説明

米品種判別用プライマー及びそれを用いた米品種判別方法

【課題】米品種の判別及び混米の有無を、簡便な操作で、短時間で効率的に、かつ安価で視認性に優れ、特別な装置や専門知識を必要とすることなく判別できる技術を提供する。
【解決手段】米品種の判別及び混米有無の判定に有用である米のゲノム配列における特定の領域を増幅しうるプライマーセットを用いた核酸増幅処理により得られる増幅産物の電気泳動による検出、及び該増幅産物と捕獲オリゴヌクレオチド群とのハイブリッド形成の検出による米品種の判別及び混米の有無を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米の品種の判別及びコシヒカリへの混米の有無を判定するためのプライマー及び捕獲オリゴヌクレオチド、これらを用いた米の品種を判別するための方法及びコシヒカリへの混米の有無を判定するための方法、並びに当該方法を実施するためのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
日本では、現在200種を超えるコメの品種が栽培されているが、改正JAS法の施行により米の品種名の表示が義務づけられている。しかし、表示品種以外の米を混米しながら、表示を偽って販売する不正混米が一部で行われている。近年の消費者の良食味志向を受けてコシヒカリなどの良食味品種が高価格で取引される現状や、食品の情報公開への関心の高まりを考慮すると、米の品種名の表示の正確さは、行政的にも産業的にも重要な課題であり、混米による不正を防止する必要性等から、簡易で精度が高く、実用性の高い米の品種判別技術の開発が求められている。しかしながら、日本で栽培されている殆どの米品種は、数種の在来品種をベースとする極近縁種間の交配によって育成されてきた経緯により、これらは極めて類縁しており、形態学的に米の品種を判別することは非常に困難である。一方で、近年、米のゲノム配列の解析が進み、米の品種間で差異を示す遺伝的多型を利用した米の品種の判別が試みられている。このような手法として、STS法、DNAアレイを用いた検出法、SNPs法が用いられている。
【0003】
STS法(Sequence Tagged Site)法は、精米からDNAを抽出し、品種間で相違を示すプライマーを用いて核酸増幅反応(以下、単にPCRともいう)を行い、核酸増幅の有無及び核酸増幅産物の大きさにより多型を判別する技術である。STS法を用いて米品種を判別する場合、判別する米品種により使用するプライマー対を選択する必要があり、米品種が不明な場合、使用するプライマー対の決定が困難であり実用的ではないという問題がある(特許文献1)。また、複数種のプライマー対を用いて複数品種の米を複数の判別グループに分類することもできるが、品種不明の米を試料とする場合に複数回のPCRを行う必要があり操作が煩雑である(特許文献2)。また、特定品種への他品種の混米を確認する為には、複数種のプライマー対から調べたい品種に対応するプライマー対を検索する必要があり、混米の判定用プライマー対とは異なるプライマー対が米品種判別用のプライマー対として必要となり、操作が複雑である(特許文献2)。
【0004】
また、STS法により米品種を判別する方法に用いるキットがいくつか市販されている。このようなキットとして、TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit I」、及び「コメ判別用PCR Kit II(コシヒカリネガキット)」、TaKaRa社製「平成17年18年産コシヒカリBL判別用PCRキット」、ビジョンバイオ社製「品種判別用キット「お米鑑定団」」がある。しかし、TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit I」、及び「コメ判別用PCR Kit II(コシヒカリネガキット)」は、コシヒカリに他品種のコメが混入しているか否かを確認する為に、1検体につきKit I(ポジティブ検出)とKit II(ネガティブ検出)の2回のPCRが必要である為操作が煩雑である。また、品種の特定が出来ず、コシヒカリBL(新潟産コシヒカリ)が混米と判定されることとなり、コシヒカリと判別できない。TaKaRa社製「平成17年18年産コシヒカリBL判別用PCRキット」は、上記の「コメ判別用PCR Kit I」、及び「コメ判別用PCR Kit II(コシヒカリネガキット)」で判別できなかったものについて再検査をする為に用いるものである。しかし、複数の米粒を一度に検査することは出来ず、米1粒1粒を検査しなければならないため、非常に煩雑である。また、ビジョンバイオ社製「品種判別用キット「お米鑑定団」」はコシヒカリと上位20品種の判別を6種類のプライマーセットを用いて行うキットであるが、1検体を判別する為に6回のPCRが必要となり簡便ではない。
【0005】
DNAアレイを用いた検出法は、多数の捕獲オリゴヌクレオチドを支持体上に固定化し(以下、これをDNAアレイ、または、単にアレイという)、標識ターゲット核酸を捕獲オリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせて捕獲し、ターゲット核酸の有無を解析する技術である。しかし、DNAアレイを用いて米品種を判別する場合、複数品種の米を判別する為のターゲット(PCR産物)を作製するために複数種のマルチプレックスプライマーセットが必要となり、1検体につき複数回PCRを行う必要があり検査に手間がかかるという問題がある(特許文献3)。また、蛍光標識したPCR産物を検出し、蛍光強度を数値化して品種の判別を行うためには高価な装置が必要である(特許文献3及び4)。更に、限られた数の米品種は簡便に判別できるが、他の方法と比べて判別できる品種が少ないという問題もある(特許文献4)。
【0006】
SNPs(Single Nucleotide Polymorphism)法は、SNP部位の1塩基手前までに対合するプライマーを用い、蛍光標識したヌクレオチドを一塩基だけ取り込ませる反応を行った後、各蛍光の偏光度を測定して取り込まれた塩基種を特定して多型を判定する技術である。SNPs法で米の品種を判別するには、判別する米品種によって、使用するプライマー対を選択する必要があり、米品種が不明の場合、使用するプライマー対の決定が困難であり実用的でないという問題がある(特許文献5)。また、特許文献5に基づいて、コシヒカリ100%と表示されているコメが本当にコシヒカリ100%であるかどうかを判別する「コメ奉行シリーズ「コシヒカリ判別キット」」(植物ゲノムセンター社製)というキットが市販されているが、コシヒカリに他の品種(85品種)が混米している場合と、コシヒカリ純米の特定にのみ有効であり、米品種の判別はできない。
【0007】
上述の通り、米の品種を判別するためにゲノム配列の遺伝的多型を利用した種々の方法が開発されている。しかし、上述の方法は、操作が複雑であって時間を要し、効率が悪いという欠点があった。したがって、米の品種判別検査に対する需要が高まり、被検米試料の数が急増している状況下、数多くの米品種を一括して、より簡便で高効率かつ正確に判別できる技術が求められている。
【特許文献1】特許第3685478号公報
【特許文献2】特開2005−73655号公報
【特許文献3】特開2005−245244号公報
【特許文献4】特開2006−158253号公報
【特許文献5】特開2006−174714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、米試料の品種及び混米の有無を、簡便な操作で、かつ安価で視認性に優れ、短時間で効率的に判別及び判定できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討した結果、米のゲノム配列における特定の領域が米品種の判別及び混米有無の判定に有用であること、及び該領域を検出しうるオリゴヌクレオチドを用いることにより、PCR産物の電気泳動パターンの差を指標として、及び/又は、PCR産物とハイブリッド形成効率の差を指標として、該領域を効率よく検出できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は以下よりなる。
1.以下の(1)〜(5)から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号1〜11のいずれか1つに表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対。
(1)下記の(a)〜(k)から選択されるいずれか1つの組み合わせを構成する2種の塩基配列
(a)配列番号12、及び、配列番号23
(b)配列番号13、及び、配列番号24
(c)配列番号14、及び、配列番号25
(d)配列番号15、及び、配列番号26
(e)配列番号16、及び、配列番号27
(f)配列番号17、及び、配列番号28
(g)配列番号18、及び、配列番号29
(h)配列番号19、及び、配列番号30
(i)配列番号20、及び、配列番号31
(j)配列番号21、及び、配列番号32
(k)配列番号22、及び、配列番号33
(2)前記(1)の塩基配列と相補的な塩基配列
(3)前記(1)の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列
(4)前記(1)の塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列
(5)前記(1)〜(4)の塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列
2.前項1に記載のプライマー対を少なくとも2種以上含むプライマーセット。
3.配列番号1〜11に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸をそれぞれ増幅しうる少なくとも11種のプライマー対を含む前項2に記載のプライマーセット。
4.配列番号1〜11に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸をそれぞれ増幅しうるプライマー対が、以下の(A)〜(K)のプライマー対である前項3に記載のプライマーセット。
(A)配列番号12、及び、配列番号23に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号1に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(B)配列番号13、及び、配列番号24に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号2に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(C)配列番号14、及び、配列番号25に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号3に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(D)配列番号15、及び、配列番号26に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号4に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(E)配列番号16、及び、配列番号27に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号5に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(F)配列番号17、及び、配列番号28に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号6に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(G)配列番号18、及び、配列番号29に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号7に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(H)配列番号19、及び、配列番号30に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号8に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(I)配列番号20、及び、配列番号31に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号9に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(J)配列番号21、及び、配列番号32に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号10に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(K)配列番号22、及び、配列番号33に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号11に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
5.以下の(1)〜(5)の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから選択され、配列番号1〜11のいずれか1つに表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(1)配列番号34〜46のいずれか1つに表される塩基配列
(2)配列番号34〜46のいずれか1つに表される塩基配列と相補的な塩基配列
(3)配列番号34〜46のいずれか1つに表される塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列
(4)配列番号34〜46のいずれか1つに表される塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列
(5)前記(1)〜(4)の塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列
6.前項5に記載の捕獲オリゴヌクレオチドを少なくとも2種以上含む捕獲オリゴヌクレオチド群。
7.配列番号1〜11に記載の塩基配列からなる核酸をそれぞれ検出しうる少なくとも13種の捕獲オリゴヌクレオチドを含む前項6に記載の捕獲オリゴヌクレオチド群。
8.配列番号1〜11に記載の塩基配列からなる核酸をそれぞれ検出しうる捕獲オリゴヌクレオチドが、以下の(I)〜(XIII)の捕獲オリゴヌクレオチドである前項7に記載の捕獲オリゴヌクレオチド群
(I)配列番号34に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号1に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(II)配列番号35に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号2に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(III)配列番号36に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号3に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(IV)配列番号37に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号4に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(V)配列番号38に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号5に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(VI)配列番号39に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号6に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(VII)配列番号40に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号7に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(VIII)配列番号41に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号8に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(IX)配列番号42に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号9に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(X)配列番号43に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号9に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(XI)配列番号44に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号10に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(XII)配列番号45に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号10に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(XIII)配列番号46に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号11に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
9.以下の(i)、及び、(ii)の工程を行うことを特徴とする米品種の判別方法。
(i)被検米試料中の米の核酸を調製する核酸調製工程
(ii)工程(i)で調製した核酸を鋳型として、前項2〜4のいずれか1項に記載のプライマーセットを用いて核酸増幅処理することにより核酸増幅産物を得る核酸増幅工程
10.更に、以下の(iii)及び/又は、(iv)の工程を行うことを特徴とする前項9に記載の米品種の判別方法。
(iii)工程(ii)で得られた核酸増幅産物を電気泳動により検出する検出工程
(iv)工程(ii)で得られた核酸増幅産物と前項6〜8のいずれか1項に記載の捕獲オリゴヌクレオチド群とのハイブリッド形成を検出する検出工程
11.以下の(i)、及び、(ii)の工程を行うことを特徴とするコシヒカリへの混米の有無を判定する方法。
(i)被検米試料中の米の核酸を調製する核酸調製工程
(ii)工程(i)で調製した核酸を鋳型として、前項2〜4のいずれか1項に記載のプライマーセットを用いて核酸増幅処理することにより核酸増幅産物を得る核酸増幅工程
12.更に、以下の(iii)及び/又は(iv)の工程を行うことを特徴とする前項11に記載のコシヒカリへの混米の有無を判定する方法。
(iii)工程(ii)で得られた核酸増幅産物を電気泳動により検出する検出工程
(iv)工程(ii)で得られた核酸増幅産物と前項6〜8のいずれか1項に記載の捕獲オリゴヌクレオチド群とのハイブリッドを検出する検出工程
13.前項2〜4のいずれか1項に記載のプライマーセットを含む米品種判別キット、又はコシヒカリへの混米判定キット。
14.更に前項6〜8のいずれか1項に記載の捕獲オリゴヌクレオチド群を含む前項13に記載のキット。
【発明の効果】
【0011】
本発明のプライマーセットを用いれば、1回のPCRによる増幅産物を電気泳動することにより、15種以上の米品種の判別、コシヒカリ純米への他の118品種の混米の有無の判定、及びコシヒカリとコシヒカリBLとの判別が可能となる。更に、本発明の捕獲オリゴヌクレオチドによれば、本発明のプライマーによる核酸増幅産物と当該オリゴヌクレオチドとをハイブリダイズさせることにより、119品種もの米品種の判別、コシヒカリ純米への他の118品種の混米の有無の判定、及びコシヒカリとコシヒカリBLとの判別が可能となる。
【0012】
したがって、本発明のプライマー及び本発明の捕獲オリゴヌクレオチドを用いる本発明の米品種の判別及び混米の有無の判定方法は、視認性に優れており、正確且つ簡便に米の品種を判別し、コシヒカリ純米への混米を判定できる。また、本発明の混米の判定方法は、PCRに供する試料のゲノムDNA量が0.025ng/20μlであっても混米の判定が可能である。更に、混米率が1%であれば確実に混米を判定できるという利点を有する。その上、当該被検米試料が炊飯米であっても、混米の有無の判定が可能であるという利点をも有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の米品種の判別方法及びコシヒカリへの混米の有無の判定方法は、以下の(i)、及び、(ii)の工程を行うことを特徴とする。
(i)被検米試料中の米の核酸を調製する核酸調製工程
(ii)工程(i)で調製した核酸を鋳型として、前記プライマーセットを用いて核酸増幅処理することにより核酸増幅産物を得る核酸増幅工程
以下、各工程について説明する。
【0014】
(i)核酸調製工程
核酸調製工程とは、被検米試料中から米の核酸を抽出・調製する工程である。被検米試料からの核酸の調製法は公知の核酸調製法を適宜選択して用いることができる。例えば、CTAB法(Murray M.G.,Thompson W.F.:Nucleic Acids Res.,8,p.4321−4325)、酵素法、アルカリSDS法等にしたがって調製することができる。これらの方法は植物のゲノムDNAを抽出する標準的な調製法であるが、多くの代替法があり、いずれを用いてもかまわない。また、例えば、Wizard(R) Magnetic DNA Purification System for Food(Promega)等の市販されているDNA抽出キットを使用して調製することができる。
【0015】
前記被検米試料は、食用とする種子(米粒)のほか、苗も含む。また、種子としては、食用として市場に流通する精米、玄米などのほか、精米粉、玄米粉、更には、米飯、餅なども含まれる。ここで、米飯とは、精米や玄米を通常の電気炊飯器、ガス炊飯器、蒸気調理システム等によって炊飯して得られたものを指し、単に炊飯米ともいう。被検米試料は米由来の試料であれば特に限定されることはないが、好ましくは形態学的な品種の判別がより困難な、より好ましくは形態学的又は生化学的な品種の判別がさらに困難になる精米あるいは玄米あるいはそれらの加工品であるほうが、本発明の効果が顕著に発揮される。
【0016】
(ii)核酸増幅工程
核酸増幅工程とは、工程(i)で調製した核酸を鋳型として、配列番号1〜11で表される塩基配列のいずれか1つからなる核酸を増幅しうるプライマー対を含むプライマーセットを用いて、核酸増幅処理する工程である。
【0017】
(プライマー)
本発明のプライマー対は、配列番号1〜11で表される塩基配列のいずれか1つからなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対が好ましく、具体的には以下の(1)〜(5)から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなる。
(1)以下の(a)〜(k)から選択されるいずれか1つの組み合わせを構成する塩基配列
(a)配列番号1に表される塩基配列からなる核酸増幅用
フォワードプライマー:5´−TCTATACATGGGCCGGTACATCATT−3´(配列番号12)
リバースプライマー:5´−CACATACTCCCTCTCCCTCTGTCCT−3´(配列番号23)
(b)配列番号2に表される塩基配列からなる核酸増幅用
フォワードプライマー:5´−CCCGCAGTTAGATGCACCATTAGAA−3´(配列番号13)
リバースプライマー:5´−GTGCTCTGACGATGTGGCATGTAAG−3´(配列番号24)
(c)配列番号3に表される塩基配列からなる核酸増幅用
フォワードプライマー:5´−AGGCCATTCGTAGCAATTCGAAAAG−3´(配列番号14)
リバースプライマー:5´−CGTTCGCTCCCATGCAATCTGCAAA−3´(配列番号25)
(d)配列番号4に表される塩基配列からなる核酸増幅用
フォワードプライマー:5´−AGTTCCTCTTGTATCCTGTCCCCCT−3´(配列番号15)
リバースプライマー:5´−CACCTCACATACAATGTGTCCTTGT−3´(配列番号26)
(e)配列番号5に表される塩基配列からなる核酸増幅用
フォワードプライマー:5´−TGTAGCCTATGCATCATCAATTTTA−3´(配列番号16)
リバースプライマー:5´−TTCAGACATATACCTCCAAGCCAAT−3´(配列番号27)
(f)配列番号6に表される塩基配列からなる核酸増幅用
フォワードプライマー:5´−CTCAACTTACATTTCTACTAACACA-3´(配列番号17)
リバースプライマー:5´−CATGCCAAATATACTACTGCATGTT-3´(配列番号28)
(g)配列番号7に表される塩基配列からなる核酸増幅用
フォワードプライマー:5´−CAGGCTTACAGCAAATGGATCTTGA−3´(配列番号18)
リバースプライマー:5´−CTTGTCATGTACTTCTTCTGTGCAA−3´(配列番号29)
(h)配列番号8に表される塩基配列からなる核酸増幅用
フォワードプライマー:5´−CGACTCCATATCACCACAAGGCGTT−3´(配列番号19)
リバースプライマー:5´−AGCTTTCTTAGGGTATTTATAGCGT−3´(配列番号30)
(i)配列番号9に表される塩基配列からなる核酸増幅用
フォワードプライマー:5´−TCGGTCTCTGCTAGCTAGTTCTCAG−3´(配列番号20)
リバースプライマー:5´−ATATTGAAAATGATGGTTTCGAGCG−3´(配列番号31)
(j)配列番号10に表される塩基配列からなる核酸増幅用
フォワードプライマー:5´−GCTAAGTTTCCTCCAAAATCTATAT−3´(配列番号21)
リバースプライマー:5´−CTACGTGGTTATTTGATTTAAAGGA−3´(配列番号32)
(k)配列番号11に表される塩基配列からなる核酸増幅用
フォワードプライマー:5´−GCTGCTTGGATTTTGCTTCTTTAGC−3´(配列番号22)
リバースプライマー:5´−CATCCGATGTGATAGGGACTTAAAA−3´(配列番号33)
(2)前記(1)で選択された塩基配列と相補的な塩基配列
(3)前記(1)で選択された塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列
(4)前記(1)で選択された塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列
(5)前記(1)〜(4)の塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列
【0018】
本発明のプライマー対は、少なくとも2種以上の該プライマー対を含むプライマーセットとして使用することが好ましく、また、配列番号1〜11に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸をそれぞれ増幅しうる少なくとも11種のプライマー対を含むプライマーセットとして使用することがより好ましい。
【0019】
前記配列番号1〜11に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸をそれぞれ増幅しうるプライマー対としては、以下のプライマー対(A)〜(K)が好適に挙げられる。
(A)配列番号12、及び、配列番号23に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号1に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(B)配列番号13、及び、配列番号24に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号2に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(C)配列番号14、及び、配列番号25に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号3に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(D)配列番号15、及び、配列番号26に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号4に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(E)配列番号16、及び、配列番号27に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号5に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(F)配列番号17、及び、配列番号28に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号6に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(G)配列番号18、及び、配列番号29に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号7に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(H)配列番号19、及び、配列番号30に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号8に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(I)配列番号20、及び、配列番号31に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号9に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(J)配列番号21、及び、配列番号32に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号10に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(K)配列番号22、及び、配列番号33に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号11に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
【0020】
本発明の配列番号1〜11に表される塩基配列が由来する米の品種は、日本晴である。また、当該配列番号1〜11における多型の有無などの情報は、Rice Genome Research Programにて公開されているイネゲノム配列及びRFLPマーカー情報、GenBankに登録されている配列などを基に見出したもの、ジェネティックアイディー株式会社、及び日本たばこ産業株式会社が独自に見出したものである。
【0021】
前記配列番号1〜11に表される塩基配列に多型が存在する場合、当該多型部位を含有する核酸を増幅しうることが好ましく、当該多型部位が挿入、欠失等により置換されていた場合に、核酸増幅処理による核酸増幅産物が得られにくいプライマーを設計することがより好ましい。ここで、米由来の核酸中に存在する多型とは、比較対象となる米同士での塩基配列の差異を意味し、1塩基〜数百塩基の置換、欠失、挿入、付加を含む概念である。
【0022】
例えば、配列番号6に表される塩基配列の21位、及び28位に相当する位置、配列番号7に表される塩基配列の145位に相当する位置には多型が存在する。したがって、配列番号6、及び配列番号7に表される塩基配列からなる核酸増幅用のプライマーは、当該多型部位を含む塩基配列、当該多型部位に隣接する塩基配列等からなるプライマーが好ましい。
【0023】
具体的には、例えば、配列番号6に表される塩基配列からなる核酸増幅用である上記プライマー対(F)を構成するフォワードプライマーは、塩基配列6に表される塩基配列の21位における多型部位を含む塩基配列(配列番号17)からなる配列が好ましい。また、配列番号7に表される塩基配列からなる核酸増幅用である上記プライマー対(G)を構成するリバースプライマーは、配列番号7の多型部位に隣接する部位の塩基配列(配列番号29)からなる配列が好ましい。
【0024】
上記配列における多型の位置はその位置よりも上流における配列中のヌクレオチドの挿入、欠失等によって変化しうる。上記の「相当する位置」とは、このように、遺伝子配列中の絶対的位置が変わった場合、配列番号1〜11に表される基準配列中の相当位置を示す。すなわち、本発明における多型は、配列番号1〜11で表される塩基配列と、識別対象となりうる被検米由来の核酸の塩基配列を比較することにより、配列番号1〜11で表される塩基配列における多型に相当すると理解される多型を含む。
【0025】
本発明の方法に使用するプライマーは、後の検出工程を考慮して、標識物質を含むこともできる。標識物質としては、当該技術分野においてよく知られる放射性同位体、蛍光物質、化学発光物質、ビオチン等を用いることができる。
【0026】
本発明のプライマー又は後述する本発明の捕獲オリゴヌクレオチドとしての機能を有するオリゴヌクレオチドには、DNA、RNA、ペプチド核酸などが含まれるが、DNAまたはRNAが好ましく、DNAがより好ましい。本発明に使用するオリゴヌクレオチドは遺伝子工学的手法、又は合成的方法により作製することができる。合成的方法としては、例えば、通常の固相合成法が挙げられる。当該方法による合成は、市販のDNA合成機を用いることにより合成することができる。
【0027】
本発明のプライマー又は後述する本発明の捕獲オリゴヌクレオチドとしての機能を有するオリゴヌクレオチドは、自体公知の方法により製造することができ、例えば化学的に合成することができる。あるいは、天然の核酸を制限酵素などによって切断し、上記のような塩基配列で構成されるように改変し、あるいは連結することも可能である。具体的には、オリゴヌクレオチド合成装置(アプライドバイオシステムズ社製 Expedite Model 8909 DNA合成機)等を用いて合成することができる。また、1ないし数個の塩基を置換、欠失、挿入もしくは付加するといった変異させたオリゴヌクレオチドの合成法も、自体公知の製法を使用することができる。例えば、部位特異的変異導入法、遺伝子相同組換え法、プライマー伸長法またはポリメラーゼ連鎖増幅法(PCR)を単独または適宜組み合わせて、例えば、Molecular Cloning;A Laboratory Manual、2版、Sambrookら編、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク、1989年;[ラボマニュアル遺伝子工学]、村松正實編、丸善株式会社、1988年;[PCRテクノロジー、DNA増幅の原理と応用]、Ehrlich,HE.編、ストックトンプレス、1989年等に記載の方法に準じて、あるいはそれらの方法を改変して実施することができ、例えばUlmerの技術[Science(1983)219:666]を利用することができる。
【0028】
ここにおいて、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は一般に知られたものを選択することができ、その一例としては、50%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl、15mM クエン酸三ナトリウム)溶液、50mM リン酸ナトリウム,pH7.6、5×デンハーツ溶液、10%デキストラン硫酸、及び20μg/mlのDNAを含む溶液中、42℃で一晩ハイブリダイゼーションした後、室温で2×SSC・0.1%SDS溶液中で一次洗浄し、次いで、約65℃において0.1×SSC・0.1%SDS溶液で二次洗浄といった条件があげられる。
【0029】
本工程において核酸増幅処理する方法については特に限定はなく、検出しようとする核酸断片が増幅可能であるような種々の核酸増幅方法を使用することができる。具体的にはPCR法やLAMP法などが用いられるが、中でもPCR法が好適に用いられる。この場合、本発明の上記プライマー対(A)〜(K)の11対のプライマー対を別々の反応系で個々に作用させて、それぞれの増幅産物を得てもよい。この場合はその後にこれらを1つの溶液となるよう混合することができる。また、上記プライマー対(A)〜(K)から選んだ複数のプライマー対を予め所定量ずつ一つの反応系に混合しておき、増幅反応を行ってもよい(以下この方法を「マルチプレックス法」という)。この場合は、最終的に上記プライマー対(A)〜(K)の全ての増幅産物が存在するような組合わせで増幅産物を混合し、一つの溶液を調製することができる。特にこのマルチプレックス法の中でも、上記プライマー対(A)〜(K)の全てを所定量ずつ混合した反応系で一度に増幅反応を行うことが簡便で効率的であることから最も好適である。このようなマルチプレックス法においてはマルチプレックスPCR法が好ましく用いられる。
【0030】
上記のようにプライマー対が11対ある場合には、通常、マルチプレックス法により増幅を行うと各プライマーごとの増幅効率のバランスが崩れ、特定の核酸が極端に増幅されてしまうという欠点がある。しかし本発明のプライマー対であれば、所定の仕込み量比で調製しておくことにより、一度のマルチプレックスPCRでバランスよく各プライマー対に対応する増幅産物を得ることができる。
【0031】
前記プライマー対の配合量比の具体例として、例えばプライマー対(A)〜(K)のPCR反応系への添加量(モル比)をプライマー対(A):プライマー対(B):プライマー対(C):プライマー対(D):プライマー対(E):プライマー対(F):プライマー対(G):プライマー対(H):プライマー対(I):プライマー対(J):プライマー対(K)を、2:2:2:2:2:4:4:1:2:2:2とすることにより、一度のマルチプレックスPCRでバランスよく核酸を増幅することができ、効率的な米品種及び混米の有無の判定が可能となる。
【0032】
本発明の米品種の判別方法及びコシヒカリへの混米の有無の判定方法は、(i)核酸調製工程、及び、(ii)核酸増幅工程にくわえて、以下の(iii)工程(ii)で得られた核酸増幅産物を電気泳動により検出する検出工程、及び/又は、(iv)工程(ii)で得られた核酸増幅産物と本発明の捕獲オリゴヌクレオチドとのハイブリッド形成を検出する検出工程を行ってもよい。
【0033】
(iii)工程(ii)で得られた核酸増幅産物を電気泳動により検出する検出工程
上記核酸増幅工程(ii)で得られた核酸増幅産物をゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動などの慣用の電気泳動法により分離して検出し、得られた核酸増幅産物の長さに基づいて、被検試料中に含まれる米品種の判別、及びコシヒカリへの混米の有無を判定することができる。電気泳動に供する核酸増幅産物の量は、ゲル電気泳動の場合には、好ましくは10〜100ng、より好ましくは30〜60ngの範囲内とする。
【0034】
核酸増幅産物を電気泳動により検出して米の品種を判別する場合には、検出すべき米の品種によって得られる核酸増幅産物の長さが異なるようにプライマーセットを設計する。また、核酸増幅産物を電気泳動により検出してコシヒカリへの混米の有無を判定する場合、上記したプライマー対から選択される、少なくとも配列番号2、6、更には9及び/又は10で表される塩基配列からなる核酸を増幅しうるプライマー対[例えば前記プライマー対(B)、(F)、更には(I)及び/又は(J)]を含むプライマーセットを用いて核酸増幅処理することが好ましい。また、米の品種の判別及びコシヒカリへの混米の有無について、電気泳動によりさらに細かく判別する場合には、上記した本発明プライマー対(A)〜(K)の全11種のプライマー対を含むプライマーセットを用いて核酸増幅処理することが好ましい。
【0035】
更に、核酸増幅産物を電気泳動により検出してコシヒカリBL(新潟産コシヒカリ)とコシヒカリBL以外のコシヒカリとを判別する場合、上記したプライマー対から選択される、少なくとも配列番号2、7、9、10で表される塩基配列からなる核酸を増幅しうるプライマー対[例えば前記プライマー対(B)、(G)、(I)、(J)]を含むプライマーセットを用いて核酸増幅処理することが好ましい。また、コシヒカリBL(新潟産コシヒカリ)とコシヒカリBL以外のコシヒカリとを判別する場合、電気泳動によりさらに細かく判別する場合には、上記した本発明プライマー対(A)〜(K)の全11種のプライマー対を含むプライマーセットを用いて核酸増幅処理することが好ましい。
【0036】
(iv)工程(ii)で得られた核酸増幅産物と本発明の捕獲オリゴヌクレオチドとのハイブリッド形成を検出する検出工程
上記核酸増幅工程(ii)により得られた核酸増幅産物と支持体上に固定した本発明の捕獲オリゴヌクレオチドとをハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーションシグナルの有無を検出することにより、米の品種判別及びコシヒカリへの混米の有無を判定することができる。
【0037】
DNAアレイに供する核酸増幅産物の量は、好ましくは35〜250ng、より好ましくは70〜200ngの範囲内とする。また、核酸増幅産物は、捕獲オリゴヌクレオチドと当該核酸増幅産物とのハイブリッド形成を検出するために、標識されていることが好ましい。
【0038】
核酸の標識方法は、ハイブリッド形成を阻害しない方法であれば特に制限されないが、このような方法としては、標識物質を用いて、ターゲット核酸の増幅に使用するプライマーを予め標識しておく方法、ターゲット核酸の作製中に標識する方法、及び、ターゲット核酸の作製後に標識する方法が例示できる。
【0039】
上記標識物質は通常のハイブリダイゼーション法に用いられる標識物質を使用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、このような標識物質として蛍光物質やハプテンなどが挙げられ、蛍光物質としては具体的にはフルオレセイン、ローダミン、フィコエリスリン、テキサスレッド、シアニン系蛍光色素が、ハプテンとしては具体的にはビオチン、ジゴキシゲニン、ジニトロフェニルなどが挙げられる。
【0040】
核酸増幅産物と本発明の捕獲オリゴヌクレオチドとのハイブリッド形成を検出して米の品種を判別する場合には、検出すべき米の品種によってハイブリダイゼーションシグナルの有無に差異が出現するようにプライマーセットを設計する。また、核酸増幅産物と本発明の捕獲オリゴヌクレオチドとのハイブリッド形成をDNAアレイにより検出してコシヒカリへの混米の有無を判定する場合、上記したプライマー対から選択される、少なくとも配列番号2、6、更には9及び/又は10で表される塩基配列からなる核酸を増幅しうるプライマー対[例えば前記プライマー対(B)、(F)、更には(I)及び/又は(J)]を含むプライマーセットを用いて核酸増幅処理することが好ましい。また、米の品種の判別及びコシヒカリへの混米の有無の判定について、核酸増幅産物と本発明の捕獲オリゴヌクレオチドとのハイブリッド形成を検出してさらに細かく判別する場合には、上記した本発明のプライマー対(A)〜(K)の全11種のプライマー対を含むプライマーセットを用いて核酸増幅処理することが好ましい。
【0041】
更に、核酸増幅産物と本発明の捕獲オリゴヌクレオチドとのハイブリッド形成を検出してコシヒカリBL(新潟産コシヒカリ)とコシヒカリBL以外のコシヒカリとを判別する場合、上記したプライマー対から選択される、少なくとも配列番号2、7、9、10で表される塩基配列からなる核酸を増幅しうるプライマー対[例えば(B)、(G)、(I)、(J)]を含むプライマーセットを用いて核酸増幅処理することが好ましい。また、コシヒカリBL(新潟産コシヒカリ)とコシヒカリBL以外のコシヒカリとを判別する場合、本発明の捕獲オリゴヌクレオチドとのハイブリッド形成によりさらに細かく判別する場合には、上記した本発明のプライマー対(A)〜(K)の全11種のプライマー対を含むプライマーセットを用いて核酸増幅処理することが好ましい。
【0042】
(捕獲オリゴヌクレオチド)
本発明の捕獲オリゴヌクレオチドは、前記配列番号1〜11で表される塩基配列を検出しうる10〜25塩基長のオリゴヌクレオチドが好ましく、具体的には以下の(I)〜(XIII)の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから選択される。
(I)配列番号1で表される塩基配列からなる核酸検出用
5´−CTTGTGCAAGCAATG−3´(配列番号34)
(II)配列番号2で表される塩基配列からなる核酸検出用
5´−CTTCCACAGGCAATG−3´(配列番号35)
(III)配列番号3で表される塩基配列からなる核酸検出用
5´−GACAACTATCTACCA−3´(配列番号36)
(IV)配列番号4で表される塩基配列からなる核酸検出用
5´−TGGCAAACTGCCAGG−3´(配列番号37)
(V)配列番号5で表される塩基配列からなる核酸検出用
5´−GGTGTAGCACGCATG−3´(配列番号38)
(VI)配列番号6で表される塩基配列からなる核酸検出用
5´−ATCCTGCGTGTCAGT−3´(配列番号39)
(VII)配列番号7で表される塩基配列からなる核酸検出用
5´−GCTTCCCCATTCCCA−3´(配列番号40)
(VIII)配列番号8で表される塩基配列からなる核酸検出用
5´−GATGCTCCAGTCACC−3´(配列番号41)
(IX)配列番号9で表される塩基配列からなる核酸検出用
5´−ACTCCTAGATGCGTA−3´(配列番号42)
(X)配列番号9で表される塩基配列からなる核酸検出用
5´−TATATACGCATCTAG−3´(配列番号43)
(XI)配列番号10で表される塩基配列からなる核酸検出用
5´−TATGAAATTTGCTCA−3´(配列番号44)
(XII)配列番号10で表される塩基配列からなる核酸検出用
5´−AGCCATTCTATAGGA−3´(配列番号45)
(XIII)配列番号11で表される塩基配列からなる核酸検出用
5´−TCAGCAGATAGGTTA−3´(配列番号46)
【0043】
本発明の捕獲オリゴヌクレオチドは、(1)上記配列番号34〜46のいずれか1つに表される塩基配列のほか、以下の(2)〜(5)の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから選択され、配列番号1〜11で表される塩基配列のいずれか1つからなる核酸を検出しうるオリゴヌクレオチドを含む。
(2)配列番号34〜46のいずれか1つに表される塩基配列と相補的な塩基配列
(3)配列番号34〜46のいずれか1つに表される塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列
(4)配列番号34〜46のいずれか1つに表される塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列
(5)前記(1)〜(4)の塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入または付加された塩基配列
【0044】
本発明の捕獲オリゴヌクレオチドは、該捕獲オリゴヌクレオチドを少なくとも2種以上含むオリゴヌクレオチド群として使用することが好ましく、配列番号1〜11に記載の塩基配列からなる核酸をそれぞれに検出しうる13種の捕獲オリゴヌクレオチドを少なくとも含む捕獲オリゴヌクレオチド群として使用することが好ましい。
【0045】
前記配列番号1〜11に記載の塩基配列からなる核酸をそれぞれに検出しうる捕獲オリゴヌクレオチドとしては、以下の(I)〜(XIII)の捕獲オリゴヌクレオチドが好適に挙げられる。
(I)配列番号34に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号1に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(II)配列番号35に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号2に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(III)配列番号36に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号3に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(IV)配列番号37に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号4に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(V)配列番号38に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号5に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(VI)配列番号39に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号6に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(VII)配列番号40に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号7に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(VIII)配列番号41に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号8に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(IX)配列番号42に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号9に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(X)配列番号43に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号9に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(XI)配列番号44に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号10に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(XII)配列番号45に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号10に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(XIII)配列番号46に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号11に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
【0046】
前記配列番号1〜11で表される塩基配列において多型部位が存在する場合、捕獲オリゴヌクレオチドは該多型部位を含む塩基配列又はそれらと相補的な塩基配列からなることが好ましい。また、配列番号1〜11の塩基配列において、塩基が置換、欠失及び/又は付加された場合も、当該多型部位を含む塩基配列又はそれらと相補的な塩基配列からなる捕獲オリゴヌクレオチドであることが好ましい。
【0047】
具体的には、配列番号9に表される塩基配列の55位に相当する位置には多型が存在する。したがって、配列番号9に表される塩基配列からなる核酸検出用の捕獲オリゴヌクレオチドは、当該多型部位を含む塩基配列からなることが好ましい。具体的には、例えば、配列番号9に表される塩基配列からなる核酸検出用の上記捕獲オリゴヌクレオチド(IX)は、配列番号9に表される塩基配列の55位における多型部位を含む塩基配列(配列番号42)からなることが好ましい。
【0048】
また、前記配列番号1〜11に表される塩基配列において、品種による欠失、挿入等の差異が高頻度で生じる部位がある場合、当該部位を含む塩基配列及び当該部位を含まない塩基配列からなる2種の捕獲オリゴヌクレオチドを併用することが好ましい。例えば、配列番号9の38〜45位、配列番号10の35〜44位の塩基配列は、米品種により欠失する部位である。したがって、配列番号9及び10に表される塩基配列からなる核酸検出用の捕獲オリゴヌクレオチドは、当該欠失部位を含む塩基配列及び当該欠失部位を含まない塩基配列からなることが好ましい。
【0049】
具体的には、例えば、配列番号9に表される塩基配列からなる核酸検出用の上記捕獲オリゴヌクレオチド(IX)は、配列番号9に表される塩基配列における上記欠失部位を一部含む塩基配列(配列番号42)からなり、捕獲オリゴヌクレオチド(X)は、当該欠失部位を含まない塩基配列(配列番号43)からなることが好ましい。また、配列番号10に表される塩基配列からなる核酸検出用の上記捕獲オリゴヌクレオチド(XI)は、配列番号10に表される塩基配列における上記欠失部位を含む領域の塩基配列であり、当該欠失部位を含まない配列(配列番号44)からなり、捕獲オリゴヌクレオチド(XII)は上記欠失部位を含む領域の塩基配列であり、かつ、当該欠失部位を含む配列(配列番号45)からなることが好ましい。
【0050】
核酸増幅産物と本発明の捕獲オリゴヌクレオチドとのハイブリッド形成を検出し、コシヒカリへの混米の有無を判定する場合、配列番号2、6、9、10に表される塩基配列を検出できる捕獲オリゴヌクレオチド[例えば上記捕獲オリゴヌクレオチド(II)、(VI)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)]を少なくとも用いることが好ましい。また、DNAアレイにより核酸増幅産物を検出し、コシヒカリBLとコシヒカリBL以外のコシヒカリを判別する場合、配列番号2、7、9、10に表される塩基配列を検出できる捕獲オリゴヌクレオチド[例えば上記捕獲オリゴヌクレオチド(II)、(VII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)]を少なくとも用いることが好ましい。また、コシヒカリへの混米の有無の判定及び/又はコシヒカリBLとコシヒカリBL以外のコシヒカリとを判別する場合、核酸増幅産物と本発明の捕獲オリゴヌクレオチドとのハイブリッド形成を検出してさらに細かく判別する場合には、上記した本発明の捕獲オリゴヌクレオチド(I)〜(XIII)の全13種の捕獲オリゴヌクレオチドを含む捕獲オリゴヌクレオチド群を用いることが好ましい。
【0051】
核酸増幅産物と本発明の捕獲オリゴヌクレオチドとのハイブリッド形成を検出し、米の品種を判別する場合、支持体に固定する捕獲オリゴヌクレオチドは、単数でも複数でもよいが、品種をより正確に特定するためには、複数の捕獲オリゴヌクレオチドを含む捕獲オリゴヌクレオチド群を用いることが好ましく、上記した本発明の捕獲オリゴヌクレオチド(I)〜(XIII)の全13種の捕獲オリゴヌクレオチドを含む捕獲オリゴヌクレオチド群を用いることがより好ましい。ここで、複数用いる場合の捕獲オリゴヌクレオチドの選択は、当該捕獲オリゴヌクレオチドが判別することができる米の品種と判別したい米の品種、判別したい米の品種、判別したい米が該当する可能性のある米の品種の情報を参酌することにより、適宜設計する。また、極めて近縁の品種を確実に判別するために、同一の支持体上で複数、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは15以上の多型を網羅的に検出することが、操作の簡便性及び識別の正確性と迅速性の観点から好ましい。
【0052】
(支持体)
捕獲オリゴヌクレオチドを固定する支持体は、捕獲オリゴヌクレオチドを安定して固定することができ、被検米試料に由来する核酸とのハイブリッド形成及び、ハイブリッドの検出に必要な反応工程に耐え得るものであれば、その材質は特に制限されず、例えばスライドガラス、有機高分子、無機高分子、金属、天然高分子、セラミック等を使用することができる。
【0053】
前記有機高分子としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビリニデン、ポリフッ化エチレン、ポリイミド及びアクリル樹脂等が挙げられる。また、無機高分子としては、ガラス、水晶、カーボン、シリカゲル及び、グラファイト等が挙げられる。また、金属としては、金、白金、銀、銅、鉄、アルミニウム、磁石、パラマグネット等が挙げられる。また、天然高分子としては、ポリアミノ酸、セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸及び、それらの誘導体等が挙げられる。また、セラミックとしては、アパタイト、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素及び、炭化ホウ素等が挙げられる。
【0054】
支持体の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、板状、フィルム状、膜状、粒子状等の支持体を好適に用いることが出来るが、板状のものが好ましい。
【0055】
本発明においては、担体を支持体に担持させて、担体を介して捕獲オリゴヌクレオチドを支持体に固定化してもよい。担体としては、担体自体が捕獲オリゴヌクレオチドに結合性を有してもよく、捕獲オリゴヌクレオチドに結合性を有するリンカーを介して捕獲オリゴヌクレオチドを固定化できるものであってもよい。ここで「担持」とは、捕獲オリゴヌクレオチドの支持体上担体への固定化、及び、当該支持体によるハイブリダイゼーションシグナル検出等の際に、洗浄等の目的で使用される水溶性溶剤や有機溶剤等の各種溶剤によって、上記担体が支持体から実質的に脱離しないことを意味する。
【0056】
前記担体は、上記支持体上に担持される限り、単に物理的な接着性を利用して担持されていてもよく、また、化学的に共有結合等を介して担持されていてもよい。また、上記担体は、必要に応じ、支持体上の全面において担持されていても、また、その一部において担持されていてもよい。
【0057】
前記担体としては、有機低分子、有機高分子、無機高分子、金属、天然高分子、セラミック等が挙げられる。ここで、有機低分子としては、例えば、カルボジイミド基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、窒素イペリット基含有化合物、アルデヒド基含有化合物、アミノ基含有化合物等が挙げられる。また、有機高分子、無機高分子、金属、セラミックは、前記したものと同様のものを使用することができる。本発明において特に好ましい担体は、カルボジイミド基含有化合物又はイソシアネート基含有化合物である。
【0058】
(捕獲オリゴヌクレオチドの支持体への固定)
捕獲オリゴヌクレオチドを支持体に固定する手段は、米品種の判別又は混米の有無の判定ができれば特に制限されるものでなく、公知の方法を適宜選択して用いれば良い。例えば、単に物理的な接着性を利用して固定されていてもよく、また、化学的に共有結合等を介して固定されていてもよい。また、紫外線等の電磁波を照射することによって固定することもできる。更に、捕獲オリゴヌクレオチドとカルボジイミド樹脂、窒素イペリット、ポリアミノ酸、ニトロセルロース等の公知の化合物を化学的に結合又は物理的に結合した状態で、これら混合物と担体を接触させ固定させても良く、また、このとき適宜紫外線等の電磁波を照射して固定を行うこともできる。ここで、支持体において上記捕獲オリゴヌクレオチドを固定する場所については、支持体の全面であっても、また、その一部にであってもよい。
【0059】
また、捕獲オリゴヌクレオチドを支持体上に固定化する際、固定化されたオリゴヌクレオチドが占める場所の形状は、被検米試料に由来する核酸とのハイブリッド形成に影響を及ぼさず、また、検出が困難にならなければ特にその形状は制限されないが、例えば、円形、四角形などが挙げられる。
【0060】
固定化に用いられる具体的な手段としては、分注機器を用いる方法、ピン式スポット機器を用いる方法、インクジェット式スポット機器を用いる方法などが例示でき、これらにより捕獲オリゴヌクレオチド溶液は、通常ほぼ円形の形状にて支持体の一部分に固定化できる。
【0061】
支持体上へ各捕獲オリゴヌクレオチドが固定化される部位のサイズは、直径10μm〜1,000μmのサイズに固定されることが好ましい。これより小さいと検出が困難になり、また、これより大きいと配置された捕獲オリゴヌクレオチド全体の占める面積が大きくなり、操作性が悪くなるという問題が生じることがある。
【0062】
各捕獲オリゴヌクレオチドの支持体上への配置は、米品種の判別または混米の有無の判定が出来れば特に制限されないが、これらの判別または判定を容易にするために捕獲オリゴヌクレオチドを1区画にまとめるか、あるいは一列に並べるなどして配置することが好ましい。
【0063】
なお、担体を支持体に担持させて、担体を介して捕獲オリゴヌクレオチドを支持体に固定する場合、捕獲オリゴヌクレオチドの固定は、担体に直接担持させる方法のほか、捕獲オリゴヌクレオチドに担体との結合性を有するリンカーを介して担体に担持させる方法により行うことができる。ここで、リンカーとしては、例えばカルボジイミド基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、窒素イペリット基含有化合物、アルデヒド基含有化合物及びアミノ基含有化合物等が挙げられ、より具体的には核酸ホモポリマーを有するリンカー(DNattachTM、日清紡績株式会社製)が挙げられる。
【0064】
(ハイブリッド形成)
核酸増幅産物と捕獲オリゴヌクレオチドとのハイブリッド形成は上記捕獲オリゴヌクレオチドを固定した例えば核酸検出用メンブレン上などで実施することもできるが、前述した捕獲オリゴヌクレオチドを固定した支持体を用いることが好ましい。当該支持体を用いることにより、極近縁な関係にある米の品種も迅速、簡便且つ正確に、視認性に優れた識別を行うことが可能になる。ハイブリダイゼーションに用いる方法としては特に限定されるものではなく、公知の核酸ハイブリイド形成方法を適宜採用して用いることができる。以下に具体的なハイブリダイゼーション方法の一態様を示す。
【0065】
Standard Saline Citrate(SSC)などの緩衝塩溶液、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ウシ血清アルブミン(BSA)などの非特異的吸着の阻害剤、及びハイブリダイゼーション反応促進のための添加剤を含む混合溶液に予め標識を施した核酸増幅産物を加える。当該核酸増幅産物が2本鎖を形成する場合は、加熱等による変性を施す。捕獲オリゴヌクレオチドが固定された支持体上に上述の標識した核酸増幅産物を含む混合溶液を適量、好ましくは20〜100μl添加した後、通常適当な温度、好ましくは30℃〜80℃の熱を数時間加え、支持体上に固定されている捕獲オリゴヌクレオチドと核酸増幅産物との塩基配列に特異的なハイブリッドを形成させる。次いで、前出混合溶液を取り除き、支持体上に5×SSC溶液又は3Mテトラメチルクロライド溶液等の溶液を加えて適温、好ましくは30℃〜80℃で加熱し、非特異的なハイブリッドを形成している核酸増幅産物を支持体上から剥離させ、特異的なハイブリッドのみを選択的に支持体上に残存させる。
【0066】
(ハイブリッド形成の検出)
ハイブリッド形成の検出は、ハイブリダイゼーションシグナルにより検出することができる。ハイブリダイゼーションシグナルの検出は、通常上記ハイブリダイゼーションと連続的に行われる。ハイブリッドの検出に用いる方法は、上記の核酸増幅産物を標識した物質に依存する。すなわち、ハイブリッドの検出には、ターゲット核酸の標識に用いられた蛍光物質やハプテン等の標識物質を使用する。従って、当該標識物質を検出できる公知の方法を適宜選択して使用すればよい。例えば、蛍光物質を使用する場合は、専用の蛍光スキャナーを用いてハイブリダイズした核酸増幅産物に標識された蛍光を検出する。他方、ハプテンを使用する場合は、ハプテンを認識するタンパク質又はそれに結合する別のタンパクと、アルカリフォスファターゼ又はホースラディッシュ・ペルオキシダーゼなどの結合体(酵素コンジュゲートと呼ぶ)を含む溶液を支持体上に加え、例えば、室温で数10分間反応させる。
【0067】
ハイブリッドの視覚化は、ハプテンと酵素コンジュゲートとの結合体が存在する場合にのみ不溶化合物が形成されるような色素化合物を添加することにより行うことができる。その不溶性化合物の生成は酵素反応によって増幅され、ハイブリッドが形成されている捕獲オリゴヌクレオチドの固定化部位が色素によって可視化される。添加される化合物としては、酵素コンジュゲートの酵素部分がアルカリフォスファターゼで構成される場合には、ニトロブルーテトラゾリウムクロライド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸−p−トルイジン塩が挙げられ、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼで構成される場合には、3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジンなどが挙げられる。
【0068】
捕獲オリゴヌクレオチドを固定化した位置におけるハイブリッドの色素沈着又は蛍光発色等の有無を判定して、核酸増幅処理により得られた増幅産物の有無を決定し、被検試料中に含まれる米品種の判別又は混米の有無の判定を行うことができる。すなわち、ハイブリッドを検出した場合には、当該色素沈着等が存在する位置に固定化された捕獲オリゴヌクレオチドに対応する品種が、被検試料中に含まれていることを意味する。
【0069】
本発明の米品種判別キット又はコシヒカリへの混米の有無判定キットは、上述の米の品種判別方法又はコシヒカリへの混米の有無判定方法を実施するためのキットであり、上記プライマーセット、上記捕獲オリゴヌクレオチド群、上記ハイブリダイゼーション及びハイブリッドの検出に使用する試薬、器具を含むものである。
【0070】
ハイブリダイゼーションにおいて用いる試薬としては、例えばStandard Saline Citrate(SSC)などの緩衝塩溶液、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ウシ血清アルブミン(BSA)などの非特異的吸着の阻害剤、及びハイブリダイゼーション反応促進のための添加剤などを挙げることができる。
【0071】
ハイブリッドの検出に用いる試薬としては、例えばハプテンを認識するタンパク質と酵素との結合体(酵素コンジュゲート)や、ニトロブルーテトラゾリウムクロライド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸−p−トルイジン塩、3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン等の試薬を挙げることができる。
【0072】
なお、例示したハイブリダイゼーション及びハイブリッド検出に使用する試薬は、これらに限定されるものではなく、目的に見合う適切な試薬を適宜選択してキットの構成とすれば良い。
【0073】
更に、上記キットは、上記核酸試料の調製に使用する試薬、及び/又は上記の核酸増幅産物の調製に使用する試薬を含むものが好ましい。
【0074】
核酸増幅産物の調製に使用する試薬としては、例えばPCR用の緩衝液、耐熱性DNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオチド三リン酸混合溶液等が挙げられ、核酸調製工程で使用する試薬としては、DNA抽出用の緩衝液等を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく目的に見合う適切な試薬を適宜選択してキットの構成とすれば良い。また、ターゲット核酸を作製するためのプライマーもキットに含めることができる。
【0075】
本発明の米の品種判別方法及びコシヒカリへの混米の有無判定方法、並びに米の品種判別キット及びコシヒカリへの混米の有無判定キットは、米の品種判別及びコシヒカリへの混米の有無の判定が必要な用途全てに用いることができる。具体的には、例えば、播種時における米の種子の判別、苗の判別、収穫時における米の判別、米の流通段階で品種を判別するかあるいは混米の有無を判定する必要がある場合、米の種子の品種を管理する場合、更には炊飯後の米の品種を判別するかあるいは混米の有無を判定する必要がある場合等に好適に用いられる。
【実施例】
【0076】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0077】
[実施例1]
(1)プライマーの設計
本発明を実施するにあたり、配列番号1〜11の多型を含む基準の配列の核酸を増幅しうるフォワードプライマー及びリバースプライマーを設計した。表1に本実施例において使用した多型を含む基準配列番号、プライマー及びプライマー対の関係を示す。
【0078】

【表1】

【0079】
(2)プライマーの合成
定法に従い、オリゴヌクレオチド合成機(Perkin−elmer Applied biosystems社製)を用いて、表1に示すプライマー(配列番号12〜33)について、未修飾のプライマー、または5´末端にビオチン修飾したプライマーを合成し、脱保護を施した後、乾燥させた。その後、Distilled Water(Invitrogen社製)を用いて溶解し、2pmol/μLのプライマー溶液をそれぞれ調製した。
【0080】
(3)プライマーセットの調製
マルチプレックスPCRを実施するために、上記(2)で調製した各プライマー溶液を混合し、11種のプライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを調製した。表2に、調製したプライマーセットの配合を示す。なお、ビオチン修飾プライマー及び未修飾プライマーも同様に配合し、プライマーセットを調製した。
【0081】
【表2】

【0082】
(4)鋳型DNAの抽出
被検米試料からのDNA抽出は、Wizard(R) Magnetic DNA Purification System for Food(Promega社製)を用いて行い、マルチプレックスPCRの鋳型DNAとした。被検米試料は平成15年度の作付面積上位20品種であるコシヒカリ、ひとめぼれ、ヒノヒカリ、あきたこまち、きらら397、キヌヒカリ、はえぬき、ほしのゆめ、つがるロマン、ササニシキ、ゆめあかり、日本晴、ハナエチゼン、夢つくし、あいちのかおり、むつほまれ、あさひの夢、ハツシモ、ななつぼし、ふさおとめの玄米を一粒ずつ被検試料とした純米試料(表3、検体番号1〜20)、及び、コシヒカリ19粒に対して上記ひとめぼれからふさおとめ(表3、検体番号2〜20)まで計19品種の玄米をそれぞれ各1粒混合させて20粒とした混米試料を用いた(表3、検体番号Kb2〜Kb20)。
【0083】
【表3】

【0084】
(5)マルチプレックスPCR
上記(4)で抽出した米由来のゲノムDNAを鋳型として、マルチプレックスPCRにより核酸増幅産物を調製した。具体的なPCRの反応組成及び反応条件を表4に示す。
【0085】
【表4】

【0086】
(6)電気泳動
マルチプレックスPCRによって得られた増幅産物溶液を純米の場合は2μl、混米の場合は5μlを8%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動により各DNAを分離後、SYBR Green1 nucleic acid gel stain(invitrogen社製)で染色し、紫外線照射により識別バンドの電気泳動パターンを観察した。なお、DNA分子量マーカーには、20bp DNA Ladder(TaKaRa社製)を使用した。
【0087】
(7)結果
図1に、純米検出のために、11種のプライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを使用し、単一品種の被検米試料20粒より抽出したゲノムDNAを鋳型としたPCR産物の電気泳動パターンを示す。図1中のレーン番号は、表3に記載の検体番号に対応する。
【0088】
なお、400bp付近に確認されるバンドは、互いに異なるマーカーのフォワードプライマーとリバースプライマーによって増幅したPCR産物であるため、本発明における増幅目的のPCR産物ではない。よって、301bp以下のバンドを識別バンドとして用いた(以下、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを用いた実施例においても同様とした)。
【0089】
図2に、混米の有無を判定するために、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを使用し、コシヒカリ19粒に対し表3に示した検体番号2から検体番号20の品種1粒を混米させた被検試料より抽出したゲノムDNAを鋳型としたPCR産物の電気泳動パターンを示す。図2中、レーン1はコシヒカリ純米の結果を示し、レーン2〜20は表3に記載の検体番号(Kb2〜Kb20)に対応する5%混米の電気泳動パターンを示す。
【0090】
表5に、図1における各純米品種の電気泳動による識別バンドの判定表を示す。表5中の+及び−は、それぞれ識別バンドの有及び無を示す。なお、プライマー対番号I及びプライマー対番号Jにおいて、マルチプレックスPCRの際に、鋳型となる米品種により増幅するPCR産物の鎖長に違いが生じる。これら鎖長の相違を、表5中において、aあるいはbで示す。コシヒカリを例にとると、プライマー対番号Iにおいてはa(100bp)、プライマー対番号Jにおいてはa(87bp)が識別され、それ以外の識別バンドは無いことが分かった。
【0091】
また、表5中において、プライマー対番号Iによって得られる識別バンドa及びb、またプライマー対番号Jによって得られる識別バンドa及びbは、得られるPCR産物それぞれの分子量が極めて近く、実際の電気泳動写真上では重なって観察された。それゆえ、図1及び図2における純米品種判別及び5%混米の有無の判定には、表5を用いて行った。
【0092】
【表5】

【0093】
(8)考察
コシヒカリ純米の場合は得られた識別バンドは2本であったが(図1及び図2のレーン1)、それ以外の純米の場合(図1)、及び混米ありの場合(図2)には3本以上の識別バンドが検出された。このことから、11種のプライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを用いてマルチプレックスPCRを行い、PCR産物の電気泳動により検出される識別バンド数を調べることによって、コシヒカリ純米か否かを判別できることが分かった。また、被検試料が純米である場合には、識別バンド数の違い及び識別バンドの鎖長の違いにより、表3に示す検体番号1〜20の品種のうち少なくとも15品種以上の米品種を判別できることが分かった。
【0094】
[実施例2]
(1)捕獲オリゴヌクレオチドの設計
DNAアレイを使用して、米の品種判別、及びコシヒカリへの混米の有無の判定を行うために捕獲オリゴヌクレオチドを設計した。設計した13種の捕獲オリゴヌクレオチド(I)〜(XIII)の配列番号(配列34〜46)、プライマー及びプライマー対(A)〜(K)の関係を表6に示す。配列番号42〜45に表される塩基配列からなる捕獲オリゴヌクレオチド(IX)〜(XII)は、米の品種に特異的又は米の品種間で高頻に差異を示す特徴的な塩基配列を含む捕獲オリゴヌクレオチドであり、また、配列番号34〜41及び配列番号46に表される塩基配列からなる捕獲オリゴヌクレオチド(I)〜(VIII)および(XIII)は、米の品種に特異的な増幅の有無を検出する捕獲オリゴヌクレオチドである。
【0095】
【表6】

【0096】
(2)捕獲オリゴヌクレオチドの合成
ポリカルボジイミド樹脂をコートしたスライドガラス「カルボステーション(商標登録第4574974号、日清紡績株式会社製)」に捕獲オリゴヌクレオチドを固定化する場合は、捕獲オリゴヌクレオチドの5´末端にアミノリンカーを付加し、また、表面未処理のポリカーボネート樹脂製スライド(帝人株式会社製)に捕獲オリゴヌクレオチドを固定化する場合は、捕獲オリゴヌクレオチドの5´末端に核酸ホモポリマーを有するリンカー(DNattachTM、日清紡績株式会社製)を付加して、実施例1と同様に定法に従い合成した。
【0097】
(3)支持体への捕獲オリゴヌクレオチドの固定化:DNAアレイの作製
捕獲オリゴヌクレオチド溶液10μlに対してマイクロスポッティング溶液(TeleChem International Inc.製)を10μl混合し、マイクロタイタープレート(Greiner Laboratory Inc.製)上に分注した。スポッティングマシンの所定の位置に表面未処理のポリカーボネート樹脂製スライド(帝人株式会社製)又は、ポリカルボジイミド樹脂で表面を処理したスライドグラス「カルボステーション(商標登録第4574974号、日清紡績株式会社製)」を配置し、スポッティングマシンを作動させ、表7に示したスポットの並びとなるようにスライドグラス上に捕獲オリゴヌクレオチド溶液をスポッティングした。
【0098】
スポッティング終了後、紫外線を600mJ照射したものを3% BSA(ウシ血清アルブミン)を含む100mM Tris−HCl(pH7.5)、100mM NaCl、0.1% Triton X−100に30分間浸し、ブロッキングした。その後、10mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM EDTA緩衝液で洗浄した。最後に滅菌水でリンスし、スライドグラスを乾燥させ、使用するまで乾燥状態で冷暗所にて保存した。
【0099】
支持体上の各スポットに固定化されている捕獲オリゴヌクレオチドの配置を表7に示す。表7中の番号は表6に示した捕獲オリゴヌクレオチドの配列番号を示し、ビオチンは位置を知る目印、及び発色操作に問題が無いことを確認する為にスポットしているビオチン化オリゴマーを示す。
【0100】
【表7】

【0101】
(4)マルチプレックスPCRとハイブリダイゼーション工程
実施例1と同様に、被検米試料からのゲノムDNAの抽出、及びマルチプレックスPCRを行い、得られたPCR産物をターゲット核酸とした。ただし、プライマーセットは5´ビオチン化プライマーを用いて調製したものを使用した。マルチプレックスPCRにより得たターゲット核酸溶液14μlを0.5ml容チューブに取り、95℃で3分間加熱処理を行った後、氷中に3分間浸した。これを室温に戻し、ArrayIt Unihyb Hybridization Solution(TeleChem International Inc.製)36μlを加えて混合し、プローブ核酸溶液とした。プローブ核酸溶液を全量とり、上記(3)で作製したDNAアレイにのせ、その上にカバーフィルムをのせた。これを保湿箱に入れ、さらに50℃に設定した恒温器に入れて60分間静置した。アレイを取り出し、すばやく室温下で2×SSC溶液(2×SSC:0.033M NaCl、0.033M クエン酸ナトリウム)に浸してカバーグラスを除去し、アレイを室温下で2×SSC溶液に5分間浸した。
【0102】
(5)ハイブリダイゼーションシグナルの検出
DNAアレイ上の2×SSC溶液を軽く取り払い、次にVECTASTAIN Elite ABC kit(VECTOR社製)を用いてアビジン−ビオチン化ペルオキシダーゼ複合体を調製したものをアレイ上に1.0ml滴下し、室温下で30分間静置した。その後、アビジン−ビオチン化ペルオキシダーゼ複合体溶液を軽く振り払い、TBST溶液中[50mM Tris−HCl (pH7.6)、0.15M NaCl、0.05% Tween20]にて室温下で5分間の洗浄を2回繰り返した。TMB substrate kit for peroxidase(VECTOR社製)を用いて発色溶液を調製したものをアレイ上に1.0ml滴下し、室温下で30分間静置して、酵素反応により発色させた。アレイを蒸留水で洗浄して酵素反応を停止させ、青色に発色したことを確認した。
【0103】
(6)判定
発色したスポットを目視で確認して結果を判定した。また、OA用スキャナー(GT−8700F、EPSON社製)を用いて600dpiの画像密度でDNAアレイをスキャンして結果の保存を行った。
【0104】
(7)結果
コシヒカリ20粒(検体番号1)、及び実施例1の表3に示した混米試料(検体番号Kb2〜Kb20)に対する捕獲オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションシグナルの有無を表8に、DNAアレイの発色画像を図3に示す。なお、表8中の+は、ハイブリッドが形成され発色反応によりハイブリダイゼーションシグナルが検出されたことを示し、−はハイブリッドが形成されず、ハイブリダイゼーションシグナル検出されなかったことを示す。
【0105】
【表8】

【0106】
(8)考察
図3及び表8から分かるように、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットによるマルチプレックスPCRと、捕獲オリゴヌクレオチド(I)〜(XIII)を用いたDNAアレイにより、コシヒカリへの混米を確認できることが分かった。また、陰性コントロールへの発色も見られなかったことから、非特異的増幅は無かったことが分かった。
【0107】
[実施例3]
実施例2で作製したDNAアレイを使用し、実施例1の表3に示した作付面積上位20品種及び表9に示したそれ以外の品種、それぞれ20粒(純米)より抽出したゲノムDNAの品種判別を実施した。
【0108】
【表9】

【0109】
(1)方法
被検米試料からのDNA抽出は、実施例1と同様に行い、マルチプレックスPCRの鋳型DNAとした。マルチプレックスPCR、DNAアレイによるハイブリダイゼーション工程、ハイブリダイゼーションシグナルの検出及びその判定は実施例2と同様に実施した。
【0110】
(2)結果
図4〜8に、実施例1の表3及び上記表9に示した米品種それぞれ各20粒を被検試料とした場合のDNAアレイによる検出結果を示す。また、表10〜12に、119品種に対しての捕獲オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションの有無を示す。なお、表10〜12中の+は、ハイブリッドが形成されハイブリダイゼーションシグナルが検出されたことを示し、−はハイブリッドが形成されず、ハイブリダイゼーションシグナルが検出されなかったことを示す。
【0111】
【表10】

【0112】
【表11】

【0113】
【表12】

【0114】
(3)考察
表10〜12及び図4〜8から分かるように、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットによるマルチプレックスPCRの増幅産物を捕獲オリゴヌクレオチド(I)〜(XIII)を用いたDNAアレイにより検出した結果、表3及び表9に示した全119品種について全て異なるシグナルパターンが得られた。すなわち、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを用いて得られたPCR産物の電気泳動及び捕獲オリゴヌクレオチド(I)〜(XIII)を用いたDNAアレイによれば、表3及び表9に示した全119品種を1回のPCRで判別出来ることが分かった。
【0115】
[実施例4]
検出限界となるゲノム濃度について、市販のコメ品種判別用PCRキットである、TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit I」及び「コメ判別用PCR Kit II(コシヒカリネガキット)」を使用した場合(比較例)と、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを使用した場合(実施例)とを比較した。
【0116】
(1)マルチプレックスPCR
実施例1で抽出した米のゲノムDNAを鋳型として、TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit I」、及び「コメ判別用PCR Kit II(コシヒカリネガキット)」を使用してマルチプレックスPCRを行った。TaKaRa社製のコメ品種判別用PCRキットは、Kit I及びKit IIをセットで使うため、1度の試験に2回のPCRが必要になる。具体的なPCRの反応組成及び反応条件については、説明書に示されている通りに行った。被検米試料及びゲノム濃度の詳細は、表13及び表15に示す。なお、DNA量はUVで測定した。
【0117】
一方、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットにおいては、実施例1で抽出した米のゲノムDNAを鋳型として、実施例1と同様の条件でマルチプレックスPCRを行った。ただし、当該プライマーセットは、5´ビオチン化及び/又は未修飾プライマーを用いて調製したものを使用した。被検米試料及びゲノム濃度の詳細は、表14及び表16に示す。なお、DNA量はUVで測定した。
【0118】
(2)電気泳動
TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit I」、及び「コメ判別用PCR Kit II(コシヒカリネガキット)」を使用して得られたPCR産物溶液5μlを2%アガロースゲルで電気泳動により増幅産物を分離後、臭化エチジウム(以下エチジウムブロマイド又はEtBr)、及び、SYBR Green1 nucleic acid gel stain (Invitrogen社製、以下SYBR GreenI)にて染色し、その後、紫外線照射によりPCR産物の電気泳動パターンを観察した。
【0119】
一方、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットにおいては、当該プライマーセットを使用して得られたPCR産物溶液5μlを8%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動により増幅産物を分離後、エチジウムブロマイド、及び、SYBR GreenIにて染色し、その後、紫外線照射によりPCR産物の電気泳動パターンを観察した。
【0120】
(3)電気泳動の結果
図9に、TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit I」を使用して、単一品種の米コシヒカリより抽出したゲノムDNAを用いてマルチプレックスPCRを行い、得られたPCR産物の電気泳動の結果を示す。図9の左図はエチジウムブロマイドによる染色、図9の右図はSYBR GreenIによる染色結果を示す。図9のレーン1から10については表13に記載の検体番号を示す。また、表13に、図9の各レーン番号に対応する被検米試料の説明、及び、電気泳動における判別の可否を示す。なお、コシヒカリ1とコシヒカリ2はサンプルの入手先が異なることを示す。
【0121】
図10に、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを使用し、単一品種の米コシヒカリより抽出したゲノムDNAを用いてマルチプレックスPCRを行い、得られたPCR産物の電気泳動の結果を示す。図10の左図はエチジウムブロマイドによる染色、右図はSYBR GreenIによる染色結果を示す。図10のレーン1から13については表14に記載の検体番号を示す。また、表14に、各レーン番号に対応する被検米試料の説明、及び、電気泳動における判別の可否、ハイブリダイゼーションでの判別可否を示す。なお、コシヒカリ1とコシヒカリ2はサンプルの入手先が異なることを示す。
【0122】
図11に、TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit II(コシヒカリネガキット)」を使用し、混米の有無の判定のために、コシヒカリ19粒に対しあいちのかおり1粒を混米させた試料より抽出したゲノムDNAを用いてマルチプレックスPCRを行い、得られたPCR産物の電気泳動の結果を示す。図11の左図はエチジウムブロマイドによる染色、図11の右図はSYBR GreenIによる染色結果を示す。図11のレーン1から12については表15に記載の検体番号を示す。また、表15に各レーン番号に対応する被検米試料の説明、及び、電気泳動における判別の可否を示す。なお、コシヒカリ1とコシヒカリ2、及び、あいちのかおり1とあいちのかおり2、はそれぞれサンプルの入手先が異なることを示す。
【0123】
図12に、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを使用し、混米の有無の判定のために、コシヒカリ19粒に対しあいちのかおり1粒を混米させた試料より抽出したゲノムDNAを用いてマルチプレックスPCRを行い、得られたPCR産物の電気泳動の結果を示す。図12の左図はエチジウムブロマイドによる染色、図12の右図はSYBR GreenIによる染色結果を示す。図12のレーン1から13については表16に記載の検体番号を示す。また、表16に、各レーン番号に対応する被検米試料の説明、及び、電気泳動における判別の可否、ハイブリダイゼーションでの判別可否を示す。なお、コシヒカリ1とコシヒカリ2はサンプルの入手先が異なることを示す。
【0124】
【表13】

【0125】
【表14】

【0126】
【表15】

【0127】
【表16】

【0128】
(4)捕獲オリゴヌクレオチド(I)〜(XIII)を用いたDNAアレイによるハイブリダイゼーションシグナルの検出
上記(1)で得られたプライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを用いて得られたPCR産物について、実施例2で作製したDNAアレイを使用し、実施例3と同様に、DNAアレイによるハイブリダイゼーションシグナルの形成を確認した。被検米試料及びゲノム濃度の詳細は、表14及び表16に示す。
【0129】
(5)ハイブリダイゼーションの結果
上記(4)の検出結果について、表14に対応する検出結果を図13に、表16に対応する結果を図14に示す。
【0130】
(6)考察
・コシヒカリ純米での感度試験
図9及び表13から分かるように、TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit I」において、PCR反応液20μl中のコシヒカリゲノムを0.5ng投入し、PCR産物を電気泳動で検出した場合、3本あるはずの識別バンドの確認ができない場合があることが分かった(図9、レーン7)。
【0131】
一方、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを使用した場合、図10及び表14から分かるように、PCR産物を電気泳動で検出することにより、PCR反応液20μl中のゲノムDNA量が0.5ng、0.1ngであっても識別バンドが確認できることが分かった(図10、レーン6、7、11、12)。
【0132】
また、図13及び表14から分かるように、捕獲オリゴヌクレオチド(I)〜(XIII)を用いたDNAアレイにより上記PCR産物を検出することにより、PCR反応液20μl中のコシヒカリゲノム量が0.1ngでも識別バンドが確認できることが分かった。
【0133】
・5%混米での感度試験
図11及び表15から分かるように、TaKaRa社製「コメ判別用PCR KitII(コシヒカリネガキット)」によるPCR産物の電気泳動により混米の有無を検出したところ、PCR反応液20μl中のゲノム量が5ng(SYBR GreenIでは1ng)までは、5%の混米を確認できたが、PCR反応液20μl中のゲノム量が0.5ngとした場合は増幅産物が確認できなかった。
【0134】
一方、図12、及び表16から分かるように、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットによるPCR産物の電気泳動により混米を検出すれば、PCR反応液20μl中のゲノム量が0.5ng、0.1ngであっても混米の有無を判定することが可能であることが分かった。また、SYBR GreenIではさらに少ないゲノム量(0.025ng)でも混米であることが確認できた(図12、レーン7)。
【0135】
また、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを用いて得られたPCR産物と捕獲オリゴヌクレオチド(I)〜(XIII)を用いたDNAアレイのハイブリダイゼーションシグナルを検出することにより、表16に示したようにPCR反応液20μl中のゲノム量が0.025ngの場合でも混米であることが確認できることが分かった。すなわち、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを用いて得られたPCR産物の電気泳動、及び捕獲オリゴヌクレオチド(I)〜(XIII)を用いたDNAアレイにより、少ないゲノム量の検体であっても混米の有無を判定できることが分かった。
【0136】
[実施例5]
千葉県産コシヒカリと新潟県産コシヒカリ(BL)とを判別するため、実施例2で作製したDNAアレイを使用し、各20粒より抽出したゲノムを用いて、電気泳動及びDNAアレイによる判別を行った。
【0137】
(1)方法
実施例1と同様に、被検米試料からゲノムDNAを抽出し、これをマルチプレックスPCRの鋳型DNAとした。また、実施例2と同様にマルチプレックスPCRを行い、PCR産物を得た。
電気泳動による判別は実施例1と同様に、またDNAアレイの作製、DNAアレイによるハイブリダイゼーション工程、及びハイブリダイゼーションシグナルの検出による判別は実施例2と同様に行った。
【0138】
(2)結果
図15に千葉県産コシヒカリと新潟県産コシヒカリ(BL)由来のゲノムDNAを鋳型としてマルチプレックスPCRを行い、得られたPCR産物を電気泳動で検出した結果(図15左図)、及びDNAアレイにより検出した結果(図15右図)を示す。電気泳動の結果、千葉県産コシヒカリは2本の識別バンドが、新潟産のコシヒカリでは3本の識別バンドが検出された(図15左図)。また、DNAアレイによるハイブリダイゼーションシグナルは千葉県産コシヒカリでは2スポット、新潟県産コシヒカリ(BL)では3スポット検出された(図15右図)。
【0139】
(3)考察
図15左図に示す電気泳動により検出された3本の識別バンド(301bp以下のバンドを識別バンドとして用いる)は、コシヒカリBLを示唆するものであった。したがって、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを用いて得られたPCR産物の電気泳動により、新潟県産コシヒカリ(BL)と新潟県産コシヒカリ(BL)以外のコシヒカリとを判別できることが分かった。
【0140】
また、図15右図に示したように、DNAアレイによるハイブリダイゼーションシグナルは千葉県産コシヒカリでは2スポット、新潟県産コシヒカリ(BL)では3スポット検出され、ハイブリダイゼーションシグナルのパターンが明らかに異なっていた。更に、新潟県産コシヒカリ(BL)によるハイブリダイゼーションシグナルのパターン(図15右図)は実施例3(図4〜8)に示した119品種のどのパターンとも異なっていた。これらの結果から、捕獲オリゴヌクレオチド(I)〜(XIII)を用いたDNAアレイによれば、新潟県産コシヒカリ(BL)と新潟県産コシヒカリ(BL)以外のコシヒカリとを判別できることが分かった。
【0141】
[実施例6]
検出限界となる混米のパーセンテージについて、市販のコメ判別用PCRキットである、TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit I」、及び「コメ判別用PCR Kit II(コシヒカリネガキット)」を使用した場合(比較例)と、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを用いた場合(実施例)とを比較した。
【0142】
(1)方法
被検米試料及びゲノム濃度の詳細は、表17に示したように行い、マルチプレックスPCR、電気泳動、ハイブリダイゼーションは実施例4と同様に行った。ただし、表17のレーン18及びレーン19は、図18及び図19でのみ使用している。
【0143】
【表17】

【0144】
(2)結果
図16に、TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit I」を使用し、表17に示した被検米試料から抽出したゲノムDNAを鋳型DNAとしてマルチプレックスPCRを行い、得られたPCR産物を2%アガロースゲルで電気泳動し、SYBR GreenIに用いて染色した結果を示す。図16の左図はPCR反応液20μl中に0.5ngのゲノムDNA量を投入した場合、図16の右図はPCR反応液20μl中に10ngのゲノムDNA量を投入した場合の結果を示す。また、図16のレーン1からレーン17については表17に記載の検体番号を示す。
【0145】
図17に、TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit II(コシヒカリネガキット)」を使用し、表17に示した被検米試料から抽出したゲノムDNAを鋳型DNAとしてマルチプレックスPCRを行い、得られたPCR産物を2%アガロースゲル電気泳動し、SYBR GreenIを用いて染色した結果を示す。図17の左図はPCR反応液20μl中に0.5ngのゲノムDNAを投入した場合、図17の右図はPCR反応液20μl中に10ngのゲノムDNAを投入した場合の結果を示す。図17のレーン1からレーン17については表17に記載の検体番号を示す。
【0146】
図16及び図17において、ゲノムDNA量を0.5ng又は10ngとした場合の混米判定可否を表18に示す。
【0147】
【表18】

【0148】
図18に、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを使用し、表17に示した被検米試料から抽出したゲノムDNAを鋳型DNAとしてマルチプレックスPCRを行い、得られたPCR産物を8%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、SYBR GreenIを用いて染色した結果を示す。図18のレーン1からレーン19については表17に記載の検体番号を示す。なお、マルチプレックスPCRは、PCR反応液20μl中に0.5ngのゲノムDNA量を投入して行った。また、図18のレーン1からレーン19については表17に記載の検体番号を示す。
【0149】
図19に、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを使用し、表17に示した被検米試料から抽出したゲノムDNAを鋳型DNAとしてマルチプレックスPCRを行い、得られたPCR産物と捕獲オリゴヌクレオチド(I)〜(XIII)を用いたDNAアレイのハイブリダイゼーションを行った結果を示す。なお、マルチプレックスPCRは、PCR反応液20μl中に0.5ngのゲノムDNA量を投入して行った。また、図19の番号は表17に記載の検体番号に対応する。
【0150】
図18及び19の結果に基づき、電気泳動による検出及びDNAアレイ(による混米判定可否をまとめた結果を表19に示す。
【0151】
【表19】

【0152】
(3)考察
図16及び表18から分かるように、TaKaRa社製「コメ判別用PCR kitI」を使用した場合、PCR反応液20μl中にゲノムDNA0.5ngを投入した場合、95%以上は存在するはずのコシヒカリの検出が困難であった。PCR反応液20μl中にゲノムDNAを10ng投入した場合も同様であった。また、図17及び表18から分かるように、TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit II(コシヒカリネガキット)」を使用した場合、PCR反応液20μl中にゲノムDNA0.5ngを投入した場合でも10ngを投入した場合でも、混米しているにも関わらず、きらら397を5%混入させた場合のみ薄い識別バンドが検出できた以外に増幅産物の識別バンドは検出出来なかった。
【0153】
一方、図18及び表19から分かるように、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを用いた場合、PCR反応液20μl中にゲノムDNA0.5ngを投入した場合、図18のレーン17(コシヒカリ純米)で検出される識別バンド以外の識別バンドが検出できた。この結果から、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを用いて得られたPCR産物を電気泳動で検出することにより、1%の混米は確実に検出でき、品種によっては0.1%の混米でも検出できることが分かった。また、図19及び表19から分かるように、DNAアレイによる結果も良好であり、5%混米の場合混ざっている米品種まで判別でき、1%混米の場合では混ざっている米品種は不明なものの混米の有無は検出可能であった。この結果から、捕獲オリゴヌクレオチド(I)〜(XIII)を用いたDNAアレイによれば、少ない量のゲノムDNAを鋳型として、たとえ混米率が1%であっても検出可能であることが分かった。
【0154】
[実施例7]
炊飯米によるゲノムを検出しうるかについて、市販のコメ判別用PCRキットである、TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit I」、及び「コメ判別用PCR Kit II(コシヒカリネガキット)」を使用した場合(比較例)と、本発明プライマーセットを用いた場合(実施例)とにおいて検討した。
【0155】
(1)ゲノムDNAの抽出
市販のあきたこまちを家庭用炊飯器(タイガー社製)で2合炊飯したもの、及び、市販の真空パック詰めコシヒカリ炊飯米、それぞれ20粒から、Fast ID(Genetic ID社製)のプロトコールに従ってゲノムDNAを抽出した。
【0156】
(2)マルチプレックスPCR
上記(1)で抽出した炊飯米のゲノムDNAを鋳型として、TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit I」、及び「コメ判別用PCR Kit II(コシヒカリネガキット)」を使用してマルチプレックスPCRを行った。具体的なPCRの反応組成及び反応条件については、説明書に示されている通りに行った。DNA量はUVで測定し、0.5ng、及び、10ngをPCR反応液に用いた。
【0157】
プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットによるマルチプレックスPCRは、実施例1と同様に行った。ただし、当該プライマーセットは、5´ビオチン化及び/又は未修飾プライマーを用いて調製したものを使用した。DNA量はUVで測定し、0.5ngをPCR反応液に用いた。なお、精米より抽出したゲノムDNAをコントロールとして用いた。
【0158】
(3)電気泳動
TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit I」、及び「コメ判別用PCR Kit II(コシヒカリネガキット)」を使用したマルチプレックスPCRにより得られたPCR産物溶液5μlを2%アガロースゲルで電気泳動し、SYBR GreenIにて染色後、紫外線照射により識別バンドの電気泳動パターンを観察した。
【0159】
また、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセット使用したマルチプレックスPCRにより得られたPCR産物溶液5μlを8%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、SYBR GreenIにて染色後、紫外線照射により識別バンドの電気泳動パターンを観察した。
【0160】
(4)電気泳動の結果
図20に、TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit I」、及び「コメ判別用PCR Kit II(コシヒカリネガキット)」を使用したマルチプレックスPCRにより得られたPCR産物における電気泳動の結果を示す。図17の左図はPCR反応液20μl中に0.5ngのゲノムDNAを投入した場合、図17の右図はPCR反応液20μl中に10ngのゲノムDNAを投入した場合の結果を示す。図20のレーン1から16については表20に記載の検体番号を示す。
【0161】
【表20】

【0162】
図21に、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを使用したマルチプレックスPCRにより得られたPCR産物の電気泳動の結果を示す。図21のレーン1から9については表21に記載の検体番号を示す。
【0163】
【表21】

【0164】
(4)DNAアレイ
実施例2、3に示した方法と同様に、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを用いてマルチプレックスPCRを行い得られたPCR産物を使用して、DNAアレイによりハイブリッド形成を検出した。
【0165】
(5)ハイブリダイゼーションの結果
被検米試料の説明において、表21に対応する結果を図22に示す。
【0166】
(6)考察
図20及び表20から分かるように、TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit I」を用いて得られたPCR産物の電気泳動の結果、炊飯米及び精米より抽出したゲノム量0.5ngを投入した場合においては、100%コシヒカリ、100%あきたこまち、及び、5%あきたこまち混米のいずれも検出出来なかった(図20、レーン2〜7)。
【0167】
また、TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit I」を用いて得られたPCR産物の電気泳動の結果、炊飯米より抽出したゲノム量10ngを投入した場合においては、100%コシヒカリは検出が困難であった(図20右、レーン2)が、100%あきたこまち、及び、5%あきたこまち混米では、コシヒカリとは異なる電気泳動パターンが検出された(図20右レーン3及び4)ことから、コシヒカリ以外の品種である可能性が示された。なお、精米より抽出したゲノム量10ngを投入した場合は、100%コシヒカリである電気泳動パターン、及び、それ以外の電気泳動パターンも検出された(図20右、レーン5〜7)。
【0168】
図20及び表20から分かるように、TaKaRa社製「コメ判別用PCR KitII(コシヒカリネガキット)」を用いて得られたPCR産物の電気泳動の結果、炊飯米及び精米より抽出したゲノム量0.5ng、及び、10ngを投入した場合、いずれにおいても、100%コシヒカリは識別バンドが元々検出されないので問題なかった(図20左及び右、レーン8)が、100%あきたこまち、及び、5%あきたこまち混米は検出されなかった(図20左及び右、レーン9及び10)。
【0169】
また、TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit II(コシヒカリネガキット)」を用いて得られたPCR産物の電気泳動の結果、精米より抽出したゲノム量0.5ngを投入した場合は、100%あきたこまちのみ検出され(図20左、レーン12)、ゲノム量10ngを投入した場合には、100%あきたこまち、及び、5%あきたこまち混米ともに検出された(図20右、レーン12及び13)。このことより、コシヒカリ以外の品種である可能性が示された。
【0170】
以上の結果から、TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit I」、及び「コメ判別用PCR Kit II(コシヒカリネガキット)」においては、炊飯米による混米判定検査が適さないことが分かった。
【0171】
一方、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを用いて得られたPCR産物の電気泳動の結果、炊飯米、及び、精米ともに、100%コシヒカリ、100%あきたこまち、及び、5%あきたこまち混米であることが判定可能であることが示された。
【0172】
炊飯米100%コシヒカリ(図21、レーン2)、及び、精米100%コシヒカリ(図21、レーン5)を比較したところ、炊飯米100%コシヒカリ(図21、レーン2)において高鎖長側に見られるバンドが消失することが分かった。この高鎖長側のバンドの消失は、市販の炊飯米に含まれている酸味料などの添加物による影響や、炊飯時のゲノムが切断されることに起因していると考えられた。
【0173】
また、図22から分かるように、捕獲オリゴヌクレオチド(I)〜(XIII)を用いたDNAアレイによるハイブリダイゼーションにおいても、炊飯米、及び、精米ともに結果が良好であった。
【0174】
すなわち、プライマー対(A)〜(K)を含むプライマーセットを用いて得られたPCR産物の電気泳動、及び、捕獲オリゴヌクレオチド(I)〜(XIII)を用いたDNAアレイによれば、被検米試料が炊飯米であっても品種を判別出来ることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】本発明のプライマーセットを使用し、単一品種の米試料20粒より抽出したゲノムDNAを用いてマルチプレックスPCRを行い、PCR産物を電気泳動した結果を示す。(実施例1)
【図2】混米の有無判定のために、本発明のプライマーセットでマルチプレックスPCRを行い、PCR産物を電気泳動した結果を示す。(実施例1)
【図3】DNAアレイによる混米の検出結果の例を示した図である。(実施例2)
【図4】DNAアレイによる検出結果の例を示した図である。(実施例3)
【図5】DNAアレイによる検出結果の例を示した図である。(実施例3)
【図6】DNAアレイによる検出結果の例を示した図である。(実施例3)
【図7】DNAアレイによる検出結果の例を示した図である。(実施例3)
【図8】DNAアレイによる検出結果の例を示した図である。(実施例3)
【図9】TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit I」を使用し、単一品種の米コシヒカリより抽出したゲノムDNAを用いてマルチプレックスPCRを行い、得られたPCR産物を電気泳動した結果を示す。(実施例4)
【図10】本発明のプライマーセットを用いてマルチプレックスPCRを行い、得られたPCR産物を電気泳動した結果を示す。(実施例4)
【図11】TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit II(コシヒカリネガキット)」 を用いてマルチプレックスPCRを行い、得られたPCR産物を電気泳動した結果を示す。(実施例4)
【図12】本発明のプライマーセットを用いてマルチプレックスPCRを行い、得られたPCR産物を電気泳動した結果を示す。(実施例4)
【図13】DNAアレイによる検出結果を示した図である。(実施例4)
【図14】DNAアレイによる検出結果を示した図である。(実施例4)
【図15】DNAアレイ及び電気泳動により新潟産コシヒカリ(BL)と千葉県産コシヒカリを解析した結果を示す。(実施例5)
【図16】TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit I」を用いてマルチプレックスPCRを行い、得られたPCR産物を電気泳動した結果を示す。(実施例6)
【図17】TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit II(コシヒカリネガキット)」 を用いてマルチプレックスPCRを行い、得られたPCR産物を電気泳動した結果を示す。(実施例6)
【図18】本発明のプライマーセットを用いてマルチプレックスPCRを行い、得られたPCR産物を電気泳動した結果を示す。(実施例6)
【図19】DNAアレイによる検出結果を示した図である。(実施例6)
【図20】TaKaRa社製「コメ判別用PCR Kit I」、及び「コメ判別用PCR Kit II(コシヒカリネガキット)」を用いて、マルチプレックスPCRを行い、得られたPCR産物を電気泳動した結果を示す。(実施例7)
【図21】本発明のプライマーセットを用いてマルチプレックスPCRを行い、得られたPCR産物を電気泳動した結果を示す。(実施例7)
【図22】DNAアレイによる検出結果を示した図である。(実施例7)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(1)〜(5)から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号1〜11のいずれか1つに表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対。
(1)下記の(a)〜(k)から選択されるいずれか1つの組み合わせを構成する2種の塩基配列
(a)配列番号12、及び、配列番号23
(b)配列番号13、及び、配列番号24
(c)配列番号14、及び、配列番号25
(d)配列番号15、及び、配列番号26
(e)配列番号16、及び、配列番号27
(f)配列番号17、及び、配列番号28
(g)配列番号18、及び、配列番号29
(h)配列番号19、及び、配列番号30
(i)配列番号20、及び、配列番号31
(j)配列番号21、及び、配列番号32
(k)配列番号22、及び、配列番号33
(2)前記(1)の塩基配列と相補的な塩基配列
(3)前記(1)の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列
(4)前記(1)の塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列
(5)前記(1)〜(4)の塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列
【請求項2】
請求項1に記載のプライマー対を少なくとも2種以上含むプライマーセット。
【請求項3】
配列番号1〜11に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸をそれぞれ増幅しうる少なくとも11種のプライマー対を含む請求項2に記載のプライマーセット。
【請求項4】
配列番号1〜11に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸をそれぞれ増幅しうるプライマー対が、以下の(A)〜(K)のプライマー対である請求項3に記載のプライマーセット。
(A)配列番号12、及び、配列番号23に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号1に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(B)配列番号13、及び、配列番号24に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号2に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(C)配列番号14、及び、配列番号25に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号3に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(D)配列番号15、及び、配列番号26に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号4に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(E)配列番号16、及び、配列番号27に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号5に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(F)配列番号17、及び、配列番号28に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号6に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(G)配列番号18、及び、配列番号29に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号7に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(H)配列番号19、及び、配列番号30に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号8に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(I)配列番号20、及び、配列番号31に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号9に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(J)配列番号21、及び、配列番号32に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号10に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
(K)配列番号22、及び、配列番号33に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択される2種の塩基配列からなる2種のオリゴヌクレオチドからなり、配列番号11に表される塩基配列からなる80塩基以上の核酸を増幅しうるプライマー対
【請求項5】
以下の(1)〜(5)の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから選択され、配列番号1〜11のいずれか1つに表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(1)配列番号34〜46のいずれか1つに表される塩基配列
(2)配列番号34〜46のいずれか1つに表される塩基配列と相補的な塩基配列
(3)配列番号34〜46のいずれか1つに表される塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列
(4)配列番号34〜46のいずれか1つに表される塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列
(5)前記(1)〜(4)の塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列
【請求項6】
請求項5に記載の捕獲オリゴヌクレオチドを少なくとも2種以上含む捕獲オリゴヌクレオチド群。
【請求項7】
配列番号1〜11に記載の塩基配列からなる核酸をそれぞれ検出しうる少なくとも13種の捕獲オリゴヌクレオチドを含む請求項6に記載の捕獲オリゴヌクレオチド群。
【請求項8】
配列番号1〜11に記載の塩基配列からなる核酸をそれぞれ検出しうる捕獲オリゴヌクレオチドが、以下の(I)〜(XIII)の捕獲オリゴヌクレオチドである請求項7に記載の捕獲オリゴヌクレオチド群
(I)配列番号34に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号1に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(II)配列番号35に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号2に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(III)配列番号36に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号3に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(IV)配列番号37に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号4に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(V)配列番号38に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号5に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(VI)配列番号39に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号6に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(VII)配列番号40に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号7に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(VIII)配列番号41に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号8に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(IX)配列番号42に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号9に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(X)配列番号43に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号9に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(XI)配列番号44に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号10に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(XII)配列番号45に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号10に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
(XIII)配列番号46に表される塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列;該塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;該塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる塩基配列;これらの塩基配列のうち1ないし数個の塩基が、置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドからなり、配列番号11に表される塩基配列からなる核酸を検出しうる捕獲オリゴヌクレオチド
【請求項9】
以下の(i)、及び、(ii)の工程を行うことを特徴とする米品種の判別方法。
(i)被検米試料中の米の核酸を調製する核酸調製工程
(ii)工程(i)で調製した核酸を鋳型として、請求項2〜4のいずれか1項に記載のプライマーセットを用いて核酸増幅処理することにより核酸増幅産物を得る核酸増幅工程
【請求項10】
更に、以下の(iii)及び/又は、(iv)の工程を行うことを特徴とする請求項9に記載の米品種の判別方法。
(iii)工程(ii)で得られた核酸増幅産物を電気泳動により検出する検出工程
(iv)工程(ii)で得られた核酸増幅産物と請求項6〜8のいずれか1項に記載の捕獲オリゴヌクレオチド群とのハイブリッド形成を検出する検出工程
【請求項11】
以下の(i)、及び、(ii)の工程を行うことを特徴とするコシヒカリへの混米の有無を判定する方法。
(i)被検米試料中の米の核酸を調製する核酸調製工程
(ii)工程(i)で調製した核酸を鋳型として、請求項2〜4のいずれか1項に記載のプライマーセットを用いて核酸増幅処理することにより核酸増幅産物を得る核酸増幅工程
【請求項12】
更に、以下の(iii)及び/又は、(iv)の工程を行うことを特徴とする請求項11に記載のコシヒカリへの混米の有無を判定する方法。
(iii)工程(ii)で得られた核酸増幅産物を電気泳動により検出する検出工程
(iv)工程(ii)で得られた核酸増幅産物と請求項6〜8のいずれか1項に記載の捕獲オリゴヌクレオチド群とのハイブリッド形成を検出する検出工程
【請求項13】
請求項2〜4のいずれか1項に記載のプライマーセットを含む米品種判別キット、又はコシヒカリへの混米判定キット。
【請求項14】
更に請求項6〜8のいずれか1項に記載の捕獲オリゴヌクレオチド群を含む請求項13に記載のキット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−259469(P2008−259469A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−106001(P2007−106001)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(000004569)日本たばこ産業株式会社 (406)
【出願人】(502444825)ジェネティックアイディー株式会社 (2)
【Fターム(参考)】