説明

箱体開梱装置

【課題】簡易な構成によって小型化され、低コストで製造可能な箱体開梱装置を提供する。
【解決手段】箱体50に当接する方向に移動すると共に、当接する方向と交差する方向に設定された切断方向に移動して箱体50の側面を切断する切断刃12と、切断方向における切断刃12の後方に配置され、切断刃12と共に切断方向に移動する姿勢変更部13と、切断刃12および姿勢変更部13を当接する方向に移動させるとともに、切断方向に沿った軸上に往復移動させる可動ステージ11と、を備え、姿勢変更部13は、箱体50側に突出した先端部を有し、先端部が箱体50から遠ざかるように位置を変更可能に設けられるとともに、先端部が箱体50側に突出するように付勢する付勢手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱体を開梱する装置に関し、特に箱体の側面を切断して開梱する箱体開梱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を収容した箱体の側面を切断し、上蓋と箱本体とに切り分けて開梱する箱体開梱装置が用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の箱体開梱装置は、直方体状の箱体が有する4つの側面に対応して、4つの切断部を有し、各切断部を移動させて各側面をそれぞれ切断することで、箱体を開梱する構成となっている。
【0004】
また、特許文献2に記載の箱体開梱装置は、箱体の側面を切断する回転鋸刃と、箱体を回転させて箱体の向きを変更する回転台と、を有し、箱体に回転鋸刃を当接させた状態で、回転台を回転させ、回転角度によって各側面の切断速度制御しながら、箱体を開梱する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−2636号公報
【特許文献2】特開平7−265035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献に記載された装置は、構成要素が多いため、装置が大型化または複雑化しやすく、高コストになりやすい。
【0007】
例えば、特許文献1に記載された装置の構成では、箱体の各側面に対応して複数の切断部が必要であり、さらに切断部の数だけ各切断部を移動させる移動機構が必要となる。
【0008】
また、特許文献2に記載された装置の構成では、箱体の向きを変更するために、専用の回転台および回転台の回転速度を制御可能な回転駆動手段を備える構成となっている。この装置では、回転鋸刃と、回転台の回転角度によって変化する箱体の姿勢と、の位置関係に応じて、側面の切断速度が変化することを抑制するため、箱体の姿勢に応じて回転台の回転速度を変化させる制御を行っている。そのため、箱体の姿勢を検出し、検出結果に応じて回転台の回転速度を制御する制御部が必要となる。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、簡易な構成によって小型化され、低コストで製造可能な箱体開梱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の箱体開梱装置は、箱体に当接する方向に移動すると共に、前記当接する方向と交差する方向に設定された切断方向に移動して前記箱体の側面を切断する切断部材と、前記切断方向における前記切断部材の後方に配置され、前記切断部材と共に前記切断方向に移動する姿勢変更部材と、前記切断部材および前記姿勢変更部材を前記当接する方向に移動させるとともに、前記切断方向に沿った軸上に往復移動させる移動装置と、を備え、前記姿勢変更部材は、前記箱体側に突出した先端部を有し、前記先端部が前記箱体から遠ざかるように位置を変更可能に設けられるとともに、前記先端部が前記箱体側に突出するように付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明においては、前記移動装置の前記箱体側に、前記箱体の側面に当接して前記箱体の側面を板面に沿わせる倣い板が設けられている構成とすることができる。
【0012】
また、本発明においては、前記切断方向における前記切断部材の前方に配置され、前記箱体と前記切断部材との相対距離を計測する計測手段を有し、前記計測手段の計測結果に基づいて、前記切断部材が前記箱体の側面を切断可能な位置となるように前記移動装置を制御する構成とすることができる。
【0013】
また、本発明においては、前記箱体を戴置する面に垂直な回転軸が設定された回転台を有し、前記回転台上に前記箱体が戴置される構成とすることができる。
【0014】
また、本発明においては、前記回転台と対になり前記箱体の位置を上下から固定する位置固定手段を有し、前記位置固定手段は、前記回転軸と同一軸上に回転軸が設定されている構成とすることができる。
【0015】
また、本発明においては、前記箱体と前記切断部材との相対的な高さを変化させる昇降手段を有する構成とすることができる。
【0016】
また、本発明においては、前記切断部材が前記切断方向に移動するときに、前記箱体を側面から把持する把持手段を有する構成とすることができる。
【0017】
また、本発明においては、前記切断部材は、高さ方向の取り付け位置が異なる第1切断部材および第2切断部材を有することとする構成とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の構成によれば、処理ユニットの動作を利用し、姿勢変更部材を用いて箱体を回転させることができる。そのため、箱体を回転させるための回転駆動装置が不要となり、小型化、低コスト化を実現した箱体開梱装置とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る箱体開梱装置を示す斜視図である。
【図2】箱体開梱装置が有する可動ステージの拡大図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る箱体開梱装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1実施形態に係る箱体開梱装置の動作を示す説明図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る箱体開梱装置の動作を示す説明図である。
【図6】箱体開梱装置が有する可動ステージの他の例を示す拡大図である。
【図7】第1実施形態の箱体開梱装置の変形例の動作を示す平面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る箱体開梱装置を示す斜視図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る箱体開梱装置が有する切断刃の説明図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る箱体開梱装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下、図1〜図5を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る箱体開梱装置について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
【0021】
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。ここでは、水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の箱体開梱装置1は、処理対象である箱体50の側面を切断する切断ユニット10と、箱体50を戴置する戴置台30とを有している。
【0023】
切断ユニット10は、y方向に延在するレール14上を往復可能とする可動ステージ(移動装置)11と、可動ステージ11上に設けられた切断刃(切断部材)12および姿勢変更部(姿勢変更部材)13と、箱体50が戴置される側にy方向に延在して設けられた倣い板15と、を有しており、切断ユニット可動部(移動装置)16によりx方向において、+x方向および−x方向に移動可能に設けられている。その他、不図示の制御装置を有しており、切断ユニット10の動作制御を行っている。
【0024】
図2は、可動ステージ11の拡大斜視図である。図に示すように、可動ステージ11は、底部に設けられた凹部11aがレール14に嵌合しており、レール14上を移動する構成となっている。
【0025】
可動ステージ11に設けられた切断刃12は、刃部12aが水平方向(xy方向)に向き、レール14の延在方向に対して交差するように設けられている。切断刃12は、可動ステージ11の移動と共に+y方向に移動し、箱体50の側面を切断する。切断刃12としては、自身は駆動しない小刀状のものを取り付けていても良く、回転鋸刃のような駆動部を有するものを取り付けても良い。
【0026】
姿勢変更部13は、略角柱状に設けられ可動ステージ11から不図示の箱体側に突出する先端部130aと、先端部130aの長軸方向に連続して設けられた平板状の支持部130bと、からなる棒状の当接部130を有しており、先端部130aと支持部130bとの連結部付近において、軸部131によって可動ステージ11に取り付けられている。
【0027】
可動ステージ11上には、支持部130bと接する位置にストッパー132が設けられており、姿勢変更部13は、支持部130bとストッパー132とが接した状態で、先端部130aが可動ステージ11から突出するように設けられている。軸部131にはバネ機構(付勢手段)が設けられ、支持部130bとストッパー132とが接するように力を加えている。
【0028】
このような姿勢変更部13は、先端部130aに+y方向から力を受けると、当接部130が軸部131周りを図の矢印a方向に回動し、力がかからなくなると、当接部130は軸部131が備えるバネによって支持部130bとストッパー132とが接する位置(初期位置)に戻る構成となっている。
【0029】
図1に戻って、レール14は、切断ユニット10の一端(+y方向)から他端(−y方向)まで延在して設けられており、レール14上に設けられた可動ステージ11が、戴置台30上に戴置された箱体50の側面(切断箇所)の長さに対して十分に長い距離を往復可能な構成となっている。
【0030】
倣い板15は、切断ユニット10の箱体50が戴置される側にy方向に延在して設けられた平板状の部材である。倣い板15は、厚み方向がx方向となるように設けられており、倣い板15の上端(z方向)では、切断刃12および姿勢変更部13の先端が、倣い板15を挟んで箱体50の戴置側に突出している。
【0031】
切断ユニット可動部16は、切断ユニット10のy方向中心付近に接続された主可動部16aと、切断ユニット10のy方向両端付近に接続された2つの副可動部16bと、を有している。主可動部16a、副可動部16bは、壁状のユニット基部19に設けられた貫通孔を介して、不図示の駆動装置に接続されたピストン状の部材であり、自身が伸縮することで切断ユニット10を±x方向に移動可能としている。
【0032】
戴置台30は、箱体50を戴置し開梱作業を行うための作業台として用いられる。戴置台30の表面は、箱体50が滑りにくいように滑り止め加工がされていると良い。
【0033】
次に箱体開梱装置1の動作について、図3〜図5を参照して説明する。図3は、箱体開梱装置1の動作を説明するフローチャートであり、図4および図5は、箱体開梱装置1の動作を説明する平面図である。動作開始時には、箱体開梱装置1の戴置台30上に、処理対象である箱体50が戴置されているものとする。
【0034】
始めに、箱体開梱装置1を用いて切断する辺(箱体50の側面)の数を設定する(ステップS1)。通常は、3辺を切開することにより箱体を開梱するため、n=3に設定されている。
【0035】
次に、切断ユニット可動部16が駆動して切断ユニット10を+x方向に移動させ、倣い板15を箱体50に当接させる(ステップS2,図4(a))。動作開始時に箱体50の側面が、例えば倣い板15に対して斜めに配置されている場合には、倣い板15を押し込むことで箱体50の側面と倣い板15とを密着させる。
【0036】
次に、切断ユニット10の可動ステージ11が+y方向(切断方向)に移動する(ステップS3,図4(b))。その際、可動ステージ11の移動にあわせて切断刃12が箱体50に接し、倣い板15に接している箱体50の側面を切開する。また、姿勢変更部13は、箱体50に接すると、当接部130が箱体50を避けるように軸部131を中心軸として矢印a方向に回動し、先端が倣い板15を挟んで箱体50とは反対側に配置されるよう移動する。
【0037】
なお、姿勢変更部13が箱体50から離れると、姿勢変更部13は、軸部131に備えられたバネ機構により、先端が倣い板15から箱体50側に突出した初期位置に戻される。このようにして、箱体50の側面を切開する。
【0038】
次に、不図示の制御装置は、切断した辺の数が設定値に達したかを判断し(ステップS4)、設定値に達していなければ、切断ユニット10の可動ステージ11が−y方向に移動する(ステップS5,図5(a))。
【0039】
可動ステージ11が移動すると、姿勢変更部13は箱体50の端部と接触する。姿勢変更部13は、可動ステージ11上に設けられた不図示のストッパーによって回動が規制されているため、箱体50に接しても回動することなく、可動ステージ11の移動にあわせて箱体50を押し出す。
【0040】
同時に、切断ユニット可動部16が駆動して切断ユニット10が−x方向に遠ざかる(図5(b))。この動きにより、箱体50の位置が+x方向に無用に遠ざかること無く、箱体50の向きを変えることができる。
【0041】
ここで、可動ステージ11が−y方向に移動する際に、姿勢変更部13において箱体50と当接する箇所が、滑り止め加工が施されていたり、或いは鈎状に成形されていたりすると良い。このような加工が施されていると、箱体50にと右折した姿勢変更部13が、箱体50の表面で滑りにくくなり、箱体50の向きを変更しやすくなるため好ましい。
【0042】
その後ステップS2に戻り、必要な回数だけ箱体50の切断と箱体50の向きの変更とを繰り返し、設定回数の切断(例えば箱体50の3辺に対応してn=3)が終了すると、切断ユニット可動部16が初期位置に戻り、動作を終了する(ステップS6)。
以上のようにして、本実施形態の箱体開梱装置1を用いた箱体50の開梱を行う。
【0043】
以上のような構成の箱体開梱装置1によれば、可動ステージ11の戻り方向(−y方向)の移動の際に姿勢変更部13を箱体50に当接させて箱体50の向きを変更するため、箱体50を回転させる専用の駆動源を必要としない。したがって、装置構成が簡略化され小型化が可能な箱体開梱装置とすることができる。
【0044】
なお、本実施形態では、略直方体の箱体50を開梱する動作を例に挙げて説明したが、直方体だけでなく、多角柱状、多角錐状、円柱状の箱体の開梱にも適用することができる。箱体50の形状に合わせて切断する辺の数(設定値)を調整し、必要な切断を行うこととすると良い。円柱状の箱体の場合、多角柱状の箱体を開梱する条件を当てはめることで開梱することが可能である。
【0045】
また、本実施形態においては、姿勢変更部13が角柱状の当接部130を有することとしたが、これに限らず、例えば平面視で(z方向から視て)矩形状、多角形状、楕円形状、半円形状、円形状の形状を備えることとしても良い。これらの形状を有する当接部であったとしても、回転可能に可動ステージ上に設けられており、一部が倣い板15よりも箱体50側に突出して先端部として機能し、先端部が箱体に押されるときに先端部が倣い板よりも可動ステージ側に配置されるように回転することが可能であれば良い。
【0046】
また、本実施形態においては、付勢手段として軸部131にバネ機構を備える構成としたが、箱体からの力を受けなくなった姿勢変更部13を初期位置に戻すことが出来るならば、これに限らない。
【0047】
また、姿勢変更部の構成は、上述の構成に限らない。図6は、姿勢変更部の他の構成を示す模式図であり、図2に対応する図である。
【0048】
図に示す姿勢変更部18は、箱体側が尖り切断方向へ面した傾斜面180aを有する先端部180と、先端部180が位置変更可能な状態で接続される基部181と、先端部180と基部181とを接続する接続軸182と、先端部180と基部181との間に設けられ、内部に接続軸182が挿入されたバネ(付勢手段)183と、を有している。
【0049】
このような構成の姿勢変更部18では、先端部180の位置が符号bで示す接続軸182の軸方向(±x方向)に移動可能となっている。すなわち、先端部180の傾斜面180aに応力が加わると先端部180は−x方向に移動し、傾斜面180aに加わる応力が無くなると先端部180が+x方向に移動する構成となっている。
【0050】
図7は、姿勢変更部18の動作を示す平面図である。図7(a)に示すように、切断ユニット10の可動ステージ11が+y方向(切断方向)に移動すると、可動ステージ11の移動にあわせて切断刃12が箱体50に接し、倣い板15に接している箱体50の側面を切開する。また、姿勢変更部18は、箱体50に接すると、先端部180が箱体50から応力を受けて矢印b方向に移動し、先端が倣い板15を挟んで箱体50とは反対側に配置されるよう移動する。
【0051】
なお、姿勢変更部18が箱体50から離れると、姿勢変更部18が有するバネ183により、先端部180が倣い板15から箱体50側に突出した初期位置に戻される。
【0052】
次に、図7(b)に示すように、可動ステージ11が−y方向に移動すると、姿勢変更部18は箱体50の端部と接触する。このときは先端部180の傾斜面180aに応力が加わらないため、先端部180の位置は変わらず、可動ステージ11の移動にあわせて箱体50を押し出す。
姿勢変更部としては、このような構成のものを採用することもできる。
【0053】
[第2実施形態]
図8は、本発明の第2実施形態に係る箱体開梱装置2の説明図である。本実施形態の箱体開梱装置2は、第1実施形態の箱体開梱装置1と一部共通している。異なるのは、切断刃12による切断時、および姿勢変更部13による箱体50の向き変更時に、箱体50の位置がずれないように保持する構成が付加されていることである。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0054】
図に示すように、箱体開梱装置2の戴置台30は、基台31に設けられた昇降装置(昇降手段)32によって上下方向(±z方向)に昇降可能に構成されている。これに合わせて、切断ユニット10はユニット基部19においてz方向上方に設置され、切断ユニット10が基台31から離間した位置となっている。戴置台30は、基台31の上面から切断ユニット10の底部までの空間を昇降する設計となっている。
【0055】
また、戴置台30には箱体50を±y方向から把持し、移動を規制する一対の固定部33と、箱体50の向き変更時に回転中心を与える回転台34と、が設けられている。回転台34の表面は、箱体50が滑りにくいように滑り止め加工がされていると良い。
【0056】
さらに、ユニット基部19の上部には、x方向に延在する梁部40が設けられ、梁部40の先端付近には、高さ方向(z方向)が切断刃12よりも高く回転台34の回転軸と同一軸上に位置する回転中心をもった回転天井(位置固定手段)41が設けられている。戴置台30が上昇すると、箱体50を回転天井41へ突き当てて固定し、箱体50の上面を高さ方向の基準として側面を切断する。そのため、箱体の寸法を選ばずに一定の高さで切断することができる。
【0057】
箱体50の開梱動作時には、まず、箱体50が戴置台30の回転台34上に戴置された後、戴置台30が上昇し、箱体50を回転台34と回転天井41との間に挟み込む。また、固定部33が±y方向から箱体50を把持して固定する。
【0058】
次に、切断ユニット10が移動して倣い板15が箱体50に接し、可動ステージ11が+y方向に移動することで箱体50の側面を切断する。このとき箱体50は、一対の固定部33および回転台34と回転天井41との間に挟まれて固定されているため、可動ステージ11の移動に伴ってずれてしまうことがなく、良好に切削することができる。切断ユニット10が+y方向の所定の位置まで移動し、側面の切削が終了すると、固定部33は箱体50の把持をやめて箱体50を開放する。
【0059】
次に、可動ステージ11が−y方向に移動して箱体の向きを変える。このとき、箱体50は、回転台34と回転天井41との間に挟まれて固定されているため、xy平面の位置は固定されているが、回転台34および回転天井41の回転軸を中心として自由に回転可能となっている。そのため、可動ステージ11が−y方向に移動し、姿勢変更部13が箱体50に当接すると、箱体50は回転台34および回転天井41の回転軸を中心として回転し向きを変える。
【0060】
必要な回数だけ箱体50の切断と箱体50の向きの変更とを繰り返し、設定回数の切断が終了すると、切断ユニット可動部16が初期位置に戻り動作を終了する。
以上のようにして、本実施形態の箱体開梱装置2を用いた箱体50の開梱を行う。
【0061】
以上のような構成の箱体開梱装置2によれば、側面の切断時および箱体50の向き変更時に、箱体50の無用な移動を抑制し、確実な切断と箱体50の向き変更とを実現する箱体開梱装置とすることができる。
【0062】
なお、本実施形態においては、回転台34と回転天井41との間に箱体50を挟んで固定することとしたが、箱体50を回転台34上に戴置するのみとし、回転天井41との間で挟まない構成としても構わない。回転台34の上に箱体50が配置されているだけであっても、姿勢変更部13による箱体50の向き変更の動作の際には、回転台34の回転軸周りの回転が優先されるため、箱体50の位置ずれを生じにくく、良好な開梱処理が可能となる。
【0063】
[第3実施形態]
図9は、本発明の第3実施形態に係る箱体開梱装置の説明図である。本実施形態の箱体開梱装置は、第1,第2実施形態の箱体開梱装置と一部共通しており、切断刃の構成のみが異なっている。したがって、本実施形態においては、切断刃の構成について詳細に説明するとともに、前述の実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0064】
本実施形態の箱体開梱装置が有する切断刃17は、不図示の箱体の上面近傍を切断する第1切断刃17aと、箱体の底面近傍を切断する第2切断刃17bと、の2枚の刃を備える構成となっている。このような構成の切断刃17を用いると、箱体の上面と底面とを同時に開ことができるため、側面切断後に容易に箱体を潰すことができる。
【0065】
切断刃17は、第1切断刃17aと第2切断刃17bとの離間距離を変更可能とする構成であると、様々な大きさの箱体の開梱に用いることが可能であり好ましい。もちろん、第1切断刃17aと第2切断刃17bとの離間距離を固定し、特定の大きさの箱体を開梱するための専用の切断刃としても良い。
【0066】
[第4実施形態]
図10は、本発明の第4実施形態に係る箱体開梱装置の説明図である。本実施形態の箱体開梱装置は、第1,第2実施形態の箱体開梱装置と一部共通しており、異なるのは、倣い板15が不要であることと、切断ユニット可動部16の主可動部16aが任意の位置で停止することができる可動部材であることと、切断ユニットと箱体の距離を測定することができるセンサ139を構成として付加されていることである。したがって、本実施形態においては、切断ユニット可動部16とセンサ139の構成について詳細に説明するとともに、前述の実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0067】
本実施の形態の箱体開梱装置が有する切断ユニット可動部16は、切断ユニット10と接続されたシャフトガイド138と、シャフトガイド138と連結され、シャフトガイド138を介して切断ユニット10の位置を制御するボールネジ134と、ボールネジ134に接続されたモーター135と、を有している。
【0068】
ボールネジ134は、シャフトガイド138と平面的に重なる位置(z方向から見て重なる位置)に配置された軸134aと、軸134aが挿通されたナット134bと、を有している。軸134aは、端部に設けられたカップリング137を介してモーター135が接続されており、モーター135の回転によりナット134bのx方向の位置を制御している。また、ナット134bには、シャフトガイド138が連結される連結部136が設けられている。
【0069】
またシャフトガイド138は、壁状のユニット基部19に設けられた貫通孔19aに挿入され、一端部138aが切断ユニット10に連結し、他端部138bが連結部136と連結している。
【0070】
このような構成の切断ユニット可動部16では、モーター135が回転することによってボールネジ134のナット134bを直線的に移動させ、ナット134bに連結されたシャフトガイド138を±x方向に移動させることにより、切断ユニット10を±x方向に移動可能としている。
【0071】
センサ139は、非接触の反射型センサで、可動ステージ11上の切断方向(+y方向)に対して切断刃12よりも前方に位置し、箱体50と切断ユニット10との距離を測定することで箱体50と切断刃12との相対的な位置関係を測定する。切断ユニット可動部16のモーター135は、センサ139の測定結果に基づいて制御され、切断刃12が箱体50の側面を良好に切断可能な位置に切断ユニット10の位置を変更する。センサ139は、接触型のセンサであっても切断ユニット可動部16が箱体50に与える付加が少なく、代用することが可能である。
【0072】
このような構成であると、切断ユニット10が箱体50に接触しなくても箱体50の側面を切断することができるため、箱体50の切断中の変形を抑えて切断することができる。また、箱体50と切断ユニット10の距離を切断中にも変更可能なため、箱体50に大きな歪みがあっても、箱体50の側面に沿って切断することが可能である。
【0073】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0074】
10 切断ユニット
11 可動ステージ(移動装置)
12,17 切断刃(切断部材)
12a 刃部
13、18 姿勢変更部(姿勢変更部材)
14 レール
15 倣い板
16 切断ユニット可動部
17a 第1切断刃
17b 第2切断刃
19 ユニット基部
19a 貫通孔
30 戴置台
31 基台
32 昇降装置(昇降手段)
33 固定部
34 回転台
40 梁部
41 回転天井(位置固定手段)
50 箱体
130 当接部
130a 先端部
131 軸部(付勢手段)
132 ストッパー
134 ボールネジ
134a 軸
134b ナット
135 モーター
136 連結部
137 カップリング
138 シャフトガイド
138a 一端部
138b 他端部
139 センサ
180 先端部
180a 傾斜面
181 基部
182 接続軸
183バネ (付勢手段)
a,b 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体に当接する方向に移動すると共に、前記当接する方向と交差する方向に設定された切断方向に移動して前記箱体の側面を切断する切断部材と、
前記切断方向における前記切断部材の後方に配置され、前記切断部材と共に前記切断方向に移動する姿勢変更部材と、
前記切断部材および前記姿勢変更部材を前記当接する方向に移動させるとともに、前記切断方向に沿った軸上に往復移動させる移動装置と、を備え、
前記姿勢変更部材は、前記箱体側に突出した先端部を有し、前記先端部が前記箱体から遠ざかるように位置を変更可能に設けられるとともに、前記先端部が前記箱体側に突出するように付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする箱体開梱装置。
【請求項2】
前記移動装置の前記箱体側に、前記箱体の側面に当接して前記箱体の側面を板面に沿わせる倣い板が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の箱体開梱装置。
【請求項3】
前記切断方向における前記切断部材の前方に配置され、前記箱体と前記切断部材との相対距離を計測する計測手段を有し、
前記計測手段の計測結果に基づいて、前記切断部材が前記箱体の側面を切断可能な位置となるように前記移動装置を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の箱体開梱装置。
【請求項4】
前記箱体を戴置する面に垂直な回転軸が設定された回転台を有し、前記回転台上に前記箱体が戴置されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の箱体開梱装置。
【請求項5】
前記回転台と対になり前記箱体の位置を上下から固定する位置固定手段を有し、
前記位置固定手段は、前記回転軸と同一軸上に回転軸が設定されていることを特徴とする請求項4に記載の箱体開梱装置。
【請求項6】
前記箱体と前記切断部材との相対的な高さを変化させる昇降手段を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の箱体開梱装置。
【請求項7】
前記切断部材が前記切断方向に移動するときに、前記箱体を側面から把持する把持手段を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の箱体開梱装置。
【請求項8】
前記切断部材は、高さ方向の取り付け位置が異なる第1切断部材および第2切断部材を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の箱体開梱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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