説明

筺体の補強材

【課題】極めて少ない材料で高い剛性とねじれ軽減効果を発揮でき、且つコスト削減と作業性向上を実現することができる筺体の補強材を提供する。
【解決手段】複写機やプリンターその他のOA機器等の基台として使用される筺体を補強するための補強材であって、対向する一対の前記筺体10の壁面11間に横設される補強材1において、中空状のビーム材2からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンターその他のOA機器等の基台として使用される筺体の補強材に関し、詳しくは、筺体の剛性を高めると共にねじれを軽減する筺体の補強材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンターその他のOA機器等の基台として使用される筺体においては、機器の重量や稼働時の振動等により、使用中、ねじれが起きて故障や不具合が生じるという問題があり、この問題を解消するためには、筺体の材料を肉厚状にして高い剛性を得る必要があった。しかし、筺体材料を肉厚に形成すると、全体重量が嵩むと共に、コスト高に繋がるという問題があった。また、高い硬度を有する材料を使用した場合、コスト高になる上、作業性も低下するものであった。
【0003】
上記問題を解消するために、特許文献1には、全体の強度を向上し、ねじれを解消すると共に、材料費や加工コストを大幅に削減し、さらに環境問題にも貢献できる基台が報告されている。
【特許文献1】特開2001−315410号公報(第1-2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上掲特許文献1の基台においては、全体の強度が向上してねじれを解消することができるため、一般的な事務用品の筺体の補強方法より材料費や加工コストを削減することが可能にはなったが、基台の大きさが筺体の底面材と同じサイズに形成されるため、全体の重量がやや嵩み、それに伴いコスト高に繋がるといった問題が依然として解決されていなかった。
【0005】
そこで本発明の目的は、極めて少ない材料で高い剛性とねじれ軽減効果を発揮でき、且つコスト削減と作業性向上を実現することができる筺体の補強材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、所定の形状からなる補強材により上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明の筺体の補強材は、複写機やプリンターその他のOA機器等の基台として使用される筺体を補強するための補強材であって、対向する一対の前記筺体の壁面間に横設される補強材において、中空状のビーム材からなることを特徴とする。
【0008】
本発明の筺体の補強材の好適例においては、一以上の部材で形成されている補強材である。また、本発明の筺体の補強材は、前記壁面間に一体以上設置するための筺体の補強材であり、長手方向に直交する断面形状が、正方形または長方形、もしくは前記壁面形状と同形縮尺状である筺体の補強材である。さらに、前記壁面の略中央部分、または前記壁面および底面に固着するための筺体の補強材である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の筺体の補強材によれば、極めて少ない材料で低コストに補強材を形成することができる。また、長手方向に直交する断面形状が、壁面形状と同形縮尺状に形成することにより、優れた剛性が得られ、さらには高いねじれ軽減効果を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の筺体の補強材における実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示す補強材1は、複写機やプリンターその他のOA機器等の基台として使用される筺体10の対向する一対の壁面11間に横設される中空状のビーム材2である。かかるビーム材2は、加工や強度に優れる鉄やステンレス等の金属素材が好ましく、全体が中空状に形成されている。ビーム材2を中空状に形成することで、コストダウンを実現できると共に、全体重量の軽量化も可能になる。
【0011】
ビーム材2の両端は、溶接、または連結部材(図示せず)を介在させて夫々壁面11に固着されている。このとき、高い剛性やねじれ軽減効果を発揮させるために、ビーム材2の両端は、夫々壁面11の中央部分に固着させることが好ましい。
【0012】
ビーム材2は、一以上の部材で形成することができる。図2の(a)に示すように、ビーム材2全体を中空状に一体成型してもよいが、その他として、(b)に示すような、コ字状体5に平面体6を固定するタイプ、(c)に示すような、一対のL字状体7を互いに組み合わせ固定するタイプ、(d)に示すような、一対のコ字状体8を互いにずらして組み合わせるタイプ、さらには(e)に示すような、大きさの異なるコ字状体8を咬合させるタイプ等であっても、同様の効果が得られる。
【0013】
ビーム材2は、図1においては一体のビーム材2が用いられているが、これに限定されるものではなく、図3に示すように、ビーム材2を壁面間に少なくとも一体以上設置することができる。例えば、図示する長方形を呈する壁面12においては、壁面12間の上下方向に間隔を設けて二体のビーム材2を横設することにより、長方形の壁面12においても、高い剛性とねじれ軽減効果が得られる。
【0014】
本発明の筺体の補強材の好適一実施の形態として、長手方向に直交する断面形状を正方形に形成することができる。この際、正方形に形成されている壁面11間にビーム材2を横設することにより、高い剛性とねじれ軽減効果を効率よく発揮することができる。
【0015】
また他の好適例として、図4および図5に示すように、ビーム材3,4を断面長方形に形成することができる。図4に示すように、長方形に形成されている壁面12間には、縦長状の断面長方形のビーム材3を横設することにより、長方形を呈する壁面12においても高い剛性とねじれ軽減効果を得ることができる。また、図5に示す横長の壁面13間には横長状のビーム材4を好適に横設することができる。
【0016】
本発明においては、壁面間に設置されるビーム材の断面形状は、壁面形状と同形縮尺状に形成することが好ましい。例えば、図6に示すように、縦と横が同じ長さの正方形を呈する壁面11においては、同じく断面正方形のビーム材2が好適に使用される。この際、ビーム材2の幅a、aは壁面11の幅A、Aの縮尺状に形成される。これにより、正方形の壁面11における高い剛性とねじれ軽減効果を発揮することができる。
【0017】
また、図7に示すように、横の長さが縦よりも長い長方形を呈する壁面13においては、同じく断面長方形状のビーム材4が好適に使用される。この際、壁面13の横幅Cとビーム材4の横幅c、および壁面13の縦Bとビーム材4の縦bとは同率に縮尺されて形成される。これにより、長方形の壁面13においても高い剛性とねじれ軽減効果を発揮することができる。なお、ビーム材2、3、4は、それぞれの形状の壁面11、12、13の略中央部分に設けることが好ましい。
【0018】
また、本発明の他の好適実施の形態として、図8に示すように、ビーム材2を、壁面11間に固定された底面材14に固着させてもよい。図示する筐体10はプリンター等の事務機器の筐体であり、ビーム材2の両端を壁面11に、さらにビーム材2の底部を底面材14にそれぞれ固着することで、より高い剛性とねじれ軽減効果を発揮することができる。
【0019】
以上の結果から明らかなように、いずれの実施例の補強材も比較例のものに比べ、非常に優れた剛性とねじれ軽減効果を示すことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明における筺体の補強材の斜視図および断面図である。
【図2】ビーム材の形成状態を表す断面図である。
【図3】他の好適例を示す補強材の斜視図である。
【図4】他の好適例を示す補強材の斜視図である。
【図5】他の好適例を示す補強材の斜視図である。
【図6】ビーム材の形状を示す正面図である。
【図7】他の好適例を示すビーム材の形状を示す正面図である。
【図8】他の好適例を示す筺体の使用状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
1 補強材
2 ビーム材
3 ビーム材
4 ビーム材
5 コ字状体
6 平面体
7 L字状体
8 コ字状体
10 筐体
11 壁面
12 壁面
13 壁面
14 底面材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複写機やプリンターその他のOA機器等の基台として使用される筺体を補強するための補強材であって、対向する一対の前記筺体の壁面間に横設される補強材において、中空状のビーム材からなることを特徴とする筺体の補強材。
【請求項2】
一以上の部材で形成されている請求項1記載の筺体の補強材。
【請求項3】
前記壁面間に一体以上設置するための請求項1または2記載の筺体の補強材。
【請求項4】
長手方向に直交する断面形状が、正方形または長方形である請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の筺体の補強材。
【請求項5】
前記長手方向に直交する断面形状が、前記壁面形状と同形縮尺状である請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の筺体の補強材。
【請求項6】
前記壁面の略中央部分に固着するための請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の筺体の補強材
【請求項7】
前記壁面および底面に固着するための請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の筺体の補強材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−105274(P2008−105274A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290363(P2006−290363)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(506358292)株式会社 清国 (2)
【Fターム(参考)】