説明

第6族金属、第8族金属及びリンを含む溶液及び触媒

本発明は、水媒体中に下記の化合物一緒に投入することによって、初期溶液を生成することを含む溶液組成物を生成することを含む方法を提供する。
i)少なくとも1つのリン化合物
ii)少なくとも1つの第6族金属化合物
iii)少なくとも1つの第8族金属化合物、及び
iv)a)テトラエチレングリコール、
b)約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、
c)テトラエチレングリコール及び約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコールの混合物、又は
d)(1)テトラエチレングリコール及び/又は約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、及び(2)1又はそれ以上のモノエチレングリコール、ジエチレングリコール、及びトリエチレングリコールの混合物である添加剤。
添加剤の第6族金属及び第8族金属の合計モル数に対するモル比は、0.30:1より大きく、リンの第6族金属に対する原子比率は、少なくとも約0.33:1である。初期溶液を任意に約40℃より高い温度で加熱し、加熱溶液を生成する。この加熱溶液を任意に冷却し、冷却溶液を生成する。本発明はまた、かかる方法によって生成された組成物、かかる組成物から触媒組成物を生成する方法、及びかかる方法によって生成された触媒組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第6族金属、第8族金属及びリンを含む濃厚溶液、並びに当該溶液から生成される触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
水素処理、水素化脱硫、及び/又は水素化脱窒素のための触媒は、従来数多く知られており、市販されている。これに関連して、欧州特許第0601722号には、炭化水素油の水素化脱硫及び水素化脱窒素のための触媒が報告されている。これらの触媒は、アルミナの担体を含浸させることによって生成される。含浸溶液は、少なくとも1つの第6族金属元素、少なくとも1つの第8族金属元素、リン酸、及び添加剤を含む。欧州特許第0601722号の含浸溶液では、添加剤は、1分子当たり2〜10個の炭素原子を有する少なくとも1つの二価又は三価アルコール、及びこれらのアルコールのエステルを含む。添加剤の量は、添加剤の第6族金属元素及び第8族金属元素の合計モル数に対するモル比が、ほぼ0.005:1〜3:1程度である。しかし、欧州特許第0601722号によれば、溶液の調製中、添加剤と金属の比が0.22:1、リンと第6族金属の比が60:1、及びモリブデン濃度(MoOで表す)が約450g/Lである、ポリエチレングリコール200を含む溶液は、沈殿物を含むことが観察された。一方、ポリエチレングリコール200が、添加剤と金属の比が0.22:1であり、リンと第6族金属の比が0.14:1であり、且つモリブデン濃度が(MoOで表す)約450g/Lである溶液については、沈殿物は認められなかった。
【0003】
補助剤の含浸による水素処理、水素化脱硫、及び/又は水素化脱窒素のための触媒の生成の際に、含浸溶液中に沈殿物が生成するのは通常好ましくない。したがって、常に沈殿物なしに含浸溶液を生成し、より優れた水素処理、水素化脱硫、及び/又は水素化脱窒素の性能を有する触媒を生成する技術を目指している。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、第6族金属、第8族金属及びリンを含む高濃度の特殊な添加剤を有する溶液を提供し、含浸溶液の性質を維持しつつ(例えば、溶液は補助剤を十分に含浸させることができ、触媒成分は含浸溶液の容器に付着しない)、従来得られているよりも高濃度のリンを有する沈殿物のない溶液を生成することを可能にする。また、本発明によって、かかる溶液を生成する方法及びこの溶液から生成される触媒が提供される。
【0005】
本発明の実施形態は、水媒体中に下記の化合物一緒に投入することによって、初期溶液を生成することを含む溶液組成物を生成することを含む方法である。
i)少なくとも1つのリン化合物
ii)少なくとも1つの第6族金属化合物
iii)少なくとも1つの第8族金属化合物、及び
iv)a)テトラエチレングリコール、
b)約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、
c)テトラエチレングリコール及び約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコールの混合物、又は
d)(1)テトラエチレングリコール及び/又は約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、及び(2)1又はそれ以上のモノエチレングリコール、ジエチレングリコール、及びトリエチレングリコールの混合物である添加剤。
添加剤の第6族金属及び第8族金属の合計モル数に対するモル比は、0.30:1より大きく、リンの第6族金属に対する原子比率は、少なくとも約0.33:1である。初期溶
液を任意に約40℃より高い温度で加熱し、加熱溶液を生成する。この加熱溶液を任意に冷却し、冷却溶液を生成する。
【0006】
本発明の他の実施形態は、上記記載の方法によって生成された溶液組成物である。本発明のさらに他の実施形態は、担体と本発明の組成物を含む含浸溶液とを混合することを含む、触媒の生成方法である。
【0007】
これら及び他の実施形態並びに本発明の特徴は、以下の説明及び添付された特許請求の範囲からさらに詳細に明らかにされる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書を通じて使用される「溶液組成物」及び「本発明の溶液組成物」の表現は、第6族金属、第8族金属、リン、及び添加剤を含み、添加剤の第6族金属及び第8族金属の合計モル数に対するモル比が0.30:1より大きい溶液として本明細書に記載された組成物を表す。リン及び第6族金属の原子比率は、通常少なくとも約0.33:1であり、第6族金属及び第8族金属の原子比率は、一般に少なくとも約1.5:1である。
【0009】
本明細書を通じて「水素化金属」の表現は、第6族金属及び第8族金属を総称して表す。本明細書を通じて使用される「第6族金属」の語は、第6B族金属を表す。
【0010】
本明細書を通じて使用される「第6族金属三酸化物として」、「第6族金属三酸化物として報告された」、「第6族金属三酸化物として算出された」という表現、及び一酸化物としての第6族金属及び五酸化リン(P)としてのリンについてそれと類似の表現は、第6族金属、第8族金属、又はリンの量又は濃度を表し、その数値は、特に断りのない限り個々の酸化物についての数値を示す。例えば、炭酸ニッケルを使用することができるが、溶液中のニッケル濃度は、酸化ニッケルとしての数値で示される。
【0011】
本明細書を通じて「添加剤」という用語は、特に断りのない限り、a)テトラエチレングリコール、b)約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、c)テトラエチレングリコール及び約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコールの混合物、又はd)(1)テトラエチレングリコール及び/又は約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、並びに(2)1又はそれ以上のモノエチレングリコール、ジエチレングリコール、及びトリエチレングリコールの混合物を表す。ポリエチレングリコールは、通常平均分子量で表される。例えば、ポリエチレングリコール200は、約200の平均分子量を有する。好ましいポリエチレングリコールは、約200〜約400の平均分子量を有するものであり、約200の平均分子量を有するポリエチレングリコールがより好ましい。好ましい添加剤は、ポリエチレングリコール200、並びにトリエチレングリコールとテトラエチレングリコール及び/又は約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコールとの混合物を含む。
【0012】
添加剤が(1)テトラエチレングリコール及び/又は約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、並びに(2)1又はそれ以上のモノエチレングリコール、ジエチレングリコール、及びトリエチレングリコールの混合物である場合、各グリコール成分の比率は、通常溶液が最初又は加熱及び/又は冷却後に沈殿を生じないような比率である。混合物について他に考慮すべき点は、沸点の高い添加物について、触媒の乾燥及び任意の硫化工程中により多くの添加物が保持されているため、比較的沸点の高いグリコールを合理的な比率で含有する混合物とするのが好ましい。一般に、テトラエチレングリコール及び/又はポリエチレングリコールのモノエチレングリコール、ジエチレングリコール及び/又はトリエチレングリコールに対するモル比が約0.15:1以上であるグリコール混合物が好ましい。例えば、2成分系グリコール混合物の好ましい比率は、重量
比で1:1、及びモル比で1:1である。
【0013】
本発明の溶液組成物を生成する方法は、水媒体中で、i)少なくとも1つのリン化合物、ii)少なくとも1つの第6族金属化合物、iii)少なくとも1つの第8族金属化合物、及びiv)a)テトラエチレングリコール、b)約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、c)テトラエチレングリコール及び約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコールの混合物、又はd)(1)テトラエチレングリコール及び/又は約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、並びに(2)1又はそれ以上のモノエチレングリコール、ジエチレングリコール、及びトリエチレングリコールの混合物である添加物を一緒に投入する方法を含む。添加物の第6族金属及び第8族金属の合計モル数に対するモル比は、投入した成分量に基づき0.30:1より多い。一般に、当該成分は、リン及び第6族金属が少なくとも約0.33:1の原子比率になるような量とする。また、第6族金属及び第8族金属の原子比率は、通常少なくとも約1.5:1である。
【0014】
第6族金属は、モリブデン、タングステン、及び/又はクロムであり、好ましくはモリブデン又はタングステン、より好ましくはモリブデンである。第8族金属は、鉄、ニッケル、及び/又はコバルト、好ましくはニッケル及び/又はコバルトである。金属の混合物は、ニッケル及び/又はコバルト、並びにモリブデン及び/又はタングステンの組合せが好ましい。触媒の水素化脱硫の性質が強調される場合、コバルトとモリブデンの組合せが有利かつ好ましい。触媒の水素化脱窒素の性質が強調される場合、ニッケル並びにモリブデン及び/又はタングステンの組合せが有利かつ好ましい。他の水素化金属の好ましい組合せは、ニッケル、コバルト、及びモリブデンである。
【0015】
第6族金属化合物は、酸化物、オキソ酸、又はオキソアニオン若しくはポリオキソアニオンのアンモニウム塩でもよい。これらの第6族金属化合物は、金属がモリブデン又はタングステンである場合、正式に+6価の酸化状態をとる。酸化物及びオキソ酸は、第6族金属化合物であることが好ましい。本発明を実施する場合に適切な第6族金属化合物は、酸化クロム(III)、クロム酸アンモニウム、重クロム酸アンモニウム、三酸化モリブデン、モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、パラモリブデン酸アンモニウム、三酸化タングステン、タングステン酸、酸化タングステンアンモニウム、メタタングステン酸アンモニウム水和物、パラタングステン酸アンモニウムなどである。好ましい第6族金属化合物は、酸化クロム(III)、三酸化モリブデン、モリブデン酸、パラタングステン酸アンモニウム、三酸化タングステン、及びタングステン酸などである。いずれの2つ以上の第6族金属化合物の混合物をも使用することができる。
【0016】
第8族金属化合物は、通常酸化物、水酸化物、又は塩である。適切な第8族金属化合物は、酸化鉄、水酸化鉄、硝酸鉄、炭酸鉄、水酸化炭酸鉄、酢酸鉄、クエン酸鉄、酸化コバルト、水酸化コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、水酸化炭酸コバルト、酢酸コバルト、クエン酸コバルト、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、水酸化炭酸ニッケル、酢酸ニッケル、及びクエン酸ニッケルを含むがこれらに限定されない。好ましい第8族金属化合物は、水酸化鉄、炭酸鉄、水酸化炭酸鉄、水酸化コバルト、炭酸コバルト、水酸化炭酸コバルト、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、及び水酸化炭酸ニッケルなどである。2つ以上の第8族金属化合物の混合物を使用することができる。
【0017】
本発明の実施に際して、リン化合物は通常水溶性で酸性リン化合物であり、特に含酸素無機リン含有酸である。適切なリン化合物は、例えばメタリン酸、ピロリン酸、亜リン酸、オルトリン酸、三リン酸、四リン酸、及びリン水素アンモニウムなどのリン酸の前駆体である。2つ以上のリン化合物の混合物を使用することができる。リン化合物は、液体又は固体で使用することができる。リン化合物としては、オルトリン酸(HPO)が好
ましい。
【0018】
通常、添加物の濃度は、約30g/L〜約700g/Lである。添加物の濃度は、約40g/L〜約680g/Lが好ましく、約50g/L〜約650g/Lがより好ましい。
【0019】
これらの方法では、有機酸が任意に含まれる。当該任意の有機酸は、少なくとも1つの酸性基、並びに水酸基及び酸性基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する。したがって、有機酸は、1つの酸性基及び1つの水酸基、又は2つの酸性基を最低でも有する。本明細書で使用される「酸性基」という語は、−COOHの部分を意味する。有機酸は、少なくとも2つのカルボン酸の基、及び少なくとも3つの炭素原子を有するのが好ましい。有機酸は、場合によって少なくとも1つの水酸基を有するのが好ましい。適切な有機酸は、クエン酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、酒石酸などである。クエン酸は、好ましい有機酸であり、また、酸の混合物を使用することができる。
【0020】
本発明の溶液組成物を生成する場合、第6族金属及び第8族金属の原子比率は、通常少なくとも約1.5:1であり、好ましくは約1.5:1〜約6:1、より好ましくは約2:1〜約5:1である。リンと第6族金属の原子比率は、通常少なくとも約0.33:1であり、好ましくは約0.33:1〜約0.8:1、より好ましくは約0.38:1〜約0.7:1、さらに好ましくは約0.45:1〜約0.7:1である。一般に、任意の有機酸がある場合には、溶液中に存在する任意の有機酸の第6族金属及び第8族金属の成分の合計モル数に対するモル比は、少なくとも約0.01:1であり、好ましくは約0.01:1〜約0.6:1、より好ましくは約0.1:1〜約0.4:1である。これらの一連の数値について、いくつかの化合物の混合物が使用される場合、比率を計算するに当たり、特定の種類の化合物の合計が使用されるものとする。
【0021】
工程中の成分の混合は、通常の環境条件、すなわち室温及び環境気圧下で行うことができる。約95℃を超える温度及び/又は高圧を適用することもできるが(例えば、熱水調製)、必ずしも必要ではない。成分が混合される場合、初期溶液が生成される。初期溶液を調製するのに推奨される方法としては、リン化合物、第6族金属化合物、及び第8族金属化合物から最初の溶液を調製する方法であり、添加剤は、その後最初の溶液と混合され、初期溶液を生成する。通常、最初の溶液は加熱され成分の溶解を確実にする。
【0022】
初期溶液は、任意の加熱又は任意の冷却を受けない場合、溶液組成物となる。初期溶液では、第6族金属の濃度(組成物中に第6族金属が2つ以上の存在する場合は、その合計)は、多くの場合約1.35mol/L〜約5.9mol/Lであり、好ましくは約1.9mol/L〜約4.2mol/Lである。第6族金属及び第8族金属の濃度が上記範囲の上限にある溶液が生成される工程において、任意の有機酸が存在する場合、少なくとも任意の有機酸の一部が、第8族金属化合物を添加する前又は同時に混合することが推奨される。
【0023】
任意の加熱工程において、初期溶液は、40℃を超える温度で加熱され、加熱溶液が生成される。温度上昇により溶解速度を高めることができ、本発明の方法によって生成される溶液の沈殿性能に影響が及ぶことが確認された。より具体的には、沈殿物を有する初期溶液の一部を蒸解(加熱)するによって、沈殿物を溶解させることが確認された。これらの溶液では、沈殿物は、溶液が室温まで冷却された後、再び沈殿することはなかった。かかる蒸解(加熱)のための温度上昇は、通常約40℃〜約95℃であり、好ましくは約50℃〜約95℃、より好ましくは約60℃〜約95℃である。この蒸解の効果は、添加剤と水素化金属のモル比が約0.35:1より大きい成分から生成される溶液に顕著であり、かかる溶液は、蒸解前に沈殿物を生成するが、蒸解及び冷却後は沈殿物を生成しない。
添加物の使用量をより少なくして溶液を蒸解するか、蒸解を必要としない程度まで大量の添加剤を使用するかは、通常加熱に要する時間とエネルギーのコストと大量に使用される添加剤の材料コストとのバランスで決定される。
【0024】
加熱溶液は、任意に冷却され冷却溶液を生成する。加熱溶液は、多くの場合冷却の工程を経る。冷却は、通常周囲温度(室温)で行われるが、一般的には約15℃〜約25℃、多くの場合約17℃〜約23℃で行われる。しかし、溶液を調整後、高温(例えば、40℃〜50℃)で処理する場合は、冷却温度が溶液の加熱工程中の加熱温度より低い場合、溶液は処理温度まで冷却するだけでよい。
【0025】
上記の方法で生成される本発明の組成物は、第6族金属、第8族金属、リン、及びa)テトラエチレングリコール、b)約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、c)テトラエチレングリコール及び約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコールの混合物、又はd)(1)テトラエチレングリコール及び/又は約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、並びに(2)1又はそれ以上のモノエチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールの混合物である添加物からなる組成物である。
【0026】
本発明の組成物において、添加物の第6族金属及び第8族金属の合計モル数に対するモル比は、0.30:1より大きい。第6族金属と第8族金属は、本発明の組成物では一般に少なくとも約1.5:1のモル比で存在する。リンと第6族金属は、通常少なくとも約0.33:1の原子比率で存在する。理論にとらわれずに言えば、各成分からなる混合物が本発明の溶液組成物中に存在すると考えられる。溶液中の成分は、現時点ではその特徴が十分に発揮されているとは言えない。例えば、モリブデン及びリンを含む溶液中に存在する成分の関連については、オランダ、ユトレヒト大学のJ. Bergwerff博士の2007年の論文第2章を参照されたい。
【0027】
本発明の溶液組成物は、通常水が含まれ、少なくともある時点でグリコール添加物の量が水の量より多くても、水溶液と考えることができる。
【0028】
本発明の組成物である溶液において、第6族金属は、モリブデン、タングステン、又はクロムである。第6族金属は、モリブデン又はタングステンが好ましく、モリブデンがより好ましい。第8族金属は、鉄、ニッケル、及び/又はコバルトであり、ニッケル及び/又はコバルトが好ましい。組成物中のリンと第6族金属の原子比率は、通常少なくとも約0.33:1であり、好ましくは約0.33:1〜約0.8:1、より好ましくは約0.38:1〜約0.7:1、さらに好ましくは約0.45:1〜約0.7:1である。第6族金属と第8族金属の原子比率は、通常少なくとも約1.5:1であり、好ましくは約1.5:1〜約6:1、より好ましくは約2:1〜約5:1である。添加剤と水素化金属のモル比は、約0.30:1より大きく、好ましくは少なくとも約0.31:1、より好ましくは少なくとも約0.33:1、さらに好ましくは少なくとも約0.35:1である。添加剤と水素化金属のモル比は、好ましくは約0.30:1〜約0.6:1であり、より好ましくは約0.33:1〜0.6:1、さらに好ましくは約0.35:1〜0.6:1、特に好ましくは0.4:1〜約0.6:1である。
【0029】
上記のように、試薬の混合物が溶液組成物の生成に使用される場合、各成分の混合物が溶液中に存在する。例えば、モリブデン化合物及びタングステン
化合物が使用される場合、生成物溶液にはモリブデン及びタングステンが含まれる。他の例では、コバルト化合物及びニッケル化合物が使用される場合、生成物溶液にはコバルト及びニッケルが含まれる。化合物中の第6族金属が異なる第6族金属化合物及び化合物中の第8族金属が異なる第8族金属化合物からなる試薬の混合物を、必要に応じて溶液組成
物を生成するのに使用することができる。
【0030】
本発明の溶液組成物中の成分の濃度が組成物にとって重要でない場合、溶液の最終的な使用目的に合致する濃度を採用することが、多くの場合便利である。例えば、本発明で示されるように、これらの溶液を採用して触媒を生成することができる。本発明の溶液組成物(添加剤が共存)中の第6族金属の適切な濃度(2以上の第6族金属が組成物中に存在する場合はその合計)は、通常約1.35mol/L〜約5.9mol/Lであり、好ましくは約1.9mol/L〜約4.2mol/Lである。
【0031】
溶液を適切な濃度にすることによって、第6族金属が三酸化物として計算して約5〜約40重量%、好ましくは約15〜約36重量%存在し、第8族金属が一酸化物として計算して約1〜約10重量%、好ましくは約2〜約8重量%存在し、及びリンがPとして計算して約1〜約10重量%、好ましくは約2〜約9重量%存在する触媒が提供される。
【0032】
触媒を生成する本発明の方法では、担体と含浸溶液を一緒に投入して含浸担体を生成し、その含浸担体を乾燥することによって触媒を生成する。含浸溶液は、本発明の溶液組成物を含む。含浸溶液としては、上記の本発明の溶液組成物が好まれる。
【0033】
本明細書を通じて「担体」という語は、固体又は半固体の形態の担体を表す。かかる担体は、水媒体に接触する際に主として固体状態を維持する。この語は、水媒体中でほぼ完全に溶解するアルミン酸ナトリウムなどの前駆体塩を指さない。担体は、アルミナ、シリカ、シリカ・アルミナ、シリカ・アルミナが分散されたアルミナ、アルミナ被覆シリカ、シリカ被覆アルミナ、マグネシア、ジルコニア、ボリア、チタニアなどの従来の酸化物、及びこれらの酸化物の混合物から構成することができる。担体としては、ηアルミナ、θアルミナ、またはγアルミナなどの遷移アルミナも適切である。好ましい担体は、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、シリカ・アルミナが分散されたアルミナ、アルミナ被覆シリカ、又はシリカ被覆アルミナ、特にアルミナ又はシリカを約20重量%まで含むアルミナであり、シリカを約12重量%まで含むアルミナが好ましい。ηアルミナ、θアルミナ、又はγアルミナなどの遷移アルミナを含む担体が特に好ましく、γアルミナの担体が最も好ましい。
【0034】
担体は、通常従来どおりの方法で球形又は成形品の形態で使用される。適切な成形品の種類は、例えば米国特許第4,028,227号に報告されている。使用に際して極めて適切なのは、円筒形の粒子(空洞があってもなくても良い)、及び対称及び非対称の多数に分葉した粒子(2、3、又は4つの分葉)である。成形した担体の粒子は、通常400℃〜850℃の温度で焼成される。
【0035】
担体の細孔容積(N吸着により測定)は、通常約0.25〜約1mL/gである。比表面積(BET法を用いて測定)は、通常約50〜約400m/gである。一般に、触媒は、N吸着により測定して、約7nm〜約20nm、好ましくは約9nm〜約20nmの中央孔径を有する。合計細孔容積の少なくとも約60%が、中央孔径から約2nmの範囲にあるのが好ましい。上記の細孔径分布及び表面積の数値は、担体を約500℃で1時間焼成した後測定される。
【0036】
担体を含浸させる方法は、当分野の技術者にはよく知られている。好ましい方法としては、共同含浸などがある。触媒を生成する本発明の方法においては、ただ一つの含浸工程が必要である。その含浸工程では、一旦担体と含浸溶液が一緒に投入されると、通常混合物は、すべての含浸溶液が触媒に実質的に取り込まれるまで均質化される。細孔容積含浸又は初期湿潤含浸として当技術分野で周知のように、この技術においては含浸溶液は、触
媒の細孔に実質的かつ完全に取り込まれ、そのため化学薬品の有効利用に役立ち、製品を塵から守るのに有効である。
【0037】
含浸方法には非常に多くの変形が可能である。したがって、複数の含浸工程を適用することができ、沈殿する1つ以上の成分前駆体又はその一部を含む含浸溶液を用いる。含浸技術の代わりに、浸漬方法、噴霧方法などが使用できる。複数の含浸、浸漬などの工程を実施する場合、乾燥及び/焼成が含浸工程と他の含浸工程との間に実施される。しかし、より速くより簡単なため、単独の含浸工程が好ましく、それにより生産速度を高め、かつコストを低く抑えることを可能にする。また、単独の含浸工程によって、より高品質の触媒が提供される傾向もある。
【0038】
担体と本発明の溶液組成物との含浸により、第8族金属が、通常一酸化物として計算して約1〜約10重量%、好ましくは約3〜約8.5重量%存在する触媒が生成される。これらの触媒では、リンは、Pとして計算して通常約1〜約10重量%、より好ましくは約2〜約9重量%存在する。触媒中の第6族金属がモリブデンである場合、モリブデンは、三酸化モリブデンとして計算して通常約35重量%以下、好ましくは約15〜約35重量%存在する。
【0039】
含浸工程後、含浸担体は、通常は乾燥され溶媒(通常は水)が除去される。乾燥工程は、空気中、真空下、又は不活性ガスの存在下で実施される。一般に、乾燥温度は220℃より低い温度が推奨される。含浸担体(任意の乾燥が実施された場合は実施後)は、任意に約220℃〜約650℃、好ましくは約350℃〜約600℃の温度で焼成される。
【0040】
含浸担体の乾燥は、少なくとも添加剤の一部が触媒中に残存するような条件で行う。すなわち、添加剤は、蒸発又は分解によって完全には除去されない。したがって、採用される乾燥条件は、添加剤が沸騰又は分解する温度に依存し、乾燥が酸素の存在下で行われる場合は、燃焼も分解の一種に含まれる。本発明のこれらの方法において、乾燥工程は、含浸工程中の触媒に組み入れられた添加剤の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約90%が、乾燥工程後の触媒中に存在するような条件下で実施すべきである。乾燥工程中、触媒中に可能な限り多くの添加剤を保持することが好ましい。しかし、乾燥工程中、添加剤の一部の蒸発が常に避けられるわけではないと考えられる。乾燥温度は、220℃より低いことが必要とされ得、多くの場合、120℃より低い温度が推奨され、かつ好ましい。
【0041】
本発明の触媒は、任意に硫化工程(処理)を経て金属成分から金属硫化物へと変換することができる。高い沸点を有する添加剤が使用される場合、より多くの添加剤が、硫化工程中触媒組成物の一部として残存するのが認められた。本明細書中、「硫化工程」という表現は、直接に又は水素による活性化処理後、硫黄含有化合物が触媒組成物に加えられ、かつ触媒中に存在する少なくとも水素化金属成分の一部が硫化物に変換するいかなる工程も含むことを意味する。適切な硫化方法が、当技術分野で知られている。硫化工程は、炭化水素原料を水素処理する際に触媒が使用される反応炉の外部、内部、又は外部と内部の組合せで起こり得る。
【0042】
外部硫化工程は、炭化水素原料を水素処理するのに触媒が使用される反応炉の外部で起こる。かかる工程では、触媒は、有機又は無機ポリスルフィドなどの硫黄化合物、又は元素硫黄と反応炉の外部で接触し、必要に応じて乾燥される。第二工程では、原料は反応炉内で高温の水素ガスで処理され、任意に原料の存在下で触媒を活性化、すなわち触媒を硫化状態に至らせる。
【0043】
内部硫化工程は、炭化水素原料を水素処理するのに触媒が使用される反応炉内で起こる
。ここで、触媒は、高温の反応炉内で硫化水素又は一般的な条件下で硫化水素に分解可能な化合物などの硫化剤と混合した水素ガス流と接触する。一般的な条件下で硫化水素に分解可能な硫黄化合物からなる炭化水素原料と混合した水素ガス流を使用することも可能である。後者の場合には、ジメチルジスルフィド(スパイクされた炭化水素原料)などの添加硫化剤からなる炭化水素原料と接触することによって、触媒を硫化することが可能となる。また、原料に存在する硫黄成分が触媒の存在下で硫化水素に変換されるために、添加硫化剤が一切なしでも硫黄含有炭化水素原料を使用することも可能である。様々な硫化技術の組合せも採用することができる。スパイクされた炭化水素原料の使用が好ましい。
【0044】
本発明の触媒組成物は、任意の硫化工程を含むか否かにかかわらず、上記方法により生成される。
【0045】
本発明の触媒組成物は、広範な炭化水素原料の水素処理、水素化脱窒素、及び/又は水素化脱硫に使用することができる。適切な原料としては、例えば中間留分、灯油、ナフサ、真空軽油、重質軽油等がある。
【0046】
本発明の方法は、炭化水素原料と本発明の触媒との接触を含む炭化水素原料の水素処理、水素化脱窒素、及び/又は水素化脱硫の方法である。炭化水素原料の水素処理は、水素処理の条件のもとで本発明の触媒組成物の存在下での原料の水素処理を含む。
【0047】
従来の水素処理方法の条件、すなわち温度が約250℃〜約450℃、反応路入口の水素分圧が約5〜約250バール、空間速度が約0.1〜約10vol/vol・時、H原料比が約50〜約2000NL/Lなどが採用される。
【0048】
以下に実施例を例示説明のために示すが、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【実施例】
【0049】
実施例1
NiCO粉末(98.7g、49重量%Ni)を水中で分散させることにより、フラスコで溶液を調製し、撹拌可能なスラリーを生成した。次に、HPO(水分率85%、174.9g)をスラリーに加え、次いでMoO(369.2g)を加えた。次に、スラリーを41.9重量%のMoOの透明な溶液になるまで92℃で加熱した。リンとモリブデンのモル比が0.58:1のこの溶液を溶液Aとした。
【0050】
11個の15mLのフラスコにそれぞれ8.8gの溶液Aを満たした。ポリエチレングリコール200をそれぞれのフラスコに量を変えて加えた。ポリエチレングリコール200の量は、下記の表1に示す。1つのフラスコにはポリエチレングリコール200を加えず、比較用とした。それぞれのフラスコに水を加え、最終的に9.27mLの溶液を得た。それぞれのフラスコを振盪し、1日経過後の沈殿物の量(フラスコ中の固形物の高さ、単位mm)を記録した。次に、フラスコを60℃の炉に1日中置き、その後再び沈殿物の量を記録した。次に、フラスコを炉から取り除き、室温まで冷却した。翌日以降に再びそれぞれのフラスコの沈殿物の量を記録した。結果はまとめて表1に示した。試行1〜6は比較用である。
【表1】

【0051】
実施例2
NiCO粉末(73.0g、49重量%Ni)を水中で分散させることにより、フラスコで溶液を調製し、撹拌可能なスラリーを生成した。次に、HPO(水分率85%、31.43g)をスラリーに加え、次いでMoO(273.12g)を加えた。次に、スラリーを46.4重量%のMoOの透明な溶液になるまで92℃で加熱した。リンとモリブデンのモル比が0.14:1のこの溶液を溶液Bとした。本実施例の試行のすべてに明細書の記載通りにHPOをさらに加えた。
【0052】
8個の30mLのフラスコ(実験a〜h)にそれぞれ異なる量の溶液A又はBを満たした(以下表2参照)。一部のフラスコには、HPO(水分率85%)をさらに加え、その量は以下の表2に示す。追加のHPOをそれぞれの溶液に添加混合した。次に、0.22モルのポリエチレングリコール200(mol、Mo+Ni)をそれぞれのフラスコに加えた(量は表2参照)。ポリエチレングリコール200を溶液中で混合した後、それぞれのフラスコに水を加え、最終的に19.25mLの溶液を得た。それぞれのフラスコを再び振盪し、1日経過後の沈殿物の存在を記録した。次に、フラスコを60℃の炉に1日中置き、その後再び沈殿物の存在を記録した。結果はまとめて表2に示す。試行a〜dは比較用である。
【表2】

【0053】
実施例3
0.44モルのポリエチレングリコール200(mol、Mo+Ni)を使用して、実施例2に記載の実験が繰り返された。これらの実験(i〜p)はまとめて以下の表3に示す。実験i〜lは比較用である。
【表3】

【0054】
表2及び表3の結果によれば、0.22モルのポリエチレングリコール200(mol
、Mo+Ni)を使用した場合、沈殿物の生成は、室温でモル比(P:Mo)が約0.21:1で開始する。60℃では、沈殿物の生成は、モル比(P:Mo)が約0.37:1で開始する。実施例3でポリエチレングリコール200の量を2倍にすると、室温での沈殿物の生成は、モル比(P:Mo)が約0.58:1で開始する。
【0055】
実施例4
NiCO粉末(40.26g、48.8重量%Ni)を水中で分散させることにより、フラスコで溶液を調製し、撹拌可能なスラリーを生成した。次に、約30%のHPO(水分率85%、総量71.1g)をスラリーに加え、次いでMoO(100%MoO、150g)を加えた。次に、スラリーを92℃で約30分間加熱し、その後残りのHPOを加えた。828g/LのMoOを含む透明な溶液(約5.75mol/L、MoO)が得られるまで加熱を継続した。溶液の量は、最終的に約181mLとなった。リンとモリブデンのモル比が0.6:1のこの溶液を溶液Cとした。
【0056】
6個の15mLのフラスコにそれぞれ12.0gの溶液Cを満たした。ポリエチレングリコール300をそれぞれのフラスコに量を変えて加えた。ポリエチレングリコール300の量は、以下の表4に示す。1つのフラスコにはポリエチレングリコール300を加えず、比較用とした。それぞれのフラスコに水を加え、最終的に10mLの溶液を得た。それぞれのフラスコを振盪し、1日経過後の沈殿物の存在を確認した。次に、フラスコを60℃の炉に1日中置き、その後再び沈殿物の存在を確認した。次に、フラスコを炉から取り除き、室温まで冷却した。翌日以降に再びフラスコの沈殿物の存在を確認した。結果はまとめて表4に示す。試行1〜5は比較用である。
【表4】

【0057】
実施例5
7個の15mLのフラスコにそれぞれ12.0gの溶液Cを満たした(実施例4に記載の方法で調製)。ポリエチレングリコール400をそれぞれのフラスコに量を変えて加えた。ポリエチレングリコール400の量は、以下の表5に示す。1つのフラスコにはポリエチレングリコール400を加えず、比較用とした。それぞれのフラスコに水を加え、最終的に10mLを得た。それぞれのフラスコを振盪し、1日後に沈殿物の存在を確認した。次に、フラスコを60℃の炉に1日中置き、その後再び沈殿物の存在を確認した。次に、フラスコを炉から取り除き、室温まで冷却した。さらなる1日後に再びフラスコの沈殿物の存在を確認した。結果はまとめて表5に示す。試行1〜6は比較用である。
【表5】

【0058】
実施例6
5個の15mLのフラスコにそれぞれ12.0gの溶液Cを満たした(実施例4に記載の方法で調製)。ポリエチレングリコール300及びトリエチレングリコール(TEG)の50:50(重量基準)の混合物をそれぞれのフラスコに量を変えて加えた。混合物の量は、以下の表6に示す。1つのフラスコにはポリエチレングリコール300及びトリエチレングリコール(TEG)を加えず、比較用とした。それぞれのフラスコに水を加え、最終的に10mLを得た。それぞれのフラスコを振盪し、1日後に沈殿物の存在を確認した。次に、フラスコを60℃の炉に1日中置き、その後再び沈殿物の存在を確認した。次に、フラスコを炉から取り除き、室温まで冷却した。さらなる1日後に再びフラスコの沈殿物の存在を確認した。結果はまとめて表6に示す。試行1〜3は比較用である。
【表6】

【0059】
実施例7
5個の15mLのフラスコにそれぞれ12.0gの溶液Cを満たした(実施例4に記載の方法で調製)。ポリエチレングリコール400及びトリエチレングリコール(TEG)の50:50(重量基準)の混合物をそれぞれのフラスコに量を変えて加えた。混合物の量は、以下の表7に示す。1つのフラスコにはポリエチレングリコール400及びトリエチレングリコール(TEG)を加えず、比較用とした。それぞれのフラスコに水を加え、最終的に10mLを得た。それぞれのフラスコを振盪し、1日後に沈殿物の存在を確認した。次に、フラスコを60℃の炉に1日中置き、その後再び沈殿物の存在を確認した。次に、フラスコを炉から取り除き、室温まで冷却した。さらなる1日後に再びフラスコの沈殿物の存在を確認した。結果はまとめて表7に示す。試行1〜4は比較用である。
【表7】

【0060】
実施例8(比較例)
5個の15mLのフラスコにそれぞれ12.0gの溶液Cを満たした(実施例4に記載の方法で調製)。ポリエチレングリコール600をそれぞれのフラスコに量を変えて加えた。ポリエチレングリコール600の量は、以下の表8に示す。1つのフラスコにはポリエチレングリコール600を加えず、比較用とした。それぞれのフラスコに水を加え、最終的に10mLを得た。それぞれのフラスコを振盪し、1日後に沈殿物の存在を確認した。次に、フラスコを60℃の炉に1日中置き、その後再び沈殿物の存在を確認した。次に、フラスコを炉から取り除き、室温まで冷却した。さらなる1日後に再びフラスコの沈殿物の存在を確認した。結果はまとめて表8に示す。
【表8】

【0061】
実施例9
NiCO粉末(NiCO中のNi49重量%、90.93g)に対して、撹拌可能な懸濁液を生成するのに必要な量だけの水を加えることにより、フラスコで溶液を調製した。次に、HPO(水分率85%、39.12g)を懸濁液に加え、次いで約40%のMoO(MoOの総量、340g)を加えた。次に、懸濁液がより撹拌可能になるまで懸濁液を92℃で加熱し、その後残りのMoOを段階的に加えた。92℃で約30分加熱後、透明な溶液が得られた。溶液の量は、最終的に約400mLとなった。得られた溶液の濃度は、850g/LのMoO(約5.90mol/L、Mo)、142g/LのNiO(約1.89mol/L、Ni)、及び60.2g/LのP(約0.85mol/L、P)であった。リンとモリブデンのモル比が0.14:1のこの溶液を溶液Dとした。本実施例の試行のすべてに明細書の記載通りにHPOをさらに加えた。HPOを加えた後、すべての試行でリンとモリブデンのモル比は、0.55:1となった。
【0062】
6個の15mLのフラスコにそれぞれ3.04mLの溶液Dを満たした。溶液の組成は、水の添加によって変え、次いで溶液にクエン酸(50重量%溶液、1.319g/mL)を加え、その後HPO(85重量%、1.71g/mL)を加え、最後にポリエチレングリコール200(PEG200、100重量%、1.128g/mL)を溶液に加えた。それぞれのフラスコに水を加え、最終的に7mLを得た。加えられたHPO、ポリエチレングリコール200、及びクエン酸の量は、表9に示す。それぞれのフラスコを振盪し、1日後に沈殿物の存在を確認したが、すべてのフラスコには沈殿物が認められた。次に、フラスコを60℃の炉に1日中置き、炉から取り除き、室温まで冷却した。さらなる1日後に再びフラスコの沈殿物の存在を確認し、沈殿物の量(フラスコ中の固形物の高さ、mm)を記録した。結果はまとめて表9に示す。試行1〜4は比較用である。
【表9】

【0063】
本明細書又は特許請求の範囲に記載される化学名又は化学式で表された成分は、単数形、複数形にかかわらず、化学名又は化学型で表される別の物質(例えば、他の成分又は溶媒など)と接触する以前から存在するものとして特定される。得られた混合物又は溶液でどのような化学変化、変質、及び/又は反応が起こるかは、たとえ起こったとしても、そのような変化、変質、及び/又は反応は、本発明の開示により要求された条件下で、特定の成分が一緒に組み合わされた当然の結果であるので、重要なことではない。したがって、成分は、望ましい操作の実行又は望ましい組成物の生成に関連して一緒に組み合わされるべき構成要素として特定される。
【0064】
本発明は、ここで列挙される材料及び/又は手順から構成され、又は本質的に構成される。
【0065】
本明細書で使用される、本発明の組成物の構成要素又は本発明の方法で採用される構成要素の量を修飾する「約」という語は、例えば、現実世界における濃縮物の生成又は溶液の使用のために使用される標準的な測定及び液体の処理方法の手順、これらの手順における不注意によるミス、組成物の生成又は方法の遂行などのために使用する構成要素の製造過程、産地、又は純度の差などによって発生し得る数量の変動を指す。「約」という語はまた、特定の初期の混合物から生成される組成物について異なる平衡条件のために変動する量を包含する。「約」という語による修正の有無にかかわらず、当該数量と同等量が特許請求の範囲に含まれる。
【0066】
明確に示されている場合を除き、「a」「an」という冠詞は、本明細書で使用される場合、その冠詞が表す一つの要素に対する記述又は要求を制限することを意図するものではなく、また制限すると解釈すべきではない。むしろ「a」「an」という冠詞は、本明細書で使用される場合、本文に明確に示されている場合を除き、かかる要素について1つ以上の状態を包含することを意図している。
【0067】
本発明は、実施において相当な変動の余地を受け入れることができる。したがって、前記の記述は、上記の具体的な例示に対して、本発明を制限することを意図するものではなく、また制限すると解釈すべきではない。
【0068】
本発明は、さらに下記の事項に関する。
1.A)水媒体中に
i)少なくとも1つのリン化合物
ii)少なくとも1つの第6族金属化合物
iii)少なくとも1つの第8族金属化合物、及び
iv)a)テトラエチレングリコール、
b)約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、
c)テトラエチレングリコール及び約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコールの混合物、又は
d)(1)テトラエチレングリコール及び/又は約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、及び(2)1又はそれ以上のモノエチレングリコール、ジエチレングリコール、及びトリエチレングリコールの混合物である添加剤を一緒に投入して、
添加剤の第6族金属及び第8族金属の合計モル数に対するモル比が、0.30:1より大きく、リンの第6族金属に対する原子比率が、少なくとも約0.33:1である、
初期溶液を生成すること、
B)前記初期溶液を任意に約40℃より高い温度で加熱し、加熱溶液を生成すること、ならびに
C)前記加熱溶液を任意に冷却し、冷却溶液を生成することを含む、
溶液組成物を生成する方法。
2.前記リンの第6族金属に対する原子比率が少なくとも約0.33:1〜約0.8:1であり、及び/又は前記第6族金属化合物及び第8族金属化合物が、その第6族金属及び第8族金属の原子比率が少なくとも約1.5:1となるような量である、事項1に記載の方法。
3.前記リンの第6族金属に対する原子比率が約0.38:1〜約0.7:1であり、及び/又は前記第6族金属化合物及び第8族金属化合物が、その第6族金属及び第8族金属の原子比率が少なくとも約1.5:1〜約6:1となるような量である、事項1及び2のいずれかに記載の方法。
4.前記リン化合物が水溶性で酸性リン化合物である事項1から3のいずれかに記載の方法。
5.前記リン化合物がオルトリン酸である事項1から4のいずれかに記載の方法。
6.前記第8族金属化合物が炭酸塩、水酸化物、又はヒドロキシ炭酸塩である事項1から5のいずれかに記載の方法。
7.前記第8族金属化合物が炭酸塩、水酸化物、又はヒドロキシ炭酸塩であり、及び/又は前記第6族金属化合物が酸化物又はオキソ酸である事項1から5のいずれかに記載の方法。
8.添加剤の第6族金属及び第8族金属の合計モル数に対するモル比が、少なくとも約0.31:1である事項1から7のいずれかに記載の方法。
9.添加剤の第6族金属及び第8族金属の合計モル数に対するモル比が、約0.31:1〜約0.6:1である事項1から8のいずれかに記載の方法。
10.添加剤の第6族金属及び第8族金属の合計モル数に対するモル比が、少なくとも約0.36:1である事項1から9のいずれかに記載の方法。
11.上記添加剤が、約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、又はトリエチレングリコール及びテトラエチレングリコール及び/又は約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコールの混合物である事項1から10のいずれかに記載の方法。
12.少なくとも1つの酸性基並びに水酸基及び酸性基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する有機酸が含まれる事項1から11のいずれかに記載の方法。
13.前記有機酸がクエン酸である事項1から12のいずれかに記載の方法。
14.前記第6族金属がモリブデン及び/又はタングステンであり、及び/又は前記第8族化合物がニッケル又はコバルトの化合物である事項1から13のいずれかに記載の方法。
15.前記第6族金属がモリブデンであり、及び/又は前記第8族化合物がコバルト化合物及び/又はニッケル化合物である事項1から13のいずれかに記載の方法。
16.第6族金属、第8族金属、リン、及び
a)テトラエチレングリコール、
b)約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、
c)テトラエチレングリコール及び約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコールの混合物、又は
d)(1)テトラエチレングリコール及び/又は約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、及び(2)1又はそれ以上のモノエチレングリコール、ジエチレングリコール、及びトリエチレングリコールの混合物である添加剤からなり、
添加剤の第6族金属及び第8族金属の合計モル数に対するモル比が、0.30:1より大きく、リンの第6族金属に対する原子比率が、少なくとも約0.33:1である、
事項1から15のいずれかに記載の方法で生成された組成物。
17.前記リンの第6族金属に対する原子比率が少なくとも約038:1〜約0.7:1である事項16に記載の組成物。
18.前記リンの第6族金属に対する原子比率が約0.33:1〜約0.8:1であり、及び/又は前記第6族金属化合物及び第8族金属化合物が、その第6族金属及び第8族金属の原子比率が約1.5:1〜約6:1となるような量である事項16に記載の組成物。19.添加剤の第6族金属及び第8族金属の合計モル数に対するモル比が、少なくとも約0.31:1である事項16から18のいずれかに記載の組成物。
20.添加剤の第6族金属及び第8族金属の合計モル数に対するモル比が、約0.31:1〜約0.6:1である事項16から19のいずれかに記載の組成物。
21.添加剤の第6族金属及び第8族金属の合計モル数に対するモル比が、少なくとも約0.36:1である事項16から20のいずれかに記載の組成物。
22.前記第6族金属がモリブデン及び/又はタングステンであり、及び/又は前記第8族金属がニッケル又はコバルトである事項16から21のいずれかに記載の組成物。
23.前記第6族金属がモリブデンであり、及び/又は前記第8族金属がコバルト及び/又はニッケルである事項16から21のいずれかに記載の組成物。
24.前記第6族金属がモリブデンであり、及び前記第8族金属がコバルト又はニッケルである事項16から21のいずれかに記載の組成物。
25.I)担体及び事項16から24のいずれかに記載の組成物を含む含浸溶液を一緒に投入して含浸担体を生成すること、
II)前記含浸担体を乾燥すること、ならびに
III)任意に前記含浸担体を焼成して触媒を生成することを含む方法。
26.I)が単独の含浸工程からなる事項25に記載の方法。
27.さらに触媒を硫化することを含む事項25から26のいずれかに記載の方法。
28.前記担体がシリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、シリカ・アルミナが分散されたアルミナ、アルミナ被覆シリカ、又はシリカ被覆アルミナである事項25から27のいずれかに記載の方法。
29.少なくとも1つの酸性基並びに水酸基及び酸性基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する少なくとも1つの有機酸が含浸溶液中に存在する事項25から28のいずれかに記載の方法。
30.前記有機酸がクエン酸である事項29に記載の方法。
31.事項25から30のいずれかに記載の方法によって生成された触媒組成物。
32.前記第6族金属がモリブデンであり、前記モリブデンが三酸化モリブデンとして計算して約5〜約40重量%の量で存在する事項31に記載の組成物。
33.炭化水素原料及び事項31に記載の触媒を接触させ、水素処理、水素化脱窒素、及び/又は水素化脱硫を行う方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)水媒体中に
i)少なくとも1つのリン化合物
ii)少なくとも1つの第6族金属化合物
iii)少なくとも1つの第8族金属化合物、及び
iv)a)テトラエチレングリコール、
b)約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、
c)テトラエチレングリコール及び約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコールの混合物、又は
d)(1)テトラエチレングリコール及び/又は約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、及び(2)1又はそれ以上のモノエチレングリコール、ジエチレングリコール、及びトリエチレングリコールの混合物である添加剤を一緒に投入して、
添加剤の第6族金属及び第8族金属の合計モル数に対するモル比が、0.30:1より大きく、リンの第6族金属に対する原子比率が、少なくとも約0.33:1である、
初期溶液を生成すること、
B)前記初期溶液を任意に約40℃より高い温度で加熱して、加熱溶液を生成すること、ならびに
C)前記加熱溶液を任意に冷却して、冷却溶液を生成することを含む、
溶液組成物を生成する方法。
【請求項2】
前記リンの第6族金属に対する原子比率が少なくとも約0.33:1〜約0.8:1であり、及び/又は前記第6族金属化合物及び第8族金属化合物は、その第6族金属及び第8族金属の原子比率が少なくとも約1.5:1である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リンの第6族金属に対する原子比率が約0.38:1〜約0.7:1であり、及び/又は前記第6族金属化合物及び第8族金属化合物が、その第6族金属及び第8族金属の原子比率が少なくとも約1.5:1〜約6:1となるような量である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記リン化合物が水溶性で酸性リン化合物である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記リン化合物がオルトリン酸である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第8族金属化合物が炭酸塩、水酸化物、又はヒドロキシ炭酸塩である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第8族金属化合物が炭酸塩、水酸化物、又はヒドロキシ炭酸塩であり、及び/又は前記第6族金属化合物が酸化物又はオキソ酸である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
添加剤の第6族金属及び第8族金属の合計モル数に対するモル比が、少なくとも約0.31:1である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
添加剤の第6族金属及び第8族金属の合計モル数に対するモル比が、約0.31:1〜約0.6:1である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
添加剤の第6族金属及び第8族金属の合計モル数に対するモル比が、少なくとも約0.36:1である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
上記添加剤が、約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、又はトリエチレングリコール及びテトラエチレングリコール及び/又は約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコールの混合物である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの酸性基並びに水酸基及び酸性基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する有機酸が含まれる請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記有機酸がクエン酸である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第6族金属がモリブデン及び/又はタングステンであり、及び/又は前記第8族化合物がニッケル又はコバルトの化合物である請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第6族金属がモリブデンであり、及び/又は前記第8族化合物がコバルト化合物及び/又はニッケル化合物である請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
第6族金属、第8族金属、リン、及び
a)テトラエチレングリコール、
b)約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、
c)テトラエチレングリコール及び約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコールの混合物、又は
d)(1)テトラエチレングリコール及び/又は約200〜約400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、及び(2)1又はそれ以上のモノエチレングリコール、ジエチレングリコール、及びトリエチレングリコールの混合物である添加剤からなり、
添加剤の第6族金属及び第8族金属の合計モル数に対するモル比が、0.30:1より大きく、リンの第6族金属に対する原子比率が、少なくとも約0.33:1である、
請求項1に記載の方法で生成された組成物。
【請求項17】
前記リンの第6族金属に対する原子比率が少なくとも約038:1〜約0.7:1である請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記リンの第6族金属に対する原子比率が約0.33:1〜約0.8:1であり、及び/又は前記第6族金属化合物及び第8族金属化合物が、その第6族金属及び第8族金属の原子比率が約1.5:1〜約6:1となるような量である請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
添加剤の第6族金属及び第8族金属の合計モル数に対するモル比が、少なくとも約0.31:1である請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
添加剤の第6族金属及び第8族金属の合計モル数に対するモル比が、約0.31:1〜約0.6:1である請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
添加剤の第6族金属及び第8族金属の合計モル数に対するモル比が、少なくとも約0.36:1である請求項16に記載の組成物。
【請求項22】
前記第6族金属がモリブデン及び/又はタングステンであり、及び/又は前記第8族金属がニッケル又はコバルトである請求項16から21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
前記第6族金属がモリブデンであり、及び/又は前記第8族金属がコバルト及び/又はニッケルである請求項16から21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
前記第6族金属がモリブデンであり、及び前記第8族金属がコバルト又はニッケルである請求項16から21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
I)担体及び請求項16に記載の組成物を含む含浸溶液を一緒に投入して含浸担体を生成すること、
II)前記含浸担体を乾燥すること、ならびに
III)任意に前記含浸担体を焼成して触媒を生成することを含む方法。
【請求項26】
I)が単独の含浸工程からなる請求項25に記載の方法。
【請求項27】
さらに触媒を硫化することを含む請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記担体がシリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、シリカ・アルミナが分散されたアルミナ、アルミナ被覆シリカ、又はシリカ被覆アルミナである請求項25に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つの酸性基並びに水酸基及び酸性基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する少なくとも1つの有機酸が含浸溶液中に存在する請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記有機酸がクエン酸である請求項29に記載の方法。
【請求項31】
請求項25から30のいずれか1項に記載の方法によって生成された触媒組成物。
【請求項32】
前記第6族金属がモリブデンであり、前記モリブデンが三酸化モリブデンとして計算して約5〜約40重量%の量で存在する請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
炭化水素原料及び請求項31に記載の触媒を接触させ、水素処理、水素化脱窒素、及び/又は水素化脱硫を行う方法。

【公表番号】特表2013−502321(P2013−502321A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526027(P2012−526027)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062282
【国際公開番号】WO2011/023668
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(508375653)
【Fターム(参考)】