管体の沈埋工法及びその工法に用いられる後行管体閉塞用仮蓋
【課題】圧力損失を防ぎつつ、効率よく確実に管体を連結する方法を提供する。
【解決手段】先行管体PUを掘削溝内に敷設し、この管路内の受口側に、受口からの安定液の侵入を防止する閉塞装置10を配して当該管体PU内を閉塞した状態で、後行する管体PU2を沈設し、この後行管体PU2の差口から安定液を吸引することによって、この後行管体PU2を先行管体PUの受口へ向う安定液の流れを発生させ、この流れに乗せて後行管体PU2の差口を前記先行管体PUの受口に引き寄せて接続する管体の沈埋工法に以下の構成の後行管体閉塞用仮蓋60を用いる。この仮蓋60は、後行管体PU2の受口を着脱自在に閉塞可能に構成され、該仮蓋60は、後行管体PU2の受口に対向する面に形成された、安定液を吸引する吸引口63A,63Bと、該吸引口63A,63Bと排出口64とを連通する吸引流路65と、を備え、前記排出口64に接続された吸引管66を介して吸引ポンプにより安定液を吸引する構成とする。
【解決手段】先行管体PUを掘削溝内に敷設し、この管路内の受口側に、受口からの安定液の侵入を防止する閉塞装置10を配して当該管体PU内を閉塞した状態で、後行する管体PU2を沈設し、この後行管体PU2の差口から安定液を吸引することによって、この後行管体PU2を先行管体PUの受口へ向う安定液の流れを発生させ、この流れに乗せて後行管体PU2の差口を前記先行管体PUの受口に引き寄せて接続する管体の沈埋工法に以下の構成の後行管体閉塞用仮蓋60を用いる。この仮蓋60は、後行管体PU2の受口を着脱自在に閉塞可能に構成され、該仮蓋60は、後行管体PU2の受口に対向する面に形成された、安定液を吸引する吸引口63A,63Bと、該吸引口63A,63Bと排出口64とを連通する吸引流路65と、を備え、前記排出口64に接続された吸引管66を介して吸引ポンプにより安定液を吸引する構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管体の沈埋工法及びその工法に用いられる後行管体閉塞用仮蓋に関し、詳しくは、安定液の吸引により管体の接続を行う管体の沈埋工法及びその工法に用いられる後行管体閉塞用仮蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
管体を地中に敷設する場合、従来、オープンカット方式、押管方式、シールド方式等の方法が採用されてきたが、地盤条件が悪い場合には、止水、土留めのための補助工法を用いなければならず、工事費が増大するとともに、施工が煩雑になり工期延長の要因となっていた。そこで、近年、泥水固化法が開発され、補助工法(土留め壁、地盤改良等)を省略し得るに到った。この泥水固化方法は、一般に下水管、止水管等の管体を地中に敷設するに際し、ベントナイト泥水等の安定液中に管体を埋設し、泥水の固化を待って管体を固定するものである。
かかる安定液掘削による沈埋工法の概要について説明すると、まず、図17に示すように、管体Pの沈埋位置および人孔部M,Mの両側に、ガイドウォール1,1を構築する。次いで、図示しないが、ガイドウォール1,1間における始端側人孔部Mから所定距離を、例えば次の人孔部Mまでをパワーショベルなどにより、ベントナイト泥水などの安定液Bを充填しながら掘削溝Dを掘削するとともに、この掘削溝Dの少なくとも始端がわの人孔部Mに人孔2を沈設する。
他方、地上にて、図18および図19に示すように、複数本の管体P,P,…に、補強および重力増加を目的として、溝形鋼等の上部支持材3、場合によっては付加的にH形鋼等の下部支持材4を当てがい、これをワイヤー5などにより管体Pにも巻き掛けて一体化させる。また、この一体化連結管体PUの上部支持材3上面には、カップラー6を長手方向に間隔をおいて複数固着し、これらカップラー6に位置監視用および吊り支持用のゲビン棒(ネジ鋼棒)7を螺合させておく。
かかる段取りが完了した後、例えば、構造体として組み立てた門型クレーン足場8を支持体として、チェーンブロック9Aにより連結管体PUに巻きつけられているワイヤー5を介して連結管体PUを吊り支持し、チェーン9Bによる支持を順次落とし下げ、人孔2の接続すべき位置まで吊り降ろし沈下させる。この沈下完了状態が図19に示されている。しかる後、図20に示すように、ガイドウォール1,1間に架設された架設部材20と吊り支持用ゲビン棒7とをナット21により連結し、連結管体PUを吊り支持する。
次いで、連結管体PUが設計位置(深さ方向位置、および溝幅方向位置)に吊り支持されているか否かを、安定液面から突出するゲビン棒7、および管体の所定部位に対して連結糸を介して繋いだウキF(図示せず)の位置によって確認する。管体の沈設位置がズレている場合には、沈設管体の側方にH形鋼を建込み、これを管体の側面に押し当て溝幅方向に移動させる等して沈設位置を調整する。
しかる後、掘削溝D内の安定液B中にセメントミルク等の固化材を注入するとともにエア攪拌を行い、安定液Bの固化を図る。この固化の完了および1〜3日程度の養生期間を待って、人孔2内に作業員が潜入し、図21に示すように固化泥水部分を狸掘して人孔2と管体Pとの間を貫通させ、この貫通路に、人孔2内から接続用の短管P’を挿入し、さらに短管P’の周囲の空隙にモルタルを充填して、止水を図る。
ところで、かかる管体の沈埋工法においては管体の接続作業が困難かつ煩雑である等の問題点があり、これを解決するものとして、特許第3504198号公報において安定液の吸引による安定液流を利用して管体相互の接続を行う技術が提案されている。
【特許文献1】特許3504198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記発明では、先行する連結管体PU(先行管体)の内部に設置した管内移動型閉塞装置に形成された吸引口から先行管体の受口を介して安定液を吸引する構成となっており、一体化連結管体が順次接続されていくうちに、吸引ポンプに接続するホースの長さも長くなり、圧力損失が大きくなり、残留安定液を十分に吸引できなくなる虞があった。また、サンドポンプを延長ホースの途中に取付けることにより、圧力損失を防ぐことも考えられるが、サンドポンプの設置の手間等がかかり効率がよくはない。
さらに、上記発明では、管内移動型閉塞装置と順次接続される管体の受口までの間に安定液に付随する土砂が堆積され、この土砂によって管内移動型閉塞装置の吸引口が詰まってしまい、連結作業に支障が生じる虞があった。
そこで、本発明の主たる課題は、圧力損失を防ぎつつ、効率よく確実に管体を連結する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
請求項1記載の発明は、管体を順次掘削溝内の安定液中に沈埋敷設するとともに、順次管体相互を安定液中で接続する、管体の沈埋工法であって、先行する管体を掘削溝内に敷設するとともに、この管路内の受口側に、受口からの安定液の侵入を防止する閉塞装置を配して当該管体内を閉塞する第1の工程と、後行する管体を、その管路の受口を仮蓋によって閉塞した状態で、前記先行管体の受口に後行管体の差口が対向するように間隔をもって配置する第2の工程と、前記仮蓋における後行管体の受口に対向する面に形成された吸引口から安定液を吸引することによって、この後行管体を先行管体の受口へ向う安定液の流れを発生させ、この流れに乗せて後行管体の差口を前記先行管体の受口に引き寄せて接続する第3の工程と、前記仮蓋を後行管体の差口から取外して回収する第4の工程と、を順次行い、その後、順次接続される管体内に安定液が所定量溜まるまで、後行管体を第2の工程の先行管体として、第2の工程〜第4の工程を順次繰り返し行ない、第3の工程の後で安定液が所定量溜まった際に、前記仮蓋に形成された吸引口から管体内に溜まった安定液とそれに付随する土砂を吸引し、それに前後して最先端に位置する後行管体の受口側まで閉塞装置を移動させ、その後、再び第2の工程〜第4の工程を順次繰り返し行なう、ことを特徴とする管体の沈埋工法である。
【0005】
(作用効果)
順次接続される後行管体の受口に仮蓋を取付け、この仮蓋の吸引口から安定液を吸引することにより、吸引ポンプに接続するホース長を短くすることができ、圧力損失を防ぎ、効率よく確実に管体を連結することができる。
また、仮蓋は、順次後行管体に取付けられるので、仮蓋の手前の管体内の部分には、土砂の堆積が少なく、吸引口が土砂により詰まる虞が少ない。
【0006】
<請求項2記載の発明>
請求項2記載の発明は、管体を順次掘削溝内の安定液中に沈埋敷設するとともに、順次管体相互を安定液中で接続するに当り、先行する管体を掘削溝内に敷設し、この管路内の受口側に、受口からの安定液の侵入を防止する閉塞装置を配して当該管体内を閉塞した状態で、後行する管体を沈設し、この後行管体の差口から安定液を吸引することによって、この後行管体を先行管体の受口へ向う安定液の流れを発生させ、この流れに乗せて後行管体の差口を前記先行管体の受口に引き寄せて接続する管体の沈埋工法に用いられる後行管体閉塞用仮蓋であって、該仮蓋は、後行管体の受口に対して着脱自在で、かつ閉塞可能に構成され、該仮蓋は、後行管体の受口に対向する面に形成された、安定液を吸引する吸引口と、該吸引口と排出口とを連通する吸引流路と、を備え、前記排出口に接続された吸引管を介して吸引ポンプにより安定液を吸引する構成とした、後行管体閉塞用仮蓋である。
【0007】
<請求項3記載の発明>
請求項3記載の発明は、前記吸引口は、管体の受口に対向する面における受口開口の略中心部分に形成された第1の吸引口と、この第1の吸引口の下方に形成された第2の吸引口と、から構成され、前記吸引流路は、第1の吸引口及び第2の吸引口の両吸引口と排出口とを連通するように構成された、請求項2記載の後行管体閉塞用仮蓋である。
【0008】
<請求項4記載の発明>
請求項4記載の発明は、前記吸引口は、管体の受口に対向する面における受口開口の略中心部分に形成された第1の吸引口と、この第1の吸引口の下方に形成された第2の吸引口と、から構成され、前記吸引流路は、第1の吸引口と第1の排出口を連通する第1の吸引流路と、第2の吸引口と第2の排出口を連通する第2の吸引流路と、から構成された、請求項2記載の後行管体閉塞用仮蓋である。
【0009】
(作用効果)
仮蓋は、後行管体の受口を着脱自在に閉塞可能に構成され、該仮蓋は、後行管体の受口に対向する面に形成された、安定液を吸引する吸引口と、該吸引口と排出口とを連通する吸引流路と、を備え、前記排出口に接続された吸引管を介して吸引ポンプにより安定液を吸引する構成とすることにより、吸引ポンプによって吸引することにより、後行管体を先行管体の受口へ向う安定液の流れを発生させ、この流れに乗せて後行管体の差口を前記先行管体の受口に引き寄せて接続することができる。
仮蓋の第2の実施形態として、吸引口は、管体の受口に対向する面における受口開口の略中心部分に形成された第1の吸引口と、この第1の吸引口の下方に形成された第2の吸引口と、から構成し、前記吸引流路は、第1の吸引口及び第2の吸引口の両吸引口と排出口とを連通するように構成してもよい。
また、仮蓋の第2の実施形態として、吸引口は、管体の受口に対向する面における受口開口の略中心部分に形成された第1の吸引口と、この第1の吸引口の下方に形成された第2の吸引口と、から構成し、前記吸引流路は、第1の吸引口と第1の排出口を連通する第1の吸引流路と、第2の吸引口と第2の排出口を連通する第2の吸引流路と、から構成してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、圧力損失を防ぎつつ、効率よく確実に管体を連結することができる等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
<後行管体閉塞用仮蓋の構成>
本発明で用いられる管体Pの両端部の開口は、受口と差口となっており、ある管体1P受口に他の管体Pの差口を嵌合させ接続させることにより、所望の長さに管を延長させることができるようになっている。なお、管体は、単独のものだけでなく、複数の単位管体を事前に連結一体化しておく一体化連結管体PUとしてもよい。
【0012】
以下に、第1の実施形態に係る後行管体閉塞用仮蓋の説明を図1乃至図4に基づきする。
仮蓋60は、後行する管体Pの受口を塞ぐものであり、後行管体Pの受口を着脱自在に閉塞可能に構成され、受口端部と当接する部分には、円環状のパッキン材61が取付けられている。なお、仮蓋60には、ワイヤー(図示せず)を留めるための孔が形成されたブラケット62,62,…が複数取付けられており、ワイヤーによって管体Pの受口端部に仮蓋60自体を取付けることができるようになっている。
【0013】
仮蓋60は、管体Pの受口に対向する面に形成され、安定液を吸引する吸引口63A,63Bと、当該吸引口63A,63Bと排出口64とを連通する吸引流路65と、を備えている。
【0014】
吸引口は、管体Pの受口に対向する面における受口開口の略中心部分に第1の吸引口63Aが形成されており、その下方には主に管底に溜まった土砂や残留安定液等を吸引する第2の吸引口63Bが形成されている。第1の吸引口63Aだけでなく第2の吸引口63Bも形成し、かつ仮蓋60の上下に位置をずらして配置することにより、例えば、下部の第2の吸引口63Bが土砂により閉塞したときに、その上方にある第1の吸引口63Aは閉塞することなく、安定して残留安定液等を吸引することができ、連結作業を中断させる虞がない。
【0015】
第1の実施形態の吸引流路65は、第1の吸引口63A及び第2の吸引口63Bと仮蓋60の上端部に形成された排出口64と連通し、第1の吸引口63A及び第2の吸引口63Bの経路を兼用するかたちとなっている。排出口64には、雌ネジが螺刻されており、複数本が連結されて構成される吸引管66,66,…が羅着により着脱自在に取付けられるようになっている。そして、この吸引管66,66,…に接続される吸引ポンプ(図示せず)により安定液、土砂や残留安定液が吸引され排出されるようになっている。なお、排出口64は、吸引口63A,63Bと同一面に形成さえしなければ、仮蓋60の他の面に形成してもよい。
【0016】
仮蓋60の上端部には、注水口67が形成されており、仮蓋60内に水等を注水することができるようになっている。注水することにより、浮力に抵抗する錘の役目を果たすようになる。また、仮蓋60の下部には、注水口67から注入された水を抜くための水抜き孔68が形成されている。
【0017】
また、図9乃至図12には、仮蓋60に取付け可能な仕切り板80が示されている。仕切り板80は、バックホー(図示せず)のバケットにより管体Pや仮蓋60が損傷することを防止すると共に、ある程度自硬性泥水の区画をする役割をもっている。仕切り板80は、仕切り板本体80Aと、張出部80Bと、を備えており、張出部80Bには仮蓋60に連結される吸引管66を遊貫させる貫通孔80bが形成されている。
【0018】
第2の実施形態の仮蓋70は、図5乃至図8に示すように、第1の吸引口73Aと第2の吸引口73Bの吸引流路を兼用することなく、それぞれ独立した吸引流路75A,75Bを設けている。第1の吸引流路75Aは、第1の吸引口73Aと第1の排出口74Aとを連通しており、第2の吸引流路75Bは、第2の吸引口73Bと第2の排出口74Bとを連通している。第1の排出口74Aと第2の排出口74Bには、それぞれ第1の吸引管76A,76A,…、第2の吸引管76B,76B,…が螺着により着脱自在に取付けられるようになっている。
【0019】
この形態の場合、後行管体Pの差口を前記先行管体の受口に引き寄せて接続する際には、第2の吸引流路75Bを封止し(具体的には、第2の吸引管76Bに詰め物等をして塞ぐ)、管底に溜まった土砂や残留安定液を吸引する際には、第1の吸引流路75Aを封止する(具体的には、第1の吸引管76Aに詰め物等をして塞ぐ)ことが好ましい。その他については第1の実施形態の仮蓋60と略同様なため、説明を省略する。
【0020】
なお、図中、71はパッキン材、72はブラケット、67は注水口、68は水抜き孔である。
【0021】
また、図13乃至図16には、仮蓋70に取付け可能な仕切り板90が示されている。仕切り板90は、仕切り板本体90Aと、張出部90Bと、を備えており、張出部90Bには仮蓋70に連結される吸引管76A,76Bを遊貫させる貫通孔90bが形成されている。
【0022】
<後行管体閉塞用仮蓋を用いた管体の沈埋工法>
以下に、第1の実施形態の仮蓋60を用いた沈埋工法について、図17乃至図37に基づき説明する。例えば、図24に示すフローにしたがって管体の沈埋を行うことができる。なお、本実施の形態では、管体は、複数の単位管体を事前に連結一体化しておく一体化連結管体PUを用いているが、この一体化連結管体PUに限らず、単独の管体Pを用いてもよい。
【0023】
まず、図17に示すように、管体Pの沈埋位置および人孔部M,Mの両側に、ガイドウォール1,1を構築する。次いで、図示しないが、ガイドウォール1,1間における始端側人孔部Mから所定距離を、例えば次の人孔部Mまでをバックホーなどにより、ベントナイト泥水などの安定液Bを充填しながら掘削溝Dを掘削するとともに、この掘削溝Dの少なくとも始端がわの人孔部Mに人孔2を沈設する。
【0024】
他方、地上にて、図18および図19に示すように、複数本の単位管体P,P,…に、補強および重力増加を目的として、溝形鋼等の上部支持材3、場合によって付加的にH形鋼等の下部支持材4を当てがい、これをワイヤー5などにより管体Pにも巻き掛けて一体化させる。また、この一体化連結管体PUの上部支持材3上面には、カップラー6を長手方向に間隔をおいて複数固着し、これらカップラー6に位置監視用および吊り支持用のゲビン棒(ネジ鋼棒)7を螺合させておく。
【0025】
かかる段取りが完了した後、例えば、構造体として組み立てた門型クレーン足場8を支持体として、チェーンブロック9Aにより連結管体PUに巻きつけられているワイヤー5を介して連結管体PUを吊り支持し、チェーン9Bによる支持を順次落とし下げ、人孔2の接続すべき位置まで吊り降ろし沈下させる。この沈下完了状態が図19に示されている。 しかる後、図20に示すように、ガイドウォール1,1間に架設された架設部材20と吊り支持用ゲビン棒7とをナット21により連結し、連結管体PUを吊り支持する。
【0026】
次いで、連結管体PUが設計位置(深さ方向位置、および溝幅方向位置)に吊り支持されているか否かを、安定液面から突出するゲビン棒7、および管体の所定部位に対して連結糸を介して繋いだウキF(図示せず)の位置によって確認する。管体の沈設位置がズレている場合には、沈設管体の側方にH形鋼を建込み、これを管体の側面に押し当て溝幅方向に移動させる等して沈設位置を調整する。
【0027】
しかる後、掘削溝D内の安定液B中にセメントミルク等の固化材を注入するとともにエア攪拌を行い、安定液Bの固化を図る。この固化の完了および1〜3日程度の養生期間を待って、人孔2内に作業員が潜入し、図21に示すように固化泥水部分を狸掘して人孔2と管体Pとの間を貫通させ、この貫通路に、人孔2内から接続用の短管P’を挿入し、さらに短管P’の周囲の空隙にモルタルを充填して、止水を図る。
【0028】
ガイドウォール1を構築したのち、ベントナイトなどの安定液を充填しながらパワーショベル等で先ず始端側人孔沈埋部Mのトレンチ掘削が行われる。
【0029】
次いで図25に示すように、第1人孔2に、前述の一体化連結管体PUを接続するための接続管30を取り付け、接続管30と一体化した状態で適宜の吊持部材を介してトラッククレーンなどで吊り上げてトレンチDの基端部に沈埋する。なお本例では、予め、接続管30の先端上部にカプラー6Gを固設し、このカプラー6Gに、後述の仕切り板51およびガイド金具36を案内するガイド棒7Gを螺合している。またこの際、図示のように、接続管30の先端(新規管体接続端)の開口内に、回収用ロープ41が連結された封止部材50を取付け塞いでおくのが好ましい。これにより、後述の閉塞装置の設置が容易となる。
【0030】
第1人孔2を所定の位置に位置決めしたならば、図26に示すように、溝幅方向に沿ってガイドウォール1間に架設された架設部材20と吊り支持用ゲビン棒7とをナット21により連結し、トレンチ内に吊り支持する。吊り支持後、続いて接続管30(に取付けた封止部材50)の先端がわ(受口側)側面に沿わせて掘削溝D内に仕切り板51を立設する。仕切り板51は図27にも示すように固化側(接続管30側)となる面に張出部51Aを有しており、この張出部51Aには上下面に貫通する収容孔51b,51bが設けられ、仕切り板建込みの際にかかる収容孔51b,51b内に、接続管30に取り付けたガイド棒7G,7Gおよび回収用ロープ41がそれぞれ収容され、安定液面上まで延在する仕切り板51の上面からそれぞれ突出するようになっている。
【0031】
仕切り板51を設置したならば、図28にも示すように、仕切り板51よりも人孔2がわの溝D内の安定液B中へ固化材を添加するとともにエア攪拌等によって攪拌し、当該部分の安定液を固化させ固化体Cとする。
【0032】
固化完了に続いて、図22及び図23に示すような管内移動型閉塞装置10を、第1人孔2に取付けた接続管30内に設置する。具体的には、接続管30内に管内移動型閉塞装置10を配した後、第1人孔2内下部に、接続管30の基端開口面に沿うように受け台座52を建込み固定し、続いて、管内移動型閉塞装置10の固定手段14のジャッキ14C,14Cを伸張し、ステー14A,14A先端の当接体14B,14Bを、受け台座52と接続管30の基端とが交わる隅部に押し当て、閉塞装置10を固定する(図22参照)。なお、固化完了後においては、架設部材20を撤去することができる(図示例では撤去せずに残してある)。
【0033】
次に、図29に示すように、この第1人孔2に対して接続される新規管体を沈埋する部分について、安定液を充填しながらトレンチ掘削を行う。掘削後、図30に示すように、ガイド棒7Gを残して仕切り板51を上方に引き抜き撤去し、続いて回収用ロープ41を地上側から引っ張り封止部材50も撤去する。
【0034】
なお、接続管30の設置において、封止部材50と仕切り板51を用いることに換えて、後述する仮蓋60と仕切り板80の組合せを用いてもよい。
【0035】
しかる後、地上部において、複数本の管体P,P…を連結してなる第1の一体化連結管体PU(先行管体)の準備を行う。具体的には図31に示すように、一体化連結管体PUの受口開口(すなわち、第1人孔側接続端と反対側の端部開口)にワイヤー(図示せず)により仮蓋60を取付け、この受口開口を塞ぐ。また、一体化連結管体PUの基端部上部に、リミットスイッチ38およびガイド金具36を一体化したガイド装置39を取付ける。図示例では、ガイド装置39の側部に第1の取付カプラー39aが固設され、この第1の取付カプラー39aと同軸的に第2の取付カプラー39bが上部支持材3上に固設されるとともに、上部が安定液面上に突出する程度の長さを有する撤去ネジ棒34がこれら第1および第2のカプラー39a,39bを順に貫通しそれらに対し螺合しており、これによってガイド装置39が一体化連結管体PUの基端部上部に固定されている。よって、撤去ネジ棒34を適宜ねじ回して第2の取付カプラー39bから取り外し、第1の取付カプラーにのみ螺合した状態とすればガイド装置39と一体化連結管体PUとの連結が解かれ、同状態で撤去ネジ棒34を引き上げればガイド装置39のみを回収することができるようになっている。一方、図示例のガイド金具36は、一体化連結管体PUの長手方向に沿う筒状基部36Aとこの筒状基部36Aに挿し通された前後動可能な軸部36Bとその軸部36B先端に上下方向に沿う姿勢で固設されたガイドパイプ36Cとからなるものである。またリミットスイッチ38には信号ケーブル35aを介して確認灯35が接続されている。
【0036】
かかる準備の上で沈埋を開始する。図32に示すように、門型クレーン足場8を支持体として、チェーンブロック9Aにより連結管体PUに巻きつけられているワイヤー5,5…を介して連結管体PUを吊り支持し、チェーン9Bによる支持を順次落とし下げる。この際、所定の高さ位置まで落とし下げたら、ガイド金具36のガイドパイプ36C内に、予め接続管30上部に立設しておいたガイド棒7Gを挿し通した後、更に落とし下げるようにする。これにより、一体化連結管体PUの基端はガイド棒7Gに案内されながら沈降され、高さの調整が行われ、確実に、第1人孔2の接続管30の受口先端と対向するように間隔をもって配置される。
【0037】
しかる後、図示しない吸引ポンプを作動させて、仮蓋60の管体の受口に対向する面に形成された第1の吸引口及び第2の吸引口から安定液を吸引し、この一体化連結管体PUを接続管30の受口へ向う安定液の流れを発生させる。そして、この流れに乗せて一体化連結管体PUの差口を接続管30の受口に引き寄せ、接続管30の接続メス部30aと一体化連結管体PUの接続オス部Paを嵌合接続する。より詳細には、先ず、接続管30の接続メス部30a内に一体化連結管体PUの接続オス部Paが入り接触し、閉塞装置10の前方と仮蓋60で囲まれた空間が安定液で満たされた閉塞空間となり、続いて更なる吸引によって当該閉塞空間内に負圧が発生し、一体化連結管体PUがより強く引き寄せられ両管体の強固な接続が図られる。接続完了の状態は図33に示されている。
【0038】
なお、このように一体化連結管体PUを安定液B中で移動させながら接続するので、一体化連結管体PUを吊下している小型門型クレーンや門型足場に車輪などが設けてあり、一体化連結管体PUの動きに追従移動できるようになっている。また、一体化連結管体PUを吊下する手段として小型門型クレーンや門型足場に換えて、ラフテレクレーンを用いてもよい。
【0039】
このようにして一体化連結管体PUの接続が完了すると、一体化連結管体PUに取り付けたリミットスイッチ38が固化体Cに接触し、その信号が信号ケーブル35aを介して地上の確認灯35に伝わり接続完了ランプが点灯するので、地上にいながら接続完了状態の確認ができる。
【0040】
接続の確認が取れたならば、図34に示すように、前述のように撤去ネジ棒34を引き上げることでこれに伴わせてリミットスイッチ38を地上に回収する。ガイド棒7Gも不要となるのでカプラー6Gから取り外し、回収する。また第1人孔2の場合と同様に、溝幅方向に沿ってガイドウォール1間に架設された架設部材20と一体化管体PUに連結した吊り支持用ゲビン棒7とをナット21により連結し、一体化連結管体PUをトレンチD内に吊り支持する。
【0041】
さらに接続した第1の一体化連結管体PU(先行管体)の受口に、例えば第2の一体化連結管体PU2(後行管体)を接続するべく、続いて図35に示すように、仕切り板80を吸引管66の案内によって掘削溝D内における第1の一体化連結管体PUの先端面に沿わせて立設し、しかる後、仕切り板80よりも第1人孔2がわの溝内の安定液B中へ固化材を添加するとともにエア攪拌によって攪拌し、当該部分の安定液を固化させる。
【0042】
固化が完了したならば、前述の第1の一体化連結管体PUの場合と基本的には同様に、図36に示すように、この第1人孔2に接続した第1の一体化連結管体PUに対して接続される第2の一体化連結管体(後行管体)を沈埋する部分について、安定液を充填しながらトレンチ掘削を行った後、ワイヤー等により地上から引張ることにより仕切り板80を撤去し、第1の一体化連結管体PUの受口開口に取付けておいた仮蓋60も撤去する。
【0043】
次に、第2の一体化連結管体PU2(後行管体)を準備する。詳細は前述した第1の一体化連結管体PUと同様である。準備完了後、図37に示すように沈埋を開始し、第2の一体化連結管体PU2の基端を、ガイド金具36を介して第1の一体化連結管体PU先端に立設したガイド棒7Gに沿って案内しながら、第1人孔2の接続管30の受口先端と対向するように間隔をもって配置する。
【0044】
しかる後、図示しない吸引ポンプを作動させて、仮蓋60の管体の受口に対向する面に形成された第1の吸引口及び第2の吸引口から安定液を吸引し、この一体化連結管体PUを第1の一体化連結管体PUの受口へ向う安定液の流れを発生させる。そして、この流れに乗せて第2の一体化連結管体PU2(後行管体)の差口を第1の一体化連結管体PUの受口に引き寄せ接続する。
【0045】
以降、第2の一体化連結管体と同様にして第3、第4…の一体化連結管体を接続することができる。
【0046】
これらの接続工程において、接続された管体内に安定液が所定量(例えば、30?)溜まった際には、図示しない吸引ポンプを作動させて、仮蓋60の吸引口(主に第2の吸引口)から管底の安定液やそれに付随する土砂を吸引して取り除く。この作業に前後して、図35に示したように、最先端の後行管体の受口側まで閉塞装置を適宜移動させ、仮蓋60との距離を縮めて圧力損失を抑えるようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の後行管体閉塞用仮蓋の正面図である。
【図2】その背面図である。
【図3】その平面図である。
【図4】その側面図である。
【図5】本発明に係る第2の実施形態の後行管体閉塞用仮蓋の正面図である。
【図6】その背面図である。
【図7】その平面図である。
【図8】その側面図である。
【図9】第1の実施形態の後行管体閉塞用仮蓋用の仕切り板の平面図である。
【図10】その側面図である。
【図11】その背面図である。
【図12】仮蓋と仕切り板を組み合わせた状態を説明する側面図である。
【図13】第2の実施形態の後行管体閉塞用仮蓋用の仕切り板の平面図である。
【図14】その側面図である。
【図15】その背面図である。
【図16】仮蓋と仕切り板を組み合わせた状態を説明する側面図である。
【図17】ガイドウォールの構築ならびに掘削溝の掘削形態を示す、平面図である。
【図18】管体の吊り降ろし工程を示す、縦断面図である。
【図19】管体の吊り降ろし工程を他の方向から示した、縦断面図である。
【図20】固化材の添加・混合工程における吊り支持状態を示す、縦断面図である。
【図21】人孔および管体の接続工程を示す、縦断面図である。
【図22】閉塞装置の一部縦断面図である。
【図23】閉塞装置の背面図である。
【図24】沈埋方法例のフローチャートである。
【図25】人孔敷設工程を示す概略縦断面図である。
【図26】人孔沈埋部における仕切り板設置等工程を示す概略縦断面図である。
【図27】I−I断面図である。
【図28】人孔部固化工程を示す概略縦断面図である。
【図29】第1の一体化連結管体沈埋部の掘削工程を示す概略縦断面図である。
【図30】人孔沈埋部の仕切り板撤去工程ならびに人孔の接続管に取付けた仮蓋撤去工程を示す概略縦断面図である。
【図31】一体化連結管体例を概略的に示す一部縦断面図である。
【図32】第1の一体化連結管体の沈埋工程ならびに吸引接続工程を示す概略縦断面図である。
【図33】第1の一体化連結管体の吸引接続完了後の状態を示す概略縦断面図である。
【図34】ガイド装置の撤去回収工程を示す概略縦断面図である。
【図35】第1の一体化連結管体沈埋部の仕切り板設置工程および固化工程、ならびに閉塞装置移動工程を示す概略縦断面図である。
【図36】第1の一体化連結管体沈埋部の仕切り板撤去工程ならびに第1の一体化連結管体に取付けた仮蓋の撤去工程を示す概略縦断面図である。
【図37】第2の一体化連結管体の沈埋工程ならびに吸引接続工程を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1…ガイドウォール、2…人孔、3…上部支持材、4…下部支持材、8…門型クレーン足場、10…閉塞装置、11…移動閉塞体、12…吸引管、17…排出管、30…接続管、41…回収用ロープ、50…仮蓋、51…仕切り板、P…管体、PU,PU2…一体化連結管体、60…(後行管体閉塞用)仮蓋、61…パッキン材、62…ブラケット、63A,63B…吸引口63、64…排出口、65…吸引流路、66…吸引管、67…注水口、8…水抜き孔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、管体の沈埋工法及びその工法に用いられる後行管体閉塞用仮蓋に関し、詳しくは、安定液の吸引により管体の接続を行う管体の沈埋工法及びその工法に用いられる後行管体閉塞用仮蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
管体を地中に敷設する場合、従来、オープンカット方式、押管方式、シールド方式等の方法が採用されてきたが、地盤条件が悪い場合には、止水、土留めのための補助工法を用いなければならず、工事費が増大するとともに、施工が煩雑になり工期延長の要因となっていた。そこで、近年、泥水固化法が開発され、補助工法(土留め壁、地盤改良等)を省略し得るに到った。この泥水固化方法は、一般に下水管、止水管等の管体を地中に敷設するに際し、ベントナイト泥水等の安定液中に管体を埋設し、泥水の固化を待って管体を固定するものである。
かかる安定液掘削による沈埋工法の概要について説明すると、まず、図17に示すように、管体Pの沈埋位置および人孔部M,Mの両側に、ガイドウォール1,1を構築する。次いで、図示しないが、ガイドウォール1,1間における始端側人孔部Mから所定距離を、例えば次の人孔部Mまでをパワーショベルなどにより、ベントナイト泥水などの安定液Bを充填しながら掘削溝Dを掘削するとともに、この掘削溝Dの少なくとも始端がわの人孔部Mに人孔2を沈設する。
他方、地上にて、図18および図19に示すように、複数本の管体P,P,…に、補強および重力増加を目的として、溝形鋼等の上部支持材3、場合によっては付加的にH形鋼等の下部支持材4を当てがい、これをワイヤー5などにより管体Pにも巻き掛けて一体化させる。また、この一体化連結管体PUの上部支持材3上面には、カップラー6を長手方向に間隔をおいて複数固着し、これらカップラー6に位置監視用および吊り支持用のゲビン棒(ネジ鋼棒)7を螺合させておく。
かかる段取りが完了した後、例えば、構造体として組み立てた門型クレーン足場8を支持体として、チェーンブロック9Aにより連結管体PUに巻きつけられているワイヤー5を介して連結管体PUを吊り支持し、チェーン9Bによる支持を順次落とし下げ、人孔2の接続すべき位置まで吊り降ろし沈下させる。この沈下完了状態が図19に示されている。しかる後、図20に示すように、ガイドウォール1,1間に架設された架設部材20と吊り支持用ゲビン棒7とをナット21により連結し、連結管体PUを吊り支持する。
次いで、連結管体PUが設計位置(深さ方向位置、および溝幅方向位置)に吊り支持されているか否かを、安定液面から突出するゲビン棒7、および管体の所定部位に対して連結糸を介して繋いだウキF(図示せず)の位置によって確認する。管体の沈設位置がズレている場合には、沈設管体の側方にH形鋼を建込み、これを管体の側面に押し当て溝幅方向に移動させる等して沈設位置を調整する。
しかる後、掘削溝D内の安定液B中にセメントミルク等の固化材を注入するとともにエア攪拌を行い、安定液Bの固化を図る。この固化の完了および1〜3日程度の養生期間を待って、人孔2内に作業員が潜入し、図21に示すように固化泥水部分を狸掘して人孔2と管体Pとの間を貫通させ、この貫通路に、人孔2内から接続用の短管P’を挿入し、さらに短管P’の周囲の空隙にモルタルを充填して、止水を図る。
ところで、かかる管体の沈埋工法においては管体の接続作業が困難かつ煩雑である等の問題点があり、これを解決するものとして、特許第3504198号公報において安定液の吸引による安定液流を利用して管体相互の接続を行う技術が提案されている。
【特許文献1】特許3504198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記発明では、先行する連結管体PU(先行管体)の内部に設置した管内移動型閉塞装置に形成された吸引口から先行管体の受口を介して安定液を吸引する構成となっており、一体化連結管体が順次接続されていくうちに、吸引ポンプに接続するホースの長さも長くなり、圧力損失が大きくなり、残留安定液を十分に吸引できなくなる虞があった。また、サンドポンプを延長ホースの途中に取付けることにより、圧力損失を防ぐことも考えられるが、サンドポンプの設置の手間等がかかり効率がよくはない。
さらに、上記発明では、管内移動型閉塞装置と順次接続される管体の受口までの間に安定液に付随する土砂が堆積され、この土砂によって管内移動型閉塞装置の吸引口が詰まってしまい、連結作業に支障が生じる虞があった。
そこで、本発明の主たる課題は、圧力損失を防ぎつつ、効率よく確実に管体を連結する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
請求項1記載の発明は、管体を順次掘削溝内の安定液中に沈埋敷設するとともに、順次管体相互を安定液中で接続する、管体の沈埋工法であって、先行する管体を掘削溝内に敷設するとともに、この管路内の受口側に、受口からの安定液の侵入を防止する閉塞装置を配して当該管体内を閉塞する第1の工程と、後行する管体を、その管路の受口を仮蓋によって閉塞した状態で、前記先行管体の受口に後行管体の差口が対向するように間隔をもって配置する第2の工程と、前記仮蓋における後行管体の受口に対向する面に形成された吸引口から安定液を吸引することによって、この後行管体を先行管体の受口へ向う安定液の流れを発生させ、この流れに乗せて後行管体の差口を前記先行管体の受口に引き寄せて接続する第3の工程と、前記仮蓋を後行管体の差口から取外して回収する第4の工程と、を順次行い、その後、順次接続される管体内に安定液が所定量溜まるまで、後行管体を第2の工程の先行管体として、第2の工程〜第4の工程を順次繰り返し行ない、第3の工程の後で安定液が所定量溜まった際に、前記仮蓋に形成された吸引口から管体内に溜まった安定液とそれに付随する土砂を吸引し、それに前後して最先端に位置する後行管体の受口側まで閉塞装置を移動させ、その後、再び第2の工程〜第4の工程を順次繰り返し行なう、ことを特徴とする管体の沈埋工法である。
【0005】
(作用効果)
順次接続される後行管体の受口に仮蓋を取付け、この仮蓋の吸引口から安定液を吸引することにより、吸引ポンプに接続するホース長を短くすることができ、圧力損失を防ぎ、効率よく確実に管体を連結することができる。
また、仮蓋は、順次後行管体に取付けられるので、仮蓋の手前の管体内の部分には、土砂の堆積が少なく、吸引口が土砂により詰まる虞が少ない。
【0006】
<請求項2記載の発明>
請求項2記載の発明は、管体を順次掘削溝内の安定液中に沈埋敷設するとともに、順次管体相互を安定液中で接続するに当り、先行する管体を掘削溝内に敷設し、この管路内の受口側に、受口からの安定液の侵入を防止する閉塞装置を配して当該管体内を閉塞した状態で、後行する管体を沈設し、この後行管体の差口から安定液を吸引することによって、この後行管体を先行管体の受口へ向う安定液の流れを発生させ、この流れに乗せて後行管体の差口を前記先行管体の受口に引き寄せて接続する管体の沈埋工法に用いられる後行管体閉塞用仮蓋であって、該仮蓋は、後行管体の受口に対して着脱自在で、かつ閉塞可能に構成され、該仮蓋は、後行管体の受口に対向する面に形成された、安定液を吸引する吸引口と、該吸引口と排出口とを連通する吸引流路と、を備え、前記排出口に接続された吸引管を介して吸引ポンプにより安定液を吸引する構成とした、後行管体閉塞用仮蓋である。
【0007】
<請求項3記載の発明>
請求項3記載の発明は、前記吸引口は、管体の受口に対向する面における受口開口の略中心部分に形成された第1の吸引口と、この第1の吸引口の下方に形成された第2の吸引口と、から構成され、前記吸引流路は、第1の吸引口及び第2の吸引口の両吸引口と排出口とを連通するように構成された、請求項2記載の後行管体閉塞用仮蓋である。
【0008】
<請求項4記載の発明>
請求項4記載の発明は、前記吸引口は、管体の受口に対向する面における受口開口の略中心部分に形成された第1の吸引口と、この第1の吸引口の下方に形成された第2の吸引口と、から構成され、前記吸引流路は、第1の吸引口と第1の排出口を連通する第1の吸引流路と、第2の吸引口と第2の排出口を連通する第2の吸引流路と、から構成された、請求項2記載の後行管体閉塞用仮蓋である。
【0009】
(作用効果)
仮蓋は、後行管体の受口を着脱自在に閉塞可能に構成され、該仮蓋は、後行管体の受口に対向する面に形成された、安定液を吸引する吸引口と、該吸引口と排出口とを連通する吸引流路と、を備え、前記排出口に接続された吸引管を介して吸引ポンプにより安定液を吸引する構成とすることにより、吸引ポンプによって吸引することにより、後行管体を先行管体の受口へ向う安定液の流れを発生させ、この流れに乗せて後行管体の差口を前記先行管体の受口に引き寄せて接続することができる。
仮蓋の第2の実施形態として、吸引口は、管体の受口に対向する面における受口開口の略中心部分に形成された第1の吸引口と、この第1の吸引口の下方に形成された第2の吸引口と、から構成し、前記吸引流路は、第1の吸引口及び第2の吸引口の両吸引口と排出口とを連通するように構成してもよい。
また、仮蓋の第2の実施形態として、吸引口は、管体の受口に対向する面における受口開口の略中心部分に形成された第1の吸引口と、この第1の吸引口の下方に形成された第2の吸引口と、から構成し、前記吸引流路は、第1の吸引口と第1の排出口を連通する第1の吸引流路と、第2の吸引口と第2の排出口を連通する第2の吸引流路と、から構成してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、圧力損失を防ぎつつ、効率よく確実に管体を連結することができる等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
<後行管体閉塞用仮蓋の構成>
本発明で用いられる管体Pの両端部の開口は、受口と差口となっており、ある管体1P受口に他の管体Pの差口を嵌合させ接続させることにより、所望の長さに管を延長させることができるようになっている。なお、管体は、単独のものだけでなく、複数の単位管体を事前に連結一体化しておく一体化連結管体PUとしてもよい。
【0012】
以下に、第1の実施形態に係る後行管体閉塞用仮蓋の説明を図1乃至図4に基づきする。
仮蓋60は、後行する管体Pの受口を塞ぐものであり、後行管体Pの受口を着脱自在に閉塞可能に構成され、受口端部と当接する部分には、円環状のパッキン材61が取付けられている。なお、仮蓋60には、ワイヤー(図示せず)を留めるための孔が形成されたブラケット62,62,…が複数取付けられており、ワイヤーによって管体Pの受口端部に仮蓋60自体を取付けることができるようになっている。
【0013】
仮蓋60は、管体Pの受口に対向する面に形成され、安定液を吸引する吸引口63A,63Bと、当該吸引口63A,63Bと排出口64とを連通する吸引流路65と、を備えている。
【0014】
吸引口は、管体Pの受口に対向する面における受口開口の略中心部分に第1の吸引口63Aが形成されており、その下方には主に管底に溜まった土砂や残留安定液等を吸引する第2の吸引口63Bが形成されている。第1の吸引口63Aだけでなく第2の吸引口63Bも形成し、かつ仮蓋60の上下に位置をずらして配置することにより、例えば、下部の第2の吸引口63Bが土砂により閉塞したときに、その上方にある第1の吸引口63Aは閉塞することなく、安定して残留安定液等を吸引することができ、連結作業を中断させる虞がない。
【0015】
第1の実施形態の吸引流路65は、第1の吸引口63A及び第2の吸引口63Bと仮蓋60の上端部に形成された排出口64と連通し、第1の吸引口63A及び第2の吸引口63Bの経路を兼用するかたちとなっている。排出口64には、雌ネジが螺刻されており、複数本が連結されて構成される吸引管66,66,…が羅着により着脱自在に取付けられるようになっている。そして、この吸引管66,66,…に接続される吸引ポンプ(図示せず)により安定液、土砂や残留安定液が吸引され排出されるようになっている。なお、排出口64は、吸引口63A,63Bと同一面に形成さえしなければ、仮蓋60の他の面に形成してもよい。
【0016】
仮蓋60の上端部には、注水口67が形成されており、仮蓋60内に水等を注水することができるようになっている。注水することにより、浮力に抵抗する錘の役目を果たすようになる。また、仮蓋60の下部には、注水口67から注入された水を抜くための水抜き孔68が形成されている。
【0017】
また、図9乃至図12には、仮蓋60に取付け可能な仕切り板80が示されている。仕切り板80は、バックホー(図示せず)のバケットにより管体Pや仮蓋60が損傷することを防止すると共に、ある程度自硬性泥水の区画をする役割をもっている。仕切り板80は、仕切り板本体80Aと、張出部80Bと、を備えており、張出部80Bには仮蓋60に連結される吸引管66を遊貫させる貫通孔80bが形成されている。
【0018】
第2の実施形態の仮蓋70は、図5乃至図8に示すように、第1の吸引口73Aと第2の吸引口73Bの吸引流路を兼用することなく、それぞれ独立した吸引流路75A,75Bを設けている。第1の吸引流路75Aは、第1の吸引口73Aと第1の排出口74Aとを連通しており、第2の吸引流路75Bは、第2の吸引口73Bと第2の排出口74Bとを連通している。第1の排出口74Aと第2の排出口74Bには、それぞれ第1の吸引管76A,76A,…、第2の吸引管76B,76B,…が螺着により着脱自在に取付けられるようになっている。
【0019】
この形態の場合、後行管体Pの差口を前記先行管体の受口に引き寄せて接続する際には、第2の吸引流路75Bを封止し(具体的には、第2の吸引管76Bに詰め物等をして塞ぐ)、管底に溜まった土砂や残留安定液を吸引する際には、第1の吸引流路75Aを封止する(具体的には、第1の吸引管76Aに詰め物等をして塞ぐ)ことが好ましい。その他については第1の実施形態の仮蓋60と略同様なため、説明を省略する。
【0020】
なお、図中、71はパッキン材、72はブラケット、67は注水口、68は水抜き孔である。
【0021】
また、図13乃至図16には、仮蓋70に取付け可能な仕切り板90が示されている。仕切り板90は、仕切り板本体90Aと、張出部90Bと、を備えており、張出部90Bには仮蓋70に連結される吸引管76A,76Bを遊貫させる貫通孔90bが形成されている。
【0022】
<後行管体閉塞用仮蓋を用いた管体の沈埋工法>
以下に、第1の実施形態の仮蓋60を用いた沈埋工法について、図17乃至図37に基づき説明する。例えば、図24に示すフローにしたがって管体の沈埋を行うことができる。なお、本実施の形態では、管体は、複数の単位管体を事前に連結一体化しておく一体化連結管体PUを用いているが、この一体化連結管体PUに限らず、単独の管体Pを用いてもよい。
【0023】
まず、図17に示すように、管体Pの沈埋位置および人孔部M,Mの両側に、ガイドウォール1,1を構築する。次いで、図示しないが、ガイドウォール1,1間における始端側人孔部Mから所定距離を、例えば次の人孔部Mまでをバックホーなどにより、ベントナイト泥水などの安定液Bを充填しながら掘削溝Dを掘削するとともに、この掘削溝Dの少なくとも始端がわの人孔部Mに人孔2を沈設する。
【0024】
他方、地上にて、図18および図19に示すように、複数本の単位管体P,P,…に、補強および重力増加を目的として、溝形鋼等の上部支持材3、場合によって付加的にH形鋼等の下部支持材4を当てがい、これをワイヤー5などにより管体Pにも巻き掛けて一体化させる。また、この一体化連結管体PUの上部支持材3上面には、カップラー6を長手方向に間隔をおいて複数固着し、これらカップラー6に位置監視用および吊り支持用のゲビン棒(ネジ鋼棒)7を螺合させておく。
【0025】
かかる段取りが完了した後、例えば、構造体として組み立てた門型クレーン足場8を支持体として、チェーンブロック9Aにより連結管体PUに巻きつけられているワイヤー5を介して連結管体PUを吊り支持し、チェーン9Bによる支持を順次落とし下げ、人孔2の接続すべき位置まで吊り降ろし沈下させる。この沈下完了状態が図19に示されている。 しかる後、図20に示すように、ガイドウォール1,1間に架設された架設部材20と吊り支持用ゲビン棒7とをナット21により連結し、連結管体PUを吊り支持する。
【0026】
次いで、連結管体PUが設計位置(深さ方向位置、および溝幅方向位置)に吊り支持されているか否かを、安定液面から突出するゲビン棒7、および管体の所定部位に対して連結糸を介して繋いだウキF(図示せず)の位置によって確認する。管体の沈設位置がズレている場合には、沈設管体の側方にH形鋼を建込み、これを管体の側面に押し当て溝幅方向に移動させる等して沈設位置を調整する。
【0027】
しかる後、掘削溝D内の安定液B中にセメントミルク等の固化材を注入するとともにエア攪拌を行い、安定液Bの固化を図る。この固化の完了および1〜3日程度の養生期間を待って、人孔2内に作業員が潜入し、図21に示すように固化泥水部分を狸掘して人孔2と管体Pとの間を貫通させ、この貫通路に、人孔2内から接続用の短管P’を挿入し、さらに短管P’の周囲の空隙にモルタルを充填して、止水を図る。
【0028】
ガイドウォール1を構築したのち、ベントナイトなどの安定液を充填しながらパワーショベル等で先ず始端側人孔沈埋部Mのトレンチ掘削が行われる。
【0029】
次いで図25に示すように、第1人孔2に、前述の一体化連結管体PUを接続するための接続管30を取り付け、接続管30と一体化した状態で適宜の吊持部材を介してトラッククレーンなどで吊り上げてトレンチDの基端部に沈埋する。なお本例では、予め、接続管30の先端上部にカプラー6Gを固設し、このカプラー6Gに、後述の仕切り板51およびガイド金具36を案内するガイド棒7Gを螺合している。またこの際、図示のように、接続管30の先端(新規管体接続端)の開口内に、回収用ロープ41が連結された封止部材50を取付け塞いでおくのが好ましい。これにより、後述の閉塞装置の設置が容易となる。
【0030】
第1人孔2を所定の位置に位置決めしたならば、図26に示すように、溝幅方向に沿ってガイドウォール1間に架設された架設部材20と吊り支持用ゲビン棒7とをナット21により連結し、トレンチ内に吊り支持する。吊り支持後、続いて接続管30(に取付けた封止部材50)の先端がわ(受口側)側面に沿わせて掘削溝D内に仕切り板51を立設する。仕切り板51は図27にも示すように固化側(接続管30側)となる面に張出部51Aを有しており、この張出部51Aには上下面に貫通する収容孔51b,51bが設けられ、仕切り板建込みの際にかかる収容孔51b,51b内に、接続管30に取り付けたガイド棒7G,7Gおよび回収用ロープ41がそれぞれ収容され、安定液面上まで延在する仕切り板51の上面からそれぞれ突出するようになっている。
【0031】
仕切り板51を設置したならば、図28にも示すように、仕切り板51よりも人孔2がわの溝D内の安定液B中へ固化材を添加するとともにエア攪拌等によって攪拌し、当該部分の安定液を固化させ固化体Cとする。
【0032】
固化完了に続いて、図22及び図23に示すような管内移動型閉塞装置10を、第1人孔2に取付けた接続管30内に設置する。具体的には、接続管30内に管内移動型閉塞装置10を配した後、第1人孔2内下部に、接続管30の基端開口面に沿うように受け台座52を建込み固定し、続いて、管内移動型閉塞装置10の固定手段14のジャッキ14C,14Cを伸張し、ステー14A,14A先端の当接体14B,14Bを、受け台座52と接続管30の基端とが交わる隅部に押し当て、閉塞装置10を固定する(図22参照)。なお、固化完了後においては、架設部材20を撤去することができる(図示例では撤去せずに残してある)。
【0033】
次に、図29に示すように、この第1人孔2に対して接続される新規管体を沈埋する部分について、安定液を充填しながらトレンチ掘削を行う。掘削後、図30に示すように、ガイド棒7Gを残して仕切り板51を上方に引き抜き撤去し、続いて回収用ロープ41を地上側から引っ張り封止部材50も撤去する。
【0034】
なお、接続管30の設置において、封止部材50と仕切り板51を用いることに換えて、後述する仮蓋60と仕切り板80の組合せを用いてもよい。
【0035】
しかる後、地上部において、複数本の管体P,P…を連結してなる第1の一体化連結管体PU(先行管体)の準備を行う。具体的には図31に示すように、一体化連結管体PUの受口開口(すなわち、第1人孔側接続端と反対側の端部開口)にワイヤー(図示せず)により仮蓋60を取付け、この受口開口を塞ぐ。また、一体化連結管体PUの基端部上部に、リミットスイッチ38およびガイド金具36を一体化したガイド装置39を取付ける。図示例では、ガイド装置39の側部に第1の取付カプラー39aが固設され、この第1の取付カプラー39aと同軸的に第2の取付カプラー39bが上部支持材3上に固設されるとともに、上部が安定液面上に突出する程度の長さを有する撤去ネジ棒34がこれら第1および第2のカプラー39a,39bを順に貫通しそれらに対し螺合しており、これによってガイド装置39が一体化連結管体PUの基端部上部に固定されている。よって、撤去ネジ棒34を適宜ねじ回して第2の取付カプラー39bから取り外し、第1の取付カプラーにのみ螺合した状態とすればガイド装置39と一体化連結管体PUとの連結が解かれ、同状態で撤去ネジ棒34を引き上げればガイド装置39のみを回収することができるようになっている。一方、図示例のガイド金具36は、一体化連結管体PUの長手方向に沿う筒状基部36Aとこの筒状基部36Aに挿し通された前後動可能な軸部36Bとその軸部36B先端に上下方向に沿う姿勢で固設されたガイドパイプ36Cとからなるものである。またリミットスイッチ38には信号ケーブル35aを介して確認灯35が接続されている。
【0036】
かかる準備の上で沈埋を開始する。図32に示すように、門型クレーン足場8を支持体として、チェーンブロック9Aにより連結管体PUに巻きつけられているワイヤー5,5…を介して連結管体PUを吊り支持し、チェーン9Bによる支持を順次落とし下げる。この際、所定の高さ位置まで落とし下げたら、ガイド金具36のガイドパイプ36C内に、予め接続管30上部に立設しておいたガイド棒7Gを挿し通した後、更に落とし下げるようにする。これにより、一体化連結管体PUの基端はガイド棒7Gに案内されながら沈降され、高さの調整が行われ、確実に、第1人孔2の接続管30の受口先端と対向するように間隔をもって配置される。
【0037】
しかる後、図示しない吸引ポンプを作動させて、仮蓋60の管体の受口に対向する面に形成された第1の吸引口及び第2の吸引口から安定液を吸引し、この一体化連結管体PUを接続管30の受口へ向う安定液の流れを発生させる。そして、この流れに乗せて一体化連結管体PUの差口を接続管30の受口に引き寄せ、接続管30の接続メス部30aと一体化連結管体PUの接続オス部Paを嵌合接続する。より詳細には、先ず、接続管30の接続メス部30a内に一体化連結管体PUの接続オス部Paが入り接触し、閉塞装置10の前方と仮蓋60で囲まれた空間が安定液で満たされた閉塞空間となり、続いて更なる吸引によって当該閉塞空間内に負圧が発生し、一体化連結管体PUがより強く引き寄せられ両管体の強固な接続が図られる。接続完了の状態は図33に示されている。
【0038】
なお、このように一体化連結管体PUを安定液B中で移動させながら接続するので、一体化連結管体PUを吊下している小型門型クレーンや門型足場に車輪などが設けてあり、一体化連結管体PUの動きに追従移動できるようになっている。また、一体化連結管体PUを吊下する手段として小型門型クレーンや門型足場に換えて、ラフテレクレーンを用いてもよい。
【0039】
このようにして一体化連結管体PUの接続が完了すると、一体化連結管体PUに取り付けたリミットスイッチ38が固化体Cに接触し、その信号が信号ケーブル35aを介して地上の確認灯35に伝わり接続完了ランプが点灯するので、地上にいながら接続完了状態の確認ができる。
【0040】
接続の確認が取れたならば、図34に示すように、前述のように撤去ネジ棒34を引き上げることでこれに伴わせてリミットスイッチ38を地上に回収する。ガイド棒7Gも不要となるのでカプラー6Gから取り外し、回収する。また第1人孔2の場合と同様に、溝幅方向に沿ってガイドウォール1間に架設された架設部材20と一体化管体PUに連結した吊り支持用ゲビン棒7とをナット21により連結し、一体化連結管体PUをトレンチD内に吊り支持する。
【0041】
さらに接続した第1の一体化連結管体PU(先行管体)の受口に、例えば第2の一体化連結管体PU2(後行管体)を接続するべく、続いて図35に示すように、仕切り板80を吸引管66の案内によって掘削溝D内における第1の一体化連結管体PUの先端面に沿わせて立設し、しかる後、仕切り板80よりも第1人孔2がわの溝内の安定液B中へ固化材を添加するとともにエア攪拌によって攪拌し、当該部分の安定液を固化させる。
【0042】
固化が完了したならば、前述の第1の一体化連結管体PUの場合と基本的には同様に、図36に示すように、この第1人孔2に接続した第1の一体化連結管体PUに対して接続される第2の一体化連結管体(後行管体)を沈埋する部分について、安定液を充填しながらトレンチ掘削を行った後、ワイヤー等により地上から引張ることにより仕切り板80を撤去し、第1の一体化連結管体PUの受口開口に取付けておいた仮蓋60も撤去する。
【0043】
次に、第2の一体化連結管体PU2(後行管体)を準備する。詳細は前述した第1の一体化連結管体PUと同様である。準備完了後、図37に示すように沈埋を開始し、第2の一体化連結管体PU2の基端を、ガイド金具36を介して第1の一体化連結管体PU先端に立設したガイド棒7Gに沿って案内しながら、第1人孔2の接続管30の受口先端と対向するように間隔をもって配置する。
【0044】
しかる後、図示しない吸引ポンプを作動させて、仮蓋60の管体の受口に対向する面に形成された第1の吸引口及び第2の吸引口から安定液を吸引し、この一体化連結管体PUを第1の一体化連結管体PUの受口へ向う安定液の流れを発生させる。そして、この流れに乗せて第2の一体化連結管体PU2(後行管体)の差口を第1の一体化連結管体PUの受口に引き寄せ接続する。
【0045】
以降、第2の一体化連結管体と同様にして第3、第4…の一体化連結管体を接続することができる。
【0046】
これらの接続工程において、接続された管体内に安定液が所定量(例えば、30?)溜まった際には、図示しない吸引ポンプを作動させて、仮蓋60の吸引口(主に第2の吸引口)から管底の安定液やそれに付随する土砂を吸引して取り除く。この作業に前後して、図35に示したように、最先端の後行管体の受口側まで閉塞装置を適宜移動させ、仮蓋60との距離を縮めて圧力損失を抑えるようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の後行管体閉塞用仮蓋の正面図である。
【図2】その背面図である。
【図3】その平面図である。
【図4】その側面図である。
【図5】本発明に係る第2の実施形態の後行管体閉塞用仮蓋の正面図である。
【図6】その背面図である。
【図7】その平面図である。
【図8】その側面図である。
【図9】第1の実施形態の後行管体閉塞用仮蓋用の仕切り板の平面図である。
【図10】その側面図である。
【図11】その背面図である。
【図12】仮蓋と仕切り板を組み合わせた状態を説明する側面図である。
【図13】第2の実施形態の後行管体閉塞用仮蓋用の仕切り板の平面図である。
【図14】その側面図である。
【図15】その背面図である。
【図16】仮蓋と仕切り板を組み合わせた状態を説明する側面図である。
【図17】ガイドウォールの構築ならびに掘削溝の掘削形態を示す、平面図である。
【図18】管体の吊り降ろし工程を示す、縦断面図である。
【図19】管体の吊り降ろし工程を他の方向から示した、縦断面図である。
【図20】固化材の添加・混合工程における吊り支持状態を示す、縦断面図である。
【図21】人孔および管体の接続工程を示す、縦断面図である。
【図22】閉塞装置の一部縦断面図である。
【図23】閉塞装置の背面図である。
【図24】沈埋方法例のフローチャートである。
【図25】人孔敷設工程を示す概略縦断面図である。
【図26】人孔沈埋部における仕切り板設置等工程を示す概略縦断面図である。
【図27】I−I断面図である。
【図28】人孔部固化工程を示す概略縦断面図である。
【図29】第1の一体化連結管体沈埋部の掘削工程を示す概略縦断面図である。
【図30】人孔沈埋部の仕切り板撤去工程ならびに人孔の接続管に取付けた仮蓋撤去工程を示す概略縦断面図である。
【図31】一体化連結管体例を概略的に示す一部縦断面図である。
【図32】第1の一体化連結管体の沈埋工程ならびに吸引接続工程を示す概略縦断面図である。
【図33】第1の一体化連結管体の吸引接続完了後の状態を示す概略縦断面図である。
【図34】ガイド装置の撤去回収工程を示す概略縦断面図である。
【図35】第1の一体化連結管体沈埋部の仕切り板設置工程および固化工程、ならびに閉塞装置移動工程を示す概略縦断面図である。
【図36】第1の一体化連結管体沈埋部の仕切り板撤去工程ならびに第1の一体化連結管体に取付けた仮蓋の撤去工程を示す概略縦断面図である。
【図37】第2の一体化連結管体の沈埋工程ならびに吸引接続工程を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1…ガイドウォール、2…人孔、3…上部支持材、4…下部支持材、8…門型クレーン足場、10…閉塞装置、11…移動閉塞体、12…吸引管、17…排出管、30…接続管、41…回収用ロープ、50…仮蓋、51…仕切り板、P…管体、PU,PU2…一体化連結管体、60…(後行管体閉塞用)仮蓋、61…パッキン材、62…ブラケット、63A,63B…吸引口63、64…排出口、65…吸引流路、66…吸引管、67…注水口、8…水抜き孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体を順次掘削溝内の安定液中に沈埋敷設するとともに、順次管体相互を安定液中で接続する、管体の沈埋工法であって、
先行する管体を掘削溝内に敷設するとともに、この管路内の受口側に、受口からの安定液の侵入を防止する閉塞装置を配して当該管体内を閉塞する第1の工程と、
後行する管体を、その管路の受口を仮蓋によって閉塞した状態で、前記先行管体の受口に後行管体の差口が対向するように間隔をもって配置する第2の工程と、
前記仮蓋における後行管体の受口に対向する面に形成された吸引口から安定液を吸引することによって、この後行管体を先行管体の受口へ向う安定液の流れを発生させ、この流れに乗せて後行管体の差口を前記先行管体の受口に引き寄せて接続する第3の工程と、
前記仮蓋を後行管体の差口から取外して回収する第4の工程と、を順次行い、
その後、順次接続される管体内に安定液が所定量溜まるまで、後行管体を第2の工程の先行管体として、第2の工程〜第4の工程を順次繰り返し行ない、
第3の工程の後で安定液が所定量溜まった際に、前記仮蓋に形成された吸引口から管体内に溜まった安定液とそれに付随する土砂を吸引し、それに前後して最先端に位置する後行管体の受口側まで閉塞装置を移動させ、その後、再び第2の工程〜第4の工程を順次繰り返し行なう、
ことを特徴とする管体の沈埋工法。
【請求項2】
管体を順次掘削溝内の安定液中に沈埋敷設するとともに、順次管体相互を安定液中で接続するに当り、
先行する管体を掘削溝内に敷設し、この管路内の受口側に、受口からの安定液の侵入を防止する閉塞装置を配して当該管体内を閉塞した状態で、後行する管体を沈設し、この後行管体の差口から安定液を吸引することによって、この後行管体を先行管体の受口へ向う安定液の流れを発生させ、この流れに乗せて後行管体の差口を前記先行管体の受口に引き寄せて接続する管体の沈埋工法に用いられる後行管体閉塞用仮蓋であって、
該仮蓋は、後行管体の受口に対して着脱自在で、かつ閉塞可能に構成され、
該仮蓋は、後行管体の受口に対向する面に形成された、安定液を吸引する吸引口と、該吸引口と排出口とを連通する吸引流路と、を備え、
前記排出口に接続された吸引管を介して吸引ポンプにより安定液を吸引する構成とした、後行管体閉塞用仮蓋。
【請求項3】
前記吸引口は、管体の受口に対向する面における受口開口の略中心部分に形成された第1の吸引口と、この第1の吸引口の下方に形成された第2の吸引口と、から構成され、
前記吸引流路は、第1の吸引口及び第2の吸引口の両吸引口と排出口とを連通するように構成された、請求項2記載の後行管体閉塞用仮蓋。
【請求項4】
前記吸引口は、管体の受口に対向する面における受口開口の略中心部分に形成された第1の吸引口と、この第1の吸引口の下方に形成された第2の吸引口と、から構成され、
前記吸引流路は、第1の吸引口と第1の排出口を連通する第1の吸引流路と、第2の吸引口と第2の排出口を連通する第2の吸引流路と、から構成された、請求項2記載の後行管体閉塞用仮蓋。
【請求項1】
管体を順次掘削溝内の安定液中に沈埋敷設するとともに、順次管体相互を安定液中で接続する、管体の沈埋工法であって、
先行する管体を掘削溝内に敷設するとともに、この管路内の受口側に、受口からの安定液の侵入を防止する閉塞装置を配して当該管体内を閉塞する第1の工程と、
後行する管体を、その管路の受口を仮蓋によって閉塞した状態で、前記先行管体の受口に後行管体の差口が対向するように間隔をもって配置する第2の工程と、
前記仮蓋における後行管体の受口に対向する面に形成された吸引口から安定液を吸引することによって、この後行管体を先行管体の受口へ向う安定液の流れを発生させ、この流れに乗せて後行管体の差口を前記先行管体の受口に引き寄せて接続する第3の工程と、
前記仮蓋を後行管体の差口から取外して回収する第4の工程と、を順次行い、
その後、順次接続される管体内に安定液が所定量溜まるまで、後行管体を第2の工程の先行管体として、第2の工程〜第4の工程を順次繰り返し行ない、
第3の工程の後で安定液が所定量溜まった際に、前記仮蓋に形成された吸引口から管体内に溜まった安定液とそれに付随する土砂を吸引し、それに前後して最先端に位置する後行管体の受口側まで閉塞装置を移動させ、その後、再び第2の工程〜第4の工程を順次繰り返し行なう、
ことを特徴とする管体の沈埋工法。
【請求項2】
管体を順次掘削溝内の安定液中に沈埋敷設するとともに、順次管体相互を安定液中で接続するに当り、
先行する管体を掘削溝内に敷設し、この管路内の受口側に、受口からの安定液の侵入を防止する閉塞装置を配して当該管体内を閉塞した状態で、後行する管体を沈設し、この後行管体の差口から安定液を吸引することによって、この後行管体を先行管体の受口へ向う安定液の流れを発生させ、この流れに乗せて後行管体の差口を前記先行管体の受口に引き寄せて接続する管体の沈埋工法に用いられる後行管体閉塞用仮蓋であって、
該仮蓋は、後行管体の受口に対して着脱自在で、かつ閉塞可能に構成され、
該仮蓋は、後行管体の受口に対向する面に形成された、安定液を吸引する吸引口と、該吸引口と排出口とを連通する吸引流路と、を備え、
前記排出口に接続された吸引管を介して吸引ポンプにより安定液を吸引する構成とした、後行管体閉塞用仮蓋。
【請求項3】
前記吸引口は、管体の受口に対向する面における受口開口の略中心部分に形成された第1の吸引口と、この第1の吸引口の下方に形成された第2の吸引口と、から構成され、
前記吸引流路は、第1の吸引口及び第2の吸引口の両吸引口と排出口とを連通するように構成された、請求項2記載の後行管体閉塞用仮蓋。
【請求項4】
前記吸引口は、管体の受口に対向する面における受口開口の略中心部分に形成された第1の吸引口と、この第1の吸引口の下方に形成された第2の吸引口と、から構成され、
前記吸引流路は、第1の吸引口と第1の排出口を連通する第1の吸引流路と、第2の吸引口と第2の排出口を連通する第2の吸引流路と、から構成された、請求項2記載の後行管体閉塞用仮蓋。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【公開番号】特開2008−115602(P2008−115602A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299576(P2006−299576)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000115463)ライト工業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000115463)ライト工業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】
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