説明

筒状超伝導コンポーネントおよびそれを使用する抵抗性電流制限器

【課題】隣接する導電性セグメント相互間に生じる局所的な電界ができるだけ小さくなる抵抗性電流制限器として役立つ超伝導コンポーネントを提供すること。
【解決手段】本発明は、特に高温超伝導材からなる円筒状超電導体から構成される抵抗性電流制限器として特に役立ち、長軸と直角に平行に交互に切り込まれた多くの方位溝3と、円筒状超電導体の全体の長さの殆どを超えて長軸に平行に走っている1つの長手の溝2を備えている円筒状超伝導コンポーネントで方向づけられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的に筒状の横断面を有する超伝導成分に関し、特に高温超伝導コンポーネントとそれを使用する抵抗性電流制限器に関する。
【背景技術】
【0002】
超伝導、特にセラミック高温超伝導は、早期且つ効果的に電流を制限し、自動的に回復し、通常動作では無視できる大きさのインピーダンスを持ち、高電圧での電力供給を可能にする漏電制限器としての将来性を提供する。
【0003】
そのような抵抗性電流制限器は、大きな整流設備と電子技術装置を保護するために回路電流の短絡に対して例えば約2msの非常に短時間で電流を切る能力がある。
【0004】
電流制限器については異なる実施態様が知られている。
いわゆる抵抗性(オーミック)制限器において超伝導エレメントは、臨界的電流レベルを超えると、通常の導電性になる。この変化は、また、また「クエンチング」と称される。さらに、そのような超伝導電流制限器は、電流制限の事象の後に超伝導状態に戻る性能を有している。
【0005】
それらはまた誘導電流制限器と称されることも知られている。漏電が生じた時に、誘導電流制限器は閾値レベルよりも低く漏電を制限する高インピーダンスを提供する。例えば、US−A−5,140,290(以下、特許文献1という。)は、制限されるべき電流が誘導コイルを通して流れる誘導電流制限器を開示している。高温超伝導よりなる中空円筒は、このコイルの内部に配置され、そして高透磁率の軟磁性材がその内部に同軸に配置されている。
【0006】
通常の動作(定格電流)において、中空円筒の超伝導は、コイルからの誘導コイルの誘導磁界をコイルから完全に遮蔽し、そして、誘導コイルのインピーダンスは非常に低レベルに維持される。漏電が誘導コイルを通して流れる時に、筒状体の超伝導は消え、そして誘導コイルのインピーダンスはその最大の電流制限値に達する。
【0007】
一般に、通常の導電状態における超伝導材の抵抗は、導電体の長さに依存する。従って、最適な電流制限を得るためには、導電体は非常に大きな長さが必要となる。実際に動作させるために、必要な長さにかかわらず導電体はできるだけ小さい体積で占めるべきであるという要求がある。
【0008】
導電体の電気的有効長の増加のために幾つかの提案があるが、その体積と線の長さはそれぞれ所定値を超えない。
【0009】
EP5235309(以下、特許文献2という。)では、抵抗性電流制限器は直交プレート形状を有することが開示されている。プレートの長軸に対して垂直に延びる決められた数の溝は、プレートの長軸に平行に延びる側面に切り込まれる。すなわち、それらの溝は、それら2つの長手の側面に互い違いになるように切り込まれる。これは、そのプレートから曲がりくねった導電体を形成する。曲がりくねった形状のせいで、その電流の流れに沿った能動的な長さは、実際の体積の増加なしに、溝の数に応じて著しく増加する。そのように形成された導電体の両端は、各々1つの接続電極に付けられる。
【0010】
円筒状の抵抗性電流制限器は、EP0525313(以下、特許文献3という。)に開示されている。
この提案に従えば、超伝導材により形成された中空の円筒内で溝はまた中空体の上端と下端から交互に切り込まれ、それらの溝は中空円筒の長軸に平行に延びている。また、この実施態様では、上下する電流の流れの能動的長さは増加する。
【0011】
他の解決法に従えば、超伝導材よりなる長いストライプは、巻かれて扁平な2本巻きコイルを形成し、基板上に配置される。2本巻き形状とすることで、能動的長さは著しく増加するとはいっても、2本巻きコイルにより占められる全領域は小さい。
【0012】
欧州特許出願No.02292449.2(以下、特許文献4という。)は、抵抗性電流制限器に使用できるコイルまたは2本巻きコイルが切り込まれた円筒中空体を開示している。
【特許文献1】US−A−5,140,290号公報
【特許文献2】EP5235309号公報
【特許文献3】EP0525313号公報
【特許文献4】欧州特許出願No.02292449.2号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
電流制限器の超伝導成分についてのその適用の主な障害の一つは、短絡電流のような漏電の間又は電撃が生じた場合に超伝導成分の上に大きな電界が生じることである。従って、上記のような超伝導コンポーネントにおいて、コイルのように近くで旋回する場合の電流の流れは放電を阻止するために近くの旋回の間に絶縁体が存在する必要がある。
【0014】
さらに、短絡回路の場合、特に電撃発生の場合に、高電圧は通常は導電体に沿って急勾配で増加する。従って、その電位差は、導電体の長さの増加により増える。
【0015】
しかし、上記のように2本巻き幾何形状又は円筒軸方向での曲がりくねる概念は、各コンポーネントでの超伝導経路の継続と出射端は互いに閉じているという不都合を有している。導電体長は通常、数メーター程度に長いので、両端間で大きな電圧がかかる。従って、十分な絶縁は難しく、そして相当の薄さの絶縁材料が要求される。
【0016】
さらに、クエンチングが生じている間に、超伝導材はかなり温度が上昇する。超伝導状態に戻るためには早急な冷却が必要になる。しかし、再冷却率は、分厚い絶縁層を使用するときにはを最小にすることができない。
【0017】
従って、隣接する導電性セグメント相互間に生じる局所的な電界ができるだけ小さくなる抵抗性電流制限器として役立つ超伝導コンポーネントの要求があり、そのために全てで絶縁する必要はなく、又は十分な電気絶縁性は薄い絶縁層のみで達成すればよい。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に従えば、この問題は円筒状超伝導コンポーネントにより解決され、その超伝導コンポーネントからなる円筒状超伝導体は、円筒体の一端から少し離れて他端の距離まで延びている長手の溝であって、長手の溝は超電導体の一端と他端のそれぞれと長手の溝の始点及び終点のそれぞれの間に非切削区域を残したものと、そして、筒状体内で長手の溝に垂直に切り込まれた複数の方位溝とを備え、各方位溝は、長手の溝から始まって長手の溝からの距離dとなる終端まで円筒体の周囲に沿って延び、長手の溝の距離dは、円筒体の周囲の上で各方位溝の始点での長手の溝と非切削区域を定める終点の間にあり、複数の方位溝は円筒体の周囲に平行で且つ交互に切り込まれている。
【0019】
本発明に係る円筒状超伝導コンポーネント内の複数の溝の特有な配置は、溝により輪郭が決められた隣接した電流路部分に逆向きに電流が流れ、これにより、互いにほぼ補う電流により自己磁界電流は発生し、これにより、誘導電流及び渦電流を減少することができる、という長所を有する。
【0020】
それらの利点により、本発明に係る円筒状超伝導コンポーネントは、高短絡回路電流、特に発電所での発生をさけるために、また発電機と変電機のような施設機器の破壊を防止するために、抵抗性電流制限器、特にAC用のものとして特に有用である。
【0021】
本発明に係る超伝導コンポーネントは通常、円筒状又は実質的に円筒状に基づいた形を有している。
【0022】
超伝導コンポーネントの適した幾何形状は、当初は棒、チューブ、大きく曲がった縁領域を持つ立方体、又は実質的に円筒の外形を有する上記したすべて類似の幾何形状である。本発明の趣旨において、そのような形状を持つ超伝導コンポーネントは、「円筒状超伝導コンポーネント」に付託される。
【0023】
個体物は、機械的プロセスによって、対応する中空体に変えられることができる。もし適切ならば、円筒状超伝導コンポーネントは、特に同心円の外表面を持つ円筒状空洞において、最大限に均一な厚さを有するべきである。
【0024】
しかし、原理上は、超伝導コンポーネントと空洞の他の横断面がまた使用されてもよい。
【0025】
円筒状超伝導コンポーネントはチューブ、又はこれに類似の中空や中のある本体であってもよい。
【0026】
原理上、本発明は所望のセラミック超伝導を含んでもよい。典型的例として、Bi-Ae-Cu-O、(Bi,Pb)-Ae-Cu-O、(Y,Re)-Ae-Cu-O又は(TI,Pb)-(Ae,Y)-Cu-Oに基づく酸化物超伝導体がある。
【0027】
上記化学式において、Aeは少なくともアルカリ同類元素、特にBa、Caそして/又はSrを意味する。
【0028】
Reは、希土類元素の少なくとも1つ、特にY又はY,La、Lu、Sc、Sm、Nd又はYbのうち2つ又はそれ以上を意味する。
【0029】
特に、好ましい実施例は、Bi2(Sr,Ca)2Cu1Ox、(Bi,Pb)2(Sr,Ca)2Cu1Ox
、(Bi,Pb)2(Sr,Ca)3Cu2Ox’’、(Bi,Pb)2(Sr,Ca)2Cu3Ox’’’、(Y,Re)1Ba2Cu3Oy、(Y,Re)2Ba1Cu1Oy、(TI,Pb)2(Ba,Ca)2Cu1Oz、(TI,Pb)2(Ca,Ba)3Cu2Oz’’、(TI,Pb)2(Ca,Ba)4Cu2Oz’’’、(TI,Pb)1(Ca,Ba)3Cu2Oz’’’’、(TI,Pb)1(Ca,Ba)4Cu3Oz’’’’’のうちの組成又は類似のものがある。
【0030】
上記の式において、xと、x及びzは、超伝導を示すそれぞれの化合物における最適な酸素含有を示している。
【0031】
特に最適な超伝導は、参考となるBSCCO−2212、BSCCO−2223により知られ、特にこれらにおいて2212、2223の数の組み合わせは、Bi、Sr、Ca及びCuの元素の化学量論比を表し、Biの部分はPbの代わりになり、さらに、これらは参考となるYBCO−123とYBCO−211によって知られ、123、211の数の組み合わせは、Y、Ba、及びCuの元素の化学量論比を表わしている。
【0032】
要求に応じて、さらに元素が超伝導材において存在してもよい。例えば、超伝導材のベースとなるBSCCOは、補助として最大で20重量パーセントの量で補助物としてSrSO4そして/又はBaSO4を含んでもよく、BaSO4が使用されるときには望ましくは最大でほんの10重量パーセントの量である。
【0033】
そのような化合物は、明白に作成された参考事項、例えばEP−A−0524442とEP−A−0573798に開示されている。
【0034】
一般に、例えば、上記を参照したセラミック酸化高温超伝導体とそれらの製造方法は、技術的によく知られている。最適な高温超伝導体とその製造方法の概略はWO 00/08657に載せられている。
【0035】
原理的に、円筒状超伝導コンポーネントは、予備加熱、焼結又はポストアニールされた超伝導材から作られる。高品質超伝導材を得るために、原理的に、例えば焼いて生石灰にしたり、焼結したり、選択的にポストアニールしたりのような予備加熱の工程段階を遂行する必要があり、付属的な段階で、1回又は幾つかの加熱過程内で実行され、又はできるだけさらに繰り返される。しかし、また、1又はそれ以上の超伝導相を高い割合で含む高品質超伝導材から始めることができる。
【0036】
YBCOがベースの超伝導体は、例えば、金属酸化物、又は加熱により金属酸化物に変えられた化合物を混合し、その混合物を酸素が存在する中で約800℃〜約1100℃の間の温度で加熱し、そして、酸素が存在する中で少なくとも約1時間の時間でその混合物をゆっくり冷却することにより調合される。
【0037】
BSCCOがベースの超伝導体は、酸化物、炭化物又は炭酸塩又は最適な混合比で各の元素を混合することにより調合される。その後に、焼成が約2時間から約20時間の期間で約700℃から900℃の温度でなされ、焼結された混合物は下地であり、所望の形状に変えられ、そして、半溶融又は全溶融した状態で約800℃から約1100℃の温度で焼結される。適したBSCCOに基づいた化合物そしてその製造方法の例は、例えばEP−B0330305とEP−A−0327044に明確に言及されていることがわかる。
【0038】
例えばDE−A−383092、EP−A−0462409及びEP−A−0477493に同様に言及されている溶融鋳造方法、特に円心性の鋳造方法を使用して製造された超伝導体は特に好ましいものである。
【0039】
例えば、EP0462409においてチューブ状の超伝導体の製造工程が開示され、そこには、酸化出発混合物がその水平軸を回る鋳造ゾーン内で900℃から1100℃の温度で予め決められた化学量論で進められる。凝固された形状体は鋳造ゾーンから取り出され、そして酸素含有雰囲気で700℃から900℃の温度で4〜150時間加熱処理される。この工程は、特にBSCCOをベースにした超伝導体に適している。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、円筒状超伝導コンポーネント内の複数の溝の特有な配置は、溝により輪郭が決められた隣接した電流路部分に逆向きに電流が流れ、これにより、互いにほぼ補う電流により自己磁界電流は発生し、これにより、誘導電流及び渦電流を減少することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下において、本発明は、詳細な実施形態に限定されない好ましい本発明の実施形態について図を参照してさらに詳細に説明される。
【0042】
図1は、本発明に係る長手の溝を有する円筒状超伝導コンポーネントの実施形態を側方から示し、図2は、図1に示した実施形態を発展させた状態を示している。
【0043】
図1に示すように、長手の溝2は、超伝導体1と長手の溝2の各々の縁の間にそれぞれ存在する両側の上で非切削区域から離れて、超伝導体の一端から他端に達している。
【0044】
長手の溝2は、超伝導体1の長手軸に平行に延びている。
長手の溝2によって輪郭が示される超伝導体1の長さに沿って、長手の溝2と直角に複数の方位(アジマス)溝3が平行にそして交互に超伝導体1の周囲に切削されている。
【0045】
方位溝3のそれぞれは長手の溝2から出発して終点5まで超伝導体1の周囲の範囲で達しており、それぞれの方位溝3の始点と終点5の間の距離は、超伝導体1の周囲で非切削区域の輪郭を決める。1つの方位溝3は長手の溝2の各端で与えられている。長手の溝2の各端でのこれら2つの溝3の間では、さらに方位溝3が平行かつ相対的な方法に与えられている。入力される電流は、長手の溝2と方位溝3によって輪郭が決められる屈曲6に沿って超伝導体1の一端から他端に流れる。
【0046】
本発明について、屈曲の語彙は、2つの隣接する方位溝3の間で超伝導体1での通過区域を意味する。
【0047】
溝2、3の詳細なデザインにより、隣接する屈曲6では逆方向に電流が流れる。図の目的として、図2に発明の超伝導コンポーネントの発展した状態が示されている。図2において、長手の溝2は右側に示されている。例えば上から下への電流の流れは、上部の左側端から第1の屈曲に供給され、そして、左側から溝の終点5まで右側へ流れ、次の屈曲に回り、そして右から左に流れるなど、超伝導コンポーネントから電流が流れ去る底端での最も低い屈曲まで流れるように供給される。
【0048】
本発明の発展したデザインは、全体の電気の通路に沿って、隣接する屈曲の間の通過長が小さくなっている。従って、隣接する屈曲の間に漏電が生じた場合には、局所電圧と電位差は小さいにすぎない。その電位差は小さく、漏電が生じた場合に放電の危険がまた無い。
【0049】
さらに、隣接した屈曲において電流は逆方向に流れるので、隣接する屈曲を通した電流の流れにより発生する自己磁界は、互いに又は等しく補われることにより減少する。
【0050】
長手の溝2と方位溝3の幅は特に制限されないし、要求に従って選択される。
【0051】
例えば、好ましい幅は、隣接する屈曲の間の十分な絶縁を得るために十分な大きさが選択される。もし、溝によって十分な絶縁があれば、絶縁材の用意はされないようにすることができ、コストがかからないだけでなく、結果として超伝導コンポーネントの冷却を行う改善がかからない。
【0052】
長手の溝2の両側で隣接した屈曲6の変向点、換言すると方位溝3の端5の領域での十分な絶縁を提供するために、必要ならば、長手の溝2の幅は方位溝3の幅より十分な大きさで選択されることができる。詳細な値は以下の例で与えられる。しかし、明らかなように、これらの値は、超伝導コンポーネントの実サイズに応じて変化するかもしれない。
【0053】
本発明の発展させた状態に従って円筒状超伝導体1を示す図2から、超伝導材は、蛇行するテープと同程度の通過経路をたどることが見分けられる。一般に、超伝導体の臨界電流密度及び通電容量のような電気特性は、横断面によって明らかにされる。換言すれば、これらの特性は横断面の増加に従って増える。
【0054】
本発明において、超伝導材により形成される電流路の横断面は円筒状超電導体の壁の厚さによって決められることができ、その電流路の幅は、隣接する2つの方位溝3の間の垂直線と各方位溝3のそれぞれの終点5と長手の溝2の間の垂直線とによって決められる。
【0055】
通常、隣接する2つの方位溝3の間の上記の距離と、方位溝3の終点5と長手の溝2の間の上記の距離は、同じであるか又は実質的に同じである。しかし、適切ならば、これらの距離は異なってもよい。例えば、屈曲6に沿って、そして改善された電流の流れと電気的な挙動を得るために変向点で、それぞれ異なる横断面を持つことが適当である。
【0056】
さらに、終点5での方位溝3の形状、換言すれば溝3の即の形状は要求に従って自由に選択できる。
【0057】
普通、簡単な製造から見た実用的な理由で、その底は例えば直角形の角度を有している。しかし、もし電気的な挙動の改善を達成するための要求があれば、丸めることができる。
【0058】
図1において超伝導体の両端で非切削区域上に参照符号4により示されているように、電気的接触部は、さらなる電気器具により超電導体の接続として供給される。
【0059】
電気的接触部4は、好ましくは銀シートから形成される。しかしながら、これらの接触部は、また、バーンインされた金属接触部又は銀以外の金属、例えば銅をベースにしたシート状の接触部を有しても良い。
【0060】
さらに、本発明に係る超伝導コンポーネントの外表面に分路(シャント)を供給することができる。そのような分路は、
超電導材の抵抗よりも通常のその導電状態で低い通常の導電性金属から形成される。超電導材の加熱と「ホットスポット」と呼ばれることの発生を避けるために、超伝導化合物に通常の導電材のそのような分路を供給することは良く知られている。例えば短絡回路による制限事象において特定の温度上昇がある場合、電流は分流にバイパスされて熱は消散される。
【0061】
分路の材料として、主に、所望の値に漏電流を制限するに適した抵抗を有する全ての材料が適している。
【0062】
そのような材料は、好まれる金属以外に、例えば相当するものとして導電性樹脂であってもよい。金属の詳細な例として、銅、CuNiのような銅合金、そしてステンレススチールがある。例えば77Kにおいて、CuNi合金は30μΩ/cmの抵抗を有し、ステンレススチールは50μΩ/cmの抵抗を有している。
【0063】
分路材料は、円筒状超電導体の外表面に幾つかの好ましい方法によって付けられることができる。例えば、分路は、はんだづけにより付けられることができる。
【0064】
例えば、円筒状超伝導コンポーネントの概評面に分路を与えるために、金属被覆は、溝の切り込みより前に、超伝導外の外表面の上にはんだづけされることができる。その後、溝は被覆金属と超伝導材の双方に切り込まれることができる。
【0065】
通常、その分路は、電気接触4として設計された円筒状超電導体の端部に電気的接触状態にある。
【0066】
さらに、本発明に係る円筒状超伝導コンポーネントは、機械的安定を強化するための強化要素として用いられることができる。
【0067】
例えば、円筒状超伝導コンポーネントの空洞の中で、相当する円筒形状に形成された強化要素は、グラスファイバ強化プラスチックのような非導電性又は実質的に非導電性材料からなるものを適合されることができる。
【0068】
円筒形状に形成された強化要素は、中身の詰まった又は中空の体であり、中空体は好ましくはチューブ、パイプのようである。
【0069】
円筒形状に形成された強化要素の外形は、円筒状超電導体の空洞の寸法に嵌め合わせるように調整されている。円筒形状に形成された強化要素と円筒状超電導体の双方の長手方向の長さは、同じ又は本質的に同じであってもよい。取り扱いを簡単にするために、円筒形状に形成された強化要素の長さは、ちょっと大きめに選ばれる。
【0070】
強化要素は、間違って滑り出ないように適切な方法により超伝導コンポーネントに固定される。例えば、強化要素の外表面は、円筒状超伝導コンポーネントの内面に、はんだづけされたり、貼り付けされることができる。
【0071】
抵抗性電流制限器への適用のために、本発明に従ったより多くの超伝導コンポーネントを与えることができる。これらの超伝導コンポーネントは好ましくは平行に又は並列に、又は直列に接続されることができる。
【0072】
以下の例における図解のために、本発明に係る円筒状超伝導コンポーネントの詳細な実施形態は図1を参照してさらに詳細に与えられる。
【0073】
円筒状超伝導コンポーネントは、280mmの長さで、50mmの外径で、46mmの内径を有するBSCCO2212よりなる円筒状超伝導体が始めに用意される。超伝導コンポーネントの外面上では、CuNi合金の被覆又はチューブが、2mm厚さ(不図示)をもってはんだづけされる。
【0074】
長手の溝2は、非切削端領域の超電導体の両端から20mmの長さで離れて、円筒状超電導体内に長軸に平行に切り込まれている。
【0075】
図1に示すように、多くの方位溝3は平行にそして交互に長軸に垂直に切り込まれ、各方位溝は長手の溝2から出発する。図2からわかることとして、長手の溝2は、本実施形態において同じ方向で、ある方位溝3の両端に与えられる。さらに、本実施形態において、方位溝3と長手の溝2は、同じ2mmの幅を有している。上記したように溝2,3の幅は、特に制限されないし、必要に応じて選ぶことができる。例えば、この実施形態において、また、1mmの幅が溝2,3のために適用可能である。
【0076】
方位溝3の終点5から長手の溝2への垂直線と同様に電流路の幅を決める隣接する方位溝3の間の距離は、例えば15mmである。
【0077】
円筒状超電導体の両端では、銅からなる電気接触部4が円筒状超電導体は、第1の方位溝3に近い接触部4の縁とこの方位溝3の間は5mmのギャップが置かれ、例えば15mmの深さで円筒状超電導体を包みように与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は、本発明に係る長手の溝を有する円筒状超伝導コンポーネントの実施形態を側方から示した図である。
【図2】図2は、図1に示した実施形態を発展させた状態を示した図である。
【符号の説明】
【0079】
1 筒状超電導体
2 長手の溝
3 方位溝
4 接触部
5 方位溝3の終点
6 屈曲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状超伝導体(1)は、前記円筒状超伝導体(1)の一端から離れて他端の距離へ長軸に平行に延びている長手の溝(2)であって、前記円筒状超伝導体(1)の前記一端と前記他端のそれぞれと前記長手の溝(2)の始点と終点のそれぞれとの間に非切削区域を残したものと、前記円筒状超伝導体内で長手の溝(2)に垂直に切り込まれた複数の方位溝(3)とを備え、
各前記方位溝(3)は、前記長手の溝(2)から出発しそして円筒状超伝導体(1)の周囲に沿って前記長手の溝2から距離をおいた終点5まで前記円筒状超伝導体(1)に切り込まれていて、前記長手の溝(2)からの前記距離は前記方位溝(3)の始点での前記長手の溝(2)と前記円筒状超伝導体(1)の周囲上の前記非切削区域の輪郭を決める終点(5)との間であり、
複数の前記方位溝(3)は、平行且つ交互に円筒状超伝導体(1)の周囲に切り込まれている、
という特徴を有している
円筒状超伝導体(1)から構成される円筒状超伝導コンポーネント。
【請求項2】
前記円筒状超伝導体(1)は高温超伝導材料から形成されていることを特徴とする
請求項1に記載の円筒状超伝導コンポーネント。
【請求項3】
前記高温超伝導材はBi-Ae-Cu-O、(Bi,Pb)-Ae-Cu-O、(Y,Re)-Ae-Cu-O又は(TI,Pb)-(Ae,Y)-Cu-Oから選択され、
前記Aeはアルカリ同類元素の少なくとも1つを意味し、前記Reは希土類元素の少なくとも1つを意味する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の円筒状超伝導コンポーネント。
【請求項4】
前記高温超伝導材はBSCCO−2212又はBSCCO−2223をベースにした高温超伝導材から選択される
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の円筒状超伝導コンポーネント。
【請求項5】
前記円筒状超電導体(1)の外面上には標準的な導電材からなる分路が形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の円筒状超伝導コンポーネント。
【請求項6】
円筒状超伝導体(1)は長手の溝(2)と該長手の溝(2)に垂直な複数の方位溝(3)とを備え、
前記長手の溝(2)は、前記円筒状超伝導体(1)の一端と他端のそれぞれと前記長手の溝2の始点及び終点のそれぞれの間に非切削区域を残して、前記円筒状超伝導体(1)の一端から離れて他端の距離へ延び、
複数の前記方位溝(3)は平行に且つ交互に切り込まれ、それぞれの方位溝(3)は、前記長手の溝(2)から出発して前記長手の溝(2)から距離dの終点まで前記円筒状超伝導体(1)に切り込まれ、その距離dはそれぞれの前記方位溝(3)の始点である前記長手の溝(2)と前記円筒状超伝導体(1)の周囲で前記非切削区域の輪郭を示す終点との間を示している
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の円筒状超伝導コンポーネントの製造方法。
【請求項7】
円筒状超伝導体(1)は、その外面上に付けられた標準的な導電性金属からなる被覆の形成と、前記超伝導材と同様に前記被覆との双方の中に溝2、3の切り込みがなされる
ことを特徴とする請求項6に記載の円筒状超伝導コンポーネントの製造方法。
【請求項8】
前記円筒状超伝導体(1)はBSCCO−2212又はBSCCO−2223をベースにした高温超伝導材から形成される
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の円筒状超伝導コンポーネントの製造方法。
【請求項9】
前記被覆用の材料は、銅、銅合金又はステンレススチールから選択される
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の円筒状超伝導コンポーネントの製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の円筒状超電導コンポーネントを少なくとも1つから構成される抵抗性電流制限器。
【請求項11】
複数の前記円筒状超電導コンポーネントが互いに並列又は直列に接続されている
ことを特徴とする請求項10に記載の抵抗性電流制限器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−86112(P2006−86112A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−218874(P2005−218874)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(501044725)ネクサン (81)
【Fターム(参考)】