説明

【課題】 組み立てが容易で、組み立てた後に自然にフラップが開くことを防止する。
【解決手段】 本体部2は、上下にそれぞれ矩形の開口を有している。一方の開口は、互いに平行な2つの第1の開口縁8a、8bと、2つの第2の開口縁12a、12bとを有している。第1の開口縁8a、8bにそれぞれ第1のフラップ16a、16bが連なり、第1の開口縁8a、8bに沿って折り曲げられて、開口を閉じている。フラップ16a、16bにおいて、開口縁8a、8bの両外側からそれぞれ内側に向かって円弧状の差し込み口18a、18b、18c、18dが形成されている。これらは、開口縁8a、8b側に凸である。開口縁12a、12bにそれぞれ連なって第2のフラップ22a、22bが形成され、第2の開口縁に沿って折り曲げられて、フラップ16a、16bの上側に重なっている。フラップ22a、22bの両端の先端が円弧状差し込み口18a、18b、18c、18dに挿入されて、フラップ16a、16bの下側に進入している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱に関し、特に、隣接する2つのフラップのうち一方を他方に差し込んで固定するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記のようなフラップを備えた箱には、例えば特許文献1に開示されているものがある。特許文献1に開示されている技術では、段ボール箱の隣接する2つのフラップの一方に凸字状の切り込みを形成して、差し込み口とする。この一方のフラップを折り曲げた状態で、その上に隣接する他方のフラップを重ねたとき、凸字状の切り込みに対応する位置に、切り込みに対応する大きさの凸字状の差し込み部を形成するように、他方のフラップに2つの切り込みを形成してある。一方のフラップを折り曲げて、その上に他方のフラップを折り曲げて重ね、凸字状の差し込み部を凸字状の差し込み口に挿入し、互いの肩部を係合させて、2つのフラップを固定している。
【0003】
【特許文献1】特開2007−22562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の箱では、差し込み口に差し込み部を差し込む際に、差し込み部を折り曲げて差し込まねばならず、差し込み作業を円滑に行うことができなかった。また、差し込んだ後は、差し込み口と差し込み部との両肩部の係合によって固定されているので、箱の内部に重量物を収容した場合、この係合している部分に重量が集中し、破損しやすくなる。
【0005】
本発明は、組み立てが容易で且つ破損しにくい箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の箱は、本体部を有している。この本体部は、上下にそれぞれ矩形の開口を有する枠状のもので、例えば段ボールのような紙製である。この本体部の上下2つの開口は、互いに平行な2つの第1の開口縁と、これら2つの第1の開口縁と直交し、互いに平行な2つの第2の開口縁とを有している。2つの開口のうち一方の開口の第1開口縁にそれぞれ連なって、2つの矩形状の第1のフラップが形成されている。これら第1のフラップは、第1開口縁に沿って折り曲げられることによって、前記一方の開口を閉じる。 これら2つの第1のフラップそれぞれにおいて、第1の開口縁の両外側からそれぞれ内側に向かって合計4つの円弧状差し込み口が形成されている。これら4つの円弧状差し込み口は、第1の開口縁側に凸である。前記一方の開口における2つの第2の開口縁に連なって、第2のフラップが形成されている。これら2つの第2のフラップは、第2の開口縁に沿って折り曲げれて、2つの第1のフラップの上側に重なる矩形状である。これら矩形状の両端の先端が前記各円弧状差し込み口に挿入されて、第1のフラップの下側に進入している。
【0007】
この態様の箱では、円弧状の差し込み口に、第2のフラップの両端の先端を挿入するだけでよいので、組み立てが容易に行える。更に、第2のフラップを差し込み口に挿入した後には、第2のフラップの両端の先端の上面が、第1のフラップの下面に面接触しているので、両者の摩擦によって強固に固定され、自動的に第1のフラップに対する第2のフラップの固定が解除されることがない。しかも、箱の内部に重量物を収容した場合でも、第1及び第2のフラップの面接触している部分全体に重量が係り、特定の箇所だけに重量が係らないので、破損しにくい。
【0008】
前記円弧状差し込み口を、ほぼ1/4円に形成することができる。このように構成すると、第2のフラップの差し込み部への挿入を容易に行うことができる。
【0009】
また、前記各円弧状差し込み口の内側端部に係止部を形成し、第2のフラップにおける前記係止部に対応する位置に、前記係止部に係合する係合部を形成することもできる。このように構成すると、より強固に第1及び第2のフラップを固定することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明による箱は、組み立てが容易で、組み立てた後に自然にフラップが開くことが無く、また破損しにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一実施形態の箱は、例えば段ボール紙製で、図1(a)に示すように本体部2を有している。本体部2は、所定の間隔を隔てて平行に位置する同一の矩形、例えば長方形状の2つの側壁4a、4bを有している。これら側壁4a、4bそれぞれの両端に連なって端壁6a、6bが形成されている。端壁6a、6bも、同一の矩形、例えば長方形状で、互いに平行に、かつ側壁4a、4bと直交して位置する。即ち、側壁4a、4bは、端壁6a、6bと隣接している。この本体部2は、後述するように裁断された段ボール紙を折り曲げることによって形成される。
【0012】
側壁4a、4b、端壁6a、6bによって構成された本体部2の上下には、それぞれ矩形、例えば長方形状の開口が形成されている。これら2つの開口は、対向する2つの第1の開口縁、例えば長辺開口縁8a、8b、10a、10bを側壁4a、4bの上下両端にそれぞれ有している。また、長辺開口縁8a、8bと直交し、かつ互いに対向する2つの第2の開口縁、例えば短辺開口縁12a、12b、14a、14bが、端壁6a、6bの上限両端に形成されている。
【0013】
長辺開口縁8a、8bに連ねて、第1のフラップ、例えば長辺フラップ16a、16bが形成されている。長辺フラップ16a、16bは、長辺開口縁8a、8b、短辺開口年12a、12bによって囲われた長方形状の開口を、長辺フラップ16a、16bによって被うことができる2つの長方形状に形成されている。これら長辺フラップ16a、16bは、図1(b)に示すように、長辺開口8a、8bで折り曲げられて、上記のように開口を被っている。
【0014】
長辺フラップ16aには、円弧状差し込み口18a、18bが形成され、長辺フラップ16bには、円弧状差し込み口18c、18dが形成されている。円弧状差し込み口18a、18b、18c、18dは、いずれも例えば同一径の1/4円状に長辺フラップ16a、16bを切り欠いて形成されている。円弧状差し込み口部18a、18bの一端は、長辺フラップ16aの両端側の長辺開口8aの近傍に位置している。また、円弧状差し込み口18a、18bの他端は長辺フラップ8aの中央側に、長辺開口8aから離れて位置している。これら円弧状差し込み口18a、18bは、長辺開口8a側に凸に形成されている。なお、円弧状差し込み口18a、18bは、長辺フラップ8aにおいて長辺開口縁8aの中央を通り長辺開口8aに垂直な対称軸に対して線対称に形成されている。同様に、円弧状差し込み口18c、18dも長辺フラップ8bに形成されている。そして、円弧状差し込み口18aと18cとは、図1(b)に示すよう長辺フラップ8a、8bによって開口を閉じた状態において、これら長辺フラップ8a、8b上において、短辺開口12a、12bの中央で、短辺開口12a、12bに垂直な対称軸に対して線対称に形成されている。同様に、円弧状差し込み口18b、18dも、同じ対称軸に対して線対称に形成されている。
【0015】
なお、円弧状差し込み口18a、18b、18c、18dの他端側端部には、それぞれ開口長辺8a、8bに平行で、それぞれ長辺フラップ8a、8bの中央側を向いた係止部20a、20b、20c、20dが切り込みことによって形成されている。
【0016】
短辺開口縁12a、12bに連ねて、第2のフラップ、例えば短辺フラップ22a、22bが形成されている。これら短辺フラップ22a、22bは、矩形、例えば長方形状に形成され、短辺開口縁12a、12bに沿って折り曲げられて、長辺フラップ8a、8b上に重ねられる。短辺フラップ22aの短辺開口縁12aから先端までの長さは、図1(b)に示すように長辺フラップ8a、8bを折り曲げた状態において短辺開口縁12aから係止部20b、20dまでの距離にほぼ等しく形成されている。同様に、短辺フラップ22bの短辺開口12bから先端までの長さも、長辺フラップ8a、8bを折り曲げた状態において短辺開口縁12bから係止部20a、20cまでの距離にほぼ等しく形成されている。短縁フラップ22a、22bの短辺開口縁12a、12bと反対側の縁部、即ち先端側の縁部の両端には、それぞれアール状部23a、23b、23c、23dが形成されている。
【0017】
短辺フラップ22aの先端側には係合部24a、24bが、短辺フラップ22bの先端側には係合部24c、24dが、それぞれ形成されている。これら係合部24a、24b、24c、24dは、短辺フラップ22a、22bをほぼ矩形に切り込むことによって形成されている短辺フラップ22aの長辺開口縁8a側の端部から。係合部24aまでの距離は、長辺フラップ16aにおける長辺開口縁8aから係止部20bまでの距離にほぼ等しく形成され、同様に、短辺フラップ22aの長辺開口縁8b側の端部から係合部24bまでの距離は、長辺フラップ8bにおける長辺開口縁8bから係止部20dまでの距離にほぼ等しく形成され、短辺フラッグ22bの長辺開口縁8a側の端部から係合部24cまでの距離は、長辺フラップ16aにおける長辺開口縁8aから係止部20aまでの距離にほぼ等しく形成され、同様に、短辺フラップ22bの長辺開口縁8b側の端部から係合部24dまでの距離は、長辺フラップ16bにおける長辺開口縁8bから係止部20cまでの距離にほぼ等しく形成されている。
【0018】
図1(c)に示すように、短辺フラップ22a、22bを短辺開口12a、12bに沿って折り曲げながら、短辺フラップ22a、22bの中途を幾分本体部2側と反対側に折り曲げて、短辺フラップ22a、22bの先端の両側をそれぞれ差し込み口18a、18b、18c、18dに挿入する。これによって、係合部24aが係止部20bに係合し、係合部24bが係止部20dに係合し、係合部24cが係止部20aに係合し、係合部24dが係止部20cに係合する。差し込み口が円弧状の差し込み口18a、18b、18c、18dのように円弧状に形成され、かつ短辺フラップ22a、22bの先端部両端にはアール状部23a、23b、23c、23dが設けられているので、差し込み口18a、18b、18c、18dに対する短辺フラップ22a、22bの先端両側部の挿入が、なんら引っかかるものも無く円滑に行われる。また、挿入が行われた後には、短辺フラップ22a、22bの先端両側部が円弧状の差し込み口18a、18b、18c、18dより長辺フラップ16a、16bの裏面に面接触し、大きな摩擦によって短辺フラップ22a、22bが図1(b)に示す位置に戻ろうとすることを阻止する。その上に、各係止部20a乃至20dに係合部24a乃至24dが係合しているので、より確実に短辺フラップ22a、22bが元の状態に戻ろうとするのを阻止する。
【0019】
このようにして段ボール箱の例えば底部が形成される。従って、段ボール箱内に重量物を収容した場合、その重量は、底部を構成している長辺フラップ16a、16bや短辺フラップ22a、22bに係るが、その重量によって底部が抜けることを防止できる。
【0020】
本体部2の他方の開口の長辺開口縁10a、10b、短辺開口縁14a、14bにそれぞれ連ねて、長辺蓋フラップ26a、26b、短辺蓋フラップ28a、28bが一体に形成されている。これらは、図1(d)に示すように、それぞれ矩形、例えば長方形状に形成され、長辺開口縁10a、10b、短辺開口縁14a、14bに沿って折り曲げられ、蓋を構成している。なお、図1では、長辺蓋フラップ26a、26b、短辺蓋フラップ28a、28bを最後に折曲げるように示したが、一番最初に折曲げることもできる。
【0021】
このような段ボール箱は、図2に示すように段ボール紙を裁断したものを利用して形成される。図2において、上述した各構成に対応する部分には同一符号を付してある。なお、符号30で示すのは、この裁断された段ボール紙を折り曲げて本体部2を作成する際に、折り曲げた段ボールを接着するための糊代部分である。また、長辺フラップ16a、16bを折り曲げて開口を閉じたとき、隙間が開かないように、長辺フラップ16a、16bの先端部には、それぞれ重なり代32a、32bが形成されている。また、係合部24a、24b、24c、24dの一方の縁の先端は、係止部20a、20b、20c、20dへの挿入を容易にするために、円弧状に形成されている。また、端壁6a、6bには、この箱を運搬する作業員が指をかけるための長孔34a、34bが形成されている。
【0022】
上記の実施形態では、段ボール箱は、直方体状のものを示したが、立方体状に形成することもできる。また、上記の実施形態では、円弧状差し込み口を利用したフラップの固定は、本体部2の一方の開口のみに行ったが、他方の開口も同様に円弧状の差し込み口を利用して固定することもできる。上記の実施形態では、段ボール紙によって、箱を形成したが、材料としては、段ボール紙以外の材質のもの、例えば樹脂や金属を使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の1実施形態の段ボール箱の組み立て過程を示す図である。
【図2】図1の段ボール箱の展開図である。
【符号の説明】
【0024】
2 本体部
4a、4b 側壁
6a 6b 端壁
8a 8b 長辺開口縁(第1の開口縁)
12a 12b 短辺開口縁(第2の開口縁)
16a 16b 長辺フラップ(第1のフラップ)
18a乃至18d 円弧状差し込み部
22a、22b 短辺フラップ(第2のフラップ)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下にそれぞれ矩形の開口を有し、これら各開口は、互いに平行な2つの第1の開口縁と、これら2つの第1の開口縁と直交し、互いに平行な2つの第2の開口縁とを有する本体部と、
前記開口の一方の前記2つの第1の開口縁にそれぞれ連なり、第1の開口縁に沿って折り曲げられて、前記一方の開口を閉じる2つの矩形状の第1のフラップと、
これら2つの第1のフラップそれぞれにおいて、第1の開口縁の両外側からそれぞれ内側に向かって形成され、第1の開口縁側に凸である合計4つの円弧状差し込み部と、
前記一方の開口において前記2つの第2の開口縁にそれぞれ連なり、第2の開口縁に沿って折り曲げられて、2つの第1のフラップの上側に重なっている矩形状であって、これら矩形状の両端の先端が前記各円弧状差し込み部に挿入されて、第1のフラップの下側に進入している第2のフラップとを、
具備する箱。
【請求項2】
請求項1記載の箱において、前記円弧状差し込み口が、ほぼ1/4円に形成されている箱。
【請求項3】
請求項1記載の箱において、前記各円弧状差し込み口の内側端部に係止部が、形成され、第2のフラップにおける前記係止部に対応する位置に、前記係止部に係合する係合部が形成されている箱。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−298434(P2009−298434A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154052(P2008−154052)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000201641)全国農業協同組合連合会 (69)
【Fターム(参考)】