付近というような)にある符号化素子毎に、試みを行うのであってもよい。メディア・ユニットのトランスポンダの位置判定(例えば、メディア・ユニットの先端縁または側縁に対するトランスポンダの位置)は、トランスポンダとの通信の試みに成功した符号化素子の位置(即ち、行および列)、および通信の試みが成功した電力レベルに基づくことができる。
【0072】
メディア・ユニット1500上におけるトランスポンダ1400の相対的配置を判定することの代わりに、またはそれに加えて、本方法は、ブロック1540において、トランスポンダ1400と通信するのに最適な符号化素子、更に具体的には、特定のタイプのメディア・ユニット上にあるその特定のタイプのトランスポンダを特定するステップを含むこともできる。最適な符号化素子の決定は、最も低い電力レベルで信頼性のある符号化プロセスを確保することができる符号化素子またはデバイス、およびプリントラインに最も近い符号化素子またはデバイス、あるいはその他のスループット考慮事項に基づくことができる。更に、最適の判断基準は、1つよりも多い最適な符号化素子「候補」を特定するのではなく、1つの最適な符号化素子を最適な符号化素子として特定するために、優先される列または行というように、優先される場所または最も頻繁に用いられる場所を選択するステップを含んでもよい。例えば、図15Eでは、符号化素子B2、B3、C2、およびC3が候補となることができる。実施形態の中には、検査が前から後ろに行われ、前に近いトランスポンダが検出されるときのような場合、一旦候補が特定されたなら停止することによって、潜在的に時間を節約することができる。「信頼性のある符号化プロセス」とは、同じグループ内においてパラメータの逸脱には関係なく目標のトランスポンダを作動させ、目標でないトランスポンダの不用意な作動を最小源に抑えつつ、符号化素子を通じてこの目標トランスポンダと通信することができる、プリンタ−エンコーダまたはその他のシステムの能力と定義することができる。
【0073】
実施形態の中には、図15Eの列2および3のような、更に評価しなければならない符号化素子の1つ以上の列を、候補が表すこともある。このような実施形態では、システムは、トランスポンダの性能を調べるために、第1列(例えば、「A」列)を連続的に検査することができる。図15Eは、トランスポンダに最も近接する符号化素子によって取り込まれた読み取り値の種々の表現を示す。この検査は、本明細書において論じたその他の較正検査と同様に、候補毎に較正が完了するまで、メディア(およびトランスポンダ)が前方に移動する間に、1mmの移動毎に読み取り値を取り込むことを含むことができる。次に、図15Fに示すように、最適な符号化素子がまだ確認されておらず、メディアの先端縁がプリントラインまで所定の距離以内になったとき(例えば、最もロバストな符号化位置を選択するために所望の許容度を与える3mmまたは他のいずれかの距離)、システムは、メディアがプリントラインのところに来たときにトランスポンダを首尾良く符号化するために用いることができる他の符号化素子(同じ列にあるかもしれない)を検査し始めることができる。一旦、図15Gに示すように、十分なデータが収集されたなら、どれが最適な符号化素子かに関して判定を行う(直前の節で論じた通り)。最適な符号化素子を選択するための判断基準は、例えば、符号化成功(encoding success)の緩衝帯もあるプリントラインにおいて符号化を可能にするように符号化素子が位置付けられていることに基づくことができる。この緩衝帯は、いずれの側においても予め設定した距離(例えば、2mm)を取ることができ、または、符号化素子、トランスポンダ等のサイズに基づいて可変とすることができる。他の例として、最適な符号化素子を選択するための判断基準は、緩衝帯があるがプリントラインの位置とは関係付けられないように位置付けられた符号化素子を含むことができる。
【0074】
一旦最適な符号化素子を決定したなら(候補の部分集合から、またはアレイの符号化素子の全てから)、ブロック1550において、例えば、図13に示した符号化モジュールのメモリ素子1240またはその他の場所に、この符号化素子の個体情報を自動的に格納することができる。続く動作では、プロセッサは、処理すべき第2のメディア・ユニットまたは続くメディア・ユニットを特定し、他の較正方法を必要とすることなく、格納されている情報を用いて、最適な符号化素子を判定することができる。
【0075】
この較正方法は、第1メディア・ユニットのトランスポンダに対して最適な符号化素子を判定するために、第1メディア・ユニットに適用することができる。RFIDプリンタ−エンコーダのような実施形態の中には、複数のメディア・ユニットを連続的に一度に1つのトランスポンダずつ、および/または一度に1行ずつのトランスポンダ毎に、処理することができるものもある。多くの場合、複数のメディア・ユニットは同じタイプであり、同じタイプのトランスポンダを有する。したがって、プロセッサは、最初のメディア・ユニットに対して決定された最適な符号化素子を、給送路に沿って移動する後続のトランスポンダと通信するためのデフォルト符号化素子として選択し、ブロック1550において符号化することができる。
【0076】
最初のメディア・ユニットに対して決定された最適な符号化素子(1つまたは複数)を自動的に不揮発性メモリに保存し、その後、プロセッサが他のイベントを特定するまで、後続のあらゆるトランスポンダに対して符号化素子(1つまたは複数)として選択することができる。他のイベントを、リセット・イベント1560と呼ぶ。例えば、プロセッサが1回以上の通信の試み失敗または他の通信エラーに関する情報を特定するかまたは受信するまで、プロセッサは、最初のメディア・ユニットに対する最適な符号化素子を、デフォルトの符号化素子として用いることができる。一旦プロセッサが1つ以上の通信エラーを特定したなら、プロセッサは較正方法を繰り返させることができる。
【0077】
プロセッサによって実行する較正方法の代わりにまたはこれに加えて、操作者が手作業でメディアの位置を制御することもでき(例えば、1つ以上の符号化素子と任意にトランスポンダを位置合わせするために、メディアを効果的に動かすことによって)、次いで操作者の入力装置またはプリンタ−エンコーダのインターフェース、例えば、キーパッドを通じて、符号化素子の1つ以上を選択的に作動させることができる。自動較正および手動較正双方を備えている実施形態では、一方または他方をデフォルト・プロセスとして予め設定しておくことができる。命名方式を予め設定しておくと、操作者が容易に符号化モジュールと通信することができ、符号化モジュールが、トランスポンダと結合するために用いるべき、特定の1つまたは複数の符号化素子を特定することを可能にすることができる。例えば、操作者は、符号化素子またはデバイスを行および列で特定することができる(例えば、A2によって、行Aにおいて2番目の素子を選択することができる)。他の例として、操作者がメディア・ユニットのタイプを特定することもできる。一旦メディア・ユニットが特定されたなら、プロセッサは、メモリに格納されているデータ、例えば、参照表にしたがって最適な符号化素子を特定するように構成することができる。参照表は、1つ以上の符号化素子1210の設定値を操作者が見るための多くの手段の内の1つとすることができる。メモリに格納されている他のデータと同様、この参照表は、ネットワークを通じて、構成設定ラベルまたはその他の何らかの手段によって、システムに一体化されているディスプレイ上において見ることができる。参照表に加えて、符号化に用いられた各素子の履歴をメモリに記録することができる。この履歴記録は、操作者が履歴記録を見たいという指示に応答して、操作者に提示することができる。符号化モジュールの直接制御およびアクセスを操作者に与えることによって、本システムは、規則遵守および技術的検査に用いられる構成というような、既知の構成または所望の構成の一層素早い設定に対処することができる。
【0078】
更に他の例では、プリンタ−エンコーダのようなシステムが、符号化素子と、メディア・ユニットの供給に関連のある、特別な専用識別トランスポンダからの情報を読み取るように構成されたリーダとを含むこともできる。このシステムのメディア・ユニットの供給には、例えば、ロールと、このロールに取り付けられた識別トランスポンダとを含むことができる。識別トランスポンダは、とりわけ、メディア・ユニットのタイプを含むメディア・ユニットの情報を含むことができる。プリンタ−エンコーダのカプラおよびリーダは、識別トランスポンダから情報を読み出すことができるとよく、これによってシステムのプロセッサが、処理すべきメディア・ユニットのタイプを特定し、例えば、メディアの幅ならびにトランスポンダのタイプおよび配置に応じて、最も適した1つまたは複数の符号化素子を選択することが可能になる。
【0079】
複数の符号化素子1520の内少なくとも1つ以上を通じて、第1メディア・ユニットのトランスポンダと通信しようと試みる動作を再度参照すると、用いられる符号化素子の数、および符号化素子を検査する順序は、様々に変化してもよい。例えば、一実施形態によれば、トランスポンダと通信する試みは、アレイの各符号化素子を通じて行うことができる。この試みは、列および行の順に行うことができ、例えば、各符号化素子が検査されるまで、順序はA1、A2、A3、A4、B1、B2、B3等としてもよい。他の例として、素子の内1つ以上の検査のために選択するアルゴリズムにしたがって、符号化素子の部分集合を検査することもできる(これによって、符号化素子の内1つ以上を検査から選択的に除外する)。「検査」とは、特定の電力レベルで、接続されている特定の1つまたは複数の素子を通じてトランスポンダと通信する試みを指す。
【0080】
符号化素子を検査する順序即ちシーケンスは、符号化素子が最適な符号化素子である可能性に従うことができる。システムのメモリ素子は、最適な符号化素子である可能性が最も高い符号化素子に関する情報を格納することができ、用いられた最も共通なメディア・ユニットに基づくことができる。例えば、プリンタ−エンコーダの製造業者は、販売または顧客フィードバックに基づいて、この情報を提供することができる。他の例として、ユーザはこの情報をユーザの好みまたは意図に基づいて提供することもできる。最も共通のメディア・ユニットに基づいて、プロセッサは、例えば、メモリ素子に格納されている参照表によって、最も可能性が高い最適な符号化素子を判定することができるとよい。更に他の例として、プロセッサが、(例えば、プリンタ−エンコーダ・システムの過去の動作に基づいて)過去においてどの符号化素子が最適な符号化素子と見なされたかについて、用いられた備品(supplies)のタイプ、印刷された可変データ、ラベル・デザイン・フォーマット、記述データ、XML方式、印刷日、印刷時刻、フォーマット日、印刷場所、操作者、IPアドレス、印刷アプリケーション、印刷モード(例えば、DT/TT、カット、巻き戻し、剥離など)、環境条件、および/またはその他の動作データ等を監視し格納することもできる。
【0081】
一旦符号化素子がトランスポンダと通信するのに成功したなら、隣接する符号化素子を検査することができる。第2の隣接する符号化素子が成功した場合、次いで1つ以上の追加の符号化素子(第2符号化素子に隣接する)も検査することができる。第2の隣接する符号化素子が失敗の場合、プロセッサは、第2符号化素子に隣接するが、第1符号化素子には隣接しない追加の符号化素子の検査を控えることを決定することもできる。言い換えると、システムのアルゴリズムは、他の符号化素子による試みの成功または失敗に基づいて、どの符号化素子を検査すべきか、および/または検査すべきでないか、具体的に選択するように構成することができる。
【0082】
図12に示す実施形態では、アレイは、合計で16個の符号化素子を、4つの列および4つの行の符号化素子として含む。他の実施形態では、列、行、および符号化素子の数が様々に変化してもよい。例えば、列または行毎の符号化素子の数は、1つの列または行が他の列または行よりも多いまたは少ない符号化素子を有することができるように、様々に変化してもよい。アレイおよび符号化素子のサイズおよび形状は、システムにおいて利用可能な空間、コストの考慮、またはシステムによって処理される可能性が高いメディア・ユニットに従えばよい。多重同時符号化(multiple-up encoding)を参照するような、追加の例について、例えば、図23および図24を参照して以下で論ずる。
【0083】
更に、図19aおよび図19bに示すように、行および列を互いにずらしてもよい。矢印で示すように、図19aに示す実施形態では、行および列が互いに一直線状になっており、複数の符号化素子1910のアレイ1900を表す。各符号化素子は隣接する符号化素子と中心の位置が揃っている。同様に矢印で示すように、図19bおよび図19cに示す実施形態では、列および行が違いからずれており、各符号化素子が、隣接する各符号化素子と中心の位置が揃っていない。例えば、図19bでは、隣接する列が違いからずれており、ある符号化素子の中心が、隣接する列の2つの符号化素子の端部間に位置決めされている。図19cでは、1つ置きの列が、相対的に小さい符号化素子を有し、食い違い配列(offset arrangement)を形成する。
【0084】
以上の符号化素子およびモジュールは、より多くのタイプおよびサイズのメディア・ユニットおよびトランスポンダの符号化に対処するように構成されている。更に具体的には、典型的な従来の符号化システムは、RFIDリーダと、伝送線、共面導波路、ストリップライン、およびその他のマイクロ波構造に基づくアンテナとを含む。これら従来のシステムでは、メディア・ユニットの寸法、および隣接するメディア・ユニット間の間隔に厳しい制限が賦課される。また、従来のシステムは、それらの自然なピッチで小さいトランスポンダを符号化することができない。比較的長いメディア・ユニットに対しては、トランスポンダ毎の位置が、HFおよびUHF RFIDプリンタ−エンコーダの異なるモデルについての個々の仕様による制約を受ける。
【0085】
本明細書において開示する符号化モジュールは、ドライおよびウェット双方のピッチが合っているインレイ(inlay on pitch)、ならびに比較的長いラベルに独立した向きおよび位置で埋め込まれたトランスポンダを符号化することができる。先に論じたように、符号化モジュールは、リーダと、磁界符号化素子の2Dアレイまたは行列とを含むことができる。このアレイの各符号化素子は、順次作動させることができる。リーダの応答によって、トランスポンダの位置または配置を判定し、最適な符号化素子を選択し、十分なマージンがあるRF動作電力レベルの分析を行うことが可能になる。これらの手段全てによって、検出されたトランスポンダのロバストな符号化を確保する。
【0086】
実施形態の中には、多数の符号化素子を用いて、メディアが静止したままとなっている間に、多数のトランスポンダを符号化することができる場合がある。例えば、RFIDプリンタ−エンコーダ・システムが、多数の符号化素子を含み(例えば、図12に示すような)、これらの符号化素子が、メディア上に配置されているトランスポンダと同様のパターンで配置されている。このシステムは、トランスポンダを上面に有するメディアを受け取り(例えば、受動的に受け入れる、および/または能動的に引き込む)システムの中に入れることができる。メディアのトランスポンダがシステムの符号化素子に対して相応に位置合わせされているとシステムが判定したことに応答して、メディアのトランスポンダ全てを一挙に符号化する。トランスポンダを一挙に素早く符号化することができるが、一度に1つの符号化素子を作動させることによって、ノイズが発生するのを回避し、隣接するトランスポンダの符号化を妨害する。大量符号化プロセスは、メディアがシステムを通過する際における1回の静止の間に行うこともできる。一旦全てのメディアのトランスポンダの符号化が完了したなら、次いで、システムは当該システムの符号化ゾーンからメディアを排出し、他のメディアを受け取り、繰り返す。
【0087】
例えば、符号化モジュール1200の符号化素子1210(即ち、A1、A2、A3、...、D3およびD4)の間隔と一致するように、一連の小さな項目ボタン型のトランスポンダをメディア上に、離して配置することができる。次いで、メディアの移動をl回停止するだけで、ボタン型トランスポンダを全て符号化することができる。したがって、16個のボタン型トランスポンダが、メディアを移動させることなく、符号化される。これは、例えば、パッケージの検証用途のためのトランスポンダの大量生産には有用であると考えられる。他の例として、プリンタ−エンコーダ・システムを通過させる間にメディアを1回だけ停止させることによって、双極型トランスポンダおよびボタン型トランスポンダの双方を有するメディアを同時にプログラミングすることができる。1回の停止の間に、符号化素子の1つ1210(例えば、D4)によって双極トランスポンダにプログラミングすることができ、符号化素子の他の1つ(例えば、A4)によって、対応するボタン型トランスポンダにプログラミングすることができる。D4によって符号化された双極トランスポンダは、次に、長距離識別(long range identification)に用いることができ、一方A4によって符号化されたボタン・トランスポンダは認証に用いることができる。
アクセス制御および符号化モジュール
図16〜図18に示すような他の実施形態では、アクセス・カード1600および符号化モジュール1700を提供する。アクセス・カード1600は、複数のトランスポンダ1610を含む。例えば、アクセス・カード1600は、最上層、最下層、およびこれら最上層と最下層との間にある複数のトランスポンダ1610を有する積層構造を含むことができる。符号化モジュール1700は、ループ共面導波路のような、複数の符号化素子1710を含む。各符号化素子を選択的に作動させることができ、それに近接するトランスポンダと一度に1つしか通信できないようするために、限定された範囲を有するように構成されている。一例として、符号化素子の各々は、図2A、図2B、および図7A〜図8Bに示した符号化素子のいずれでもよい。アクセス・カード上におけるトランスポンダの位置は、符号化モジュール上における符号化素子の位置に対応するように構成することができる。
【0088】
符号化モジュールは、アクセス制御システム1800の一部をなすことができる。特定のエリアへのアクセスを得るために、アクセス・カード1600のユーザまたは携行者は、アクセス・カード1600を符号化モジュール1700の近くに置かなければならない。例えば、符号化モジュール1700は、アクセス・カード1600を受け取るように構成されているスロット1720を含むことができる。一旦アクセス・カードをスロットの中に挿入すると、リーダ1810は、符号化モジュールの符号化素子1710を通じて、アクセス・カードのトランスポンダ1610の各々と通信しようと試みることができる。アクセス・カードが適正であれば、トランスポンダと符号化素子が位置合わせされているので、通信が可能となるようにトランスポンダが位置付けられる。アクセス・カードが適正でない場合、例えば、偽造である場合、トランスポンダの数および位置が符号化モジュールと一致する可能性が低くなる。したがって、アクセス制御システム1800は、アクセス・カードの不適正を検出し、アクセスを拒否するのに格好である。所有者を同じくする米国特許第7,137,000号に更に開示されているように、このアクセス・カードは、追加の認証機構を組み込むこともできる。この特許をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。例えば、トランスポンダ毎に、パスワードを発生するアルゴリズムを別々にすることができ、これによって、更に、偽物を作る手間が複雑になる。
【0089】
従来のカードと同様、トランスポンダは、ユーザまたは携行者について、適正なアクセスを確認する情報を収容することもできる。図16〜図18に示した符号化モジュールおよびアクセス・カードは、アクセスを許可するために複数のトランスポンダを特定の配列にすることを要求することによって、追加のセキュリティ・レイヤを設ける。トランスポンダおよび符号化素子の数およびパターンは、様々に変化してもよい。例えば、トランスポンダおよび符号化素子は珍しい形状や平坦でない形状であってもよい。
モジュール状符号化素子または結合デバイス
先に論じたように、各符号化素子の好ましい位置およびタイプは、各トランスポンダの配置およびタイプによって異なる場合がある。本明細書において開示する実施形態は、接続された符号化素子を相応に変化させることができる、符号化素子のアレイを提供することによって、この課題に取り組む。
【0090】
このアレイを提供することに加えてまたはその代わりに、実施形態は、種々のタイプおよびサイズの符号化素子または結合デバイスに合う共通のコネクタも提供することができる。例えば、図20a〜図21の実施形態に示すように、プリンタ−エンコーダのようなシステム2100は、アダプタ2110を含むまたは規定することができる。アダプタ2110は、特別に、結合デバイスの特定の形状のおよびサイズのコネクタ2020を受け入れて係合するように構成されており、一旦コネクタ2020がアダプタ2100と係合すると、結合デバイスとシステム2100、更に具体的には、システムのリーダとの間に電気的接続が形成されるようになっている。図20a〜図20cの結合デバイス2000、2001、2002は、サイズ、形状、およびタイプが異なるが、各々、システムのアダプタ2110に合わせて構成された同じタイプのコネクタ2020を含むことができる。したがって、共通タイプのコネクタ2020の使用によって、本システムは、処理するトランスポンダの配置およびタイプに応じて、種々のサイズ、形状、およびタイプの結合デバイスを用いることができる。
【0091】
例えば、開示したような異なる符号化モジュールが相互交換可能であるとよい。第1符号化モジュールは、図19aに示したようなアレイを有することができ、第2符号化モジュールは図19cに示したようなアレイを有することができる。第1および第2符号化モジュールは同じタイプのコネクタを有するので、ユーザはプリンタ−エンコーダ・システムにおいて第1符号化モジュールを第2符号化モジュールと容易に置き換えることができ、これによって、システムは異なるタイプのトランスポンダを受け入れることが可能になる。他の例として、第1タイプの結合デバイスと、第2タイプの結合デバイスとを利用することができる。第1タイプの結合デバイスは、共面導波路としてもよく、第2タイプの結合デバイスは、負荷ストリップラインとしてもよい。2つのタイプの結合デバイスが同じタイプのコネクタを有するので、ユーザが手作業で、またはシステムが自動的に、第1結合デバイスを第2結合デバイスと置き換えて、異なるタイプのトランスポンダを受け入れることができる。
スマート掃引
先に論じた較正プロセス(例えば、図15A〜図15Gを参照)に加えてまたはその代わりに、本発明の実施形態は、スマート掃引アルゴリズムを実行するように構成することができる。トランスポンダ較正アルゴリズムを用いて理想的な符号化素子、電力設定、およびトランスポンダ符号化位置を決定することができるが、図22のスマート掃引アルゴリズムは、プリンタ−エンコーダまたはその他のシステムが、「トランスポンダ配置独立」と呼ばれることもある特性を有する環境において機能する能力を与えることができる。この特性には、トランスポンダがメディア上において、互いにある範囲内(例えば、15mmから60mm以内というような)で垂直に(給送ラインに沿って)位置付けられている状況が含まれる。スマート掃引アルゴリズムは、範囲(例えば、2インチのような)に対して最小の長さのメディアを利用する実施形態のために確保する(reserve)ことができ、および/またはこの実施形態において最も効果的となることができる。例えば、スマート掃引アルゴリズムは、4インチ双極トランスポンダ、3インチ双極トランスポンダ、および/または高利得タグ・タイプと共に用いることができる。
【0092】
図22のプロセス2200は、ファームウェア、ソフトウェア、他のあらゆるタイプのシステム(またはそのコンポーネント)、あるいはそのあらゆる組み合わせを実行するように構成することができる方法の一例を示す。プロセス2200は、符号化素子を効果的に「掃引」して、トランスポンダを発見し符号化する。ブロック2202において、プロセス2200は、掃引値を偽に設定することから開始する。この掃引値は、例えば、プリンタ・ヘッドが閉じているときまたはシステムが最初にONになって電源が入ったときに、FALSE(偽)に設定することができる。
【0093】
次に、ブロック2204において、メディアの先端縁がプリンタ−エンコーダのプリントラインにあるときに位置付けられるまたは位置付けられると思われるメディアを符号化するためのフォーマットを、システムによって受け取る。このフォーマットは、例えば、ホスト・コンピュータ、プリンタ−エンコーダの中央プロセッサ、メモリ・コンポーネント、他のいずれかの電気コンポーネント、またはこれらのあらゆる組み合わせによって供給することができる。図22に示すように、プリンタ−エンコーダをONにして電力を投入するときにはいつでも、フォーマットを受け取ることができる。場合によっては、トリガ・イベントがフォーマットを受け取らせることもできる。トリガ・イベントの例には、プリンタ−エンコーダを最初にONにして電力を投入するとき、および/またはプリンタ・ヘッドを開くときが含まれる。フォーマットは、例えば、ZPLコマンド、他のあらゆるタイプのコマンド信号、またはこれらの組み合わせという形態にすることができる。
【0094】
メディアは、1つ以上の埋め込み型またはその他のタイプ(1つまたは複数)のトランスポンダを有することができる。ブロック2206において、符号化素子(「E」)の1つを作動させ、特定の電力量(「P」)を用いて、トランスポンダの1つを符号化させようとする。ブロック2206において、例えば、手作業で、本明細書において論じた、掃引連続アルゴリズムを用いて、および/またはトランスポンダ較正方法を用いることによって、Eを設定することができる。双方の方法の例については、例えば、図15A〜図15Gと関連付けて先に論じている。Pは、例えば、システムによって自動的に設定することができ(例えば、トランスポンダ較正方法を用いて)、および/または操作者から受け取った入力に応答して手作業で設定することができる。
【0095】
次に、ブロック2208において、Eを用いたトランスポンダの符号化が成功したか否かについて判定を行う。この判定は、所定回数の再試行の後に行うことができる。再試行の回数は、システムに予め設定しておくことができ、および/または手作業で設定する変数とすることもできる。符号化が、割り当てられた試行回数以内で実行に成功した場合、符号化プロセスはブロック2210において終了する。したがって、ブロック2210において、Eに供給される電力をOFFに切り替えること、またはそうでなければ電力を低下させることができる。
【0096】
プロセス2200における次は、ブロック2212であり、ここで、メディアが2インチ以上か否か判定を行う(または、プリンタ−エンコーダ毎および/またはプリンタ・エンコーダのタイプ毎に予め設定することができる、手作業で設定することができる、および/または何らかの他の変数(1つまたは複数)に基づいて自動的に決定することができる他の何らかの最小サイズ)。メディアが2インチよりも大きいと判定された場合、プロセス2200はブロック2202に戻る。メディアが少なくとも2インチであると判定したことに応答して、プロセス2200はブロック2214に進み、掃引値をTRUEに設定し、掃引機能の実行に成功したことを示す。次いで、プロセス2200はブロック2228に進み、メディアを排出する、メディアの上に印刷する、またはそれ以外の処理を行い、次いで、プロセス2200は終了する。当業者であれば、2インチという量が、最小サイズの一例に過ぎないことを意味することを認めよう。異なる印刷要件、符号化素子構成、メディアのタイプ等によって、プロセス2200が1つ以上の他の長さ確認判定を利用することを可能にするとよい(または、利用させてもよい)。また、本発明の実施形態の中には、本明細書において論じたステップの内1つ以上の省略を許容するものもある。
【0097】
ブロック2208に戻って、符号化不成功の回数が多過ぎた場合、プロセス2200はブロック2216に進む。ブロック2216において、プロセス2200は、メディアの長さが2インチ以上か否か判定を行う。メディアが2インチ以上であると判定された場合、プロセス2200はブロック2218に進む。
【0098】
ブロック2218において、プロセス2200は、掃引が現在FALSEの値に設定されているか否か判定を行う。掃引がFALSEに設定されていると判定したことに応答して、プロセス2200はブロック2220に移動し、Eを掃引連続動作(series)における次の符号化素子に変更する。また、再試行回数の値を0にリセットする。これによって、新たなE符号化素子が、直前の符号化素子と同じ回数の再試行を行うことが可能になる。実施形態の中には、列1および2に移動する前に、列4および3におけるエンコーダに新たなEを設定するように、システムを構成することができる場合もある。これによって、符号化素子のアレイが、メディアの前後方向の掃引を行うことを可能にすることができる。他の実施形態では、掃引をいずれの方向にでも実行することができ、後ろから前、不規則な選択、右から左、左から右、対角線方向、これらの組み合わせ、および/またはいずれかの他のアルゴリズムによる掃引が含まれる。
【0099】
ブロック2218において掃引がFALSEに設定されていないと判定したことに応答して、プロセス2200はブロック2224に進み、次の符号化素子として設定されるようにEを変化させる。次の符号化素子は、ブロック2220と関連付けて論じたアルゴリズムと同じまたは異なるアルゴリズムに基づいて選択することができる。例えば、掃引連続動作における次の符号化素子は、再試行コマンドに基づいて選択することができ、最初の1組の再試行全てが不成功のまま終わってしまった後に掃引するための追加の方法を備えることができる。例えば、操作者には、符号化素子のアレイがトランスポンダを発見し符号化し損ねた場合何をすべきか規定する際に、ブロック2224において何らかのレベルの制御を与えることができる。C4がトランスポンダを符号化するのに成功しなかった場合、これは、例えば、操作者が入力する特定の符号化素子(例えば、B4またはD4のような)を受け取ることを含んでもよい。実施形態の中には、操作者がプロセス2200を無効にし中断することを選択してもよい場合があるが、他の符号化素子を手作業で選択する機会を操作者に与えることによって、無効率(void rate)を低下させるのに役立つことができる。他の例として、顧客が、掃引連続動作において次のEを選択する際に用いる1つ以上のアルゴリズムを選択する(1つ以上の特定の符号化素子の代わりに)ことができる。また、ブロック2224において、再試行回数の値も0に設定する。実施形態の中には、再試行回数の値がユーザ設定可能な値であることができる場合、および/またはプリンタ−エンコーダの製造業者の設定に続いて更新することができる0以外の他のいずれかの値であることができる場合もある。
【0100】
ブロック2224および2220の後に、プロセス2200はブロック2222に進み、掃引が完了したか否か判定を行う。ブロック2222において掃引が完了したと判定したことに応答して、またはブロック2216においてメディアが2インチ未満であると判定したことに続いて、プロセス2200はブロック2226に進み、このメディアを無効にして、掃引値をFALSEに設定する。次いで、プロセス2200はブロック2228に進み(先に論じた)、終了する。
多重符号化(multiple-Up Encoding)
更に以上の論述に加えて、図12〜図14Cおよび図15C〜図15Fと関連付けて示したような実施形態では、1つよりも多いメディア・ユニット上にある1つよりも多いトランスポンダのタイプおよび位置を調節するように構成された符号化モジュールを提供することもできる。例えば、符号化モジュール1200は、先に論じたようにアレイを形成し、動作するように構成されている複数の符号化素子を含むことができる。
【0101】
他の例として、図23は、符号化モジュール2300を示す。符号化モジュール2300は、図12〜図14Cおよび図15C〜図15Fに示した符号化モジュール1200よりも4倍多い列(1から4の代わりに、1から16)、および2倍多い行(AからFの代わりにAからL)の符号化素子2300を含む。したがって、符号化モジュール2300は、ウェブ2302のような、もっと大きなウェブの幅全体に広がることができる。あるいは、ウェブ2302は、バッキング1504と同じサイズにすることもでき、符号化モジュール2300の各符号化素子は、符号化素子1210の各々よりも小さい。
【0102】
図23に示す例に含まれる場合、ウェブ2302はメディア・ユニット2304、2306、2308、2310、2312、および2314のような、1つ以上のメディア・ユニットを備えることができる。各メディア・ユニットは、接着ラベル、および/または先に論じたトランスポンダ1400のような、トランスポンダを含むのであれば他のいずれのものでもよい。ウェブ2302は、形状およびサイズの中でもとりわけ、標準的なサイズの紙(例えば、8.5インチ×11インチ、A4用紙サイズ、11インチ×14インチ)というように、いずれの形状およびサイズでもよい。実施形態の中には、図23に示した6つよりも多いメディア・ユニットまたは少ないメディア・ユニットがウェブ2302に含まれていてもよい場合がある。ウェブ2302は、箱に入れて個々に販売することができ、および/または、そうでなければ、トランスポンダがない接着ラベルのシートが販売されているようなやり方でウェブ2302を販売することもできる。同様に、プロセッサ1230のようなプロセッサは、他のコンポーネントを利用して、ウェブ2302に一度に1枚以上シートを符号化モジュール2300の符号化領域(1つまたは複数)に供給させるように構成することもできる。
【0103】
符号化モジュール2300の符号化素子の各々は、図12〜図14Cおよび図15C〜図15Fと関連付けて論じた符号化素子例、またはそれ以外の場所で論じた符号化素子例と同一または同様であってもよい。例えば、符号化素子の内1つ以上が、一度に1つのトランスポンダを選択的に作動させこれと通信できるように、限られた範囲を有する構成にすることができる。他の例として、符号化モジュール2300の各符号化素子は、符号化モジュール2300に含まれる他の符号化素子の内1つ以上を引き立てる(compliment)発信パターンを生成するように構成された1つ以上のアンテナを備えることもできる。したがって、符号化モジュール2300は、とりわけ、異なるトランスポンダ・インレイの間隔(spacing)およびピッチ(pitch)に適応する柔軟性を備えるように構成することもできる。また、符号化モジュール2300および/またはそれに結合されているプロセッサ(例えば、プロセッサ1230)は、1つ以上のトランスポンダ1400を発見するように、および/または自動較正し、スマート掃引アルゴリズムを実行するように、および/または本明細書において論じた他の動作を実施するように構成することもできる。
【0104】
実施形態の中には、符号化モジュール2300の符号化素子の全てを1つのリーダに結合すること、および/または符号化素子の全てが1つのリーダとして動作することができる場合もある。リーダは、例えば、先に論じたプロセッサ1230のような制御回路に結合することができる。他の実施形態では、符号化モジュール2300の符号化素子の内、その部分集合毎に纏めて集合化し、符号化モジュール2300の各グループが個別のエンティティとして動作するように構成することもできる。したがって、符号化モジュール2300は、複数の個別符号化モジュールを備えることもできる。例えば、符号化素子の各グループは、図12〜図14Cおよび図15C〜図15Fと関連付けて論じた符号化モジュール1200と同一または同様であってもよい。
【0105】
符号化モジュール2300および/またはその種々のコンポーネントは、相互交換可能であってもなくてもよい。例えば、符号化モジュール2300が、それよりも小さい8つの符号化モジュールを備えているとき、小さい方の符号化モジュールの内1つ以上が、例えば、図20a〜図21と関連付けて論じたように、相互交換可能であってもよい。同様に、符号化モジュール2300が1つのモジュールを備えているとき、例えば、図20a〜図21と関連付けて論じたように、符号化モジュール2300は、全体として、相互交換可能であってもなくてもよい。
【0106】
符号化モジュール2300は、本明細書において論じたような1つ以上のリーダに結合することができる。先に注記したように、1つ以上のリーダの各々を、先論じたプロセッサ1230のような、制御回路に結合することができる。例えば、符号化モジュール2300の各行を、図13に示したような1つのリーダに結合することができる。他の例として、符号化モジュール2300の各列が専用のリーダを有することもできる。更に他の例として、符号化モジュール2300がそれよりも小さい複数のモジュールを備えているとき、小さい方のモジュールの各々を専用のリーダに結合することもできる。
【0107】
実施形態の中には、同時に多数の品目を印刷および/または符号化することを管理するためのアルゴリズムを、1つ以上のプロセッサによって実施するとよい場合がある。実施形態例の中には、リーダの数が、同時にとれだけの個別のトランスポンダを異なるデータで符号化するとよいかについてアルゴリズム(および/またはプロセッサ)が決定する係数であるとよい場合がある。例えば、6個のリーダが符号化モジュール2300に結合されているとき、メディア・ユニット2304、2306、2308、2310、2312、およびのトランスポンダ1400を符号化モジュール2300によって同時に符号化することができる。
【0108】
実施形態例の中には、メディア・ユニットよりもリーダの数が少なくてもよい場合もある。例えば、図23に示す6つのメディア・ユニット2304、2306、2308、2310、2312、および2314を符号化するために、1つ、2つ、または3つのリーダがあるのでもよい。他の例として、プリントラインに平行な方向には、メディア・ユニットの数を上回るリーダが1列/行にあり、プリントラインに垂直な方向には、メディア・ユニットの数を下回るリーダがあるのでもよい。例えば、直線状に位置付けられた4つのリーダがあり、同時に4つまでのメディア・ユニットと通信できるのであってもよく、または図23に示す例では、メディア・ユニット2304、2306、2308またはメディア・ユニット2310、2312、および2314の内3つと同時に通信できるのでもよい。プロセッサによって実施される印刷/符号化アルゴリズムは、リーダの各々が、トランスポンダ1400の内1つを一意のデータで同時に符号化することを可能にする。実施形態の中には、メディア・ユニットよりもリーダの数が少ない場合であっても、プロセッサによって同じデータがトランスポンダ1400の内2つ以上に符号化されているときには、これらのリーダの内いずれか(または全て)を、多数のメディア・ユニットを同時に符号化するように構成できる場合もある。
【0109】
実施形態の中には、プロセッサの印刷/符号化アルゴリズムが、符号化の間にメディア・ユニット2304、2306、2308、2310、2312、および2314の移動を停止させる、および/または減速させることを必要とする場合がある。多数のメディア・ユニットを同時にまたは少なくともウェブ2302を1回停止または減速している間に符号化することによって、ウェブの数だけ、または1つのみの埋め込みトランスポンダと関連のある他のタイプのバッキング(バッキング1504のような)の数だけ停止(または減速)しなければならない場合と比較すると、全体的なスループットを高めることができる。
【0110】
実施形態の中には、多数のメディア・ユニット(例えば、メディア・ユニット2304、2306、および2308)を順次符号化するか、同時に符号化するか、またはその組み合わせか(2つのリーダを用いて、例えば、2つのトランスポンダを同時に符号化し、次いで第3のトランスポンダを続いて符号化する)には関係なく、メディア・ユニットのグループが符号化されるに連れて、印刷/符号化アルゴリズムが、メディア・ユニットの各々に印刷するように準備が整えることができるものもある。
【0111】
実施形態の中には、印刷の前、後、または最中に、符号化誤り検出アルゴリズムもプロセッサによって実行できるものもある。とりわけ、符号化誤り検出アルゴリズムは、トランスポンダ1400の内1つ以上について、符号化プロセスが成功したか否か判定するように、プロセッサを構成することができる。プロセッサが、トランスポンダ1400の内1つ以上が符号化に失敗した(例えば、欠陥データによって、誤ったデータによって、トランスポンダに特定的な製造上の欠点または他の欠点のため等)と判定したことに応答して、プログラミングに成功しなかったトランスポンダをプロセッサによって不良トランスポンダとして識別することができる。プロセッサは、例えば、各不良トランスポンダが付随する各メディア・ユニット上に、誤ったパターンを印刷させるように構成することができる。他の例として、プロセッサは、不良トランスポンダにプログラミングするために1回以上の再試行(retry attempt)を実行するように構成することができる。更に他の例として、不良トランスポンダのメディア・ユニット上には何も印刷させない(または、そうでなければ印を付けないまま放置する)こともできる。この場合、何の印刷も他のマークもないということが、符号化の間にメディア・ユニットに誤りが発生したことを示す。実施形態の中には、障害がなければ一緒に符号化および/または印刷されていたはずの複数の(例えば、行、列、隣接、またはその他の種類のグループ)トランスポンダの中に、障害のあるトランスポンダがある場合であっても、障害のあるトランスポンダのみを不良として識別すればよいこともある。例えば、1つのリーダを用いてメディア・ユニット2310、2312、および2314のトランスポンダ1400を符号化しているときに、メディア・ユニット2312のトランスポンダに符号化中に誤りが生じると、メディア・ユニット2310および2314は計画通りに印刷すればよいが、メディア・ユニット2312には印刷しないか、または誤りを特定する情報を印刷することができる。誤り特定情報は、メディア・ユニット2312をプログラミングするときに遭遇する誤りに特定的であってもよく、全てのメディア・ユニットに対して包括的であってもよく、またはその組み合わせであってもよい(例えば、包括的誤りパターンの印刷、および発生した特定の誤りに特定的な誤り情報の印刷を含む)。
【0112】
実施形態の中には、リーダの数には関係なく、各リーダが、符号化モジュール2300を利用して、一意のトランスポンダ識別子に基づいて特定のトランスポンダを目標にする(較正、符号化等のために)ように構成できる場合がる。一意のトランスポンダ識別子は、製造中に各トランスポンダにプログラミングすることができる。また、各リーダは、符号化モジュール2300を利用して、符号化モジュール2300に含まれている1つ以上の特定の符号化素子に基づいて、特定のトランスポンダを目標にする(較正、符号化等のために)ように構成することもできる。トランスポンダ1400の各々には、識別子を含む、一意のデータを符号化することができる。実施形態の中には、ウェブ2302のような1つ以上のウェブ全域において種々のメディア・ユニット上に符号化されたデータを関連付けるために、プロセッサによってある方式または他のタイプのアルゴリズムが採用されるとよい場合がある。トランスポンダ上に符号化された一意の識別子は、この機能および他の機能を実行しやすくするために用いることができる。例えば、同時に符号化された3つのメディア・ユニットまたはそうでないメディア・データを、一人の人間と関連のある研究所サンプルに割り当てることができる。実施形態の中には、関連のあるメディア・ユニット(研究所のサンプル特定データ等を特定する)に異なるデータが符号化されることもあるが、符号化されたデータの少なくとも一部が同一であればよい場合もある(例えば、人を特定するデータ)。
【0113】
実施形態の中には、各メディア・ユニットのトランスポンダに、連番または他の一意の識別データを符号化するが、メディア・ユニットにはこのデータを印刷しないようにするとよい場合もある。つまり、RFIDプロトコルを用いてトランスポンダから読み取ることができるデータは、視覚的におよび/またはそれ以外で読むことができるデータとは異なっていてもよい。例えば、図24におけるウェブ2424上に示すメディア・ユニット2402、2404、2406、2408、2410、2414、2416、2418、2420、および2422が、連番のいずれか一字を欠いていてもよいが、各メディア・ユニットのトランスポンダ(図示せず)上に符号化されたデータは一意の連番を含むのであってもよい(例えば、先に論じた印刷/符号化アルゴリズムによって決定することができる)。
【0114】
実施形態の中には、符号化誤り検出アルゴリズムおよび/または他の何らかのアルゴリズムが、例えば、トランスポンダ全体にわたってデータを検証するとよい場合がある。例えば、2つのトランスポンダが同じデータ、同様のデータ、またはそれ以外で関連のあるデータを有する場合、符号化誤り検出アルゴリズムは、装置のプロセッサが、トランスポンダに障害があるか否かだけでなく、関連のある(または、少なくとも関連があるべき)多数のトランスポンダ上に、関連データがエンコードされたか否か判断することを可能にするとよい。
【0115】
また、印刷/符号化アルゴリズムの中には、1つ以上のトランスポンダからデータを読み取る能力、および/または1つ以上のメディア・ユニット上に印刷されている指標を読み取る能力も含み、どのデータを他のトランスポンダ(1つまたは複数)に書き込むべきか、および/または他のメディア・ユニット(1つまたは複数)に印刷すべきか判定できるものもある。例えば、メディア・ユニット2402、2404、2406、2408、2410、2412、2414、2416、2418、2420、および2422が、装置の異なるコンポーネント(1つの家具、機械、および/またはその他のいずれか)に宛てられることを意図してもよい。メディア・ユニット2402、2404、2406、2408、2410、2412、2414、2416、2418、2420、および2422と関連付けられたトランスポンダをプログラミングするとき、第1トランスポンダに予めプログラミングされているデータを用いて、第2トランスポンダのデータをプログラミングすることができる。他の例として、第1トランスポンダに予めプログラミングされているデータを、システムのプロセッサによって他のデータと連結し、この連結したデータを第1トランスポンダに符号化することもできる。
【0116】
印刷/符号化アルゴリズムの中には、暗号化/解読プロトコルにおいて鍵としてまたは他の役割に集合的に供するために、複数のトランスポンダを符号化する能力を含むとよいものがある。これに関して、符号化プロセスは、同じワイヤレス鍵を用いて、メディア・ユニットのトランスポンダを開錠する、読み出す、および/または検証することを可能にするとよい。
【0117】
また、印刷/符号化アルゴリズムは、システムが当量毎(per-dosage)薬品情報をメディア・ユニットに符号化することを可能にするのであってもよい。例えば、薬品のタイプ、バッチ、および/またはその他のあらゆる当量特定情報に関する情報をトランスポンダ上に符号化することができる。加えてまたは代わりに、種々の薬品に共通するデータを各トランスポンダ上に符号化してもよい。
【0118】
図25は、実施形態が多重(multi-up)印刷および符号化を実行するために用いることができるプロセス2500を示す。本明細書において論じた他のプロセスと同様、プロセス2500は、これまでに論じたものを含む、何らかの方法例、コンピュータ・プログラム生産物、および/または本明細書において論じたシステムにしたがう流れ図によって表されている。尚、各動作、行為(action)、ステップ、および/または図面に示されるその他のタイプの機能、および/または図面における機能の組み合わせは、種々の手段によって実施することができることは言うまでもない。流れ図の機能を実施する手段、図面における行為の組み合わせ、および/または本明細書において記載した本発明の実施形態例のその他の機能は、ハードウェア、および/またはコンピュータ・プログラム生産物を含むことができ、コンピュータ・プログラム生産物は、1つ以上のコンピュータ・プログラム・コード命令、プログラム命令、または実行可能コンピュータ読み取り可能プログラム・コードが格納されているコンピュータ読み取り可能記憶媒体(コンピュータ読み取り可能伝送媒体の代わりにまたはこれに加えて)を含むことができる。これに関して、プログラム・コード命令は、装置例の記憶デバイスに格納することができ、先に論じたプロセッサ1230のような、プロセッサによって実行することができる。認められようが、このようなプログラム・コード命令はいずれも、コンピュータまたはその他のプログラム可能な装置(例えば、プロセッサ1230等)に、コンピュータ読み取り可能記憶媒体からロードして、特定の機械を生成し、この特定の機械が、例えば、図25および本明細書に含まれるその他のフロー・チャートと関連付けて論じた図の行為において指定された機能を実現する手段となることができる。
【0119】
また、これらのプログラム・コード命令は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体に格納することもでき、コンピュータ、プロセッサ(先に論じた処理回路のような)、および/またはその他のプログラム可能な装置に、特定の態様で機能することによって、特定の製造品目を生成することを命令することができる。この製造品目は、例えば、図25と関連付けて論じた図の行為において指定された機能を実現する手段となる。プログラム・コード命令は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体から読み出して、コンピュータ、プロセッサ、またはその他のプログラム可能な装置にロードして、このコンピュータ、プロセッサ、またはその他のプログラム可能な装置上でまたはこれらによって行為が実行されるように、コンピュータ、プロセッサ、またはプログラム可能な装置を構成することができる。プログラム・コード命令の読み出し、ロード、および実行は、一度に1つの命令を読み出し、ロードし、実行するように、順次実行することができる。実施形態例の中には、多数の命令を一緒に読み出し、ロードし、および/または実行するように、読み出し、ロード、および/または実行を並列に実行するとよい場合もある。プログラム・コード命令の実行によって、コンピュータ実装プロセスを生成し、コンピュータ、プロセッサ、またはその他のプログラム可能な装置が、例えば、図25のプロセス2500と関連付けて論じられる行為において指定される機能を実現する行為を行うようにすることができる。プロセス2500は、2502において開始する。
【0120】
2504において、これまでに論じたような実施形態によるプリンタ−エンコーダが、見ることができる(またはその他のいずれかの)指標を複数のメディア・ユニット上に印刷することを開始することができる。例えば、メディア・ユニットを、図24に示したようなウェブ上に配置することができる。これは、メディア・ユニット4つ分の広さがある。
【0121】
2506において、プリンタ−エンコーダは、メディア・ユニットの内1つ以上に含まれる1つ以上のトランスポンダとの通信プロトコルを起動することができる。実施形態の中には、これが、プリンタ−エンコーダのカプラ・アレイおよび/またはその他のアンテナ(1つまたは複数)の範囲内にある全てのトランスポンダに質問信号を送ることを伴うこともある。
【0122】
2508において、プリンタ−エンコーダはトランスポンダの1つ以上からデータを読み取ることができる。例えば、プリンタ−エンコーダはトランスポンダ識別子および/または既にトランスポンダにプログラミングされているその他のあらゆるデータを読み出すことができる。
【0123】
実施形態の中には、2510において1つ以上のトランスポンダの物理的位置を確定する場合がある。この物理的位置は、プリンタ−エンコーダのカプラ・アレイの1つ以上の特定の結合素子に対して相対的なものとすればよい。次いで、プリンタ−エンコーダは、トランスポンダの1つ以上の位置、タイプ、ピッチ、および/または各トランスポンダに一意の他のあらゆる特性に基づいて、カプラ・アレイを較正することができる。較正の例については、先に論じている。
【0124】
2512において、プリンタ−エンコーダは、トランスポンダの内1つ以上を符号化に選択することができる。トランスポンダの1つ以上を選択するには、例えば、とりわけ、トランスポンダ(1つまたは複数)の位置、トランスポンダ識別子(1つまたは複数)、トランスポンダ(1つまたは複数)のタイプに基づくとよい。
【0125】
2514において、プリンタ−エンコーダは、アレイ・カプラにおける結合素子の内どれが、選択したトランスポンダを符号化することができるのか判定を行うことができる。この判定は、例えば、トランスポンダ(1つまたは複数)の特性、および結合素子の特性に基づくとよい。例えば、一部の結合素子が、これらの構成および/または相対的位置のために、あるタイプのトランスポンダと通信するには、他のものよりも良い状況にあるという場合がある。トランスポンダのタイプは、例えば、2508において1つ以上のトランスポンダから読み取ったデータに基づいて判定するとよい。
【0126】
2516において、トランスポンダを含むウェブを移動させて、選択したトランスポンダ(1つまたは複数)を符号化に一層適した位置に持って行くべきか否かについて判定を行う。ウェブを移動させるべきという判定を行ったことに応答して(または、メディア・ユニット上に指標を印刷するためというような他の理由のために、ウェブを移動させる必要があるという判定を行ったことに応答して)、プリンタ−エンコーダは2518においてウェブを移動させることができる。
【0127】
選択したトランスポンダを符号化する間ウェブが今あるところに留まるべきまたは留まった方がよいという判定を行ったことに応答して、プリンタ−エンコーダは2518をスキップし、選択したトランスポンダ(1つまたは複数)を符号化することができる。実施形態の中には、選択したトランスポンダを符号化するステップが、1つのリーダを用いて複数のトランスポンダを順次符号化するステップを含むのであってもよく、この場合、ウェブの移動の1回の休止の間に、1回に1つずつトランスポンダを符号化する(そして、場合によっては、プリンタ−エンコーダの印刷の1回の休止)。したがって、プリンタ−エンコーダは技術的に各トランスポンダを順次符号化しているのであるが、ユーザには、全てのトランスポンダが同時に符号化されているように思われるかもしれない。順次符号化の間、プリンタ−エンコーダは一意情報を各トランスポンダに、包括情報を各トランスポンダに、および/またはその組み合わせを各トランスポンダに符号化することができる。各トランスポンダ上に符号化される情報は、同じおよび/または異なるトランスポンダから2508において読み取ったデータ、および/または2520において符号化プロセスの間に読み取ったデータに基づくとよい。例えば、1つ以上のトランスポンダ上に符号化されるデータは、同じトランスポンダ、異なるトランスポンダ、プリンタ−エンコーダのメモリ、乱数発生器、ユーザ入力、および/またはその他のあらゆるデータ源からのデータの連結であってもよい。
【0128】
他の実施形態では、多数のリーダがプリンタ−エンコーダに含まれていてもよく、多数のトランスポンダに同時に(順次ではなく、または順次に加えて)一意情報を符号化するのでもよい。
【0129】
更に他の実施形態では、プリンタ−エンコーダに含まれるリーダの数には関係なく、多数のトランスポンダに同じデータを同時におよび/または順次符号化することもできる。
本明細書において論じたプロセス2500の他の態様と同様、プリンタ−エンコーダは、プロセス2500から例えば2510および2516の一部または全部を削除することもできる。例えば、プリンタ−エンコーダは、EPCglobal UHF Class 1 Generation 2 protocolのようなワイヤレス・プロトコルに基づいて、2512においてトランスポンダから1つ以上の選択し、次いで、ある時間期間および/または他の命令が出されるまで、他のトランスポンダに静止するように命令した後に、2520において1つ以上のトランスポンダに一意のデータを符号化するように構成することができる。
【0130】
2522において、ウェブを再度移動させることなく、他のトランスポンダを符号化できるか否かについて判定を行う。例えば、1つ以上の特定の結合素子が、符号化範囲内にある1つ以上の特定のトランスポンダと通信することを伴う順次符号化プロセスでは、プリンタ−エンコーダは、1つ以上の(例えば、異なる)結合素子(1つまたは複数)が、符号化されようとしている他のトランスポンダ(1つまたは複数)の符号化範囲内に入っているか否か判定を行うこともできる。
【0131】
他の例として、2522において、プリンタ−エンコーダは、静止しているあらゆるトランスポンダを呼び起こして、1つ以上の他のトランスポンダを符号化のために選択するように構成することもできる。新たなトランスポンダ(1つまたは複数)を符号化のために選択した後、プリンタ−エンコーダは他のトランスポンダを静止させる(2520において符号化されようとしている最初のトランスポンダ(1つまたは複数)を含む)。
【0132】
ウェブを移動させることなく1つ以上の他のトランスポンダを符号化できるという判定に応答して、プロセス2500は2520を繰り返す。ウェブを移動させることなく1つ以上の他のトランスポンダを符号化することができないという判定に応答して、プロセス2500は2524に進む。
【0133】
2524において、ウェブ上に(または、そうでなければ、カプラ・アレイの符号化領域内に)他に未だトランスポンダ(1つまたは複数)があるか否かについて判定を行う。符号化すべき他のトランスポンダ(1つまたは複数)があると判定したことに応答して、プロセス2500は2512に戻る。
【0134】
符号化すべきトランスポンダが他にはないと判定したことに応答して、プロセス2500は2526に進み、プリンタ−エンコーダは、符号化したトランスポンダの1つ以上について符号化が成功したことを検証する。例えば、プリンタ−エンコーダは、符号化されているトランスポンダの各々に符号化されたデータを読み取ろうとすることができる。実施形態の中には、プリンタ−エンコーダが、2520の後で2522の前において、各トランスポンダに対して2526をアドホックで実行してもよい場合がある。同様に、プロセス2500の他の態様(および/または本明細書において論じた他のプロセス)の順序を変えること、繰り返すこと、組み合わせること、飛ばすこと、またはそれ以外で再構成することもできる。
【0135】
2528において、2526で収集した検証データに基づいて判定を行う。例えば、2528において、プリンタ−エンコーダは、2526において受け取ったデータを、2520において各トランスポンダ上に符号化したデータと比較することができる。
【0136】
2530において、プリンタ−エンコーダは、符号化に成功したトランスポンダ、および/または符号化に失敗したトランスポンダを有するメディア・ユニットはどれか、視覚的に示すことができる。例えば、符号化に失敗したトランスポンダと関連のある各メディア・ユニット上に、無効パターンを印刷するのであってもよい。他の例として、メディア・ユニット上に印刷しようとしている指標(例えば、バーコード、識別データ等)を、符号化に成功したトランスポンダと関連のあるメディア・ユニットのみに印刷してもよく、および/または符号化に失敗したトランスポンダと関連のあるメディア・ユニットを空白のまま残しておいてもよい。図24は、例えば、ウェブ2424の右下角にある空白エリアを示す。この空白エリアは、不良トランスポンダを有するメディアを表すことができる。
【0137】
ステップ2532において、プリンタ−エンコーダが既にメディア・ユニットの印刷を続けていない場合(例えば、印刷および/またはウェブの移動が未だ休止している場合)、1つ以上のトランスポンダが1回の停止の間に符号化され終えた時点で、印刷を再開することができる。実施形態の中には、印刷行為(および/またはウェブの移動)が停止や休止することなく継続している間に、多数のトランスポンダを符号化することができる場合もある。他の実施形態では、印刷および/またはウェブの移動が継続してもよいが、通常の速度と比較すると減速する。他の実施形態では、プロセス2500の符号化および他の部分の間、速度を上昇させることもできる。プロセス2500は、2534において終了する。
結論
本明細書において論じた実施形態、ならびに本明細書において明記した発明の他の実施形態の多くの組み合わせや変更が、以上の説明および添付図面において紹介した教示の恩恵が得られる当業者には想到するであろう。したがって、本発明は、開示した具体的な実施形態には限定されるのではないこと、そして変更や他の実施形態は、添付した特許請求の範囲の中に含まれることを意図していることは言うまでもない。本明細書では具体的な用語を用いたが、これらは包括的および記述的な意味で用いたのであって、限定の目的で用いたのではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスポンダを有するメディア・ユニットを第1の位置まで移動させるステップと、
列および行のアレイに配列されている複数の符号化素子の内少なくとも1つ以上を通じて、前記メディア・ユニットのトランスポンダと通信しようと試みるステップと、
前記メディア・ユニットのトランスポンダに対して最適な符号化素子を決定するステップと、
を備えている、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、更に、前記最適な符号化素子を、後続のメディア・ユニットのトランスポンダに対するデフォルト符号化素子として選択するステップを備えている、方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法であって、更に、第2メディア・ユニットと関連のあるリセット・イベントを特定するステップと、前記リセット・イベントを特定したときに、前記列および行のアレイに配列されている複数の符号化素子の内少なくとも1つを通じて、前記第2メディア・ユニットのトランスポンダと通信しようと試みるステップと、前記第2メディア・ユニットに対して最適な符号化素子を決定するステップとを備えている、方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記列および行のアレイに配列されている複数の符号化素子の内少なくとも1つを通じて、前記メディア・ユニットのトランスポンダと通信しようと試みるステップが、各符号化素子が最適な符号化素子である可能性に基づくシーケンスにしたがって、前記複数の符号化素子の内少なくとも1つを検査するステップを含む、方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記列および行のアレイに配列されている複数の符号化素子の内少なくとも1つを通じて、前記メディア・ユニットのトランスポンダと通信しようと試みるステップが、複数の電力レベルにおいて前記メディア・ユニットのトランスポンダと通信しようと試みるステップを含む、方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記メディア・ユニットのトランスポンダに対して最適な符号化素子を決定するステップが、1つ以上の成功した通信の試みと、通信が成功した各符号化素子の各位置とに基づく、方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記メディア・ユニットのトランスポンダに対して最適な符号化素子を決定するステップが、1つ以上の用いた電源、前記トランスポンダ、および動作環境の内少なくとも1つに関して、以前から格納されている情報に基づく、方法。
【請求項8】
アクセス制御システムであって、
特定の様式で配列されている複数の符号化素子を含むモジュールと、
前記モジュールの複数の符号化素子と対応する様式で配列されている複数のトランスポンダを含むアクセス・カードと、
を備えている、アクセス制御システム。
【請求項9】
リーダと、給送路に沿って移動する多数の隣接するトランスポンダの中に配置されている目標トランスポンダとの間において選択的に通信を行うように構成されているシステムであって、
通信信号を送信するように構成されているリーダと、
複数の列および複数の行に配列されている複数の符号化素子を有する符号化モジュールであって、前記複数の列が前記給送路と平行に延び、前記複数の行が前記給送路に対して垂直に延びる、符号化モジュールと、
を備えている、システム。
【請求項10】
請求項9記載のシステムであって、更に、メディア・ユニットのトランスポンダに対して最適な符号化素子を決定するように構成されている回路を備えており、前記最適な符号化素子が、前記複数の符号化素子から選択される、システム。
【請求項11】
請求項10記載のシステムにおいて、前記回路が、更に、前記最適な符号化素子を、後続のメディア・ユニットのトランスポンダに対するデフォルト符号化素子として選択するように構成されている、システム。
【請求項12】
請求項11記載のシステムにおいて、
前記回路が、更に、第2メディア・ユニットと関連のあるリセット・イベントを特定するように構成されており、 前記リセット・イベントを特定したときに、
前記リーダが、前記複数の列および複数の行に配列されている複数の符号化素子の内少なくとも1つ以上を通じて、前記第2メディア・ユニットのトランスポンダと通信しようと試みるように構成されており、
前記回路が、更に、第2の最適な符号化素子を前記第2メディア・ユニットに対して決定するように構成されている、システム。
【請求項13】
請求項9記載のシステムにおいて、前記リーダが、更に、各符号化素子が最適な符号化素子である可能性に基づくシーケンスにしたがって、前記複数の符号化素子の内少なくとも1つを検査することによって、 前記符号化素子を通じて、前記メディア・ユニットのトランスポンダと通信しようと試みるように構成されている、システム。
【請求項14】
請求項9記載のシステムにおいて、前記リーダが、複数の電力レベルにおいて前記メディア・ユニットのトランスポンダと通信しようと試みることによって、前記複数の列および複数の行に配列されている複数の符号化素子の内少なくとも1つを通じて、前記メディア・ユニットのトランスポンダと通信しようと試みるように構成されている、システム。
【請求項15】
請求項14記載のシステムにおいて、前記回路が、1つ以上の成功した通信の試みと、通信が成功した各符号化素子の各位置とに基づいて、前記メディア・ユニットのトランスポンダに対して最適な符号化素子を決定するように構成されている、システム。
【請求項16】
請求項9記載のシステムにおいて、前記回路が、1つ以上の用いた電源、前記トランスポンダ、および動作環境の内少なくとも1つに関して、以前に格納されている情報に基づいて、前記メディア・ユニットのトランスポンダに対して最適な符号化素子を決定するように構成されている、システム。
【請求項17】
リーダと、給送路に沿って移動する多数の隣接するトランスポンダの中に配置されている目標トランスポンダとの間において選択的に通信を行うように構成されているシステムであって、
通信信号を送信するように構成されているリーダと、
少なくとも1つの列と複数の行に配列されている複数の符号化素子を有する符号化モジュールと、
を備えており、
前記少なくとも1つの列が、前記給送路に平行に延び、前記複数の行が前記給送路に垂直に延び、
前記符号化素子の内少なくとも2つが、メディア上にある少なくとも2つの対応するトランスポンダに個別に結合されており、
前記少なくとも2つの対応するトランスポンダが符号化されるまで前記システムが前記メディアを物理的に移動させることなく、前記符号化素子の内前記少なくとも2つが、前記少なくとも2つの対応するトランスポンダを符号化する、システム。
【請求項18】
多数のトランスポンダを符号化する方法であって、
メディア・ユニットのウェブを受け取るステップであって、前記メディア・ユニットの内第1メディア・ユニットが第1トランスポンダを備えており、第2メディア・ユニットが第2トランスポンダを備えている、ステップと、
符号化および印刷するために、前記メディア・ユニットのウェブを移動させるステップと、
前記ウェブの移動を停止させるステップと、
前記ウェブの移動を停止している間に、
前記第1トランスポンダを符号化し、
前記第2トランスポンダを符号化するステップと、
前記第1メディア・ユニット上に指標を印刷するステップと、
前記第2メディア・ユニット上に指標を印刷するステップと、
を備えている、方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法であって、更に、
前記第1トランスポンダの符号化および前記第2トランスポンダの符号化が完了したと判定したことに応答して、前記ウェブを移動させるステップと、
前記ウェブの移動を停止させるステップと、
前記ウェブの移動を停止している間に、
第3メディア・ユニットに含まれる第3トランスポンダを符号化し、
第4メディア・ユニットに含まれる第4トランスポンダを符号化するステップと、
前記第3メディア・ユニット上に指標を印刷するステップと、
前記第4メディア・ユニット上に指標を印刷するステップと、
を備えている、方法。
【請求項20】
請求項18記載の方法において、前記第1トランスポンダの符号化、および前記第2トランスポンダの符号化が、少なくとも部分的に同時に行われる、方法。
【請求項21】
請求項20記載の方法において、前記第1トランスポンダの符号化、および前記第1メディア・ユニット上への指標の印刷が、少なくとも部分的に同時に行われる、方法。
【請求項22】
請求項18記載の方法において、前記第1トランスポンダの符号化、および前記第2トランスポンダの符号化が、順次行われる、方法。
【請求項23】
請求項22記載の方法において、前記第1トランスポンダの符号化、および前記第1メディア・ユニット上への指標の印刷が、少なくとも部分的に同時に行われる、方法。
【請求項24】
請求項18記載の方法であって、更に、
前記第1トランスポンダの符号化および前記第2トランスポンダの符号化が完了したと判定したことに応答して、前記ウェブを移動させるステップと、
前記ウェブの移動を停止させるステップと、
前記ウェブの移動を停止している間に、
第3メディア・ユニットに含まれる第3トランスポンダを符号化するステップと、
前記第3トランスポンダの符号化が成功したか否か判定を行うステップと、
を備えている、方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法において、
前記第3トランスポンダの符号化が成功したという判定に応答して、前記第3メディア・ユニット上に指標を印刷する、方法。
【請求項26】
請求項24記載の方法において、前記第3トランスポンダの符号化が失敗したという判定に応答して、前記第3メディア・ユニット上に誤り識別情報を印刷する、方法。
【請求項27】
請求項24記載の方法において、前記第3トランスポンダの符号化が失敗したという判定に応答して、前記第3メディア・ユニット上に何も印刷しない、方法。
【請求項28】
請求項24記載の方法であって、更に、隣接する1つ以上のメディア・ユニットの符号化に成功したと判定した後に、前記第3メディア・ユニットに隣接する1つ以上の隣接メディア・ユニット上に指標を印刷するステップを備えている、方法。
【請求項29】
請求項18記載の方法において、
前記第1トランスポンダを符号化するステップが、前記第1トランスポンダ上に第1データ集合を符号化するステップを含み、
前記第2トランスポンダを符号化するステップが、
前記第1データ集合に基づいて、第2データ集合を発生するステップと、
前記第2トランスポンダ上に前記第2データ集合を符号化するステップと、
を含む、方法。
【請求項30】
請求項29記載の方法において、前記第2データ集合を発生するステップが、前記第1データ集合の少なくとも一部を前記第2データ集合に含めるステップを含む、方法。
【請求項31】
請求項18記載の方法であって、更に、
前記第1メディア・ユニットから情報を読み取るステップを備えており、
前記第2トランスポンダを符号化するステップが、前記第1メディア・ユニットから読み取った情報に基づいてデータを発生するステップを含む、方法。
【請求項32】
請求項18記載の方法であって、更に、
前記第1メディア・ユニットから情報を読み取るステップを備えており、
前記第1トランスポンダを符号化するステップが、前記第1メディア・ユニットから読み取った情報に基づいてデータを発生するステップを含む、方法。
【請求項33】
請求項32記載の方法において、前記データを発生するステップが、前記第1メディア・ユニットから読み取った情報の少なくとも一部を、追加情報と連結するステップを含む、方法。

【図1】
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【図2A−2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図15E】
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【図15F】
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【図15G】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19a】
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【図19b】
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【図19c】
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【図20a】
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【図20b】
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【図20c】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2013−511098(P2013−511098A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539030(P2012−539030)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/056590
【国際公開番号】WO2011/060300
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(512124289)ズィーアイエイチ・コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】