説明

米粉及び米デンプンを有する組成物

約2.6〜約9のWAI、及び約4RVU〜約130RVUのピーク粘度を有する米粉を約20重量%〜約95重量%;並びに約2.2未満のWAI、約100RVU〜約900RVUのピーク粘度、及び10重量%未満の可溶性アミロース含有量を有する米デンプン材料を約5重量%〜約80重量%、を有する米粉組成物。米デンプン材料は、ワックス様米デンプン、アセチル化米デンプン、架橋米デンプン、及びこれらの混合物から成る群から選択されることができる。本組成物は、加工シート形スナック、押出成形された製品、ソース、揚げた食品用コーティング、ドッグフード、犬用ビスケット、ベビーフード、及びパンのような食品の製造に使用できる。本発明の米粉組成物から形成される好ましい生地は、シート化可能であり、凝集生地を形成する。この生地から作製される加工スナックは、望ましい味及び質感特徴を有する。好ましい加工スナックのためのドライブレンドは、約2%〜約100%、好ましくは約20%〜約85%、最も好ましくは約40%〜約75%の米粉組成物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米粉組成物及び米粉組成物を含む食品に関し、特に米粉組成物を含む加工スナック製品に関する。
【背景技術】
【0002】
デンプン系材料を含む生地から調製される加工スナック製品は当該技術分野において周知である。これらの生地は、典型的に、脱水されたジャガイモのフレーク、顆粒、及び/又はフラニュール(flanules)のような脱水ジャガイモ製品を含む。生地は、小麦、トウモロコシ、米、タピオカ、大麦、キャッサバ、オート麦、サゴ、及びジャガイモのデンプン及び粉のような多数の他のデンプン系成分も含むことができる。これらの他のデンプン系成分は、典型的に、脱水ジャガイモ製品よりも少ない量で生地に包含される。
【0003】
こうした食品、例えばジャガイモスナックを、薄切りされた丸ごとのジャガイモからでなく生地から調製する利点としては、最終食品に均質性及び一様性があること、並びに当該食品の調製に関係する別個の工程をより厳密に制御できることが挙げられる。さらに、生地から加工スナック製品を調製することは、原材料の入手可能性並びに種々の質感及び風味に対する消費者の要望に従ってこうした製品を配合するための柔軟性を提供する。
【0004】
米粉は世界中で入手できる材料である。その特徴的な風味は、不純物のない(clean)及び当たり障りがない(neutral)と説明されることができ、それを、トウモロコシ、ジャガイモ、米、及び他のスナックにおいて使用するのに適したものとする。さらに、米粉は、ハーブ風味又は甘い風味のような低強度風味のスナックと、高強度風味の味付けスナックとの両方を作製するための主要な成分として使用するのに適している。これは、米粉の当たり障りのない風味が調味料の風味と競争しないので、可能である。
【0005】
米粉は加工スナック生地に包含されることができるが、それを包含することは、容易に解決されない加工及び製品品質上の問題を引き起こし得る。例えば、米粉の添加は、調理、乾燥、又は揚げることが困難な弾性のない生地をもたらし得る。さらに、これらの生地から得られる加工スナック製品は、クラッカー様の質感及び望ましくない生の味を有して柔らかすぎるか、あるいは固すぎる及び濃すぎることがあり得る。これは一部には、米デンプンが、スナックに使用するために入手できるデンプンの間で最も高い糊化温度の1つ(72℃)を有するというような、米粉の調理の困難さによって生じる。つまり、こうした高い糊化温度は、生の味と、得られる製品の「歯への詰まり(tooth packing)」とを避けるために米粉内のデンプンが完全に調理されることを妨げる。
【0006】
揚げたスナック製品内の米粉の量を増やすことには、実質的な利益がある。驚くべきことに、米粉の生地は、揚げる際に、ジャガイモ及び他の粉の生地よりも、吸収する油脂が少ないことが見出された。しかし、この利益は、使用される米粉の量と必ずしも比例しているというわけではない。同様に、世界のほとんどの地域では、米粉は、ジャガイモ粉よりも、より容易に入手可能であり、高価でない。また、特定の機能性を有する米粉のブレンドは、生地作製プロセス間に吸収し得る水分含有量が著しくより低く、これにより、同様に完成した製品の油脂含有量を低減することも見出されている。同様に、米デンプンの特定の化学修飾は、スナック処方において独自の機能性を有し、さらなる製品のパリパリ感(crispiness)を提供し、生地作製プロセスを容易にすることも見出された。これらの利点より、米成分は、スナックの製造のために望ましい原材料となる。
【0007】
しかし、生地中の標準米粉の濃度が上昇すると、米粉に関連する加工問題も劇的に上昇する。加工問題は、加工するために多くの水量を必要とする、弱くて乾燥した生地を伴う。生地の水分含有量が上昇すると、最終製品の油脂含有量が上昇し得る。10〜20重量%の標準米粉をジャガイモ粉系の生地に添加すると、許容できるスナック製品を作製するために、特定の程度のプロセス操作が必要となる。しかし、米粉が、例えば70〜90重量%に上昇すると、加工問題は大幅に上昇し、生地を形成するために必要な水を低減することは非常に難しい。そして、標準米粉がこのような高量で使用されると、得られるスナック製品は、ジャガイモ系スナックと比較して、実質的に密集した(dense)質感、及び劣った口触りを有する。より明確には、ジャガイモ系スナック製品は、溶けが早く、軽くパリパリとした(crispy)質感を生み、一方で、米系スナック製品は、溶けが遅く、煎餅に見られるようなガラス質の硬い質感、又は餅に見られるような柔らかくかみごたえのある(chewy)歯に詰まる(tooth packing)質感のどちらかを有する。消費者は、ジャガイモ、トウモロコシ、及び小麦系スナックのパリパリとした(crispy)質感及び食味に慣れており、その確立した持分(equity)から脱出することは難しい。
【0008】
例えば押出成形された米系スナックのような、現在入手可能な他の米スナックが存在する。これらの市販の製品は、いくらかの消費者に受け入れられているが、これらは、まだジャガイモチップの代替品ではなく、ジャガイモチップに見られる質感に相当するパリパリとした(crispy)、ザクザクとした(crunchy)、軽い質感を提供しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、消費者が好む特定の質感の品質(textural qualities)を維持しつつ、比較的高い濃度の米粉を有する加工スナック製品を作製するための処方及び方法への必要性が存在する。そして、著しくより低い水分含有量を有する米粉組成物から作製される生地への必要性がある。そして、生地のシートから作製された後又は押出成形された後、揚げられる、部分的に揚げられた後に焼かれる、あるいは焼かれる、米クリスプ(crisp)製品への必要性がある。
【0010】
同様に、比較的高い米量を有し、より低い油脂含有量を有するが、脂肪分が高いスナックの質感及び味を有するスナックを作製するための処方及び方法への必要性が存在する。
【0011】
本発明のこの利点及び他の利点は、以下の開示から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、加工スナック製品の作製での使用に適した米粉組成物を提供する。米粉組成物は、加工スナック生地に使用するとき、所望のレベルの弾性を有する凝集生地及び所望の感覚刺激特性を有する完成した加工スナック製品をもたらす。
【0013】
本発明の1つの態様においては、約2.6〜約9のWAI、及び約4RVU〜約130RVUのピーク粘度を有する米粉を約20重量%〜約95重量%有する米粉組成物が提供される。さらに米粉組成物は、約2.2未満のWAI、約100RVU〜約900RVUのピーク粘度、及び10重量%未満、好ましくは約8重量%未満、さらにより好ましくは約6重量%未満の可溶性アミロース含有量を有する米デンプン材料を約5重量%〜約80重量%含有する。米デンプン材料は、もち米粉、アセチル化米デンプン、他の架橋米デンプン、及びこれらの混合物から成る群から選択されることが好ましい。米粉は、中粒米粉、長粒米粉、及びこれらの混合物から成る群から選択されることが好ましい。
【0014】
本発明のさらに別の態様においては、加工スナック製品を作製するためのドライブレンドが提供される。ドライブレンドは、約2%〜約100%の米粉組成物、好ましくは約15%〜約100%の米粉組成物、より好ましくは約25%〜約85%の米粉組成物を含む。ドライブレンドは、例えば、約1.96N(200gf)〜約5.88N(600gf)のシート強度を有するシートへとロール化される生地を作製するために使用されることができる。本発明の米粉組成物及び他の成分を含むドライブレンドは、約3〜約7、好ましくは約3.5〜約6、より好ましくは約4〜約6の範囲のWAIを有する。一実施形態では、ドライブレンドは、約70RVU〜約120RVU、好ましくは約75RVU〜約100RVU、より好ましくは約80RVU〜約90RVUの範囲のピーク粘度を有することが好ましい。本明細書における別の実施形態では、好ましいドライブレンドは、約90RVU〜約150RVU、好ましくは約100RVU〜約125RVU、より好ましくは約100RVU〜約115RVUの範囲の最終粘度を有する。
【0015】
また米粉組成物は、押出成形された製品、焼いたスナック、トルティーヤ系スナック、ソース、食品用コーティング、ドッグフード、犬用ビスケット、ベビーフード、及びパンのような食品を製造するために使用することもできる。
【0016】
上記のように、本発明の米組成物を使用するための財政的及び栄養的な理由がある。特に、米粉は、一般にジャガイモ粉より安価であり、揚げるときに、より少ない油脂を吸収する。しかし、米粉を大きい百分率で含有する生地、加工スナック製品、及び揚げたチップを作製するには、特定の加工及び処方の困難性が存在する。これらの困難性は、本発明の米デンプン材料を添加することで、大部分は克服される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
A.定義
本明細書で使用するとき、「米の破片」は、全米粒の4分の3未満の米粒を指す。
【0018】
本明細書で使用するとき、「糊化した」は、完全糊化、部分的糊化、及びアルファ化したデンプンを包含するあらゆる種類の糊化を包含する。糊化した米粉としては、パーボイル、調理、部分的調理、及び押出成形された米粉を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0019】
本明細書で使用するとき、「米」は、白米、玄米、黒米、及びマコモを包含するあらゆる多様性又は種類の米を包含する。また「米」は、あらゆる天然の又は強化された栄養含有量を有するあらゆる米をも包含する。
【0020】
本明細書で使用するとき、「押出成形された米」は、押出成形機を通過した米を指す。
【0021】
本明細書で使用するとき、「調理された米」は、粉に粉砕される前又は粉砕された後にパーボイルドあるいは別の方法で調理された又は部分的に調理された米を指す。
【0022】
本明細書で使用するとき、「パーボイルド米」は、外殻除去の前に調理プロセスを経た米を指す。
【0023】
本明細書で使用するとき、「未調理の米」は、いかなる方法でも調理されていない米を指す。
【0024】
本明細書で使用するとき、「短粒米」は、長さが幅の約1〜約2倍の範囲であり、総アミロース含有量が約0%〜約13%の範囲である、短く、丸々とした、円様の粒を有する米を指す。
【0025】
本明細書で使用するとき、「中粒米」は、長さが幅の約2〜約3倍の範囲であり、アミロース含有量が約14%〜約19%の範囲である米を指す。
【0026】
本明細書で使用するとき、「長粒米」は、長さが幅の約3.5〜約5倍の範囲であり、総アミロース含有量が約20%〜約25%の範囲である、長く、細い粒を有する米を指す。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「加工された」は、塊茎、グレイン、豆果、穀物又はこれらの混合物から誘導されるもののような、粉、粗びき粉及び/又はデンプンを含む生地から作製される食品を指す。
【0028】
本明細書で使用するとき、「天然デンプン」は、いかなる方法でも事前処理又は調理されていないデンプンを指し、ハイブリッドデンプンが挙げられるが、これに限定されない。
【0029】
本明細書で使用するとき、「脱水ジャガイモ製品」としては、ジャガイモフレーク、ジャガイモフラニュール(flanules)、ジャガイモ顆粒、ジャガイモ粒塊、他のあらゆる脱水されたジャガイモ材料、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書で使用するとき、「シート化可能な生地」は、滑らかな表面上に置いて、破れたり又は穴があいたりせずに所望の最終的な厚さにローラーで伸ばすことのできる凝集生地である。またシート化可能な生地は、押出プロセスを通じてシート状に形成できる生地も包含することができる。
【0031】
本明細書で使用するとき、「デンプン」は、これらに限定されないが小麦、トウモロコシ、タピオカ、サゴ、米、ジャガイモ、オート麦、大麦、及びアマランスのような材料から誘導される繰り返し無水グルコース単位を有する天然又は未変性の炭水化物ポリマーを指し、並びに、マルトデキストリンのような加水分解デンプン、高アミローストウモロコシ、高アミロペクチントウモロコシ、純アミロース、化学的に置換されたデンプン、架橋デンプン、及び化学的、物理的、熱的、又は酵素的のような他の変性が挙げられるがこれらに限定されない加工デンプン、並びにこれらの混合物をも指す。「米デンプン材料」として以下に記載される材料は、本明細書において定義される「デンプン」の定義に入らないことが理解される。
【0032】
本明細書で使用するとき、「デンプン系粉」は、天然、脱水(例えば、フレーク、顆粒、粗びき粉)又は粉の形態の、グルコピラノース単位から成る高重合炭化水素を指す。デンプン系粉としては、ジャガイモ粉、ジャガイモ顆粒、ジャガイモフラニュール(flanules)、ジャガイモフレーク、トウモロコシ粉、マサトウモロコシ粉、コーングリッツ、コーンミール、米粉、そば粉、オート麦粉、豆粉、大麦粉、タピオカ、及びこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。例えば、デンプン系粉は、塊茎、豆果、グレイン、又はこれらの混合物に由来することができる。
【0033】
本明細書で使用するとき、「米デンプン材料」とは、標準米粉とは異なる特徴を有する、又はその機能的特徴を改善するために変更された米デンプンを指す。好適な米デンプン材料としては、アルファ化デンプン、ワックス様米デンプン、もち米粉、低粘度デンプン(例えば、デキストリン、酸変性デンプン、酸化デンプン、酵素変性デンプン)、安定化デンプン(例えば、デンプンエステル、デンプンエーテル)、架橋デンプン、アセチル化デンプン、デンプン糖(例えば、グルコースシロップ、ブドウ糖、イソグルコース)、及び処理の組み合わせ(例えば、架橋及び糊化)がなされたデンプン、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書で使用するとき、用語「添加水」は、乾燥生地成分に添加された水を指す。粉及びデンプンの供給源の場合のような、乾燥生地成分中に本来存在する水は、「添加水」に包含されない。
【0035】
本明細書で使用するとき、用語「乳化剤」は、生地成分に添加された乳化剤を指す。ジャガイモフレーク(製造中に乳化剤が加工助剤として使用される)の場合のような、生地成分に本来存在する乳化剤は、用語「乳化剤」に包含されない。
【0036】
本明細書で使用するとき、「高速粘度単位(rapid viscosity unit)」(RVU)は、本明細書のRVA分析法を用いて測定したとき、センチポアズとほぼ対応する粘度測定の任意単位である。(12RVUは、およそ0.001Pa.s(1センチポアズ)に等しい。)
【0037】
用語「油脂」及び「油」は、特に指定のない限り、本明細書では互換的に使用される。用語「油脂」又は「油」は、一般的な意味の食用油脂物質を指しており、例えば、部分的に又は完全に水素添加され又はその他の方法で変性されていてもよい、大豆油、コーン油、綿実油、ヒマワリ油、パーム油、ココヤシ油、キャノーラ油、魚油、ラード、及び獣脂のような本質的にトリグリセリドから成る天然又は合成の油脂及び油、並びに部分的に又は完全に非消化性であってもよい、本明細書では非消化性油脂と呼ぶトリグリセリドと類似の特性を有する非毒性の油脂物質が挙げられる。カロリーが低減された油脂、及び食用の非消化性油脂、油、又は油脂代替品も、この用語に包含される。
【0038】
用語「非消化性油脂」は、部分的に又は完全に消化できない食用油脂物質、例えば、オレアン(OLEAN)(商標)のようなポリオール脂肪酸ポリエステルを指す。好ましい非消化性油脂は、スクロースポリエステルのような、トリグリセリドに似た特性を有する油脂物質である。これらの好ましい非消化性油脂は、米国特許第5,085,884号(ヤング(Young)らに1992年2月4日発行)、及び米国特許第5,422,131号(エルセン(Elsen)らに1995年6月6日発行)に記載されている。非消化性油脂の特に好ましい銘柄は、オレアン(OLEAN)(商標)の商標名で販売されている。
【0039】
用語「ドライブレンド」は、本明細書において、そのように混合される材料の加工前に混合された乾燥原材料を意味する。
【0040】
特に指定がない限り、百分率は全て重量に基づく。
【0041】
本明細書で引用される全ての文献は、その関連部分において参考として組み込まれ、あらゆる文献の引用は、それが本発明に対する従来技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0042】
B.米粉組成物
本発明の1つの態様においては、約2.6〜約9のWAI、及び約4RVU〜約130RVUのピーク粘度を有する米粉を約20重量%〜約95重量%有する米粉組成物が提供される。さらに米粉組成物は、約2.2未満のWAI、約100RVU〜約900RVUのピーク粘度を有する米デンプン材料を約5重量%〜約80重量%含有する。米デンプン系材料は、ワックス様米デンプン又はもち米粉、アセチル化米デンプン、架橋米デンプン、及びこれらの混合物から成る群から選択されることが好ましい。米粉は、中粒米粉、長粒米粉、及びこれらの混合物から成る群から選択されることが好ましい。
【0043】
さらに、米粉組成物は、約135〜約250RVU、好ましくは約150〜約220RVU、より好ましくは約175〜約210RVUのピーク粘度を有する。また米粉組成物は、約140RVU〜約350RVU、好ましくは約170RVU〜約330RVU、最も好ましくは約190RVU〜約300RVUの最終粘度を有する。米粉組成物は、約2〜約5、好ましくは約2.5〜約4.5、より好ましくは約3〜約4の吸水指数を有する。
【0044】
米デンプン材料は、加工スナック片を作製することができる優れたシート状製品が得られる、より良い生地を提供する加工及び処方添加物である。そして、重要なことには、加工スナック片を揚げることにより作製されるチップ製品は、優れた特質を有する。米デンプン材料としては、アルファ化デンプン、低粘度デンプン(例えば、デキストリン、酸変性デンプン、酸化デンプン、酵素変性デンプン)、安定化デンプン(例えば、デンプンエステル、デンプンエーテル)、ワックス様米デンプン又はもち米粉、架橋デンプン、アセチル化デンプン、デンプン糖(例えばグルコースシロップ、ブドウ糖、イソグルコース)及び処理の組み合わせ(例えば、架橋及び糊化)がなされたデンプン、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。米デンプン材料は、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満の総アミロース含有量を有する。当業者は、本明細書に記載された米デンプン材料が、例えば、レミー工業(Remy Industries)N.V.(ベルギー、ルーヴェン・ウィジマール(Leuven-Wijgmaal)、レミーラーン(Remylaan)4、B−3018)から市販されていることを認識するであろう。
【0045】
本発明の米デンプン材料に加えて、従来の米粉が同様に使用される。長粒、中粒、短粒、及びもち米は、全て米粉にすることができる。さらに、米粉は、米の破片又は全粒から作ることができる。これらの異なる種類の米から作られた米粉は、吸水指数、ピーク粘度、最終粘度、及び総アミロース含有量が異なる。さらに、米が、米粉に加工される前、又は加工された後に、部分的に又は完全に事前調理、パーボイルド、又はあらゆる他の方法でアルファ化される場合、該米粉の特性はさらに変性されることができる。
【0046】
本発明は、加工スナック製品の作製での使用に適した米粉組成物を提供する。米粉組成物は、加工スナック生地に使用するとき、所望のレベルの弾性を有する凝集生地、及び所望の感覚刺激特性を有する完成した加工スナック製品をもたらす。
【0047】
好ましい実施形態において、組成物は、長粒米粉、中粒米粉、又はこれらの組み合わせを含む。さらに、組成物は、部分的に又は完全に糊化した米粉を含むことができる。例えば、米粉は、米粉内での所望のデンプン分解を達成するために、糊化、部分的糊化、部分的事前調理、事前調理、パーボイルド、押出成形、又はこれらの組み合わせがなされることができる。
【0048】
所望の量の種々の米粉を一緒に混合することは、所望の米粉組成物を作製するために使用できる。これは、これらに限定されないが、製粉前に米粒を混合すること、又は製粉後に粉を一緒に混合することのようないかなる好適な手段によっても達成できる。
【0049】
好ましい実施形態では、糊化した米粉が使用される。この実施形態では、組成物は、様々な程度に糊化された1以上の米粉のブレンドを含むことができる。例えば、糊化した米粉は、完全に調理された米、部分的に調理された米、パーボイルド米、押出成形米、又はこれらの混合物を含むことができる。完全に調理された糊化した米粉は約75%〜約100%糊化しており、部分的に調理された米粉及び押出成形された米粉は約25%〜約100%糊化しており、パーボイルド米粉は約75%〜約100%糊化している。
【0050】
好ましい実施形態では、米デンプン材料の一部として、アセチル化米デンプンを使用する。アセチル化米デンプンは、デンプン分子に共有結合により連結する置換基(すなわちアセチル基)を含有する変性顆粒を含有する。これらの基の導入により、顆粒は、加熱に際し、水により容易に分散できるようになる。また、この種類の変性米デンプン材料は、より低い糊化温度(71℃と比較して62℃)も示す。これは、フライヤー内での滞留時間が制限されるプロセスにおいて重要である。また、この米デンプン材料は、増加した膨張性及び溶解性を示し、これは、水和を容易にして、必要な混合時間がより少なくなる。この加工デンプンは、生地中における低い水分含有量の使用を可能にし、これは、より低い油脂含有量を導く。さらに、この加工デンプンは、製品内におけるパリパリ感(crispiness)及び膨張をも向上する。結果は、油脂が十分なスナックの質感及び味を供給する低油脂スナックである。
【0051】
好ましい実施形態では、米デンプン材料の一部として、もち米粉を使用する。これらの粉は、調理されない、若しくは部分的に又は完全に調理されることができる。
【0052】
押出成形は、本発明の糊化した米粉の好ましい加工方法である。押出成形は、米粉のデンプンを完全に調理するのに必要な調理条件を提供し、デンプンの完全な糊化及び高レベルの糊精化(dextrinization)、すなわち、デンプン分解をもたらす。本発明の米粉の調製に押出成形を使用することは、完成した製品に、生デンプンの味又は粉っぽいデンプンの後味、並びに制御されない及び過度の膨張が存在しないことを保証する。
【0053】
1つの実施形態において、糊化した米粉は、部分的に事前調理された長粒米粉、完全に調理された長粒米粉、完全に調理された中粒米粉、パーボイルド米粉、及びこれらの混合物から成る群から選択される。別の実施形態において、糊化した米粉は、糊化した長粒米粒の破片から作製される。
【0054】
調理及び/又は製粉中に生成される遊離アミロースを複合するため、所望により、糊化した米粉に、乳化剤を加工助剤として添加することができる。例えば、モノグリセリドは、(乾燥固体基準で約0.2〜約0.7%、好ましくは約0.3%〜約0.5%の範囲の量で添加できる。
【0055】
米粉は、広範な粒径分布に粉砕することができる。特定の実施形態において、組成物は、粉の約35%がUS100番メッシュ上に残るような粒径分布を有する。米粉組成物は、約5%〜約30%が60メッシュスクリーン上に残り、約15%〜約50%が100メッシュスクリーン上に残り、約20%〜約60%が200メッシュスクリーン上に残る粒径分布を有することが好ましい。米粉の粒径分布は、混合の間に、確実に適当な水和を行なうために重要である。同様に、粒径分布は、質感に効果を有し;米粉中の大きい粒子は、遅い溶け及び歯への詰まり(tooth packing)の一因となるであろう。
【0056】
米粉組成物は、加工スナックのような食品の製造に使用されるドライブレンドを作製するために使用できる。1つの実施形態において、ドライブレンドは、約2%〜約100%、好ましくは約25%〜約77%、より好ましくは約40%〜約95%の米粉組成物を含む。
【0057】
C.加工スナック製品の調製
米粉組成物の使用を、主として好ましい加工スナック製品に関して記載するが、本発明の米粉組成物をいかなる好適な食品の製造にも使用できることは当業者には容易にわかるはずである。例えば、米粉組成物は、押出成形された製品、パン、ソース、クラッカー、揚げたスナック、果物及び野菜スナック、焼いた又は乾燥させたスナック、揚げた食品用コーティング、ベビーフード、ドッグフード、犬用ビスケット、及びあらゆる他の好適な食品のような食品を製造するために使用されることができる。好ましい加工スナック製品の製造が、以下で詳述される。
【0058】
1.生地処方
本発明の好ましい生地は、ドライブレンド及び添加水を含む。生地は、約50%〜約85%のドライブレンド、及び約15%〜約50%の添加水を含むことが好ましい。生地は、さらに任意成分を含むことができる。
【0059】
a.ドライブレンド
好ましい生地は、約50%〜約85%のドライブレンド、好ましくは約60%〜約75%のドライブレンドを含む。
【0060】
ドライブレンドは米粉組成物を含む。好ましいドライブレンドは、約2%〜約100%、好ましくは約20%〜約85%、より好ましくは約40%〜約75%の米粉組成物を含み、残部は、デンプン又は粉のような他のデンプン材料のような他の成分である。他のデンプン材料の好適な供給源としては、タピオカ、オート麦、小麦、ライ麦、大麦、トウモロコシ、マサ、ヤポンの木(cassena)、マサでないトウモロコシ、ピーナッツ、及び脱水ジャガイモ製品(例えば、脱水されたジャガイモフレーク、ジャガイモ顆粒、ジャガイモフラニュール(flanules)、マッシュポテト材料、及び乾燥ジャガイモ製品)が挙げられる。これらの他のデンプン材料は、異なる組成、質感、及び風味のスナックを作製するために、ブレンドされることができる。さらに、ドライブレンドの残部は、これらに限定されないが、タンパク質源、繊維、ミネラル、ビタミン、着色剤、香味料、果物、野菜、種、ハーブ、スパイスを包含する1以上の構成要素を含むことができる。
【0061】
一実施形態では、本発明の米粉組成物及び他の成分を含む好ましいドライブレンドは、約3〜約7、好ましくは約3.5〜約6、より好ましくは約4〜約6の範囲のWAIを有する。より低い吸水率のドライブレンドは、より低い油脂の製品に相当するが、本発明の米チップは、十分な又は高い油脂のスナックの質感、潤滑性、味、及び外観を有する。
【0062】
1つの実施形態において、ドライブレンドは、約70RVU〜約120RVU、好ましくは約75RVU〜約100RVU、より好ましくは約80RVU〜約90RVUの範囲のピーク粘度を有することが好ましい。本明細書の別の実施形態において、好ましいドライブレンドは、約90RVU〜約150RVU、好ましくは約100RVU〜約112RVU、より好ましくは約100RVU〜約115RVUの範囲の最終粘度を有する。
【0063】
b.添加水
本発明の好ましい生地組成物は、約15%〜約50%の添加水、好ましくは約20%〜約40%、より好ましくは約20%〜約32%の添加水を含む。マルトデキストリン又は固形コーンシロップ、ジュース、濃縮物のような任意成分が溶液又はシロップ剤として添加される場合、該シロップ剤又は溶液中の水は添加水として包含される。また、添加水の量には、成分を溶解又は分散するために使用されるいかなる水も包含される。
【0064】
c.任意成分
あらゆる好適な任意成分が本発明の生地に添加されてよい。このような任意成分としては、ガム、還元糖、乳化剤、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。任意成分は、約0重量%〜約50重量%、好ましくは、0重量%〜約40重量%の範囲の量で生地に包含されることが好ましい。好適なガムの例は、米国特許第6,558,730号(ギザウ(Gizaw)らに、2003年5月6日発行)に見ることができる。
【0065】
所望により、還元糖を生地に添加することができる。還元糖の含有量は、脱水ジャガイモ製品の調製に用いられるジャガイモの含有量に依存し得るが、加工スナック製品中の還元糖の量は、好適な量のマルトース、ラクトース、デキストロース、又はこれらの混合物のような還元糖を生地に添加することによって制御できる。本発明のドライブレンドは、0重量%〜約20重量%、好ましくは0重量%〜約10重量%、さらにより好ましくは0重量%〜約7.5重量%のマルトデキストリンを含有してもよい。
【0066】
生地にその加工性を補助するために所望により添加できる成分は、乳化剤である。乳化剤は、生地のシート化の前に生地組成物に添加されることが好ましい。乳化剤は、油脂又はオレアン(Olean)(商標)のようなポリオール脂肪酸ポリエステルに溶解することができる。好適な乳化剤としては、レシチン、モノ及びジグリセリド、ジアセチル酒石酸エステル、並びにプロピレングリコールモノ及びジエステル、並びにポリグリセロールエステルが挙げられる。ヘキサグリセロールのモノエステルようなポリグリセロール乳化剤を使用することができる。特に好ましいモノグリセリドは、ダニスコ(Danisco)(登録商標)(カンザス州ニューセンチュリー(New Century))より入手可能なジモダン(Dimodan)の商標名で、及びアーチャー・ダニエルズ・ミッドランズ社(Archer Daniels Midlands Company)(イリノイ州ディケーター(Decatur))より入手可能なDMG70の商標名で販売されている。
【0067】
本発明による任意成分の量を計算するとき、米粉及び脱水ジャガイモ製品に内在する可能性のある任意成分の量は包含されない。例えば、米粉に内在する米デンプン材料は、包含されない。米デンプン材料の量は、米粉に内在して存在する量を超過して添加される量である。
【0068】
2.生地の調製
本発明の生地は、シート化可能な生地を形成するいかなる好適な方法によっても調製することができる。典型的には、慣用的なミキサーを用いて成分を合わせて完全に混合することによって、ゆるい(loose)乾燥生地を調製する。湿性成分の事前ブレンドと乾性成分の事前ブレンドを調製した後、湿性事前ブレンドと乾性事前ブレンドとを共に混合して、生地を形成することが好ましい。バッチ作業にはホバート(Hobart)(登録商標)ミキサーが好ましく、連続混合作業にはタービュライザー(Turbulizer)(登録商標)ミキサーが好ましい。別の方法としては、押出成形機を使用して、生地を混合し、シート又は成形片を形成することもできる。
【0069】
a.シート化
調製後、生地を比較的平らな薄いシートに形成する。デンプン系生地からこのようなシートを形成するのに適したいかなる方法をも使用することができる。例えば、シートを2つの逆転円筒形ローラーの間で伸ばして、均一な比較的薄い生地材料のシートを得ることができる。従来のあらゆるシート形成装置、製粉装置、及び検量装置を使用することができる。ミルロールは、好ましくは約32℃(90°F)〜約57℃(135°F)に加熱すべきである。好ましい実施形態では、ミルロールは、フロントローラーがバックローラーよりも高温である、2つの異なる温度に保持される。生地は、押出しによってシートに形成することもできる。
【0070】
本発明の生地は、通常、約0.038〜約0.25cm(約0.015〜約0.10インチ)の範囲の厚さ、好ましくは約0.048〜約0.127cm(約0.019〜約0.05インチ)、最も好ましくは0.051〜0.076cm(約0.02インチ〜約0.03インチ)の範囲の厚さのシートに形成される。
【0071】
本発明の生地シートは、約1.77N(180gf)〜約5.88N(600gf)、好ましくは約1.96N(200gf)〜約4.41N(450gf)、より好ましくは約2.45N(250gf)〜約3.43N(350gf)のシート強度を有する。さらに、本発明の生地は、非常に薄い厚さにシート化されたときでさえ、非常に強い。この高いシート強度のために、本米粉組成物は、生地中の食品片、例えば、果物、野菜、全穀類、ナッツ等の切片のための優れた担体である。
【0072】
その後、生地シートは、所定の寸法及び形状のスナック片に形成される。スナック片は、いかなる好適な型又は切断装置を使用しても形成することができる。スナック片は、様々な形状へと形成することができる。例えば、スナック片を、楕円形、正方形、円形、蝶ネクタイ形、星形車形、又は風車形にすることができる。1996年1月25日にPCT国際公開特許WO96/01572として公開されたPCT特許出願PCT/US95/07610(ドーズ(Dawes)ら)に記載のように、切片に刻み目をつけて波形チップを作製することができる。
【0073】
b.調理
スナック片を形成した後、これをパリパリとするまで調理して加工スナック製品を形成する。スナック片は、例えば消化性油脂、非消化性油脂、又はこれらの混合物を含む油脂組成物中で揚げることができる。最良の結果を得るには、きれいな揚げ油を使用すべきである。油の酸化率を低下させるために、油の遊離脂肪酸含有量は好ましくは約1%未満、より好ましくは約0.3%未満に維持すべきである。高温押出成形、ベーキング、マイクロ波加熱、又は組み合わせのような、生地を調理又は乾燥させるための他のいかなる方法も、許容可能である。
【0074】
本発明の好ましい実施形態においては、揚げ油は、約30%未満、好ましくは約25%未満、最も好ましくは、約20%未満の飽和脂肪を有する。この種類の油は、完成した加工スナック製品の潤滑性を改善するので、完成した加工スナック製品は、増強された風味表示を有する。これらの油の風味特性は、油のより低い融点のために、局所的に味付けされた製品の風味特性をも増強する。このような油の例としては、中程度から高濃度までのオレイン酸を含有するヒマワリ油が挙げられる。
【0075】
本発明の別の実施形態では、スナック片は、非消化性油脂と消化性油脂のブレンド中で揚げられる。ブレンドは、好ましくは約20%〜約90%の非消化性油脂と約10%〜約80%の消化性油脂とを含み、より好ましくは約50%〜約90%の非消化性油脂と約10%〜約50%の消化性油脂とを含み、さらにより好ましくは約70%〜約85%の非消化性油脂と約15%〜約30%の消化性油脂とを含む。また、TBHQ、トコフェロール、アスコルビン酸のような酸化防止剤、クエン酸のようなキレート化剤、及びジメチルポリシロキサンのような消泡剤を包含する、当該技術分野において既知の他の成分も、食用油脂及び油に加えることができる。
【0076】
約135℃(275°F)〜約215℃(420°F)、好ましくは約149℃(300°F)〜約210℃(410°F)、より好ましくは約177℃(350°F)〜約204℃(400°F)の温度で、水分が約6%以下、好ましくは約0.5%〜約4%、より好ましくは約1%〜約3%の製品を形成するのに十分な時間、スナック片を揚げることが好ましい。正確な揚げ時間は、揚げる油脂の温度及び生地の初期水分含有量によって制御され、これらは当業者が容易に決定することができる。
【0077】
スナック片を、連続フライ方法を用いて油で揚げ、揚げる間は拘束しておくことが好ましい。この拘束したフライ方法及び装置は、米国特許第3,626,466号(リエパ(Liepa)、1971年12月7日発行)に記載されている。成形され拘束されたスナック片を、最終的な水分含有量が約0.5%〜約4%、好ましくは約1%〜約2.5%のパリパリとした状態に揚がるまで、揚げ媒体に通過させる。
【0078】
拘束式でない、スナック片の連続フライ方法又はバッチフライ方法のような他のいかなるフライ方法も許容可能である。例えば、スナック片を移動ベルト又はバスケット上で揚げ油脂中に浸すことができる。同様に、揚げは、半拘束(semi-constrained)プロセスで起こることができる。例えば、加工スナック片を、油で揚げる間、2つのベルトの間に保持することができる。
【0079】
揚げた後に、特徴的な風味を有する油又は高度に不飽和の油を、加工スナック製品上に噴霧し、混転し、又は他の方法で適用することができる。トリグリセリド油及び非消化性油脂を、風味を分散させるための担体として使用し、加工スナック製品に局所的に添加することが好ましい。これらとしては、バター風味油、天然又は人工風味油、ハーブ油、及びジャガイモ、ニンニク又はタマネギ風味を加えた油が挙げられるが、これらに限定されない。こうすることで、揚げる際に風味成分を褐変反応させずに、様々な風味を導入することができる。この方法を使用して、スナックを揚げるのに必要な加熱時に通常は重合又は酸化を起こす油を導入することができる。
【0080】
本発明の完成した製品は、処方に添加された米粉に起因して、一般的なポテトスナックよりも軽くパリパリとした質感を有する。米粉は、膨張が制御された軽い質感を作る要因であり、これは、チップ表面に外部の泡が存在せず小さい内部の泡のみであることを意味する。これらの内部の泡は、ジャガイモクリスプ(crisps)と比較してチップの密度を減少させる。本発明の完成したチップの油脂含有量は、チップ28グラム当たり約0グラム〜約11グラムの範囲である。チップの油脂含有量は、チップ28グラム当たり、油脂約5g未満であることが好ましい。これは、ジャガイモ粉を含むこと以外は同様な条件で加工されたチップ(典型的に28g当たり典型的に11g)と比較して、油脂含有量がおよそ20〜50%減少したことを表す。
【0081】
D.製品特徴及び分析方法
1.吸水指数(WAI)
a.乾燥成分及び粉ブレンド:
一般に、用語「吸水指数」及び「WAI」は、調理プロセスの結果としての炭化水素系材料の水保持能力の測定値を指す。(例えば、R.A.アンダーソン(Anderson)ら、ロール及び押出調理によるコーングリッツのゼラチン化(Gelatinization of Corn Grits By Roll- and Extrusion-Cooking)、14(1):4 今日の穀物科学(cereal science today)(1969)を参照。)チップのWAIは、チップの溶け(melt)/溶解(dissolve)を起こすであろう水の量を表しており、これは、チップの質感及び食味の間接的な測定値でもある。本明細書において、スナックは低いWAIを有し、これは軽い質感及び早い溶けと相関する。
【0082】
完成品のWAI測定
1.完成品の試料10グラムを、クイジナート社(Cuisinart)製ミニメート(Mini-Mate)を使用して粉砕し、試料の粒径を小さくする。
2.粉砕した試料をUS#20ふるいを通してふるい、この粉砕した試料2グラムを計量する。
【0083】
乾燥材料についての計算を包含する、試料調製、水和、上澄みの測定の方法について、同じ工程に従う。
【0084】
参考文献
アメリカン・アソシエーション・オブ・シリアルケミスツ(American Association of Cereal Chemists)、第8版、方法56I−20、「アルファ化シリアル製品の水和容量(Hydration Capacity of Pregelatinized Cereal Products)」最初の認可(First Approval)4−4−68.検閲10−27−82。
【0085】
原理
ゲル状部分が、液体から分離するように、微粒径の試料を水和し遠心分離器にかける。可溶性デンプン含有液体を捨て、ゲル状部分の重量を計測し、最初の試料重量に対するゲル重量の指標として表す。
【0086】
範囲
本試験方法は、アルファ化デンプン及びアルファ化デンプンを包含する穀物製品の水分保持の測定を網羅する。これは、遠心力により適用される様な機械的手段のみによっては、完全に湿った試料から除去できない水量の測定をすることを意図する。
【0087】
装置/試薬/器具
遠心分離器ALC(Apparecchi per Laboratori Chimici)、モデル4235ジルスシオ・アソシエイツ(DiRuscio Associates)、マンチェスター(Manchester)、ミソーリ・ベル・ラボラトリー・サプライ(Missouri Vel Laboratory Supplies)、ベルギー(ルヴァン(Louvain))、
45゜固定角度ローター ALC、カタログ番号5233(6サンプルホルダー)、
管アダプタ ALC、カタログ番号5011(6つ必要)、
管アダプタ ALC、カタログ番号5721(6つ必要)、
遠心管 VWR、カタログ番号:21010−818(50mL丸底
ポリプロピレン管、105mm×28.5mm)、
天秤 精度 0.01g、
水浴 30℃(±1.0)の一定温度を維持しなくてはならない、
温度計 VWRカタログ番号71740−188、
小さな金属スパチュラ VWRカタログ番号57949−022、
ポリエチレン洗瓶 VWRカタログ番号16651−987、
試験管ラック VWRカタログ番号60917−512、
ビーカー VWRカタログ番号13910−201(250mL)、
タイマー VWRカタログ番号62344−586、
蒸留水及び脱イオン水。
【0088】
手順
試料の調製:
(注記:遠心分離器は、同時に最大6つの試料を分析することができる。この最大の試料荷重は、3つの分析をそれぞれ二重に行うことを意味する。)
1.均質になるまで試料を振る。
2.フェルトペンを使って、各遠心分離管の上端から18mm下に水平線を引く。
3.フェルトペンを使って、洗浄し乾燥させた必要数の50mL遠心分離管にラベルを貼る。
4.試験管の数及び小数点以下0.01単位で丸めた重量を記録する。(注記:ほぼ同一重量の遠心分離管を使用する。)
5.原材料2±0.05gを、ラベルを貼った遠心分離管に量り入れる。
6.添加した試料の重量を記録する。
7.各試料を二重に分析する。
8.各試料について、工程4〜7を繰り返す。
【0089】
試料の水和:
1.各遠心分離管に、30℃の蒸留水30mLを加える。
2.小型金属スパチュラを使い、該混合物を30回穏やかに攪拌し、試料を均一に水和する。(注記:力強く攪拌するとこぼれ、試料は繰り返さなければならない。)
3.撹拌棒を取り除く前に、30℃の蒸留水にてそれをすすぎ、除去される試料の量を最小にする。同様に、試験管の側壁を適切にすすぐ。
4.各試料について、工程2〜3を繰り返す。
5.遠心分離管(最大6個)を、30℃(86°F±2°)の蒸留水の水浴中に30分間置く。攪拌操作を、下記に述べる様に10、20及び30分間隔で繰り返す。
【0090】
【表1】

【0091】
6.試料を30分間加熱後、水浴から遠心分離管を取り除く。各チューブをペーパータオルで乾燥させて、それらを試験管ラックに差し込む。
7.水を充填ライン(fill line)まで添加する。
【0092】
遠心分離:
1.重力F=1257gを生成するために必要な角速度(rad/s(RPM))を計算するために、次式を用いる:
n=(1.125×109÷r)1/2
n=rpm
r=回転中心から試料管末端までの半径距離(mm)
例:
n=(1.125×109÷115)1/2
【0093】
【数1】

【0094】
注記:計算したRPMは、器具を確認するための出発点として使用されなければならない。十分に特徴付けられた原材料及び確認された器具からのデータを使って、rpmは、前に確認された遠心分離器と同じ結果を提供するようにさらに調整される必要がある可能性がある。
2.RPMの設定を、計算された角速度に調整する。
3.管を遠心分離器に移動する。(注記:試料の荷重をつりあわせるために、偶数の試料を分析しなければならない。
4.計算した角速度にて、管を15分間遠心分離する。
5.15分後に、遠心分離器を惰性運転させ完全停止させる。(注意:遠心分離器にブレーキをかけると、誤った結果を導くであろう。)
【0095】
上澄みの測定:
1.遠心分離管を遠心分離器から直ちに取り外し、各管から上澄みを素早く静かに移す。
【0096】
注意:
これが、分析における最も重要な工程である。
ゲルペレットが、不注意に妨げられる又は取り除かれる場合には、分析を繰り返さなければならない。
【0097】
2.管及び内容物の重量を、±0.01で正確に量り、記録する。
【0098】
計算
【0099】
【数2】

【0100】
各質量を±0.01gで測定する。各WAI値、三重の試料の平均及び標準偏差を記録する。
【0101】
2.ラピッドビスコアナライザー(RVA)を使用した粘弾性的特性
参考文献
ラピッドビスコアナライザーのための適用マニュアル(Applications Manual for the Rapid Visco Analyser)、第1版、ニューポート科学(Newport Scientific)、1998年。
【0102】
アメリカン・アソシエーション・オブ・シリアル・ケミスツ(American Association of Cereal Chemists)(AACC)、1995年、ラピッドビスコアナライザーによる米の糊化特性の決定(Determination of the pasting properties of rice with the Rapid Visco-Analyser)。AACC方法61−02、最初の認可(First Approval)10−26−94、承認された分析方法(Approved Methods of Analysis)、第9版、アメリカン・アソシエーション・オブ・シリアル・ケミスト(Amer. Assoc. Cereal. Chem.)、ミネソタ州セントポール(St. Paul)。
【0103】
原理
ラピッドビスコアナライザー(RVA)は、熱サイクルを受けた試料の粘度特性を測定する。マサのような顆粒デンプン試料の温度が上昇すると、顆粒は水を吸収して、当初の大きさの多数倍に膨潤する。デンプンの膨潤は、試料の粘度の増加を伴う。温度の関数としての粘度の挙動は、物質の特性であり、デンプンの調理の程度と相関することが多い。
【0104】
既知の水分量の試料は、水と混合され、粘度特性は、温度プログラムの関数として測定される。RVAの出力は、粘度−時間曲線である。ピーク粘度、最終粘度、及び糊化温度についてのRVA結果を、各試料について記録する。試料は、二重に分析されなければならず、結果が平均化される。
【0105】
【表2】

【0106】
RVA条件
RVA温度特性は以下のとおりである:
【0107】
【表3】

【0108】
試料重量決定
一定の乾燥重量を与えるよう、試料及び水の重量を、試料の水分含有量に対して補正すべきである。試料水分含有量は、オーブン水分標準法(Oven Moisture Standard Method)又はメトラー水分法(Mettler Moisture Method)のどちらかにて、決定されなければならない(10g、120℃、10分)。
【0109】
各試料について、調整された試料質量(s)と調整された水質量(w)を決定するために、次の式が使用される。
【0110】
【数3】

【0111】
【数4】

ここで、S=調整されたデンプン重量(g)
C=乾燥デンプン濃度(%)
M=デンプンの実際の水分含有量(%)
W=調整された水の重量(g)
【0112】
これらの式を使用して試料(S)及び水(W)の量を決定し、分析用に計量する。
【0113】
試料の調製
1.上の試料重量決定のセクションを使用して分析を行なうために必要な水(W)及び試料(S)の量を決定する。
2.清潔なキャニスターに所望の量の水を0.01g単位で量り入れる。
3.試料を確実に均質に混合する。所望の量の試料を、秤量紙上に0.01g単位で量る。(注記:方法誤差を最小にするためには、正しい量の試料を量ることが重要である。)
4.試料を秤量紙上に残さずに、試料をキャニスターへ慎重に注ぐ。一旦試料が水に入ったら、分析は40秒以内に実行されなければならない。
5.キャニスターに清潔な乾燥したコルクをかぶせ、手で力強く10秒間振る。
6.ストッパーをキャニスターから慎重にすべらせ、全ての試料と水をコルクからキャニスターに移し、パドルブレードで試料をすぐにキャニスター壁からこすり下に落とす。(注記:方法誤差を最小にするためには、全ての試料をキャニスターに移動することが重要である。)
7.パドルをキャニスター内に置き、パドルをRVA上に固定し、キャニスターの基部を加熱房の上にて中央に置き、タワーを引き下げ、試験を始める。
8.分析後、タワーが持ち上がる。この試験を現在の分析セッションに加えるために「Yes」を押す。パドル及びキャニスターを除去し、廃棄する。注記:使用の合間に完全に洗浄し、乾燥するならば、RVAキャニスター及びパドルは、最高3回まで使用してもよい。
9.次の試料について実行するために、RVA調製下で、工程4から始めてこのプロセスを繰り返す。
【0114】
データ分析
ペースト粘度−対−時間のグラフから、標準プロファイルの加熱及び保持サイクル間に得られた最大粘度を読み取る(標準方法)。この最大粘度が、試料のピーク粘度である。
【0115】
ペースト粘度−対−時間のグラフから、冷却後、試験終了時に得られた粘度を読み取る。前記粘度が最終粘度である。
【0116】
3.アミロース%
AACC方法61−03、1〜4頁に従って、製粉された米のアミロース含有量を決定する。
【0117】
4.チップ密度試験手順
スナックの密度は、スナックの質感及び食味に関連し得る。製品の密度が低くなると、製品の質感及び食味は軽くなる。押出成形されたスナックのような低密度製品は、溶けが遅い食味及びあるレベルの歯への詰まり(tooth-packing)を有し得る。ジャガイモ及びトルティーヤスナックのような製品は、高密度を有し、特徴のあるザクザクとした(crunchy)質感及び溶けが速い食味を有する。本発明の米製品は、ジャガイモ及びトルティーヤスナックと同様の密度を有するが、より膨張した質感、及びより速い溶けを有する(低い吸水指数により示されるように)。本発明の製品は、トルティーヤ又はジャガイモスナックからの望ましい特質を供給する独自のパリパリ感(crispiness)及び食味、並びに軽いザクザク感(crunch)及びより穏やかな風味を有する。また本発明の製品は、典型的な米スナックと比較して、より滑らかな食味を有する。本発明の製品は、0.3〜0.8g/cc、好ましくは約0.35〜0.7g/cc、より好ましくは、0.4〜0.7g/cc、最も好ましくは0.45〜0.55g/ccの範囲であった。密度は、以下の2つの方法のどちらででも測定することができる。
【0118】
密度測定
機器
1.破損していないスナック片を入れるのに十分な大きさの開口部を有するメスシリンダー。
2.天秤
3.グリセリン(P&Gケミカル(P&G Chemicals)、オハイオ州シンシナティー(Cincinnati))。
【0119】
手順
1.メスシリンダーの風袋を計る。
2.メスシリンダーに、最上部の目盛り線までグリセリンを満たす。満たされたメスシリンダーに気泡が含有されないようにする。
3.グリセリンが満たされたメスシリンダーを計量し、グリセリンが満たされたメスシリンダーの質量を100分の1グラム単位で記録する。これは、メスシリンダー内のグリセリンの質量である=mク゛リセリン
4.メスシリンダーからグリセリンをあけて空にして、空にしたメスシリンダーを洗浄する。
5.上の工程4で得られる清潔なメスシリンダーの風袋を計る。
6.約20グラムの破損していない試験製品をメスシリンダーに入れる。
7.試験製品を含有するメスシリンダーを計量し、試験製品を含有するメスシリンダーの質量を100分の1グラム単位で記録する。これは、メスシリンダー内の試験製品の質量である=m試験製品
8.試験製品を含有するメスシリンダーに、最上部の目盛り線までグリセリンを満たす。満たされたメスシリンダーに気泡が含有されないようにする。
9.上の工程8を実施してから5分以内に、試験製品及びグリセリンを含有するメスシリンダーを計量し、試験製品及びグリセリンを含有するメスシリンダーの質量を100分の1グラム単位で記録する。これは、メスシリンダー内の試験製品及びグリセリンの質量である=m試験製品+ク゛リセリン
10.工程9のメスシリンダーを空にし、洗浄する。
11.新しいグリセリン及び試験製品を使用して、上の工程1〜10をさらに2回繰り返し、試料毎に合計3つの測定値を得る。
12.試料の3つの測定値を平均して、次を得る:
平均m1ク゛リセリン
平均m試験製品
平均m試験製品+ク゛リセリン
【0120】
計算
ρク゛リセリン=1.2613g/mL(グリセリンの密度、文献値)
平均V1ク゛リセリン=(平均m1ク゛リセリン)/(ρク゛リセリン)=シリンダーの体積
平均m2ク゛リセリン=平均m試験製品+ク゛リセリン−平均m試験製品
平均V2ク゛リセリン=(平均m2ク゛リセリン)/(ρク゛リセリン)
平均V試験製品=平均V1ク゛リセリン−平均V2ク゛リセリン
SV試験製品=(平均V試験製品)/(平均m試験製品)
ρ試験製品=1/SV試験製品
【0121】
5.油脂%分析
チップ中の総油脂の百分率は、食品業者に既知の標準手順にて測定することができ、好ましくは、総油脂は、酸加水分解により測定される。特に、酸加水分解により総油脂を測定するための方法は、AOACインターナショナル(International)(2000)第17版AOACインターナショナル(International)、アメリカ、メリーランド州、ガイサーズバーグ(Gaithersburg)、公式方法922.06、954.02に見ることができる。
【0122】
6.チップ破砕強度
破砕強度は、チップを砕くのに必要な力の測定値である。破砕強度は、スナックの強度、及び食味に関係する。破砕強度が高いほど、チップのザクザク感(crunchiness)及びパリパリ感(crispiness)は高くなる。本発明のスナックは、高い値の破砕強度を示し、軽い質感及びより低い油脂含有量を有する。本発明の製品は、ジャガイモスナック製品よりも高い破砕強度を有する。本発明の米チップは、0.98N(100gf)〜2.94N(300gf)、好ましくは1.77N(180gf)〜2.75N(280gf)、最も好ましくは1.96N(200gf)〜2.45N(250gf)の破砕強度(グラム重量)を有する。
【0123】
破砕強度は、以下の方法で測定することができる。
機器
テキスチャー・テクノロジー(Texture Technologies)(ニューヨーク州スカースデール(Scarsdale))からの、5kgロードセルを備えたTA−XT2iテキスチャー・アナライザー
方法
1.分析前に、プローブ及び抵抗力較正が毎日完了される。
2.試料を、電子キャリパーで測定してギャップ20.30mmを有し、局面を下方に向けた、調節可能な3点屈曲部(bend)/スナップ(snap)設備上に置く。試料を破壊するために、平らな3mm端を有するナイフブレードが使用される(TA−43、テキスチャー・テクノロジー(Texture Technologies))。
3.以下の設定が使用される:
a.圧縮下で抵抗力を測定する
b.試験前速度:1.5mm/s
c.試験速度:0.5mm/s
d.試験後速度:10.0mm/s
e.距離:5.0mm
f.制動力:5.0g
4.亀裂及び破損がないチップのみが分析される。チップは、分析まで密封容器に保存される。
5.データを分析するために、以下のマクロが使用された:
a.明確なグラフ結果
b.書き直し
c.前方を探索する
d.最小限の時間へ進む
e.正の絶対値(抵抗力)へ進む
f.抵抗力の値(硬さ)を選び、値を記録する
g.距離の値(破砕可能性)を選び、値を記録する
6.15回の実行の平均が破砕強度として使用される。
【0124】
7.シート強度試験
引張り試験は、生地シートの引張り強度を測定する機械的応力−歪み試験である。生地細片を、その端部で試験機械上に取り付ける。生地細片を、生地が破断するまで一定速度で伸長させる。生地が破断するときの力(g)が、生地の引張り強度である。引張り試験の出力を、力/荷重VS距離/時間として記録する。シート強度は、次の方法により測定することができる。
【0125】
機器
4.ステーブル・マイクロ・システムズ社(Stable Micro Systems)製テキスチャー・アナライザーTA−XT2又はTA−XT2i(容量25kgのロードセル、テキスチャー・エキスパート・エクシード・ソフトウェア(Texture Expert Exceed Software)及び5kgの較正重量を有する)
5.以下の交換部品を有するインストロン・エラストマー・グリップ(Instron Elastomeric Grips)(カタログ番号2713−001):
a.)内部スプリング(インストロン部品番号66−1−50)を直径0.5842mmのワイヤから作製されたスプリングに交換する。交換用スプリングは、長さが3.81cm、内径が0.635cm、係数Kが0.228N/mmでなければならない。前記交換用スプリングは、ジョーンズスプリング社(Jones Spring Company)(米国、ケンタッキー州、ワイルダー(Wilder))から入手することができる。
b.)インストロン部品番号T2−322を、図8及び図9に示されるように、変形ローラープレーン(roller plain)に交換する。前記変形ローラープレーンは、該ローラープレーンの外表面上に、長さ4.412cm、幅0.9525cmの平らな側部を有するように機械加工された、インストロンストック(Instron Stock)部品番号T2−322である。前記平らの側部を、アームストロング自己接着式テープ番号Tap18230で覆い、グリップ(Grip)のクランプフレーム下降装置(Clamp Frame Lower)(インストロン部品番号A2−1030)の試料側に平行に置く。インストロン弾性グリップは、テキスチャー・アナライザーの上面と底に固定される。
【0126】
試料の調製
1.0.38mm〜2.50mmの範囲の均一な厚さ、及び少なくとも20cmの長さを有する生地シートを収集する。
2.生地シートから試料を切断して、幅2.5cm、長さ15cmの生地細片を形成する。細片の15センチの長さは、その生地の縦方向に対応するべきである。全細片を連続的に切断する。
3.試料を気密容器内に置くことによって、試料からの水分損失を防ぐ。試料が新鮮な間に確実に分析されるように、収集後10分以内に試料を分析しなければならない。
【0127】
【表4】

【0128】
データ分析
試料のシート引張り強度とは、試料が破断する前の最大抵抗力である。生地のシート引張り強度は、5つの試料のシート強度の平均値である。
【実施例】
【0129】
E.実施例
本発明の特定の実施形態を以下の非限定例によって説明する。
【0130】
実施例1、2、3、4
以下の例は、本発明の米粉組成物の物理的特性を説明する。
【0131】
【表5】

【0132】
実施例5、6、7
生地組成物を、以下の表2に示されたドライブレンドから調製する。実施例5及び6の生地組成物は、65%のドライブレンド及び35%の添加水を含む。全成分をタービュライザー(Turbulizer)(登録商標)ミキサーでブレンドし、ゆるい(loose)乾燥生地を形成する。
【0133】
1対のシート化ロールに連続的に送り込むことによって生地をシート状にし、小さな穴のない、弾性連続シートを形成する。シートの厚さを、約0.05cm(0.02インチ)に制御する。バックロールは約32℃(90°F)に加熱され、フロントロールは約57℃(135°F)に加熱される。
【0134】
その後、生地シートを楕円形片に切り、拘束された揚げ型内で、約204℃(400゜F)で、又は望ましい仕上がりが得られるまで、約8秒間揚げる。揚げ油は、綿実油とコーン油の50/50ブレンドである。揚げた切片は、約20〜25%の油脂を含有する。
【0135】
これらの製品はパリパリとした(crisp)質感を有し、口の中ですぐ溶け、中立の風味である。
【0136】
実施例7の生地組成物は、65%のドライブレンド、2%の乳化剤、及び33%の添加水を含む。全成分を、シュテファン(Stephan)又はホバート(Hobart)バッチ生地ミキサーでブレンドし、ゆるい(loose)乾燥生地を形成する。
【0137】
1対のシート化ロールに連続的に送り込むことによって生地をシート状にし、小さな穴のない、弾性連続シートを形成する。シートの厚さを、約0.064cm(0.025インチ)に制御する。バックロールは約10℃(50°F)に加熱され、フロントロールは約35℃(95°F)に加熱される。
【0138】
その後、生地シートを楕円形片に切り、浸水領域が続く初期フリーフロート領域を含むオープン標準フライヤーで約157℃(315゜F)で約50秒間揚げる。揚げ油は、綿実油とコーン油の50/50ブレンドである。揚げた切片は、約25%の油脂を含有する。
【0139】
これらの製品はパリパリとした(crisp)質感を有し、口の中ですぐ溶け、当たり障りのない風味である。
【0140】
【表6】

【0141】
実施例8、9、10
生地組成物は、以下の表3に説明される実施例8、9、及び10のドライブレンドから調製される。生地組成物は、65%のドライブレンドと35%の添加水を含む。全成分をタービュライザー(Turbulizer)(登録商標)ミキサーでブレンドし、ゆるい(loose)乾燥生地を形成する。
【0142】
1対のシート化ロールに連続的に送り込むことによって生地をシート状にし、小さな穴のない、弾性連続シートを形成する。シートの厚さを、約0.05cm(0.02インチ)に制御する。バックロールは約32℃(90°F)に加熱され、フロントロールは約57℃(135°F)に加熱される。
【0143】
その後、生地シートを楕円形片に切り、約204℃(400゜F)にて約8秒間、又は所望の仕上がりが得られるまで、又は所望の仕上がりが得られるまで、拘束された揚げ型内で揚げる。揚げ油は、綿実油とコーン油の50/50ブレンドである。揚げた切片は、約20〜25%の油脂を含有する。
【0144】
これらの製品はパリパリとした(crisp)質感を有し、口の中ですぐ溶け、不純物のない(clean)風味である。
【0145】
【表7】

【0146】
参考文献の引用
「発明を実施するための最良の形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれているが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることの容認であると解釈すべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)約2.6〜約9のWAI、及び約4RVU〜約130RVUのピーク粘度を有する米粉を約20重量%〜約95重量%;並びに
b)約2.2未満のWAI、約100RVU〜約900RVUのピーク粘度を有する米デンプン材料を約5重量%〜約80重量%,
を有する米粉組成物。
【請求項2】
米デンプン材料が、アルファ化デンプン、低粘度デンプン、デキストリン、酸変性デンプン、酸化デンプン、酵素変性デンプン、安定化デンプン、デンプンエステル、デンプンエーテル、ワックス様米デンプン、もち米粉、架橋デンプン、アセチル化デンプン、デンプン糖、グルコースシロップ、ブドウ糖、イソグルコース、2つ以上の異なるプロセスにて変性されたデンプン、及びこれらの混合物から成る群から選択され、好ましくは、米デンプン材料が、もち米デンプン、もち米粉、アセチル化米デンプン、架橋米デンプン、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の米粉組成物。
【請求項3】
約140RVU〜約350RVUの最終粘度を有する、請求項1に記載の米粉組成物。
【請求項4】
前記組成物が、中粒米粉、長粒米粉、及びこれらの混合物から成る群から選択される米粉を含む、請求項1に記載の米粉組成物。
【請求項5】
加工スナック製品を作製するためのドライブレンドであり、請求項1に記載の米粉組成物を約2%〜約100%含む、ドライブレンド。
【請求項6】
前記ドライブレンドが、請求項2に記載の米粉組成物を約2%〜約100%含む、加工スナック製品を作製するためのドライブレンド。
【請求項7】
前記ドライブレンドが、請求項3に記載の米粉組成物を約2%〜約100%含む、加工スナック製品を作製するためのドライブレンド。
【請求項8】
前記ドライブレンドが、請求項4の米粉組成物を約2%〜約100%含む、加工スナック製品を作製するためのドライブレンド。
【請求項9】
前記ドライブレンドが、水と混合されて生地を形成する、加工スナック製品を作製するための請求項5に記載のドライブレンド。
【請求項10】
0重量%〜約20重量%、好ましくは0重量%〜約10重量%、さらにより好ましくは0重量%〜約7.5重量%のマルトデキストリンを含む、加工スナック製品を作製するための請求項5に記載のドライブレンド。
【請求項11】
チップ28グラム当たり約0グラム〜約11グラムの油脂、より好ましくはチップ28グラム当たり約5グラム未満の油脂を含有するチップが得られる、油で揚げて加工スナック製品になる、請求項9に記載の生地。
【請求項12】
約135RVU〜約250RVUのピーク粘度を有する、請求項1に記載の米粉組成物。
【請求項13】
約2.5〜約5のWAIを有するチップが得られる、油で揚げて加工スナック製品に作製される請求項9に記載の生地。
【請求項14】
米デンプン材料が、10重量%未満、好ましくは約8重量%未満、さらにより好ましくは約6重量%未満の総ミラーゼ含有量を有する、請求項1に記載の米粉組成物。
【請求項15】
約0.6〜1.8g/mL、好ましくは0.7〜1.6g/mL、より好ましくは0.8〜1.0g/mLの密度を有するチップが得られる、油で揚げて加工スナック製品に作製される、請求項9に記載の生地。
【請求項16】
約0.74N(75gf)〜約2.94N(300gf)、好ましくは約1.77N(180gf)〜約2.75N(280gf)、最も好ましくは約1.96N(200gf)〜約2.45N(250gf)の破砕強度を有するチップが得られる、油で揚げて加工スナック製品に作製される、請求項9に記載の生地。
【請求項17】
約5%〜約30%が、60メッシュスクリーン上に残り、約15%〜約50%が100メッシュスクリーン上に残り、約20%〜約60%が200メッシュスクリーン上に残る粒径分布を有する、請求項1に記載の米粉組成物。
【請求項18】
約3〜約7、好ましくは約3.5〜約6、より好ましくは約4〜約6のWAIを有する、請求項5に記載のドライブレンド。
【請求項19】
約2〜約5のWAIを有する、請求項1に記載の米粉組成物。
【請求項20】
約1.76N(180gf)〜約5.88N(600gf)、好ましくは約1.96N(200gf)〜約4.41N(450gf)、より好ましくは約2.45N(250gf)〜約3.43N(350gf)のシート強度を有する、請求項9に記載の生地。
【請求項21】
約70RVU〜約120RVU、好ましくは約75RVU〜約100RVU、より好ましくは約80RVU〜約90RVUのピーク粘度を有する、請求項5に記載のドライブレンド。
【請求項22】
約90RVU〜約150RVU、好ましくは約100〜約125RVU、より好ましくは約100〜約115RVUの最終粘度を有する、請求項5に記載のドライブレンド。
【請求項23】
約2〜約5のWAI、約0.6〜約1.8g/mLの密度を有するチップが得られる、焼いて加工スナック製品に作製される、請求項9に記載の生地。
【請求項24】
マイクロ波加熱を使用して乾燥させた後、約0.6〜約1.8g/mLの密度にまで揚げる、加工スナック製品に作製される、請求項9に記載の生地。
【請求項25】
約0.74N(75gf)〜約2.94N(300gf)のチップ破砕強度、及び約2〜約7のWAIを有する、加工スナック製品になる請求項9に記載の生地。
【請求項26】
調理されてチップが得られる、加工スナック製品に作製される、請求項9に記載の生地。
【請求項27】
水分含有量が、生地の約15重量%〜約40重量%、好ましくは約18重量%〜約35重量%、より好ましくは約22重量%〜約30重量%である、請求項9に記載の生地。
【請求項28】
生地の0.5重量%〜約8重量%、好ましくは約2重量%〜約7重量%、より好ましくは約3重量%〜約5重量%の濃度で乳化剤をさらに含む、請求項9に記載の生地。
【請求項29】
a)約2〜約5の吸水指数;
b)約135RVU〜約250RVUのピーク粘度;及び
c)約140RVU〜約350RVUの最終粘度、
を有する米粉組成物。

【公表番号】特表2008−541783(P2008−541783A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515944(P2008−515944)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/022396
【国際公開番号】WO2006/133388
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】