説明

管継手取付方法、および分岐管用管継手構造

【課題】分岐管を作業効率よく管に取り付けるための管継手取付方法、および分岐管用管継手構造を提供すること。
【解決手段】本管100に形成された孔50を一部拡大するための凹部30を孔50に形成する凹部形成工程と、孔50に形成された凹部30を通過させて鍔部11aを本管100内へ挿入する鍔部挿入工程と、鍔部11aが本管100内へ挿入された継手本体11に、押さえ板12を貫装させる押さえ板取付工程と、継手本体11に取り付けられた押さえ板12と、本管100内へ挿入された鍔部11aとで本管100の壁面を挟持して締め付ける管締付工程とを備える管継手取付方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管に分岐管を接続するための管継手取付方法、および分岐管用管継手に関する。さらに詳しくは、本発明は、ガス導管、上下水道管などの既設本管に対して分岐管を接続するのに好適な管継手取付方法、および分岐管用管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス導管、上下水道管などの主として地中に埋設されている管(本管)に分岐管を接続する場合、例えば、本管と連通させるための孔を本管に開けて、分岐管の端部を直接その孔に合わせて本管外周面に溶接固定する方法もある。しかしながら、分岐管を本管に溶接固定するこの方法では、溶接作業に手間がかかると共に、接続対象の本管内面にライニングが施されている場合にはライニングを加熱して損傷させてしまう場合がある。
そのため溶接固定せずに分岐管を本管に接続するための方法として、下記のような分岐管と本管との間に配設される管継手を用いる技術が提案されている。
【0003】
従来、本管内に挿入された継手受け具と支持部材とで本管を挟持して本管に取り付ける構造を備えた分岐管接続用管継手に関する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の分岐管接続用管継手は、本管に形成された長円形または楕円形の分岐孔から本管内に挿入して本管の分岐孔まわりの内周面に対向させる継手受け具と、分岐孔まわりの外周面に対向させた支持部材とをビスで止着し、支持部材に取り付けた押圧ボルトを本管外周面に押圧させることにより、継手受け具を本管内周面に圧接固定すると共に、継手受け具に貫設したネジ孔に継手本体を螺着させる管継手である。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2556296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された分岐管を接続するための分岐管接続用管継手を本管に取り付ける場合、この特許文献1にも記載されているように、本管に対して、長円形または楕円形の分岐孔を予めあけておく必要がある。しかし、現場で、長円形または楕円形の分岐孔を本管に形成することは容易でなく、非常に手間がかかる作業となる。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、分岐管を作業効率よく管に取り付けるための管継手取付方法、および分岐管用管継手構造を提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明に係る管継手取付方法は、管に分岐管を接続するための管継手取付方法に関する。そして、本発明に係る管継手取付方法は、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明の管継手取付方法は、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る管継手取付方法における第1の特徴は、鍔部を有する継手本体と当該継手本体に取り付ける押さえ板とを具備する分岐管用管継手を管に形成された孔に取り付ける管継手取付方法であって、前記管に形成された前記孔を一部拡大するための凹部を前記孔に形成する凹部形成工程と、前記孔に形成された前記凹部を通過させて前記鍔部を前記管内へ挿入する鍔部挿入工程と、前記鍔部が前記管内へ挿入された前記継手本体に、前記押さえ板を貫装させる押さえ板取付工程と、前記継手本体に取り付けられた前記押さえ板と、前記管内へ挿入された前記鍔部とで前記管の壁面を挟持して締め付ける管締付工程と、を備えていることである。
【0009】
この構成によると、管の孔に容易に形成できる上記凹部から継手本体の鍔部を管内に挿入し、挿入した鍔部と押さえ板とで管の壁面を挟持して締め付けることで孔径よりも大きい寸法の鍔部を備えた分岐管用管継手を管に確実に固定することができ、鍔部を管内面に強く密着させることができる。すなわち、管に対して、例えば円状の孔が形成されていたとしても、上記凹部を利用することで作業効率よくかつ確実に分岐管用管継手を管に取り付けることができ、その結果、管内に圧力が作用しても分岐管用管継手に抜け出しが生じることがない。そして、鍔部と管内面との間の高い気密・水密性が確保される。これにより、管内を高圧で流体が流れても、管に形成された孔から流体が漏出することがない。
【0010】
また、本発明に係る管継手取付方法における第2の特徴は、前記凹部形成工程は、円弧状の前記凹部を前記孔の周上における相互に対向する位置に2つ形成することである。
【0011】
この構成によると、1つ当たりの凹部寸法を小さくすることが可能となり、管と継手本体との間のシール性が向上する。また、円弧状の凹部は、入手し易い一般のドリルなどの工具を用いて容易に形成でき、作業効率がさらに向上する。
【0012】
また、本発明に係る管継手取付方法における第3の特徴は、前記継手本体は筒状部を有し、前記押さえ板は環状の形態を有し、前記筒状部の外周面および前記押さえ板の内周面には各々ネジ部が形成され、前記押さえ板取付工程は、前記押さえ板を前記筒状部にねじ込むことにより、前記押さえ板を前記継手本体に取り付ける工程であり、前記管締付工程は、前記継手本体に取り付けられた前記押さえ板を前記筒状部にさらにねじ込むことにより、前記鍔部と前記押さえ板とで前記管の壁面を挟持して締め付ける工程であることである。
【0013】
この構成によると、押さえ板を筒状部にねじ込むことにより、押さえ板と継手本体との連結、および継手本体の鍔部と押さえ板とによる管壁面の挟持をいずれも行うことができる。すなわち、筒状部の外周面および押さえ板の内周面に形成されたネジ部を、押さえ板取付工程、管締付工程において兼用することができ、作業効率がさらに向上する。
【0014】
また、本発明に係る管継手取付方法における第4の特徴は、前記分岐管用管継手を内周面にライニング層が形成された前記管に取り付けることである。この構成によると、ライニング層を有する管であっても管内周面とライニング層との間の隙間に管内を流通する流体が浸入することがなく、また管に形成された孔から流体が漏出することがない。
【0015】
また、本発明に係る分岐管用管継手構造は、管に分岐管を接続するための分岐管用管継手構造に関する。そして、本発明に係る分岐管用管継手構造は、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明の分岐管用管継手構造は、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
【0016】
上記目的を達成するための本発明に係る分岐管用管継手構造における第1の特徴は、管に形成された孔に取り付ける分岐管用管継手構造であって、鍔部を有する継手本体と、前記継手本体に取り付ける押さえ板と、を備え、前記管の前記孔には、前記孔を一部拡大する凹部が形成され、前記凹部を通過させて前記鍔部を前記管内へ挿入し、挿入した前記鍔部と前記継手本体に貫装された前記押さえ板とで前記管の壁面を挟持して締め付けることである。
【0017】
この構成によると、管の孔に容易に形成できる上記凹部から継手本体の鍔部を管内に挿入し、挿入した鍔部と押さえ板とで管の壁面を挟持して締め付けることで孔径よりも大きい寸法の鍔部を備えた分岐管用管継手を管に確実に固定することができ、鍔部を管内面に強く密着させることができる。すなわち、管に対して、例えば円状の孔が形成されていたとしても、上記凹部を利用することで作業効率よくかつ確実に分岐管用管継手を管に取り付けることができ、その結果、管内に圧力が作用しても分岐管用管継手に抜け出しが生じることがない。そして、鍔部と管内面との間の高い気密・水密性が確保される。これにより、管内を高圧で流体が流れても、管に形成された孔から流体が漏出することがない。
【0018】
また、本発明に係る分岐管用管継手構造における第2の特徴は、前記凹部は、円弧状であって前記孔の周上における相互に対向する位置に2つ形成されていることである。
【0019】
この構成によると、1つ当たりの凹部寸法を小さくすることが可能となり、管と継手本体との間のシール性が向上する。また、円弧状の凹部は、入手し易い一般のドリルなどの工具を用いて容易に形成でき、作業効率がさらに向上する。
【0020】
また、本発明に係る分岐管用管継手構造における第3の特徴は、前記継手本体は筒状部を有し、前記押さえ板は環状の形態を有し、前記筒状部の外周面および前記押さえ板の内周面には各々ネジ部が形成され、前記押さえ板を前記筒状部にねじ込むことにより前記押さえ板を前記継手本体に取り付け、且つ分岐管を前記筒状部にねじ込むことにより前記分岐管を前記継手本体に取り付けることである。
【0021】
この構成によると、筒状部の外周面に形成されたネジ部を、押さえ板と継手本体との取り付け、継手本体と分岐管との接続に兼用することができ、作業効率がさらに向上する。
【0022】
また、本発明に係る分岐管用管継手構造における第4の特徴は、前記鍔部と前記管内周面との間に装着されるパッキンを備えていることである。この構成によると、管と継手本体との間のシール性が向上する。
【0023】
また、本発明に係る分岐管用管継手構造における第5の特徴は、前記管の内周面にライニング層が形成されていることである。この構成によると、管内周面とライニング層との間の隙間に管内を流通する流体が浸入することがなく、また管に形成された孔から流体が漏出することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明の管継手取付方法、および分岐管用管継手構造は、ガス導管、上水道管、農業用水管などの内圧が作用する管に対して分岐管を接続するのに好適な技術であるが、これら用途の管に限られることはなく、他の用途の鋼管、鋳鉄管など、各種管に対して適用できる技術である。また、分岐管用管継手を取り付ける対象となる管は、本管(メイン管)でもあっても、分岐管(枝管)であってもよい。
【0025】
<第1実施形態>
図1は、本管100に形成された孔50に取り付けられた本発明の第1実施形態に係る分岐管用管継手1を示す平面図である。図2は、図1に示す分岐管用管継手1のA−A断面図である。尚、図1については、線の錯綜を避けるため分岐管用管継手1の一部部材の記載を省略している。本管100の内面には、熱可塑性樹脂パイプ、繊維強化された熱可塑性樹脂パイプ、繊維に熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を含浸硬化させてなるパイプなどのライニング層が形成されている。
【0026】
図1および図2に示すように、本実施形態の分岐管用管継手1は、本管100に形成された孔50に取り付ける分岐管用管継手1であって、継手本体11と、継手本体11が貫装された押さえ板12と、継手本体11に挿入し本管100の外周面100bに当接した外部補強板14と、継手本体11に挿入し継手本体11の鍔部11aと本管100の内周面100aとの間に装着されたパッキン15、17、および内部補強板16と、継手本体11と孔50との間の隙間に配置されたスペーサーリング18と、押さえ板12にねじ込まれた複数のボルト13とを備えている。
【0027】
継手本体11は、筒状部11bと筒状部11bの一端に形成された鍔部11aとからなる。筒状部11bの外周面には、鍔部11aに対向する側の筒状部11bの他端から鍔部11aへ向かって、ネジ部が形成されている。鍔部11aは、本管100の内周面100aに沿うよう曲げ加工され本管100内周面100aに対して面接触するような形態としている。押さえ板12は、環状の平らな板材であり、その内周面にはネジ部が形成されている。また、押さえ板12には、その外周方向に沿ってボルト13をねじ込むためのネジ孔が6箇所形成されている。押さえ板12を筒状部11bの外周面に形成されたネジ部にねじ込むことにより、押さえ板12を継手本体11に取り付け、本管100に接続する分岐管101を筒状部11bの上記ネジ部にねじ込むことにより、分岐管101を継手本体11に取り付ける。すなわち、筒状部11bの外周面に形成されたネジ部を、押さえ板12と継手本体11との取り付け、継手本体11と分岐管101との接続に兼用することができる。
【0028】
本管100には、円状の孔50が形成され、孔50の円周上には、孔50の一部を外側に拡径する円弧状の凹部30が相互に対向するように、孔50に沿って2つ形成されている。継手本体11の鍔部11aの外径Dは、凹部30によって拡径された部分の孔50の幅Lよりも小さいが、孔50の径よりも大きく、継手本体11は孔50から真っすぐ引き抜くことができない状態になっている。
【0029】
外部補強板14は、環状の板材であって、本管100の外周面100bの曲面に沿うよう曲げ加工され本管100外周面100bに対して面接触するような形態である。外部補強板14は、ボルト13の押圧力をできるだけ均等に本管100の外周面100bに対して作用させるとともに、管継手が取り付けられる本管100の壁面を補強するための部材である。
【0030】
パッキン15、内部補強板16、およびパッキン17は、この順に、本管100内周面100aから鍔部11aへ向かって重ねて配置されている。パッキン15、17は、板状のゴム製パッキンであり外周は矩形状に内周は円状に形成されている。パッキン15、17の素材、形状はこれらに限定されるものではなく、樹脂製、金属製、Oリング状、環状等、いずれを使用しても良い。また、内部補強板16も同様、その形状は板状であって、外周は矩形状に内周は円状に形成されている。さらに、内部補強板16は、本管100の内周面100aに沿うよう曲げ加工され本管100内周面100aに対して面接触するような形態で、パッキン15と本管100内面、パッキン17と鍔部11aの間を強く密着させるための部材である。パッキン15、17、および内部補強板16の幅Wは、凹部30によって拡大された孔50の幅Lよりも短く、長辺W’は、幅Lよりも十分に長い。
【0031】
スペーサーリング18は、継手本体11の筒状部11bに遊嵌された環状部材であって、本管100の周方向に沿うよう曲げ加工されている。このスペーサーリング18は、継手本体11が孔50の内部で本管100の壁面に沿う方向に移動しないように位置決めするための部材である。継手本体11、押さえ板12、外部補強板14、内部補強板16、スペーサーリング18、およびボルト13の材料は、例えば、炭素鋼やステンレス材である。
【0032】
筒状部11bにねじ込むことにより固定した押さえ板12にボルト13をねじ込んで、ボルト13の端部で外部補強板14を介して本管100外周面100bを押圧する。ボルト13の端部で外周面100bを押圧することで、押さえ板12と鍔部11aとで本管100の壁面を挟持して締め付け、これにより分岐管用管継手1が本管100に形成された孔50に強固に取り付けられる。
【0033】
次に、分岐管用管継手1を本管100に取り付ける方法について詳述する。図3は、本管100に形成された孔50を示す平面図である。図4は、本管100に形成された孔50に継手本体11の鍔部11aを挿入していく状態を示す図3のC−C断面図である。図5は、本管100に形成された孔50に継手本体11の鍔部11aを挿入していく状態を示す斜視図である。また、図6は、本管100に形成された孔50に内部補強板16を挿入していく状態を示す斜視図である。
【0034】
図3に示すように、まず、本管100の分岐をとりたい位置に円状の孔50を形成する。尚、孔50の形状は、円状に限られるものではない。次に、本管100に形成された孔50を一部拡大するための円弧状の凹部30を孔50の相互に対向する位置に2つ形成する(凹部形成工程)。ここに、前記した特許文献1に記載された技術では、本管100に対して、加工に手間がかかる長円形または楕円形の分岐孔を予め開けておく必要があった。一方、本発明によると、容易に形成することができる円状の孔50を本管に設けておけば、後述するように、分岐管用管継手1を本管100に取り付けることが可能である。すなわち凹部形成工程により形成された上記凹部を利用することで作業効率よく分岐管用管継手1を本管100に取り付けることができ、その結果、分岐管101を作業効率よく本管100に取り付けることができるのである。尚、凹部30によって拡大された部分の孔50の幅Lが、継手本体11の鍔部11aの外径Dよりも大きければ、鍔部11aを本管100内へ挿入できるため、凹部30を1つだけ形成してもよい。本実施形態のように凹部30を2つ形成することで、1つ当たりの凹部寸法を小さくすることが可能となり、本管100と継手本体11との間のシール性が向上する。また、円弧状の凹部30は、入手し易い一般のドリルなどの工具を用いて容易に形成でき、作業効率がさらに向上する。
【0035】
次に、孔50に形成された凹部30を用いて鍔部11aを本管100内へ挿入する(鍔部挿入工程)。鍔部挿入工程においては、図4および図5に示すように、鍔部11aが凹部30を通過するようにして、鍔部11aを本管100に形成された孔50へ適宜傾けながら挿入していく。パッキン15、17、および内部補強板16は、幅Wの側縁部から適宜傾けながら本管100内へ挿入し、本管100の内部で筒状部11bに遊嵌させる。このとき、継手本体11をヒモ等で宙釣りできるようにしておくと、継手本体11を一時的に本管100内に落とし込むことができ、パッキン15等を筒状部11bに遊嵌させやすい。例えば内部補強板16を本管100に形成された孔50に挿入していく状態を図6に示した(宙釣り手段は図示せず)。凹部30の寸法は、鍔部11a、パッキン15、17、および内部補強板16の厚さ、孔50の径、ならびに筒状部11bの外径などを考慮して適宜決定される。
【0036】
次に、図2に示すように、スペーサーリング18を、継手本体11の筒状部11bに挿入して、本管100の孔50と筒状部11bの外周面との間の隙間に配置し、外部補強板14を、筒状部11bに挿入して、本管100の外周面100bに当接させる。その後、鍔部11aが本管100内へ挿入された継手本体11に、押さえ板12を貫装させる(押さえ板取付工程)。押さえ板取付工程においては、押さえ板12を筒状部11bにねじ込むことにより、押さえ板12を継手本体11に貫装させる。
【0037】
次に、継手本体11に取り付けられた押さえ板12と、本管100内へ挿入された鍔部11aとで本管100の壁面を挟持して締め付ける(管締付工程)。管締付工程においては、継手本体11に取り付けられた押さえ板12にボルト13をねじ込み、ボルト13の端部で外部補強板14を介して本管100外周面100bを押圧する。ボルト13の端部で外周面100bを押圧することで、押さえ板12と鍔部11aとで本管100の壁面を挟持して締め付けることになる。押さえ板12と鍔部11aとで本管100の壁面を挟持して締め付けることにより分岐管用管継手1が本管100に形成された孔50に強固に取り付けられるとともに、パッキン15、17が十分に圧縮され、継手本体11と本管100との間の気密・水密性が確保される。その後、分岐管101を筒状部11bにねじ込むことにより分岐管101を継手本体11に取り付け、分岐管用管継手1を介して本管100に接続する。
【0038】
φ150の鋼管(本管)に形成された孔に、本実施形態の分岐管用管継手1を取り付けて内水圧試験を行ったところ、3MPaの水圧を5分間作用させても、分岐管用管継手1の取付部から漏水が発生しないという結果が得られており、水道管路や農業用水管路への十分な適用性を確認することができた。
【0039】
<第2実施形態>
図7は、本発明の第2実施形態に係る分岐管用管継手2を示す図である。図7(a)は、分岐管用管継手2の図2に相当する断面図であり、図7(b)は、図7(a)のE方向から見た押さえ板12’および外部補強板14’の図である。分岐管用管継手2の説明においては、第1実施形態の分岐管用管継手1と同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0040】
図7(a)に示すように、継手本体11’の筒状部11’bは、鍔部11aに対向する側の筒状部11’bの端部から鍔部11aへ向かって形成されたネジ部が、分岐管用管継手1の筒状部11bよりも、鍔部11aに対してより近い側まで長く形成されている。また、押さえ板12’は、分岐管用管継手1の押さえ板12と異なり、ボルトをねじ込むためのネジ孔が形成されていない。そのため、分岐管用管継手2はボルトを具備しない。また、図7(b)に示すように、押さえ板12’と外部補強板14’とが接する外部補強板14’の面は、外部補強板14’が押さえ板12’に面接触するように平坦に形成されている。尚、上記外部補強板14’の面は、必ずしも平坦である必要はなく本管100の外周面100bに沿うような曲面であってもよい。すなわち、外部補強板14’は、外部補強板14のようにほぼ厚みが一定の板材を曲げ加工して形成したものであってもよい。
【0041】
ここで、分岐管用管継手2を本管100に取り付ける際の管締付工程においては、継手本体11’に取り付けられた押さえ板12’を継手本体11’の筒状部11’bにさらにねじ込むことにより、鍔部11aと押さえ板12’とで本管100の壁面を挟持して締め付ける。すなわち、押さえ板12’を筒状部11’bにねじ込むことにより、押さえ板12’と継手本体11’との連結、および鍔部11aと押さえ板12’とによる本管100壁面の挟持をいずれも行うことができる。したがって、押さえ板12’の内周面に形成されたネジ部を、押さえ板取付工程、管締付工程において兼用することができるので、第1実施形態の分岐管用管継手1で必要となる複数のボルトのねじ込み作業が不要となり、作業効率がさらに向上する。尚、外部補強板14’の製作は、通常、工場で行うことになるので、現場作業への影響はない。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することが可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本管に形成された孔に取り付けられた本発明の第1実施形態に係る分岐管用管継手を示す平面図である。
【図2】図1に示す分岐管用管継手のA−A断面図である。
【図3】本管に形成された孔を示す平面図である。
【図4】本管に形成された孔に継手本体の鍔部を挿入していく状態を示す図3のC−C断面図である。
【図5】本管に形成された孔に継手本体の鍔部を挿入していく状態を示す斜視図である。
【図6】本管に形成された孔に内部補強板を挿入していく状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る分岐管用管継手を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1:分岐管用管継手
11:継手本体
11a:鍔部
12:押さえ板
30:凹部
50:孔
100:本管
101:分岐管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍔部を有する継手本体と当該継手本体に取り付ける押さえ板とを具備する分岐管用管継手を管に形成された孔に取り付ける管継手取付方法であって、
前記管に形成された前記孔を一部拡大するための凹部を前記孔に形成する凹部形成工程と、
前記孔に形成された前記凹部を通過させて前記鍔部を前記管内へ挿入する鍔部挿入工程と、
前記鍔部が前記管内へ挿入された前記継手本体に、前記押さえ板を貫装させる押さえ板取付工程と、
前記継手本体に取り付けられた前記押さえ板と、前記管内へ挿入された前記鍔部とで前記管の壁面を挟持して締め付ける管締付工程と、を備えていることを特徴とする、管継手取付方法。
【請求項2】
前記凹部形成工程は、円弧状の前記凹部を前記孔の周上における相互に対向する位置に2つ形成することを特徴とする、請求項1に記載の管継手取付方法。
【請求項3】
前記継手本体は筒状部を有し、
前記押さえ板は環状の形態を有し、
前記筒状部の外周面および前記押さえ板の内周面には各々ネジ部が形成され、
前記押さえ板取付工程は、前記押さえ板を前記筒状部にねじ込むことにより、前記押さえ板を前記継手本体に取り付ける工程であり、
前記管締付工程は、前記継手本体に取り付けられた前記押さえ板を前記筒状部にさらにねじ込むことにより、前記鍔部と前記押さえ板とで前記管の壁面を挟持して締め付ける工程であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の管継手取付方法。
【請求項4】
前記分岐管用管継手を内周面にライニング層が形成された前記管に取り付けることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の管継手取付方法。
【請求項5】
管に形成された孔に取り付ける分岐管用管継手構造であって、
鍔部を有する継手本体と、
前記継手本体に取り付ける押さえ板と、を備え、
前記管の前記孔には、前記孔を一部拡大する凹部が形成され、
前記凹部を通過させて前記鍔部を前記管内へ挿入し、挿入した前記鍔部と前記継手本体に貫装された前記押さえ板とで前記管の壁面を挟持して締め付けることを特徴とする、分岐管用管継手構造。
【請求項6】
前記凹部は、円弧状であって前記孔の周上における相互に対向する位置に2つ形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の分岐管用管継手構造。
【請求項7】
前記継手本体は筒状部を有し、
前記押さえ板は環状の形態を有し、
前記筒状部の外周面および前記押さえ板の内周面には各々ネジ部が形成され、
前記押さえ板を前記筒状部にねじ込むことにより前記押さえ板を前記継手本体に取り付け、且つ分岐管を前記筒状部にねじ込むことにより前記分岐管を前記継手本体に取り付けることを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載の分岐管用管継手構造。
【請求項8】
前記鍔部と前記管内周面との間に装着されるパッキンを備えていることを特徴とする、請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の分岐管用管継手構造。
【請求項9】
前記管の内周面にライニング層が形成されていることを特徴とする、請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の分岐管用管継手構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−14050(P2009−14050A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174755(P2007−174755)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【出願人】(392008884)芦森エンジニアリング株式会社 (36)
【Fターム(参考)】