説明

簡易冷房装置

【課題】低い電圧で作動し、かつ構造が簡単な簡易冷房装置を提供すること。
【解決手段】下記(a)〜(e)より構成されていることを特徴とする簡易冷房装置。
(a)冷却水または氷を充填した冷却プラスチック容器の多数を収納しうる箱形容器、
(b)該箱形容器は、その上面の中央部に空気取り入れ口および空気を箱形容器に導入
するための電動ファンを備え、
(c)該箱形容器は、その下面には冷却された空気を箱形容器の下方に向けて吹き出す
ための多数の排出口を有し、
(d)該箱形容器の内部には多数の冷却プラスチック容器が一方向に配列され、かつ横
方向に移動を阻止するための保持板または溝部を内部下面に有し、かつ、
(e)該箱形容器の1つの側面は、冷却プラスチック容器を収納または取り出すための
開閉可能な扉構造を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は簡易冷房装置に関する。さらに詳しくは、冷房のない環境下で作業や労働する人のための簡易冷房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、工場内や倉庫内で製品をフォークリフトなどを用いて運搬や移動することは日常良く行なわれている作業である。これらの工場や倉庫では、一般に冷暖房されていないことが多く、夏の暑い時期では、室内は高温高湿の状態となり、労働環境は極めて厳しいものとなる。そのため作業者の近辺に扇風機を設置することが実施されているが、扇風機の利用は、冷房効果の点で不満足なものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、フォークリフトの運転者のように、冷房設備のない車輌の運転者が、作業中暑い時期において、快適に作業を行なうことができる簡易冷房装置の開発を目的として研究を進めた。
【0004】
すなわち、車輌の電源として一般的な12Vの電圧で作動しうること、作業時間の3〜8時間程度の長時間作動しうること、簡単に設置すること、構造が簡単で故障が少なくかつ安価なコストで製作できることおよび冷媒が容易に入手でき繰返し使用しうることなどの課題として研究を進めた。
【0005】
その結果、冷却水または氷を充填したプラスチック容器を冷媒として使用することができること、このプラスチック容器は家庭用の冷蔵庫を使用して簡単に冷却または製氷することができ、また使用後も繰返し利用することができること、このプラスチック容器を冷媒として使用すると比較的長時間冷風を排出できること、また車輌用の電源の12Vの電圧の利用でファンを作動することができ、その電力で空気の取り入れと冷気の充分な排出量が確保できることを見出し、さらに多数のプラスチック容器を収納できる箱形容器であって、その箱形容器は空気の取り入れ口とそのための電動ファンおよび冷風を下方に向けて吹き出すための多数の排出口を有していることが望ましいことを見出し本発明に到達した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば下記簡易冷房装置が提供される。
(1) 下記(a)〜(e)より構成されていることを特徴とする簡易冷房装置。
(a)冷却水または氷を充填した冷却プラスチック容器の多数を収納しうる箱形容器、
(b)該箱形容器は、その上面の中央部に空気取り入れ口および空気を箱形容器に導入
するための電動ファンを備え、
(c)該箱形容器は、その下面には冷却された空気を箱形容器の下方に向けて吹き出
すための多数の排出口を有し、
(d)該箱形容器の内部には多数の冷却プラスチック容器が一方向に配列され、かつ
横方向に移動を阻止するための保持板または溝部を内部下面に有し、かつ、
(e)該箱形容器の1つの側面は、冷却プラスチック容器を収納または取り出すため
の開閉可能な扉構造を有している。
(2) 該箱形容器は、不透明な樹脂板で構成された六面体形状である前記(1)記載の簡易冷房装置。
(3) 該箱形容器は、その上面に断熱シートが貼り付けられている前記(1)記載の簡易冷房装置。
(4) 該冷却プラスチック容器は、容量が500ml〜2000mlのペットボトルである前記(1)記載の簡易冷房装置。
(5) 該箱形容器の下面に設けられた排出口は2〜4mmの直径を有し、多数の排出口は80mm〜120mmの間隔で配置されている前記(1)記載の簡易冷房装置。
(6) 該電動ファンは12Vの電圧で可動する前記(1)記載の簡易冷房装置。
(7) フォークリフトの運転台の上部に設置するための前記(1)記載の簡易冷房装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の簡易冷房装置は、車輌用電源(12V)で充分に可動でき、しかも家庭用の冷蔵庫で準備することができる冷却水または氷を充填したプラスチック容器(殊にペットボトル)を冷媒としてでき、比較的長時間運転者に冷気を送り続けることが可能であり、構造が簡単であって製造コストも安価である。しかも操作や維持に特別の技術を要せず夏の暑い条件下での作業が快適となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の簡易冷房装置を上面から見た平面図を示す。
【図2】図1のX−X´における横断面図を示す。
【図3】本発明の簡易冷房装置の下面から見た平面図を示す。
【図4】本発明の簡易冷房装置において、箱形容器内に収納された冷却プラスチック容器の配置図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の簡易冷房装置は、車輌(例えばフォークリフト)の運転台の上部(屋根部)に搭載されて利用されるものであり、不透明な樹脂板で形成された箱形構造を有し、通常六面体形状であることが望ましい。具体的には無機充填剤を配合した不透明な樹脂板で形成される。殊に塩化ビニル樹脂板で形成されているのが加工性およびコストの面で好ましい。この樹脂板は、3mm〜6mmの厚さを有するものが好適である。
【0010】
以下、図面によりさらに具体的に説明する。
図1は、本発明の簡易冷房装置を上面から平面図を示す。
図1において上面の樹脂板2の中央部には空気取り入れ口3が設置され、その空気取り入れ口3の内部には、電動ファンが内蔵されている。この電動ファンは12V程度の低電圧で作動するものが好適に利用される。また空気取り入れ口3には、電動ファンが覆われるように蓋が設置され、空気は横方向から取り入れる構造であることが望ましい(図2参照)。
【0011】
図2は図1のX-X´線における横断面図を示す。簡易冷却装置1の横断面図において、中央部には空気取り入れ口3が設置され、その中には電動ファン4が内蔵されている。図2に示すように、冷却プラスチック容器が下面の樹脂板上に配置されている。図2では5個のプラスチック容器5が配置されていることを示している。これらプラスチック容器5は、横方向の移動を阻止するための保持板8が容器の配列方向に沿って下面樹脂板6に固定されている。この保持板8は、プラスチック容器5を箱形容器1中に収納したり或いは箱形容器1から取り出すために有効であり、保持板8はその配列方向に従ってプラスチック容器5を挿入し、または取り出す役目も果たす。また保持板8は車輌(例えばフォークリフト)が運転中にプラスチック容器5が横方向に移動するのを阻止するような大きさと形状を有していることが望ましい。保持板8は下面樹脂板が凹凸構造の表面となる形状でよく、その場合、溝部(凹部)にプラスチック容器5が収まるようにすればよい。保持板8の大きさ(高さ)は、箱形容器内の空気の移動が妨げられないように、プラスチック容器の厚みの半分以下にすべきである。
【0012】
図3は簡易冷房装置の下面から見た平面図(底面図)である。この下面の樹脂板6には多数の冷却された空気の排出口7が設けられている。この排出口7は、工作上円形の形状であることが好ましく、その直径は2〜4mm、好ましくは2.5〜3.5mmが適当である。また隣り合う排出口7の距離は80mm〜120mm、好ましくは85mm〜110mm程度であることが適当である。下面全体にわたって等間隔で排出口7が配置されていることが効果的である。排出口7の直径と間隔は前記範囲とすることにより、充分な風速の冷却空気が下方に(運転者に向かって)吹き出されることになる。
【0013】
図4には箱形容器内に収納された冷却プラスチック容器の配置の状態を示したものである。つまり箱形容器の下面樹脂板上に冷却プラスチック容器(代表的にはペットボトル)が配列された状態図であり、図4では合計10個の容器が5列に配列されている。冷却プラスチック容器は図5の上面または下面の側面から出し入れされる。図4では冷却プラスチック容器の保持板(または溝)8や排出口7は図面上に省略されている。
【0014】
本発明の簡易冷房装置における箱形容器は、樹脂板で構成されるが、断熱効果を向上させるために樹脂板には断熱シートを貼り付けることができる。殊に上面の樹脂板に断熱シートを貼り付けることが望ましい。この断熱シートとしては、発砲スチレンシートが利用でき、断熱シートは、樹脂板の外側または内側いずれであってもよい。
【0015】
箱形容器中に収納される冷却プラスチック容器は、水または氷を充填できる容器であればよいが、ペットボトルとして通常市販されているものをそのまま利用することができる。容器の容量は、350ml〜3000ml、好ましくは500ml〜2000mlであるのが有利である。プラスチック容器中には水を入れ冷蔵庫で冷却したものが使用できる。容器中の水は氷であってもよく、また0〜10℃と、好ましくは0〜5℃の液体の水であってもよい。
箱形容器中には、冷却プラスチック容器が、大きさにもよるが5〜15個収納することが適当である。
【0016】
箱形容器の1つの側面は冷却プラスチック容器を収納または取り出すための開閉可能な扉構造を有している。この扉構造は、側面が横開き方式または上下開き方式などであればよく、またプラスチック容器の収納時には側面が開かないようにフックなどを取り付けておくことが望ましい。
【0017】
箱形容器の全体の大きさは、図1の平面図の大きさとして縦方向および横方向はいずれも80〜120cm程度であり、厚みは15〜25cmであることが望ましい。
【0018】
また箱形容器中では、中央部の空気取り入れ口から導入された空気が冷却プラスチック容器と効果的に接触し、かつ空気のスムーズな流れが形成されるようにプラスチック容器を配列すべきである。
【0019】
そのためプラスチック容器の配列は一定の間隔を設けることが望ましい。また箱形容器の下面の樹脂板には、排出口が塞がれないようにプラスチック容器と下面樹脂板との間に一定の空間または隙間を設けることが望ましい。
【0020】
本発明の簡易冷房装置は、12Vの電源が準備できる所であれば、フォークリフトの運転台の上部のみならず、他の車輌にも適用できる。また車輌以外に、屋台や室内の冷房が及ばない所であっても適用できる。
【符号の説明】
【0021】
1 箱形容器
2 上面の樹脂板
3 空気取り入れ口
4 電動ファン
5 プラスチック容器
6 下面樹脂板
7 排出口
8 保持板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)〜(e)より構成されていることを特徴とする簡易冷房装置。
(a)冷却水または氷を充填した冷却プラスチック容器の多数を収納しうる箱形容器、
(b)該箱形容器は、その上面の中央部に空気取り入れ口および空気を箱形容器に導入
するための電動ファンを備え、
(c)該箱形容器は、その下面には冷却された空気を箱形容器の下方に向けて吹き出す
ための多数の排出口を有し、
(d)該箱形容器の内部には多数の冷却プラスチック容器が一方向に配列され、かつ横
方向に移動を阻止するための保持板または溝部を内部下面に有し、かつ、
(e)該箱形容器の1つの側面は、冷却プラスチック容器を収納または取り出すための
開閉可能な扉構造を有している。
【請求項2】
該箱形容器は、不透明な樹脂板で構成された六面体形状である請求項1記載の簡易冷房装置。
【請求項3】
該箱形容器は、その上面に断熱シートが貼り付けられている請求項1記載の簡易冷房装置。
【請求項4】
該冷却プラスチック容器は、容量が500ml〜2000mlのペットボトルである請求項1記載の簡易冷房装置。
【請求項5】
該箱形容器の下面に設けられた排出口は2〜4mmの直径を有し、多数の排出口は80mm〜120mmの間隔で配置されている請求項1記載の簡易冷房装置。
【請求項6】
該電動ファンは12Vの電圧で可動する請求項1記載の簡易冷房装置。
【請求項7】
フォークリフトの運転台の上部に設置するための請求項1記載の簡易冷房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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