説明

籤及びその製造方法並びに製造装置

【課題】中央の非接着部に当落等個別情報を内包し、その中央部を切り取って個別情報を視認する籤及びその製造方法並びに製造装置で、前記個別情報の印字内容やそのブレンド比の完全保証が得られ、かつ接着部に於ける密着やデザイン性に自由度が得られる籤及びその製造方法、製造装置の提供にある。
【解決手段】紙基材11の片面に感熱圧接着層13が施されているヒートプレス用紙がベース基材10と蓋基材12が二枚重ねで積層され、該積層されている周辺が接着部20で中央が非接着部22でなり、非接着部にはインクジェットプリンタによる個別情報14が印字され、該蓋基材12には切取り線30が刻設されていて、ベース基材10の中央にインキ受理層18が、蓋基材12に剥離ニス層23が施され、非接着部以外ではベース基材と蓋基材が熱圧着されて接着部20が形成されている籤1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つ折りまたは二枚重ねで周辺が接着部でなり、中央の非接着部に当落等個別情報を内包し、その中央部を切り取って個別情報を視認する籤及びその製造方法並びに製造装置に関するものであり、特に、個別情報の印字内容の保証に優れた籤及びその製造方法並びに製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、二つ折りまたは二枚重ねでなり、それらの間の中央に非接着部を有し、その周辺が接着され、その非接着部には当落、等級等個別情報が印字されていて、その中央部に刻設されているミシン目等にしたがって切取り個別情報を視認する籤(三角籤等)が知られ、様々なイベントなどに使用されている。
【0003】
上記切取りタイプの籤をさらに詳しく説明すると、例えば、図5(a)の正面図およびそのB−B面を表す図5(b)の断面図に示すように、紙をベース基材(10)とし、その中央の非接着部(22)に「当り、2等」の個別情報(14)が印字され、その周辺には接着層(20)が施され、これら個別情報(14)を覆うように紙でなる蓋基材(12)が接着層(20)で接着されている。このベース基材(10)と蓋基材(12)とは同一の基材で二つ折りされているが、二枚重ねのものもある。さらに中央の非接着部(22)内に相当する蓋基材(12)にミシン目でなる切取り線(30)が刻設されている籤(1)である。
【0004】
上記切取りタイプの籤(1)の使用(開封)は、例えば、図5(c)の側断面図に示すように、蓋基材(12)に刻設されている切取り線(30)に従って切り取ると、非接着部(14)に印字されている「当り、2等」の個別情報(14)を視認することができるようになっている。
【0005】
上記切取りタイプの籤、特にその製造において、例えば、図6(a)の平面図およびそのB−B面を表す図6(b)の断面図に示すように、略中央の折り線(h)を介してベース基材(10)と蓋基材(12)が連設しているウエブ状またはシート状の紙基材(11)を用い、その蓋基材(12)部の中央部で、ベース基材(10)部の非接着部(22)に相当する部分にミシン目でなる切取り線(30)が刻設されている紙を用い、二つ折りされる一方のベース基材(10)上の中央部の非接着部(14)にオフセット印刷方式で「当り、2等」の個別情報(14)を印刷する。続いて、この印刷されたものに、別工程のスクリーン印刷方式で非接着部(22)以外の周辺に酢酸ビニル系のエマルジョン(水性接着剤)を部分塗布して接着部(20)を形成し、例えば、図5(c)に示すように他方の蓋基材(12)を折り線で二つ折りし、接着部(20)でベース基材(10)と接着し、乾燥して所定の寸法に打ち抜いて「当り、2等」の個別情報(14)が印刷された籤(1)とするものであった。
【0006】
さらに、図7の斜視図に示すように、上記で得られた「当り、2等」の刷本群(200)と、「当り、1等」の刷本群(100)と、「当り、3等」の刷本群(300)と、「はずれ」の刷本群(400)とを、設定されたそれらのブレンド比(例えば、1等:2等:3等:はずれ=3:5:7:13)にしたがって丁合機にてブレンドして一連の製品群(500)とし発送(出荷)していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のように従来の切取りタイプの籤(1)の製造において、ベース基材(10)と蓋基材(12)との接着に、酢酸ビニル系のエマルジョン等でなる水性接着剤を用いているため、貼り合わせ後の乾燥時間が必要となり、そのため「貼り合わせ工程と打抜工程」の一貫ラインが成り立たず、よって接着剤の塗工状態や乾燥状態により密着不良等が発生するという問題点があった。
【0008】
また、個別情報(14)の印刷と接着剤塗布および貼り合わせ作業が別工程となるため、個別情報(14)の内容(1等か3等か)の保証が完全にとれないという問題点もあった。
【0009】
また、「当り、2等」等個別情報(14)をオフセット印刷方式にて印刷しているため、上記のように丁合機にてそれぞれの個別情報(14)でなる刷本のブレンド比に応じたブレンド作業を必要としていた。そのブレンド作業として、通常各刷本(籤)の仕上がった外側に「区別針」と呼ばれるマーク付で管理しているが、丁合機の機械停止等によってそのブレンド比の完全保証がとれない危惧があるという問題点があった。
【0010】
さらにまた、ベース基材(10)と蓋基材(12)の貼り合わせ工程において、上記のように水性接着剤による接着層(20)のスクリーン印刷と「当り、2等」等個別情報(14)のオフセット印刷との見当精度が不安定なため、デザイン性に自由度が欠けるという問題点があった。
【0011】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、二つ折りまたは二枚重ねで周辺が接着部でなり、該接着部以外の部分の非接着部に当落等個別情報を内包し、その非接着部を切り取って個別情報を視認する籤及びその製造方法並びに製造装置において、特に、前記個別情報の印字内容やそのブレンド比の完全保証が得られ、かつ接着部に於ける良好な密着やデザイン性に自由度が得られる籤及びその製造方法並びに製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、紙を主体としたベース基材と蓋基材が二つ折りまたは二枚重ねで積層され、該積層されている周辺が接着部で該接着部以外が非接着部でなり、前記非接着部には当落等を表す個別情報が印字され、該蓋基材には前記非接着部に相当する部分を囲むように切取り線が刻設されている切取りタイプの籤において、前記ベース基材および蓋基材は、紙を基材としその片面に感熱圧接着層が施されているヒートプレス用紙でなり、該ベース基材の非接着部には個別情報が印字され、該個別情報と前記蓋基材との間に剥離ニス層が積層されて非接着部が形成され、該非接着部以外ではベース基材と蓋基材が熱圧着されて接着部が形成されていることを特徴とする籤としたものである。
【0013】
また、請求項2の発明では、前記個別情報は、インクジェットプリンタによって印字されていることを特徴とする請求項1記載の籤としたものである。
【0014】
また、請求項3の発明では、前記蓋基材表面の周辺接着部の一部に前記個別情報と連動し対応付けされた管理番号が印字されていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項記載の籤としたものである。
【0015】
また、請求項4の発明では、前記管理番号は、レーザープリンタ、インクジェットプリンタのいずれかのプリンタもしくはレーザーの刻印による印字されていることを特徴とする請求項3記載の籤としたものである。
【0016】
また、請求項5の発明では、ベース基材と蓋基材が所定の位置に一面もしくは多面付けされる、紙を基材としその片面に感熱圧接着層が施されているヒートプレス用紙の、該蓋基材の周辺以外の部分には剥離ニス層を形成し、該剥離ニス層の周縁に切取り線を刻設し、該ベース基材の周辺以外の部分に当落等を表す個別情報を印字し、該印字された個別情報を検査し、前記個別情報が印字されたヒートプレス用紙を、一面もしくは多面付けされているベース基材と蓋基材が腹合わせになるように二つ折りし、その外側から熱圧着し、該一面もしくは多面付けされ熱圧着されたベース基材と蓋基材を打抜くことを特徴とする籤の製造方法としたものである。
【0017】
また、請求項6の発明では、前記個別情報を、インクジェットプリンタによって印字することを特徴とする請求項5記載の籤の製造方法としたものである。
【0018】
また、請求項7の発明では、前記蓋基材表面の周辺の一部に前記個別情報と連動し対応付けせしめる管理番号を印字し、該印字されを管理番号を検査することを特徴とする請求項5乃至6のいずれか1項記載の籤の製造方法としたものである。
【0019】
また、請求項8の発明では、前記管理番号を、レーザープリンタ、インクジェットプリンタのいずれかのプリンタもしくはレーザーの刻印により印字することを特徴とする請求項7記載の籤の製造方法としたものである。
【0020】
また、請求項9の発明では、ベース基材と蓋基材が所定の位置に一面もしくは多面付けされる、紙を基材とし、その片面に感熱圧接着層が施されているヒートプレス用紙の、該蓋基材の周辺以外の部分に剥離ニス層を形成し、該剥離ニス層の周縁に切取り線を刻設する一連の手段と、
前記ベース基材の周辺以外の部分に当落等を表す個別情報を印字し、該印字された個別情報を検査する手段と、
前記個別情報が印字されたヒートプレス用紙を、一面もしくは多面付けされているベース基材と蓋基材が腹合わせになるように二つ折りし、その外側から熱圧着する手段と、
前記一面もしくは多面付けされ熱圧着されたベース基材と蓋基材を打抜く手段と、
を具備していることを特徴とする籤の製造装置。
【0021】
また、請求項10の発明では、前記個別情報を印字する手段が、インクジェットプリンタによることを特徴とする請求項9記載の籤の製造装置としたものである。
【0022】
また、請求項11の発明では、前記蓋基材表面の周辺の一部に前記個別情報と連動し対応付けせしめる管理番号を印字する手段と該印字された管理番号を検査する手段とを具備していることを特徴とする請求項9乃至10のいずれか1項記載の籤の製造装置としたものである。
【0023】
また、請求項12の発明では、前記管理番号を印字する手段が、レーザープリンタ、インクジェットプリンタのいずれかのプリンタもしくはレーザーの刻印によることを特徴とする請求項11記載の籤の製造装置としたものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
【0025】
即ち、上記請求項1に係る発明によれば、紙を主体としたベース基材と蓋基材が二つ折りまたは二枚重ねで積層され、該積層されている周辺が接着部で該接着部以外の部分が非接着部でなり、前記非接着部には当落等を表す個別情報が印字され、該蓋基材には前記非接着部に相当する部分を囲むように切取り線が刻設されている切取りタイプの籤において
、前記ベース基材および蓋基材は、紙を基材としその片面に感熱圧接着層が施されたヒートプレス用紙を使用し、ベース基材と蓋基材とを熱圧着しているので、従来のようにベース基材と蓋基材との貼り合わせ(接着)に乾燥時間を必要とせず、よって接着剤の塗工状態や乾燥状態による密着不良の発生がない籤とすることができる。
【0026】
また、ベース基材の周辺以外の部分の非接着部に印字する個別情報と、前記蓋基材との間に剥離ニス層が積層されていることによって、蓋基材の非接着部に於ける接着性が無くなるので、切取り線にしたがって容易に切取って蓋基材を開くことが可能な籤とすることができる。
【0027】
さらにまた、全面感熱圧接着層上に前記個別情報が印字されていて、さらにその上に剥離ニス層が施されているので、従来のように個別情報の印字と接着部との見当精度が不安定となることがなく、よってデザイン性に自由度を得ることが可能な籤とすることができる。
【0028】
また、上記請求項2に係る発明によれば、個別情報は、インクジェットプリンタによって印字されているので、当落、等級等個別情報をブレンド比にしたがってランダムにインキ受理層上に印字することができ、よって従来のように丁合機にてそれぞれの個別情報(例えば1等、2等など)でなる刷本のブレンド比に応じたブレンド作業を必要としないので、そのブレンド比の完全保証が得られる籤とすることができる。
【0029】
また、上記請求項3に係る発明によれば、蓋基材表面の周辺接着部の一部に個別情報と連動し対応付けされた管理番号が印字されていることによって、内包されている個別情報の印字内容との対応付けが可能な籤とすることができる。
【0030】
また、上記請求項4に係る発明によれば、管理番号を、レーザープリンタ、インクジェットプリンタのいずれかのプリンタもしくはレーザーの刻印による印字とすることによって、個別情報の印字に使用するインクジェットプリンタとの対応付けをより容易にすることが可能な籤とすることができる。
【0031】
また、上記請求項5に係る発明によれば、ベース基材と蓋基材が所定の位置に一面もしくは多面付けされる、紙を基材としその片面に感熱圧接着層が施されているヒートプレス用紙を用い、その用紙の蓋基材の周辺以外の部分には剥離ニス層を形成し、該剥離ニス層の周縁に切取り線を刻設する一連の工程をインラインで行っているので、従来のように水性接着剤の熱乾燥時間を必要とせず、よって接着剤の塗工状態や乾燥状態による密着不良などが発生しない籤の製造方法とすることができる。
【0032】
また、ベース基材の感熱圧接着層上に当落等を表す個別情報を印字しているので、従来のように個別情報の印字と接着部との見当精度が不安定となることがなく、よってデザイン性に自由度を付与することが可能な籤の製造方法とすることができる。
【0033】
また、蓋基材の周辺以外の部分には剥離ニス層を形成することによって、蓋基材の周辺以外の略中央部分に接着性を無くす非接着部を形成することができるので、その周縁の切取り線にしたがって容易に切取って蓋基材を開くことが可能な籤の製造方法とすることができる。
【0034】
さらにまた、個別情報が印字されたヒートプレス用紙を、一面もしくは多面付けされているベース基材と蓋基材が腹合わせになるように二つ折りし、その外側から熱圧着し、該一面もしくは多面付けされ熱圧着されたベース基材と蓋基材を打抜くことによって、より製造効率のよい籤の製造方法とすることができる。
【0035】
また、上記請求項6に係る発明によれば、個別情報の形成を、インクジェットプリンタによる印字とすることによって、当落、等級等個別情報のブレンド比にしたがってランダムに印字することができ、よって従来のように、丁合機にてそれぞれの個別情報(例えば1等、2等など)でなる刷本のブレンド比に応じたブレンド作業を必要としないので、製造効率に優れ、かつそのブレンド比の完全保証が得られる籤の製造方法とすることができる。
【0036】
また、上記請求項7に係る発明によれば、蓋基材表面の周辺の一部に個別情報と連動し対応付けせしめる管理番号を印字し、印字されを管理番号を検査する方法とすることによって、内包されている個別情報の印字内容との対応付けを可能にする籤の製造方法とすることができる。
【0037】
また、上記請求項8に係る発明によれば、前記管理番号を、レーザープリンタ、インクジェットプリンタのいずれかのプリンタもしくはレーザーの刻印で印字する方法ちすることによって、当落等個別情報の印字に使用するインクジェットプリンタとの対応付けをより容易に可能にする籤の製造方法とすることができる。
【0038】
さらにまた、上記請求項9に係る発明によれば、上記籤の製造方法が搭載されている製造装置において、ベース基材と蓋基材が所定の位置に一面もしくは多面付けされる、紙を基材とし、その片面に感熱圧接着層が施されているヒートプレス用紙の、該蓋基材の周辺以外の部分には剥離ニス層を形成し、該剥離ニス層の周縁に切取り線を刻設する一連の手段を具備しているので、インラインで前記一連の工程を行使することができ、よって製造効率および接着部と非接着部との見当精度に優れ、その接着部における乾燥時間を必要としない籤の製造装置とすることができる。
【0039】
また、前記ベース基材の感熱圧接着層上に当落等を表す個別情報を印字し、この印字された個別情報を検査する手段を具備しているので、従来のように個別情報の印字と接着部との見当精度が不安定となることがなく、よってデザイン性に自由度を与えることが可能な籤の製造装置とすることができる。
【0040】
また、前記個別情報が印字されたヒートプレス用紙を、一面もしくは多面付けされているベース基材と蓋基材が腹合わせになるように二つ折りし、その外側から熱圧着する手段を具備しているので、従来のようにベース基材と蓋基材との貼り合わせ(接着)に見当精度が不安定となることがなく、かつ乾燥時間を必要とせず、よって接着剤の塗工状態や乾燥状態による密着不良の発生がなく製造効率のよい籤の製造装置とすることができる。
【0041】
また、上記請求項10に係る発明によれば、前記個別情報を印字する手段を、インクジェットプリンタとすることによって、当落、等級等個別情報のブレンド比にしたがってランダムに印字することができ、よって従来のように丁合機にてそれぞれの個別情報(例えば1等、2等など)でなる刷本のブレンド比に応じたブレンド作業を必要としなくなるので、製造効率に優れ、かつそのブレンド比の完全保証が得られる籤の製造装置とすることができる。
【0042】
また、上記請求項11に係る発明によれば、蓋基材表面の周辺の一部に個別情報と連動し対応付けせしめる管理番号を印字する手段と印字された管理番号を検査する手段とを具備していることによって、内包されている個別情報の印字内容との対応付けを可能にする籤の製造装置とすることができる。
【0043】
さらにまた、上記請求項12に係る発明によれば、前記管理番号を印字する手段を、レ
ーザープリンタ、インクジェットプリンタのいずれかのプリンタもしくはレーザーの刻印による印字手段とすることによって、当落等個別情報の印字に使用するインクジェットプリンタとの対応付けを容易にし、その個別情報の管理を可能にする籤の製造装置とすることができる。
【0044】
従って本発明は、周辺が接着部でなり、それ以外の略中央の非接着部に当落等個別情報を内包し、その中央部を切り取って個別情報を視認する所謂三角くじの如く籤及びその製造方法並びに製造装置として、優れた実用上の効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0046】
図1は、本発明の籤の一事例を示す説明図であり、図2は、本発明の籤の一事例を切取り開いた時の説明図である。また、図3は、本発明の籤の製造方法の一事例を説明する正面図であり、図4は、本発明の籤の製造装置の一事例を示す説明図である。
【0047】
上記請求項1に係る発明では、例えば、図1(a)の正面図およびそのB−B面を示す図1(b)の断面図に示すように、紙層(11)の表面に感熱圧接着層(13)が施されたベース基材(10)と蓋基材(12)がそれらの感熱圧接着層(13)が腹合わせになるように二枚重ねで積層され、該積層されている周辺が接着部(20)で周辺以外の略中央が非接着部(22)でなり、前記ベース基材(10)の略中央の非接着部には、インキ受理層(18)を介して当落等を表す個別情報(14)が印字され、前記蓋基材(12)には中央の非接着部に相当する部分を囲むように切取り線(30)が刻設されていて、この非接着部(22)内に剥離ニス層(23)が施され、この剥離ニス層(23)以外ではベース基材(10)と蓋基材(12)が熱圧着されて接着部(20)が形成されている切取りタイプの籤(1)とするものである。
【0048】
上記ベース基材(10)の略中央の非接着部には、当落等を表す個別情報(14)の印字方式によって、インキ受理層(18)を設けなくとも構わない。
【0049】
上記本発明の切取りタイプの籤(1)の当落等個別情報(14)の確認は、例えば、図2(a)の側断面図に示すように、蓋基材(12)に刻設されているミシン目等でなる切取り線(30)に従って切取ると、切り取られた蓋基材(12)は剥離ニス層(23)とともに開封され、内包されている個別情報(14)の視認によって成されるようになっている。
【0050】
また、図1(b)に示す剥離ニス層(23)が、インキ受理層(18)とその上に形成された個別情報(14)を覆うように設けられている場合は、図2(b)の側断面図に示すように、切取り線(30)に従って切り取られた蓋基材(12)には、剥離ニス層(23)が残らないようになる。
【0051】
また、上記請求項2に係る発明では、例えば、図1(b)に示すように、インキ受理層(18)上の個別情報(14)は、インクジェットプリンタによって印字されているもので、そのため当落、等級等個別情報(14)の内容をそのブレンド比に従ってランダムにインキ受理層(18)上に印字することができ、よって例えば、図7に示すような従来のように丁合機にてそれぞれの個別情報(例えば1等、2等など)でなる刷本群(100、200)のブレンド作業が不必要となり、そのブレンド比の完全保証が得られる籤(1)とすることができる。
【0052】
また、上記請求項3に係る発明では、例えば、図1(a)に示すように、蓋基材(12
)の表面の周辺接着部(20)に個別情報(14)と連動し対応付けされた管理番号(19)が印字されている籤(1)とするもので、このことによって、図1(b)に示すように、内包されている個別情報(14)の印字内容との対応付けが可能になり、管理が容易な籤(1)とすることができる。
【0053】
さらにまた、上記請求項4に係る発明は、図1(a)に示す上記の管理番号(19)の印字を、レーザープリンタ、インクジェットプリンタによるもの或いはレーザーの刻印によるものであり、そのことによって、個別情報(14)の印字に使用するインクジェットプリンタとの対応付けをより容易にすることが可能な籤(1)とすることができる。
【0054】
以下に上記請求項5〜8に係る発明の籤の製造方法についてその1事例を説明する。
【0055】
まず、例えば、図3(a)の平面図に示すように、紙基材(図示せず)の表面に感熱圧接着層(13)が施されていて、中央で二つ折りされるヒートプレス用紙(5)を用い、その感熱圧接着層(13)面の所定の位置、すなわち二つ折りされる左側には、ベース基材(10)が4面付けされ、右側には蓋基材(12)が4面付けされ、両者が二つ折りされた時に腹合わせとなるように設定してある。
【0056】
上記ベース基材(10)および蓋基材(12)に面付される数は、1面でもよく、10面でも構わない。
【0057】
上記ヒートプレス用紙(5)のベース基材(10)に相当するその中央部にインキ受理層(18)を形成し、一方の蓋基材(12)に相当するその略中央部には剥離ニス層(23)を形成する。続いて剥離ニス層(23)の周縁に切取り線(30)を刻設する。これら一連の工程をインラインで行うことができる。
【0058】
上記で得られたヒートプレス用紙(5)上の面付けされたインキ受理層(18)上に当落等を表す個別情報(図示せず)をインクジェットプリンタ(図示せず)でその内容(例えば1等か3等か)をランダムに印字し、その個別情報の内容や周囲の汚れなどを含めて検査する。
【0059】
上記で図3(a)に示すように、蓋基材(12)に施した剥離ニス層(23)を、ベース基材(10)の個別情報(図示せず)上から施してもよい。
【0060】
続いて、上記で個別情報が印字されたヒートプレス用紙(5)を、例えば、図3(b)の正面図に示すように、その中央で二つ折りし、左側面に4面付けされているベース基材(10)部と右側面に4面付けされている蓋基材(12)部がお互いに腹合わせになるようにし、二つ折りされたヒートプレス用紙(5)の両外側面から熱ロール間を通してヒートプレスすると、例えば、図1(b)に示すように、剥離ニス層(23)以外の周辺部が熱圧着されて接着部(20)を形成して接着される。
【0061】
続いて4面付けされ、接着されているヒートプレス用紙を1面づつ所定の順序に従って打ち抜き、得られた蓋基材(12)の表面の切取り線(30)より外側に、その順序に従ってレーザーマーカー等によって管理番号(19)を刻印し、その管理番号(19)と内包されている個別情報(14)との整合性を検査して籤(1)とする方法である。
【0062】
また、以下に上記請求項9〜12の籤の製造装置の一事例について説明する。
【0063】
例えば、図4の概略図に示すように、図3(a)に示すような熱圧接着層(13)面の左側の中央にインキ受理層(18)が形成され4面付けされたベース基材(10)と右側
の中央に剥離ニス層(23)が形成され4面付けされた蓋基材(12)とでなるヒートプレス用紙(5)を供給する給紙部(70)と、給紙されたヒートプレス用紙(5)に個別情報をブレンド比に応じてランダムに印字するインクジェットプリンタ(8)が配設されている個別情報印字部(71)と、印字された個別情報の内容や周辺の汚れ等も検査する印字検査部(72)と、印字検査されたヒートプレス用紙(5)を中央で二つ折りし、二つ折りされたヒートプレス用紙(5a)の外側から熱圧着する加熱平プレス機(7)が配設されている熱圧着部(73)と、二つ折りされ熱圧着された4面付けのヒートプレス用紙を1面づつ所定の順序に従って打ち抜く打抜き部(74)と、1面に打ち抜かれた個々の籤(1)の蓋基材の表面に、個別情報印字部(71)で印字された個別情報に対応付けられた管理番号を刻印するレーザーマーカー(9)が配設されている管理番号印字部(75)と、その管理番号の内容や周辺の汚れ等も検査する番号検査部(76)と、管理番号が検査されて籤(1)となった製品を順序に従って積み重ねる排紙部(77)とがインラインで構成されている籤の製造装置(2)である。
【0064】
上記打抜き部(74)と管理番号印字部(75)および番号検査部(76)の順を逆にし、管理番号印字部(75)、番号検査部(76)、打抜き部(74)の順にしても構わない。
【0065】
上記熱圧着部(73)には、上記の加熱平プレス機(7)の他に加熱ロール等を用いることもでき、上記管理番号印字部(75)には、上記のYAGレーザーのレーザーマーカー(9)の他にインクジェットプリンタやレーザープリンタ(電子写真方式)を用いることもできる。
【0066】
以上のように、表面に感熱圧接着層(13)を有するヒートプレス用紙(5)を用い、その上にインキ受理層(18)と剥離ニス層(23)の形成および切取り線(30)の刻設がインラインで得られ、さらにそのインキ受理層(18)上へのインキジェットプリンタによる個別情報(14)の印字とその検査、ベース基材(10)と蓋基材(12)の熱圧着と打抜、管理番号(19)の印字とその検査もインラインで得られるので、従来のように、従来のように水性接着剤の熱乾燥時間を必要とせず、そのため接着剤の塗工状態や乾燥状態による密着不良などの発生がなく、個別情報(14)の形成を、インクジェットプリンタによる印字とすることによって、個別情報のブレンド比に従ってランダムに印字することができ、従来のように丁合機にてブレンド作業を必要としなく、よって製造効率に優れ、かつそのブレンド比の完全保証が得られる。
【0067】
また、上記管理番号印字部(75)に於ける管理番号(19)の印字と番号検査部(76)に於けるその検査によって、個別情報印字部(71)で印字され、内包されている個別情報(14)の印字内容との対応付けとその管理を可能にすることができる。
【0068】
以下に本発明の籤(1)を構成する各種材料や各層の形成方法等について詳細に説明する。
【0069】
まず、ヒートプレス用紙(5)としては、60〜100g/m2 程度の上質紙あるいはコート紙を紙基材(11)とし、その紙基材(11)の表面に、例えば直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)などの押出ラミネートによって、厚み10μm程度の感熱圧接着層(13)とすることができる。また、この感熱圧接着層(13)として、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル等でなる高分子材料と、ロジン誘導体、テルペン樹脂系、フェノール樹脂系等の樹脂類でなる粘着付与剤と、フタル酸ジフェニル、フタル酸ジヘキシル等でなる固体可塑剤とからなる感熱性粘着組成物を厚み10μm程度に塗布して得ることもできる。この感熱性粘着組成物の塗布による感熱圧接着層(13)の乾燥塗膜は、通常タックが
ないので剥離紙等を必要としない。
【0070】
また、剥離ニス層(23)としては、例えば、ポリウレタンアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂等に添加剤としてシリコンやワックス(ポリエチレンワックス等)を5%以下添加したものをグラビア印刷方式で得られる。さらに例えば、紫外線硬化型オフセットインキのビヒクル(印刷インキの着色顔料を除いた成分)にシリコンやワックスなどを僅かに添加したUV剥離ニスを用い、オフセット印刷方式にて得ることができる。
【0071】
また、インクジェットプリンタ用のインキ受理層(18)としては、特に限定するものではないが、一般的にはポリアセタール樹脂を主体とした透明インキをグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の籤の一実施の形態を説明するもので、(a)は、その正面図であり、(b)は、(a)のB−B面断面図である。
【図2】本発明の籤の開封の一実施の形態を説明するもので、(a)は、その側断面図であり、(b)は、他の形態の側断面図である。
【図3】本発明の籤の製造方法の一実施の形態を説明するもので、(a)は、面付けされたヒートプレス用紙の正面図であり、(b)は、二つ折りされ熱圧着されるヒートプレス用紙の斜視図である。
【図4】本発明の籤の製造装置の一事例を説明する概略図である。
【図5】従来の籤の一事例を説明するもので、(a)は、その正面図であり、(b)は、(a)のB−B面断面図であり、(c)は、開封(使用)時の側断面図である。
【図6】従来の籤の製造方法の一事例を説明するもので、(a)は、その正面図であり、(b)は、(a)のB−B面断面図である。
【図7】従来の籤のブレンド作業の一事例を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0073】
1‥‥籤
2‥‥籤の製造装置
5‥‥ヒートプレス用紙
5a‥‥二つ折りされたヒートプレス用紙
7‥‥加熱平プレス機
8‥‥インクジェットプリンタ
9‥‥レーザーマーカー
10‥‥ベース基材
11‥‥紙基材
12‥‥蓋基材
13‥‥感熱圧接着層
14‥‥個別情報
18‥‥インキ受理層
19‥‥管理番号
20‥‥接着部
22‥‥非接着部
23‥‥剥離ニス層
30‥‥切取り線
70‥‥給紙部
71‥‥個別情報印字部
72‥‥印字検査部
73‥‥熱圧着部
74‥‥打抜き部
75‥‥管理番号印字部
76‥‥番号検査部
77‥‥排紙部
100‥‥1等の刷本群
200‥‥1等の刷本群
300‥‥3等の刷本群
400‥‥はずれの刷本群
500‥‥ブレンドされた籤の製品群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を主体としたベース基材と蓋基材が二つ折りまたは二枚重ねで積層され、該積層されている周辺が接着部で該接着部以外が非接着部でなり、前記非接着部には当落等を表す個別情報が印字され、該蓋基材には前記非接着部に相当する部分を囲むように切取り線が刻設されている切取りタイプの籤において、前記ベース基材および蓋基材は、紙を基材としその片面に感熱圧接着層が施されているヒートプレス用紙でなり、該ベース基材の非接着部には個別情報が印字され、該個別情報と前記蓋基材との間に剥離ニス層が積層されて非接着部が形成され、該非接着部以外ではベース基材と蓋基材が熱圧着されて接着部が形成されていることを特徴とする籤。
【請求項2】
前記個別情報は、インクジェットプリンタによって印字されていることを特徴とする請求項1記載の籤。
【請求項3】
前記蓋基材表面の周辺接着部の一部に前記個別情報と連動し対応付けされた管理番号が印字されていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項記載の籤。
【請求項4】
前記管理番号は、レーザープリンタ、インクジェットプリンタのいずれかのプリンタもしくはレーザーの刻印による印字されていることを特徴とする請求項3記載の籤。
【請求項5】
ベース基材と蓋基材が所定の位置に一面もしくは多面付けされる、紙を基材としその片面に感熱圧接着層が施されているヒートプレス用紙の、該蓋基材の周辺以外の部分には剥離ニス層を形成し、該剥離ニス層の周縁に切取り線を刻設し、該ベース基材の周辺以外の部分に当落等を表す個別情報を印字し、該印字された個別情報を検査し、前記個別情報が印字されたヒートプレス用紙を、一面もしくは多面付けされているベース基材と蓋基材が腹合わせになるように二つ折りし、その外側から熱圧着し、該一面もしくは多面付けされ熱圧着されたベース基材と蓋基材を打抜くことを特徴とする籤の製造方法。
【請求項6】
前記個別情報を、インクジェットプリンタによって印字することを特徴とする請求項5記載の籤の製造方法。
【請求項7】
前記蓋基材表面の周辺の一部に前記個別情報と連動し対応付けせしめる管理番号を印字し、該印字されを管理番号を検査することを特徴とする請求項5乃至6のいずれか1項記載の籤の製造方法。
【請求項8】
前記管理番号を、レーザープリンタ、インクジェットプリンタのいずれかのプリンタもしくはレーザーの刻印により印字することを特徴とする請求項7記載の籤の製造方法。
【請求項9】
ベース基材と蓋基材が所定の位置に一面もしくは多面付けされる、紙を基材とし、その片面に感熱圧接着層が施されているヒートプレス用紙の、該蓋基材の周辺以外の部分に剥離ニス層を形成し、該剥離ニス層の周縁に切取り線を刻設する一連の手段と、
前記ベース基材の周辺以外の部分に当落等を表す個別情報を印字し、該印字された個別情報を検査する手段と、
前記個別情報が印字されたヒートプレス用紙を、一面もしくは多面付けされているベース基材と蓋基材が腹合わせになるように二つ折りし、その外側から熱圧着する手段と、
前記一面もしくは多面付けされ熱圧着されたベース基材と蓋基材を打抜く手段と、
を具備していることを特徴とする籤の製造装置。
【請求項10】
前記個別情報を印字する手段が、インクジェットプリンタによることを特徴とする請求項9記載の籤の製造装置。
【請求項11】
前記蓋基材表面の周辺の一部に前記個別情報と連動し対応付けせしめる管理番号を印字する手段と該印字された管理番号を検査する手段とを具備していることを特徴とする請求項9乃至10のいずれか1項記載の籤の製造装置。
【請求項12】
前記管理番号を印字する手段が、レーザープリンタ、インクジェットプリンタのいずれかのプリンタもしくはレーザーの刻印によることを特徴とする請求項11記載の籤の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−305857(P2006−305857A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−131093(P2005−131093)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】