説明

管理ラベル発行方法

【課題】 従来、チェーン店ごとの食品店舗や、同一事業者の複数の食品工場で、食品管理ラベルの発注や、レイアウトおよび印字データの更新がスムーズに行われていないという課題があった。
【解決手段】 本発明は、管理側コンピュータ2がエンコード手段6を備え、エンコード手段6が、入力手段3により入力され、作成された食品管理ラベル10と、その記載内容に関する情報を持たせた二次元コード21を作成して、コード管理台帳22を作成する工程と、上記コード管理台帳22を複製して電子メール、ファクシミリ、ホームページ、郵送、親書便など公知慣用手段により各製造部11に配布する工程と、各製造部11でラベル印刷手段12によりコード管理台帳22の二次元コード21を読み込み、デコード手段17によりデコードしてレイアウト情報および可読文字情報に変換し、食品管理ラベル10を印刷する工程とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばファーストフードチェーン店のような複数の食品店舗または食品工場を管理する食品安全管理システムに用いて好適な管理ラベル発行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、食品店舗や食品工場で扱う個々の食品あるいは食材は、管理者により定められた食品管理規則によって管理されている。
【0003】
例えば、冷蔵庫からソースを出して常温で使用する場合、冷蔵庫から出して以後使用出来る期間(セカンダリーシェルフライフ)を表示するラベルやシールを貼り、この期間を過ぎた食材は廃棄する、という具合である。
【0004】
もし、上記ソースのセカンダリーシェルフライフが2日間なら、ソースの容器に「2日」を意味する管理ラベルを貼る。
【0005】
ここで、上記管理ラベルは必ずしも日数や時刻表示でなく、「営業日」管理でもよい。営業日管理の場合、先の例で月曜日にソースを冷蔵庫から出したならば、月曜日と火曜日は使用できるので、解凍時に火曜日を表す曜日シールを貼る。
【0006】
上記の例は食品・食材によって冷蔵庫保管するものや、一部調味料などのように継ぎ足し使用可能なものもあり、各食材・食品ごとに細かく使用期限が管理されている。
【0007】
上記食品管理ラベルは、従来は未記入のラベルに手書きで書き込んだり、ラベル業者に発注して印刷したラベルや曜日シールを購入して使用していた。この場合、ラベルやシールの在庫管理が煩雑となり購入のコストも高くなる。
【0008】
一方で、ユーザーがラベルプリンタを用いて食品管理ラベルをセルフ印刷することも行われている。
ここで使用するラベルプリンタ(一例を図2に示す)は、入力手段13から直接入力されたレイアウト情報、又はパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)等で作成された後、メモリカード等を介して入力されたレイアウト情報、および印刷する文字情報等をラベルに印刷するものである。
【0009】
ラベル用のロール紙は、帯状の剥離紙に、一定のピッチで所定の大きさのシール状のラベルが連続して仮止めされているものであり、ロール状に巻かれた状態でラベルプリンタ本体に装着される。
【0010】
上述したようにラベルプリンタには印字情報を保存する記憶手段としてのメモリ部が備えられ、印字情報を含んだレイアウト情報(定型版)を読み出し、使用者が生産し、製造し、加工する品目に適した表示項目と表示内容に変更した上で、それぞれ品目に関連させて保存されている。
【0011】
また、実際に印字するときには、保存された品目レイアウト(レイアウト情報)を読み出し、期限項目の欄に印字される期限を修正した上で、所定枚数のラベルを印字している。
【0012】
この種のラベルプリンタに関連して、特許文献1には、管理サーバから配信されたユーザ毎の商品マスタに基づいて印字を行うシステムが開示されている。
特許文献2には、通信回線を介して接続された中央装置から印字情報を受信することで、売値の更新操作を効率よく行えるようにしたものが開示されている。
特許文献3は商品の売値情報などを記憶したファイルを、通信回線を介してアクセスできるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−351775号公報
【特許文献2】特開平7−205950号公報
【特許文献3】特開平11−232067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、多数の店舗や工場を有する事業者では、全ての店舗や工場で製品・サービスを均一に揃える必要から、情報ネットワークの設備投資に莫大な費用がかかり、導入が困難であるという問題がある。
【0015】
本発明は上記従来技術の問題に鑑みなされたもので、製造部門である複数の店舗や工場ごとにラベルプリンタを用いて管理ラベルを印刷発行でき、ラベルレイアウトや印刷する文字情報の追加や更新をスムーズに行うことのできる管理ラベル発行方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、管理側コンピュータがエンコード手段を備え、入力手段により入力および作成された管理ラベルの印字データ(ラベルの記載内容に関する可読文字情報、および/またはラベルレイアウト情報)を持たせた二次元コードを作成して、コード管理台帳を作成する工程と、前記コード管理台帳を複製して電子メール、ファクシミリ、ホームページ、郵送,親書便など周知慣用の手段により各製造部に配布する工程と、各製造部側でラベル印刷手段によりコード管理台帳の二次元コードを読み込み、デコード手段によりデコードして(ラベルの記載内容たる可読文字情報、および/またはラベルレイアウト情報に変換して)、管理ラベルとして印刷する工程とからなる管理ラベル発行方法が提供される。
【0017】
ここで、前記コード管理台帳は、印刷される管理ラベルの名称、略称、記号、可読文字などの可視情報が参照可能なラベル管理台帳を備え、コード管理台帳の二次元コードとラベル管理台帳の可視情報とが対になって対応する位置に記載される照合表を構成するのが望ましい。
【0018】
また、前記ラベル印刷手段は計時手段を備え、前記二次元コードには管理期限データを含み、管理ラベルを印刷するときに、前記計時手段より取得したタイムスタンプ情報に、前記二次元コードからデコードした管理期限データの値を加算して管理情報を印刷することもできる。
【0019】
上記手段によれば、各製造部で印刷データをラベル印刷手段に入力する作業が二次元コードの読み込みにより容易となり、情報ネットワークを構築するような大きな費用をかけずに導入できる。
【0020】
また、コード管理台帳として、各管理ラベルの印刷見本と関連付けて使用することで、管理ラベルの見本から印刷データの二次元コードにアクセスするのが容易となる。
【0021】
さらに、前記二次元コードには管理期限データを含ませ、管理ラベルを印刷するときに、計時手段からタイムスタンプ情報を取得し、二次元コードからデコードした管理期限データの値を加算して管理情報を印刷することで、管理データの記載漏れや誤記の恐れをなくせるという効果が得られる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の管理ラベル発行方法によれば、ラベル業者に発注して印刷したラベルや曜日シールを購入することなく、ラベルプリンタなどのラベル印刷手段を用いて管理ラベルを使用する現場で必要な管理ラベルをセルフ印刷できる。
【0023】
また、印刷データを管理部側コンピュータで一括入力できるので、二次元コードを用いて各製造部でラベル印刷手段に入力するのが容易となり、情報ネットワークを構築するような大きな費用をかけずに導入できる。
【0024】
さらに、二次元コードに管理期限データを含ませ、管理ラベルを印刷するときに、計時手段からタイムスタンプ情報を取得し、二次元コードからデコードした管理期限データの値を加算して管理情報を印刷することで、管理データの記入漏れや誤記をなくせるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の二次元コードによる食品管理ラベル発行方法を示すブロック構成図である。
【図2】ラベルプリンタおよび二次元コードスキャナの一例を示す外観図でり、(a)正面図、(b)側面図、(c)二次元コードスキャナの外観図である。
【図3】コード管理台帳を示す説明図である。
【図4】ラベル管理台帳を示す説明図である。
【図5】ラベル管理台帳を備えたコード管理台帳の一例である。
【図6】ラベル管理台帳を備えたコード管理台帳の一例である。
【図7】ラベル管理台帳を備えたコード管理台帳の一例であり、(a)外観図、(b)コード管理台帳の一部を捲った外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図1ないし図7を参照しつつ、食品管理ラベル発行方法を説明する。
【0027】
図1において、食品管理ラベルおよびコード管理台帳を作成する側としての管理部門1には、管理側コンピュータ2が設けられる。管理側コンピュータ2は、例えばパソコンやワークステーションで構成され、キーボードやマウスのような入力手段3、表示装置や印刷装置のような出力手段4、二次元コードスキャナのような二次元コード読取手段5が接続されている(なお、管理側コンピュータ2としてラベルプリンタを用いることもできる)。
【0028】
管理側コンピュータ2は、エンコード手段6、デコード手段7、記憶手段8、計時手段9を備え、これらエンコード手段6、デコード手段7は、管理側コンピュータ2のCPUがROMに格納されたプログラムにしたがいRAMを使用しながら動作することで具現化される。
【0029】
即ち、エンコード手段6、デコード手段7は、パソコンのCPUや記憶手段などのハードウエアとデータ及びプログラムなどのソフトウエアとの協働により構成される。
【0030】
食品管理ラベル10を発行し使用する側としての製造部11には、ラベル印刷手段としてのラベルプリンタ12(図2参照)が設けられる。
【0031】
ラベルプリンタ12には、キーボードのような入力手段13、表示装置14aや印刷装置14bのような出力手段14、二次元コードスキャナのような二次元コード読取手段15が接続される。
【0032】
ラベルプリンタ12は、エンコード手段16、デコード手段17、記憶手段18、計時手段19を備え、これらエンコード手段16、デコード手段17は、ラベルプリンタ12のCPUがROMに格納されたプログラムにしたがいRAMを使用しながら動作することで具現化される。
【0033】
即ち、エンコード手段16、デコード手段17は、ラベルプリンタのCPUや記憶手段などのハードウエアとデータ及びプログラムなどのソフトウエアとの協働により構成される。
【0034】
以上のような管理側コンピュータ2を用い、管理部門1で食品管理ラベル10(図4中の符号10参照)を作成する。管理部門1の操作者は、入力手段3を操作して管理側コンピュータ2にラベルの記載内容に関する可読文字情報、およびラベルレイアウト情報を入力することにより、入力された食品管理ラベル10の印刷データを管理側コンピュータ2の記憶手段8に記憶する。
【0035】
エンコード手段6は、記憶手段8に記憶された食品管理ラベルのレイアウト情報および可読文字情報を二次元コード情報に変換(エンコード)し、その二次元コード情報を記憶手段8に記憶する。
【0036】
操作者が入力手段3を操作して管理側コンピュータ2に出力コマンドを入力すると、記憶手段8に記憶されている食品管理ラベル10の印刷データが二次元コード21として印字装置(出力手段4)から出力される。
【0037】
操作者は管理する食品・食材の種類に応じて、上述した操作を繰り返し、必要な数の食品管理ラベル10(の印刷データが変換された二次元コード21)を作る。
【0038】
そして、各二次元コード21を縦横に複数配置して図3に示すようなコード管理台帳22を作成する。
コード管理台帳22は、各二次元コード21をそれと対応する食品管理ラベル10の名称・略称、記号などの可視情報で関連づけしたものである。
【0039】
以上の如く作成されたコード管理台帳22は、配布に必要な数だけ複製され、電子メール、ファクシミリ、ホームページ、郵送や親書便など周知慣用の手段により各製造部11に配布される。
【0040】
各製造部11では、コード管理台帳22を受け取り、そこに印刷された二次元コード21を二次元コードスキャナなどの二次元コード読取手段15によって読み取ってラベルプリンタ12に入力する。
【0041】
読み取られた二次元コードは、デコード手段17によりデコードされて(ラベルレイアウトと、ラベルに印字記載する内容とからなる可読文字情報に変換されて)、文字情報としてラベルプリンタ12の記憶手段18に記憶される。
【0042】
そして、所望する食品管理ラベル10がラベルプリンタ12から印刷される。
【0043】
以上のようにして、製造部11では、コード管理台帳21に印刷された二次元コードを二次元コード読取手段15で読み取るだけで可読文字情報が印字された食品管理ラベル10を印刷できるので、食品管理ラベルの記載内容をキーボードやマウスのような入力手段13を操作して入力したり、手書きで記入する必要がない。
【0044】
また、食品管理ラベル10を印刷するのに必要な印刷データは二次元コード21としてコード管理台帳22に記載されているので、食品管理ラベル10ごとのマスターデータをラベルプリンタ12の記憶手段に保存する必要もない。
【0045】
なお、上述した実施の形態はあくまで例示であって限定ではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で変形が可能である。
【0046】
例えば、管理側コンピュータ2としてパソコンやワークステーションを例示したが、これに替えて製造部門で用いるのと同じタイプのラベルプリンタ12を用い、食品管理ラベル10と対応する二次元コード21を作成し、台紙に貼ってコード管理台帳22(およびラベル管理台帳23)を作成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の管理ラベル発行方法は食品以外の管理ラベル発行にも利用できる。
【符号の説明】
【0048】
2…管理側コンピュータ、
3,13…入力手段、4,14…出力手段、5、15…二次元コード読取手段、6、16…エンコード手段、7,17…デコード手段、11…製造部、12…ラベル印刷手段(ラベルプリンタ)、21…二次元コード、22…コード管理台帳、23…ラベル管理台帳

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理側コンピュータがエンコード手段を備え、入力手段により入力および作成された管理ラベルの印字データ(ラベルの記載内容に関する可読文字情報、および/またはラベルレイアウト情報)を持たせた二次元コードを作成して、コード管理台帳を作成する工程と、前記コード管理台帳を複製して電子メール、ファクシミリ、ホームページ、郵送,親書便など周知慣用の手段により各製造部に配布する工程と、各製造部側でラベル印刷手段によりコード管理台帳の二次元コードを読み込み、デコード手段によりデコードして(ラベルの記載内容たる可読文字情報、および/またはラベルレイアウト情報に変換して)、管理ラベルとして印刷する工程とからなる管理ラベル発行方法。
【請求項2】
前記コード管理台帳は、印刷される管理ラベルの名称、略称、記号、可読文字などの可視情報が参照可能なラベル管理台帳を備え、コード管理台帳の二次元コードとラベル管理台帳の可視情報とが対になって対応する位置に記載される照合表を構成する請求項1に記載の管理ラベル発行方法。
【請求項3】
前記ラベル印刷手段は計時手段を備え、前記二次元コードには管理期限データを含み、管理ラベルを印刷するときに、前記計時手段より取得したタイムスタンプ情報に、前記二次元コードからデコードした管理期限データの値を加算して管理情報を印刷する請求項1に記載の管理ラベル発行方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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