説明

第7因子発現の調節

本明細書には、第7因子を減少させ、その必要がある個体における血栓塞栓性合併症、過剰増殖性障害、または炎症状態を処置または予防するための、アンチセンス化合物および方法が開示される。第7因子を標的とするアンチセンス化合物の投与によって改善されうる病状の例には、血栓症、塞栓症、および血栓塞栓症、例えば深部静脈血栓症、肺塞栓症、心筋梗塞、脳卒中、がん、慢性関節リウマチ、および線維症が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[配列表]
本願は電子形式の配列表と共に出願される。配列表は2008年11月5日に作成されたサイズ180Kbのファイル(ファイル名:BIOL0099WOSEQ.txt)として提出される。配列表の電子形式での情報は参照によりそのすべてが本明細書に組み込まれる。
【0002】
[発明の分野]
本発明の実施形態は、動物における第7因子mRNAおよびタンパク質の発現を減少させるための方法、化合物、および組成物を提供する。そのような方法、化合物および組成物は、血栓塞栓性合併症、過剰増殖性障害、および炎症状態を処置し、予防し、または改善するのに役立つ。
【背景技術】
【0003】
[発明の背景]
循環系は、不適切な血管内閉塞に対抗する機序だけでなく、失血を予防する機序も必要とする。一般に凝固は、結果として可溶性フィブリノゲンを不溶性フィブリンゲルに変換することになる反応のカスケードを含む。カスケードの各ステップでは、不活性なチモーゲンが活性化された酵素に変換される。そして、その活性酵素が、カスケード中の次のステップを触媒する。
【0004】
凝固カスケード
凝固カスケードは、2つの分枝、すなわち主要経路である組織因子経路(「外因性経路」ともいう)と接触活性化経路(「内因性経路」ともいう)によって開始されうる。
【0005】
組織因子経路は、細胞表面受容体である組織因子(TF、第III因子ともいう)によって開始され、この受容体は、血管外細胞(周皮細胞、心筋細胞、平滑筋細胞、およびケラチノサイト)によって構成的に発現され、炎症性サイトカインまたはエンドトキシンによる誘導時には、血管の単球および内皮細胞によって発現される(非特許文献1)。TFは凝固第VIIa因子(セリンプロテアーゼ)に対する高アフィニティ細胞受容体である。TFが存在しない場合、VIIaの触媒活性は極めて低く、アロステリック機序によってVIIaを機能的にするには、TFへの結合が必要である(非特許文献1)。TF−VIIa複合体は第X因子をXaに活性化する。次にXaはその補助因子である第Va因子と会合してプロトロンビナーゼ複合体を形成し、それが今度はプロトロンビン(第II因子または第2因子とも呼ばれている)をトロンビン(第IIa因子または第2a因子とも呼ばれている)に活性化する。トロンビンは血小板を活性化し、フィブリノゲンをフィブリンに変換し、第XIII因子を活性化することによってフィブリン架橋を促進し、そうすることで、TFが血管外細胞に曝露された部位で安定な栓を形成させる。さらにトロンビンは、第V因子および第VIII因子を活性化することにより、凝固カスケード応答を補強する。
【0006】
接触活性化経路は、第XII因子が第XIIa因子に活性化されることによってトリガーされる。第XIIa因子はXIをXIaに変換し、XIaはIXをIXaに変換する。IXaは、その補助因子VIIIaと会合して、XをXaに変換する。第Xa因子は第Va因子と会合してプロトロンビン(第II因子)をトロンビン(第IIa因子)に活性化するので、2つの経路はこの点で集束する。
【0007】
凝固の阻害
少なくとも3つの機序、すなわち、活性化プロテインC、アンチトロンビン、および組織因子経路インヒビターの作用が、凝固カスケードを抑制している。活性化プロテインCは、補助因子VaおよびVIIIaを分解するセリンプロテアーゼである。プロテインCはトロンビンとトロンボモジュリンの組み合わせによって活性化され、機能するには補酵素プロテインSを必要とする。アンチトロンビンは、セリンプロテアーゼであるトロンビン、Xa、XIIa、XIaおよびIXaを阻害するセリンプロテアーゼインヒビター(セルピン)である。組織因子経路インヒビターは、XaおよびTF−VIIa複合体の作用を阻害する(非特許文献2)。
【0008】
疾患
血栓症は凝血塊の病的発生であり、塞栓症は凝血塊が身体の別の部分に移動して臓器機能を妨害する際に起こる。血栓塞栓症は、深部静脈血栓症、肺塞栓症、心筋梗塞、および脳卒中などの状態を引き起こしうる。重要なことに、血栓塞栓症は毎年200万人を超えるアメリカ人を冒す主要な罹病原因である(非特許文献3)。血栓症の大半の症例は後天的な外因性の問題、例えば手術、がん、不動などによるものであるが、一部の症例は遺伝的素因、例えば抗リン脂質抗体症候群および常染色体優性異常、第V因子ライデンなどによるものである(非特許文献4)。
【0009】
処置
最もよく使用される抗凝固剤であるワルファリン、ヘパリン、および低分子量ヘパリン(LMWH)はいずれも重大な短所を持っている。
【0010】
ワルファリンは心房細動を患う患者を処置するために典型的に使用される。この薬物はビタミンK依存性凝固因子と相互作用し、これには第II因子、第VII因子、第IX因子、および第X因子が含まれる。抗凝固プロテインCおよびSもワルファリンによって阻害される。ワルファリンを使った薬物治療は、ワルファリンが他の投薬、例えば心房細動の処置に使用されるアミオダロンなどの薬物と相互作用するという事実によって、さらにややこしくなる。ワルファリンによる治療は予測が困難であるので、異常出血の徴候を見逃さないように、患者を注意深く監視しなければならない。
【0011】
ヘパリンは、トロンビンと第X因子の両方を阻害するアンチトロンビンを活性化することによって機能する(非特許文献5)。ヘパリンによる処置は、血小板を血管内で凝集させる免疫反応を引き起こす場合があり、それは血栓症につながりうる。この副作用はヘパリン起因性血小板減少症(HIT)と呼ばれており、患者のモニタリングを必要とする。ヘパリンによる長期間にわたる処置は骨粗鬆症にもつながりうる。LMWHは第2因子も阻害するが、未分画ヘパリン(UFH)ほどではない。LMWHはHITの発生に関連づけられている。
【0012】
このように現在の抗凝固剤は予測可能性および特異性を欠き、出血合併症などの有害副作用を予防するために注意深い患者のモニタリングを必要とする。内因性経路または外因性経路だけを標的とする抗凝固剤は、今のところない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Drakeら,Am J Pathol 1989,134:1087−1097
【非特許文献2】Schwartz ALら,Trends Cardiovasc Med.1997;7:234−239
【非特許文献3】Adcockら,American Journal of Clinical Pathology.1997;108:434−49
【非特許文献4】Bertina RMら,Nature 1994;369:64−67
【非特許文献5】Bjork I,Lindahl U.Mol Cell Biochem.1982 48:161−182
【発明の概要】
【0014】
[発明の概要]
ここでは、凝固障害を処置および予防するためのアンチセンス化合物、組成物、および方法が提供される。
【0015】
本明細書に記載するアンチセンス化合物は、第7因子核酸を標的とする12〜30個のヌクレオシドからなるオリゴヌクレオチドを含みうる。ある実施形態において、第7因子核酸は、GENBANK(登録商標)アクセッション番号NT_027140.6のヌクレオチド1255000〜1273000、GENBANK(登録商標)アクセッション番号NM_019616.2、およびGENBANK(登録商標)アクセッション番号DB184141.1に記載されている配列のどれであってもよい。
【0016】
アンチセンス化合物は一本鎖または二本鎖オリゴヌクレオチドであってもよい。アンチセンス化合物は、第7因子核酸に100、95、90、85、80、75、または70%相補的であってもよい。
【0017】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのヌクレオシド間結合が修飾ヌクレオシド間結合になるように修飾することができる。ヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合であってもよい。
【0018】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのヌクレオシドが修飾糖を含むように修飾することができる。修飾糖は二環式糖であってもよい。修飾糖は2’−O−メトキシエチルであってもよい。
【0019】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのヌクレオシドが修飾核酸塩基を含むように修飾することができる。修飾核酸塩基は5−メチルシトシンであってもよい。
【0020】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは5−10−5MOEギャップマー(gapmer)であってもよい。アンチセンスオリゴヌクレオチドは20個の連結されたヌクレオシドからなりうる。
【0021】
本明細書に記載する組成物は、第7因子核酸を標的とする12〜30個の連結されたヌクレオシドからなるオリゴヌクレオチドまたはその塩と、医薬上許容される担体または希釈剤とを含みうる。
【0022】
本組成物は一本鎖または二本鎖オリゴヌクレオチドであってもよい。
【0023】
本明細書に記載する方法は、第7因子核酸を標的とする12〜30個の連結されたヌクレオシドからなるオリゴヌクレオチドを含む化合物を、動物に投与することを含みうる。
【0024】
化合物の投与は凝固を遅らせ、または停止させうる。本化合物は、アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモール、ヘパリン、レピルジン、チクロピジン、およびワルファリンのどれとでも、併用投与することができる。本化合物と第2薬物の投与は同時に行うことができる。
【0025】
本化合物および/または第2薬物の投与は非経口投与によって行うことができる。非経口投与は皮下投与または静脈内投与のいずれであってもよい。
【0026】
もう1つの実施形態において、本明細書に記載する方法は、凝固障害を有するヒトを同定し、第7因子核酸を標的とする12〜30個の連結されたヌクレオシドからなるオリゴヌクレオチドを含む化合物の治療有効量をヒトに投与することも含みうる。
【0027】
また、第7因子核酸をコードする配列番号1の核酸塩基1147〜1227、9169〜9278、10982〜11058、11075〜11117、12084〜12117、12387〜13796、13847〜13907、14017〜14051、14093〜14134、14172〜14287、14331〜14402、14664〜14746、15098〜15570、15609〜15819、15899〜15905、または15957〜15982の範囲内で結合するであろう12〜30個の連結されたヌクレオシドからなるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む化合物も記載する。
【0028】
本アンチセンスオリゴヌクレオチドは第7因子核酸をコードする配列番号1に90、95または100%相補的であってもよい。本アンチセンスオリゴヌクレオチドは配列番号1に完全に相補的であってもよい。
【0029】
本アンチセンスオリゴヌクレオチドは、もっぱら、第7因子核酸をコードする配列番号1の核酸塩基1147〜1227、9169〜9278、10982〜11058、11075〜11117、12084〜12117、12387〜13796、13847〜13907、14017〜14051、14093〜14134、14172〜14287、14331〜14402、14664〜14746、15098〜15570、15609〜15819、15899〜15905、または15957〜15982の範囲内でハイブリダイズしてもよい。
【0030】
第7因子核酸をコードする配列番号2の核酸塩基102〜131または652〜682の範囲内で結合するであろう12〜30個の連結されたヌクレオシドからなるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む化合物も記載する。
【0031】
本アンチセンスオリゴヌクレオチドは第7因子核酸をコードする配列番号2に90、95、または100%相補的であってもよい。本アンチセンスオリゴヌクレオチドは配列番号2に完全に相補的であってもよい。
【0032】
本化合物は、もっぱら、第7因子核酸をコードする配列番号2の核酸塩基102〜131または652〜682の範囲内でハイブリダイズしてもよい。
【0033】
本発明の実施形態は、配列番号4〜159および168〜611の核酸塩基配列の少なくとも12個の連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を含む12〜30個の連結されたヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する。
【0034】
ある実施形態では、核酸塩基配列が配列番号53である。
【0035】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、および配列番号167のいずれかの核酸塩基配列に、少なくとも80%相補的である。
【0036】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、および配列番号167のいずれかの核酸塩基配列に、少なくとも90%相補的である。
【0037】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、および配列番号167のいずれかの核酸塩基配列に、100%相補的である。
【0038】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドが、
(i)連結されたデオキシヌクレオシドからなるギャップ(gap)セグメント;
(ii)連結されたヌクレオシドからなる5’ウイング(wing)セグメント;
(iii)連結されたヌクレオシドからなる3’ウイングセグメント;
を含み、ギャップセグメントは5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントに直接隣接してそれらの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドは修飾糖を含む。
【0039】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドが、
(i)10個の連結されたデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
(ii)5個の連結されたヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;
(iii)5個の連結されたヌクレオシドからなる3’ウイングセグメント;
を含み、ギャップセグメントは5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントに直接隣接してそれらの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドは2’−O−メトキシエチル糖を含み、各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である。
【0040】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドが
(i)14個の連結されたデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
(ii)3個の連結されたヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;
(iii)3個の連結されたヌクレオシドからなる3’ウイングセグメント;
を含み、ギャップセグメントは5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントに直接隣接してそれらの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドは2’−O−メトキシエチル糖を含み、各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である。
【0041】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドが
(i)13個の連結されたデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
(ii)2個の連結されたヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;
(iii)5個の連結されたヌクレオシドからなる3’ウイングセグメント;
を含み、ギャップセグメントは5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドは2’−O−メトキシエチル糖を含み、各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である。
【0042】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドが
(i)12個の連結されたデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
(ii)2個の連結されたヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;
(iii)2個の連結されたヌクレオシドからなる3’ウイングセグメント
を含み、ギャップセグメントが5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが2’−O−メトキシエチル糖を含み、各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である。
【0043】
本発明の実施形態は、配列番号4〜159および168〜611のいずれかの核酸塩基配列の少なくとも12個の連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を含む12〜30個の連結されたヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドまたはその塩と、医薬上許容される担体または希釈剤とを含む組成物を提供する。
【0044】
ある実施形態では、核酸塩基配列が配列番号53である。
【0045】
本発明の実施形態は、配列番号4〜159および168〜611のいずれかの核酸塩基配列の少なくとも12個の連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を含む12〜30個の連結されたヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを動物に投与することを含む方法を提供する。
【0046】
ある実施形態では、核酸塩基配列が配列番号53である。
【0047】
ある実施形態では、動物がヒトである。
【0048】
ある実施形態では、投与により、深部静脈血栓症が予防される。
【0049】
ある実施形態では、投与により、肺塞栓症が予防される。
【0050】
ある実施形態では、投与により、過剰増殖性障害が処置される。
【0051】
ある実施形態では、投与により、炎症状態が処置される。
【0052】
本発明の実施形態は、血栓塞栓性合併症を有するリスクがある動物を同定し、そのリスクがある動物に、12〜30個の連結されたヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物の有効量を投与することを含み、その修飾オリゴヌクレオチドが第7因子核酸に相補的である方法を提供する。
【0053】
ある実施形態では、血栓塞栓性合併症が深部静脈血栓症、肺塞栓症、またはそれらの組み合わせである。
【0054】
本発明の実施形態は、12〜30個の連結されたヌクレオシドからなり、核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、その核酸塩基配列が、配列番号1のヌクレオチド15128〜15223の同じ数の核酸塩基に相補的な少なくとも12個の連続する核酸塩基部分を含み、その修飾オリゴヌクレオチドが配列番号1に少なくとも80%相補的である化合物を提供する。
【0055】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドが配列番号53の核酸塩基配列を有する。
【発明を実施するための形態】
【0056】
[発明の詳細な説明]
上記の一般的説明および下記の詳細な説明はどちらも例示および解説に過ぎず、特許請求する発明を限定するものではないと理解すべきである。本明細書において、単数形の使用には、別段の明記がない限り、複数形が含まれる。本明細書で使用される「または(or)」の使用は、別段の記載がない限り、「および/または(and/or)」を意味する。さらにまた、「を含む(including)」という用語ならびに他の語形(「includes」および「included」など)の使用は、限定ではないものとする。また、「エレメント(element)」または「コンポーネント(component)」などの用語は、別段の明記がない限り、1つのユニットを含むエレメントおよびコンポーネントと、2つ以上のサブユニットを含むエレメントおよびコンポーネントを、どちらも包含する。
【0057】
本明細書で使用するセクション見出しには構成上の目的しかなく、記載されている主題をセクション見出しが限定すると解釈してはならない。本願で言及されるすべての文書または文書の一部、例えば限定するわけではないが、特許、特許出願、論文、本、および専門書などは、その文書の本明細書で議論された部分について、ならびにそのすべてが、この一文をもって明白に、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0058】
定義
個別の定義を下さない限り、本明細書に記載する分析化学、合成有機化学、ならびに医薬品化学および薬化学に関連して使用される命名法ならびにその手順および技法は、当技術分野でよく知られ、よく使用されるものである。化学合成および化学分析には標準的な技法を使用することができる。可能である場合は、すべての特許、出願、出願公開および他の刊行物、GENBANKアクセッション番号および国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)などのデータベースから得ることができる関連する配列情報、ならびに本明細書の全体を通して言及される他のデータは、その文書の本明細書で議論された部分について、ならびにそのすべてが、参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
別段の表示がない限り、以下の用語は次に挙げる意味を持つ。
【0060】
「2’−O−メトキシエチル」(2’−MOEおよび2’−O(CH−OCHともいう)は、フロシル(furosyl)環の2’位のO−メトキシ−エチル修飾を指す。2’−O−メトキシエチル修飾糖は修飾糖である。
【0061】
「2’−O−メトキシエチルヌクレオチド」は、2’−O−メトキシエチル修飾糖成分を含むヌクレオチドを意味する。
【0062】
「5−メチルシトシン」は、5’位に結合されたメチル基で修飾されたシトシンを意味する。5−メチルシトシンは修飾核酸塩基である。
【0063】
「活性アンチセンス化合物」は、標的核酸レベルまたはタンパク質レベルを低下させるアンチセンス化合物を意味する。
【0064】
「同時に投与される」とは、両方の薬理学的効果が患者において同時に認められるような任意の方法による、2つの薬剤の併用投与(co−administration)を指す。同時投与(concomitant administration)は、両方の薬剤が単一の医薬組成物、同じ剤形、または同じ投与経路で投与されることを必要としない。両方の薬剤の効果が同時に現われる必要はない。効果はある期間にわたって重複しているだけでよく、同一の広がりを持つ必要はない。
【0065】
「投与する」とは、医薬剤を個体に与えることを意味し、例えば医療従事者による投与および自己投与が含まれるが、これらに限るわけではない。
【0066】
「改善」とは、関連する疾患、障害、または状態の少なくとも1つの指標、徴候、または症状の減少を指す。指標の重症度は、当業者に知られている主観的尺度または客観的尺度によって決定することができる。
【0067】
「動物」とは、ヒトまたは非ヒト動物を指し、例えばマウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、および非ヒト霊長類(限定するわけではないが、サルおよびチンパンジーを含む)が含まれるが、これらに限るわけではない。
【0068】
「解毒化合物」とは、何らかのアンチセンス活性の強さまたは持続期間を減少させる能力を有する化合物を指す。
【0069】
「解毒オリゴヌクレオチド」とは、アンチセンス化合物に相補的であってそれとハイブリダイズする能力を有するオリゴヌクレオチドを含む解毒化合物を意味する。
【0070】
「解毒タンパク質」とは、ペプチドを含む解毒化合物を意味する。
【0071】
「抗体」とは、何らかの方法で抗原と特異的に反応することを特徴とする分子を指し、抗体と抗原は互いに他方との関係において定義される。抗体とは、完全な抗体分子またはその任意のフラグメントもしくは領域、例えば重鎖、軽鎖、Fab領域、およびFc領域を指しうる。
【0072】
「アンチセンス活性」とは、アンチセンス化合物のその標的核酸へのハイブリダイゼーションに起因すると考えられる、任意の検出可能または測定可能な活性を意味する。ある実施形態では、アンチセンス活性が、標的核酸またはそのような標的核酸によってコードされるタンパク質の量または発現の減少である。
【0073】
「アンチセンス化合物」とは、水素結合による標的核酸へのハイブリダイゼーションを起こす能力を有するオリゴマー化合物を意味する。
【0074】
「アンチセンス阻害」とは、アンチセンス化合物の非存在下での標的核酸レベルまたは標的タンパク質レベルと比較した、標的核酸に相補的なアンチセンス化合物の存在下での、標的核酸レベルまたは標的タンパク質レベルの減少を意味する。
【0075】
「アンチセンスオリゴヌクレオチド」とは、標的核酸の対応する領域またはセグメントへのハイブリダイゼーションを可能にする核酸塩基配列を有する一本鎖オリゴヌクレオチドを意味する。
【0076】
「二環式糖」とは、2つの非ジェミナル環原子の架橋によって修飾されたフロシル環を意味する。二環式糖は修飾糖である。
【0077】
「二環式核酸」または「BNA」または「二環式ヌクレオシド」または「二環式ヌクレオチド」とは、ヌクレオシドまたはヌクレオチドのフラノース部分がフラノース環上の2つの炭素原子を連結する架橋を含み、その結果、二環式の環系を形成しているヌクレオシドまたはヌクレオチドを指す。本明細書で使用する用語「メチレンオキシBNA」は、別段の表示がない限り、それだけで、β−D−メチレンオキシBNAを指す。
【0078】
「キャップ構造」または「末端キャップ成分」とは、アンチセンス化合物のどちらかの末端に組み込まれている化学修飾を意味する。
【0079】
「化学的に異なる領域」とは、同じアンチセンス化合物の別の領域とは何らかの形で化学的に相違している、アンチセンス化合物の領域を指す。例えば、2’−O−メトキシエチルヌクレオチドを有する領域は、2’−O−メトキシエチル修飾を伴わないヌクレオチドを有する領域とは、化学的に異なる。
【0080】
「キメラアンチセンス化合物」とは、少なくとも2つの化学的に異なる領域を有し、それぞれの位置が複数のサブユニットを有する、アンチセンス化合物を意味する。
【0081】
「併用投与」とは、1つの個体に2つ以上の医薬剤を投与することを意味する。それら2つ以上の医薬剤は単一の医薬組成物中にあってもよいし、別々の医薬組成物中にあってもよい。2つ以上の医薬剤のそれぞれは、同じ経路または異なる経路で投与することができる。併用投与は並行投与または逐次投与を包含する。
【0082】
「凝固因子」とは、血液凝固カスケード中の第I因子、第II因子、第III因子、第IV因子、第V因子、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、第XII因子、または第XIII因子のいずれかを意味する。「凝固因子核酸」とは、凝固因子をコードする任意の核酸を意味する。例えば、ある実施形態では、凝固因子核酸として、凝固因子をコードするDNA配列(イントロンおよびエキソンを含むゲノムDNAを含む)、凝固因子をコードするDNAから転写されたRNA配列、および凝固因子をコードするmRNA配列が挙げられるが、これらに限るわけではない。「凝固因子mRNA」とは、凝固因子タンパク質をコードするmRNAを意味する。
【0083】
「相補性」とは、第1核酸と第2核酸の核酸塩基間で対を形成する能力を意味する。
【0084】
「連続核酸塩基」とは、互いに直接隣接している核酸塩基を意味する。
【0085】
「希釈剤」とは、薬理学的活性は持たないが、薬学的に必要または望ましい組成物中の構成要素を意味する。例えば、注射される薬物において、希釈剤は液体、例えば食塩溶液であることができる。
【0086】
「用量」とは、1回の投与で与えられる、または指定された期間内に与えられる、医薬剤の指定された量を意味する。ある実施形態では、ある用量を、1つ、2つ、またはそれ以上のボーラス(boluse)、錠剤、または注射剤として投与することができる。例えば、皮下投与が望まれるいくつかの実施形態では、所望する用量が1回の注射では容易に対応できない体積を要求するので、所望する用量を達成するために2回以上の注射を使用することができる。ある実施形態では、医薬剤が、長期間にわたる注入、または持続注入によって投与される。用量は、1時間、1日、1週間、または1ヶ月あたりの医薬剤の量として指定することができる。
【0087】
「効力」とは、所望の効果を生じさせる能力を意味する。「有効量」とは、その薬剤を必要とする個体において所望の生理学的帰結をもたらすのに十分な、活性医薬剤の量を意味する。有効量は、処置される個体の健康状態および身体状態、処置される個体の分類群、組成物の処方、その個体の医学的状態の評価、および他の関連因子に依存して、個体間で変動しうる。
【0088】
「第7因子核酸」または「第VII因子核酸」とは、第7因子をコードする任意の核酸を意味する。例えば、ある実施形態では、第7因子核酸として、第7因子をコードするDNA配列、第7因子をコードするDNA(イントロンおよびエキソンを含むゲノムDNAを含む)から転写されたRNA配列、および第7因子をコードするmRNA配列が挙げられるが、これらに限るわけではない。「第7因子mRNA」とは、第7因子タンパク質をコードするmRNAを意味する。
【0089】
「第7因子特異的インヒビター」とは、第7因子mRNAおよび/または第7因子タンパク質の発現を分子レベルで特異的に阻害する能力を有する任意の薬剤を指す。例えば、第7因子特異的インヒビターには、第7因子mRNAおよび/または第7因子タンパク質の発現を阻害する能力を有する核酸(アンチセンス化合物を含む)、ペプチド、抗体、小分子、その他の薬剤が含まれる。ある実施形態では、第7因子特異的インヒビターは、第7因子mRNA発現および/または第7因子タンパク質発現を特異的に調節することにより、凝固カスケードの、下流コンポーネントを含む他のコンポーネントに影響を及ぼしうる。同様に、ある実施形態では、第7因子特異的インヒビターが、動物における他の分子プロセスに影響を及ぼしうる。
【0090】
「第7因子特異的インヒビター解毒剤」とは、第7因子特異的インヒビターの効果を減少させる能力を有する化合物を意味する。ある実施形態では、第7因子特異的インヒビター解毒剤が、第7因子ペプチド、第7因子解毒オリゴヌクレオチド(第7因子アンチセンス化合物に相補的な第7因子解毒化合物を含む);および内因性または外因性凝固系路に影響を及ぼす任意の化合物またはタンパク質から選択される。
【0091】
「完全に相補的」または「100%相補的」とは、第1核酸の各核酸塩基が第2核酸中に相補的核酸塩基を有することを意味する。ある実施形態では、第1核酸がアンチセンス化合物であり、標的核酸が第2核酸である。そのような実施形態のいくつかでは、アンチセンスオリゴヌクレオチドが第1核酸であり、標的核酸が第2核酸である。
【0092】
「ギャップマー」とは、RNaseH切断をサポートする複数のヌクレオチドを有する内部位置が、内部領域のヌクレオシドとは化学的に異なる1つ以上のヌクレオチドを有する外側領域の間に配置される、アンチセンス化合物である。「ギャップセグメント」とは、ギャップマーの内部領域を構成する複数のヌクレオチドを意味する。「ウイングセグメント」とは、ギャップマーの外側領域を意味する。
【0093】
「ギャップ拡大型(gap−widened)」とは、1〜6個のヌクレオシドを有する5’および3’ウイングセグメントに直接隣接してそれらの間に位置する12個以上の連続2’−デオキシリボヌクレオシドのギャップセグメントを有する、キメラアンチセンス化合物を意味する。
【0094】
「ハイブリダイゼーション」とは、相補的核酸分子のアニーリングを意味する。ある実施形態では、相補的核酸分子としてアンチセンス化合物と標的核酸が挙げられるが、これらに限るわけではない。そのような実施形態のいくつかでは、相補的核酸分子として、アンチセンスオリゴヌクレオチドと核酸標的が挙げられるが、これらに限るわけではない。
【0095】
「過剰増殖性障害」とは、細胞の異常な増殖または病的な増殖を特徴とする障害、例えば、がん、乾癬、過形成などを指す。
【0096】
「血栓塞栓性合併症のリスクがある動物を同定する」とは、血栓塞栓性合併症と診断された動物を同定すること、または血栓塞栓性合併症を発生させる素因がある動物を同定することを意味する。血栓塞栓性合併症を発生させる素因がある個体には、不動、手術(特に整形外科)、悪性病変、妊娠、高齢、経口避妊薬の使用、および先天性または後天性の血栓形成促進性凝固障害を含む血栓塞栓性合併症のリスク因子を1つ以上有するものが含まれる。そのような同定は、個体の病歴の評価および標準的臨床検査または臨床的評価を含む任意の方法によって達成することができる。
【0097】
「直接隣接」とは、直接隣接するエレメント間に介在エレメントが存在しないことを意味する。
【0098】
「個体」とは、処置または治療のために選択されるヒトまたは非ヒト動物を意味する。
【0099】
「その必要がある個体」とは、処置または治療のために選択される、そのような処置または治療を必要とするヒトまたは非ヒト動物を指す。
【0100】
「炎症状態」とは、炎症をもたらす疾患、病状、症候群、または他の状態を指す。例えば、慢性関節リウマチおよび肝線維症は炎症状態である。炎症状態の他の例として、敗血症、心筋虚血/再灌流傷害、成人呼吸窮迫症候群、腎炎、移植片拒絶、炎症性腸疾患、多発性硬化症、動脈硬化、および血管炎が挙げられる。
【0101】
「ヌクレオシド間結合」とは、ヌクレオシド間の化学結合を指す。
【0102】
「連結されたヌクレオシド」とは、互いに結合された隣接ヌクレオシドを意味する。
【0103】
「ミスマッチ」または「非相補的核酸塩基」とは、第2核酸または標的核酸の対応する核酸塩基と対を形成する能力を持たない第1核酸の核酸塩基を意味する。
【0104】
「修飾ヌクレオシド間結合」とは、天然のヌクレオシド間結合(すなわちホスホジエステルヌクレオシド間結合)からの置換および/または何らかの変化を指す。
【0105】
「修飾核酸塩基」とは、アデニン、シトシン、グアニン、チミジン、またはウラシル以外の任意の核酸塩基を指す。「非修飾核酸塩基」とは、プリン塩基であるアデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基であるチミン(T)、シトシン(C)、およびウラシル(U)を意味する。
【0106】
「修飾ヌクレオチド」とは、修飾糖成分、修飾ヌクレオシド間結合、または修飾核酸塩基を独立して有するヌクレオチドを意味する。「修飾ヌクレオシド」とは、修飾糖成分または修飾核酸塩基を独立して有するヌクレオシドを意味する。
【0107】
「修飾オリゴヌクレオチド」とは、修飾ヌクレオシド間結合、修飾糖、および/または修飾核酸塩基を含むオリゴヌクレオチドを意味する。
【0108】
「修飾糖」とは、天然糖からの置換および/または何らかの変化を指す。「修飾糖成分」とは、天然糖成分からの何らかの置換および/または変化を有する糖成分を意味する。
【0109】
「モチーフ」とは、アンチセンス化合物における非修飾ヌクレオシドと修飾ヌクレオシドのパターン、すなわちアンチセンス化合物における化学的に異なる領域のパターンを意味する。
【0110】
「天然のヌクレオシド間結合」とは、3’→5’ホスホジエステル結合を意味する。
【0111】
「天然糖成分」とは、DNA(2’−H)またはRNA(2’−OH)に見いだされる糖を意味する。
【0112】
「核酸」とは、ヌクレオチド単量体で構成された分子を指す。核酸には、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、一本鎖核酸、二本鎖核酸、低分子干渉リボ核酸(siRNA)、およびマイクロRNA(miRNA)が含まれる。
【0113】
「核酸塩基」とは、もう1つの核酸の塩基と対を形成する能力を有する複素環式成分を意味する。
【0114】
「核酸塩基配列」とは、糖、結合、および/または核酸塩基修飾にはかまわず、連続核酸塩基の順序を意味する。
【0115】
「ヌクレオシド」とは、糖に連結された核酸塩基を意味する。
【0116】
「ヌクレオチド」とは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合で連結されたリン酸基を有するヌクレオシドを意味する。
【0117】
「オリゴマー化合物」または「オリゴマー」とは、核酸分子の少なくとも一領域にハイブリダイズする能力を有する、連結されたモノマーサブユニットを含むポリマーを意味する。
【0118】
「オリゴヌクレオチド」とは、連結されたヌクレオシドのポリマーを意味し、ヌクレオシドのそれぞれは、互いに独立して、修飾されていても、修飾されていなくてもよい。
【0119】
「非経口投与」とは、注射または注入による投与を意味する。非経口投与には、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、腹腔内投与、または頭蓋内投与、例えば髄腔内もしくは脳室内投与が含まれるが、これらに限るわけではない。「皮下投与」とは、皮膚のすぐ下への投与を意味する。「静脈内投与」とは、静脈中への投与を意味する。
【0120】
「ペプチド」とは、少なくとも2つのアミノ酸をアミド結合で連結することによって形成される分子を意味する。ペプチドとはポリペプチドおよびタンパク質を指す。
【0121】
「医薬剤」とは、個体に投与された時に治療上の利益をもたらす物質を意味する。例えば、ある実施形態では、第7因子を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドが医薬剤である。「活性医薬剤」とは、所望の効果をもたらす、医薬組成物中の1または複数の物質を意味する。
【0122】
「医薬組成物」とは、個体に投与するのに適した物質の混合物を意味する。例えば、医薬組成物は1つ以上のアンチセンスオリゴヌクレオチドと滅菌された水性溶液を含みうる。
【0123】
「医薬上許容される塩」とは、アンチセンス化合物の生理上および医薬上許容される塩、すなわち親オリゴヌクレオチドの望ましい生物学的活性を保っており、それに望ましくない毒性効果を付与しない塩を意味する。
【0124】
「ホスホロチオエート結合」とは、非架橋酸素原子の1つを硫黄原子で置き換えることによってホスホジエステル結合が修飾されているヌクレオシド間の結合を意味する。ホスホロチオエート結合は修飾ヌクレオシド間結合である。
【0125】
「部分」とは、ある核酸の所定の数の連続(すなわち連結された)核酸塩基を意味する。ある実施形態では、部分が、標的核酸の所定の数の連続核酸塩基である。ある実施形態では、部分が、アンチセンス化合物の所定の数の連続核酸塩基である。
【0126】
「予防」とは、疾患、障害または状態の発症または発生を、数分から無期限までの期間、遅延させまたは未然に防ぐことを指す。「予防」とは、疾患、障害、または状態が発生するリスクを低下させることも意味する。
【0127】
「プロドラッグ」とは、内在性酵素もしくは他の化学物質の作用または状態により、体内またはその細胞内で、活性型(すなわち薬物)に変換されるような不活性型として製造される、治療剤を意味する。
【0128】
「副作用」とは、処置に起因すると考えられる、所望の効果以外の生理学的応答を意味する。ある実施形態では、副作用として、注射部位反応、肝機能検査異常、腎機能異常、肝毒性、腎毒性、中枢神経系異常、ミオパシー、および倦怠感が挙げられるが、これらに限るわけではない。例えば血清中のアミノトランスフェラーゼレベルの増加は肝毒性または肝機能異常を示しうる。例えばビリルビンの増加は、肝毒性または肝機能異常を示しうる。
【0129】
「一本鎖オリゴヌクレオチド」とは、相補鎖にハイブリダイズしていないオリゴヌクレオチドを意味する。「一本鎖修飾オリゴヌクレオチド」とは、相補鎖にハイブリダイズしていない修飾オリゴヌクレオチドを意味する。
【0130】
「特異的にハイブリダイズ可能な」とは、標的核酸にハイブリダイズして所望の効果を誘発する一方、非標的核酸にはごくわずかな効果しか示さないか、全く効果を示さない、アンチセンス化合物を意味する。例えば、特異的にハイブリダイズ可能なとは、アンチセンスオリゴヌクレオチドと標的核酸との間に所望の効果を誘発するのに十分な相補性度を有する一方、特異的結合が望まれる条件下で、すなわちインビボアッセイおよび治療的処置の場合であれば生理的条件下で、非標的核酸にはごくわずかな効果しか示さないか、または全く効果を示さない、アンチセンス化合物を指す。
【0131】
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、アンチセンス化合物などの核酸分子が、標的核酸配列にハイブリダイズするが、それ以外は、ごくわずかな数の配列にしかハイブリダイズしないような条件を意味する。ストリンジェントな条件は配列依存的であり、状況が異なれば異なるだろう。本発明の場合、オリゴマー化合物が標的配列にハイブリダイズするストリンジェントな条件は、オリゴマー化合物の性質および組成、ならびにそれらを調べようとしているアッセイによって決まる。
【0132】
「標的とする」または「を標的とする」とは、アンチセンス化合物が標的核酸に特異的にハイブリダイズして所望の効果を誘発することが可能になるような核酸塩基配列を有することを意味する。ある実施形態では、所望の効果が、標的核酸の減少である。ある実施形態では、所望の効果が第7因子mRNAの減少である。
【0133】
「標的化」とは、標的核酸に特異的にハイブリダイズして所望の効果を誘発するようなアンチセンス化合物の設計と選択のプロセスを意味する。
【0134】
「標的核酸」「標的RNA」「標的RNA転写物」および「核酸標的」とは、いずれも、アンチセンス化合物によって標的とされうる核酸を意味する。
【0135】
「標的セグメント」とは、アンチセンス化合物が標的とする標的核酸のヌクレオチドの配列を意味する。「5’標的部位」とは、標的セグメントの最も5’側のヌクレオチドを指す。「3’標的部位」とは、標的セグメントの最も3’側のヌクレオチドを指す。
【0136】
「標的領域」または「活性標的領域」とは、1つ以上のアンチセンス化合物が標的とする、標的核酸の部分を意味する。
【0137】
「治療有効量」とは、個体に治療上の利益をもたらす医薬剤の量を意味する。
【0138】
「血栓塞栓性合併症」とは、血栓によって引き起こされる塞栓症が関わる任意の疾患、障害、または状態を意味する。そのような疾患、障害、および状態の例には、血栓症、塞栓症、および血栓塞栓症のカテゴリーが含まれる。ある実施形態では、そのような疾患障害、および状態には、深部静脈血栓症、肺塞栓症、心筋梗塞、および脳卒中が含まれる。
【0139】
「処置する」とは、疾患、障害、または状態の変化または改善が達成されるように医薬組成物を投与することを指す。
【0140】
「非修飾ヌクレオチド」とは、天然の核酸塩基、糖成分、およびヌクレオシド間結合で構成されたヌクレオチドを意味する。ある実施形態では、非修飾ヌクレオチドがRNAヌクレオチド(すなわちβ−D−リボヌクレオシド)またはDNAヌクレオチド(すなわちβ−D−デオキシリボヌクレオシド)である。
【0141】
いくつかの実施形態
本発明の実施形態は、第7因子mRNAおよびタンパク質の発現を調節するための方法、化合物、および組成物を提供する。ある実施形態では、第7因子mRNAおよびタンパク質の発現を減少させる。ある実施形態では、第7因子特異的インヒビターが、第7因子mRNAおよびタンパク質の発現を調節する。ある実施形態では、第7因子特異的インヒビターが核酸、タンパク質、または小分子である。
【0142】
ある実施形態では、調節が細胞内または組織内で起こりうる。ある実施形態では、その細胞または組織が動物中にある。ある実施形態では、その動物がヒトである。ある実施形態では、第7因子mRNAレベルを低下させる。ある実施形態では、第7因子タンパク質レベルを低下させる。そのような低下は時間依存的または用量依存的に起こりうる。
【0143】
本発明の実施形態は、その必要がある個体における第7因子に関連する疾患、障害、および状態を処置し、予防し、または改善するための方法、化合物、および組成物を提供する。ある実施形態では、そのような疾患、障害、および状態が血栓塞栓性合併症である。そのような血栓塞栓性合併症には、血栓症、塞栓症、および血栓塞栓症のカテゴリーが含まれる。ある実施形態では、そのような血栓塞栓性合併症に、深部静脈血栓症、肺塞栓症、心筋梗塞、および脳卒中が含まれる。
【0144】
そのような疾患、障害、および状態は、1つ以上のリスク因子、原因、または帰結を、共通して有しうる。血栓塞栓性合併症の発生に関するいくつかのリスク因子および原因には、不動、手術(特に整形外科)、悪性病変、妊娠、高齢、経口避妊薬の使用、心房細動、血栓塞栓性合併症の既往、慢性炎症性疾患、および先天性または後天性の血栓形成促進性凝固障害が含まれる。血栓塞栓性合併症の発生に関連するいくつかの帰結には、患部血管を通過する血流量の減少、組織の死、および個体の死が含まれる。過剰増殖性障害の発生に関するいくつかのリスク因子および原因には、先天性であっても先天性でなくてもよい遺伝因子、例えば遺伝子突然変異および染色体異常、ならびに環境因子(これには、既知の突然変異原、例えば放射性元素からの高エネルギー放射線、X線、γ線、マイクロ波、および紫外線;ある種の工業用化学薬品;タバコの煙などの汚染物質;ある種の農薬;薬物、およびウイルスなどへの曝露が含まれるが、これに限るわけではない)が含まれる。過剰増殖性障害の発生に関連するいくつかの帰結には、個体における非悪性腫瘍、前悪性腫瘍および悪性組織が含まれる。炎症状態の発生に関するいくつかのリスク因子および原因には、基礎をなす病態生理学的状態に対する細胞応答を引き起こす任意の侵害刺激が含まれ、これには、細菌感染およびウイルス感染、ならびにアレルゲンが含まれるが、これらに限るわけではない。炎症は、宿主のマクロファージ、Tリンパ球、内皮細胞が分泌するサイトカインによって媒介される。炎症状態の発生に関連するいくつかの帰結には、患部区域における発赤、疼痛、膨潤、機能の喪失、個体の罹病および死亡が含まれる。
【0145】
ある実施形態では、処置の方法が、その必要がある個体に第7因子特異的インヒビターを投与することを含む。
【0146】
ある実施形態では、本発明は、第7因子に関連する疾患、障害、または状態を処置し、予防し、または改善するための医薬品を製造するための方法および化合物を提供する。第7因子関連疾患、障害、および状態には、血栓塞栓性合併症、過剰増殖性障害、および炎症状態が含まれる。血栓塞栓性合併症には、血栓症、塞栓症、血栓塞栓症、深部静脈血栓症、肺塞栓症、心筋梗塞、および脳卒中が含まれる。過剰増殖性障害にはがんが含まれる。炎症状態には慢性関節リウマチおよび線維症が含まれる。
【0147】
本発明の実施形態は、第7因子関連疾患の処置、予防、または改善に使用するための第7因子特異的インヒビターを提供する。ある実施形態では、第7因子特異的インヒビターが、第7因子mRNAおよび/または第7因子タンパク質の発現を阻害する能力を有する核酸(アンチセンス化合物を含む)、ペプチド、抗体、小分子、および他の薬剤である。
【0148】
本発明の実施形態は、血栓症、塞栓症、血栓塞栓症、深部静脈血栓症、肺塞栓症、心筋梗塞、および脳卒中などの血栓塞栓性合併症の処置、予防または改善に使用するための、本明細書に記載する第7因子特異的インヒビターを提供する。
【0149】
本発明の実施形態は、本明細書に記載する追加の薬剤または治療との併用療法によって、本明細書に記載する血栓塞栓性合併症を処置し、予防し、または改善する際に使用するための、本明細書に記載する第7因子特異的インヒビターを提供する。薬剤または治療は、併用投与または同時投与することができる。
【0150】
本発明の実施形態は、本明細書に記載する追加の薬剤または治療との併用療法によって、本明細書に記載する血栓塞栓性合併症を処置し、予防し、または改善する際に使用するための医薬品の製造における、本明細書に記載する第7因子特異的インヒビターの使用を提供する。薬剤または治療は、併用投与または同時投与することができる。
【0151】
本発明の実施形態は、本明細書に記載する追加の薬剤または治療が引き続いて投与される患者における本明細書に記載する血栓塞栓性合併症を処置し、予防し、または改善するための医薬品の製造における、本明細書に記載する第7因子特異的インヒビターの使用を提供する。
【0152】
本発明の実施形態は、本明細書に記載する血栓塞栓性合併症を処置し、予防し、または改善するためのキットであって、
(i)本明細書に記載する第7因子特異的インヒビター;または
(ii)本明細書に記載する追加の薬剤または治療
を含むキットを提供する。
【0153】
本発明のキットは、さらに、本明細書に記載する血栓塞栓性合併症を本明細書に記載する併用療法によって処置し、予防し、または改善するために本キットを使用するための説明書を含みうる。
【0154】
本発明の実施形態は、第7因子核酸を標的とするアンチセンス化合物を提供する。ある実施形態では、ヒト第7因子核酸が、1255000〜1273000で切り取られたGENBANKアクセッション番号NT_027140.6(本明細書には配列番号1として組み込まれる)、GENBANKアクセッション番号NM_019616.2(本明細書には配列番号2として組み込まれる)、GENBANKアクセッション番号DB184141.1(本明細書には配列番号3として組み込まれる)、およびGENBANK(登録商標)アクセッション番号NM_000131.3(本明細書には配列番号167として組み込まれる)に記載されている配列のいずれかである。ある実施形態では、アカゲザル第7因子核酸が、ヌクレオチド691000〜706000で切り取られたGENBANKアクセッション番号NW_001104507.1(本明細書には配列番号162として組み込まれる)およびGENBANKアクセッション番号3360_061_B(本明細書には配列番号163として組み込まれる)に記載されている配列のいずれかである。ある実施形態では、マウス第7因子核酸が、ヌクレオチド10024000〜10037000で切り取られたGENBANKアクセッション番号NT_039455.6(本明細書には配列番号160として組み込まれる)に記載されている配列である。
【0155】
アンチセンス化合物
オリゴマー化合物には、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド類似体、オリゴヌクレオチドミメティック、アンチセンス化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびsiRNAが含まれるが、これらに限るわけではない。オリゴマー化合物は、標的核酸に対して「アンチセンス」であることができる。すなわち、水素結合を介した標的核酸へのハイブリダイゼーションを起こす能力を有する。
【0156】
ある実施形態では、アンチセンス化合物が、5’→3’方向に記載した場合に、それが標的とする標的核酸の標的セグメントの逆相補的配列を含む核酸塩基配列を有する。そのような実施形態のいくつかでは、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、5’→3’方向に記載した場合に、それが標的とする標的核酸の標的セグメントの逆相補的配列を含む核酸塩基配列を有する。
【0157】
ある実施形態では、第7因子核酸を標的とするアンチセンス化合物が、12〜30サブユニット長である。言い換えると、アンチセンス化合物は12〜30個の連結されたサブユニットである。別の実施形態では、アンチセンス化合物が8〜80、12〜50、15〜30、18〜24、19〜22、または20個の連結されたサブユニットである。そのような実施形態のいくつかでは、アンチセンス化合物が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、または80連結サブユニット長であるか、上記の値の任意の2つによって規定される範囲である。いくつかの実施形態では、アンチセンス化合物がアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、連結されたサブユニットがヌクレオチドである。
【0158】
ある実施形態において、第7因子核酸を標的とする短縮型または切断型アンチセンス化合物では、5’端(5’トランケーション)または3’端(3’トランケーション)から1個のサブユニットが削除されている。第7因子核酸を標的とする短縮型または切断型アンチセンス化合物では、アンチセンス化合物の5’端から2つのサブユニットが削除されているか、あるいはアンチセンス化合物の3’端から2つのサブユニットが削除されていてもよい。あるいは、例えば5’端から1個のヌクレオシドが削除され、3’端から1個のヌクレオシドが削除されているアンチセンス化合物のように、削除されるヌクレオシドがアンチセンス化合物の全体に分散していてもよい。
【0159】
延長型アンチセンス化合物に1個の追加サブユニットが存在する場合、その追加サブユニットは、アンチセンス化合物の5’端または3’端に位置することができる。2つ以上の追加サブユニットが存在する場合、追加されるサブユニットは、例えばアンチセンス化合物の5’端(5’付加)または3’端(3’付加)に2個のサブユニットが付加されているアンチセンス化合物のように、互いに隣接していてもよい。あるいは、追加されるサブユニットは、例えば5’端に付加された1個のサブユニットと3’端に付加された1個のサブユニットとを有するアンチセンス化合物のように、アンチセンス化合物の全体にわたって分散していてもよい。
【0160】
活性を排除することなく、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのアンチセンス化合物の長さを増加または減少させること、および/またはミスマッチ塩基を導入することが可能である。例えば、Woolfら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7305−7309,1992)では、13〜25核酸塩基長の一連のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、卵母細胞注入モデルにおいて標的RNAの切断を誘発するその能力について試験された。アンチセンスオリゴヌクレオチドの末端近くに8個または11個のミスマッチ塩基を有する25核酸塩基長のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ミスマッチを含有しないアンチセンスオリゴヌクレオチドよりも程度は低いものの、標的mRNAの特異的切断を指示することができた。同様に、13核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチド(1個または3個のミスマッチを有するものを含む)を使って、標的特異的切断が達成された。
【0161】
Gautschiら(J.Natl.Cancer Inst.93:463−471,March 2001)は、bcl−2 mRNAに対して100%の相補性を有し、かつbcl−xL mRNAに対して3個のミスマッチを有するオリゴヌクレオチドが、インビトロおよびインビボで、blc−2とbcl−xLの両方の発現を減少させうることを証明した。さらにまた、このオリゴヌクレオチドは、インビボで強力な抗腫瘍活性を示した。
【0162】
MaherおよびDolnick(Nuc.Acid.Res.16:3341−3358,1988)は、一連のタンデム14核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチド、ならびにそれぞれ2個または3個のタンデムアンチセンスオリゴヌクレオチドの配列で構成される28および42核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドを、ウサギ網状赤血球アッセイでヒトDHFRの翻訳を停止させるその能力について試験した。3つの14核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドのそれぞれは、28または42核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドよりも控えめなレベルではあるものの、それだけで翻訳を阻害することができた。
【0163】
アンチセンス化合物モチーフ
ある実施形態では、第7因子核酸を標的とするアンチセンス化合物が、アンチセンス化合物に、阻害活性の強化、標的核酸に対する結合アフィニティの増加、またはインビボでのヌクレアーゼによる分解に対する耐性などの性質を付与するようなパターンまたはモチーフで配置された、化学修飾されたサブユニットを有する。
【0164】
キメラアンチセンス化合物は、典型的には、ヌクレアーゼ分解に対する耐性の増加、細胞取り込みの増加、標的核酸に対する結合アフィニティの増加、および/または阻害活性の増加が付与されるように修飾された、少なくとも1つの領域を含有する。キメラアンチセンス化合物の第2の領域は、場合によっては、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼRNaseHの基質として役立ちうる。
【0165】
ギャップマーモチーフを有するアンチセンス化合物はキメラアンチセンス化合物であるとみなされる。ギャップマーでは、RNaseH切断をサポートする複数のヌクレオチドを有する内部領域が、内部領域のヌクレオシドとは化学的に異なる複数のヌクレオチドを有する外側領域の間に位置する。ギャップマーモチーフを有するアンチセンスオリゴヌクレオチドの場合、ギャップセグメントは標的核酸の切断をサポートし、一方、ウイングセグメントは安定性、アフィニティ、およびエキソヌクレアーゼ耐性を強化するための修飾ヌクレオシドを含む。ある実施形態では、ギャップマーの領域が、異なる領域のそれぞれを構成する糖成分のタイプによって区別される。ギャップマーの領域を区別するために用いられる糖成分のタイプとして、いくつかの実施形態では、β−D−リボヌクレオシド、β−D−デオキシリボヌクレオシド、2’−修飾ヌクレオシド(そのような2’−修飾ヌクレオシドとして、例えば2’−MOE、および2’−O−CHなどを挙げることができる)、および二環式糖修飾ヌクレオシド(そのような二環式糖修飾ヌクレオシドとして、例えば4’−(CH2)n−O−2’架橋(式中、n=1またはn=2)を有するものを挙げることができる)を挙げることができる。好ましくは、異なる領域のそれぞれは一様な糖成分を含む。ウイング−ギャップ−ウイングモチーフはしばしば「X−Y−Z」という形で記載されるが、その場合、「X」は5’ウイング領域の長さを表し、「Y」はギャップ領域の長さを表し、「Z」は3’ウイング領域の長さを表す。本明細書において「X−Y−Z」という形で記載されるギャップマーは、ギャップセグメントが5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントのそれぞれに直接隣接して位置するような構成を有する。したがって、5’ウイングセグメントとギャップセグメントの間またはギャップセグメントと3’ウイングセグメントの間には、介在ヌクレオチドが存在しない。本明細書に記載するアンチセンス化合物はいずれもギャップマーモチーフを有することができる。いくつかの実施形態ではXとZが同じであり、別の実施形態ではそれらが異なる。好ましい一実施形態では、Yが8〜15ヌクレオチドである。X、YまたはZは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30ヌクレオチド、またはそれ以上のいずれであってもよい。したがって、本発明のギャップマーには、例えば5−10−5、4−8−4、4−12−3、4−12−4、3−14−3、2−13−5、2−16−2、1−18−1、3−10−3、2−10−2、1−10−1または2−8−2が含まれるが、これらに限るわけではない。
【0166】
ある実施形態では、アンチセンス化合物が、ウイング−ギャップまたはギャップ−ウイング構成(すなわちギャップマー構成に関して上述したX−YまたはY−Zの構成)を有する「ウイングマー(wingmer)」モチーフを有する。したがって、本発明のウイングマー構成には、例えば5−10、8−4、4−12、12−4、3−14、16−2、18−1、10−3、2−10、1−10、8−2、2−13、または5−13が含まれるが、これらに限るわけではない。
【0167】
ある実施形態では、第7因子核酸を標的とするアンチセンス化合物が5−10−5ギャップマーモチーフを有する。
【0168】
ある実施形態では、第7因子核酸を標的とするアンチセンス化合物が3−14−3ギャップマーモチーフを有する。
【0169】
ある実施形態では、第7因子核酸を標的とするアンチセンス化合物が2−13−5ギャップマーモチーフを有する。
【0170】
ある実施形態では、第7因子核酸を標的とするアンチセンス化合物が2−12−2ギャップマーモチーフを有する。
【0171】
ある実施形態では、第7因子核酸を標的とするアンチセンス化合物がギャップ拡大型モチーフを有する。
【0172】
ある実施形態では、第7因子核酸を標的とするギャップ拡大型アンチセンスオリゴヌクレオチドが、3個の化学修飾ヌクレオシドからなるウイングセグメントに直接隣接してそれらの間に位置する14個の2’−デオキシリボヌクレオチドからなるギャップセグメントを有する。ある実施形態では、化学修飾が2’−糖修飾を含む。もう1つの実施形態では、化学修飾が2’−MOE糖修飾を含む。
【0173】
ある実施形態では、第7因子核酸を標的とするギャップ拡大型アンチセンスオリゴヌクレオチドが、2個の化学修飾ヌクレオシドからなる5’ウイングセグメントと5個の化学修飾ヌクレオシドからなる3’ウイングセグメントに直接隣接してそれらの間に位置する13個の2’−デオキシリボヌクレオチドからなるギャップセグメントを有する。ある実施形態では、化学修飾が2’−糖修飾を含む。もう1つの実施形態では、化学修飾が2’−MOE糖修飾を含む。
【0174】
標的核酸、標的領域およびヌクレオチド配列
第7因子遺伝子配列をコードするヌクレオチド配列には、以下に挙げる配列が含まれるが、これらに限るわけではない:1255000〜1273000で切り取られたGENBANK(登録商標)アクセッション番号NT_027140.6、GENBANK(登録商標)には2001年7月17日に初めて登録され、本明細書には配列番号1として組み込まれる;GENBANKアクセッション番号NM_019616.2、GENBANK(登録商標)には2000年10月3日に初めて登録され、本明細書には配列番号2として組み込まれる;GENBANK(登録商標)アクセッション番号DB184141.1、GENBANK(登録商標)には2005年11月11日に初めて登録され、本明細書には配列番号3として組み込まれる;GENBANKアクセッション番号NM_000131.3、GENBANK(登録商標)には1999年3月24日に初めて登録され、本明細書には配列番号167として組み込まれる;ヌクレオチド10024000〜10037000で切り取られたGENBANKアクセッション番号NT_039455.6、GENBANK(登録商標)には2003年2月24日に初めて登録され、本明細書には配列番号160として組み込まれる;GENBANKアクセッション番号NW_00104507.1、本明細書には配列番号162として組み込まれる;およびGENBANKアクセッション番号3360_061_B、本明細書には配列番号163として組み込まれる。
【0175】
本明細書に含まれる実施例において、各配列番号に記載される配列は、糖成分、ヌクレオシド間結合、または核酸塩基へのどのような修飾も問題にしないと理解される。したがって、ある配列番号によって規定されるアンチセンス化合物は、独立して、糖成分、ヌクレオシド間結合、または核酸塩基への修飾を1つ以上含みうる。アイシス番号(Isis No.)で記載されるアンチセンス化合物は、核酸塩基配列とモチーフの組み合わせを示す。
【0176】
ある実施形態では、標的領域が、標的核酸の構造的に定義された領域である。例えば標的領域は、3’UTR、5’UTR、エキソン、イントロン、イントロン、エキソン/イントロン接合部、コーディング領域、翻訳開始領域、翻訳終結領域、または他の定義付けられた核酸領域を包含しうる。第7因子遺伝子配列の構造的に定義された領域は、NCBIなどの配列データベースからアクセッション番号によって入手することができ、そのような情報は参照により本明細書に組み込まれる。ある実施形態では、標的領域は、標的領域内のある標的セグメントの5’標的部位から、標的領域内のもう1つの標的セグメントの3’標的部位までの配列を包含しうる。
【0177】
標的化には、アンチセンス化合物がハイブリダイズして所望の効果を生じるような、少なくとも1つの標的セグメントの決定が含まれる。ある実施形態では、所望の効果がmRNA標的核酸レベルの減少である。ある実施形態では、所望の効果が、標的核酸によってコードされるタンパク質または標的核酸に関連する表現型変化のレベルの減少である。
【0178】
標的領域は1つ以上の標的セグメントを含有しうる。標的領域内の複数の標的セグメントはオーバーラップしていてもよい。あるいは、それらはオーバーラップしていなくてもよい。ある実施形態では、標的領域内の標的セグメントが、約300以下のヌクレオシドで隔てられる。ある実施形態では、標的領域内の標的セグメントが、標的核酸上の250、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、または10個のヌクレオチドで、またはそれ以下の数のヌクレオチドで、またはおよそそれ以下の数のヌクレオチドで、または上述した値の任意の2つによって規定される範囲の数のヌクレオチドで隔てられる。ある実施形態では、標的領域内の標的セグメントが、標的核酸上の5個以下のヌクレオチドで、または約5個以下のヌクレオチドで隔てられる。ある実施形態では、標的セグメントが連続している。本明細書に列挙する5’標的部位または3’標的部位のいずれかである開始核酸を有する範囲によって定義される標的領域が考えられる。
【0179】
適切な標的セグメントは、5’UTR、コーディング領域、3’UTR、イントロン、エキソン、またはエキソン/イントロン接合部内に見いだすことができる。開始コドンまたは終止コドンを含有する標的セグメントも、適切な標的セグメントである。適切な標的セグメントは、一定の構造的に定義された領域、例えば開始コドンまたは終止コドンを、特に除外することもできる。
【0180】
適切な標的セグメントの決定には、標的核酸の配列と、ゲノム全体にわたる他の配列との比較が含まれうる。例えば、BLASTアルゴリズムを使って、異なる核酸の間で類似性を有する領域を同定することができる。この比較により、選択した標的核酸以外の配列(すなわち非標的配列または非特異的な配列)に非特異的にハイブリダイズしうるアンチセンス化合物配列の選択を防止することができる。
【0181】
活性標的領域内でのアンチセンス化合物の活性(例えば標的核酸レベルの減少率によって定義されるもの)には、ばらつきがありうる。ある実施形態では、第7因子mRNAレベルの減少が、第7因子発現の減少を示す。第7因子タンパク質のレベルの減少も、標的mRNA発現の阻害を示す。さらに、表現型変化も第7因子発現の阻害を示す。例えば、PT時間の延長は、第7因子発現の阻害を示しうる。もう1つの例として、aPTT時間の延長は、PT時間の延長と合わせて、第7因子発現の阻害を示しうる。もう1つの例として、血小板因子4(PF−4)発現レベルの低下は、第7因子発現の阻害を示しうる。もう1つの例として、血栓形成の減少または血栓形成に要する時間の増加は、第7因子発現の阻害を示しうる。
【0182】
ハイブリダイゼーション
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するアンチセンス化合物と第7因子核酸との間でハイブリダイゼーションが起こる。最も一般的なハイブリダイゼーションの機序には、核酸分子の相補的核酸塩基間の水素結合形成(例えばワトソン−クリック型、フーグスティーン型または逆フーグスティーン型水素結合形成)が関わる。
【0183】
ハイブリダイゼーションはさまざまな条件下で起こりうる。ストリンジェントな条件は配列依存的であり、ハイブリダイズさせようとする核酸分子の性質および組成によって決まる。
【0184】
ある配列が標的核酸に特異的にハイブリダイズ可能であるかどうかを決定する方法は、当技術分野ではよく知られている。ある実施形態では、本明細書に記載するアンチセンス化合物が、第7因子核酸と特異的にハイブリダイズ可能である。
【0185】
相補性
アンチセンス化合物の十分な数の核酸塩基が、所望の効果(例えば第7因子核酸などの標的核酸のアンチセンス阻害)が生じるような形で、標的核酸の対応する核酸塩基と水素結合することができるのであれば、そのアンチセンス化合物と標的核酸は互いに相補的である。
【0186】
アンチセンス化合物と第7因子核酸の間の非相補的核酸塩基は、アンチセンス化合物が依然として標的核酸に特異的にハイブリダイズできるのであれば、認容されうる。さらにまた、アンチセンス化合物は、第7因子核酸の1つ以上のセグメントにわたって、介在または隣接するセグメントがハイブリダイゼーション事象に関与しないような形で、ハイブリダイズしうる(例えばループ構造、ミスマッチまたはヘアピン構造)。
【0187】
ある実施形態では、本明細書に記載するアンチセンス化合物、またはその指定した部分が、第7因子核酸、その標的領域、標的セグメント、または指定した部分に対して、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%相補的であるか、または少なくとも70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%相補的である。アンチセンス化合物と標的核酸との相補性率(percent complementarity)は常法を使って決定することができる。
【0188】
例えば、アンチセンス化合物の20個の核酸塩基のうち18個が標的領域に相補的であり、それゆえに特異的にハイブリダイズするであろうアンチセンス化合物は、90%の相補性を表すだろう。この例の場合、残りの非相補的核酸塩基は、集まっていてもよいし、相補的核酸塩基の間に散在していてもよく、互いにまたは相補的核酸塩基に連続している必要はない。したがって、標的核酸塩基と完全に相補的な2つの領域に挟まれた4個の非相補的核酸塩基を有する18核酸塩基長のアンチセンス化合物は、標的核酸と77.8%の総相補性を有し、したがって本発明の範囲に包含されるだろう。アンチセンス化合物と標的核酸のある領域との相補性率は、常法により、当技術分野で知られるBLASTプログラム(基本的な局所アラインメント検索ツール)およびPowerBLASTプログラムを使って決定することができる(Altschulら,J.Mol.Biol.,1990,215,403−410;ZhangおよびMadden,Genome Res.,1997,7,649−656)。相同性率(percent homology)、配列一致率または相補性率は、例えば、SmithおよびWatermanのアルゴリズム(Adv.Appl.Math.,1981,2,482−489)を用いるGapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix(登録商標)、Genetics Computer Group、University Research Park、ウィスコンシン州マディソン)により、デフォルト設定を使って決定することができる。
【0189】
ある実施形態では、本明細書に記載するアンチセンス化合物またはその指定した部分が、標的核酸またはその指定した部分に、完全に相補的(すなわち100%相補的)である。例えばアンチセンス化合物は、第7因子核酸、またはその標的領域、もしくは標的セグメントもしくは標的配列に、完全に相補的であることができる。本明細書にいう「完全に相補的」とは、アンチセンス化合物の各核酸塩基が、標的核酸の対応する核酸塩基と正確な塩基対形成をする能力を有することを意味する。例えば、20核酸塩基のアンチセンス化合物は、アンチセンス化合物に完全に相補的な対応する20核酸塩基部分が標的核酸に存在する限り、400核酸塩基長の標的配列に完全に相補的である。完全に相補的という用語は、第1および/または第2核酸の指定した部分についても使用することができる。例えば、30核酸塩基のアンチセンス化合物の20核酸塩基部分は、400核酸塩基長の標的配列に「完全に相補的」であることができる。30核酸塩基のオリゴヌクレオチドの20核酸塩基部分は、各核酸塩基がそのアンチセンス化合物の20核酸塩基部分のそれぞれの核酸塩基に相補的であるような対応する20核酸塩基部分を標的配列が有するのであれば、標的配列に対して完全に相補的である。同時に、30核酸塩基のアンチセンス化合物全体は、そのアンチセンス化合物の残りの10核酸塩基も標的配列に相補的であるかどうかに依存して、標的配列に対して完全に相補的である場合も、完全には相補的でない場合もありうる。
【0190】
非相補的核酸塩基の位置は、アンチセンス化合物の5’端または3’端であることができる。あるいは、1つまたは複数の非相補的核酸塩基が、アンチセンス化合物の内部部分にあってもよい。2個以上の非相補的核酸塩基が存在する場合、それらは連続して(すなわち連結されて)いてもよいし、非連続であってもよい。一実施形態では、非相補的核酸塩基がギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドのウイングセグメント中に位置する。
【0191】
ある実施形態では、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20核酸塩基長であるアンチセンス核酸、または最大で12、13、14、15、16、17、18、19、または20核酸塩基であるアンチセンス核酸が、第7因子核酸などの標的核酸またはその指定した部分に対して、4個を超えない、3個を超えない、2個を超えない、または1個を超えない非相補的核酸塩基を含む。
【0192】
ある実施形態では、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30核酸塩基長であるアンチセンス化合物、または最大で12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30核酸塩基長であるアンチセンス化合物が、第7因子核酸などの標的核酸またはその指定した部分に対して、6個を超えない、5個を超えない、4個を超えない、3個を超えない、2個を超えない、または1個を超えない非相補的核酸塩基を含む。
【0193】
本明細書に記載するアンチセンス化合物には、標的核酸の一部分に相補的であるものも含まれる。本明細書にいう「部分」とは、標的核酸のある領域またはセグメント内の所定の数の連続(すなわち連結された)核酸塩基を指す。「部分」はアンチセンス化合物の所定の数の連続核酸塩基も指すことができる。ある実施形態では、アンチセンス化合物が標的セグメントの少なくとも8核酸塩基部分に相補的である。ある実施形態では、アンチセンス化合物が標的セグメントの少なくとも12核酸塩基部分に相補的である。ある実施形態では、アンチセンス化合物が標的セグメントの少なくとも15核酸塩基部分に相補的である。標的セグメントの少なくとも9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個もしくはそれ以上、またはこれらの値の任意の2つによって定義される範囲の核酸塩基部分に相補的であるアンチセンス化合物も考えられる。
【0194】
同一性
本明細書に記載するアンチセンス化合物は、特定のヌクレオチド配列、配列番号、もしくは特定のアイシス番号で表される化合物、またはその一部分に対して、所定の一致率(percent identity)を有しうる。本明細書では、あるアンチセンス化合物が同じ核酸塩基対形成能を有するのであれば、そのアンチセンス化合物は本明細書に開示する配列と同一であるという。例えば、開示されたDNA配列中のチミジンの代わりにウラシルを含有するRNAは、そのDNA配列と同一であるとみなされるだろう。というのも、ウラシルとチミジンはどちらもアデニンと対を形成するからである。本明細書に記載するアンチセンス化合物の短縮型または延長型、ならびに本明細書に記載するアンチセンス化合物と比較して非同一塩基を有する化合物も考えられる。非同一塩基は、互いに隣接していてもよいし、アンチセンス化合物全体に分散していてもよい。アンチセンス化合物の一致率は、比較対象である配列と比較して同一の塩基対形成を有する塩基の数に応じて算出される。
【0195】
ある実施形態では、アンチセンス化合物またはその一部分は、本明細書に開示するアンチセンス化合物もしくは配列番号、またはその一部分の1つ以上と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。
【0196】
修飾
ヌクレオシドは塩基−糖の組み合わせである。ヌクレオシドの核酸塩基(塩基とも呼ばれている)部分は通常は複素環式塩基成分である。ヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合されたリン酸基をさらに含むヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を含むヌクレオシドの場合、リン酸基は糖の2’、3’または5’ヒドロキシル成分に連結することができる。オリゴヌクレオチドは隣接するヌクレオシドが互いに共有結合されて線状のポリマー状オリゴヌクレオチドを形成することによって形成される。オリゴヌクレオチド構造内で、リン酸基は一般にオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間結合を形成すると言われる。
【0197】
アンチセンス化合物に対する修飾には、ヌクレオシド間結合、糖成分、または核酸塩基に対する置換または改変が包含される。修飾アンチセンス化合物は、例えば、細胞取り込みの強化、核酸標的に対するアフィニティの強化、ヌクレアーゼ存在下での安定性の増加、または阻害活性の増加など、望ましい性質を有するため、天然型より好ましいことが多い。
【0198】
化学修飾ヌクレオシドは、短縮型または切断型アンチセンスオリゴヌクレオチドの、その標的核酸に対する結合アフィニティを増加させるためにも使用することができる。したがって、そのような化学修飾ヌクレオシドを有する場合は短いアンチセンス化合物でも、しばしば比較に値する結果を得ることができる。
【0199】
修飾ヌクレオシド間結合
RNAおよびDNAの天然のヌクレオシド間結合は3’→5’ホスホジエステル結合である。天然のヌクレオシド間結合を有するアンチセンス化合物よりも、1つ以上の修飾された、すなわち非天然の、ヌクレオシド間結合を有するアンチセンス化合物が、しばしば選択される。それが、例えば、細胞取り込みの強化、標的核酸に対するアフィニティの強化、およびヌクレアーゼ存在下での安定性の増加など、望ましい性質を有するからである。
【0200】
修飾ヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドには、リン原子を保っているヌクレオシド間結合ならびにリン原子を持たないヌクレオシド間結合が含まれる。代表的なリン含有ヌクレオシド間結合には、例えばホスホジエステル、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、ホスホルアミデート、およびホスホロチオエートが含まれる。リン含有結合および非リン含有結合の製造方法はよく知られている。
【0201】
ある実施形態では、第7因子核酸を標的とするアンチセンス化合物が、1つ以上の修飾ヌクレオシド間結合を含む。ある実施形態では、修飾ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である。ある実施形態では、アンチセンス化合物の各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0202】
修飾糖成分
本発明のアンチセンス化合物は、場合によっては、糖基が修飾されているヌクレオシドを1つ以上含有することができる。そのような糖修飾ヌクレオシドは、ヌクレアーゼ安定性の強化、結合アフィニティの増加または他の何らかの有益な生物学的性質を、アンチセンス化合物に付与しうる。ある実施形態では、ヌクレオシドが化学修飾リボフラノース環成分を含む。化学修飾リボフラノース環の例には、置換基の付加(5’および2’置換基、非ジェミナル環原子の架橋による二環式核酸(BNA)の形成、リボシル環酸素原子のS、N(R)、またはC(R1)(R)2(R=H、C1−C12アルキルまたは保護基)による置き換え)およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限るわけではない。化学修飾糖の例には、2’−F−5’−メチル置換ヌクレオシド(他の開示された5’,2’−ビス置換ヌクレオシドについてはPCT国際出願WO2008/101157(公開日2008年8月21日)参照)、またはリボシル環酸素原子の「S」による置き換えおよび2’位におけるさらなる置換(米国特許出願US2005−0130923(公開日2005年6月16日)参照)、あるいはBNAの5’−置換(PCT国際出願WO2007/134181(公開日2007年11月22日)参照;ここでは、LNAが例えば5’−メチル基または5’−ビニル基で置換される)が含まれる。
【0203】
修飾糖成分を有するヌクレオシドの例には、5’−ビニル、5’−メチル(RまたはS)、4’−S、2’−F、2’−OCHおよび2’−O(CH)2OCH置換基を含むヌクレオシドが含まれるが、これらに限るわけではない。2’位の置換基は、アリル、アミノ、アジド、チオ、O−アリル、O−C1−C10アルキル、OCF、O(CH)2SCH、O(CH−O−N(Rm)(Rn)、およびO−CH−C(=O)−N(Rm)(Rn)から選択することもでき、ここで、各RmおよびRnは、独立して、Hまたは置換されたもしくは無置換のC1−C10アルキルである。
【0204】
二環式核酸(BNA)の例には、4’リボシル環原子と2’リボシル環原子の間の架橋を含むヌクレオシドが含まれるが、これらに限るわけではない。ある実施形態では、本明細書に記載するアンチセンス化合物が、1つ以上のBNAヌクレオシドを含み、その架橋は次に挙げる式の1つを含む:4’−(CH)−O−2’(LNA);4’−(CH)−S−2’;4’−(CH)−O−2’(LNA);4’−(CH−O−2’(ENA);4’−C(CH−O−2’(PCT/US2008/068922参照);4’−CH(CH)−O−2’および4’−CH(CHOCH)−O−2’(米国特許第7,399,845号(発行日2008年7月15日)参照);4’−CH−N(OCH)−2’(PCT/US2008/064591参照);4’−CH−O−N(CH)−2’(米国特許出願US2004−0171570(公開日2004年9月2日)参照);4’−CH−N(R)−O−2’(米国特許第7,427,672号(発行日2008年9月23日)参照);4’−CH−C(CH)−2’および4’−CH−C−(=CH)−2’(PCT/US2008/066154参照);ここでRは、独立して、H、C1−C12アルキル、または保護基である。上述のBNAのそれぞれは、例えばα−L−リボフラノースおよびβ−D−リボフラノースなど、さまざまな立体化学的糖コンフィギュレーションを含む(PCT国際出願PCT/DK98/00393(WO99/14226として1999年3月25日に公開)参照)。
【0205】
ある実施形態では、リボシル環を糖代替物で置き換えることによって、ヌクレオシドが修飾される。そのような修飾には、代用環系、例えばモルホリノ環、シクロヘキセニル環、シクロヘキシル環またはテトラヒドロピラニル環、例えば式:の1つを有するものなどによるリボシル環の置き換え(DNA類似体という場合もある)が含まれるが、これらに限るわけではない。
【0206】
アンチセンス化合物に組み込むためのヌクレオシドを修飾するために使用することができるビシクロおよびトリシクロ糖代用環系は、他にも数多く、当技術分野では知られている(例えば総説:Leumann,Christian J.参照)。そのような環系は、活性を強化するために、さまざまな追加の置換を受けることができる。
【0207】
修飾糖を製造するための方法は当業者にはよく知られている。
【0208】
修飾糖成分を有するヌクレオチドでは、核酸塩基成分(天然、修飾またはその組み合わせ)が、適当な核酸標的とのハイブリダイゼーションのために維持される。
【0209】
ある実施形態では、第7因子核酸を標的とするアンチセンス化合物が、修飾糖成分を有するヌクレオチドを1つ以上含む。ある実施形態では、修飾糖成分が2’−MOEである。ある実施形態では、2’−MOE修飾ヌクレオチドがギャップマーモチーフ中に配置される。
【0210】
修飾核酸塩基
核酸塩基(または塩基)修飾または置換は、天然のまたは合成の非修飾核酸塩基とは構造的に識別可能であるが、機能的には交換可能である。天然核酸塩基と修飾核酸塩基はどちらも、水素結合に参加する能力を有する。そのような核酸塩基修飾は、ヌクレアーゼ安定性、結合アフィニティまたは他の何らかの有益な生物学的性質を、アンチセンス化合物に付与することができる。修飾核酸塩基には、例えば5−メチルシトシン(5−me−C)などの合成および天然核酸塩基が含まれる。5−メチルシトシン置換を含むいくつかの核酸塩基置換は、標的核酸に対するアンチセンス化合物の結合アフィニティを増加させるのに、特に有用である。例えば、5−メチルシトシン置換は、核酸二重鎖の安定性を0.6〜1.2℃増加させることが示されている(Sanghvi,Y.S.,Crooke,S.T.およびLebleu,B.編「Antisense Research and Applications」CRC Press、ボカラトン、1993、pp.276−278)。
【0211】
他の非修飾核酸塩基には、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6−メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2−プロピルおよび他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニル(−C≡C−CH)ウラシルおよびシトシン、ならびにピリミジン塩基の他のアルキニル誘導体、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(プソイドウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシルおよび他の8−置換アデニンおよびグアニン、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチルおよび他の5−置換ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、2−F−アデニン、2−アミノアデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニン、ならびに3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンなどがある。
【0212】
複素環式塩基成分には、プリンまたはピリミジン塩基が他の複素環、例えば7−デアザ−アデニン、7−デアザグアノシン、2−アミノピリジンおよび2−ピリドンで置き換えられているものも含めることができる。アンチセンス化合物の結合アフィニティを増加させるのにとりわけ有用な核酸塩基には、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジンおよびN−2、N−6およびO−6置換プリン、例えば2アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシンが含まれる。
【0213】
ある実施形態では、第7因子核酸を標的とするアンチセンス化合物が、1つ以上の修飾核酸塩基を含む。ある実施形態では、第7因子核酸を標的とするギャップ拡大型アンチセンスオリゴヌクレオチドが、1つ以上の修飾核酸塩基を含む。ある実施形態では、修飾核酸塩基が5−メチルシトシンである。ある実施形態では、各シトシンが5−メチルシトシンである。
【0214】
医薬組成物を製剤するための組成物および方法
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、医薬組成物または医薬製剤を製造するために、医薬上許容される活性または不活性物質と混合することができる。医薬組成物を製剤するための組成物および方法は、限定するわけではないが、投与経路、疾患の程度、または投与されるべき用量など、いくつかの基準に依存する。
【0215】
第7因子核酸を標的とするアンチセンス化合物は、そのアンチセンス化合物を適切な医薬上許容される希釈剤または担体と混合することにより、医薬組成物において利用することができる。医薬上許容される希釈剤には、リン酸緩衝食塩水(PBS)が含まれる。PBSは、非経口的に送達するための組成物における使用に適した希釈剤である。したがって、一実施形態では、第7因子核酸を標的とするアンチセンス化合物と医薬上許容される希釈剤とを含む医薬組成物が、本明細書に記載する方法において使用される。ある実施形態では、医薬上許容される希釈剤がPBSである。ある実施形態では、アンチセンス化合物がアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0216】
アンチセンス化合物を含む医薬組成物は、ヒトを含む動物に投与された時に、生物学的に活性な代謝産物またはその残基を(直接または間接的に)与える能力を有する、任意の医薬上許容される塩、エステル、もしくはそのようなエステルの塩、または他の任意のオリゴヌクレオチドを包含する。したがって、例えば、本開示は、アンチセンス化合物の医薬上許容される塩、プロドラッグ、そのようなプロドラッグの医薬上許容される塩、および他の生物学的等価物(bioequivalent)にも向けられる。適切な医薬上許容される塩には、ナトリウム塩およびカリウム塩が含まれるが、これらに限るわけではない。
【0217】
プロドラッグは、体内で内在性ヌクレアーゼによって切断されて活性なアンチセンス化合物を形成させる追加ヌクレオシドの、アンチセンス化合物の一端または両端への組み込みを含むことができる。
【0218】
コンジュゲート化アンチセンス化合物
アンチセンス化合物は、得られたアンチセンスオリゴヌクレオチドの活性、細胞分布または細胞取り込みを強化する1つ以上の成分またはコンジュゲートに共有結合することができる。典型的なコンジュゲート基には、コレステロール成分および脂質成分が含まれる。他のコンジュゲート基には、糖質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、葉酸、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン類、ローダミン類、クマリン類、および色素が含まれる。
【0219】
アンチセンス化合物は、例えば、ヌクレアーゼ安定性などの性質を強化するために、一般にアンチセンス化合物の一端または両端に取付けられる1つ以上の安定化基を有するように修飾することもできる。安定化基にはキャップ構造が含まれる。これらの末端修飾は、末端核酸を有するアンチセンス化合物を、エキソヌクレアーゼ分解から保護し、細胞内での送達および/または局在化を助けることができる。キャップは5’末端(5’−キャップ)または3’−末端(3’−キャップ)に存在するか、両末端に存在することができる。キャップ構造は当技術分野ではよく知られており、例えば逆デオキシ脱塩基キャップ(inverted dexoy abasic cap)が含まれる。アンチセンス化合物の一端または両端をキャッピングしてヌクレアーゼ安定性を付与するために使用することができる他の3’および5’−安定化基には、WO03/004602(公開日2003年1月16日)に開示されているものが含まれる。
【0220】
細胞培養およびアンチセンス化合物処理
第7因子核酸のレベル、活性または発現に対するアンチセンス化合物の効果は、さまざまな細胞タイプにおいて、インビトロで試験することができる。そのような分析に使用される細胞タイプは供給業者(例えばAmerican Type Culture Collection、バージニア州マナッサス;Zen−Bio,Inc.、ノースカロライナ州リサーチトライアングルパーク;Clonetics Corporation、メリーランド州ウォーカーズビル)から入手することができ、細胞は、市販の試薬(例えばInvitrogen Life Technologies、カリフォルニア州カールズバッド)を使って、供給者の指示に従って培養される。例示的細胞タイプには、HepG2細胞、HepB3細胞、および初代肝細胞が含まれる。
【0221】
アンチセンスオリゴヌクレオチドのインビトロ試験
ここでは、細胞をアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理するための方法を説明する。この方法は、他のアンチセンス化合物による処理のために、適当に変更することができる。
【0222】
一般に細胞は、細胞が培養時に約60〜80%コンフルエントに達したら、アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理される。
【0223】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを培養細胞中に導入するためによく使用される試薬の1つに、カチオン性脂質トランスフェクション試薬LIPOFECTIN(登録商標)(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)がある。アンチセンスオリゴヌクレオチドを、OPTI−MEM(登録商標)1(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)中でLIPOFECTIN(登録商標)と混合して、所望の最終アンチセンスオリゴヌクレオチド濃度および典型的には100nMアンチセンスオリゴヌクレオチドあたり2〜12μg/mLの範囲であるLIPOFECTIN(登録商標)濃度にする。
【0224】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを培養細胞中に導入するために使用されるもう1つの試薬に、LIPOFECTAMINE(登録商標)(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)がある。アンチセンスオリゴヌクレオチドをOPTI−MEM(登録商標)1低血清培地(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)中でLIPOFECTAMINE(登録商標)と混合して、所望の最終アンチセンスオリゴヌクレオチド濃度および典型的には100nMアンチセンスオリゴヌクレオチドあたり2〜12μg/mLの範囲であるLIPOFECTAMINE(登録商標)濃度にする。
【0225】
培養細胞中にアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入するために使用されるもう1つの技法にエレクトロポレーションがある。
【0226】
細胞を常法によりアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理する。細胞を典型的にはアンチセンスオリゴヌクレオチド処理の16〜24時間後に収集し、その時点で、標的核酸のRNAレベルまたはタンパク質レベルを当技術分野で知られ本明細書でも説明する方法によって測定する。一般に、処理が複数のレプリケートで行なわれる場合は、データをレプリケート処理の平均として表す。
【0227】
使用されるアンチオリゴヌクレオチドの濃度は細胞株ごとに異なる。特定の細胞株について最適なアンチセンスオリゴヌクレオチド濃度を決定するための方法は、当技術分野ではよく知られている。LIPOFECTIN(登録商標)を使ってトランスフェクトされる場合、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、典型的には、1nM〜300nMの範囲の濃度で使用される。エレクトロポレーションを使ってトランスフェクトされる場合、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、より高い、625〜20,000nMの範囲の濃度で使用される。
【0228】
RNA単離
RNA分析は全細胞RNAまたはポリ(A)+ mRNAに対して行うことができる。RNA単離の方法は当技術分野ではよく知られている。RNAは当技術分野で周知の方法を使って、例えばTRIZOL(登録商標)(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)を使用し、製造者が推奨するプロトコールに従って、調製される。
【0229】
標的レベルまたは標的発現の阻害の分析
第7因子核酸のレベルまたは発現の阻害は、当技術分野で知られるさまざまな方法でアッセイすることができる。例えば、標的核酸レベルは、ノーザンブロット分析、競合逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、または定量リアルタイムRT−PCRなどによって定量することができる。RNA分析は、全細胞RNAまたはポリ(A)+ mRNAに対して行うことができる。RNA単離の方法は当技術分野ではよく知られている。ノーザンブロット分析も当技術分野では常法である。リアルタイムRT−PCRは、PE−Applied Biosystems(カリフォルニア州フォスターシティ)から入手することができる市販のABI PRISM(登録商標)7600、7700、または7900 Sequence Detection Systemを、製造者の指示に従って使用することにより、便利に達成することができる。
【0230】
標的RNAレベルの定量リアルタイムRT−PCR分析
標的RNAレベルの定量は、ABI PRISM(登録商標)7600、7700、または7900 Sequence Detection System(PE−Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティ)を使用し、製造者の指示に従って、定量リアルタイムRT−PCRで達成することができる。リアルタイムRT−PCRの方法は当技術分野ではよく知られている。
【0231】
リアルタイムPCRに先だって、単離されたRNAは逆転写酵素(RT)反応に付される。それにより、相補的DNA(cDNA)が生成するので、それをリアルタイムPCR増幅の基質として使用する。RTおよびリアルタイムPCR反応は、同じ試料ウェル内で逐次的に行なわれる。RTおよびリアルタイムPCR試薬はInvitrogen(カリフォルニア州カールズバッド)から入手する。RTおよびリアルタイムPCR反応は、当業者に周知の方法によって行なわれる。
【0232】
リアルタイムRT−PCRによって得られる遺伝子(またはRNA)標的量は、発現量が一定な遺伝子(例えばシクロフィリンA)の発現レベルを使って標準化するか、RIBOGREEN(登録商標)(Invitrogen,Inc.、カリフォルニア州カールズバッド)を使って全RNAを定量することによって標準化される。シクロフィリンA発現は、リアルタイムRT−PCRにより、標的と同時に、マルチプレックスに、または別個に行うことによって定量される。全RNAはRIBOGREEN(登録商標)RNA定量試薬(Invetrogen,Inc.、オレゴン州ユージーン)を使って定量される。RIBOGREEN(登録商標)によるRNA定量の方法はJones,L.J.ら(Analytical Biochemistry,1998,265,368−374)に教示されている。CYTOFLUOR(登録商標)4000装置(PE Applied Biosystems)を使ってRIBOGREEN(登録商標)蛍光を測定する。
【0233】
プローブおよびプライマーは第7因子核酸にハイブリダイズするように設計される。リアルタイムRT−PCRプローブおよびプライマーを設計するための方法は当技術分野ではよく知られており、これには、PRIMER EXPRESS(登録商標)Software(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティ)などのソフトウェアの使用が含まれうる。
【0234】
タンパク質レベルの分析
第7因子核酸のアンチセンス阻害は、第7因子タンパク質レベルを測定することによって評価することができる。第7因子のタンパク質レベルは、当技術分野で周知のさまざまな方法、例えば免疫沈降、ウェスタンブロット分析(イムノブロット法)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、定量タンパク質アッセイ、タンパク質活性アッセイ(例えばカスパーゼ活性アッセイ)、免疫組織化学、免疫細胞化学または蛍光活性化細胞選別(FACS)で評価または定量することができる。標的に対する抗体はMSRS抗体カタログ(Aerie Corporation、ミシガン州バーミンガム)などのさまざまな供給源から同定し、入手するか、当技術分野でよく知られる従来のモノクローナルまたはポリクローナル抗体作製方法によって製造することができる。ヒトおよびマウス第7因子の検出に役立つ抗体は市販されている。
【0235】
アンチセンス化合物のインビボ試験
アンチセンス化合物、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドは、第7因子の発現を阻害して、例えばPTの延長、aPTT時間の延長、血小板因子4(PF−4)量の減少、血栓形成の減少または血栓形成に要する時間の増加、および細胞増殖の減少などといった表現型の変化をもたらすその能力について評価するために、動物中で試験される。試験は正常な動物で行なうか、実験的疾患モデルで行うことができる。動物への投与のために、アンチセンスオリゴヌクレオチドは医薬上許容される希釈剤、例えばリン酸緩衝食塩水中に製剤される。投与には、非経口投与経路、例えば腹腔内、静脈内、および皮下が含まれる。アンチセンスオリゴヌクレオチドの投薬量および投薬頻度の計算は当業者の技量の範囲内であり、投与経路および動物の体重などの因子に依存する。アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処理期間に続いて、RNAを肝臓組織から単離し、第7因子核酸配列の変化を測定する。第7因子タンパク質レベルの変化も、トロンビン生成アッセイを使って測定される。また、凝固時間、例えばPTおよびaPTTに対する効果も、処置された動物から得た血漿を使って決定される。
【0236】
いくつかの適応症
ある実施形態では、本発明は、1つ以上の本発明の医薬組成物を投与することを含む、個体を処置する方法を提供する。ある実施形態では、個体は血栓塞栓性合併症を有する。ある実施形態では、個体が、血液凝固障害、例えば限定するわけではないが、梗塞、血栓症、塞栓症、血栓塞栓症、例えば深部静脈血栓症、肺塞栓症、心筋梗塞、および脳卒中のリスクにさらされている。これには、血栓症のリスクにつながる後天的な問題、疾患、または障害、例えば手術、がん、不動、敗血症、アテローム性動脈硬化、心房細動を有する個体、ならびに遺伝的素因、例えば抗リン脂質抗体症候群および常染色体優性異常、第V因子ライデンを有する個体が含まれる。ある実施形態では、個体が抗凝固治療の必要があると同定された個体である。そのような個体の例には、大きな整形外科手術(例えば人工股/膝関節置換術または股関節骨折手術)を受けた個体、および慢性期処置を必要とする患者、例えば心房細動を患っている患者(脳卒中を予防するため)が含まれるが、これらに限るわけではない。ある実施形態において、本発明は、個体における第7因子発現を予防的に減少させるための方法を提供する。いくつかの実施形態は、第7因子核酸を標的とするアンチセンス化合物の治療有効量を個体に投与することによって、その必要がある個体を処置することを含む。
【0237】
ある実施形態では、第7因子を標的とするアンチセンス化合物を含む医薬組成物が、血栓塞栓性合併症を患っているか血栓塞栓性合併症に罹りやすい患者を処置するための医薬品の製造に使用される。
【0238】
ある実施形態では、第7因子と組織因子との結合による組織因子−第7a因子複合体の形成が、炎症状態、例えば肝線維症、慢性関節リウマチ、ならびに腫瘍成長および腫瘍転移につながりうる。
【0239】
ある実施形態では、個体が、線維症合併症につながる炎症状態を有する。ある実施形態では、個体が、過剰なコラーゲン沈着および線維症障害、例えば限定するわけではないが、肝線維症、動脈硬化、慢性糸球体腎炎、皮膚ケロイド形成、進行性全身性硬化症(PSS)、肝線維症、肺線維症、嚢胞性線維症、慢性移植片対宿主病、強皮症(局所性および全身性)、ペイロニー病、陰茎線維症、膀胱鏡を使った検査後の尿道狭窄、手術後の体内癒着、骨髄線維症、特発性腹膜後線維症などのリスクにさらされている。ある実施形態では、個体が、抗線維症治療の必要があると同定された個体である。これには、線維症のリスクにつながる遺伝的または後天的な問題、疾患、または障害、例えばα1−アンチトリプシン欠損症、銅蓄積症(ウィルソン病)、フルクトース血症、ガラクトース血症、グリコーゲン蓄積症(例えばII型、IV型、VI型、IX型、およびX型)、鉄過剰症候群(例えばヘモクロマトーシス)、脂質異常(例えばゴーシェ病)、ペルオキシソーム障害(例えばツェルウェガー症候群)、チロシン血症(Tyrsoninemia)、先天性肝線維症、細菌感染症(例えばブルセラ症)、寄生虫感染症(例えばエキノコックス症)、ウイルス感染症(例えば慢性B型肝炎、慢性C型肝炎)、肝血流に影響を及ぼす障害(例えばバッド・キアリ症候群、心不全、肝静脈閉塞性疾患、および門脈血栓症)、アルコール、および薬物(例えばアミオダロン、クロルプロマジン、イソニアジド、メトトレキサート、メチルドーパ、オキシフェニサチン、およびトルブタミド)などを有する個体が含まれる。ある実施形態では、個体が、抗線維症治療が必要であると同定された個体である。そのような実施形態では、組織因子−第7a因子(TF/F7a)複合体が、線維症において主要な凝固促進物質活性を有すると同定される。ある実施形態において、本発明は、個体における第7因子発現を予防的に減少させるための方法を提供する。いくつかの実施形態は、第7因子核酸を標的とするアンチセンス化合物の治療有効量を個体に投与することによって、その必要がある個体を処置することを含む。
【0240】
ある実施形態では、第7因子を標的とするアンチセンス化合物を含む医薬組成物が、線維症合併症を患っているか、または線維症合併症に罹りやすい患者を処置するための医薬品の製造に使用される。
【0241】
ある実施形態では、個体が炎症性慢性関節リウマチ合併症を有する。ある実施形態では、個体が、関節部の炎症および慢性関節リウマチのリスクにさらされている。そのような実施形態では、個体が関節部の疼痛、腫脹および圧痛、疲労、食欲減退、微熱、筋肉痛および筋硬直を患う。ある実施形態では、個体が、抗炎症性関節炎治療の必要があると同定された個体である。これには、慢性関節リウマチ、反応性関節炎、ライター症候群、乾癬性関節炎、強直性脊柱炎、および炎症性腸疾患に関連する関節炎を患う個体が含まれる。ある実施形態では、個体が、抗炎症治療を必要とすると同定された個体である。そのような実施形態では、組織因子−第7a因子(TF/F7a)複合体が、関節炎の誘発において主要な凝固促進物質活性を有すると同定される。ある実施形態において、本発明は、個体における第7因子発現を予防的に減少させるための方法を提供する。いくつかの実施形態は、第7因子核酸を標的とするアンチセンス化合物の治療有効量を個体に投与することによって、その必要がある個体を処置することを含む。
【0242】
ある実施形態では、第7因子を標的とするアンチセンス化合物を含む医薬組成物が、炎症性関節炎合併症を患っているか、または炎症性関節炎合併症に罹りやすい患者を処置するための医薬品の製造に使用される。
【0243】
ある実施形態では、個体が悪性合併症を有する。ある実施形態では、個体が、腫瘍成長、血管新生および転移のリスクにさらされている。そのような実施形態では、播種性血管内血液凝固および静脈血栓塞栓症などの止血異常を患う個体が、原発性および転移性腫瘍成長などのさらなる合併症を患いうる。そのような実施形態では、腫瘍転移の播種は凝固依存的過程である。そのような実施形態では、組織因子−第7a因子(TF/F7a)複合体は、がんにおいて主要な凝固促進物質活性を有すると同定される。ある実施形態では、個体が、抗TF/F7a治療の必要があると同定された個体である。ある実施形態において、本発明は、個体における第7因子発現を予防的に減少させるための方法を提供する。いくつかの実施形態は、第7因子核酸を標的とするアンチセンス化合物の治療有効量を個体に投与することによって、その必要がある個体を処置することを含む。
【0244】
ある実施形態では、第7因子を標的とするアンチセンス化合物を含む医薬組成物が、悪性合併症を患っているか、または悪性合併症に罹りやすい患者を処置するための医薬品の製造に使用される。
【0245】
ある実施形態では、第7因子核酸を標的とするアンチセンス化合物の治療有効量の投与が、個体の血清中の第7因子レベルをモニターして、そのアンチセンス化合物の投与に対する個体の応答を決定することを伴う。医師はアンチセンス化合物の投与に対する個体の応答を使って、治療的介入の量および持続期間を決定する。
【0246】
ある実施形態では、第7因子核酸を標的とするアンチセンス化合物の投与が、第7因子発現を、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは99%、またはこれらの値のいずれか2つによって規定される範囲で、減少させる。ある実施形態では、第7因子核酸を標的とするアンチセンス化合物の投与が、例えば限定するわけではないが、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)検査、プロトロンビン時間(PT)検査、トロンビン時間(TCT)、出血時間、またはD−ダイマーなどの標準的検査によって測定される凝血の測定値を変化させる。ある実施形態では、第7因子アンチセンス化合物の投与が、測定値を、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは99%、またはこれらの値のいずれか2つによって規定される範囲で増加させる。いくつかの実施形態では、第7因子アンチセンス化合物の投与が、測定値を、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは99%、またはこれらの値のいずれか2つによって規定される範囲で減少させる。
【0247】
ある実施形態では、第7因子を標的とするアンチセンス化合物を含む医薬組成物が、血栓塞栓性合併症を患っているか血栓塞栓性合併症に罹りやすい患者を処置するための医薬品の製造に使用される。
【0248】
いくつかの併用療法
ある実施形態では、本発明の1つ以上の医薬組成物が、1つ以上の他の医薬剤と併用投与される。ある実施形態では、そのような1つ以上の他の医薬剤が、当該本発明の1つ以上の医薬組成物と同じ疾患、障害、または状態を処置するための医薬剤である。ある実施形態では、そのような1つ以上の他の医薬剤が、当該本発明の1つ以上の医薬組成物とは異なる疾患、障害、または状態を処置するための医薬剤である。ある実施形態では、そのような1つ以上の他の医薬剤が、本発明の1つ以上の医薬組成物の望ましくない副作用を処置するための医薬剤である。ある実施形態では、本発明の1つ以上の医薬組成物が、もう1つの医薬剤と、当該他の医薬剤の望ましくない効果を処置するために、併用投与される。ある実施形態では、本発明の1つ以上の医薬組成物がもう1つの医薬剤と併用投与されて、複合的効果を生じる。ある実施形態では、本発明の1つ以上の医薬組成物がもう1つの医薬剤と併用投与されて相乗効果を生じる。
【0249】
ある実施形態では、本発明の1つ以上の医薬組成物と1つ以上の他の医薬剤とが、同時に投与される。ある実施形態では、本発明の1つ以上の医薬組成物と1つ以上の他の医薬剤とが異なる時点で投与される。ある実施形態では、本発明の1つ以上の医薬組成物と1つ以上の他の医薬剤とが、単一の製剤中に一緒に調製される。ある実施形態では、本発明の1つ以上の医薬組成物と1つ以上の他の医薬剤とが、別々に調製される。
【0250】
ある実施形態において、本発明の医薬組成物と併用投与することができる医薬剤には、抗凝固剤または抗血小板剤が含まれる。ある実施形態では、本発明の医薬組成物と併用投与することができる医薬剤として、限定するわけではないが、アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモール、チクロピジン、ワルファリン(および関連クマリン類)、ヘパリン、直接トロンビンインヒビター(例えばレピルジン、ビバリルジン)、アピキサバン、ラブノックス、および特定凝固因子の酵素作用を直接妨害する小分子化合物(例えば第Xa因子を妨害するリバロキサバン)を挙げることができる。ある実施形態では、抗凝固剤または抗血小板剤が、本発明の医薬組成物の投与に先だって投与される。ある実施形態では、抗凝固剤または抗血小板剤が、本発明の医薬組成物の投与後に投与される。ある実施形態では、抗凝固剤または抗血小板剤が、本発明の医薬組成物と同時に投与される。ある実施形態では、併用投与される抗凝固剤または抗血小板剤の用量が、その抗凝固剤または抗血小板剤を単独で投与するとすれば投与されるであろう用量と同じである。ある実施形態では、併用投与される抗凝固剤または抗血小板剤の用量が、その抗凝固剤または抗血小板剤を単独で投与するとすれば投与されるであろう用量よりも少ない。ある実施形態では、併用投与される抗凝固剤または抗血小板剤の用量が、その抗凝固剤または抗血小板剤を単独で投与するとすれば投与されるであろう用量よりも多い。
【0251】
ある実施形態では、第2化合物の併用投与が第1化合物の抗凝固効果を強化して、化合物の併用投与が、第1化合物だけの投与の効果よりも高い抗凝固効果をもたらす。別の実施形態では、併用投与が、単独で投与した場合の化合物の効果の相乗作用であるような抗凝固効果をもたらす。ある実施形態では、併用投与が、単独で投与した場合の化合物の効果の和を上回るような抗凝固効果をもたらす。ある実施形態では、第1化合物がアンチセンス化合物である。ある実施形態では、第2化合物がアンチセンス化合物である。
【0252】
ある実施形態では、第7因子特異的インヒビターの投与後の任意の時点で、解毒剤が投与される。ある実施形態では、第7因子を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与後の任意の時点で、解毒剤が投与される。ある実施形態では、第7因子を標的とするアンチセンス化合物の投与の数分後、数時間後、数日後、数週間後、または数ヶ月後に、解毒剤が投与される。ある実施形態では、解毒剤が、第7因子を標的とするアンチセンス化合物に対する相補体(例えばセンス鎖)である。ある実施形態では、解毒剤が第7因子または第7a因子タンパク質である。ある実施形態では、第7因子または第7a因子タンパク質がヒト第7因子またはヒト第7a因子タンパク質である。
【0253】
[実施例]
限定でない開示および参照による組み込み
本明細書に記載するいくつかの化合物、組成物および方法をいくつかの実施形態に従って具体的に説明したが、以下の実施例は本明細書に記載する化合物の例示を目的とするにすぎず、それを限定しようとするものではない。本願において言及する参考文献はそれぞれ参照によりそのすべてが本明細書に組み込まれる。
【0254】
(実施例1)
HepB3細胞におけるヒト第7因子mRNAのアンチセンス阻害
第7因子核酸を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを、インビトロでの第7因子mRNAに対するそれらの効果について試験した。リポフェクチン試薬を使って、1ウェルあたり4,000細胞の密度の培養HepB3細胞を、50nMアンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。約24時間の処理期間後に、細胞からRNAを単離し、第7因子mRNAレベルを、本明細書で述べるように、リアルタイムRT−PCRで測定した。RIBOGREEN(登録商標)によって測定される全RNA含有量に応じて、第7因子mRNAレベルを調節した。結果を、無処理対照細胞と比較した第7因子の阻害百分率として表す。
【0255】
表1のキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドを5−10−5MOEギャップマーとして設計した。これらのギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは10個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、その両側(5’方向および3’方向)に、それぞれ5個のヌクレオチドを含むウイングが隣接している。5’ウイングセグメント中の各ヌクレオチドおよび3’ウイングセグメント中の各ヌクレオチドは2’−MOE修飾を有する。各ギャップマー中のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー中のシチジン残基はすべて5−メチルシチジンである。表1に列挙する各ギャップマーは、ヒト遺伝子配列、配列番号1(GENBANKアクセッション番号NT_027140.6のヌクレオチド1255000〜1273000)、配列番号2(GENBANKアクセッション番号NM_019616.2)、または配列番号3(GENBANKアクセッション番号DB184141.1)を標的とする。「ヒト標的開始部位」は、指定したヒト遺伝子配列中でギャップマーが標的とする最も5’側のヌクレオチドを示す。「ヒト標的終止部位」は、指定したヒト遺伝子配列中でギャップマーが標的とする最も3’側のヌクレオチドを示す。
[表1]
配列番号1、配列番号2、および配列番号3を標的とする5−10−5MOEウイングおよびデオキシギャップを有するキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドによるヒト第7因子mRNAレベルの阻害
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【0256】
表1に記載するギャップマーのいくつかは、アカゲザルゲノム配列(GENBANKアクセッション番号NW_00104507.1のヌクレオチド691000〜706000;本明細書には配列番号162として組み込まれる)またはアカゲザルmRNA配列(GENKBANKアクセッション番号3360_061_B;本明細書には配列番号163として組み込まれる)に100%相同である。表2に、アカゲザルと相同な表1記載のキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドを示す。ギャップマーをヒト標的開始部位順に並べる。
[表2]
5−10−5MOEウイングおよびデオキシギャップを有するヒト/アカゲザル交差反応性キメラアンチセンスオリゴヌクレオチド
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【表2−4】

【0257】
(実施例2)
HepB3細胞におけるヒト第7因子の用量依存的アンチセンス阻害
ヒト第7因子の少なくとも80%のインビトロ阻害を示す、実施例1に記載したいくつかのアンチセンスオリゴヌクレオチド(表1参照)を、HepB3細胞において、さまざまな用量で試験した。細胞を1ウェルあたり4,000細胞の密度でプレーティングし、リポフェクチン試薬を使って、表3に示すように、3.125nM、6.25nM、12.5nM、25nM、50nM、および100nM濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した。約16時間の処理期間後に、RNAを細胞から単離し、第7因子mRNAレベルを、本明細書で述べるように、リアルタイムRT−PCRで測定した。ヒト第7因子プライマープローブセットRTS2927(フォワード配列:GGGACCCTGATCAACACCAT、本明細書には配列番号164として組み込まれる;リバース配列:CCAGTTCTTGATTTTGTCGAAACA、本明細書には配列番号165として組み込まれる;プローブ配列:TGGGTGGTCTCCGCGGCCX、本明細書には配列番号166として組み込まれる)を使って、mRNAレベルを測定した。RIBOGREEN(登録商標)によって測定される全RNA含有量に応じて、第7因子mRNAレベルを調節した。結果を、無処理対照細胞と比較した第7因子の阻害百分率として表す。表3に示すように、第7因子mRNAレベルは用量依存的に減少した。
【表3】

【0258】
(実施例3)
HepB3細胞におけるヒト第7因子のアンチセンス阻害
第7因子核酸を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを設計し、インビトロでの第7因子mRNAに対するそれらの効果を試験した。表3に記載するアンチセンスオリゴヌクレオチドのいくつかも、インビトロでの第7因子mRNAに対するそれらの効果について再試験した。1ウェルあたり4,000細胞の密度の培養HepB3細胞を、リポフェクチン試薬を使って、50nMアンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。約24時間の処理期間後に、RNAを細胞から単離し、第7因子mRNAレベルを、本明細書で述べるように、リアルタイムRT−PCRで測定した。ヒト第7因子プライマープローブセットRTS2927を使ってmRNAレベルを測定した。RIBOGREEN(登録商標)によって測定される全RNA含有量に応じて、第7因子mRNAレベルを調節した。結果を、無処理対照と比較した第7因子の阻害百分率として表す。
【0259】
表4のキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドを5−10−5MOEギャップマーとして設計した。これらのギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは10個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、その両側(5’方向および3’方向)に、それぞれ5個のヌクレオチドを含むウイングが隣接している。5’ウイングセグメント中の各ヌクレオチドおよび3’ウイングセグメント中の各ヌクレオチドは2’−MOE修飾を有する。各ギャップマー中のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー中のシチジン残基はすべて5−メチルシチジンである。表4に列挙した最初の7つのギャップマーは表3に記載したものであり、これらをアステリスク(*)で示す。「ヒト標的開始部位」は、指定したヒト遺伝子配列中でギャップマーが標的とする最も5’側のヌクレオチドを示す。「ヒト標的終止部位」は、指定したヒト遺伝子配列中でギャップマーが標的とする最も3’側のヌクレオチドを示す。表4に列挙する各ギャップマーは、配列番号1(GENBANK(登録商標)アクセッション番号NT_027140.6のヌクレオチド1255000〜1273000)、配列番号2(GENBANK(登録商標)アクセッション番号NM_019616.2)、または配列番号167(GENBANK(登録商標)アクセッション番号NM_000131.3)を標的とする。
[表4]
配列番号1、配列番号2、および配列番号167を標的とする5−10−5MOEウイングおよびデオキシギャップを有するキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドによるヒト第7因子mRNAレベルの阻害
【表4−1】

【表4−2】

【表4−3】

【表4−4】

【0260】
表4に記載するギャップマーのいくつかは、アカゲザルゲノム配列(GENBANKアクセッション番号NW_00104507.1のヌクレオチド691000〜706000;本明細書には配列番号162として組み込まれる)またはアカゲザルmRNA配列(GENKBANKアクセッション番号3360_061_B;本明細書には配列番号163として組み込まれる)に100%相同である。表5に、アカゲザルと相同な表4記載のキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドを示す。
[表5]
5−10−5MOEウイングおよびデオキシギャップを有するヒト/アカゲザル交差反応性キメラアンチセンスオリゴヌクレオチド
【表5−1】

【表5−2】

【表5−3】

【表5−4】

【0261】
(実施例4)
HepB3細胞におけるヒト第7因子のアンチセンス阻害
第7因子核酸を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを設計し、インビトロでの第7因子mRNAに対するそれらの効果を試験した。1ウェルあたり4,000細胞の密度の培養HepB3細胞を、リポフェクチン試薬を使って、50nMアンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。約24時間の処理期間後に、RNAを細胞から単離し、第7因子mRNAレベルを、本明細書で述べるように、リアルタイムRT−PCRで測定した。ヒト第7因子プライマープローブセットRTS2927を使ってmRNAレベルを測定した。RIBOGREEN(登録商標)によって測定される全RNA含有量に応じて、第7因子mRNAレベルを調節した。結果を、無処理対照と比較した第7因子の阻害百分率として表す。
【0262】
表6のキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドを5−10−5MOE、3−14−3MOE、および2−13−5MOEギャップマーとして設計した。5−10−5ギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは10個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、その両側(5’方向および3’方向)に、それぞれ5個のヌクレオチドを含むウイングが隣接している。3−14−3ギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは14個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、その両側(5’方向および3’方向)に、それぞれ3個のヌクレオチドを含むウイングが隣接している。2−13−5ギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは13個の2’−デオキシヌクレオチドで構成される。中央のギャップは、5’端には2個のヌクレオチドを含むウイングが隣接し、3’端には5個のヌクレオチドを含むウイングが隣接する。これらのモチーフ(5−10−5、3−14−3、および2−13−5)のそれぞれについて、5’ウイングセグメント中の各ヌクレオチドおよび3’ウイングセグメント中の各ヌクレオチドは2’−MOE修飾を有する。各ギャップマー中のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー中のシチジン残基はすべて5−メチルシチジンである。「標的開始部位」は、ギャップマーが標的とする最も5’側のヌクレオチドを示す。「標的終止部位」は、ギャップマーが標的とする最も3’側のヌクレオチドを示す。表6に列挙する各ギャップマーは、配列番号1(GENBANKアクセッション番号NT_027140.6のヌクレオチド1255000〜1273000)を標的とする。
[表6]
配列番号1を標的とするキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドによるヒト第7因子mRNAレベルの阻害
【表6−1】

【表6−2】

【0263】
(実施例5)
HepB3細胞におけるヒト凝固第7因子の用量依存的アンチセンス阻害
第7因子のインビトロ阻害を示すギャップマー(上記表1〜6に記載のもの)を選択し、HepB3細胞において、さまざまな用量で試験した。細胞を1ウェルあたり4,000細胞の密度でプレーティングし、リポフェクチン試薬を使って、表7に示すように、6.25nM、12.5nM、25.0nM、50.0nM、および100.0nM濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。約16時間の処理期間後に、RNAを細胞から単離し、第7因子mRNAレベルを、本明細書で述べるように、リアルタイムRT−PCRで測定した。ヒト第7因子プライマープローブセットRTS2927を使ってmRNAレベルを測定した。RIBOGREEN(登録商標)によって測定される全RNA含有量に応じて、第7因子mRNAレベルを調節した。結果を、無処理対照細胞と比較した第7因子の阻害百分率として表す。表7に示すように、第7因子mRNAレベルは用量依存的に減少した。
【表7】

【0264】
(実施例6)
マイクロウォーク(microwalk)によって設計されたオリゴヌクレオチドによるHepB3細胞におけるヒト第7因子のアンチセンス阻害
さらなるギャップマーを、表7に記載のギャップマーに基づいて設計した。これらのギャップマーは、表7に記載する元のギャップマーの上流および下流にわずかにシフトさせたギャップマーを作製すること(すなわち「マイクロウォーク」)によって設計された。5−10−5MOE、3−14−3MOE、および2−13−5MOEなど、さまざまなモチーフを有するギャップマーも作製した。これらのギャップマーをインビトロで試験した。1ウェルあたり4,000細胞の密度の培養HepB3細胞を、リポフェクチン試薬を使って、50nMアンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。約24時間の処理期間後に、RNAを細胞から単離し、第7因子mRNAレベルをリアルタイムRT−PCRで測定した。RIBOGREEN(登録商標)によって測定される全RNA含有量に応じて、第7因子mRNAレベルを調節した。結果を、無処理対照細胞と比較した第7因子の阻害百分率として表す。
【0265】
次に、マイクロウォークによって設計されたギャップマーに関するインビトロ阻害データを、表8、9、10、11、12、および13に示すように、表7に記載のギャップマーに関するインビトロ阻害データと比較した。オリゴヌクレオチドを、それらが位置するヒト遺伝子配列上の領域に従って表示する。
【0266】
表8のキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドは、5−10−5MOE、3−14−3MOE、および2−13−5MOEギャップマーとして設計された。表8に挙げた最初のギャップマーは、残りのギャップマーをマイクロウォークによって設計する際の出発点とした元のギャップマー(表7参照)であり、これをアステリスク(*)で示す。5−10−5ギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは10個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、その両側(5’方向および3’方向)に、それぞれ5個のヌクレオチドを含むウイングが隣接している。3−14−3ギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは14個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、その両側(5’方向および3’方向)に、それぞれ3個のヌクレオチドを含むウイングが隣接している。2−13−5ギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは13個の2’−デオキシヌクレオチドで構成される。中央のギャップは、5’端には2個のヌクレオチドを含むウイングが隣接し、3’端には5個のヌクレオチドを含むウイングが隣接する。これらのモチーフ(5−10−5、3−14−3、および2−13−5)のそれぞれについて、5’ウイングセグメント中の各ヌクレオチドおよび3’ウイングセグメント中の各ヌクレオチドは2’−MOE修飾を有する。各ギャップマー中のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー中のシチジン残基はすべて5−メチルシチジンである。「標的開始部位」は、ギャップマーが標的とする最も5’側のヌクレオチドを示す。「標的終止部位」は、ギャップマーが標的とする最も3’側のヌクレオチドを示す。表8に列挙する各ギャップマーは、配列番号1(GENBANKアクセッション番号NT_027140.6のヌクレオチド1255000〜1273000)を標的とする。
【0267】
表8に示すように、配列番号1の標的開始部位4868で始まり標的終止部位4899で終わる標的領域(すなわち核酸塩基4868〜4899)を標的とする5−10−5MOEギャップマー、3−14−3MOEギャップマー、および2−13−5MOEギャップマーはいずれも、第7因子mRNAを少なくとも48%阻害した。
【0268】
この標的領域(すなわち核酸塩基4868〜4899)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号416508、422138、422213、422290、422139、422214、422291、422140、422215、422292、422141、422216、422293、422142、422217、422294、422218、422295、422143、422219、422296、422144、422220、422297、422145、422221、422298、422146、422222、422299、422147、422223、422300、422148、422224、422301、416509、422225、および422302は、第7因子mRNA発現を少なくとも40%阻害した。
【0269】
この標的領域(すなわち核酸塩基4868〜4899)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号416508、422138、422213、422290、422139、422214、422291、422140、422215、422292、422141、422216、422293、422142、422217、422294、422218、422295、422143、422219、422296、422144、422220、422297、422145、422221、422298、422146、422222、422299、422147、422300、422148、422224、422301、416509、422225、および422302は、第7因子mRNA発現を少なくとも50%阻害した。
【0270】
この標的領域(すなわち核酸塩基4868〜4899)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号416508、422138、422213、422139、422140、422215、422292、422141、422216、422293、422142、422217、422294、422218、422295、422143、422219、422296、422297、422298、422299、422147、422300、422224、422301、416509、および422302は、第7因子mRNA発現を少なくとも60%阻害した。
【0271】
この標的領域(すなわち核酸塩基4868〜4899)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号422138、422140、422215、422292、422142、422217、422294、422218、422295、422143、および422296は、第7因子mRNA発現を少なくとも70%阻害した。
[表8]
配列番号1の核酸塩基4868〜4899を標的とするキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドによるヒト第7因子mRNAレベルの阻害
【表8−1】

【表8−2】

【0272】
表9のキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドは、5−10−5MOE、3−14−3MOE、および2−13−5MOEギャップマーとして設計された。表9に挙げた最初のギャップマーは、残りのギャップマーをマイクロウォークによって設計する際の出発点とした元のギャップマー(表7参照)であり、これをアステリスク(*)で示す。5−10−5ギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは10個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、その両側(5’方向および3’方向)に、それぞれ5個のヌクレオチドを含むウイングが隣接している。3−14−3ギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは14個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、その両側(5’方向および3’方向)に、それぞれ3個のヌクレオチドを含むウイングが隣接している。2−13−5ギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは13個の2’−デオキシヌクレオチドで構成される。中央のギャップは、5’端には2個のヌクレオチドを含むウイングが隣接し、3’端には5個のヌクレオチドを含むウイングが隣接する。これらのモチーフ(5−10−5、3−14−3、および2−13−5)のそれぞれについて、5’ウイングセグメント中の各ヌクレオチドおよび3’ウイングセグメント中の各ヌクレオチドは2’−MOE修飾を有する。各ギャップマー中のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー中のシチジン残基はすべて5−メチルシチジンである。「標的開始部位」は、ギャップマーが標的とする最も5’側のヌクレオチドを示す。「標的終止部位」は、ギャップマーが標的とする最も3’側のヌクレオチドを示す。表7に列挙する各ギャップマーは配列番号1(GENBANKアクセッション番号NT_027140.6のヌクレオチド1255000〜1273000)を標的とする。
【0273】
表9に示すように、配列番号1の標的開始部位11830で始まり標的終止部位11869で終わる標的領域(すなわち核酸塩基11830〜11869)を標的とする5−10−5MOEギャップマー、3−14−3MOEギャップマー、および2−13−5MOEギャップマーの大半は、第7因子mRNAを少なくとも40%阻害した。
【0274】
この標的領域(すなわち核酸塩基11830〜11869)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号416549、422154、422231、422089、422155、422232、422090、422156、422233、422091、422157、422234、422092、422158、422235、422093、422159、422236、422094、422160、422237、422095、422161、422238、422162、422239、422096、422163、422240、422097、422164、422241、422098、422165、422242、422099、422166、422243、422100、422167、422244、422101、422168、422245、422102、422169、422246、422103、422170、422247、422104、422171、422248、422105、422172、422249、422106、422173、422250、422107、422174、および422251は、第7因子mRNA発現を少なくとも20%阻害した。
【0275】
この標的領域(すなわち核酸塩基11830〜11869)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号416549、422154、422155、422232、422090、422156、422233、422091、422157、422234、422092、422158、422235、422093、422159、422236、422094、422160、422237、422095、422161、422238、422162、422239、422096、422163、422240、422097、422164、422241、422098、422165、422242、422099、422166、422243、422100、422167、422244、422101、422168、422102、422169、422246、422103、422247、422104、422171、422248、422105、422172、422249、422106、422173、422250、422107、422174、および422251は、第7因子mRNA発現を少なくとも30%阻害した。
【0276】
この標的領域(すなわち核酸塩基11830〜11869)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号416549、422232、422090、422233、422091、422157、422234、422158、422235、422093、422159、422236、422094、422160、422237、422095、422161、422238、422162、422239、422096、422163、422240、422097、422164、422241、422098、422165、422242、422099、422166、422243、422100、422167、422244、422101、422102、422169、422246、422104、422171、422248、422105、422249、422173、422250、および422174は、第7因子mRNA発現を少なくとも40%阻害した。
【0277】
この標的領域(すなわち核酸塩基11830〜11869)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号416549、422234、422235、422237、422095、422161、422238、422162、422239、422096、422163、422240、422097、422164、422241、422098、422165、422242、422166、422243、422100、422167、422244、422102、422169、422104、422171、422248、422105、422249、422173、422250、および422174は、第7因子mRNA発現を少なくとも50%阻害した。
【0278】
この標的領域(すなわち核酸塩基11830〜11869)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号416549、422234、422095、422238、422239、422096、422240、422164、422241、422242、422166、422243、422102、422171、422248、および422105は、第7因子mRNA発現を少なくとも60%阻害した。
【0279】
この標的領域(すなわち核酸塩基11830〜11869)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号422096は、第7因子mRNA発現を少なくとも70%阻害した。
[表9]
配列番号1の核酸塩基11830〜11869を標的とするキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドによるヒト第7因子mRNAレベルの阻害
【表9−1】

【表9−2】

【表9−3】

【0280】
表10のキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドは、5−10−5MOE、3−14−3MOE、および2−13−5MOEギャップマーとして設計された。表10に挙げた最初のギャップマーは、残りのギャップマーをマイクロウォークによって設計する際の出発点とした元のギャップマー(表7参照)であり、これをアステリスク(*)で示す。5−10−5ギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは10個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、その両側(5’方向および3’方向)に、それぞれ5個のヌクレオチドを含むウイングが隣接している。3−14−3ギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは14個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、その両側(5’方向および3’方向)に、それぞれ3個のヌクレオチドを含むウイングが隣接している。2−13−5ギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは13個の2’−デオキシヌクレオチドで構成される。中央のギャップは、5’端には2個のヌクレオチドを含むウイングが隣接し、3’端には5個のヌクレオチドを含むウイングが隣接する。これらのモチーフ(5−10−5、3−14−3、および2−13−5)のそれぞれについて、5’ウイングセグメント中の各ヌクレオチドおよび3’ウイングセグメント中の各ヌクレオチドは2’−MOE修飾を有する。各ギャップマー中のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー中のシチジン残基はすべて5−メチルシチジンである。「標的開始部位」は、ギャップマーが標的とする最も5’側のヌクレオチドを示す。「標的終止部位」は、ギャップマーが標的とする最も3’側のヌクレオチドを示す。表10に列挙する各ギャップマーは配列番号1(GENBANKアクセッション番号NT_027140.6のヌクレオチド1255000〜1273000)を標的とする。
【0281】
表10に示すように、配列番号1の標的開始部位13760で始まり標的終止部位13789で終わる標的領域(すなわち核酸塩基13760〜13789)を標的とする5−10−5MOEギャップマー、3−14−3MOEギャップマー、および2−13−5MOEギャップマーの大半は、第7因子mRNAを少なくとも30%阻害した。
【0282】
この標的領域(すなわち核酸塩基13760〜13789)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号416455、422175、422252、422108、422176、422253、422109、422177、422254、422110、422178、422255、422111、422179、422256、422112、422180、422257、422113、422181、422258、422114、422259、422115、422183、422260、422116、422184、422261、416456、および422185は、第7因子mRNA発現を少なくとも20%阻害した。
【0283】
この標的領域(すなわち核酸塩基13760〜13789)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号416455、422175、422252、422108、422176、422253、422109、422177、422254、422110、422178、422255、422111、422179、422112、422180、422257、422113、422181、422258、422114、422259、422115、422183、422260、422116、422184、422261、416456、および422185は、第7因子mRNA発現を少なくとも30%阻害した。
【0284】
この標的領域(すなわち核酸塩基13760〜13789)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号416455、422175、422252、422108、422176、422253、422109、422177、422254、422110、422179、422112、422180、422257、422113、422181、422258、422114、422259、422115、422183、422260、422116、422184、422261、416456、および422185は、第7因子mRNA発現を少なくとも40%阻害した。
【0285】
この標的領域(すなわち核酸塩基13760〜13789)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号416455、422175、422252、422108、422176、422253、422109、422177、422110、422112、422180、422257、422113、422181、422258、422114、422259、422115、422183、422260、422116、422184、422261、および416456は、第7因子mRNA発現を少なくとも50%阻害した。
【0286】
この標的領域(すなわち核酸塩基13760〜13789)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号422175、422252、422108、422253、422109、422177、422112、422257、422113、422181、422258、422259、422115、422183、および422261は、第7因子mRNA発現を少なくとも60%阻害した。
【0287】
この標的領域(すなわち核酸塩基13760〜13789)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号422252、422177、422183、および422261は、第7因子mRNA発現を少なくとも70%阻害した。
【表10】

【0288】
表11のキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドは、5−10−5MOE、3−14−3MOE、および2−13−5MOEギャップマーとして設計された。表11に挙げた最初のギャップマーは、残りのギャップマーをマイクロウォークによって設計する際の出発点とした元のギャップマー(表7参照)であり、これをアステリスク(*)で示す。5−10−5ギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは10個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、その両側(5’方向および3’方向)に、それぞれ5個のヌクレオチドを含むウイングが隣接している。3−14−3ギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは14個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、その両側(5’方向および3’方向)に、それぞれ3個のヌクレオチドを含むウイングが隣接している。2−13−5ギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは13個の2’−デオキシヌクレオチドで構成される。中央のギャップは、5’端には2個のヌクレオチドを含むウイングが隣接し、3’端には5個のヌクレオチドを含むウイングが隣接する。これらのモチーフ(5−10−5、3−14−3、および2−13−5)のそれぞれについて、5’ウイングセグメント中の各ヌクレオチドおよび3’ウイングセグメント中の各ヌクレオチドは2’−MOE修飾を有する。各ギャップマー中のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー中のシチジン残基はすべて5−メチルシチジンである。「標的開始部位」は、ギャップマーが標的とする最も5’側のヌクレオチドを示す。「標的終止部位」は、ギャップマーが標的とする最も3’側のヌクレオチドを示す。表11に列挙する各ギャップマーは、配列番号1(GENBANKアクセッション番号NT_027140.6のヌクレオチド1255000〜1273000)を標的とする。
【0289】
表11に示すように、配列番号1の標的開始部位14707で始まり標的終止部位14732で終わる標的領域(すなわち核酸塩基14707〜14732)を標的とする5−10−5MOEギャップマー、3−14−3MOEギャップマー、および2−13−5MOEギャップマーはいずれも、第7因子mRNAを少なくとも48%阻害した。
【0290】
この標的領域(すなわち核酸塩基14707〜14732)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号416477、407641、422200、422277、422130、422201、422278、422131、422202、422279、422203、422280、422132、422204、422281、422133、422205、422282、407642、422206、および422283は、第7因子mRNA発現を少なくとも40%阻害した。
【0291】
この標的領域(すなわち核酸塩基14707〜14732)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号416477、407641、422200、422277、422130、422201、422278、422131、422279、422203、422280、422132、422204、422281、422133、422205、407642、422206、および422283は、第7因子mRNA発現を少なくとも50%阻害した。
【0292】
この標的領域(すなわち核酸塩基14707〜14732)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号416477、407641、422130、422201、422278、422131、422204、422133、422205、407642、および422206は、第7因子mRNA発現を少なくとも60%阻害した。
【0293】
この標的領域(すなわち核酸塩基14707〜14732)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号416477、422130、422201、および422204は、第7因子mRNA発現を少なくとも70%阻害した。
【表11】

【0294】
表12のキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドは、5−10−5MOE、3−14−3MOE、および2−13−5MOEギャップマーとして設計された。表12に挙げた最初のギャップマーは、残りのギャップマーをマイクロウォークによって設計する際の出発点とした元のギャップマー(表7参照)であり、これをアステリスク(*)で示す。5−10−5ギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは10個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、その両側(5’方向および3’方向)に、それぞれ5個のヌクレオチドを含むウイングが隣接している。3−14−3ギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは14個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、その両側(5’方向および3’方向)に、それぞれ3個のヌクレオチドを含むウイングが隣接している。2−13−5ギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは13個の2’−デオキシヌクレオチドで構成される。中央のギャップは、5’端には2個のヌクレオチドを含むウイングが隣接し、3’端には5個のヌクレオチドを含むウイングが隣接する。これらのモチーフ(5−10−5、3−14−3、および2−13−5)のそれぞれについて、5’ウイングセグメント中の各ヌクレオチドおよび3’ウイングセグメント中の各ヌクレオチドは2’−MOE修飾を有する。各ギャップマー中のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー中のシチジン残基はすべて5−メチルシチジンである。「標的開始部位」は、ギャップマーが標的とする最も5’側のヌクレオチドを示す。「標的終止部位」は、ギャップマーが標的とする最も3’側のヌクレオチドを示す。表10に列挙する各ギャップマーは、配列番号1(GENBANKアクセッション番号NT_027140.6のヌクレオチド1255000〜1273000)を標的とする。
【0295】
表12に示すように、配列番号1の標的開始部位15098で始まり標的終止部位15122で終わる標的領域(すなわち核酸塩基15098〜15122)を標的とする5−10−5MOEギャップマー、3−14−3MOEギャップマー、および2−13−5MOEギャップマーはいずれも、第7因子mRNAを少なくとも25%阻害した。
【0296】
この標的領域(すなわち核酸塩基15098〜15122)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号407643、422207、422284、422134、422208、422285、422135、422209、422286、422136、422210、422287、422137、422211、422288、416479、422212、および422289は、第7因子mRNA発現を少なくとも20%阻害した。
【0297】
この標的領域(すなわち核酸塩基15098〜15122)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号407643、422207、422284、422134、422208、422285、422135、422209、422286、422136、422287、422137、422211、422288、416479、422212、および422289は、第7因子mRNA発現を少なくとも30%阻害した。
【0298】
この標的領域(すなわち核酸塩基15098〜15122)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号407643、422207、422284、422134、422208、422135、422209、422286、422136、422287、422137、422211、422288、および416479は、第7因子mRNA発現を少なくとも40%阻害した。
【0299】
この標的領域(すなわち核酸塩基15098〜15122)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号407643、422134、422208、422135、422286、および422136は、第7因子mRNA発現を少なくとも50%阻害した。
【0300】
この標的領域(すなわち核酸塩基15098〜15122)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号407643および422134は、第7因子mRNA発現を少なくとも60%阻害した。
【表12】

【0301】
表13のキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドは、5−10−5MOE、3−14−3MOE、および2−13−5MOEギャップマーとして設計された。表13に挙げた最初のギャップマーは、残りのギャップマーをマイクロウォークによって設計する際の出発点とした元のギャップマー(表7参照)であり、これをアステリスク(*)で示す。5−10−5ギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは10個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、その両側(5’方向および3’方向)に、それぞれ5個のヌクレオチドを含むウイングが隣接している。3−14−3ギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは14個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、その両側(5’方向および3’方向)に、それぞれ3個のヌクレオチドを含むウイングが隣接している。2−13−5ギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは13個の2’−デオキシヌクレオチドで構成される。中央のギャップは、5’端には2個のヌクレオチドを含むウイングが隣接し、3’端には5個のヌクレオチドを含むウイングが隣接する。これらのモチーフ(5−10−5、3−14−3、および2−13−5)のそれぞれについて、5’ウイングセグメント中の各ヌクレオチドおよび3’ウイングセグメント中の各ヌクレオチドは2’−MOE修飾を有する。各ギャップマー中のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー中のシチジン残基はすべて5−メチルシチジンである。「標的開始部位」は、ギャップマーが標的とする最も5’側のヌクレオチドを示す。「標的終止部位」は、ギャップマーが標的とする最も3’側のヌクレオチドを示す。表11に記載の各ギャップマーは配列番号1(GENBANKアクセッション番号NT_027140.6のヌクレオチド1255000〜1273000)を標的とする。
【0302】
表13に示すように、配列番号1の標的開始部位15188で始まり標的終止部位15211で終わる標的領域(すなわち核酸塩基15188−15211)を標的とする5−10−5MOEギャップマー、3−14−3MOEギャップマー、および2−13−5MOEギャップマーはいずれも、第7因子mRNAを少なくとも41%阻害した。
【0303】
この標的領域(すなわち核酸塩基15188〜15211)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号407935、416482、422149、422226、422085、422150、422227、422086、422151、422228、422152、422229、422087、422153、および422230は、第7因子mRNA発現を少なくとも40%阻害した。
【0304】
この標的領域(すなわち核酸塩基15188〜15211)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号407935、416482、422149、422085、422150、422227、422086、422151、422228、422152、422229、422087、422153、および422230は、第7因子mRNA発現を少なくとも50%阻害した。
【0305】
この標的領域(すなわち核酸塩基15188〜15211)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号407935、416482、422149、422085、422150、422227、422086、422151、422228、422152、422229、422087、422153、および422230は、第7因子mRNA発現を少なくとも60%阻害した。
【0306】
この標的領域(すなわち核酸塩基15188〜15211)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号407935、422085、422150、422086、422228、422152、422229、および422087は、第7因子mRNA発現を少なくとも70%阻害した。
【0307】
この標的領域(すなわち核酸塩基15188〜15211)内のギャップマーのいくつか、例えばISIS番号422086および422087は、第7因子mRNA発現を少なくとも80%阻害した。
【表13】

【0308】
(実施例7)
HepB3細胞におけるヒト第7因子の用量応答アンチセンス阻害
ヒト第7因子のインビトロ阻害を示す実施例5および6のギャップマー(表7、8、9、10、11、12、および13参照)を、HepB3細胞において、さまざまな用量で試験した。細胞を1ウェルあたり4,000細胞の密度でプレーティングし、リポフェクチン試薬を使って、表14に指定するように、3.125nM、6.25nM、12.5nM、25nM、50nM、および100nM濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。約16時間の処理期間後に、RNAを細胞から単離し、第7因子mRNAレベルを定量リアルタイムPCRで測定した。ヒト第7因子プライマープローブセットRTS2927を使ってmRNAレベルを測定した。RIBOGREEN(登録商標)によって測定される全RNA含有量に応じて、第7因子mRNAレベルを調節した。結果を、無処理対照細胞と比較した第7因子の阻害百分率として表す。表14に示すように、第7因子mRNAレベルは用量依存的に減少した。
【表14】

【0309】
これらのギャップマーをエレクトロポレーションでもトランスフェクトし、それらによるヒト第7因子mRNAの用量依存的阻害を測定した。細胞を1ウェルあたり20,000細胞の密度でプレーティングし、表15に指定するように、3.125μM、6.25μM、12.5μM、25μM、50μM、および100μM濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、エレクトロポレーションによってトランスフェクトした。約16時間の処理期間後に、RNAを細胞から単離し、第7因子mRNAレベルを定量リアルタイムPCRで測定した。ヒト第7因子プライマープローブセットRTS2927を使ってmRNAレベルを測定した。RIBOGREEN(登録商標)によって測定される全RNA含有量に応じて、第7因子mRNAレベルを調節した。結果を、無処理対照細胞と比較した第7因子の阻害百分率として表す。表15に示すように、第7因子mRNAレベルは用量依存的に減少した。
【表15】

【0310】
(実施例8)
HepB3細胞におけるヒト第7因子の効果的な用量依存的アンチセンス阻害の選択および確認
実施例7でヒト第7因子のインビトロ阻害を示したギャップマーを選択し、HepB3細胞において、さまざまな用量で試験した。細胞を1ウェルあたり20,000細胞の密度でプレーティングし、表16に指定するように、3.125μM、6.25μM、12.5μM、25μM、50μM、および100μM濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、エレクトロポレーションによってトランスフェクトした。約16時間の処理期間後に、RNAを細胞から単離し、ヒト第7因子mRNAレベルを定量リアルタイムPCRで測定した。ヒト第7因子プライマープローブセットRTS2927を使ってmRNAレベルを測定した。RIBOGREEN(登録商標)によって測定される全RNA含有量に応じて、第7因子mRNAレベルを調節した。結果を、無処理対照細胞と比較した第7因子の阻害百分率として表す。表16に示すように、第7因子mRNAレベルは用量依存的に減少した。
【表16】

【0311】
(実施例9)
短い(14マー)オリゴヌクレオチドによるヒト第7因子のアンチセンス阻害
第7因子核酸を標的とするように短いアンチセンスオリゴヌクレオチド(ショートマー(shortmer))を設計した。表17のショートマーを2−10−2MOEギャップマーとして設計した。これらのギャップマーは14ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは10個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、その両側(5’方向および3’方向)に、それぞれ2個のヌクレオチドを含むウイングが隣接している。5’ウイングセグメント中の各ヌクレオチドおよび3’ウイングセグメント中の各ヌクレオチドは2’−MOE修飾を有する。各ギャップマー中のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー中のシチジン残基はすべて5−メチルシチジンである。
【0312】
ショートマーを、HepB3細胞におけるヒト第7因子mRNAを減少させるその能力について評価し、表16に記載する5−10−5キメラオリゴヌクレオチドの1つ、ISIS407939と比較した。96穴プレート中、1ウェルあたり20,000細胞の密度のHepB3細胞を、エレクトロポレーションにより、1,000nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。約24時間の処理期間後に、RNAを細胞から単離し、第7因子mRNAレベルを、本明細書で述べるように、リアルタイムRT−PCRで測定した。RIBOGREEN(登録商標)によって測定される全RNA含有量に応じて、第7因子mRNAレベルを調節した。結果を、無処理対照細胞と比較した第7因子mRNAの阻害百分率として、表17に記載する。ISIS407939は、ショートマーの比較対象とした表18中の最初のオリゴヌクレオチドであり、これにはアステリスク(*)を付す。
【0313】
表17に列挙する各ギャップマーは、ヒト遺伝子配列である配列番号1(GENBANKアクセッション番号NT_027140.6のヌクレオチド1255000〜1273000)または配列番号2(GENBANKアクセッション番号NM_019616.2)を標的とする。「標的開始部位」は、ヒト遺伝子配列中でギャップマーが標的とする最も5’側のヌクレオチドを示す。「標的終止部位」は、ヒト遺伝子配列中でギャップマーが標的とする最も3’側のヌクレオチドを示す。
[表17]
配列番号1または配列番号2を標的とする2−10−2MOEウイングおよびデオキシギャップを有するキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドによるヒト第7因子mRNAレベルの阻害
【表17−1】

【表17−2】

【表17−3】

【表17−4】

【表17−5】

【表17−6】

【0314】
(実施例10)
インビトロでのマウス第7因子のアンチセンス阻害
キメラアンチセンスオリゴヌクレオチドを5−10−5MOEウイングおよびデオキシギャップとして、マウス第7因子(GENBANKアクセッション番号NT_039455.6のヌクレオチド10024000〜10037000;本明細書には配列番号160として組み込まれる)を標的とするように設計した。これらのギャップマーは20ヌクレオチド長であり、中央のギャップセグメントは10個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、その両側(5’方向および3’方向)に、それぞれ5個のヌクレオチドを含むウイングが隣接している。各ウイングセグメント中の各ヌクレオチドは2’−MOE修飾を有する。各ギャップマー中のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー中のシチジン残基はすべて5’メチルシチジンである。これらのアンチセンスオリゴヌクレオチドを、初代マウス肝細胞におけるマウス第7因子mRNAを減少させるその能力について評価した。これらのアンチセンスオリゴヌクレオチドを、初代マウス肝細胞における第7因子mRNAを減少させるその能力について評価した。
【0315】
初代マウス肝細胞を6.25nM、12.5nM、25nM、50nM、100nM、および200nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドで約24時間にわたって処理した。RNAを細胞から単離し、第7因子mRNAレベルを、本明細書で説明するように、定量リアルタイムPCRで測定した。マウス第7因子プライマープローブセットRTS2855(フォワード配列AATGAGGAACAGTGCTCCTTTGA、配列番号612;リバース配列TGTAAACAATCCAGAACTGCTTGGT、配列番号613;プローブ配列CCCGGGAGATCTTCAAGAGCCCX、配列番号614)を使って、mRNAレベルを測定した。RIBOGREEN(登録商標)によって測定される全RNA含有量に応じて、第7因子mRNAレベルを調節した。いくつかのマウスアンチセンスオリゴヌクレオチドが、第7因子mRNAレベルを用量依存的に減少させた。
【0316】
(実施例11)
インビボでのマウス第7因子のアンチセンス阻害
インビトロ試験で有意な用量依存的阻害を示す4つのアンチセンスオリゴヌクレオチド(実施例10参照)を、インビボで第7因子mRNAを減少させるその能力について評価した。これらのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、マウス第7因子mRNA(GENBANKアクセッション番号NT_039455.6のヌクレオチド10024000〜10037000;配列番号160)を標的とする。それら4つのアンチセンスオリゴヌクレオチドの標的開始部位は次のとおりである:11326、11336、11613、および11766。
【0317】
処置
BALB/cマウスをISIS403102(CCATAGAACAGCTTCACAGG、標的部位11336、本明細書には配列番号161として組み込まれる)で処置した。BALB/cマウスに、5mg/kg、10mg/kg、25mg/kg、または50mg/kgのISIS403102を、週に2回、3週間にわたって皮下注射した。対照マウス群には、PBSを週に2回、3週間にわたって皮下注射した。処置期間後に、肝臓全体をRNA分析およびタンパク質分析のために集め、血漿を凝固分析(PT/aPTT)のために集めた。
【0318】
RNA分析
第7因子のリアルタイムRT−PCR分析用にRNAを肝臓組織から抽出した。表18に示すように、ISIS403102は、PBS対照と比較して、マウス第7因子の用量依存的減少を達成した。結果を、対照と比較した第7因子の阻害百分率として表す。
【表18】

【0319】
タンパク質分析
第7因子発色アッセイ(Hyphen BioMed)を使って血漿第7因子タンパク質を測定した。表19に示すように、ISIS403102は、PBS対照と比較してマウス第7因子タンパク質の用量依存的減少を達成した。結果を、対照と比較した第7因子の阻害百分率として表す。
【表19】

【0320】
凝固分析
ISIS403102で処置したマウスから得た乏血小板血漿(PPP)を使って、プロトロンビン時間(PT)および活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)を測定した。表20に記載するPT値およびaPTT値は、国際標準化比(INR)値として報告する。PTおよびaPTTに関するINR値を決定するために、実験群に関するPT値またはaPTT値をPBS処置群に関するPTまたはaPTTで割った。次に、この比を、使用した組織因子の国際感受性指標(ISI)で累乗した。表20に示すように、PTは、対照と比較して、ISIS403102で処置されたマウスでは、有意に延長された。aPTTはISIS403102で処置されたマウスではわずかに延長された。これらのデータは、ISIS403102が血液凝固の内因性経路よりも血液凝固の外因性経路に対して、より大きな影響を有することを示唆している。
【表20】

【0321】
(実施例12)
ISIS403102の単回投与薬物動態アッセイ
処置
マウスにおけるISIS403102の作用の半減期および持続期間を評価した。27匹のBALB/cマウスからなる群に、50mg/kgのISIS403102を注射した。ISIS403102を単回投与した後、1、2、3、4、6、8、12、24、および56日目に、この群のマウス3匹を屠殺した。3匹のマウスからなる対照群にはPBSを単回投与し、この群のマウスは1日目に屠殺した。すべての群のマウスを、10mg/kgキシラジンと混合した150mg/kgケタミンの腹腔内注射による投与で麻酔した後、頸椎脱臼によって屠殺した。肝臓をRNA分析用に収集し、血漿を凝固分析(PTおよびaPTT)用に集めた。
【0322】
RNA分析
第7因子のリアルタイムRT−PCR分析用に、RNAを肝臓組織から抽出した。結果を、PBS対照と比較した第7因子の阻害百分率として記載する。表21に示すように、ISIS403102による処置は4日目までに第7因子mRNAの92%阻害をもたらし、その後、ISIS403102の効果は徐々に減少し、24日目までには11%まで低下した。56日目までに、ISIS403102処置マウスにおける第7因子mRNAレベルは、PBS対照のレベルと等しくなる。結果を、対照と比較した第7因子の阻害百分率として表す。これらのデータは、50mg/kgのISIS403102の単回投与のピーク効果が4日目付近で起こり、作用の持続期間が少なくとも24日間は続くことを示している。
【表21】

【0323】
PTおよびaPTTアッセイ
ISIS403102で処置したマウスから得た乏血小板血漿(PPP)を使ってプロトロンビン時間(PT)および活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)を測定した。表22に記載するPT値およびaPTT値は、国際標準化比(INR)値として報告する。PTおよびaPTTに関するINR値を決定するために、実験群(すなわち50mg/kg ISIS403102による処置)に関するPT値またはaPTT値をPBS処置群に関するPTまたはaPTTで割った。次に、この比を、使用した組織因子の国際感受性指標(ISI)で累乗した。
【0324】
表22に示すように、PTは1日目の1.11から4日目の1.97まで増加した。PTは、4日目の後、56日目にPTが1.10に達するまで、徐々に減少した。aPTTは1.00から4日目の1.24まで増加した。aPTTは、4日目の後、aPTTが56日目に0.97に達するまで、徐々に減少した。mRNA発現データ(上記)と合致して、これらのデータは、50mg/kgのISIS403102の単回投与のピーク効果が4日目付近で起こり、作用の持続期間が少なくとも24日間は続くことを示している。
【表22】

【0325】
(実施例13)
ISIS403102の複数回投与薬物動態アッセイ
処置
マウス第7因子のアンチセンス阻害および凝固時間に対するISIS403102の複数回投与の作用の持続期間を評価した。第1のマウス群では、25mg/kgのISIS403102を単回投与として皮下注射した。第1群のマウスは単回投与後の1日目および3日目に屠殺した。第2のマウス群では、25mg/kgのISIS403102を、週に2回、1週間にわたって皮下投与した。第2群のマウスは、ISIS403102の最後の投与を行った後、3日目に屠殺した。第3のマウス群では、25mg/kgのISIS403102を週に2回、2週間にわたって皮下投与した。第3群のマウスは、ISIS403102の最後の投与を行った後、3日目に屠殺した。第4のマウス群では、25mg/kgのISIS403102を、週に2回、3週間にわたって皮下投与した。第4群のマウスは、ISIS403102の最後の投与を行った後、2、7、14、28、42、および56日目に屠殺した。3匹のマウスからなる対照群には、PBSを単回投与として注射した。対照群のマウスは、1日後に屠殺した。すべての群のマウスを、10mg/kgキシラジンと混合した150mg/kgケタミンの腹腔内注射による投与で麻酔した後、頸椎脱臼によって屠殺した。すべての群のマウスについて、肝臓をRNA分析用に収集し、血漿を凝固分析(PTおよびaPTT)用に集めた。
【0326】
RNA分析
第7因子の定量RT−PCR分析用に、RNAを肝臓組織から抽出した。結果を、PBS対照と比較した第7因子の阻害百分率として記載する。表23に示すように、ISIS403102の単回投与処置は、早くも1日目には、第7因子の阻害をもたらした。単回投与処置群では、阻害は3日目まで増加した。2回のISIS403102投与は、3日目に、ISIS403102の1回投与と比較して増加した阻害をもたらした。阻害は、2回投与処置群では、3日目まで増加した。ISIS403102の4回投与は、3日目に、2回投与処置群と比較して増加した阻害をもたらした。
【0327】
ISIS403102の6回投与は、7日目に、ISIS403102の6回投与における2日目と比較して増加した阻害をもたらした。ISIS403102の6回投与で処置されたマウスでは、第7因子阻害が、14、28、42、および56日目には、次第に低下した。
【表23】

【0328】
PTおよびaPTTアッセイ
ISIS403102で処置したマウスから得た乏血小板血漿(PPP)を使ってプロトロンビン時間(PT)および活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)を測定した。表24に記載するPT値およびaPTT値は、国際標準化比(INR)値として報告する。PTおよびaPTTに関するINR値を決定するために、実験群(すなわち50mg/kg ISIS403102による処置)に関するPT値またはaPTT値をPBS処置群に関するPTまたはaPTTで割った。次に、この比を、使用した組織因子の国際感受性指標(ISI)で累乗した。
【0329】
表24に示すように、PTは、ISIS403102の単回投与で処置されたマウスの3日目では、ISIS403102の単回投与で処置されたマウスの1日目と比較して増加した。3日目に、ISIS403102の2回投与で処置されたマウスでは、ISIS403102の単回投与で処置されたマウスと比較して、PTが増加した。ISIS403102の4回投与で処置されたマウスでは、PTが、3日目に、ISIS403102の2回投与で処置されたマウスと比較して増加した。ISIS403102の6回投与を受けたマウスでは、PTが、7日目から56日目まで減少した。
【0330】
ISIS403102の単回投与で処置されたマウスでは、3日目に、ISIS403102の単回投与で処置されたマウスの3日目と比較して、aPTTが、わずかに増加した。3日目に、ISIS403102の2回投与で処置されたマウスでは、ISIS403102の単回投与で処置されたマウスと比較して、aPTTが増加した。3日目に、ISIS403102の4回投与で処置されたマウスでは、ISIS403102の2回投与で処置されたマウスと比較して、aPTTが増加した。ISIS403102の6回投与を受けたマウスでは、aPTTが7日目から56日目まで減少した。
【表24】

【0331】
(実施例14)
FeCl誘発静脈血栓症(VT)モデルにおけるISIS403102による第7因子のアンチセンス阻害のインビボ効果
処置
3つのBALB/cマウス群に、25mg/kg、37.5mg/kg、または50mg/kgのISIS403102を、皮下投与により、週に2回、3週間にわたって注射した。BALB/cマウスの2つの対照群はPBSで、皮下投与により、週に2回、3週間にわたって処置した。マウスの半分ではFeClによって血栓形成を誘発させ、残りのマウスは尾出血についてアッセイした。ISIS403102またはPBSの最後の投与を受けた2日後に、マウスを、10mg/kgキシラジンと混合した150mg/kgケタミンの腹腔内注射による投与で麻酔した。第1対照群を除くすべてのVTマウス群において、血栓形成をFeClで誘発した。
【0332】
FeCl処置を受けるマウスでは、10%FeCl溶液で前もって飽和させた一片の濾紙(2×4mm)を大静脈上に直接適用することによって、血栓形成を誘発した。曝露の3分後に、濾紙を取り除いた。濾紙適用の30分後に、血栓を含有する一定の長さの静脈を、血小板分析用に切離した。肝臓をRNA分析用に集めた。
【0333】
RNA分析
第7因子のリアルタイムRT−PCR分析用に、RNAを肝臓組織から抽出した。結果を、PBS対照と比較した第7因子の阻害百分率として記載する。表25に示すように、ISIS403102による処置は、PBS対照と比較して、第7因子mRNAの有意な用量依存的低下をもたらした。これらのデータは、第7因子の発現を阻害するためにアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用できることを示している。
【表25】

【0334】
血小板組成の定量
血栓形成の尺度として、大静脈中の血小板を定量するために、血小板因子4(PF−4)のリアルタイムRT−PCR定量を使用した。結果を、2つのPBS処置対照群と比較した、ISIS403102群におけるPF−4の百分率として記載する。表26に示すように、ISIS403102による処置は、PBS対照と比較して、PF−4の減少をもたらした。したがって、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、血栓および血塊形成を阻害するのに役立つ。
【表26】

【0335】
尾出血アッセイ
FeCl溶液による処置を受けていないマウスを尾採血チャンバーで評価した。ISIS403102またはPBSの最終処置の2日後にマウスを採血チャンバーに入れた。イソフルオラン(isofluorane)を使ってマウスをチャンバー内で麻酔し、尾の小片(先端から約4mm)を滅菌した鋏で切断した。切断した尾を直ちに、37℃に温めた約10mLの0.9%NaClバッファー溶液を充填した15mLファルコンチューブに入れた。血液を40分間にわたって集めた。その食塩水充填チューブの重量を採血の前後に計測した。結果を表27に記載する。
【0336】
25mg/kgおよび37.5mg/kgのISIS403102による処置は、PBS処置マウスと比較して、出血量のわずかな減少を引き起こした。出血は、50mg/kgのISIS403102で処置したマウスとPBSで処置したマウスでは、同じだった。これらのデータは、ISIS403102による処置が出血傾向を増加させないことを示唆している。
【表27】

【0337】
(実施例15)
ワルファリンと比較したISIS403102によるマウス第7因子のインビボアンチセンス阻害
処置
ISIS403102およびワルファリン(Coumadin(登録商標))をBALB/cマウスで評価した。4つのBALB/cマウス群を、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kg、または40mg/kgのISIS403102の皮下投与により、週に2回、3週間にわたって処置した。最後のISIS403102の投与を行った2日後に、マウスを10mg/kgキシラジンと混合した150mg/kgケタミンの腹腔内注射による投与で麻酔した。5番目のBALB/cマウス群は3mg/kgのワルファリンの腹腔内投与により、6日間にわたって毎日処置した。ワルファリンの最後の投与の4時間後に、マウスを屠殺した。対照BALB/cマウス群は、PBSの皮下投与により、週に2回、3週間にわたって処置した。PBSの最後の投与の2日後に、マウスを10mg/kgキシラジンと混合した150mg/kgケタミンの腹腔内注射による投与で麻酔した。第1対照群を除くマウス群では、FeClを使って血栓形成を誘発した。
【0338】
FeCl処置を受けるマウスでは、10%FeCl溶液で前もって飽和させた一片の濾紙(2×4mm)を大静脈上に直接適用することによって、血栓形成を誘発した。曝露の3分後に、濾紙を取り除いた。濾紙適用の30分後に、血栓を含有する一定の長さの静脈を、血小板分析用に切離した。肝臓をRNA分析用に集めた。
【0339】
RNA分析
第7因子のリアルタイムRT−PCR分析用に、RNAを肝臓組織から抽出した。結果を、PBS対照と比較した第7因子の阻害百分率として記載する。表28に示すように、ISIS403102による処置は、PBS対照と比較して、第7因子mRNAの有意な用量依存的減少をもたらした。逆に、ワルファリンによる処理は、PBS対照と比較して第7因子の有意な減少をもたらさなかった。
【表28】

【0340】
(実施例16)
ワルファリンと比較したFeCl誘発静脈血栓症(VT)モデルに対するマウス第7因子の用量依存的アンチセンス阻害の効果
処置
ISIS403102およびワルファリン(Coumadin(登録商標))をBALB/cマウスで評価した。4つのBALB/cマウス群を、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kg、または40mg/kgのISIS403102の皮下投与により、週に2回、3週間にわたって処置した。ISIS403102の最後の投与を行った2日後に、マウスを10mg/kgキシラジンと混合した150mg/kgケタミンの腹腔内注射による投与で麻酔した。さらに6つのBALB/cマウス群を、0.5mg/kg、1mg/kg、2mg.kg、3mg/kg、4mg/kg、または5mg/kgのワルファリンの腹腔内投与により、6日間、毎日処置した。最後のワルファリン投与の4時間後に、マウスを屠殺した。対照BALB/cマウス群は、PBSの皮下投与により、週に2回、3週間にわたって処置した。最後のPBS投与の2日後に、マウスを10mg/kgキシラジンと混合した150mg/kgケタミンの腹腔内注射による投与で麻酔した。第1対照群を除くマウス群では、FeClを使って血栓形成を誘発した。
【0341】
FeCl処置を受けるマウスでは、10%FeCl溶液で前もって飽和させた一片の濾紙(2×4mm)を大静脈上に直接適用することによって、血栓形成を誘発した。曝露の3分後に、濾紙を取り除いた。濾紙適用の30分後に、血栓を含有する一定の長さの静脈を、血小板分析用に切離した。肝臓をRNA分析用に集めた。
【0342】
血小板組成の定量
血栓形成の尺度として、大静脈中の血小板を定量するために、血小板因子4(PF−4)のリアルタイムRT−PCR定量を使用した。結果を、2つのPBS処置対照群と比較した、ISIS403102処置マウスまたはワルファリン処置マウスにおけるPF−4の百分率として記載する。表29に示すように、ISIS403102による処置は、5mg/kg以上の投薬量については、PBS対照と比較して、PF−4の用量依存的減少をもたらした。ワルファリンによる処置は、1mg/kg以上の用量で、PBS対照と比較してPF−4の減少をもたらした。したがって、ISISアンチセンスオリゴヌクレオチドは、血栓および血塊形成を阻害するのに役立つ。
【表29】

【0343】
(実施例17)
ワルファリンと比較した尾出血アッセイにおけるマウス第7因子のアンチセンス阻害の効果
処置
ISIS403102またはワルファリンによる処置がマウスにおいて内出血を引き起こすかどうかを観察するために、尾出血を測定した。ISIS403102およびワルファリン(Coumadin(登録商標))を尾出血アッセイで評価した。6つのBALB/cマウス群を、1.25mg/kg、2.5mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kg、または40mg/kgのISIS403102の皮下投与により、週に2回、3週間にわたって処置した。さらに6つのBALB/cマウス群を、0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、および5mg/kgのワルファリンの腹腔内投与により、6日間にわたって毎日処置した。別の対照BALB/cマウス群をPBSの皮下投与により、週に2回、3週間にわたって処置した。
【0344】
尾出血アッセイ
ISIS403102、ワルファリン、またはPBSの最終処置の2日後に、マウスを尾採血チャンバーに入れた。イソフルオランを使ってマウスをチャンバー内で麻酔し、尾の小片(先端から約4mm)を滅菌した鋏で切断した。切断した尾を直ちに、37℃に温めた約10mLの0.9%NaClバッファー溶液を充填した15mLファルコンチューブに入れた。血液を40分間にわたって集めた。その食塩水充填チューブの重量を採血の前後に計測した。結果を表30に記載する。
【0345】
ISIS403102による処置は、PBS対照マウスと比較して、出血に有意な影響を及ぼさなかった。しかしワルファリンは、PBS対照マウスと比較して、マウスにおける出血を増加させた。ワルファリン用量の増加は、失血の増加と正に相関した。これらのデータは、ISIS403102の出血傾向が、特にワルファリンと比較して低いことを示唆している。
【表30】

【0346】
(実施例18)
アピキサバンと比較した尾出血アッセイにおけるマウス第7因子のアンチセンス阻害の効果
処置
ISIS403102およびアピキサバンをBALB/cマウスで評価した。第1のBALB/cマウス群では、40mg/kgのISIS403102を、週に2回、3週間にわたって皮下投与した。さらに3つのBALB/cマウス群を、5mg/kgおよび10mg/kgのアピキサバンの単回腹腔内投与、ならびに10mg/kgのアピキサバンの単回皮下投与によって処置した。対照BALB/cマウス群は、PBSの皮下投与により、週に2回、3週間にわたって処置した。
【0347】
尾出血アッセイ
ISIS403102またはPBSの最終処置の2日後に、マウスを尾採血チャンバーに入れた。アピキサバンで処置した群のマウスは単回投与の30分後に分析した。イソフルオランを使ってマウスをチャンバー内で麻酔し、尾の小片(先端から約4mm)を滅菌した鋏で切断した。切断した尾を直ちに、37℃に温めた約10mLの0.9%NaClバッファー溶液を充填した15mLファルコンチューブに入れた。血液を40分間にわたって集めた。その食塩水充填チューブの重量を採血の前後に計測した。結果を表31に記載する。
【0348】
ISIS403102で処置したマウスは、PBS処置マウスより出血が少なかった。5mg/kgのアピキサバンの腹腔内注射によって処置したマウスは、PBS処置マウスと同じ出血量だった。10mg/kgのアピキサバンの腹腔内注射によって処置したマウスでは、PBS処置マウスと比較して、出血が増加した。10mg/kgのアピキサバンの皮下注射によって処置したマウスは、PBSマウスよりも出血が少なかった。これらのデータは、ISIS403102の出血傾向が低いことを示唆している。
【表31】

【0349】
(実施例19)
がん転移に対するマウス第7因子のアンチセンス阻害のインビボ効果
ISIS403102による第7因子の阻害が組織因子−第7因子複合体の形成および転移時のがん細胞の管外遊出におけるその役割に及ぼす効果を評価する。2つの重症複合型免疫不全症(SCID)マウス群を、20mg/kgの用量で週に2回、3週間にわたって注射されるISIS403102で処置する。対照マウス群にはPBSを週に2回、3週間にわたって注射する。ISIS403102またはPBSの最後の投与の2日後に、ISIS403102処置群の1つと対照群には、50×10個のMDA−MB−231乳癌細胞を、静脈内注射する。
【0350】
MDA−MB−231乳癌細胞を注射した2週間後に、マウスを屠殺する。肺を収集し、ヒトGAPDH mRNAレベルのリアルタイムRT−PCR分析を行う。結果をマウスシクロフィリンA mRNAレベルで標準化する。ISIS403102およびMDA−MB−231乳癌細胞で処置した群におけるヒトGAPDHレベルを、他の2つのマウス群におけるヒトGAPDHレベルと比較する。この実験は、第7因子の阻害が、肺における転移の発生に及ぼす効果を評価するために計画される。
【0351】
(実施例20)
肝線維症に対するマウス第7因子のアンチセンス阻害のインビボ効果
ISIS403102による第7因子の阻害が実験的肝線維症に及ぼす効果を四塩化炭素肝傷害モデルで評価する。
【0352】
処置
第1のBALB/cマウス群では、20mg/kgのISIS403102を週に2回、8週間にわたって皮下注射する。第2のマウス群では、PBSを週に2回、8週間にわたって皮下注射する。ISIS403102またはPBSによる最初の処置の2週間後に、両方のマウス群に、95μlの鉱油に溶解した5μlの四塩化炭素(CCl)を、週に2回、5週間にわたって腹腔内投与する。第3のマウス群には、100μlの鉱油だけを注射する。マウスをイソフルオランによる麻酔後に、頸椎脱臼によって屠殺する。肝臓組織をすべてのマウスから収集する。リアルタイムRT−PCRを使って、1型コラーゲン、α−平滑筋アクチン、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)3、TGF−β、Timp1およびTimp2(MMPインヒビター)を含む線維症関連遺伝子の発現を決定する。実験群におけるレベルを対照マウスにおけるレベルと比較して、第7因子の阻害が肝線維症の発生に及ぼす効果を評価する。
【0353】
(実施例21)
コラーゲン誘発関節炎に対するマウス第7因子のアンチセンス阻害のインビボ効果
ISIS403102による第7因子の阻害が、組織因子−第7因子複合体の形成ならびに関節炎および慢性関節リウマチにつながる関節中のフィブリン蓄積におけるその役割に及ぼす効果を、コラーゲン誘発関節炎モデルで評価する。
【0354】
処置
第1のDBA/1Jマウス群では、20mg/kgのISIS403102を、週に2回、8週間にわたって皮下注射する。2つのマウス群には、PBSを週に2回、8週間にわたって注射する。最初のISIS403102処置の2週間後に、II型ウシコラーゲン(Chondrex)を完全フロイントアジュバントと混合し、氷上でホモジナイズし、100μgのコラーゲンを含有するそのエマルションを実験群および第1対照群に皮下注射する。1回目のコラーゲン注射の7日後に、これらの群の両方に、100μgのII型コラーゲンが不完全フロイントアジュバントに入っているブースター注射剤を皮下注射する。
【0355】
すべての群のマウスを、1回目のコラーゲン注射後の18日目から、末梢関節における関節炎の外観について、毎日検査する。関節炎の臨床的重症度を次のようにスコア化する:親指を除く各指の腫脹に対して1ポイント(最大4ポイント)、足根または手根関節に対して1ポイント、および足根中足または手根中手関節に対して1ポイントで、最大スコアは後肢については6、前肢については5。各足に個別に等級をつけて、マウス1匹あたりの累積関節炎スコアは最大22ポイントに達する。実験群における関節炎を、対照群と比較して、第7因子の阻害が関節における関節炎の発生に及ぼす効果を評価する。
【0356】
最初のコラーゲン注射の6週間後に、最大レベルの関節炎が誘発されるだろう。マウスをイソフルオランで麻酔し、血漿を集めた後、マウスを頸椎脱臼によって屠殺する。第7因子mRNAのRNA分析用に、肝臓を収集する。3つの群のすべてから集めた血漿を凝固時間(PTおよびaPTT)について分析する。血漿中のトロンビン−アンチトロンビン(TAT)複合体の測定もELISAによって行う。実験群の結果を対照群と比較して、第7因子の阻害が、凝固時間およびTAT複合体の形成に及ぼす効果を評価する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
12〜30個の連結されたヌクレオシドからなり、核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、その核酸塩基配列が、配列番号1のヌクレオチド15128〜15223の同じ数の核酸塩基に相補的な少なくとも12個の連続する核酸塩基部分を含み、その修飾オリゴヌクレオチドが配列番号1に少なくとも80%相補的である化合物。
【請求項2】
一本鎖修飾オリゴヌクレオチドからなる請求項1の化合物。
【請求項3】
修飾オリゴヌクレオチドが配列番号53の核酸塩基配列を有する、請求項2の化合物。
【請求項4】
修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号167のいずれかの核酸塩基配列に少なくとも80%相補的である、請求項2の化合物。
【請求項5】
修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号167のいずれかの核酸塩基配列に少なくとも90%相補的である、請求項2の化合物。
【請求項6】
修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号167のいずれかの核酸塩基配列に100%相補的である、請求項2の化合物。
【請求項7】
少なくとも1つのヌクレオシド間結合が修飾ヌクレオシド間結合である、請求項2の化合物。
【請求項8】
各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、請求項7の化合物。
【請求項9】
少なくとも1つのヌクレオシドが修飾糖を含む、請求項2の化合物。
【請求項10】
少なくとも1つの修飾糖が二環式糖である、請求項9の化合物。
【請求項11】
少なくとも1つの修飾糖が2’−O−メトキシエチルを含む、請求項9の化合物。
【請求項12】
少なくとも1つのヌクレオシドが修飾核酸塩基を含む、請求項2の化合物。
【請求項13】
修飾核酸塩基が5−メチルシトシンである、請求項12の化合物。
【請求項14】
修飾オリゴヌクレオチドが、
連結されたデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
連結されたヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;
連結されたヌクレオシドからなる3’ウイングセグメント;
を含み、ギャップセグメントは5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントに直接隣接してそれらの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが修飾糖を含む、請求項2の化合物。
【請求項15】
修飾オリゴヌクレオチドが、
10個の連結されたデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
5個の連結されたヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;
5個の連結されたヌクレオシドからなる3’ウイングセグメント;
を含み、ギャップセグメントは5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントに直接隣接してそれらの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが2’−O−メトキシエチル糖を含み、各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である、請求項14の化合物。
【請求項16】
修飾オリゴヌクレオチドが、
14個の連結されたデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
3個の連結されたヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;
3個の連結されたヌクレオシドからなる3’ウイングセグメント;
を含み、ギャップセグメントは5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントに直接隣接してそれらの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが2’−O−メトキシエチル糖を含み、各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である、請求項14の化合物。
【請求項17】
修飾オリゴヌクレオチドが、
13個の連結されたデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
2個の連結されたヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;
5個の連結されたヌクレオシドからなる3’ウイングセグメント;
を含み、ギャップセグメントは5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが2’−O−メトキシエチル糖を含み、各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である、請求項14の化合物。
【請求項18】
修飾オリゴヌクレオチドが、
12個の連結されたデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
2個の連結されたヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;
2個の連結されたヌクレオシドからなる3’ウイングセグメント;
を含み、ギャップセグメントは5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが2’−O−メトキシエチル糖を含み、各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である、請求項13の化合物。
【請求項19】
配列番号53の核酸塩基配列の少なくとも12個の連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を含む12〜30個の連結されたヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドまたはその塩と、医薬上許容される担体または希釈剤とを含む組成物。
【請求項20】
修飾オリゴヌクレオチドが一本鎖修飾オリゴヌクレオチドからなる、請求項19の組成物。
【請求項21】
修飾オリゴヌクレオチドが20個の連結されたヌクレオシドからなる、請求項19の組成物。
【請求項22】
配列番号53の核酸塩基配列の少なくとも12個の連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を含む12〜30個の連結されたヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを動物に投与することを含む方法。
【請求項23】
動物がヒトである、請求項22の方法。
【請求項24】
投与により深部静脈血栓症が予防される、請求項23の方法。
【請求項25】
投与により肺塞栓症が予防される、請求項23の方法。
【請求項26】
投与により過剰増殖性障害が処置される、請求項23の方法。
【請求項27】
投与により炎症状態が処置される、請求項23の方法。
【請求項28】
前記化合物と、アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモール、ヘパリン、レピルジン、チクロピジン、ワルファリン、アピキサバン、リバロキサバン、およびラブノックスから選択される群のいずれかとを併用投与することを含む、請求項23の方法。
【請求項29】
前記化合物と、アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモール、ヘパリン、レピルジン、チクロピジン、ワルファリン、アピキサバン、リバロキサバン、およびラブノックスから選択される群のいずれかとが、同時に投与される、請求項23の方法。
【請求項30】
投与が非経口投与である、請求項23の方法。
【請求項31】
非経口投与が皮下投与または静脈内投与のいずれかである、請求項30の方法。
【請求項32】
血栓塞栓性合併症を有するリスクがある動物を同定すること、および
そのリスクがある動物に、12〜30個の連結されたヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物の治療有効量を投与すること
を含む方法であって、その修飾オリゴヌクレオチドが第9因子核酸に相補的である方法。
【請求項33】
血栓塞栓性合併症が深部静脈血栓症、肺塞栓症、またはそれらの組み合わせである、請求項32の方法。

【公表番号】特表2011−502514(P2011−502514A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533220(P2010−533220)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/082526
【国際公開番号】WO2009/061851
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(505422028)アイシス ファーマシューティカルズ インコーポレイティッド (16)
【Fターム(参考)】