説明

筐体時間貸し可能なゲーム機

【課題】 ゲーム機の時間占有オペレートを可能にすることにより、通常のゲームモードの他に一定の料金投入で一定時間フリープレイできる筐体時間貸しモードを有するゲーム機を提供する。
【解決手段】 デモ表示状態において、コイン投入でクレジットが入った場合、時間貸しモード設定がオフの場合は、通常のゲームモードでゲームを開始する。時間貸しモード設定がオンである場合は、コイン投入対応に設定されたクレジットの数が、時間貸しモードで設定されているクレジット数以上になっている場合は、通常のゲームモードか,時間貸しモードかの選択画面が表示され、プレイヤが時間貸しモードを選択すると、時間貸しモードで設定されている時間内は何回でもゲームを行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務用ビデオゲーム機などのコインオペレート設定方式に関する。
以下、本発明では、ゲーム機で設定された時間内であるならば、何回ゲームオーバーになっても繰り返しゲームができることを「フリープレイ」と定義付けする。
【背景技術】
【0002】
業務用ビデオゲーム機などは、プレイヤがコインを投入してゲームを行うものが一般的であり、コイン投入個数に応じてプレイ回数が決められている場合や1プレイに対し投入するコイン数が決められている場合が多い。このプレイ回数は、業務者側が設定できるようになっており、例えば、コイン2個でゲーム回数5回できるというものである。また、場合によっては無料でプレイができるゲーム機なども存在する。
【特許文献1】特開2000−299853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のコインオペレート設定方式では、プレイヤが同じゲーム機で何度ゲームを行っても、同じコイン数に対し同じゲーム数をプレイできるのみである。ゲームの回数を重ねる毎にプレイヤの腕前が向上することが予想され、対戦ゲームではクリアできる時間が短縮されるため、むしろ同じコイン数でゲームを行える時間が短くなるという問題がある。
また、ドライブゲームなどでは早く終わればプレイヤに有利になる場合に上手にできたにもかかわらず、何ら恩典がなく、プレイヤにとって不満が残る場合があった。
【0004】
本発明の目的は、上記問題を解決するもので、ゲーム機の時間占有オペレートを可能にすることにより、通常のゲームモードの他に一定の料金投入で一定時間フリープレイできる筐体時間貸しモードを有するゲーム機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために本発明の請求項1は、管理者用操作部によってゲームに関する種々の設定が可能なゲーム機において、管理者用操作部からの操作信号によって時間貸しモードを有するコインオペレート設定画面を立ち上げる管理画面起動手段と、前記コインオペレート設定画面で時間貸しモードを選択した場合、任意のクレジット数に対し任意の時間を入力できる時間貸しモード設定画面に切り換える画面切換手段と、前記クレジット数および時間を入力するためのクレジット数・時間入力手段と、前記クレジット数・時間入力手段でクレジット数および時間を入力し時間貸しモードを設定した場合、プレイ開始時に時間貸しモードでプレイができるようにするため時間貸しモード設定の情報を記憶する入力データ処理格納手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項2は、請求項1記載の発明において、コイン投入により、クレジットが設定されたことを検出する監視手段と、前記監視手段がクレジット設定を検出した場合、プレイヤが通常のゲームモードか,時間貸しモードのゲームかを選択できる画面を表示し、プレイヤが時間貸しモードを選択した場合は時間貸しモードでゲームを開始し、時間貸しモードで設定されている時間になったときゲームを終了させる処理を行う時間管理処理手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項3は、請求項2記載の発明において前記通常のゲームモードとは、nコインでm回プレイができるモードであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、プレイヤはプレイ料金を気にすることなく遊ぶことができる。特にプレイ時間が短いゲーム(対戦ゲームなど)では有効であり、十分に遊ぶことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は、本発明によるコインオペレート設定方式を適用したビデオゲーム機の外観の一例を示す斜視図である。
このビデオゲーム機1は、左右に並んだ2つの運転席を有し、左側に第1運転席2,第1運転操作部3および第1画面表示部4が、右側に第2運転席5,第2運転操作部6および第2画面表示部7がそれぞれ配置されているレースゲーム機である。
各レースゲーム機の回路部分は接続されていて、通信可能であり、例えば、第1ゲーム機側で、ゲーム開始に当たって第2ゲーム機側とレースを行う選択をした場合には、第1画面表示部4にプレイヤが選択した車と、対戦相手の車として第2ゲーム機側で選択された車が表示される。また、第2ゲーム機側ではなくコンピュータ側の車と対戦することも可能である。
【0008】
第1画面表示部4(第2画面表示部7)にデモ画面が表示されている状態でコイン投入口9にコインを投入すると、デモ画面の下部に投入したコインに対応して○○クレジットと表示される。ここで、コイン枚数とは100円投入口であれば100円を投入した枚数,500円投入口であれば500円を投入した枚数である。また、クレジットとは1ゲームをプレイできる権利の単位のことを云い、ゲーム可能回数のことを意味するものである。したがって、2クレジットと表示されれば、2回ゲームが可能である。例えば、管理者用のコインオペレート設定画面において、コイン枚数Nに対しクレジット数Mを決められた範囲で設定できるモード(時間貸しのモードとは異なる)で、「2コイン5クレジット」と設定されればコイン2枚で5ゲームできることとなる。コイン投入口が100円のゲーム機であれば、200円投入して5クレジットと表示されて5ゲームできることとなり、100円しか投入しない場合はコインが不足し画面にはクレジットの数値は表示されず1ゲームもできない。
しかしながら、本発明では、プレイヤはこのような通常のゲームモードの他に、時間貸しモードを選択してゲームを行うことができる。
【0009】
図2は、本発明によるコインオペレート設定方式を適用したビデオゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。第1および第2ゲーム機にはそれぞれこのような回路ブロックが搭載されている。
コイン投入口9からのコイン入力を検知するコイン関連装置(コインカウンタ,コインボックスなど)20が入出力制御装置21を介してバス23に接続されている。バックアップメモリ22はコイン数などの設定値が記憶されるものである。
【0010】
操作部27は決定ボタンを兼ねるスタートボタン,ハンドル,アクセル,ブレーキ,シフトレバー,ビューチェンジボタン(これらボタン類は図示されていない)などを備えている。操作部27のボタン類を操作すると、図示しないスイッチ接点が動作し、スイッチ接点の動作により発生した信号が入出力制御装置21,バス23を介してCPU28に送られる。CPU28は操作部27のどのボタン類からのどのような信号であるかを認識し、入力した信号に基づいた処理を行う。
また、管理者のみが操作できる管理者用操作部35は、管理機能起動ボタン35a,選択ボタン35b,英数入力ボタン35cおよび決定ボタン35dを備えている。管理者用操作部35からの信号は、入出力制御装置21,バス23を介してCPU28に送られ、CPU28は管理者用操作部35のどのボタン類からのどのような信号であるかを認識し、その信号に基づいた処理を行う。
【0011】
CPU28は、ROM30に格納されているプログラムに基づきゲーム機全体の制御を行い、操作部からの操作信号によりレースゲームを進行させる。また、通信インタフェース部34を介して一方のゲーム機に対し通信を行い、相手ゲーム機の車とレースをする場合の通信制御を行う。ワークRAM29は、CPU28が演算,処理するときの作業領域として用いられる。
3次元画像処理部32はCPU28からの表示制御指示に従っての3次元処理を行い、モニタ33に3D像を表示する。
コミュニケーションRAM24は、サウンドに関するCPU28の指令を格納しており、CPU28がサウンド状況を確認するときに使用される。サウンドシステム回路25はCPU28の指令に基づきサウンドを生成する。
【0012】
CPU28は、管理機能起動ボタン35aの操作にしたがってコインオペレート設定画面を立ち上げる管理画面起動部28a,選択ボタン35bにより選択された項目、例えば時間貸しモードが選択された場合、その詳細設定画面に切り換える画面切換部28bおよび時間貸しモードの詳細設定画面に切り換えられ時間とクレジット数が入力された場合、該データに基づき一定のデータ(ゲーム開始時に入力された時間までカウントアップしてゲームを終了させるための処理を行う情報)を生成し、その情報をRAM31に格納する入力データ格納処理部28cの機能を有している。
また、デモ表示状態でプレイヤのコイン投入を検出したか否かを監視する監視部28dおよびコイン投入を検知した後、コイン投入でクレジットの数が時間貸しモードの設定以上になっていることを判断して時間貸しモードでゲームを行うことをプレイヤが選択したときには時間によりゲーム時間を管理し、通常のゲームモードになった場合には所定のゲーム数を終了する毎に、コイン入力により入力設定されたクレジット数を減算処理する時間管理処理部28eの機能を有している。
【0013】
図3は、管理者がコインオペレート設定する場合の操作を説明するための図である。
管理者用操作部35の管理起動ボタン35aを押すと、管理画面起動部28aはモニタ33に図3(a)に示すコインオペレート設定の画面を表示する。選択ボタン35bにより時間貸しモードを選択し、決定ボタン35dを押すと、画面切換部28bは図3(b)に示すような時間貸しモードの詳細を設定する画面に切り換える。
この画面は任意の数のクレジットに対し任意の時間を設定できる画面である。時間の部分とクレジットの数を英数入力ボタン35cで入力設定することが可能である。
時間は、例えば10分刻みで,クレジットの数は1〜9まで入力可能である。図3(b)の例は9クレジットでゲーム時間を30分に設定したものである。
【0014】
このように設定して決定ボタン35dを押すと、そのデータはRAM31に記憶され、管理画面は閉じられる。RAM31には時間貸しモードの情報として例えば、9クレジットでゲーム開始から30分でゲーム時を終了する処理を行うデータが格納される。
以上の操作によりプレイヤは、通常のゲームモード(例えば1クレジットで3回プレイできる)でのゲームの他に、時間貸しモード、例えば9クレジットで30分間ゲームが可能なモードの何れかを選択することが可能となる。
【0015】
図4は、ゲーム開始時における本発明の時間貸しモードを含む動作シーケンスを説明するためのフローチャート、図5は、図4の動作シーケンスの操作時の画面表示例を示す図である。
CPU28はモニタ33(第1画面表示部4または第2画面表示部7)に所定のデモ表示(図5(a))を繰り返し行っている(ステップ(以下、「S」という)001)。監視部28dはコイン関連装置20からコインの投入を検知したか否かの情報、すなわちコインが投入されてクレジットが設定されたか否かを監視している(S002)。クレジットが設定された場合には、時間貸しモードが設定されている(オン)か否かを判断する(S003)。時間貸しモードが設定されていない(オフ)の場合には、図5(c)に示すようにゲームを開始する画面を表示する。この場合には通常のゲームモードでゲームを開始することとなる。
【0016】
時間貸しモードが設定されている場合には、時間管理処理部28eはプレイヤがコインを投入して設定されたクレジットの数が、時間貸しモードで設定されているゲームが行えるクレジットの数以上になっているか否か判断する(S004)。時間貸しモードに足りるだけのクレジットの数に達していないときは、上記と同様図5(c)に示す画面を表示する。一方、時間貸しモードに足りるだけのクレジットの数に達している場合には、図5(b)に示す画面を表示してプレイヤに通常のゲームモードか,時間貸しモードのいずれかを選択させる(S005)。プレイヤがいずれかを選択すると、時間管理処理部28eは時間貸しモードを選択したか否かを判断する(S006)。通常のゲームモードであれば、S008に移行してゲームを開始し、所定の回数をプレイする毎にクレジットの数を減算するようにゲームを制御する。
【0017】
また、時間貸しモードであれば、時間貸しモードでゲームを開始する。時間貸しモードの設定の時間に達するまで、プレイヤは何回でもフリーでプレイを行うことができる。
管理処理部28eは時間計測カウンタなどにより時間貸しモードで設定されている時間、例えば30分が経過すると、ゲームを終了する旨の画面を表示してゲームを終了させる(S007)。
【0018】
以上の実施の形態は、時間貸しモードまたは通常のゲームモードのいずれかを選択できるゲーム機の例について説明したが、時間貸しモードのみで行うゲーム機に適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
対戦ゲームなどの業務用ビデオゲーム機である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明によるコインオペレート設定方式を適用したビデオゲーム機の外観の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明によるコインオペレート設定方式を適用したビデオゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。
【図3】管理者がコインオペレート設定する場合の操作を説明するための図である。
【図4】ゲーム開始時における本発明の時間貸しモードを含む動作シーケンスを説明するためのフローチャートである。
【図5】図4の動作シーケンスの操作時の画面表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ビデオゲーム機
2 第1運転席
3 第1運転操作部
4 第1画面表示部
5 第2運転席
6 第2運転操作部
7 第2画面表示部
8 パネル部
9 コイン投入口
20 コイン関連装置
21 入出力制御装置
22 バックアップメモリ
23 バス
24 コミュニケーションRAM
25 サウンドシステム回路
26 スピーカ
27 操作部
28 CPU
28a 管理画面起動部
28b 画面切換部
28c 入力データ格納処理部
28d 監視部
28e 時間管理処理部
29 ワークRAM
30 ROM
31 RAM
32 3次元画像処理部
33 モニタ
34 通信インタフェース部
35 管理者用操作部
35a 管理機能起動ボタン
35b 選択ボタン
35c 英数入力ボタン
35d 決定ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理者用操作部によってゲームに関する種々の設定が可能なゲーム機において、
管理者用操作部からの操作信号によって時間貸しモードを有するコインオペレート設定画面を立ち上げる管理画面起動手段と、
前記コインオペレート設定画面で時間貸しモードを選択した場合、任意のクレジット数に対し任意の時間を入力できる時間貸しモード設定画面に切り換える画面切換手段と、
前記クレジット数および時間を入力するためのクレジット数・時間入力手段と、
前記クレジット数・時間入力手段でクレジット数および時間を入力し時間貸しモードを設定した場合、プレイ開始時に時間貸しモードでプレイができるようにするため時間貸しモード設定の情報を記憶する入力データ処理格納手段と、
を備えたことを特徴とする筐体時間貸し可能なゲーム機。
【請求項2】
コイン投入により、クレジットが設定されたことを検出する監視手段と、
前記監視手段がクレジット設定を検出した場合、プレイヤが通常のゲームモードか、時間貸しモードのゲームかを選択できる画面を表示し、プレイヤが時間貸しモードを選択した場合は時間貸しモードでゲームを開始し、時間貸しモードで設定されている時間になったときゲームを終了させる処理を行う時間管理処理手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の筐体時間貸し可能なゲーム機。
【請求項3】
前記通常のゲームモードとは、nコインでm回プレイができるモードであることを特徴とする請求項2記載の筐体時間貸し可能なゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−6459(P2006−6459A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185038(P2004−185038)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000132840)株式会社タイトー (49)
【Fターム(参考)】