説明

管路内作業に用いられる索条のための索条ガイド

【課題】管路清掃に用いられる索条を管路の開口部にて案内できることは勿論、管路の開口部にて簡単に設置することのできる索条ガイドを簡単な構成によって提供すること。
【解決手段】管路200内の索条310を引く際に使用される索条ガイド100であって、
管路200の開口部210に設置される本体部10と、この本体部10に設けた固定部20と、この固定部20に取り付けたガイドローラ30とを備えたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、索条ガイドに関し、特に、下水等の液体の流路として使用される管路内の清掃作業等の各種作業に用いられる索条のための索条ガイドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、下水や工業用水等の液体の流路として使用される管路には種々なものがあるが、一般的には、その中に人が入って清掃作業や点検作業ができる程太くはない。しかしながら、これらの管路の清掃作業や点検作業等の各種作業は欠かすことはできない。
【0003】
このような細い管路内の清掃作業や点検作業等の各種作業を行うものとして、例えば、特許文献1にて提案されているようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−148886号公報、要約
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1にて提案されている「暗渠水路清掃用水中ロボツトの搬出入装置」は、「天井高さが水中ロボットの長さに近いような低天井の暗渠でも水中ロボットを迅速、適確かつ安全にマンホールに搬入出することができる暗渠水路清掃用水中ロボットの搬入出装置を提案する」を目的としてなされたもので、図7にも示すように、「暗渠のマンホール1上に立設された支持フレーム2と、上記支持フレーム2及びマンホール直下の竪孔の上流端の壁面に沿って鉛直下方に延び下端部が下流方向へ向かって湾曲するガイドレール3,4と、上記ガイドレール3,4の湾曲下端部4に沿って摺動可能に係合した可動湾曲レール6と、上記支持フレーム2及び竪孔の下流端の壁面に沿って鉛直下方に布設された直線状レール5と、上記直線状レール5に沿って昇降するケーブルガイド14とを具えたこと」を特徴とするものである。
【0006】
つまり、この特許文献1にて提案されている「暗渠水路清掃用水中ロボツトの搬出入装置」では、「直線状レール5」を鉛直下方に布設しなければならないし、この直線状レール5に沿って昇降するケーブルガイド14とを具えなければならないのであるが、その理由は、「暗渠」内の清掃を行う水中ロボットを「ワイヤロープ12」によってマンホールに搬入出しなければならないからである。
【0007】
しかしながら、これらの「直線状レール5」、及びこれに沿って昇降する「ケーブルガイド14」は、それぞれのマンホールや、これに連なる暗渠の形状や大きさに合わせなければならないものであり、各マンホール毎に設置しなければならない。
【0008】
例えば、下水用の管路について見てみると、その複数の接続や各管路内の点検等のために、一般的には、20m前後の間隔でマンホールが形成されていて、このマンホール内に開口している管路の径も異なる場合がある。そのような多数のマンホールについて、しかも径も異なる管路の清掃や点検のために、言わば固定的な「直線状レール5」や「ケーブルガイド14」をマンホール毎に設置することは、殆ど不可能に近いし、「直線状レール5」や「ケーブルガイド14」をマンホール毎に使い回ししようとすれば、作業に相当の時間が掛かると思われる。
【0009】
勿論、垂直に掘られたマンホールの外側から、水平に近い状態で設置されている暗渠内の「暗渠水路清掃用水中ロボツト」を「ワイヤーロープ12」だけで引き出そうとすれば、この「ワイヤーロープ12」が暗渠入り口に引っ掛かってしまう。
【0010】
そこで、本発明者等は、マンホールに連なった管路の開口部にて簡単に設置できて、ケーブルやワイヤ等の索条を管路の開口部にて簡単に案内するにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0011】
すなわち、本発明の第1に目的とするところは、管路清掃に用いられる索条を管路の開口部にて案内できることは勿論、管路の開口部にて簡単に設置することのできる索条ガイドを簡単な構成によって提供することにある。
【0012】
また、本発明の第2に目的とするところは、管路の開口部の大きさが異なっても簡単に設置することのできる索条ガイドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「管路200内の索条310を引く際に使用される索条ガイド100であって、
管路200の開口部210に設置される本体部10と、この本体部10に設けた固定部と、この固定部20に取り付けたガイドローラ30とを備えたことを特徴とする管路清掃に用いられる索条310のための索条ガイド100」
である。
【0014】
すなわち、この索条ガイド100は、図1に示すように、管路200内に配置した例えば清掃具300を、これに連結した索条310によって引き込む際に使用されるものであり、図1及び図7に示すように、管路200の開口部210に設置される本体部10と、この本体部10に設けた固定部20と、この固定部20に取り付けたガイドローラ30とを備えたものである。
【0015】
また、この索条ガイド100の全体の大きさは、図1にも示すように、これを作業者がマンホール400内に持ち込める程度のものであり、本体部10と固定部20との間隔は、これらの本体部10及び固定部20を同時に管路200の開口部210に差し込める程度のものである。
【0016】
本体部10は、例えば図1に示すように、固定部20とともに開口部210に単に差し込まれるか、あるいは図示しないネジによって開口部210内に固定されるものであり、これにより、当該索条ガイド100全体は管路200の開口部210に取り付けられる。勿論、このとき、ガイドローラ30は固定部20に取り付けられているから、このガイドローラ30がマンホール400側に露出するようになされる。
【0017】
そこで、図1に示すように、この索条ガイド100のガイドローラ30に、開口部210内に設置した清掃具300に接続してある索条310を係合させるとともに、この索条310の端部をマンホール400外に出して、これを作業者が引き出すか、あるいはマンホール400側に設置してあるウインチ320の作動によって引き出すのである。
【0018】
このとき、当該索条ガイド100には、引き上げられる索条310を介して上方への引っ張り力が加えられるため、当該索条ガイド100を構成している固定部20が管路200の開口部210の内側上面に押し付けられることになり、当該索条ガイド100の開口部210への固定がより一層確実になされることになる。勿論、引き上げようとしている索条310は、ガイドローラ30によって方向が変換されて案内されるから、この索条310が開口部210に引っ掛かることはなく、円滑に引き上げられることになる。
【0019】
従って、この請求項1の索条ガイド100は、管路清掃に用いられる索条310を管路200の開口部210にて案内できることは勿論、管路200の開口部210にて簡単に設置し得るものとなっているのである。
【0020】
上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載の索条ガイド100について、
「固定部20は、本体部10に対して移動可能に設けられていること」
である。
【0021】
この請求項2の索条ガイド100では、その固定部20が本体部10に対して移動可能に設けられているから、当該索条ガイド100を管路200の開口部210に設置するにあたって、これらの本体部10と固定部20との間の間隔を、管路200の内径に合わせることができる。
【0022】
実際の作業では、例えば、図1の右側の管路200の作業が済んだ段階で、これとは内径が異なる左側の管路200内の清掃を行うに当たって、索条ガイド100の固定部20に対して本体部10を移動させて両者の間隔を左側の管路200の内径に合わせればその開口部210への設置ができるから、1箇所のマンホール400内で2本の管路200内の清掃作業が行えることを意味する。
【0023】
従って、この請求項2の索条ガイド100は、上記請求項1のそれと同様な機能を発揮する他、管路200の開口部210の大きさが異なっても簡単に設置することのできるものとなっているのである。
【0024】
また、上記課題を解決するために、請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1または請求項2に記載の索条ガイド100について、
「本体部10を、管路200の開口部210に係止される支持脚部11を備えたものとするとともに、固定部20を、管路200の開口部210に係止される固定脚部21を備えたものとした」
である。
【0025】
この請求項3の索条ガイド100は、まず、その本体部10が、例えば図2〜図4に示すように、管路200の開口部210に係止される支持脚部11を備えているから、この支持脚部11を管路200の開口部210内に単に挿入することによって、当該索条ガイド100の開口部210に対する取り付けが完了し、当該索条ガイド100の開口部210に対する取り付け作業が非常に簡単になっているのである。
【0026】
そして、この請求項3の索条ガイド100は、その固定部20が、管路200の開口部210に係止される固定脚部21を備えているから、この固定脚部21を管路200の開口部210内に単に挿入することによって、当該索条ガイド100の開口部210に対する取り付けが完了し、当該索条ガイド100の開口部210に対する取り付け作業が非常に簡単になっているのである。
【0027】
従って、この請求項3に係る索条ガイド100は、上記請求項1または請求項2のそれと同様な機能を発揮する他、支持脚部11及び固定脚部21の開口部210内への挿入という簡単な作業で管路200に対する取り付け作業が行えるものとなっているのである。
【0028】
さらに、上記課題を解決するために、請求項4に係る発明の採った手段は、上記請求項3に記載の索条ガイド100について、
「本体部10の支持脚部11に、管路200の開口部210に対し開口する作業空間60を設けたこと」
である。
【0029】
この請求項4に係る索条ガイド100では、図4〜図6に示すように、本体部10の支持脚部11に作業空間60を形成したものであり、この作業空間60から管路200内が十分見えるものとなっているから、管路200内の目視による検査をし易くしているものである。また、この作業空間60は、これに手を掛けたり入れたりすることが容易になっているから、索条ガイド100の自体の位置調整や設置作業のための各種作業をし易くしているものである。
【0030】
さらに、この作業空間60は、図6にも示すように、これから管路200内へ道糸牽引車330を挿入易くしているものである。この道糸牽引車330は、図1の仮想線にて示すように、索条ガイド100側から道糸331を管路200内に引き込むものであり、この道糸牽引車330または道糸331の図示右端に接続した索条310を索条ガイド100を介して図示左方に引く準備をするものである。
【0031】
従って、この請求項4の索条ガイド100は、上記請求項3のそれと同様な機能を発揮する他、作業空間60を利用することによって、目視検査や設置作業等の各種作業がし易くなっているのである。
【0032】
そして、上記課題を解決するために、請求項5に係る発明の採った手段は、上記請求項2〜請求項4のいずれかに記載の索条ガイド100について、
「固定部20をスプリング40を介して本体部10に連結したこと」
である。
【0033】
この請求項5の索条ガイド100において、その固定部20が本体部10に対して移動可能に設けられていて、しかもこれらの本体部10及び固定部20がスプリング40によって連結されているのであるから、本体部10の、管路200の開口部210に対する支持脚部11等の係止部と、固定部20の、管路200の開口部210に対する固定脚部21等の係止部との寸法あるいは距離を、本体部10と固定部20との間に力を加えなければ、スプリング40によって常に一体となるように保ち得るのである。
【0034】
例えば、スプリング40を圧縮スプリングとして、このスプリング40の両側に本体部10と固定部20とを直接的に連結すれば、固定部20は常に一定の付勢力で本体部10から離れるもの、つまり本体部10と固定部20とはその間の距離が大きくなるように付勢される。このため、これら本体部10と固定部20との距離がスプリング40によって管路200の直径よりも常に大きくなるようにしておけば、管路200の開口部210内への挿入時には本体部10と固定部20との距離をスプリング40の付勢力に抗して縮めてやれば挿入が容易になり、かつ挿入後の本体部10と固定部20との縮めを解けば、スプリング40の付勢力によって本体部10及び固定部20が管路200内面にしっかりと当接する。以上の結果、当該索条ガイド100の管路200の開口部210に対する固定がスプリング40の付勢力によって安定した状態で行えるのである。
【0035】
以上とは反対にスプリング40を引っ張りスプリングとした場合は、本体部10の一部に固定部20より高くなる部分を形成しておいて、この部分と固定部20との間にスプリング40を掛装すればよい。この場合も、本体部10と固定部20との距離がスプリング40によって管路200の直径よりも常に大きくなるようにしておけば、管路200の開口部210内への挿入時には本体部10と固定部20との距離をスプリング40の付勢力に抗して縮めてやれば挿入が容易になり、かつ挿入後の本体部10と固定部20との縮めを解けば、スプリング40の付勢力によって本体部10及び固定部20が管路200内面にしっかりと当接する。
【0036】
以上の結果、図1の右側の管路200に対する作業後に、左側の管路200について作業を行う場合、左右の管路200またはその開口部210の径が異なっていたとしても、スプリング40が存在することによって、径の変化に自由に対処できることになるのである。勿論、このスプリング40としては、「スプリング機能」を有するものであれば、所謂「ゴム紐」のようなものであってもよいものである。
【0037】
従って、この請求項5の索条ガイド100は、上記請求項2〜4のいずれかのそれと同様な機能を発揮する他、当該索条ガイド100の管路200の開口部210に対する固定がスプリング40の付勢力によって安定した状態で行えるだけでなく、管路200の径が異なってもこれに確実に設置し得るものとなっているのである。
【発明の効果】
【0038】
以上、説明した通り、本発明においては、
「管路200内の索条310を引く際に使用される索条ガイド100であって、
管路200の開口部210に設置される本体部10と、この本体部10に設けた固定部20と、この固定部20に取り付けたガイドローラ30とを備えたこと」
にその構成上の主たる特徴があり、これにより、管路清掃に用いられる索条310を管路200の開口部210にて案内できることは勿論、管路200の開口部210にて簡単に設置することのできる索条ガイド100を簡単な構成によって提供することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る索条ガイド100を使用して管路200内の清掃作業を行っている様子を示す縦断面図である。
【図2】同索条ガイド100の拡大側面図である。
【図3】同索条ガイド100の平面図である。
【図4】同索条ガイド100の正面図である。
【図5】同索条ガイド100の斜視図である。
【図6】同索条ガイド100を管路200の開口部210の設置した様子を示す部分斜視図である。
【図7】特許文献1の技術を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
次に、上記のように構成した各請求項に係る発明を、図面に示した実施の形態である索条ガイド100について説明するが、この実施形態の索条ガイド100は、上記各請求項に係る発明の全てを含むものである。
【0041】
この索条ガイド100は、図1に示したように、例えば管路200内の清掃を行う清掃具300を索条310を介してウインチ320によって引き出すに当たって、この索条310の案内を行うものであり、管路200の、マンホール400内に開口している開口部210に設置されるものである。
【0042】
索条310は、図1に示したマンホール400と、このマンホール400に管路200を介して連なる図示しないマンホール400との間の管路200内に通さなければならないが、そのために、図1中の仮想線にて示した道糸331とこれを通すための道糸牽引車330が使用される。
【0043】
すなわち、この道糸牽引車330は、図1中に示したマンホール400から管路200内に道糸331を引き込んで、図示しないマンホール400に向けて走行し、この図示しないマンホール400に道糸331の先端を臨ませる。この際に、索条ガイド100が既に管路200の開口部210に設置してあることがあるが、実施形態の索条ガイド100には、図6に示したように作業空間60が形成してあるから、この作業空間60を通して道糸牽引車330が管路200内に挿入されるのである。
【0044】
図示しないマンホール400内に臨んだ道糸331には索条310が接続されるのであるが、この接続後、道糸331が引かれることによって、索条310の端部が、図1に示したマンホール400内に臨むことになるのである。この道糸331は、ウインチ320によって索条310を引きながら巻き取られることもあるが、その際に本発明に係る索条ガイド100が道糸331の案内のために使用されることもある。そして、索条310は、索条ガイド100に掛けられながら端部にてウインチ320に接続され、図示しないマンホール400側にある索条310の端部には、管路200内の清掃を行う清掃具300が接続されるのである。
【0045】
さて、索条ガイド100であるが、この実施形態の索条ガイド100は、図2〜図5に示したように、本体部10と、この本体部10に組み付けられる固定部20と、この固定部20に設けられて、上述した索条310を直接案内するガイドローラ30と、本体部10と固定部20との間に掛装したスプリング40とを備えている。
【0046】
本体部10は、例えば図2に示したように、当該索条ガイド100が管路200の開口部210に設置されたとき垂直に立ち上がることになる案内部12と、この案内部12の下端に直交状態で一体化した支持脚部11とを備えたものであり、この支持脚部11については、図3〜図5に示したように、上記案内部12の下端にて門型となるように、2本のものとしてある。これら2本の支持脚部11は、図4〜図6に示したように、例えば道糸牽引車330を挿入したり、管路200内の視認を行うための作業空間60としてある。つまり、この作業空間60は、これから道糸牽引車330の管路200内への挿入や、管路200内の目視による検査、そしてこの索条ガイド100の自体の設置作業時に手を入れて行う等の各種作業をし易くするものである。
【0047】
この実施形態に係る索条ガイド100では、その本体部10の支持脚部11を2本としたのであるから、これらの支持脚部11を管路200の開口部210内に単に挿入することによって、当該索条ガイド100の開口部210に対する取り付けを簡単に完了させることができる。また、当該支持脚部11を使用して管路200の開口部210に本体部10を係止させれば、これら2本の支持脚部11によって2つの支点(管路200内面に対する支持点または線)が形成されることになるから、索条ガイド100はその設置時にグラグラしない安定した状態となる。
【0048】
また、図4及び図5に示したように、各支持脚部11は、保護材50によって覆ってある。この保護材50は、各支持脚部11を管路200内に挿入する際、及び当該索条ガイド100を使用して索条310を案内する際に、管路200の内面に傷を付けることを防止するものであるだけでなく、当該索条ガイド100を設置する際に各部材が受ける衝撃を和らげて、当該索条ガイド100の保護を行うものである。
【0049】
本実施形態に係る索条ガイド100の案内部12は、文字通り固定部20を案内するものであり、例えば図4に示したような上下方向の収納溝12aと、図3に示したようなガイド溝12bとを形成したものである。収納溝12a内には、後述する固定部20の本体部が収納されることになるのであり、ガイド溝12b内には、固定部20の係合部材21が組み付けられることになるのである。つまり、これらの収納溝12a及びガイド溝12bによって、案内部12は、固定部20を移動可能に支持するのである。
【0050】
固定部20は、図2〜図5に示したように、その本体部を本体部10側の収納溝12a内に組み付けられるものであり、本体部に一体化した固定脚部21を備えたものである。この固定脚部21は、本体部10側の案内部12に対して直交状態となるようにしたものであり、本体部10側の支持脚部11と同一方向に突出するものである。なお、この固定脚部21も上述した保護材50によって覆われるものであり、この保護材50によって、当該固定脚部21や、これが挿入されることになる管路200の内面に傷や損傷が発生しないようにするものである。
【0051】
固定部20は、その本体部に取り付けた係合部材21を有するものであるが、この係合部材21は、例えば図2に示したように、本体部10側のガイド溝12bに係合してある。この係合部材21は、当該固定部20を案内部12の伸びる方向に案内するものであり、例えば、ガイド溝12bの外側に係合することになる頭部を有したネジのようなもので構成される。
【0052】
以上のように構成した固定部20には、図2〜図4に示したように、ガイドローラ30が設けてある。このガイドローラ30は、これに索条310を掛装することによって、索条310が伸び出す方向をウインチ320の位置に合わるものであり、索条310の引き出しを、抵抗なくかつ管路200に傷を付けることなく行えるようにするものである。
【0053】
このガイドローラ30は、本体部10側ではなく固定部20側に設けたのであるが、そのようにした理由は、本体部10側に設けたとすると、当該索条ガイド100を径が異なった管路200に使用しようとしたとき、索条310が管路200に引っ掛かる可能性がでてくるからである。このガイドローラ30を固定部20側に設けておけば、この固定部20の固定脚部21が管路200の径に応じて変化して、ガイドローラ30が管路200の内面上端に常に位置することになるから、索条310の案内を管路200の端部に引っかけることなく行えるからである。
【0054】
ところで、本体部10と固定部20との間を連結するスプリング40は、ゴム紐、圧縮スプリング、あるいは引っ張りスプリングが対象となるものであり、本実施形態では、引っ張りスプリングを採用している。このスプリング40は、一端を本体部10側の案内部12の上部に連結し、他端を固定部20の本端部側に連結したものであり、これにより、本体部10と固定部20との間を連結する。
【0055】
本体部10と固定部20との間がスプリング40によって連結されていれば、本体部10と固定部20との寸法は、常に図2に示した寸法となる。そして、当該索条ガイド100を管路200の開口部210に設置する際には、スプリング40の付勢力に抗して固定部20を本体部10の支持脚部11側に押し下げて、本体部10の支持脚部11と固定部20の固定脚部21とが、管路200の開口部210内に同時に挿入できるようにする。
【0056】
支持脚部11と固定脚部21とを開口部210内に挿入した後に固定部20を自由にすれば、この固定部20はスプリング40によって上動して、本体部10の支持脚部11が開口部210内面の下端に、固定部20の固定脚部21が開口部210内面の上端にそれぞれ弾撥的に当接するのである。換言すれば、スプリング40は、当該索条ガイド100の開口部210に対する設置を簡単に行えるようにするものなのである。
【符号の説明】
【0057】
100 索条ガイド
10 本体部
12 支持脚部
12a 収納溝
12b ガイド溝
20 固定部
21 固定脚部
22 係合部材
30 ガイドローラ
40 スプリング
50 保護材
60 作業空間
200 管路
210 開口部
300 清掃具
310 索条
320 ウインチ
330 道糸牽引車
331 道糸
400 マンホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路内の索条を引く際に使用される索条ガイドであって、
前記管路の開口部に設置される本体部と、この本体部に設けた固定部と、この固定部に取り付けたガイドローラとを備えたことを特徴とする管路清掃に用いられる索条のための索条ガイド。
【請求項2】
前記固定部は、前記本体部に対して移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の索条ガイド。
【請求項3】
前記本体部を、前記管路の開口部に係止される支持脚部を備えたものとするとともに、前記固定部を、前記管路の開口部に係止される固定脚部を備えたものとしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の索条ガイド。
【請求項4】
前記本体部の支持脚部を2本として、これらの支持脚部の間に、前記管路の開口部にて開口する作業空間を形成するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の索条ガイド。
【請求項5】
前記固定部をスプリングを介して前記本体部に連結したことを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載の索条ガイド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−231560(P2011−231560A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104718(P2010−104718)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(506125720)株式会社KSK (23)
【Fターム(参考)】