説明

第二鉄有機化合物、その使用、およびその製造方法

本発明は、複数の形態の第二鉄有機化合物、それらの使用、および該化合物を製造する方法を対象とする。本発明により、高リン酸血症および代謝性アシドーシスの治療を含む医療において使用するのに望ましい溶解特性を備えた新規物理形態のクエン酸第二鉄が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願第60/447,690号(2003年2月19日出願)、および第60/462,684号(2003年4月15日出願)の利益を主張するものであり、それらの記載内容は参照により本出願に含まれるものとする。
【0002】
技術分野
本出願は、第二鉄有機化合物、該第二鉄有機化合物を製造する方法、および様々な疾患の治療における該第二鉄有機化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
本出願全体にわたって、様々な刊行物を参照する。これらの刊行物の開示内容は全て、本発明が属する技術の現状をより十分に説明するために、参照により本出願に含まれるものとする。
【0004】
(1) 鉄化合物の使用
第二鉄イオンを含有する化合物は、高リン酸血症および代謝性アシドーシスを含むがこれらに限定されない、数多くの疾患の治療に有用である。これまでの研究および発明では、食物由来のリン酸塩との結合における第二鉄化合物の使用について報告されており、かかる第二鉄化合物は腎不全患者における高リン酸血症の治療に有用でありうる(米国特許第5,753,706号、1998; CN 1315174, 2001; Yang W.C.ら、Nephrol. Dial. Transplant 17:265:270 (2002))。血中の高濃度のリン酸塩は、クエン酸第二鉄などの化合物を投与することで除去できる。一旦溶解すると、第二鉄イオンがリン酸塩と結合し、このリン酸第二鉄化合物が消化管内に析出するので、結果として食物由来のリン酸塩が体内から効果的に除去される。また、クエン酸第二鉄由来の吸収されたクエン酸塩は重炭酸塩へと変換され、これが代謝性アシドーシス、すなわち腎不全患者に共通する症状を治すとも考えられている。
【0005】
米国特許第5,753,706号には、食物由来の可溶性リン酸塩に結合させて該リン酸塩をリン酸第二鉄またはリン酸第一鉄として消化管内に析出させることにより食物起源由来の可溶性リン酸塩の経口吸収を防ぐために、結晶形のクエン酸第二鉄および酢酸第二鉄を含む第二鉄含有化合物を、経口で有効な1グラム製剤として使用することが開示されている。消化管における第二鉄イオンの可溶性リン酸塩への結合には経口投与されたクエン酸第二鉄の溶解が必要であり、また結晶性クエン酸第二鉄の溶解速度は遅い(37℃で10〜12時間)ので、1gというかなり大量のクエン酸第二鉄を経口投与する必要がある。関連する中国特許出願(CN 1315174)にも、腎不全患者において高リン酸血症を治療するための、内用液剤剤形のクエン酸第二鉄および関連化合物の同様の使用について開示されている。
【0006】
(2) Fe(III)化合物の溶液化学
Fe(III)はルイス酸であり、通常7を超える腸内pHよりも、通常5未満のpHを有する胃で化学的により溶けにくい。胃は、Fe(III)化合物の溶解にとって重要な作用部位であると考えられている。また、胃は、Fe(III)が食物由来のリン酸塩に結合する際にその作用を仲介し、リン酸塩が腸に到達するのを防ぐことによって腸からのリン酸塩の吸収を低減するための、重要な作用部位であるとも考えられている。
【発明の開示】
【0007】
発明の要約
本発明のこれらの目的および他の目的に沿って、本発明の概要を示す。下記の要約には一部簡略化および省略が為されている場合があるが、それらは本発明の幾つかの態様を強調しかつ紹介するためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。当業者が本発明の概念を理解しかつ利用しうる程度の好適な模範的実施形態の詳細な説明は、後節に記載する。
【0008】
本発明は、新規形態の第二鉄有機化合物、これらの化合物を製造する方法、ならびに高リン酸血症および代謝性アシドーシスを含むがこれらに限定されない様々な疾患の治療におけるこれらの化合物の使用に関する。
【0009】
新規形態の第二鉄有機化合物は、アルカリ金属水酸化物を水溶性の第二鉄イオン塩に添加することにより合成する。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または他の適切なアルカリ金属水酸化物を挙げることができる。可溶性の第二鉄イオン塩としては、塩化第二鉄・六水和物、または他の適切な第二鉄イオン塩を挙げることができる。アルカリ金属水酸化物を特定の速度および温度で添加することにより、均一なポリ鉄オキソコロイド懸濁液を形成する。次いで、該コロイド懸濁液を洗浄し、固体結晶性有機酸を特定の温度で添加することにより、溶液中に第二鉄有機化合物を形成する。有機酸としては、クエン酸、酢酸、イソクエン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、または他の適切な有機酸を挙げることができる。新規形態の第二鉄有機化合物は、有機溶媒を使用して溶液から析出させる。有機溶媒としては、エタノール、メタノール、ブタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、または他の適切な有機溶媒を挙げることができる。得られる新規形態の第二鉄有機化合物は、その溶解速度が増大している。
【0010】
一実施形態では、新規形態の第二鉄有機化合物は、新規形態のクエン酸第二鉄を含む。新規形態のクエン酸第二鉄は、水酸化ナトリウムを特定の速度および温度で塩化第二鉄・六水和物に添加し、水酸化第二鉄の均一コロイド懸濁液を形成することによって合成する。固体結晶性クエン酸を該コロイド懸濁液に加え、特定の温度範囲まで加熱することにより、溶液中にクエン酸第二鉄を形成する。この新規形態のクエン酸第二鉄を、有機溶媒を使用して溶液から析出させる。
【0011】
新規形態のクエン酸第二鉄は式C6H5O7Feを有し、また溶解速度により決定される新規物理特性を有する。この化合物は、水中におけるUSP固有溶解アッセイにより決定された、1.9〜4.0 mg/cm2/分という固有溶解速度範囲を有しうる。新規形態のクエン酸第二鉄は、市販の形態のクエン酸第二鉄よりも、より広い範囲のpHでより水に溶けやすい。新規形態のクエン酸第二鉄は、市販の形態の第二鉄有機化合物または複合体と比べて広い活性表面積を有しうる。
【0012】
新規形態のクエン酸第二鉄を含む新規形態の第二鉄有機化合物はより溶けやすいので、これを使用することにより、高リン酸血症および代謝性アシドーシスを含むがこれらに限定されない、第二鉄有機化合物による治療に対して反応性の病気に罹患した患者に、経口投与経路を介して第二鉄有機化合物をより効果的に送達することができる。
【0013】
本発明は、第二鉄有機化合物治療に対して応答性の疾患に罹患した患者を治療するための、新規形態のクエン酸第二鉄を含む新規形態の第二鉄有機化合物の使用に関する。
【0014】
また本発明は、第二鉄有機化合物治療に対して応答性の疾患に罹患した患者を、治療上有効な量の第二鉄有機化合物を該患者に投与することによって治療する方法にも関する。
【0015】
図面の詳細な説明
図面は、本発明の具体的な実施形態を例示しているが、決して本発明の精神または範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0016】
図1は、本発明に従って新規形態の第二鉄有機化合物を製造する方法の要点をまとめた概略図である。
【0017】
図2は、本発明の新規形態のクエン酸第二鉄の溶解プロフィールのプロットを市販の化合物と比較したものである。
【0018】
図3は、新規形態のクエン酸第二鉄のBET活性表面積を示す、吸着量対相対圧の等温線グラフである。Coulter SA 3100(製造番号z11017; ソフトウェアのバージョン2.13; 経過時間: 29分; ガス放出(Outgas)時間: 60分; ガス放出温度: 40℃)により作成した。
【0019】
図4は、新規形態のクエン酸第二鉄のX線回折スペクトルである。範囲: 4.00〜40.00 (Deg); 逐次走査(Step Scan)速度: 0.02 Deg/分。
【0020】
図5は、新規形態のクエン酸第二鉄の熱重量分析である。方法: 加熱10℃/分、N2@40CC/分; サイズ: 10.5480 mg。
【0021】
本発明の詳細な説明
以下の説明において、本発明のより徹底した理解を提供するために、具体的な詳細について記載する。しかし本発明は、これらの詳細が無くても実施することができる。他の場合には、本発明が不必要に曖昧になることを避けるため、周知の要素を示さないか、または詳細に記載しない。従って、本明細書および図面は、限定的というよりはむしろ例示的な意味を持つものとみなされる。
【0022】
本発明は、特定の形態の第二鉄有機化合物を合成する方法であって、第二鉄イオン塩を取得すること、アルカリ金属水酸化物を、均一なポリ鉄オキソ懸濁液を作成するのに有効な速度および温度で第二鉄イオン塩に添加すること、懸濁液から析出物を単離すること、有機酸を析出物に添加すること、有機酸と析出物を加熱することにより第二鉄-有機酸溶液を形成すること、ならびに第二鉄-有機酸溶液に有機溶媒を添加することにより該溶液から前記形態の第二鉄有機化合物を析出させること、を含む前記方法を提供する。
【0023】
一実施形態では、アルカリ金属水酸化物を、20mL/分未満の速度で添加する。別の実施形態では、アルカリ金属水酸化物を、約10 mL/分〜約20 mL/分の速度で添加する。好適な実施形態では、10〜20 mL/分の見かけ速度が好ましい。
【0024】
一実施形態では、アルカリ金属水酸化物を、40℃未満の温度で第二鉄イオン塩に添加する。別の実施形態では、アルカリ金属水酸化物を、約10℃〜約40℃の温度で第二鉄イオン塩に添加する。好適な実施形態では、30℃の見かけ温度が好ましい。
【0025】
一実施形態では、有機酸と析出物を加熱することは、該有機酸と該析出物を約75℃〜約95℃の温度まで加熱することを含む。好適な実施形態では、その範囲は約80℃〜約90℃である。別の好適な実施形態では、85℃の見かけ温度が好ましい。一実施形態では、第二鉄-有機酸溶液に有機溶媒を添加することにより該溶液から前記形態の第二鉄有機化合物を析出させることは、該有機溶媒を添加する前に、該第二鉄-有機酸溶液を30℃未満まで冷却することを含む。好適な実施形態では、第二鉄-有機酸溶液を、20℃の見かけ温度まで冷却する。一実施形態では、第二鉄-有機酸溶液を冷却することは、該第二鉄-有機酸溶液を約10℃〜約30℃の温度まで冷却することを含む。好適な実施形態では、第二鉄-有機酸溶液を20℃の見かけ温度まで冷却する。
【0026】
一実施形態では、第二鉄イオン塩は、塩化第二鉄・六水和物を含む。
【0027】
一実施形態では、有機酸として、限定するものではないが、コハク酸、フマル酸または酒石酸が挙げられる。別の実施形態では、有機酸はクエン酸を含む。
【0028】
一実施形態では、アルカリ金属水酸化物として、限定するものではないが、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが挙げられる。別の実施形態では、アルカリ金属水酸化物は水酸化ナトリウムを含む。
【0029】
一実施形態では、有機溶媒として、限定するものではないが、エタノール、メタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、アセトンまたはテトラヒドロフランが挙げられる。
【0030】
本発明は、特定の形態のクエン酸第二鉄を合成する方法であって、塩化第二鉄・六水和物を取得すること、水酸化ナトリムを、均一なポリ鉄オキソ懸濁液を作成するのに有効な速度および温度で塩化第二鉄・六水和物に添加すること、懸濁液から析出物を単離すること、結晶性クエン酸を析出物に添加すること、クエン酸と析出物を加熱することにより第二鉄-クエン酸溶液を形成すること、ならびに第二鉄-クエン酸溶液に有機溶媒を添加することにより該溶液から前記形態のクエン酸第二鉄を析出させること、を含む前記方法を提供する。
【0031】
一実施形態では、水酸化ナトリウムを、20mL/分未満の速度で塩化第二鉄・六水和物に添加する。別の実施形態では、水酸化ナトリウムを、約10 mL/分〜約20 mL/分の速度で塩化第二鉄・六水和物に添加する。好適な実施形態では、10〜20 mL/分の見かけ速度が好ましい。
【0032】
一実施形態では、水酸化ナトリウムを、40℃未満の温度で塩化第二鉄・六水和物に添加する。別の実施形態では、水酸化ナトリウムを、約10℃〜約40℃の温度で塩化第二鉄・六水和物に添加する。好適な実施形態では、30℃の見かけ温度が好ましい。
【0033】
一実施形態では、第二鉄-クエン酸溶液を、クエン酸と析出物を約75℃〜約95℃の温度まで加熱することにより形成する。好適な実施形態では、その範囲は約80℃〜約90℃である。別の好適な実施形態では、85℃の見かけ温度が好ましい。
【0034】
一実施形態では、第二鉄-クエン酸溶液に有機溶媒を添加することにより該溶液から前記形態のクエン酸第二鉄を析出させることは、該有機溶媒を添加する前に、該第二鉄-クエン酸溶液を30℃未満まで冷却することを含む。好適な実施形態では、第二鉄-有機酸溶液を、20℃の見かけ温度まで冷却する。
【0035】
一実施形態では、第二鉄-クエン酸溶液を冷却することは、該第二鉄-クエン酸溶液を約10℃〜約30℃の温度まで冷却することを含む。好適な実施形態では、第二鉄-有機酸溶液を20℃の見かけ温度まで冷却する。
【0036】
一実施形態では、有機溶媒として、限定するものではないが、エタノール、メタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、アセトンまたはテトラヒドロフランが挙げられる。
【0037】
本発明は、第二鉄有機化合物療法に対して応答性の疾患に罹患したヒトを治療するための、第二鉄有機化合物またはクエン酸第二鉄の上記形態の使用を提供する。一実施形態では、該疾患には、限定するものではないが、高リン酸血症または代謝性アシドーシスが含まれる。
【0038】
本発明は、第二鉄有機化合物療法に対して応答性の疾患に罹患したヒトを治療する方法であって、該ヒトに、治療上有効な量の上記第二鉄有機化合物を投与することを含む前記方法を提供する。一実施形態では、第二鉄有機化合物はクエン酸第二鉄である。別の実施形態では、疾患として、限定するものではないが、高リン酸血症または代謝性アシドーシスが挙げられる。
【0039】
本発明は、その溶解速度が増大した、第二鉄有機化合物の形態を提供する。別の実施形態では、該有機化合物として、限定するものではないが、クエン酸、酢酸、イソクエン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸または他の関連有機化合物が挙げられる。別の実施形態では、該第二鉄有機化合物は、従来の第二鉄有機化合物と比べて広い活性表面積を有する。
【0040】
本発明は、式C6H5O7Feを有し、かつ/または溶解速度により決定される物理特性を有する、クエン酸第二鉄の形態を提供する。一実施形態では、水中におけるUSP固有溶解アッセイによって決定される溶解速度は、1.9〜4.0 mg/cm2/分である。
【0041】
本発明は、16 sq.m/gを上回るBET活性表面積を有し、かつ図3に示すBET活性表面積等温線を有する、クエン酸第二鉄の形態を提供する。
【0042】
本発明は、図4に示すX線回折パターンを有する、クエン酸第二鉄の形態を提供する。
【0043】
本発明は、熱重量分析(TGA)により決定される3つの遷移温度を有し、かつ図5に示すTGAプロフィールを有する、クエン酸第二鉄の形態を提供する。
【0044】
本発明は、クエン酸第二鉄の形態が従来の第二鉄有機化合物複合体と比べて広い活性表面積を有する、該クエン酸第二鉄の形態を提供する。
【0045】
本発明は、第二鉄有機化合物療法に対して応答性の疾患に罹患したヒトを治療するための、第二鉄有機化合物またはクエン酸第二鉄の形態の使用を提供する。一実施形態では、疾患として、限定するものではないが、高リン酸血症または代謝性アシドーシスが挙げられる。
【0046】
本発明は、第二鉄有機化合物療法に対して応答性の疾患に罹患したヒトを治療する方法であって、該ヒトに、治療上有効な量の、第二鉄有機化合物またはクエン酸第二鉄の上記形態を投与することを含む前記方法を提供する。一実施形態では、疾患として、限定するものではないが、高リン酸血症または代謝性アシドーシスが挙げられる。
【0047】
本発明は、第二鉄有機化合物またはクエン酸第二鉄の形態が、粉剤、懸濁液剤、乳剤、カプセル剤、粒剤、トローチ剤、丸剤、液剤、酒精剤またはシロップ剤を含むがこれらに限定されない経口投与形態である、前記形態の第二鉄有機化合物またはクエン酸第二鉄を提供する。一実施形態では、第二鉄有機化合物またはクエン酸第二鉄は、局所、舌下、非経口もしくは消化管投与、またはエアゾール適用に適した形態であるか、あるいは許容される担体中にある。
【0048】
本発明は、第二鉄有機化合物またはクエン酸第二鉄の上記形態と適切な担体とを含む組成物を提供する。
【0049】
本明細書中で使用する場合、適切な担体という用語には、限定するものではないが、当業者に公知の医薬組成物を投与するための適切な担体が含まれる。担体の種類は、投与様式によって異なる。
【0050】
非経口投与(例えば、皮下注射)用の組成物に関して言えば、適切な担体という用語には、限定するものではないが、水、生理食塩水、アルコール、油脂、ワックスまたは緩衝液が含まれる。
【0051】
経口投与用の組成物に関して言えば、適切な担体という用語には前記担体全てが含まれ、またマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石粉、セルロース、グルコース、スクロース、および炭酸マグネシウムなどの固形担体を使用することができるが、これらに限定されない。
【0052】
生分解性ミクロスフィア(例えば、ポリアセテートポリグリコレート)もまた、本発明の医薬組成物用の担体として使用することができる。
本発明は、第二鉄有機化合物またはクエン酸第二鉄の上記形態と製薬上許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。別の実施形態では、製薬上許容される担体は、制御放出製剤を含む。
【0053】
本発明は、第二鉄有機化合物療法に対して応答性の疾患を治療するための、有効量の第二鉄有機化合物またはクエン酸第二鉄の上記形態を含む医薬組成物を提供する。別の実施形態では、疾患として、限定するものではないが、高リン酸血症および代謝性アシドーシスが挙げられる。
【0054】
本明細書中で使用する場合、製薬上許容される担体として、限定するものではないが、液剤、エアロゾル、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉剤、ゲル、軟膏、クリーム剤、粒剤、水、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、血清含有溶液、ハンク溶液、他の生理的平衡化溶液、油、エステル、グリコール、生体適合性ポリマー、ポリマーマトリクス、カプセル、マイクロカプセル、微粒子、ボーラス調製物、浸透圧ポンプ、拡散装置、リポソーム、リポスフィア、細胞または細胞膜が挙げられる。
【0055】
1. 新規形態の第二鉄有機化合物の合成の一般的方法
図1において、合成スキーム10は、新規形態の第二鉄有機化合物を合成するための一般的な方法である。枠20に示す出発物質は、可溶性の第二鉄イオン塩を含む。可溶性の第二鉄イオン塩としては、枠21に示す塩化第二鉄・六水和物(FeCl36H2O)または他の適切な可溶性の第二鉄イオン塩を挙げることができる。次に、アルカリ金属水酸化物(枠30)を、特定の速度および温度で可溶性の第二鉄イオン塩に添加する。特定の速度範囲(好ましくは、約10 mL/分〜約20 mL/分)および温度範囲(好ましくは、40℃未満)でアルカリ金属水酸化物を添加すると、均一なポリ鉄オキソコロイド懸濁液が形成される。アルカリ金属水酸化物としては、枠31に示す水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または他の適切なアルカリ金属水酸化物を挙げることができる。コロイド懸濁液析出物を集め、蒸留水ですすぐ(枠40)ことにより、可溶性の不純物を除去する。すすぎ後、析出物を再懸濁し、枠50に示すように、結晶性有機酸を該析出物に加えて特定の温度範囲(好ましくは、約80℃〜約90℃)まで加熱する。有機酸としては、あらゆる適切な有機酸を挙げることができる。枠51に、クエン酸、酢酸、イソクエン酸、コハク酸、フマル酸、および酒石酸を含むがこれらに限定されない、使用しうる可能な有機酸の一部を挙げる。有機酸を添加すると、この酸が溶液中の析出物との複合体を形成できるようになる。枠60で、有機溶媒を用いて第二鉄有機化合物を溶液から析出させることにより、新規形態の第二鉄有機化合物を形成する(枠70)。エタノール、メタノール、ブタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、または他の適切な有機溶媒などの枠61に記載の溶媒を含むがこれらに限定されない、様々な有機溶媒を使用することができる。
【0056】
2. 新規形態の第二鉄有機化合物の溶解プロフィール
本発明者らは、上記方法に従って作成した新規形態の第二鉄有機化合物が、より広範囲のpH値において、市販の第二鉄有機化合物よりも溶けやすいことを見出した。新規第二鉄有機化合物の溶解度におけるこの増大は、この新規形態の第二鉄有機化合物が持つ特有の、極めて広い活性表面積に起因すると考えられる。
【0057】
3. 疾患の治療における新規形態の第二鉄有機化合物の使用
新規形態の第二鉄有機化合物は、高リン酸血症、代謝性アシドーシス、および第二鉄有機化合物療法に対して反応性の他の疾患の治療に有用である。この新規形態の第二鉄有機化合物は市販の第二鉄有機化合物よりも溶けやすいので、より少量の第二鉄有機化合物を使用して、かかる疾患に罹患した患者を効果的に治療することができる。
【0058】
改善された水溶解度は、第二鉄有機化合物療法に対して応答性の疾患の治療における新規形態の第二鉄有機化合物の使用に特に関係がある。新規形態の第二鉄有機化合物はより溶けやすいので、それらを経口摂取した場合にはより効果的であり、そのため低用量で摂取することができる。新規形態の第二鉄有機化合物は、より広いpH範囲で市販の第二鉄有機化合物よりも溶けやすいため、小腸内で溶けることによってさらに効果を発揮することができる。結果として、患者は、低い薬物をより低用量で服用することにより副作用の発生率を低減できる。
【0059】
本発明の一実施形態では、新規形態のクエン酸第二鉄は、生理条件下で市販の形態のクエン酸第二鉄よりも有意に高い水溶解度を示すため、該新規形態は、より少ない量のクエン酸第二鉄の経口での有効な使用を有意に改善すると考えられる。クエン酸第二鉄の経口での有効な投与量を減らすことにより、この新規形態のクエン酸第二鉄は、市販のクエン酸第二鉄化合物に付き物の潰瘍性消化管副作用の発生率を下げると考えられる。さらに、新規形態のクエン酸第二鉄の溶解速度の増大は、食物由来のリン酸塩に結合する際の作用の発現を早めると考えられる。
【0060】
新規形態の第二鉄有機化合物は、この新規形態の第二鉄有機化合物を単独で、または製薬上許容される担体と一緒に含みうる経口投与形態を含む、数多くの形態で投与することができる。経口投与形態は、錠剤、粉剤、懸濁液剤、乳剤、カプセル剤、粒剤、トローチ剤、丸剤、液剤、酒精剤、およびシロップ剤からなる群より選択することができる。この組成物は、第二鉄有機化合物療法に対して応答性の病気に罹患した人間または他の動物に投与することができる。
【実施例】
【0061】
実施例は、本発明の実施形態を例示するためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0062】
(1) 新規形態のクエン酸第二鉄を製造する方法
本発明の一実施形態では、新規形態のクエン酸第二鉄を製造するための出発物質は、塩化第二鉄・六水和物(FeCl36H2O)の1.85 M溶液を含む。第二鉄イオンの水酸化物イオンに対する比を1:3とするために必要な容量の5 M水酸化ナトリウムを、1分当たり20 mL未満、好ましくは1分当たり約10 mL〜1分当たり約20 mLの速度で、塩化第二鉄・六水和物の溶液に添加する。混合物の温度を40℃未満、好ましくは約10℃〜約40℃に維持し、その間に水酸化ナトリウムを添加することにより、水酸化第二鉄のポリ鉄酸化物コロイド懸濁液を形成する。水酸化ナトリウムを加えながら、懸濁液のpHを測定する。pHが7.0を超えたら、懸濁液を、30℃未満、好ましくは約10℃〜約30℃まで冷却する。次いで、懸濁液を1 mmポアフィルターに通して濾過することにより凝集物を破壊して、水酸化第二鉄析出物の大粒子を除去する。次いで、この濾過した水酸化第二鉄懸濁液を遠心分離にかける。上清を捨てた後、析出した水酸化第二鉄を再び遠心分離にかけることにより、残存する上清を全て除去する。次いで、水酸化第二鉄析出物を蒸留水で再懸濁する。遠心分離-再懸濁工程をさらに2回繰り返すことにより水酸化第二鉄析出物を洗浄し、水溶性の不純物を除去する。次いで、得られた水酸化第二鉄析出物をホモジナイズする。
【0063】
第二鉄イオンのクエン酸イオンに対する比を1:1とするために必要な量のクエン酸を、前記析出物に添加する。混合物を、該混合物の色が橙褐色から澄んだ黒褐色に変化するまで、または全ての水酸化第二鉄析出物が溶けるまで、油浴中で約80℃〜約90℃に加熱する。この反応物を、30℃未満、好ましくは約10℃〜約30℃まで冷却し、pHを測定して0.8〜1.5であることを確認する。反応物を遠心分離にかけ、上清を回収する。
【0064】
新規形態のクエン酸第二鉄を、5容量の有機溶媒を添加することによって前記上清から析出させる。エタノール、メタノール、ブタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、またはテトラヒドロフランを含む様々な有機溶媒を使用することができる。下記表1に、様々な溶媒を使用して溶液中に形成したクエン酸第二鉄の相対量を示す。溶媒を加えたら、その混合物を、明るいベージュ色の析出物が形成されるまで攪拌する。懸濁液を遠心分離にかけて、上清を捨てる。析出物を洗浄し、前記溶媒と共にさらに2回遠心分離にかける。次いで、この析出物を、周囲温度で8〜16時間真空オーブン内で、または流動層乾燥などの他の適切な工業プロセスにより、乾燥させる。乾燥させた析出物をすり鉢とすりこぎで挽き、周囲温度でさらに8〜24時間乾燥させる。微粒析出物を再び粉砕することにより細かく挽き、45メッシュサイズ(35ミクロン)の篩に通して選別する。新規形態のクエン酸第二鉄粉末を再び真空オーブン内で、または再び流動層乾燥により乾燥させてから、これを周囲温度で1時間の乾燥により0.25%未満の重量が失われるまで乾燥させる。
【表1】

【0065】
以下の化学反応式は、新規形態のクエン酸第二鉄を製造するための方法の具体的な実施形態において記載される化学反応を表す。
【0066】
FeCl3 + 3NaOH → Fe(OH)3 + 3NaCl (1)
Fe(OH)3 + C6H8O7 → Fe(C6H5O7) + 3H2O (2)
(2) 新規形態のクエン酸第二鉄の物理特性
新規形態のクエン酸第二鉄の化学的純度は、溶液中に存在する全質量イオンを測定する陰イオン液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)フローインジェクション法により確認した。具体的に言うと、新規形態のクエン酸第二鉄についてはm/z 243.6で、また溶液中の他の関連および非関連イオン中のクエン酸についてはm/z 190.6で、質量イオンが観察された。LC/MS分析を使用することで、多くのクエン酸第二鉄関連および非関連物質を観察することが可能であり、また微量不純物間での新規形態のクエン酸第二鉄の相対純度を決定することが可能である。かかる情報は、新規形態のクエン酸第二鉄を医薬品等級の物質として適用する際に重要である。3種のプロセスバッチで得られる新規形態のクエン酸第二鉄の代表的な化学的純度を、表2に示す。
【表2】

【0067】
市販のクエン酸第二鉄の固有溶解速度を、新規形態のクエン酸第二鉄と比較した。固有溶解速度は、一定表面積という条件下の純物質の溶解速度と定義される。薬物の溶解速度およびバイオアベイラビリティは、その固体物性、すなわち結晶化度、非晶質、多形、水和、溶媒和、粒径および粒子表面積、の影響を受ける。測定される固有溶解速度はこれらの固体物性に依存し、典型的には、物質の一定表面積を、一定の温度、攪拌速度、およびpHを維持しながら適当な溶媒に曝露することにより確認する。固有溶解速度を表3に示す。
【表3】

【0068】
図2は、新規形態のクエン酸第二鉄の溶解プロフィールを、市販のクエン酸第二鉄化合物の溶解プロフィールと比較したグラフである。
【0069】
本発明の方法により作成した新規形態のクエン酸第二鉄の固有溶解速度は、平均すると、市販のクエン酸第二鉄物質について測定したものよりもおよそ3.8倍速かった。新規形態のクエン酸第二鉄の溶解速度におけるこの増大は、この新規形態のクエン酸第二鉄の、市販の物質と比べて有意に広い活性表面積に起因するものと考えられる。
【0070】
新規形態のクエン酸第二鉄のBET活性表面積等温線を図3に示す。活性表面積の分析は、固体表面上および間隙への気体吸着時における質量およびエネルギー相互作用ならびに相変化という現象を説明するBET理論に基づいている。BET活性表面積の測定では、気体の単分子層の体積を決定することにより、吸着気体分子の単層が占める面積を利用して試料の表面積を決定することが可能となる。表4は、新規形態のクエン酸第二鉄の活性表面積を、市販のクエン酸第二鉄化合物の活性表面積と比較したものである。
【表4】

【0071】
新規形態のクエン酸第二鉄のX線回折スペクトルを図4に示すが、この図は結晶性物質に特有の回折特性を表している。新規形態のクエン酸第二鉄の熱重量分析を図5に示すが、この図は新規物質に特有の熱吸着等温線を表している。
【0072】
当業者であれば上記の開示内容から明らかなように、本発明の実施に際して、本発明の精神または範囲を逸脱することなく多くの変更および修正を行うことができる。従って、本発明の範囲は、添付の請求の範囲により定義される内容に従って解釈されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明に従って新規形態の第二鉄有機化合物を製造する方法の要点をまとめた概略図である。
【図2】本発明の新規形態のクエン酸第二鉄の溶解プロフィールのプロットを市販の化合物と比較したものである。
【図3】新規形態のクエン酸第二鉄のBET活性表面積を示す、吸着量対相対圧の等温線グラフである。Coulter SA 3100(製造番号z11017; ソフトウェアのバージョン2.13; 経過時間: 29分; ガス放出(Outgas)時間: 60分; ガス放出温度: 40℃)により作成した。
【図4】新規形態のクエン酸第二鉄のX線回折スペクトルである。範囲: 4.00〜40.00 (Deg); 逐次走査(Step Scan)速度: 0.02 Deg/分。
【図5】新規形態のクエン酸第二鉄の熱重量分析である。方法: 加熱10℃/分、N2@40CC/分; サイズ: 10.5480 mg。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の形態の第二鉄有機化合物を合成する方法であって、
(a) 第二鉄イオン塩を取得すること、
(b) アルカリ金属水酸化物を、均一なポリ鉄オキソ懸濁液を作成するのに有効な速度および温度で、第二鉄イオン塩に添加すること、
(c) 懸濁液から析出物を単離すること、
(d) 有機酸を析出物に添加すること、
(e) 有機酸と析出物を加熱することにより第二鉄-有機酸溶液を形成すること、ならびに
(f) 第二鉄-有機酸溶液に有機溶媒を添加することにより該溶液から前記形態の第二鉄有機化合物を析出させること
を含む前記方法。
【請求項2】
アルカリ金属水酸化物を添加することが、該アルカリ金属水酸化物を20 mL/分未満の速度で添加することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記速度が、約10 mL/分〜約20 mL/分である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
アルカリ金属水酸化物を前記第二鉄イオン塩へ添加することを、40℃未満の温度で行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
アルカリ金属水酸化物を第二鉄イオン塩へ添加することを、約10℃〜約40℃の温度で行う、請求項4記載の方法。
【請求項6】
有機酸と析出物を加熱することが、該有機酸と該析出物を約80℃〜約90℃の温度まで加熱することを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
第二鉄-有機酸溶液に有機溶媒を添加することにより該溶液から前記形態の第二鉄有機化合物を析出させることが、該有機溶媒を添加する前に、該第二鉄-有機酸溶液を30℃未満まで冷却することを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
第二鉄-有機酸溶液を冷却することが、該第二鉄-有機酸溶液を約10℃〜約30℃の温度まで冷却することを含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記第二鉄イオン塩が塩化第二鉄・六水和物を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記有機酸が、クエン酸、酢酸、イソクエン酸、コハク酸、フマル酸、および酒石酸からなる群より選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記有機酸がクエン酸を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記アルカリ金属水酸化物が、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウムからなる群のうちの1つを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記アルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウムを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記有機溶媒が、エタノール、メタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、およびテトラヒドロフランからなる群より選択される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
特定の形態のクエン酸第二鉄を合成する方法であって、
(a) 塩化第二鉄・六水和物を取得すること、
(b) 水酸化ナトリムを、均一なポリ鉄オキソ懸濁液を作成するのに有効な速度および温度で、塩化第二鉄・六水和物に添加すること、
(c) 懸濁液から析出物を単離すること、
(d) 結晶性クエン酸を析出物に添加すること、
(e) クエン酸と析出物を加熱することにより第二鉄-クエン酸溶液を形成すること、ならびに
(f) 第二鉄-クエン酸溶液に有機溶媒を添加することにより該溶液から前記形態のクエン酸第二鉄を析出させること
を含む前記方法を提供する。
【請求項16】
水酸化ナトリウムを塩化第二鉄・六水和物へ添加することを、20 mL/分未満の速度で行う、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記速度が約10 mL/分〜約20 mL/分である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
水酸化ナトリウムを塩化第二鉄・六水和物へ添加することを、40℃未満の温度で行う、請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
水酸化ナトリウムを塩化第二鉄・六水和物へ添加することを、約10℃〜約40℃の温度で行う、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記クエン酸と前記析出物を約80℃〜約90℃の温度まで加熱することにより第二鉄-クエン酸溶液を形成する、請求項15〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
第二鉄-クエン酸溶液に有機溶媒を添加することにより該溶液からクエン酸第二鉄を析出させることが、該有機溶媒を添加する前に、該第二鉄-クエン酸溶液を30℃未満まで冷却することを含む、請求項15〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
第二鉄-クエン酸溶液を冷却することが、該第二鉄-クエン酸溶液を約10℃〜約30℃の温度まで冷却することを含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記有機溶媒が、エタノール、メタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、およびテトラヒドロフランからなる群より選択される、請求項15〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法に従って製造される、第二鉄有機化合物の形態。
【請求項25】
請求項15〜23のいずれか1項に記載の方法に従って製造される、クエン酸第二鉄の形態。
【請求項26】
第二鉄有機化合物療法に対して応答性の疾患に罹患したヒトを治療するための、請求項24記載の化合物の使用。
【請求項27】
前記疾患が、高リン酸血症、および代謝性アシドーシスからなる群より選択される、請求項26記載の使用。
【請求項28】
第二鉄有機化合物療法に対して応答性の疾患に罹患したヒトを治療するための、請求項25記載の化合物の使用。
【請求項29】
前記疾患が、高リン酸血症、および代謝性アシドーシスからなる群より選択される、請求項28記載の方法。
【請求項30】
第二鉄有機化合物療法に対して応答性の疾患に罹患したヒトを治療する方法であって、該ヒトに、治療上有効な量の請求項24記載の第二鉄有機化合物を投与することを含む前記方法。
【請求項31】
前記疾患が、高リン酸血症、および代謝性アシドーシスからなる群より選択される、請求項30記載の方法。
【請求項32】
第二鉄有機化合物療法に対して応答性の疾患に罹患したヒトを治療する方法であって、該ヒトに、治療上有効な量の請求項25記載の第二鉄有機化合物を投与することを含む前記方法。
【請求項33】
前記疾患が、高リン酸血症、および代謝性アシドーシスからなる群より選択される、請求項32記載の方法。
【請求項34】
溶解速度が増大した、第二鉄有機化合物の形態。
【請求項35】
前記の有機化合物が、クエン酸、酢酸、イソクエン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、および他の関連有機化合物からなる群より選択される、請求項34記載の第二鉄有機化合物の形態。
【請求項36】
前記の第二鉄有機化合物の形態が、従来の第二鉄有機化合物と比べて広い活性表面積を有する、請求項34または35記載の第二鉄有機化合物の形態。
【請求項37】
式C6H5O7Feを有し、かつ溶解速度により決定される物理特性を有する、クエン酸第二鉄の形態。
【請求項38】
水中におけるUSP固有溶解アッセイにより決定された固有溶解速度範囲が、1.9〜4.0mg/cm2/分である、クエン酸第二鉄の形態。
【請求項39】
16 sq.m/gを上回るBET活性表面積を有し、かつ図3に示すBET活性表面積等温線を有する、請求項37または38記載のクエン酸第二鉄の形態。
【請求項40】
図4に示すX線回折パターンを有する、請求項37〜39のいずれか1項に記載のクエン酸第二鉄の形態。
【請求項41】
熱重量分析(TGA)により決定される3つの遷移温度を有し、かつ図5に示すTGAプロフィールを有する、請求項37〜40のいずれか1項に記載のクエン酸第二鉄の形態。
【請求項42】
前記形態が、従来の第二鉄有機化合物複合体と比べて広い活性表面積を有する、請求項37〜41のいずれか1項に記載のクエン酸第二鉄の形態。
【請求項43】
第二鉄有機化合物療法に対して応答性の疾患に罹患したヒトを治療するための、請求項34〜36のいずれか1項に記載のクエン酸第二鉄の形態の使用。
【請求項44】
前記疾患が、高リン酸血症、および代謝性アシドーシスからなる群より選択される、請求項43記載の使用。
【請求項45】
第二鉄有機化合物療法に対して応答性の疾患に罹患したヒトを治療するための、請求項37〜42のいずれか1項に記載のクエン酸第二鉄の形態の使用。
【請求項46】
前記疾患が、高リン酸血症、および代謝性アシドーシスからなる群より選択される、請求項45記載の使用。
【請求項47】
第二鉄有機化合物療法に対して応答性の疾患に罹患したヒトを治療する方法であって、該ヒトに、治療上有効な量の請求項34〜36のいずれか1項に記載の第二鉄有機化合物の形態を投与することを含む前記方法。
【請求項48】
前記疾患が、高リン酸血症、および代謝性アシドーシスからなる群より選択される、請求項47記載の方法。
【請求項49】
第二鉄有機化合物療法に対して応答性の疾患に罹患したヒトを治療する方法であって、該ヒトに、治療上有効な量の請求項37〜42のいずれか1項に記載のクエン酸第二鉄の形態を投与することを含む前記方法。
【請求項50】
前記疾患が、高リン酸血症、および代謝性アシドーシスからなる群より選択される、請求項49記載の方法。
【請求項51】
第二鉄有機化合物の形態が、錠剤、粉剤、懸濁液剤、乳剤、カプセル剤、粒剤、トローチ剤、丸剤、液剤、酒精剤、およびシロップ剤からなる群より選択される経口投与形態である、請求項24および34〜36のいずれか1項に記載の第二鉄有機化合物の形態。
【請求項52】
クエン酸第二鉄の形態が、錠剤、粉剤、懸濁液剤、乳剤、カプセル剤、粒剤、トローチ剤、丸剤、液剤、酒精剤、およびシロップ剤からなる群より選択される経口投与形態である、請求項25および37〜42のいずれか1項に記載のクエン酸第二鉄の形態。
【請求項53】
請求項24もしくは25記載の形態または請求項34〜42のいずれか1項に記載の形態と適切な担体とを含む組成物。
【請求項54】
請求項24もしくは25記載の形態または請求項34〜42のいずれか1項に記載の形態と製薬上許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項55】
第二鉄有機化合物療法に対して応答性の疾患を治療するための、有効量の請求項24もしくは25記載の形態または請求項34〜42のいずれか1項に記載の形態を含む医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−518391(P2006−518391A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503637(P2006−503637)
【出願日】平成16年2月18日(2004.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/004646
【国際公開番号】WO2004/074444
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(505311733)グロボアジア エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】