説明

管継手およびバルブ装置

【課題】配管と管継手との相対回転を防ぎつつ、配管と管継手のガタツキを抑える管継手を提供する。
【解決手段】管継手本体21において、管継手本体21は、一部に平坦部54a、54bを有する張出部52を形成された配管50の端部が挿入される。リテーナ60は、管継手本体21の内部に装着され、配管50を保持する。リテーナ60は、円環部と、円環部から延出して張出部52を保持する保持部67a、67bと、円環部と保持部67a、67bの間に設けられる先端部とを有する。管継手本体21は、リテーナ60を装着する装着部と、シールリングを保持するシールリング保持部と、張出部52の平坦部54a、54bと接触するように形成された平面部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管を接続可能な管継手およびその管継手を備えるバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の燃料タンクには液体燃料の気体を抜く機構が設けられる。具体的には、燃料タンクの上部に外部のキャニスターと連通する配管を設け、その配管の端部にバルブを組み付ける。この配管の端部とバルブは管継手によって接続される。
【0003】
特許文献1には、一方のホースの端部に結合される雄型継手と、他方のホースの端部に結合される雌型継手との接続を保持部材を介して行って、一方のホースと他方のホースを連結するクイックコネクタが開示されている。この雄型継手の外周面には環状のつば部が形成され、つば部には凹溝が形成されている。また、保持部材の脚部には内面側に周方向溝が形成されている。保持部材の周方向溝と雄型継手の凹溝とは、雄型継手と雌型継手を接続すると嵌合するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−317982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、保持部材の脚部に形成された周方向溝と雄型継手の外周に形成された凹溝を嵌合させて、雄型継手と雌型継手の相対回転の阻止を図っている。この保持部材の脚部は、雄型継手と雌型継手の接続後の接続解除および再接続などを容易にするため弾性を有しており、接続状態においても動くように構成される。したがって、特許文献1に記載の技術では、保持部材に形成された周方向溝と雄型継手に形成された凹溝を嵌合しても、保持部材が動くためその嵌合にガタツキが生じる可能性がある。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、配管と管継手との相対回転を防ぎつつ、配管と管継手のガタツキを抑える管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の管継手は、一部に平坦部を有する張出部を形成された配管の端部が挿入される管継手本体と、管継手本体の内部に装着され、配管を保持するリテーナと、を備える。リテーナは、円環部と、円環部から延出して張出部を保持する保持部と、円環部と保持部の間に設けられる先端部と、を有する。管継手本体は、リテーナを装着する装着部と、シールリングを保持するシールリング保持部と、張出部の平坦部と接触するように形成された平面部と、を有する。
【0008】
この態様によると、配管を管継手に接続すると、配管の平坦部と管継手本体の平面部とが接触することで平坦部に対する平面部の回転を抑えることができる。リテーナで配管を保持しつつ、管継手本体の平面部により配管との相対回転を制限することで管継手と配管のガタツキを抑えることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、配管と管継手との相対回転を防ぎつつ、配管と管継手のガタツキを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る燃料タンクの内部を示す図である。
【図2】実施形態に係るバルブ装置の斜視図である。
【図3】実施形態に係る管継手本体の斜視図である。
【図4】実施形態に係るリテーナの斜視図である。
【図5】実施形態に係る配管の端部の斜視図である。
【図6】実施形態に係る管継手を示す斜視図である。
【図7】図6に示すA−A線における断面図である。
【図8】図6に示すB−B線における断面図である。
【図9】実施形態に係る管継手に配管を挿入した状態を示す斜視図である。
【図10】図9に示すC−C線における断面図である。
【図11】図9に示すD−D線における断面図である。
【図12】図11に示すE−E線における一部断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、実施形態に係る燃料タンク12の内部を示す図である。なお、以下の図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。図1の燃料タンク12には、車両のエンジンとの連結部分や、液体燃料14の注入口は省略してある。
【0012】
車両の燃料タンク12の内部にはガソリン等の液体燃料14が貯留されている。実施形態に係るバルブ装置18は、バルブ10と管継手20を備え、燃料タンク12の上壁に固定部材16によって固定される。バルブ装置18は、管継手20に液体燃料14の気体を外部に排出するための配管50が挿入されて保持されている。
【0013】
バルブ10は、液体燃料14の気体を燃料タンク12内に貯め過ぎないように排出する排出口である。液体燃料14の気体は、バルブ10から配管50を通って、配管50に連結されたキャニスター(不図示)に吸着される。
【0014】
バルブ10は、車両が横転や反転等したときに液体燃料14が燃料タンク12から漏れ出ないようにするための機能を備え、いわゆるロールオーバーバルブとして機能する。つまり、バルブ10は通常時に液体燃料14の気体を通過させる排出口として機能するが、バルブ10が液体燃料14に浸かった場合には燃料タンク12内と配管50の連通を遮断する遮断弁として機能する。またバルブ10は所定角度以上に傾斜すると、燃料タンク12内と配管50の連通を遮断するように構成されてもよい。
【0015】
ここで、配管50にバルブ装置18を組み付ける工程について説明する。組み付け工程において、配管50は燃料タンク12にあらかじめ固定され、配管50の端部は開放されている。このとき、燃料タンク12の壁部は一部が開放された状態にあり、開放された箇所から組み付け装置が燃料タンク12内に入れられる。組み付け装置はバルブ装置18を保持して配管50の端部に近づきバルブ装置18の配管50の端部を配管挿入口に差し込んで管継手20により保持させる。
【0016】
配管50に組み付けた後、バルブ装置18は固定部材16を介して燃料タンク12の上壁に溶接される。たとえばバルブ装置18に固定部材16を取り付けたとき、バルブ装置18が所望の状態から傾いていると、固定部材16も燃料タンク12の上壁に対して傾いた状態となる。このまま組み付け装置が溶接しようとしても、固定部材16を燃料タンク12の上壁に十分な固着力で固定できないことがある。そこで実施形態の管継手20には配管50と所望の状態で連結し、連結後の互いの相対的な回転を防止する機構が設けられる。これによりバルブ装置18が大きく傾いたまま配管50に接続されることを防ぎ、その後の溶接の不具合も生じにくくすることができる。
【0017】
図2は、実施形態に係るバルブ装置18の斜視図を示す。管継手本体21は、バルブ10と連通しており、管継手本体21の内部にリテーナ(不図示)を装着した状態で、配管50の端部を管継手本体21内に挿入することで、配管50とバルブ10が連通状態となる。
【0018】
管継手本体21は、バルブ10から突出する筒形状に形成され、配管挿入口側からバルブ10側に向かって順に第1筒部22、第2筒部24を有する。第1筒部22の先端にはフランジ部26が形成される。第1筒部22には、リテーナを装着するための装着部28が形成される。図2において装着部28は開口部として形成されている。バルブ装置18はバルブ10の上部に取り付けられたアッパーキャップ74、および、バルブ10の下部に取り付けられたロアキャップ76を備える。
【0019】
図3は、実施形態に係る管継手本体21の斜視図を示す。フランジ部26の内側に配管挿入口38が開口しており、配管挿入口38から配管50が挿入される。第1筒部22の内側面には、第1筒部22の先端面31から軸方向に沿って延在し、径方向内向きに突出して、配管50の挿入をガイドする第1ガイド部32a、第2ガイド部32b、第3ガイド部32c、第4ガイド部32d(とくに区別しない場合は「ガイド部32」という)が形成されている。なお、軸方向とは、筒形状の管継手本体21の中心軸と平行な方向をいう。
【0020】
第1ガイド部32aと第3ガイド部32cとの間の第1筒部22の側面には第1装着部28aが設けられ、第2ガイド部32bと第4ガイド部32dとの間の第1筒部22の側面には第2装着部28bが設けられる。第1装着部28aおよび第2装着部28b(とくに区別しない場合は「装着部28」という)は、第1筒部22の側面に四角窓のような形状に形成され、互いに対向する位置に設けられる。
【0021】
第1ガイド部32aと第2ガイド部32bとの間の第1筒部22の内側面には第1突部30aが設けられ、第3ガイド部32cと第4ガイド部32dとの間の第1筒部22の内側面には第2突部30bが設けられる。第1突部30aおよび第2突部30b(とくに区別しない場合は「突部30」という)は、第1筒部22の側面から径方向内向きに突出し、その頂部に平面部が形成される。第1突部30aおよび第2突部30bは対向する位置に設けられ、その平面部は平行に設けられる。突部30は、装着部28が設けられていない第1筒部22の側面に設けられる。
【0022】
第1筒部22の配管挿入方向の奥側に、第2筒部24が形成され、第2筒部24は円筒形状に形成される。なお、配管挿入方向とは、配管挿入口38からバルブ10の内部に向かう方向であり、軸方向に沿った方向である。第2筒部24の内径は、第1筒部22の内径より小さく、第1突部30aおよび第2突部30bの平面間の最短距離と略同一である。なお、実施形態では2つの突部30を示しているが、突部30は1つであってもよい。
【0023】
第2筒部24の内周面にはシールリング36が配置され、この内周面はシールリング36の外周と接触してシールリング36を保持するシールリング保持部34として機能する。シールリング36は、バルブ装置18が液体燃料14に浸かった場合に、配管50内への液体の侵入を防ぐ。
【0024】
シールリング保持部34より配管挿入方向の奥側に、径方向内向きに張り出し、周状に形成された段部35が設けられる。段部35は、シールリング36の配管挿入方向への移動を制限する。シールリング36より配管挿入方向の奥側に位置する段部35の内周面の内径は、シールリング保持部34の内径より小さく、配管50の外径と略同一または配管50の外径より微少に大きい。段部35より配管挿入方向の奥側はバルブ10の内部となっている。
【0025】
第1突部30aおよび第2突部30bの平面間の最短距離とシールリング36の外径は略同一に設けられてよい。これにより、シールリング36の組み付けが容易となる。
【0026】
図4は、実施形態に係るリテーナ60の斜視図を示す。リテーナ60は、管継手本体21の内部に装着され、配管50を保持する。リテーナ60は、円環部62と、第1脚部64a、第2脚部64b、第1延在部66aおよび第2延在部66bとを有する。
【0027】
第1脚部64aおよび第2脚部64b(とくに区別しない場合は「脚部64」という)は、円環部62から延出する。第1脚部64aおよび第2脚部64bのそれぞれは、円環部62から軸方向に延出する第1基部63aおよび第2基部63b(とくに区別しない場合は「基部63」という)と、基部63から径方向外向きに張り出した第1爪部72aおよび第2爪部72b(とくに区別しない場合は「爪部72」という)とを有する。
【0028】
装着する際、爪部72は円環部62の外周面より径方向外側に張り出す。基部63は弾性を有し、脚部64は互いに離間する方向に拡開でき、互いに近づく方向にも動くことができる。配管50の端部が挿入されて配管50を受け入れる際に脚部64が拡開する。
【0029】
第1爪部72aの第1被係止面65aおよび第1被抜け止め部68aは、第1装着部28a内の空間に張り出す。第1被係止面65aは、リテーナ60が配管挿入方向へ動いた場合に第1装着部28aの内周面に当接して、リテーナ60の動きが制限される。また、第1被抜け止め部68aは、リテーナ60が配管挿入方向とは逆向きに動いた場合に第1装着部28aの内周面に当接して、リテーナ60の動きが制限される。第1爪部72aの第1保持部67aは、第1爪部72aの内面に円環部62の内周面より径方向外向きに凹んで形成される。
【0030】
同様に、第2爪部72bの第2被係止面65bおよび第2被抜け止め部68bは、第2装着部28b内の空間に張り出す。第2被係止面65bは、リテーナ60が配管挿入方向へ動いた場合に第2装着部28bの内周面に当接して、リテーナ60の動きが制限される。また、第2被抜け止め部68bは、リテーナ60が配管挿入方向とは逆向きに動いた場合に第2装着部28bの内周面に当接して、リテーナ60の動きが制限される。第2爪部72bの第2保持部67bは、第2爪部72bの内面に円環部62の内径より径方向外向きに凹んで形成される。第1保持部67aおよび第2保持部67bをとくに区別しない場合は「保持部67」という。
【0031】
第1延在部66aおよび第2延在部66b(とくに区別しない場合は「延在部66」という)は、円環部62から軸方向に延在し、互いに対向する位置に設けられている。延在部66は、外周面の少なくとも一部に外径が他よりも大きく形成された大径部70を有する。大径部70は管継手本体21に装着した際に、シールリング保持部34の内周面に接触してリテーナ60の径方向へのガタツキを抑えることができる。
【0032】
第1延在部66aおよび第2延在部66bは、その先端にそれぞれ第1先端部69aおよび第2先端部69b(とくに区別しない場合は「先端部69」という)を有する。先端部69は、軸方向において円環部62と保持部67の間に設けられ、配管挿入方向の配管50の動きを制限可能である。
【0033】
図5は、実施形態に係る配管50の端部の斜視図を示す。配管50は、径方向に突出する張出部52を有する。張出部52は、配管50の通常部分56より外径が大きくなっている。張出部52の一部には、第1平坦部54aおよび第2平坦部54b(とくに区別しない場合は「平坦部54」という)が形成されている。配管50の端部が管継手20に挿入された場合に、張出部52は保持部67に保持される。第1平坦部54aおよび第2平坦部54bは平行な位置に配置される。なお、本図では2つの平坦部54を示すが、平坦部54は1つであってもよい。
【0034】
図6は、実施形態に係る管継手20を示す斜視図である。管継手本体21にリテーナ60を装着した状態である。図7および図8は、実施形態に係る管継手20の断面図である。図7は図6に示すA−A線における断面を示し、図8は図6に示すB−B線における断面を示す。
【0035】
リテーナ60は、円環部62から管継手本体21の内部に挿入して装着される。すなわち、リテーナ60の装着状態において、円環部62は配管挿入方向の奥側に位置し、脚部64および延在部66は円環部62より配管挿入方向の手前側に位置する。
【0036】
図7に示すように、リテーナ60の円環部62は第2筒部24の内周に挿入され、脚部64の爪部72は径方向外向きに装着部28に張り出している。つまり、装着状態において、第1被抜け止め部68aおよび第2被抜け止め部68bは、フランジ部26の内周より、径方向外側に位置する。リテーナ60を管継手本体21に装着する際は、基部63の弾性により爪部72を径方向内向きに撓ませて爪部72を挿入し、爪部72を装着部28に配置する。
【0037】
第1爪部72aの第1被係止面65aは、リテーナ60が配管挿入方向に動くと、第1装着部28aの第1係止部25aに当接して係止される。第1係止部25aは、第1装着部28aの配管挿入方向の奥側の面である。第1爪部72aの第1被抜け止め部68aは、リテーナ60が配管挿入口38に向かって動いた場合に、第1装着部28aの第1抜け止め部27aに当接してリテーナ60の装着が外れないようにされる。第1抜け止め部27aは、第1装着部28aの配管挿入方向の手前側の面である。
【0038】
同様に、第2爪部72bの第2被係止面65bは、リテーナ60が配管挿入方向に動くと、第2装着部28bの第2係止部25bに当接して係止される。第2爪部72bの第2被抜け止め部68bは、リテーナ60が配管挿入口38に向かって動いた場合に、第2装着部28bの第2抜け止め部27bに当接してリテーナ60の装着が外れないようにされる。第1被係止面65aと第1被抜け止め部68aの軸方向距離は、装着部28の軸方向距離より小さい。すなわち、爪部72は装着部28に遊嵌されており、装着状態においてリテーナ60は装着部28と爪部72との隙間分だけ軸方向に移動可能である。
【0039】
図7に示すように、爪部72の内側には保持部67が配置され、保持部67は周方向に突部30と交互に配置され、突部30と軸方向に重複して配置されている。また第1爪部72aと第2爪部72bとの間の領域に、第1突部30aが配置されている。第1突部30aと第1延在部66aは一部が対向するように配置されている。第1先端部69aは、保持部67より配管挿入方向の奥側に位置している。
【0040】
図9は、実施形態に係る管継手20に配管50を挿入した状態を示す斜視図である。また図10は図9に示すC−C線における断面図であり、図11は図9に示すD−D線における断面図である。また、図12は図11に示すE−E線における断面図である。図9に示すように配管50の接続状態において張出部52が管継手20の内部で保持されている。
【0041】
図10および図12では、突部30の平面部と張出部52の平坦部54と接触している状態が示されている。配管50に対して管継手20を接続する際に、突部30の平面部と平坦部54とを接触させることで、配管50に対する管継手20の基準状態からの回転ズレを小さくし、管継手20およびバルブ10が大きく傾いた状態で配管50に組み付けられないようにする。なお、突部30の平面部と平坦部54とが平行な状態を基準状態とし、基準状態ではバルブ10が所望の非傾斜状態にある。
【0042】
第1突部30aと第2突部30bとの径方向距離が、第1平坦部54aと第2平坦部54bとの径方向距離より、微少に所定値だけ大きくてよい。また張出部52の平坦部54が形成されていない部分の外径は、第1突部30aと第2突部30bとの径方向距離より大きい。この場合であっても、配管50に対して管継手20が挿入される際には、平坦部54の端部に対して突部30の平面部が接触して、管継手20およびバルブ10が基準状態から大きく傾いて配管50に組み付けられないようにすることができる。また配管50と管継手20の接続を容易にすることができる。
【0043】
接続状態において突部30の平面部と平坦部54は常に接触してもよい。この場合、第1突部30aと第2突部30bとの径方向距離が、第1平坦部54aと第2平坦部54bとの径方向距離と同じであるか、微少に所定値だけ小さくなるよう設定される。これにより、突部30の平面部と平坦部54とが密着して、いっそう確実に管継手20およびバルブ10が傾いた状態で配管50に組み付けられないようすることができる。
【0044】
図12に示すように、車両に振動などによって管継手20と配管50とが相対回転しようとした場合、張出部52の平坦部54の端部が突部30の平面部に当接して、基準状態からの相対回転を抑えることができる。
【0045】
図11に示すように張出部52は保持部67に保持されているものの、爪部72は拡開可能に構成されているため、爪部72が拡開した場合に、張出部52が保持部67から外れて、配管挿入方向に動く可能性がある。図10に示すように、第1先端部69aと第2先端部69bの最短距離は、張出部52の外径より小さい。したがって、張出部52が保持部67から外れて、配管50が配管挿入方向に動こうとしても、張出部52が先端部69に当接し、配管50の動きを制限することができる。これにより、配管50の配管挿入方向に動きにより脚部64が大きく拡開して塑性変形することを防ぐことができる。
【0046】
以上のように、管継手20において、平坦部54と突部30の平面部により基準状態からの相対回転を抑えることができる。リテーナ60が管継手本体21に対して移動可能に構成されている場合、リテーナ60により相対回転を抑える構造と比べて、管継手本体21により相対回転を抑えることで相対回転方向のガタツキを抑えることができる。そしてガタツキを抑えることで、振動や騒音の発生を抑えることができる。
【0047】
本発明は上述の各実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施例に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施例も本発明の範囲に含まれうる。
【0048】
実施形態では、管継手20により配管50とバルブ10を接続する態様を示したが、配管50をバルブ10以外のものに接続してもよい。バルブ10の代わりに管継手20の第2筒部24に別種類のバルブや配管を設けて、第2筒部24の内部と別種類のバルブ等を連通状態にすることで実現できる。
【0049】
実施形態の図1では、配管50を燃料タンク12の外部まで延在する態様を示したが、配管50は、短い管状の部品であってよい。つまり、配管50は管状の部材に張出部52および平坦部54が形成されたものであればよく、その一端は管継手20に接続するための張出部52を有し、他端はゴム管に接続するための結合部を有していてもよい。
【0050】
実施形態では、先端部69が延在部66に設けられている態様を示したが、先端部69は、円環部62の先端側の側面であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 バルブ、 12 燃料タンク、 14 液体燃料、 16 固定部材、 18 バルブ装置、 20 管継手、 21 管継手本体、 22 第1筒部、 24 第2筒部、 25a,25b 第1および第2係止部、 26 フランジ部、 27a,27b 第1および第2抜け止め部、 28a,28b 第1および第2装着部、 30a,30b 第1および第2突部、 34 シールリング保持部、 35 段部、 36 シールリング、 38 配管挿入口、 50 配管、 52 張出部、 54a,54b 第1および第2平坦部、 60 リテーナ、 62 円環部、 64a,64b 第1および第2脚部、 65 被係止面、 66a,66b 第1および第2延在部、 67a,67b 第1および第2保持部、 69a,69b 第1および第2先端部、 70 大径部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部に平坦部を有する張出部を形成された配管の端部が挿入される管継手本体と、
前記管継手本体の内部に装着され、前記配管を保持するリテーナと、を備え、
前記リテーナは、円環部と、前記円環部から延出して前記張出部を保持する保持部と、前記円環部と前記保持部の間に設けられる先端部と、を有し、
前記管継手本体は、前記リテーナを装着する装着部と、シールリングを保持するシールリング保持部と、前記張出部の前記平坦部と接触するように形成された平面部と、を有することを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記先端部は、前記円環部の一部から前記保持部の方向に延在する延在部により形成され、配管挿入方向の前記配管の動きを制限可能であり、配管挿入方向の前記配管の動きに対して前記張出部に当接することで前記配管の動きを制限することを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記延在部は、他よりも外径が大きく形成されている部分を有することを特徴とする請求項2に記載の管継手。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の管継手を備えるバルブ装置であって、
前記管継手は、前記配管とバルブを接続することを特徴とするバルブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−107704(P2012−107704A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257120(P2010−257120)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000124096)株式会社パイオラックス (331)
【Fターム(参考)】