説明

管路口防水装置取付器具および管路口防水装置取付工法

【課題】 従来の管路口の止水方法では、管路口を止水する際に管路内の3本の電線をシノ等を用いて電線と電線の間を広くしてから管路口の止水作業を行っていたので、シノ等により電線の被膜を損傷させることもあり、また、3本の電線を均等に広げることが困難であるので、軟質板と電線の間に隙間が生じ、その隙間から漏水する可能性もあった。
【解決手段】 管路10の管路口12を止水する管路口防水装置を取り付ける際に使用する管路口防水装置取付器具1であって、環状形状の円周面に中心を向いて形成された貫通孔4が円周方向略等間隔に複数個設けられた環状部材2と、先端にテーパー形状の三角形状部8が設けられ、該環状部材2の中心に向かって貫通孔4に挿入された支持棒3とを備え、貫通孔4に挿入された支持棒3が環状部材2の中心に向かって動くことにより、各ケーブル間に支持棒3の先端が挿入され、環状部材2の中空部内のケーブルを移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路内にケーブルが敷設され、その管路の管路口を止水する管路口防水装置を取り付ける管路口防水装置取付器具および管路口防水装置取付工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電線(ケーブル)を地中に埋設するために、地中に埋設した管路内に電線が敷設され、管路の適宜長さの箇所にマンホールが設けられていた。そして、マンホールへの管路の開口部である管路口では、管路からマンホール内に水が入るのを防ぐために止水が行われていた。
【0003】
この種の管路口の止水方法として、まず、管路と電線との間にウエスを固めて充填し、次に、発泡ポリエチレン板などの軟質板を電線と管路との間に介在させ、そして、管路口寄りにネットホースなどのスペーサを電線と管路との間に入れ、その後に、スペーサより管路口寄りの位置のところで、発泡ポリエチレン板などの軟質材を電線と管路の間に介在させ、それから、この軟質材にビニールホースを貫通させて、1液性の水反応型の発泡性ウレタンコーキング剤などの水反応型発泡コーキング剤をコーキングガンにより注入させていた(たとえば、技術文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−152476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の管路口の止水方法では、管路口を止水する際に管路内の3本の電線の距離が近くなっているために、それぞれの電線をシノ等を用いて電線と電線の間を広くしてから管路口の止水作業を行っていた。このように、シノ等と電線の接触面積が狭い形でシノ等と電線とを直接接触させていたので、接触箇所に大きな圧力が生じ、シノ等により電線の被膜を損傷させることもあった。また、電線間をシノ等を用いて広げているが3本の電線を均等に広げることが困難で、その結果、発泡ポリエチレン板などの軟質板と電線の間に隙間が生じ、その隙間から漏水する危険性もあった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、電線(ケーブル)の被膜を損傷することもなく、管路口を止水することができる管路口防水装置取付器具および管路口防水装置取付工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、管路内に3本撚りのケーブルが敷設され、該管路の管路口を止水する管路口防水装置を取り付ける際に使用する管路口防水装置取付器具であって、環状形状に形成され、該環状形状の円周面に中心を向いて形成された貫通孔が円周方向略等間隔に複数個設けられた環状部材と、先端にテーパー形状の三角形状部が設けられ、該環状部材の中心に向かって貫通孔に挿入された支持棒と、を有し、貫通孔に挿入された支持棒が環状部材の中心に向かって動くことにより、各ケーブル間に支持棒の先端が挿入され、環状部材の中空部内のケーブルを移動させるものである。
【0008】
本発明によれば、貫通孔に挿入された支持棒を環状部材の中心に向かって動かすことにより各ケーブル間に支持棒の先端が挿入され、そのケーブルを挟む各支持棒先端の三角形状部の辺に沿ってケーブルを移動させることができるので、ケーブルの被膜に損傷を与えることなく、各ケーブル間を均等に広げることができる。これにより、水漏れがなくなり、管路口の止水を完全な状態で行うことができるとともに、作業効率もよくなる。
【0009】
本発明のうち第2の態様に係るものは、第1の態様に係る管路口防水装置取付器具であって、管路内に3本撚りのケーブルが敷設され、該管路の管路口を止水する管路口防水装置を取り付ける際に使用する管路口防水装置取付器具であって、貫通孔は、環状形状の円周方向に120度間隔で3個設けられ、支持棒に設けられた三角形状部は、弾性体で形成されたものである。
【0010】
本発明によれば、支持棒に設けられた三角形状部が弾性体で形成されているので、ケーブルに弾力的に接することができ、ケーブルの被膜の損傷をより完全な形で無くすることができる。また、貫通孔に挿入された支持棒を環状部材の中心に向かって動かすことにより3本のそれぞれのケーブル間に支持棒の先端が挿入され、そのケーブルを挟む各支持棒の三角形状部の辺に沿ってケーブルを移動させることができるので、3本撚りのケーブル間を均等に広げることができ、水漏れがなくなり、管路口の止水を完全な状態で行うことができるとともに、作業効率もよくなる。
【0011】
本発明のうち第3の態様に係るものは、第1または第2の態様に係る管路口防水装置取付器具であって、環状部材は、直径方向に2分割にすることができるものである。
【0012】
本発明によれば、環状部材は直径方向に2分割にすることができるので、まず環状部材を分割して、その2分割にした環状部材の間にケーブルを挟み込み、その後に環状部材を一体にすることにより、容易に環状部材の中空部内にケーブルを挿入させることができる。
【0013】
本発明のうち第4の態様に係るものは、第1から第3のいずれかの態様に係る管路口防水装置取付器具であって、貫通孔の内部には、雌螺子が形成され、支持棒の側面には、貫通孔の内部の雌螺子と螺合する雄螺子が形成され、支持棒を回転させることにより、支持棒が環状部材の中心に向かって進行するものである。
【0014】
本発明によれば、貫通孔の内部には雌螺子が形成され、支持棒の側面には貫通孔の内部の雌螺子と螺合する雄螺子が形成され、支持棒を回転させることにより支持棒が環状部材の中心に向かって進行するので、支持棒を貫通孔から所定の長さ突出したところですべての支持棒の回転を終了させることにより、容易にすべての支持棒の突出長さを揃えることができ、すべてのケーブルを均等に広げることができる。
【0015】
本発明のうち第5の態様に係るものは、管路内に3本撚りのケーブルが敷設され、該管路の管路口を止水する管路口防水装置を取り付ける管路口防水装置取付工法であって、環状形状に形成され、該環状形状の円周面に中心を向いて形成された貫通孔が環状形状の円周方向に120度間隔で3個設けられた環状部材と、先端にテーパー形状の三角形形状部が設けられ、環状部材の中心に向かって貫通孔に挿入された支持棒と、を有する管路口防水装置取付器具を用いて、貫通孔に挿入された支持棒を環状部材の中心に向かって動かすことにより、各ケーブル間に支持棒の先端が挿入され、環状部材の中空部内のケーブルを移動させるケーブル移動工程と、外径が管路の内径と略同一に形成され、ケーブルの外径と略同一の孔が設けられた軟質材を管路内に設置する管路奥側軟質材設置工程と、管路奥側軟質材設置工程で設置された軟質材より管路口寄りの位置で、ケーブルの外周にネットホースを巻き付けるネットホース巻付工程と、ネットホース巻付工程で巻き付けられたネットホースより管路口寄りの位置で、外径が管路の内径と略同一に形成され、ケーブルの外径と略同一の孔が設けられた軟質材を管路内に設置する管路口側軟質材設置工程と、貫通孔に挿入された支持棒を環状部材の中心と逆方法に向けて動かすことにより、ケーブルから管路口防水装置取付器具を取り外す管路口防水装置取付器具取外工程と、を有するものである。
【0016】
本発明によれば、ケーブル移動工程によりケーブル間を均等な広さに広げてから、管路奥側軟質材設置工程により軟質材を管路内に設置し、ネットホース巻付工程によりケーブルの外周にネットホースを巻き付け、管路口側軟質材設置工程により軟質材を管路内に設置させるので、ケーブルの被膜に損傷を与えることなく、管路口の止水を完全な状態で行うことができるとともに、作業効率もよくなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の管路口防水装置取付器具および管路口防水装置取付工法によれば、ケーブル間を均等に広げることができ、水漏れがなくなり、管路口の止水を完全な状態で行うことができるとともに、作業効率もよくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態における管路口防水装置取付器具の斜視図である。
【図2】(a) 同管路口防水装置取付器具の正面図である。 (b) 同管路口防水装置取付器具の側面図である。 (c) A-A断面を示す図である。 (d) B-B断面を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態における管路口防水装置取付器具によりケーブルを保持した状態を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態における管路口防水装置取付工法のフローチャートを示す図である。
【図5】同管路口防水装置取付工法を説明するための図である。
【図6】同管路口防水装置取付工法においてCVTケーブルにネットホースを巻き付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明にかかる管路口防水装置取付器具について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態における管路口防水装置取付器具の斜視図であり、図2(a)は、同管路口防水装置取付器具の正面図であり、図2(b)は、同管路口防水装置取付器具の側面図であり、図2(c)は、A-A断面を示す図であり、図2(d)は、B-B断面を示す図である。
【0020】
図1に示すように、管路口防水装置取付器具1は、環状部材2と支持棒3を有している。
【0021】
環状部材2は、環状形状に形成され、その環状形状の円周面に中心を向いて形成された貫通孔4が円周方向120度間隔で3個設けられている。また、環状部材2は、直径方向に2分割に分割することができる。この2分割に分割することができる環状部材2は、2つの接合面にそれぞれ設けられたボルト孔5に2個のボルト6を挿入しナット7により一体化させることができる。また、貫通孔4の内部には、雌螺子が形成され、後述するように、支持棒3の雄螺子と螺合できるようになっている。なお、本実施形態では、後述するように、管路内にトリプレックス型架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CVTケーブル)を敷設されている場合について説明するので、貫通孔4を円周方向120度間隔で3個設けたが、これに限らず、管路内に4本撚りのカドラプレックス型架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CVQケーブル)を敷設した場合には、環状部材2の貫通孔4を円周方向90度間隔で4個設けるようにすればよい。このように、ケーブルの数と貫通孔4に挿入された支持棒3の本数とを同数に設ければよい。このようにすることにより、貫通孔4に挿入された支持棒3を環状部材2の中心に向かって動かすことにより、各ケーブル間に支持棒3の先端を挿入させることができ、それぞれのケーブル間を均等に広げることができる。
【0022】
支持棒3は、環状部材2の中心に向かって貫通孔4に挿入され、先端に樹脂(弾性体)で形成されたテーパー形状の三角形状部8が備えられ、後端に球状の把持部9を備えている。この三角形状部8は、管路口防水装置取付器具1を正面から見た場合に二等辺三角形の形状をしており、側面から見た場合には、四角形の形状をしている。すなわち、三角柱の形状をしている。なお、本実施形態では、正面から見た場合の三角形状部8を二等辺三角形としたが、これに限らず、正三角形にしてもよい。また、支持棒3の側壁の外周面には、貫通孔4内の雌螺子と螺合する雄螺子が形成され、支持棒3を回転させることにより、支持棒3が環状部材2の中心に向かって進行するようになっている。
【0023】
次に、管路10内のケーブル間において管路口防水装置取付器具1を用いて広げた状態について説明する。図3は、本発明の一実施形態における管路口防水装置取付器具によりケーブルを保持した状態を示す図である。
【0024】
上述したように、管路10内にCVTケーブル11が敷設されている。これらのCVTケーブル11は、そのままにしているとそれぞれのCVTケーブル11間の距離が近く接近した状態になるので、管路口防水装置取付器具1を用いてそれぞれのCVTケーブル11間を均等に広げている。なお、本実施形態では、CVTケーブル11を用いて説明するが、これに限らず、他のケーブルであってもよい。
【0025】
図3に示すように、環状部材2の中空部内にCVTケーブル11が挿入され、そのCVTケーブル11が挿入された状態で、貫通孔4に挿入された支持棒3を環状部材2の中心に向かって動かすことにより、各CVTケーブル11間に支持棒3の先端が挿入させて、環状部材2の中空部内のCVTケーブル11間を広げている。詳細は図4及び図5を用いて後述する。
【0026】
次に、管路口12を止水する管路口防水装置取付工法について説明する。図4は、本発明の一実施形態における管路口防水装置取付工法のフローチャートを示す図であり、図5は、同管路口防水装置取付工法を説明するための図である。ここでは、管路10内にCVTケーブル11が敷設され、マンホール(図示略)への管路10の開口である管路口12の止水について具体的に説明する。
【0027】
図4及び図5に示すように、管路口防水装置取付工法では、まず最初に、ウエス充填工程が行われる。このウエス充填工程S1は、管路10とCVTケーブル11との間にウエス14を固めて充填させる工程である。このウエスは、管路10内の仮止水及びCVTケーブル11の芯出しを行うために、管路10とCVTケーブル11の間隙に詰め込むように設置する。なお、本実施形態では、管路口防水装置取付工法の一つの工程にウエス充填工程を含めたが、これに限らず、ウエス充填工程を管路口防水装置取付工法の一つの工程に含めなくてもよい。
【0028】
次に、ケーブル移動工程S2が行われる。このケーブル移動工程S2は、上述した管路口防水装置取付器具1を用いて、貫通孔4に挿入された支持棒3を環状部材2の中心に向かって動かすことにより、CVTケーブル11の各ケーブル間に支持棒3の先端が挿入され、環状部材2の中空部内のCVTケーブル11を移動させる工程である。具体的には、管路口防水装置取付器具1のボルト孔5に挿入されているボルト6を緩め、管路口防水装置取付器具1を2つに分割させる。そして、その分割させた管路口防水装置取付器具1の間にCVTケーブル11を挟み込み、この状態で、2つに分割させた管路口防水装置取付器具1をボルト6により一体化させる。そして、貫通孔4に挿入された支持棒3の先端が隣合うCVTケーブル11の略中間に挿入するように、支持棒3を回転させて、支持棒3を環状部材2の中心に向かって動かす。このようにすることにより、管路10内のCVTケーブル11の各隣合うケーブルは、CVTケーブル11の各ケーブル間に挿入された支持棒3の先端の三角形状部8に触れ、その三角形状部8の辺に沿って移動することにより、CVTケーブル11の各ケーブル間の距離が遠ざける方向に移動する。そして、CVTケーブル11間を所望の広さまで広げた後に支持棒3を回転させるのを中止する。このように、支持棒3を貫通孔4から所定の長さ突出したところですべての支持棒3の回転を終了させることにより、すべての支持棒3の突出長さを揃えることができ、すべてのCVTケーブル11を均等に広げることができる。
【0029】
次に、管路奥側軟質材設置工程S3が行われる。この管路奥側軟質材設置工程S3は、外径が管路10の内径と略同一に形成され、CVTケーブル11の各ケーブルの外径と略同一のケーブル貫通孔16(孔)が設けられた発泡ポリエチレンフォーム板15(軟質材)を用い、その発泡ポリエチレンフォーム板15を管路10内に設置する工程である。具体的には、発泡ポリエチレンフォーム板15には、上述したようにケーブル貫通孔16が穿設されている。そして、このケーブル貫通孔16から外周に至る半径方向に切れ込み(図示略)が刻設され、その切れ込みからCVTケーブル11を中心方向に向けて挿入させる。この状態で、木製の突き棒(図示略)などを用いて、発泡ポリエチレンフォーム板15を貫通孔5内に収容する。そして、この切れ込みは両面テープ(図示せず)により貼り付けられる。ここで、発泡ポリエチレンフォーム板15などの軟質材を用いるのはCVTケーブル11を傷付けないためである。なお、本実施形態では、軟質材として発泡ポリエチレンフォーム板15を用いて説明したが、これに限らず、他の軟質材であってもよい。
【0030】
次に、ネットホース巻付工程S4が行われる。このネットホース巻付工程は、上述した管路奥側軟質材設置工程S3で設置された発泡ポリエチレンフォーム板15より管路口12寄りの位置で、CVTケーブル11の外周にネットホース17を巻き付ける工程である。具体的には、管路口12寄りにネットホース17(スペーサ)をCVTケーブル11と管路10との間に入れて、ネットホース17をCVTケーブル11の外周に巻き付ける。本実施形態では、CVTケーブル11を用いているので、CVTケーブル11で構成された三角形状の外周に巻き付ける(図6参照)。ここで、図6は、本発明の一実施形態における管路口防水装置取付工法においてCVTケーブルにネットホースを巻き付けた状態を示す図である。なお、本実施形態では、スペーサとしてネットホース17を用いたが、これに限らず、ネットホース17以外のスペーサを用いてもよい。このネットホース17は、ナイロン製の網でホースを作ったものである。スペーサとしてネットホース17が好ましいのは、後述の水反応型コーキング剤の注入ができるように多くの空隙を存在させるためと、このシール部分を管路口12から取り除く際に、紐状体であるため取り除き作業が能率的に出来るためである。
【0031】
次に、管路口側軟質材設置工程S5が行われる。この管路口側軟質材設置工程S5は、ネットホース巻付工程S4で巻き付けられたネットホース17より管路口12寄りの位置で、外径が管路10の内径と略同一に形成され、CVTケーブル11の外径と略同一のケーブル貫通孔16(孔)が設けられた発泡ポリエチレンフォーム板20(軟質材)を管路10内に設置する工程である。具体的には、管路奥側軟質材設置工程S3と同様であるので、説明は省略する。
【0032】
次に、コーキング剤注入工程S6が行われる。このコーキング剤注入工程S6は、発泡ポリエチレンフォーム板20にビニールホース18を貫通させて、1液性の水反応型の発泡性ウレタンコーキング剤などの水反応型発泡コーキング剤をコーキングガン19により注入させる工程である。この発泡性ウレタンコーキング剤は、発泡ポリエチレンフォーム板15、ネットホース17、発泡ポリエチレンフォーム板20、およびこれらと管路10内面の隙間に入り込む。そして、この発泡性ウレタンコーキング剤が入り込んだところに水が入ってくると、発泡性ウレタンコーキング剤が水と反応して体積が数倍に膨張することから、小さい間隙部まで浸入して膨張し防水の役目を果たすことができる。なお、本実施形態では、管路口防水装置取付工法の一つの工程にコーキング剤注入工程を含めたが、これに限らず、コーキング剤注入工程を管路口防水装置取付工法の一つの工程に含めなくてもよい。
【0033】
次に、管路口防水装置取付器具取外工程S7が行われる。この管路口防水装置取付器具取外工程S7は、貫通孔4に挿入された支持棒3を回転させて、支持棒3を環状部材2の中心と逆方法に向けて動かすことにより、CVTケーブル11から管路口防水装置取付器具1を取り外す工程である。具体的には、各CVTケーブル11に接触している支持棒3を回転させて、支持棒3を環状部材2の中心方向と逆方向に向かって動かし、その後に、管路口防水装置取付器具1のボルト孔5に挿入されているボルト6を緩め、管路口防水装置取付器具1を2つに分割させて、管路口防水装置取付器具1とCVTケーブル11とを分離させて、CVTケーブル11から管路口防水装置取付器具1が取り外される。なお、本実施形態では、管路口防水装置取付工法の一つの工程に管路口防水装置取付器具取外工程を含めたが、これに限らず、管路口防水装置取付器具取外工程を管路口防水装置取付工法の一つの工程に含めなくてもよい。
【0034】
そして、最後にビニールホース18を引き抜き、ビニールホース18が挿入されていた穴を石膏またはコーキングで埋めて、表面を清掃し、管路口防水装置の取り付けが完了する。
【0035】
また、上記の管路口防水装置取付工法を経て完成した管路口を止水する管路口防水装置を取り除くためには、先端を折り曲げた針金を挿入して発泡ポリエチレンフォーム板15、19は取り除き、ネットホース17は、紐状体であるので単に引っ張るだけで取り除くことができる。
【0036】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。さらに本発明の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲の記載によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0037】
1 管路口防水装置取付器具
2 環状部材
3 支持棒
4 貫通孔
5 ボルト孔
6 ボルト
7 ナット
8 三角形状部
9 把持部
10 管路
11 CVTケーブル
12 管路口
14 ウエス
15 発泡ポリエチレンフォーム板
16 ケーブル貫通孔
17 ネットホース
18 ビニールホース
19 コーキングガン
20 発泡ポリエチレンフォーム板




【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路内に3本撚りのケーブルが敷設され、該管路の管路口を止水する管路口防水装置を取り付ける際に使用する管路口防水装置取付器具であって、
環状形状に形成され、該環状形状の円周面に中心を向いて形成された貫通孔が円周方向略等間隔に複数個設けられた環状部材と、
先端にテーパー形状の三角形状部が設けられ、該環状部材の中心に向かって前記貫通孔に挿入された支持棒と、を有し、
前記貫通孔に挿入された前記支持棒が前記環状部材の中心に向かって動くことにより、
各ケーブル間に前記支持棒の先端が挿入され、前記環状部材の中空部内のケーブルを移動させることを特徴とする管路口防水装置取付器具。
【請求項2】
管路内に3本撚りのケーブルが敷設され、該管路の管路口を止水する管路口防水装置を取り付ける際に使用する管路口防水装置取付器具であって、
前記貫通孔は、環状形状の円周方向に120度間隔で3個設けられ、
前記支持棒に設けられた三角形状部は、弾性体で形成された請求項1記載の管路口防水装置取付器具。
【請求項3】
前記環状部材は、直径方向に2分割にすることができることを特徴とする請求項1または2記載の管路口防水装置取付器具。
【請求項4】
前記貫通孔の内部には、雌螺子が形成され、前記支持棒の側面には、前記貫通孔の内部の雌螺子と螺合する雄螺子が形成され、前記支持棒を回転させることにより、前記支持棒が前記環状部材の中心に向かって進行することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の管路口防水装置取付器具。
【請求項5】
管路内に3本撚りのケーブルが敷設され、該管路の管路口を止水する管路口防水装置を取り付ける管路口防水装置取付工法であって、
環状形状に形成され、該環状形状の円周面に中心を向いて形成された貫通孔が前記環状形状の円周方向に120度間隔で3個設けられた環状部材と、先端にテーパー形状の三角形形状部が設けられ、前記環状部材の中心に向かって前記貫通孔に挿入された支持棒と、を有する管路口防水装置取付器具を用いて、前記貫通孔に挿入された前記支持棒を前記環状部材の中心に向かって動かすことにより、各ケーブル間に前記支持棒の先端が挿入され、前記環状部材の中空部内のケーブルを移動させるケーブル移動工程と、
外径が管路の内径と略同一に形成され、ケーブルの外径と略同一の孔が設けられた軟質材を管路内に設置する管路奥側軟質材設置工程と、
前記管路奥側軟質材設置工程で設置された前記軟質材より管路口寄りの位置で、前記ケーブルの外周にネットホースを巻き付けるネットホース巻付工程と、
前記ネットホース巻付工程で巻き付けられた前記ネットホースより管路口寄りの位置で、外径が管路の内径と略同一に形成され、ケーブルの外径と略同一の孔が設けられた軟質材を管路内に設置する管路口側軟質材設置工程と、
前記貫通孔に挿入された前記支持棒を前記環状部材の中心と逆方法に向けて動かすことにより、ケーブルから前記管路口防水装置取付器具を取り外す管路口防水装置取付器具取外工程と、を有することを特徴とする管路口防水装置取付工法。












【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−152088(P2012−152088A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10862(P2011−10862)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(598132727)株式会社インテ (4)
【Fターム(参考)】