説明

米配合用雑穀

【課題】通常のご飯と同様に炊飯して美味しく摂取でき、かつ、食感に優れ栄養的にバランスにとれた健康志向雑穀配合米の提供。
【解決手段】少なくともアーモンドを含有する米配合用雑穀を提供することにより、精白米のもちもち感に加えアーモンドの有する食感を与えるとともに、精白米にビタミンEの栄養素を補うことができ、栄養的なバランスを改善する。また、アーモンド本来が持つ自然の油分でご飯が冷めても硬くなりにくくするとともに、旨みやコクを増す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米配合用雑穀に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向の高まりを背景に栄養バランスの優れた雑穀が注目されており、米に混ぜ込む米配合用雑穀としては、例えば、少なくとも7種類の雑穀類を配合したものが知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1記載の米配合用雑穀は、少なくとも、玄米分搗き米、もちきび、押麦、黒米、煎り黒大豆、アマランサス及びキヌアを含んでおり、米に混ぜて炊き込むことで、通常のご飯と同様に炊飯して美味しく摂取でき、かつ、栄養的にバランスのとれた雑穀配合米を提供するものである。
【0004】
【特許文献1】2008−54634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したような米配合用雑穀は、様々な種類の雑穀を配合したものが提供されているものの、通常の精白米のように美味しく食べられるニーズを十分に充たした米配合用雑穀は未だ少ないという問題点があった。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、通常のご飯と同様に炊飯して美味しく摂取でき、かつ、食感に優れ栄養的にバランスにとれた健康志向の雑穀配合米を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の米配合用雑穀は、少なくともアーモンドを含有する。アーモンドを含有する米配合用雑穀であると、精白米のもちもち感に加えアーモンドの有する食感を与えることができる。さらに、精白米にビタミンEの栄養素を補うことができるため、バランスにとれた健康志向の雑穀配合米とすることができる。本発明に用いるアーモンドは5重量%〜50重量%で含有されていると好ましい。
【0008】
本発明で含有させるアーモンドは、略ダイス状に形成されると好ましい。略ダイス状のアーモンドを用いることで、アーモンド特有の食感を与え、かつ、米とともに炊き込む際の加熱によってもその食感を失うことがない。
【0009】
本発明の米配合用雑穀は、アーモンドに加え、大麦、アマランサス、キヌア、発芽青玄米、もちきび及び赤米のいずれか1つ以上を更に含有することもできる。
【0010】
本発明の米配合用雑穀を精白米とともに炊き込むことで、精白米や従来の米配合用雑穀を用いた雑穀米にはない食感を与え、かつ、栄養素に優れた雑穀配合米とすることができる。また、アーモンド本来が持つ自然の油分でご飯が冷めても硬くなりにくく、旨みやコクが増すことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、通常の米飯と同様に炊飯して美味しく摂取でき、かつ、食感に優れ栄養的にバランスにとれた健康志向の雑穀配合米を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0013】
本実施形態に係る米配合用雑穀は、少なくともアーモンドを含有する。
【0014】
アーモンドとは、バラ科サクラ属の落葉高木から採取される実(ナッツ)のことであり、ビタミンEといった脂質の他、ビタミンB類を含む。本実施形態で用いるアーモンドは、スイート種(甘扁桃)を用いると好ましい。スイート種には100以上の品種が知られ、ノンパレル、カリフォルニア、カーメル、ミッション、ビュート等が好ましく用いられる。
【0015】
従来、アーモンドを熱風等で焙燥することで、保存性を向上させ、かつ、特徴的な香味を付与させることで食用としていた。しかし、焙燥することで、アーモンドの有するビタミンE等の抗酸化物質が酸化されてしまう。
本実施形態に係る米配合用雑穀に用いるアーモンドは、米飯とともに炊飯し加熱するため、生又は自然乾燥させたものを用いることができる。さらに、表皮を除去したものを用いると好ましい。
【0016】
本実施形態に係る米配合用雑穀に用いるアーモンドは、略ダイス状であると好ましい。略ダイス状のアーモンドを用いることで、アーモンド特有の食感を好適に与え、さらに、米飯食としても、外観的な形状も好適とすることができる。
略ダイス状のアーモンドは、図1に示すような形状であり、短辺で1mm以上20mm以下、好ましくは2mm以上10mm以下であると好ましい。
また、略ダイス状のアーモンドは、生又は自然乾燥させたアーモンドを解砕して得ることができる。
【0017】
本実施形態に係る米配合用雑穀には、アーモンドを5%〜50%、望ましくは5%〜20%含有されると好ましい。このような米配合用雑穀であると、通常の米飯食に加え、食感に優れた雑穀配合米とすることができる。
【0018】
また、この時、配合する米100gに対して、アーモンドを0.1g〜10g、好ましくは0.5g〜3gとなるように配合し、雑穀配合米とすることができる。
このような配合比率でアーモンドを含有させると、米飯食の食味を保ちつつ、アーモンドの食感を与えることができる。
【0019】
本実施形態に係る米配合用雑穀は、アーモンドに加え、大麦、アマランサス、キヌア、発芽青玄米、もちきび及び赤米といった他の雑穀類のいずれか1つ以上を含有することもできる。これらの雑穀類を含有させることにより、従来の米配合用雑穀を用いた雑穀配合米と比較して栄養的にバランスのとれた雑穀配合米とすることができる。
【0020】
本実施形態に係る米配合用雑穀は、通常の米飯に適当量混ぜ、炊飯することで、雑穀配合米を得る。
さらに、本実施形態に係る米配合用雑穀は、スープ等の汁具材に用いることもできる。
【実施例】
【0021】
(配合例)米配合用雑穀の調整:表1に示す割合で米配合用雑穀を調整した。このときの栄養成分は図2に示すとおりであった。
【0022】
表1
成分(雑穀) 米配合用雑穀100gあたり
アーモンド 11g
大麦 51g
発芽青玄米 14g
赤米 6g
もちきび 6g
アマランサス 6g
キヌア 6g
【0023】
(配合例の米配合用雑穀を用いた官能試験)
精白米300gを水で研ぎ、水300mLに浸したものに、表1に示す米配合用雑穀35gを加え、さらに水50mL加えた。
30分浸水させた後、市販の炊飯器にて炊飯し、炊飯終了後15分間蒸らした。
また、比較するために、精白米300gを通常通り炊飯した米飯、また、市販の米配合用雑穀3種類(18雑穀配合、16雑穀配合、大麦)をそれぞれ指定された使用量通り配合し、雑穀米1、雑穀米2、雑穀米3をそれぞれ得た。
【0024】
得られた雑穀配合米は、熟練したパネラー10名によって官能検査に供した。官能検査項目として、味(甘味、 酸味、旨味、苦味、渋味、質)、食感(硬さ、粘り、質)、外観(色、光沢、質)、総合評価の各項目に対して、5段階評価にて評点を付した。さらに、麦飯特有の臭い(麦臭)強さや他の臭い(強さ、質)についても5段階評価にて評点を付した。
【0025】
その結果を図3及び表2に示す。図3に示すように、配合例では、他の雑穀米と比較して、甘味、旨味、味の質の点で優れ、精白米の米飯と比較してもそれらの項目において、評点が高い結果となった。また、表2に示すように、配合例の雑穀配合米は、総合評価が最も高く、パネラーによる平均順位も精白米と同等となる結果であった。
【0026】
また、アーモンド本来が持つ自然の油分でご飯が冷めても硬くなりにくく、旨みやコクが増すといったコメントがあった。さらに、アーモンドの粒々感と他の雑穀(モチ性の大麦やもちきび)や白米との食感の対比があり、評点が高い結果となった。
【0027】
加えて、配合例では、麦飯(雑穀米3)に特有な麦臭の強さが低く、同様に大麦を含有する雑穀米1や雑穀米2と比較しても特有な麦臭の強さが低いことが分かった。すなわちアーモンドを含有する配合例では、大麦由来の麦臭を軽減することが分かった。
【0028】
表2
白米 配合例 雑穀米1 雑穀米2 雑穀米3
総合評価 3.0 4.0 2.9 2.8 2.3
順位 2.6 2.2 4.3 4.5 4.7
*総合評価:5(良い)〜1(悪い)、パネラー平均点
*順位:1位〜5位、パネラー平均順位
【0029】
(使用例1)
玉ねぎとトマトのスープ:<材料 4人分>
A:配合例の米配合用雑穀35g、玉ねぎ1/2個、ベーコン1枚、トマト1/2個、水2カップ、塩小さじ1/2
<作り方>
1.玉ねぎ、トマト、ベーコンは1cm角に切る。
2.鍋に水とAの素材を入れ、中火で約15分煮る。
3.塩で味をととのえる。
【0030】
(使用例2)雑穀入りポタージュスープ: <材料 4人分>
B:配合例の米配合用雑穀35g、玉ねぎ1/2個、ベーコン1枚、水3カップ
C:牛乳1カップ、塩小さじ1、こしょう適量
<作り方>
1.玉ねぎとベーコンは、粗みじんに切る。
2.鍋に、Bを入れて、中火で約15分煮る。
3.2の粗熱を取りミキサーに入れてピューレ状にし、Cを加え、味を調える。
【0031】
(使用例3)雑穀入り お汁粉:<材料 4人分>
D:配合例の米配合用雑穀35g、小豆缶(市販品)1缶、水2カップ
<作り方>
Dを5分ほど煮る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】略ダイス状のアーモンドの外観を示す図である。
【0033】
【図2】配合例で調整した米配合用雑穀の栄養成分を示す図である。
【0034】
【図3】官能試験結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともアーモンドを含有することを特徴とする米配合用雑穀。
【請求項2】
前記アーモンドを、5重量%〜50重量%の割合で含有することを特徴とする請求項1記載の米配合用雑穀。
【請求項3】
前記アーモンドは、略ダイス状に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の米配合用雑穀。
【請求項4】
大麦、アマランサス、キヌア、発芽青玄米、もちきび及び赤米のいずれか1つ以上を更に含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の米配合用雑穀。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の米配合用雑穀を含有することを特徴とする雑穀配合米。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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