説明

米保存用の真空包装袋及び米の保存方法

【課題】真空度を高めて脱酸素剤を使用することなく米の酸化を防止でき、包装袋の樹脂成分が米に移って米の賞味を損なうことも防止できる米保存用の真空包装袋及び米の保存方法を提供すること。
【解決手段】吸引によって脱気し、真空減圧状態で米を包装する米保存用の真空包装袋であって、熱溶着による封止が可能な樹脂膜状材によって設けられた外袋10と、内容物である米と外袋10の樹脂製内面とが接触することを防止するように設けられた紙製の内袋20とを備え、その内袋20は、開口端11側が、外袋10よりも熱溶着がなされる溶着部13の長さ分について短く形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、吸引によって脱気し、真空減圧状態で米を包装する米保存用の真空包装袋及び米の保存方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米の酸化を抑制して長期の保存に耐え得るように、樹脂製の真空包装袋を用い、吸引によって脱気して真空パックをする包装方法が知られている。この包装方法によれば、穀象虫の発生を防止することもでき、米を長期に保存することに適している。しかし、樹脂製の真空包装袋の内面が、外部から圧力(大気圧)をかけた状態で直に米に接するため、長期保存をするとその包装袋の樹脂成分が米に移り易かった。そのため、米の賞味を損なう場合があった。
【0003】
また、別の米の包装方法としては、米を既存のクラフト紙からなる米袋に充填した状態で収納し、無酸素状態下で長期間保存可能にする米保存用袋が提案されている(特許文献1参照)。これによれば、米保存用袋(樹脂製の真空包装袋)の内側に米を充填した米袋を収納し、クリップで開口を封止するもので、脱酸素剤を使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3088458号公報(第2頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
米保存用の真空包装袋及び米の保存方法に関して解決しようとする問題点は、樹脂製の真空包装袋に米を入れて真空減圧状態で保存すると、その包装袋の樹脂成分が米に移って米の賞味を損ない易いこと、及び、既存のクラフト紙からなる米袋に充填した状態で収納する方法では真空度が低くて脱酸素剤を使用するため、コスト高になることにある。
そこで本発明の目的は、真空度を高めて脱酸素剤を使用することなく米の酸化を防止でき、包装袋の樹脂成分が米に移って米の賞味を損なうことも防止できる米保存用の真空包装袋及び米の保存方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかる米保存用の真空包装袋の一形態によれば、吸引によって脱気し、真空減圧状態で米を包装する米保存用の真空包装袋であって、熱溶着による封止が可能な樹脂膜状材によって設けられた外袋と、内容物である米と前記外袋の樹脂製内面とが接触することを防止するように設けられた紙製の内袋とを備え、該内袋は、開口端側が、前記外袋よりも熱溶着がなされる溶着部の長さ分について短く形成されている。
【0007】
また、本発明にかかる米保存用の真空包装袋の一形態によれば、前記内袋は、用紙を折り込んで合わせ目を所要の長さに重ね、糊による接着を行わないで袋状に形成されていることを特徴とすることができる。
【0008】
また、本発明にかかる米保存用の真空包装袋の一形態によれば、前記内袋は、薄手の半透明紙によって設けられていることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる米保存用の真空包装袋の一形態によれば、前記外袋の一部に内容物である米を視認可能な透明部が設けられていることを特徴とすることができる。
【0009】
本発明にかかる米の保存方法の一形態によれば、前記の米保存用の真空包装袋を用いて米を長期に亘って保存することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の米保存用の真空包装袋及び米の保存方法によれば、真空度を高めて脱酸素剤を使用することなく米の酸化を防止でき、包装袋の樹脂成分が米に移って米の賞味を損なうことも防止できるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る米保存用の真空包装袋の形態例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る米保存用の真空包装袋の形態例を示す正面図である。
【図3】本発明に係る真空包装袋の中袋の形態例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る米保存用の真空包装袋の最良の形態例を、添付図面(図1〜3)に基づいて詳細に説明する。
この米保存用の真空包装袋は、吸引によって脱気し、真空減圧状態で米を包装し、米を長期に亘って賞味を損なうことなく保存するために用いられる。
【0013】
10は外袋であり、熱溶着による封止が可能な樹脂膜状材によって設けられている。本形態例の外袋10は、通常の樹脂製袋の形態と同じく、筒状に成形された樹脂膜状材の一端側14を熱溶着によって閉じ、他端側が開口端11となる袋状に形成されている。また、この外袋10は、真空包装に耐え得るように、例えば、ナイロンとポリエチレンとをラミネートした状態の樹脂膜状材を用いることができる。
【0014】
20は内袋であり、内容物である米と外袋10の樹脂製内面12とが接触することを防止するように紙製で袋状に設けられている。この紙は、天然のセルロースを主成分とするものであり、人造的な化学物質によって製造された外袋10とは異なる材質になっている。
【0015】
そして、この内袋20は、開口端21側が、外袋10よりも熱溶着がなされる溶着部13の長さ分について短く形成されている。これによれば、内袋20を、外袋10の熱溶着による封止を邪魔することなくその外袋10に内包され、且つ収容される米の全体を包み込める大きさとすることができる。
【0016】
また、この内袋20は、図3に示すように、用紙を折り込んで合わせ目を所要の長さに重ね、糊による接着を行わないで袋状に形成されている。これによれば、糊の成分が米に移ることもなく、米の賞味を損なうことがない。また、低コストで製造できる。なお、内袋20を成形するための用紙の折り畳み方法、及びその展開形状は種々考えられる。従って、適宜に袋状に成形されるものであれば、いずれの形態でもよく、本形態例に限定されるものではない。
【0017】
また、内袋20は、薄手の半透明紙によって設けられているとよい。その薄手の半透明紙としては、グラシン紙、又はライスペーパーと呼ばれるものを利用できる。これによれば、薄手の半透明紙からなる内袋20が内容物である米に密着でき、袋内の真空度を好適に高めることができる。また、そのように内袋20が密着した状態になるため、内容物である米をより好適に視認できる。
【0018】
さらに、この内袋20の紙質は和紙のように通気性に富むものであってよい。これによれば、吸引による袋内の脱気をスムースに行うことができる。
また、15は透明部であり、外袋10の一部に内容物である米を視認可能となるように設けられている(図1参照)。
【0019】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0020】
10 外袋
11 開口端
12 樹脂製内面
13 溶着部
15 透明部
20 内袋
21 開口端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引によって脱気し、真空減圧状態で米を包装する米保存用の真空包装袋であって、
熱溶着による封止が可能な樹脂膜状材によって設けられた外袋と、
内容物である米と前記外袋の樹脂製内面とが接触することを防止するように設けられた紙製の内袋とを備え、
該内袋は、開口端側が、前記外袋よりも熱溶着がなされる溶着部の長さ分について短く形成されていることを特徴とする米保存用の真空包装袋。
【請求項2】
前記内袋は、用紙を折り込んで合わせ目を所要の長さに重ね、糊による接着を行わないで袋状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の米保存用の真空包装袋。
【請求項3】
前記内袋は、薄手の半透明紙によって設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の米保存用の真空包装袋。
【請求項4】
前記外袋の一部に内容物である米を視認可能な透明部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の米保存用の真空包装袋。
【請求項5】
前記請求項1〜4のいずれかに記載の米保存用の真空包装袋を用いて米を長期に亘って保存することを特徴とする米の保存方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−241432(P2010−241432A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88601(P2009−88601)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(508067149)
【Fターム(参考)】