説明

箔バリ除去装置

【課題】文字等の箔を転写した場合に成形品の側面に生じる箔バリを除去する際に、市販の粘着テープが使用可能で、かつ粘着テープの使用量を大幅に削減することが可能な箔バリ除去装置を提供する。
【解決手段】側面に箔バリが生じた成形品がセットされる治具10が設けられた回転テーブル2、前記成形品を前記治具にセットし、箔バリ除去後の成形品を前記治具10から除去する移動手段3、前記成形品の側面の箔バリを付着させる粘着テープ20を、前記治具10にセットされた成形品の箔バリの前に送り出すテープ供給手段4、およびパッドをスライドさせて前記粘着テープ20を前記成形品に押し付けて箔バリを粘着テープに付着させるスライド機構6を備えた箔バリ除去装置であって、前記成形品は線状の箔バリが水平に位置するように前記治具10にセットされ、前記粘着テープ20が送り出される方向は、水平に位置する箔バリに対して傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品の側面に生じた箔バリを除去する箔バリ除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂等の成形品の表面に絵柄等を転写すると、成形品の形状や転写方法によって、転写後の成形品には箔バリが生じる場合がある。例えば、成形品の表面の凹凸、孔、あるいは端部に箔バリが生じやすい。
【0003】
このような箔バリを除去する方法としては、簡単なものとしては、手作業で直接あるいは粘着テープを用いて除去する方法や、あるいは粘着テープを用いた装置によって除去する方法があり、その他にも、圧縮エアを吹き付けるブロア装置を用いる方法(特許文献1を参照)等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−278132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
粘着テープを用いる場合は手作業では時間が掛かるので、粘着テープを自動的に送り出し、箔バリに粘着テープを押し付けて除去する装置を用いることが好ましいが、このような装置を用いて線状の箔バリを除去する場合に、箔バリを1回除去する際には、粘着テープを箔バリの長さと同じだけ送り出す必要がある。
【0006】
しかしながら、市販の粘着テープを用いると、粘着テープの幅に比べて箔バリの幅の方が非常に細いために、使用済みの粘着テープには細い線状の箔バリが横方向に一列に付着しているだけで、粘着テープの粘着面のほとんどは箔バリの付着しない綺麗な状態のままとなり、箔バリの除去量に比べると粘着テープが無駄に消費されることとなっている。特に、箔バリの幅に関係なく粘着テープの使用長さは箔バリの長さと同じであるために、箔バリの幅が変わっても箔バリの長さが同じであれば粘着テープの消費量は変わらないので、粘着テープを有効に使うことができなかった。
【0007】
そこで、本発明は、文字等の箔を転写した場合に成形品の側面に生じる箔バリを除去する際に、市販の粘着テープが使用可能で、かつ粘着テープの使用量を大幅に削減することが可能な箔バリ除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の箔バリ除去装置は、側面に箔バリが生じた成形品がセットされる治具が設けられた回転テーブル、前記成形品を前記治具にセットし、箔バリ除去後の成形品を前記治具から除去する移動手段、前記成形品の側面の箔バリを付着させる粘着テープを、前記治具にセットされた成形品の箔バリの前に送り出すテープ供給手段、およびパッドをスライドさせて前記粘着テープを前記成形品に押し付けて箔バリを粘着テープに付着させるスライド機構を備え、前記成形品は線状の箔バリが水平に位置するように前記治具にセットされ、前記粘着テープが送り出される方向は、水平に位置する箔バリに対して傾斜していることを特徴とする。
【0009】
さらに、粘着テープを前記成形品の上面に生じた箔バリへと押し付けて前記箔バリを除去する上面箔バリ除去具を設け、前記回転テーブルが回転することによって前記成形品がセットされる位置から前記箔バリが除去される位置へと前記治具を移動させる途中に、前記上面箔バリ除去具の下で停止させることも可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の箔バリ除去装置は、側面に箔バリが生じた成形品がセットされる治具が設けられた回転テーブル、前記成形品を前記治具にセットし、箔バリ除去後の成形品を前記治具から除去する移動手段、前記成形品の側面の箔バリを付着させる粘着テープを、前記治具にセットされた成形品の箔バリの前に送り出すテープ供給手段、およびパッドをスライドさせて前記粘着テープを前記成形品に押し付けて箔バリを粘着テープに付着させるスライド機構を備え、前記成形品は線状の箔バリが水平に位置するように前記治具にセットされ、前記粘着テープが送り出される方向は、水平に位置する箔バリに対して傾斜していることにより、粘着テープを有効に利用して箔バリを除去することが可能となる。
【0011】
さらに、粘着テープを前記成形品の上面に生じた箔バリへと押し付けて前記箔バリを除去する上面箔バリ除去具を設け、前記回転テーブルが回転することによって前記成形品がセットされる位置から前記箔バリが除去される位置へと前記治具を移動させる途中に、前記上面箔バリ除去具の下で停止させることにより、1つの装置で側面の箔バリだけでなく上面の箔バリも除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の箔バリ除去装置の概略平面図である。
【図2】移動手段を正面から見た時の箔バリ除去装置の概略図であり、(a)は吸着部が上方にスライドした状態を示し、(b)は吸着部が下方にスライドした状態を示す。
【図3】テープ供給手段およびスライド機構の背面図である。
【図4】上面箔バリ除去具の正面図であり、上方にスライドした状態を示す。
【図5】箔バリを除去する手順を示す箔バリ除去装置の概略平面図である。
【図6】箔バリを除去する手順を示す箔バリ除去装置の概略平面図である。
【図7】箔バリを除去する手順を示す箔バリ除去装置の概略平面図である。
【図8】箔バリを除去する手順を示す箔バリ除去装置の概略平面図である。
【図9】移動手段を正面から見た時の箔バリ除去装置の概略図でり、(a)は吸着部が成形品を保持して上方にスライドした状態を示し、(b)は吸着部が成形品を保持して下方にスライドした状態を示す。
【図10】上面の箔バリを粘着テープに付着させている状態の上面箔バリ除去具の正面図である。
【図11】粘着テープに箔バリが付着した状態を示す図であり、(a)は本発明における粘着テープを示し、(b)は従来の装置における粘着テープを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の箔バリ除去装置1を、図を用いて以下に詳細に説明する。図1が本発明の箔バリ除去装置1の概略平面図である。
【0014】
本発明の箔バリ除去装置1は、側面に箔バリが生じた成形品30がセットされる治具10が設けられた円形の回転テーブル2、前記成形品30を前記治具10にセットし、箔バリ除去後の成形品30を前記治具10から除去する移動手段3、前記成形品30の側面の箔バリを付着させる粘着テープ20を前記治具10にセットされた成形品30の箔バリの前に送り出すテープ供給手段4、およびパッド5をスライドさせて前記粘着テープ20を前記成形品30に押し付けて箔バリを粘着テープ20に付着させるスライド機構6を備える。
【0015】
さらに、前記箔バリ除去装置1は、転写後の成形品30を運搬する成形品運搬手段8、箔バリ除去後の成形品30を次工程へと運搬する完成品運搬手段9、および成形品の上面に生じた箔バリを除去する上面箔バリ除去具7を備える。
【0016】
前記回転テーブル2は円形で、4個の治具10が同一円周上に等間隔で配置されており、各治具10は成形品30を吸着して固定可能であり、さらに成形品30の向きを変えるためにその場で回転可能な構造となっている。成形品30を吸着するために、各治具10にはバキュームホースが接続され、成形品30を真空吸着する構造を用いている。また、前記回転テーブル2は、成形品30を移動させる際に、1回で90°回転して前記治具10にセットされた成形品30を各工程へと移動させる。
【0017】
前記移動手段3は、図1,2に示すように、軸11を中心に回動可能な2本のアーム12,12’がL字状に配置されたL字アーム、前記2本のアーム12,12’の各先端に設けられたスライド機構13,13’、および各スライド機構13,13’の下端に設けられた2個の吸着部14,14’から構成され、前記吸着部14,14’はバキューム機構を用いて成形品30を吸着する構造となっている。そして、前記移動手段30は、アーム12を用いて前記成形品30を成形品運搬手段8から回転テーブル2の治具10へと移動させ、アーム12’を用いて箔バリ除去後の成形品30を前記回転テーブル2の治具10から完成品運搬手段へと移動させる。前記アーム12,12’はL字状に配置されていることで前記軸11を中心に同時に同方向に回転するので、前記成形品30を前記治具10にセットすることと、箔バリ除去後の成形品30を前記治具10から除去することは同時に行われる。
【0018】
前記テープ供給手段4は、粘着テープ20をセットするテープ供給リール15、前記粘着テープ20をパッド5の前にガイドする2本のガイドリール16、および使用後の粘着テープ20を巻き取るテープ巻き取りリール17から構成され、スライド台18上に、テープ供給リール15、2本のガイドリール16、テープ巻き取りリール17および前記パッド5が配置されており、前記スライド台18をスライド機構6によって前後にスライドさせて、前記パッド5によって前記粘着テープ20を治具10にセットされた成形品30に押し付け、そして離れさせる構造である。
【0019】
さらに、前記スライド台18は、図3に示すように、前記成形品30に向かってスライドする時に、左下がりとなるように傾斜して配置されており、これにより、前記テープ供給手段4全体も傾斜して配置された状態となっており、前記粘着テープ20を送り出す方向は、水平に位置する箔バリに対して下方へと傾斜した方向となる。これにより、1つの成形品30の箔バリを除去するために使用する粘着テープ20の送り量は従来よりも大幅に少なくなる。粘着テープ20を送り出す方向は、線状の箔バリに対して交差する方向であればよく、下方に傾斜させるだけでなく上方へと傾斜させることも可能であり、その傾斜角度は、箔バリの幅や長さに応じて適宜調節可能な構造とすることもできる。
【0020】
前記成形品運搬手段8は、ベルトコンベア21、前記ベルトコンベア21上に間隔が調節可能に設けられた2つの側壁22、および前記ベルトコンベア21上で成形品30を所定の位置で停止させるストッパー23から構成される。前記側壁22の間隔を前記成形品30の幅に合わせ、前記ストッパー23の位置を調節することで、前記成形品30を所定の位置で前記移動手段3に保持されるようにする。
【0021】
前記完成品運搬手段9は、箔バリ除去後の成形品30が前記移動手段3によって前記治具10から移動させられて載せられる完成品検査台24、および前記完成品検査台24で外観検査を行い合格した成形品30を次工程へと運搬するベルトコンベア25から構成される。前記完成品検査台24は、下方から成形品30に光を当てるライトが配置された半透明の台29、外観検査に合格した成形品をベルトコンベア25へと移動させる第1スライド部26、および外観検査で不合格となった成形品30を不良品を収容するボックスへと移動させる第2スライド部27から構成され、前記ベルトコンベア25上に所定の間隔で2つの側壁28が設けられている。
【0022】
前記上面箔バリ除去具7は、前記回転テーブル2を挟んで前記移動手段3と対向する位置に配置され、前記移動手段3の下にある治具10と対向する位置にある治具10にセットされた成形品30の上面の箔バリを除去する。前記上面箔バリ除去具7は、図4に示すように、上面の箔バリを除去する成形品30がセットされた治具10の上方に配置された上部パッド31、前記上部パッド31の下方に粘着テープ40を送り出すための上部テープ供給手段32、および前記上部パッド31と前記上部テープ供給手段32が配置されたスライド壁36を上下にスライドさせる上下スライド機構33から構成される。
【0023】
前記上部テープ供給手段32は、粘着テープ40をセットするテープ供給リール39、前記粘着テープ40を上部パッド31の下にガイドする2本のガイドリール34、および使用後の粘着テープ40を巻き取るテープ巻き取りリール35から構成されている。前記上面箔バリ除去具7は、スライド壁36に、テープ供給リール39、2本のガイドリール34、テープ巻き取りリール35および前記上部パッド31が配置されており、前記スライド壁36を上下スライド機構33によって上下にスライドさせて、前記上部パッド31によって前記粘着テープ40を治具10にセットされた成形品30の上面に押し付ける構造である。さらに、上面箔バリ除去時に、前記成形品30を側面から押さえて固定する側面押圧具37を備える。前記上部テープ供給手段32の構造は、前記側面押圧具37を除いて、前記テープ供給手段4を垂直に配置した構造とほぼ同じとなっている。
【0024】
また、箔バリ除去装置1には、前記成形品30が箔バリ除去時に動くのを防ぐための上面押圧具38を備えており、前記上面押圧具38は、箔バリ除去時の成形品30の上方に設けられ、上下にスライドすることで、箔バリ除去時の成形品30を上方から押さえる働きをする。
【0025】
次に、本発明の箔バリ除去装置1の作動方法を説明しながら、さらに詳しい説明を行う。まず初めに、成形品30が前記成形品運搬装置8のベルトコンベア21に載せられて運搬されてくる。そして、前記ストッパー23によって前記成形品30は所定の位置に停止させられる。この時、図5(a)に示すように、前記移動装置3のアーム12は成形品運搬手段8の上方へと移動されており、同時にアーム12’は回転テーブル2の治具10の上方へと移動されている。
【0026】
前記成形品30が所定の位置に停止されたら、前記アーム12の先端のスライド機構13を作動させて、前記スライド機構13の下端に設けられた2個の吸着部14を前記成形品30の上面へと押し付ける。そして、前記吸着部14が接続されたバキューム装置を作動させて前記成形品30を吸着して保持する。前記成形品30の吸着が完了したら、前記スライド機構13を作動させて前記成形品30を上方へスライドさせる。
【0027】
成形品30を上方へスライドさせたら、前記アーム12を軸11を中心に回転させて、図5(b)に示すように、保持した前記成形品30を前記回転テーブル2の治具10の上方へと移動させる。この時、前記アーム12’は完成品運搬手段9の完成品検査台24の上方へと移動している。前記アーム12の移動が終わったら前記スライド機構13を作動させて前記成形品30を下方へとスライドさせて、前記治具10に前記成形品30を載せる。前記治具10に前記成形品30を載せたら吸着部14による保持を解除して、前記成形品30を前記治具10にセットする。
【0028】
箔バリを除去する成形品30が治具10にセットされたら、図6(a)に示すように、前記回転テーブル2を90°回転させる。この時、前記移動手段3の正面には空の治具10が位置しており、次に箔バリを除去する成形品30を同じ手順で治具10にセットする。次に箔バリを除去する成形品30が治具10にセットされたら、再び回転テーブル2を90°回転させ、図6(b)に示すように、最初にセットされた成形品30を上面箔バリ除去具7の下方へと移動させる。
【0029】
前記成形品30が上面箔バリ除去具7の下方で停止されたら、前記上面箔バリ除去具7を作動させる。予め前記上部テープ供給手段32を作動させて粘着テープ40の未使用の粘着面を上記成形品30の上方へと移動させておく。そして、前記側面押圧具37を作動させて押圧面を成形品30の側面へスライドさせて前記成形品30を側面から押圧して固定する。
【0030】
前記成形品30が固定されたら、上下スライド機構33によってスライド壁36を下方へとスライドさせて、前記粘着テープ40の粘着面を前記成形品30の上面へと接触させ、さらに一緒に下方へとスライドしている上部パッド31によって前記粘着テープ40を前記成形品30の上面へと押し付けて、図10に示すような状態で、前記成形品30の上面に生じている箔バリを除去する。前記成形品30の上面の箔バリを除去している間に、3個目の成形品30を前記治具10にセットしておく。
【0031】
上面の箔バリを除去したら、上下スライド機構33によってスライド壁36を上方へとスライドさせて、図4に示すように、粘着テープ40を成形品30の上面から離れさせる。前記スライド壁36が上方にスライドしたら、前記回転テーブル2を90°回転させて、成形品30をパッド5の正面へと移動させる。この時、2個目の成形品30は上面箔バリ除去具7の下方に移動されており、この後、上面の箔バリが除去される。さらに、残り一つとなった空の治具10は移動手段3の下方へと移動されており、この後、4個目の成形品30が空の治具10にセットされる。
【0032】
前記回転テーブル2の回転が停止したら成形品30の側面の箔バリ除去を行う。そのためには、予め、テープ供給手段4を作動させて、粘着テープ20を所定量送り出しておく。また、上面押圧具38によって成形品30を上方から押さえ付けて固定する。準備が整ったら、前記スライド機構6を作動させて、前記スライド台18を傾いた状態で前方へとスライドさせ、図7に示すように、前記粘着テープ20の粘着面を前記成形品30の側面に接触させ、さらに同時にスライドしているパッド5によって粘着テープ20を前記成形品30の箔バリが生じている側面へと押し付けて、箔バリを前記粘着テープ20に付着させる。
【0033】
前記箔バリが粘着テープに付着したら、前記スライド機構6によって前記スライド台18を後方へとスライドさせると、箔バリは前記成形品30の側面から除去される。箔バリが除去されたら前記上面押圧具38を上方へと移動させて固定を解除する。次に、成形品30のその他の側面に箔バリが生じている場合には、前記治具10をその場で回転させて成形品の向きを変えて、箔バリが生じている別の側面を粘着テープ20の正面に移動させる。
【0034】
前記成形品30の向きを変えたら再び、スライド機構6を作動させて粘着テープ20によって箔バリを除去する。この時、粘着テープ20を送り出して先に除去した箔バリが付着していない部分が次の箔バリに押し付けられるようにしておく。
【0035】
粘着テープ20に付着した箔バリ41は、図11(a)に示すように、粘着テープ20に対して斜めの状態で付着している。これに対し、従来の装置では、図11(b)に示すように、粘着テープ42に付着した箔バリ41は水平に横一列に整列した状態となっており、本発明と従来の装置を比較すると、同じ粘着テープの長さでも、明らかに本発明の箔バリ除去装置1の方がより多くの箔バリ41を付着可能であり、従来と同じ長さの粘着テープを用いたとしても、より多くの箔バリを除去することが可能となる。
【0036】
これは、本発明の箔バリ除去装置1における粘着テープ20の送り量は、箔バリ41の幅を基準としていることによる。前記箔バリ除去装置1においては、粘着テープ20の1回の送り量は、箔バリ41の幅プラス余白分となり、図11(a)ではt1となる。これに対し、従来の装置では、粘着テープ42の1回の送り量は箔バリ41の長さプラス余白となりt2となる。箔バリ41が線状であることを考えると、本発明における粘着テープ20の送り量t1と、従来の装置における粘着テープ42の送り量t2の関係は、大まかには、線状の箔バリ41の幅と長さの関係に比例することとなり、粘着テープ20の送り量は従来よりも大幅に減少させることができることがわかる。このようにして、本発明では従来と同じ粘着テープを用いたとしても、その使用量は大幅に削減することが可能となる。
【0037】
このようにして、粘着テープ20を送り出した後に、再び成形品30の側面の箔バリを除去する。箔バリが除去されたら、さらに他の面の箔バリを除去する必要があれば、同じ工程を繰り返し行い全ての箔バリを除去する。この間に、2個目の成形品30の上面の箔バリを除去し、4個目の成形品を治具10にセットしておく。全ての箔バリが除去されたら、前記回転テーブル2を90°回転さて、箔バリが除去された成形品30を再び移動手段3の下方へと移動させる。
【0038】
前記回転テーブル2の回転が停止したら移動手段3を作動させる。この時、図8(a)および図2(a)に示すように、2個目の成形品30は側面の箔バリを除去する位置に移動し、3個目の成形品は上面の箔バリを除去する位置に移動しており、移動手段3のアーム12’が箔バリ除去後の成形品30の上方に位置し、アーム12が成形品運搬手段8の所定の位置に停止された5個目の成形品30の上方に位置している。
【0039】
続いて、図2(b)に示すように、前記アーム12’のスライド機構13’を作動させて前記アーム12’の吸着部14’を箔バリ除去後の成形品30の上面に押し付けて、バキューム装置を作動させて前記成形品30を吸着部14’で吸着して前記アーム12’で箔バリ除去後の成形品30を保持する。同時に、前記アーム12もスライド機構13を作動させて吸着部14によって5個目の成形品30を吸着して、アーム12で5個目の成形品30を保持する。
【0040】
アーム12,12’が各々成形品30を保持したら、共にスライド機構13、13’を作動させて、図9(a)に示すように、各成形品30を上方へとスライドさせ、さらに、軸11を中心にしてアーム12,12’を回転させる。すると、図8(b)および図9(b)に示すように、アーム12’に保持された箔バリ除去後の成形品30は完成品運搬手段9の検査台24の台29の上方に位置し、アーム12に保持された5個目の成形品30は箔バリ除去後の成形品30が取り除かれて空になった治具10の上方に位置する。
【0041】
前記アーム12のスライド機構13によって5個目の成形品30を下方へとスライドさせて、吸着部14による吸着を解除し前記治具10に5個目の成形品30をセットする。同時に、前記アーム12’のスライド機構13’によって箔バリ除去後の成形品30を下方へとスライドさせて、吸着部14’による吸着を解除し、前記箔バリ除去後の成形品30を検査台24の台29に載せる。前記台29に成形品30が載せられたら前記台29の下方に設けられたライトを照らして、成形品30の外観検査を行う。検査に合格した成形品30は第1スライド部26によってベルトコンベア25へと移動され、不合格になった成形品30は第2スライド部27によって不良品の収容するボックスへと移動される。このようにして、成形品30の側面の箔バリおよび上面の箔バリの除去が完了する。
【0042】
これまでの工程を繰り返すことで、連続して成形品30の箔バリ除去を行うことができる。上面の箔バリが生じていない場合には、上面箔バリ除去具7を作動させないことも可能であり、また、成形品30の形状に応じて治具10を取り換え、成形品運搬手段8の側壁の間隔を調整し、さらに、各スライド機構のスライド量を調整することにより、様々な種類の成形品に対応することが可能となる。
【0043】
本発明の箔バリ除去装置1では、粘着テープ20を線状の箔バリに対して、斜めに送り出すことにより、従来よりも粘着テープ20の使用量を大幅に削減することが可能となる。また、粘着テープ20、40として市販されている一般的な粘着テープを利用可能でありよりコストを削減することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 箔バリ除去装置
2 回転テーブル
3 移動手段
4 テープ供給手段
5 パッド
6 スライド機構
7 上面箔バリ除去具
8 成形品運搬手段
9 完成品運搬手段
10 治具
11 軸
12、12’ アーム
13、13’ スライド機構
14、14’ 吸着部
15 テープ供給リール
16 ガイドリール
17 テープ巻き取りリール
18 スライド台
20 粘着テープ
21 ベルトコンベア
22 側壁
23 ストッパー
24 完成品検査台
25 ベルトコンベア
26 第1スライド部
27 第2スライド部
28 側壁
29 台
30 成形品
31 上部パッド
32 上部テープ供給手段
33 上下スライド機構
34 ガイドリール
35 巻き取りリール
36 スライド壁
37 側面押圧具
38 上面押圧具
39 テープ供給リール
40 粘着テープ
41 箔バリ
42 粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に箔バリが生じた成形品がセットされる治具が設けられた回転テーブル、前記成形品を前記治具にセットし、箔バリ除去後の成形品を前記治具から除去する移動手段、前記成形品の側面の箔バリを付着させる粘着テープを、前記治具にセットされた成形品の箔バリの前に送り出すテープ供給手段、およびパッドをスライドさせて前記粘着テープを前記成形品に押し付けて箔バリを粘着テープに付着させるスライド機構を備え、
前記成形品は線状の箔バリが水平に位置するように前記治具にセットされ、前記粘着テープが送り出される方向は、水平に位置する箔バリに対して傾斜していることを特徴とする箔バリ除去装置。
【請求項2】
粘着テープを前記成形品の上面に生じた箔バリへと押し付けて前記箔バリを除去する上面箔バリ除去具を設け、前記回転テーブルが回転することによって前記成形品がセットされる位置から前記箔バリが除去される位置へと前記治具を移動させる途中に、前記上面箔バリ除去具の下で停止させることを特徴とする請求項1に記載の箔バリ除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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