簡易風呂及びその組み立て方法
【課題】持ち運びできる程度の軽量な構成でありながら、風呂内に貯留される湯水の無駄を少なくすることのできる簡易風呂を提供する。
【解決手段】この簡易風呂100aは、身体障害者又は老齢者が使用可能なものであって、上端が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な断面矩形状の袋体1と、この袋体1の外周に取り付けられる金網状の壁体3と、この壁体3と袋体1との間に交換可能に介設され、前記身体障害者又は老齢者の体格に応じて袋体1の容積を増減させるための補助壁体4とを備えている。
【解決手段】この簡易風呂100aは、身体障害者又は老齢者が使用可能なものであって、上端が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な断面矩形状の袋体1と、この袋体1の外周に取り付けられる金網状の壁体3と、この壁体3と袋体1との間に交換可能に介設され、前記身体障害者又は老齢者の体格に応じて袋体1の容積を増減させるための補助壁体4とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば高齢者や身体障害者等の被介護者が入浴可能な簡易風呂及びその組み立て方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な風呂は、浴槽を跨いで入浴するものであるため、例えば高齢者や身体障害者等の被介護者を、介護者が支えて入浴させることが困難となる。このため、自宅にいる被介護者のために、専用の入浴装置を備えた自動車でその自宅に回って、定期的な入浴サービスを行っている。また、介護施設では、専用のリフト装置を備えていることが多い。したがって、被介護者は、自宅や介護施設では、適切な入浴サービスを受けることができる。
【0003】
ところで、被介護者は自宅や介護施設に引き篭もりがちであるので、たまには気分転換に旅行などをさせてあげたいことがある。その場合、自宅や介護施設では前記のような入浴サービスを受けることができても、通常、旅行先では前記のような一般的な風呂しか用意されていないため、被介護者の入浴が困難であるといった問題があった。また、旅行に限らず、夏場で汗をかいたときなど、自宅に簡易な風呂があれば、いつでも入浴できて便利である。
【0004】
そこで、例えば特許文献1では、内部に椅子を設置し、貯水を行い得るように上部を開放した耐水袋の外周に縦横両フレームを組み立て、上部横フレームに前記耐水袋を直接吊り下げて着脱自在に固定することにより、該耐水袋内への湯水の貯水状態を保持し得るようにした簡易風呂が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記特許文献1の簡易風呂では、その耐水袋内に貯留される湯水の量がほぼ一定であり、この簡易風呂を利用する被介護者の体格によっては、湯水の無駄が多くなるといった問題があった。しかも、かかる簡易風呂では、衛生上などの理由により、その利用をするたびに袋内の湯水の全部を入れ替えるのが通常であった。この場合において、袋内の湯水レベルだけで湯水の量を多少は調整できるのであるが、湯水レベルを下げすぎると利用中の被介護者の上体が湯水からはみ出てしまい不具合である。
【0006】
また、前記特許文献1の簡易風呂では、特に縦横両フレームの重量が大きく、この簡易風呂を旅行先に移動させにくいといった問題もあった。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みなされたものであって、持ち運びできる程度の軽量な構成でありながら、風呂内に貯留される湯水の無駄を少なくすることのできる簡易風呂を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、身体障害者又は老齢者が使用可能な簡易風呂であって、上部が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な袋体と、この袋体の外周に設けられる金網状の壁体と、この壁体と袋体との間に交換可能に介設され、前記身体障害者又は老齢者の体格に応じて前記袋体の容積を増減させるための補助壁体とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、上部が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な袋体と、この袋体の外周に設けられる金網状の壁体と、この壁体と袋体との間に交換可能に介設され、前記身体障害者又は老齢者の体格に応じて前記袋体の容積を増減させるための補助壁体とが備えられたので、身体障害者又は老齢者といった被介護者の体格に応じて補助壁体を交換することにより、袋体を立体的に変形させてその容積の増減を効果的に行うことができる。これにより、袋体内に貯留する湯水の無駄を非常に少なくすることができる。
【0010】
また、袋体の外周に壁体を設けただけの簡易風呂に、補助壁体を後付けできて便利である。これにより、簡易風呂を使用する被介護者が複数であった場合や、たとえ同一人であっても加齢などによりその体格が大幅に変わった場合などにも、補助壁体を交換するだけで対応できるので、非常に経済的である。
【0011】
また、簡易風呂を旅行先等に持ち運ぼうとしたときには、できるだけ軽量であることが好ましいが、ここでは金網状の壁体を設けているため、それらを軽量化できる。したがって、従来例(特許文献1)と同程度の重量であるとすると、袋体内の入浴スペースをより広くとることができる一方、前記従来例と同程度の入浴スペースであるとすると、さらなる軽量化を図ることができる。
【0012】
ところで、冬場には外気温度が低くなるため、袋体の外周からの放熱が大きくなり、その袋体内に貯留される湯水の量が少ない場合には、特に湯水の温度が低下しやすい。そこで、請求項2記載の発明のように、前記袋体の外周をさらに覆う補助袋体を備えることが好ましい。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、前記袋体の外周をさらに覆う補助袋体を備えたので、いわば二重構造となって、袋体の外周からの放熱が小さくなり、その袋体内に貯留される湯水の温度が維持されやすくなる。
【0014】
また、自立が困難な身体障害者又は老齢者は、椅子又はシャワーキャリーに座った状態で風呂に入りたい。そこで、請求項3記載の発明のように、前記前記身体障害者又は老齢者は、袋体に入ったまま、椅子又はシャワーキャリーに腰掛けることが可能であるように構成することが好ましい。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、前記前記身体障害者又は老齢者は、袋体に入ったまま、椅子又はシャワーキャリーに腰掛けることが可能であるように構成したので、自立が困難な身体障害者又は老齢者は、椅子又はシャワーキャリーに座った状態で風呂に入ることができる。その場合には、椅子又はシャワーキャリーの占める容積分だけ、袋体内に貯留される湯水の量がさらに少なくなる。また、椅子などが袋体内に入らないので、その付着物などにより湯水を汚染するおそれがなくなり、衛生的である。
【0016】
また、風呂の組み立て後に、その風呂を部屋の片隅などに移動させておきたいことがある。そこで、請求項4記載の発明のように、前記袋体の底部にキャスタ付きの支持体を備えることが好ましい。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、前記袋体の底部にキャスタ付きの支持体を備えたので、組み立て後の風呂の移動が容易となる。
【0018】
また、風呂の設置場所によっては、その場所にある構造壁を利用できることがある。そこで、請求項5記載の発明のように、前記袋体の少なくとも一側は構造壁に支持されるとともに、前記袋体の他側には前記壁体が設けられることが好ましい。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、前記袋体の少なくとも一側は構造壁に支持されるとともに、前記袋体の他側には前記壁体が設けられたので、袋体の安定性が確保されるとともに、その袋体の少なくとも一側の壁体が省略されて、風呂をさらに軽量化することができる。
【0020】
また、請求項6記載の発明は、身体障害者又は老齢者が使用可能な簡易風呂の組み立て方法であって、上端が開放された袋体を上下方向に伸縮させて、この袋体の外周に金網状の壁体を取り付けるときに、この壁体と袋体との間に前記身体障害者又は老齢者の体格に応じて前記袋体の容積を増減させるための補助壁体を交換可能に介設させることを特徴とするものである。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、上端が開放された袋体を上下方向に伸縮させて、この袋体の外周に金網状の壁体を取り付けるときに、この壁体と袋体との間に前記身体障害者又は老齢者の体格に応じて前記袋体の容積を増減させるための補助壁体を交換可能に介設させるので、簡易風呂を旅行先等で容易に組み立てることができ、或いはこの組み立てたものを容易に分解することができる。また、このようにして組み立てられた簡易風呂は、前記本発明による作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、上部が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な袋体と、この袋体の外周に設けられる金網状の壁体と、この壁体と袋体との間に交換可能に介設され、前記身体障害者又は老齢者の体格に応じて前記袋体の容積を増減させるための補助壁体とが備えられたので、身体障害者又は老齢者といった被介護者の体格に応じて補助壁体を交換することにより、袋体を立体的に変形させてその容積の増減を効果的に行うことができる。これにより、袋体内に貯留する湯水の無駄を非常に少なくすることができる。
【0023】
また、袋体の外周に壁体を設けただけの簡易風呂に、補助壁体を後付けできて便利である。これにより、簡易風呂を使用する被介護者が複数であった場合や、たとえ同一人であっても加齢などによりその体格が大幅に変わった場合などにも、補助壁体を交換するだけで対応できるので、非常に経済的である。
【0024】
また、簡易風呂を旅行先等に持ち運ぼうとしたときには、できるだけ軽量であることが好ましいが、ここでは金網状の壁体を設けているため、それらを軽量化できる。したがって、従来例(特許文献1)と同程度の重量であるとすると、袋体内の入浴スペースをより広くとることができる一方、前記従来例と同程度の入浴スペースであるとすると、さらなる軽量化を図ることができる。
【0025】
請求項6記載の発明によれば、上端が開放された袋体を上下方向に伸縮させて、この袋体の外周に金網状の壁体を取り付けるときに、この壁体と袋体との間に前記身体障害者又は老齢者の体格に応じて前記袋体の容積を増減させるための補助壁体を交換可能に介設させるので、簡易風呂を旅行先等で容易に組み立てることができ、或いはこの組み立てたものを容易に分解することができる。また、このようにして組み立てられた簡易風呂は、前記本発明による作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態1に係る簡易風呂の概略構成を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図2】本実施形態1に係る簡易風呂の壁体と補助壁体とを示す説明図である。
【図3】本実施形態1に係る簡易風呂の組み立て状態を示す工程図である。
【図4】本発明の実施形態2に係る簡易風呂の概略構成を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図5】本実施形態2に係る簡易風呂の壁体と補助壁体とを示す説明図である。
【図6】本実施形態2に係る簡易風呂の組み立て状態を示す工程図である。
【図7】本発明の実施形態3に係る簡易風呂の概略構成を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図8】本実施形態3に係る簡易風呂の組み立て状態を示す工程図である。
【図9】本発明の実施形態4に係る簡易風呂の概略構成を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図10】本実施形態4に係る簡易風呂の組み立て状態を示す工程図である。
【図11】本発明の実施形態5に係る簡易風呂の概略構成を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図12】本実施形態5に係る簡易風呂の壁体と補助壁体とを示す説明図である。
【図13】本実施形態5に係る簡易風呂の組み立て状態を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る簡易風呂100aの概略構成を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。また、図2はこの簡易風呂100aの壁体3と補助壁体4とを示す説明図である。
【0028】
図1(a)(b),図2に示すように、本実施形態1に係る簡易風呂100aは、使用者としての例えば高齢者や身体障害者等の被介護者200が椅子2に腰掛けた状態で入浴可能なものであって、上部が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な袋体1と、この袋体1の外周に設けられる折り畳み可能な金網状の壁体3と、この壁体3と袋体1との間に交換可能に介設され、前記身体障害者又は老齢者200の体格に応じて前記袋体1の容積を増減させるための補助壁体4とを備えている。
【0029】
袋体1は、例えば市販のナイロンニットにポリウレタンラミネートを施した防水シートを適宜形状にカットしたものを圧着して貼り合わせ、或いは縫い合わせてなり、その組み立て形状は、底部が500×600mm程度で、高さが800mm程度の上部が開放された縦長箱状のものである。なお、袋体1の各部の厚さは、介護者や被介護者200によって加えられうる物理的な力と、内部にお湯を漲ったときの水圧とに十分に耐えうる程度のものとされる。この袋体1は洗濯機で洗えるものであり、例えば銀を練りこんだ市販の衛生製品を使用することもできる。その場合には、制菌性に優れ、かつ不快臭気や静電気の発生防止も期待される。
【0030】
この袋体1の上縁部には、ほつれを防止するために図略の折り返し等によるいわゆる縁取り加工が施されている。この上縁部の適宜箇所には、それぞれフック7を挿通することのできる留め金6が取り付けられている。
【0031】
壁体3は、図2の下段に示すように、例えばステンレス製で四角形の網状体4面31,32,33,34からなっている。ここでは、壁体31,33の大きさとして、500mm×800mm、壁体32,34の大きさとして600mm×800mmをそれぞれ採用しているが。被介護者200の体格によっては、他の寸法を採用することもできる。
【0032】
壁体31,32,33,34の網目の大きさや形状は、袋体1にお湯を張ったときの袋体1の膨らみなどを考慮して設定される。ここでは、100mm×100mm程度の正方形を採用したが、菱形やその他の形状であってもよい。そして、隣り合う壁体同士である31,32間と、32,33間と、33,34間とは、例えばヒンジ結合されて折り畳み自在となっている。残りの31,34間は、被介護者200の出入りが楽にできるように、留め金30で係脱自在に固定されるようになっている。
【0033】
補助壁体4は、図2の上段に示すように、これも例えばステンレス製の網状体からなり、前記壁体の1面31にフック40で交換可能に取り付けるようになっている。その形状と大きさとは、被介護者200の体格に応じて設定される。すなわち、被介護者200が袋体1に入ったときに、壁体3との間に生じる空間の境界面をなぞるようにして設定される。ここでは、500mm×300mm、500mm×200mm、500mm×300、500×100mm程度の4面を階段状に連結したものを採用している。なお、この補助壁体4についても、特に嵩高いものについては、壁体3と同様に折り畳み自在となっていることが好ましい。
【0034】
以下、本簡易風呂100aの組み立て・分解方法について説明する。図3は本簡易風呂100aの組み立て状態を示す工程図である。
【0035】
それぞれ折り畳み或いは縮小させた状態の袋体1と4面の壁体3と補助壁体4とフック7などからなる各パーツは、すべて図略のバッグ内に収められており、その全体の重量は4〜6kg(発明者が実施モデルにて実測した値である。)程度と軽量であるがゆえに、旅行時に容易に持ち運びできる。
【0036】
ここでは、椅子2は持参することなく、旅行先等で用意されたものを使用することとしたが、別途椅子2を持参してもよい。
【0037】
旅行先で、そのバッグから介護者が各パーツを取り出す。具体的には図3に示すように、袋体1を折り畳んだ状態のまま前記バッグから取り出し、その開放端を上向きにして例えば風呂場の床上に置く。その際、組み立て中又は組み立て後の簡易風呂100aの転倒を防止するために、できれば同風呂場の壁などを利用して、簡易風呂100aの少なくとも一側面をもたせ掛けるとともに、吸盤(図略)で前記風呂場の壁などに固定することが望ましい。
【0038】
ついで、図3(a)に示すように、介護者(図略)が、立ち姿勢の被介護者200を支えて袋体1の中に入るように導き、その状態で、図3(b)に示すように、袋体1を上方に引き上げることで伸展させる。このとき、椅子2は被介護者200のすぐ後側に置いておく。
【0039】
ついで、図3(c)に示すように、前記介護者が、被介護者200を袋体1に入ったままの状態で椅子2に腰掛けさせ、図3(d)に示すように、周囲に4面の壁体3と、補助壁体4とをそれぞれ取り付ける。
【0040】
本簡易風呂100aでは、この補助壁体4で袋体1を、被介護者200の体格に応じて最適な形状となるように設定することができる。具体的には、補助壁体4を何種類か用意しておいてその中から最適なものを選択するか、あるいは形状寸法を調整可能なものとすればよい。
【0041】
ついで、前記風呂場の図示しない浴槽や給湯栓にホースで接続したポンプ等を使用して、袋体1内に給湯する。そして、図1に示すように、湯面10が被介護者200の体格に応じた適当な高さ位置となったところで、給湯を停止する。給湯した状態の袋体1は、水圧により若干外側に膨らんだ状態となるが、これにより、被介護者200は椅子2に座ったまま必要なスペースで入浴することができるようになる。被介護者200の入浴が終わった後、介護者は前記ポンプを再度使用して、袋体1内のお湯を前記風呂場の図示しない浴槽等に汲み出すことができる。
【0042】
引き続いて、簡易風呂100aの分解を行う。すなわち、介護者は袋体1の上部の留め金6に取り付けたフック7の他端を、各壁体3から取り外して、正面の壁体3を開く。すると、袋体1は重力落下して、もとの折り畳んだ状態に戻るので、介護者は椅子2に座ったままの被介護者200を支えて袋体1から容易に外側に連れ出すことができる。
【0043】
そして、各壁体3を袋体1の周囲から取り外す。このとき、補助壁体4を壁体3から取り外しておく。それぞれを折り畳むなどして、もとの状態に戻した各パーツを前記バッグに収納することにより、本簡易風呂100aを持ち運ぶことができるようになる。このようにして、本簡易風呂100aを旅行先等で容易に組み立てることができ、或いはこの組み立てたものを容易に分解することができる。
【0044】
以上説明したように、本簡易風呂100aによれば、上部が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な袋体1と、この袋体1の外周に設けられる金網状の壁体3と、この壁体3と袋体1との間に交換可能に介設され、被介護者200の体格に応じて袋体1の容積を増減させるための補助壁体4とが備えられたので、被介護者200の体格に応じて補助壁体4を交換することにより、袋体1を立体的に変形させてその容積の増減を効果的に行うことができる。これにより、袋体1内に貯留する湯水の無駄を非常に少なくすることができる。すなわち、通常の風呂に貯留する湯水は200〜250Lであるが、本簡易風呂100aで貯留する湯水は140L程度で済む。
【0045】
また、袋体1の外周に壁体3を設けただけの簡易風呂に、補助壁体4を後付けできて便利である。これにより、簡易風呂を使用する被介護者200が複数であった場合や、たとえ同一人であっても加齢などによりその体格が大幅に変わった場合などにも、補助壁体4を交換するだけで対応できるので、非常に経済的である。
【0046】
ここでは、椅子2を袋体1の下方に配置しているから、この椅子2の分だけ袋体1の容積を減じることにより、袋体1内に貯留する湯水の無駄をさらに少なくすることができる。
【0047】
また、簡易風呂100aを旅行先等に持ち運ぼうとしたときには、できるだけ軽量であることが好ましいが、ここでは金網状の壁体3を設けているため、それらを軽量化できる。したがって、従来例(特許文献1)と同程度の重量であるとすると、袋体1内の入浴スペースをより広くとることができる一方、前記従来例と同程度の入浴スペースであるとすると、さらなる軽量化を図ることができる。
【0048】
(実施形態2)
図4は本発明の実施形態2に係る簡易風呂100bの概略構成を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。また、図5はこの簡易風呂100bの壁体3と補助壁体4とを示す説明図である。
【0049】
図4(a)(b),図5に示すように、本実施形態2に係る簡易風呂100bは、使用者としての例えば高齢者や身体障害者等の被介護者200が椅子2を使用せずに入浴可能なものであって、上記実施形態1と同様に、上部が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な袋体1と、この袋体1の外周に設けられる金網状の壁体3と、この壁体3と袋体1との間に交換可能に介設され、被介護者200の体格に応じて袋体1の容積を増減させるための補助壁体4とを備えている。
【0050】
ただし、上記実施形態1とは異なり、袋体1の組み立て形状は、底部が500×800mm程度で、高さが600mm程度の上部が開放された横長箱状のものである。
【0051】
壁体3は、図5の下段に示すように、例えばステンレス製で四角形の網状体4面31,32,33,34からなっているが、ここでは、壁体31,33の大きさとして、500mm×600mm、壁体32,34の大きさとして800mm×600mmをそれぞれ採用している。被介護者200の体格によっては、他の寸法を採用することもできる。
【0052】
壁体31,32,33,34の網目の大きさや形状は、袋体1にお湯を張ったときの袋体1の膨らみなどを考慮して設定されるが、ここでは、100mm×100mm程度の正方形を採用したが、菱形やその他の形状であってもよい。そして、折り畳み時に最小化するために、隣り合う壁体同士である32,33間と、31,34間とは、例えばヒンジ結合されて折り畳み自在となっている。残りの31,32間と、33,34間とは、それぞれ留め金30で係脱自在に固定されるようになっている。
【0053】
補助壁体4は、図5の上段に示すように、例えばステンレス製の網状体からなり、これを前記壁体の1面31にフック40で交換可能に取り付けるようになっているが、ここでは、500mm×300mm、500mm×500mm程度の2面を横面視でL字状に連結したものを採用している。なお、この補助壁体4についても、特に嵩高いものについては、壁体3と同様に折り畳み自在となっていることが好ましい。
【0054】
以下、本簡易風呂100bの組み立て・分解方法について説明する。図6は本簡易風呂100bの組み立て状態を示す工程図である。
【0055】
それぞれ折り畳み或いは縮小させた状態の袋体1と4面の壁体3と補助壁体4などからなる各パーツは、すべて図略のバッグ内に収められており、その全体の重量は4〜6kg(発明者が実施モデルにて実測した値である。)程度と軽量であるがゆえに、旅行時に容易に持ち運びできる。ここでは、上記実施形態1とは異なり、椅子2を使用しないものとする。
【0056】
旅行先で、そのバッグから介護者が各パーツを取り出す。具体的には図6に示すように、袋体1を折り畳んだ状態のまま前記バッグから取り出し、その開放端を上向きにして例えば風呂場の床上に置く。その際、組み立て中又は組み立て後の簡易風呂100bの転倒を防止するために、できれば同風呂場の壁などを利用して、簡易風呂100bの少なくとも一側面をもたせ掛けるとともに、吸盤(図略)で前記風呂場の壁などに固定することが望ましい。
【0057】
ついで、図6(a)に示すように、介護者が、足を伸ばしての座り姿勢の被介護者200を支えて袋体1の中に入るように導き、その状態で、図6(b)に示すように、袋体1を上方に引き上げることで伸展させる。
【0058】
ついで、図6(c)に示すように、周囲に4面の壁体3と、補助壁体4とをそれぞれ取り付ける。この取り付けは、被介護者200自身が行うこともできる。本簡易風呂100bでは、この補助壁体4で袋体1を、被介護者200の体格に応じて最適な形状となるように設定することができる。具体的には、補助壁体4を何種類か用意しておいてその中から最適なものを選択するか、あるいは形状寸法を調整可能なものとすればよい。
【0059】
ついで、前記風呂場の図示しない浴槽や給湯栓にホースで接続したポンプ等を使用して、袋体1内に給湯する。そして、図4に示すように、湯面10が被介護者200の体格に応じた適当な高さ位置となったところで、給湯を停止する。給湯した状態の袋体1は、水圧により若干外側に膨らんだ状態となるが、これにより、被介護者200は椅子2に座ったまま必要なスペースで入浴することができるようになる。被介護者200の入浴が終わった後、介護者は前記ポンプを再度使用して、袋体1内のお湯を前記風呂場の図示しない浴槽等に汲み出すことができる。
【0060】
引き続いて、簡易風呂100aの分解を行う。すなわち、介護者は袋体1の上部の留め金6に取り付けたフック7の他端を、各壁体3から取り外して、正面の壁体3を開く。すると、袋体1は重力落下して、もとの折り畳んだ状態に戻るので、介護者は袋体1の底部に直に座ったままの被介護者200を支えて、その袋体1から容易に外側に連れ出すことができる。
【0061】
そして、各壁体3を袋体1の周囲から取り外す。このとき、補助壁体4を壁体3から取り外しておく。それぞれを折り畳むなどして、もとの状態に戻した各パーツを前記バッグに収納することにより、本簡易風呂100bを持ち運ぶことができるようになる。このようにして、本簡易風呂100bを旅行先等で容易に組み立てることができ、或いはこの組み立てたものを容易に分解することができる。
【0062】
以上説明したように、本簡易風呂100bによれば、上記実施形態1と同様に、被介護者200の体格に応じて袋体1の容積を増減させることにより、袋体1内に貯留する湯水の無駄を少なくすることができる。すなわち、通常の風呂に貯留する湯水は200〜250Lであるが、本簡易風呂100bで貯留する湯水は180L程度で済む。ただし、ここでは、上記実施形態1と異なり、椅子2を使用しないので、被介護者200は比較的広い入浴スペースが与えられる。
【0063】
また、簡易風呂100bを旅行先等に持ち運ぼうとしたときには、できるだけ軽量であることが好ましいが、ここでは金網状の壁体3を設けているため、それらを軽量化できる。したがって、従来例(特許文献1)と同程度の重量であるとすると、袋体1内の入浴スペースをより広くとることができる一方、前記従来例と同程度の入浴スペースであるとすると、さらなる軽量化を図ることができる。
【0064】
(実施形態3)
図7は本発明の実施形態3に係る簡易風呂100cの概略構成を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。なお、この簡易風呂100cの壁体3と補助壁体4とを示す説明図は、上記実施形態1のそれと同様であるので、図2を用いて説明する。
【0065】
図7(a)(b),図2に示すように、本実施形態3に係る簡易風呂100cは、使用者としての例えば高齢者や身体障害者等の被介護者200がシャワーキャリー8に腰掛けた状態で入浴可能なものであって、上部が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な袋体1と、この袋体1の外周に設けられる金網状の壁体3と、この壁体3と袋体1との間に交換可能に介設され、前記身体障害者又は老齢者200の体格に応じて前記袋体1の容積を増減させるための補助壁体4とを備えている。ここで、シャワーキャリー8とは、キャスタや車輪が付いている椅子の一種であって、例えば被介護者200を居室や脱衣場から洗い場へと移動させ、そのままシャワー浴を行うために使用されるものである。
【0066】
袋体1の組み立て形状は、上記実施形態1と同様に、底部が500×600mm程度で、高さが800mm程度の上部が開放された縦長箱状のものである。
【0067】
壁体3は、図2の下段に示すように、例えばステンレス製で四角形の網状体4面31,32,33,34からなっている。ここでは、壁体31,33の大きさとして、500mm×800mm、壁体32,34の大きさとして600mm×800mmをそれぞれ採用しているが。被介護者200の体格によっては、他の寸法を採用することもできる。
【0068】
そして、隣り合う壁体同士である31,32間と、32,33間と、33,34間とは、例えばヒンジ結合されて折り畳み自在となっている。残りの31,34間は、被介護者200の出入りが楽にできるように、留め金30で係脱自在に固定されるようになっている。
【0069】
補助壁体4は、図2の上段に示すように、例えばステンレス製の網状体からなり、これを前記壁体の1面31にフック40で交換可能に取り付けるようになっているが、ここでは、500mm×300mm、500mm×200mm、500mm×300、500×100mm程度の4面を階段状に連結したものを採用している。なお、この補助壁体4についても、特に嵩高いものについては、壁体3と同様に折り畳み自在となっていることが好ましい。
【0070】
以下、本簡易風呂100cの組み立て・分解方法について説明する。図8は本簡易風呂100cの組み立て状態を示す工程図である。
【0071】
それぞれ折り畳み或いは縮小させた状態の袋体1と4面の壁体3と補助壁体4などからなる各パーツは、すべて図略のバッグ内に収められており、その全体の重量は4〜6kg(発明者が実施モデルにて実測した値である。ただし、シャワーキャリー8を除く。)程度と軽量であるがゆえに、旅行時に容易に持ち運びできる。シャワーキャリー8は被介護者200にとって手放せないものであるから、別途持参することが好ましい。
【0072】
旅行先で、そのバッグから介護者が各パーツを取り出す。具体的には図8に示すように、袋体1を折り畳んだ状態のまま前記バッグから取り出し、その開放端を上向きにして例えば風呂場の床上に置く。その際、組み立て中又は組み立て後の簡易風呂100cの転倒を防止するために、できれば同風呂場の壁などを利用して、簡易風呂100cの少なくとも一側面をもたせ掛けるとともに、吸盤(図略)で前記風呂場の壁などに固定することが望ましい。
【0073】
ついで、図8(a)に示すように、介護者(図略)が、立ち姿勢の被介護者200を支えて袋体1の中に入るように導き、その状態で、図8(b)に示すように、袋体1を上方に引き上げることで伸展させる。このとき、シャワーキャリー8は被介護者200のすぐ後側に置いておく。
【0074】
ついで、図8(c)に示すように、前記介護者が、被介護者200を袋体1に入ったままの状態でシャワーキャリー8に腰掛けさせ、図8(d)に示すように、周囲に4面の壁体3と、補助壁体4とをそれぞれ取り付ける。本簡易風呂100cでは、この補助壁体4で袋体1を、被介護者200の体格に応じて最適な形状となるように設定することができる。具体的には、補助壁体4を何種類か用意しておいてその中から最適なものを選択するか、あるいは形状寸法を調整可能なものとすればよい。
【0075】
ついで、前記風呂場の図示しない浴槽や給湯栓にホースで接続したポンプ等を使用して、袋体1内に給湯する。そして、図7に示すように、湯面10が被介護者200の体格に応じた適当な高さ位置となったところで、給湯を停止する。給湯した状態の袋体1は、水圧により若干外側に膨らんだ状態となるが、これにより、被介護者200はシャワーキャリー8に座ったまま必要なスペースで入浴することができるようになる。被介護者200の入浴が終わった後、介護者は前記ポンプを再度使用して、袋体1内のお湯を前記風呂場の図示しない浴槽等に汲み出すことができる。
【0076】
引き続いて、簡易風呂100cの分解を行う。すなわち、介護者は袋体1の上部の留め金6に取り付けたフック7の他端を、各壁体3から取り外して、正面の壁体3を開く。すると、袋体1は重力落下して、もとの折り畳んだ状態に戻るので、介護者はシャワーキャリー8に座ったままの被介護者200を支えて袋体1から容易に外側に連れ出すことができる。
【0077】
そして、各壁体3を袋体1の周囲から取り外す。このとき、補助壁体4を壁体3から取り外しておく。それぞれを折り畳むなどして、もとの状態に戻した各パーツを前記バッグに収納することにより、本簡易風呂100cを持ち運ぶことができるようになる。このようにして、本簡易風呂100cを旅行先等で容易に組み立てることができ、或いはこの組み立てたものを容易に分解することができる。
【0078】
以上説明したように、本簡易風呂100cによれば、上記実施形態1と同様の作用効果に加え、シャワーキャリー8を袋体1の下方に配置しているから、このシャワーキャリー8の分だけ袋体1の容積を減じることにより、袋体1内に貯留する湯水の無駄をさらに少なくすることができる。すなわち、通常の風呂に貯留する湯水は200〜250Lであるが、本簡易風呂100aで貯留する湯水は140L程度で済む。また、シャワーキャリー8の付着物によって湯水が汚染されることもないので、衛生面でも優れているといえる。
【0079】
(実施形態4)
図9は本発明の実施形態4に係る簡易風呂100dの概略構成を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。なお、この簡易風呂100dの壁体3と補助壁体4とを示す説明図は、上記実施形態2のそれと同様であるので、図5を用いて説明する。
【0080】
図9(a)(b),図5に示すように、本実施形態4に係る簡易風呂100dは、使用者としての例えば高齢者や身体障害者等の被介護者200が椅子2を使用せずに入浴可能なものであって、上記実施形態2と同様に、上部が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な袋体1と、この袋体1の外周に設けられる金網状の壁体3と、この壁体3と袋体1との間に交換可能に介設され、被介護者200の体格に応じて袋体1の容積を増減させるための補助壁体4とを備えているが、ここでは、組み立て後の風呂の移動を考慮して、袋体1の底部にキャスタ90付きの支持体9を備えている。
【0081】
ただし、上記実施形態1とは異なり、袋体1の組み立て形状は、底部が500×800mm程度で、高さが600mm程度の上部が開放された横長箱状のものである。
【0082】
壁体3は、図5の下段に示すように、例えばステンレス製で四角形の網状体4面31,32,33,34からなっているが、ここでは、壁体31,33の大きさとして、500mm×600mm、壁体32,34の大きさとして800mm×600mmをそれぞれ採用している。被介護者200の体格によっては、他の寸法を採用することもできる。
【0083】
そして、折り畳み時に最小化するために、隣り合う壁体同士である32,33間と、31,34間とは、例えばヒンジ結合されて折り畳み自在となっている。残りの31,32間と、33,34間とは、それぞれ留め金30で係脱自在に固定されるようになっている。
【0084】
補助壁体4は、図5の上段に示すように、例えばステンレス製の網状体からなり、これを前記壁体の1面31にフック40で交換可能に取り付けるようになっているが、ここでは、500mm×300mm、500mm×500mm程度の2面を横面視でL字状に連結したものを採用している。なお、この補助壁体4についても、特に嵩高いものについては、壁体3と同様に折り畳み自在となっていることが好ましい。
【0085】
以下、本簡易風呂100dの組み立て・分解方法について説明する。図10は本簡易風呂100dの組み立て状態を示す工程図である。
【0086】
それぞれ折り畳み或いは縮小させた状態の袋体1と4面の壁体3と補助壁体4とフック7などからなる各パーツは、すべて図略のバッグ内に収められており、その全体の重量は4〜6kg(発明者が実施モデルにて実測した値である。支持体9は含まないものとする。)程度と軽量であるがゆえに、旅行時に容易に持ち運びできる。ここでは、支持体9の代用にキャスタ付きのベッドを使用することができる。
【0087】
旅行先で、そのバッグから介護者が各パーツを取り出す。具体的には図10に示すように、袋体1を折り畳んだ状態のまま前記バッグから取り出し、その開放端を上向きにして例えば風呂場の床上に置く。その際、組み立て中又は組み立て後の簡易風呂100dの転倒を防止するために、できれば同風呂場の壁などを利用して、簡易風呂100dの少なくとも一側面をもたせ掛けるとともに、吸盤(図略)で前記風呂場の壁などに固定することが望ましい。
【0088】
ついで、図10(a)に示すように、介護者(図略)が、足を伸ばしての座り姿勢の被介護者200を支えて袋体1の中に入るように導き、その状態で、図10(b)に示すように、袋体1を上方に引き上げることで伸展させる。
【0089】
ついで、図10(c)に示すように、周囲に4面の壁体3と、補助壁体4とをそれぞれ取り付ける。この取り付けは、被介護者200自身が行うこともできる。本簡易風呂100dでは、この補助壁体4で袋体1を、被介護者200の体格に応じて最適な形状となるように設定することができる。具体的には、補助壁体4を何種類か用意しておいてその中から最適なものを選択するか、あるいは形状寸法を調整可能なものとすればよい。
【0090】
ついで、前記風呂場の図示しない浴槽や給湯栓にホースで接続したポンプ等を使用して、袋体1内に給湯する。そして、図9に示すように、湯面10が被介護者200の体格に応じた適当な高さ位置となったところで、給湯を停止する。給湯した状態の袋体1は、水圧により若干外側に膨らんだ状態となるが、これにより、被介護者200は座ったまま必要なスペースで入浴することができるようになる。被介護者200の入浴が終わった後、介護者は前記ポンプを再度使用して、袋体1内のお湯を前記風呂場の図示しない浴槽等に汲み出すことができる。
【0091】
引き続いて、簡易風呂100dの分解を行う。すなわち、介護者は袋体1の上部の留め金6に取り付けたフック7の他端を、各壁体3から取り外して、正面の壁体3を開く。すると、袋体1は重力落下して、もとの折り畳んだ状態に戻るので、介護者は袋体1の底部に直に座ったままの被介護者200を支えて、その袋体1から容易に外側に連れ出すことができる。
【0092】
そして、各壁体3を袋体1の周囲から取り外す。このとき、補助壁体4を壁体3から取り外しておく。それぞれを折り畳むなどして、もとの状態に戻した各パーツを前記バッグに収納することにより、本簡易風呂100dを持ち運ぶことができるようになる。このようにして、本簡易風呂100dを旅行先等で容易に組み立てることができ、或いはこの組み立てたものを容易に分解することができる。
【0093】
以上説明したように、本簡易風呂100dによれば、上記実施形態2と同様の作用効果に加え、袋体1の底部にキャスタ90付きの支持体9を備えているので、組み立て後の風呂の移動が容易となる。
【0094】
(実施形態5)
図11は本発明の実施形態5に係る簡易風呂100eの概略構成を示す側面図、図12はこの簡易風呂100eの壁体3と補助壁体4とを示す説明図である。
【0095】
図11,図12に示すように、本実施形態5に係る簡易風呂100eは、使用者としての例えば高齢者や身体障害者等の被介護者200が椅子2に腰掛けた状態で入浴可能なものであって、上部が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な袋体1と、この袋体1の外周に設けられる金網状の壁体3と、この壁体3と袋体1との間に交換可能に介設され、前記身体障害者又は老齢者200の体格に応じて前記袋体1の容積を増減させるための補助壁体4とを備えている。
【0096】
袋体1の組み立て形状は、上記実施形態1と同様に、底部が500×600mm程度で、高さが800mm程度の上部が開放された縦長箱状のものである。
【0097】
壁体3は、図12の下段に示すように、例えばステンレス製で四角形の網状体3面32,33,34からなっている。ここでは、壁体33の大きさとして、500mm×800mm、壁体32,34の大きさとして600mm×800mmをそれぞれ採用しているが。被介護者200の体格によっては、他の寸法を採用することもできる。
【0098】
そして、隣り合う壁体同士である32,33間と、33,34間とは、例えばヒンジ結合されて折り畳み自在となっている。一方、32,34と風呂場の壁13との間は、吸盤12で着脱自在に固定されるようになっている。
【0099】
補助壁体4は、図12の上段に示すように、例えばステンレス製の網状体からなり、これを前記壁体の1面31にフック40で取り付けるようになっているが、ここでは、500mm×300mm、500mm×200mm、500mm×300、500×100mm程度の4面を階段状に連結したものを採用している。なお、この補助壁体4についても、特に嵩高いものについては、壁体3と同様に折り畳み自在となっていることが好ましい。
【0100】
以下、本簡易風呂100eの組み立て・分解方法について説明する。図13は本簡易風呂100eの組み立て状態を示す工程図である。
【0101】
それぞれ折り畳み或いは縮小させた状態の袋体1と4面の壁体3と補助壁体4などからなる各パーツは、すべて図略のバッグ内に収められており、その全体の重量は4〜6kg(発明者が実施モデルにて実測した値である。)程度と軽量であるがゆえに、旅行時に容易に持ち運びできる。
【0102】
旅行先で、そのバッグから介護者が各パーツを取り出す。具体的には、袋体1を折り畳んだ状態のまま前記バッグから取り出し、その開放端を上向きにして例えば風呂場の床上に置く。その際、組み立て中又は組み立て後の簡易風呂100eの転倒を防止するために、図11に示すように、同風呂場の壁(構造壁に相当する。)13などを利用して、簡易風呂100cの後面をもたせ掛けるとともに、吸盤12で前記風呂場の壁などに固定している。
【0103】
ついで、図13(a)に示すように、介護者(図略)が、立ち姿勢の被介護者200を支えて袋体1の中に入るように導き、その状態で、図13(b)に示すように、袋体1を上方に引き上げることで伸展させる。このとき、椅子2は被介護者200のすぐ後側に置いておく。
【0104】
ついで、図13(c)に示すように、前記介護者が、被介護者200を袋体1に入ったままの状態で椅子2に腰掛けさせ、図13(d)に示すように、周囲に3面の壁体3と、補助壁体4とをそれぞれ取り付ける。本簡易風呂100eでは、この補助壁体4で袋体1を、被介護者200の体格に応じて最適な形状となるように設定することができる。具体的には、補助壁体4を何種類か用意しておいてその中から最適なものを選択するか、あるいは形状寸法を調整可能なものとすればよい。
【0105】
ついで、前記風呂場の図示しない浴槽や給湯栓にホースで接続したポンプ等を使用して、袋体1内に給湯する。そして、図11に示すように、湯面10が被介護者200の体格に応じた適当な高さ位置となったところで、給湯を停止する。給湯した状態の袋体1は、水圧により若干外側に膨らんだ状態となるが、これにより、被介護者200は椅子2に座ったまま必要なスペースで入浴することができるようになる。被介護者200の入浴が終わった後、介護者は前記ポンプを再度使用して、袋体1内のお湯を前記風呂場の図示しない浴槽等に汲み出すことができる。
【0106】
引き続いて、簡易風呂100eの分解を行う。すなわち、介護者は袋体1の上部の留め金6に取り付けたフック7の他端を、各壁体3から取り外して、正面の壁体3を開く。すると、袋体1は重力落下して、もとの折り畳んだ状態に戻るので、介護者は椅子2に座ったままの被介護者200を支えて袋体1から容易に外側に連れ出すことができる。
【0107】
そして、各壁体3を袋体1の周囲から取り外す。このとき、補助壁体4を壁体3から取り外しておく。それぞれを折り畳むなどして、もとの状態に戻した各パーツを前記バッグに収納することにより、本簡易風呂100eを持ち運ぶことができるようになる。このようにして、本簡易風呂100eを旅行先等で容易に組み立てることができ、或いはこの組み立てたものを容易に分解することができる。
【0108】
以上説明したように、本簡易風呂100eによれば、上記実施形態1と同様の作用効果に加え、同風呂場の壁13などを利用して、簡易風呂100eの後面をもたせ掛けるとともに、吸盤12で前記風呂場の壁13などに固定しているので、簡易風呂100eの転倒を防止できる。なお、風呂場の壁13などに固定するのは、簡易風呂100eの後面に限らず、左右あるいは正面の少なくともいずれかであるとしてもよい。
【0109】
なお、上記実施形態1〜5では、いずれも袋体1の形状や大きさを壁体3のそれと一致させているが、必ずしも一致させる必要はない。また、上記実施形態1〜5では、いずれも袋体1と壁体3と補助壁体4の形状や大きさを、その利用者である被介護者200が成人男性の場合を想定して設定しているが、女性や子供であればさらに小さく設定することが好ましい。
【0110】
また、上記実施形態1〜5では、いずれも袋体1の断面形状を略四角形としているが、被介護者200にとって必要な入浴スペースを提供することができるのであれば、その他の多角形や円形であってもよい。この袋体1の形状に応じて、壁体3の形状を他の形状としてもよい。また、補助壁体4はフック40で壁体3に係止するようにしているが、嵌め込み構造としてもよく、さらに持ち運びに支障がなければ、特に壁体3から取り外す必要もない。
【0111】
また、冬場には外気温度が低くなるため、袋体1の外周からの放熱が大きくなり、その袋体1内に貯留される湯水の量が少ない場合には、特に湯水の温度が低下しやすい。そこで、上記実施形態1における、図1の二点鎖線で示すように、壁体3の外周を覆う補助袋体11を備えることが好ましい。この補助袋体11としては、市販のテントシートを採用することができる。これにより、いわば二重構造となって、袋体1の外周からの放熱がきわめて小さくなり、その袋体1内に貯留される湯水の温度が維持されやすくなる。補助袋体11は、壁体3の内周において、袋体1と僅かな隙間を介して設けてもよい。上記実施形態2〜4についても同様である。
【0112】
さらに、上記実施形態1〜5では、いずれも本簡易風呂100a〜100eの使用者として、例えば高齢者や身体障害者等の被介護者200を例示しているが、健常者が本簡易風呂100a〜100eを使用してもよいのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0113】
100a,100b,100c,100d,100e 簡易風呂
1 袋体
2 椅子
3 壁体
4 補助壁体
6 留め金
7 フック
8 シャワーキャリー
9 支持体
10 湯面
11 補助袋体
12 吸盤
13 風呂場の壁(構造壁に相当する。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0114】
【特許文献1】特開平10−127511号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば高齢者や身体障害者等の被介護者が入浴可能な簡易風呂及びその組み立て方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な風呂は、浴槽を跨いで入浴するものであるため、例えば高齢者や身体障害者等の被介護者を、介護者が支えて入浴させることが困難となる。このため、自宅にいる被介護者のために、専用の入浴装置を備えた自動車でその自宅に回って、定期的な入浴サービスを行っている。また、介護施設では、専用のリフト装置を備えていることが多い。したがって、被介護者は、自宅や介護施設では、適切な入浴サービスを受けることができる。
【0003】
ところで、被介護者は自宅や介護施設に引き篭もりがちであるので、たまには気分転換に旅行などをさせてあげたいことがある。その場合、自宅や介護施設では前記のような入浴サービスを受けることができても、通常、旅行先では前記のような一般的な風呂しか用意されていないため、被介護者の入浴が困難であるといった問題があった。また、旅行に限らず、夏場で汗をかいたときなど、自宅に簡易な風呂があれば、いつでも入浴できて便利である。
【0004】
そこで、例えば特許文献1では、内部に椅子を設置し、貯水を行い得るように上部を開放した耐水袋の外周に縦横両フレームを組み立て、上部横フレームに前記耐水袋を直接吊り下げて着脱自在に固定することにより、該耐水袋内への湯水の貯水状態を保持し得るようにした簡易風呂が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記特許文献1の簡易風呂では、その耐水袋内に貯留される湯水の量がほぼ一定であり、この簡易風呂を利用する被介護者の体格によっては、湯水の無駄が多くなるといった問題があった。しかも、かかる簡易風呂では、衛生上などの理由により、その利用をするたびに袋内の湯水の全部を入れ替えるのが通常であった。この場合において、袋内の湯水レベルだけで湯水の量を多少は調整できるのであるが、湯水レベルを下げすぎると利用中の被介護者の上体が湯水からはみ出てしまい不具合である。
【0006】
また、前記特許文献1の簡易風呂では、特に縦横両フレームの重量が大きく、この簡易風呂を旅行先に移動させにくいといった問題もあった。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みなされたものであって、持ち運びできる程度の軽量な構成でありながら、風呂内に貯留される湯水の無駄を少なくすることのできる簡易風呂を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、身体障害者又は老齢者が使用可能な簡易風呂であって、上部が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な袋体と、この袋体の外周に設けられる金網状の壁体と、この壁体と袋体との間に交換可能に介設され、前記身体障害者又は老齢者の体格に応じて前記袋体の容積を増減させるための補助壁体とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、上部が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な袋体と、この袋体の外周に設けられる金網状の壁体と、この壁体と袋体との間に交換可能に介設され、前記身体障害者又は老齢者の体格に応じて前記袋体の容積を増減させるための補助壁体とが備えられたので、身体障害者又は老齢者といった被介護者の体格に応じて補助壁体を交換することにより、袋体を立体的に変形させてその容積の増減を効果的に行うことができる。これにより、袋体内に貯留する湯水の無駄を非常に少なくすることができる。
【0010】
また、袋体の外周に壁体を設けただけの簡易風呂に、補助壁体を後付けできて便利である。これにより、簡易風呂を使用する被介護者が複数であった場合や、たとえ同一人であっても加齢などによりその体格が大幅に変わった場合などにも、補助壁体を交換するだけで対応できるので、非常に経済的である。
【0011】
また、簡易風呂を旅行先等に持ち運ぼうとしたときには、できるだけ軽量であることが好ましいが、ここでは金網状の壁体を設けているため、それらを軽量化できる。したがって、従来例(特許文献1)と同程度の重量であるとすると、袋体内の入浴スペースをより広くとることができる一方、前記従来例と同程度の入浴スペースであるとすると、さらなる軽量化を図ることができる。
【0012】
ところで、冬場には外気温度が低くなるため、袋体の外周からの放熱が大きくなり、その袋体内に貯留される湯水の量が少ない場合には、特に湯水の温度が低下しやすい。そこで、請求項2記載の発明のように、前記袋体の外周をさらに覆う補助袋体を備えることが好ましい。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、前記袋体の外周をさらに覆う補助袋体を備えたので、いわば二重構造となって、袋体の外周からの放熱が小さくなり、その袋体内に貯留される湯水の温度が維持されやすくなる。
【0014】
また、自立が困難な身体障害者又は老齢者は、椅子又はシャワーキャリーに座った状態で風呂に入りたい。そこで、請求項3記載の発明のように、前記前記身体障害者又は老齢者は、袋体に入ったまま、椅子又はシャワーキャリーに腰掛けることが可能であるように構成することが好ましい。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、前記前記身体障害者又は老齢者は、袋体に入ったまま、椅子又はシャワーキャリーに腰掛けることが可能であるように構成したので、自立が困難な身体障害者又は老齢者は、椅子又はシャワーキャリーに座った状態で風呂に入ることができる。その場合には、椅子又はシャワーキャリーの占める容積分だけ、袋体内に貯留される湯水の量がさらに少なくなる。また、椅子などが袋体内に入らないので、その付着物などにより湯水を汚染するおそれがなくなり、衛生的である。
【0016】
また、風呂の組み立て後に、その風呂を部屋の片隅などに移動させておきたいことがある。そこで、請求項4記載の発明のように、前記袋体の底部にキャスタ付きの支持体を備えることが好ましい。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、前記袋体の底部にキャスタ付きの支持体を備えたので、組み立て後の風呂の移動が容易となる。
【0018】
また、風呂の設置場所によっては、その場所にある構造壁を利用できることがある。そこで、請求項5記載の発明のように、前記袋体の少なくとも一側は構造壁に支持されるとともに、前記袋体の他側には前記壁体が設けられることが好ましい。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、前記袋体の少なくとも一側は構造壁に支持されるとともに、前記袋体の他側には前記壁体が設けられたので、袋体の安定性が確保されるとともに、その袋体の少なくとも一側の壁体が省略されて、風呂をさらに軽量化することができる。
【0020】
また、請求項6記載の発明は、身体障害者又は老齢者が使用可能な簡易風呂の組み立て方法であって、上端が開放された袋体を上下方向に伸縮させて、この袋体の外周に金網状の壁体を取り付けるときに、この壁体と袋体との間に前記身体障害者又は老齢者の体格に応じて前記袋体の容積を増減させるための補助壁体を交換可能に介設させることを特徴とするものである。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、上端が開放された袋体を上下方向に伸縮させて、この袋体の外周に金網状の壁体を取り付けるときに、この壁体と袋体との間に前記身体障害者又は老齢者の体格に応じて前記袋体の容積を増減させるための補助壁体を交換可能に介設させるので、簡易風呂を旅行先等で容易に組み立てることができ、或いはこの組み立てたものを容易に分解することができる。また、このようにして組み立てられた簡易風呂は、前記本発明による作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、上部が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な袋体と、この袋体の外周に設けられる金網状の壁体と、この壁体と袋体との間に交換可能に介設され、前記身体障害者又は老齢者の体格に応じて前記袋体の容積を増減させるための補助壁体とが備えられたので、身体障害者又は老齢者といった被介護者の体格に応じて補助壁体を交換することにより、袋体を立体的に変形させてその容積の増減を効果的に行うことができる。これにより、袋体内に貯留する湯水の無駄を非常に少なくすることができる。
【0023】
また、袋体の外周に壁体を設けただけの簡易風呂に、補助壁体を後付けできて便利である。これにより、簡易風呂を使用する被介護者が複数であった場合や、たとえ同一人であっても加齢などによりその体格が大幅に変わった場合などにも、補助壁体を交換するだけで対応できるので、非常に経済的である。
【0024】
また、簡易風呂を旅行先等に持ち運ぼうとしたときには、できるだけ軽量であることが好ましいが、ここでは金網状の壁体を設けているため、それらを軽量化できる。したがって、従来例(特許文献1)と同程度の重量であるとすると、袋体内の入浴スペースをより広くとることができる一方、前記従来例と同程度の入浴スペースであるとすると、さらなる軽量化を図ることができる。
【0025】
請求項6記載の発明によれば、上端が開放された袋体を上下方向に伸縮させて、この袋体の外周に金網状の壁体を取り付けるときに、この壁体と袋体との間に前記身体障害者又は老齢者の体格に応じて前記袋体の容積を増減させるための補助壁体を交換可能に介設させるので、簡易風呂を旅行先等で容易に組み立てることができ、或いはこの組み立てたものを容易に分解することができる。また、このようにして組み立てられた簡易風呂は、前記本発明による作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態1に係る簡易風呂の概略構成を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図2】本実施形態1に係る簡易風呂の壁体と補助壁体とを示す説明図である。
【図3】本実施形態1に係る簡易風呂の組み立て状態を示す工程図である。
【図4】本発明の実施形態2に係る簡易風呂の概略構成を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図5】本実施形態2に係る簡易風呂の壁体と補助壁体とを示す説明図である。
【図6】本実施形態2に係る簡易風呂の組み立て状態を示す工程図である。
【図7】本発明の実施形態3に係る簡易風呂の概略構成を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図8】本実施形態3に係る簡易風呂の組み立て状態を示す工程図である。
【図9】本発明の実施形態4に係る簡易風呂の概略構成を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図10】本実施形態4に係る簡易風呂の組み立て状態を示す工程図である。
【図11】本発明の実施形態5に係る簡易風呂の概略構成を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図12】本実施形態5に係る簡易風呂の壁体と補助壁体とを示す説明図である。
【図13】本実施形態5に係る簡易風呂の組み立て状態を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る簡易風呂100aの概略構成を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。また、図2はこの簡易風呂100aの壁体3と補助壁体4とを示す説明図である。
【0028】
図1(a)(b),図2に示すように、本実施形態1に係る簡易風呂100aは、使用者としての例えば高齢者や身体障害者等の被介護者200が椅子2に腰掛けた状態で入浴可能なものであって、上部が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な袋体1と、この袋体1の外周に設けられる折り畳み可能な金網状の壁体3と、この壁体3と袋体1との間に交換可能に介設され、前記身体障害者又は老齢者200の体格に応じて前記袋体1の容積を増減させるための補助壁体4とを備えている。
【0029】
袋体1は、例えば市販のナイロンニットにポリウレタンラミネートを施した防水シートを適宜形状にカットしたものを圧着して貼り合わせ、或いは縫い合わせてなり、その組み立て形状は、底部が500×600mm程度で、高さが800mm程度の上部が開放された縦長箱状のものである。なお、袋体1の各部の厚さは、介護者や被介護者200によって加えられうる物理的な力と、内部にお湯を漲ったときの水圧とに十分に耐えうる程度のものとされる。この袋体1は洗濯機で洗えるものであり、例えば銀を練りこんだ市販の衛生製品を使用することもできる。その場合には、制菌性に優れ、かつ不快臭気や静電気の発生防止も期待される。
【0030】
この袋体1の上縁部には、ほつれを防止するために図略の折り返し等によるいわゆる縁取り加工が施されている。この上縁部の適宜箇所には、それぞれフック7を挿通することのできる留め金6が取り付けられている。
【0031】
壁体3は、図2の下段に示すように、例えばステンレス製で四角形の網状体4面31,32,33,34からなっている。ここでは、壁体31,33の大きさとして、500mm×800mm、壁体32,34の大きさとして600mm×800mmをそれぞれ採用しているが。被介護者200の体格によっては、他の寸法を採用することもできる。
【0032】
壁体31,32,33,34の網目の大きさや形状は、袋体1にお湯を張ったときの袋体1の膨らみなどを考慮して設定される。ここでは、100mm×100mm程度の正方形を採用したが、菱形やその他の形状であってもよい。そして、隣り合う壁体同士である31,32間と、32,33間と、33,34間とは、例えばヒンジ結合されて折り畳み自在となっている。残りの31,34間は、被介護者200の出入りが楽にできるように、留め金30で係脱自在に固定されるようになっている。
【0033】
補助壁体4は、図2の上段に示すように、これも例えばステンレス製の網状体からなり、前記壁体の1面31にフック40で交換可能に取り付けるようになっている。その形状と大きさとは、被介護者200の体格に応じて設定される。すなわち、被介護者200が袋体1に入ったときに、壁体3との間に生じる空間の境界面をなぞるようにして設定される。ここでは、500mm×300mm、500mm×200mm、500mm×300、500×100mm程度の4面を階段状に連結したものを採用している。なお、この補助壁体4についても、特に嵩高いものについては、壁体3と同様に折り畳み自在となっていることが好ましい。
【0034】
以下、本簡易風呂100aの組み立て・分解方法について説明する。図3は本簡易風呂100aの組み立て状態を示す工程図である。
【0035】
それぞれ折り畳み或いは縮小させた状態の袋体1と4面の壁体3と補助壁体4とフック7などからなる各パーツは、すべて図略のバッグ内に収められており、その全体の重量は4〜6kg(発明者が実施モデルにて実測した値である。)程度と軽量であるがゆえに、旅行時に容易に持ち運びできる。
【0036】
ここでは、椅子2は持参することなく、旅行先等で用意されたものを使用することとしたが、別途椅子2を持参してもよい。
【0037】
旅行先で、そのバッグから介護者が各パーツを取り出す。具体的には図3に示すように、袋体1を折り畳んだ状態のまま前記バッグから取り出し、その開放端を上向きにして例えば風呂場の床上に置く。その際、組み立て中又は組み立て後の簡易風呂100aの転倒を防止するために、できれば同風呂場の壁などを利用して、簡易風呂100aの少なくとも一側面をもたせ掛けるとともに、吸盤(図略)で前記風呂場の壁などに固定することが望ましい。
【0038】
ついで、図3(a)に示すように、介護者(図略)が、立ち姿勢の被介護者200を支えて袋体1の中に入るように導き、その状態で、図3(b)に示すように、袋体1を上方に引き上げることで伸展させる。このとき、椅子2は被介護者200のすぐ後側に置いておく。
【0039】
ついで、図3(c)に示すように、前記介護者が、被介護者200を袋体1に入ったままの状態で椅子2に腰掛けさせ、図3(d)に示すように、周囲に4面の壁体3と、補助壁体4とをそれぞれ取り付ける。
【0040】
本簡易風呂100aでは、この補助壁体4で袋体1を、被介護者200の体格に応じて最適な形状となるように設定することができる。具体的には、補助壁体4を何種類か用意しておいてその中から最適なものを選択するか、あるいは形状寸法を調整可能なものとすればよい。
【0041】
ついで、前記風呂場の図示しない浴槽や給湯栓にホースで接続したポンプ等を使用して、袋体1内に給湯する。そして、図1に示すように、湯面10が被介護者200の体格に応じた適当な高さ位置となったところで、給湯を停止する。給湯した状態の袋体1は、水圧により若干外側に膨らんだ状態となるが、これにより、被介護者200は椅子2に座ったまま必要なスペースで入浴することができるようになる。被介護者200の入浴が終わった後、介護者は前記ポンプを再度使用して、袋体1内のお湯を前記風呂場の図示しない浴槽等に汲み出すことができる。
【0042】
引き続いて、簡易風呂100aの分解を行う。すなわち、介護者は袋体1の上部の留め金6に取り付けたフック7の他端を、各壁体3から取り外して、正面の壁体3を開く。すると、袋体1は重力落下して、もとの折り畳んだ状態に戻るので、介護者は椅子2に座ったままの被介護者200を支えて袋体1から容易に外側に連れ出すことができる。
【0043】
そして、各壁体3を袋体1の周囲から取り外す。このとき、補助壁体4を壁体3から取り外しておく。それぞれを折り畳むなどして、もとの状態に戻した各パーツを前記バッグに収納することにより、本簡易風呂100aを持ち運ぶことができるようになる。このようにして、本簡易風呂100aを旅行先等で容易に組み立てることができ、或いはこの組み立てたものを容易に分解することができる。
【0044】
以上説明したように、本簡易風呂100aによれば、上部が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な袋体1と、この袋体1の外周に設けられる金網状の壁体3と、この壁体3と袋体1との間に交換可能に介設され、被介護者200の体格に応じて袋体1の容積を増減させるための補助壁体4とが備えられたので、被介護者200の体格に応じて補助壁体4を交換することにより、袋体1を立体的に変形させてその容積の増減を効果的に行うことができる。これにより、袋体1内に貯留する湯水の無駄を非常に少なくすることができる。すなわち、通常の風呂に貯留する湯水は200〜250Lであるが、本簡易風呂100aで貯留する湯水は140L程度で済む。
【0045】
また、袋体1の外周に壁体3を設けただけの簡易風呂に、補助壁体4を後付けできて便利である。これにより、簡易風呂を使用する被介護者200が複数であった場合や、たとえ同一人であっても加齢などによりその体格が大幅に変わった場合などにも、補助壁体4を交換するだけで対応できるので、非常に経済的である。
【0046】
ここでは、椅子2を袋体1の下方に配置しているから、この椅子2の分だけ袋体1の容積を減じることにより、袋体1内に貯留する湯水の無駄をさらに少なくすることができる。
【0047】
また、簡易風呂100aを旅行先等に持ち運ぼうとしたときには、できるだけ軽量であることが好ましいが、ここでは金網状の壁体3を設けているため、それらを軽量化できる。したがって、従来例(特許文献1)と同程度の重量であるとすると、袋体1内の入浴スペースをより広くとることができる一方、前記従来例と同程度の入浴スペースであるとすると、さらなる軽量化を図ることができる。
【0048】
(実施形態2)
図4は本発明の実施形態2に係る簡易風呂100bの概略構成を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。また、図5はこの簡易風呂100bの壁体3と補助壁体4とを示す説明図である。
【0049】
図4(a)(b),図5に示すように、本実施形態2に係る簡易風呂100bは、使用者としての例えば高齢者や身体障害者等の被介護者200が椅子2を使用せずに入浴可能なものであって、上記実施形態1と同様に、上部が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な袋体1と、この袋体1の外周に設けられる金網状の壁体3と、この壁体3と袋体1との間に交換可能に介設され、被介護者200の体格に応じて袋体1の容積を増減させるための補助壁体4とを備えている。
【0050】
ただし、上記実施形態1とは異なり、袋体1の組み立て形状は、底部が500×800mm程度で、高さが600mm程度の上部が開放された横長箱状のものである。
【0051】
壁体3は、図5の下段に示すように、例えばステンレス製で四角形の網状体4面31,32,33,34からなっているが、ここでは、壁体31,33の大きさとして、500mm×600mm、壁体32,34の大きさとして800mm×600mmをそれぞれ採用している。被介護者200の体格によっては、他の寸法を採用することもできる。
【0052】
壁体31,32,33,34の網目の大きさや形状は、袋体1にお湯を張ったときの袋体1の膨らみなどを考慮して設定されるが、ここでは、100mm×100mm程度の正方形を採用したが、菱形やその他の形状であってもよい。そして、折り畳み時に最小化するために、隣り合う壁体同士である32,33間と、31,34間とは、例えばヒンジ結合されて折り畳み自在となっている。残りの31,32間と、33,34間とは、それぞれ留め金30で係脱自在に固定されるようになっている。
【0053】
補助壁体4は、図5の上段に示すように、例えばステンレス製の網状体からなり、これを前記壁体の1面31にフック40で交換可能に取り付けるようになっているが、ここでは、500mm×300mm、500mm×500mm程度の2面を横面視でL字状に連結したものを採用している。なお、この補助壁体4についても、特に嵩高いものについては、壁体3と同様に折り畳み自在となっていることが好ましい。
【0054】
以下、本簡易風呂100bの組み立て・分解方法について説明する。図6は本簡易風呂100bの組み立て状態を示す工程図である。
【0055】
それぞれ折り畳み或いは縮小させた状態の袋体1と4面の壁体3と補助壁体4などからなる各パーツは、すべて図略のバッグ内に収められており、その全体の重量は4〜6kg(発明者が実施モデルにて実測した値である。)程度と軽量であるがゆえに、旅行時に容易に持ち運びできる。ここでは、上記実施形態1とは異なり、椅子2を使用しないものとする。
【0056】
旅行先で、そのバッグから介護者が各パーツを取り出す。具体的には図6に示すように、袋体1を折り畳んだ状態のまま前記バッグから取り出し、その開放端を上向きにして例えば風呂場の床上に置く。その際、組み立て中又は組み立て後の簡易風呂100bの転倒を防止するために、できれば同風呂場の壁などを利用して、簡易風呂100bの少なくとも一側面をもたせ掛けるとともに、吸盤(図略)で前記風呂場の壁などに固定することが望ましい。
【0057】
ついで、図6(a)に示すように、介護者が、足を伸ばしての座り姿勢の被介護者200を支えて袋体1の中に入るように導き、その状態で、図6(b)に示すように、袋体1を上方に引き上げることで伸展させる。
【0058】
ついで、図6(c)に示すように、周囲に4面の壁体3と、補助壁体4とをそれぞれ取り付ける。この取り付けは、被介護者200自身が行うこともできる。本簡易風呂100bでは、この補助壁体4で袋体1を、被介護者200の体格に応じて最適な形状となるように設定することができる。具体的には、補助壁体4を何種類か用意しておいてその中から最適なものを選択するか、あるいは形状寸法を調整可能なものとすればよい。
【0059】
ついで、前記風呂場の図示しない浴槽や給湯栓にホースで接続したポンプ等を使用して、袋体1内に給湯する。そして、図4に示すように、湯面10が被介護者200の体格に応じた適当な高さ位置となったところで、給湯を停止する。給湯した状態の袋体1は、水圧により若干外側に膨らんだ状態となるが、これにより、被介護者200は椅子2に座ったまま必要なスペースで入浴することができるようになる。被介護者200の入浴が終わった後、介護者は前記ポンプを再度使用して、袋体1内のお湯を前記風呂場の図示しない浴槽等に汲み出すことができる。
【0060】
引き続いて、簡易風呂100aの分解を行う。すなわち、介護者は袋体1の上部の留め金6に取り付けたフック7の他端を、各壁体3から取り外して、正面の壁体3を開く。すると、袋体1は重力落下して、もとの折り畳んだ状態に戻るので、介護者は袋体1の底部に直に座ったままの被介護者200を支えて、その袋体1から容易に外側に連れ出すことができる。
【0061】
そして、各壁体3を袋体1の周囲から取り外す。このとき、補助壁体4を壁体3から取り外しておく。それぞれを折り畳むなどして、もとの状態に戻した各パーツを前記バッグに収納することにより、本簡易風呂100bを持ち運ぶことができるようになる。このようにして、本簡易風呂100bを旅行先等で容易に組み立てることができ、或いはこの組み立てたものを容易に分解することができる。
【0062】
以上説明したように、本簡易風呂100bによれば、上記実施形態1と同様に、被介護者200の体格に応じて袋体1の容積を増減させることにより、袋体1内に貯留する湯水の無駄を少なくすることができる。すなわち、通常の風呂に貯留する湯水は200〜250Lであるが、本簡易風呂100bで貯留する湯水は180L程度で済む。ただし、ここでは、上記実施形態1と異なり、椅子2を使用しないので、被介護者200は比較的広い入浴スペースが与えられる。
【0063】
また、簡易風呂100bを旅行先等に持ち運ぼうとしたときには、できるだけ軽量であることが好ましいが、ここでは金網状の壁体3を設けているため、それらを軽量化できる。したがって、従来例(特許文献1)と同程度の重量であるとすると、袋体1内の入浴スペースをより広くとることができる一方、前記従来例と同程度の入浴スペースであるとすると、さらなる軽量化を図ることができる。
【0064】
(実施形態3)
図7は本発明の実施形態3に係る簡易風呂100cの概略構成を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。なお、この簡易風呂100cの壁体3と補助壁体4とを示す説明図は、上記実施形態1のそれと同様であるので、図2を用いて説明する。
【0065】
図7(a)(b),図2に示すように、本実施形態3に係る簡易風呂100cは、使用者としての例えば高齢者や身体障害者等の被介護者200がシャワーキャリー8に腰掛けた状態で入浴可能なものであって、上部が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な袋体1と、この袋体1の外周に設けられる金網状の壁体3と、この壁体3と袋体1との間に交換可能に介設され、前記身体障害者又は老齢者200の体格に応じて前記袋体1の容積を増減させるための補助壁体4とを備えている。ここで、シャワーキャリー8とは、キャスタや車輪が付いている椅子の一種であって、例えば被介護者200を居室や脱衣場から洗い場へと移動させ、そのままシャワー浴を行うために使用されるものである。
【0066】
袋体1の組み立て形状は、上記実施形態1と同様に、底部が500×600mm程度で、高さが800mm程度の上部が開放された縦長箱状のものである。
【0067】
壁体3は、図2の下段に示すように、例えばステンレス製で四角形の網状体4面31,32,33,34からなっている。ここでは、壁体31,33の大きさとして、500mm×800mm、壁体32,34の大きさとして600mm×800mmをそれぞれ採用しているが。被介護者200の体格によっては、他の寸法を採用することもできる。
【0068】
そして、隣り合う壁体同士である31,32間と、32,33間と、33,34間とは、例えばヒンジ結合されて折り畳み自在となっている。残りの31,34間は、被介護者200の出入りが楽にできるように、留め金30で係脱自在に固定されるようになっている。
【0069】
補助壁体4は、図2の上段に示すように、例えばステンレス製の網状体からなり、これを前記壁体の1面31にフック40で交換可能に取り付けるようになっているが、ここでは、500mm×300mm、500mm×200mm、500mm×300、500×100mm程度の4面を階段状に連結したものを採用している。なお、この補助壁体4についても、特に嵩高いものについては、壁体3と同様に折り畳み自在となっていることが好ましい。
【0070】
以下、本簡易風呂100cの組み立て・分解方法について説明する。図8は本簡易風呂100cの組み立て状態を示す工程図である。
【0071】
それぞれ折り畳み或いは縮小させた状態の袋体1と4面の壁体3と補助壁体4などからなる各パーツは、すべて図略のバッグ内に収められており、その全体の重量は4〜6kg(発明者が実施モデルにて実測した値である。ただし、シャワーキャリー8を除く。)程度と軽量であるがゆえに、旅行時に容易に持ち運びできる。シャワーキャリー8は被介護者200にとって手放せないものであるから、別途持参することが好ましい。
【0072】
旅行先で、そのバッグから介護者が各パーツを取り出す。具体的には図8に示すように、袋体1を折り畳んだ状態のまま前記バッグから取り出し、その開放端を上向きにして例えば風呂場の床上に置く。その際、組み立て中又は組み立て後の簡易風呂100cの転倒を防止するために、できれば同風呂場の壁などを利用して、簡易風呂100cの少なくとも一側面をもたせ掛けるとともに、吸盤(図略)で前記風呂場の壁などに固定することが望ましい。
【0073】
ついで、図8(a)に示すように、介護者(図略)が、立ち姿勢の被介護者200を支えて袋体1の中に入るように導き、その状態で、図8(b)に示すように、袋体1を上方に引き上げることで伸展させる。このとき、シャワーキャリー8は被介護者200のすぐ後側に置いておく。
【0074】
ついで、図8(c)に示すように、前記介護者が、被介護者200を袋体1に入ったままの状態でシャワーキャリー8に腰掛けさせ、図8(d)に示すように、周囲に4面の壁体3と、補助壁体4とをそれぞれ取り付ける。本簡易風呂100cでは、この補助壁体4で袋体1を、被介護者200の体格に応じて最適な形状となるように設定することができる。具体的には、補助壁体4を何種類か用意しておいてその中から最適なものを選択するか、あるいは形状寸法を調整可能なものとすればよい。
【0075】
ついで、前記風呂場の図示しない浴槽や給湯栓にホースで接続したポンプ等を使用して、袋体1内に給湯する。そして、図7に示すように、湯面10が被介護者200の体格に応じた適当な高さ位置となったところで、給湯を停止する。給湯した状態の袋体1は、水圧により若干外側に膨らんだ状態となるが、これにより、被介護者200はシャワーキャリー8に座ったまま必要なスペースで入浴することができるようになる。被介護者200の入浴が終わった後、介護者は前記ポンプを再度使用して、袋体1内のお湯を前記風呂場の図示しない浴槽等に汲み出すことができる。
【0076】
引き続いて、簡易風呂100cの分解を行う。すなわち、介護者は袋体1の上部の留め金6に取り付けたフック7の他端を、各壁体3から取り外して、正面の壁体3を開く。すると、袋体1は重力落下して、もとの折り畳んだ状態に戻るので、介護者はシャワーキャリー8に座ったままの被介護者200を支えて袋体1から容易に外側に連れ出すことができる。
【0077】
そして、各壁体3を袋体1の周囲から取り外す。このとき、補助壁体4を壁体3から取り外しておく。それぞれを折り畳むなどして、もとの状態に戻した各パーツを前記バッグに収納することにより、本簡易風呂100cを持ち運ぶことができるようになる。このようにして、本簡易風呂100cを旅行先等で容易に組み立てることができ、或いはこの組み立てたものを容易に分解することができる。
【0078】
以上説明したように、本簡易風呂100cによれば、上記実施形態1と同様の作用効果に加え、シャワーキャリー8を袋体1の下方に配置しているから、このシャワーキャリー8の分だけ袋体1の容積を減じることにより、袋体1内に貯留する湯水の無駄をさらに少なくすることができる。すなわち、通常の風呂に貯留する湯水は200〜250Lであるが、本簡易風呂100aで貯留する湯水は140L程度で済む。また、シャワーキャリー8の付着物によって湯水が汚染されることもないので、衛生面でも優れているといえる。
【0079】
(実施形態4)
図9は本発明の実施形態4に係る簡易風呂100dの概略構成を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。なお、この簡易風呂100dの壁体3と補助壁体4とを示す説明図は、上記実施形態2のそれと同様であるので、図5を用いて説明する。
【0080】
図9(a)(b),図5に示すように、本実施形態4に係る簡易風呂100dは、使用者としての例えば高齢者や身体障害者等の被介護者200が椅子2を使用せずに入浴可能なものであって、上記実施形態2と同様に、上部が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な袋体1と、この袋体1の外周に設けられる金網状の壁体3と、この壁体3と袋体1との間に交換可能に介設され、被介護者200の体格に応じて袋体1の容積を増減させるための補助壁体4とを備えているが、ここでは、組み立て後の風呂の移動を考慮して、袋体1の底部にキャスタ90付きの支持体9を備えている。
【0081】
ただし、上記実施形態1とは異なり、袋体1の組み立て形状は、底部が500×800mm程度で、高さが600mm程度の上部が開放された横長箱状のものである。
【0082】
壁体3は、図5の下段に示すように、例えばステンレス製で四角形の網状体4面31,32,33,34からなっているが、ここでは、壁体31,33の大きさとして、500mm×600mm、壁体32,34の大きさとして800mm×600mmをそれぞれ採用している。被介護者200の体格によっては、他の寸法を採用することもできる。
【0083】
そして、折り畳み時に最小化するために、隣り合う壁体同士である32,33間と、31,34間とは、例えばヒンジ結合されて折り畳み自在となっている。残りの31,32間と、33,34間とは、それぞれ留め金30で係脱自在に固定されるようになっている。
【0084】
補助壁体4は、図5の上段に示すように、例えばステンレス製の網状体からなり、これを前記壁体の1面31にフック40で交換可能に取り付けるようになっているが、ここでは、500mm×300mm、500mm×500mm程度の2面を横面視でL字状に連結したものを採用している。なお、この補助壁体4についても、特に嵩高いものについては、壁体3と同様に折り畳み自在となっていることが好ましい。
【0085】
以下、本簡易風呂100dの組み立て・分解方法について説明する。図10は本簡易風呂100dの組み立て状態を示す工程図である。
【0086】
それぞれ折り畳み或いは縮小させた状態の袋体1と4面の壁体3と補助壁体4とフック7などからなる各パーツは、すべて図略のバッグ内に収められており、その全体の重量は4〜6kg(発明者が実施モデルにて実測した値である。支持体9は含まないものとする。)程度と軽量であるがゆえに、旅行時に容易に持ち運びできる。ここでは、支持体9の代用にキャスタ付きのベッドを使用することができる。
【0087】
旅行先で、そのバッグから介護者が各パーツを取り出す。具体的には図10に示すように、袋体1を折り畳んだ状態のまま前記バッグから取り出し、その開放端を上向きにして例えば風呂場の床上に置く。その際、組み立て中又は組み立て後の簡易風呂100dの転倒を防止するために、できれば同風呂場の壁などを利用して、簡易風呂100dの少なくとも一側面をもたせ掛けるとともに、吸盤(図略)で前記風呂場の壁などに固定することが望ましい。
【0088】
ついで、図10(a)に示すように、介護者(図略)が、足を伸ばしての座り姿勢の被介護者200を支えて袋体1の中に入るように導き、その状態で、図10(b)に示すように、袋体1を上方に引き上げることで伸展させる。
【0089】
ついで、図10(c)に示すように、周囲に4面の壁体3と、補助壁体4とをそれぞれ取り付ける。この取り付けは、被介護者200自身が行うこともできる。本簡易風呂100dでは、この補助壁体4で袋体1を、被介護者200の体格に応じて最適な形状となるように設定することができる。具体的には、補助壁体4を何種類か用意しておいてその中から最適なものを選択するか、あるいは形状寸法を調整可能なものとすればよい。
【0090】
ついで、前記風呂場の図示しない浴槽や給湯栓にホースで接続したポンプ等を使用して、袋体1内に給湯する。そして、図9に示すように、湯面10が被介護者200の体格に応じた適当な高さ位置となったところで、給湯を停止する。給湯した状態の袋体1は、水圧により若干外側に膨らんだ状態となるが、これにより、被介護者200は座ったまま必要なスペースで入浴することができるようになる。被介護者200の入浴が終わった後、介護者は前記ポンプを再度使用して、袋体1内のお湯を前記風呂場の図示しない浴槽等に汲み出すことができる。
【0091】
引き続いて、簡易風呂100dの分解を行う。すなわち、介護者は袋体1の上部の留め金6に取り付けたフック7の他端を、各壁体3から取り外して、正面の壁体3を開く。すると、袋体1は重力落下して、もとの折り畳んだ状態に戻るので、介護者は袋体1の底部に直に座ったままの被介護者200を支えて、その袋体1から容易に外側に連れ出すことができる。
【0092】
そして、各壁体3を袋体1の周囲から取り外す。このとき、補助壁体4を壁体3から取り外しておく。それぞれを折り畳むなどして、もとの状態に戻した各パーツを前記バッグに収納することにより、本簡易風呂100dを持ち運ぶことができるようになる。このようにして、本簡易風呂100dを旅行先等で容易に組み立てることができ、或いはこの組み立てたものを容易に分解することができる。
【0093】
以上説明したように、本簡易風呂100dによれば、上記実施形態2と同様の作用効果に加え、袋体1の底部にキャスタ90付きの支持体9を備えているので、組み立て後の風呂の移動が容易となる。
【0094】
(実施形態5)
図11は本発明の実施形態5に係る簡易風呂100eの概略構成を示す側面図、図12はこの簡易風呂100eの壁体3と補助壁体4とを示す説明図である。
【0095】
図11,図12に示すように、本実施形態5に係る簡易風呂100eは、使用者としての例えば高齢者や身体障害者等の被介護者200が椅子2に腰掛けた状態で入浴可能なものであって、上部が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な袋体1と、この袋体1の外周に設けられる金網状の壁体3と、この壁体3と袋体1との間に交換可能に介設され、前記身体障害者又は老齢者200の体格に応じて前記袋体1の容積を増減させるための補助壁体4とを備えている。
【0096】
袋体1の組み立て形状は、上記実施形態1と同様に、底部が500×600mm程度で、高さが800mm程度の上部が開放された縦長箱状のものである。
【0097】
壁体3は、図12の下段に示すように、例えばステンレス製で四角形の網状体3面32,33,34からなっている。ここでは、壁体33の大きさとして、500mm×800mm、壁体32,34の大きさとして600mm×800mmをそれぞれ採用しているが。被介護者200の体格によっては、他の寸法を採用することもできる。
【0098】
そして、隣り合う壁体同士である32,33間と、33,34間とは、例えばヒンジ結合されて折り畳み自在となっている。一方、32,34と風呂場の壁13との間は、吸盤12で着脱自在に固定されるようになっている。
【0099】
補助壁体4は、図12の上段に示すように、例えばステンレス製の網状体からなり、これを前記壁体の1面31にフック40で取り付けるようになっているが、ここでは、500mm×300mm、500mm×200mm、500mm×300、500×100mm程度の4面を階段状に連結したものを採用している。なお、この補助壁体4についても、特に嵩高いものについては、壁体3と同様に折り畳み自在となっていることが好ましい。
【0100】
以下、本簡易風呂100eの組み立て・分解方法について説明する。図13は本簡易風呂100eの組み立て状態を示す工程図である。
【0101】
それぞれ折り畳み或いは縮小させた状態の袋体1と4面の壁体3と補助壁体4などからなる各パーツは、すべて図略のバッグ内に収められており、その全体の重量は4〜6kg(発明者が実施モデルにて実測した値である。)程度と軽量であるがゆえに、旅行時に容易に持ち運びできる。
【0102】
旅行先で、そのバッグから介護者が各パーツを取り出す。具体的には、袋体1を折り畳んだ状態のまま前記バッグから取り出し、その開放端を上向きにして例えば風呂場の床上に置く。その際、組み立て中又は組み立て後の簡易風呂100eの転倒を防止するために、図11に示すように、同風呂場の壁(構造壁に相当する。)13などを利用して、簡易風呂100cの後面をもたせ掛けるとともに、吸盤12で前記風呂場の壁などに固定している。
【0103】
ついで、図13(a)に示すように、介護者(図略)が、立ち姿勢の被介護者200を支えて袋体1の中に入るように導き、その状態で、図13(b)に示すように、袋体1を上方に引き上げることで伸展させる。このとき、椅子2は被介護者200のすぐ後側に置いておく。
【0104】
ついで、図13(c)に示すように、前記介護者が、被介護者200を袋体1に入ったままの状態で椅子2に腰掛けさせ、図13(d)に示すように、周囲に3面の壁体3と、補助壁体4とをそれぞれ取り付ける。本簡易風呂100eでは、この補助壁体4で袋体1を、被介護者200の体格に応じて最適な形状となるように設定することができる。具体的には、補助壁体4を何種類か用意しておいてその中から最適なものを選択するか、あるいは形状寸法を調整可能なものとすればよい。
【0105】
ついで、前記風呂場の図示しない浴槽や給湯栓にホースで接続したポンプ等を使用して、袋体1内に給湯する。そして、図11に示すように、湯面10が被介護者200の体格に応じた適当な高さ位置となったところで、給湯を停止する。給湯した状態の袋体1は、水圧により若干外側に膨らんだ状態となるが、これにより、被介護者200は椅子2に座ったまま必要なスペースで入浴することができるようになる。被介護者200の入浴が終わった後、介護者は前記ポンプを再度使用して、袋体1内のお湯を前記風呂場の図示しない浴槽等に汲み出すことができる。
【0106】
引き続いて、簡易風呂100eの分解を行う。すなわち、介護者は袋体1の上部の留め金6に取り付けたフック7の他端を、各壁体3から取り外して、正面の壁体3を開く。すると、袋体1は重力落下して、もとの折り畳んだ状態に戻るので、介護者は椅子2に座ったままの被介護者200を支えて袋体1から容易に外側に連れ出すことができる。
【0107】
そして、各壁体3を袋体1の周囲から取り外す。このとき、補助壁体4を壁体3から取り外しておく。それぞれを折り畳むなどして、もとの状態に戻した各パーツを前記バッグに収納することにより、本簡易風呂100eを持ち運ぶことができるようになる。このようにして、本簡易風呂100eを旅行先等で容易に組み立てることができ、或いはこの組み立てたものを容易に分解することができる。
【0108】
以上説明したように、本簡易風呂100eによれば、上記実施形態1と同様の作用効果に加え、同風呂場の壁13などを利用して、簡易風呂100eの後面をもたせ掛けるとともに、吸盤12で前記風呂場の壁13などに固定しているので、簡易風呂100eの転倒を防止できる。なお、風呂場の壁13などに固定するのは、簡易風呂100eの後面に限らず、左右あるいは正面の少なくともいずれかであるとしてもよい。
【0109】
なお、上記実施形態1〜5では、いずれも袋体1の形状や大きさを壁体3のそれと一致させているが、必ずしも一致させる必要はない。また、上記実施形態1〜5では、いずれも袋体1と壁体3と補助壁体4の形状や大きさを、その利用者である被介護者200が成人男性の場合を想定して設定しているが、女性や子供であればさらに小さく設定することが好ましい。
【0110】
また、上記実施形態1〜5では、いずれも袋体1の断面形状を略四角形としているが、被介護者200にとって必要な入浴スペースを提供することができるのであれば、その他の多角形や円形であってもよい。この袋体1の形状に応じて、壁体3の形状を他の形状としてもよい。また、補助壁体4はフック40で壁体3に係止するようにしているが、嵌め込み構造としてもよく、さらに持ち運びに支障がなければ、特に壁体3から取り外す必要もない。
【0111】
また、冬場には外気温度が低くなるため、袋体1の外周からの放熱が大きくなり、その袋体1内に貯留される湯水の量が少ない場合には、特に湯水の温度が低下しやすい。そこで、上記実施形態1における、図1の二点鎖線で示すように、壁体3の外周を覆う補助袋体11を備えることが好ましい。この補助袋体11としては、市販のテントシートを採用することができる。これにより、いわば二重構造となって、袋体1の外周からの放熱がきわめて小さくなり、その袋体1内に貯留される湯水の温度が維持されやすくなる。補助袋体11は、壁体3の内周において、袋体1と僅かな隙間を介して設けてもよい。上記実施形態2〜4についても同様である。
【0112】
さらに、上記実施形態1〜5では、いずれも本簡易風呂100a〜100eの使用者として、例えば高齢者や身体障害者等の被介護者200を例示しているが、健常者が本簡易風呂100a〜100eを使用してもよいのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0113】
100a,100b,100c,100d,100e 簡易風呂
1 袋体
2 椅子
3 壁体
4 補助壁体
6 留め金
7 フック
8 シャワーキャリー
9 支持体
10 湯面
11 補助袋体
12 吸盤
13 風呂場の壁(構造壁に相当する。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0114】
【特許文献1】特開平10−127511号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体障害者又は老齢者が使用可能な簡易風呂であって、
上部が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な袋体と、
この袋体の外周に設けられる金網状の壁体と、
この壁体と袋体との間に交換可能に介設され、前記身体障害者又は老齢者の体格に応じて前記袋体の容積を増減させるための補助壁体とを備えたことを特徴とする簡易風呂。
【請求項2】
前記袋体の外周をさらに覆う補助袋体を備えたことを特徴とする請求項1記載の簡易風呂。
【請求項3】
前記前記身体障害者又は老齢者は、袋体に入ったまま、椅子又はシャワーキャリーに腰掛けることが可能であるように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の簡易風呂。
【請求項4】
前記袋体の底部にキャスタ付きの支持体を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の簡易風呂。
【請求項5】
前記袋体の少なくとも一側は構造壁に支持されるとともに、前記袋体の他側には前記壁体が設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の簡易風呂。
【請求項6】
身体障害者又は老齢者が使用可能な簡易風呂の組み立て方法であって、
上端が開放された袋体を上下方向に伸縮させて、
この袋体の外周に金網状の壁体を取り付けるときに、
この壁体と袋体との間に前記身体障害者又は老齢者の体格に応じて前記袋体の容積を増減させるための補助壁体を交換可能に介設させることを特徴とする簡易風呂の組み立て方法。
【請求項1】
身体障害者又は老齢者が使用可能な簡易風呂であって、
上部が開放され、かつ上下方向に伸縮自在な袋体と、
この袋体の外周に設けられる金網状の壁体と、
この壁体と袋体との間に交換可能に介設され、前記身体障害者又は老齢者の体格に応じて前記袋体の容積を増減させるための補助壁体とを備えたことを特徴とする簡易風呂。
【請求項2】
前記袋体の外周をさらに覆う補助袋体を備えたことを特徴とする請求項1記載の簡易風呂。
【請求項3】
前記前記身体障害者又は老齢者は、袋体に入ったまま、椅子又はシャワーキャリーに腰掛けることが可能であるように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の簡易風呂。
【請求項4】
前記袋体の底部にキャスタ付きの支持体を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の簡易風呂。
【請求項5】
前記袋体の少なくとも一側は構造壁に支持されるとともに、前記袋体の他側には前記壁体が設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の簡易風呂。
【請求項6】
身体障害者又は老齢者が使用可能な簡易風呂の組み立て方法であって、
上端が開放された袋体を上下方向に伸縮させて、
この袋体の外周に金網状の壁体を取り付けるときに、
この壁体と袋体との間に前記身体障害者又は老齢者の体格に応じて前記袋体の容積を増減させるための補助壁体を交換可能に介設させることを特徴とする簡易風呂の組み立て方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−19837(P2012−19837A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158180(P2010−158180)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(507235103)有限会社ハッピーライフクローバー (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(507235103)有限会社ハッピーライフクローバー (3)
【Fターム(参考)】
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