説明

箔押転写加工方法および箔押転写加工システム

【課題】転写箔材料の浮き上がり、接着不良、しわの発生、歪みの発生、等の乱れの発生を防止して、箔押用版の表面に形成されている凹凸パターンに忠実な箔押転写凹凸パターンを転写形成する箔押転写加工方法および箔押転写加工システムを提供する。
【解決手段】受基板3と凹凸パターン部2aを有する箔押用版2とを備え、受基板3と箔押用版2との間に被加工物4と転写箔材料5を供給し、箔押用版2と受基板2とを互いに押圧して、箔押転写凹凸パターンを被加工物の表面に転写形成する箔押転写加工方法および箔押転写加工システムであって、箔押用版2と受基板3とのうちの少なくともひとつを押圧駆動していく過程において、転写箔材料5を張力を保って保持して固定した張力保持固定状態に形成し、この転写箔材料5を介して、箔押用版2と被加工物4とを互いに押圧して箔押転写凹凸パターンを被加工物表面に転写形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押圧により、被加工物の表面に転写箔材料を使用して所定形状の箔押凹凸パターンを転写加工する箔押転写加工方法および箔押転写加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
箔押転写加工システムは、箔押用版に形成された凹凸パターンを転写箔材料を用いて被加工物の表面に転写形成する箔押転写加工を行うための機構、装置である。
箔押用版の凹凸パターン部の表面には、所定の文字・数字・模様・紋様・図柄・絵柄・画像・これらに類似する形状等の凹凸パターンが、凹凸により形成されている。その箔押用版を転写箔材料を介して被加工物に押圧することにより、転写箔材料により形成された、凹凸パターンに合致する箔押転写凹凸パターンが、被加工物の表面に転写形成される。被加工物としては、紙、紙類、各種プラスチック材料、皮革、木材、布、金属などのほとんどあらゆる材料が使用可能であり、包装容器、包装紙、装飾用品、本、ラベル、プラスチック製品、皮革製品、布製品、金属製品、エンブレム等の各種製品に応用されている。
このような箔押転写加工システムは、略平面表面を有する箔押用版と、略平面表面を有する受基板とより構成され、箔押用版と受基板のうちの少なくとも一方が駆動することにより、箔押用版と受基板とが互いに押圧される機構である。一般に、箔押用版は鋼鉄、真鍮、銅、マグネシウム、樹脂等により作製され、受基板は金属より作製されている。箔押用版の表面は平面形状を有し、その平面形状の表面に、前述の凹凸パターンが凹凸形状で刻設されている。また、受基板は、平面形状の表面を有し、一般に、鋼鉄、真鍮、銅、マグネシウム、樹脂等により作製されている。
【0003】
被加工物が受基板側に位置し、箔押用版と被加工物との間に転写箔材料が位置する状態で、箔押用版と受基板とが互いに押圧されることにより、箔押用版表面と受基板表面のそれぞれの全領域が、同時に、転写箔材料を介して押圧接触されて、所定の文字・数字・模様・紋様・図柄・絵柄・画像・これらに類似する形状等の、転写箔材料により形成された箔押転写凹凸パターンが凹凸形状で被加工物の表面に転写形成される。この際、熱盤を使用して加熱された箔押用版により押圧加工する押圧加工システムも使用され、いわゆるホットスタンピング箔押転写加工システムも使用される。
【0004】
このような箔押転写加工システムとして、実公平7−55065号公報には、箔押用版としてのホットスタンピング加工用版型と、受基板としての支持台との間に、転写箔材料としての転写箔と、被加工物としての被転写物を構成したホットスタンピング転写機が開示され、特に、加工用版型の凹凸で形成されている凹部にゴム素材を付着して、凸部と同一平面となるように加工用版型の表面を形成した加工用版型が開示されている。
また、特開2002−99196号公報には、箔押用版としてのホットスタンプ版と、受基板としての受け部との間に、転写箔材料としてのホログラム転写箔と、被加工物としての被加工材料を構成した箔押転写加工方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平7−55065号公報
【特許文献2】特開2002−99196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、箔押用版を使用した平圧式の箔押転写加工システムにおいては、凹凸パターンを形成した箔押用版の表面が略平面形状を有し、また、受基板の表面も略平面形状を有し、さらに、被加工物の表面も略平面形状を有する場合には、被加工物や転写箔材料などの被加工物を間に位置した状態で、箔押用版と受基板とを転写箔材料を介して互いに押圧した時、もしも、箔押用版表面と受基板表面のそれぞれの平面精度が異なり、いずれかの平面が僅かに傾いていたり、または、転写箔材料が波状に撓んだ状態にある場合には、被加工物や転写箔材料にかかる圧力が不均一になったり、または、箔押用版と転写箔材料と被加工物と受基板のそれぞれの表面が完全に密着することなくこれらの部材の間に空隙が生じ、その結果、被加工物に転写形成された箔押転写凹凸パターンには、箔押用版に形成されている凹凸パターンに忠実な反転凹凸パターンではなく、箔押転写凹凸パターンの一部が欠けたり、または、箔押転写された箔押転写凹凸パターンの一部が被加工物から浮き上がった状態になったり、または、箔押転写凹凸パターンの一部にしわが入った状態になるなどの不良が発生する、等の課題がある。
【0007】
特に、被加工物の表面が略平面形状ではなく、被加工物の表面が立体被加工物表面を有する場合には、前述の、箔押転写凹凸パターンの一部が欠けたり、被加工物から浮き上がった状態になったり、または、箔押転写凹凸パターンの一部にしわが入った状態になるなどの不良発生が更に著しくなる。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決して、被加工物の表面に転写形成された箔押転写凹凸パターンにおいて、被加工物表面に転写された箔押転写凹凸パターンの必要部分に、転写箔材料の浮き上がり、接着不良、しわの発生、歪みの発生、等の乱れの発生を防止して、箔押用版の表面に形成されている凹凸パターンに忠実な箔押転写凹凸パターンを転写形成する箔押転写加工方法および箔押転写加工システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の箔押転写加工方法は、(a)第一基盤に設置固定された受基板と、前記受基板に対向する位置であって第二基盤に設置固定されて表面に凹凸パターン部を有する箔押用版と、を備えた箔押転写加工装置を準備する工程と、(b)前記受基板と前記箔押用版との間に位置して転写箔材料を供給する工程と、(c)前記受基板と前記転写箔材料との間に位置して被加工物を供給する工程と、(d)前記箔押用版と前記受基板とのうちの少なくともひとつを押圧駆動していき、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンを前記被加工物の表面に転写形成する工程と、を備えた箔押転写加工方法であって、前記(d)工程において、前記箔押用版と前記受基板とのうちの少なくともひとつを押圧駆動していく過程において、前記転写箔材料を張力を保って保持して固定した張力保持固定状態に形成し、この張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して、前記箔押用版の表面と前記被加工物の表面とを互いに押圧することにより、前記転写箔材料により形成された前記箔押転写凹凸パターンを前記被加工物の表面に転写形成する工程を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の箔押転写加工方法において、望ましくは、前記箔押転写加工装置は、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつに設置された箔固定手段を備え、前記(d)工程において、前記箔押用版と前記受基板とのうちの少なくともひとつを押圧駆動していく過程において、その押圧駆動に同期して、前記転写箔材料を前記箔固定手段により張力を保って保持して固定した張力保持固定状態に形成し、この張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して、前記箔押用版の表面と前記被加工物の表面とを互いに押圧していくことにより、前記転写箔材料により形成された前記箔押転写凹凸パターンを前記被加工物の表面に転写形成する工程を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の箔押転写加工方法において、望ましくは、前記箔固定手段は、前記第一基盤に設置固定された箔固定用弾性部材と前記第二基盤の側に形成された箔固定用押圧部とを有し、前記(a)工程において、前記受基板の少なくとも両側方向の前記第一基盤に前記箔固定用弾性部材が設置固定され、前記箔固定用弾性部材に対向する位置であって前記第二基盤の側に前記箔固定用押圧部が形成され、前記箔固定用弾性部材は加えられた力に応じて変形するとともに力を取り去れば元の形に戻る性質を有し、前記(b)工程および(c)工程において、前記転写箔材料が、前記箔固定用弾性部材と前記被加工物の双方の表面側に位置するとともに、前記箔押用版と前記箔固定用押圧部の双方の表面側に位置するように、前記箔押用版と前記被加工物とが供給され、前記(d)工程は、(d−1)前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつを押圧駆動し、これにより、前記転写箔材料を前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部との間に挟んだ状態で接触していくとともに、前記箔固定用弾性部材を押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料を前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部とにより張力を保って保持して固定した張力保持固定状態に形成する工程と、(d−II)続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつを押圧駆動して、前記箔固定用弾性部材を押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して前記箔押用版と前記被加工物とを互いに押圧し、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンを前記被加工物の表面に転写形成する工程と、(d−III)その後、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつの押圧力を解除して駆動し、これにより、前記箔固定用弾性部材を、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻すとともに、前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部による前記転写箔材料の保持固定状態を解除する工程と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の箔押転写加工方法において、望ましくは、前記(d)工程は、(d−1)前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつを押圧駆動し、これにより、前記転写箔材料を前記箔固定用押圧部と前記箔固定用弾性部材との間に挟んだ状態で接触していくとともに、前記箔固定用弾性部材を押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料を前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部とにより張力を保って保持して固定した張力保持固定状態に形成する工程と、(d−II)続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつを押圧駆動して、前記箔固定用弾性部材を押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある前記転写箔材料が前記被加工物の表面に接触し、続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつを押圧駆動して、前記箔固定用弾性部材を押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、前記被加工物に接触しているとともに張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して、前記箔押用版と前記被加工物とを互いに押圧し、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンを前記被加工物の表面に転写形成する工程と、(d−III)その後、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつの押圧力を解除して駆動し、これにより、前記箔固定用弾性部材を、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻すとともに、前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部による前記転写箔材料の保持固定状態を解除する工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の箔押転写加工方法において、望ましくは、前記箔固定手段は、前記第一基盤に設置固定された箔固定用弾性部材と前記第二基盤の側に形成された箔固定用押圧部とを有し、前記(a)工程において、前記受基板の少なくとも両側方向の前記第一基盤に前記箔固定用弾性部材が設置固定され、前記箔固定用弾性部材に対向する位置であって前記第二基盤の側に前記箔固定用押圧部が形成され、前記箔固定用弾性部材は、少なくとも、成形体部とバネ部とを有し、前記バネ部の一端が前記成形体部に固定され、前記バネ部の他端が前記第一基盤に固定され、前記箔固定用弾性部材に押圧力がかかった時に前記バネ部が変形して圧縮状態となり、そして、押圧力が解除された時に前記バネ部が元の形状に戻る機能を有し、前記(d)工程は、(d−1)前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつを押圧駆動し、これにより、前記転写箔材料を前記箔固定用押圧部と前記箔固定用弾性部材の前記成形体部との間に挟んだ状態で接触していくとともに、前記箔固定用弾性部材の前記バネ部を押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料を前記箔固定用弾性部材の前記成形体部と前記箔固定用押圧部とにより張力を保って保持して固定した張力保持固定状態に形成する工程と、(d−II)続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつを押圧駆動して、前記バネ部を押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して前記箔押用版と前記被加工物とを互いに押圧し、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンを前記被加工物の表面に転写形成する工程と、(d−III)その後、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつの押圧力を解除して駆動し、これにより、前記箔固定用弾性部材の前記バネ部を、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻すとともに、前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部による前記転写箔材料の保持固定状態を解除する工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の箔押転写加工方法において、望ましくは、前記(c)工程において、前記被加工物は立体的に形成された立体被加工物表面を有し、前記被加工物は前記受基板の上に載置して供給され、前記(a)工程において、前記箔押用版は、前記箔押用版と前記被加工物とが前記転写箔材料を介して押圧して合わされた場合に、前記被加工物の前記立体被加工物表面に隙間なく合致して対応する立体箔押用版表面を有し、前記凹凸パターン部は前記立体箔押用版表面に形成され、前記(d)工程において、前記箔押用版と前記受基板とのうちの少なくともひとつを押圧することにより、前記転写箔材料を張力を保って保持して固定した張力保持固定状態に形成し、この張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して、前記箔押用版の表面と前記被加工物の表面とを互いに押圧して合わした時に、前記箔押用版の前記凹凸パターン部が前記転写箔材料を介して前記被加工物の前記立体被加工物表面に隙間なく合致して押圧し、これにより、前記転写箔材料により形成された前記箔押転写凹凸パターンを前記被加工物の表面に転写形成する工程、を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の箔押転写加工方法。
【0015】
本発明の箔押転写加工システムは、互いに対向する位置に設置された第一基盤と第二基盤と、前記第一基盤に設置固定された受基板と、前記受基板の少なくとも両側方向の前記第一基盤に設置固定された箔固定用弾性部材と、前記受基板に対向する位置であって、前記第二基盤に設置固定され、表面に凹凸パターン部を有する箔押用版と、前記箔固定用弾性部材に対向する位置であって、前記第二基盤側に形成された箔固定用押圧部と、前記箔押用版と前記受基板との間に位置して供給される転写箔材料と、前記転写箔材料と前記受基板との間に位置して供給される被加工物と、を備え、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されることにより、前記箔押用版の前記凹凸パターン部に対応する、前記転写箔材料により形成された箔押転写凹凸パターンが前記被加工物の表面に転写形成される箔押転写加工システムであって、前記箔固定用弾性部材は加えられた力に応じて変形するとともに力を取り去れば元の形に戻る性質を有し、(1)前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部との間に挟まれた状態で保持されるとともに、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、(II)続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して前記箔押用版と前記被加工物とが互いに押圧され、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンが前記被加工物の表面に転写形成され、(III)その後、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつの押圧力が解除されて駆動された時、前記箔固定用弾性部材は、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部による前記転写箔材料の保持固定状態が解除され、このようにシステム化構成されてなることを特徴とする。
【0016】
本発明の箔押転写加工システムにおいて、望ましくは、前記転写箔材料は帯状形状を有する帯状転写箔材料であり、前記帯状転写箔材料の長手方向であるとともに前記受基板の両側方向に、前記箔固定用弾性部材が設置され、前記箔固定用弾性部材に対向する位置に前記箔固定用押圧部が設置され、前記(1)において、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記帯状転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部との間に挟まれた状態で保持されるとともに、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部とにより長手方向に張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、このようにシステム化構成されてなることを特徴とする。
【0017】
本発明の箔押転写加工システムにおいて、望ましくは、前記箔固定用弾性部材は、少なくとも、成形体部とバネ部とを備え、前記成形体部の表面は、平面形状、万線形状または微細凹凸形状の表面を有し、前記バネ部の一端が前記成形体部に固定され、前記バネ部の他端が前記第一基盤に固定され、前記箔固定用弾性部材に押圧力がかかった時に前記バネ部が変形して圧縮状態となり、そして、押圧力が解除された時に前記バネ部が元の形状に戻る機能を有し、前記(1)において、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記転写箔材料が前記箔固定用押圧部と前記箔固定用弾性部材の前記成形体部との間に挟まれた状態で保持されるとともに、前記箔固定用弾性部材の前記バネ部が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料が前記箔固定用押圧部と前記箔固定用弾性部材の前記成形体部により張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、前記(II)において、続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記箔固定用弾性部材の前記バネ部が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して前記箔押用版と前記被加工物とが互いに押圧され、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンが前記被加工物の表面に転写形成され、前記(III)において、その後、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつの押圧力が解除されて駆動された時、前記箔固定用弾性部材の前記バネ部は、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部による前記転写箔材料の保持固定状態が解除され、このように、システム化構成されてなることを特徴とする。
【0018】
本発明の箔押転写加工システムにおいて、望ましくは、前記箔固定用弾性部材は、少なくとも、成形体部と、前記成形体部の一端に固定された摩擦体部と、前記成形体部の他端に固定されたバネ部とを備え、前記バネ部の他端が前記第一基盤に固定され、前記箔固定用弾性部材に押圧力がかかった時に、前記摩擦体部が前記転写箔材料を圧迫状態の摩擦力で保持するとともに前記バネ部が変形して圧縮状態となり、そして、押圧力が解除された時に前記バネ部が元の形状に戻る機能を有し、前記(1)において、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記転写箔材料が前記箔固定用押圧部と前記箔固定用弾性部材の前記摩擦体部との間に挟まれた状態で保持されるとともに、前記箔固定用弾性部材の前記バネ部が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料が前記箔固定用押圧部と前記箔固定用弾性部材の前記摩擦体部により張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、前記(II)において、続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記箔固定用弾性部材の前記バネ部が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して前記箔押用版と前記被加工物とが互いに押圧され、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンが前記被加工物の表面に転写形成され、前記(III)において、その後、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつの押圧力が解除されて駆動された時、前記箔固定用弾性部材の前記バネ部は、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、前記転写箔材料の前記箔固定用弾性部材の前記摩擦体部による保持固定状態が解除され、このようにシステム化構成されてなることを特徴とする。
【0019】
本発明の箔押転写加工システムにおいて、望ましくは、前記箔押用版の前記凹凸パターン部は、前記被加工物の表面形状に合致する表面形状を有するとともに、ラバー・ゴム材料により形成され、前記(II)において、続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記箔押用版のラバー・ゴム材料により形成された前記凹凸パターン部が、張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して前記被加工物の表面に密着して押圧され、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンが前記被加工物の表面に転写形成され、このようにシステム化構成されてなることを特徴とする。
【0020】
本発明の箔押転写加工システムにおいて、望ましくは、前記箔固定用押圧部は、前記箔押用版の設置領域を除く前記第二基盤の第二基盤箔固定用押圧表面部、または、前記箔押用版の前記凹凸パターン部の外周領域の箔押用版箔固定用押圧表面部に相当し、前記(1)において、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記転写箔材料が、前記第二基盤箔固定用押圧表面部または前記箔押用版箔固定用押圧表面部と、前記箔固定用弾性部材との間に挟まれた状態で接触していくとともに、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料が前記第二基盤箔固定用押圧表面部または前記箔押用版箔固定用押圧表面部と前記箔固定用弾性部材とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、このように、システム化構成されてなることを特徴とする。
【0021】
本発明の箔押転写加工システムにおいて、望ましくは、前記箔固定用押圧部は、前記箔押用版の設置領域を除く前記第二基盤の表面に別体に設置固定され、前記(1)において、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部とに挟まれて保持されるとともに、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、このようにシステム化構成されてなることを特徴とする。
【0022】
本発明の箔押転写加工システムにおいて、望ましくは、前記被加工物は立体的に形成された立体被加工物表面を有し、前記被加工物は前記受基板の上に載置して供給され、前記転写箔材料は前記被加工物と前記箔固定用弾性部材との双方の表面側に位置するとともに、前記箔押用版と前記箔固定用押圧部との双方の表面側に位置するように供給され、前記箔押用版は、前記箔押用版と前記被加工物とが前記転写箔材料を介して押圧して合わされた場合に、前記被加工物の前記立体被加工物表面に隙間なく合致して対応する立体箔押用版表面を有し、前記凹凸パターン部は前記立体箔押用版表面に形成され、前記(1)において、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部との間に挟まれた状態で保持されるとともに、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、前記(II)において、続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある前記転写箔材料が前記被加工物の表面に接触され、続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されて、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、前記被加工物に接触しているとともに張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して、前記箔押用版の前記凹凸パターン部と前記被加工物の前記立体被加工物表面とが隙間なく合致して互いに押圧され、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンが前記被加工物の表面に転写形成され、前記(III)において、その後、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつの押圧力が解除されて駆動された時、前記箔固定用弾性部材は、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部による前記転写箔材料の保持固定状態が解除され、このようにシステム化構成されてなることを特徴とする。
【0023】
本発明の箔押転写加工システムにおいて、望ましくは、前記被加工物は前記受基板の上に載置して供給され、前記転写箔材料は前記被加工物と前記箔固定用弾性部材との双方の表面側に位置するとともに、前記箔押用版と前記箔固定用押圧部との双方の表面側に位置するように供給され、前記箔固定用押圧部の表面が前記箔押用版の表面の位置よりも高さ方向に高くなるように設置固定され、前記箔固定用弾性部材の表面が前記受基板の上に載置された前記被加工物の表面の位置よりも高さ方向に高くなるように設置固定され、前記(1)において、前記第一基盤が押圧駆動されていく時、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部との間に挟まれた状態で保持されるとともに、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、前記(II)において、続いて更に、前記第一基盤が押圧駆動されていく時、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある前記転写箔材料が前記被加工物の表面に接触され、続いて更に、前記第一基盤が押圧駆動されて、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、前記被加工物に接触しているとともに張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して、前記箔押用版の前記凹凸パターン部と前記被加工物表面とが隙間なく合致して互いに押圧され、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンが前記被加工物の表面に転写形成され、前記(III)において、その後、前記第一基盤の押圧力が解除されて駆動された時、前記箔固定用弾性部材は、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部による前記転写箔材料の保持固定状態が解除され、このようにシステム化構成されてなることを特徴とする。
【0024】
本発明の箔押転写加工システムにおいて、望ましくは、前記被加工物は板状またはシート状の平面表面を有する板シート状であって帯形状を有する板シート状帯状被加工物であり、前記転写箔材料は帯状転写箔材料であり、前記帯状転写箔材料は前記箔押用版と前記受基板との間に位置して供給され、前記板シート状帯状被加工物は前記帯状転写箔材料と前記受基板との間に位置して供給され、前記(1)において、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記帯状転写箔材料と前記板シート状帯状被加工物とが前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部との間に挟まれた状態で接触していくとともに、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記帯状転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、前記(II)において、続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、前記箔押用版が、張力保持固定状態にある前記帯状転写箔材料を介して前記板シート状帯状被加工物の表面に押圧されるとともに、前記受基板に押圧され、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンが前記被加工物の表面に転写形成され、前記(III)において、その後、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつの押圧力が解除されて駆動された時、前記箔固定用弾性部材は、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部による前記転写箔材料の保持固定状態が解除され、このようにシステム化構成されてなることを特徴とする。
【0025】
本発明の箔押転写加工システムは、上下方向に互いに対向する位置に設置された第一基盤と第二基盤と、前記第一基盤に設置固定された受基板と箔固定用弾性部材と、前記第二基盤に設置固定された箔押用版と箔固定用押圧部と、前記受基板の上に載置して供給される被加工物と、前記箔固定用弾性部材と前記被加工物の双方の表面側に位置するとともに、前記箔押用版と前記箔固定用押圧部の双方の表面側に位置する状態で、前記箔押用版と前記被加工物との間に位置して供給される帯形状の転写箔材料と、を備え、前記箔押用版は表面に形成された凹凸パターン部を有し、前記箔固定用弾性部材は前記受基板の平面外周方向の互いに直交する四方向に設置され、前記箔固定用弾性部材は加えられた力に応じて変形するとともに力を取り去れば元の形に戻る性質を有し、前記箔固定用押圧部は前記箔固定用弾性部材に対向する位置に設置され、前記箔固定用弾性部材は成形体部と前記成形体部の一端に固定された摩擦体部と前記成形体部の他端に固定されたバネ部とを有し、前記被加工物は立体的に形成された立体被加工物表面を有し、前記箔押用版の前記凹凸パターン部は、前記被加工物の表面形状に合致する表面形状を有するとともにラバー・ゴム材料により形成され、前記箔押用版と前記被加工物とが前記転写箔材料を介して押圧して合わされた場合に前記被加工物の前記立体被加工物表面に隙間なく合致して対応する立体箔押用版表面を有し、前記箔固定用押圧部は表面に形成された押圧摩擦部を有し、前記箔固定用押圧部の表面が前記箔押用版の表面の位置よりも高さ方向に高くなるように設置固定され、前記箔固定用弾性部材の表面が前記受基板の上に載置された前記被加工物の表面の位置よりも高さ方向に高くなるように設置固定され、前記第一基盤が上下方向に押圧駆動と押圧解除駆動されることにより、前記箔押用版の前記凹凸パターン部に対応する、前記転写箔材料により形成された箔押転写凹凸パターンが前記被加工物の表面に転写形成される箔押転写加工システムであって、(1)前記第一基盤が上方向に押圧駆動されていく時、その押圧駆動に同期して、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材の前記摩擦体部と前記箔固定用押圧部の前記押圧摩擦部との間に挟まれた状態で接触していくとともに、前記箔固定用弾性部材の前記バネ部が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、(II)続いて更に、前記第一基盤が押圧駆動されていく時、前記バネ部が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある前記転写箔材料と前記被加工物の表面とが接触し、続いて、前記被加工物表面に接触するとともに張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して、前記ラバー・ゴム材料により形成された前記箔押用版の前記凹凸パターン部と前記被加工物の前記立体被加工物表面とが隙間なく合致して押圧され、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンが前記被加工物の表面に転写形成され、(III)その後、前記第一基盤の押圧力が解除されて下方向に駆動された時、前記箔固定用弾性部材の前記バネ部は、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部による前記転写箔材料の保持固定状態が解除され、このようにシステム化されて構成されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の箔押転写加工方法および箔押転写加工システムにより、箔押転写凹凸パターンの欠けの発生が防止され、箔押転写凹凸パターンの被加工物からの浮き上がり状態が防止され、さらに、箔押転写凹凸パターンのしわや歪みの発生が防止される、等の、箔押用版に形成されている凹凸パターンに忠実な箔押転写凹凸パターンを被加工物に転写形成することが可能となり、その結果、良品歩留まりが著しく向上し、量産効率が向上する。
【0027】
特に、被加工物が立体的に形成された立体被加工物表面を有するとともに、箔押用版が立体被加工物表面に隙間なく合致して対応する立体箔押用版表面を有する場合に、「箔押転写凹凸パターンの欠けの発生が防止され、箔押転写凹凸パターンの被加工物からの浮き上がり状態が防止され、さらに、箔押転写凹凸パターンのしわや歪みの発生が防止される、等の、箔押用版に形成されている凹凸パターンに忠実な箔押転写凹凸パターンを被加工物に転写形成することが可能となり、その結果、良品歩留まりが著しく向上し、量産効率が向上する」という効果がさらに著しく向上する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(A)は本発明の箔押転写加工方法および箔押転写加工システムの一実施例を説明するための箔押転写加工システムの模式的概略構成図、(B)は(A)に示される第二基盤とその第二基盤に設置固定された箔押用版と箔固定用押圧部の模式的概略平面図、(C)は(A)に示される第一基盤とその第一基盤に設置固定された受基板と箔固定用弾性部材と被加工物の模式的概略平面図
【図2】本発明の箔押転写加工方法の箔押転写加工工程の一実施例を説明するための模式的概略構成図
【図3】本発明の箔押転写加工方法および箔押転写加工システムに構成される箔固定用弾性部材の一実施例を示す模式的概略構成図
【図4】本発明の箔押転写加工方法および箔押転写加工システムに構成される第一基盤に固定された箔固定用弾性部材との一実施例を示す模式的概略平面図
【図5】本発明の箔押転写加工方法および箔押転写加工システムの一実施例を説明するための箔押転写加工システムの模式的概略構成図
【図6】本発明の箔押転写加工方法および箔押転写加工システムの他の実施例を説明するための箔押転写加工システムの模式的概略構成図
【図7】本発明の箔押転写加工方法および箔押転写加工システムの他の実施例を説明するための箔押転写加工システムの模式的概略構成図
【図8】本発明の箔押転写加工方法および箔押転写加工システムの他の実施例を説明するための箔押転写加工システムの模式的概略構成図
【図9】本発明の箔押転写加工方法および箔押転写加工システムの他の実施例を説明するための箔押転写加工システムの模式的概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に本発明の箔押転写加工方法および箔押転写加工システム、等について、実施例と図面を示しながら説明する。図面において、構成要素の形状・大きさ・寸法等は正確に示すものではなく、形状、構成、システム、作用効果等の特徴を説明するための模式的概略を示すものである。
【0030】
図1(A)は本発明の箔押転写加工方法および箔押転写加工システムの一実施例を説明するための箔押転写加工システムの模式的概略構成図であり、図1(B)は図1(A)に示される箔押転写加工システムに構成される第二基盤とその第二基盤に設置固定された箔押用版と箔固定用押圧部の平面図であり、図1(C)は図1(A)に示される箔押転写加工システムに構成される第一基盤とその第一基盤に設置固定された受基板と箔固定用弾性部材と被加工物の平面図である。図2は本発明の箔押転写加工方法の箔押転写加工工程の一実施例を説明するための模式的概略構成図である。
【0031】
図1(A)、(B)、(C)において、箔押転写加工システム1は、互いに対向する位置に設置された第一基盤8と第二基盤9と、第一基盤8に設置固定された受基板3と、受基板3の少なくとも両側方向の第一基盤8に設置固定された箔固定用弾性部材6と、受基板3に対向する位置であって第二基盤9に設置固定された箔押用版2と、箔固定用弾性部材6に対向する位置であって第二基盤9の側に形成された箔固定用押圧部7と、箔押用版2と受基板3との間に位置して供給される転写箔材料5と、転写箔材料5と受基板3との間に位置して供給される被加工物4と、を備える。図1(A)においては、転写箔材料5は箔固定用弾性部材6と被加工物4の双方の表面側に位置するとともに、箔押用版2と箔固定用押圧部7の双方の表面側に位置する状態で、箔押用版2と被加工物4との間に位置して供給される。箔押用版2は表面に凹凸パターン部2aを有する。第一基盤8と第二基盤9のうちの少なくともひとつが押圧駆動されることにより、箔押用版の凹凸パターン部2aに対応する、転写箔材料5により形成された箔押転写凹凸パターンが被加工物4の表面に転写形成される。箔固定用弾性部材6は加えられた力に応じて変形するとともに力を取り去れば元の形に戻る性質を有する。
【0032】
このような箔押転写加工システム1において、(1)第一基盤8と第二基盤9のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、転写箔材料5が箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7との間に挟まれた状態で保持されるとともに、箔固定用弾性部材6が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、転写箔材料5が箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、(II)続いて更に、前記第一基盤8と前記第二基盤9のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、箔固定用弾性部材6が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある転写箔材料5を介して箔押用版2と被加工物4とが互いに押圧され、これにより、転写箔材料により形成されるとともに凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンが被加工物4の表面に転写形成され、(III)その後、第一基盤8と第二基盤9のうちの少なくともひとつの押圧力が解除されて駆動された時、箔固定用弾性部材6は、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7による転写箔材料5の保持固定状態が解除され、このようにシステム化構成されている。
【0033】
本発明の箔押転写加工方法は、(a)第一基盤8に設置固定された受基板3と、受基板3に対向する位置であって第二基盤9に設置固定されて表面に凹凸パターン部2aを有する箔押用版2と、を備えた箔押転写加工装置1を準備する工程と、(b)受基板3と箔押用版2との間に位置して転写箔材料5を供給する工程と、(c)受基板3と転写箔材料5との間に位置して被加工物4を供給する工程と、(d)箔押用版2と受基板3とのうちの少なくともひとつを押圧駆動していき、これにより、転写箔材料5により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンを前記被加工物の表面に転写形成する工程と、を備える。前記(d)工程において、箔押用版2と受基板3とのうちの少なくともひとつを押圧駆動していく過程において、転写箔材料5を張力を保って保持して固定した張力保持固定状態に形成し、その後、この張力保持固定状態にある転写箔材料5を介して、箔押用版2の表面と被加工物4の表面とを互いに押圧することにより、転写箔材料5により形成された箔押転写凹凸パターンを被加工物4の表面に転写形成する工程を有する。
【0034】
このような箔押転写加工方法または箔押転写加工システムにより、箔押転写凹凸パターンの欠けの発生が防止され、箔押転写凹凸パターンの被加工物4からの浮き上がり状態が防止され、さらに、箔押転写凹凸パターンのしわや歪みの発生が防止される、等の、箔押用版に形成されている凹凸パターンに忠実な箔押転写凹凸パターンを被加工物に転写形成することが可能となり、その結果、良品歩留まりが著しく向上し、量産効率が向上する。
【0035】
前記箔押転写加工方法において、望ましくは、箔押転写加工装置1は、第一基盤8と第二基盤9のうちの少なくともひとつに設置された箔固定手段を備え、前記(d)工程において、箔押用版2と受基板3とのうちの少なくともひとつを押圧駆動していく過程において、その押圧駆動に同期して、転写箔材料5を箔固定手段により張力を保って保持して固定した張力保持固定状態に形成し、この張力保持固定状態にある転写箔材料5を介して、箔押用版2の表面と被加工物4の表面とを互いに押圧していくことにより、転写箔材料5により形成された箔押転写凹凸パターンを被加工物4の表面に転写形成する工程を有する。これにより、箔押用版2と受基板3とのうちの少なくともひとつの押圧駆動に同期して転写箔材料5を箔固定手段により張力保持固定状態に形成できるために、複雑で高価な駆動制御機構や電子回路設計を必要とすることなく、単に、箔押用版2又は/及び受基板3をするだけの方法により、転写箔材料5により形成された箔押転写凹凸パターンを被加工物4の表面に、精確に安価に量産性良く、転写形成することができる。
【0036】
前記箔押転写加工方法において、望ましくは、前記箔固定手段として、第一基盤8に設置固定された箔固定用弾性部材6と第二基盤9の側に形成された箔固定用押圧部7とが構成される。
前記(d)工程において、(d−1)第一基盤8と第二基盤9のうちの少なくともひとつを押圧駆動し、これにより、転写箔材料5を箔固定用押圧部7と箔固定用弾性部材6との間に挟んだ状態で接触していくとともに、箔固定用弾性部材6を押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、転写箔材料5を箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7とにより張力を保って保持して固定した張力保持固定状態に形成する工程と、(d−II)続いて更に、第一基盤8と第二基盤9のうちの少なくともひとつを押圧駆動して、箔固定用弾性部材6を押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある転写箔材料5が被加工物4の表面に接触し、続いて更に、第一基盤8と第二基盤9のうちの少なくともひとつを押圧駆動して、箔固定用弾性部材6を押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、被加工物4に接触しているとともに張力保持固定状態にある転写箔材料5を介して、箔押用版2と被加工物4とを互いに押圧し、これにより、転写箔材料5により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンを被加工物4の表面に転写形成する工程と、(d−III)その後、第一基盤8と第二基盤9のうちの少なくともひとつの押圧力を解除して駆動し、これにより、箔固定用弾性部材6を、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻すとともに、箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7による転写箔材料5の保持固定状態を解除する工程と、を有する箔押転写加工方法が望ましい。
【0037】
箔押転写加工システム1は、望ましくは、被加工物4は受基板3の上に載置して供給され、転写箔材料5は被加工物4と箔固定用弾性部材6との双方の表面側に位置するとともに、箔押用版2と箔固定用押圧部7との双方の表面側に位置するように供給され、箔固定用押圧部7は箔押用版2よりも厚さ方向に厚くなるように設置固定され、箔固定用弾性部材6は受基板3の上に載置された被加工物4よりも厚さ方向に厚くなるように設置固定され、前記(1)において、第一基盤8が押圧駆動されていく時、転写箔材料5が箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7との間に挟まれた状態で保持されるとともに、箔固定用弾性部材6が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、転写箔材料5が箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、前記(II)において、続いて更に、第一基盤8が押圧駆動されていく時、箔固定用弾性部材6が押圧力に対応して変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある転写箔材料5が被加工物4の表面に接触され、続いて更に、第一基盤8が押圧駆動されて、箔固定用弾性部材6が押圧力に対応して変形して圧縮していき、被加工物4に接触しているとともに張力保持固定状態にある転写箔材料5を介して、箔押用版2の凹凸パターン部2aと被加工物4の被加工物表面とが隙間なく合致して互いに押圧され、これにより、転写箔材料5により形成されるとともに凹凸パターン部2aに一致対応した箔押転写凹凸パターンが被加工物4の表面に転写形成され、前記(III)において、その後、第一基盤8の押圧力が解除されて駆動された時、箔固定用弾性部材6は、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7による転写箔材料5の保持固定状態が解除され、このようにシステム化構成されてなる。
【0038】
この箔押転写加工方法および箔押転写加工システムの一実施例を図2を用いて説明する。図2(A)において、箔押転写加工システム1は、互いに対向する位置に設置された第一基盤8と第二基盤9と、第一基盤8に設置固定された受基板3と、受基板3の少なくとも両側方向の第一基盤8に設置固定された箔固定用弾性部材6と、受基板3に対向する位置であって第二基盤9に設置固定された箔押用版2と、箔固定用弾性部材6に対向する位置であって第二基盤9の側に形成された箔固定用押圧部7と、箔押用版2と受基板3との間に位置して供給される転写箔材料5と、転写箔材料5と受基板3との間に位置して供給される被加工物4と、を備える。転写箔材料5は箔固定用弾性部材6と被加工物4の双方の表面側に位置するとともに、箔押用版2と箔固定用押圧部7の双方の表面側に位置する状態で、箔押用版2と被加工物4との間に位置して供給される。箔押用版2は表面に凹凸パターン部2aを有する。箔固定用弾性部材6は加えられた力に応じて変形するとともに力を取り去れば元の形に戻る性質を有する。
箔固定用押圧部7の表面が箔押用版2の表面の位置よりも高さ方向に高くなるように設置固定され、
箔固定用弾性部材6の表面が受基板3の上に載置された被加工物4の表面の位置よりも高さ方向に高くなるように設置固定されている。
【0039】
図2(B)において、第一基盤8を上方向に押圧駆動し、これにより、転写箔材料5を箔固定用押圧部7と箔固定用弾性部材6との間に挟んだ状態で接触していくとともに、箔固定用弾性部材6を押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、転写箔材料5を箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7とにより張力を保って保持して固定した張力保持固定状態に形成する。
図2(C)において、続いて更に、第一基盤8を上方向に押圧駆動して、箔固定用弾性部材6を押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある転写箔材料5を被加工物4の表面に接触した状態に形成する。
図2(D)において、続いて更に、第一基盤8を押圧駆動して、箔固定用弾性部材6を押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、被加工物4に接触しているとともに張力保持固定状態にある転写箔材料5を介して、箔押用版2と被加工物4とを互いに押圧し、これにより、転写箔材料5により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンを被加工物4の表面に転写形成する。
図示しないが、その後、押圧力を解除するように第一基盤8を下方向に駆動し、これにより、箔固定用弾性部材6を、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻すとともに、箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7による転写箔材料5の保持固定状態を解除する。
【0040】
このように、特に、(d−II)において、第一基盤8と第二基盤9のうちの少なくともひとつを押圧駆動して、張力保持固定状態にある転写箔材料5が被加工物4の表面に接触し、続いて更に、第一基盤8と第二基盤9のうちの少なくともひとつを押圧.駆動して、被加工物4に接触しているとともに張力保持固定状態にある転写箔材料5を介して、箔押用版2と被加工物4とを互いに押圧する工程を備えることにより、前述の、「箔押転写凹凸パターンの欠けの発生が防止され、箔押転写凹凸パターンの被加工物4からの浮き上がり状態が防止され、さらに、箔押転写凹凸パターンのしわや歪みの発生が防止される、等の、箔押用版に形成されている凹凸パターンに忠実な箔押転写凹凸パターンを被加工物に転写形成することが可能となり、その結果、良品歩留まりが著しく向上し、量産効率が向上する」という効果が更に著しく発揮される。
【0041】
箔押用版2に使用される材質は、凹凸形状の凹凸パターン2aを形成加工が可能であるとともに、押圧時に凹凸パターン2aが変形しない程度の硬さを有する材質材料が使用され、その使用される目的に応じて、例えば、ラバー、ゴム、等のラバー・ゴム材料、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、合金、その他の公知の金属・合金、または、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、添加物含有樹脂、その他の公知の樹脂、などが使用される。また、箔押用版2を第二基盤9に固定する構成としては特に限定されることなく、例えば、図示していないが、接着手段による固定、または、凹凸パターンに影響を及ぼさない領域におけるボルト等の固定部材の使用による固定が実施される。または、別体の取付板を使用して第二基盤9に固定するとともに、その取付板に箔押用版2を固定する構成も使用できる。
また、第二基盤9に箔押用版2を加熱するための加熱手段が設置された構成も実施可能である。
第一基盤8または第二基盤9に熱制御機構を設置して箔押用版2または受基板3を加熱・冷却するシステム・方法も実施可能である。
このような箔押用版2の表面の所定の領域に凹凸パターン部2aが形成され、その凹凸パターン部2aの表面に、文字・記号・模様・文様・図柄・絵柄等の所望の凹凸パターンが凹凸形状で形成されている。これらの文字・記号・模様・文様・図柄・絵柄等は凹による凹パターンまたは凸による凸パターンまたはこれらの凹凸の組み合わせによる凹凸パターンにより形成されている。
【0042】
箔押用版2に使用される材質としては、ラバー、ゴム、等のラバー・ゴム材料が特に望ましい。一般に、ラバー・ゴム材料製の箔押用版2は、被加工物4として使用されるプラスチック成形物、および、転写箔材料5に使用されるキャリアフィルム層の材質よりも表面硬度が軟らかい性質を有するために、被加工物4や転写箔材料5の傷つけ・破損を防止する効果が得られる。さらに、特に、被加工物4としてプラスチック成形製の凹凸形状を有する立体加工物表面を有する立体被加工物4が使用される場合、箔押用版2と被加工物4とが互いに押圧された時に、ラバー・ゴム材料製箔押用版2は被加工物4の微小な凹凸表面にも契合することができ、その結果、「箔押転写凹凸パターンの欠けの発生が防止され、箔押転写凹凸パターンの被加工物4からの浮き上がり状態が防止され、さらに、箔押転写凹凸パターンのしわや歪みの発生が防止される、等の、箔押用版に形成されている凹凸パターン部に忠実な箔押転写凹凸パターンを被加工物に転写形成することが可能となり、良品歩留まりが著しく向上し、量産効率が向上する」という効果をさらに著しく発揮することができる。
【0043】
受基板3としては、金属またはプラスチック、その他の材料により作製され、所望の表面形状を有する受基板3が実施できる。特に、被加工物4の裏面が凹凸形状の立体形状被加工物裏面を有する場合には、受基板3の表面を立体形状被加工物裏面に一致するように立体形状受基板表面を形成して、その立体形状受基板表面と立体形状被加工物裏面とを契合するように、立体形状被加工物4を供給することが可能となる。
【0044】
箔押用版2と受基板3とのうちの少なくともひとつを互いに押圧駆動するために、第一基盤8と第二基盤9のうちの少なくともひとつを押圧駆動する方法またはシステムとしては、第一基盤8を静止した状態で第二基盤9を押圧駆動する方法・システム、第二基盤9を静止した状態で第一基盤8を押圧駆動する方法・システム、または、第一基盤8と第二基盤9の双方を押圧駆動する方法・システムが実施可能である。
例えば、A:静止する第一基盤8に固定された受基板3の上に被加工物4が載置され、被加工物4と駆動可能な第二基盤9に固定された箔押用版2との間に転写箔材料5が位置する状態で、箔押用版2が受基板3に向けて押圧駆動していく方法・システム、B:駆動可能な第一基盤8に固定された受基板3の上に被加工物4が載置され、被加工物4と静止する第二基盤9に固定された箔押用版2との間に転写箔材料5が位置する状態で、受基板3が箔押用版2に向けて押圧駆動していく方法・システム、C:駆動可能な第一基盤8に固定された受基板3の上に被加工物4が載置され、被加工物4と駆動可能な第二基盤9に固定された箔押用版2との間に転写箔材料5が位置する状態で、箔押用版2と受基板3とが互いに押圧駆動していく方法・システム、D:静止する第一基盤8に固定された受基板3と駆動可能な第二基盤9に固定された箔押用版2との間に被加工物4が位置し、被加工物4と箔押用版2との間に転写箔材料5が位置する状態で、箔押用版2が受基板3に向けて押圧駆動していく方法・システム、E:駆動可能な第一基盤8に固定された受基板3と静止する第二基盤9に固定された箔押用版2との間に被加工物4が位置し、被加工物4と箔押用版2との間に転写箔材料5が位置する状態で、受基板3が箔押用版2に向けて押圧駆動していく方法・システム、F:駆動可能な第一基盤8に固定された受基板3と駆動可能な第二基盤9に固定された箔押用版2との間に被加工物4が位置し、被加工物4と箔押用版2との間に転写箔材料5が位置する状態で、箔押用版2と受基板3とが互いに押圧駆動していく方法・システム、等が実施可能である。
特に、被加工物4が立体形状を有する場合には、前述のB方法の、駆動可能な第一基盤8に固定された受基板3の上に被加工物4が載置され、被加工物4と静止する第二基盤9に固定された箔押用版2との間に転写箔材料5が位置する状態で、受基板3が箔押用版2に向けて押圧駆動していく方法・システムが望ましい。この場合にも、箔押用版2は加熱制御された第二基盤9に固定された構成が実施できる。
【0045】
転写箔材料5としては公知の転写箔材料が使用され、一般の転写箔材料の材質としては、例えば、キャリアフィルム層・離型層・保護層・着色層・金属層・接着層とから構成された積層フィルム製転写箔材料が使用され、箔押転写時には、保護層・着色層・金属層・接着層が被加工物4の表面に転写接着されて、所望の箔押転写凹凸パターンが転写印刷形成されるとともに、キャリアフィルム層は転写されることなく残存する。一般には、このような積層フィルム製転写箔材料が使用され、この場合、前述の(d−II)において、積層フィルム製転写箔材料の保護層・着色層・金属層・接着層が被加工物4の表面に転写接着され、(d−III)において、キャリアフィルム層は転写されることなく残存し、従って、キャリアフィルム層と転写されなかった保護層・着色層・金属層・接着層との転写箔材料の保持固定状態が解除されることになる。
また、これに限定されることなく、例えば、金属蒸着フィルム、着色フィルム、金属箔積層フィルム、酸化金属薄膜付フィルム、金属箔、着色紙、これらの積層材料、等も使用可能である。
供給される転写箔材料5の形状としては、例えば、図1に示されるような、帯状転写箔材料5として供給される。また、帯状転写箔材料5に限定されることなく、任意形状の転写箔材料5も所定位置に供給されて実施可能である。
【0046】
被加工物4としては、特に限定されることなく、あらゆる被加工物4が使用できる。例えば、プラスチック成形加工品、金属加工品、繊維加工品、木材加工品、等の被加工物4であって、凹凸形状または曲面形状などの立体的に形成された立体被加工物表面又は/及び立体被加工物裏面を有する被加工物が使用できる。また、紙類、繊維織物、布、不織布、皮革製品、プラスチックシート、プラスチック板、プラスチックラミネートシート、段ボール紙、等の薄片シート状被加工物または板状被加工物、等の板状またはシート状の平面表面を有する板シート状被加工物が使用できる。
【0047】
被加工物4として凹凸形状または曲面形状などの立体表面を有する立体被加工物4を使用する場合、例えば、図1に示されるように、被加工物4は曲面形状または凹凸形状などの立体的に形成された立体被加工物表面を有し、被加工物4が受基板3の上に載置して供給され、箔押用版2は、箔押用版2と被加工物4とが転写箔材料5を介して押圧して合わされた場合に、被加工物4の立体被加工物表面に隙間なく合致して対応する立体箔押用版表面を有し、凹凸パターン部2aは立体箔押用版2の表面に形成され、このような箔押転写加工システム1において、(1)第一基盤8が押圧駆動されていく時、転写箔材料5が箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7との間に挟まれた状態で保持されるとともに、箔固定用弾性部材6が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、転写箔材料5が箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、(II)続いて更に、第一基盤8が更に押圧駆動されていく時、箔固定用弾性部材6が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある転写箔材料5が被加工物4の表面に接触され、続いて更に、第一基盤8が押圧駆動されていく時、箔固定用弾性部材6が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、被加工物4に接触しているとともに張力保持固定状態にある転写箔材料5を介して、箔押用版2の凹凸パターン部2aと被加工物4の立体被加工物表面とが隙間なく合致して互いに押圧され、これにより、転写箔材料5により形成されるとともに凹凸パターン部2aに一致対応した箔押転写凹凸パターンが被加工物4の表面に転写形成され、(III)その後、第一基盤8の押圧力が解除されて駆動された時、箔固定用弾性部材6は、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7による転写箔材料5の保持固定状態が解除され、このようにシステム化構成されている。
【0048】
なお、このシステムにおいて、立体被加工物4の裏面も立体的裏面を有する場合、受基板3の表面を立体被加工物4の裏面の形状に合致するように立体的表面形状に設計し、その立体的表面形状を有する受基板3の表面に立体被加工物4の裏面を係合載置し、その状態で、箔押用版2を固定した第二基盤9を張力保持固定状態に保持した転写箔材料5を介して、立体被加工物4に向けて押圧駆動し、立体被加工物表面に箔押転写凹凸パターンを転写形成する方法・システムも実施できる。
【0049】
このように、被加工物4が立体被加工物表面を有する場合において、被加工物4が凹凸形状などの立体的に形成された立体被加工物表面又は/及び立体被加工物裏面を有する場合であっても、静止している受基板3に被加工物4が載置しているため、被加工物4が箔押用版2により押圧された時に、被加工物4の位置が動くことなく、凹凸パターン部と所定部分の被加工物4とが互いに押圧され、その結果、被加工物4の所望部分に精確に箔押転写凹凸パターンが転写形成される、という効果が得られる。すなわち、「箔押転写凹凸パターンの欠けの発生が防止され、箔押転写凹凸パターンの被加工物4からの浮き上がり状態が防止され、さらに、箔押転写凹凸パターンのしわや歪みの発生が防止される、等の、箔押用版2に形成されている凹凸パターン部2a忠実な箔押転写凹凸パターンを被加工物4に転写形成することが可能となり、その結果、良品歩留まりが著しく向上し、量産効率が向上する」という効果を発揮することができる。
【0050】
被加工物4として、板状またはシート状の平面表面を有する板シート状被加工物4を使用する場合には、第一基盤8に固定された受基板3と第二基盤9に固定された箔押用版2との間に被加工物4が位置し、被加工物4と箔押用版2との間に転写箔材料5が位置する状態で、箔押用版2と受基板3とのうちの少なくともひとつが押圧駆動していく方法・システムが実施できる。
被加工物4が板状またはシート状の平面表面を有する板シート状であって帯状形状を有する板シート状帯状被加工物4であるとともに、転写箔材料5も帯状転写箔材料5であるときには、帯状転写箔材料5が箔押用版2と受基板3との間に位置するように供給され、板シート状帯状被加工物4が帯状転写箔材料5と受基板3との間に位置して供給される。そして、(1)第一基盤8と第二基盤9のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、帯状転写箔材料5と板シート状帯状被加工物4とが箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7との間に挟まれた状態で接触していくとともに、箔固定用弾性部材6が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、転写箔材料5が箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となる。すなわち、帯状転写箔材料5が箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7との間に挟まれた状態で接触していく。(II)続いて更に、第一基盤8と第二基盤9のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、箔固定用弾性部材6が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、箔押用版2が、張力保持固定状態にある板シート状帯状転写箔材料5を介して板シート状帯状被加工物4の表面に押圧されるとともに、受基板3の表面に押圧され、これにより、転写箔材料5により形成されるとともに凹凸パターン部2aに一致対応した箔押転写凹凸パターンが被加工物4の表面に転写形成される。すなわち、張力保持固定状態にある前記帯状転写箔材料を介して、箔押用版2と板シート状被加工物4とが互いに押圧される。(III)その後、第一基盤8と第二基盤9のうちの少なくともひとつの押圧力が解除されて駆動された時、箔固定用弾性部材6は、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7による前記転写箔材料の保持固定状態が解除される。
【0051】
このように、被加工物4として板状またはシート状被加工物4を使用する場合において、帯状転写箔材料5と板シート状帯状被加工物4との双方が箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7との間に挟まれた状態で転写箔材料5が張力保持固定状態となるために、転写箔材料5と帯状被加工物4との位置合わせが精確になり、その結果、「箔押転写凹凸パターンの欠けの発生が防止され、箔押転写凹凸パターンの被加工物4からの浮き上がり状態が防止され、さらに、箔押転写凹凸パターンのしわや歪みの発生が防止される、等の、箔押用版2に形成されている凹凸パターン部2aに忠実な箔押転写凹凸パターンを被加工物4に転写形成することが可能となり、その結果、良品歩留まりが著しく向上し、量産効率が向上する」という効果を発揮することができる。
【0052】
図3は本発明の箔押転写加工方法および箔押転写加工システムに構成される箔固定用弾性部材6の一実施例を示す模式的概略構成図である。図3(A)において、箔固定用弾性部材6は、成形体部6bと、成形体部6bの一端に固定された摩擦体部6cと、成形体部6bの他端に固定されたバネ部6aと、バネ部6aの下に固定されたバネ基台部6dを備える。成形体部6bの形状は略直方体であり、成形体部6bの底面に複数個のバネ部6aが構成され、成形体部6bの上面に摩擦体部6cが接着固定され、複数個のバネ部6aの下端はバネ基台部6dに固定されている。このバネ基台部6dが第一基盤8に設置固定される。
なお、1個の成形体部6bに2個のバネ部6aが設置された構成に限定されることなく、3個、4個、5個以上の所望の個数のバネ部6aを設置した構成も実施可能である。また、バネ基台部6dが構成されることなく、それぞれのバネ部6aが直接に第一基盤8に設置固定される構成も実施可能である。箔固定用弾性部材6に押圧力がかかった時に、摩擦体部6cが転写箔材料5を圧迫状態の摩擦力で保持するとともにバネ部6aが変形して圧縮状態となり、そして、押圧力が解除された時にバネ部6aが元の形状に戻る機能を有する。
【0053】
成形体部6bの形状としては、略直方体形状に限定されることなく、平面図において楕円、長方形、任意の多角形、角にアールを有するアール付長方形など、所望の形状を有するものが使用できる。成形体部6bの材質としては、特に限定されることなく、金属、プラスチック、セラミック、その他の材料により所定の形状に形成されたものが使用できる。特に、構成するバネ部6aの種類に影響されることなく成形体部6bの形状を所望形状に設計することが可能となり、これにより、転写箔材料5を効率よく押圧保持することが可能となる効果が得られる。
バネ部6aとしては、例えば、コイルばね、板ばね、スプリングばね、空気ばね、流体ばね、油圧ばね、ガスばね、その他のばね等の、押圧力がかかった時に変形して圧縮状態となり、押圧力が解除された時に元の形状に戻る機能を有する部材が使用できる。構成されるバネ部6aは2個に限定されることなく、1個、3個、4個以上等の所望する個数のバネ部6aを構成することができる。
摩擦体部6cとしては、例えば、ゴム材料、繊維集合体材料、微粉末含有プラスチック材料、その他の摩擦係数の大きい材料、または、摩擦体部6cの表面形状が、平面形状、万線形状または微細凹凸形状を有する形状も実施可能であり、これにより、押圧力がかかった時に、転写箔材料5を滑ることなく効果的に保持することができる。または、すべり度合いを所望に制御し、所望の張力保持状態に形成することができる。微細凹凸形状とは数ミクロンから約5mm程度までの間隔を有する点状または線状の凹凸形状を意味する。
バネ基台部6dとしては、金属、プラスチック、セラミック、その他の材料により所定の形状に形成されたものも使用できる。
【0054】
また、箔押加工工程中に転写箔材料5に接触する箔固定用弾性部材6または摩擦体部6cの表面を構成する材料・表面形状として、転写箔材料5を破損する程度の大きな張力がかかった場合に転写箔材料5を滑らせて張力を緩和できるように滑り機能を有する摩擦係数の小さい材料または凹凸の少ない鏡面加工した表面形状を有する材料が実施でき、これにより、転写箔材料5の穂損を防止するとともに、適度の張力を保持して固定することができる。
また、積層フィルム製転写箔材料5を使用した場合に、箔押加工工程中に積層フィルム製転写箔材料5の接着層が箔固定用弾性部材6の表面に付着することを防止するために、箔固定用弾性部材6の表面または摩擦体部6cをフッ素樹脂などの接着層が付着しにくい材料により構成することができる。
このように、箔押加工工程中に転写箔材料5に接触する箔固定用弾性部材6および摩擦体部6cの表面を構成する材料・表面形状として、使用する転写箔材料5と被加工物4、構成する箔固定用弾性部材6と箔固定用部材7、などの形状や種類を勘案して、最適な材料・表面形状を設計して構成することができる。
【0055】
箔固定用弾性部材6の高さ、および、箔固定用部材7の高さについては、箔押加工する被加工物の形状を勘案して、所望高さに設計した構成が実施可能であり、転写箔材料5の破損を防止するとともに、箔押転写凹凸パターンに、浮き上がり、しわ、歪み、等の発生を効率よく防止できるように箔固定用弾性部材6の高さと箔固定用部材7の高さを設計構成することができる。
【0056】
図3(A)に示す箔固定用弾性部材6の構成により、バネ部6aが効率良い弾性機能を有するとともに、成形体部6bと摩擦体部6cとが転写箔材料5の表面に接触して転写箔材料5を効率良く張力保持固定状態に保持する機能を有し、このように箔固定用弾性部材6を機能を分担した材料により構成することにより、転写箔材料5の張力保持固定状態を所望状態に制御して保持する効果が著しく向上し、その結果、前述の、「箔押転写凹凸パターンの欠けの発生が防止され、箔押転写凹凸パターンの被加工物4からの浮き上がり状態が防止され、さらに、箔押転写凹凸パターンのしわや歪みの発生が防止される、等の、箔押用版に形成されている凹凸パターン部に忠実な箔押転写凹凸パターンを被加工物に転写形成することが可能となり、良品歩留まりが著しく向上し、量産効率が向上する」という効果を発揮することができる。
【0057】
図3(B)において、箔固定用弾性部材6は、成形体部6bと、成形体部6bの他端に固定されたバネ部6aと、バネ部6aの下に固定されたバネ基台部6dを備える。成形体部6bの上面は、成形体部6bと同じ材料により形成されるとともに万線形状または微細凹凸形状、その他の摩擦抵抗を高める形状に形成して、摩擦体部6cを形成する。成形体部6bの形状は略直方体であり、成形体部6bの底面に複数個のバネ部6aが構成され、複数個のバネ部6aの下端はバネ基台部6dに固定されている。このバネ基台部6dが第一基盤8に設置固定される。なお、バネ基台部6dが構成されることなく、バネ部6aが直接に第一基盤8に設置固定される構成も実施可能である。箔固定用弾性部材6に押圧力がかかった時に、摩擦体部6cが転写箔材料5を圧迫状態の摩擦力で保持するとともにバネ部6aが変形して圧縮状態となり、そして、押圧力が解除された時にバネ部6aが元の形状に戻る機能を有する。
バネ部6a、成形体部6b、バネ基台部6dとしては、図3(A)で説明したものと同じものが実施できる。これにより、押圧力がかかった時に、転写箔材料5の張力保持固定状態を所望状態に制御して効率的に保持して、張力保持状態に形成することができる効果が得られる。
【0058】
図3(C)に示される箔固定用弾性部材6は、図3(A)に示される箔固定用弾性部材6と比べて、一つの成形体部6bに一つのバネ部6aが構成された箔固定用弾性部材6であり、その他の構成は図5(A)、(B)に示される箔固定用弾性部材6と同じである。
【0059】
図3(D)に示される箔固定用弾性部材6において、箔固定用弾性部材6の全体が弾性成形体6eにより構成される。弾性成形体6eに押圧力がかかった時に、転写箔材料5を圧迫状態の摩擦力で保持するとともに弾性成形体6e自体が変形して圧縮状態となり、そして、押圧力が解除された時に元の形状に戻る機能を有する。このような機能を有する弾性成形体6eを構成する材料としては、弾性を有する弾性ゴム、弾性プラスチック、等が実施できる。
また、図3(E)に示される箔固定用弾性部材6は、弾性成形体6eの表面形状が、万線形状または微細凹凸形状を有する形状であり、これにより、押圧力がかかった時に、転写箔材料5の摩擦力を所望に制御することができ、転写箔材料5を効果的に保持して、張力保持状態に形成することができる効果が得られる。
【0060】
図3(F)に示される箔固定用弾性部材6は、箔固定用弾性部材6の全体が空気ばね、流体ばね、ガスばね等の、押圧力がかかった時に変形して圧縮状態となる機能を有する部材により構成された箔固定用弾性部材6fである。この場合、押圧力がかかった時に、箔固定用弾性部材6fの全体が変形して圧縮状態となり、そして、押圧力が解除された時に元の形状に戻る機能を有する。
図3の(A)〜(F)に示される箔固定用弾性部材6が受基板3の両側、周囲、四隅などの所望の位置に、所望の個数で設置固定されて構成される。
【0061】
図4は、本発明の箔押転写加工方法および箔押転写加工システムに構成される第一基盤8に固定された箔固定用弾性部材6の一実施例を示す概略平面図である。箔固定用弾性部材6の設置位置として、例えば、図4の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示されるような位置に設置固定された構成が実施可能である。
図4(A)に示されるように、図3(A)、図3(B)、図3(D)または図3(E)に示される箔固定用弾性部材6が受基板3の平面外周方向の両側方向を含む互いに直交する四方向に設置されている。図4(B)に示されるように、図3(A)、図3(B)、図3(D)または図3(E)に示される箔固定用弾性部材6が受基板3の両側方向に設置されている。図4(C)に示されるように、図3(A)、図3(B)、図3(D)または図3(E)に示される箔固定用弾性部材6が受基板3を囲むように、受基板3の周囲方向に設置されている。図4(D)に示されるように、図3(C)に示される箔固定用弾性部材6が受基板3の周囲方向に設置されている。図4(E)に示されるように、図3(F)に示される箔固定用弾性部材6が受基板3の両側方向に設置されている。図4(F)に示されるように、図3(A)、(B)、(C)、(D)、(E)または(F)に示される箔固定用弾性部材6が受基板3の周囲方向に設置されている。
【0062】
箔固定用部材7は、第一基盤8と第二基盤9とが互いに押圧されたときに、箔固定用弾性部材6に対向する位置であって、第二基盤9の側に形成されている。この箔固定用部材7としては、L:箔固定用押圧部7が箔押用版2の設置領域を除く第二基盤9の表面に別体に設置固定された構成、M:箔固定用押圧部7が箔押用版2の凹凸パターン部2aの外周領域の表面部の領域に相当し形成された構成(すなわち、箔固定用押圧部7が箔押用版2の表面部に形成されている)、N:箔固定用押圧部7が箔押用版2の設置領域を除く第二基盤9の表面部の領域に相当して形成された構成(すなわち、箔固定用押圧部7が第二基盤9の表面部に形成されている)、の3種類の構成が実施できる。
【0063】
上記L構成の場合、所望の材料を使用して、箔固定用部材7を設置固定する構成である。例えば、ゴム材料、繊維集合体材料、微粉末含有プラスチック材料、その他の摩擦係数の大きい材料を使用して箔固定用部材7を設置する構成が実施できる。または、摩擦係数の大きい材料、金属またはプラスチック等の任意の材料により形成された箔固定用部材7を使用して、その箔固定用部材7の表面を万線形状または微細凹凸形状を有する形状とすることにより押圧摩擦部7aを形成することができる。または、金属やプラスチック等の任意の材料により形成された箔固定用部材7の表面に押圧摩擦部7aを形成して、その押圧摩擦部7aとして上記のような摩擦係数の大きい材料を使用して形成することができる。または、箔固定用部材7または押圧摩擦部7aの表面形状が、平面形状、万線形状または微細凹凸形状を有する形状も実施可能である。これにより、押圧力がかかった時に、転写箔材料5を滑ることなく効果的に保持して、張力保持状態に形成することができる。
【0064】
また、転写箔材料5を破損する程度の大きな張力がかかった場合に転写箔材料5を滑らせて張力を緩和できるように滑り機能を有する摩擦係数の小さい材料または凹凸の少ない鏡面加工した表面形状を有する材料が実施でき、これにより、転写箔材料5の穂損を防止するとともに、適度の張力を保持して固定することができる。
また、積層フィルム製転写箔材料5を使用した場合に、箔押加工工程中に積層フィルム製転写箔材料5の接着層が箔固定用部材7の表面に付着することを防止するために、箔固定用部材7の表面または押圧摩擦部7aをフッ素樹脂などの接着層が付着しにくい材料により構成することができる。
このように、箔押加工工程中に転写箔材料5に接触する固定用部材7または押圧摩擦部7aの表面を構成する材料・表面形状として、使用する転写箔材料5と被加工物4、構成する箔固定用弾性部材6と箔固定用部材7、などの形状や種類を勘案して、最適な材料・表面形状を設計して構成することができる。
その結果、「箔押転写凹凸パターンの欠けの発生が防止され、箔押転写凹凸パターンの被加工物4からの浮き上がり状態が防止され、さらに、箔押転写凹凸パターンのしわや歪みの発生が防止される、等の、箔押用版2に形成されている凹凸パターン部2aに忠実な箔押転写凹凸パターンを被加工物4に転写形成することが可能となり、良品歩留まりが著しく向上し、量産効率が向上する」という効果をさらに著しく発揮することができる。
【0065】
上記M構成の場合、箔固定用押圧部7が箔押用版2の表面部に形成されて、製箔押用版2自体が箔固定用押圧部7の機能を奏するために、構成が簡略化され、箔押転写加工装置の製造コストが安くできるという利点がある。特に、箔押用版2がラバー・ゴム材料により形成されたラバー・ゴム製箔押用版2である場合には、一般に、ラバー・ゴム材料は、金属やプラスチックよりも高い摩擦係数を有するとともに、金属やプラスチックよりも軟らかい表面硬度を有するために、押圧力がかかった時に、転写箔材料5を滑ることなく効果的に保持して、張力保持状態に形成することができ、その結果、前述の効果をさらに著しく発揮することができる。
【0066】
上記N構成の場合、箔固定用押圧部7が第二基盤9の表面部に形成されて、第二基盤9の表面自体が箔固定用押圧部7の機能を奏するために、構成が簡略化され、箔押転写加工装置の製造コストが安くできるという利点がある。
【0067】
なお、本発明において、「転写箔材料の張力保持固定状態」の語句は、「しわ状態、波うち状態、極端な弛み状態、等を発生しない程度に転写箔材料を保持して固定した状態」を意味する。
【0068】
また、前述の(d−II)工程、または図2(C)、(D)に示される工程の、「続いて更に、第一基盤8と第二基盤9のうちの少なくともひとつを押圧駆動して、張力保持固定状態にある転写箔材料5が被加工物4の表面に接触し、続いて更に、第一基盤8と第二基盤9のうちの少なくともひとつを押圧駆動して、被加工物4に接触しているとともに張力保持固定状態にある転写箔材料5を介して、箔押用版2と被加工物4とを互いに押圧し、」において、張力保持固定状態にある転写箔材料5に被加工物4の表面が接触したときに、被加工物4が転写箔材料5に接触していくとともに、転写箔材料5が被加工物4の接触駆動に対応して図2(D)に示されるように、張力保持固定状態にある転写箔材料5の箔固定手段(6、7)に挟まれている部分が被加工物4により引っ張られる現象が生じることがある。
このような状態になった場合に、特に、転写箔材料5が被加工物4により過度に破損する程度まで引っ張られるようになる場合には、箔固定手段(6、7)としての箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7とにより保持固定されている転写箔材料5が被加工物4による引張力に対応して張力を保持しながら滑り、そして、被加工物4が転写箔材料5を介して箔押用版2に接触する状態で、再度、転写箔材料5が張力保持固定状態を維持した状態で、箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7とにより保持固定され、これにより、転写箔材料5の破損が防止される。
また、このような転写箔材料5が被加工物4により過度に破損する程度まで引っ張られるようになる場合には、載置されている被加工物4と設置されている箔固定用弾性部材6との高さの差を調節制御するとともに、箔押用版2と箔固定用押圧部7との高さの差を調節制御することにより、被加工物4による過度の引張現象に起因する転写箔材料5の破損を防止することができる。
【実施例】
【0069】
以下に本発明の箔押転写加工方法および箔押転写加工システムについて、典型的実施例を説明する。図面において、構成要素の形状・大きさ・寸法等は正確に示すものではなく形状、構成、作用効果等の特徴を説明するための概略を示すものである。
【0070】
実施例1
図5は、本発明の箔押転写加工方法および箔押転写加工システムの一実施例の箔押転写加工システムの模式的概略構成図である。図5(A)は箔押転写加工システムの一実施例の箔押転写加工システムの模式的概略構成図であり、図5(B)は箔押転写加工システムに構成される第二基盤9と箔押用版2と箔固定用押圧部7との構成を説明するための模式的概略平面図であり、図5(C)は箔押転写加工システムに構成される第一基盤8と受基板3と箔固定用弾性部材6と被加工物4との構成を説明するための模式的概略平面図である。なお、図5(A)において、正面方向に設置される箔固定用押圧部7と箔固定用弾性部材6は図示を略している。
箔押転写加工システム1は、互いに対向する位置に設置された第一基盤8と第二基盤9と、第一基盤8に設置固定された受基板3と、受基板3の少なくとも両側方向の第一基盤8に設置固定された箔固定用弾性部材6とを備える。受基板3に対向する位置であって、第二基盤9に設置固定され、表面に凹凸パターン部2aを有する箔押用版2と、箔固定用弾性部材6に対向する位置であって、第二基盤側9に形成された箔固定用押圧部7とを備える。箔押用版2と受基板3との間に位置して供給される被加工物4と、箔固定用弾性部材6と被加工物4の双方の表面側に位置するとともに、箔押用版3と箔固定用押圧部7の双方の表面側に位置する状態で、箔押用版2と被加工物4との間に位置して供給される転写箔材料5とを備える。
【0071】
図5において、箔固定手段として、箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7とが構成されている。箔固定用弾性部材6としては前述の図3(A)に示される構成の箔固定用弾性部材6が使用される。箔固定用弾性部材6は受基板3の平面外周方向の互いに直交する四方向に設置され、箔固定用押圧部7は箔固定用弾性部材6に対向する位置に設置される。箔固定用弾性部材6は、成形体部6bと、成形体部6bの一端である上面に固定された摩擦体部6cと、成形体部6bの他端であるし多面に固定されたバネ部6aと、バネ部6aを固定したバネ基台部6dとを有する。バネ部6aとしては成形体部6bを支えるように成形体部6bの下面の両端付近に2個のバネ部6aが設置されている。箔固定用弾性部材6のバネ部6aは加えられた力に応じて変形するとともに力を取り去れば元の形に戻る性質を有する。成形体部6bは金属により作製された金属製成形体部6bである。バネ部6aとしては金属製のコイルばねが構成され、それぞれのバネ部6aの一端が金属製成形体部6bに溶接固定され、それぞれのバネ部6aの他端がバネ基台部6dに溶接固定されている。摩擦体部6cとしては表面硬度が軟らかく高い摩擦力を有するゴム材料製の摩擦体部6cが成形体部6bの表面に接着固定されている。バネ基台部6dの他端が溶接、接着、または、ボルト等の固定手段により第一基盤8に固定されている。
箔固定用押圧部7としては、ゴム材料が使用され、その箔固定用押圧部7の表面は万線状に形成された押圧摩擦部7aを形成する。
箔固定用押圧部7の表面が箔押用版2の表面の位置よりも高さ方向に高くなるように設置固定され、
箔固定用弾性部材6の表面が受基板3の上に載置された被加工物4の表面の位置よりも高さ方向に高くなるように設置固定されている。
【0072】
被加工物4は約3mm厚さで凹凸曲面を有する立体的に形成されたプラスチック製の立体被加工物表面と立体被加工物裏面を有する。箔押用版2の凹凸パターン部2aは、被加工物4の立体被加工物表面形状に合致する表面形状を有するとともに、ラバー・ゴム材料により形成され、箔押用版2と被加工物4とが帯状転写箔材料5を介して押圧して合わされた場合に被加工物4の立体被加工物表面に隙間なく合致して対応する立体箔押用版表面を有する。受基板3の表面は被加工物4の立体被加工物裏面形状に合致する立体受基板表面を有し、その立体受基板表面に被加工物4の立体被加工物裏面が合わされた状態で、被加工物4が受基板3の上に載置されている。箔固定用押圧部7は表面に形成された押圧摩擦部7aを有する。第二基盤9が静止した状態で、第一基盤8が上下方向に押圧駆動と押圧解除駆動される。このように箔押転写加工システム1が構成されている。転写箔材料5としては、キャリアフィルム層・離型層・保護層・着色層・金属層・接着層とから構成された帯状の積層フィルム製転写箔材料が使用される。
【0073】
このような箔押転写加工システム1において、(1)第一基盤8が上方向に押圧駆動されていく時、その押圧.駆動に同期して、転写箔材料5が箔固定用弾性部材6の摩擦体部6cと箔固定用押圧部7の押圧摩擦部7aとの間に挟まれた状態で保持されるとともに、箔固定用弾性部材6のバネ部6aが押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、転写箔材料5が箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となる。
(II)続いて更に、第一基盤8が押圧駆動されていく時、バネ部6aが更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある転写箔材料5と被加工物4の表面とが接触し、続いて、更に、第一基盤8が押圧駆動されていく時、バネ部6aが更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある転写箔材料5を介して、ラバー・ゴム材料により形成された箔押用版2の凹凸パターン部2aと被加工物4の立体被加工物表面とが隙間なく合致して押圧され、これにより、転写箔材料5により形成されるとともに凹凸パターン部2aに一致対応した箔押転写凹凸パターンが被加工物4の表面に転写形成される。
(III)その後、第一基盤8の押圧力が解除されて下方向に駆動された時、箔固定用弾性部材6のバネ部6aは、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7による転写箔材料5の保持固定状態が解除される。(IV)受基板3から箔押転写凹凸パターンが転写形成された被加工物4を取り出す。このようにして、保護層・着色層・金属層・接着層とから構成された箔押転写凹凸パターンが立体被加工物表面に転写形成された被加工物4が得られる。
【0074】
なお、前述の(II)において、箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7に挟まれている転写箔材料5の部分が被加工物4により過度に破損する程度まで引っ張られるようになる場合には、載置されている被加工物4と設置されている箔固定用弾性部材6との高さの差を調節制御するとともに、箔押用版2と箔固定用押圧部7との高さの差を調節制御することにより、被加工物4による過度の引張現象に起因する転写箔材料5の破損を防止することができる。
【0075】
本実施例により、箔押転写凹凸パターンの欠けの発生が防止され、箔押転写凹凸パターンの被加工物4からの浮き上がり状態が防止され、さらに、箔押転写凹凸パターンのしわや歪みの発生が防止される、等の、箔押用版2に形成されている凹凸パターン部2aに忠実な箔押転写凹凸パターンを立体被加工物表面に転写形成することが可能となり、良品歩留まりが著しく向上し、量産効率が向上する、という効果が得られる。
【0076】
実施例2
図6は、本発明の箔押転写加工方法および箔押転写加工システムの一実施例の箔押転写加工システムの模式的概略構成図である。図6(A)は箔押転写加工システムの一実施例の箔押転写加工システムの模式的概略構成図であり、図6(B)は箔押転写加工システムに構成される第二基盤9と箔押用版2と箔固定用押圧部7との構成を説明するための模式的概略平面図であり、図6(C)は箔押転写加工システムに構成される第一基盤8と受基板3と箔固定用弾性部材6と被加工物4との構成を説明するための模式的概略平面図である。なお、図6(A)において、正面方向に設置される箔固定用押圧部7と箔固定用弾性部材6は図示を略している。
図6において、特に、箔固定用押圧部7は、箔押用版2の凹凸パターン部2aの外周領域の表面部の領域に相当して形成されている。すなわち、箔押用版2は凹凸パターン部2aの外周に形成された外周領域を有し、凹凸パターン部2aのその外周領域の表面部が箔固定用押圧部7の機能を有する。また、箔固定用弾性部材6は成形体部6bと、成形体部6bの一端に固定されたバネ部6aとを備え、バネ部6aの他端が第一基盤8に固定されている。また、第二基盤9が駆動可能に構成されている。さらに、被加工物4の表面は凹凸曲面の立体表面形状を有するが、その立体表面形状は実施例1と比べて異なる形状の立体表面形状を有する。その他の構成は前記実施例1の構成と同じである。
【0077】
このような箔押転写加工システムにおいて、(1)第二基盤9が下方向に押圧駆動されていく時、転写箔材料5が、箔押用版2の凹凸パターン部2aの外周領域の表面部(外周領域の表面部が箔固定用押圧部7の機能を有する)と箔固定用弾性部材6との間に挟まれた状態で接触していくとともに、箔固定用弾性部材6のバネ部6aが押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、転写箔材料5が箔押用版2の凹凸パターン部2aの外周領域の表面部と箔固定用弾性部材6とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となる。
(II)続いて更に、第二基盤9が押圧駆動されていく時、バネ部6aが更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある転写箔材料5と被加工物4の表面とが接触し、続いて、更に、第二基盤9が押圧駆動されていく時、バネ部6aが更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある転写箔材料5を介して、ラバー・ゴム材料により形成された箔押用版2の凹凸パターン部2aと被加工物4の立体被加工物表面とが隙間なく合致して押圧され、これにより、転写箔材料5により形成されるとともに凹凸パターン部2aに一致対応した箔押転写凹凸パターンが被加工物4の表面に転写形成される。
(III)その後、第二基盤9の押圧力が解除されて上方向に駆動された時、箔固定用弾性部材6のバネ部6aは、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7による転写箔材料5の保持固定状態が解除される。(IV)受基板3から箔押転写凹凸パターンが転写形成された被加工物4を取り出す。このようにして、保護層・着色層・金属層・接着層とから構成された箔押転写凹凸パターンが立体被加工物表面に転写形成された被加工物4が得られる。
【0078】
実施例3
図7は、本発明の箔押転写加工方法および箔押転写加工システムの一実施例の箔押転写加工システムの模式的概略構成図である。図7(A)は箔押転写加工システムの一実施例の箔押転写加工システムの模式的概略構成図であり、図7(B)は箔押転写加工システムに構成される第二基盤9と箔押用版2と箔固定用押圧部7との構成を説明するための模式的概略平面図であり、図7(C)は箔押転写加工システムに構成される第一基盤8と受基板3と箔固定用弾性部材6と被加工物4との構成を説明するための模式的概略平面図である。
特に、箔固定用押圧部7は箔押用版2の設置領域を除く第二基盤9の表面部に相当して形成されている。すなわち、第二基盤9の表面部自体が箔固定用押圧部7の機能を有する。また、被加工物4の表面は凹凸曲面の立体表面形状を有するが、被加工物4の裏面は平面形状を有する。そして、受基板3の表面は平面形状を有し、被加工物4の裏面が受基板3の表面に載置される。その他の構成は前記実施例1の構成と同じである。
【0079】
このような箔押転写加工システムにおいて、(1)第一基盤8が上方向に押圧駆動されていく時、転写箔材料5が、箔押用版2の設置領域を除く第二基盤9の表面部(第二基盤9の表面部が箔固定用押圧部7の機能を有する)と箔固定用弾性部材6との間に挟まれた状態で接触していくとともに、箔固定用弾性部材6のバネ部6aが押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、転写箔材料5が箔押用版2の設置領域を除く第二基盤9の表面部と箔固定用弾性部材6とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となる。この場合、箔固定用弾性部材6が転写箔材料5に接触し、更に第一基盤8が上方向に押圧駆動されていく時、転写箔材料5が箔押用版2の表面に接触した状態で、転写箔材料5が箔押用版2の表面に接触し、その後、更に第一基盤8が上方向に押圧駆動されていく時、箔押用版2の表面に接触した状態の転写箔材料5が、箔押用版2の設置領域を除く第二基盤9の表面部と箔固定用弾性部材6とに挟まれて接触していくとともに、箔固定用弾性部材6のバネ部6aが押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、転写箔材料5が箔押用版2の設置領域を除く第二基盤9の表面部と箔固定用弾性部材6とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となる。
(II)続いて更に、第一基盤8が押圧駆動されていく時、バネ部6aが更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある転写箔材料5と被加工物4の表面とが接触し、張力保持固定状態にある転写箔材料5を介して、箔押用版2の凹凸パターン部2aと被加工物4の立体被加工物表面とが隙間なく合致して押圧され、これにより、転写箔材料5により形成されるとともに凹凸パターン部2aに一致対応した箔押転写凹凸パターンが被加工物4の表面に転写形成される。
(III)その後、第一基盤8の押圧力が解除されて下方向に駆動された時、箔固定用弾性部材6のバネ部6aは、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7による転写箔材料5の保持固定状態が解除される。
(IV)受基板3から箔押転写凹凸パターンが転写形成された被加工物4を取り出す。
このようにして、保護層・着色層・金属層・接着層とから構成された箔押転写凹凸パターンが立体被加工物表面に転写形成された被加工物4が得られる。
【0080】
実施例4
図8は、本発明の箔押転写加工方法および箔押転写加工システムの一実施例の箔押転写加工システムの模式的概略構成図である。図8(A)は箔押転写加工システムの一実施例の箔押転写加工システムの模式的概略構成図であり、図8(B)は箔押転写加工システムに構成される第二基盤9と箔押用版2と箔固定用押圧部7との構成を説明するための模式的概略平面図であり、図8(c)は箔押転写加工システムに構成される第一基盤8と受基板3と箔固定用弾性部材6と被加工物4との構成を説明するための模式的概略平面図である。
特に、箔固定用弾性部材6が弾性成形体6eにより形成されている。その弾性成形体6eとして、弾性を有する弾性ゴムまたは弾性プラスチック材料により形成され、その弾性成形体6eは加えられた力に応じて変形するとともに力を取り去れば元の形に戻る性質を有する。また、箔固定用押圧部7として、ゴム材料、繊維集合体材料、微粉末含有プラスチック材料、その他の摩擦係数の大きい材料が設置構成され、実施例1で構成されている押圧摩擦部7aは構成されていない。その他の構成は前記実施例1の構成と同じである。
【0081】
このような箔押転写加工システム1において、(1)第一基盤8が下方向に押圧駆動されていく時、その押圧駆動に同期して、転写箔材料5が箔固定用弾性部材6としての弾性成形体6eと箔固定用押圧部7との間に挟まれた状態で接触していくとともに、箔固定用弾性部材6としての弾性成形体6eが押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、転写箔材料5が弾性成形体6eと箔固定用押圧部7とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となる。
(II)続いて更に、第一基盤8が押圧駆動されていく時、弾性成形体6eが押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある転写箔材料5を介して箔押用版2と被加工物4とが互いに押圧され、これにより、転写箔材料5により形成されるとともに凹凸パターン部2aに一致対応した箔押転写凹凸パターンが被加工物4の表面に転写形成される。
(III)その後、第一基盤8が下方向に駆動して押圧力が解除された時、弾性成形体6eは、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、弾性成形体6eと箔固定用押圧部7による転写箔材料5の保持固定状態が解除される。
(IV)受基板3から箔押転写凹凸パターンが転写形成された被加工物4を取り出す。
このようにして、保護層・着色層・金属層・接着層とから構成された箔押転写凹凸パターンが立体被加工物表面に転写形成された被加工物4が得られる。
【0082】
実施例5
図9は、本発明の箔押転写加工方法および箔押転写加工システムの一実施例の箔押転写加工システムの模式的概略構成図である。
図9(A)は箔押転写加工システムの一実施例の箔押転写加工システムの模式的概略構成図であり、図9(B)は箔押転写加工システムに構成される第二基盤9と箔押用版2と箔固定用押圧部7との構成を説明するための模式的概略平面図であり、図9(C)は箔押転写加工システムに構成される第一基盤8と受基板3と箔固定用弾性部材6との構成を説明するための模式的概略平面図である。なお、図9(A)において、正面方向に設置される箔固定用押圧部7と箔固定用弾性部材6は図示を略している。
特に、被加工物4は板状またはシート状の平面表面を有する板シート状被加工物4であり、板シート状被加工物4は箔押用版2と受基板3との間に位置して供給される。転写箔材料5は帯状転写箔材料5であり、帯状転写箔材料5は箔押用版2と板シート状被加工物4との間に位置して供給される。
その他の構成は前記実施例1の構成と同じである。
【0083】
このような箔押転写加工システム1において、(1)第一基盤8と第二基盤9のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、帯状転写箔材料5と板シート状被加工物4とが箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7との間に挟まれた状態で接触していくとともに、箔固定用弾性部材6が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、帯状転写箔材料5が箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となる。すなわち、帯状転写箔材料5が箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7との間に挟まれた状態で接触していく。
(II)続いて更に、第一基盤8と第二基盤9のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、箔押用版2が、張力保持固定状態にある前記帯状転写箔材料を介して板シート状被加工物4の表面に押圧されるとともに受基板3に押圧され、これにより、転写箔材料4により形成されるとともに凹凸パターン部4aに一致対応した箔押転写凹凸パターンが板シート状被加工物4の表面に転写形成される。すなわち、張力保持固定状態にある前記帯状転写箔材料を介して箔押用版2と板シート状被加工物4とが互いに押圧される。
(III)その後、第一基盤8と第二基盤9のうちの少なくともひとつの押圧力が解除されて駆動された時、箔固定用弾性部材6は、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7による転写箔材料5の保持固定状態が解除される。
このようにして、保護層・着色層・金属層・接着層とから構成された箔押転写凹凸パターンが立体被加工物表面に転写形成された被加工物4が得られる。
【0084】
なお、箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7とに挟まれている転写箔材料5の部分と被加下物4とが箔押用版2により引っ張られる現象が生じることがある。このような状態になった場合に、特に、転写箔材料5と被加工物4とが過度に破損する程度まで引っ張られるようになる場合には、箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7とにより保持固定されている転写箔材料5と被加工物4とが引張力に対応して張力を保持しながら滑り、そして、再度、転写箔材料5と被加工物4とが、箔固定用弾性部材6と箔固定用押圧部7とにより保持固定され、これにより、転写箔材料5の破損が防止される。
また、このような転写箔材料5と被加工物4とが過度に破損する程度まで引っ張られるようになる場合には、受基板3と箔固定用弾性部材6との高さの差を調節制御するとともに、箔押用版2と箔固定用押圧部7との高さの差を調節制御することにより、被加工物4と転写箔材料5の破損を防止することができる。
【0085】
実施例6
前述の実施例1から実施例5において、次の変形例も実施可能である。
箔固定用弾性部材6として、図5に示されるような構成の箔固定用弾性部材6、および、図6に示されるような位置に設置固定された箔固定用弾性部材6も実施される。また、バネ部6aを有する箔固定用弾性部材6の構成においては、バネ部6aとして、例えば、コイルばね、板ばね、スプリングばね、空気ばね、流体ばね、油圧ばね、ガスばね、その他のばね等の、押圧力がかかった時に変形して圧縮状態となり、押圧力が解除された時に元の形状に戻る機能を有する部材が使用できる。成形体6bとしては、略直方体形状に限定されることなく、平面図において楕円、長方形、任意の多角形、角にアールを有するアール付長方形など、所望の形状を有するものが使用でき、成形体部6bの材質としては、特に限定されることなく、金属、プラスチック、セラミック、その他の材料により所定の形状に形成されたものが使用できる。
箔固定用部材7としては、ゴム材料、繊維集合体材料、微粉末含有プラスチック材料、その他の摩擦係数の大きい材料を使用して箔固定用部材7を設置する構成、または、金属またはプラスチック等の任意の材料により形成された箔固定用部材7の表面を万線形状または微細凹凸形状を有する形状とすることにより押圧摩擦部7aを形成する構成、または、金属やプラスチック等の任意の材料により形成された箔固定用部材7の表面に押圧摩擦部7aを形成して、その押圧摩擦部7aとして上記のような摩擦係数の大きい材料を使用して形成することができる。
【0086】
箔押用版2として、ラバー・ゴム材料製箔押用版2に替えて、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、合金、その他の公知の金属・合金、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、添加物含有樹脂、その他の公知の樹脂などにより作製された箔押用版2も実施される。
転写箔材料5として、キャリアフィルム層・離型層・保護層・着色層・金属層・接着層とから構成された積層フィルム製転写箔材料に替えて、金属蒸着フィルム、着色フィルム、金属箔積層フィルム、酸化金属薄膜付フィルム、金属箔、着色紙、これらの積層材料、等も使用実施される。
【0087】
その他、前述の「発明を実施するための形態」の項で説明したような変形例も実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の箔押転写加工方法および箔押転写加工システムにより、箔押転写凹凸パターンの欠けの発生が防止され、箔押転写凹凸パターンの被加工物からの浮き上がり状態が防止され、さらに、箔押転写凹凸パターンのしわや歪みの発生が防止される、等の、箔押用版に形成されている凹凸パターンに忠実な箔押転写凹凸パターンを被加工物に転写形成することが可能となり、その結果、良品歩留まりが著しく向上し、量産効率が向上する。
【0089】
特に、被加工物が立体的に形成された立体被加工物表面を有するとともに、箔押用版が立体被加工物表面に隙間なく合致して対応する立体箔押用版表面を有する場合に、「箔押転写凹凸パターンの欠けの発生が防止され、箔押転写凹凸パターンの被加工物からの浮き上がり状態が防止され、さらに、箔押転写凹凸パターンのしわや歪みの発生が防止される、等の、箔押用版に形成されている凹凸パターンに忠実な箔押転写凹凸パターンを被加工物に転写形成することが可能となり、その結果、良品歩留まりが著しく向上し、量産効率が向上する」という効果がさらに著しく向上する。
【符号の説明】
【0090】
1 箔押転写加工システム
2 箔押用版
2a 凹凸パターン部
2s 立体箔押用版表面
3 受基板
4 被加工物
4a 箔押転写凹凸パターン
4s 立体被加工物表面
5 転写箔材料
6 箔固定用弾性部材
6a バネ部
6b 成形体部
6c 摩擦体部
6d バネ基台部
6e 弾性成形体
7 箔固定用押圧部
7a 押圧摩擦部
8 第一基盤
9 第二基盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第一基盤に設置固定された受基板と、前記受基板に対向する位置であって第二基盤に設置固定されて表面に凹凸パターン部を有する箔押用版と、を備えた箔押転写加工装置を準備する工程と、
(b)前記受基板と前記箔押用版との間に位置して転写箔材料を供給する工程と、
(c)前記受基板と前記転写箔材料との間に位置して被加工物を供給する工程と、
(d)前記箔押用版と前記受基板とのうちの少なくともひとつを押圧駆動していき、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンを前記被加工物の表面に転写形成する工程と、
を備えた箔押転写加工方法であって、
前記(d)工程において、前記箔押用版と前記受基板とのうちの少なくともひとつを押圧駆動していく過程において、前記転写箔材料を張力を保って保持して固定した張力保持固定状態に形成し、
この張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して、前記箔押用版の表面と前記被加工物の表面とを互いに押圧することにより、前記転写箔材料により形成された前記箔押転写凹凸パターンを前記被加工物の表面に転写形成する工程を有することを特徴とする箔押転写加工方法。
【請求項2】
前記箔押転写加工装置は、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつに設置された箔固定手段を備え、
前記(d)工程において、
前記箔押用版と前記受基板とのうちの少なくともひとつを押圧駆動していく過程において、その押圧駆動に同期して、前記転写箔材料を前記箔固定手段により張力を保って保持して固定した張力保持固定状態に形成し、
この張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して、前記箔押用版の表面と前記被加工物の表面とを互いに押圧していくことにより、前記転写箔材料により形成された前記箔押転写凹凸パターンを前記被加工物の表面に転写形成する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の箔押転写加工方法。
【請求項3】
前記箔固定手段は、前記第一基盤に設置固定された箔固定用弾性部材と前記第二基盤の側に形成された箔固定用押圧部とを有し、
前記(a)工程において、
前記受基板の少なくとも両側方向の前記第一基盤に前記箔固定用弾性部材が設置固定され、
前記箔固定用弾性部材に対向する位置であって前記第二基盤の側に前記箔固定用押圧部が形成され、
前記箔固定用弾性部材は加えられた力に応じて変形するとともに力を取り去れば元の形に戻る性質を有し、
前記(b)工程および(c)工程において、
前記転写箔材料が、前記箔固定用弾性部材と前記被加工物の双方の表面側に位置するとともに、前記箔押用版と前記箔固定用押圧部の双方の表面側に位置するように、前記箔押用版と前記被加工物とが供給され、
前記(d)工程は、
(d−1)前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつを押圧駆動し、これにより、前記転写箔材料を前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部との間に挟んだ状態で接触していくとともに、前記箔固定用弾性部材を押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料を前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部とにより張力を保って保持して固定した張力保持固定状態に形成する工程と、
(d−II)続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつを押圧駆動して、前記箔固定用弾性部材を押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して前記箔押用版と前記被加工物とを互いに押圧し、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンを前記被加工物の表面に転写形成する工程と、
(d−III)その後、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつの押圧力を解除して駆動し、これにより、前記箔固定用弾性部材を、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻すとともに、前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部による前記転写箔材料の保持固定状態を解除する工程と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の箔押転写加工方法。
【請求項4】
前記(d)工程は、
(d−1)前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつを押圧駆動し、これにより、前記転写箔材料を前記箔固定用押圧部と前記箔固定用弾性部材との間に挟んだ状態で接触していくとともに、前記箔固定用弾性部材を押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料を前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部とにより張力を保って保持して固定した張力保持固定状態に形成する工程と、
(d−II)続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつを押圧駆動して、前記箔固定用弾性部材を押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある前記転写箔材料が前記被加工物の表面に接触し、
続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつを押圧駆動して、前記箔固定用弾性部材を押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、前記被加工物に接触しているとともに張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して、前記箔押用版と前記被加工物とを互いに押圧し、
これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンを前記被加工物の表面に転写形成する工程と、
(d−III)その後、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつの押圧力を解除して駆動し、これにより、前記箔固定用弾性部材を、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻すとともに、前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部による前記転写箔材料の保持固定状態を解除する工程と、
を有することを特徴とする請求項3に記載の箔押転写加工方法。
【請求項5】
前記箔固定手段は、前記第一基盤に設置固定された箔固定用弾性部材と前記第二基盤の側に形成された箔固定用押圧部とを有し、
前記(a)工程において、
前記受基板の少なくとも両側方向の前記第一基盤に前記箔固定用弾性部材が設置固定され、
前記箔固定用弾性部材に対向する位置であって前記第二基盤の側に前記箔固定用押圧部が形成され、
前記箔固定用弾性部材は、少なくとも、成形体部とバネ部とを有し、
前記バネ部の一端が前記成形体部に固定され、前記バネ部の他端が前記第一基盤に固定され、
前記箔固定用弾性部材に押圧力がかかった時に前記バネ部が変形して圧縮状態となり、そして、押圧力が解除された時に前記バネ部が元の形状に戻る機能を有し、
前記(d)工程は、
(d−1)前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつを押圧駆動し、これにより、前記転写箔材料を前記箔固定用押圧部と前記箔固定用弾性部材の前記成形体部との間に挟んだ状態で接触していくとともに、前記箔固定用弾性部材の前記バネ部を押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料を前記箔固定用弾性部材の前記成形体部と前記箔固定用押圧部とにより張力を保って保持して固定した張力保持固定状態に形成する工程と、
(d−II)続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつを押圧駆動して、前記バネ部を押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して前記箔押用版と前記被加工物とを互いに押圧し、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンを前記被加工物の表面に転写形成する工程と、
(d−III)その後、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつの押圧力を解除して駆動し、これにより、前記箔固定用弾性部材の前記バネ部を、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻すとともに、前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部による前記転写箔材料の保持固定状態を解除する工程と、
を有することを特徴とする請求項3または4に記載の箔押転写加工方法。
【請求項6】
前記(c)工程において、
前記被加工物は立体的に形成された立体被加工物表面を有し、
前記被加工物は前記受基板の上に載置して供給され、
前記(a)工程において、
前記箔押用版は、前記箔押用版と前記被加工物とが前記転写箔材料を介して押圧して合わされた場合に、前記被加工物の前記立体被加工物表面に隙間なく合致して対応する立体箔押用版表面を有し、
前記凹凸パターン部は前記立体箔押用版表面に形成され、
前記(d)工程において、
前記箔押用版と前記受基板とのうちの少なくともひとつを押圧することにより、前記転写箔材料を張力を保って保持して固定した張力保持固定状態に形成し、
この張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して、前記箔押用版の表面と前記被加工物の表面とを互いに押圧して合わした時に、前記箔押用版の前記凹凸パターン部が前記転写箔材料を介して前記被加工物の前記立体被加工物表面に隙間なく合致して押圧し、これにより、前記転写箔材料により形成された前記箔押転写凹凸パターンを前記被加工物の表面に転写形成する工程、
を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の箔押転写加工方法。
【請求項7】
互いに対向する位置に設置された第一基盤と第二基盤と、
前記第一基盤に設置固定された受基板と、
前記受基板の少なくとも両側方向の前記第一基盤に設置固定された箔固定用弾性部材と、
前記受基板に対向する位置であって、前記第二基盤に設置固定され、表面に凹凸パターン部を有する箔押用版と、
前記箔固定用弾性部材に対向する位置であって、前記第二基盤側に形成された箔固定用押圧部と、
前記箔押用版と前記受基板との間に位置して供給される転写箔材料と、
前記転写箔材料と前記受基板との間に位置して供給される被加工物と、を備え、
前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されることにより、前記箔押用版の前記凹凸パターン部に対応する、前記転写箔材料により形成された箔押転写凹凸パターンが前記被加工物の表面に転写形成される箔押転写加工システムであって、
前記箔固定用弾性部材は加えられた力に応じて変形するとともに力を取り去れば元の形に戻る性質を有し、
(1)前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部との間に挟まれた状態で保持されるとともに、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、
(II)続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して前記箔押用版と前記被加工物とが互いに押圧され、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンが前記被加工物の表面に転写形成され、
(III)その後、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつの押圧力が解除されて駆動された時、前記箔固定用弾性部材は、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部による前記転写箔材料の保持固定状態が解除され、
このようにシステム化構成されてなることを特徴とする箔押転写加工システム。
【請求項8】
前記転写箔材料は帯状形状を有する帯状転写箔材料であり、
前記帯状転写箔材料の長手方向であるとともに前記受基板の両側方向に、前記箔固定用弾性部材が設置され、
前記箔固定用弾性部材に対向する位置に前記箔固定用押圧部が設置され、
前記(1)において、
前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記帯状転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部との間に挟まれた状態で保持されるとともに、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部とにより長手方向に張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、
このようにシステム化構成されてなることを特徴とする請求項7に記載の箔押転写加工システム。
【請求項9】
前記箔固定用弾性部材は、少なくとも、成形体部とバネ部とを備え、
前記成形体部の表面は、平面形状、万線形状または微細凹凸形状の表面を有し、
前記バネ部の一端が前記成形体部に固定され、前記バネ部の他端が前記第一基盤に固定され、
前記箔固定用弾性部材に押圧力がかかった時に前記バネ部が変形して圧縮状態となり、そして、押圧力が解除された時に前記バネ部が元の形状に戻る機能を有し、
前記(1)において、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記転写箔材料が前記箔固定用押圧部と前記箔固定用弾性部材の前記成形体部との間に挟まれた状態で保持されるとともに、前記箔固定用弾性部材の前記バネ部が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料が前記箔固定用押圧部と前記箔固定用弾性部材の前記成形体部により張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、
前記(II)において、続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記箔固定用弾性部材の前記バネ部が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して前記箔押用版と前記被加工物とが互いに押圧され、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンが前記被加工物の表面に転写形成され、
前記(III)において、その後、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつの押圧力が解除されて駆動された時、前記箔固定用弾性部材の前記バネ部は、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部による前記転写箔材料の保持固定状態が解除され、
このように、システム化構成されてなることを特徴とする請求項7または8に記載の箔押転写加工システム。
【請求項10】
前記箔固定用弾性部材は、少なくとも、成形体部と、前記成形体部の一端に固定された摩擦体部と、前記成形体部の他端に固定されたバネ部とを備え、
前記バネ部の他端が前記第一基盤に固定され、
前記箔固定用弾性部材に押圧力がかかった時に、前記摩擦体部が前記転写箔材料を圧迫状態の摩擦力で保持するとともに前記バネ部が変形して圧縮状態となり、そして、押圧力が解除された時に前記バネ部が元の形状に戻る機能を有し、
前記(1)において、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記転写箔材料が前記箔固定用押圧部と前記箔固定用弾性部材の前記摩擦体部との間に挟まれた状態で保持されるとともに、前記箔固定用弾性部材の前記バネ部が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料が前記箔固定用押圧部と前記箔固定用弾性部材の前記摩擦体部により張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、
前記(II)において、続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記箔固定用弾性部材の前記バネ部が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して前記箔押用版と前記被加工物とが互いに押圧され、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンが前記被加工物の表面に転写形成され、
前記(III)において、その後、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつの押圧力が解除されて駆動された時、前記箔固定用弾性部材の前記バネ部は、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、前記転写箔材料の前記箔固定用弾性部材の前記摩擦体部による保持固定状態が解除され、
このようにシステム化構成されてなることを特徴とする請求項7または8に記載の箔押転写加工システム。
【請求項11】
前記箔押用版の前記凹凸パターン部は、前記被加工物の表面形状に合致する表面形状を有するとともに、ラバ−・ゴム材料により形成され、
前記(II)において、続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記箔押用版のラバ−・ゴム材料により形成された前記凹凸パターン部が、張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して前記被加工物の表面に密着して押圧され、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンが前記被加工物の表面に転写形成され、
このようにシステム化構成されてなることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の押圧転写加工システム。
【請求項12】
前記箔固定用押圧部は、前記箔押用版の設置領域を除く前記第二基盤の第二基盤箔固定用押圧表面部、または、前記箔押用版の前記凹凸パターン部の外周領域の箔押用版箔固定用押圧表面部に相当し、
前記(1)において、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記転写箔材料が、前記第二基盤箔固定用押圧表面部または前記箔押用版箔固定用押圧表面部と、前記箔固定用弾性部材との間に挟まれた状態で接触していくとともに、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料が前記第二基盤箔固定用押圧表面部または前記箔押用版箔固定用押圧表面部と前記箔固定用弾性部材とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、
このように、システム化構成されてなることを特徴とする請求項7乃至11のいずれか1項に記載の押圧転写加工システム。
【請求項13】
前記箔固定用押圧部は、前記箔押用版の設置領域を除く前記第二基盤の表面に別体に設置固定され、
前記(1)において、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部とに挟まれて保持されるとともに、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、
このようにシステム化構成されてなることを特徴とする請求項7乃至11のいずれか1項に記載の押圧転写加工システム。
【請求項14】
前記被加工物は立体的に形成された立体被加工物表面を有し、前記被加工物は前記受基板の上に載置して供給され、
前記転写箔材料は前記被加工物と前記箔固定用弾性部材との双方の表面側に位置するとともに、前記箔押用版と前記箔固定用押圧部との双方の表面側に位置するように供給され、
前記箔押用版は、前記箔押用版と前記被加工物とが前記転写箔材料を介して押圧して合わされた場合に、前記被加工物の前記立体被加工物表面に隙間なく合致して対応する立体箔押用版表面を有し、
前記凹凸パターン部は前記立体箔押用版表面に形成され、
前記(1)において、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部との間に挟まれた状態で保持されるとともに、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、
前記(II)において、続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある前記転写箔材料が前記被加工物の表面に接触され、
続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されて、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、前記被加工物に接触しているとともに張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して、前記箔押用版の前記凹凸パターン部と前記被加工物の前記立体被加工物表面とが隙間なく合致して互いに押圧され、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンが前記被加工物の表面に転写形成され、
前記(III)において、その後、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつの押圧力が解除されて駆動された時、前記箔固定用弾性部材は、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部による前記転写箔材料の保持固定状態が解除され、
このようにシステム化構成されてなることを特徴とする請求項7乃至13のいずれか1項に記載の押圧転写加工システム。
【請求項15】
前記被加工物は前記受基板の上に載置して供給され、
前記転写箔材料は前記被加工物と前記箔固定用弾性部材との双方の表面側に位置するとともに、前記箔押用版と前記箔固定用押圧部との双方の表面側に位置するように供給され、
前記箔固定用押圧部の表面が前記箔押用版の表面の位置よりも高さ方向に高くなるように設置固定され、
前記箔固定用弾性部材の表面が前記受基板の上に載置された前記被加工物の表面の位置よりも高さ方向に高くなるように設置固定され、
前記(1)において、前記第一基盤が押圧駆動されていく時、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部との間に挟まれた状態で保持されるとともに、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、
前記(II)において、続いて更に、前記第一基盤が押圧駆動されていく時、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある前記転写箔材料が前記被加工物の表面に接触され、
続いて更に、前記第一基盤が押圧駆動されて、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、前記被加工物に接触しているとともに張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して、前記箔押用版の前記凹凸パターン部と前記被加工物表面とが隙間なく合致して互いに押圧され、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンが前記被加工物の表面に転写形成され、
前記(III)において、その後、前記第一基盤の押圧力が解除されて駆動された時、前記箔固定用弾性部材は、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部による前記転写箔材料の保持固定状態が解除され、
このようにシステム化構成されてなることを特徴とする請求項7乃至14のいずれか1項に記載の押圧転写加工システム。
【請求項16】
前記被加工物は板状またはシート状の平面表面を有する板シート状であって帯形状を有する板シート状帯状被加工物であり、
前記転写箔材料は帯状転写箔材料であり、
前記帯状転写箔材料は前記箔押用版と前記受基板との間に位置して供給され、
前記板シート状帯状被加工物は前記帯状転写箔材料と前記受基板との間に位置して供給され、
前記(1)において、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記帯状転写箔材料と前記板シート状帯状被加工物とが前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部との間に挟まれた状態で接触していくとともに、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記帯状転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、
前記(II)において、続いて更に、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつが押圧駆動されていく時、前記箔固定用弾性部材が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、前記箔押用版が、張力保持固定状態にある前記帯状転写箔材料を介して前記板シート状帯状被加工物の表面に押圧されるとともに、前記受基板に押圧され、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンが前記被加工物の表面に転写形成され、
前記(III)において、その後、前記第一基盤と前記第二基盤のうちの少なくともひとつの押圧力が解除されて駆動された時、前記箔固定用弾性部材は、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部による前記転写箔材料の保持固定状態が解除され、
このようにシステム化構成されてなることを特徴とする請求項7乃至13のいずれか1項に記載の箔押転写加工システム。
【請求項17】
上下方向に互いに対向する位置に設置された第一基盤と第二基盤と、
前記第一基盤に設置固定された受基板と箔固定用弾性部材と、
前記第二基盤に設置固定された箔押用版と箔固定用押圧部と、
前記受基板の上に載置して供給される被加工物と、
前記箔固定用弾性部材と前記被加工物の双方の表面側に位置するとともに、前記箔押用版と前記箔固定用押圧部の双方の表面側に位置する状態で、前記箔押用版と前記被加工物との間に位置して供給される帯形状の転写箔材料と、を備え、
前記箔押用版は表面に形成された凹凸パターン部を有し、
前記箔固定用弾性部材は前記受基板の平面外周方向の互いに直交する四方向に設置され、
前記箔固定用弾性部材は加えられた力に応じて変形するとともに力を取り去れば元の形に戻る性質を有し、
前記箔固定用押圧部は前記箔固定用弾性部材に対向する位置に設置され、
前記箔固定用弾性部材は成形体部と前記成形体部の一端に固定された摩擦体部と前記成形体部の他端に固定されたバネ部とを有し、
前記被加工物は立体的に形成された立体被加工物表面を有し、
前記箔押用版の前記凹凸パターン部は、前記被加工物の表面形状に合致する表面形状を有するとともにラバ−・ゴム材料により形成され、前記箔押用版と前記被加工物とが前記転写箔材料を介して押圧して合わされた場合に前記被加工物の前記立体被加工物表面に隙間なく合致して対応する立体箔押用版表面を有し、
前記箔固定用押圧部は表面に形成された押圧摩擦部を有し、
前記箔固定用押圧部の表面が前記箔押用版の表面の位置よりも高さ方向に高くなるように設置固定され、
前記箔固定用弾性部材の表面が前記受基板の上に載置された前記被加工物の表面の位置よりも高さ方向に高くなるように設置固定され、
前記第一基盤が上下方向に押圧駆動と押圧解除駆動されることにより、前記箔押用版の前記凹凸パターン部に対応する、前記転写箔材料により形成された箔押転写凹凸パターンが前記被加工物の表面に転写形成される箔押転写加工システムであって、
(1)前記第一基盤が上方向に押圧駆動されていく時、その押圧駆動に同期して、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材の前記摩擦体部と前記箔固定用押圧部の前記押圧摩擦部との間に挟まれた状態で接触していくとともに、前記箔固定用弾性部材の前記バネ部が押圧力に対応して変形して圧縮していき、その圧縮状態で、前記転写箔材料が前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部とにより張力を保って保持されて固定された張力保持固定状態となり、
(II)続いて更に、前記第一基盤が押圧駆動されていく時、前記バネ部が押圧力に対応して更に変形して圧縮していき、張力保持固定状態にある前記転写箔材料と前記被加工物の表面とが接触し、続いて、前記被加工物表面に接触するとともに張力保持固定状態にある前記転写箔材料を介して、前記ラバ−・ゴム材料により形成された前記箔押用版の前記凹凸パターン部と前記被加工物の前記立体被加工物表面とが隙間なく合致して押圧され、これにより、前記転写箔材料により形成されるとともに前記凹凸パターン部に一致対応した箔押転写凹凸パターンが前記被加工物の表面に転写形成され、
(III)その後、前記第一基盤の押圧力が解除されて下方向に駆動された時、前記箔固定用弾性部材の前記バネ部は、変形して縮んだ圧縮状態から元の形状の圧縮解除復元状態に戻るとともに、前記箔固定用弾性部材と前記箔固定用押圧部による前記転写箔材料の保持固定状態が解除され、
このようにシステム化されて構成されてなることを特徴とする箔押転写加工システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−99913(P2013−99913A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258249(P2011−258249)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(593098554)ツジカワ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】