説明

簡易プレス選別機

【課題】 選別部の格別の構成を不要として、小型軽量化が図れる簡易プレス選別機を提供することを目的とする。
【解決手段】 異なった種類の缶、ペットボトル等を分別した後、圧縮・減容して選別収容するように構成した簡易プレス選別機において、プレス機1と選別台2を分離構成するとともに、前記プレス機1を選別台2上にて移動可能に構成したことにより、何らの複雑な選別構造物を要することなく、プレス機1を単に移動するだけで、選別台2における選別すべきごみ袋15等の直上にて缶等の容器を集中してプレス作業を簡便に行うことができるので、装置の小型軽量化により、イベント会場等での使用や車載用への転用が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なった種類の缶、ペットボトル等を分別した後、圧縮・減容して選別収容するように構成した簡易プレス選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境の劣化や資源の枯渇等の問題を解決するために、ごみ資源のリサイクル化が促進されている。ごみ資源のリサイクルにはごみの分別が欠かせないものであり、各家庭は言うに及ばず、各種の事業所、高速道路のサービスエリア、病院、鉄道の駅舎等人々が多く集まり、多量のごみが放出される施設では、ごみの分別・細分化には多くの苦労や努力がなされているものの、現状のごみ箱は比較的大型の箱状体から構成されており、多種類のごみの分別を行うには広いスペースを要して限界があり、頭を悩ませているところである。
【0003】
特に、缶やペットボトル、瓶等は飲料が飲まれた後は容積が嵩張ることから、足で潰して圧縮・減容して袋に分別収容したり、自販機のデポジットシステムにて回収していた。足で潰す場合には力を要して婦女子には面倒であり、また自販機のデポジットシステムではシステムの構築が必要となって、広く普及していないのが現状である。そのようなことから、ごみ収集車等に設置され、ごみの収集現場にて缶やペットボトルの圧縮・減容ができる破砕機が提案された(例えば下記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−104506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図4によって前記特許文献1に開示された破砕機を簡単に説明する。ガラス瓶や空缶が投入機194から破砕プレス機175へ送り込まれ、破砕プレス機175のクランク軸203が回転することで、揺動・回動する上顎部191が下顎部190と共働してガラス瓶を破砕し、破片は開口217を通過して第2シュート216を通り、ベルトコンベア184上に落下する。空缶は開口217の上を滑り、第1シュート215を通ってベルトコンベア183上に落下する。空缶はベルトコンベア183で運搬されて磁選機の下方を通過する際に、スチール缶かアルミ缶かが分別される。このような破砕プレス機の出現によって、ごみの収集現場にて缶やペットボトルの圧縮・減容ができて、ごみ収集車等のごみの収集能力が向上することとなった。
【0005】
しかしながら、前記従来の破砕機にあって、ごみの収集現場にて缶やペットボトルの圧縮・減容ができて、ごみ収集車等のごみの収集能力が向上することとなったものの、破砕部すなわち圧縮・プレス部と選別部とが一体不可分であるため、選別部の格別の工夫が必要であり、装置が大型化して構造も複雑になった。
【0006】
そこで、本発明は、前記従来の破砕機等のプレス機の課題を解決して、選別部の格別の構成を不要として、小型軽量化が図れる簡易プレス選別機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため本発明は、異なった種類の缶、ペットボトル等を分別した後、圧縮・減容して選別収容するように構成した簡易プレス選別機において、プレス機と選別台を分離構成するとともに、前記プレス機を選別台上にて移動可能に構成したことを特徴とする。また本発明は、前記選別台の上部にプレス機の車輪を載置するレールを設けるとともに、該レールの下部に複数のごみ袋取付枠を併設したことを特徴とする。また本発明は、前記選別台の下部にキャスタを設置して運搬可能に構成したことを特徴とする。また本発明は、前記選別台をごみ収集車等の車体に取付け可能に構成したことを特徴とする。また本発明は、前記プレス機において、一対のプレスベルトの上部拡開部間に略菱形状のガイドブロックを配設したことを特徴とする。また本発明は、前記プレス機において、一対のプレスベルトが駆動モータおよび内燃機関の選択的使用により駆動されることを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、異なった種類の缶、ペットボトル等を分別した後、圧縮・減容して選別収容するように構成した簡易プレス選別機において、プレス機と選別台を分離構成するとともに、前記プレス機を選別台上にて移動可能に構成したことにより、何らの複雑な選別構造物を要することなく、プレス機を単に移動するだけで、選別台における選別すべきごみ袋等の直上にて缶等の容器を集中してプレス作業を簡便に行うことができるので、装置の小型軽量化により、イベント会場等での使用や車載用への転用が可能となる。
【0009】
また、前記選別台の上部にプレス機の車輪を載置するレールを設けるとともに、該レールの下部に複数のごみ袋取付枠を併設した場合は、レール上をプレス機が円滑に移動して選別すべきごみ袋の直上に位置させることができるばかりか、レール自体を選別台の補強枠体として兼用させることができる。そして、ごみ袋取付枠を利用してビニール袋やフレコンパック等のごみ袋を簡単に設置したり、取り外して廃棄することができる。さらに、前記選別台の下部にキャスタを設置して運搬可能に構成した場合は、高速道路やイベント会場等にて容易に使用場所に運搬することができる。
【0010】
さらにまた、前記選別台をごみ収集車等の車体に取付け可能に構成した場合は、ごみ収集場所にて回収した缶やペットボトル等を即座に圧縮・減容してごみ収集車等の収集能力を大幅に向上させることができる。また、前記プレス機において、一対のプレスベルトの上部拡開部間に略菱形状のガイドブロックを配設した場合は、大量に投入された缶等が程よく振り分けられてプレスベルトの上部拡開部間に導かれ、プレス作業が滞ることがない。
【0011】
さらに、前記プレス機において、一対のプレスベルトが駆動モータおよび内燃機関の選択的使用により駆動される場合は、必要に応じて交流電源やバッテリーさらには電源のないいかなる場所にても、缶やペットボトルの圧縮・減容が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の簡易プレス選別機の第1実施例を示すもので、図1(A)は正面図、図1(B)は平面図、図2はプレス機の内部正面図である。図3は本発明の簡易プレス選別機の第2実施例を示すもので、車載用として使用状態の斜視図である。本発明の基本的構成は、図1に示すように、異なった種類の缶、ペットボトル等を分別した後、圧縮・減容して選別収容するように構成した簡易プレス選別機において、プレス機1と選別台2を分離構成するとともに、前記プレス機1を選別台2上にて移動可能に構成したことを特徴とするものである。
【実施例1】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の簡易プレス選別機の第1実施例を詳述する。図1(A)に示すように、本実施例の簡易プレス選別機は、缶、ペットボトル、瓶等のごみの種類に応じて複数の選別が可能な選別台2と、該選別台2の上部に略水平状に渡設された一対のレール4、4上に移動自在に載置されたプレス機1とから構成される。一対のレール4、4は両端部間に渡設された上枠14、14により接続される。このようにして構成された方形の枠体の4隅から鉛直方向に縦枠5、5、6、6、が立設され、それらの下端部が平面視方形の下枠7により接続されて箱の稜線状の選別台枠が構成される。
【0014】
プレス機1の下部の4隅には4つの車輪3が軸支され、前記レール4に載置される。レール4、4間に渡り、図示の例では3つの選別用のごみ袋取付枠9、9、9が設置される。各ごみ袋取付枠9は、一方のレール4との間に介設された蝶番11、11によって上下揺動可能に構成され、図1(A)の中央のごみ袋取付枠9の状態のように、揺動開放した取付枠9にごみ袋15の上端開口縁を挟んだ後、格納位置に折り畳んで止め具10を他方のレール4のピンに係止するように構成した。選別台2の下部4隅には4つのキャスタ8が軸支される。
【0015】
この状態を上方から見た平面図が図1(B)である。符号13は選別台2の後部に固定された運搬のためのハンドルである。プレス機1をレール4、4上にて水平方向に移動させ、それぞれの選別すべきごみ袋15の上部においてプレス作業を行う。図1(B)の左側に位置する状態で、例えば缶の圧縮・減容作業を行った場合には、左側のごみ袋15に圧縮された缶が落下収容される。次いで、プレス機1を中央に移動させて、例えばペットボトルの圧縮・減容作業を行った場合には、中央のごみ袋15に圧縮されたペットボトルが落下収容される。最後に、プレス機1を右側に移動させて、例えば瓶の圧壊・減容作業を行った場合には、右側のごみ袋15に圧壊された瓶のかけらが落下収容される。このようにして圧縮、選別作業が完了すると、前記ごみ袋取付枠9の止め具10を外して各ごみ袋15を取り出して廃棄すればよい。ごみ袋に代えてボックス等を設置してもよい。
【0016】
選別台2のレール4上におけるプレス機1の位置保持は、図1(A)に示すように、レール4上に節度突起4A、4Aを設けてもよいし、レール4に穿設された孔にプレス機1側からピンを出し入れするようにしてもよい。さらには、プレス機1の車輪3にブレーキを設置してもよい。前記レール4の断面形状は丸形でも角形でもよい。
【0017】
次に、プレス機1について説明する。図2はプレス機の内部正面図である。ボックス状のプレス機1は下部4隅に車輪3が軸支されて、前記選別台2のレール4上を移動する。プレス機1の略中央の上下方向に一対の無端状のプレスベルト17、17が配設されており、缶等を圧縮するプレス部を構成する下半分と、缶等をプレス部に案内して導くV字状に配置された上半分である上部拡開部17A、17Aとから構成される。これらのプレスベルト17は、下端部に配置された左右の駆動輪20、21により駆動され、無端状のベルト内に配置されてベルトをガイドする多数の内転輪18が配設される。
【0018】
プレスベルト17は、金属チェーン、プラスチックベルトに金属突起を設けたもの、ゴムベルトに金属突起を設けたもの等から構成される。プレスベルト17、17の前記上部拡開部17A、17Aへの変曲点の外側には、外転輪19、19が配設されて上部拡開部17A、17Aの形状が保持される。前記プレスベルト17の下端部に配置された左右の駆動輪20、21には、一体に左右の駆動ギヤ22、23が同軸で設置されており、これらは互いに噛合している。右駆動輪22には駆動モーである電動モータ26の出力軸との間に右駆動ベルト24が張設され、左駆動輪23には内燃機関28の出力軸との間に左駆動ベルト25が張設される。電動モータ26の上部にはバッテリ27が設置され、内燃機関28の上方には燃料タンク33が設置される。
【0019】
これらの電動モータ26と内燃機関28とは選択的に作動し、一方の使用時には、他方の動力伝達系は遮断されるとよい。また、前記内燃機関28は発電機として機能させることもできる。その場合は、左駆動ベルト25の伝達系を遮断して、バッテリー27に電力を供給する。電動モータ26は図示省略の交流100Vや200Vの電源コードを用いて作動させることも可能である。また、車両に搭載の24Vバッテリー電源にても動作可能である。
【0020】
前記一対のプレスベルト17、17において、缶等をプレス部に案内して導くV字状に配置された上部拡開部17A、17A間には、所定間隔を置いて略菱形のガイドブロック16が上下位置調節自在に配設される。調節形態は適宜選定される。このような構成により、大量に投入された缶等が程よく振り分けられてプレスベルトの上部拡開部17A、17A間に導かれ、プレス作業が滞ることがないようにされる。さらには、缶やペットボトル等のサイズに応じてガイドブロック16を上下に位置調節をすることによって、上部拡開部17Aとガイドブロック16との間の間隔を最適に調節することが可能となり、缶等が滞ることが防止される。さらに好適には、ガイドブロック16の取付軸をクランク状に形成するとともに上下動させることで、楕円運動を行わせて、缶等の停滞させることなく、円滑に上部拡開部17A、17A間に送り出すように構成してもよい。なお、図2において符号29は、缶等を受け入れる際の一対のガイド板を示す。
【実施例2】
【0021】
図3は本発明の簡易プレス選別機の第2実施例を示すもので、車載用として使用状態の斜視図である。本実施例は、ごみ収集車30の車体後部に選別台2を取付け可能に構成したものである。図示の例では、選別台2の水平状の上枠14、14を車体後部に抜き差し自在に設置したものである。プレス機1は電源ケーブル31により供給される車載電源32によって駆動される。本実施例の選別台2は、上枠14、14間に渡設されたレール4、4とで構成されたもので、縦枠や下枠を備えていないが、図1の第1実施例のもののように縦枠や下枠を備えていてもよい。レール4、4間には前記第1実施例のもののように、ごみ袋取付枠9によりポリ袋あるいはフレコンパック等のごみ袋15が複数個取り付けられる。かくして、ごみ収集現場にて回収した缶やペットボトル等を即座に圧縮・減容して選別し、ごみ収集車等の収集能力を大幅に向上させることができる。
【0022】
以上、本発明の実施例について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内にて、選別すべき缶、ペットボトル、瓶等のごみの種類、プレス機におけるプレスベルトの形状(無端ベルト状、リンク式チェーン形態、缶等を圧縮し易いようにベルトの表面に所定間隔毎に金属製の突起等を設置してもよい。)、形式および材質(金属、補強コードを埋設したゴムやプラスチック等)、上部拡開部の拡開角度、略菱形状のガイドブロックの形状(好適には菱形であるが、缶等がガイドされ易い上部拡開部の表面との間が下方ほど狭くなるような傾斜面としてもよい)、形式および材質(低摩擦係数の金属やプラスチック等)ならびにその運動形態(上下の調節の他、楕円運動制御形態等)、プレスベルトの駆動輪による駆動形態(摩擦駆動の他、プレスベルト内周面に形成した溝と駆動輪外周の突起との噛合による駆動等)、駆動モータの形状、形式(電動モータの他、オイルポンプと流体モータとの組合せ、内燃機関の形状、形式、選択的使用形態等については適宜選定できる。
【0023】
また、選別台の形状(レールと上枠およびごみ袋取付枠とのみから構成される他、縦枠および下枠ならびにキャスタ設置等により運搬可能に構成する)、形式、選別台におけるレールの形状、(丸形、角形等、レールの両端部に設けられるストッパの形状等)、形式および材質、レールに載置されるプレス機の車輪の断面形状(フランジが実施例のようにレールを挟持する一対を備えてもよいし、外側のフランジを省略してもよい)、ごみ袋取付枠の形状、形式および揺動軸の軸支形態、選別台のキャスタの形状、形式および設置形態、選別台のごみ収集車等の車体への取付け形態(適宜のワンタッチ取付方式、一部出し入れ形式あるいは全部出し入れ形式等)等についても適宜選定できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の簡易プレス選別機の第1実施例を示すもので、図1(A)は正面図、図1(B)は平面図である。
【図2】同、プレス機の内部正面図である。
【図3】本発明の簡易プレス選別機の第2実施例を示すもので、車載用として使用状態の斜視図である。
【図4】従来の破砕機の要部側面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 プレス機
2 選別台
3 車輪
4 レール
5 縦枠
6 縦枠
7 下枠
8 キャスタ
9 ごみ袋取付枠
10 止め金
14 上枠
15 ごみ袋(フレコンパック等)
16 ガイドブロック
17 プレスベルト
17A 上部拡開部
20 右駆動輪
21 左駆動輪
22 右駆動ギヤ
23 左駆動ギヤ
24 右駆動ベルト
25 左駆動ベルト
26 駆動モータ
27 バッテリ
28 内燃機関
30 ごみ収集車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なった種類の缶、ペットボトル等を分別した後、圧縮・減容して選別収容するように構成した簡易プレス選別機において、プレス機と選別台を分離構成するとともに、前記プレス機を選別台上にて移動可能に構成したことを特徴とする簡易プレス選別機。
【請求項2】
前記選別台の上部にプレス機の車輪を載置するレールを設けるとともに、該レールの下部に複数のごみ袋取付枠を併設したことを特徴とする請求項1に記載の簡易プレス選別機。
【請求項3】
前記選別台の下部にキャスタを設置して運搬可能に構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の簡易プレス選別機。
【請求項4】
前記選別台をごみ収集車等の車体に取付け可能に構成したことを特徴とする請求項1まから3のいずれかに記載の簡易プレス選別機。
【請求項5】
前記プレス機において、一対のプレスベルトの上部拡開部間に略菱形状のガイドブロックを配設したことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の簡易プレス選別機。
【請求項6】
前記プレス機において、一対のプレスベルトが駆動モータおよび内燃機関の選択的使用により駆動されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の簡易プレス選別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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