説明

管理室制御盤

【課題】扉側の材質が金属であっても、樹脂であっても、簡単に操作パネルを扉に取り付けることができるようにすること。
【解決手段】 本体1に開閉可能に取り付けられる扉2と、扉と分離可能に設けられ、扉に設けた枠状の開口部に取り付けられる操作パネル3とを有する管理室制御盤において、操作パネルの周囲に、表面とは段差を有するフランジ3aを形成し、そのフランジに、フランジ面に形成した第1の固定部3cと、フランジにコ字状の段部を有するように成型した第2の固定部3bとを備えた。
扉が金属製の場合には、第1の固定部のネジ孔等にネジを挿入して、操作パネルを扉に固定し、扉が樹脂製の場合には、第2の固定部の段部に、扉の開口部の周囲に形成された凸部を嵌めて、段部のネジ孔等にタッピングネジを使用して、ネジ止めして、操作パネルを扉に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば集合住宅の管理人室あるいは高層ビル、その他の大規模建築物等の管理室に設置される管理室制御盤に関するもので、特に端末機としてインターホン機能を備えた住宅情報盤および集合玄関機などが接続され、それらの機器の通話を制御する通話制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば集合住宅の管理人室あるいは高層ビル、その他の大規模建築物等の管理室に設置される管理室制御盤は、内部の点検が可能なように蓋(扉)を設けているが、蓋はコインキーによって施錠するようになっている。また、特許文献1、特許文献2に開示されている従来の管理室制御盤においては、本体の外周に連結リブによって外枠を連結させた二重枠構造とすることによって、また、連結リブを切断し外枠を取り外すことによって、壁面直付けタイプから埋込設置タイプに変更できることが記載されている。
【特許文献1】特開平4−355897号公報
【特許文献2】実公昭62−23104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、一部を分離独立可能に構成して凡ゆる設置状態に適用可能とし、扉側の材質が金属であっても、樹脂であっても、簡単に操作パネルを扉に取り付けることができる管理室制御盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、本体に開閉可能に取り付けられる扉と、該扉と分離可能に設けられ、該扉に設けた枠状の開口部に取り付けられる操作パネルとを有する管理室制御盤において、操作パネルの周囲に、表面とは段差を有するフランジを形成し、そのフランジは、フランジのフランジ面に形成した第1の固定部と、フランジにコ字状の段部を有するように成型した第2の固定部とを備え、第1の固定部及び第2の固定部は、フランジに併設して、所望の間隔で複数設けられ、扉が金属製の場合に、第1の固定部のネジ孔またはネジ挿通孔にネジを挿入して、操作パネルを扉に固定し、扉が樹脂製の場合に、第2の固定部の段部に、扉の開口部の周囲に形成された凸部を嵌めて、段部のネジ孔またはネジ挿通孔にタッピングネジを使用して、ネジ止めして、操作パネルを扉の凸部に固定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は以上のように構成され、扉が金属製の場合には、第1の固定部のネジ孔またはネジ挿通孔にネジを挿入して、操作パネルが扉に固定され、また、扉が樹脂製の場合には、第2の固定部の段部に、扉の開口部の周囲に形成された凸部が嵌められて、段部のネジ孔またはネジ挿通孔にタッピングネジを使用して、ネジ止めすることで、操作パネルが扉の凸部に固定される。
【0006】
よって、扉側の材質が金属であっても、樹脂であっても、簡単に操作パネルを扉に取り付けることができ、壁面直付けタイプおよび埋込設置タイプ等、その他凡ゆる設置型式に対応可能であり、取付作業が容易で廃棄物も発生せず、生産性および経済性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は本発明の実施の形態を示す正面図、側面図および底面図である。図において、1はキャビネット本体で、箱状に合成樹脂で成形され、内部に回路基板および電子部品類を内蔵し、背面が建物の壁面等に固定される。2は箱状に合成樹脂で成形されたキャビネット扉で、前面に操作パネル3、ハンドセット本体4、ハンドセットカバー5、ボタン6および表示パネル7が設けられ、内部には回路基板および電子部品類が配備され、前記キャビネット本体1に対峙して、ヒンジ9で開閉可能なように備えられる。8はコインキーで、前記キャビネット本体1とキャビネット扉2とを施錠する。10はカールコードである。なお、ハンドセット本体4およびハンドセットカバー5をまとめてハンドセットまたは送受話器と呼称する。
【0008】
前記キャビネット本体1には、キャビネット扉2がヒンジ9で片開きするように取り付けられている。このヒンジ9の取付位置は開き部位置と段差を有している。ここで開き部位置とは、キャビネット本体1の開口側とキャビネット扉2の開口側との接触する面のことをいい、ヒンジ9の取付位置に段差を持たせるために、キャビネット本体1の開口側のヒンジ取付側には段部9aが形成され、また、キャビネット扉2の開口側のヒンジ取付側には、その段部9aに対応する切欠部9bが形成されている。そして、ヒンジ9の取付位置は開き部位置より前面側に近寄るように構成されている。
【0009】
上記のように構成された管理室制御盤においては、図2に示すように複数台を横に並べ、当接させた場合でも、キャビネット扉2を隣接したキャビネット本体1にぶつけることなく、90度以上にわたって開くことができ、内部の点検作業を行いやすい。また管理室制御盤を通話制御装置として使用する場合には、通話制御装置の横には、住宅情報盤や集合玄関機の映像を制御する映像制御装置が隣接して設置されているのが、一般的であるので、このように左右の開閉角度を大きくとれることは好ましい。
【0010】
ヒンジ9の取付位置に段差を有しない場合には、比較例を示す図3で明らかなように、全てのキャビネット扉2を大きく展開できない状態が発生し、このような状態は、隣接どうしを大きな間隔で設置することにより回避できるが、広いスペースが必要となる。なお、キャビネット本体1の段部9aおよびキャビネット扉2の切欠部9bを大きくすることで、扉の開閉角をより大きくすることが可能となるが、図のように切欠部9bの高さを、扉2の高さの約半分とすることで、強度的にも支障を生じない。
【0011】
前記キャビネット扉2に設けたコインキー8は、図4〜図6に示すようにキャビネット本体1の底部の内面からコの字状の枠形に立設した筐体ロック部1aにコインキー8の舌状片8aを交叉させて施錠するようになっている。前記コの字状の筐体ロック部1aの水平片1cにおいて、垂直片1dの片側から上り傾斜となる傾斜部1bが設けられる。傾斜部1bの長さは、水平片1cの長さの約3分の1であり、その高さは舌状片8aの高さと略同じである。前記舌状片8aは、キャビネット扉2の前面と直交する軸に取付けられ筐体ロック部1aの横側となる位置へ設けられ、前面から回動可能で、その長さ方向に移動自在で、コイルバネKによって、キャビネット扉2の前面方向へ押圧されるように軸に固定されている。
【0012】
なお舌状片8aは、このコイルバネKの影響により、筐体ロック部1a内に位置するときは、コの字状の枠形の水平片1cの内側に押圧されている。筐体ロック部1aの舌状片8aと当接する平坦な部分は、舌状片8aと同一平面上に設定されている。なお舌状片8aの横には、扉2裏面側からL字型のアングルAが突出するように設けられ、舌状片8aは90°だけしか回動できないように制限されている。
【0013】
上記のように構成されたコインキー8においては、この実施の形態では、前記舌状片8aは時計回りの矢視方向に回転させる。舌状片8aは矢視方向に回転させると、筐体ロック部1aの内部へ回り込む際に、筐体ロック部1aの傾斜部1bに沿って滑り込むので押圧動作を必要とせずに回転できる。舌状片8aをコの字状の枠形と平行な位置関係にある所(解錠状態)から、90°回転させると傾斜部1bが無くなり、舌状片8aとコの字状枠が直交した状態となり、平坦部(水平片1c)に押圧されて施錠完了となる。この状態から解錠させる場合は、反時計回りに90°回転させればよい。
【0014】
しかし、この場合には、単に回すだけでは舌状片8aが傾斜部1bを乗り越えられないので、コイルバネに抗うように、コインキーの操作部を傾斜部高さ以上に押し込みながら舌状片8aを回転させる。これにより舌状片8aは平坦部から離れ傾斜部1bを乗り越えて筐体ロック部1aから外れ、解錠される。従って、単に回転させるだけで施錠を行えるが、解錠操作は押圧しながら回転させないと解錠できない。
【0015】
前記操作パネル3は、キャビネット扉2と分離可能に設けられ、枠状に開口を形成したキャビネット扉2の前面へ扉2の裏側から固定する。なお、図7に示すように操作パネル3の周囲は、表面とは段差を有するように設けたツバ部3aを扉の開口へ嵌め込む構成としているが、前記段差は必要に応じて形成するものである。図7および図8に示すように操作パネル3の周囲に所望間隔で形成した固定部3bは、所望間隔で形成したコの字状に段部を有するように成形し、小穴を穿ったものである。また、固定部3cはツバ部3aに長円を穿った構成としている。
【0016】
上記のように構成した操作パネル3を樹脂製のキャビネット扉2に固定する場合は、図8(a)に示すようにキャビネット扉2の枠状に形成した開口の周囲形状を、操作パネル3に設けた固定部3bの段部に嵌まる凸部を設けてタッピングネジ等を使用してビス止めする。
【0017】
操作パネル3を分離独立させて、集合住宅の管理人室あるいは高層ビル、その他の大規模建築物等の管理室の壁に設けた金属板2aまたは金属製の扉に設置するタイプにおいては、固定部3cにリーマネジ付きビスやMネジ等を挿入して、該金属板2aに固定する。従って、扉側の材質が金属であっても、樹脂であっても、簡単に操作パネルを取り付けることができ、壁面直付けタイプおよび埋込設置タイプ等、その他凡ゆる設置型式に対応可能である。なお、図8bにおいて、ビスは金属板2a側から挿入してもよく、この場合には、操作パネル3c側にナットを設けて、ビスを固定するようにする。
【0018】
以上のように本発明に係る管理室制御盤は、片開きするキャビネット扉のヒンジ部が開き部に対して段差を有する構成としたので、全てのキャビネット扉が隣接したキャビネット本体と干渉することなく、全てのキャビネット扉を大きく展開することができる。
【0019】
また、コインキーの舌状片が回転に伴ってテーパー部を乗り越える構成としたので、押圧しながら回転させないと解錠操作を行うことができない。よって、管理者以外の者が勝手に扉を開けるのを防止でき、いたずら防止や防犯効果が高まる。
【0020】
また、操作パネルが分割されて分離可能に成形され、かつ操作パネルの周囲に所望間隔で形成した固定部と操作パネルの周囲に所望間隔で段部を有するように形成した固定部とを併設したので、樹脂体にも金属体にも取付可能である。よって壁面直付けタイプあるいは埋込設置タイプ等の凡ゆる設置型式のものに適用可能であり、取付作業が容易で廃棄物も発生せず、生産性および経済性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態を示す正面図、側面図および底面図である。
【図2】本発明の実施の形態のキャビネット扉の閉状態および開状態を示す説明図である。
【図3】本発明の比較例のキャビネット扉の閉状態および開状態を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態を示すキャビネット本体の正面図である。
【図5】図4のK部を示す拡大説明図である。
【図6】図4のK部を示す拡大斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態を示す操作パネルの正面図および内面図である。
【図8】図7のY−Y矢視を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 キャビネット本体、 1a 筐体ロック部、 1b 傾斜部、 2 キャビネット扉
2a 金属板、 3 操作パネル、 3a ツバ部、 3b,3c 固定部、
4 ハンドセット本体、 5 ハンドセットカバー、 6 ボタン、 7 表示パネル、
8 コインキー、 8a 舌状片、 9 ヒンジ、 10 カールコード、 tt

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に開閉可能に取り付けられる扉と、該扉と分離可能に設けられ、該扉に設けた枠状の開口部に取り付けられる操作パネルとを有する管理室制御盤において、
前記操作パネルの周囲に、表面とは段差を有するフランジを形成し、
該フランジは、該フランジのフランジ面に形成した第1の固定部と、前記フランジにコ字状の段部を有するように成型した第2の固定部とを備え、
前記第1の固定部及び第2の固定部は、前記フランジに併設して、所望の間隔で複数設けられ、
前記扉が金属製の場合に、前記第1の固定部のネジ孔またはネジ挿通孔にネジを挿入して、前記操作パネルを前記扉に固定し、
前記扉が樹脂製の場合に、前記第2の固定部の段部に、前記扉の開口部の周囲に形成された凸部を嵌めて、前記段部のネジ孔またはネジ挿通孔にタッピングネジを使用して、ネジ止めして、前記操作パネルを前記扉の凸部に固定することを特徴とする管理室制御盤。
【請求項2】
前記第1の固定部のネジ孔またはネジ挿通孔は長穴であり、前記第2の固定部のネジ孔またはネジ挿通孔は小穴であることを特徴とする請求項1記載の管理室制御盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−134359(P2006−134359A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21335(P2006−21335)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【分割の表示】特願平11−61656の分割
【原出願日】平成11年3月9日(1999.3.9)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】