説明

箔転写方法、画像形成方法

【課題】製品と転写箔との間に強固な接着力を発現するじょうぶな箔転写面をトナーにより形成し、欠けやバリを発生させずに精度よく箔の転写が行える箔転写方法を提供する。
【解決手段】少なくともカルボキシル基を有するビニル系単量体を用いて形成される重合体より構成される結着樹脂を含有する箔転写面形成用トナーを用いて製品上に箔転写面を形成し、形成した箔転写面上へ箔を転写する箔転写方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品上の箔を転写する個所にトナーを供給して箔転写面と呼ぶ層を形成し、当該層上に箔を転写するのに使用される箔転写面形成用トナー(以下、簡単にトナーともいう)を用いた箔転写方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品容器等のプラスチック成形品、製本、商業印刷の分野では、製品の表面に箔押しと呼ばれる印刷加工処理を施して、金や銀、色箔の文字や絵柄を転写させ、一般印刷では表現が困難な金属感や光沢による高級感を製品に付与している。この箔押しはホットスタンプ法とも呼ばれ、熱と圧力を利用して紙やプラスチック、皮革等の様々な素材上に箔を転写するもので、特にメタリックな光沢感を表現する上で最適な方法である。具体的には、プラスチック製の支持体上に形成された箔を有する転写材層を製品に接触させ、この状態で金属製の押し型を用いて熱圧着を行い、転写材層上の箔を製品上に転写して箔を形成するものである。
【0003】
箔押しに使用される転写箔は、たとえば、ポリエステルフィルム等の樹脂製の基材の片面に設けられた離型剤層の上に保護層や転写材層、接着剤層が設けられ、転写材層は金属蒸着やインク等により形成されている。そして、箔の市場の拡大とともに転写箔の技術も発展してきた。たとえば、箔画像の耐久性向上の観点から、有機ケイ素化合物と反応性有機化合物を含有した保護層を有する転写箔や、基材から剥離した後に電子線を照射してより強固な保護層を形成する電子線硬化性接着層を有する転写箔の研究等が進められている(たとえば、特許文献1、2参照)。
【0004】
また、最近ではキャッシュカードやクレジットカード等の偽変造防止やセキュリティのためにホログラムを取り付けることが多いが、カードの偽変造防止等のホログラムは主に箔転写の技術を用いて形成されている。そして、偽変造防止やセキュリティ等の目的で使用される転写画像は、精密な模様の入ったものも多く、画像を正確に、また、バリや欠け等の不良を発生させない様に箔を転写させることが要求される。この様な要請に応えて高分子液晶材料を転写層に含有させて、精密な形状のラベルをバリや欠け等の不良を発生させることなく正確に転写させる転写箔の検討も進められている(たとえば、特許文献3参照)。
【0005】
一方、製品上への箔転写作業を手間をかけずに確実に行え、かつ、転写した箔が長期にわたり安定して保持される様に、製品の表面に樹脂層を設け、そこに転写箔を重ね合わせて加熱処理等を施して箔転写を行う技術の検討もこれまで進められてきた。たとえば、ホットメルト接着剤を分散させたエマルジョンインクを用いて製品の基体上にインク層を形成し、このインク層に転写箔を重ね合わせて加熱圧着により箔転写を行う方法がある(たとえば、特許文献4参照)。
【0006】
また、トナーを用いて製品基体上に樹脂層を形成し、これをバインダにしてホットスタンプ法により箔転写を行う技術も検討されている。たとえば、基体上にトナーを用いて凸状の画像や意匠模様画像を形成し、このトナー画像面に転写箔の接着剤層を重ね合わせ、ローラ等を用いて熱圧着を行い、立体画像に箔を転写する技術がある(たとえば、特許文献5、6参照)。さらに、ドライトナーで作製したトナー画像層を支持体上に設けた転写箔の技術もあり、プリンタを用いて当該トナー画像層に絵柄を書き込み、これを支持体上に転写するものである。(たとえば、特許文献7参照)。これら特許文献に記載の技術によれば、押し型と呼ばれる金属製の圧着部材を用いずに転写箔を製品表面に熱圧着することも想定され、箔転写作業の所要時間を短縮することにより作業効率の向上を図ろうとしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−1995号公報
【特許文献2】特開2007−157159号公報
【特許文献3】特開2009−90464号公報
【特許文献4】特開平5−279608号公報
【特許文献5】特開平1−200985号公報
【特許文献6】特開平8−164663号公報
【特許文献7】特開2004−74422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献に開示された技術は、いずれも、製品上に形成したトナー層と転写箔との接着性についての検討が十分に行われてはいなかった。たとえば、転写箔を製品に接触させると、トナー層以外の個所で箔が転写することもあり、所定個所以外の場所に箔が付着して製品の美的外観を損ねるものであった。また、製品上に転写された箔の接着力が十分に発現できないこともあり、少しの力が加わっただけで箔が剥離して美的外観を損ねるという耐久性への課題を有していた。さらに、押し型を使用せずに製品上への箔転写を行うと、トナー層と転写箔の接着層が十分になじまず、箔の部分的な欠落や端部でのバリ発生を起こす等、所定形状の箔転写を安定して行えないという生産面での課題も有していた。
【0009】
本発明は、トナーを用いて形成した箔転写面上に箔を転写させる際、押し型を使用せずに両者間に強固な接着力を発現させ、箔の欠落やバリを発生させずに所定個所への箔の転写が可能な箔転写方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、
『少なくとも、
感光体を露光して静電潜像を形成する工程と、
静電潜像が形成された前記感光体にトナーを供給して箔転写面を形成する工程と、
前記感光体に形成された箔転写面を製品に転写する工程と、
前記製品に転写された箔転写面を製品上に定着する工程と、
前記箔転写面が定着された製品に少なくとも接着層を有する転写箔を供給する工程と、
前記転写箔の接着層を前記箔転写面に接触させる工程と、
前記転写箔の接着層を前記箔転写面に接触させた状態のまま加熱する工程と、
前記転写箔を箔転写面上に接触した部分を残して前記製品より除去する工程を有する箔転写方法であって、
前記箔転写面の形成に使用されるトナーは、
少なくとも結着樹脂を含有するものであり、
前記結着樹脂は、少なくともカルボキシル基を有するビニル系単量体を用いて形成される重合体を含有するものであることを特徴とする箔転写方法。』というものである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、
『前記箔転写面の形成に使用されるトナーに含有される結着樹脂は、カルボキシル基含有量が0.5×10−7モル/g以上5.0×10−5モル/g以下のものであることを特徴とする請求項1に記載の箔転写方法。』というものである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、
『前記箔転写面の形成に使用されるトナーに含有される結着樹脂が、少なくともメタクリル酸を用いて形成される重合体を含有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の箔転写方法。』というものである。
【0013】
さらに、請求項4に記載の発明は、
『請求項1〜3のいずれか1項に記載の箔転写方法を行って形成された箔の画像を有する製品上に、
トナーを用いて電子写真方式により可視画像を形成する工程を経て、箔の画像と可視画像を有する製品を作製することを特徴とする画像形成方法。』というものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る箔転写方法に用いる箔転写面形成用トナーにより形成された箔転写面では、転写箔を構成する接着層との間に適度な接着力が得られる様になり、箔転写面上への箔転写が確実に行える様になった。つまり、製品上の所定個所への箔転写が安定して行える。また、製品上に形成された転写箔に対して強固な接着力を作用させることができるので、製品上に設けられた箔に力が加わっても剥離せず、転写箔による製品の美的外観の安定した維持が可能になった。
【0015】
また、本発明に係る箔転写方法に用いる箔転写面形成用トナーとしては、結着樹脂中のカルボキシル基の量を特定することにより、当該トナーを用いて形成された箔転写面と転写箔との間に良好な接着性が発現される。その結果、製品に転写箔を接触させたとき、当該トナーにより形成された箔転写面上に転写箔が強固に接着するので、押し型等の治具を使用せずに製品上の所定個所に所定形状の箔を高精度に転写することが可能になった。
【0016】
したがって、細線等がふんだんに用いられた複雑なデザインも簡易な方法で形成することができるので製品の美的外観を大幅に向上させることができる様になった。さらに、身分証明証等のカードビジネスで個人情報を記録するホログラム画像の形成にも展開することが可能で、複雑な形状のホログラム画像を形成できるので多くの情報を有するIDカードの製造にも寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】製品上に形成された箔転写面上に箔を転写する手順を示す模式図である。
【図2】静電潜像方式により箔転写面を形成する箔転写面形成装置の概略図である。
【図3】箔転写面の形成とフルカラー画像形成を同時に行える箔転写面形成装置の断面構成図である。
【図4】転写箔の断面構造を示す模式図である。
【図5】実施例の評価で使用した箔画像サンプルの模式図である。
【図6】トナーの帯電量測定を行う装置の概略図である。
【図7】中間転写ベルト、定着装置、転写箔供給部の配置例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、製品上の箔を転写する個所に箔転写面と呼ぶ層を形成し、当該層上に箔を転写させて製品の美的外観の向上に使用される箔転写面形成用トナー(以下、簡単にトナーともいう)を用いる箔転写方法に関する。
【0019】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0020】
なお、本発明でいう「箔転写面形成用トナー」とは、画像形成される画像支持体やIDカード等のプラスチック成形品等の製品上に箔を形成する際、箔を転写する領域に使用される樹脂製の粉体のことである。箔転写面形成用トナーは、製品上に形成されたトナー層を介して転写箔の製品上での接着性を強化、維持するものである。具体的には、先ず、製品上に形成する箔の形状と同じ形状の静電潜像が形成された感光体上に供給され、当該感光体上に、製品上に箔を転写させるためのトナー層(箔転写面)を形成する。感光体上に形成されたトナー層は、製品上に転写され、加熱による定着処理が行われる。次に、定着処理により定着したトナー層が形成された製品に転写箔が供給され、製品と転写箔が接触した状態の下で加熱処理を施すと当該トナー層上に箔が接着する。そして、転写箔を除去すると、トナー層上に箔が転写、固定された部分のみが製品上に残されて、製品上に箔の模様が形成される。
【0021】
この様に、本発明でいう「箔転写面形成用トナー」は、感光体上に供給されて箔転写面と呼ばれるトナー層を形成するものである。そして、本発明でいう箔転写面形成用トナーにより形成された感光体上の箔転写面は、画像支持体に代表されるシート形状の製品上に転写、定着される。さらに、製品上に定着された箔転写面は、転写箔が供給され、加熱されると箔と強固に接着して転写が行われるものである。
【0022】
また、本発明でいう「箔転写面」とは、画像支持体やプラスチック成形品等の製品上の箔を転写させる領域のことで、本発明に係るトナーを用いて形成されるものである。
【0023】
また、本発明では、「製品」や「基体」という用語を用いているが、いずれも公知の画像形成方法により画像を形成することが可能な「画像支持体」と呼ばれる支持体より構成されるものである。ここで、本発明でいう「製品」とは、紙やPET(ポリエチレンテレフタレート)ベース等の画像支持体やプラスチック成形品等の立体形状を有するもので、箔による装飾を施す対象をいうものである。
【0024】
さらに、本発明でいう「箔」とは、「転写箔」とも呼ばれるもので、一般印刷では表現が困難な金属感や光沢感を有する文字や絵柄を付与するために使用されるもので、金属材料等をうすく圧延し、基体上に接着可能にしたものをいう。
【0025】
本発明に係る箔転写方法に用いる箔転写面形成用トナー(以下、簡単にトナーという)について説明する。本発明に係るトナーを構成する結着樹脂は、少なくともカルボキシル基(−COOH)を有するビニル系単量体を用いて形成される重合体を含有するものである。本発明に係るトナーは、たとえば、画像が形成された画像支持体やプラスチック成形品等の製品について、その美的外観を向上させるために使用される箔を製品上に強固に保持させるために用いられるものである。
【0026】
具体的には、製品上の予め静電潜像を形成しておいた領域に当該トナーを供給して静電潜像に対応する形状にトナー層を形成し、当該トナー層の上に転写箔を密着させる。そして、転写箔とトナー層を加熱することにより、転写箔からはトナー層の形状に対応する形状に箔が転写し、トナー層は製品上に溶融し固着する。この様にして、製品上に箔を強固かつ精度よく転写することが可能である。
【0027】
本発明に係る箔転写方法に用いる箔転写面形成用トナーは、少なくとも結着樹脂を含有し、当該結着樹脂は、少なくともカルボキシル基を有するビニル系単量体を用いて形成される重合体を含有するものである。本発明者は、トナーを構成する結着樹脂に上記重合体を存在させることで、トナー層と転写箔を構成する接着層との間に強固な接着力が発現されることを見出したのである。これは、当該重合体分子のカルボキシル基の存在によりトナー層に適度な極性が付与され、極性の作用で箔の接着層との間にファンデルワールス力や空気中の水分子を介しての水素結合等による分子間引力の作用で両者間の接着力を向上させているものと考えられる。
【0028】
本発明に係る箔転写方法に用いる箔転写面形成用トナーを作製する際に使用される「カルボキシル基(−COOH)を有する重合性単量体」の具体的な例としては、たとえば、「カルボキシル基を有するビニル系モノマー」等が挙げられる。「カルボキシル基(−COOH)を有するビニル系モノマー」の具体例としては、先ず、アクリル酸やメタクリル酸等の様に分子構造中にカルボキシル基を1つ有する化合物が挙げられる。また、カルボキシル基を2つ有するビニル系モノマーとしては、たとえば、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等があり、カルボキシル基を3つ有するビニル系モノマーとしてはアコニット酸等が挙げられる。以下に、カルボキシル基(−COOH)を有するビニル系モノマーの具体例を示すが、本発明で使用されるトナーに使用可能なカルボキシル基を有する重合性単量体は、上述したもの及び以下に挙げるものに限定されるものではない。
【0029】
【化1】

【0030】
本発明に係る箔転写方法に用いる箔転写面形成用トナーを構成する結着樹脂は、前述の様に、カルボキシル基(−COOH)を有するビニル系モノマーを用いて形成される重合体を含有するものであることから、当該結着樹脂はカルボキシル基を含有するものである。本発明では、結着樹脂が0.5×10−7モル/g以上5.0×10−5モル/g以下のカルボキシル基を含有するものであることが好ましく、0.5×10−6モル/g以上5.0×10−5モル/g以下のカルボキシル基を含有するものであることがより好ましい。
【0031】
また、上記カルボキシル基(−COOH)を有するビニル系モノマーを用いて形成される重合体は、少なくともメタクリル酸を用いて形成される重合体が好ましい。とりわけ、メタクリル酸に加えてイタコン酸やアコニット酸等の2個以上のカルボキシル基を有するビニル系モノマーを用いて形成される重合体がより好ましい。
【0032】
本発明では、結着樹脂中のカルボキシル基の含有量が上記範囲のトナーを用いて箔転写面を形成して箔転写を行うと、押し型等の治具を用いずに転写箔を箔転写面の形状に沿って高精度に転写することが確実に行える。したがって、細線が多く使用されているデザインの様に、従来では箔の欠落やバリが発生し易いとされた複雑な形状を有するデザインを箔で忠実に再現することができる。また、細線の様な接触面積の確保が困難な形状のデザインも、製品上に転写後は強固な接着力が発現されて箔が剥離するおそれがない。この様に、本発明で用いられるトナーを構成する結着樹脂中のカルボキシル基の含有量が上記範囲のものであることにより、複雑な形状のデザインもバリや欠けを発生させることなく高精度に形成することができ、複雑な形状のデザインを製品上に維持することができる。したがって、高級な美的外観とともに個人情報記録にも使用される身分証明証用のホログラムの作成に最適なものといえる。
【0033】
なお、結着樹脂中のカルボキシル基の含有量は、たとえば、公知の方法により定量することが可能である。具体的には、トナー粒子をイオン交換水等に分散させて分散液を作製し、この分散液に水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液を添加し、公知の電気伝導度滴定装置を用いて滴定することによりカルボキシル基の含有量を定量する。
【0034】
結着樹脂中のカルボキシル基含有量の測定手順は、たとえば、以下のとおりである。
(1)樹脂粒子分散液あるいはトナー粒子分散液2.50g(固形分換算)をビーカーにとる。
(2)上記分散液に0.01モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加し、市販の電気伝導度滴定装置を用いて滴定を行い、カルボキシル基の中和点を見出す。電気伝導度滴定装置としては、たとえば、「ABU91 Autoburett and CDM80 Conductivity meter(Radiometer Co.Ltd製)」を用いることが可能である。
(3)作成した滴定曲線グラフより変曲点を見出してカルボキシル基の中和点をよみとる。なお、グラフ上にはスルホン酸基及びカルボキシル基の中和点を示す2つの変曲点が存在し、2つ目の変曲点がカルボキシル基の中和点に該当する。
(4)スルホン酸基及びカルボキシル基の中和点に到達するまでに消費された水酸化ナトリウム水溶液の量Y1、Y2より、上記分散液中に含有される粒子のカルボキシル基総量Mtを下記式より算出する。すなわち、
カルボキシル基総量Mt=0.01×(Y2−Y1)×10−3(モル)
(5)上記式で算出したカルボキシル基総量を滴定に使用した粒子質量で除すことにより単位質量あたりのカルボキシル基を算出する。すなわち、
カルボキシル基量=Mt/2.5(モル/g)
以上の手順により、本発明に係る箔転写方法に用いる箔転写面形成用トナーを構成する結着樹脂のカルボキシル基量を測定、算出することができる。
【0035】
本発明では、上記トナーを構成する結着樹脂を作製する際、上述したカルボキシル基(−COOH)を有するビニル系モノマーとともに後述するカルボキシル基を有さないビニル系モノマーを使用することが可能である。本発明で使用するトナーを構成する結着樹脂を作製する際に「カルボキシル基(−COOH)を有するビニル系モノマー」とともに使用可能なビニル系モノマーは、特に限定されるものではなく、公知のビニル系モノマーが挙げられる。なお、ビニル系モノマーの具体例については後述する。
【0036】
以下に、前述したカルボキシル基を有するビニル系モノマーとともに使用が可能なビニル系モノマーの具体例を示すが、本発明で使用するトナーを構成する結着樹脂を作製する際に使用可能なビニル系モノマーは下記に示すもののみに限定されるものではない。
【0037】
(1)スチレンあるいはスチレン誘導体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等
(2)メタクリル酸エステル誘導体
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等
(3)アクリル酸エステル誘導体
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等
(4)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレン等
(5)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(6)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(7)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(8)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(9)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体等。
【0038】
また、以下に示す多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂を作製することも可能である。多官能性ビニル類の具体例を以下に示す。すなわち、
ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等
上記樹脂の分子量は、箔の接着層との間に強固な接着力を発現させることが可能なトナー層を形成することが可能なものであれば、特に限定されるものではなく、たとえば、数平均分子量Mnで5,000以上50,000以下のもの等が好ましい。また、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnは、たとえば、1.0以上1.5以下となる様なものは好ましいものの1つである。トナーを構成する樹脂の数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwが上記関係を満たすことにより、定着時にシャープな溶融性が発現されるので、このことは迅速な箔転写の実現に寄与するものと期待される。
【0039】
また、本発明に係る箔転写方法に用いる箔転写面形成用トナーには、公知のワックスを添加することも可能で、使用可能なワックスとしては、たとえば、以下のものがある。すなわち、
(1)炭化水素系ワックス
パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス、サゾールワックス等
(2)エステル系ワックス
トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等
(3)アミド系ワックス
エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等
(4)ジアルキルケトン系ワックス
ジステアリルケトン等
(5)その他
カルナウバワックス、モンタンワックス等。
【0040】
上記炭化水素系ワックスには、その分子構造から、直鎖状炭化水素化合物、分岐鎖状炭化水素化合物、分子構造上に環状構造を有する炭化水素化合物等がある。
【0041】
直鎖状炭化水素化合物には、たとえば、主成分がノルマルパラフィンと呼ばれるパラフィンワックスより構成される石油ワックスや、フィッシャートロプスワックス、ポリエチレンワックスやポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックスがある。ここで、パラフィンワックスとは、減圧蒸留抽出油より公知の方法で分離して得られたものである。また、フィッシャートロプスワックスとは、一酸化炭素と水素とからなる合成ガスより合成される炭化水素の蒸留から、またはこれらに水素添加して得られる炭素数が16〜78の炭化水素化合物のことである。さらに、ポリエチレンワックスやポリプロピレンワックスは、エチレンやプロピレンの重合、ポリエチレンやポリプロピレンの熱分解により得られるものである。
【0042】
また、分岐鎖状炭化水素化合物と分子構造上に環状構造を有する炭化水素化合物には、たとえば、以下に示すマイクロクリスタリンワックスや、イソパラフィンを主成分とするワックスがある。マイクロクリスタリンワックスの具体例には、たとえば、HNP−0190、Hi−Mic−1045、Hi−Mic−1070、Hi−Mic−1080、Hi−Mic−1090、Hi−Mic−2045、Hi−Mic−2065、Hi−Mic−2095等(いずれも日本精蝋(株)製)がある。ここで、マイクロクリスタリンワックスとは、石油ワックスの中で主成分がイソパラフィンと呼ばれる分岐鎖状炭化水素化合物やシクロパラフィンと呼ばれる環状炭化水素化合物の割合が高いワックスである。マイクロクリスタリンワックスは、低結晶性のイソパラフィンやシクロパラフィンを多く含有するため、パラフィンワックスに比べて結晶が小さく、分子量が大きいものである。マイクロクリスタリンワックスは、一般に、炭素原子数が60〜150、数平均分子量Mnが900以上2000以下、融点が60〜90℃である。
【0043】
また、イソパラフィンが主成分であるワックスの具体例には、たとえば、EMW−0001、EMW−0003等がある。
【0044】
次に、本発明に係る箔転写方法に用いる箔転写面形成用トナーの製造方法について説明する。
【0045】
本発明に係る箔転写方法に用いる箔転写面形成用トナーは、少なくとも、カルボキシル基(−COOH)を有する重合性単量体を用いて形成される重合体を結着樹脂を含有するものである。本発明に係る箔転写方法に用いるトナーを構成する粒子の作製方法は、特に限定されるものではなく、公知の電子写真方式の画像形成に使用されるトナーの製造方法を適用することが可能である。すなわち、混練、粉砕、分級工程を経てトナーを作製するいわゆる粉砕法や、重合性単量体を重合させ、同時に、形状や大きさを制御しながら粒子形成を行ういわゆる重合法によるトナー製造方法を適用することが可能である。
【0046】
その中でも、重合法により作製されるトナーは、均一な粒度分布や形状分布、シャープな帯電分布等の特性を得られ易いものとされる。重合法によるトナー製造方法では、たとえば、懸濁重合、乳化重合等の重合反応により樹脂粒子を形成する工程を有するものであり、その中でも重合反応を経て作製した樹脂粒子を凝集、融着させて粒子を形成する会合工程を経て作製されるものが特に好ましい。
【0047】
以下に、本発明に係る箔転写方法に用いるトナーの作製方法の一例として、乳化会合法によるトナーの作製方法について説明する。乳化会合法によるトナーの作製方法は、たとえば、以下の工程を経て行われる。
【0048】
(1)樹脂微粒子分散液の作製工程
(2)樹脂微粒子の凝集・融着工程(会合工程)
(3)熟成工程
(4)冷却工程
(5)洗浄工程
(6)乾燥工程
(7)外添剤処理工程
以下、各工程について説明する。
【0049】
(1)樹脂微粒子分散液の作製工程
この工程は、トナーを構成する樹脂を形成する工程である。具体的には、たとえば、水系媒体中に、少なくとも、前述したカルボキシル基(−COOH)を有する重合性単量体等の重合性単量体混合物を分散させておき、この状態の下で乳化重合反応を行って樹脂微粒子を形成するものである。
【0050】
この工程では、前述したカルボキシル基(−COOH)を有する重合性単量体をはじめとする重合性単量体を水系媒体中に添加した後、乳化分散処理を施して、重合性単量体混合物の油滴を形成する。そして、水系媒体中に分散させた油滴中でラジカル重合反応を行うことにより樹脂微粒子を形成するものである。
【0051】
ラジカル重合反応は、前述の油滴中に重合開始剤を含有させてラジカルを生成させることにより、油滴を形成している重合性単量体の重合反応を開始させ、重合反応により樹脂を形成するものである。あるいは、水系媒体中に添加した重合開始剤より生成したラジカルを公知の方法で油滴中に供給することにより重合反応を開始させることもできる。
【0052】
ラジカル重合を行うときの温度は、重合反応に使用するカルボキシル基を有する重合性単量体をはじめとする重合性単量体の種類やラジカルを生成する重合開始剤の種類にもよるが、通常50〜100℃が好ましく、55〜90℃がより好ましい。また、重合反応時間は、重合反応に使用する重合性単量体や生成されたラジカルの反応速度にもよるが2〜12時間が好ましい。
【0053】
この工程では、水系媒体中に、少なくとも、カルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体の混合液を添加した後、公知の方法による機械的エネルギーの作用で分散処理を行って単量体の油滴を形成する。機械的エネルギーによる油滴分散を行う分散装置は、特に限定されるものではなく、たとえば高速回転するロータを備えた市販の撹拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)(エム・テクニック(株)製)」等が代表的な装置に挙げられる。前述した撹拌装置の他にも、超音波分散機や機械式ホモジナイザ、マントンゴーリン及び圧力式ホモジナイザ等の装置が挙げられる。これらの装置により水系媒体中に100nm前後の油滴の分散粒子を形成することが可能である。
【0054】
ここでいう「水系媒体」とは、水と水に溶解可能な有機溶剤から構成される液体のことで、少なくとも水を50質量%以上含有したものである。ここで、水系媒体を構成する水以外の成分である水に溶解可能な有機溶剤には、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等がある。これらの中でも樹脂を溶解しない有機溶剤であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶剤が好ましい。
【0055】
(2)樹脂粒子の凝集・融着工程(会合工程)
この工程は、前述の工程で形成した樹脂微粒子を水系媒体中で凝集させて粒子を形成し、凝集により形成した粒子を加熱して融着させて粒子(外添処理する前のトナーの母体粒子のこと)を作製する工程で、会合工程とも呼ばれるものである。すなわち、カルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体とを重合させて形成した樹脂微粒子を凝集、融着させて粒子を作製するものである。
【0056】
この工程では、前記樹脂微粒子を存在させた水系媒体中に、塩化マグネシウム等に代表されるアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等の凝集剤を添加することにより、前記樹脂粒子を凝集させる。次いで、水系媒体中を前記樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱して凝集を進行させると同時に凝集させた樹脂粒子同士の融着を行う。そして、凝集を進行させて粒子の大きさが目標になったときに、食塩等の塩を添加して凝集を停止させる。
【0057】
(3)熟成工程
この工程は、上記凝集・融着工程に引き続き、反応系を加熱処理することにより粒子の形状を所望の平均円形度になるまで熟成するいわゆる形状制御工程とも呼ばれる工程である。
【0058】
(4)冷却工程
この工程は、前記粒子の分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/分の冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
【0059】
(5)洗浄工程
この工程は、上記工程で所定温度まで冷却された前記粒子の分散液より粒子を固液分離する工程と、固液分離されてウェットのトナーケーキと呼ばれるケーキ状集合体となった粒子より界面活性剤や凝集剤等の付着物を除去するための洗浄工程からなる。
【0060】
洗浄処理は、ろ液の電気伝導度がたとえば10μS/cm程度になるまで水洗浄する。固液分離方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用する減圧ろ過法、フィルタプレス等を使用するろ過法等があり、本発明では特に限定するものではない。
【0061】
(6)乾燥工程
この工程は、洗浄処理された前記粒子を乾燥処理する工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤ、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
【0062】
また、乾燥された粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。なお、乾燥処理された粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサ、コーヒーミル、フードプロセッサ等の機械式の解砕装置を使用することができる。
【0063】
(7)外添剤処理工程
この工程は、乾燥処理した粒子に外添剤や滑剤を添加する工程である。前記乾燥工程を経た粒子はそのまま箔転写面形成用のトナー粒子として使用できるが、外添剤を添加することによりクリアトナーの帯電性や流動性、クリーニング性を向上させることができる。これら外添剤には、公知の無機微粒子や有機微粒子、脂肪族金属塩を使用することができ、その添加量はトナー全体に対して0.1〜10.0質量%、好ましくは0.5〜4.0質量%である。また、外添剤は種々のものを組み合わせて添加することができる。なお、外添剤を添加する際に使用する混合装置としては、たとえば、タービュラミキサ、ヘンシェルミキサ、ナウタミキサ、V型混合機、コーヒーミル等の公知の機械式の混合装置がある。
【0064】
公知の無機微粒子としては、たとえば、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム微粒子等がある。なお、これら無機微粒子を疎水化処理したものを使用することも可能である。
【0065】
シリカ微粒子の具体例としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等がある。
【0066】
チタニア微粒子としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等がある。
【0067】
アルミナ微粒子としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等がある。
【0068】
また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。具体的には、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
【0069】
以上の工程を経ることにより、乳化会合法により本発明に係る箔転写方法に用いる箔転写面形成用トナーを作製することができる。
【0070】
次に、本発明に係る箔転写方法に用いるトナーを上述した乳化会合法で作製する場合に使用することが可能な重合開始剤、連鎖移動剤、分散安定剤、界面活性剤等について説明する。
【0071】
本発明に係る箔転写方法に用いるトナーを構成する結着樹脂は、前述した側鎖にカルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体を用いて形成されるもので、公知の油溶性あるいは水溶性の重合開始剤を使用することができる。油溶性の重合開始剤としては、具体的には、以下に示すアゾ系またはジアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤がある。すなわち、
(1)アゾ系またはジアゾ系重合開始剤
2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等
(2)過酸化物系重合開始剤
ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジン等
また、乳化重合法で樹脂粒子を形成する場合は水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素等がある。
【0072】
また、樹脂粒子の分子量調整のために、公知の連鎖移動剤を用いることもできる。具体的には、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素、α−メチルスチレンダイマー等がある。
【0073】
また、前述したカルボキシル基を有する重合性単量体をはじめとするビニル系単量体を水系媒体中に分散させた状態にして重合を行い、重合により得られた樹脂粒子を水系媒体中に分散させ、これを凝集、融着させてトナーを作製する。これらトナー材料を水系媒体中に安定して分散させておく分散安定剤を使用することが好ましい。分散安定剤としては、たとえば、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等のものがある。また、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等、一般に界面活性剤として使用されるものも分散安定剤として使用できる。
【0074】
また、水系媒体中で重合性単量体を用いて重合を行う場合、界面活性剤を使用して前記重合性単量体の油滴を水系媒体中に均一に分散させる必要がある。このとき、使用可能な界面活性剤は、特に限定されるものではないが、たとえば、以下に示すイオン性界面活性剤が好ましいものとして使用できる。イオン性界面活性剤には、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、脂肪酸塩等があり、スルホン酸塩には、たとえば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等がある。
【0075】
また、硫酸エステル塩には、たとえば、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等があり、脂肪酸塩には、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等がある。
【0076】
また、ノニオン性界面活性剤を使用することも可能で、具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等がある。
【0077】
次に、本発明に係る箔転写方法について説明する。本発明に係る箔転写方法は、少なくとも以下に示す(1)から(7)の工程を有するものである。すなわち、
(1)感光体を露光して静電潜像を形成する工程
(2)静電潜像が形成された感光体に箔転写面形成用トナーを供給して箔転写面を形成する工程
(3)感光体上に形成された箔転写面を製品に転写する工程
(4)製品上に転写された箔転写面を加熱して定着する工程
(5)定着処理した箔転写面を有する製品に少なくとも接着層を有する転写箔を供給する工程
(6)供給した転写箔の接着層を製品に接触させる工程
(7)転写箔の接着層と箔転写面を接触させた状態で加熱する工程
(8)接触させた状態の転写箔を箔転写面上に接触した部分を残して製品より除去する工程
を有するものである。この様に、本発明に係る箔転写方法では、先ず、感光体を露光して製品上に形成する箔転写面の形状の静電潜像を形成し、静電潜像が形成された感光体上に箔転写面形成用トナーを供給して箔転写面を形成する。そして、感光体上に形成された箔転写面を製品に転写し、箔転写面を加熱して定着処理した製品に転写箔を供給して接触させ、この状態で加熱を行って箔転写面上に箔を転写させる。
【0078】
前述した様に、本発明では、少なくともカルボキシル基(−COOH)を有するビニル系単量体を用いて形成された重合体を含有する結着樹脂を含有するトナーを用いることにより、欠落やバリのない高い精度の箔転写が押し型を使用せずに行える様になった。そして、結着樹脂中のカルボキシル基の含有量を前述の様に特定することで、従来技術で忠実な再現が困難とされた細線画像等の箔の接触面積の確保が困難な形状のデザインの箔転写も行える様になった。また、細線に代表される接触面積の困難な形状のデザインを製品上に形成しても強固な接着力で剥離することがなく、箔の剥離による製品の美的外観の損失をおこしにくくしている。
【0079】
本発明に係る箔転写方法について図1を用いて具体的に説明する。図1は上記(1)〜(7)の工程のうち、(4)〜(7)の工程を反映させた箔転写方法の手順を示す模式図である。すなわち、図1に示していない(1)〜(3)の工程を経て作製された基体P上に箔転写面Hが形成された製品Pに転写箔Fを供給し、供給された転写箔Fを箔転写面Hに接触させ、この状態で加熱を行い箔転写面Hに箔f2を転写させるものである。以下、図1に示す(a)〜(e)を具体的に説明する。
【0080】
図1(a)は、シート状の基体P上にトナーを用いて作製された箔転写面が形成された製品Pの断面図である。なお、上記(1)〜(3)の工程を経て基体P上に箔転写面Hを形成する方法については後述する。
【0081】
次に、図1(b)は製品Pに少なくとも接着層f1を有する転写箔Fを供給した状態を示すもので、転写箔Fは接着層f1が箔転写面Hと接触状態を形成する様に供給される。このとき、供給された転写箔Fの接着層f1は製品P上全面に接触することが想定されるもので、少なくとも製品表面に凸状に形成されている箔転写面Hには接触状態を形成しているといえる。本発明では、前述のトナーを用いて形成した箔転写面Hの表面で、トナーの結着樹脂を構成する重合体分子のカルボキシル基により、転写箔Fの接着層f1と付着し易い状態が形成されるものと推測される。なお、本発明で使用される転写箔Fは、ベースとなるフィルムf0上に少なくとも接着層f1と箔層f2を有するもので、ここでは接着層f1と箔層f2以外の層構成を省略してある。また、本発明に使用可能な転写箔Fの詳細な説明は後で行う。
【0082】
図1(c)は、転写箔Fを製品Pに接触させた状態で加熱手段である加熱加圧ローラR1とR2の間を通過させる状態を示すもので、転写箔Fの接着層f1が製品P上の箔転写面Hに接触している状態で加熱手段である加熱加圧ローラR1とR2の間を通過しているものである。加熱加圧ローラR1とR2の間を通過することにより転写箔Fの接着層f1は溶融し、通過後、接着層f1は冷却して硬化する。このとき、転写箔Fのうち箔転写面Hに接触している領域の接着層f1が箔転写面Hとの間に強固な接着状態を形成する。この様に、本発明では、転写箔Fが製品P上に凸状に形成されている箔転写面Hに接触している接着層f1を介して箔転写面Hとの間に接着状態を形成し、転写箔Fより箔層f2を箔転写面Hの形状に忠実に対応させた形状に転写を行うことが可能である。
【0083】
次に、図1(d)は、転写箔Fを製品Pより除去する状態を示すもので、転写箔Fを除去すると、製品P上の箔転写面H上にのみ箔層f2が接着層f1とともに転写される。ここでは、本発明に係る箔転写方法に用いる箔転写面形成用トナーを使用することにより箔転写面Hの形状に対応する形状に箔層f2を転写させることが可能で、金属製の押し型を使用せずに欠けやバリを発生させずに所定形状の箔層f2を精度よく転写することが可能である。
【0084】
したがって、本発明によれば金属製の押し型を有さない簡易でコンパクトな構成の箔転写装置により、バリや欠けのない所定形状の箔転写が行え、簡易な箔転写装置により高品質の箔画像を有する製品Pを作製することが可能である。また、本発明に係る箔転写方法に用いる箔転写用トナーにより、製品P上に転写された所定形状の箔層f2は、箔転写面Hに存在するカルボキシル基の作用により接着層f1と相溶し易くなり、強固な接着力を発現して剥離しにくくなる。したがって、製品Pの箔による美的外観の耐久性向上にも寄与している。
【0085】
次に、図2を用いて本発明に係る箔転写方法で行われる製品上への箔転写面の形成が可能な箔転写面形成装置の一事例を説明する。図2の箔転写面形成装置1は、前述した(1)〜(7)の工程のうち(1)〜(3)の工程の実施が可能なもので、露光により静電潜像を形成する感光体を有し、当該感光体に箔転写面形成用トナーを供給して静電潜像に対応した箔転写面を形成する。そして、形成された箔転写面を感光体より製品に転写させるものである。
【0086】
図2の箔転写面形成装置1では、図中の帯電ローラ12Hにより帯電された感光体11H上に露光光Lが照射されて静電潜像が形成される。感光体11H上に形成された静電潜像は、感光体11Hの近傍に配置されている箔転写面形成用トナー供給装置21Hより箔転写面形成用トナーの供給を受けることにより箔転写面を形成する。このとき、箔転写面形成用トナー供給装置21H内では内蔵されているトナー供給ローラ14が回転し、トナー供給ローラ14に付着させたトナーが感光体11Hに供給され、感光体11H上に箔転写面を形成する。
【0087】
次に、除電ランプ22により感光体11H上の電荷が除電されると、感光体11H上の箔転写面は感光体11Hと転写ローラ13Hとが近接する転写部で製品Pを構成する基体p1上に転写される。図2に示す基体p1は、転写紙に代表されるシート形状のもので図示しない給紙カセットより搬送ローラ23により転写部へ搬送され、転写ローラ13Hにより箔転写面形成用トナーと逆極性の電荷が付与される。基体p1は転写ローラ13Hにより付与された逆極性を有する電荷の静電作用により感光体11Hより箔転写面を転写することが可能である。このときのローラ圧力は200Paから600Paが好ましく、トナー付着量は2.0g/mから12.0g/mが好ましい。
【0088】
箔転写面が転写された基体p1は、感光体11Hより分離された後、搬送ベルト24により図示しない定着装置に搬送される。定着装置はたとえば加熱ローラと加圧ローラ等より構成される定着手段を有し、基体p1上に形成された箔転写面を溶融して定着させる。
【0089】
以上の手順により、図2の箔転写面形成装置1では、感光体11H上に箔の形状に対応した静電潜像が形成され、箔転写面形成用トナーの供給により感光体11H上に箔転写面が形成される。そして、感光体11H上に形成された箔転写面は転写ローラ13Hにより製品Pを構成する基体p1に転写される。
【0090】
なお、図中の帯電ローラ12Hは、たとえば、以下の手順により感光体11Hを帯電することが可能である。すなわち、帯電ローラ12Hは電源27より直流(DC)成分と交流(AC)成分からなるバイアス電圧の印加を受けて感光体ドラム11Hを帯電する。図2に示す帯電ローラ12を用いる帯電はいわゆる接触方式と呼ばれるもので、本発明では図2に示す帯電方式の他に、後述する図3の装置で使用される非接触方式の帯電を感光体に行うことも可能である。帯電ローラ12Hに印加されるバイアス電圧は、たとえば、直流成分である±500〜1000VのDCバイアスと、交流成分である100Hz〜10kHz、200〜3500VのACバイアスとを重畳させてなるもの等がある。
【0091】
なお、図2中の転写ローラ13Hも帯電ローラ12Hと同様、電源28より直流(DC)成分と交流(AC)成分からなるバイアス電圧の印加を受け、転写部位で感光体11H上に形成された箔転写面を基体p1上に転写させる。転写ローラ13Hに印加されるバイアス電圧の具体例としては、帯電ローラ12Hに印加されるバイアス電圧の具体例と同様、直流成分の±500〜1000VのDCバイアスと交流成分の100Hz〜10kHz、200〜3500VのACバイアスとを重畳させたものがある。
【0092】
帯電ローラ12Hと転写ローラ13Hは、感光体11Hに圧接した状態で従動あるいは強制回転している。これらローラの感光体ドラム11Hへの押圧力は、たとえば、9.8×10−2〜9.8×10−1N/cmであり、ローラの回転速度は、たとえば、感光体11の周速の1〜8倍である。なお、前記ローラの感光体11Hへの押圧力は、たとえば、帯電ローラ12の両端に1N〜10N程度の押圧力を加えることで実現が可能である。
【0093】
なお、基体p1へ箔転写面を転写した感光体11Hは、クリーニング装置25に設けられたクリーニングブレード25bにより除去され、次の箔転写面形成を行う状態にする。
【0094】
なお、本発明では箔転写面を形成する製品上に箔の画像と可視画像を形成することも可能である。製品上に可視画像を形成する方法は、特に限定されるものではなく、たとえば、電子写真方式、印刷方式、インクジェット方式、銀塩写真方式等の公知の画像形成方法を用いて作製することが可能である。たとえば、製品上に箔転写面を形成し、当該箔転写面上に箔を転写した後に、転写した箔の周囲に電子写真方式の画像形成方法でトナー画像を作成することができる。また、箔の上にもカラートナーを載せて色味を変えた画像を作成することも可能で、これらの方法により、箔を転写した製品にさらなる光輝表現を付与することが可能である。
【0095】
図3は、箔転写面の形成と電子写真方式のフルカラー画像形成を行うことが可能な箔転写面形成装置の断面構成図である。図3に示す箔転写面形成装置は、図2に示す箔転写面形成装置1とほぼ同じ様な構成を有するもので、形成した箔転写面Hを加熱、加圧して硬化させる定着装置50を搭載しているものである。
【0096】
図3に示す箔転写面形成装置1は、いわゆる「タンデム型カラー画像形成装置」と呼ばれる電子写真方式の画像形成装置と同じ構成を有し、箔転写面形成部20Hと、複数組のトナー画像形成部20Y、20M、20C、20Bk、ベルト状の中間転写ベルト26と給紙装置40、定着装置50等から構成されるものである。特に、図3の箔転写面形成装置1には、中間転写ベルト26の下方に転写箔供給部70が設けられており、定着装置50で定着した箔転写面Hを定着した基体p1上に転写箔が供給され、定着装置50を再度通過することで箔転写面H上に箔が転写される。
【0097】
この様に、図3に示す箔転写面形成装置1では、製品Pを構成する基体p1上に箔転写面Hを形成し、形成した箔転写面H上に転写箔を転写させることができる。そして、箔を転写させた基体p1上にカラートナーを用いてフルカラー画像を形成することができる。なお、図3の箔転写面形成装置1では転写箔供給部70を中間転写ベルト26の下方に配置させているが、転写箔供給部の配置個所はこれに限定されるものではなく、転写箔を供給後、定着装置50による加熱と加圧で箔転写が可能な個所であればよい。
【0098】
中間転写ベルト26、定着装置50、転写箔供給部70の配置は、図3の箔転写面形成装置1に示すものの他に、たとえば、図7に示す配置が好ましい形態として挙げられる。図7の箔転写面形成装置1では、中間転写ベルト26、定着装置50、転写箔供給部70が順次配置されている。また、図中の矢印は基体p1の搬送方向を表す。図7の転写箔供給部70は、転写箔供給ロール71、箔転写ローラ73a、73b、転写箔巻き取りローラ72を有し、転写箔供給ロール71より転写箔Fが供給され、箔転写の行われた使用済みの転写箔Fは転写箔巻き取りローラ72に巻き取られる。なお、図7では箔転写面形成部20Hやトナー画像形成部20Y、20M、20C、20Bk等は省略してある。また、図7については後で詳細に説明する。
【0099】
箔転写面形成装置1の上部には、画像読取部60が設置されている。原稿台上に載置された原稿は画像読取部60の原稿画像走査露光装置の光学系により画像が走査露光され、ラインイメージセンサに読み込まれる。ラインイメージセンサにより光電変換されたアナログ信号は、制御手段においてアナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、露光部30H、30Y、30M、30C、30Bkに入力される。
【0100】
図3では、構成要素を総称する場合にはアルファベットの添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成要素を指す場合にはH(箔転写面用)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の添え字を付した参照符号で示す。
【0101】
本発明に係る箔転写方法に用いる箔転写面形成用トナーを供給する箔転写面形成用トナー供給部21H、イエロー色のトナー画像形成を行うイエロー画像形成部20Y、マゼンタ色のトナー画像形成を行うマゼンタ画像形成部20M、シアン色のトナー画像形成を行うシアン画像形成部20C、及び黒色のトナー画像を形成する黒色画像形成部20Bkは、それぞれ以下の構成を有する。すなわち、
(1)ドラム状の感光体11(11H、11Y、11M、11C、11Bk)
(2)帯電極12(12H、12Y、12M、12C、12Bk)
(3)露光部30(30H、30Y、30M、30C、30Bk)
(4)箔転写面形成用トナー供給装置21H及び現像装置21(21Y、21M、21C、21Bk)
(5)クリーニング装置25(25H、25Y、25M、25C、25Bk)。
【0102】
感光体11は、たとえば、有機光導電体を含有させた樹脂よりなる感光層がドラム状の金属基体の外周面に形成されてなる有機感光体よりなり、搬送される製品Pを構成する基体p1の幅方向(図3において紙面に対して垂直方向)に伸びる状態で配設されている。感光層を構成する樹脂には、たとえば、ポリカーボネート樹脂等の公知の感光層形成用樹脂が用いられる。なお、図3に示す実施形態では、ドラム状の感光体11を用いた構成例を説明しているが、これに限られずベルト状の感光体を用いてもよい。
【0103】
箔転写面形成用トナー供給装置21Hは、本発明に係る箔転写方法で用いる箔転写面形成用トナー(T)とキャリアからなる2成分箔転写面形成剤を内包する。また、現像装置21はそれぞれイエロートナー(Y)、マゼンタトナー(M)、シアントナー(C)及び黒色(Bk)の異なる色のトナーとキャリアからなる2成分現像剤を内包する。2成分箔転写面形成剤は、フェライトをコアとしてその周りに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと箔転写面形成用トナーとから構成されるものである。また、2成分現像剤は、フェライトをコアとしてその周りに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと公知の結着樹脂と公知の顔料やカーボンブラック等の着色剤、荷電制御剤、シリカ、酸化チタン等を含有してなる各色のトナーとから構成される。
【0104】
キャリアは、たとえば平均粒径が10〜50μm、飽和磁化10〜80emu/gを有しトナーは粒径4〜10μmである。また、本発明に係る箔転写方法で用いる箔転写面形成用トナーを含めて、図3に示す箔転写面形成装置で使用される各トナーの帯電特性は、負帯電特性であり平均電荷量としては−20〜−60μC/gであることが好ましい。2成分箔転写面形成剤及び2成分現像剤は、これらキャリアとトナーとをトナー濃度が4質量%〜10質量%にとなる様に混合、調整したものである。
【0105】
中間転写体である中間転写ベルト26は、複数のローラにより回転可能に支持されている。中間転写ベルト26はたとえば10〜1012Ω・cmの体積抵抗を有する無端形状のベルトである。中間転写ベルト26は、たとえば、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)等の公知の樹脂材料を用いて形成することができる。中間転写ベルト26の厚みは50〜200μmが好ましい。
【0106】
箔転写面形成用トナー供給装置21Hより感光体11H上に形成された箔転写面Hは、回転する中間転写ベルト26上に一次転写ローラ13Hにより転写される(一次転写)。中間転写ベルト26上に転写された箔転写面Hは、後述する給紙装置40より供給された基体p1上に転写され(二次転写)、箔転写面Hが転写された基体p1は後述する定着装置50を通過することで箔転写面Hが定着される。
【0107】
そして、箔転写面Hが定着された基体p1は、一度排紙ローラ47を有する排紙搬送路を搬送された後、搬送路48を経由して転写箔供給路51に搬送され、ここで転写箔供給部70より転写箔の供給を受ける。さらに、基体p1は転写箔が供給された状態で再び定着装置50を通過し、定着装置50の加熱、加圧により箔転写面H上に箔が転写される。
【0108】
この様に、箔転写面Hの形成、及び、箔の転写が行われた基体p1は、前述の両面搬送路48を経由して中間転写ベルト26の前に搬送され、今度は、トナー画像形成が行われる。先ず、トナー供給装置21Y、21M、21C、21Bkからの各色トナーにより各感光体11Y、11M、11C、11Bk上に形成された各色トナー画像も回転する中間転写ベルト26上に一次転写ローラ13Y、13M、13C、13Bkにより順次転写され、中間転写ベルト26上には合成されたフルカラー画像が形成される。一方、箔転写面Hを転写した感光体11Hとトナー画像を転写した感光体11Y、11M、11C、11Bkは各クリーニング装置25(25H、25Y、25M、25C、25Bk)により残留トナーが除去される。
【0109】
給紙装置40を構成する基体収納部(トレイ)41内に収容された製品Pを構成する基体p1は、第1給紙部42により給紙され、給紙ローラ43、44、45A、45B、レジストローラ(第2給紙部)46等を経て、2次転写ローラ13Aに搬送され、基体p1上に箔転写面Hとカラー画像が転写される(二次転写)。
【0110】
なお、箔転写面形成装置1の下部に鉛直方向に縦列配置された3段の基体収納部41は、ほぼ同一の構成を有するので同符号を付した。また、3段の給紙部42もほぼ同一の構成を有するので同符号を付した。基体収納部41と給紙部42を含めて給紙装置40という。
【0111】
製品Pを構成する基体p1上に転写された箔転写面Hとフルカラー画像は、箔転写面Hとフルカラー画像を加熱、加圧して溶融、硬化する定着装置50により基体p1上に固定される。基体p1は、搬送ローラ対57に挟持されて搬送され、排紙搬送路に設けられた排紙ローラ47から排出され、装置外の排紙トレイ90上に載置される。
【0112】
一方、二次転写ローラ13Aにより基体p1上に箔転写面Hとフルカラートナー画像を転写し、さらに、基体p1を曲率分離させた中間転写ベルト26は、中間転写ベルト用のクリーニング装置261により残留したトナーが除去される。
【0113】
なお、製品Pを構成する基体p1の両面に箔転写面Hとフルカラー画像を形成する場合は、基体p1の第1面に箔転写面とフルカラー画像を形成し、さらに、これらを溶融、硬化した後、基体p1を分岐板49により排紙搬送路から分岐させる。そして、両面搬送路48に導入して表裏反転して再び給紙ローラ45Bに搬送させる。基体p1は箔転写面形成部20H、各色の画像形成部20Y、20M、20C、20Bkにより第2面上にも箔転写面Hとフルカラートナー画像を形成し、定着装置50により加熱加圧処理されて排紙ローラ47により装置外に排出される。この様にして、製品Pの両面に箔転写面が設けられたフルカラートナー画像を形成することができる。
【0114】
また、図7の様に中間転写ベルト26、定着装置50、転写箔供給部70を配置した箔転写面形成装置1は、たとえば、以下の手順で箔転写面Hの形成、箔の転写、トナー画像形成を行うことができる。すなわち、
(1)二次転写ローラ13Aの個所で中間転写ベルト26上に形成された箔転写面Hを基体p1に転写させる。
(2)基体p1を定着装置50に通過させて箔転写面Hを定着させる。
(3)転写箔供給部70で基体p1上に転写箔Fを供給し、箔の転写を行う。
(4)搬送路48経由で箔を転写した基体p1を中間転写ベルト26に搬送し、フルカラートナー画像を基体p1上に転写させる。
(5)基体p1を定着装置50に通過させてフルカラートナー画像を定着させる。
(6)基体p1は転写箔供給部70をそのまま通過させ、排紙ローラ47を介して装置外に排紙する。
【0115】
以上の手順により、図3あるいは図7に示す箔転写面形成装置1は、製品Pを構成する基体p1上に箔転写面Hを形成し、形成した箔転写面H上に転写箔を転写させる。そして、箔を転写させた基体p1上にカラートナーを用いてフルカラー画像を形成することが可能である。
【0116】
次に、本発明で使用可能な転写箔について図4を用いて説明する。図4は本発明に使用可能な代表的な転写箔の断面構造を示す模式図である。本発明に使用可能な転写箔Fは、少なくとも、樹脂等からなるフィルム状の支持体f0と、着色剤や金属等を含有する箔層f2、接着性を発現する有機材料を含有する接着層f1を有し、箔層f2と接着層f1が製品P上に転写する。接着層f1は、転写箔Fの最表面に設けられ、転写により製品P表面に直接接触して箔層f2を製品P表面に強固に付着させる様に配置されている。また、図4に示す転写箔Fは、支持体f0と箔層f2の間に離型層f3を有するものである。以下、支持体f0、箔層f2、接着層f1の各層について説明する。
【0117】
先ず、支持体f0は、樹脂等からなるフィルムまたはシートである。支持体f0の材料としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリイミド樹脂等の公知の樹脂材料が挙げられる。また、これら樹脂材料の他に紙等の材料を使用することも可能である。
【0118】
また、支持体f0は、単層構造あるいは多層構造のいずれの構造を有するものを使用することができる。支持体f0に多層構造を採用する場合、支持体f0は箔層f2側の最表面層として剥離抵抗の調節に利用可能な離型層f3を含むものが好ましい。離型層f3の材料としては、たとえば、メラミンもしくはイソシアネートを硬化剤として用いた熱硬化性樹脂、アクリレートもしくはエポキシ樹脂を含有した紫外線または電子線硬化性樹脂に公知の離型剤を添加したものが挙げられる。離型層f3に添加可能な公知の離型剤としては、たとえば、フッ素系またはシリコン系のモノマーまたはポリマー等が挙げられる。
【0119】
箔層f2は、着色剤や金属材料等を含有し製品P上に転写後は美的外観を発現するものであり、製品P上に転写する時には支持体f0よりスムーズに剥離する性能が求められるとともに転写後は製品Pの最表面を形成するものなので耐久性も求められている。箔層f2は、上記性能を満たす公知の樹脂を、たとえば、グラビアコータ、マイクログラビアコータ及びロールコータ等のコータを用いて支持体f0上に塗布することにより形成が可能である。この様な公知の樹脂としては、たとえば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられ、当該樹脂中に公知の染料や顔料等を添加して着色することも可能である。
【0120】
また、メタリックな光沢を有する仕上がりの箔を形成する場合は、金属等を用いて公知の方法で前述の樹脂に反射層を設けることにより形成することが可能である。反射層を形成する金属材料としては、たとえば、アルミニウム、スズ、銀、クロム、ニッケル、金等の担体の他に、ニッケル−クロム−鉄合金や青銅、アルミ青銅等の合金を使用することも可能である。上記金属材料を用いて反射層を形成する方法としては、たとえば、蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法等の公知の方法が挙げられ、厚さ約10nmから約100nmの反射層を形成することが可能である。また、反射層には、たとえば、水洗シーライト加工、エッチング加工、レーザ加工等の公知の加工方法を利用して規則的な模様を付与するパターニング処理を施すことも可能である。
【0121】
接着層f1は、加熱により粘着性を発現するいわゆるホットメルトタイプと呼ばれる感熱性の接着剤を含有するものである。感熱性の接着剤としては、たとえば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂及びエチレン−ビニルアルコール共重合体等のホットメルトタイプの接着剤に使用可能な公知の熱可塑性樹脂が挙げられる。また、接着層f1は、たとえば、グラビアコータ、マイクログラビアコータ及びロールコータ等のコータを用いて上述した樹脂を箔層f2上に塗布することにより形成することが可能である。さらに、接着層f1の厚さは2μmから3μmが好ましい。
【実施例】
【0122】
以下、実施例を挙げて本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、下記文中に「部」と記載されている個所があるが「質量部」を表すものである。
【0123】
1.「箔転写面形成用トナー1〜9」の作製
以下に示す様に、重合法及び粉砕法により9種類の箔転写面形成用トナーを作製した。
【0124】
1−1.「樹脂微粒子分散液1〜5」の作製
(1)「樹脂微粒子分散液1」の作製
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器にアニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:SDS)7.08質量部をイオン交換水2760質量部に溶解させて界面活性剤水溶液を調製した。前記界面活性剤水溶液を窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、温度を80℃に昇温させた。
【0125】
一方、下記化合物
スチレン 130質量部
n−ブチルアクリレート 50質量部
メタクリル酸 15質量部
パラフィンワックス「HNP−57」(日本精鑞社製) 65質量部
n−オクチルメルカプタン 3質量部
を混合し、80℃に加温して溶解させることにより、単量体混合溶液を作製した。
【0126】
次に、循環経路を有する機械式分散装置を用いながら、上記80℃に加温した界面活性剤水溶液と単量体混合溶液を混合、分散させ、均一な分散粒子径を有する乳化粒子分散液を作製した。
【0127】
次いで、過硫酸カリウム(KPS)3.0質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合反応を行った後、40℃まで冷却して「樹脂粒子分散液」を作製した。
【0128】
さらに、過硫酸カリウム(KPS)6.5質量部をイオン交換水240質量部に溶解させた溶液を前記「樹脂粒子分散液」中に添加した。15分後、80℃で下記化合物からなる混合液を前記「樹脂粒子分散液」に120分かけて滴下した。すなわち、
スチレン 380質量部
n−ブチルアクリレート 120質量部
メタクリル酸 55質量部
n−オクチルメルカプタン 9質量部
滴下終了後60分間加熱、撹拌することにより重合反応を行った後、40℃まで冷却して、分子構造中にメタクリル酸単位の構造を有する「樹脂微粒子1」を含有する「樹脂微粒子分散液1」を作製した。
【0129】
(2)「樹脂微粒子分散液2」の作製
前記「樹脂微粒子分散液1」を作製する際に使用した「メタクリル酸」を「イタコン酸」に変更した。また、1回目の重合反応において、重合開始剤として使用する過硫酸カリウムの前記イオン交換水への添加量を4.0質量部、反応時間を2.5時間に変更した。さらに、2回目の重合反応において、重合開始剤として使用する過硫酸カリウムの添加量の前記イオン交換水への添加量を7.5質量部、反応時間を90分に変更した。その他は同じ手順を採ることにより、分子構造中にイタコン酸単位の構造を有する「樹脂微粒子2」を含有する「「樹脂微粒子分散液2」を作製した。
【0130】
(3)「樹脂微粒子分散液3」の作製
前記「樹脂微粒子分散液1」を作製する際に使用した「メタクリル酸」を「アコニット酸」に変更した。また、1回目の重合反応において、重合開始剤として使用する過硫酸カリウムの前記イオン交換水への添加量を5.0質量部、反応時間を3時間に変更した。さらに、2回目の重合反応において、重合開始剤として使用する過硫酸カリウムの前記イオン交換水への添加量を8.5質量部、反応時間を2時間に変更した。その他は同じ手順を採ることにより、分子構造中にアコニット酸単位の構造を有する「樹脂微粒子3」を含有する「樹脂微粒子分散液3」を作製した。
【0131】
(4)「樹脂微粒子分散液4」の作製
前記「樹脂微粒子分散液1」の作製において、1回目の重合反応に使用する単量体混合溶液を以下の様に変更した。すなわち、
スチレン 135質量部
n−ブチルアクリレート 55質量部
メタクリル酸 5質量部
パラフィンワックス「HNP−57」(日本精鑞社製) 65質量部
n−オクチルメルカプタン 3質量部
また、2回目の重合反応に使用する単量体混合溶液を以下の様に変更した。すなわち、
スチレン 400質量部
n−ブチルアクリレート 140質量部
メタクリル酸 15質量部
n−オクチルメルカプタン 9質量部
その他は同じ手順を採ることにより、分子構造中にメタクリル酸単位の構造を有する「樹脂微粒子4」を含有する「樹脂微粒子分散液4」を作製した。
【0132】
(5)「樹脂微粒子分散液5」の作製
前記「樹脂微粒子分散液1」の作製において、1回目の重合反応に使用する単量体混合溶液を以下の様に変更した。すなわち、
スチレン 140質量部
n−ブチルアクリレート 55質量部
パラフィンワックス「HNP−57」(日本精鑞社製) 65質量部
n−オクチルメルカプタン 3質量部
また、2回目の重合反応に使用する単量体混合溶液を以下の様に変更した。すなわち、
スチレン 410質量部
n−ブチルアクリレート 145質量部
n−オクチルメルカプタン 9質量部
その他は同じ手順を採ることにより、「樹脂微粒子5」を含有する「樹脂微粒子分散液5」を作製した。
【0133】
1−2.「箔転写面形成用トナー1」の作製
(1)「トナー母体粒子1」の作製
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、
「樹脂微粒子1」 1080質量部(固形分換算)
「樹脂微粒子2」 120質量部(固形分換算)
イオン交換水 2000質量部
を投入、撹拌した。反応容器内の温度を30℃に調整後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを10に調整した。
【0134】
次いで、塩化マグネシウム・6水和物35質量部をイオン交換水35質量部に溶解した水溶液を撹拌の下で30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置後に昇温を開始し、この系を60分間かけて90℃まで昇温させ、90℃に保持させたまま上記粒子の凝集、融着を継続した。この状態で「マルチサイザー3(ベックマンコールター社製)」を用いて凝集、融着により得られた粒子の粒径測定を行い、粒子の体積基準メディアン径が5.5μmになったときに、塩化ナトリウム150質量部をイオン交換水600質量部に溶解させた水溶液を添加して粒子の凝集を停止させた。
【0135】
凝集停止後、熟成処理として液温を98℃にして加熱撹拌を行いながら「FPIA2100(シスメックス社製)」を用いて凝集粒子の平均円形度が0.965になるまで融着を進行させて「トナー母体粒子1」を形成した。
【0136】
その後、液温を30℃まで冷却し、塩酸を使用して液中のpHを2に調整して撹拌を停止した。
【0137】
上記工程を経て作製した「トナー母体粒子分散液1」をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40(松本機械(株)製)」で固液分離し、「トナー母体粒子1」のウェットケーキを形成した。
【0138】
このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機でろ液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤ(セイシン企業(株)製)」に移し、水分量が0.5質量%になるまで乾燥処理を行うことにより「クリアトナー母体粒子1」を作製した。
【0139】
(2)外添処理
作製した「トナー母体粒子1」に下記外添剤を添加して、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)にて外添処理を行うことにより「箔転写面形成用トナー1」を作製した。
【0140】
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm)
1.0質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径20nm)
0.3質量部
なお、ヘンシェルミキサによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。
【0141】
上記「箔転写面形成用トナー1」のカルボキシル基含有量を前述した電気伝導度滴定装置「ABU91 Autoburett and CDM80 Conductivity meter」を用いて測定したところ0.3×10−5モル/gであった。
【0142】
1−3.「箔転写面形成用トナー2〜7」の作製
(1)「箔転写面形成用トナー2」の作製
前記「箔転写面形成用トナー1」の作製で、「トナー母体粒子1」の形成に用いた樹脂微粒子の添加量を
「樹脂微粒子1」 960質量部(固形分換算)
「樹脂微粒子2」 240質量部(固形分換算)
に変更して「トナー母体粒子2」を作製した。「トナー母体粒子2」を使用した他は「箔転写面形成用トナー1」の作製と同じ手順を採ることにより「箔転写面形成用トナー2」を作製した。「箔転写面形成用トナー2」のカルボキシル基含有量を前述の電気伝導度滴定装置で測定したところ1.0×10−5モル/gであった。
【0143】
(2)「箔転写面形成用トナー3」の作製
前記「箔転写面形成用トナー1」の作製で、「トナー母体粒子1」の形成に用いた樹脂微粒子の種類とその添加量を
「樹脂微粒子1」 900質量部(固形分換算)
「樹脂微粒子2」 240質量部(固形分換算)
「樹脂微粒子3」 60質量部(固形分換算)
に変更して「トナー母体粒子3」を作製した。「トナー母体粒子3」を使用した他は「箔転写面形成用トナー1」の作製と同じ手順を採ることにより「箔転写面形成用トナー3」を作製した。「箔転写面形成用トナー3」のカルボキシル基含有量を前述の電気伝導度滴定装置で測定したところ3.0×10−5モル/gであった。
【0144】
(3)「箔転写面形成用トナー4」の作製
前記「箔転写面形成用トナー1」の作製で、「トナー母体粒子1」の形成に用いた樹脂微粒子の種類とその添加量を
「樹脂微粒子1」 840質量部(固形分換算)
「樹脂微粒子2」 240質量部(固形分換算)
「樹脂微粒子3」 120質量部(固形分換算)
に変更して「トナー母体粒子4」を作製した。「トナー母体粒子4」を使用した他は「箔転写面形成用トナー1」の作製と同じ手順を採ることにより「箔転写面形成用トナー4」を作製した。「箔転写面形成用トナー4」のカルボキシル基含有量を前述の電気伝導度滴定装置で測定したところ5.0×10−5モル/gであった。
【0145】
(4)「箔転写面形成用トナー5」の作製
前記「箔転写面形成用トナー1」の作製で、「トナー母体粒子1」の形成に用いた樹脂微粒子の種類とその添加量を
「樹脂微粒子1」 780質量部(固形分換算)
「樹脂微粒子2」 270質量部(固形分換算)
「樹脂微粒子3」 150質量部(固形分換算)
に変更して「トナー母体粒子5」を作製した。「トナー母体粒子5」を使用した他は「箔転写面形成用トナー1」の作製と同じ手順を採ることにより「箔転写面形成用トナー5」を作製した。「箔転写面形成用トナー5」のカルボキシル基含有量を前述の電気伝導度滴定装置で測定したところ5.5×10−5モル/gであった。
【0146】
(5)「箔転写面形成用トナー6」の作製
前記「箔転写面形成用トナー1」の作製で、「トナー母体粒子1」の形成に用いた樹脂微粒子の種類とその添加量を
「樹脂微粒子4」 1200質量部(固形分換算)
に変更して「トナー母体粒子6」を作製した。「トナー母体粒子6」を使用した他は「箔転写面形成用トナー1」の作製と同じ手順を採ることにより「箔転写面形成用トナー6」を作製した。「箔転写面形成用トナー6」のカルボキシル基含有量を前述の電気伝導度滴定装置で測定したところ0.5×10−6モル/gであった。
【0147】
(6)「箔転写面形成用トナー7」の作製
前記「箔転写面形成用トナー1」の作製で、「トナー母体粒子1」の形成に用いた樹脂微粒子を
「樹脂微粒子5」 1200質量部(固形分換算)
に変更した他は同じ条件の下で「トナー母体粒子7」の作製を試みた。しかしながら、上記樹脂微粒子の凝集しているときに粒径のコントロールが行えず、結局、「トナー母体粒子7」を作製することはできなかった。
【0148】
1−3.「箔転写面形成用トナー8、9」の作製
(1)「箔転写面形成用トナー8」の作製
下記化合物を「ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)」で十分混合した後、2軸押出混練機「PCM−30(池貝鉄工(株)製)」の排出部を取り外したものを使用して溶融混練後冷却した。すなわち、
ビニル系樹脂(スチレン/n−ブチルアクリレート/メタクリル酸/イタコン酸を用いて公知の重合方法により形成したもの(質量比=25:10:3:2))
100質量部
パラフィンワックス「HNP−57」(日本精鑞社製) 8.7質量部
得られた混練物を冷却ベルトで冷却した後、フェザーミルで粗粉砕した。その後、機械式粉砕機「KTM(川崎重工(株)製)」で平均粒径9〜10μmまで粉砕し、さらに、ジェット粉砕機「IDS(日本ニューマチック工業社製)」で平均粒径5.5μmになるまで粉砕処理と粗粉分級を行った。その後、粗粉分級したものよりロータ型分級機(ティープレックス型分級機タイプ「100ATP(ホソカワミクロン(株)製)」)を使用して体積基準メディアン径が5.5μmの「トナー母体粒子8」を作製した。
【0149】
作製した「トナー母体粒子8」に下記外添剤を添加して、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)にて外添処理を行うことにより「箔転写面形成用トナー8」を作製した。
【0150】
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm)
1.0質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径20nm)
0.3質量部
なお、ヘンシェルミキサによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。
【0151】
上記手順で作製した「箔転写面形成用トナー8」のカルボキシル基含有量を前述の電気伝導度滴定装置で測定したところ0.8×10−5モル/gであった。
【0152】
(2)「箔転写面形成用トナー9」の作製
前記「箔転写面形成用トナー8」の作製で、「トナー母体粒子8」を作製するときに使用したビニル系樹脂に代えて、
ビニル系樹脂(スチレン/n−ブチルアクリレートを用いて公知の重合方法により形成したもの(質量比=5:2))
100質量部
を用いた他は同じ手順で「トナー母体粒子9」を作製し、前述の外添処理を行うことにより「箔転写面形成用トナー9」を作製した。「箔転写面形成用トナー9」のカルボキシル基含有量を前述の電気伝導度滴定装置で測定したが検出することができなかった。
【0153】
以上の手順で作製した「箔転写面形成用トナー1〜9」について、トナー母体粒子の製造方法、樹脂形成に使用したカルボキシル基を有する単量体の種類、カルボキシル基含有量等を下記表1に示す。
【0154】
【表1】

【0155】
2.評価実験
2−1.箔転写面形成用トナー現像剤の調製
前記「箔転写面形成用トナー1〜9」に対して、メチルメタクリレート樹脂を被覆してなる体積平均粒径40μmのフェライトキャリアを、トナー濃度が6質量%になるように混合し、2成分現像剤の形態をとる「箔転写面形成用トナー現像剤1〜9」を調製した。
【0156】
2−2.評価実験
(1)評価条件
「箔転写面形成用トナー現像剤1〜9」を図3に示す構成の箔転写面形成装置1の箔転写面形成用トナー供給装置21Hにそれぞれ搭載して箔転写面を形成した。箔転写面の形成は製品である市販の画像支持体「OKトップコート+(坪量157g/m、紙厚131μm)(王子製紙(株)製)」上に形成した。なお、箔転写面形成装置1では箔転写面形成用トナーの供給量を4g/mに設定して箔転写面を形成した。
【0157】
また、定着装置50における画像支持体の定着速度を230mm/sec、加熱ローラの表面材質をポリテトラフロオロエチレン(PTFE)、加熱ローラの表面温度を135℃に設定して行った。
【0158】
前記箔転写面形成装置1を用いて前記画像支持体上に各トナーによる箔転写面を形成した後、当該画像支持体を図1に示す手順にしたがい、図4に示す層構成を有する市販の転写箔を用いて画像支持体上に形成した箔転写面上に箔を転写させた。なお、転写箔は、(株)村田金箔製の「BL 2号金2.8」を使用した。
【0159】
図1に示す手順で箔転写を以下に示す条件の下で行った。すなわち、
・加熱ロール:外径100mm、厚さ10mmのアルミニウム製基体上に厚さ3mmのシリコーンゴム層を配置したもので、表面温度を150℃に設定
・加圧ロール:外径80mm、厚さ10mmのアルミニウム製基体上に厚さ3mmのシリコーンゴム層を配置したもので、表面温度を100℃に設定
・熱源:加熱ロール及び加圧ロールの内部にハロゲンランプを各々配置(サーミスタにより温度制御)
・加熱ロールと加圧ロールのニップ幅:7mm
・画像支持体搬送速度:73mm/秒
・転写材搬送方向:A3サイズの上記転写材を縦方向に搬送させる
・評価環境:常温常湿環境(温度20℃、相対湿度50%RH)
上記条件の下で、画像支持体上には図5に示す6種類の箔画像サンプルを作成した。図中のSaとSbは細線画像で、Saは幅2mmの線画を1.5mm幅間隔で縦と横に配置したものであり、Sbは幅0.5mmの線画を1mm幅間隔で配置したものである。また、Scは円、Sdは正方形、Seは正三角形、Sfは星形の箔画像である。
【0160】
(2)評価実験(その1)
上記手順で作製された試料上に形成されている箔について、箔転写面上での箔の欠落、バリ発生、所定領域外への箔転写の発生、細線再現性、及び、耐剥離性を評価した。「箔転写面上での箔の欠落」はトナーにより形成された箔転写面の接着力が弱すぎないか否かを評価するものである。また、「バリ発生」はトナー画像エッジ部分で接着ムラがある場合に発生するものと考えられ、接着力が強固であれば発生しないものと考えられる。
【0161】
「所定領域外への箔転写の発生」は、カルボキシル基の水分吸着による帯電性への影響を評価するもので、帯電性が低すぎるとカブリが発生しカブリ上に箔が転写されることをみたものである。さらに、「耐剥離性」は形成された箔画像の接着強度の評価により箔画像の耐久性をみたものである。
【0162】
ここで、「箔転写面形成用トナー1〜6、8」を用いて箔を形成した試料を「実施例1〜7」とし、「箔転写面形成用トナー7、9」を用いて箔を形成した試料を「比較例1、2」とした。なお、「箔転写面形成用トナー7」は、前述した様に、「樹脂微粒子5」を凝集させたときに粒径をコントロールできなかったため作製されなかったものであるが、ここでは、「比較例1」とする。
【0163】
〈箔転写面上における箔の欠落〉
各試料上に形成されたSc〜Sfの箔画像を、肉眼及び倍率10倍のルーペにより目視観察して箔転写面上における箔の欠落の有無を以下の様に評価した。○と△を合格とし、×を不合格とした。すなわち、
○;全ての箔画像についてルーペ観察でも箔の欠落は認められなかった
△;ルーペ観察により微小な欠落を有する箔画像があったが、肉眼観察では問題のないレベルだった
×;肉眼観察で箔の欠落が認められる箔画像があった。
【0164】
〈バリ発生〉
各試料上に形成されたSc〜Sfの箔画像のエッジ部分を肉眼及び倍率10倍のルーペにより目視観察してバリ発生の有無を以下の様に評価した。○と△を合格とし、×を不合格とした。すなわち、
○;全ての箔画像エッジ部分をルーペで観察してもバリの発生はみられなかった
△;ルーペ観察により微小なバリの発生がみられたものがあるが、肉眼観察では問題のないレベルだった
×;肉眼観察でバリの発生が認められるものがあった。
【0165】
〈所定領域外での箔転写発生〉
各試料上の箔転写面以外の領域を肉眼及び倍率10倍のルーペにより目視観察し、所定領域外での箔転写発生の有無を以下の様に評価した。○と△を合格とし、×を不合格とした。すなわち、
○;ルーペ観察でも所定領域外での箔転写の発生はみとめられなかった
△;ルーペ観察により所定領域外に微小な箔転写を確認したが、肉眼観察では問題のないレベルだった
×;肉眼観察で容易に確認される所定領域外での箔転写がみとめられた。
【0166】
〈細線再現性〉
各試料上に形成された前述の2つの細線画像を肉眼及び倍率10倍のルーペにより目視観察し、細線間に余分な箔が存在しないことと細線上における箔の欠落の有無を以下の様に評価した。○と△を合格とし、×を不合格とした。すなわち、
○;2つの細線画像とも細線間に余分な箔が存在せず、かつ、細線上に箔の欠けがないことがルーペ観察でみとめられた
△;幅0.5mmの細線画像上に微小な欠けが見られたが肉眼観察では問題のないレベルであった。また、2つの細線画像とも細線間に余分な箔は存在していなかった
×;細線間に余分な箔が残存していることが肉眼観察でみとめられた。
【0167】
〈耐剥離性〉
各試料上に形成された細線画像、正三角形、正方形、星形の各箔画像にテープを貼り付けた後、手でそのテープを剥がす。テープを剥がしたときの箔画像の状態を肉眼及び倍率10倍のルーペで観察して以下の様に評価した。なお、テープは「スコッチメンディングテープ MP−18(住友スリーエム(株)製)」を使用した。
【0168】
○;ルーペ観察で確認可能な微細な剥離を起こしたものはなかった
△;ルーペ観察で確認可能な微細な剥離を起こしたものがあるが、肉眼では問題ないレベルと判断した
×;肉眼で剥離を確認できるものがあった。
【0169】
以上の結果を表2に示す。なお、表2には後述する評価実験(その2)の評価結果も掲載してある。
【0170】
【表2】

【0171】
表2に示す様に、本発明の構成を有する箔転写面形成用トナーを用いて箔画像を形成した「実施例1〜7」は、いずれも箔転写面と転写箔の間に良好な接着力が付与されて箔の欠落やバリを発生させずに箔転写が行えることが確認された。また、カルボキシル基の作用による吸水性の影響でトナーの帯電性を低下させることはなく、いずれのトナーでもカブリの発生がなく箔転写面以外の領域に箔を転写するものではなかった。
【0172】
また、画像支持体上に形成された箔画像は、いずれも適度な接着強度を有するもので画像支持体上より剥離しないものであった。さらに、カルボキシル基含有量が特定範囲のものは細線再現性に優れるものであることが確認された。一方、本発明の構成を有さない箔転写面形成用トナーを用いた「比較例2」は、いずれも肉眼で箔の欠落がみとめられ、また、形成した箔画像を擦ると箔が剥離するものであり、「実施例1〜7」と比べ転写箔との接着性が大幅に劣るものであった。また、「比較例1」は、前述した様に、トナー作製時に樹脂微粒子を凝集する際、粒径のコントロールが行えなかったためトナー母体粒子を作製することができなかったもので上記評価を行うことができなかったものである。
【0173】
(3)評価実験(その2)
次に、箔転写面形成用トナーの高温高湿環境(温度30℃、相対湿度80%RH)下における帯電性の評価を行った。本発明者は、本発明に係るトナーが側鎖にカルボキシル基を有するビニル系単量体を用いて結着樹脂を形成しているので、高湿環境下で箔転写を行ったときのカルボキシル基による吸水性の影響を懸念した。そこで、上記高温高湿環境下に箔転写面形成用トナーを48時間おいて当該トナーの帯電量測定を行うとともに、上記高温高湿環境下で前述の手順による箔転写を行い、帯電量不足によるカブリに起因する所定領域外での箔転写発生の有無を評価した。なお、所定領域外での箔転写発生の有無の評価は前述の評価手順で行った。
【0174】
〈トナーの帯電量〉
箔転写面形成用トナーの帯電量測定は図6に示す帯電量測定装置Uを用いて行った。先ず、精密天秤で計量した箔転写面形成用トナー現像剤0.5gを、装置Uを構成する導電性スリーブu1の表面全体に均一になる様に供給する。次に、バイアス電源u3より導電性スリーブu1に−3kVの電圧を印加するとともに、導電性スリーブu1内に設けられたマグネットロールu2の回転数を1000rpmに設定する。この状態で70秒間放置して、箔転写面形成用トナーを円筒電極u4に収集する。70秒放置した後に円筒電極u4の電位Vmを読み取り、この値からトナーの電荷量を算出し、さらに、収集したトナーの質量を精密天秤で測定して平均帯電量を求める。
【0175】
箔転写面形成用トナーの帯電量が絶対値で25μC/g以上のものは、箔転写を行うときにトナーの帯電量不足によるカブリを発生させないものの目安とした。
【0176】
結果を前述の表2に示す。
【0177】
表2に示す様に、本発明の構成を有する箔転写面形成用トナーは、高温高湿環境下におかれてもいずれも絶対値で25μC/g以上の帯電量を有するものであることが確認された。また、高温高湿下で作成した試料は所定領域外にカブリに起因する箔はみられず、安定した箔転写が行えることが確認された。
【符号の説明】
【0178】
1 箔転写面形成装置
11(11H、11Y、11M、11C、11Bk) 感光体
12(12H、12Y、12M、12C、12Bk) 帯電ローラ、帯電極
13(13A、13H、13Y、13M、13C、13Bk) 転写ローラ
14 トナー供給ローラ
20H 箔転写面形成部
20Y、20M、20C、20Bk トナー画像形成部
21H 箔転写面形成用トナー供給装置
21Y、21M、21C、21Bk トナー供給装置(現像装置)
23 搬送ローラ
25(25H、25Y、25M、25C、25Bk) クリーニング装置
26 中間転写ベルト
30(30H、30Y、30M、30C、30Bk) 露光部
50 定着装置
51 転写箔供給路
60 画像読取部
70 転写箔供給部
71 転写箔供給ローラ
72 転写箔巻き取りローラ
73a、73b 箔転写ローラ
F 転写箔
f0 支持体
f1 接着層
f2 箔層
f3 離型層
H 箔転写面
P 製品
p1 基体(画像支持体)
R1、R2 加熱加圧ローラ
S 箔画像サンプル
Sa、Sb 線画の箔画像サンプル
Sc 円の箔画像サンプル
Sd 正方形の箔画像サンプル
Se 正三角形の箔画像サンプル
Sf 星形の箔画像サンプル
T 箔転写面形成用トナー(トナー)
U 帯電量測定装置
u1 導電性スリーブ
u2 マグネットロール
u3 バイアス電源
u4 円筒電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
感光体を露光して静電潜像を形成する工程と、
静電潜像が形成された前記感光体にトナーを供給して箔転写面を形成する工程と、
前記感光体に形成された箔転写面を製品に転写する工程と、
前記製品に転写された箔転写面を製品上に定着する工程と、
前記箔転写面が定着された製品に少なくとも接着層を有する転写箔を供給する工程と、
前記転写箔の接着層を前記箔転写面に接触させる工程と、
前記転写箔の接着層を前記箔転写面に接触させた状態のまま加熱する工程と、
前記転写箔を箔転写面上に接触した部分を残して前記製品より除去する工程を有する箔転写方法であって、
前記箔転写面の形成に使用されるトナーは、
少なくとも結着樹脂を含有するものであり、
前記結着樹脂は、少なくともカルボキシル基を有するビニル系単量体を用いて形成される重合体を含有するものであることを特徴とする箔転写方法。
【請求項2】
前記箔転写面の形成に使用されるトナーに含有される結着樹脂は、カルボキシル基含有量が0.5×10−7モル/g以上5.0×10−5モル/g以下のものであることを特徴とする請求項1に記載の箔転写方法。
【請求項3】
前記箔転写面の形成に使用されるトナーに含有される結着樹脂が、少なくともメタクリル酸を用いて形成される重合体を含有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の箔転写方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の箔転写方法を行って形成された箔の画像を有する製品上に、
トナーを用いて電子写真方式により可視画像を形成する工程を経て、箔の画像と可視画像を有する製品を作製することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−215616(P2011−215616A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58646(P2011−58646)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】