箸乾燥方法、箸乾燥装置および箸収容籠
【課題】複数膳の箸を、省エネルギー化をはかりつつ短時間で乾燥することのできる箸乾燥方法を提供する。
【解決手段】箸7の先端9から基端11へ向けて空気を流すことで、箸7を乾燥する。箸は、前記先端から長手方向の中間部にかけての部位が箸収容籠5内に入り込み、前記中間部から前記基端にかけての部位が前記箸収容籠外に突出して、前記箸収容籠に収容されている箸乾燥方法である。
【解決手段】箸7の先端9から基端11へ向けて空気を流すことで、箸7を乾燥する。箸は、前記先端から長手方向の中間部にかけての部位が箸収容籠5内に入り込み、前記中間部から前記基端にかけての部位が前記箸収容籠外に突出して、前記箸収容籠に収容されている箸乾燥方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箸乾燥方法、箸乾燥装置および箸収容籠に係り、たとえば、飲食店で使用される多数膳の箸を一度に乾燥するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数膳の箸を乾燥する箸乾燥装置として、多段のトレイの上に箸や食器を水平に置き、熱風をあてて箸を乾燥している。
なお、従来の技術文献として、たとえば、特許文献1、特許文献2を掲げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−167538号公報
【特許文献2】特開2005−110899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の箸乾燥装置は、箸への熱風の流れが悪く、箸が乾燥しづらいという問題がある。
すなわち、多数膳の箸に熱風をあてるようにしても、熱風が強くあたる部位と、重ねられている箸が邪魔になって熱風がほとんどあたらない部位とが存在する(乾燥のための熱風が不均一な状態で箸にあたる)。
【0005】
したがって、箸の総てを乾燥させるとなると、長い時間を要し、箸乾燥装置の運転で多くの電力を消費してしまう。一方、箸の重なりをなくすためには、箸を設置する容積を大きくしなければならない。
【0006】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、複数膳の箸を、省エネルギー化をはかりつつ短時間で乾燥することのできる箸乾燥方法、箸乾燥装置および箸収容籠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、箸の先端から基端へ向けてもしくは前記箸の基端から先端へ向けて、空気を流すことで、前記箸を乾燥する箸乾燥方法である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の箸乾燥方法において、前記箸は、前記先端から長手方向の中間部にかけての部位が箸収容籠内に入り込み、前記中間部から前記基端にかけての部位が前記箸収容籠外に突出して、前記箸収容籠に収容されている箸乾燥方法である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の箸乾燥方法において、前記箸収容籠は、箸収容籠本体部と鍔部とで構成されており、前記箸収容籠本体部は、底板部と側板部とで矩形な枡状に形成され、前記底板部と前記側板部とには複数の貫通孔が形成されており、前記鍔部は、矩形な環状に形成されて前記箸収容籠本体部の開口部の外周に設けられており、前記先端を前記箸収容籠の底板部に接触させて前記箸収容籠に収容された前記箸は、前記箸収容籠といっしょに直方体状の乾燥空間内に設置され、前乾燥空間の幅寸法は、前記鍔部の幅寸法よりもごく僅かに大きくなっており、前乾燥空間の奥行き寸法は、前記鍔部の奥行き寸法よりもごく僅かに大きくなっており、前記箸収容籠は、前記箸収容籠本体部の底板部が前記乾燥空間の底壁に接するようにして前記乾燥空間内に設置され、前記乾燥空間の底壁から前記空気を噴出し、前記乾燥空間の上面で前記空気を回収する箸乾燥方法である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、箸の先端から基端へ向けて空気を流すことで、箸を乾燥するように構成されている箸乾燥装置である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、箸の先端から基端へ向けて空気を流すことで、前記箸を乾燥するように構成されている箸乾燥装置本体に使用される箸収容籠であって、前記箸の先端から長手方向の中間部にかけての部位が内部に入り込み、前記中間部から基端にかけての部位が突出するようにして、前記箸を収容するように構成されている箸収容籠である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の箸収容籠において、前記箸収容籠は、箸収容籠本体部と鍔部とで構成されており、前記箸収容籠本体部は、底板部と側板部とで矩形な枡状に形成され、前記底板部と前記側板部とには複数の貫通孔が形成されており、前記鍔部は、矩形な環状に形成されて前記箸収容籠本体部の開口部の外周に設けられている箸収容籠である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数膳の箸を、省エネルギー化をはかりつつ短時間で乾燥することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】箸乾燥装置(箸乾燥装置本体)の外観を示す斜視図である。
【図2】箸乾燥装置の扉をあけた状態を示す図である。
【図3】箸乾燥装置の扉をあけた状態であって、筐体の側板を除去した状態を示す図である。
【図4】箸収容籠の概略構成を示す斜視図である。
【図5】箸収容籠を三角法で表した図である。
【図6】箸乾燥装置本体の乾燥室内に、箸が収容された箸収容籠を設置した状態を示すとともに、箸を乾燥するための空気の流れを示す図である。
【図7】図6におけるVII−VII矢視図である。
【図8】箸乾燥装置と、鍔部を備え箸を縦置きで収容する箸収容籠とを用いた乾燥試験を示す図である。
【図9】箸乾燥装置と、鍔部を備えておらず箸を縦置きで収容する箸収容籠とを用いた乾燥試験を示す図である。
【図10】箸乾燥装置と、箸を横置きで収容する従来の箸収容籠とを用いた乾燥試験を示す図である。
【図11】箸乾燥装置と鍔部を備え箸を縦置きで収容する箸収容籠とを用いた乾燥試験の試験結果と、箸乾燥装置と箸を横置きで収容する従来の箸収容籠とを用いた乾燥試験の試験結果とを示す図である。
【図12】箸乾燥装置と鍔部を備え箸を縦置きで収容する箸収容籠とを用いた乾燥試験の試験結果と、箸乾燥装置と鍔部を備えておらず箸を縦置きで収容する箸収容籠とを用いた乾燥試験の試験結果とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
箸乾燥装置1(たとえば、ミドリ安全株式会社製のエコ箸熱風殺菌・乾燥庫HSK−150)は、図3等に示すように、たとえば、箸乾燥装置本体3と、箸収容籠(箸収納籠)5とを備えて構成されている。そして、箸7を乾燥するための空気(たとえば、熱風)を、図6に示すように、箸7の先端9から基端11へ向けて流すことで(空気を箸7の長手方向の先端9側から基端11側へ向けて箸7に沿って流すことで)、箸7を乾燥するように構成されている。なお、箸7は、合成樹脂等の材料で構成されている。また、箸7の基端11から先端9へ向けて、空気を流すことで箸7を乾燥するように構成してもよい。
【0016】
箸乾燥装置1では、複数本(複数膳)の箸7をいっしょに乾燥するようになっている。複数本の箸7をいっしょに乾燥するとき、各箸7は、これらの長手方向がお互いにほぼ一致している(ほぼ平行になっている)。箸7は、先端(食物に接する側の端部)9では外径が小さく、基端(手で持つ側の端部)11へ向かうにしたがって、外径が次第に大きくなっている。
【0017】
複数本の箸7をいっしょに乾燥するとき、各箸7は、図6に示すように、これらの長手方向(図6の上下方向)では、お互いの位置がほぼ一致しており、また、図6の左右方向において、基端11側ではお互いが接触しているかごく僅かに離れており、先端9側ではお互いが僅かに離れている。
【0018】
これにより、各箸7の長手方向に対して直交する方向(横方向)から見ると、図6に示すように、各箸7の間には楔状の空間13が形成されている。すなわち、箸7の先端9側では幅が広く箸7の基端11側では幅が狭い空間13が形成されている。この空間13は、図7から理解されるように、箸7の長手方向に対して直交する平面による断面の面積が、箸7の先端9側で大きく、箸7の基端11側で小さくなっている。
【0019】
箸7の先端9から基端11へ向かって各箸7の間の空間13を空気が流れることで、各箸7が乾燥するようになっている。各箸7は、たとえば、先端9が下側になっており、基端11が上側になっている。そして、空気が下から上へ向かって流れるようになっている。なお、空気の温度は、箸7を殺菌できる温度よりも高く、箸7に悪影響を与えてしまう温度(箸7の組織が変化したり、箸7が軟化する温度)よりも低い温度であり、たとえば、80℃〜85℃程度になっている。
【0020】
なお、上記説明では、箸7が基端11から先端9へ向かうにしたがって次第に細くなっているが、先端9側のみが次第に細くなっている形態であってもよい。たとえば、箸7の長手方向で、先端9から箸7の中間までの部位(たとえば、先端側1/3の部位)が、先端9から基端11へ向かうにしたがって次第に細くなっており、上記中間部位から基端11までは、箸7の外径がほぼ一定になっていてもよい。
【0021】
箸収容籠5は、箸乾燥装置1で箸7を乾燥するときに、箸乾燥装置本体3に設置されて使用されるものである。すなわち、複数本の箸7が設置された箸収容籠5が箸乾燥装置本体3に設置された状態で箸乾燥装置本体3を運転すると、箸7を乾燥するための空気が、箸7の先端9から基端11へ向けて流れ、箸7が乾燥するようになっている。
【0022】
箸収容籠5に複数本の箸7が設置された状態では、図6に示すように、空間13が形成されているとともに、各箸7の先端9から長手方向の中間部にかけての部位(先端・中間部位)が箸収容籠5の内部に入り込んでいる。また、上記中間部位から基端11にかけての部位(中間・基端部位)が箸収容籠5から上方に突出している。
【0023】
箸収容籠5は、たとえばステンレス鋼で構成され、箸収容籠本体部15と、鍔部17とで構成されている(図4等参照)。箸収容籠本体部15は、底板部19と、側板部21とを備えて矩形な枡状に形成されている。底板部19と側板部21とには複数の貫通孔23が形成されている。
【0024】
鍔部17は、図5(c)や図7で示すように、矩形な環状(「ロ」字状)に形成されて箸収容籠本体部15の開口部25の外周に設けられている。
【0025】
箸収容籠5についてさらに説明すると、箸収容籠5は、たとえば、ステンレススチール等の金属で構成された平板状の素材を適宜プレス加工等することで形成されている。
【0026】
箸収容籠本体部15は、矩形な平板状の底板部19と、矩形な平板状の4枚の側板部21とで構成されている。4枚の側板部21のそれぞれは、底板部19の4つの辺のそれぞれから起立して(底板部19に対して直交して起立して)いる。
【0027】
底板部19の少なくとも一部(たとえば、僅かな幅の「ロ」字状の周辺部27を除く矩形状の中央部位29)は、空気を通過させるために、たとえば、網状になっている(図5(c)参照)。これにより、底板部19に多数の貫通孔23が形成されていることになる。ただし、網の目の大きさは、箸収容籠5に設置された箸7が通過(落下)しない大きさになっている。
【0028】
また、側板部21には、たとえば、打ち抜き加工によって、多数の貫通孔23が形成されている。この貫通孔23の大きさは、上記網の目の大きさよりも大きくなっているが、たとえば、箸7が通過しない大きさになっている。
【0029】
箸収容籠5を平面視すると、図5(c)に示すように、鍔部17は、一定の幅の「ロ」字状に形成されており、箸収容籠本体部15を囲んでいる。ここで、箸収容籠本体部15における側板部21の起立方向(底板部19の厚さ方向;図5(a)での左右方向)を箸収容籠5の高さ方向とし、この高さ方向に直交する1つの方向(図5(c)での左右方向)を箸収容籠5の幅方向とし、前記高さ方向と前記幅方向とに直交する他の1つの方向(図5(a)での上下方向)を箸収容籠5の奥行き方向とする。なお、すでに理解されるように、上記幅方向は矩形な平板状の底板部19の1つの辺の延伸方向と一致し、上記奥行き方向は、矩形な平板状の底板部19の1つの辺と直交する他の辺の延伸方向と一致している。
【0030】
鍔部17についてさらに説明すると、鍔部17の断面は、図6等に示すように、「L」字状に形成されている。つまり、「ロ」字状の鍔部17は、4つの辺部で形成されているが、鍔部17の1つの辺部を、側板部21に対して直交する平面(鉛直面、垂直面)で切断したとすると、この切断面が「L」字状になっている。他の3つの辺部の断面も同様にして「L」字状になっている。
【0031】
「L」字状の断面の一方の辺部に相当する鍔部17の部位(第1の鍔部31)は、図6に示すように、側板部21に対し直交して、箸収容籠本体部15から離れる方向へ突出している。「L」字状の断面の他方の辺部に相当する鍔部17の部位(第2の鍔部33)は、第1の鍔部31の先端部から、箸収容籠本体部15の側板部21と平行になって、箸収容籠本体部15の底板部19側に突出している。
【0032】
なお、鍔部17には、貫通孔等は一切設けられていない。したがって、空気が鍔部17自体を通過することはない。
【0033】
また、箸収容籠本体部15の内部には、平板状の仕切り部材35が設けられている。仕切り部材35は、箸収容籠本体部15の側板部21と平行になっており、箸収容籠本体部15の内部を複数の区画に区切っている。また、仕切り部材35には、円形の貫通孔が形成されている(図4等参照)。
【0034】
箸乾燥装置本体3は、図2や図6等に示すように、筐体37と、扉39と、ファン41と、ヒータ43と、図示しない温度センサと、図示しないコントローラとを備えて構成されている。
【0035】
箸乾燥装置本体3(筐体37)の内部には、乾燥室(乾燥空間)45が設けられている。乾燥室45は、箸乾燥装置本体3(筐体37)を構成する6枚の矩形状の平板で囲まれており、四角柱状(直方体状)に形成されている。
【0036】
乾燥室45の底面(底壁)49は、6枚の平板のうちの1枚の平板(貫通孔が設けられている平板)で形成されており、図6に示すように、上記多数の貫通孔(図示せず)から空気が出るようになっている。そして、各貫通孔は、乾燥室45の底面49の、箸収容籠5が設置される領域の全面にほぼ均一に設けられている。なお、各貫通孔は、乾燥室45の底面49の全面にほぼ均一に設けられていてもよく、少なくとも1箇所に貫通孔を設ける構成としてもよい。乾燥室45の上面51は、6枚の平板のうちの他の1枚の平板(底面49を形成している平板と平行であって多数の貫通孔が設けられている平板)で形成されており、上記多数の貫通孔を通って空気が、たとえば、吸引されて回収されるようになっている。
【0037】
扉39は、6枚の平板のうちの1枚の平板で形成されている。この扉39を閉じることで、乾燥室45がほぼ閉空間になり、扉39を開くことで、多数の箸7が収容された箸収容籠5が、箸乾燥装置本体3の外から乾燥室45内に設置され、また、乾燥室45内に設置されている箸収容籠5が、箸乾燥装置本体3の外に搬出できるようになっている(図1〜図3等参照)。
【0038】
乾燥室45の外側であって箸乾燥装置本体3の筐体37の内側には、ファン41と、ヒータ43と、図示しない温度センサと、図示しないコントローラとが設けられている。
【0039】
そして上記コントローラの制御の下、ファン41およびヒータ43を適宜駆動することで、図6に矢印で示す空気の流れが生成されるように構成されている。
【0040】
すなわち、箸7を乾燥するための空気が乾燥室45の底面49から出て、この空気が、箸収容籠5や箸7のところを通って、乾燥室45に上面51から回収されるようになっている。乾燥室45の上面51から回収された空気は、ファン41、ヒータ43を通って加熱され、再び乾燥室45の底面49から出るようになっている。
【0041】
なお、図6に示す空気の流れにおいて、箸7の乾燥により空気中に入った水分を減らすために、乾燥室45の上面51から回収された空気の一部を、外気と入れ替えるようになっている。
【0042】
また、上記センサの検出結果に応じて、箸7のところを流れる空気の温度が、適宜制御されるようになっている。たとえば、箸7のところを流れる空気の温度が、少なくとも5分の間80℃以上になり、上記少なくとも5分間のうちの少なくとも1分の間は、85℃以上になる。これにより、箸7が乾燥されるだけでなく、箸7の殺菌も行われるようになっている。
【0043】
ところで、箸収容籠5に複数本の箸7を設置した状態では、前述したように、箸7の基端11側が箸収容籠5から上方に突出しているとともに、箸7の間に隙間(楔状の空間)13が生じている。
【0044】
複数本の箸7を収容した箸収容籠5を乾燥室45に設置した状態(箸籠設置状態)では、図6に示すように、箸収容籠本体部15の底板部19と、乾燥室45の底面49とがお互いに接触しており、「ロ」字状の鍔部17(鍔部17の外周)が、乾燥室45の側面53に接触するかもしくは「ロ」字状の鍔部17が、乾燥室45の側面53からごく僅かに離れている。また、箸籠設置状態では、箸7の先端9が下側に位置し、基端11が上側に位置し、各箸7の上端(基端11)と、乾燥室45の上面51との間は、所定の間隔があいている。
【0045】
また、箸籠設置状態では、乾燥室45の底面49と鍔部17との間であって乾燥室45の側面53と箸収容籠本体部15の側板部21との間には、「ロ」字状で筒状になっている空間(「ロ」字状の筒状空間47)が形成されている。
【0046】
そして、箸乾燥装置本体3を稼動すると、乾燥室45の底面49から出た空気のほとんどが、箸収容籠本体部15の底板部19の貫通孔23を通って、各箸7の間を上方に流れ、乾燥室45の上面51から回収されるようになっている。また、箸乾燥装置本体3を稼動すると、乾燥室45の底面49から出た空気の一部が、「ロ」字状の筒状空間47を通り、箸収容籠本体部15の側板部21の貫通孔23を通って、各箸7の間を上方に流れ、乾燥室45の上面51から回収されるようになっている。
【0047】
これより、箸7の乾燥がなされるようになっている。すなわち、箸7を乾燥するための空気を、箸7の先端9から基端11へ向けて流すことで(空気を箸7の先端9側から基端11側へ向けて箸7に沿って流すことで)、箸7を乾燥するようになっている。
【0048】
次に、箸乾燥装置1の動作について説明する。
【0049】
まず、初期状態として、箸乾燥装置本体3は停止しており、扉39は図1に示すように閉じており、洗浄済みであって濡れている複数本の箸7が収容された(箸7の先端9が箸収容籠本体部15の底板部19に接触するようにして収容された)箸収容籠5が、箸乾燥装置本体3の外に置かれているものとする。
【0050】
上記初期状態において、扉39をあけて、乾燥室45内に箸7と箸収容籠5とを一緒に設置する(箸籠設置状態にする)。
【0051】
なお、乾燥室45の幅寸法は、鍔部17の幅寸法よりもごく僅かに大きくなっており、乾燥室45の奥行き寸法は、鍔部17の奥行き寸法よりもごく僅かに大きくなっており、乾燥室45の高さ寸法は、箸収容籠5の高さ寸法よりも大きくなっており、さらに、箸7が収容されている箸収容籠5の高さ寸法(箸収容籠本体部15の底板部19の厚さと箸7の長さとの和)は、乾燥室45の高さ寸法よりも小さくなっているものとする。
【0052】
また、箸籠設置状態では、箸収容籠5は、箸収容籠本体部15の底板部19が乾燥室45の底面(底壁)49に接し、箸収容籠5の幅方向(鍔部17の幅方向)と乾燥室45の幅方向とが互いに一致し、箸収容籠5の奥行き方向(鍔部17の奥行き方向)と乾燥室45の奥行き方向とが互いに一致し、箸収容籠5の高さ方向と乾燥室45の高さ方向とが互いに一致している。
【0053】
続いて、箸乾燥装置本体3を稼動すると、乾燥室45の底面49から上述した所定の温度の空気が所定の時間噴出し、この噴出した空気を乾燥室45の上面51で回収する。この間、乾燥室45内を下から上へ向かう空気が各箸7の間を流れ、これにより箸7が乾燥する。
ここで、試験結果等について説明する。
まず、試験の条件(態様)について説明する。試験は、図8、図9、図10に示す3種類の態様で行った。
図8で示す試験は、本発明の実施形態に係る箸乾燥装置1と箸収容籠5とを用いた乾燥試験の態様を示している。なお、図5で示す箸収容籠5では、底板部19の少なくとも一部が網目状になっているが、図8で示す試験では、網目状の材料にアルミニウムで構成された板状のパンチングメタルを重ねてある。パンチングメタルには多数の貫通孔が設けられている。貫通孔の直径は3mmであり、貫通孔のピッチは4mmである。また、図8に示す矢印は空気の流れを示している。
図9で示す試験は、鍔部を有しない箸収容籠を用いた点が、図8で示す試験と異なっている。すなわち、図9で示す試験は、本発明の実施形態に係る箸乾燥装置1と鍔部17を備えていない箸収容籠5とを用いた乾燥試験の態様を示す図である。なお、図9の試験でも、図8の場合と同様に、網目状の材料にパンチングメタルを重ねてある。また、図9に示す矢印は空気の流れを示している。
図10で示す試験は、本発明の実施形態に係る箸乾燥装置1と箸を横置きする従来の箸収容籠とを用いた乾燥試験の態様を示す図である。
図8〜図10で示す試験で使用した箸収容籠の寸法は、図5と図10に示すとおりである。図8〜図10で示す試験で使用した箸は、図7で示している箸7とは、形状が僅かに異なっている。すなわち、図7で示している箸7は、この長手方向から見ると、各辺が凸な円弧状である矩形状に形成されているが、図8〜図10で示す試験で使用した箸は、この長手方向から見ると、矩形の4つの角部に面取りがされた8角形状に形成されている
図8〜図10で示す試験では、150膳(300本)の箸を一度に(1サイクルの運転で)乾燥させた。このときの空気の温度であるが、図6に示すポイント(ヒータ43の下流近傍のポイント)P1で100℃程度になるように設定した。これにより、図6に示すポイント(箸7の下流近傍のポイント)P2では、空気の温度が箸7の乾燥の度合いに応じて50℃程度から70℃程度にまで上昇した。
図8〜図10で示す試験では、所定の時刻が経過する毎に(たとえば5分毎に)、箸7の乾燥具合を測定した。この測定では、まず、乾燥している300本の箸7を箸収容籠(乾燥している箸収容籠)に収容し、この収容状態で300本の箸7と箸収容籠との質量を測定した。続いて、洗浄することで水に濡れている(水が付着している)300本の箸7を箸収容籠(乾燥している箸収容籠)に収容し、この収容状態で300本の箸7と箸収容籠との質量を測定した。この後、箸7の乾燥が進行する毎に(たとえば、5分毎に)、300本の箸7と収容籠との質量を測定し、この質量の測定を水が乾燥し終えるまで行った。
なお、箸7等の質量の測定では、電磁式秤(研精工業株式会社製の電磁式秤FP−12K;最大測定質量が12100g、最小測定質量0.1g)を使用した。
次に、乾燥試験の試験結果を図11、図12を用いて説明する。なお、図11、図12で示す試験結果は、図8〜図10で示す試験を3回行ったときの平均値である。
図11で示すグラフの横軸は時刻の経過を示しており、縦軸は、箸7に付着している水の質量を示している。また、図11で示す線図G1は、図8で示す乾燥試験(本発明の実施形態に係る箸乾燥装置1と箸収容籠5とを用いた乾燥試験)の結果を示しており、図11で示す線図G2は、図10で示す乾燥試験(本発明の実施形態に係る箸乾燥装置1と箸を横置きする従来の箸収容籠とを用いた乾燥試験)の結果を示している。
図11から明らかなように、箸7に付着している水の質量がゼロになるまでに要する時間が、図10で示す従来の箸収容籠を用いた場合には50分であるのに対して、図8で示す本発明の実施形態に係るものでは、30分に短縮される。さらに、図8で示す本発明の実施形態に係るものでは、300本の箸7が30分で完全に乾燥したが、図10で示す従来のものでは、若干の水滴が箸5の間に残っており、完全な乾燥は50分ではできていない。
図12(a)で示すグラフの横軸は時刻の経過を示しており、縦軸は箸7に付着している水の質量を示している。また、図12(b)で示すグラフの横軸は時刻の経過を示しており、縦軸は箸7における水分の残存率を示している。なお、図12(b)の縦軸は対数目盛りになっている。
図12(a)で示す線図G3は、図8で示す乾燥試験(本発明の実施形態に係る箸乾燥装置1と箸収容籠5とを用いた乾燥試験)の結果を示しており、図12(a)で示す線図G4は、図9で示す乾燥試験(箸乾燥装置1と鍔部17を備えていない箸収容籠5を用いた乾燥試験)の結果を示している。
図12(a)から明らかなように、箸7に付着している水の質量がゼロになるまでに要する時間が、図9で示すものでは35分であるのに対して、図8で示す本発明の実施形態に係るものでは、30分に短縮される。
また、図12(b)で示す線図G5は、図8で示す乾燥試験(本発明の実施形態に係る箸乾燥装置1と箸収容籠5とを用いた乾燥試験)の結果を示しており、図12(b)で示す線図G6は、図9で示す乾燥試験(箸乾燥装置1と鍔部17を備えていない箸収容籠5を用いた乾燥試験)の結果を示している。
図12(b)から明らかなように、箸7に付着している水分量が少なくなってから(水分量が20%以下になってから)、箸収容籠5に鍔部17を設けたことで箸7の乾燥が早くなり、箸7の乾燥の進行具合に大きな差が出ている。
【0054】
箸乾燥装置1によれば、箸7を乾燥するための空気を、箸7の先端9から基端11へ向けて流すことで、箸7を乾燥するので、箸7のまわりでの空気の流れがよくなり、箸7が乾燥しやすくなる。
【0055】
すなわち、各箸7の間には空間(間隙)13が形成されており、この空間13内を空気がほぼ均一に流れるので、総ての箸7の外周面に空気があたり、総ての箸7の外周面の全面がほぼ均一に加熱されることになる。これにより、箸7の総てを乾燥させるのに要する時間を短くすることができ、箸乾燥装置1での電力の消費量を少なくすることができる(省エネルギー化をはかりつつ短時間で総ての箸7を乾燥することができる)。
【0056】
また、箸乾燥装置1によれば、箸収容籠5の内部に高い密度で多数の箸7を、各箸7の先端9を下にして収容することで、基端11が上になって箸7が起立し、各箸7の間に間隙(空間)13ができ、この空間13を空気が流れる。したがって、省スペース化をはかるべく小さい(少ない)スペースに多数の箸7を設置してあっても総ての箸7を効率よく乾燥することができる。
【0057】
また、箸乾燥装置1によれば、箸7の先端・中間部位(食べ物および人の口に触れる部分)が箸収容籠5の内部に位置し、箸7の中間・基端部位が箸収容籠5から突出しているので、箸7の乾燥が終了した後、箸7の中間・基端部位のみに触れることで、箸7を箸立てに移すことができ、箸7の衛生状態を良好なものに保つことができる。
さらに、箸乾燥装置1によれば、箸7の先端部位のほうが箸7の基端部位よりもヒータ43の近くに位置しているので(図6参照)、箸7の先端部位のところを流れる空気のほうが箸7の基端部位のところを流れる空気よりも温度が高くなっている。これにより、箸7の先端・中間部位を一層確実に殺菌することができ、箸7の衛生状態を一層良好なものにすることができる。
また、図10に示す従来の乾燥の態様では、下側の箸ほど早く乾いてしまい、箸の設置部位でよって乾燥ムラが発生するが、図8や図9で示す態様では、乾燥ムラが発生することがない。
【0058】
また、箸乾燥装置1によれば、上述した形態の箸収容籠5を乾燥室45に入れて乾燥するので、箸7を乾燥する空気が、箸収容籠本体部15の底板部19からだけでなく、側板部21からも箸収容籠5内に入り込み、より確実に箸7を乾燥することができる。
【0059】
また、乾燥室45の底面49から出てきた空気が、箸収容籠5の鍔部17で遮られ、乾燥室45の底面49から出てきた空気の総てが、箸7が収容されている箸収容籠5の内部を通過する。これにより、無駄な空気の流れがなくなり、効率よく箸7を乾燥させることができる。
【0060】
また、箸乾燥装置1によれば、80℃以上に5分以上加熱することにより、大腸菌、黄色ブドウ球菌などの食中毒菌の殺菌が可能であり、また、85℃以上に1分以上加熱することにより、ノロウイルスを不活化することが可能である。
【0061】
なお、箸乾燥装置1では、箸収容籠5に箸7を収容して箸7を乾燥しているが、箸収容籠5を使用することなく、箸7を乾燥するようにしてもよい。すなわち、乾燥室45内に箸7を直接収納(収容)して箸7を乾燥するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 箸乾燥装置
3 箸乾燥装置本体
5 箸収容籠
7 箸
9 箸の先端
11 箸の基端
13 箸の間の空間(隙間)
15 箸収容籠本体部
17 鍔部
19 底板部
21 側板部
23 貫通孔
25 開口部
27 周辺部
29 中央部位
31 第1の鍔部
33 第2の鍔部
35 仕切部材
37 筐体
39 扉
41 ファン
43 ヒータ
45 乾燥室(乾燥空間)
47 筒状空間
49 底面(底壁)
51 乾燥室の上面
53 乾燥室の側面
【技術分野】
【0001】
本発明は、箸乾燥方法、箸乾燥装置および箸収容籠に係り、たとえば、飲食店で使用される多数膳の箸を一度に乾燥するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数膳の箸を乾燥する箸乾燥装置として、多段のトレイの上に箸や食器を水平に置き、熱風をあてて箸を乾燥している。
なお、従来の技術文献として、たとえば、特許文献1、特許文献2を掲げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−167538号公報
【特許文献2】特開2005−110899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の箸乾燥装置は、箸への熱風の流れが悪く、箸が乾燥しづらいという問題がある。
すなわち、多数膳の箸に熱風をあてるようにしても、熱風が強くあたる部位と、重ねられている箸が邪魔になって熱風がほとんどあたらない部位とが存在する(乾燥のための熱風が不均一な状態で箸にあたる)。
【0005】
したがって、箸の総てを乾燥させるとなると、長い時間を要し、箸乾燥装置の運転で多くの電力を消費してしまう。一方、箸の重なりをなくすためには、箸を設置する容積を大きくしなければならない。
【0006】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、複数膳の箸を、省エネルギー化をはかりつつ短時間で乾燥することのできる箸乾燥方法、箸乾燥装置および箸収容籠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、箸の先端から基端へ向けてもしくは前記箸の基端から先端へ向けて、空気を流すことで、前記箸を乾燥する箸乾燥方法である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の箸乾燥方法において、前記箸は、前記先端から長手方向の中間部にかけての部位が箸収容籠内に入り込み、前記中間部から前記基端にかけての部位が前記箸収容籠外に突出して、前記箸収容籠に収容されている箸乾燥方法である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の箸乾燥方法において、前記箸収容籠は、箸収容籠本体部と鍔部とで構成されており、前記箸収容籠本体部は、底板部と側板部とで矩形な枡状に形成され、前記底板部と前記側板部とには複数の貫通孔が形成されており、前記鍔部は、矩形な環状に形成されて前記箸収容籠本体部の開口部の外周に設けられており、前記先端を前記箸収容籠の底板部に接触させて前記箸収容籠に収容された前記箸は、前記箸収容籠といっしょに直方体状の乾燥空間内に設置され、前乾燥空間の幅寸法は、前記鍔部の幅寸法よりもごく僅かに大きくなっており、前乾燥空間の奥行き寸法は、前記鍔部の奥行き寸法よりもごく僅かに大きくなっており、前記箸収容籠は、前記箸収容籠本体部の底板部が前記乾燥空間の底壁に接するようにして前記乾燥空間内に設置され、前記乾燥空間の底壁から前記空気を噴出し、前記乾燥空間の上面で前記空気を回収する箸乾燥方法である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、箸の先端から基端へ向けて空気を流すことで、箸を乾燥するように構成されている箸乾燥装置である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、箸の先端から基端へ向けて空気を流すことで、前記箸を乾燥するように構成されている箸乾燥装置本体に使用される箸収容籠であって、前記箸の先端から長手方向の中間部にかけての部位が内部に入り込み、前記中間部から基端にかけての部位が突出するようにして、前記箸を収容するように構成されている箸収容籠である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の箸収容籠において、前記箸収容籠は、箸収容籠本体部と鍔部とで構成されており、前記箸収容籠本体部は、底板部と側板部とで矩形な枡状に形成され、前記底板部と前記側板部とには複数の貫通孔が形成されており、前記鍔部は、矩形な環状に形成されて前記箸収容籠本体部の開口部の外周に設けられている箸収容籠である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数膳の箸を、省エネルギー化をはかりつつ短時間で乾燥することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】箸乾燥装置(箸乾燥装置本体)の外観を示す斜視図である。
【図2】箸乾燥装置の扉をあけた状態を示す図である。
【図3】箸乾燥装置の扉をあけた状態であって、筐体の側板を除去した状態を示す図である。
【図4】箸収容籠の概略構成を示す斜視図である。
【図5】箸収容籠を三角法で表した図である。
【図6】箸乾燥装置本体の乾燥室内に、箸が収容された箸収容籠を設置した状態を示すとともに、箸を乾燥するための空気の流れを示す図である。
【図7】図6におけるVII−VII矢視図である。
【図8】箸乾燥装置と、鍔部を備え箸を縦置きで収容する箸収容籠とを用いた乾燥試験を示す図である。
【図9】箸乾燥装置と、鍔部を備えておらず箸を縦置きで収容する箸収容籠とを用いた乾燥試験を示す図である。
【図10】箸乾燥装置と、箸を横置きで収容する従来の箸収容籠とを用いた乾燥試験を示す図である。
【図11】箸乾燥装置と鍔部を備え箸を縦置きで収容する箸収容籠とを用いた乾燥試験の試験結果と、箸乾燥装置と箸を横置きで収容する従来の箸収容籠とを用いた乾燥試験の試験結果とを示す図である。
【図12】箸乾燥装置と鍔部を備え箸を縦置きで収容する箸収容籠とを用いた乾燥試験の試験結果と、箸乾燥装置と鍔部を備えておらず箸を縦置きで収容する箸収容籠とを用いた乾燥試験の試験結果とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
箸乾燥装置1(たとえば、ミドリ安全株式会社製のエコ箸熱風殺菌・乾燥庫HSK−150)は、図3等に示すように、たとえば、箸乾燥装置本体3と、箸収容籠(箸収納籠)5とを備えて構成されている。そして、箸7を乾燥するための空気(たとえば、熱風)を、図6に示すように、箸7の先端9から基端11へ向けて流すことで(空気を箸7の長手方向の先端9側から基端11側へ向けて箸7に沿って流すことで)、箸7を乾燥するように構成されている。なお、箸7は、合成樹脂等の材料で構成されている。また、箸7の基端11から先端9へ向けて、空気を流すことで箸7を乾燥するように構成してもよい。
【0016】
箸乾燥装置1では、複数本(複数膳)の箸7をいっしょに乾燥するようになっている。複数本の箸7をいっしょに乾燥するとき、各箸7は、これらの長手方向がお互いにほぼ一致している(ほぼ平行になっている)。箸7は、先端(食物に接する側の端部)9では外径が小さく、基端(手で持つ側の端部)11へ向かうにしたがって、外径が次第に大きくなっている。
【0017】
複数本の箸7をいっしょに乾燥するとき、各箸7は、図6に示すように、これらの長手方向(図6の上下方向)では、お互いの位置がほぼ一致しており、また、図6の左右方向において、基端11側ではお互いが接触しているかごく僅かに離れており、先端9側ではお互いが僅かに離れている。
【0018】
これにより、各箸7の長手方向に対して直交する方向(横方向)から見ると、図6に示すように、各箸7の間には楔状の空間13が形成されている。すなわち、箸7の先端9側では幅が広く箸7の基端11側では幅が狭い空間13が形成されている。この空間13は、図7から理解されるように、箸7の長手方向に対して直交する平面による断面の面積が、箸7の先端9側で大きく、箸7の基端11側で小さくなっている。
【0019】
箸7の先端9から基端11へ向かって各箸7の間の空間13を空気が流れることで、各箸7が乾燥するようになっている。各箸7は、たとえば、先端9が下側になっており、基端11が上側になっている。そして、空気が下から上へ向かって流れるようになっている。なお、空気の温度は、箸7を殺菌できる温度よりも高く、箸7に悪影響を与えてしまう温度(箸7の組織が変化したり、箸7が軟化する温度)よりも低い温度であり、たとえば、80℃〜85℃程度になっている。
【0020】
なお、上記説明では、箸7が基端11から先端9へ向かうにしたがって次第に細くなっているが、先端9側のみが次第に細くなっている形態であってもよい。たとえば、箸7の長手方向で、先端9から箸7の中間までの部位(たとえば、先端側1/3の部位)が、先端9から基端11へ向かうにしたがって次第に細くなっており、上記中間部位から基端11までは、箸7の外径がほぼ一定になっていてもよい。
【0021】
箸収容籠5は、箸乾燥装置1で箸7を乾燥するときに、箸乾燥装置本体3に設置されて使用されるものである。すなわち、複数本の箸7が設置された箸収容籠5が箸乾燥装置本体3に設置された状態で箸乾燥装置本体3を運転すると、箸7を乾燥するための空気が、箸7の先端9から基端11へ向けて流れ、箸7が乾燥するようになっている。
【0022】
箸収容籠5に複数本の箸7が設置された状態では、図6に示すように、空間13が形成されているとともに、各箸7の先端9から長手方向の中間部にかけての部位(先端・中間部位)が箸収容籠5の内部に入り込んでいる。また、上記中間部位から基端11にかけての部位(中間・基端部位)が箸収容籠5から上方に突出している。
【0023】
箸収容籠5は、たとえばステンレス鋼で構成され、箸収容籠本体部15と、鍔部17とで構成されている(図4等参照)。箸収容籠本体部15は、底板部19と、側板部21とを備えて矩形な枡状に形成されている。底板部19と側板部21とには複数の貫通孔23が形成されている。
【0024】
鍔部17は、図5(c)や図7で示すように、矩形な環状(「ロ」字状)に形成されて箸収容籠本体部15の開口部25の外周に設けられている。
【0025】
箸収容籠5についてさらに説明すると、箸収容籠5は、たとえば、ステンレススチール等の金属で構成された平板状の素材を適宜プレス加工等することで形成されている。
【0026】
箸収容籠本体部15は、矩形な平板状の底板部19と、矩形な平板状の4枚の側板部21とで構成されている。4枚の側板部21のそれぞれは、底板部19の4つの辺のそれぞれから起立して(底板部19に対して直交して起立して)いる。
【0027】
底板部19の少なくとも一部(たとえば、僅かな幅の「ロ」字状の周辺部27を除く矩形状の中央部位29)は、空気を通過させるために、たとえば、網状になっている(図5(c)参照)。これにより、底板部19に多数の貫通孔23が形成されていることになる。ただし、網の目の大きさは、箸収容籠5に設置された箸7が通過(落下)しない大きさになっている。
【0028】
また、側板部21には、たとえば、打ち抜き加工によって、多数の貫通孔23が形成されている。この貫通孔23の大きさは、上記網の目の大きさよりも大きくなっているが、たとえば、箸7が通過しない大きさになっている。
【0029】
箸収容籠5を平面視すると、図5(c)に示すように、鍔部17は、一定の幅の「ロ」字状に形成されており、箸収容籠本体部15を囲んでいる。ここで、箸収容籠本体部15における側板部21の起立方向(底板部19の厚さ方向;図5(a)での左右方向)を箸収容籠5の高さ方向とし、この高さ方向に直交する1つの方向(図5(c)での左右方向)を箸収容籠5の幅方向とし、前記高さ方向と前記幅方向とに直交する他の1つの方向(図5(a)での上下方向)を箸収容籠5の奥行き方向とする。なお、すでに理解されるように、上記幅方向は矩形な平板状の底板部19の1つの辺の延伸方向と一致し、上記奥行き方向は、矩形な平板状の底板部19の1つの辺と直交する他の辺の延伸方向と一致している。
【0030】
鍔部17についてさらに説明すると、鍔部17の断面は、図6等に示すように、「L」字状に形成されている。つまり、「ロ」字状の鍔部17は、4つの辺部で形成されているが、鍔部17の1つの辺部を、側板部21に対して直交する平面(鉛直面、垂直面)で切断したとすると、この切断面が「L」字状になっている。他の3つの辺部の断面も同様にして「L」字状になっている。
【0031】
「L」字状の断面の一方の辺部に相当する鍔部17の部位(第1の鍔部31)は、図6に示すように、側板部21に対し直交して、箸収容籠本体部15から離れる方向へ突出している。「L」字状の断面の他方の辺部に相当する鍔部17の部位(第2の鍔部33)は、第1の鍔部31の先端部から、箸収容籠本体部15の側板部21と平行になって、箸収容籠本体部15の底板部19側に突出している。
【0032】
なお、鍔部17には、貫通孔等は一切設けられていない。したがって、空気が鍔部17自体を通過することはない。
【0033】
また、箸収容籠本体部15の内部には、平板状の仕切り部材35が設けられている。仕切り部材35は、箸収容籠本体部15の側板部21と平行になっており、箸収容籠本体部15の内部を複数の区画に区切っている。また、仕切り部材35には、円形の貫通孔が形成されている(図4等参照)。
【0034】
箸乾燥装置本体3は、図2や図6等に示すように、筐体37と、扉39と、ファン41と、ヒータ43と、図示しない温度センサと、図示しないコントローラとを備えて構成されている。
【0035】
箸乾燥装置本体3(筐体37)の内部には、乾燥室(乾燥空間)45が設けられている。乾燥室45は、箸乾燥装置本体3(筐体37)を構成する6枚の矩形状の平板で囲まれており、四角柱状(直方体状)に形成されている。
【0036】
乾燥室45の底面(底壁)49は、6枚の平板のうちの1枚の平板(貫通孔が設けられている平板)で形成されており、図6に示すように、上記多数の貫通孔(図示せず)から空気が出るようになっている。そして、各貫通孔は、乾燥室45の底面49の、箸収容籠5が設置される領域の全面にほぼ均一に設けられている。なお、各貫通孔は、乾燥室45の底面49の全面にほぼ均一に設けられていてもよく、少なくとも1箇所に貫通孔を設ける構成としてもよい。乾燥室45の上面51は、6枚の平板のうちの他の1枚の平板(底面49を形成している平板と平行であって多数の貫通孔が設けられている平板)で形成されており、上記多数の貫通孔を通って空気が、たとえば、吸引されて回収されるようになっている。
【0037】
扉39は、6枚の平板のうちの1枚の平板で形成されている。この扉39を閉じることで、乾燥室45がほぼ閉空間になり、扉39を開くことで、多数の箸7が収容された箸収容籠5が、箸乾燥装置本体3の外から乾燥室45内に設置され、また、乾燥室45内に設置されている箸収容籠5が、箸乾燥装置本体3の外に搬出できるようになっている(図1〜図3等参照)。
【0038】
乾燥室45の外側であって箸乾燥装置本体3の筐体37の内側には、ファン41と、ヒータ43と、図示しない温度センサと、図示しないコントローラとが設けられている。
【0039】
そして上記コントローラの制御の下、ファン41およびヒータ43を適宜駆動することで、図6に矢印で示す空気の流れが生成されるように構成されている。
【0040】
すなわち、箸7を乾燥するための空気が乾燥室45の底面49から出て、この空気が、箸収容籠5や箸7のところを通って、乾燥室45に上面51から回収されるようになっている。乾燥室45の上面51から回収された空気は、ファン41、ヒータ43を通って加熱され、再び乾燥室45の底面49から出るようになっている。
【0041】
なお、図6に示す空気の流れにおいて、箸7の乾燥により空気中に入った水分を減らすために、乾燥室45の上面51から回収された空気の一部を、外気と入れ替えるようになっている。
【0042】
また、上記センサの検出結果に応じて、箸7のところを流れる空気の温度が、適宜制御されるようになっている。たとえば、箸7のところを流れる空気の温度が、少なくとも5分の間80℃以上になり、上記少なくとも5分間のうちの少なくとも1分の間は、85℃以上になる。これにより、箸7が乾燥されるだけでなく、箸7の殺菌も行われるようになっている。
【0043】
ところで、箸収容籠5に複数本の箸7を設置した状態では、前述したように、箸7の基端11側が箸収容籠5から上方に突出しているとともに、箸7の間に隙間(楔状の空間)13が生じている。
【0044】
複数本の箸7を収容した箸収容籠5を乾燥室45に設置した状態(箸籠設置状態)では、図6に示すように、箸収容籠本体部15の底板部19と、乾燥室45の底面49とがお互いに接触しており、「ロ」字状の鍔部17(鍔部17の外周)が、乾燥室45の側面53に接触するかもしくは「ロ」字状の鍔部17が、乾燥室45の側面53からごく僅かに離れている。また、箸籠設置状態では、箸7の先端9が下側に位置し、基端11が上側に位置し、各箸7の上端(基端11)と、乾燥室45の上面51との間は、所定の間隔があいている。
【0045】
また、箸籠設置状態では、乾燥室45の底面49と鍔部17との間であって乾燥室45の側面53と箸収容籠本体部15の側板部21との間には、「ロ」字状で筒状になっている空間(「ロ」字状の筒状空間47)が形成されている。
【0046】
そして、箸乾燥装置本体3を稼動すると、乾燥室45の底面49から出た空気のほとんどが、箸収容籠本体部15の底板部19の貫通孔23を通って、各箸7の間を上方に流れ、乾燥室45の上面51から回収されるようになっている。また、箸乾燥装置本体3を稼動すると、乾燥室45の底面49から出た空気の一部が、「ロ」字状の筒状空間47を通り、箸収容籠本体部15の側板部21の貫通孔23を通って、各箸7の間を上方に流れ、乾燥室45の上面51から回収されるようになっている。
【0047】
これより、箸7の乾燥がなされるようになっている。すなわち、箸7を乾燥するための空気を、箸7の先端9から基端11へ向けて流すことで(空気を箸7の先端9側から基端11側へ向けて箸7に沿って流すことで)、箸7を乾燥するようになっている。
【0048】
次に、箸乾燥装置1の動作について説明する。
【0049】
まず、初期状態として、箸乾燥装置本体3は停止しており、扉39は図1に示すように閉じており、洗浄済みであって濡れている複数本の箸7が収容された(箸7の先端9が箸収容籠本体部15の底板部19に接触するようにして収容された)箸収容籠5が、箸乾燥装置本体3の外に置かれているものとする。
【0050】
上記初期状態において、扉39をあけて、乾燥室45内に箸7と箸収容籠5とを一緒に設置する(箸籠設置状態にする)。
【0051】
なお、乾燥室45の幅寸法は、鍔部17の幅寸法よりもごく僅かに大きくなっており、乾燥室45の奥行き寸法は、鍔部17の奥行き寸法よりもごく僅かに大きくなっており、乾燥室45の高さ寸法は、箸収容籠5の高さ寸法よりも大きくなっており、さらに、箸7が収容されている箸収容籠5の高さ寸法(箸収容籠本体部15の底板部19の厚さと箸7の長さとの和)は、乾燥室45の高さ寸法よりも小さくなっているものとする。
【0052】
また、箸籠設置状態では、箸収容籠5は、箸収容籠本体部15の底板部19が乾燥室45の底面(底壁)49に接し、箸収容籠5の幅方向(鍔部17の幅方向)と乾燥室45の幅方向とが互いに一致し、箸収容籠5の奥行き方向(鍔部17の奥行き方向)と乾燥室45の奥行き方向とが互いに一致し、箸収容籠5の高さ方向と乾燥室45の高さ方向とが互いに一致している。
【0053】
続いて、箸乾燥装置本体3を稼動すると、乾燥室45の底面49から上述した所定の温度の空気が所定の時間噴出し、この噴出した空気を乾燥室45の上面51で回収する。この間、乾燥室45内を下から上へ向かう空気が各箸7の間を流れ、これにより箸7が乾燥する。
ここで、試験結果等について説明する。
まず、試験の条件(態様)について説明する。試験は、図8、図9、図10に示す3種類の態様で行った。
図8で示す試験は、本発明の実施形態に係る箸乾燥装置1と箸収容籠5とを用いた乾燥試験の態様を示している。なお、図5で示す箸収容籠5では、底板部19の少なくとも一部が網目状になっているが、図8で示す試験では、網目状の材料にアルミニウムで構成された板状のパンチングメタルを重ねてある。パンチングメタルには多数の貫通孔が設けられている。貫通孔の直径は3mmであり、貫通孔のピッチは4mmである。また、図8に示す矢印は空気の流れを示している。
図9で示す試験は、鍔部を有しない箸収容籠を用いた点が、図8で示す試験と異なっている。すなわち、図9で示す試験は、本発明の実施形態に係る箸乾燥装置1と鍔部17を備えていない箸収容籠5とを用いた乾燥試験の態様を示す図である。なお、図9の試験でも、図8の場合と同様に、網目状の材料にパンチングメタルを重ねてある。また、図9に示す矢印は空気の流れを示している。
図10で示す試験は、本発明の実施形態に係る箸乾燥装置1と箸を横置きする従来の箸収容籠とを用いた乾燥試験の態様を示す図である。
図8〜図10で示す試験で使用した箸収容籠の寸法は、図5と図10に示すとおりである。図8〜図10で示す試験で使用した箸は、図7で示している箸7とは、形状が僅かに異なっている。すなわち、図7で示している箸7は、この長手方向から見ると、各辺が凸な円弧状である矩形状に形成されているが、図8〜図10で示す試験で使用した箸は、この長手方向から見ると、矩形の4つの角部に面取りがされた8角形状に形成されている
図8〜図10で示す試験では、150膳(300本)の箸を一度に(1サイクルの運転で)乾燥させた。このときの空気の温度であるが、図6に示すポイント(ヒータ43の下流近傍のポイント)P1で100℃程度になるように設定した。これにより、図6に示すポイント(箸7の下流近傍のポイント)P2では、空気の温度が箸7の乾燥の度合いに応じて50℃程度から70℃程度にまで上昇した。
図8〜図10で示す試験では、所定の時刻が経過する毎に(たとえば5分毎に)、箸7の乾燥具合を測定した。この測定では、まず、乾燥している300本の箸7を箸収容籠(乾燥している箸収容籠)に収容し、この収容状態で300本の箸7と箸収容籠との質量を測定した。続いて、洗浄することで水に濡れている(水が付着している)300本の箸7を箸収容籠(乾燥している箸収容籠)に収容し、この収容状態で300本の箸7と箸収容籠との質量を測定した。この後、箸7の乾燥が進行する毎に(たとえば、5分毎に)、300本の箸7と収容籠との質量を測定し、この質量の測定を水が乾燥し終えるまで行った。
なお、箸7等の質量の測定では、電磁式秤(研精工業株式会社製の電磁式秤FP−12K;最大測定質量が12100g、最小測定質量0.1g)を使用した。
次に、乾燥試験の試験結果を図11、図12を用いて説明する。なお、図11、図12で示す試験結果は、図8〜図10で示す試験を3回行ったときの平均値である。
図11で示すグラフの横軸は時刻の経過を示しており、縦軸は、箸7に付着している水の質量を示している。また、図11で示す線図G1は、図8で示す乾燥試験(本発明の実施形態に係る箸乾燥装置1と箸収容籠5とを用いた乾燥試験)の結果を示しており、図11で示す線図G2は、図10で示す乾燥試験(本発明の実施形態に係る箸乾燥装置1と箸を横置きする従来の箸収容籠とを用いた乾燥試験)の結果を示している。
図11から明らかなように、箸7に付着している水の質量がゼロになるまでに要する時間が、図10で示す従来の箸収容籠を用いた場合には50分であるのに対して、図8で示す本発明の実施形態に係るものでは、30分に短縮される。さらに、図8で示す本発明の実施形態に係るものでは、300本の箸7が30分で完全に乾燥したが、図10で示す従来のものでは、若干の水滴が箸5の間に残っており、完全な乾燥は50分ではできていない。
図12(a)で示すグラフの横軸は時刻の経過を示しており、縦軸は箸7に付着している水の質量を示している。また、図12(b)で示すグラフの横軸は時刻の経過を示しており、縦軸は箸7における水分の残存率を示している。なお、図12(b)の縦軸は対数目盛りになっている。
図12(a)で示す線図G3は、図8で示す乾燥試験(本発明の実施形態に係る箸乾燥装置1と箸収容籠5とを用いた乾燥試験)の結果を示しており、図12(a)で示す線図G4は、図9で示す乾燥試験(箸乾燥装置1と鍔部17を備えていない箸収容籠5を用いた乾燥試験)の結果を示している。
図12(a)から明らかなように、箸7に付着している水の質量がゼロになるまでに要する時間が、図9で示すものでは35分であるのに対して、図8で示す本発明の実施形態に係るものでは、30分に短縮される。
また、図12(b)で示す線図G5は、図8で示す乾燥試験(本発明の実施形態に係る箸乾燥装置1と箸収容籠5とを用いた乾燥試験)の結果を示しており、図12(b)で示す線図G6は、図9で示す乾燥試験(箸乾燥装置1と鍔部17を備えていない箸収容籠5を用いた乾燥試験)の結果を示している。
図12(b)から明らかなように、箸7に付着している水分量が少なくなってから(水分量が20%以下になってから)、箸収容籠5に鍔部17を設けたことで箸7の乾燥が早くなり、箸7の乾燥の進行具合に大きな差が出ている。
【0054】
箸乾燥装置1によれば、箸7を乾燥するための空気を、箸7の先端9から基端11へ向けて流すことで、箸7を乾燥するので、箸7のまわりでの空気の流れがよくなり、箸7が乾燥しやすくなる。
【0055】
すなわち、各箸7の間には空間(間隙)13が形成されており、この空間13内を空気がほぼ均一に流れるので、総ての箸7の外周面に空気があたり、総ての箸7の外周面の全面がほぼ均一に加熱されることになる。これにより、箸7の総てを乾燥させるのに要する時間を短くすることができ、箸乾燥装置1での電力の消費量を少なくすることができる(省エネルギー化をはかりつつ短時間で総ての箸7を乾燥することができる)。
【0056】
また、箸乾燥装置1によれば、箸収容籠5の内部に高い密度で多数の箸7を、各箸7の先端9を下にして収容することで、基端11が上になって箸7が起立し、各箸7の間に間隙(空間)13ができ、この空間13を空気が流れる。したがって、省スペース化をはかるべく小さい(少ない)スペースに多数の箸7を設置してあっても総ての箸7を効率よく乾燥することができる。
【0057】
また、箸乾燥装置1によれば、箸7の先端・中間部位(食べ物および人の口に触れる部分)が箸収容籠5の内部に位置し、箸7の中間・基端部位が箸収容籠5から突出しているので、箸7の乾燥が終了した後、箸7の中間・基端部位のみに触れることで、箸7を箸立てに移すことができ、箸7の衛生状態を良好なものに保つことができる。
さらに、箸乾燥装置1によれば、箸7の先端部位のほうが箸7の基端部位よりもヒータ43の近くに位置しているので(図6参照)、箸7の先端部位のところを流れる空気のほうが箸7の基端部位のところを流れる空気よりも温度が高くなっている。これにより、箸7の先端・中間部位を一層確実に殺菌することができ、箸7の衛生状態を一層良好なものにすることができる。
また、図10に示す従来の乾燥の態様では、下側の箸ほど早く乾いてしまい、箸の設置部位でよって乾燥ムラが発生するが、図8や図9で示す態様では、乾燥ムラが発生することがない。
【0058】
また、箸乾燥装置1によれば、上述した形態の箸収容籠5を乾燥室45に入れて乾燥するので、箸7を乾燥する空気が、箸収容籠本体部15の底板部19からだけでなく、側板部21からも箸収容籠5内に入り込み、より確実に箸7を乾燥することができる。
【0059】
また、乾燥室45の底面49から出てきた空気が、箸収容籠5の鍔部17で遮られ、乾燥室45の底面49から出てきた空気の総てが、箸7が収容されている箸収容籠5の内部を通過する。これにより、無駄な空気の流れがなくなり、効率よく箸7を乾燥させることができる。
【0060】
また、箸乾燥装置1によれば、80℃以上に5分以上加熱することにより、大腸菌、黄色ブドウ球菌などの食中毒菌の殺菌が可能であり、また、85℃以上に1分以上加熱することにより、ノロウイルスを不活化することが可能である。
【0061】
なお、箸乾燥装置1では、箸収容籠5に箸7を収容して箸7を乾燥しているが、箸収容籠5を使用することなく、箸7を乾燥するようにしてもよい。すなわち、乾燥室45内に箸7を直接収納(収容)して箸7を乾燥するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 箸乾燥装置
3 箸乾燥装置本体
5 箸収容籠
7 箸
9 箸の先端
11 箸の基端
13 箸の間の空間(隙間)
15 箸収容籠本体部
17 鍔部
19 底板部
21 側板部
23 貫通孔
25 開口部
27 周辺部
29 中央部位
31 第1の鍔部
33 第2の鍔部
35 仕切部材
37 筐体
39 扉
41 ファン
43 ヒータ
45 乾燥室(乾燥空間)
47 筒状空間
49 底面(底壁)
51 乾燥室の上面
53 乾燥室の側面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箸の先端から基端へ向けて空気を流すことで、箸を乾燥する、
ことを特徴する箸乾燥方法。
【請求項2】
請求項1に記載の箸乾燥方法において、
前記箸は、先端から長手方向の中間部にかけての部位が箸収容籠内に入り込み、前記中間部から前記基端にかけての部位が前記箸収容籠外に突出して、前記箸収容籠に収容されている、
ことを特徴とする箸乾燥方法。
【請求項3】
請求項2に記載の箸乾燥方法において、
前記箸収容籠は、箸収容籠本体部と鍔部とで構成されており、
前記箸収容籠本体部は、底板部と側板部とで矩形な枡状に形成され、前記底板部と前記側板部とには複数の貫通孔が形成されており、
前記鍔部は、矩形な環状に形成されて前記箸収容籠本体部の開口部の外周に設けられており、
前記先端を前記箸収容籠の底板部に接触させて前記箸収容籠に収容された前記箸は、前記箸収容籠といっしょに直方体状の乾燥空間内に設置され、
前記乾燥空間の幅寸法は、前記鍔部の幅寸法よりもごく僅かに大きくなっており、前記乾燥空間の奥行き寸法は、前記鍔部の奥行き寸法よりもごく僅かに大きくなっており、
前記箸収容籠は、前記箸収容籠本体部の底板部が前記乾燥空間の底壁に接するようにして前記乾燥空間内に設置され、
前記乾燥空間の底壁から前記空気を噴出し、前記乾燥空間の上面で前記空気を回収する、
ことを特徴とする箸乾燥方法。
【請求項4】
箸の先端から基端に向けて空気を流すことで、箸を乾燥するように構成されている、
ことを特徴する箸乾燥装置。
【請求項5】
箸の先端から基端へ向けて空気を流すことで、前記箸を乾燥するように構成されている箸乾燥装置本体に使用される箸収容籠であって、
前記箸の先端から長手方向の中間部にかけての部位が内部に入り込み、前記中間部から基端にかけての部位が突出するようにして、前記箸を収容するように構成されている、
ことを特徴とする箸収容籠。
【請求項6】
請求項5に記載の箸収容籠において、
前記箸収容籠は、箸収容籠本体部と鍔部とで構成されており、
前記箸収容籠本体部は、底板部と側板部とで矩形な枡状に形成され、前記底板部と前記側板部とには複数の貫通孔が形成されており、
前記鍔部は、矩形な環状に形成されて前記箸収容籠本体部の開口部の外周に設けられている、
ことを特徴とする箸収容籠。
【請求項1】
箸の先端から基端へ向けて空気を流すことで、箸を乾燥する、
ことを特徴する箸乾燥方法。
【請求項2】
請求項1に記載の箸乾燥方法において、
前記箸は、先端から長手方向の中間部にかけての部位が箸収容籠内に入り込み、前記中間部から前記基端にかけての部位が前記箸収容籠外に突出して、前記箸収容籠に収容されている、
ことを特徴とする箸乾燥方法。
【請求項3】
請求項2に記載の箸乾燥方法において、
前記箸収容籠は、箸収容籠本体部と鍔部とで構成されており、
前記箸収容籠本体部は、底板部と側板部とで矩形な枡状に形成され、前記底板部と前記側板部とには複数の貫通孔が形成されており、
前記鍔部は、矩形な環状に形成されて前記箸収容籠本体部の開口部の外周に設けられており、
前記先端を前記箸収容籠の底板部に接触させて前記箸収容籠に収容された前記箸は、前記箸収容籠といっしょに直方体状の乾燥空間内に設置され、
前記乾燥空間の幅寸法は、前記鍔部の幅寸法よりもごく僅かに大きくなっており、前記乾燥空間の奥行き寸法は、前記鍔部の奥行き寸法よりもごく僅かに大きくなっており、
前記箸収容籠は、前記箸収容籠本体部の底板部が前記乾燥空間の底壁に接するようにして前記乾燥空間内に設置され、
前記乾燥空間の底壁から前記空気を噴出し、前記乾燥空間の上面で前記空気を回収する、
ことを特徴とする箸乾燥方法。
【請求項4】
箸の先端から基端に向けて空気を流すことで、箸を乾燥するように構成されている、
ことを特徴する箸乾燥装置。
【請求項5】
箸の先端から基端へ向けて空気を流すことで、前記箸を乾燥するように構成されている箸乾燥装置本体に使用される箸収容籠であって、
前記箸の先端から長手方向の中間部にかけての部位が内部に入り込み、前記中間部から基端にかけての部位が突出するようにして、前記箸を収容するように構成されている、
ことを特徴とする箸収容籠。
【請求項6】
請求項5に記載の箸収容籠において、
前記箸収容籠は、箸収容籠本体部と鍔部とで構成されており、
前記箸収容籠本体部は、底板部と側板部とで矩形な枡状に形成され、前記底板部と前記側板部とには複数の貫通孔が形成されており、
前記鍔部は、矩形な環状に形成されて前記箸収容籠本体部の開口部の外周に設けられている、
ことを特徴とする箸収容籠。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−137278(P2012−137278A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−265780(P2011−265780)
【出願日】平成23年12月5日(2011.12.5)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月5日(2011.12.5)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)
【Fターム(参考)】
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