説明

筆記具

【目的】 鮮やかな赤系インキでありながら光に晒しても変色しにくいインキを得て、透明な容器に充填して外部より色調や残量を視認できる筆記具を提供する。
【構成】 少なくとも水と赤色キサンテン染料と含イオウ水溶性有機溶剤とからなるインキ組成物を透明な容器に充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐光性に優れた筆記具用水性インキ組成物を、外部より色や量が視認できる透明な容器に充填した筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
筆記具用インキには、染料を着色剤にした染料インキや、顔料を着色剤にした顔料インキや、染料と顔料を併用した染顔料インキがあり、着色剤を1種または2種以上混合して多種多様な色が作られている。これらのインキを透明性の容器に充填して、インキの色が外観から分かるようにしたりインキ残量が確認できるようにしたりした筆記具が広く使用されている。
中でも水溶性染料を着色剤にした水性インキは鮮やかな筆跡になるので好まれている。しかし、一般に染料は顔料に比べて耐光性が弱いという問題がある。耐光性を向上させる手段としては、インキ中に紫外線吸収剤やラジカル捕捉剤を添加することが知られている。例えば、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤やラジカル捕捉剤をインキ中に添加する方法がある。(特許文献1及び2)。
【0003】
【特許文献1】特開昭62−106971号公報
【特許文献2】特開平9−279080号公報 しかしながら、これらは十分な効果を発揮するまでには至っていない。従来公知の紫外線吸収剤やラジカル捕捉剤は水に不溶なので、水性インキに添加する際には界面活性物剤で乳化したエマルジョン状態にして添加している。そのため、微視的には紫外線吸収剤やラジカル捕捉剤はインキ中にエマルジョンの大きさで不均一に分布している状態であり、紫外線が直接染料に照射される機会が多く残っていたり、発生したラジカルが近傍の染料を分解する機会が多く残っていたりしている。その結果、従来の紫外線吸収剤やラジカル捕捉剤では染料を使用した水性インキの変色は防止できないものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
赤色キサンテン染料は鮮やかな色調を有するので筆記具用インキに多用されている。しかし、赤色キサンテン染料は他の構造の染料に比べて光に晒されると分解され易い性質がある。そのため、赤色キサンテン染料を着色剤にしたインキは、透明性の容器に充填して光に長時間晒されるという比較的光反応性が弱い条件でも短時間で着色剤が変質して発色性が低下してしまい、筆跡の色調が初期と大きく異なってしまう問題があった。本発明の目的は、水性インキ中に微視的に見ても均一な状態で存在可能な光変色防止剤を見出して、赤色キサンテン染料を着色剤に使用しても耐光性のある水性インキ組成物を得ることにある。さらに、そのインキを色や量が外部から視認できる透明な容器に充填した視認性の良い筆記具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、含イオウ水溶性有機溶剤が水性インキ中でラジカル捕捉剤として作用することを見出したもので、少なくても水と赤色キサンテン染料と含イオウ水溶性有機溶剤とからなるインキ組成物を透明性の容器に充填する筆記具を要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
キサンテン構造は陽イオン性の炭素と対面する酸素の反応性が高く、光応性でキサンテン染料が分解する際に炭素−酸素間で切れて活性酸素(ラジカル)が生じ易い。反応性が高いラジカルは近傍の染料を分解してしまうので、キサンテン染料は光変退色し易い。
一方、含イオウ水溶性有機溶剤は分極しているが、水などの極性物質を含む水性インキ中では分極が拡大するため、イオウ原子が持っている電子が非局在化して反応性が上がる。イオウはとりうる電荷の巾が大きいため、反応性が高まったイオウを含む有機溶剤はラジカルの不対電子を反応性がない電子対に変える能力が高く、ラジカル捕捉剤として作用する。また、含イオウ水溶性有機溶剤は水性インキ中に分子レベルの微細な状態で均一に存在するため、キサンテン染料が光に晒されてラジカルを生じても、そのラジカルが近傍の染料を分解する前に捕捉されてしまうので、変退色が最小限になる。このような理由のため、含イオウ水溶性有機溶剤を添加したインキがキサンテン染料の光変退色を抑制するものと推測される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
水は水性インキ組成物の主液媒体である。
【0008】
赤色キサンテン染料は各種公知の染料が使用可能である。
例を挙げると、C.I.アシッドレッド50、同51、同52、同87、同91、同92、同93、同94、同95、同98などの酸性染料、C.I.ベーシックレッド1などの塩基性染料があり、1種もしくは2種以上を混合して使用できる。
【0009】
含イオウ水溶性有機溶剤は分子内にイオウを含み水と任意の割合で相溶する有機溶剤であり、ラジカル捕捉剤として作用するもので、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルスルホン、チオモノグリコール、チオジグリコール等がある。
【0010】
透明なインキ容器は、外部より色や量が視認できる程度の透明性をもった中空体で、インキは中空部分に充填される。各種公知の透明性の高分子化合物が使用できるが、例としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレン−ビニルアルコール共重合体、環状オレフィン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、複数混合したり層状に重ねたりしても良く、ブローや射出など公知の成型方法が使用できる。一方が開放しているボトル型でも両端が開放しているパイプ型でも良く、ペン先は開放部に直接取り付けてもペン先ホルダーを介して取り付けても良い。インキの上面にフロートやグリスやスポンジなどのインキ追従体や逆流防止体を入れても良い。
さらに水性組成物が容器の内壁に付着することを抑制するためなど、必要に応じて容器内面にシリコーン樹脂やフッ素樹脂などの撥水撥油剤を塗布することもできる。
【0011】
赤色系インキ組成物の補色の着色剤としては従来公知の染料が使用できる。
具体例としては、C.I.ダイレクトエロー4、同26、同44、同50、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、ダイレクトレッド1、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、C.I.ダイレクトブルー1、同15、同41、同71、同86、同87、同106、同108、同199などの直接染料や、C.I.アシッドエロー1、同7、同17、同19、同23、同25、同29、同38、同42、同49、同61、同72、同78、同110、同127、同135、同141、同142、C.I.フードエロー3、C.I.フードレッド14、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、同109、同110、同119、同154、C.I.アシッドレッド8、同9、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同57、同82、同83、同111、同129、同131、同138、同186、同249、同254、同265、同276、C.I.アシッドバイオレット15、同17、同49、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同40、同41、同43、同62、同78、同83、同90、同93、同100、同103、同104、同112、同113、同158、C.I.アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27、C.I.アシッドオレンジ56、C.I.アシッドブルー74、C.I.アシッドグリーン5などの酸性染料等が挙げられる。
【0012】
低温時での水性組成物の凍結防止、染料の可溶化剤、顔料の分散媒等、種々の品質を担う液媒体として、従来公知の水溶性有機溶媒が使用できる。具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
【0013】
着色剤を定着させるためなどで各種樹脂を併用することもできる。例えば、セラック、スチレン−マレイン酸共重合体及びその塩、スチレン−アクリル酸共重合体及びその塩、α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体及びその塩、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、尿素樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルキルエーテル、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂やその水素添加物、ケトン樹脂、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合物などが挙げられる。
【0014】
水性組成物としての適切な流動特性を得るために水溶性高分子化合物を用いることができる。例えば、アラビアガム、トラガカントガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、カラギーナン、ゼラチン、カゼイン、キサンテンガム、デキストラン、ウェランガム、ラムザンガム、アルカガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ヒドロキシプロピル化グァーガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、アクリル樹脂塩、アクリル酸とアルキルメタクリレートの共重合体又はそれらの塩がある。
【0015】
黴の発生を防止するために、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、安息香酸ナトリウム、モルホリン、モルホリン誘導体などの防腐防黴剤を適宜加えることもできる。
【0016】
水性組成物のpHを調整するために、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオールなどの塩基性物質や、硫酸などの酸性物質を添加してもよい。
【0017】
染料等の溶解促進や顔料等の分散安定性向上のために界面活性剤を配合しても良い。非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン2〜30モル付加{以下POE(2〜30)と略す。}オレイルエーテル、POE(2〜35)ステアリルエーテル、POE(2〜20)ラウリルエーテル、POE(1〜20)アルキルフェニルエーテル、POE(6〜18)ベヘニルエーテル、POE(5〜25)2−デシルペンタデシルエーテル、POE(3〜30)2−デシルテトラデシルエーテル、POE(8〜16)2−オクチルデシルエーテル、等のエーテル型活性剤、およびPOE(4〜60)硬化ヒマシ油、POE(3〜14)脂肪酸モノエステル、POE(6〜30)脂肪酸ジエステル、POE(5〜20)ソルビタン脂肪酸エステル等のエステル型活性剤、更にPOE(2〜30)グリセリルモノイソステアレート、POE(10〜60)グリセリルトリイソステアレート、POE(7〜50)硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE(12〜60)硬化ヒマシ油トリイソステアレート等のエーテルエステル型活性剤等のエチレンオキシド付加型界面活性剤およびデカグリセリルテトラオレート、ヘキサグリセリルトリイソステアレート、ジグリセリルジイソステアレート、グリセリルモノオレエート等のグリセリン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル型界面活性剤があげられる。これらの中で、デカグリセリルテトラオレート、ヘキサグリセリルトリイソステアレート、ジグリセリルジイソステアレート等のジグリセリン以上のポリグリセリン脂肪酸エステル、POE(2〜12)ラウリルエーテル、POE(6〜15)ベヘニルエーテル、POE(5〜20)2−デシルペンタデシルエーテル、POE(5〜17)2−デシルテトラデシルエーテル、POE(8〜16)2−オクチルデシルエーテル等のPOE付加エーテル型活性剤、およびPOE(10〜20))硬化ヒマシ油、POE(5〜14)オレイン酸モノエステル、POE(6〜20)オレイン酸ジエステル、POE(5〜10)ソルビタンオレインエステル等のPOE付加エステル型活性剤、POE(3〜15)グリセリルモノイソステアレート、POE(10〜40)グリセリルトリイソステアレート等のPOE付加エーテルエステル活性剤等のエチレンオキシド付加型の非イオン性界面活性剤の一種または二種以上が使用できる。また、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、表面張力調整や消泡のためにシリコーン系界面活性剤やフッ素系界面活性剤等を、さらに乾燥抑制のために尿素やソルビット、キシリット等の糖アルコールを、防錆のためにベンゾトリアゾール、エチレンジアミン四酢酸などを、さらに各種の香料などを用いることもできる。
【0018】
水性組成物の製造方法としては従来知られている種々の方法が採用できる。例えば、ボールミル、ビーズミル、ロールミル、ヘンシェルミキサー、プロペラ撹拌機、ホモジナイザー、ニーダー等の装置を使用して作ることが出来る。濾過や遠心分離を行い粗大粒子や気体を除いても良い。製造時に加熱や冷却や加圧や減圧や不活性ガス置換をしても良い。動力は電気でも加圧空気でも良い。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、組み合わせて使用しても良い。
【0019】
筆記具の形態はボールペン、繊維芯、筆ペン、万年筆など、従来公知のものが使用できる。
【0020】
ボールペンの場合は、ボールを回転自在に抱持するボールホルダーの材質には金属や合成樹脂が使用できる。金属としては洋白、真鍮、ステンレス等が、また合成樹脂としてはポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ナイロン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアクリレート樹脂等が用いられる。
ボールペンのボールは、基材としてタングステンカーバイド等からなるいわゆる超硬合金、ステンレス、セラミックス、ルビーなど、ボールホルダーより硬い材料が好適に選択され、更に酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素から選ばれる1種もしくは2種以上を少なくとも表面に有するものである。
ボールの直径は0.1mmから2.0mm程度までがよく使用されているがこれに限定するものではない。またペン先の密閉性を高めるために、ボールホルダー内にコイルスプリング等の弾性体を配置しても良い。
【0021】
含イオウ水溶性有機溶剤のラジカル捕捉作用はインキ中の高分子の分解等で発生したラジカルに対しても有効であるので、他の染料の変退色抑制にも効果があるものである。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。各実施例中単に「部」とあるのは「重量部」を表す。
【0023】
実施例1
水 81.7部
C.I.アシッドレッド87(赤色染料) 5.0部
ジメチルスルホキシド (含イオウ水溶性有機溶剤) 10.0部
キサンタンガム(水溶性高分子化合物、ケルザン、三晶(株)製) 0.3部
オレオイルサルコシン(界面活性剤) 0.5部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0部
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム 0.3部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して赤色水性染料インキ組成物を得た。
【0024】
実施例2
水 88.1部
C.I.アシッドレッド87(赤色染料) 1.7部
C.I.アシッドレッド92(赤色染料) 1.8部
スルホラン(含イオウ水溶性有機溶剤) 5.0部
カルボキシメチルセルロース(水溶性高分子化合物、ダイセル、CMCダイセル1330)
0.4部
オレオイルサルコシン(界面活性剤) 0.5部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0部
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム 0.3部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して赤色水性染料インキ組成物を得た。
【0025】
実施例3
水 88.2部
C.I.アシッドレッド87(赤色染料) 1.7部
C.I.アシッドレッド92(赤色染料) 1.8部
チオジグリコール(含イオウ水溶性有機溶剤) 5.0部
キサンタンガム(水溶性高分子化合物、ケルザン、三晶(株)製) 0.3部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(界面活性剤) 0.5部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0部
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム 0.3部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して赤色水性染料インキ組成物を得た。
【0026】
実施例4
水 79.7部
C.I.アシッドレッド87(赤色染料) 3.5部
C.I.アシッドイエロー42(黄色染料) 3.5部
チオジグリコール(含イオウ水溶性有機溶剤) 10.0部
ポリアクリル酸(水溶性高分子化合物、ジュンロンPW−110、日本純薬(株)製)
0.3部
オレオイルサルコシン(界面活性剤) 0.5部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0部
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム 0.3部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して橙色水性染料インキ組成物を得た。
【0027】
実施例5
水 74.3部
C.I.アシッドレッド54(赤色染料) 1.1部
C.I.ダイレクトブルー87(青色染料) 1.1部
チオジグリコール(含イオウ水溶性有機溶剤) 10.0部
グリセリン(水溶性有機溶剤) 10.0部
キサンタンガム(水溶性高分子化合物、ケルザン、三晶(株)製) 0.5部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(界面活性剤) 0.5部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0部
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム 0.3部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して紫色水性染料インキ組成物を得た。
【0028】
比較例1
水 83.0部
C.I.アシッドレッド87(赤色染料) 1.7部
C.I.アシッドレッド92(赤色染料) 1.8部
グリセリン(水溶性有機溶剤) 10.0部
キサンタンガム(水溶性高分子化合物、ケルザン、三晶(株)製) 0.5部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(界面活性剤) 0.5部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0部
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム 0.3部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して赤色水性染料インキ組成物を得た。
【0029】
比較例2
水 73.0部
C.I.アシッドレッド87(赤色染料) 1.7部
C.I.アシッドレッド92(赤色染料) 1.8部
グリセリン(水溶性有機溶剤) 10.0部
エチレングリコール (水溶性有機溶剤) 10.0部
キサンタンガム(水溶性高分子化合物、ケルザン、三晶(株)製) 0.5部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(界面活性剤) 0.5部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0部
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム 0.3部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して赤色水性染料インキ組成物を得た。
【0030】
比較例3
水 82.0部
C.I.アシッドレッド87(赤色染料) 1.7部
C.I.アシッドレッド92(赤色染料) 1.8部
グリセリン(水溶性有機溶剤) 10.0部
2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルフォベンゾフェノンナトリウム (紫外線吸収剤) 1.0部
キサンタンガム(水溶性高分子化合物、ケルザン、三晶(株)製) 0.5部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(界面活性剤) 0.5部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0部
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム 0.3部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して赤色水性染料インキ組成物を得た。
【0031】
比較例4
水 73.0部
C.I.アシッドレッド87(赤色染料) 1.7部
C.I.アシッドレッド92(赤色染料) 1.8部
グリセリン(水溶性有機溶剤) 10.0部
2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルフォベンゾフェノンナトリウム (紫外線吸収剤) 10.0部
キサンタンガム(水溶性高分子化合物、ケルザン、三晶(株)製) 0.5部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(界面活性剤) 0.5部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0部
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム 0.3部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して赤色水性染料インキ組成物を得た。
【0032】
比較例5
水 82.0部
C.I.アシッドレッド87(赤色染料) 1.7部
C.I.アシッドレッド92(赤色染料) 1.8部
グリセリン(水溶性有機溶剤) 10.0部
2,2’−5,5’−テトラメチルピペリジン (ラジカル捕捉剤) 1.0部
キサンタンガム(水溶性高分子化合物、ケルザン、三晶(株)製) 0.5部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(界面活性剤) 0.5部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0部
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム 0.3部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して赤色水性染料インキ組成物を得た。
【0033】
比較例6
水 73.0部
C.I.アシッドレッド87(赤色染料) 1.7部
C.I.アシッドレッド92(赤色染料) 1.8部
グリセリン(水溶性有機溶剤) 10.0部
2,2’−5,5’−テトラメチルピペリジン (ラジカル捕捉剤) 10.0部
キサンタンガム(水溶性高分子化合物、ケルザン、三晶(株)製) 0.5部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(界面活性剤) 0.5部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.0部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0部
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム 0.3部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して赤色水性染料インキ組成物を得た。
【0034】
サンプル作製
実施例1のインキを外径3.0mm、内径2.6mmのポリエチレン製パイプに充填長さが100mmになるように2本充填した。
実施例2と比較例1〜6のインキを、外径4mm、内径3.0mmの透明なポリプロピレン製パイプに充填長さが100mmになるように、各2本ずつ充填した。
実施例3のインキを外径6mm、内径4mmの透明な環状オレフィン樹脂製パイプに充填長さが100mmになるように2本充填した。
実施例4のインキを外径11mm、内径8mmの透明なポリエチレンテレフタレート製パイプに充填長さが100mmになるように2本充填した。
実施例5のインキを外径15mm、内径14mmのエチレン−ビニルアルコール共重合体製パイプに充填高さが100mmになるように2本充填した。
インキ容器は開放部を熱溶着して密封した。同種のインキを充填した2本のサンプルの内の1本はアルミ箔で全体を覆って遮光してサンプルAとし、もう1本はそのままにしてサンプルB1とした。
【0035】
サンプルB1をスガ試験機(株)製キセノンウェザーメータWEL−25AXを使用して、試料面放射照度320W/m(波長範囲300−700nm)の条件で、ブルースケール3級褪色(JIS L 0841準拠)するまで露光して、サンプルB2とした。サンプルAは室内にそのまま放置した。
【0036】
インキ色調比較
サンプルAとサンプルB2からインキを取り出し、線径3ミルのバーコータで上質紙(JIS P 3201準拠)に均一に塗布して色片を作る。
乾燥後、同一のインキ同士で、サンプルAとサンプルB2の色片の色度L*、a*、b*と色差ΔE*を、スガ試験機(株)製カラーコンピュータ SM−5で求めた。ΔE*の値が小さいほど、変色が少ない。(色度、色差ともJIS Z 8723準拠)
インキ色度比較を表1に示す。ΔE*が3以下なら筆跡では差が見分けられない。
【0037】
【表1】

【0038】
以上のように、本発明のインキは、鮮やかな赤系インキでありながら、外部より色調や残量を視認できる透明な容器に充填して光に晒しても変色しにくい、耐光性に優れたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくても水と赤色キサンテン染料と含イオウ水溶性有機溶剤とからなるインキ組成物を透明なインキ容器に充填する筆記具。

【公開番号】特開2011−178822(P2011−178822A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41522(P2010−41522)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】