説明

米粉使用の焼菓子生地の製造方法

【課題】しっとりとしてもちもちした米粉使用の焼菓子の老化を抑制し、簡易な方法での生地製造を可能にすること。
【解決手段】米粉使用の焼菓子を製造する際に、穀粉100質量部に対して酵素入り油脂組成物を50〜100質量部使用し、オールインミックス製法あるいはシュガーバッター製法により生地比重を0.80より大きく調製することによって、米粉のもちもちした食感を付与し、焼成後の食感の変化が抑制された焼菓子を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米粉を使用した焼菓子生地の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
米を粉砕して粉に加工することは従来から行われており、加工する米の種類や方法によってさまざまな種類が知られている。粳米を原料とした上新粉、餅米を原料とした白玉粉などの米粉は、和菓子の材料として欠かせないものである。近年では食料自給率を高めるための政策のひとつとして、米を粉食で消費しようとする取り組みが行われ、和菓子の材料とされてきた用途以外の米粉が開発されている。パンや洋菓子に使用できる米粉が開発されたことによって、米粉使用と銘打ったパン・菓子が市販されるようになってきている。
【0003】
本来パンや洋菓子は、原料の穀粉として主に小麦粉を使用する。小麦粉の他に砂糖や油脂、卵などを主原料にして生地を製造することが一般的である。米粉をパンや洋菓子に使用する場合は、穀粉の一部または全部を米粉に置き換えて使用することになるため、小麦粉と置き換えることが多い。パンや洋菓子は、小麦粉に含まれるグルテン、デンプン等によって、製品の形状が崩れ、食感に著しく損なわれる場合がある。したがって、米粉の使用量を抑えざるを得ないという問題があった。また、米粉を加えた製品はもちもちとした食感が付与されているが、小麦粉を使用した製品に較べてぱさつきが生じるのが早く、食感が早く変化してしまうという問題点も見られる。同じような粉状に加工してあるというだけで米粉を小麦粉の代替として置き換えることは難しいことであった。
【0004】
特許文献1では、小麦粉のグルテン成分に該当する成分を含む米の品種改良、選別することによってパンの原料として適した米粉を作製する方法を開示している。特許文献2では、米粉にグルテン、マルトースを添加したパン・菓子用米粉組成物を開示している。これらの品種改良や米粉加工方法の工夫によって、パン・洋菓子製造に向く米粉が開示されている。また、特許文献3ではケーキの製造方法を工夫することにより食感に優れた菓子を製造することを開示している。
しかしながら特許文献1、2についてはパン製品に関するものであり、数日で消費されるパンよりももう少し長い賞味期限を求められる焼菓子についてはさらに改良する余地が見られる。特許文献3に開示された方法は、米粉の洋菓子の製造方法であるが、簡便に製造する方法とはいえないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−213370公報
【特許文献2】特開2009−22306公報
【特許文献3】特開2004−141096公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
米粉をパンや洋菓子に使用した製品は、もちもちとした食感を有し、これまでの製品にはない食感を提供することができる。しかし一方で、製品がポソポソと硬くなりやすく、デンプンの老化が早くなるきらいがあった。そこで本発明者らは、米粉を入れた生地のしっとりとしてもちもちした食感を有し、なおかつその食感が持続する焼菓子を提供するため鋭意検討を行った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
米粉使用の焼菓子を製造する際に、穀粉100質量部に対して酵素を含む油脂組成物を50〜100質量部使用し、オールインミックス製法又はシュガーバッター製法により生地比重を0.80より大きく調製することによって、もちもちした食感を付与し、焼成後の食感の変化が抑制された焼菓子を得ることができる。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明は、酵素を含む油脂組成物を、米粉を含む穀粉100質量部に対して50〜100質量部使用し、オールインミックス製法又はシュガーバッター製法により焼成前の生地比重を0.80より大きく調製する焼菓子生地の製造方法である。
本発明の第2の発明は、焼菓子生地中の米粉含量が、穀粉中の50〜100質量%である本発明第1の発明に記載の焼菓子生地の製造方法である。
本発明の第3の発明は、起泡性乳化油脂を、穀粉100質量部に対して5〜35質量部使用する本発明第1又は2の発明のいずれか1つに記載の焼菓子生地の製造方法である。
本発明の第4の発明は、酵素を含む油脂組成物と起泡性乳化油脂の合計使用量が、穀粉100質量部に対して70〜120質量部である本発明第1〜3のいずれか1つに記載の焼菓子生地の製造方法である。
本発明の第5の発明は、本発明第1〜4のいずれか1つに記載の焼菓子の生地製造方法で製造された焼菓子生地を焼成する焼菓子の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の米粉使用の焼菓子生地製造方法は、焼菓子生地を製造するのに特別な設備を必要とせずに簡便に行うとができる。また、焼成した焼菓子のもちもちとしてしっとりとした食感が持続して老化が抑制される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の製造方法で作製される焼菓子生地は、一般的にはバターケーキ生地と呼ばれ、油脂の含有量が多い菓子生地をいう。バターケーキ生地は、バター、サラダ油、食用油、マーガリン、ショートニング、ファットスプレッドなど油脂のほか、上白糖、グラニュー糖などの砂糖、穀粉(一般的には小麦粉が主に使用される)を主要原料として作製される。本発明の米粉使用の焼菓子生地は、生地中の油脂類使用量が15質量%以上であることが好ましい。
【0011】
本発明の米粉使用の焼菓子生地に使用する原材料を順に説明する。
(米粉について)
本発明の米粉使用の焼菓子生地に使用する米粉は、米を粉砕して粉末状にしたもので、種類は特に限定されない。和菓子の材料として使用される上新粉、白玉粉などの従来の米粉よりも、製菓製パン用として加工されているものが好ましい。米粉として、例えば群馬製粉(株)製、商品名「リ・ファリーヌ」、熊本製粉(株)製、商品名「瑞穂」等が挙げられる。焼菓子生地に使用できる米粉の量は、穀粉中50〜100質量%が好ましい。より好ましくは70〜100質量%、最も好ましくは90〜100質量%である。米粉の量が上記の範囲内にあるともちもちとした食感が焼菓子に付与される。
【0012】
(穀粉について)
米粉以外の穀粉としては、小麦粉を使用することが好ましい。小麦粉は強力粉、薄力粉、中力粉などを使用することができる。小麦粉以外の穀粉として、たとえばとうもろこし粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉、アーモンドプードル、コーンスターチ、片栗粉、タピオカ粉などが挙げられる。これらの穀粉は米粉と併用して使用することができる。
【0013】
(酵素を含む油脂組成物について)
本発明の米粉使用の焼菓子生地に使用する酵素を含む油脂組成物は、油脂と酵素を含有し、含有する酵素が作用して生地を改質する効果のある油脂組成物をいう。酵素を含む油脂組成物の形態として、水を含んだマーガリン、ファットスプレッドタイプや水を含まないショートニングタイプなどが市販されている。酵素を含む油脂組成物に含まれる酵素は、生地を改質する効果があれば特に限定されないが、アミラーゼを含有することが好ましい。より好ましくは、αアミラーゼ、マルトース生成アミラーゼ、グルコアミラーゼから選択されることが好ましく、これらの中から1種または2種以上を組み合わせたものがより好ましい。油脂組成物に含有される酵素がアミラーゼの場合、油脂組成物1g中のアミラーゼ活性が15〜3000単位であることが好ましい。より好ましくは20〜2000単位、もっとも好ましくは25〜1000単位である。アミラーゼ活性は、不溶性のアミロースを基質に酵素を作用させ、1分間に1マイクロモルのグルコースに相当する還元糖を生成する酵素量を1単位とする。還元糖の測定は、還元糖の定量法第2版(福井作蔵著 学会出版センター)を参照して行うことができる。
【0014】
酵素は油脂に含有されることにより、生地に均一に分散され、酵素がムラなく作用することができる。酵素の油脂組成物への添加量は、酵素活性により一概には決められないが、油脂組成物中に0.05〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは0.1〜9質量%、最も好ましくは0.2〜8質量%である。
【0015】
酵素を含む油脂組成物の米粉使用の焼菓子生地への使用量は、穀物粉100質量部に対して50〜100質量部使用する。好ましくは70〜100質量部、最も好ましくは90〜100質量部である。焼菓子生地中の酵素を含む油脂組成物の使用量が上記の範囲内であると、米粉使用の焼菓子のもちもち感・しとり感といった食感が保持されて、焼成した焼菓子がボロボロした状態になる老化が抑制される。
【0016】
(起泡性乳化油脂について)
本発明の焼菓子生地の製造方法で使用する起泡性乳化油脂は、油脂と乳化剤を含有し、生地の乳化や生地に空気を安定的に抱き込ませる効果のあるものをいう。乳化剤は、生地を起泡させ、気泡や乳化を安定させる効果のある食用の乳化剤であれば、特に限定されない。例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸、レシチン、ポリソルベートなどが挙げられる。これらの乳化剤の中から選択された1種または2種以上の乳化剤を適宜配合することができる。起泡性乳化油脂は、乳化剤を油脂、還元水飴、アルコール、水などで分散させたペースト状のケーキ用乳化タイプや、油脂と乳化剤をブレンドしたショートニングタイプなどが市販されている。これらの市販品として、例えば、三菱化学フーズ株式会社「リョートーエステルSP」、日清オイリオグループ株式会社製「ジセル100」、「ジセル30」、理研ビタミン株式会社製「フレンジー70」、「フレンジーL」、花王株式会社「ハイロフティ」、「マリッシュゴールド」などが挙げられる。
起泡性乳化油脂の本発明の焼菓子生地への使用量は、穀粉100質量部に対して、5〜35質量部が好ましい。より好ましくは5〜30質量%、最も好ましくは5〜20質量%である。起泡性乳化油脂が上記の範囲内であると生地が分離しないので作業性が良く、さらに焼成後の焼菓子のボリュームをアップさせ、しとり感のある食感を付与することができる。
【0017】
本発明の焼菓子生地の製造方法で使用する酵素を含む油脂組成物と起泡性乳化油脂の合計使用量は、穀粉100質量部に対して70〜120質量部が好ましい。より好ましくは、70〜110質量部、最も好ましくは70〜100質量部である。また、酵素を含む油脂組成物、起泡性乳化油脂以外の油脂を合わせて使用することができる。たとえばバター、マーガリン、ショートニング、ファットスプレッド、サラダ油、食用油などが挙げられ、通常パン、洋菓子に使用する油脂を1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
本発明の米粉使用の焼菓子生地の製造方法では、これまで述べた原材料以外にも一般的に製菓製パンに使用される原材料を用いることができる。例えば主原料として、砂糖、卵などが挙げられる。それ以外にも、牛乳、濃縮乳、生クリーム、脱脂粉乳、練乳、チーズなどの乳製品、果実及び果実加工品、ココアやチョコレート類、ナッツ類、洋酒類、膨張剤や香料、酸味料、調味料、着色料、酸化防止剤などの食品添加物が挙げられる。
【0019】
(米粉使用の焼菓子生地製造方法・オールインミックス製法について)
本発明の製造方法は、オールインミックス製法またはシュガーバッター製法で調製される。オールインミックス法は、使用する原材料すべてを混合して生地を調整する方法である。一般には、混合時に起泡性を高め、分離しない安定な生地にするために起泡性乳化油脂を添加することが行われ、スポンジケーキの大量生産などに利用されている。
本発明のオールインミックス製法は、焼成前の生地比重が0.80以下とならないようにする他は、一般的に行われる方法と同様の工程で行うことができる。オールインミックス製法は、卵や液体の材料が分離する傾向が少ないために、シュガーバッター製法ほど起泡性乳化油脂の添加は必要ではないが、生地を均一に乳化させて安定させるために添加してもよい。またマーガリン、ショートニングなどの室温で固体の油脂は、生地へ添加混合する前にあらかじめ溶解することが好ましい。酵素を含む油脂組成物を溶解させる場合は、酵素の活性を損なわないよう油脂組成物の溶解温度は45〜60℃の範囲で加熱し、油脂組成物が溶解するのに必要な温度以上に熱をかけないことが好ましい。サラダ油などの液状の油脂を使用する場合はとくに加熱する必要はない。
オールインミックス製法は生地を混合するのに特に決まった手順はなく、製造過程中に生地がダマにならず均一な状態になるように材料を添加することが好ましい。たとえば、砂糖、穀粉等の粉類の中に卵、牛乳、溶解した油脂のような液体物を混ぜ合わせる。起泡性乳化油脂を添加する場合は、砂糖と先に混合すると、生地中の分散がよく好ましい。本発明のオールインミックス製法は、ミキシング中の生地比重が0.80以下にならないように注意する。高速ミキシングや、ミキシング時間が長くなりすぎると空気が入りやすいので、生地比重を0.80以下とならないようにミキシングを進めていくことが好ましい。焼成前の生地比重は0.80より大きくなるよう調製する。より好ましくは0.85以上、さらに好ましくは0.89以上である。生地比重が大きいほど焼成後のバターケーキはモチモチとした食感としとりが付与され、老化防止効果が高くなる。
【0020】
(米粉使用の焼菓子生地製造方法・シュガーバッター製法について)
本発明のシュガーバッター製法は、酵素を含む油脂組成物に砂糖を加えてすり合わせ、生地が分離しないように徐々に卵を加えた後、米粉を含む穀粉をダマにならないように数回に分けて添加して生地を調整する。起泡性乳化油脂やその他の油脂を使用する場合は、酵素入り油脂組成物と合わせて同様に使用することができる。卵の分離を防止するためには、起泡性乳化油脂を添加することが好ましい。本発明のシュガーバッター製法は、オールインミックス製法同様、高速ミキシングやミキシング時間を長くしないよう注意する。高速ミキシングや、ミキシング時間が長くなりすぎると空気が入りやすいので、ミキシング中の生地比重を0.80以下にならないようにミキシングを進めていくことが好ましい。焼成前の生地比重は0.80より大きくなるよう調製する。より好ましくは0.85以上、さらに好ましくは0.89以上である。生地比重が大きいほど焼成後のバターケーキはモチモチとした食感としとりが付与され、老化防止効果が高くなる。
その他に使用される原材料は、シュガーバッター製法で焼菓子生地を調製する際に一般的な方法で使用することができる、例えば、牛乳やクリームのような液体の状態であれば卵と同じタイミングで生地に加え、粉体の状態の材料であれば穀粉と同じタイミングで加えることができる。本発明のシュガーバッター製法は、生地比重が0.80以下とならないように高速でミキシングしたり、ミキシング時間を長くしないように注意するほかは、一般的に行われる方法と同様の工程で行うことができる。
【0021】
本発明の米粉使用の焼菓子生地製造方法で製造された生地は、オーブンで焼成することによって焼菓子を得ることができる。焼成に使用する型の形状や大きさ、型の素材に制限はなく、通常製菓製パンで使用される焼き型を使用できる。カップケーキやマドレーヌ、フィナンシェのような小さな型で焼成することもできるし、パウンド型や天板のような大きい容量の型で焼成することもできる。もちもちとした米粉特有の食感をより強く焼菓子に付与するには、高さのある容量の大きな焼成型で焼成することが好ましい。具体的にはたとえば、焼き型の高さが5cm以上あり、生地を200g以上入れることのできる焼成型を使用することが好ましい。より好ましくは生地が300g以上、さらに好ましくは350g以上である。焼き型に200g以上入れて焼成した焼菓子生地は、しっとりしたもちもちの食感が強調されて好ましい。
生地を焼成するオーブンは、バッチ式の固定窯、連続式のトンネルオーブンまたはリール式オーブン、コンベクションオーブン等のいずれの種類を用いることができる。
【実施例】
【0022】
次に例を挙げ、本発明を詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの例になんら制限されるものではない。以降の原材料表示は質量(%)である。
【0023】
〔実施例1〜12、比較例1〜8・シュガーバッター製法のパウンドケーキ〕
(生地の調製と焼成)
卓上縦型ミキサーのミキサーボールに、油脂(酵素を含む油脂組成物、起泡性乳化油脂、マーガリン)と上白糖を混合し、全卵を少しずつ加えてさらに混合する。穀粉(米粉、小麦粉)とベーキングパウダーを合わせてふるった後、表に記載された生地比重になるように焼菓子生地(バターケーキ生地)を調製した。
生地比重は、容器内の生地重量(g)/容器の体積(cc)で計測した。
高さ5cm、容量1050ccの金属製パウンド型の底と側面に紙を敷き、焼菓子生地360gを充填して上火180℃、下火160℃のオーブンで40分間焼成した。
【0024】
(使用原材料について)
起泡性乳化油脂:商品名「ジセル30」、
酵素を含む油脂組成物:商品名「日清ソフキープ300」、アミラーゼ含有マーガリン、
マーガリン:商品名「日清ロイヤルワイド100」、
以上日清オイリオグループ株式会社製
米粉:商品名「製菓用米粉 瑞穂」、熊本製粉株式会社製
【0025】
生地の配合と評価結果について表1〜6に記載した。
(焼成したパウンドケーキの評価)
もちもち感としとり感は焼成翌日、老化防止効果は焼成後2週間を経過した後に評価を行った。

もちもち感 ◎:もちもち感がとてもある。
○:もちもち感がある。
△:もちもち感がほとんどない。
×:もちもち感がない。

しとり感 ◎:しとり感がとてもある。
○:しとり感がある。
△:しとり感がほとんどない。
×:しとり感がない。

老化防止効果 ◎:もちもち・しとり感が焼成当初と同様の状態を維持している。
○:もちもち・しとり感が感じられ、良好な状態を維持している。
△:もちもち・しとり感がやや感じられるが、少しボロボロする。
×:もちもち・しとり感が感じられず、ボロボロする。


【0026】
【表1】



【0027】
【表2】

酵素を含む油脂組成物が穀粉に対して50質量%以上であれば効果がみられ、90質量%以上であれば顕著な効果がみられる。



【0028】
【表3】

しとり感は米粉の配合量にかかわらず感じられるが、もちもち感は穀粉中に米粉が50質量%以上であるとはっきり感じられる。


【0029】
【表4】




【0030】
【表5】

生地比重が大きいほうが、もちもち感、しとり感、老化防止効果が高い。


【0031】
【表6】

酵素を含む油脂組成物と起泡性乳化油脂を併用することによってしとり感が継続する。
また実施例11、12は比較例7、8に比べて焼菓子のボリュームが明らかに大きいことが観察された。
【0032】
〔実施例13、比較例9・オールインミックス製法のフィナンシェ〕
【0033】
(生地の調製と焼成)
卓上縦型ミキサーのミキサーボールで、篩った穀粉(米粉、アーモンドプードル)と卵白を混合する。45〜60度の湯煎で溶かした酵素を含む油脂組成物を加えて混合してフィナンシェ生地にする。フィナンシェ型に30g充填して、上火200℃、下火150℃のオーブンで13分間焼成した。
生地の配合と評価結果について表7に記載した。評価はパウンドケーキと同様に行った。


【0034】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵素を含む油脂組成物を、米粉を含む穀粉100質量部に対して50〜100質量部使用し、オールインミックス製法又はシュガーバッター製法により焼成前の生地比重を0.80より大きく調製する焼菓子生地の製造方法。
【請求項2】
焼菓子生地中の米粉含量が、穀粉中の50〜100質量%である請求項1記載の焼菓子生地の製造方法。
【請求項3】
起泡性乳化油脂を、穀粉100質量部に対して5〜35質量部使用する請求項1又は2のいずれか1項に記載の焼菓子生地の製造方法。
【請求項4】
酵素を含む油脂組成物と起泡性乳化油脂の合計使用量が、穀粉100質量部に対して70〜120質量部である請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼菓子生地の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の焼菓子の生地製造方法で製造された焼菓子生地を焼成する焼菓子の製造方法。