説明

管理装置、管理システム、管理方法、及びプログラム

【課題】通信品質が良い経路を選択する技術を提供することにある。
【解決手段】通信しながら移動する経路を決定する管理装置であって、出発地点から目的地点までにおける複数の経路の候補上の通信状況に関する情報に基づいて、前記経路の候補の中から通信品質が良い経路を選択する選択手段と、前記選択した経路を移動する移動速度を、前記通信状況に関する情報と前記選択した経路に関する情報とに基づいて決定する決定手段とを有することを特徴とする管理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、管理システム、管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、無線LAN、有線LANなどの通信ネットワーク環境は発展の一途をたどり、無線通信に関しては、種々の無線アクセスネットワークが利用可能な環境となっている。また、限られた環境資源を有効に利用するため、周波数利用効率向上を目的としたコグニティブ無線通信の研究開発もさかんに行われている。このコグニティブ無線通信環境においては、ユーザが異種無線環境を同時に使えるようになる。
【0003】
図9に、コグニティブ無線通信における移動通信システム構成例を示す。
【0004】
図9を参照すると、本発明に関連する移動通信システムは、アクセスネットワーク1〜3、移動端末4、コアネットワーク5で構成される。
【0005】
移動端末4は、移動ノードであり、端末自身の保有する通信機能や周囲の環境に応じた通信資源管理を行うコグニティブ端末マネージャ(CTM)機能11、端末の通信状況を計測する端末統計モニタ機能12、その計測したモニタ結果に従って端末の通信環境を再構成する再構成制御機能13、およびデータ通信処理を行う通信機能18を司る。
【0006】
アクセスネットワーク1〜3は、移動端末4とコアネットワーク5との間の通信を仲立ちするネットワークでありる。そして、端末、アクセスネットワーク、コアネットワークの通信状況に応じた通信資源管理を行うローカルコグニティブネットワークマネージャ(LCNM)21a〜21c、無線アクセスネットワーク(RAN)における通信状況を計測するRAN統計モニタ機能22、および、端末とコアネットワーク間でのデータ通信機能を取り持つデータ転送機能25を司る。
【0007】
コアネットワーク5は、複数のアクセスネットワークを収容する大規模ネットワークであり、ネットワーク内部の環境に応じた通信資源の制御を行う(グローバル)コグニティブネットワークマネージャ(GCNM)31、ネットワーク内の通信状況を計測するネットワーク統計モニタ機能32、およびアクセスネットワークとのデータ通信処理を行うデータ転送機能35を司る。
【0008】
アクセスネットワークは必ずしもLCNMを保有する必要はなく、コアネットワークにLCNM機能を保有するといった構成も可能である。一般的に、移動端末は、GCNM、LCNMとの通信を通じてネットワークの通信状況を知り、TCMにより端末自身の通信環境と照らし合わせて、最適なアクセス手段を選択するという方式が用いられている。
【0009】
移動端末は、決められた経路を移動する際に、その時点で利用可能な通信資源における最適化を行い、通信性能の最大化を図っている(例えば特許文献1及び特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−206933号公報
【特許文献2】特開2009−206934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、このようなシステムでは、そもそも通信環境が劣悪な経路を移動しなければいけない場合には、通信環境の改善は根本的に無理であるという問題がある。
【0012】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、上記問題点を解決することにあり、通信品質が良い経路を選択する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明は、通信しながら移動する経路を決定する管理装置であって、出発地点から目的地点までにおける複数の経路の候補上の通信状況に関する情報に基づいて、前記経路の候補の中から通信品質が良い経路を選択する選択手段と、前記選択した経路を移動する移動速度を、前記通信状況に関する情報と前記選択した経路に関する情報とに基づいて決定する決定手段とを有することを特徴とする。
【0014】
本願発明は、通信しながら移動する経路を決定する管理システムであって、出発地点から目的地点までにおける複数の経路の候補上の通信状況に関する情報に基づいて、前記経路の候補の中から通信品質が良い経路を選択する選択手段と、前記選択した経路を移動する移動速度を、前記通信状況に関する情報と前記選択した経路に関する情報とに基づいて決定する決定手段とを有することを特徴とする。
【0015】
本願発明は、通信しながら移動する経路を決定する管理方法であって、出発地点から目的地点までにおける複数の経路の候補上の通信状況に関する情報に基づいて、前記経路の候補の中から通信品質が良い経路を選択する選択ステップと、前記選択した経路を移動する移動速度を、前記通信状況に関する情報と前記選択した経路に関する情報とに基づいて決定する決定ステップとを有することを特徴とする。
【0016】
本願発明は、通信しながら移動する経路を決定する管理装置のプログラムであって、前記プログラムは前記管理装置に、出発地点から目的地点までにおける複数の経路の候補上の通信状況に関する情報に基づいて、前記経路の候補の中から通信品質が良い経路を選択する選択処理と、前記選択した経路を移動する移動速度を、前記通信状況に関する情報と前記選択した経路に関する情報とに基づいて決定する決定処理とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、最短経路より通信品質が良い経路を選択することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施の形態に係る移動通信システムのブロック図である。
【図2】第1の実施の形態に係るアクセスネットワーク制御装置のブロック図である。
【図3】第1の実施の形態に係るコアネットワーク制御装置のブロック図である。
【図4】第1の実施の形態に係る移動端末のブロック図である。
【図5】第1の実施の形態に係る動作のフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態及び第3の実施の形態に係る端末のブロック図である。
【図7】第2の実施の形態に係るアクセスネットワーク制御装置のブロック図である。
【図8】第3の実施の形態に係るコアネットワーク制御装置のブロック図である。
【図9】本発明に関連する移動通信システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
<第1の実施の形態>
本願は通信しながら移動するにあたって、出発地点から目的地点までにおける複数の経路の候補上の通信状況に関する情報に基づいて、経路の候補の中から通信品質が良い経路を選択し、この選択した経路を移動する移動速度を、通信状況に関する情報と前記選択した経路に関する情報とに基づいて決定することを特徴とする。
【0021】
図1は、本願発明の通信システムの概要図である。図1を参照すると、本発明の第1の実施の形態に係る通信システムは、アクセスネットワーク1〜3、移動端末4、及びコアネットワーク5を有する。説明の簡略のため、アクセスネットワークが3つ、移動端末が1つ、及びコアネットワークが1つである構成を用いて説明するが、これらの数に制限は無い。
【0022】
アクセスネットワーク1〜3は、移動端末4と無線通信する。そして、移動端末4と移動端末4の通信先との通信を、コアネットワーク5を介して行う。アクセスネットワーク1〜3のそれぞれには、それぞれのネットワークを管理及び制御するアクセスネットワーク制御装置が設けられている。このアクセスネットワーク制御装置は、図2に示すとおり、LCNM(ローカル・コグニティブ・ネットワーク・マネージャ)21、RAN(Radio Access Network)統計モニタ部22、RAN統計予測部23、およびRAN予測通知部24、及び転送部25を有する。
【0023】
LCNM21は、一般的なLCNMであり、移動端末4が利用できる通信資源の情報や自アクセスネットワーク及び自アクセスネットワークに接続している移動端末の通信状況に関する情報を収集し、コアネットワークのGCNM31と連携をとりながらコグニティブ無線の制御を行う。
【0024】
RAN統計モニタ部22は、自身の無線アクセスネットワークにおける通信状況を計測、又は移動端末4から収集する。通信状況として、例えば、自身のアクセスネットワークに接続している各端末と自身のアクセスネットワークの基地局との位置関係、パワーヘッドルーム、自身のアクセスネットワークに接続している各端末の下り・上りデータ信号の帯域幅、自身のアクセスネットワークに接続している各端末の通信速度、自身のアクセスネットワークに接続している端末数、及び各端末の移動に伴う空き回線容量等、少なくともいずれかひとつである。
【0025】
RAN統計予測部23は、RAN統計モニタ部22が計測している通信状況に関する情報およびその履歴情報をもとにして、自身のアクセスネットワーク内部に関する一定の時間経過後の通信状況がどのように変化してゆくかを予測し、その予測結果をRAN予測通知部へ通知する。RAN統計予測部23が予測する通信状況は、例えば、自身のアクセスネットワークに接続している端末と自身のアクセスネットワークの基地局との位置関係の推移、パワーヘッドルームの推移、自身のアクセスネットワークに接続している各端末の下り・上りデータ信号の帯域幅の推移、自身のアクセスネットワークに接続している各端末の通信速度の推移、自身のアクセスネットワークに接続している端末数の推移、及び各端末の移動に伴う空き回線容量の推移等、少なくともいずれかひとつである。
【0026】
RAN予測通知部24は、RAN統計予測部23より受信した予測結果を保存する。また、その予測結果を移動端末4、及びコアネットワーク5に通知する。端末4及びコアネットワーク5は、これらの予測情報をもとにさらなる効果的な制御を行うことが可能になる。尚、RAN予測通知部24は、RAN統計モニタ部22の測定結果を移動端末4、及びコアネットワーク5に通知してもよい。
【0027】
転送部25は、移動端末4とコアネットワーク5との間のデータ通信を取り持つ。
【0028】
コアネットワーク5は、アクセスネットワーク1〜3に共通のプラットホームを提供するネットワークであり、共通のプラットホームを提供するための各種情報を管理及び制御するコアネットワーク制御装置が設けられている。コアネットワーク制御装置は、図3に示すとおり、GCNM(グローバル・コグニティブ・ネットワーク・マネージャ)31、NW(ネットワーク)統計モニタ機能32、NW(ネットワーク)統計予測部33、NW(ネットワーク)予測通知部34、および転送部35を有する。
【0029】
GCNM31は、一般的なGCNMであり、各アクセスネットワークから通信状況に関する情報を収集し、LCNM21と連携をとりながらコグニティブ無線の制御を行う。
【0030】
NW統計モニタ機能32は、コアネットワークの通信資源の利用状況(空き状況)を計測しログを取る。また、各アクセスネットワークのRAN統計モニタ部22の計測値及びRAN統計予測通知部24から通知される予測値の少なくとも一方を収集して管理する。
【0031】
NW統計予測部33は、NW統計モニタ部32が計測した利用状況の情報の履歴をもとにして、自身のコアネットワークにおける一定の時間経過後の利用状況(例えば、全アクセスネットワークの回線容量など)がどのように変化してゆくかを予測し、その予測結果をNW予測通知部34へ通知する。
【0032】
NW予測通知部34は、NW統計予測部33の予測結果を移動端末4やアクセスネットワーク1〜3に通知する。移動端末4やアクセスネットワーク1〜3は、これらの予測結果をもとにさらなる効果的な制御を行うことが可能になる。
【0033】
転送部35は、アクセスネットワークとのデータ通信処理を行い、移動端末4と移動端末4の通信先との通信を取り持つ。
【0034】
端末1は、移動ノードであり、ユーザは移動端末1を保持し、通信しながら移動する。端末1は、図4に示すとおり、CTM(Cognitive Terminal Manager:コグニティブ端末マネージャ)部11、端末統計モニタ部12、再構成制御部13、制約条件制御部14、経路制御部15、速度制御部16、経路・速度出力部17、通信部18、およびユーザ・インタフェース部19を有する。
【0035】
CTM部11は、一般的なCTMであり、自端末の通信資源を、端末自身が保有する通信機能や周囲の環境に応じて管理する。端末統計モニタ部12は、端末の通信状況を計測する。再構成制御部13は、端末統計モニタ部12で計測されたモニタ結果に従って端末のコグニティブ通信環境を再構成する。通信部18は、アクセスネットワークを介してのデータ通信処理を行う。
【0036】
制約条件制御部14は、ユーザがユーザ・インタフェースを用いて設定した制約条件を満たした状態で、目的地である終点に到着できるか、制約パラメータと現在の端末の状況とを監視する。制約条件とは、例えば、移動時間、端末のバッテリ容量(消費)、人間の体力、アプリケーションが必要とする通信品質(QoS)などがある。制約条件が移動時間の場合、目的地への到着時間といった絶対的な時間や、一定時間以内に目的地に到着したいといった時間範囲を制約パラメータとして指定する。ここで制約条件を移動時間にした場合を考えると、制約条件制御部14は時間経過に伴い、定期的または不定期、あるいはイベントドリブンにて、制約条件が満たされた状態で、通信しながら移動されているか否かをチェックする。例えば、制約条件の移動時間を既に過ぎてしまっているか否か、端末のパッテリ容量が制約条件を満たしているか等を監視する。そして、制約条件を満たしていない場合には、経路・速度出力部17に制約違反となったことを通知し、ユーザへ知らせる。また、制約条件を満たしている場合には、制約条件と制約パラメータ値を経路制御部15と速度制御部16とに通知する。
【0037】
経路制御部15は、端末4が取りうることが可能な移動速度を仮定して、制約条件制御部14から受信した制約情報、および出発地から目的地までの複数の経路情報を基にして、制約条件を満たす範囲内で、出発地から目的地までの物理的最短距離の経路を移動するよりも、移動端末の通信品質が良い経路を選択する。この選択した経路情報を速度制御部16、経路・速度出力部17、CTM11、及び再構成制御部13へ通知する。また、上述の複数の経路情報は、必要な時に経路情報を保持している経路情報管理装置(図示せず)にアクセスして入手する。経路情報管理装置は、移動端末4内に設けられても、アクセスネットワーク又はコアネットワーク上に設けられている単独の装置であっても良いし、アクセスネットワーク制御装置又はコアネットワーク制御装置内に設けられていてもよい。また、経路情報管理装置は、ユーザが設定した出発地及び目的地の位置情報と、地図情報とを用いて、出発地から目的地までの経路を複数検索して、検索結果を経路の候補として経路制御部15に通知する。膨大な経路が検索される場合には、経路の長さの閾値を設け、閾値以上の長さの経路は検索結果から外すというようにしてもよい。経路制御部15は、候補経路上をサポートしているアクセスネットワークの通信状況の情報又は通信予測の情報を該アクセスネットワークから受け取り、移動端末の通信品質が出発地から目的地までの物理的最短経路を移動するよりも良い経路を検索する。経路が複数のアクセスネットワークをまたぐ場合は、複数のアクセスネットワークの通信状況の情報又は通信予測の情報を統合して、経路全体の通信品質を求める。更に、検索した経路の中から制約条件を満たす経路を選択する。尚、上記説明における通信品質とは、例えば、伝送誤り率、QOS(Quality Of Servisce)、伝送遅延時間、伝送容量、総通信時間、及び通信料金形態といった、通信品質又は通信品質に影響を与える情報を示す。また、通信状況の情報又は通信予測の情報は、コグニティブ無線システムにおいては、コグニティブパイロットチャネル(CPC)のように、周囲の通信環境情報等を基地局と端末間で送受信するチャネルが用意されているため、それらを用いても良い。
【0038】
速度制御部16は、制約条件制御部14から受信した制約情報、および経路制御部15から通知された経路情報に従って、その経路を通って目的地までの通信品質を最大化するための端末の移動速度を算出する。算出した移動速度情報を経路・速度出力部17、CTM11、及び再構成制御部13へ通知する。
【0039】
経路・速度出力部17は、経路制御部15および速度制御部16より受信した経路情報および移動速度情報を保存する。また、端末が保有するユーザ・インタフェース19を通じて、ユーザにわかるように通知する。ここで、複数の経路・移動速度が存在する場合は、ユーザがユーザ・インタフェースを通じて、そのサブセットの中から一つを選択して、実際の経路と速度を決定しても良いし、あるいは、経路・速度出力部17にて、特定のポリシーに従ってそのサブセットの中ら一つを選択しても良い。このポリシーに従った決定処理は、経路・出力部17のみならず、端末内のどの構成部が処理を実施しても良い。さらに、上述の選択決定された経路・移動速度情報は、実際の端末の制御に利用するためにCTM11、及び再構成制御部13へ通知される。
【0040】
ユーザ・インタフェース19は、ユーザが出発地点と目的地点とを入力するのに用いるものである。出発地点と目的地点とが地図情報を用いて位置を指定される場合は地図情報をユーザに提示する。また、出発地点と目的地点とが住所や建造物等の名称によって指定される場合は、入力画面を提示する。そして、ユーザによって指定された出発地点と目的地点とを、その位置を一意に識別できる位置情報に変換して経路情報管理装置に通知する。更に、ユーザ・インタフェース19は、制約条件の選択及び制約パラメータの設定をするのに用いるものである。また、経路制御部15が、複数の経路を検索し、検索した経路を提示し、この中からユーザに経路を選択させる場合に用いる。
【0041】
続いて、本実施の形態の動作について図1及び図5を用いて説明する。図5は、動作を説明するためのフローチャートである。以下の説明では、アクセスネットワーク1は広範囲をカバーする低速の無線回線であるという特徴を仮定し、アクセスネットワーク2および3はカバレッジ範囲が狭い、高速の無線回線であるという特徴を仮定する。また、移動端末4が出発地点201から目的地点202まで移動する場合を用いて説明する。また、制約条件として“移動時間”が選択され、制約パラメータとして“40分以内”が設定されている場合を用いて説明する。
【0042】
ユーザが移動端末4に組み込まれているユーザ・インタフェース19を用いて出発地点と目的地点とを設定する(ステップ1)。
【0043】
ユーザ・インタフェース19は、ユーザによって設定された出発地点と目的地点とを位置情報に変換する(ステップ2)。
【0044】
経路情報管理装置は、位置情報と地図情報とに基づいて、経路の候補を複数検索する(ステップ3)。このとき、図1の101〜104が経路の候補として検索されたとする。そして、最短経路は101となる。
【0045】
経路制御部15は、検索した経路の候補の通信品質を取得し(ステップ4)、最短経路の通信品質と比較し、最短経路より通信品質が良い経路を抽出する(ステップ5)。このとき、104は、低速なアクセスネットワーク1しか通らないため、最短経路より通信品質が低くなる。そのため、高速なアクセスネットワーク2及び3を通る距離が最短経路101より大きい102、103が抽出される。
【0046】
経路制御部15は、制約条件を満たす経路を選択するにあたって必要となる情報を取得する(ステップ6)。本動作では、最短経路より通信品質が良くなる状態における、端末4が取りうることが可能な移動速度を仮定して、抽出した経路の移動時間を算出する。このとき、102は35分、103は45分だったとする。
【0047】
経路制御部15は、制約条件を満たす経路を選択する(ステップ7)。ここで、経路制御部15は、制約パラメータ“40分以内”を満たす経路102を選択する。
【0048】
速度制御部16は、経路制御部15が選択した経路と、ステップ4で取得した、該経路の通信品質とを用いて、端末4の移動速度を算出する(ステップ8)。
【0049】
経路・速度出力部17は、経路制御部15が選択した経路と、速度制御部16が算出した移動速度とを表示させる(ステップ9)。
【0050】
ユーザは、表示された経路と移動速度とに従って、通信しながら移動する(ステップ10)。このとき、制約条件を満たしているか否かを制約条件制御部14が監視する(ステップ11)。制約条件制御部14は、制約条件を満たしていないと判断した場合、その旨を経路・速度出力部17に通知し、経路・速度出力部17がその旨を表示する(ステップ12)。一方、満たしている場合、ユーザはそのまま移動して目的地に到着する。
【0051】
移動経路101が物理的な最短経路となるが、高速のアクセスネットワーク2および3のカバーエリアは少ししか通過しないため、通信品質はそれほど大きくはならない。一方、移動経路102又は103を選択すると、移動経路101に比べて、若干の寄り道(物理的な移動量が多い)をしてしまうが、通過するアクセスネットワーク2および3のカバレッジエリアは大きくなるため、該経路の総通信品質を改善することができる。
【0052】
尚、経路制御部15は、この経路選択において、移動端末4が経路上の通信品質の良好な場所に止まり、通信品質を増大させることも許容する。また、経路制御部15は、最短経路を移動した場合の距離との差が所定の大きさ以下の経路を選択してもよい。また、経路制御部15は、最短経路を移動した場合の通信品質との差が所定の大きさ以上に良い経路を選択しても良い。
【0053】
本実施によれば、端末の状況や周囲の環境に応じて、制約条件の範囲内で通信品質を改善することができるため、より効率的な通信環境を構築することができる。
【0054】
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、制約条件制御部、経路制御部、速度制御部、及び速度・経路出力部が移動端末4に設けられていた。これらをアクセスネットワーク制御装置に構成させ、端末の経路、速度をアクセスネットワーク側で制御して、その制御指示をアクセスネットワークから端末へ通知する構成が考えられる。本実施の形態の移動端末のブロック図を図6に、アクセスネットワーク制御装置のブロック図を図7に示す。
【0055】
本実施の形態の各構成部の機能、及び動作は第1の実施の形態と同じであるため省略する。
【0056】
本実施の形態によれば、経路・速度の制御処理を端末で行わずに済むため、端末の処理負荷を軽減することができる。同一アクセスネットワーク配下のユーザに対して、インタラクティブな処理指示も行うことができるため、より柔軟度の高いシステム構成をとることができ、さらなる効率的な通信品質制御が可能な移動通信システムを構築することができる。
【0057】
<第3の実施の形態>
第1の実施の形態では、制約条件制御部、経路制御部、速度制御部、及び速度・経路出力部が移動端末4に設けられていた。これらをコアネットワーク制御装置に構成させ、端末の経路、速度をコアネットワークで制御して、その制御指示を端末へ通知する構成が考えられる。本実施の形態に係る移動端末のブロック図は図6と同じとなる。また、ネットワーク制御装置のブロック図を図8に示す。
【0058】
本実施の形態の各構成部の機能、及び動作は第1の実施の形態と同じであるため省略する。
【0059】
本実施の形態によれば、複数の異種アクセスネットワークの通信状況に従った柔軟な経路・速度制御が可能なシステム構成をとることができ、さらなる効率的な通信品質制御が可能な移動通信システムを構築することができる。
【0060】
尚、上記実施の形態は、コグニティブ無線システムを基盤とした構成としてきたが、必ずしもコグニティブ無線システムに限定する必要はない。例えば、時分割多重された回線チャネル、周波数分割多重された回線チャネル、拡散符号分割多重された回線チャネルなどのように、複数の回線を同時に利用する(これは、単体の基地局を利用して実現及び複数の基地局を利用して実現の両方)ことが可能な無線通信システムにも適用可能である。即ち、複数回線(マルチパス)を用いた通信ネットワークでは通信品質が変動するため、変動する通信品質を予測し、予測結果に従って経路を選択することができる。このような通信システムの場合、同等の機能を保有する通信システム構成に基づいた移動通信システムの実施形態も考えられる。このような実施の形態によれば、複数のシステム間を相互接続するような大規模な移動通信システムを構成することもでき、さらなる柔軟性のある構成をとることが可能となる。さらなる効率的な通信品質制御が可能な移動通信システムを構築することができる。
【0061】
以上本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されず、その他各種の付加変更が可能である。また、端末、移動管理装置は、その有する構成部をハードウェア的に実現することは勿論、コンピュータとプログラムとで実現することができる。プログラムは、磁気ディスクや半導体メモリ等のコンピュータ可読記録媒体に記録されて提供され、コンピュータの立ち上げ時などにコンピュータに読み取られ、そのコンピュータの動作を制御することにより、そのコンピュータを前述した各実施の形態における端末、制御装置として機能させ、前述した処理を行わせる。
【符号の説明】
【0062】
1〜3 アクセスネットワーク
4 移動端末
5 コアネットワーク
11 コグニティブ端末マネージャ
12 端末統計モニタ部
13 再構成制御部
14 制約条件制御
15 経路制御部
16 速度制御部
17 速度・経路出力部
18 通信部
21 ローカルコグニティブマネージャ(LCNM)
22 RAN統計モニタ部
23 RAN統計予測部
24 RAN予測通知部
25 転送部
31 グローバルコグニティブネットワークマネージャ(GCNM)
32 ネットワーク統計モニタ部
33 ネットワーク予測部
34 データ転送部
101〜104 移動経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信しながら移動する経路を決定する管理装置であって、
出発地点から目的地点までにおける複数の経路の候補上の通信状況に関する情報に基づいて、前記経路の候補の中から通信品質が良い経路を選択する選択手段と、
前記選択した経路を移動する移動速度を、前記通信状況に関する情報と前記選択した経路に関する情報とに基づいて決定する決定手段と
を有することを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記選択手段は、前記出発地点から前記目的地点までの移動距離が最短である最短経路を移動した場合の通信品質よりも良い通信品質である経路を選択することを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記出発地点から前記目的地点までの移動距離が最短である最短経路を移動した場合の距離との差が所定の大きさ以下の経路を選択することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記選択手段は、前記出発地点から前記目的地点までの移動距離が最短である最短経路を移動した場合の通信品質との差が所定の大きさ以上の経路を選択することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の管理装置。
【請求項5】
前記選択手段は、経路上の通信品質が良好である箇所に留まることによって向上する経路全体の通信品質を考慮して経路を選択することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の管理装置。
【請求項6】
通信しながら移動する経路を決定する管理システムであって、
出発地点から目的地点までにおける複数の経路の候補の周辺地域の通信状況に関する情報に基づいて、前記経路の候補の中から通信品質が良い経路を選択する選択手段と、
前記選択した経路を移動する移動速度を、前記通信状況に関する情報と前記選択した経路に関する情報とに基づいて決定する決定手段と
を有することを特徴とする管理システム。
【請求項7】
通信しながら移動する経路を決定する管理方法であって、
出発地点から目的地点までにおける複数の経路の候補上の通信状況に関する情報に基づいて、前記経路の候補の中から通信品質が良い経路を選択する選択ステップと、
前記選択した経路を移動する移動速度を、前記通信状況に関する情報と前記選択した経路に関する情報とに基づいて決定する決定ステップと
を有することを特徴とする管理方法。
【請求項8】
通信しながら移動する経路を決定する管理装置のプログラムであって、前記プログラムは前記管理装置に、
出発地点から目的地点までにおける複数の経路の候補上の通信状況に関する情報に基づいて、前記経路の候補の中から通信品質が良い経路を選択する選択処理と、
前記選択した経路を移動する移動速度を、前記通信状況に関する情報と前記選択した経路に関する情報とに基づいて決定する決定処理と
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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