説明

筐体、操作パネル及び画像形成装置

【課題】筐体の組立て及び分解を容易に行う。
【解決手段】第1部材の周縁部の一側と他側に形成された係止部と、第2部材の周縁部の一側の枠部と他側の可撓爪部をそれぞれ係合することにより、第1部材と第2部材を組み立てて電子部品を収容するための内部空間を形成する。そして、手作業にて、可動爪部を内部空間の外部から押圧することにより、第1部材の係止部と第2部材の可動爪部の係合状態を解除し、この状態から第2部材を第1部材に対し回動し、第1部材の係止部と第2部材の枠部の係合状態を解除することにより、第1部材と第2部材を分解する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体、操作パネル及び画像形成装置に係り、更に詳しくは、第1部材と第2部材とを係合し、その内部に電子部品等の部品を収容するための空間が形成される筐体、該筐体を用いた操作パネル、及び該操作パネルを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、国内の企業や事業所などでは、製品の需要に対する柔軟な対応やコスト的な優位性を確保する目的で、生産活動の分業化が進められるようになっている。例えば、工場Aで製品の筐体やその外装からなるユニットを製造し、工場Bでユニットに実装されるパーツを製造し、工場Cでこれらを組み立てて製品を完成する場合などである。
【0003】
また、国際的な観点からすると、労働力が豊富かつ安価な国で労働集約型の部品を製造し、製品の販売先となる別の国で、その部品の精密加工や繊細な部品の組み付け等を行なって製品を完成する、いわゆる国際分業が拡大しつつある。
【0004】
これらの製品の部品となるユニットやそのパーツなどには、生産毎に異なるリードタイムがあるため、それぞれ個別に仮組みされた状態で輸送され保管される。そして、組み立て時には、ユニットの全部又は一部を一旦分解して各パーツを実装し、本組みを行なうことにより製品が完成する。
【0005】
しかしながら、通常仮組みは本組みと同様の手順で行われる。このため、仮組みに本組みと同程度の時間を要し、また、分解作業の性質によってはユニット及びパーツの破損などを引き起こす可能性もあった。一方、仮組みを製品の分解を前提に行うと輸送や保管の際に部品の脱落を引き起こすことも予想される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、組立て及び分解を短時間で容易に行うことが可能な筐体を提供することにある。
【0007】
また、本発明の第2の目的は、製品の製造コストの削減を図ることが可能な操作パネル及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、第1部材と第2部材とを嵌合し、その内部に部品を収容するための空間が形成される筐体において、前記第1部材と前記第2部材の一方の部材には、その周縁部の一側と他側の少なくとも各一箇所に係止部が形成され、前記第1部材と前記第2部材の他方の部材には、その周縁部の一側と他側の少なくとも各一箇所に前記各係止部にそれぞれ係合する係止部が形成され、前記一側の係止部同士の係合は、外部からの押圧力の作用により解除可能であるとともに、その解除状態で、前記他側の係止部同士の係合部を回動中心として前記一方の部材を他方の部材に対して回動させることで前記他側の係止部同士の係合が解除されるように、前記各係止部が形成されていることを特徴とする筐体である。
【0009】
これによれば、筐体の第1部材と第2部材それぞれの周縁部の一側と他側の各一箇所に形成された係止部同士がそれぞれ係合することにより、部品を収容するための内部空間が形成されている。そして、一側の係止部同士の係合を、内部空間の外部から押圧力を作用させて解除し、他側の係止部同士の係合部を回動中心として一方の部材を他方の部材に対して回動させて他側の係止部同士の係合を解除することで、係合された第1部材と第2部材を分解することができる。
【0010】
したがって、螺子などの固定具などを必要とすることなく、短時間で容易に第1部材と第2部材を組み立てることができ、また、単純な動作で短時間に第1部材と第2部材を分解することが可能となる。
【0011】
この場合において、請求項2に記載の筐体の如く、前記一方の部材、他方の部材の前記一側の係止部は、相互に係止される係止爪であり、前記一方の部材の係止爪は、外部から押圧可能であるとともに、その押圧力の作用により、前記他方の部材の係止爪との係合が解除されることとすることができる。
【0012】
この場合において、請求項3に記載の筐体の如く、前記一方の部材には、前記外力の作用による前記係止爪の変形を規制するストッパが設けられていることとすることができる。
【0013】
この場合において、請求項4に記載の筐体の如く、前記ストッパは、部品の一部であることとすることができる。
【0014】
上記請求項3及び5に記載の各筐体において、請求項6に記載の筐体の如く、前記一方の部材に設けられた前記係止爪は、鋭角に傾斜した鉤部を有することとすることができる。
【0015】
上記請求項1〜5に記載の各筐体において、請求項6に記載の筐体の如く、前記一方の部材には、前記一側の係止部同士の係合を手作業にて解除する際に、指を引っ掛けるための凹部が形成されていることとすることができる。
【0016】
上記請求項1〜6に記載の各筐体において、請求項7に記載の筐体の如く、前記一方の部材及び前記他方の部材の少なくとも一方には、前記部品の移動を規制する位置決めピンが設けられ、前記一方の部材と前記他方の部材は、相互間に少なくとも一つの部品を狭持することとすることができる。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の筐体と;前記筐体の第1部材と第2部材とに挟持された表示装置と;前記筐体内部の前記空間に収容された電子部品を含む各種部品と;を備える操作パネルである。
【0018】
これによれば、操作パネルは、請求項1〜7のいずれかに記載の筐体を備えている。したがって、操作パネルの仮組みを含む製造工程において、短時間で簡単に操作パネルの分解及び組立てができ、結果的に製造コストの削減を図ることが可能となる。ここで、仮組みとは、操作パネルが製造工程において分解されることを前提に組み立てられた状態をいう。
【0019】
請求項9に記載の発明は、前記操作パネルと;前記操作パネルが電気的に接続され、前記操作パネルを介して操作可能な画像形成装置本体と;を備える画像形成装置である。
【0020】
これによれば、請求項8に記載の操作パネルを備えているため、画像形成装置の製造工程において製造コストの削減を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図12(C)に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る画像形成装置としての複写機100の外観が示されている。
【0022】
この複写機100は、ユーザからの指令に基づいて複写対象である原稿の画像を読み取って用紙に複写する略直方体の形状を有する複写機本体20と、複写機本体20の前面(図1における−Y側の面)の上端部に固定された操作パネル10などを含んで構成されている。
【0023】
複写機本体20は、複写対象となる原稿の画像情報を読み取るためのスキャナ装置と、スキャナ装置により読み取った画像情報に基づいて、感光体上に潜像を形成する光走査装置と、感光体上の潜像をトナーなどを用いて顕像化するとともに、用紙に転写する転写装置と、操作パネルからの入力信号を受信する通信装置と、これらを統括的に制御する制御装置(いずれも不図示)などを備えている。なお、ここでは、用紙の自動送りに用いられるオートシートフィーダーを含み、複写機本体20と呼んでいる。
【0024】
操作パネル10は、図2に示されるように、相互に係合するカバー(上カバー)16とベース(下カバー)12とを含む筐体11と、カバー16とベース12とにより形成される筐体11の内部空間に収容される基板61,62及びディスプレイユニット50など(図4参照)の電子部品を含む多数の部品を備えている。
【0025】
カバー16は、例えば、プラスチックを射出成形することにより形成されている。このカバー16は、図3(A)の平面図及び図3(B)の側面図を総合するとわかるように、X軸方向を長手方向とする平面視長方形状の天板部16aと、該天板部16aの外周縁に形成された側壁部16bとを含む、YZ断面U字状の部材である。天板部16aの中央には、図3(A)に示されるように、天板部16aの図3(A)におけるX軸方向(天板部16aの長手方向)を長手方向とする長方形の開孔16cが形成されている。天板部16aの開孔16cの−X側には、種々の機能キーの押しボタンがそれぞれ挿入される複数の長方形状の開孔などが形成されたインターフェイス部18が形成され、天板部16aの開孔16cの+X側にはテンキーその他の押しボタンがそれぞれ挿入される複数の丸孔などが形成されたインターフェイス部19が形成されている。
【0026】
そして、図4に示されるように、インターフェイス部18が設けられた部分の筐体11の内部空間には、基板61が収容され、インタインターフェイス部19が設けられた部分の筐体11の内部空間には、基板62が収容されている。
【0027】
カバー16の天板部16aの−X側の下面には、長手方向をZ軸方向とする円筒状の2つの突起72が設けられ、基板61には、これらの突起72に対応する2つの丸孔が形成されている。そして、基板61は、その丸孔に突起72がそれぞれ挿入された状態で、カバー16の天板部16aの下面に、不図示の螺子などにより取り付けられている。
【0028】
カバー16の天板部16aの+X側の下面には、長手方向をZ軸方向とする円筒状の2つの突起73が設けられ、基板62には、これらの突起73に対応する2つの丸孔が形成されている。そして、基板62は、その丸孔に突起73がそれぞれ挿入された状態で、カバー16の天板部16aの下面に、不図示の螺子などにより取り付けられている。
【0029】
ディスプレイユニット50は、図4及び図5の分解斜視図に示されるように、ホルダ51と、ホルダ51に保持される液晶ディスプレイ60を含んでいる。ホルダ51は、図5に示されるように、例えば金属製の板状部材を板金加工することにより形成され、YZ断面S字状の棒状部分から成る固定部53と、該固定部53の下端部に一体的に設けられた矩形状のフレーム部52とを有している。そして、液晶ディスプレイ60は、ホルダ51のフレーム部52の上部に載置され、4つの螺子54によりホルダ51に固定されている。
【0030】
このようにして構成されたディスプレイユニット50は、図4に示されるように、下方からホルダ51に形成された、例えば4つの丸孔に挿入された螺子55によってカバー16の天板部16bの下面に取り付けられている。
【0031】
ベース12は、例えば、プラスチックを射出成形することにより形成されている。このベース12は、図6(A)に示される底面図及び図6(B)に示される−X側から見た側面図を総合するとわかるように、X軸方向を長手方向とする平面視長方形の段つきの底板部12aと、底板部12aの外周縁に形成された側壁部12dとを有している。
【0032】
底板部12aは、中央のX軸方向を長手方向とする長方形の部分に、下側に(−Z側)に突出した底面部12bが形成され、突出部12bの+Y側を除く外周に沿った平面視U字状の部分には溝部12cが形成されている。そして、底面部12bの溝部12cに囲まれた部分の長手方向(図6(A)におけるX軸方向)の両端部近傍には一対の凹部12eが形成され、この凹部12eの−Y側に金属プレート30A,30Bが、例えば複数のボルトなどにより固定されている。さらに底板部12aには、底部に丸孔が形成された凹部12hが外周に沿って7箇所形成され、凹部12hと同様の凹部が底面部12bの溝部12cに2箇所設けられている。
【0033】
また、このベース12の+Y側の端部の中央部近傍が、底板部12bから側壁部12dに渡って一部矩形状に切り取られ、切欠12fが形成され、この切欠12fを挟む側壁部12bの、図6(A)中に矢印Aで指し示される位置に、切欠12fよりも小さい一対の矩形上の切欠12gがそれぞれ形成されている。
【0034】
上記のように構成されたベース12とカバー16は、図6(A)と、図2のA−A線に沿った断面を一部省略して示す断面図である図7とを総合するとわかるように、図6(A)中の矢印Bで指し示された位置で、カバー16の側壁部16bの内側(+Y側)に形成された爪部17と、ベース12の側壁部12dの上端部に形成された枠部14が係合し、矢印Aで指し示される位置で、カバー16の側壁部16bの内側(−Y側)に形成された爪部17に、ベース12の切欠12gが形成された側壁部12dの上端に形成された爪部13が係止することにより上下に嵌合している。
【0035】
これをさらに詳述すると、矢印Bで指し示される位置近傍のカバー16の側壁部16bとベース12の側壁部12dを一部破砕して示す図8の拡大図に示されるように、カバー16の側壁部16bの内側(+Y側)の下端部には、断面三角形状の爪部17がその返し面17aが+Z側に位置し、XY平面にほぼ平行になるように形成され、この爪部に、ベース12の側壁部12dの上端部に形成されたU字状の枠部14が係合している。
【0036】
一方、矢印Aで指し示される位置近傍のカバー16の側壁部16bとベース12の側壁部12dを一部破砕して示す図9の拡大図に示されるように、カバー16の側壁部16bの内側(−Y側)の下端部には、断面三角形状の爪部17がその返し面17aが+Z側に位置し、XY平面にほぼ平行になるように形成されている。ベース12の側壁部12dに形成された切欠12gの部分には、上方に延びる爪部13が形成されている。この爪部13は、板状部13aと、該板状部13aの先端(上端)に形成された+Y側に突出する断面三角形状の鉤部13cとを有するYZ断面鈎針状の部材である。
【0037】
そして、爪部17と可等爪部13は、図10に示されるように、鉤部13cの返し面13bと爪部17の返し面17aとが、角度α(αは10度以下)を成して当接するように係合している。すなわち、爪部13は、鋭角に傾斜した鉤部13cを有している。この傾斜角が図10には、角度θで示されている。
【0038】
ここで、爪部13は、プラスチックを射出成形することより形成されたベースの一部であり、力を加えることで撓ませることができる。従って、以下この爪部13を可撓爪部13と呼ぶものとする。また、上記のように、ベース12とカバー16とが、カバー16の側壁部16bの内側に形成された爪部17と、ベース12の側壁部12dに形成された枠部14及び可撓爪部13のみによって嵌合している状態を仮組み状態といい、ベース12とカバー16を仮組み状態にすることを仮組みというものとする。
【0039】
仮組みされたカバー16とベース12は、図2におけるB−B線に沿った断面を一部省略して示す断面図である図11(A)、図2におけるC−C線に沿った断面を一部省略して示す断面図である図11(B)、図2におけるD−D線に沿った断面を一部省略して示す断面図である図11(C)に示されるように、ベース12に形成された凹部12hの丸孔に螺子55が挿入され、基板61、ディスプレイユニット50のホルダ51、又は基板62を貫通した状態で、カバー16の天板部16aの下面に形成された筒状部16hに螺合されることにより一体化される。そして、ベース12に設けられた金属プレート30を介して、ボルトなどにより複写機本体20に装着される。
【0040】
ここで、仮組みされたカバー16とベース12を、例えば螺子などの固定具を用いて恒久的に、すなわち製品として成立する程度に固定されている状態を本組み状態といい、仮組みされたカバー16とベース12を本組み状態にすることを本組みというものとする。
【0041】
以上説明したように、本実施形態にかかる筐体11によると、カバー16の−Y側の側壁部16bの周縁部には3つの爪部17が形成され、+Y側の側壁部16bの周縁部に2つの爪部17が形成されている。一方、ベース12の−Y側の側壁部12dの周縁部に3つの枠部14が形成され、+Y側の側壁部12dの周縁部には一対の可撓爪部13が形成されている。
【0042】
したがって、図12(A)に示されるように、まず、カバー16が下側にくるように載置し、カバー16の−Y側の側壁部16bの3つの爪部17に、ベース12の枠部12をそれぞれ係合する。次に、この爪部17と枠部12の係合部を回動中心として、図12(A)における時計回りにベース12を回動し、図12(B)に示されるように、カバー16の+Y側の側壁部16bの2つの爪部17と、一対の可撓爪部13とをそれぞれ係合することより、ベース12とカバー16とを、工具などを必要とせず短時間で簡単に仮組みすることができる。
【0043】
ここで、上記のように、カバー16の爪部17とベース12の枠部12とが係合している部分を、便宜上、係合部21といい、カバー16の爪部17と、ベース12の可撓爪部13とが係合している部分を、便宜上、係合部22というものとする。
【0044】
また、図12(B)に示されるように、まずカバー16とベース12とにより形成された内部空間の外部から、切欠12gを介して、可撓爪部13を指などにより矢印の方向に押圧し撓ませることで、カバー16の+Y側の側壁部16bの爪部17と、可撓爪部13との係合状態を解除する。次に、係合部21を回動中心として、図12(A)における反時計回りにベース12を回動し、カバー16の−Y側の側壁部16bの爪部17と、ベース12の枠部14との係合状態を解除することにより、ベース12とカバー16とを、工具などを必要とせずに短時間で分解することができる。
【0045】
また、可撓爪部13を押圧する際には、例えば、ベース12の底面部12bに形成された凹部12eに親指をかけて、人差し指で切欠12gを介して可撓爪部13を可撓することができるので、可撓爪部13に容易に押圧力を作用させることが可能となる。この場合、必要以上の押圧力が作用されることが考えられるが、図12(B)に示されるように、可撓爪部13はカバー16に設けられたストッパ18により可撓する範囲が規制されているので、必要以上に撓むことがなく、結果的に塑性変形によって破損することがない。
【0046】
また、本実施形態に係る操作パネル10によると、ベース12とカバー16が係合することにより形成された内部空間に基板61,62及びディスプレイユニット50が収容されている。これにより、例えば、基板61,62をカバー16に取り付ける工場と、ディスプレイユニット50を組み付ける工場とが異なる場合には、基板61,62が取り付けられた状態の筐体11を仮組みし、これをディスプレイユニット50を組み付ける工場に輸送して分解した後、ディスプレイユニット50を組み付けて操作パネル10を完成させることができる。
【0047】
したがって、他の固定具を使用することなく、ベース12と基板61,62が取り付けられたカバー16とを簡単に短時間で仮組みすることができ、ディスプレイユニット50の組み付けの際は、ベース12とカバー16とを工具を必要とすることなく簡単に短時間で分解することができ、結果として、操作パネルの製造コストを削減することが可能となる。
【0048】
また、仮組みの際に基板61,62を螺子等で固定しなくても、基板61,62はカバー16に形成された突起72,73により、の所定面内での位置が規定された状態で、ベース16に形成された筒状部16hと、内部空間に突出するカバー12に形成された凹部12hによって挟持された状態で安定して筐体11内に収容される。したがって、ディスプレイユニット50を組み付ける際に、基板61,62を取りはずす必要がある場合には、基板61、62を固定する作業をする必要がなくなるため更に短時間で仮組みを行うことが可能となる。
【0049】
また、ディスプレイユニット50についても、基板61,62と同様に、ベース16に形成された筒状部16hと、内部空間に突出するカバー12に形成された凹部12hによって挟持された状態で安定して筐体11内に収容される。
【0050】
また、図10に示されるように、係合部22の爪部17の返し面17aと、可動爪部13の返し面13bは、角度αをなして当接している。したがって、操作パネル10の輸送中などに、例えば、複数の操作パネルが梱包された箱から、各操作パネル10を取り出すときに、ベース12とカバー16が引き離されるような力が作用したとしても、その分力がベース12の可撓爪部13の鉤部13に対し、カバー16の側壁部16bに近づくように作用するため、ベース12とカバー16が不要に分解することはない。
【0051】
また、本発明の複写機100によると、仮組みされた操作パネル10を複写機本体20に装着する場合には、機械的な接続や電気的な接続、又は装置の検査の際に、必要に応じて短時間で簡単に操作パネル10の仮組み及び分解ができるので、結果的に複写機100の製造コストを削減することが可能となる。
【0052】
なお、上記実施形態では、本発明の筐体が複写機100の操作パネル10に適用された場合について説明したが、これに限らず、電子部品が収納される筐体であればよい。例えば、パソコンのキーボードなどに適用しても、仮組み及び本組みを短時間で簡単に行うことができる。
【0053】
また、上記実施形態では、ベース12に一対の可撓爪部13が形成されている場合について説明したが、これに限らず、1つ又は複数の可撓爪部13が形成されていてもよい。しかしながら、手作業で仮組みの分解を行う場合には、分解作業の性質上、可撓爪部13は一対であることが好ましい。
【0054】
また、上記実施形態では、ストッパ18がカバー16に設けられている場合について説明したが、これに限らず、ベース12に設けられていてもよく、ストッパ18の位置に電子部品を配置することとしてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、本発明の筐体が複写機100の操作パネル10に用いられる場合について説明したが、これに限らず、複写機以外の画像形成装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機にも好適である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上説明したように、本発明の筐体は、電子部品を収納するのに適しており、本発明の操作パネルは、画像形成装置に対する指令を入力するのに適しており、本発明の画像形成装置は、入力された指令に基づいて画像を形成するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態にかかる複写機100を示す図である。
【図2】図1における複写機100の操作パネル10を示す斜視図である。
【図3】図3(A)は図2における操作パネル10のカバー16を示す平面図であり、図3(B)は図2における操作パネル10のカバー16を示す側面図である。
【図4】カバー16に取り付けられる、基板61、62及びディスプレイユニット50を示す展開斜視図である。
【図5】ディスプレイユニット50を示す展開斜視図である。
【図6】図6(A)は図2における操作パネル10のベース12を示す平面図であり、図6(B)は、図2における操作パネル10のベース12を示す側面図である。
【図7】図2におけるA−A線に沿った断面を、一部省略して示す断面図である。
【図8】カバー16とベース12の係合状態を説明するための斜視図(その1)である。
【図9】カバー16とベース12の係合状態を説明するための斜視図(その2)である。
【図10】可撓爪部13の鉤部13cを説明するための図である。
【図11】図11(A)、図11(B)及び図11(C)は、本組みされたカバー16とベース12の図2におけるB−B線に沿った断面、C−C線に沿った断面及びD−D線に沿った断面を、それぞれ一部省略して示す断面図である。
【図12】仮組みされたカバー16とベース12の分解動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0058】
10…操作パネル、11…筐体、12…ベース(第1部材)、12e…凸部、12e…凹部、13…可撓爪部、13c…鉤部、14…枠部、16…カバー(第2部材)、16h…筒状部、17…爪部、18…ストッパ、20…複写機本体、72,73…突起、50…ディスプレイユニット、60…液晶ディスプレイ、61、62…基板、100…複写機(画像形成装置)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と第2部材とを係合し、その内部に部品を収容するための空間が形成される筐体において、
前記第1部材と前記第2部材の一方の部材には、その周縁部の一側と他側の少なくとも各一箇所に係止部が形成され、
前記第1部材と前記第2部材の他方の部材には、その周縁部の一側と他側の少なくとも各一箇所に前記各係止部にそれぞれ係合する係止部が形成され、
前記一側の係止部同士の係合は、外部からの押圧力の作用により解除可能であるとともに、その解除状態で、前記他側の係止部同士の係合部を回動中心として前記一方の部材を他方の部材に対して回動させることで前記他側の係止部同士の係合が解除されるように、前記各係止部が形成されていることを特徴とする筐体。
【請求項2】
前記一方の部材、他方の部材の前記一側の係止部は、相互に係止される係止爪であり、前記一方の部材の係止爪は、外部から押圧可能であるとともに、その押圧力の作用により、前記他方の部材の係止爪との係合が解除されることを特徴とする請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記一方の部材には、前記外力の作用による前記係止爪の変形を規制するストッパが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の筐体。
【請求項4】
前記ストッパは、前記部品の一部であることを特徴とする請求項3に記載の筐体。
【請求項5】
前記一方の部材に設けられた前記係止爪は、鋭角に傾斜した鉤部を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の筐体。
【請求項6】
前記一方の部材には、前記一側の係止部同士の係合を手作業にて解除する際に、指を引っ掛けるための凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項7】
前記一方の部材及び前記他方の部材の少なくとも一方には、前記部品の移動を規制する位置決め部材が設けられ、
前記一方の部材と前記他方の部材は、相互間に少なくとも一つの部品を狭持することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の筐体と;
前記筐体の第1部材と第2部材とに挟持された表示装置と;
前記筐体内部の前記空間に収容された電子部品を含む各種部品と;を備える操作パネル。
【請求項9】
前記操作パネルと;
前記操作パネルが電気的に接続され、前記操作パネルを介して操作可能な画像形成装置本体と;を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−13249(P2007−13249A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−187658(P2005−187658)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】